(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】基板および液体吐出ヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/16 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
B41J2/16 511
(21)【出願番号】P 2020106316
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】岡野 一久
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-292122(JP,A)
【文献】特開2000-302488(JP,A)
【文献】特開2017-144704(JP,A)
【文献】特開2014-174145(JP,A)
【文献】特開2001-135785(JP,A)
【文献】特開2014-072502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材に、当該板材の一方の面に開口して他方の面側に底部分を有する有底穴を形成することと、
前記有底穴内の
前記他方の面側に樹脂を
設けるとともに、
前記有底穴内の前記一方の面側に前記樹脂が充填されていない空隙部を設けることと、
前記他方の面から前記一方の面に向かって前記板材を研削し、前記底部分と前記有底穴内の前記樹脂とを除去しつつ
前記空隙部まで前記板材を研削することで、前記板材に前記空隙部を含む貫通孔を形成することと、を含むことを特徴とする、基板の製造方法。
【請求項2】
前記板材の研削前の、前記板材の厚さと前記有底穴の深さは、完成状態の前記基板の厚さよりも大きい、請求項1に記載の基板の製造方法。
【請求項3】
前記空隙部の深さと完成状態の前記基板の厚さとの差が±10μm以下である、請求項1または2に記載の基板の製造方法。
【請求項4】
前記空隙部の深さは、完成状態の前記基板の厚さと一致する、請求項3に記載の基板の製造方法。
【請求項5】
前記空隙部を設けた後に前記有底穴の内部に残った前記樹脂を硬化させ、その後に前記板材の研削を行う、請求項1から4のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂が充填されていない前記空隙部に他の樹脂を充填させ、前記板材を研削した後に前記他の樹脂を除去する、請求項1から5のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
【請求項7】
前記有底穴の前記底部分の先端部分が湾曲している、請求項1から6のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
【請求項8】
前記有底穴の前記底部分の少なくとも湾曲した前記先端部分を前記樹脂で覆う、請求項7に記載の基板の製造方法。
【請求項9】
前記底部分の湾曲した前記先端部分の途中まで前記樹脂で覆い、前記板材を、前記先端部分の途中まで研削して、湾曲した前記先端部分の一部によって前記貫通孔の一部を構成する、請求項7に記載の基板の製造方法。
【請求項10】
開口部から前記底部分に向かって先細の形状の前記有底穴を形成する、請求項1から9のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
【請求項11】
前記貫通孔の両開口端の開口面積が異なる、請求項9または10に記載の基板の製造方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の基板の製造方法によって製造された前記基板と、支持部材とを接合し、
前記支持部材に共通液室を形成し、前記基板の前記貫通孔と前記共通液室とを連通させ、
前記基板の、前記支持部材との接合面と反対側の面に、吐出口を有する吐出口形成部材を積層することを特徴とする、液体吐出ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板および液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドに含まれる半導体ウエハ等の基板において、インクなどの流体を流通させるための貫通孔が設けられることがある。例えば厚さが100μm~300μm程度の薄い基板にフォトリソグラフィ工程等により貫通孔を形成すると、基板の割れやクラックなどの破損が生じ易い。それに対し、所定の厚さよりも厚い基板に有底穴を形成しておき、有底穴の底部分側から基板を研削して所定の厚さまで薄化するとともに底部分を除去して貫通孔を形成する場合もある。その場合、特許文献1に記載されているように、有底穴の内部に樹脂を埋め込んでおくことにより、研削時の衝撃による破損を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている方法では、有底穴の全体にモールド樹脂を充填させている。従って、研削して薄化した後の基板に、硬化した樹脂が残っている。薄化した後の割れ易い基板を破損することなく、硬化した樹脂を除去することは困難である。すなわち板材の研削時のチッピング等の破損を抑制して、薄化された基板から硬化した樹脂を除去して貫通孔を形成することは容易ではない。
