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特許7542989空調制御装置およびその制御方法並びにそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】空調制御装置およびその制御方法並びにそのシステム
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240826BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20240826BHJP
   F24F 11/47 20180101ALI20240826BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20240826BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20240826BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240826BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20240826BHJP
   F25D 13/00 20060101ALI20240826BHJP
   F24F 130/10 20180101ALN20240826BHJP
   F24F 140/50 20180101ALN20240826BHJP
【FI】
F25D23/00 301Z
F24F11/46
F24F11/47
F24F11/61
F24F11/62
F24F11/64
F24F11/80
F25D13/00 Z
F25D23/00 301A
F24F130:10
F24F140:50
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020084515
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021179275
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】町田 芳広
(72)【発明者】
【氏名】馬場 宣明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】川村 邦人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 洋
(72)【発明者】
【氏名】小坂 忠義
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-194504(JP,A)
【文献】特開平07-219996(JP,A)
【文献】特開平04-023709(JP,A)
【文献】特開2019-021247(JP,A)
【文献】国際公開第2019/224940(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 13/00
F25D 17/04 ~ 17/08
F25D 23/00
F24F 11/00 ~ 11/89
G05B 19/418
B65G 1/00 ~ 69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を用いて、保管倉庫を空調する空調機の制御を行う空調制御装置であって、
入荷品目または出荷品目、品目の重量、車両積載量を含む入荷計画または出荷計画に基づいて、搬入路または搬出路の開放時間を推定する開放時間推測部と、
前記開放時間推測部で推定された該開放時間に基づき、該保管倉庫の熱負荷を推定する負荷推測部と、
前記負荷推測部で推定された熱負荷と、電力需要情報に基づき、前記空調機の制御を指示する空調計画を作成する空調計画部と、を有し、
該空調計画に基づいて該空調機を制御し、
前記入荷計画は、車両に対応して、該車両の最大積載量、車両に搭載される物品(搭載物)、該搭載物の質量、該搭載物の搬入形態、搬入形態の個数、入荷予定時刻の各情報を記録し、
前記開放時間推測部は、
前記入荷計画に搬入形態が記録されていれば、該搬入形態に基づいて搬入時間を推定し、
前記入荷計画に搬入形態が記録されていなければ、搬入される該搭載物の質量または前記車両の最大積載量に基づいて搬入時間を推定し、
推定した前記搬入時間に基づいて、前記開放時間を推定する
空調制御装置。
【請求項2】
前記出荷計画は、車両に対応して、該車両の最大積載量、搭載物、搭載物の質量、搭載物の出荷形態、出荷形態の個数、出荷予定時刻、出荷先、出荷先への着荷予定時刻の各情報を記録し、
前記開放時間推測部は、
前記出荷計画に出荷形態が記録されていれば、該出荷形態に基づいて搬出時間を推定し、
前記出荷計画に出荷形態が記録されていなければ、出荷される該搭載物の質量または前記車両の最大積載量に基づいて搬出時間を推定し、
推定した前記搬出時間に基づいて、前記開放時間を推定する
請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項3】
前記負荷推測部は、前記物品の比熱と質量から比熱容量を算出する
