(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】案内装置、案内方法及びそのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/43 20240101AFI20240826BHJP
【FI】
G06Q50/43
(21)【出願番号】P 2020119197
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】大崎 新太郎
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-170686(JP,A)
【文献】特開2020-061033(JP,A)
【文献】特開2018-081618(JP,A)
【文献】特開2016-200984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェアカーを用いたときの出発地点から目的地までの経路案内を求めるクエリを取得するクエリ取得部と、
該クエリ取得部が取得したクエリに基づき、前記シェアカー用のナビゲーションシステムが前記目的地までの案内をする第1経路とは異なる第2経路を案内する第2経路案内部と、を備える案内装置であって、
該第2経路案内部は、
前記出発地点から前記目的地までの間に存在する第1ステーションを特定する第1ステーション特定部と、
該第1ステーションから前記目的地までの往復移動に用いる代替ビークルを提案する代替ビークル提案部と、を備え、
前記クエリの入力者に、特定された前記第1ステーション及び前記代替ビークルを提示する提示部と、を備える、案内装置であって、
更にクエリ解析部を備え、
該クエリ解析部は前記クエリを解析して、該クエリに含まれる利用時間に応じて前
記代替ビークルの提案に変化を与える、案内装置。
【請求項2】
前記代替ビークル提案部は前記クエリの利用目的及び/又は目的地の属性に応じて、前記ビークルを選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2経路案内部は前記第1ステーションと前記目的地の間に存在する第2ステーションを特定する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1ステーション特定部は、前記出発地点から前記目的地までの第1距離若しくは到着に必要な第1時間と、前記出発地点から最寄のステーションまでの第2距離若しくは到着に要する第2時間とを比較して、両者の関係が所定の条件に収まるとき、前記最寄のステーションを前記第1ステーションとして特定する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記最寄のステーションは前記出発地からみて前記目的地に近づいた位置にある、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記代替ビークル提案部は、公共交通機関の時刻表データ及び前記クエリの利用時間に基づき、前記第1ステーションから前記目的地までの往復移動に用いる代替ビークルとして列車、バス等の公共交通機関を提案する、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
クエリ取得部と、第2経路案内部と、クエリ解析部とを備え、該第2経路案内部は第1ステーション特定部、代替ビークル提案部及び提示部を備える案内装置を用いる案内方法であって、
前記クエリ取得部に、シェアカーを用いたときの出発地点から目的地までの経路案内を求めさせ、
前記第2経路案内部に、前記クエリ取得部が取得したクエリに基づき、前記シェアカー用のナビゲーションシステムが前記目的地までの案内をする第1経路とは異なる第2経路を案内させ、
前記第1ステーション特定部に、前記出発地点から前記目的地までの間に存在する第1ステーションを特定させ、
前記代替ビークル提案部に、前記第1ステーションから前記目的地までの往復移動に用いる代替ビークルを提案させ、
前記提示部に、前記クエリの入力者に、特定された前記第1ステーション及び前記代替ビークルを提示させる、案内方法であって、
前記クエリ解析部に前記クエリを解析させて、該クエリに含まれる利用時間に応じて
前記代替ビークルの提案に変化を与える、案内方法。
【請求項8】
クエリ取得部と、第2経路案内部と、クエリ解析部とを備え、該第2経路案内部は第1ステーション特定部、代替ビークル提案部及び提示部を備える案内装置のコンピュータ用のプログラムであって、
