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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20240826BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240826BHJP
【FI】
H04N23/50
G03B17/56 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020094419
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190835
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】入谷 裕子
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163326(JP,A)
【文献】特開2006-229783(JP,A)
【文献】特開2009-288594(JP,A)
【文献】実開平01-177665(JP,U)
【文献】特開2017-134296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の固定部を有する撮像装置本体と、
端に第1の締結部を有し、基端に第2の締結部を有するハンドル部材と、
前記第の締結部と締結される第の締結部と、前記第1の固定部に対して固定される第2の固定部と、を有する第1の保持部材と、を備え、
前記第1の締結部前記第2の締結部および前記第3の締結部はそれぞれ、
締結方向と略平行に設けられた貫通穴と、
前記貫通穴の中心軸の法線方向に均等な位相で形成された凹凸と、を有し、
前記ハンドル部材は、前記第2の締結部の貫通穴と前記第3の締結部の貫通穴とを連通させると共に前記第の締結部と前記第の締結部の凹凸を噛み合わせた状態で締結ボルト前記連通した貫通穴に挿通させて締結ナットに螺合させることにより前記第1の保持部材固定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
記第2の締結部の凹凸と前記第の締結部の凹凸を噛み合わせる位相を変えることにより、前記ハンドル部材の前記撮像装置本体に対する取付角度の調整が可能であることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ハンドル部材は略L字型のハンドルであり、
第2の保持部材を介して前記ハンドル部材の前記第1の締結部アクセサリ固定されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の保持部材は第4の締結部を有し、
前記第4の締結部は、
前記第1の締結部の凹凸と噛み合う凹凸と、
前記第4の締結部の凹凸の中心に設けられた貫通穴と、を有し、
前記第の締結部の凹前記第の締結部の凹凸を噛み合わせる位相を変えることにより、前記アクセサリの前記ハンドル部材に対する取付角度の調整が可能であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記締結ボルトは、
棒状の雄ネジ部と、
前記雄ネジ部と一体に組み立てられたグリップ部と、を有し、
前記締結ナットは、
前記雄ネジ部と螺合する雌ネジ部と、
中空部を有するグリップ部と、を有し、
前記締結ボルトと前記締結ナットとを螺合させて前記第1の保持部材と前記ハンドル部材を締結した際に、前記雌ネジ部と螺合して前記中空部に進入した前記雄ネジ部の先端が前記グリップ部からはみ出さないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
本体固定部を有する撮像装置本体と、
第1の短辺部と第1の長辺部を有する略L字型の形状を有し、前記第1の長辺部の端に第1の長辺側締結部が設けられ、前記第1の短辺部の端に第1の短辺側締結部が設けられ、前記本体固定部に対して固定される第の固定部が前記第1の長辺部に設けられた第1のハンドルと、
第2の短辺部と第2の長辺部を有する略L字型の形状を有し、前記第2の長辺部の端に第2の長辺側締結部が設けられ、前記第2の短辺部の端に第2の短辺側締結部が設けられ、前記本体固定部に対して固定される第2の固定部が前記第2の長辺部に設けられた第2のハンドルと、を備え、
前記第1の長辺側締結部、前記第1の短辺側締結部、前記第2の長辺側締結部及び前記第2の短辺側締結部はそれぞれ、
締結方向と略平行に設けられた貫通穴と、
前記貫通穴の中心軸の法線方向に均等な位相で形成された凹凸と、を有し、
前記第1のハンドルと前記第2のハンドルは、前記第1及び第2の長辺側締結部の貫通穴がそれぞれ前記第2及び第1の短辺側締結部の貫通穴と連通して2つの連通穴が形成され、且つ、前記第1及び第2の長辺側締結部の凹凸がそれぞれ前記第2及び第1の短辺側締結部の凹凸と噛み合った状態で、2つの締結ボルトをそれぞれ前記2つの連通穴に挿通させて2つの締結ナットと螺合させることにより環状に締結され、
前記第1のハンドルの前記第1の固定部と前記第2のハンドルの前記第2の固定部の一方が前記本体固定部に固定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
前記2つの締結ボルトはそれぞれ
棒状の雄ネジ部と、
前記雄ネジ部と一体に組み立てられたグリップ部と、を有し、
前記2つの締結ナットはそれぞれ
前記雄ネジ部と螺合する雌ネジ部と、
中空部を有するグリップ部と、を有し、
前記2つの締結ボルト前記2つの締結ナットにそれぞれ螺合させて前記第1のハンドルと前記第2のハンドルを締結した際に、前記雌ネジ部と螺合して前記中空部に進入した前記雄ネジ部の先端が前記グリップ部からはみ出さないことを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
第3の締結部を有する保持部材を更に備え、
前記第3の締結部は、
凹凸と、
前記第3の締結部の凹凸の中心に設けられた貫通穴と、
アクセサリを保持する保持部と、を有し、
前記第3の締結部の凹凸は、前記第1の長辺側締結部、前記第1の短辺側締結部、前記第2の長辺側締結部のおよび前記第2の短辺側締結部の4つの凹凸のうちの1つと噛み合い、
前記4つの凹凸は、前記第1の長辺側締結部、前記第1の短辺側締結部、前記第2の長辺側締結部のおよび前記第2の短辺側締結部において締結方向の両面に設けられ、
前記第3の締結部は、前記第1のハンドルと前記第2のハンドルの2か所の締結部のうち1カ所に固定され、
前記2か所の締結部は環状のハンドル部材が形成されるように締結され、前記第3の締結部は前記2つの締結ボルトの1つと前記2つの締結ナットの1つの間に挟まれていることを特徴とする請求項6又は7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第の締結部の凹凸と、前記第3の締結部の凹凸と噛み合わせる凹凸との位相を変えることにより、前記アクセサリの前記環状のハンドル部材に対する取付角度の調整が可能であることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1の長辺側締結部、前記第1の短辺側締結部、前記第2の長辺側締結部のおよび前記第2の短辺側締結部のそれぞれの凹凸は、前記第1のハンドルおよび前記第2のハンドルの幅方向を2等分する中心位置において、前記第1のハンドルおよび前記第2のハンドルそれぞれの幅方向で反対側を向くように設けられていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1の固定部と前記第2の固定部は、前記第1のハンドルおよび前記第2のハンドルの幅方向を2等分する中心位置に設けられていることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置と、撮像装置に着脱可能なアクセサリに関する。
【背景技術】
【0002】
映像撮影が可能な業務用の撮像装置では、撮像装置の上部にハンドルを装着することができるものがあり、ハンドルを握って撮像装置を持ち上げることで、撮像装置を容易に持ち運ぶことができる。
【0003】
一方、撮像装置の上面に表示パネル等のアクセサリを付けて撮影することがある。この場合、アクセサリをホルダ等で保持し、ホルダを撮像装置に取り付けることで、アクセサリを所望の方向に向けて装着することができる。これに対して、小型の撮像装置には、アクセサリの着脱部が1か所しかないものも多い。このような撮像装置では、例えば、ハンドルにアクセサリを付属させることで、ハンドルを装着しつつ、アクセサリを所望の位置に配置することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-128851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された構成では、ハンドルのアクセサリ固定部にアクセサリを取り付けるため、撮像装置の運搬に必要なハンドルを取り付けた状態で所望の位置にアクセサリを固定することができない場合がある。