請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項4】
情報処理装置を用いて、保管倉庫を空調する空調機の制御を行う空調制御方法であって、
情報処理装置が、入荷品目または出荷品目、品目の重量、車両積載量を含む入荷計画または出荷計画に基づいて、搬入路または搬出路の開放時間を推定し、
情報処理装置が、推定された該開放時間に基づき、該保管倉庫の熱負荷を推定し、
情報処理装置が、推定された該熱負荷と、電力需要情報に基づき、前記空調機の制御を指示する空調計画を作成し、該空調計画に基づいて該空調機を制御し、
前記入荷計画は、車両に対応して、該車両の最大積載量、車両に搭載される物品(搭載物)、該搭載物の質量、該搭載物の搬入形態、搬入形態の個数、入荷予定時刻の各情報を記録し、
情報処理装置は、
前記入荷計画に搬入形態が記録されていれば、該搬入形態に基づいて搬入時間を推定し、
前記入荷計画に搬入形態が記録されていなければ、搬入される該搭載物の質量または前記車両の最大積載量に基づいて搬入時間を推定し、
推定した前記搬入時間に基づいて、前記開放時間を推定する
空調制御方法。
【請求項5】
前記出荷計画は、車両に対応して、該車両の最大積載量、搭載物、搭載物の質量、搭載物の出荷形態、出荷形態の個数、出荷予定時刻、出荷先、出荷先への着荷予定時刻の各情報を記録し、
情報処理装置は、
前記出荷計画に出荷形態が記録されていれば、該出荷形態に基づいて搬出時間を推定し、
前記出荷計画に出荷形態が記録されていなければ、出荷される該搭載物の質量または前記車両の最大積載量に基づいて搬出時間を推定し、
推定した前記搬出時間に基づいて、前記開放時間を推定する
請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
情報処理装置は、前記熱負荷の推測において、前記物品の比熱と質量から比熱容量を算出する
請求項4に記載の空調制御方法。
【請求項7】
配送物品に関する情報と配送に用いる車両情報を管理する配送情報管理装置を有する物流管理システムと、
物品を配送する各車両に装備された位置検出装置と、該位置検出装置が検出した位置情報を収集する車両位置情報管理装置を有する車両管理システムと、
注文情報を管理する注文情報管理装置と、該注文情報を基に需要を予測する需要予測装置と、該注文情報および需要予測を基に生産計画を管理する生産情報管理装置を有する生産管理システムと、
前記物流管理システムと、前記車両管理システムと、生産管理システムとに接続される、情報処理装置を用いて保管倉庫を空調する空調機の制御を行う空調制御装置と、
を含むシステムであって
前記空調制御装置は、
入荷品目または出荷品目、品目の重量、車両積載量を含む入荷計画または出荷計画に基づいて、搬入路または搬出路の開放時間を推定する開放時間推測部と、
前記開放時間推測部で推定された該開放時間に基づき、該保管倉庫の熱負荷を推定する負荷推測部と、
前記負荷推測部で推定された熱負荷と、電力需要情報に基づき、前記空調機の制御を指示する空調計画を作成する空調計画部と、を有し、該空調計画に基づいて該空調機を制御し、
前記入荷計画は、車両に対応して、該車両の最大積載量、車両に搭載される物品(搭載物)、該搭載物の質量、該搭載物の搬入形態、搬入形態の個数、入荷予定時刻の各情報を記録し、
前記開放時間推測部は、
前記入荷計画に搬入形態が記録されていれば、該搬入形態に基づいて搬入時間を推定し、
前記入荷計画に搬入形態が記録されていなければ、搬入される該搭載物の質量または前記車両の最大積載量に基づいて搬入時間を推定し、
推定した前記搬入時間に基づいて、前記開放時間を推定する
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調制御装置およびその制御方法並びにそのシステムに係り、特に、物流倉庫における空調機の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流倉庫に省エネ施策を導入し、精度良く空調制御を行うことで省エネ効果を向上させる事例が知られている。例えば、特許文献1には、冷凍倉庫のレイアウト情報、空調機情報、入出庫情報に基づいて、空調機の運転シミュレーションを行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2020/008550A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の省エネ管理装置は、冷凍倉庫のレイアウト情報、空調機情報、入出庫情報に基づいて、空調機の運転シミュレーションを行っている。ここで、入出庫情報とは、低温倉庫を出入りする荷物の入出庫情報であり、例えば、入出庫の日時情報と、入出庫の識別情報と、荷物の位置および重量の情報と、荷物の温度状態の情報、としている(段落0034)。
【0005】