【0005】
本発明の目的は、破損の発生を抑制しつつ、貫通孔を容易に形成できる基板および液体吐出ヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の貫通孔を有する基板の製造方法は、板材に、当該板材の一方の面に開口して他方の面側に底部分を有する有底穴を形成することと、
有底穴内の前記他方の面側に樹脂を設けるとともに、前記有底穴内の前記一方の面側に樹脂が充填されていない空隙部を設けることと、前記他方の面から前記一方の面に向かって板材を研削し、底部分と有底穴内の樹脂とを除去しつつ前記空隙部まで前記板材を研削することで、前記板材に前記空隙部を含む貫通孔を形成することと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、破損の発生を抑制しつつ、貫通孔を容易に形成できる基板および液体吐出ヘッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態の基板の製造方法の一部を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【
図3】
図2に示す製造方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例1の基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施例2の板材と有底穴および樹脂を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施例2の基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施例3の基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施例4において製造された基板を示す断面図および拡大断面図である。
【
図9】本発明の実施例4の基板の製造方法の各工程を示す断面図および拡大断面図である。
【
図10】本発明の実施例5の基板の製造方法の各工程を示す断面図である。
【
図11】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法の各工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態の基板の製造方法の一部を示す断面図である。
図2は、本発明の第1の実施形態の基板1の製造方法の各工程を示す断面図であり、
図3はその製造方法を示すフローチャートである。
本発明の第1の実施形態の製造方法により製造される基板1は、厚さ方向に貫通する貫通孔2を有する基板である。この完成状態の基板1の厚さ、言い換えると基板1の仕上げ厚さをTとする。本実施形態では、厚さTの基板1を製造するために、
図1に示すように厚さTよりも大きい厚さt1を有する板材1aに深さt2の有底穴2aを形成し、有底穴2a内の一部に樹脂4を形成し、残部に、樹脂4が充填されていない空隙部5を設ける。そして、この板材1aを研削して、有底穴2aの底部分と有底穴2a内の樹脂4とを除去しつつ板材1aを薄化する。
図1には研削停止線Aを図示している。
【0010】
本実施形態の基板1の製造方法について、より詳細に説明する。基板1を製造するために、一方の面(
図2の下面である第1の面)3に半導体(図示せず)が形成され、完成状態の基板1の厚さTよりも大きい厚さt1を有する板材1aに対して、
図2(a)に示すように第1の面3から有底穴2aを形成する(ステップS1)。有底穴2aは、板材1aの一方の面(第1の面3)に開口して、他方の面側(
図2の上面である第2の面6側)に底部分を有する。有底穴2aの深さt2は、完成状態の基板1の厚さTよりも大きい。次に、
図2(b)~2(c)に示すように、有底穴2aに樹脂4を注入する(ステップS2)。それから、
図2(d)に示すように、有底穴2a内の樹脂4の一部を除去して、有底穴2a内に、樹脂4で充填されていない空隙部5を形成する(ステップS3)。空隙部5の深さt3は、完成状態の基板1の厚さTと一致するか、それよりも僅かに大きい程度である。最後に、他方の面(
図2の上面である第2の面)6から板材1aを研削して、