【0006】
この問題に対して、可動するアーム状の保持部材等をハンドルに固定し、保持部材にアクセサリを取り付けて保持部の形状を調整することで、アクセサリを所望の位置に配置することが可能になる。しかしながら、このような保持部材を用いると、総機材重量が増加してしまうために、撮影が容易でなくなる等の問題が生じる。
【0007】
本発明は、アクセサリの多様な装着が可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る撮像装置は、第1の固定部を有する撮像装置本体と、端に第1の締結部を有し、基端に第2の締結部を有するハンドル部材と、前記第の締結部と締結される第の締結部と、前記第1の固定部に対して固定される第2の固定部と、を有する第1の保持部材と、を備え、前記第1の締結部前記第2の締結部および前記第3の締結部はそれぞれ、締結方向と略平行に設けられた貫通穴と、前記貫通穴の中心軸の法線方向に均等な位相で形成された凹凸と、を有し、前記ハンドル部材は、前記第2の締結部の貫通穴と前記第3の締結部の貫通穴とを連通させると共に前記第の締結部と前記第の締結部の凹凸を噛み合わせた状態で締結ボルト前記連通した貫通穴に挿通させて締結ナットに螺合させることにより前記第1の保持部材固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮像装置に対してアクセサリの多様な装着が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】実施形態に係る撮像装置の第1の外観斜視図である。
図1B】撮像装置の第2の外観斜視図である。
図1C】撮像装置の第3の外観斜視図である。
図1D】撮像装置を大略的なユニットに分けて示す分解斜視図である。
図2A】撮像装置のメインユニットの第1の分解斜視図である。
図2B】メインユニットの第2の分解斜視図である。
図3】メインユニットの斜視図である。
図4】撮像装置内のメインダクトでの空気の流れを説明する第1の図である。
図5】メインダクトでの空気の流れを説明する第2の図である。
図6A】撮像装置内のメインダクトとセンサダクトの第1の分解斜視図である。
図6B】メインダクトとセンサダクトの第2の分解斜視図である。
図7】メインダクトとセンサダクトでの空気の流れを説明する図である。
図8】メインダクトと主回路基板との熱接続を説明する図である。
図9】センサダクトとセンサユニットとの熱接続を説明する図である。
図10A】撮像装置の正面図である。
図10B図10A中に示す矢視D-Dでの第1の断面図である。
図10C図10A中に示す矢視D-Dでの第2の断面図である。
図11】撮像装置でのリアカバーと主回路基板の位置関係を示す第1の図である。
図12】撮像装置でのリアカバーと主回路基板の位置関係を示す第2の図である。
図13A】撮像装置の背面図である。
図13B図13A中に示す矢視E-Eでの断面図である。
図14】撮像装置でのLカバーの取り付けを説明する図である。
図15図14(b)中に示す矢視F-Fでの断面図である。
図16】撮像装置内のNDユニットの分解斜視図である。
図17】NDユニットでの光学フィルタの挿入状態と退避状態を説明する図である。
図18】NDユニットでのフィルタホルダの係合部、駆動列及び検知スイッチの位置関係を示す正面図である。
図19】NDユニットでのフィルタ支持ユニットの構成を簡略化して示す図である。
図20】NDユニットの構成を示す図である。
図21】NDユニットでのフィルタ駆動ユニットの部分拡大図である。
図22】マウントアダプタが装着された状態の撮像装置の外観斜視図である。
図23図22の撮像装置においてレンズとマウントアダプタをカメラ本体から取り外した状態を示す図である。
図24】撮像装置のカメラ本体の正面図である。
図25図24中に示す矢視G-Gでの断面図である。
図26】撮像装置をグリップユニット側から見た斜視図である。
図27】撮像装置の上面図である。
図28】撮像装置を構成するハンドルユニットの側面図である。
図29】ハンドルユニットの分解斜視図である。
図30図28中に示す矢視H-Hでの断面図である。
図31】ハンドルユニットに表示パネルを取り付けた一態様を示す斜視図である。
図32】ハンドルユニットと表示パネルの取付態様の例を示す側面図である。
図33】2つのハンドル部で組み立てた環状ハンドルを説明する図である。
図34図33(a)中に示す矢印方向から見た環状ハンドルの平面図である。
図35】環状ハンドルに表示パネルを取り付けた一態様を示す図である。
図36図35中の矢視K-K及び図33(a)中の矢視J-Jでの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<撮像装置1の外観構成>
図1A図1B及び図1Cはそれぞれ、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観斜視図であり、それぞれ撮像装置1を見る方向が異なっている。
【0013】
説明の便宜上、図1A乃至図1Cに示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定める。Z軸は撮像装置1の撮影光軸と平行であり、撮像装置1から被写体(不図示)へ向かう方向を正方向(+Z)とする。また、Z軸と直交する平面上において、X軸は撮像装置1の幅方向と平行であるとし、被写体側から撮像装置1を見た場合に左側から右側に向かう方向を正方向(+X)とする。X軸及びZ軸と直交するY軸は撮像装置1の高さ方向と平行であり、撮像装置1の底面側から上面側に向かう方向を正方向(+Y)とする。
【0014】
撮像装置1は、撮像装置本体2(以下「カメラ本体2」と記す、レンズ3、グリップベルト4及びハンドルユニット4000を有する。カメラ本体2は、撮像装置1の全体的な制御を行うメイン制御基板、レンズ3からの入射光を電気信号に変換する撮像素子、電源部、画像データを記録する記録部等の撮像装置1としての主たる機能を内包する。
【0015】
カメラ本体2において外観に現れる部分の所定の位置には、各種の操作部材や端子類が配置されている。例えば、カメラ本体2には、撮像装置1の操作部として、撮像装置1の電源のオン/オフを切り替える電源スイッチ5、撮影開始を指示するレリーズボタン、撮像装置1の各種設定を行うためのメニューボタン、移動ボタン及び選択ボタン等が設けられている。また、カメラ本体2は、内包されるカード型記録媒体等の記録メディアを保護するメディア蓋6、外部音を記録するためのマイクユニット700を備える。更にカメラ本体2は、外部機器との接続に用いられるUSB端子やHDMI(登録商標)端子等の接続端子を保護するための外部端子蓋7を備える。
【0016】
カメラ本体2の背面側(-Z側)には、DCジャック端子を保護するためのDCジャック蓋8、バッテリを格納するためのバッテリ室201aが設けられている。カメラ本体2の底面側(-Y側)には、ボトムカバー10、三脚撮影やリグでカメラ本体2を支持するための三脚雌ネジ11a,11b,11cが設けられている。
【0017】
カメラ本体2の正面側(+Z側)には、レンズ3が取り付けられている。レンズ3は、焦点距離や解放F値、ズーム機能の有無等が異なる種々のものが準備されており、撮影状況に合わせて、カメラ本体2に対して交換可能となっている。
【0018】
<撮像装置1の吸排気口>
カメラ本体2は、内包される基板に実装された発熱素子を冷却するための冷却機構として、ファンを用いた強制空冷機能を搭載している。カメラ本体2は、吸気口として、カメラ本体2の+X方向を向いて開口した本体吸気口12を有する(図1(b))。また、カメラ本体2は、排気口として、-X方向を向いて開口した第1の本体排気口13を有する(図1(a))。そして、ボトムカバー10には-Y方向を向いて開口した第2の本体排気口14が設けられているおり、バッテリ室201aには、第3の本体排気口15が備わっている(図1(c))。
【0019】
撮像装置1は、ユーザ(撮影者)によるグリップユニット300の把持を補助するグリップベルト4を第1の本体排気口13の下部に取り付ける構造となっている。そのため、ユーザがグリップベルト4を使ってカメラ本体2を把持した際に、把持した手に排気風が当たらない。また、第2の本体排気口14が形成されたボトムカバー10はカメラ本体2の背面側(-Z側)に開口しており、正面側(+Z側)には開口していない。よって、撮像装置1を正面側から見た場合に第2の本体排気口14が見えることはないため、美観が保たれる。また、カメラ本体2を床置きした状態等で第2の本体排気口14が床面に塞がれることはないため、排気が床面に妨げられることなく背面側に抜けることができるので、カメラ本体2の冷却性能が損なわれることもない。
【0020】
バッテリ室201aにバッテリが格納された状態では、第3の本体排気口15とバッテリとの間に一定の距離があり、排気の流路が確保されるようになっている。一方で、バッテリが第3の本体排気口15を隠し、第3の本体排気口15がユーザに視認されなくなることで、美観を保つことができる。なお、冷却ファンの配置等の強制空冷の詳細については後述する。
