(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】弁体駆動装置
(51)【国際特許分類】
F16K 3/08 20060101AFI20240826BHJP
F16K 31/04 20060101ALN20240826BHJP
【FI】
F16K3/08
F16K31/04 A
(21)【出願番号】P 2020070979
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】横江 悟
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/006860(WO,A1)
【文献】特開2013-256964(JP,A)
【文献】特開2015-232385(JP,A)
【文献】特開2003-056734(JP,A)
【文献】特開2015-113965(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0011650(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0080623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00- 3/36
F16K 11/00-11/24
F16K 31/00-31/05
F16K 31/44-31/62
F25B 41/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れる管が接続されるプレートと、
前記プレートと共に前記流体の流路を形成するケース体と、
前記プレートにおける前記管の接続口と対向する位置において、前記プレートとの対向方向を回転軸方向として回転可能な弁体と、
前記弁体を回転させる駆動源と、
前記駆動源から前記弁体に前記弁体を回転させる回転力を伝達する伝達部材と、
前記回転軸方向と交差する径方向において前記弁体の回転軸に対してずれた位置を支点とし、前記支点とは反対側を力点として、前記弁体を前記プレートに対して押し付けることが可能な可撓性の腕部を有する前記弁体の保持部と、を備え、
前記腕部は、前記支点とは反対側の先端よりも前記径方向における前記弁体の回転中心に近い位置を前記力点と
し、
前記保持部は、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側に折り曲げることで前記支点を形成し、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側とは反対側に折り曲げることで前記力点を形成しており、前記支点及び前記力点での折り曲げ方向は平行であることを特徴とする弁体駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁体駆動装置において、
前記力点は、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側とは反対側に反らせることで形成されていることを特徴とする弁体駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の弁体駆動装置において、
前記腕部は、前記回転軸に嵌まる孔が設けられていることを特徴とする弁体駆動装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の弁体駆動装置において、
前記保持部は、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側に折り曲げることで前記支点を形成していることを特徴とする弁体駆動装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の弁体駆動装置において、
前記保持部は、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側とは反対側に折り曲げることで前記力点を形成していることを特徴とする弁体駆動装置。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の弁体駆動装置において、
前記プレートは、前記弁体と対向する位置に前記接続口を複数有し、
前記弁体は、対向する位置に設けられた複数の前記接続口を開閉可能であることを特徴とする弁体駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な弁体駆動装置が使用されている。このような弁体駆動装置のうち、弁体を回転させることで流体を流す管の開閉を制御する弁体駆動装置がある。特許文献1には、歯車を介してロータ支軸に取り付けられたピニオンの回転を伝達することで、弾性腕部で保持された弁体を回転させて流体を流す流出パイプの開閉を制御するバルブ駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のバルブ駆動装置のような、弁体を回転可能な状態で保持する腕部を有し、弁体を回転させることで流体を流す管の開閉を制御する弁体駆動装置においては、弁体が傾きやすい。