図2(e)に示すように、完成状態の基板1の厚さTになるまで薄化する(ステップS4)。研削量はt1-Tである。こうして、基板1が完成する。この基板1は、厚さ方向に貫通する貫通孔2を有している。なお、本明細書において、貫通孔2や有底穴2aは、細長い平面形状を有する溝状であってもよい。
【0011】
本実施形態の製造方法によると、板材1aの研削される領域において、有底穴2a内に樹脂4が充填されている。従って、研削に起因して有底穴2aおよびその周辺にチッピングやクラック等の破損が生じることが樹脂4によって抑制される。また、研削により薄化された後の基板1の貫通孔2には樹脂4が実質的に残っていないため、樹脂を除去する作業(例えば強力な洗浄工程)を行う必要がない。従って、貫通孔2を容易に形成できるとともに、樹脂を除去する作業によって基板1および貫通孔2の形状の精度が低下することはない。この製造方法の詳細について、以下に記載する。
【0012】
(基板)
本発明の基板1としては、シリコン、ガリウムヒ素、インジウムリンなどからなる半導体基板を用いることができる。特に、深堀孔開け手法であるドライエッチング(ボッシュプロセス)や異方性ウェットエッチングの技術が確立しているシリコン基板が本発明に適している。例えば、平面形状が直径200mmの円形であって研削前の厚さt1が725μmのシリコン基板が、板材1aとして好適に用いられる。また、事前に薄化等の加工が施された厚さ50μm程度の薄いシリコン基板を、板材1aとして用いることもできる。
【0013】
(有底穴)
ステップS1において板材1aに形成する有底穴2aは、板材1aの第1の面3に開口し、その反対側の第2の面6には開口せず閉じている。有底穴2aの開口形状および断面形状は、円形、楕円形、四角形状、多角形など任意の形状であってよい。また、有底穴2aの開口寸法は、樹脂4が充填されて硬化させられる寸法であればよく、例えば直径または長径の長さが1μmから数cm程度であってよい。板材1aを薄化する前の有底穴2aの深さt2は、完成状態の基板1の厚さTよりも大きい。なお、完成状態の基板1では、基板1を厚さ方向に貫通する貫通孔2が形成されているため、貫通孔2の深さは基板1の厚さTと一致する。有底穴2aは、例えばシリコンからなる板材1aに等方性ドライエッチングや、ボッシュプロセスによるエッチングや、異方性ウェットエッチング等によって形成することができる。また、有底穴2aをレーザー加工によって形成することもできる。
【0014】
(樹脂)
本実施形態で用いられる樹脂4は、硬化処理前は一般的な溶剤によって剥離可能であるが、硬化処理後は剥離困難な硬化樹脂である。有底穴2aに樹脂4を形成するための各工程は、板材1aへの樹脂4の塗布、塗布した樹脂4の有底穴2a内への充填、板材1aの表面上の樹脂4と有底穴2a内の樹脂4の一部の除去、有底穴2aの内部に残った樹脂4の硬化処理の順番に実施される。板材1aへの塗布の均一性や、有底穴2aへの充填の容易性等の観点から、硬化処理前の樹脂4は低粘度であることが好ましい。また、板材1aの表面上の樹脂4と有底穴2a内の樹脂4の一部の除去の際に、未硬化の樹脂4が一般的な溶剤や剥離液で容易に除去でき、かつ有底穴2a内の未硬化の樹脂4の除去量を制御できることが望ましい。有底穴2a内の未硬化の樹脂4の除去量の制御は、溶剤や剥離液の浸漬時間によって制御することができる。また、樹脂4は、板材1aの研削時の有底穴2aの形状保持性の観点から、硬化後の硬度が高く、硬化処理における体積収縮率が低いことが好ましい。さらに、樹脂4は、有底穴2a内に残された樹脂4が十分に硬化されるような硬化処理を実施できるものであることが好ましい。このような樹脂4として、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が適している。
【0015】
(樹脂を有底穴内に形成する工程)
前述した各材料を用いて、貫通孔2を有する薄い基板1を製造するための各工程の詳細について、さらに説明する。
樹脂4を有底穴2a内に形成する工程では、
図2(a)に示すように完成状態の基板1の厚さTよりも大きい厚さt1を有し、第1の面3から形成された有底穴2aを有する板材1aを、真空環境下に配置する。そして、
図2(b)に示すように、有底穴2aが形成されている第1の面3を樹脂4で被覆する。これにより、有底穴2a内は真空状態で密閉される。その後、
図2(c)に示すように、板材1aを大気に開放すると、差圧で樹脂4が有底穴2a内に浸入して充填される。なお、樹脂4による板材1aの被覆は、ドライフィルムを用いたラミネート法、真空環境下でのスピン塗布法、あるいはスリットコーター法等によって行われる。また、有底穴2a内への樹脂4の充填は、毛細管現象を利用した方法によって行ってもよい。
【0016】