然るに、低温倉庫のより大きな省エネ効果を得るには、上記の入出庫情報を用いた制御では不十分であり、低温倉庫の温度制御に関わる、出来るだけ多くの要素を考慮するのが好ましい。発明者らの検討によれば、入荷や出荷に伴う低温倉庫への搬入および搬出の時間、保管される物品の量、などによる熱負荷の影響も見逃せないことがわかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、より好ましい熱負荷の推定を行うことにより、空調制御のためのコストを低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空調制御装置は、好ましい例によれば、情報処理装置を用いて、保管倉庫を空調する空調機の制御を行う空調制御装置であって、
入荷品目または出荷品目、品目の重量、車両積載量を含む入荷計画または出荷計画に基づいて、搬入路または搬出路の開放時間を推定する開放時間推測部と、
前記開放時間推測部で推定された該開放時間に基づき、該保管倉庫の熱負荷を推定する負荷推測部と、
前記負荷推測部で推定された熱負荷と、電力需要情報に基づき、前記空調機の制御を指示する空調計画を作成する空調計画部と、を有し、該空調計画に基づいて、該空調機を制御する空調制御装置、として構成される。
【0008】
本発明に係る空調制御方法は、上記空調制御装置において実行される空調制御方法である。
【0009】
本発明に係る空調制御システムは、上記空調制御装置と、物流管理システムと、車両管理システムと、生産管理システムとを有して構成される。
【0010】
好ましい一例では、上記空調制御装置は、保管倉庫内を冷凍する冷凍機の制御装置であり、冷凍計画部が冷凍機の制御を指示する冷凍計画を作成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より好ましい熱負荷の推定を行うことで、空調制御のためのコストを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施例による空調制御システムの構成例を示すブロック図である。
図2】制御装置11の機能構成を示すブロック図である。
図3】入荷計画テーブルの例を示す図である。
図4】開放時間テーブルの例を示す図である。
図5】生産計画テーブルの例を示す図である。
図6】開放時間テーブルの例を示す図である。
図7】出荷計画テーブルの例を示す図である。
図8】開放時間、運送時間の例を示す図である。
図9】保管倉庫の温度推移と冷凍機の消費電力推移の例を示す図である。
図10】保管倉庫の温度推移と冷凍機の消費電力推移の例を示す図である。
図11】入荷計画を用いた処理動作フローを示す図である。
図12】出荷計画を用いた処理動作フローを示す図である。
図13】出荷後輸送中の温度推移と車両冷凍機の消費電力推移の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形、代替して実施可能である。
【実施例1】
【0014】
好ましい例では、物流会社が、生産業者等の業者の依頼に従って生鮮品や食品等の物品を保管倉庫に保管して冷凍管理する空調制御システムが開示される。空調制御システムにおける空調制御装置が消費電力の低コスト化を図って、保管倉庫を冷凍制御する。
【0015】
図1は、空調制御システムの構成例を示す。図1において、1は物品の保管倉庫、2は物流管理システム、3は車両管理システム、4は生産管理システム、5は物流で用いる道路等の混雑情報や渋滞情報を管理する交通情報管理装置、6は電力需要管理装置、7は気象予測情報管理装置である。これらの各装置がネットワークを介して接続されて、空調制御システムを形成する。
【0016】
保管倉庫1は、入出荷情報やその他の各種情報をもとに冷凍機13を制御する空調制御装置(以下単に制御装置という)11、保管倉庫の熱負荷情報を計測する負荷計測装置12、保管倉庫を冷却する冷凍機13、冷凍機を含む保管倉庫の消費電力を計測する電力計測装置14を有する。
物流管理システム2は、配送物品に関する情報と配送に用いる車両情報を管理する配送情報管理装置21を有する。
車両管理システム3は、物品を配送する各車両に装備された位置検出装置31、位置検出装置31が検出した位置情報を収集する車両位置情報管理装置32を有する。
生産管理システム4は、注文情報を管理する注文情報管理装置41、注文情報やその他の情報から需要を予測する需要予測装置42、注文情報、需要予測をもとにした生産計画を管理する生産情報管理装置43を有する。
【0017】
ここで、保管倉庫1は物流会社が管理する。配送情報管理装置2、車両管理装置32、注文情報管理41、生産情報管理装置43は物流会社が管理するが、取引先の会社が管理するものでよい。交通情報管理装置5、気象予測管理装置7、電力需要管理装置6は物流会社が管理するか又は外部機関が管理するものでもよい。
【0018】
上記の各装置は、例えばそれぞれ独立した情報処理措置であり、プログラムを実行する処理装置(プロセッサ)と、各種データやプログラムを記憶する記憶部を有する。必要に応じて、データの入出力を行う入出力部を有してもよい。なお、物流会社が複数の装置を管理する場合、ハードウェア的に1または複数の情報処理装置を使用して、上記の複数の各装置を、1または複数の情報処理装置で実行されるソフトウェアで実現してもよい。
【0019】
図2は、制御装置11の構成例と外部情報との関係例を示すブロック図である。
制御装置11は、入荷計画推測部201、出荷計画推測部202、開放時間推測部203、負荷推測部204、冷却計画部205、冷却計画部205の機能部を有する。これらの機能部は、ハードウェア上、プロセッサがプログラムを実行することで実現される。