前記クエリ取得部に、シェアカーを用いたときの出発地点から目的地までの経路案内を求めさせ、
前記第2経路案内部に、前記クエリ取得部が取得したクエリに基づき、前記シェアカー用のナビゲーションシステムが前記目的地までの案内をする第1経路とは異なる第2経路を案内させ、
前記第1ステーション特定部に、前記出発地点から前記目的地までの間に存在する第1ステーションを特定させ、
前記代替ビークル提案部に、前記第1ステーションから前記目的地までの往復移動に用いる代替ビークルを提案させ、
前記提示部に、前記クエリの入力者に、特定された前記第1ステーション及び前記代替ビークルを提示させる、プログラムであって、
前記クエリ解析部に前記クエリを解析させて、該クエリに含まれる利用時間に応じて
前記代替ビークルの提案に変化を与える、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は案内装置、案内方法及びそのコンピュータプログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、カーシェアリングサービスが普及してきている。このカーシェアリングサービスは、そのサービスを受ける会員が希望する時間に応じてコインパーキング等のシェアカーパーキングに配置されている車両(シェアカー)を利用する。
このカーシェアリングサービスでは、いわゆるラウンドトリップ方式(往復/返却)が主流であり、ワンウェイ方式(乗り捨て)は殆ど採用されていない。出発地・目的地の偏りが生じやすくシェアカーの再配置コストがかかるためである。
本発明に関連する技術を開示する先行特許文献1~3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-102054号公報
【文献】特開2019-159689号公報
【文献】特開2016-148912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーシェリングサービスは近場、短時間での利用が中心であるため、利用されるシェアカーはコンパクトなものが多い。
カーシェアリングサービスの普及に伴い、自家用車を所有しない家庭が増える傾向にある。他方、昨今のワーク・ライフ・バランスの変革にともない、ワンボックスカーやワゴン車、更にはキャンピングカーなどの大型車に対するテンポラリな需要も拡大している。余裕をもって家族全員が乗車できその荷物を載せる必要があるからである。しかしながら、かかる大型車はカーシェアリングサービスにはなじまない。
このような大型車は、例えばレンタカーサービスにより、利用できる。レンタカーサービスを利用するには、レンタカーのサービス店まで出向く必要があるところ、そのとき、自家用車を所有しない家族にとっては、カーシェリングサービスを利用し難い。カーシェアリングサービスはラウンドトリップ方式だからである。
【0005】
そこで、カーシェアリングサービスの利用者向けにステーションを設け、このステーションに上記のような大型車をプールしておくことを考えた。カーシェアリングサービスの利用者は、シェアカーを使ってこのステーションに立ち寄り、このステーションで大型車に乗り換える。この段階でシェアカーは乗り捨ての状態である(ワンウェイ方式)。大型車の利用は、長期間が多いので、乗り捨てられたシェアカーは、他の利用者の利用に供される。当該他の利用者は、以前に他のシェアカーを乗り捨て、他の大型車をラウンドトリップ方式で利用してステーションまで戻ってきた利用者である。
このようなステーションを全国各地に配置することにより、カーシェアリングサービスの使い勝手が向上する。その結果、かつカーシェアリングサービスの利用頻度が高まれば、自宅近くのシェアカーパーキングからステーションまでの移動についてシェアカーのワンウェイ方式が商業的にも可能になる。シェアカーの再配置コストが抑制されるからである。
【0006】
上記において、カーシェアリングサービスの利用者は、予め、出発地(シェアカーパーキング)から目的地まで経路をPC、タブレット、スマートフォン等のナビゲーションアプリを用いて、探索する。
この経路(第1の経路)は、汎用的な経路探索プログラムに基づき、出発地から目的地までの道路コストが最小になるものが選択される。
ここに、上記ステーションサービスが利用可能なカーシェアリングサービスにおいては、目的地が遠距離にある場合など、シェアカー以外の車両の利用が利用者にとって快適と考えられる場合がある。かかる場合には、第1の経路の他に、ステーションに立ち寄る第2のルートを提示する。