(樹脂の一部を除去して有底穴内に空隙部を設ける工程)
図2(d)に示すように、板材1aの第1の面3を被覆する樹脂4を除去するとともに、有底穴2a内に充填された樹脂4の一部を除去して空隙部5を形成する。空隙部5は、樹脂4で被覆されていた第1の面3側に設けられ、樹脂4は、有底穴2a内において、第2の面6側に位置する。空隙部5の深さt3、すなわち樹脂4を除去する深さは、完成状態の基板の厚さ(仕上げ厚さ)Tと同程度の大きさである。このように樹脂4の一部を除去して空隙部5を形成することは、板材1aを有機溶剤や剥離剤の槽に浸漬して樹脂4を溶解させることによって行える。有機溶剤としては一般的な溶剤が使用可能であり、剥離剤としては、使用される樹脂4に対応した一般的な剥離剤が使用可能である。樹脂の除去量および空隙部5の深さt3は、有機溶剤または剥離剤の種類の選択や、浸漬時間の調整によって制御できる。あるいは、アッシングによって樹脂4の一部を除去して空隙部5を形成することもできる。その場合、プラズマ密度や、バイアス電圧や、アッシング時間を調整することにより、樹脂4の除去量および空隙部5の深さt3を制御することができる。
【0017】
(板材を薄化する工程)
板材1aを、半導体および有底穴2aが形成された第1の面3と反対側の第2の面6から研削して、
図2(e)に示すように所定の厚さTの基板1を形成する。この時、有底穴2aの底部分が除去されるとともに、有底穴2a内に残っていた樹脂4も板材1aとともに研削されて除去される。その結果、基板1を厚さ方向に貫通して基板1の両面に開口する貫通孔2が形成される。板材1aの研削は、一般的なバックグラインド装置を用いて実施できる。
【0018】
前述したように、空隙部5の深さt3は、完成状態の基板1の厚さTと一致することが好ましいが、厚さTよりも僅かに大きくてもよく、僅かに小さくてもよい。空隙部5の深さt3が完成状態の基板1の厚さTよりも小さい場合には、研削されて薄化された後の基板1の貫通孔2内に僅かに樹脂4が残る。硬化後の樹脂4は除去困難な材料であるため、樹脂4を形成する前に有底穴2a内に離型材を塗布しておき、樹脂4を形成して板材1aを研削した後に洗浄工程を追加することで、樹脂4を容易に除去することができる。すなわち、この場合には、板材1aの研削と洗浄とによって有底穴2a内の樹脂4を完全に除去する。有底穴2aの内面に離型材を塗布すると、板材1aを研削する際の研削粉が有底穴2aの内面に付着しにくいという利点がある。ただし、樹脂4の除去の容易さを考慮すると、空隙部5の深さt3は、完成状態の基板1の厚さTよりも数μm程度小さい程度までに留めることが好ましい。
【0019】
一方、空隙部5の深さt3が完成状態の基板1の厚さTよりも大きい場合には、板材1aの研削時に有底穴2a内の樹脂4も除去されて、貫通孔2を有する基板1が形成される。ただし、板材1aが所定の厚さTになる前、すなわち、研削による板材1aの薄化が完了する前に、有底穴2a内の樹脂4が消失して板材1aを厚さ方向に貫通する貫通孔2が形成される。その状態で板材1aの研削を続行すると、研削粉が貫通孔2の内面に付着する可能性がある。空隙部5の深さt3が、完成状態の基板1の厚さTよりも数μm程度大きい程度であると、貫通孔2の内面に付着する研削粉は少量であるので、薄化した後の基板に簡易な洗浄工程を施すことで容易に研削粉を除去することができるため好ましい。すなわち、空隙部5の深さt3と完成状態の基板1の厚さTとの差が±10μm以下であることが好ましい。
【0020】
本発明によると、硬化後に除去することが容易ではない樹脂4が、研削されて薄化された基板1の貫通孔2内にはほとんど残らないため、硬化した樹脂4を除去するための強力な洗浄工程が不要である。そして、硬化した樹脂4を除去するための工程による基板1の割れ等のリスクを低減し、信頼性を向上させることができる。
【0021】
以下、本発明のより詳細な実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本発明の実施例1の基板1の製造方法について説明する。本実施例では、平面形状が直径200mmの円形であって厚さt1が725μmのシリコンからなる板材1aを用いる。板材1aの第1の面3には図示しない半導体が形成されており、ドライエッチング(シリコンエッチング)によって、
図4(a)に示すように第1の面3において開口してその反対側の第2の面6側は閉じている有底穴2aが形成されている。有底穴2aの開口形状は直径100μmの円形であり、有底穴2aの深さt2は200μmである。
図4に示す例では、有底穴2aの底部分に湾曲形状を有しているが、湾曲形状が設けられていなくてもよい。
【0022】