腕部は弁体の回転軸に沿う方向から見て該回転軸とずれた位置を支点とし、該回転軸に力を加えるのは弁体を回転可能な状態に維持することが難しくなるため、該回転軸から離れた位置を力点として、斜め方向から弁体を支持する弁座などに対して押し当てる形状になっているためである。弁体が弁座に対して傾くと、漏れが発生し、流体を流す管における流量調整に不具合が発生する虞がある。そこで、本発明は、弁体駆動装置において弁体が傾くことで漏れが発生し、流量調整に不具合が発生することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における弁体駆動装置は、流体の流れる管が接続されるプレートと、前記プレートと共に前記流体の流路を形成するケース体と、前記プレートにおける前記管の接続口と対向する位置において、前記プレートとの対向方向を回転軸方向として回転可能な弁体と、前記弁体を回転させる駆動源と、前記駆動源から前記弁体に前記弁体を回転させる回転力を伝達する伝達部材と、前記回転軸方向と交差する径方向において前記弁体の回転軸に対してずれた位置を支点とし、前記支点とは反対側を力点として、前記弁体を前記プレートに対して押し付けることが可能な可撓性の腕部を有する前記弁体の保持部と、を備え、前記腕部は、前記支点とは反対側の先端よりも前記径方向における前記弁体の回転中心に近い位置を前記力点とすることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、腕部は、支点とは反対側の先端よりも径方向における弁体の回転中心に近い位置を力点とする。すなわち、腕部は、回転軸近傍に力を加えることができる。したがって、弁体が傾きにくい状態で弁体をプレートに対して押し付けることが可能になり、弁体が傾くことで漏れが発生し、流量調整に不具合が発生することを抑制することができる。
【0007】
本発明の弁体駆動装置においては、前記力点は、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側とは反対側に反らせることで形成されていることが好ましい。腕部の弁体がある側とは反対側に反らせるという簡単な構成で、弁体が傾くことで漏れが発生し、流量調整に不具合が発生することを抑制することができるためである。
【0008】
本発明の弁体駆動装置においては、前記腕部は、前記回転軸に嵌まる孔が設けられていることが好ましい。回転軸に嵌まる孔を設ける構成とすることにより、簡単に弁体を回転可能に保持できるためである。
【0009】
本発明の弁体駆動装置においては、前記保持部は、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側に折り曲げることで前記支点を形成していることが好ましい。支点の構成、すなわち、弁体をプレートに対して押し付けることが可能な構成を簡単に形成できるためである。
【0010】
本発明の弁体駆動装置においては、前記保持部は、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側とは反対側に折り曲げることで前記力点を形成していることが好ましい。力点を弁体の折り曲げで構成することにより、折り曲げられた折り目の部分を力点とすることができ、精度よく弁体の回転中心に近い位置を力点とすることができるためである。
【0011】
本発明の弁体駆動装置においては、前記保持部は、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側に折り曲げることで前記支点を形成し、前記腕部を前記回転軸方向において前記弁体がある側とは反対側に折り曲げることで前記力点を形成しており、前記支点及び前記力点での折り曲げ方向は平行であることが好ましい。支点及び力点での折り曲げ方向を平行とすることで、弁体の回転中心に特に近い位置に力点を形成しやすいためである。
【0012】
本発明の弁体駆動装置においては、前記プレートは、前記弁体と対向する位置に前記接続口を複数有し、前記弁体は、対向する位置に設けられた複数の前記接続口を開閉可能であることが好ましい。複数の接続口により効率的に流体を流すことができるためである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の弁体駆動装置は、弁体が傾くことで漏れが発生し、流量調整に不具合が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施例の弁体駆動装置の概略斜視図である。
【
図2】
図1の弁体駆動装置から取り付け部及び外側ケースなどを取り外した状態の概略斜視図である。
【
図3】
図2の状態の弁体駆動装置を
図2とは異なる角度から見た概略図である。
【
図4】
図3で表される状態の弁体駆動装置の概略断面図である。
【
図5】
図3で表される状態の弁体駆動装置からケース体などを取り外した状態の概略図である。
【
図6】
図1の弁体駆動装置の保持部を表す概略平面図である。
【
図7】
図1の弁体駆動装置の流体経路領域を表す概略斜視図である。
【
図8】
図1の弁体駆動装置の弁体を表す底面側からの概略斜視図である。
【
図9】
図1の弁体駆動装置の弁座を表す底面側からの概略斜視図である。
【
図10】
図1の弁体駆動装置の保持部の腕部による回転体の押圧状態を説明するための概念図である。
【
図11】参考例の弁体駆動装置の保持部の腕部による回転体の押圧状態を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施例に係る弁体駆動装置1について