【0021】
<撮像装置1のユニット構成>
図1Dは撮像装置1の構成要素を大略的なユニットに分けて示す分解斜視図である。カメラ本体2は、+Z側から-Z側へ向かって配置された、Fユニット2000、NDユニット1000、センサユニット108、メインユニット100及びリアユニット200を備える。また、カメラ本体2は、+X側にRユニット400を、-X側にグリップユニット300を、-Y側にボトムユニット600を、+Y側にトップユニット3000及びハンドルユニット4000をそれぞれ備える。
【0022】
メインユニット100は、ダクトや冷却ファン等の強制冷却部品を有する。リアユニット200は、液晶パネルやバッテリ室201aを有する。グリップユニット300は、記録メディアを内包するグリップ部を有する。Rユニット400は、外部接続端子や本体吸気口12を有する。センサユニット108は、撮像素子が実装されたセンサ基板を有する。NDユニット1000は、撮像素子に入射する光量を調節する光学ガラスで構成されている。Fユニット2000は、レンズ3を着脱するためのマウント部を有する。ボトムユニット600は、三脚部を有する。トップユニット3000は、電源スイッチ5を有する。ハンドルユニット4000は、トップユニット3000に着脱可能となっている。なお、レンズ3は、Fユニット2000のマウント部に対して着脱される。
【0023】
撮像装置1の組み立ては、メインユニット100をリアユニット200に取り付け、これにグリップユニット300を取り付けた後、更にRユニット400を取り付ける。ここまで組み立てたものに、センサユニット108とNDユニット1000が取り付けられたFユニット2000を取り付け、更にトップユニット3000とボトムユニット600を取り付けるとカメラ本体2が完成する。所望のレンズ3をFユニット2000へ取り付け、ハンドルユニット4000をトップユニット3000へ取り付けると、撮像装置1が完成する。なお、NDユニット1000、Fユニット2000、トップユニット3000及びハンドルユニット4000の詳細については後述する。
【0024】
<撮像装置1の放熱システム>
[放熱システムの概略]
図2A及び図2Bは放熱機構を有するメインユニット100の分解斜視図であり、図2A図2Bとではメインユニット100を見る方向が異なっている。図3はメインユニット100の斜視図であり、図3(a)と図3(b)とではメインユニット100を見る方向が異なっている。
【0025】
図2に示されるように、撮像装置1の放熱システムは、主回路基板101、冷却ファン102、冷却ファンクッション103、メインダクト104、放熱ゴム105、センサダクト106、センサ放熱部材107及びセンサユニット108により構成される。主回路基板101は、動作時に熱を発生する画像処理用半導体デバイス等の発熱素子を実装しており、よって、発熱素子の1つである。また、センサユニット108もまた、動作時に熱を発生する撮像素子を含んでおり、よって、発熱素子の1つである。
【0026】
撮像装置1では、概略、冷却ファン102によりカメラ本体2の内部に取り込んだ外気は、熱伝導性の高いアルミニウム等の金属材料で形成されたメインダクト104及びセンサダクト106に流れ込む。これらのダクトに流れ込んだ空気と熱伝導性の高い放熱ゴム105やセンサ放熱部材107との間での熱交換が行われることで、発熱素子である主回路基板101及びセンサユニット108が冷却され、逆に暖められた空気が外部へ排出される構造となっている。
【0027】
なお、図3に示されるメインダクト104の吸気口104aは、図1(b)に示した本体吸気口12に接続される。図3(b)に示される第1の排気口104bは図1(a)に示した第1の本体排気口13に接続され、第2の排気口104cは図1(c)に示した第2の本体排気口14に接続され、第3の排気口104dは図1(c)に示した第3の本体排気口15に接続される。放熱システムの詳細については後述する。
【0028】
[メインダクト104での空気の流れ]
図4はメインダクト104での空気の流れを説明する図である。図4(a)はメインユニット100の背面図(-Z側から見た図)であり、図4(b)は図4(a)中に示す矢視A-Aでの断面図である。なお、図4では、センサダクト106及びセンサ放熱部材107を非表示としている。図5は、メインユニット100を部分的に切り欠いてメインダクト104を流れる空気の流れを示す図である。なお、図5では、メインダクト104を簡略化して示している。冷却ファン102により吸気口104aから吸気された空気は、矢印FL1,FL2,FL3で示されるように、冷却ファン102を通り、第1の排気口104b、第2の排気口104c及び第3の排気口104dの3か所から排気される。
【0029】
[センサダクト106での空気の流れ]
図6A及び図6Bはメインダクト104及びセンサダクト106の分解斜視図であり、図6A図6Bとではメインダクト104及びセンサダクト106を見る方向が異なっている。
【0030】
メインダクト104を流れる空気をセンサダクト106に送り込むために、メインダクト104には第1のセンサダクト開口部104eと第2のセンサダクト開口部104fが設けられている。また、センサダクト106には、メインダクト104側のこれらの開口部とZ方向で対向する位置に第1のメインダクト開口部106aと第2のメインダクト開口部106bが設けられている。第1のセンサダクト開口部104eは第1のメインダクト開口部106aと接続され、第2のセンサダクト開口部104fは第2のメインダクト開口部106bが接続される。
【0031】
図7(a)はメインダクト104内での第1のセンサダクト開口部104eへの空気の流れを説明する図であり、図7(b)はセンサダクト106内での第2のメインダクト開口部106bへの空気の流れを説明する図である。なお、図7(a),(b)では、メインダクトカバー104g、センサダクトプレート106c及び冷却ファン102を非表示としている。図7(a)に矢印で示すように矢印FL4で示すように、メインダクト104を流れる空気は第1のセンサダクト開口部104eへ運ばれる。第1のセンサダクト開口部104eへ運ばれた空気は、第1のメインダクト開口部106aを通じてセンサダクト106に導入される。第1のメインダクト開口部106aを通じてセンサダクト106に導入された空気は、図7(b)に矢印FL5で示すように、センサダクト106内を通過して第2のメインダクト開口部106bへと流れる。第2のメインダクト開口部106bへ流れた空気は、第2のメインダクト開口部106bと接続された第2のセンサダクト開口部104fを通じてメインダクト104に戻った後、第1の排気口104bから排気される。
【0032】
このように、撮像装置1では、吸気口104aから吸気された空気は、メインダクト104及びセンサダクト106を通って、第1の排気口104b、第2の排気口104c及び第3の排気口104dから排気される。その間に、メインダクト104及びセンサダクト106で空気との熱交換が行われることで、撮像装置1の内部に配置された発熱素子が冷却される構造となっている。
【0033】
[メインダクト104と主回路基板101との熱接続及びセンサダクト106とセンサユニット108との熱接続]
図8はメインダクト104と主回路基板101との熱接続を説明する図である。具体的には、図8(a)はメインダクト104と主回路基板101の位置関係を示す背面図であり、図8(b)は図8(a)中に示す矢視B-Bでの断面図である。
【0034】
主回路基板101には、第1の発熱素子101a、第2の発熱素子101b及び第3の発熱素子101cが実装されており、これらの発熱素子は、高い熱伝導率を有する放熱ゴム105を介してメインダクト104と熱接続されている。これにより、メインダクト104と空気との間で熱交換が行われることで、第1の発熱素子101a、第2の発熱素子101b及び第3の発熱素子101cを冷却することができる。なお、主回路基板101に実装される発熱素子は3つに限られず、より少なくてもよいし、より多くてもよい。
【0035】
図9はセンサダクト106とセンサユニット108との熱接続を説明する図である。具体的には、図9(a)はセンサダクト106とセンサユニット108の位置関係を示す背面図であり、図9(b)は図9(a)中に示す矢視C-Cでの断面図である。センサユニット108で発生する熱は、高い熱伝導性を有するセンサ放熱部材107を介してセンサダクト106に伝えられる。これにより、センサダクト106と空気との間で熱交換が行われることで、センサユニット108を冷却することができる。
【0036】
[冷却ファン102とヒートシンクの位置関係]
前述の通り、メインダクト104とセンサダクト106はそれぞれ、ヒートシンクとして冷却機能を果たしている。冷却ファン102との位置関係に着目すると、本実施形態では、図7に示した空気の流れの通り、冷却ファン102の排気側にセンサユニット108を冷却するセンサヒートシンクとしてのセンサダクト106が設けられている。また、図4(b)に示したように、冷却ファン102の吸気側と排気側に主回路基板101を冷却するメイン制御基板ヒートシンクとしてのメインダクト104が設けられている。