図4(b)に示すように、厚さ100μmのベースフィルム11上に、平面形状が250mm×250mmの正方形であって厚さが30μmの樹脂層4aを形成して、2層構造のドライフィルム10を形成する。ベースフィルム11は、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)などからなる一般的な樹脂フィルムである。樹脂層4aは、150℃で10分間の加熱により硬化する低粘度型熱硬化型エポキシ樹脂からなる。この低粘度型熱硬化型エポキシ樹脂は、30℃環境下での粘度は7Pa・sである。樹脂層4aは市販のスピン塗布装置を用いて形成され、樹脂層4aの膜厚はスピン塗布装置のフィルム回転数の調整によって制御される。
【0023】
図4(c)に示すように、板材1aとドライフィルム10を真空チャンバー12内に挿入し、板材1aの第1の面3とドライフィルム10の樹脂層4aの表面とが向かい合うように配置する。そして、真空チャンバー12内を圧力50Paになるまで真空引きし、ラミネート温度30℃でドライフィルム10を板材1aにラミネートする。真空引きされた状態で有底穴2aの開口部がドライフィルム10によって塞がれ、有底穴2aは減圧状態で密閉される。
【0024】
ドライフィルム10を板材1aにラミネートした後に、真空チャンバー12を大気開放するか、または、ドライフィルム10がラミネートされた板材1aを真空チャンバー12から取り出す。それにより、有底穴2a内の負圧とドライフィルム10の外側の大気圧との差圧で、
図4(d)に示すように、樹脂層4aを形成している樹脂4の一部が有底穴2a内に充填される。このように、真空チャンバー12内を用いた真空引きとラミネート法とを用いて、樹脂4の有底穴2a内への充填を行うことができる。ただし、真空チャンバー12内を用いた真空引きとスピン塗布法またはスリットコーター法とを用いて、樹脂4の有底穴2a内への充填を行うこともできる。また、有底穴2aの径が小さい場合には、毛細管現象を利用して樹脂4を有底穴2a内へ充填することもできる。
【0025】
樹脂4が有底穴2a内に充填された状態で、
図4(e)に示すようにベースフィルム11を剥離して、樹脂層4aを露出させる。樹脂4の粘度が低い場合には、50~60℃程度の仮硬化処理を施して、樹脂4が板材1a内を流動することを抑制することが好ましい。そして、樹脂層4aがラミネートされた板材1aを、アセトンなどの一般的な有機溶剤に30分程度浸漬する。有機溶剤によって、
図4(f)に示すように、板材1aの第1の面3にラミネートされた樹脂層4aを除去するとともに、有底穴2a内の樹脂4の一部を除去する。有底穴2a内の樹脂4は開口部側(第1の面3側)の一部が除去され、底部分側(第2の面6側)の一部は残留する。有底穴2aの、樹脂4が除去された部分は空隙部5になる。有底穴2a内の樹脂4の除去量、言い換えると空隙部5の深さt3は、溶剤の種類の選択や浸漬時間の調整などによって制御することができるため、空隙部5の深さt3が、完成状態の基板1の厚さTと同程度になるように制御する。
【0026】
第1の面3上の樹脂層4aと有底穴2a内の樹脂の一部が除去された板材1aを、図示しないオーブン内に挿入して150℃で10分間程度ベークする。それにより、有底穴2a内に残っている樹脂4を硬化させる。
図4(g)に示すように、有底穴2a内の一部に樹脂4が残るとともに空隙部5が形成された板材1aの第1の面3に、研削用テープ13を貼り付ける。研削用テープ13は第1の面3の保護を目的としており、市販のUV硬化型バックグラインドテープを使用することができる。
【0027】
図4(h)に示すように、板材1aの第2の面6を研削して、厚さTになるまで板材1aを薄化する。この研削によって、板材1aの有底穴2aの底部分と、有底穴2a内の一部に残る樹脂4とが除去される。本実施例では、厚さt1-T=575μmだけ研削し、研削されずに残った基板1の厚さTは150μmである。こうして厚さTになるまで薄化された基板1の研削加工面上には、底部分が除去された貫通孔2が開口している。こうして、両面に開口する貫通孔2を有する基板1が形成される。板材1aの研削は、市販の研削装置を用いて行うことができる。
図4(i)に示すように、研削用テープ13に対してUV照射を行い、研削用テープ13を剥離することで、貫通孔2を有する厚さ150μmの基板1が製造される。このように、有底穴2aに樹脂4と空隙部5を設け、板材1aが研削される範囲に樹脂4を位置させ、研削されない範囲に空隙部5を位置させることで、研削加工時の有底穴2aの周囲のチッピングやクラックの発生を抑制しながら、樹脂4を容易に除去できる。
【0028】
[実施例2]
本発明の実施例2の基板1の製造方法について説明する。以下、実施例1との相違点について主に説明し、実施例1と同様な方法および構成については説明を省略する場合がある。