【0007】
この発明の第1の局面は次のように規定される。即ち、
シェアカーを用いたときの出発地点から目的地までの経路探索を求めるクエリを取得するクエリ取得部と、
該クエリ取得部が取得したクエリに基づき、前記シェアカー用のナビゲーションシステムが探索する第1経路とは異なる第2経路を提案する第2経路案内部と、を備える案内装置であって、
該第2経路案内部は、
前記出発地点から前記目的地までの間に存在する第1ステーションを特定する第1ステーション特定部と、
該第1ステーションから前記目的地への往復移動に用いる代替ビークルを提案する代替ビークル提案部と、を備え、
前記クエリの入力者に、特定された前記第1ステーション及び前記代替ビークルを提示する提示部と、を備える、
案内装置。
このように規定される第1の局面の案内装置によれば、カーシェアリングサービスの利用者にとって、ステーションの利用が容易になる。
【0008】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の案内装置において、前記クエリには利用時間及び/又は利用目的が含まれる。
このように規定される第2の局面の案内装置によれば、クエリに利用時間及び/又は利用目的が含まれるため、シェアカーを例えば大型車に乗り換えた方が快適であるか否かをより適切に判断できる。これにより、第1ステーションの提示の態様に強弱、その他の変化を与えることができる。
【0009】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第2の局面に規定の案内装置において、前記代替ビークル提案部は前記クエリの利用目的及び/又は目的地の属性に応じて、前記ビークルを選択する。
このように規定される第3の局面の案内装置によれば、利用目的や目的地の属性が明確になるので、それに応じて利用者にとってより適切なビークルを提案できる。
【0010】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第1~3の何れかの局面に規定の案内装置において、前記第2経路案内部は第1ステーションと前記目的地の間に存在する第2ステーションを特定する。
例えば、第1ステーションと第2ステーションがそれぞれ高速道路のインターチェンジ付近にあるとき、第1ステーションにおいて乗り換える代替ビークルを高速ドライブ用のものとする。この代替ビークルは乗り捨てることもできる(ワンウェイ方式)。その後、第2ステーションにおいて第3ビークルに乗り換える。この第3ビークルは第2ステーションから目的地までの移動に適したものとなる。この第3ビークルはラウンドトリップ方式である。
このように第2ステーションが特定されることにより、目的までの経路において、より適切な車両の利用が可能となる。
【0011】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第3の局面に規定の案内装置において、前記第1ステーション特定部は、前記出発地点から前記目的地までの第1距離若しくは到着に必要な第1時間と、前記出発地点から最寄のステーションまでの第2距離若しくは到着に要する第2時間とを比較して、両者の関係が所定の条件に収まるとき、前記最寄のステーションを前記第1ステーションとして特定する。
このように規定される第5の局面の案内装置によれば、出発地から目的地までの直接的な第1経路から第1ステーションが大きく外れているとき、換言すれば、第1ステーションへ立ち寄ることがかえって利用者にストレスを与えかねないときは、第1ステーションを特定することを停止する。この場合、第2経路は案内されない。
【0012】
この発明の第6の局面は次のように規定される、即ち、
第5の局面に規定の案内装置において、前記最寄のステーションは前記出発地からみて前記目的地に近づいた位置にある。
このように規定される第6の局面の案内装置によれば、第1ステーションとして特定される最寄のステーションが、出発地と目的地との間に存在することとなるので、利用者はストレスなく当該最寄のステーションを第1ステーションとして利用できる。
【0013】
提示部が提示する代替ビークルとして、ワンボックスやステーションワゴンなどの大型車以外に、電車やバスなどの公共交通機関を採用することができる。第1ステーションが駅やバス停の近くに存在し、当該駅やバス停から目的地まで電車やバスが運行されておれば、これらを利用した方が利用者にとって快適な場合があるからである。交通渋滞が頻発するシーズンや目的地までの経路上で事故、工事などが発生している場合が該当する。