【0037】
但し、冷却ファン102の排気側にセンサヒートシンクが配置され、吸気側と排気側にメイン制御基板ヒートシンクが配置された構成に限らず、メイン制御基板ヒートシンクを吸気側のみ又は排気側のみに配置した構成としてもよい。また、冷却ファン102の吸気側にのみ、センサヒートシンクとメイン制御基板ヒートシンクを配置した構成としてもよい。
【0038】
<撮像装置1の内部レイアウト>
[主回路基板101及びセンサ基板109のレイアウト]
図10Aは撮像装置1の正面図である。図10B及び図10Cはそれぞれ、図10A中に示す矢視D-Dでの断面図である。図10Bは主回路基板101及びセンサ基板109のレイアウトとセンサダクト106との関係を説明する図である。図10Cは主回路基板101で発生する熱の主回路基板101の近傍への影響を説明するための図である。
【0039】
センサ基板109は、実装されている撮像センサ2006の撮像面が光軸Oaと直交するように配置する必要があるが、主回路基板101にはそのような制限はない。そこで、撮像装置1では、主回路基板101を光軸Oaに対して斜めに(直交させずに)配置して、センサ基板109と主回路基板101との間に略三角形断面の空間部S1を設けている。こうして形成される空間部S1にセンサダクト106を配置することにより、センサダクト106の効率的な配置と効率的な排熱を行うことが可能になる。
【0040】
従来は、主回路基板101はセンサ基板109と略平行に設けられることが一般的であり、その場合の基板間距離が図10Cにおいて距離L1として示されている。これに対して撮像装置1では、主回路基板101を斜めに配置したことによって、距離L1よりも長い距離L11となる部分が生じ、両者が離れることによって従来よりも主回路基板101の熱がセンサ基板109へ伝わり難い構造となっている。よって、主回路基板101の熱がセンサ基板109に伝わることで画像異常等が生じることを抑制することが可能になることで、撮像装置1の仕様に関係する熱的問題の1つを解決することができる。
【0041】
また、主回路基板101がセンサ基板109と略平行に設けられた従来の構成での、グリップユニット300のグリップ操作部材301と主回路基板101との間は、図10Cに距離L2で示されている。これに対して、撮像装置1では主回路基板101を斜めに配置したことによって、距離L2よりも長い距離L12となる部分が生じて両者が離れることにより、主回路基板101の熱がグリップ操作部材301へ伝わり難くなる。つまり、グリップ操作部材301の温度上昇が抑制されることで、グリップ操作部材301を操作するユーザが不快な思いをすることを軽減し或いはなくすことができる。
【0042】
図11(a)はリアカバー201と主回路基板101の位置関係を示す斜視図であり、図11(b)はリアカバー201と主回路基板101の位置関係を示す上面図(+Y側から見た図)である。図12(a)はリアカバー201が備えるバッテリ室201aと主回路基板101との位置関係を示す正面図であり、図12(b)は主回路基板101を光軸Oaに対して斜めに配置することで得られる効果を説明する図である。
【0043】
図12(a)に示すように、光軸方向投影面上で主回路基板101の一部はバッテリ室201aと重なる。そのため、主回路基板101を本実施形態のように斜めに配置していない場合には、図12(b)に示す干渉領域S10において、主回路基板101がバッテリ室201aと干渉しないように、主回路基板101を切り欠く必要が生じる。
【0044】
これに対して、撮像装置1では、前述したように、また、図11(a),(b)に示されるように、主回路基板101が光軸Oaに対して斜めに配置されている。そのため、リアカバー201のバッテリ室201aを避けた干渉領域S10で主回路基板101を切り欠く必要はなく、基板面積を増やすことが可能になることで、撮像装置1の機能を拡充することが可能となっている。
【0045】
[メインダクト104のレイアウト]
図10Bに示されるように、撮像装置1においてメインダクト104は光軸Oaに対して斜めに配置されている。そして、冷却ファン102は、製品外形とメインダクト104で形成される略三角形断面の空間部に配置されている。このような略三角形断面の空間部を設けて、そこに冷却ファン102を配置することで、幅方向に製品外形を大きくすることなく、冷却ファン102を配置することが可能となる。
【0046】
また、冷却ファン102をその位置に配置することにより、メインダクト104を挟んで、センサ基板109及び撮像装置1の前面にあるマイクユニット700から冷却ファン102までの距離を長く取ることが可能になる。これにより、センサ基板109及びマイクユニット700に冷却ファン102のノイズが乗ることを抑制して、高い画像品質と音声品質を得ることが可能になる。
【0047】
[記録メディアスロット302のレイアウト]
図10B及び図10Cに示されるように、グリップユニット300には、撮像装置1での撮影画像データ、撮影映像データ及び音声データ等を保存するための記録メディアを収容する記録メディアスロット302が設けられている。記録メディアスロット302は、光軸Oaに対して斜めに配置されている。これにより、グリップユニット300の外形を大きくすることなく、記録メディアスロット302をグリップユニット300に配置することが可能となっている。
【0048】
[メインダクト104による断熱効果]
図13Aは撮像装置1の背面図である。図13B図13A中の矢視E-Eでの断面図である。図13Bは、主回路基板101、メインダクト104、グリップユニット300のグリップ操作部材301及びグリップ外装部303の位置関係を表している。ここでは、主回路基板101に実装されており、動作することにより熱を発生する各種の電子部品を「発熱素子110」と表すこととする。
【0049】
主回路基板101に実装された発熱素子110で発生した熱がグリップ操作部材301やグリップ外装部303に伝わってしまうと、ユーザがグリップ操作部材301やグリップ外装部303に触れた際に不快な思いをしてしまう。この問題を回避するために撮像装置1では、発熱素子110とグリップ操作部材301及びグリップ外装部303の間にメインダクト104を配置している。つまり、発熱素子110で発生する熱のグリップ操作部材301やグリップ外装部303への伝達をメインダクト104で遮断する構成を採用している。こうして、グリップ操作部材301やグリップ外装部303の温度上昇を抑制することができるため、ユーザが不快な思いをすることをなくすことができる。
【0050】
<グリップベルト通し穴について>
図14(a)は撮像装置1でのLカバー304の取り付けを説明する分解斜視図であり、図14(b)は撮像装置1の左側面図である。図15図14(b)中に示す矢視F-Fでの断面図である。図15(a)は全体断面図であり、図15(b)は図15(a)中の領域S20の拡大図であり、図15(c)は図15(a)中の領域S21の拡大図である。
【0051】
グリップユニット300はLカバー304を備える。グリップユニット300には、第1のグリップベルト通し穴305と第2のグリップベルト通し穴306が設けられている。これらのグリップベルト通し穴は、Lカバー304のみで形成されているのではなく、メインダクト104の一部として形成された第1のメインダクトグリップ環104hと第2のメインダクトグリップ環104iを用いて形成されている。
【0052】
メインダクト104は、前述の通り、熱伝導性を考慮して金属で成形されているため、強度(機械的強度)は大きい。そのため、第1のメインダクトグリップ環104hと第2のメインダクトグリップ環104iの強度も大きいため、高強度の別の部品を用いてグリップ環を形成する必要はない。よって、部品点数の削減が可能になると共に、撮像装置1を大型化させることなく高強度のグリップ環を備えた構成を実現することができる。
【0053】
<NDユニット1000の構成>
NDユニット1000は、本実施形態では光学濃度の異なる4枚の光学フィルタ1001を内蔵している。なお、光学フィルタ1001とは、後述する4枚の光学フィルタ1001a~1001dを区別しない呼称である。ユーザ操作により、4枚の光学フィルタ1001はそれぞれ、レンズ3からの入射光が通過する光線通過領域1002に挿入された状態と光線通過領域1002から退避した状態とで切り替ることで、撮像センサ2006に入射する光量を調整することができる。
【0054】