【0020】
入荷計画推測部201は、生産情報管理装置43から生産計画(図5参照)を受信し、入荷計画を出力する。入荷計画は、物品、量、入出荷時刻などの情報により構成される(図3参照)
出荷計画推測部202は、注文情報管理装置41から注文情報を受信し、出荷計画(図7参照)を出力する。
【0021】
開放時間推測部203は、配送情報管理装置21あるいは入荷計画推測部201から受信する入荷計画、配送情報管理装置21あるいは出荷計画推測部202から受信する出荷計画、車両位置情報管理装置32から受信する配送車位置情報、交通情報管理装置5から受信する渋滞情報、渋滞予測に基づき、開放時間を推測し出力する。
【0022】
負荷推測部204は、配送情報管理装置21あるいは入荷計画推測部201から受信する入荷計画、配送情報管理装置21あるいは出荷計画推測部202から受信する出荷計画、気象予測情報管理装置7から受信する気象予測情報に基づき、熱負荷情報を推測して出力する。入荷計画および出荷計画には、保管倉庫1に搬入、あるいは保管倉庫1から配送元へ搬出、輸送される物品の種類、質量が記録されており、負荷推測部204は各物品の比熱と質量から熱容量を算出する。なお、物品の熱容量は物品の比熱と質量に基づいて熱容量を算出することは周知技術を用いて行うことができる。
【0023】
ここで、熱負荷は、気象(気温、日射)、搬入路または搬出路の開閉時の熱流入量から算出することができる。例えば、時刻T(i1)における外部熱負荷をE1(i1)、
気象情報(気温、日射)と建物外部面積を基にして、屋根、外壁を通じて内部に伝わる熱負荷時刻T(i2)における開放時間あたりの熱負荷をE2(i2)、とすると、
外部熱負荷がドア開閉部を通じ、所定時間内に流入する熱負荷所定期間内の熱負荷は、
ΣE1(i) + ΣE2(i)
により算出できる。
【0024】
冷却計画部205は、負荷推測部204から出力される熱負荷情報、電力需要管理装置6から受信する電力需要情報に基づき、冷却計画を出力する。
冷却制御部206は、冷却計画部205から出力される冷却計画、負荷計測装置12から受信する負荷情報、および電力計測装置14から受信する電力情報に基づき、冷凍機12を制御する。
【0025】
上記機能部に入出力される、入荷計画、出荷計画、開放時間、熱負荷情報、冷却計画等の各情報は記憶部(不図示)に格納される。なお、以後の説明において、上記の各情報は、入荷計画テーブル、出荷計画テーブル、開放時間テーブル、熱負荷情報テーブル、冷却計画テーブル、と呼ぶことにする。
【0026】
図3は、入荷計画テーブルの一例を示す。
入荷計画テーブルは、各車両を特定する車両ID、各車両の最大積載量、車両に搭載される食品等の搭載物、搭載物の質量、搭載物の搬入形態、搬入形態の個数、発送元の発送予定時刻、保管倉庫1への入荷予定時刻の各情報を記録する。
【0027】
車両IDが1の車両の最大積載量は10000Kg、搭載物は魚が100Kg、肉が300Kg、魚は小カート1個、肉は大カート3個で入荷され、発送元の発送予定時刻が3:30、入荷予定時刻が5:00であることを示す。
車両IDが2の車両の最大積載量は3000Kg、搭載物は肉が200Kg、パレット1個で入荷され、発送元の発送予定時刻が未定、入荷予定時刻が7:00であることを示す。
車両IDが3の車両の最大積載量は3000Kg、搭載物は肉が200Kg、搬入形態は未定、発送元の発送予定時刻が5:00、入荷予定時刻が未定であることを示す。
車両IDが4の車両の最大積載量は3000Kg、搭載物は魚で質量は未定、搬入形態は未定、発送元の発送予定時刻が未定、入荷予定時刻が未定であることを示す。
【0028】
図4は、開放時間テーブルの一例を示す。
開放時間テーブルは、開放時間推測部203が、入荷計画(図3)に基づいて推測した情報である。開放時間は、入荷計画に記録されている各車両を特定する車両ID、各車両の最大積載量、搭載物、搭載物の質量、搭載物の搬入形態、搬入形態の個数、発送元の発送予定時刻、保管倉庫1への入荷予定時刻に加え、保管倉庫1に搭載物を搬入する際の搬入路の開放時間、開放時刻の各情報を記録する。開放時間と開放時刻は、開放時間推測部203により推測された数値である。
【0029】
車両IDが1の搭載物は小カート1個、大カート3個である。開放時間推測部203は、小カートおよび大カードの平均的な搬入時間から、各々20分、30分の開放時間が発生することを予測し、入荷時刻5:00と開放時間の総計50分から開放時刻が5:00から5:50までであることを推測する。
【0030】
車両IDが2の搭載物はパレット1個である。開放時間推測部203は、パレットの平均的な搬入時間から、20分の開放時間が発生することを予測する。また、車両情報管理装置32から取得する配送車位置情報から発送元を出発したことを検知し発送時刻5:00を推測する。入荷時刻7:00と開放時間の総計20分から開放時刻が7:00から7:20までであることを推測する。
【0031】
車両IDが3の搭載物は肉200Kgである。開放時間推測部203は、肉200Kgの平均的な搬入時間から、25分の開放時間が発生することを予測する。また、車両情報管理装置32から取得する配送車位置情報から発送元を出発したことを検知し、発送元からの平均配送時間から入荷時刻8:00を推測する。入荷時刻8:00と開放時間の総計25分から開放時刻が8:00から8:25までであることを推測する。