【0014】
このように公共交通機関を利用する際には、案内装置はその時刻表データを備え、利用者が求める利用時間(クエリにより指定される)に応じて、当該時刻表を参照して、交通機関の選択及び出発時間などを提案することができる。
そこでこの発明の第7の局面の案内装置は次のように規定される。即ち、
第3の局面に規定の案内装置において、前記代替ビークル提案部は公共交通機関の時刻表データ及び前記クエリの利用時間に基づき、前記第1ステーションから前記目的地までの往復移動に用いる代替ビークルとして列車、バス等の公共交通機関を提案する。
【0015】
この発明の第8の局面は次のように構成され、第1の局面と同様作用を奏する。
クエリ取得部と第2経路案内部とを備え、該第2経路案内部は第1ステーション特定部、代替ビークル提案部及び提示部を備える案内装置を用いる案内方法であって、
前記クエリ取得部に、シェアカーを用いたときの出発地点から目的地までの経路案内を求めさせ、
前記第2経路案内部に、前記クエリ取得部が取得したクエリに基づき、前記シェアカー用のナビゲーションシステムが前記目的地までの案内をする第1経路とは異なる第2経路を案内させ、
前記第1ステーション特定部に、前記出発地点から前記目的地までの間に存在する第1ステーションを特定させ、
前記代替ビークル提案部に、前記第1ステーションから前記目的地までの往復移動に用いる代替ビークルを提案させ、
前記提示部に、前記クエリの入力者に、特定された前記第1ステーション及び前記代替ビークルを提示させる、案内方法。
【0016】
この発明の第9の局面は次のように規定され、第2の局面と同様の作用を奏する。
第8の局面に規定の案内方法において、前記クエリには利用時間及び/又は利用目的が含まれる。
【0017】
この発明の第10の局面は次のように規定され、第3の局面と同様の作用を奏する。
第9の局面に規定の案内方法において、前記代替ビークル提案部に、前記クエリの利用目的及び/又は目的地の属性に応じて、前記ビークルを選択させる。
【0018】
この発明の第11の局面は次のように規定され、第4の局面と同様の作用を奏する。
第8~10のいずれかの局面に規定の案内方法において、前記第2経路案内部に、前記第1ステーションと前記目的地の間に存在する第2ステーションを特定させる。
【0019】
この発明の第12の局面は次のように規定され、第5の局面と同様の作用を奏する。
第10の局面に規定の案内方法において、前記第1ステーション特定部に、前記出発地点から前記目的地までの第1距離若しくは到着に必要な第1時間と、前記出発地点から最寄のステーションまでの第2距離若しくは到着に要する第2時間とを比較させ、両者の関係が所定の条件に収まるとき、前記最寄のステーションを前記第1ステーションとして特定させる。
【0020】
この発明の第13の局面は次のように規定され、第6の局面と同様の作用を奏する。
第12の局面に規定の案内方法において、前記最寄のステーションは前記出発地からみて前記目的地に近づいた位置にある。
【0021】
この発明の第14の局面は次のように規定され、第7の局面と同様の作用を奏する。
第10の局面に規定の案内方法において、前記第1ステーション特定部に、前記出発地点から前記目的地までの第1距離若しくは到着に必要な第1時間と、前記出発地点から最寄のステーションまでの第2距離若しくは到着に要する第2時間とを比較させ、両者の関係が所定の条件に収まるとき、前記最寄のステーションを前記第1ステーションとして特定させる。
【0022】
この発明の第15の局面は次のように構成され、第1の局面と同様作用を奏する。
クエリ取得部と第2経路案内部とを備え、該第2経路案内部は第1ステーション特定部、代替ビークル提案部及び提示部を備える案内装置のコンピュータ用のプログラムであって、
前記クエリ取得部に、シェアカーを用いたときの出発地点から目的地までの経路案内を求めさせ、
前記第2経路案内部に、前記クエリ取得部が取得したクエリに基づき、前記シェアカー用のナビゲーションシステムが前記目的地までの案内をする第1経路とは異なる第2経路を案内させ、
前記第1ステーション特定部に、前記出発地点から前記目的地までの間に存在する第1ステーションを特定させ、
前記代替ビークル提案部に、前記第1ステーションから前記目的地までの往復移動に用いる代替ビークルを提案させ、
前記提示部に、前記クエリの入力者に、特定された前記第1ステーション及び前記代替ビークルを提示させる、プログラム。