図16はNDユニット1000の分解斜視図である。NDユニット1000は、光学フィルタ1001を支持するフィルタ支持ユニット1003と、光学フィルタ1001を動作させるための駆動構成を有する2つのフィルタ駆動ユニット1004a,1004cを備える。NDユニット1000を薄型化するために、4枚を2枚ずつの2組に分け、各組をZ方向においてずれた位置に配置すると共に、各組において2枚の光学フィルタ1001はXY平面と平行な同一平面内に配置されている。光学フィルタ1001c,1001dのうち一方が光線通過領域1002に挿入される場合には、他方は光線通過領域1002から退避される。同様に、2枚の光学フィルタ1001a,1001bのうち一方が光線通過領域1002に挿入される場合には、他方は光線通過領域1002から退避される。なお、後述するように、全ての光学フィルタ1001を光線通過領域1002から退避させた状態で保持することも可能である。
【0055】
フィルタ駆動ユニット1004a,1004cは、Z方向でフィルタ支持ユニット1003を挟んで対向するように配置されている。フィルタ駆動ユニット1004aは光学フィルタ1001a,1001bを駆動し、フィルタ駆動ユニット1004cは光学フィルタ1001c,1001dを駆動する。
【0056】
図17は、光学フィルタ1001a,1001bの挿入状態と退避状態を説明する図である。光学フィルタ1001a,1001bはそれぞれ、フィルタホルダ1005a,1005bに保持されている。フィルタホルダ1005aはY方向に延びる金属製のガイド棒1006a,1006bと係合しており、フィルタホルダ1005bもガイド棒1006a,1006bと係合している。
【0057】
フィルタホルダ1005aは、複数のギアで構成される駆動列1007aと噛み合うラックをガイド棒1006aとの係合部に備えている。モータ1008aを駆動すると、駆動列1007aを介してフィルタホルダ1005aへ駆動力が伝達され、フィルタホルダ1005aはガイド棒1006a,1006bに案内されてY方向で移動する。こうして、光学フィルタ1001aの、光線通過領域1002に対する挿入状態と光線通過領域1002に対する退避状態とを切り替えることが可能となっている。
【0058】
同様に、フィルタホルダ1005aは、複数のギアで構成される駆動列1007bと噛み合うラックをガイド棒1006bとの係合部に備えている。モータ1008bを駆動すると、駆動列1007bを介してフィルタホルダ1005bへ駆動力が伝達され、フィルタホルダ1005bはガイド棒1006a,1006bに案内されてY方向で移動する。こうして、光学フィルタ1001bの、光線通過領域1002に対する挿入状態と光線通過領域1002に対する退避状態とを切り替えることが可能となっている。
【0059】
図17(a)の状態では、光学フィルタ1001aが挿入状態で、光学フィルタ1001bは退避状態となっている。図17(b)の状態では、光学フィルタ1001a,1001bは共に退避状態となっている。図17(c)の状態では、光学フィルタ1001bが挿入状態で、光学フィルタ1001aは退避状態となっている。
【0060】
NDユニット1000は、所定の光学フィルタ1001が光線通過領域1002に対して挿入状態にあるか退避状態にあるかを検知するための検知手段を備える。この検知手段は、レンズ3からの入射光への光学的な影響を考慮し、フォトカプラのような光学式の検知手段を用いずに、検出レバーの移動を検知する機械式検知手段が用いられる。
【0061】
例えば図17に示すように、フィルタ駆動ユニット1004aには、光学フィルタ1001aの光線通過領域1002に対する挿入状態を検知するための挿入検知スイッチ1009aと、退避状態を検知するための退避検知スイッチ1011aが配置されている。挿入検知スイッチ1009aと退避検知スイッチ1011aは、光線通過領域1002を挟んで、光学フィルタ1001aの移動方向で対向する位置に配置されている。フィルタホルダ1005aは、光学フィルタ1001aが挿入状態にある場合に挿入検出レバー1010aを押圧し、光学フィルタ1001aが退避状態にある場合に退避検出レバー1012aを押圧する。
【0062】
図18は、フィルタホルダ1005bの係合部1013b、駆動列1007b、挿入検知スイッチ1009b及び退避検知スイッチ1011bの配置を説明する正面図である。挿入検出レバー1010bと退避検出レバー1012bは、光学フィルタ1001bの移動方向と平行な直線上に並ぶように配置される。また、フィルタホルダ1005bが駆動列1007bから駆動力を受ける位置と、フィルタホルダ1005bが挿入検出レバー1010を押圧した際に挿入検出レバー1010から反力を受ける位置とは、概ね、直線上に乗る。これにより、フィルタホルダ1005bが挿入検出レバー1010bや退避検出レバー1012bを押圧した際に、フィルタホルダ1005bが傾き難くなる。その結果、フィルタホルダ1005bが傾くことで生じる可能性のある、ガイド棒1006a,1006bとのこじりに起因する動作抵抗の増加と動作不良の発生を抑えることができる。
【0063】
なお、フィルタホルダ1005b以外のフィルタホルダの駆動機構については、フィルタホルダ1005bの駆動機構に準ずるため、説明を省略する。また、光学フィルタ1001c,1001dは、光学フィルタ1001a,1001bと同様に挿入状態と退避状態を取ることができる。また、光学フィルタ1001c,1001dの挿入状態と退避状態の検出方法は、光学フィルタ1001a,1001bの挿入状態と退避状態の検出方法と同じである。そのため、光学フィルタ1001c,1001dの動作及び状態検出についての説明は省略する。
【0064】
光学フィルタ1001を保持したフィルタホルダ1005を移動させて光線通過領域1002に対する挿入状態と退避状態とを切り替える構成では、移動動作の際に静電気が発生すると光学フィルタ1001が帯電し、空気中の塵埃が付着しやすくなる懸念がある。この問題に対して、NDユニット1000は光学フィルタ1001の帯電を防止するための除電構成を備えており、この除電構成について以下に説明する。
【0065】
図19は、NDユニット1000の構成を簡略化して示す分解斜視図である。例えば、光学フィルタ1001aは、導電性を有する樹脂から成るフィルタホルダ1005aと、金属製のフィルタカバー1014aに挟み込まれて保持される。光学フィルタ1001a以外の光学フィルタも同様の構成を有する。
【0066】
図20(a),(b)はNDユニット1000の正面図であり、図20(a)では光学フィルタ1001a,1001bは退避状態にあり、図20(b)では光学フィルタ1001aが挿入状態にある。図20(c)は図20(a)中の領域S30の拡大図である。
【0067】
フィルタカバー1014aは弾性部1015a,1016aを有し、フィルタカバー1014bは弾性部1015b,1016bを有する。例えば、光学フィルタ1001aが退避状態にある場合には図20(a)に示すように、導電性樹脂から成るNDフレーム1017に対して弾性部1016aが当接する。NDフレーム1017は、フィルタ支持ユニット1003の枠体であり、カメラ本体2に接続(接地)されている。また、光学フィルタ1001aが挿入状態にある場合には図20(b)に示すように、弾性部1015aは、弾性部1016bを介してNDフレーム1017に当接しているフィルタカバー1014bに当接する。つまり、光学フィルタ1001aが挿入状態にある場合にも、フィルタカバー1014aは、フィルタカバー1014bを介してNDフレーム1017に接地される。
【0068】
このように、フィルタホルダ1005aは、光線通過領域1002に対する挿入状態及び退避状態の両状態でNDフレーム1017に電気的に接続され、更にカメラ本体2に接地されることにより除電される。よって、フィルタホルダ1005aに保持された光学フィルタ1001aの帯電を防ぎ、光学フィルタ1001aへの塵埃の付着を抑えることができる。このような構成は、光学フィルタ1001b~1001dについても同様であり、それらについての説明は省略する。
【0069】
ところで、ガイド棒1006a,1006bに軸方向のがたつきがあると、フィルタホルダ1005a,1005bが軸方向に移動する際に、ガイド棒1006a,1006bが連れ動くおそれがある。ガイド棒1006a,1006bが軸方向に動いてしまうと、それらの軸端部がガイド棒1006a,1006bを支持するNDフレーム1017と衝突し、衝突音(騒音)が発生してしまう。
【0070】
この問題の発生を回避するため、フィルタ支持ユニット1003では、NDフレーム1017においてガイド棒1006a~1006dの軸端部を受ける部分に、図20(c)に示すように弾性部1018が設けられている。なお、図20(c)ではガイド棒1006b,1006cを示し、ガイド棒1006a,1006dの図示を省略している。ガイド棒1006a~1006dがNDフレーム1017に取り付けられた際に、弾性部1018が弾性変形してガイド棒1006a~1006dに軸方向の弾性力(付勢力)が与えられることでがたつきが抑えられ、騒音の発生を低減させることができる。
【0071】
図21はフィルタ駆動ユニット1004aにおける駆動列1007aの近傍の部分拡大図である。NDユニット1000では、フィルタホルダ1005a~1005dと駆動列1007a~1007dがそれぞれ係合するように、フィルタ支持ユニット1003とフィルタ駆動ユニット1004a,1004cとが組付けられる。その際に、フィルタホルダ1005a~1005dのそれぞれの係合部1013a~1013dは、駆動列1007a~1007dを支持する駆動支持プレート1019a,1019cの内側にくる。