【0032】
車両IDが4の搭載物は魚であるが質量は未定である。開放時間推測部203は、車両IDが4の最大積載量3000Kgから平均的な搬入時間から、45分の開放時間が発生することを予測する。また、車両情報管理装置32から取得する配送車位置情報から発送元を出発したことを検知し、発送元からの平均配送時間から入荷時刻10:00を推測する。入荷時刻10:00と開放時間の総計45分から開放時刻が10:00から10:45までであることを推測する。
【0033】
図5は、生産計画テーブルの一例を示す。
生産計画テーブルは、生産品目、生産質量、時刻毎の生産量、配送先の各情報を記録する。餃子は3:00から4:00の間に50Kg、4:00から5:00の間に50Kg、計100Kgを生産し、第一倉庫に配送することを示す。
ピラフは3:00から4:00の間に100Kg、4:00から5:00の間に200Kg、計300Kgを生産し、第一倉庫に配送することを示す。
炒飯は4:00から5:00の間に150Kg、計150Kgを生産し、第二倉庫に配送することを示す。
【0034】
例えば、食品の生産会社が生産計画を作成する場合、物流会社はこの生産計画を取得することになる。ここで、第一倉庫および又は第二倉庫が、物流会社が管理する倉庫である場合、第一倉庫および又は第二倉庫は図1の保管倉庫1に該当し、第一倉庫および又は第二の倉庫ごとに、保管倉庫1の制御が適用されることになる。
【0035】
図6は、生産計画にもとづく開放時間テーブルの一例を示す。
図6(a)は、開放時間推測部203が生産計画(図5)に基づき推測した第一倉庫に関する開放時間を示す。開放時間テーブルは、生産計画に記録されている生産品目、生産質量に加え、現地発送時刻、入荷時刻の各情報を記録する。
餃子、ピラフは、生産計画によると4:00に生産が完了するため、現地発送時刻を4:00、発送元から第一倉庫までの一般的な配送時間から入荷時刻を5:00、餃子100Kg、ピラフ300Kgの一般的な搬入時間から開放時間を各々30分、60分と推測し、開放時刻が5:00から6:30であることを推測する。
【0036】
図6(b)は、生産計画にもとづく開放時間テーブルの他の例を示す。
図6(a)に示した開放時間から、配送遅延により時刻変更する場合を示す。開放時間推測部203が、配送者位置情報、渋滞情報、渋滞予測情報から配送元から第一倉庫までの配送時間が、一般的な配送時間より30分延長することを推測し、開放時刻の開始時刻を30分ずらし、5:30から7:30となることを推測する。
【0037】
図7は、出荷計画テーブルの一例を示す。
出荷計画テーブルは、保管倉庫1から出荷先へ出荷される物品の情報を記録する。すなわち、出荷計画は、各車両を特定する車両ID、各車両の最大積載量、搭載物、搭載物の質量、搭載物の出荷形態、出荷形態の個数、出荷予定時刻、出荷先、出荷先への着荷予定時刻の各情報を記録する。
【0038】
車両IDが1の車両の最大積載量は10000Kg、搭載物は魚が100Kg、肉が300Kg、魚は小カート1個、肉は大カート3個で出荷され、出荷予定時刻が3:30、出荷先が物流センタ1、物流センタ1への着荷予定時刻が4:30であることを示す。
車両IDが2の車両の最大積載量は3000Kg、搭載物は肉が200Kg、パレット1個で出荷され、出荷予定時刻が未定、出荷先が物流センタ2、物流センタ2への着荷予定時刻が5:30であることを示す。
車両IDが3の車両の最大積載量は3000Kg、搭載物は肉が200Kg、出荷形態は未定、出荷予定時刻が5:00、出荷先が小売1、小売1への着荷予定時刻が未定であることを示す。
車両IDが4の車両の最大積載量は3000Kg、搭載物は魚で質量は未定、出荷形態は未定、出荷時刻が6:00、出荷先が小売2、小売2への着荷予定時刻が未定であることを示す。
【0039】
図8は、出荷計画にもとづく開放・運送時間テーブルの一例を示す。
開放時間推測部203が、出荷計画(図7)に基づいて開放・運送時間を推測する。開放・運送時間は、出荷計画に記録されている各車両を特定する車両ID、各車両の最大積載量、搭載物、搭載物の質量、搭載物の出荷形態、出荷形態の個数、出荷予定時刻、出荷先、出荷先への着荷予定時刻に加え、保管倉庫1から出荷先までの輸送時間、出荷物を搬出する際の搬出路開放時間、開放時刻の各情報を記録する。開放時間と開放時刻は、開放時間推測部203により推測された数値である。
【0040】
車両IDが1の搭載物は小カート1個、大カート3個である。開放時間推測部203は、小カートおよび大カードの平均的な搬出時間から、各々20分、30分の開放時間が発生することを予測し、出荷時刻3:30と開放時間の総計50分から開放時刻が2:40から3:30までであることを推測する。さらに、物流センタ1までの一般的な輸送時間が60分であることを推測する。
【0041】
車両IDが2の搭載物はパレット1個である。開放時間推測部203は、パレットの平均的な搬出時間から、20分の開放時間が発生することを予測する。また、物流センタ2までの一般的な輸送時間が60分であることを推測し、着荷時刻が5:30であることから出荷時刻4:30を推測する。出荷時刻4:30と開放時間の総計20分から開放時刻が4:10から4:30までであることを推測する。