【0023】
この発明の第16の局面は次のように規定され、第2の局面と同様の作用を奏する。
第15の局面に規定のプログラムにおいて、前記クエリには利用時間及び/又は利用目的が含まれる。
【0024】
この発明の第17の局面は次のように規定され、第3の局面と同様の作用を奏する。
第16の局面に規定のプログラムにおいて、前記代替ビークル提案部に、前記クエリの利用目的及び/又は目的地の属性に応じて、前記ビークルを選択させる。
【0025】
この発明の第18の局面は次のように規定され、第4の局面と同様の作用を奏する。
第15~17のいずれかの局面に規定のプログラムにおいて、前記第2経路案内部に、前記第1ステーションと前記目的地の間に存在する第2ステーションを特定させる。
【0026】
この発明の第19の局面は次のように規定され、第5の局面と同様の作用を奏する。
第17の局面に規定のプログラムにおいて、前記第1ステーション特定部に、前記出発地点から前記目的地までの第1距離若しくは到着に必要な第1時間と、前記出発地点から最寄のステーションまでの第2距離若しくは到着に要する第2時間とを比較させ、両者の関係が所定の条件に収まるとき、前記最寄のステーションを前記第1ステーションとして特定させる。
【0027】
この発明の第20の局面は次のように規定され、第6の局面と同様の作用を奏する。
第19の局面に規定のプログラムにおいて、前記最寄のステーションは前記出発地からみて前記目的地に近づいた位置にある。
【0028】
この発明の第21の局面は次のように規定され、第7の局面と同様の作用を奏する。
第17の局面に規定のプログラムにおいて、前記第1ステーション特定部に、前記出発地点から前記目的地までの第1距離若しくは到着に必要な第1時間と、前記出発地点から最寄のステーションまでの第2距離若しくは到着に要する第2時間とを比較させ、両者の関係が所定の条件に収まるとき、前記最寄のステーションを前記第1ステーションとして特定させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1はこの発明の案内装置が適用されるステーションサービスを説明する。
【
図2】
図2はこの発明の実施形態の案内装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は同じく案内装置のステーション特定部の構成の詳細を示すブロック図である。
【
図4】
図4は同じく案内装置の代替ビークル提案部の構成の詳細を示すブロック図である。
【
図5】
図5は同じく案内装置のハード構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は同じく案内装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は
図6のステップ10の詳細を示すフローチャートである。
【
図8】
図8はステップ10の他の態様を示すフローチャートである。
【
図9】
図9はステーションサービスの他の態様を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最初に、この発明の案内装置1が適用されるステーションサービスの一例を説明する(
図1参照)
図1において、Aはシェアカーを示し、Vは第1ステーションに準備される乗り換え用の代替ビークルを示す。Pは出発地であるシェアカーパーキング、Dは目的地を示す。
甲さんは、シェアカーパーキングP1から第1ステーションまでシェアカーA1をドライブする。ここに、シェアカーA1は乗り捨てとなる。このシェアカーA1は、例えば、第1ステーションのスタッフにより、シェアカーの不足しているシェアカーパーキングPxに移送される。
第1ステーションにおいて甲さんは代替ビークルV1に乗り換え、目的地D1(例えばスキー場)へ向かってドライブする。目的地D1において宿泊をして翌日、若しくは翌々日に第1ステーションに帰着する。
【0031】
他方、甲さんがシェアカーパーキングP1を出発した後、乙さんは、シェアカーパーキングP2から第1ステーションまでシェアカーA2をドライブする。ここに、シェアカーA2は乗り捨てとなる。そして、乙さんは代替ビークルV2に乗り換え、目的地D2へドライブし、後日、第1ステーションに帰着する。
甲さんが第1ステーションに帰着したとき、乙さんの使ったシェアカーA2が第1ステーションに駐車されている。そこで、甲さんはシェアカーA2を使って出発地、即ちシェアカーパーキングP1まで戻ることができる。
