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  • 特許-鉛蓄電池用格子体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】鉛蓄電池用格子体
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/74 20060101AFI20240826BHJP
   B22D 25/04 20060101ALI20240826BHJP
   H01M 4/84 20060101ALN20240826BHJP
【FI】
H01M4/74 D
B22D25/04 E
B22D25/04 A
H01M4/84 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020073875
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021170512
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 博幸
(72)【発明者】
【氏名】菊地 大介
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-297368(JP,A)
【文献】特開平10-189000(JP,A)
【文献】国際公開第1994/015375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/64-4/84
B22D25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に延びる上枠骨および下枠骨と、
縦方向に延びる左枠骨および右枠骨と、
前記4つの枠骨により囲繞される領域内に配置され、前記上枠骨と前記下枠骨とに接続される複数の縦内骨と、前記左枠骨と前記右枠骨とに接続される複数の横内骨と、
前記4つの枠骨と複数の前記縦内骨または前記横内骨とにより囲繞される領域、および複数の前記縦内骨と前記横内骨とによって囲繞される領域からなる複数の開口部と、
前記上枠骨に突設される耳部と、を備える鋳造方式で作製した鉛蓄電池用格子体において、
前記上枠骨と前記耳部との接続部に凹部を有し、
前記凹部は、前記耳部の直下に位置する少なくとも1つの前記開口部に前記耳部側へ延設するように設けられており、
前記凹部が前記上枠骨の上面から下面までの範囲内に位置することを特徴とする鉛蓄電池用格子体。
【請求項2】
前記上枠骨の幅寸法に対する、前記上枠骨の上面から前記凹部の上面または頂点までの長さの比が0.2以上0.8以下であることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池用格子体。
【請求項3】
前記接続部は、第1の接続点と第2の接続点とを有し、
前記凹部は、溶湯流れ方向の上流側に位置する前記第1の接続点から前記溶湯流れ方向の下流側に位置する前記第2の接続点までの長さ寸法の2/3以内までの位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の鉛蓄電池用格子体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池極板用格子体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は多数枚の極板を用いて構成された極板群と電解液を電槽内に収納して製造されている。用いられる極板は格子体にペースト状活物質を塗布充填して得られるが、この格子体は格子目形状の内骨とその外側を囲む枠骨と上枠骨から突設した耳部と、さらに必要に応じて耳部を形成した上枠骨とは対向する下枠骨に突設した足部とから構成される。
【0003】
鉛蓄電池用格子体の製造方法としては、従来から鋳造方式が使用されてきた。その中でもブックモールド式の鋳造方式が一般的である。ブックモールド式の鋳造方式は、通常、一対の板状の鋳型を使用し、一方の鋳型を固定鋳型として鋳造装置本体に対して移動しないように固定し、もう一方の鋳型を移動鋳型として、スライド装置等によって鋳造装置本体に対して前後に移動できるようにしたものである(特許文献1の図19を参照)。これら固定鋳型の内面および移動鋳型の内面は、極板用格子体の基板形状に刻印されており、固定鋳型と移動鋳型とが突き合わされて形成された空間内(以下、「湯道」と記すこともある)に、湯口から溶融金属(以下、「溶湯」と記すこともある)が注ぎ込まれ、冷却凝固されることにより、鉛蓄電池用格子体が鋳造される(特許文献1の図20を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5632172号公報