【0042】
車両IDが3の搭載物は肉200Kgである。開放時間推測部203は、肉200Kgの平均的な搬出時間から、25分の開放時間が発生することを予測する。出荷時刻5:00と開放時間の総計25分から開放時刻が4:35から5:00までであることを推測する。さらに、小売1までの一般的な輸送時間が180分であることを推測する。
【0043】
車両IDが4の搭載物は魚であるが質量は未定である。開放時間推測部203は、車両IDが4の最大積載量3000Kgの平均的な搬出時間から、45分の開放時間が発生することを予測する。また、小売2までの一般的な輸送時間が180分であることを推測し、出荷時刻が6:00であることから、着荷時刻9:00を推測する。
【0044】
図9は、保管倉庫の温度推移と冷凍機の消費電力推移の一例を示す。
図9(a)は、ドア開放時間を推測せず、温度変化のみに対応した制御装置11の制御による冷凍機の動作を示す。
Tm0からTm1の期間、外気温等の熱負荷の影響で、温度は通常下限から上限に推移する。上限を超えていないので、冷凍機は低消費電力モードで動作または停止している。Tm1で温度が上限に到達するので、冷凍機が冷却モードで動作を開始し、温度が通常下限に到達するTm2まで動作継続する。Tm2からTm3の期間で搬入路のドアが開放されると、熱負荷の影響で温度が上昇し、Tm3の時間で温度の上限に到達し、冷凍機は動作を開始するため消費電力が上限のまま動作する。Tm3aの時点までドアが開放され、熱負荷が大のため、温度の通常下限に達するTm4まで、冷凍機が動作し消費電力は上限のまま継続する。再度、Tm5までの期間、外気温等の熱負荷の影響で、温度は通常下限から上限に推移する。Tm5で温度が上限に到達するので、冷凍機が冷却モードで動作を開始し、温度が通常下限に到達するまで動作継続する。
【0045】
図9(b)は、保管倉庫の温度推移と冷凍機の消費電力推移の一例を示す。
図9(b)は、本実施例による、ドア開放時間を推測し、電力価格を考慮した制御装置11の制御による冷凍機の動作を示す。
【0046】
開放時間推測部203は、Tm0の時点で、Tm1aからTm1bの期間、ドアが開放されることを推測する。冷却計画部205は平行して電力需要情報を検知している。そして、冷却計画部205が電力需要情報を基に、Tm0からTm1の期間に電力が安価であると判断し、Tm1からTm2の期間に電力が高価となると判断したとする。この場合、冷却計画部205は、次のように冷却制御部206を制御するように指示する冷却計画を作成する。すなわち、電力が安価であるTm0からTm1の期間、通常の温度の下限を超えて(下回って)冷凍機を動作させる。Tm1aからTm1bの期間に搬入路のドアが開放されても、熱負荷の影響で温度が上昇するが上限に達していないので冷凍機の動作を開始しない。その後、Tm2の時点で電力価格が安価になると判断して、この期間に冷凍機12の動作を開始し、電力価格の安価な期間が終了するTm2cまで冷凍機の制御動作を継続する。
【0047】
なお、図9(b)は、Tm1からTm2の期間に上限温度に達しない例を示しているが、もしこの期間に上限温度に達した場合には、たとえ電力コストが高くても、食品管理の観点から冷却制御部206は冷凍制御を行うことがある。
【0048】
図9(b)のような制御動作により、開放時間推測部203が保管倉庫1の搬入路の開放時刻を推測して、冷却計画部205の計画に従って低消費電力、低コストで冷却制御を行うことができる。換言すれば、本発明の好ましい実施例によれば、消費電力の高コストな時間帯を出来るだけ避けて、保管倉庫1の搬入または搬出路の開放時刻を推測して、消費電力の低コストの時間帯で冷却(プレクーリング:pre-cooling)して、通常下限の温度以下まで冷却する。これにより、その後に予想される消費電力の高コストの時間帯における冷却を出来るだけ少なくして、低コストで冷却制御を行うことができる。
【0049】
図10は、保管倉庫の温度推移と冷凍機の消費電力推移の一例を示す。
図10を参照して、制御装置11の開放時間推測部203が、車両情報管理装置32、交通情報管理装置5から取得する情報に基づいてドア開放時間を推測し、冷却計画部205が電力需要情報を考慮して冷凍機を制御する動作を説明する。
【0050】
開放時間推測部203は、Tm0の時点で、Tm1aからTm1bの期間、ドアが開放されることを推測し、冷却計画部205は電力需要情報をもとにTm1からTm2の期間電力が高価となることを検知する。そして、冷却制御部206は、Tm0からTm1の期間、電力が安価であることから、通常の温度の下限を超えて冷凍機を動作させる。
【0051】
さらに、開放時間推測部203は、Tm1の時点で交通渋滞に伴いドア開放時刻がTm1bからTm2bの期間に変更となることを推測する。
Tm1からTm1bの期間、外気温等の熱負荷の影響で、温度は通常下限を下回った下限から上昇する。上限を超えていないので、冷凍機は低消費電力モードで動作または停止している。
【0052】