【0032】
同様に、乙さんが第1ステーションに帰着したときには、第三者の乗り捨てたシェアカーA3が第1ステーションに駐車されているので、このシェアカーA3を使って、乙さんは第1ステーションからシェアカーパーキングP2まで戻ることができる。
上記は、代替ビークルの使用期間中に他の利用者による第1ステーションでの乗り捨てがあることを前提としている。かかる前提は、シェアカーの利用頻度、及びステーションの充実(全国的な展開等)により達成できる。
【0033】
この発明の案内装置1の構成を
図2に示す。
この案内装置1は、クエリ取得部3、提示部5、第1経路案内部10、第2経路案内部20、地図データ保存部30、及びステーションデータ保存部40を備えてなる。
クエリ取得部3はナビゲーション装置の入力部に該当する。このクエリ取得部3を介して、利用者は出発地点から目的地点までの経路案内を求めるクエリを入力する。カーシェアリングサービスを利用する際には、シェアカーとともに、予めの予約が必要となるからである。ナビゲーション装置はPC、タブレット、スマートフォン等にインストールされたナビゲーションソフトにより構成される。クエリにはシェアカーパーキングの特定、目的地の特定、及び利用時間、即ちシェアカーパーキングの出発予定時間とそこへの帰着予定時間とが含まれる。クエリにはドライブの目的を加えることができる。
【0034】
提示部5はナビゲーション装置の出力装置に該当する。ディスプレイの他、プリンターや音声により出力することもできる。
第1経路案内部10は第1経路生成部11を備える。この第1経路生成部11は、汎用的なナビゲーション装置が備える、出発地から目的地までの経路探索機能を有し、出発地から目的地まので経路を生成する。地図データ保存部30に保存される各種のデータはこの経路探索に供される。この第1経路生成部11の機能として、中継点を設定し、出発地から中継点を経て目的地へ至る経路を生成することもできる。
【0035】
第2経路案内部20はステーション特定部21、第2経路生成部23及び代替ビークル提案部25を備える。
ステーション特定部21は、ステーションデータ保存部40の位置データ保存部41に保存される各ステーションの位置データ等を参照して、第1ステーションを特定する。
第2経路生成部23は出発地から第1ステーションまでの経路(第2経路)を探索して、生成する。ナビゲーション装置の汎用的な機能が第2経路の探索、生成に用いられる。
代替ビークル提案部25はステーションデータ保存部40の代替ビークルデータ保存部43に保存されている、第1ステーションにおいて利用可能な代替ビークルに関するデータ等を参照して、代替ビークルを特定して提案する。
【0036】
地図データ保存部30の施設データ保存部33には属性データ保存部331と位置データ保存部332とが備えられる。属性データ保存部331に保存される目的地の属性は、その属性に応じた好適な車両の選択に用いられる。例えば、目的地がスキー場であれば4WDの車両が好適である。
ステーションデータ保存部40の時刻表データ保存部45には、ステーションが駅、バス停更には港など公共交通機関発着地の付近に存在するとき、当該駅、バス停、港を発着する電車、バス、船の時刻表と行き先が保存されている。ステーションが公共交通機関発着地から離れているときは、かかる時刻表データ保存部45に時刻表データは備えられていない。
【0037】
図3にステーション特定部21の詳細構成を示す。このステーション特定部21はステーション選択条件検討部211を備え、このステーション選択条件検討部211はクエリ解析部2111及び経路対比部2113を備える。
クエリ解析部2111は、利用者により入力されたクエリの利用時間や利用目的を参照して、ステーションサービスが必要か否か解析する。例えば、利用目的がスキーの場合、ステーションサービスの一環として第1ステーションにて4WD車への乗り換えが推奨される。他方、利用時間が短ければ、第1ステーションでの乗り換え時間が無駄になるので、ステーションサービスの案内を停止するか、若しくは案内のインパクトを小さくする。
経路対比部2113は、第1ステーションを中継点としたときの、出発地から目的地までの比較経路と、出発地から目的地までの、何ら中継点を経ない、第1経路とを対比する。第1ステーションを中継点とすることにより、目的地へ到着するまでの時間や走行距離が大幅に長くなるときには、第1ステーションの案内を停止することができる。
【0038】