本実施例では、例えばボッシュプロセスを行うエッチングによって、底部分の先端部分が湾曲した湾曲形状部分(R形状部分)2bになっている有底穴2aを形成する。有底穴2aを有する板材1aの断面図である
図5(a)と、そのC部分の拡大図である
図5(b)に示すように、ボッシュプロセスで形成された有底穴2aの底部分は、略半球状である。この構成によると、板材1aを第2の面6から研削して底部分を除去する際に鋭利な形状が形成されず、チッピングの発生により貫通孔2の形状が崩れることが抑制できる。特に、本実施例では、
図5に示すように、有底穴2aの、湾曲した先端部分2bを含む底部分に樹脂4を充填し、その樹脂4を硬化している。それにより、有底穴2aの、湾曲した先端部分2bを含む底部分が、硬化した樹脂4によって保護され、チッピングを抑制する信頼性が高い。
【0029】
本実施例では、
図4(a)~
図4(e)に示す実施例1の各工程と同様に、有底穴2aを有する板材1aに、ベースフィルム11と樹脂層4aとを有する2層構造のドライフィルム10を重ね合わせる。そして、真空引きと、ラミネート法、スピン塗布法またはスリットコーター法とを用いて、あるいは毛細管現象を利用して、有底穴2a内に樹脂4を充填する。それからベースフィルム11を剥離して、樹脂層4aを露出させる。
【0030】
次に、樹脂層4aがラミネートされた板材1aを、アセトンなどの一般的な有機溶剤に60分程度浸漬する。有機溶剤によって、
図6(a)に示すように、板材1aの第1の面3にラミネートされた樹脂層4aを除去するとともに、有底穴2a内の樹脂4の一部を除去し、空隙部5を形成する。本実施例では、実施例1よりも板材1aの溶剤への浸漬時間が長く、有底穴2a内の樹脂4の除去量が多いが、少なくとも有底穴2aの底部分の湾曲した先端部分2bを樹脂4で覆うようにする。それから、この樹脂4を硬化させる。
図6(b)に示すように、空隙部5が形成された板材1aの第1の面3に研削用テープ13を貼り付け、板材1aの第2の面6を研削して、
図6(c)に示すように厚さTになるまで板材1aを薄化する。
図6(d)に示すように研削用テープ13を剥離して、貫通孔2を有する基板1が完成する。本実施例では、例えばボッシュプロセスによって有底穴2aの底部分の先端部分のコーナー部分を湾曲形状にすることにより、有底穴2a内に残る樹脂4の量が少なくても、板材1aの研削時のチッピング等の破損を抑制できる。なお、図示しないが、有底穴2aの底部分の先端部分2bをR形状部分ではなく傾斜部分(面取り部分)にすることもできる。
【0031】
[実施例3]
本発明の実施例3の基板1の製造方法について説明する。以下、実施例1~2との相違点について主に説明し、実施例1~2と同様な方法および構成については説明を省略する場合がある。
本実施例では、
図4(a)~
図4(f)に示す実施例1の各工程と同様に、有底穴2aを有する板材1aに、ベースフィルム11と樹脂層4aとを有する2層構造のドライフィルム10を重ね合わせる。そして、真空引きと、ラミネート法、スピン塗布法またはスリットコーター法とを用いて、あるいは毛細管現象を利用して、有底穴2a内に樹脂4を充填する。それからベースフィルム11を剥離して、樹脂層4aを露出させる。樹脂層4aがラミネートされた板材1aを有機溶剤に浸漬して、板材1aの第1の面3にラミネートされた樹脂層4aと有底穴2a内の樹脂4の一部を除去し、有底穴2a内に空隙部5を形成する。空隙部5の深さt3が、完成状態の基板1の厚さTと同程度になるように制御する。
【0032】
次に、樹脂4が充填されていない空隙部5に他の樹脂を充填させる。他の樹脂は、溶剤等を用いて容易に溶解させることができるため、便宜上、溶解樹脂と称することがある。
図7(a)に示すように、厚さ100μmのベースフィルム11上に、平面形状が250mm×250mmの正方形であって厚さが30μmの溶解樹脂層(例えばフォトレジスト層14a)を形成して、2層構造のドライフィルム15を形成する。ベースフィルム11は、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)などからなる一般的な樹脂フィルムである。フォトレジスト層14aは、粘度が0.5Pa・s程度の一般的なポジレジストからなる。ただし、フォトレジスト層14aに代えて、他の溶解樹脂からなる溶解樹脂層を形成することもできる。フォトレジスト層14aは市販のスピン塗布装置を用いて形成され、樹脂層4aの膜厚はスピン塗布装置のフィルム回転数の調整によって制御される。
【0033】
図7(b)に示すように、板材1aとドライフィルム15を真空チャンバー12内に挿入し、板材1aの第1の面3とドライフィルム10のフォトレジスト層14aの表面とが向かい合うように配置する。真空チャンバー12内を圧力50Paになるまで真空引きし、ラミネート温度60℃でドライフィルム15を板材1aにラミネートする。真空チャンバー12を大気開放するか、または、ドライフィルム15がラミネートされた板材1aを真空チャンバー12から取り出す。それにより、