【0072】
そのため、図21に示すように例えばフィルタ駆動ユニット1004aでは、光軸方向から見た場合に係合部1013aと重なる位置において、駆動支持プレート1019aに確認穴1020a(穴部)を設けている。これにより、確認穴1020aを通じて、係合部1013aでの駆動係合が正常であることを視認することができ、これにより、係合部1013aでの係合不具合による動作不良や、無理な組付けによる部品の変形、破損等を防ぐことができる。なお、駆動支持プレート1019a,1019cにおいて駆動列1007b~1007dがそれぞれ取り付けられる部分にも同様に確認穴が設けられている。
【0073】
<マウントアダプタ2001の構成>
図22はマウントアダプタ2001を介してレンズ2003が装着された状態の撮像装置1の外観斜視図である。レンズ2003のカメラマウントは、Fユニット2000に設けられているレンズ交換マウント2002(以下「マウント2002」という)に直接接続することができないものとする。この場合、レンズ2003のカメラマウントに適合するレンズ交換マウントを備えるマウントアダプタ2001をカメラ本体2のマウント2002に装着し、マウントアダプタ2001に対してレンズ2003を装着する。これにより、カメラ本体2のユーザはレンズ2003を使用することが可能になる。
【0074】
図23はカメラ本体2からマウントアダプタ2001とレンズ2003を取り外した状態を示す斜視図である。マウントアダプタ2001には固定フランジ2005が設けられており、マウント2002の外周近傍において固定フランジ2005に対応する位置にはネジ止め部(マウント固定部)が設けられている。固定フランジ2005を介して固定ネジ2004をマウント固定部に螺合させることにより、マウントアダプタ2001はマウント2002に対して固定される。ここで、例えば、カメラ本体2のマウント2002はバヨネット方式でレンズを固定する構造であるとする。この場合にマウントアダプタ2001をバヨネット方式でマウント2002に着脱可能な構成とせずに固定ネジ2004で固定する構成とすることにより、マウントアダプタ2001をがたつかせることなく強固にマウント2002に固定することが可能になる。
【0075】
図24は、カメラ本体2の正面図である。Fユニット2000は、レンズ3或いはマウントアダプタ2001をカメラ本体2に接続するためのマウント2002を有する。マウント2002の外周近傍には、固定ネジ2004を螺合するためのネジ止め部が、カメラ本体2の光軸に対して上下左右対称となる4か所に設けられている。図24にはネジ止め部に固定ネジ2004が螺合された状態が示されており、固定ネジ2004をネジ止め部で保持することにより、固定ネジ2004の紛失を防止することができる。
【0076】
マウント2002の略中心には撮像センサ2006が配置されている。マウント2002の外周近傍で固定ネジ2004と螺合するネジ止め部がなく、且つ、グリップユニット300とはマウント2002を挟んで反対側となる位置には、レンズ3をカメラ本体2から取り外すためのレンズレリーズボタン2007が設けられている。
【0077】
図25図24中に示す矢視G-Gの断面図であり、図25(a)にはマウント2002にマウントアダプタ2001もレンズ3も取り付けられていない状態が示されており、図25(b)にはマウントアダプタ2001が取り付けられた状態が示されている。図25に示す線2043は、マウント取り付け面2041を示している。カメラ本体2の内部には撮像センサ2006が配置され、撮像センサ2006はセンサ基板109に実装されている。センサ基板109はフロントベース2045に固定されている。フロントベース2045にはマウント2002が固定されている。また、フロントベース2045にはネジ止め部が設けられており、ネジ止め部に固定ネジ2004が螺合保持されている。
【0078】
マウント2002にマウントアダプタ2001が装着されていない図25(a)の状態では、固定ネジ2004の先端部2042(ネジの頭部)はマウント取り付け面2041よりも撮像センサ2006側(-Z側)に位置している。つまり、固定ネジ2004は、マウント取り付け面2041から+Z側へ突出していない。一方、マウント2002にマウントアダプタ2001が装着されている図25(b)の状態では、固定ネジ2004の先端部2042は、マウントアダプタ2001側(+Z側)に位置している。
【0079】
このようにカメラ本体2は、マウントアダプタ2001をマウント2002に固定した際に、バヨネット方式での取り付けであった場合に生じるがたつきが発生しない構成となっている。また、マウントアダプタ2001がマウント2002に取り付けられていない状態で、固定ネジ2004をレンズ3の着脱の妨げにならない位置に収納することができる。
【0080】
<記録メディアについて>
図26は撮像装置1をグリップユニット300側から見た斜視図であり、図26(a)はメディア蓋6が閉じた状態を示しており、図26(b)はメディア蓋6が開いた状態を示している。メディア蓋6はグリップユニット300の被写体側(+Z側)に設けられており、メディア蓋6の内側を開くと、その中(内側)に記録メディアスロット302が配置されている。メディア蓋6を開いた状態で、ユーザは、撮像装置1で撮影されたデータ等を記録するための記録メディア3110を記録メディアスロット302に対して挿抜することができる。図26には、記録メディアスロット302対して記録メディア3110が収容された状態が示されている。
【0081】
撮像装置1では、光軸側から第1の記録メディア3110a、第2の記録メディア3110bの2枚の記録メディアが収容可能となっているが、1枚以上収容可能であればよい。なお、第1の記録メディア3110aと第2の記録メディア3110bを合わせて或いはこれらを区別しない場合には、「記録メディア3110」と記載する。
【0082】
複数枚の記録メディア3110を装着可能とすることにより、複数の記録メディア3110の一方のデータが破損した場合に備えるバックアップとして他の記録メディア3110に同時記録を行うことができる。これに限らず、長時間撮影を可能にするためのリレー記録を行うことも可能となる。なお、メディア蓋6には半透明又は透明のメディア窓3120が設けられている。ユーザは、メディア窓3120を通じて、メディア蓋6が閉じた状態であっても、カメラ本体2に記録メディア3110が収容されているか否かを目視で確認することができるようになっている。
【0083】
<トップユニット3000のキーの説明>
図27は撮像装置1の上面図である。トップユニット3000のグリップユニット300側、つまり、カメラ本体2の上面(天面)には、ユーザがグリップユニット300を把持した状態で操作が可能となるように、各種の操作部材が配置されている。トップユニット3000のグリップユニット300側前方(+Z側)には、撮像データの記録の開始と停止を行うためのRECボタン3210や、レンズ3の絞り値等を操作するアイリスダイヤル3220等が配置されている。トップユニット3000のグリップユニット300側後方(-Z側)には、電源スイッチ5、メディアボタン3230、スロット選択ボタン3240、アクセスLED3250が配置されている。
【0084】
メディアボタン3230を操作することで、撮影した映像データを確認する状態に遷移することができる。スロット選択ボタン3240を操作することで、第1の記録メディア3110aと第2の記録メディア3110bのどちらに撮影した映像を記録するかを選択することができる。その際、アクセスLED3250を確認することで、2つの記録メディア3110のうちのどちらに映像データが記録されているのかを確認することができる。
【0085】
撮像装置1では2枚の記録メディア3110を収容可能となっているため、光軸側から2つのアクセスLED3250が並んで配置されている。ここで、光軸側に収容されている第1の記録メディア3110aの状態を第1のアクセスLED3250aが示しており、第2の記録メディア3110bの状態を第2のアクセスLED3250bが示している。つまり、記録メディア3110とアクセスLED3250の並び関係を合わせている。これにより、記録メディア3110とアクセスLED3250が離れて配置されていても、ユーザはアクセスLED3250がどちらの記録メディア3110の状態を示しているかを直感的に認識することができる。
【0086】
なお、第1の記録メディア3110aと第2の記録メディア3110bは、被写体側からこの順に並んで配置されているとみなすこともできる。よって、不図示であるが、第1のアクセスLED3250aをカメラ本体2の前面側に、第2のアクセスLED3250bをカメラ本体2の背面側に並べて配置した構成としてもよい。この場合も、ユーザはアクセスLED3250がどちらの記録メディア3110の状態を示しているかを直感的に認識することができる。