Tm1bからTm2の期間で搬入路のドアが開放されると、熱負荷の影響で温度が上昇するが上限に達していないので冷凍機の動作を開始しない。Tm2の時点で電力価格が安価になるのを検知すると、冷却制御部206は冷凍機の動作を開始し、電力価格の安価な期間が終了するTm2cまで冷凍機の動作を継続する。
【0053】
上記の動作により、開放時間推測部203が、車両情報管理装置32、交通情報管理装置5から取得する情報に基づいて搬入路の開放時刻を推測し、冷却計画部205により低消費電力、低コストで冷却制御を行うことができる。
【0054】
次に、図11を参照して、入荷計画を用いた処理動作について説明する。
入荷計画(図3)を用いた処理動作は、開放時間推測部203と、負荷推測部204と、冷却計画部205と、冷却制御部206が関係する。
S1101:開放時間推測部203が入荷計画を受信する。
S1102:開放時間推測部203が、入荷計画に搬入形態が記録されているか判定する。判定の結果、搬入形態が記録されていればS1103へ移り、記録されていなければS1104へ移る。
S1103:開放時間推測部203が、搬入形態に基づいて一般的な搬入時間を推定する。
S1104:開放時間推測部203が、入荷計画に搬入物の質量が記録されているか判定する。判定の結果、質量が記録されていればS1105へ移り、記録されていなければS1106へ移る。
S1105:開放時間推測部203が、搬入物と質量に基づいて一般的な搬入時間を推定する。図4の例によれば、質量×0.125=搬入時間(分)として計算する。
S1106:開放時間推測部203が、車両の最大積載量に基づいて搬入時間を推定する。図4の例によれば、最大積載量×0.015=搬入時間(分)として計算する。
S1107:開放時間推測部203が、推定した搬入時間に基づいて、搬入時のドア開放時間を推定する。ドア開放時間は、S1103,S1105,S1106の各推定結果に応じて行われる。推定結果のドア開放時間は、開放時間テーブルの開放時間の項目に記録される。
S1108:負荷推測部204が、入荷物の搭載物である品目の比熱と質量から比熱容量を算出する。なお、食品等の物品の比熱と質量から比熱容量の算出は周知技術を用いて行える。
S1109:開放時間推測部203が、入荷計画に入荷時刻が記録されているか判定する。判定の結果、入荷時刻が記録されていればS1110へ移り、記録されていなければS1111へ移る。
S1110:開放時間推測部203が、推定した開放時間と入荷時刻から開放時刻を算出する。
S1111:開放時間推測部203が、入荷計画に発送元の発送時刻が記録されているか判定する。判定の結果、発送時刻が記録されていればS1112へ移り、記録されていなければS1113へ移る。
S1112:開放時間推測部203が、発送時刻と発送元からの一般的な輸送時間に基づき、入荷時刻を推定し、入荷時刻と開放時間から開放時刻を推定する。
S1113:開放時間推測部203が、生産計画から発送元の発送時刻を推定し、発送元からの一般的な輸送時間に基づき、入荷時刻を推定し、入荷時刻と開放時間から開放時刻を推定する。S1110,S1112,S1113における推定結果の開放時刻は、開放時間テーブルの開放時刻の項目に記録される。
S1114:開放時間推測部203が、配送車位置情報や渋滞情報を基に遅延時間を予測して、入荷時刻に変更があるか判定する。遅延による時間の変更の例は図6(b)の通りである。
S1115:遅延があると判断した場合、開放時間推測部203は、予測した遅延時間に従って入荷時刻および開放時刻を変更する。
S1116:負荷推測部204が、開放時刻と気象情報を基に熱負荷を算出する。
S1117:冷却計画部205が、電力需要情報から電力需要が低い時間帯または電力価格が安価な時間があるか判定する。
S1118:冷却計画部205が、電力需要および価格に基づき、冷凍機の冷却計画を立案する。冷却計画とは、例えば図9(b)に示すような、電力時間帯における冷凍機の制御を記載した指示である。
S1119:冷却制御部206が、冷凍機の冷却制御を行う。
【0055】
次に、図12を参照して、出荷計画を用いた処理動作について説明する。
出荷計画(図7)を用いた処理動作は、開放時間推測部203と、負荷推測部204と、冷却計画部205と、冷却制御部206が関係する。
S1201:開放時間推測部203が出荷計画を受信する。
S1202:開放時間推測部203が出荷計画に出荷形態が記録されているか判定する。判定の結果、出荷形態が記録されていればS1203へ移り、記録されていなければS1204へ移る。
S1203:開放時間推測部203が、出荷形態に基づいて一般的な搬出時間を推定する。
S1204:開放時間推測部203が、搬出計画に搬出物の質量が記録されているか判定する。判定の結果、質量が記録されていればS1205へ移り、記録されていなければS1206へ移る。
S1205:開放時間推測部203が、搬出物と質量に基づいて一般的な搬出時間を推定する。
S1206:開放時間推測部203が、車両の最大積載量に基づいて搬出時間を推定する。
S1207:開放時間推測部203が、推定した搬出時間に基づいて、搬出時のドア開放時間を推定する。
S1208:負荷推測部204が、搬出物の搭載物である品目の比熱と質量から比熱容量を算出する。