図7(c)に示すように、空隙部5の負圧とドライフィルム15の外側の大気圧との差圧で、フォトレジスト層14aを形成しているフォトレジスト14の一部が空隙部5内に充填される。このように、真空引きと、ラミネート法、スピン塗布法またはスリットコーター法とを用いて、あるいは毛細管現象を利用して、空隙部5内にフォトレジスト14を充填する。それから、
図7(d)に示すように、ベースフィルム11を剥離してフォトレジスト層14aを露出させる。
【0034】
フォトレジスト層14aがラミネートされた板材1aを、フォトレジスト用の一般的な剥離液に10分程度浸漬する。それにより、
図7(e)に示すように、板材1aの第1の面3にラミネートされたフォトレジスト層14aを溶解剥離する。この時、空隙部5内に浸入したフォトレジスト14は除去されずに残り、有底穴2a内において樹脂4の上にフォトレジスト14が積層された状態になる。
図7(f)に示すように、有底穴2a内に樹脂4とフォトレジスト14が形成された板材1aの第1の面3に研削用テープ(例えば市販のUV硬化型バックグラインドテープ)13を貼り付ける。
図7(g)に示すように、板材1aの第2の面6を研削して、厚さT(例えば150μm)になるまで板材1aを薄化する。この研削によって、板材1aの有底穴2aの底部分と、有底穴2a内の樹脂4とを除去して貫通孔2を形成する。ただし、貫通孔2内のフォトレジスト14の少なくとも一部は除去されずに残る。それから、フォトレジスト14用の一般的な剥離液に板材1aを30分程度浸漬し、
図7(h)に示すように、フォトレジスト14を溶解剥離する。
図7(i)に示すように、研削用テープ13に対してUV照射を行い、検索用テープ13を剥離することで、貫通孔2を有する厚さTの基板1が製造される。このように、本実施例では、容易に除去できる溶解樹脂(例えばフォトレジスト14)を、薄化した後の板材1aの貫通孔2に残しておく。それにより、板材1aを研削する際に貫通孔2の周辺の破損を抑えるとともに、研削粉が貫通孔2内に付着することを抑えることができる。
【0035】
[実施例4]
本発明の実施例4の基板1の製造方法について説明する。以下、実施例1~3との相違点について主に説明し、実施例1~3と同様な方法および構成については説明を省略する場合がある。
本実施例では、実施例2と同様に、例えばボッシュプロセスを行うエッチングによって、底部分に湾曲した先端部分(R形状部分)2bを有する有底穴2aを形成し、実施例2と同様な効果を奏する。ただし、板材1aの断面図である
図8(a)と、そのC部分の拡大図である
図8(b)に示すように、板材1aを、湾曲した先端部分2bの途中までしか研削せず、完成状態の基板1の貫通孔2の第2の面6側の端部が湾曲形状(R形状)の一部になっている。
【0036】
具体的には、実施例2と同様に、板材1aに、底部分が実質的に半球状である有底穴2aを形成し、その有底穴2a内に樹脂4を充填する。有底穴2aの深さt2は例えば153μmである。それから、板材1aの第1の面3にラミネートされた樹脂層4aと有底穴2a内の樹脂4の一部を除去し、
図9(a),9(b)に示すように、有底穴2a内に空隙部5を形成する。その際に、空隙部5の深さt3が、完成状態の基板1の厚さTと同程度になるように制御する。例えば、板材1aを、一般的な有機溶剤の一例であるアセトンに60分程度浸漬する。それにより、有底穴2aの底部分の湾曲した先端部分2bの途中で樹脂4の溶解が停止するようにする。
図9(b)に、有底穴2a内の樹脂4の溶解が停止する線Bを示している。
図9(c),9(d)に示すように、有底穴2aの底部分の湾曲した先端部分2bの途中まで樹脂4が存在する板材1aの第1の面3に、有底穴2aの開口部を塞ぐように研削用テープ13を貼り付ける。そして、
図9(e),9(f)に示すように、板材1aの第2の面6側から研削を行い、
図9(d)の線Aの位置で研削を停止する。この研削停止線Aは、有底穴2aの底部分の湾曲した先端部分2bの途中に位置し、溶解停止線Bと一致していてよい。
図8(a)に示すように板材1aを研削した後に研削用テープ13を剥離して完成した基板1の貫通孔2は、
図8(c)に拡大して示すD部分である第1の面3側の開口部2cの径よりも、
図8(b)に示す第2の面6側の開口径が小さい。
【0037】
このように、本実施例では、有底穴2aの底部分の湾曲した先端部分2bの途中で研削を停止することにより、両開口端の開口径および開口面積が異なる貫通孔2を有する基板1を製造することができる。この基板1は、例えば液体吐出ヘッドなど、貫通孔2を通る流体の流量変化の制御が必要なデバイスに好適に用いられる。有底穴2a内に形成される樹脂4が、板材1aを研削する際に研削停止線Aとほぼ同じ位置まで残されていると、湾曲した先端部分2bの途中で研削を停止する際に板材1aの破損を生じるおそれを小さく抑えられる。