図1から
図10、並びに、参考例の弁体駆動装置の図である
図11を用いて説明する。
(弁体駆動装置1の概要)
最初に、本実施例の弁体駆動装置1の概要について
図1から
図5を用いて説明する。本実施例の弁体駆動装置1は、冷蔵庫などにおいて使用可能であり、弁体31を回転させて弁座32に対する配置を変えることで、流体である冷媒の流出管4からの流出を制御する装置である。しかしながら、本発明はこのような弁体駆動装置に限定されない。なお、各図中のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する方向であり、このうちX軸方向は、弁座32に対する弁体31の対向方向であって弁体31の回転軸方向に対応する。
【0016】
図1から
図5で表されるように、本実施例の弁体駆動装置1は、流体の流入管2と、流入管2から流入した流体の経路を構成する流体経路領域3と、流体経路領域3から流体を流出する流出管4と、を備えている。また、流体経路領域3に設けられる弁体31を回転させるための駆動源10(
図4参照)などを収容する外側ケース12と、駆動源10に電気信号を入力するために外部装置と接続される電気接続部21と、例えば冷蔵庫のような外部装置に取り付けるための取り付け部22と、を備えている。本実施例の弁体駆動装置1は、
図1で表されるように、外側ケース12として、上側ケース12Aと下側ケース12Bとを有している。
【0017】
図4で表されるように、弁体駆動装置1は、金属板をプレス成形した弁座プレート33上に構成されてケース体14で気密に封止され、ロータ15をケース体14の外側に密着させて周設したステータ16で回転駆動する。すなわち、ロータ15及びステータ16などで、駆動源10を構成している。ステータ16のステータコイル16aに導線が接続された電気接続部21を介してコンピューターなどの外部装置から駆動信号を入力して、ロータ15の所定角度における回転及び停止を制御する。
【0018】
ロータ15は、外周にマグネット15aが一体に固定され、弁座プレート33側の端部にはピニオン17が形成されて、ケース体14及び弁座プレート33に固定された支軸18に回転自在に支承される。ケース体14は、ロータ15のマグネット15aの外周面とステータコイル16aの内周面が近接するように形成されており、支軸18の一端に嵌合して中心位置に安定に支持する凹部14aが設けられる。ケース体14における凹部14aが設けられる側とは反対側には、弁座プレート33が嵌合される。
【0019】
ここで、支軸18の他端は弁座プレート33に固定されている。
図3などで表されるように、弁座プレート33には、流入管2と弁座32とが嵌合される。流入管2は流入口34に嵌合される。弁座32には流体の流出口36が2つ設けられ、そのうちの流出口36Aには流出管4Aが勘合され流出口36Bには流出管4Bが嵌合される。なお、弁座32は、弁座プレート33に勘合されることで、弁座プレート33とともに1つのプレートを形成している。
【0020】
図4及び
図5で表されるように、X軸方向において弁座32と対向する位置には、歯車30に固定された弁体31が設けられている。また、歯車30は、詳細は後述する保持部100の腕部110の押圧部111によって弁座32側に向けて押される被押圧部37にも弁体31とは反対側において固定されている。歯車30はピニオン17と勘合しており、ロータ15を回転することでピニオン17及び歯車30を介して、弁体31は歯車30とともにX軸方向に沿う回転軸35を基準に回転可能な構成となっている。すなわち、このような構成により、弁体31と歯車30と被押圧部37とにより回転部38を形成している。
【0021】
(保持部100の構成)
次に、
図6から
図11を主に用いて保持部100の詳細な構成について説明する。本実施例の保持部100は、弁体駆動装置1を組み立てる際に回転部38の全体を弁座32に対して離間させた状態で保持可能な構成となっている。このため、例えば、弁体駆動装置1を組み立てることに伴う溶接作業の際に、該溶接作業に伴う熱が弁体31などに伝わることを抑制できる。
【0022】
図6及び
図7で表されるように、保持部100は、Y軸方向及びZ軸方向に水平な略円板状の基部101と、流体経路領域3の内部に取り付けるための取り付け部102、103及び104と、回転部38を弁座32側に向けて押しつけることが可能な可撓性の腕部110と、を備えている。取り付け部102、103及び104と、腕部110とは、基部101に設けられている。また、基部101には、ピニオン17を通す丸孔101aが形成されている。
【0023】
腕部110は、基部101に対して折り曲げられる折り曲げ部130を基端としている。折り曲げ部130を折り目として腕部110は弁座32側に折り曲げられている。そして、基端である折り曲げ部130とは反対側の先端部110a側に押圧部111が形成されている。押圧部111には、回転軸35を通す丸孔111aが形成されている。また、押圧部111には、先端部110aが弁座32側とは反対側に折り曲げられる折り曲げ部120が形成されている。詳細には、丸孔111aにかかる位置に形成された折り曲げ部120を折り目として押圧部111は弁座32側とは反対側に折り曲げられている。
【0024】