S1209:開放時間推測部203が、搬出計画に出荷時刻が記録されているか判定する。判定の結果、出荷時刻が記録されていればS1210へ移り、記録されていなければS1211へ移る。
S1210:開放時間推測部203が、推定した開放時間と出荷時刻から開放時刻を算出する。
S1211:開放時間推測部203が、出荷計画に出荷先の着荷時刻が記録されているか判定する。判定の結果、着荷時刻が記録されていればS1212へ移り、記録されていなければS1213へ移る。
S1212:開放時間推測部203が、着荷時刻と出荷先への一般的な輸送時間に基づき、出荷時刻を推定し、出荷時刻と開放時間から開放時刻を推定する。
S1213:開放時間推測部203が、注文情報から出荷先への着荷時刻を推定し、着荷時刻と出荷先への一般的な輸送時間に基づき、出荷時刻を推定し、出荷時刻と開放時間から開放時刻を推定する。
S1214:開放時間推測部203が、出荷先ごとの輸送時間を算出する。
S1215:負荷推測部204が、開放時刻、気象情報をもとに保管倉庫の熱負荷を算出し、出荷する搭載物の比熱容量と気象情報、輸送時間をもとに輸送時における熱負荷を算出する。
S1216:冷却計画部205が、電力需要情報から電力需要が低いまたは電力価格が安価な時間があるか判定する。
S1217:冷却計画部205が、電力需要および価格に基づき冷凍機の冷却計画を立案する。冷却計画とは、例えば図9(b)に示すような、電力時間帯における冷凍機の制御を記載した指示である。
S1218:冷却制御部206が、冷凍機の冷却制御を行う。
【0056】
図13は出荷後における輸送中の車両冷凍庫温度推移と車両冷凍機の消費電力推移の一例を示す。
図13(a)において、1301は車両冷凍庫温度推移、1302は車両冷凍機の消費電力を示す。保管倉庫1において、輸送時の熱負荷を考慮しない場合の温度推移を示す。
Tm0で出荷され、輸送時に気象等の影響で温度が上昇しTm1において車両冷凍庫の温度上限に達し、冷凍機が動作する。冷却されることにより、温度下限に到達すると、冷凍機の動作が停止する。以降、温度上昇、上限到達にともなう冷凍機の動作を繰り返す。
【0057】
図13(b)は出荷後における輸送中の温度推移と車両冷凍機の消費電力推移の一例を示す。図13(b)において、1301は車両冷凍庫温度推移、1302は車両冷凍機の消費電力を示す。保管倉庫1において、輸送時の熱負荷を考慮した場合の温度推移を示す。
【0058】
制御装置11は、出荷計画を受信すると、輸送時の熱負荷を推定し、車両冷凍機の動作が最小となるように保管倉庫1の冷凍機13を制御する。Tm0で出荷される時点で車両冷凍機の温度下限よりも低いTe0となるように冷却された出荷搭載物は、輸送時に気象等の影響で温度が上昇するが、輸送時の熱負荷を考慮しているため、Tm1においても車両冷凍庫の温度上限に達せず、Tm1よりも時間的に後のTm2aで温度上限に到達し、冷凍機が動作する。冷却されることにより、温度下限に到達すると、冷凍機の動作が停止する。以降、温度上昇、上限到達にともなう冷凍機動作を繰り返す。
【0059】
図13(b)のように、保管倉庫1の冷凍機13を制御することにより、輸送時における車両冷凍機の動作を低減することができ、輸送コストを低減できるとともに、車両の輸送エネルギーを走行のみに用いることが可能となる。
【0060】
以上のように、本実施例によれば、保管倉庫への入荷や出荷にかかる搬入時間や搬出時間、保管される物品の量、需要量や生産量、および物流に伴う交通状況に基づき熱負荷を推定して、電力需要の低い時間帯に冷却することにより、省消費電力、低コストを実現することができる。
【0061】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形、代替して実施し得る。
例えば、上記実施例は保管倉庫の冷凍制御を行う例であるが、これに限定されない。他の例によれば、倉庫や建屋内の温度、湿度、気流、空気清浄等の空調制御に適応可能である。この場合、上記実施例における冷却計画部205、冷却制御部206、冷却計画、冷凍機12、は、空調計画部、空調制御部、空調計画、空調機となる。例えば、倉庫の湿度管理の場合、図9(b)、図10における上限、通常下限、下限を、目標とする湿度に設定しておき、保管倉庫への入荷や出荷にかかる搬入時間や搬出時間、保管される物品の量、需要量や生産量、および物流に伴う交通状況に基づき、必要な湿度(乾燥度)を推定して、電力需要の低い時間帯に空調機を制御して湿度管理することが可能である。
【0062】
また、上記実施例では、入荷計画等を入荷計画テーブル等と称したが、例えば、入荷計画情報とか、入荷計画DB(データベース)等のように、他の名称で付してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1:保管倉庫
2:物流管理システム
3:車両管理システム
4:生産管理システム
5:交通情報管理装置
6:電力需要管理装置
7:気象予測情報管理装置
11:制御装置
12:負荷計測装置
13:冷凍機
14:電力計測装置
21:配送情報管理装置
31:位置検出装置
32:車両位置情報管理装置
41:注文情報管理装置
42:需要予測装置
43:生産情報管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13