【文献】特許第3412435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、湯道に溶湯を流し込む際、溶湯の流れを制御することが難しく、耳部に対応する湯道は、格子目形状の内骨やその外側を囲む枠骨に対応する湯道と比較して大きく、耳部の奥側まで溶湯が流れ込みにくい。特にブックモールド式のように重力を利用して湯道に溶湯を流し込む鋳造方式においては、耳部のような湯道が他の部位と比較して大きい箇所にひけ巣や空孔、切れ目等の鋳造不良が発生しやすいという問題があった。
【0006】
上記の問題を解決する方法として、特許文献2には、格子体の耳部と枠骨との接続部に凹部を形成し(特許文献2の図1および図5を参照)、溶湯の湯回りを改善して鋳造不良が発生することを抑制する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2の凹部の形状では、凹部の上面または頂点が上枠骨の上面よりも上方に位置しており、湯道が狭くなっている。上記の形状では、耳部の奥側まで溶湯が流れ込みにくく、鋳造不良が発生する恐れがある。また、耳部の集電部分が減少するため、集電効率が減少し、出力特性の低下につながる恐れもある。さらには、格子体が負極板として使用される場合には、負極板の耳部の鉛が硫酸鉛に変質して耳痩せが生じる可能性もあり、耳部の破断が発生しやすくなる恐れもある。
【0007】
そこで本発明は上記事情を鑑み、ひけ巣や空孔、切れ目等の鋳造不良の発生が抑制された鉛蓄電池用格子体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
横方向に延びる上枠骨および下枠骨と、縦方向に延びる左枠骨および右枠骨と、4つの枠骨により囲繞される領域内に配置され、上枠骨と下枠骨とに接続される複数の縦内骨と、左枠骨と右枠骨とに接続される複数の横内骨と、4つの枠骨と複数の縦内骨または横内骨とにより囲繞される領域、および複数の縦内骨と横内骨とによって囲繞される領域からなる複数の開口部と、上枠骨に突設される耳部と、を備える鋳造方式で作製した鉛蓄電池用格子体において、上枠骨と耳部との接続部に凹部を有し、凹部は、耳部の直下に位置する少なくとも1つの開口部に耳部側へ延設するように設けられており、凹部が上枠骨の上面から下面までの範囲内に位置することを特徴とするものである。



【0009】
また、上枠骨の幅寸法に対する、上枠骨の上面から凹部の上面または頂点までの長さの比が0.2以上0.8以下であることが好ましい。
【0010】
さらには、上枠骨と耳部との接続部は、第1の接続点と第2の接続点とを有し、凹部は、溶湯流れ方向の上流側に位置する第1の接続点から溶湯流れ方向の下流側に位置する第2の接続点までの長さ寸法の2/3以内までの位置に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る鉛蓄電池用格子体によれば、上枠骨と耳部との接続部に凹部を形成することで、溶湯が湯道を流れる際、湯道が枠骨および内骨よりも大きい耳部に溶湯を流しやすくなり、耳部の奥側まで溶湯が回ることで、ひけ巣や空孔、切れ目等の鋳造不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る鉛蓄電池用格子体の耳部の直下に位置する開口部近傍を拡大した平面図。
図2】本発明の実施形態に係る鉛蓄電池用格子体の耳部の直下に位置する開口部の変形例を示した平面図。
図3】本発明の実施形態に係る鉛蓄電池用格子体の足部の直上に位置する開口部近傍を拡大した平面図。
図4】従来例の鉛蓄電池用格子体を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の図面の記載において、同一符号は同一構成部材を示す。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なり得る。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率等が異なり得る。
【0014】
以下の図面の記載では、X軸方向およびY軸方向を用いて、方向を示す場合がある。例えば、X軸方向は、後述する上枠骨の長手方向である。Y軸方向は、後述する上枠骨の幅方向である。
【0015】
本発明の実施形態を、図を用いて説明する。尚、以下に説明する実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更または改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池用格子体の耳部の直下に位置する開口部近傍を拡大した平面図である。図2(a)~(e)は、図1の凹部の変形例である。図3は、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池用格子体の足部の直上に位置する開口部近傍を拡大した平面図である。図4は、従来の鉛蓄電池用格子体を示した平面図である。