上記のように、本実施例の腕部110は、押圧部111の丸孔111aにかかる位置に折り曲げ部120が形成されている。このため、
図10で表されるように、折り曲げ部120において回転部38を弁座32側に向けて押しつけることができる。すなわち、図中の矢印F1で表されるように、回転軸35と近い位置で回転部38を弁座32側に向けて押しつけることができる。したがって、回転部38が傾いた状態で弁体31が弁座32に押し付けられることを抑制できる。
【0025】
一方、押圧部111に折り曲げ部120が形成されていない参考例の弁体駆動装置1における腕部110においては、
図11で表されるように、先端部110aにおいて回転部38を弁座32側に向けて押しつけることとなる。このような構成では、回転軸35の位置と先端部110aによる回転部38の押し付け位置とが離れてしまう。このため、図中の矢印F2で表されるような力が回転部38にかかり、回転部38が傾いた状態で弁体31が弁座32に押し付けられる虞が発生する。
【0026】
ここで、本実施例の保持部100について上記説明とは別の表現で説明すると、本実施例の保持部100は、回転軸35の回転軸方向と交差する径方向において弁体31の回転軸35に対してずれた位置である折り曲げ部120を支点とし、折り曲げ部120とは反対側を力点として、弁体31を弁座プレート33とともにプレートを構成する弁座32に対して押し付けることが可能な可撓性の腕部110を有している。詳細には、腕部110は、折り曲げ部120とは反対側の先端である先端部110aよりも径方向における弁体31の回転中心に近い位置である折り曲げ部130を力点としている。ここで、「先端」とは、腕部110の基端から延びる方向における延長線上の先端を意味する。なお、「基端から延びる方向」は直線状であっても曲線状であってもよい。
【0027】
このように、本実施例の保持部100においては、腕部110は、支点とは反対側の先端よりも径方向における弁体31の回転中心に近い位置を力点とする。すなわち、腕部110は、回転軸35の近傍に力を加えることができる。したがって、本実施例の弁体駆動装置1は、弁体31が傾きにくい状態で弁体31を弁座32に対して押し付けることが可能であり、弁体31が傾くことで漏れが発生し、流量調整に不具合が発生することを抑制することができる。
【0028】
ここで、本実施例の弁体駆動装置1は、流体の流れる管としての流入管2及び流出管4を有しているが、このうち弁体31と対向する位置に接続口が設けられているのは流出管4である。しかしながら、本発明は、弁体31と対向する位置に接続口が設けられているのが流入管2である構成としてもよい。また、本実施例の弁体駆動装置1は、弁座プレート33に弁座32を勘合させることで1枚のプレートを形成しているが、本発明は、弁座32と弁座プレート33とが一体的に構成されるプレートであってもよい。また、本実施例の弁体駆動装置1は、駆動源10から弁体31に弁体31を回転させる回転力を伝達する伝達部材としてのピニオン17及び歯車30とを備えているが、伝達部材を介して保持部100に保持された回転部38に駆動源10の駆動力を伝達できる構成であれば、本実施例とは異なる構成であってもよい。なお、「伝達部材を介して保持部100に保持された回転部38に駆動源10の駆動力を伝達できる構成」とは、駆動源10の回転軸に直接弁体31が取り付けられ駆動源10の回転軸と弁体31の回転軸とが共通する構成でなければ、どのような構成であってもよい意味である。
【0029】
ここで、上記のように、腕部110には回転軸35に嵌まる孔である丸孔111aが設けられている。このように、回転軸35に嵌まる孔を設ける構成とすることにより、簡単に弁体31を回転可能に保持できる。
【0030】
また上記のように、保持部100は、腕部110を回転軸方向において弁体31がある側とは反対側に折り曲げることで力点を形成している。力点を弁体31の折り曲げで構成することにより、折り曲げられた折り目の部分を力点とすることができ、精度よく弁体31の回転中心に近い位置を力点とすることができる。例えば、腕部110を局面状に曲げて力点を構成してもよいが、このような構成だと、回転部38(被押圧部37)に対する接触位置(力点の位置)がずれやすい。
【0031】
本発明は、腕部110を回転軸方向において弁体31がある側とは反対側に折り曲げることで力点を形成している構成に限定されない。しかしながら、折り目をつけるかつけないかは別として、腕部110を回転軸方向において弁体31がある側とは反対側に反らせることで力点が形成されていることが好ましい。腕部110の弁体31がある側とは反対側に反らせるという簡単な構成で、弁体31が傾くことで漏れが発生し、流量調整に不具合が発生することを抑制することができるためである。
【0032】
また上記のように、保持部100は、腕部110を回転軸方向において弁体31がある側に折り曲げることで支点を形成する構成とすることが好ましい。支点の構成、すなわち、弁体31をプレート(弁座32)に対して押し付けることが可能な構成を簡単に形成できるためである。
【0033】
さらには、保持部100は、本実施例の弁体駆動装置1のように、腕部110を回転軸方向において弁体31がある側に折り曲げることで支点を形成し、腕部110を回転軸方向において弁体31がある側とは反対側に折り曲げることで力点を形成し、