【0087】
アクセスLED3250を用いた記録メディア3110の状態確認方法としては、例えばアクセスLED3250が赤色点灯であればそれに対応する記録メディア3110が記録中であり、緑色点灯であれば記録可能状態(待機状態)を示すといった方法がある。アクセスLED3250は、各色で点灯に代えて点滅させてもよい。これにより、ユーザはアクセスLED3250の色を見るだけで、どちらの記録メディア3110に記録されているかを即座に確認することができる。
【0088】
従来、スロット選択ボタン3240やアクセスLED3250は記録メディア3110に関係するため、メディア蓋6の近傍に配置されることが多い。これに対して撮像装置1ではメディア蓋6は、グリップユニット300の被写体側に配置されているため、カメラ本体2を把持した際に操作者の手で覆われてしまう。そのため、スロット選択ボタン3240とアクセスLED3250をトップユニット3000のグリップユニット300側、且つ、-Z側に配置している。これにより、ユーザはカメラ本体2を把持した状態で、即時に記録メディア3110の状態確認やスロット選択を行うことができる。
【0089】
<天面キーとグリップ環との関係>
メディアボタン3230とスロット選択ボタン3240は、第1の本体排気口13の+X側に配置されている。仮にユーザがカメラ本体2を把持した状態でメディアボタン3230又はスロット選択ボタン3240を人差し指で操作しようとした場合、第1の本体排気口13を人差し指が覆ってしまう。すると、ユーザの人差し指にカメラ本体2内で温められた排気風が当たってしまい、不快感を与えてしまうおそれがある。
【0090】
この問題を回避するために撮像装置1では、第1の本体排気口13の直下(カメラ本体2の底面側(-Y側))に第1のグリップベルト通し穴305が設けられている。これにより、グリップベルト4によって人差し指の可動範囲が規制され、第1の本体排気口13の+X側にあるメディアボタン3230やスロット選択ボタン3240を人差し指で操作することができなくなっている。そのため、ユーザはメディアボタン3230とスロット選択ボタン3240の操作には自然と親指を使うように促されるため、指に排気風を当てることなく快適に操作することができる。
【0091】
トップユニット3000には、上述の通り、RECボタン3210やアイリスダイヤル3220も配置されている。これらの操作部材は撮影時に頻繁に使用するため、撮像装置1では、カメラ本体2を把持した手の人差し指で操作することができるように、第1の本体排気口13及び第1のグリップベルト通し穴305よりも前方(+Z側)に配置されている。したがって、RECボタン3210やアイリスダイヤル3220をカメラ本体2を把持した手の人差し指で操作する際に、人差し指の動きがグリップベルト4に規制されることもなければ人差し指に排気風が当たることもない。
【0092】
<ハンドルユニット4000の構成>
図28はハンドルユニット4000の側面図である。図29はハンドルユニット4000の分解斜視図である。ハンドルユニット4000は、カメラ本体2に着脱可能なアクセサリの1つであり、長手の一辺がZ方向と平行に、且つ、+Z側へ延びた形態を基本としてカメラ本体2に固定される。ハンドルユニット4000は、大略的にハンドル部4001とホルダ部材4002(保持部材)で構成されている。ハンドル部4001は、2方向へ延びる短辺部と長辺部の2辺からなる略L字型の形状を有する。ハンドル部4001のうち長手側(Z軸と略平行な部分)のグリップ部4001aは、撮像装置に取り付けた際にユーザが把持する部位である。
【0093】
ハンドル部4001において、グリップ部4001aの一端(先端側)には長辺側締結部4010(第1の締結部)が形成されており、他端(根元側)には短辺側締結部4020(第1の締結部)が形成されている。長辺側締結部4010には貫通穴4001bが設けられ、短辺側締結部4020には貫通穴4001cが設けられている。貫通穴4001b,4001cの周囲には締結方向であるX方向の両面(±X側)に菊座が設けられている。具体的には、貫通穴4001bの周囲の+X側には菊座4001b-1が、-X側には菊座4001b-2がそれぞれ設けられており、貫通穴4001cの周囲の+X側には菊座4001c-1が、-X側には菊座4001c-2がそれぞれ設けられている。なお、菊座とは、貫通穴の中心より法線方向に均等な位相で凹凸を有する座であり、菊座どうしを対向させて凹凸を噛み合わせて当接させることで、菊座の位相と中心が合う。菊座は、凹凸の位相ピッチごとに位相を変えて組み合わせることができる。
【0094】
ホルダ部材4002は、取り付け面4002aをカメラ本体2に当接させ、+Z側に設けられた固定穴4002b(固定部)にハンドルボルト4003を通してカメラ本体2に設けられたネジ部と螺合させることで、カメラ本体2に固定される。ホルダ部材4002においてカメラ本体2に対する取り付け部とは別の端(-Z側)には貫通穴4002cが設けられている。また、貫通穴4002cの周囲の+X側には菊座4002c-1が、-X側には菊座4002c-2がそれぞれ設けられて、ホルダ部材4002での締結部(第2の締結部)が形成されている。
【0095】
ハンドル部4001の短辺側締結部4020に設けられた菊座4001c-1とホルダ部材4002に設けられた菊座4002c-2を、短辺側締結部4020の貫通穴4001cとホルダ部材4002の貫通穴4002cが連通するように噛み合わせて当接させる。その上で、短辺側締結部4020の貫通穴4001cとホルダ部材4002の貫通穴4002cの両方に締結ボルト4004と締結ナット4005を挿入し、締結ボルト4004を締結ナット4005に締結させる。これにより、菊座どうしが係合した状態でハンドル部4001とホルダ部材4002とは、容易に回転することなく強固に固定される。
【0096】
図30図28中に示す矢視H-Hでの断面図である。ハンドル部4001の全面が製品における外観部となり、美観が求められる。本実施形態ではハンドル部4001は、1つの部品として、樹脂材料を射出成形等することにより製造され、そのためハンドル部4001の外観表面を滑らかに形成するためにはできるたけ肉厚が均一な部品とすることが望ましい。そこで、ハンドル部4001を、X方向の両側(+X側、-X側)から窪み4001dを設けたS字状断面を有する構造としている。これにより、均一な肉厚で美観を保ちながら、グリップ部4001aを握っても壊れることのない高い強度を確保することができる。また、X方向の両側から交互に窪みを設けることにより、窪み4001dを小さく(狭く)することができるため、グリップ部4001aを握った際に窪み4001dに指が入り込まず、握りやすくなる。なお、ハンドル部4001でのこのような断面構造は、L字型ハンドルに限らず、樹脂材料で製造される他の形状のハンドルにも用いることができる。
【0097】
図31はハンドルユニット4000にアクセサリを取り付けた一態様を示す斜視図である。前述したように、ハンドルユニット4000のカメラ本体2への取り付け方は、長手の一辺(グリップ部4001aの長さ方向)をZ方向(光軸方向)と平行に、且つ、先端が+Z側に延びるように1か所でカメラ本体2に固定する態様が基本となる。この場合に、グリップ部4001aの先端にアクセサリを取り付けることができる。ここでは、アクセサリとして、撮影映像の確認や操作入力等を行うための表示パネル4006が取り付けられている。
【0098】
表示パネル4006は、ホルダ部材4002Aの固定穴4002bにネジ止めされる等して固定されている。なお、ホルダ部材4002Aは、ホルダ部材4002と同じ構造を有しており、こうして部品としてのホルダ部材4002に汎用性を持たせている。そして、表示パネル4006が固定されたホルダ部材4002Aの菊座4002c-1をハンドル部4001の長辺側締結部4010の菊座4001b-1に当接させてボルト締めすることで、表示パネル4006がハンドル部4001に固定されている。この状態では、表示パネル4006がカメラ本体2よりも前方に位置するため、特に撮像装置1を肩に担いで撮影する場合等に、無理なく表示パネル4006を見ながら撮影を行うことができる。
【0099】
図32はハンドルユニット4000と表示パネル4006の取付態様の例を示す側面図である。図32(a)は表示パネル4006のホルダ部材4002Aに対する取付角度のみを図31の状態から変更した取付態様を示している。図32(a)の取付態様では、表示パネル4006での表示面(画面)が斜め上方を向くため、ユーザはローアングルで撮影を行う際に表示を確認しやすくなる。
【0100】
図32(b)はカメラ本体2に対するハンドルユニット4000の取付角度とハンドルユニット4000に対する表示パネル4006の取付角度を図31の状態から変更した取付態様を示している。図32(b)の取付態様では、表示パネル4006は後方(-Z側)に突き出した位置に配置されるため、撮像装置1の後方から表示パネル4006の表示面を見ることができ、よって、ユーザ以外の人が映像を確認しやすくなる。また、この取付態様は、三脚等に撮像装置1を取り付け、撮像装置1から離れた後方より表示を確認する際にも有用である。