【0038】
[実施例5]
本発明の実施例5の基板1の製造方法について説明する。以下、実施例1~4との相違点について主に説明し、実施例1~4と同様な方法および構成については説明を省略する場合がある。
本実施例では、板材1aに対して異方性ウェットエッチングを行うことによって有底穴2aを形成する。
図10(a)に示すように、有底穴2aの開口形状は212μm×212μmの正方形であって、開口部から底部分に向かって先細の形状である。有底穴2aの深さt2は150μmである。実施例1の各工程と実質的に同様に、有底穴2aを有する板材1aに、
図10(b)に示す2層構造のドライフィルム10を重ね合わせる。そして、
図10(c)~10(d)に示すように、真空引きと、ラミネート法、スピン塗布法またはスリットコーター法とを用いて、あるいは毛細管現象を利用して、有底穴2a内に樹脂4を充填する。
図10(e)に示すように、ベースフィルム11を剥離して樹脂層4aを露出させる。この板材1aを有機溶剤に浸漬して、板材1aの第1の面3にラミネートされた樹脂層4aと有底穴2a内の樹脂4の一部を除去し、
図10(f)に示すように、有底穴2a内に空隙部5を形成する。
図10(g)に示すように、板材1aの第1の面3に研削用テープ13を貼り付け、
図10(h)に示すように板材1aの第2の面6側から研削を行う。その後に研削用テープ13を剥離して、
図10(i)に示す貫通孔2を有する基板1を完成させる。
【0039】
本実施例では、異方性ウェットエッチングにより、開口部から底部分に向かって先細の形状の有底穴2aを形成する。従って、実施例4と同様に、両開口端の開口面積が異なる貫通孔2を有する基板1を製造することができ、実施例4と同様な効果が得られる。また、有底穴2aの深さt2と完成状態の基板の厚さTとを同程度にして、有底穴2aの形成工程の作業効率を向上させることができる。さらに、板材1aの研削による薄化を行った後に、フォトリソグラフィ工程を行う必要がなく、基板1の割れ等の破損を生じるリスクが低減し、信頼性が向上する。
【0040】
[液体吐出ヘッドの製造方法]
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。
図11(a)に示すように、液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子9が一方の面に形成された基板(第1の基板)1を用意する。基板1は、エネルギー発生素子9の両側に、液体の供給口となる貫通孔2を有する。この貫通孔2を有する基板1は、前述した本発明の実施例1~5等と同様な方法により形成されたものである。簡略化して説明すると、
図11(b)に示すように、例えば板材1aに対してSF
6とC
4F
8を交互に用いるボッシュプロセスによって有底穴2aを形成する。有底穴2a内に樹脂4を形成した後に、第2の面6から研削する。さらに、研削時に生じた破砕層を除去するために、CMP(化学機械研磨)を行い、
図11(c)に示す貫通孔2を有する厚さ200μmの基板1を製造する。
【0041】
一方、表面に2.0μmの熱酸化シリコン酸化膜16が形成された厚さ400μmのシリコン製の支持部材(第2の基板)17を用意する。基板1の接合面と、支持部材17の熱酸化シリコン酸化膜16の接合面とを、N
2プラズマによって活性化する。アライナー装置で基板1と支持部材17とを位置合わせし、接合装置を用いて、
図11(d)に示すように、熱酸化シリコン酸化膜16を介して基板1と支持部材17とをフュージョン接合する。
【0042】
次に、支持部材17の、基板1との接合面とは反対の表面に、SF
6とC
4F
8を交互に用いるボッシュプロセスによるドライエッチングを行って、
図11(e)に示すように、共通液室18を形成する。共通液室18の底部には、熱酸化シリコン酸化膜16の一部が露出している。共通液室18の底部に露出している熱酸化シリコン酸化膜16にCHF
3とCF
4とArの混合ガスによるエッチングを行って、熱酸化シリコン酸化膜16を除去し、共通液室18の底部に基板1を露出させる。それにより、
図11(f)に示すように、基板1の貫通孔2と共通液室18とを連通させる。次いで、
図11(g)に示すように、基板1の、支持部材17との接合面と反対側の面に、吐出口19を有する吐出口形成部材20を積層する。こうして、本発明に係る貫通孔2を有する基板1を含む液体吐出ヘッドを製造する。
【符号の説明】
【0043】
1 基板
1a 板材
2 貫通孔
2a 有底穴
3 一方の面(第1の面)
4 樹脂
5 空隙部
6 他方の面(
図2の面)