図6で表されるように、支点及び力点での折り曲げ方向(折り曲げ部120及び折り曲げ部130での折り目の方向)は平行であることが好ましい。支点及び力点での折り曲げ方向を平行とすることで、弁体31の回転中心に特に近い位置に力点を形成しやすいためである。
【0034】
本実施例の弁体駆動装置1は、
図8で表されるように、弁座32と対向する側に、弁座32と対向する側に突出することで弁座32と接触する接触部311と、弁座32と対向する側に凹むことで弁座32と接触しない非接触部312と、が設けられている。非接触部312として、非接触部312aと非接触部312bとの2つが設けられている。また、回転軸方向から見て中心部分に回転軸35が嵌まる丸孔31aが設けられている。
【0035】
本実施例の弁体駆動装置1は、
図9などで表されるように、弁座32に、流出管4Aが嵌められる流出口36Aと、流出管4Bが嵌められる流出口36Bとが設けられる。流出口36Aには弁体31と対向する側に貫通する貫通孔321Aが設けられ、流出口36Bには弁体31と対向する側に貫通する貫通孔321Bが設けられている。また、回転軸方向から見て中心部分に回転軸35が嵌まる丸孔32aが設けられている。
【0036】
流出口36と対向する位置に接触部311が配置されているときは流出口36閉状態となる。一方、流出口36と対向する位置に非接触部312が配置されているときは流出口36開状態となる。弁体31が
図8で表される形状をし、弁座32が
図9で表される形状をしていることで、本実施例の弁体駆動装置1は、弁座32に対する弁体31の回転方向における配置を調整することで、流出口36A及び流出口36Bの両方を閉状態にすること、流出口36A及び流出口36Bの両方を開状態にすること、流出口36Aを閉状態にするとともに流出口36Bを開状態にすること、流出口36Aを開状態にするとともに流出口36Bを閉状態にすること、のいずれもが可能である。
【0037】
上記のように、本実施例の弁体駆動装置1においては、弁座32には、2つの流出口36(流出口36A及び流出口36B)が設けられる。そして、弁体31は、流出口36A及び流出口36Bの開閉が可能である。このように、プレートに弁体31と対向する位置に接続口を複数有し、弁体31は対向する位置に設けられた複数の接続口を開閉可能であることが好ましい。複数の接続口により効率的に流体を流すことができるためである。
【0038】
ここで、弁体31は回転軸35を基準に回転するが、
図10及び
図11では、腕部110の先端側(先端部110a側)に、弁体31の非接触部312が配置する状態となっている。このような状態である場合、腕部110の先端側に弁体31の接触部311が配置する状態よりも、弁体31は弁座32に対して傾きやすい。したがって、流出口36を閉状態にする際の弁体31の配置が、腕部110の先端側に弁体31の非接触部312が至る配置となる構成では、閉状態での流体の漏れを抑制するために、特に、弁体31の弁座32に対する傾きを抑制する必要がある。
【0039】
しかしながら、上記のように、本実施例の弁体駆動装置1においては、腕部110は先端部110aよりも径方向における弁体31の回転中心に近い位置(折り曲げ部130)を力点としている。このため、流出口36を閉状態にする際の弁体31の配置が腕部110の先端側に弁体31の非接触部312が至る配置となる構成としても、弁体31の弁座32に対する傾きを効果的に抑制することが可能な構成となっている。
【0040】
ただし、径方向において弁体31の回転軸に対してずれた位置を支点とし、該支点とは反対側を力点として、弁体31をプレートに対して押し付けることが可能な可撓性の腕部110を有する構成においては、流出口36を閉状態にする際の弁体31の配置が、腕部110の先端側に弁体31の接触部311が至る配置となる構成でも、腕部110による押圧力などによっては、弁体31は弁座32に対して傾く場合がある。本実施例の弁体駆動装置1のように腕部110が先端部110aよりも径方向における弁体31の回転中心に近い位置を力点とすることで、当然、このような構成でも弁体31の弁座32に対する傾きを効果的に抑制できる。
【0041】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…弁体駆動装置、2…流入管(管)、3…流体経路領域、4…流出管(管)、
4A…流出管(管)、4B…流出管(管)、10…駆動源、12…外側ケース、
12A…上側ケース、12B…下側ケース、14…ケース体、14a…凹部、
15…ロータ、15a…マグネット、16…ステータ、16a…ステータコイル、
17…ピニオン(伝達部材)、18…支軸、21…電気接続部、22…取り付け部、
30…歯車(伝達部材)、31…弁体、31a…丸孔、32…弁座(プレート)、
32a…丸孔、33…弁座プレート(プレート)、34…流入口、35…回転軸、
36…流出口、36A…流出口、36B…流出口、37…被押圧部、38…回転部、
100…保持部、101…基部、101a…丸孔、102…取り付け部、
103…取り付け部、104…取り付け部、110…腕部、110a…先端部、
111…押圧部、111a…丸孔、120…折り曲げ部(力点)、
130…折り曲げ部(支点)、311…接触部、312…非接触部、
312a…非接触部、312b…非接触部、321A…貫通孔、321B…貫通孔