【0017】
先ず、本発明の鉛蓄電池用格子体1と従来の鉛蓄電池用格子体10とで共通する構成について、図4を参照しながら説明する。本発明の鉛蓄電池用格子体1と従来の鉛蓄電池用格子体10とは、枠骨と、枠骨内に配置される内骨と、耳部3とを備えている。枠骨は、矩形枠状であって、横方向(X軸方向)に延びる上枠骨11および下枠骨12と、縦方向(Y軸方向)に延びる左枠骨13および右枠骨14と、を備えている。
尚、本明細書中では、「上枠骨11および下枠骨12が延びる方向」を横方向(以下、「X軸方向」と記すこともある)、「左枠骨13および右枠骨14が延びる方向」を縦方向(以下、「Y軸方向」と記すこともある)と定義する。また、「上枠骨11が配置される部位」を上側、「下枠骨12が配置される部位」を下側、「左枠骨13が配置される部位」を左側、「右枠骨13が配置される部位」を右側と定義する。
【0018】
枠骨内には、枠骨と接続して、格子状に配列される複数の縦内骨15および横内骨16を備える内骨が配置されている。複数の縦内骨15および横内骨16は、例えば互いに直角に交差して配置されている。鉛蓄電池電池用格子体1において、複数の開口部2は枠骨と複数の縦内骨15および横内骨16とによって囲繞される領域、および複数の縦内骨15および横内骨16によって囲繞される領域からなる。複数の開口部2は、それぞれ矩形状を有する。尚、複数の開口部2を平面視した形状は上記に限定されず、例えば斜めの内骨が入る場合などには、台形や三角形等、その他の多角形であっても良い。
【0019】
また、鉛蓄電池用格子体1を外部に接続するために耳部3を有し、耳部3は上枠骨11の接続部17から上側に突設されており、図4では上枠骨11の右側に位置している。
尚、本明細書中では「接続部17」を上枠骨11の上面(上辺)および下面(下辺)をX軸方向に延長した線と、上枠骨11と耳部3との接続点AおよびBからY軸の負の方向へ下ろした垂線とで囲繞される領域と定義する。
【0020】
以上が本発明の鉛蓄電池用格子体1と従来の鉛蓄電池用格子体10とで共通する構成であり、以下に本発明の鉛蓄電池用格子体1の特徴である構成について、図を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の鉛蓄電池用格子体1において、上枠骨11と耳部3との接続部17に凹部5が設けられており、凹部5は、耳部3の直下に位置する少なくとも1つの開口部21に耳部3側へ延設するように設けられており、上枠骨11の上面(上辺)から下面(下辺)までの範囲内に位置する。
尚、本明細書中では「耳部3の直下に位置する少なくとも1つの開口部21」を複数の開口部2のうち、上枠骨11に隣接し、かつ上枠骨11と耳部3との接続点Aから接続点Bまでの長さ寸法W(以下、「接続点A-B間の長さ寸法W」と記すこともある)内に位置する開口部2と定義する。
鉛蓄電池用格子体1をこのような構成にすることで、鉛蓄電池用格子体1の鋳造方式において、溶湯が上枠骨11と耳部3との接続部17に対応する湯道に流れ込む際、溶湯が凹部5を伝うことで、耳部3側(上側)への湯流れが発生する。そのため、湯道が枠骨および内骨よりも大きい耳部3へ溶湯を流しやすくなり、耳部3の奥側まで溶湯を流し込むことができ、ひけ巣や空孔、切れ目等の鋳造不良の発生を抑制することができる。
【0022】
図1に示すように、鉛蓄電池用格子体1において、鋳型の湯道に溶湯を流し込む湯口が、鉛蓄電池用格子体1の右側に配置される場合、溶湯流れ方向Mは左方向である。この場合において、より確実に溶湯の湯回りを改善し、耳部3の鋳造不良を抑制する効果を得るためには、凹部5は、溶湯流れ方向Mの上流側(右側)に位置する接続点Aから溶湯流れ方向Mの下流側(左側)に位置する接続点Bにかけて、接続点A-B間の長さ寸法Wの2/3以内までの位置に設けられているのが好ましい。一方、湯口が鉛蓄電池用格子体1の左側に配置される場合は、溶湯流れ方向Mが右方向であるため、凹部5は、接続点B(左側)から接続点A(右側)にかけて、接続点B-A間の長さ寸法Wの2/3以内までの位置に設けられているのが好ましい。
尚、本明細書中では「溶湯流れ方向M」を、鋳型の湯道に溶湯が流れ込む際の溶湯の進行方向と定義する。
【0023】
また、上枠骨11の幅寸法W11に対する上枠骨11の上面(上辺)から凹部5の上面または頂点までの長さLの比L/W11が、0.2以上0.8以下であると、溶湯が流れ込む湯道を十分に確保しつつ、耳部3への湯回りがさらに改善され、ひけ巣や空孔、切れ目等の鋳造不良の発生をさらに抑制することができるため、より好ましい。さらには、L/W11が0.3以上0.7以下であるのがより好ましい。
尚、本明細書中では「上枠骨11の幅寸法W11」を上枠骨11の上面(上辺)と下面(下辺)とが平行である部分の上枠骨11の上面(上辺)から下面(下辺)までの長さと定義する。