【0101】
図33(a)は2つのハンドル部4001E,4001Fを用いて組み立てた環状ハンドル4100の側面図である。図33(b)は環状ハンドル4100の分解斜視図である。環状ハンドル4100は、2つのハンドル部4001E,4001Fの一方を他方に対してX軸まわりに180°回転させて組み合わせて締結することにより構成される。なお、ハンドル部4001E,4001Fはそれぞれ、図28に示したハンドル部4001と同じである。
【0102】
ハンドル部4001Eの菊座4001c-1とハンドル部4001Fの菊座4001b-2を係合させ、ハンドル部4001Fの菊座4001b-2とハンドル部4001Eの菊座4001c-1を係合させる。そして、各係合部における貫通穴に挿入した締結ボルト4004と締結ナット4005をX方向で締結させる。これにより、環状ハンドル4100が得られる。ハンドル部4001(4001E,4001F)の長さ方向中央部には、カメラ本体2に対する固定部としての固定穴4001gが設けられている。よって、ハンドルボルト4003を固定穴4001gに通してカメラ本体2に螺合させることにより、環状ハンドル4100をカメラ本体2に固定することができる。
【0103】
環状ハンドル4100は、ハンドルユニット4000を単独で用いる場合と比較すると、持ち上げ方向の強度を高めることができる。そのため、撮像装置1がコンパクトで軽量である場合にはハンドルユニット4000を単独で用い、大きなレンズ等を組み合わる等して重量が増した撮像装置1を扱う場合に環状ハンドル4100を用いる等して使い分けすることで、高い利便性が得られる。
【0104】
図34(a)は図33(a)中に示す矢印V1で示す位置から矢印V1方向に環状ハンドル4100を形成しているハンドル部4001Eを見た図(平面図)である。図34(b)は図33(a)中に示す矢印V2で示す位置から矢印V2方向に環状ハンドル4100を見た図(平面図)である。
【0105】
図34(a)に示すように、ハンドル部4001Eの矢印Tで示すグリップ部4001aのX方向厚みの中央(幅方向を2等分する位置)を、一点鎖線で示す中心位置4007と定義する。固定穴4001gは、中心位置4007上に設けられている。そして、ハンドル部4001Eの貫通穴4001bの周囲(短辺側締結部4020)において、+X側を向いた菊座4001c-1は中心位置4007上にある。また、ハンドル部4001Eの貫通穴4001b(長辺側締結部4010)の周囲において、-X側を向いた菊座4001b-1は中心位置4007上にある。
【0106】
このようなハンドル部4001Eの構成は、ハンドル部4007Fでも同様である。両端の菊座を中心位置4007上に設けると共に幅方向で反対側を向くように設けたハンドル部4001E,4001Fを組み合わせて環状ハンドル4100を形成した場合に、各ハンドルの中心位置4007を一致させることができる。これにより、下側(カメラ本体2側)のハンドル部4001Eの固定穴4001gとハンドル部4001Fのグリップ部4001aのX方向厚み中心とが揃う。これにより、カメラ本体2に環状ハンドル4100を取り付けた場合に、ハンドル部4001Fのグリップ部4001aがカメラ本体2に対する取り付け部に対してずれることがないため、バランスよくハンドル部4001Fを把持することが可能になる。
【0107】
図35は環状ハンドル4100に表示パネル4006を取り付けた一態様を示す図である。図36(a)は図35中に示す矢視K-Kでの断面図である。表示パネル4006は、環状ハンドル4100でのハンドル部4001Eとハンドル部4001Fとの一方の結合部となっているハンドル部4001Fの長辺側締結部4010に対して、ホルダ部材4002を介して固定されている。表示パネル4006が固定されたホルダ部材4002の菊座4002c-2はハンドル部4001Fの+X側の菊座4001b-1と係合しており、X方向で締結ボルト4004と締結ナット4005が締結される。これにより、-X側から順にハンドル部4001Eの短辺側締結部4020、ハンドル部4001Fの長辺側締結部4010、ホルダ部材4002がX方向で締結されて強固に固定される。
【0108】
この状態では、図31に示した状態と同様に表示パネル4006がカメラ本体2よりも前方に位置するため、特に撮像装置1を肩に担いで撮影する場合等に、無理なく表示パネル4006を見ながら撮影を行うことができる。なお、表示パネル4006は、環状ハンドル4100のハンドル部4001Eの短辺側締結部4020の-X側の菊座4001c-2に対してホルダ部材4002を介して固定することも可能である。
【0109】
図36(b)は図33(a)中に示す矢視J-Jでの断面図である。図36(a),(b)を比較して、締結ボルト4004と締結ナット4005による締結状態について以下に説明する。締結ボルト4004は、グリップ部4004aと雄ネジ部4004bとで構成されている。グリップ部4004aは、締結ボルト4004と締結ナット4005を螺合させて締め付けたり緩めたりするための把持部である。雄ネジ部4004bは、棒状で、グリップ部4004aと一体に組み立てられている。締結ナット4005は、グリップ部4005aと雌ネジ部4005bとで構成されている。グリップ部4005aは、締結ボルト4004と締結ナット4005を螺合させて締めたり緩めたりするための把持部であり、中空状に形成されている。雌ネジ部4005bは、中央穴部が雌ネジとなっており、グリップ部4005aと一体に組み立てられている。
【0110】
図36(a)では、締結ボルト4004と締結ナット4005の間に、ハンドル部4001E,ハンドル部4001F及びホルダ部材4002の3つの要素が挟み込まれている。この状態で締結ボルト4004の雄ネジ部4004bは、締結ナット4005とは長さW1の範囲で螺合している。一方、図36(b)では、締結ボルト4004と締結ナット4005の間に、ハンドル部4001Eとハンドル部4001Fの2つの要素が挟み込まれている。この状態で締結ボルト4004の雄ネジ部4004bは、締結ナット4005とは長さW2の範囲で螺合している。なお、断面図は不図示であるが、図31のように、締結ボルト4004と締結ナット4005の間に、ハンドル部4001Fとホルダ部材4002の2つの要素が挟み込まれる場合もある。
【0111】
このように、締結ボルト4004は、表示パネル4006等のアクセサリを取り付けた場合に、3つの要素を固定する場合と2つの要素を固定する場合とがある。そのため、締結ボルト4004の雄ネジ部4004bには、3つの要素を挟んでも締結ナット4005の雌ネジ部4005bと螺合することが可能な長さが必要となる。その一方で、締結ボルト4004の雄ネジ部4004bには、2つの要素を挟み込み、雄ネジ部4004bが締結ナット4005のグリップ部4005aの中空部に進入した状態で、中空部から軸方向にはみ出すことのない長さとすることが望ましい。これは、締結ボルト4004の雄ネジ部4004bは金属で作成されているため、締結ナット4005からはみ出た雄ネジ部4004bの先端に触れた場合に外傷の原因となるおそれがあるからである。
【0112】
そこで、締結ナット4005は、3つの要素を挟んだ場合にも十分な長さを有し、且つ、2つの要素を挟んだ場合でも、雌ネジ部4005bが締結ナット4005のグリップ部4005aからはみ出すことのない長さに設定されている。具体的には、締結ナットの軸方向の長さを‘W4’とし、ホルダ部材4002において締結ボルト4004と締結ナット4005に挟み込まれる部分の長さを‘W2’とする。また、締結ボルト4004と締結ナット4005は、図36(a)に示したように長さW1で螺合していれば、強固な締結が可能であるとする。
【0113】
この場合、図36(b)のように、ホルダ部材4002を固定せずにハンドル部4001E,4001Fの2要素を締結した場合、締結ボルト4004の雄ネジ部4004bは、長さW2だけ締結ナット4005側へ進む。よって、‘W1+W2<W4’の関係が成り立つようにすることで、2つの要素しか挟み込まない場合にもユーザが締結ボルト4004の雄ネジ部4004bに接触することなく、安全に使用することが可能になる。
【0114】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 撮像装置
2 カメラ本体
4000 ハンドルユニット
4001,4001E,4001F ハンドル部
4001a グリップ部
4001b,4001c,4002c 貫通穴
4001b-1,4001b-2,4001c-1,4001c-2 菊座
4001g,4002b 固定穴
4002,4002A ホルダ部材
4002c-1,4002c-2 菊座
4004 締結ボルト
4004a,4005a グリップ部
4004b 雄ネジ部
4005 締結ナット
4005b 雌ネジ部
4006 表示パネル
4100 環状ハンドル
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36