【0024】
また、図2(a)、(b)に示すように凹部5の数は特に限定されない。さらには、複数の凹部5を有する場合、全ての凹部5が上枠骨11と耳部3との接続部17内に位置していれば上枠骨11の上面(上辺)から凹部5の上面または頂点までの長さは同一でも良く、同一でなくても良い。尚、上枠骨11の上面(上辺)から複数の凹部5の上面または頂点までの長さが同一でない場合は、溶湯流れ方向Mの上流側から、上枠骨11の上面(上辺)から凹部5の上面または頂点までの長さが小さくなるように階段状に設けるのが好ましい。
【0025】
さらには、図2(c)に示すように、凹部5の長さ寸法を開口部21の長さ寸法と同一な長さにしても良い。尚、凹部5の長さ寸法は特に限定されないが、より確実に、溶湯の湯回りを改善し、耳部3の鋳造不良を抑制する効果を得るためには、開口部21の最大長さ寸法に対する凹部5の長さ寸法の比が0.4以上であることが好ましい。
尚、本明細書中では「開口部2の最大長さ寸法」を開口部2の横方向(X軸方向)の長さが最長である部分の長さと定義し、「凹部5の長さ寸法」を、凹部5の凹形状の始点から終点までの横方向(X軸方向)の長さと定義する。
【0026】
尚、図2(d)、(e)に示すように、凹部5を平面視した際の形状は特に限定されず、平面視した凹部5の形状が、孤形状でも良く、三角形状でも良く、溶湯が凹部5を伝って、耳部3側(上側)への湯流れを発生させることができる形状であれば良い。
【0027】
また、図3に示すように鉛蓄電池用格子体1において、極板群を電槽内に収納した際に電槽の鞍部に当接させる足部4を下枠骨12に突設させる場合、耳部の直下の開口部に設けた凹部と同様に、下枠骨12と足部4との接続部18に凹部5を設けても良く、凹部5は、足部4の直上に位置する少なくとも1つの開口部22に延設するように設けられており、下枠骨12の上面(上辺)から下面(下辺)までの範囲内に位置する。
尚、本明細書中では「接続部18」を下枠骨12の上面(上辺)および下面(下辺)をX軸方向に延長した線と、下枠骨12と足部4との接続点CおよびDからY軸の正の方向へ延ばした垂線とで囲繞される領域と定義し、「足部4の直上に位置する開口部22」を複数の開口部2のうち、下枠骨12に隣接し、かつ下枠骨12と足部4との接続点Cから接続点Dまでの長さ寸法W内に位置する開口部2と定義する。
このような構成にすることで、耳部に加えて、足部4における、ひけ巣や空孔、切れ目等の鋳造不良の発生を抑制することができる。
【0028】
尚、本発明に係る実施形態に係る鉛蓄電池用格子体1は、正極格子体に用いても良く、負極格子体に用いても良い。
【0029】
その他、本発明は前記実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、前述した構成を適宜組み合わせても良い。
【実施例
【0030】
次に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
本発明の図1の実施形態に係る鉛蓄電池用格子体1を、ブックモールド式の鋳造方式で作製した。図1の凹部5の形状となるような鋳型を用意して、湯口を鉛蓄電池用格子体1の右側に設け、重力を利用して溶湯を湯道に流し込み、冷却凝固して、鉛蓄電池用格子体1を鋳造し、実施例1とした。凹部5は、上枠骨11の幅寸法W11と上枠骨11の上面(上辺)から凹部5の上面までの長さLとがL/W11=0.5の条件を満たすように設けた。
【0032】
(従来例)
図4に示すように、凹部がない形状の鉛蓄電池用格子体10をブックモールド式の鋳造方式で作製し、従来例とした。
【0033】
上記の実施例1および従来例の鉛蓄電池用格子体をそれぞれ1000枚製造して、耳部の鋳造不良を判定した。
【0034】
実施例1の鉛蓄電池用格子体1において、製造された1000枚の格子体の耳部3に鋳造不良が認められなかった。これは、凹部5を設けたことにより、格子体の鋳造方式において、溶湯が上枠骨11と耳部3との接続部17に対応する湯道に流れ込む際、溶湯が凹部5を伝うことで、耳部3側(上側)への湯流れを発生させることができ、耳部3の奥側まで確実に溶湯を流し込むことができたためである。
【0035】
一方、従来例の鉛蓄電池用格子体10において、製造された1000枚の格子体のうち、30枚に鋳造不良が認められた。
【符号の説明】
【0036】
1 鉛蓄電池用格子体
11 上枠骨
12 下枠骨
13 左枠骨
14 右枠骨
15 縦内骨
16 横内骨
17、18 接続部
A、B、C、D 接続点
2 開口部
21 耳部直下の開口部
22 足部直上の開口部
3 耳部
4 足部
5 凹部
M 溶湯流れ方向
11 上枠骨の幅寸法
、W 接続部の長さ寸法
L 上枠骨の上面から凹部の上面または頂点までの長さ寸法
図1
図2
図3
図4