図4に代替ビークル提案部25の詳細構成を示す。この代替ビークル提案部25はクエリ分析部251、交通状況把握部253、公共交通機関検討部255を備える。クエリ分析部251は第1ステーションからクエリの目的地まで公共交通機関を使っての往復が可能か否か、また、可能な場合にはその移動に要する時間や費用を特定する。目的地の近くに公共交通機関の発着地が存在しない場合や、そもそも第1ステーションの付近に公共交通機関の発着地が存在しない場合は、クエリ分析部251は公共交通機関を代替ビークルとして指定しない。
交通状況把握部253は、代替ビークルの利用期間における、第1ステーションから目的までの往復路の道路状況を把握する。例えば、NEXCOの提供する道路情報を利用して代替ビークルの利用期間中の交通状態予想を把握する。
公共交通機関検討部255は、交通状況把握部253の把握した交通状況に応じて、公共交通機関の利用の推薦を高めたり、低めたりすることができる。
【0039】
図5に案内装置1のハード構成を示す。
演算部300はCPU301、ROM303及びRAM305を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、第1経路案内部10及び第2経路案内部20として機能する。ROM303は、演算部300を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM305は、キーボード等の入力装置330を介して利用者により予め設定された各種設定値を読み出し可能に格納したり、CPU301に対してワーキングエリアを提供したりする。入力装置330はクエリ取得部3として機能する。演算部300を制御する制御プログラムはROM303に限らずRAM305や第1、第2記憶装置340及び350に格納されていてもよい。
【0040】
第1記憶装置340は地図データ保存部30として機能する。
第2記憶装置350はステーションデータ保存部40として機能する。
第1、第2記憶装置はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバシステムのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
【0041】
データを一時的に保存する、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。
出力装置320はディスプレイや音声出力装置であり提示部5として機能する。
通信インターフェース360を介して、外部のネットワークと通信可能となる。
コンピュータを構成する各装置はシステムバス370で連結されている。
【0042】
図1の利用者乙さんを例にとり、この発明の案内装置1の動作を、
図6~
図8のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップ1では、乙さんが入力したクエリを取得する。このクエリには、シェアカーパーキングP2の出発予定時刻、目的地D2、目的地D2の滞在目的(ドライブの目的)、シェアカーパーキングP2への帰着予定時刻が含まれるものとする。
ステップ3において、乙さんによるクエリの入力がシェアカーサービスを利用するものであるか否かを確認する。クエリの利用がシェアカーサービスの利用を伴わないもの(例えば、レンタカーの利用)のときは、ステップ5へ進む。ステップ5では、第1経路案内部10が出発地から目的地まで第1経路を探索して生成する。生成された第1経路は、ステップ40において、提示部5を介して出力される。
【0043】
乙さんによるシェアカーサービスの利用が確認できたときはステップ10に進む。
ステップ10では、第1ステーションにてシェアカーA2から代替ビークルV2へ乗り換えることが好適であり、かつ可能か否かを判定する。
より具体的には、
図7に示す各ステップを実行する。
ステップ11では、クエリ解析部2111がクエリを解析する。例えば、利用時間が所定時間より短いときは、ステップ11:NOとなり、ステップ5へすすむ。クエリの内容が、ステーションサービスの利用に適したもののとき(ステップ11:YES)、ステップ13へ進む。ステップ13では、経路対比部2113がステーションデータ保存部40の位置データ保存部41のデータを参照して、シェアカーパーキングP2からみて最寄のステーションを抽出する。
【0044】
ステップ15では、経路対比部2113が、上記で抽出された最寄のステーションを中継点としてシェアカーパーキングP2から目的地までの比較経路を探索して、生成する。なお、この機能として、第1経路案内部10の備える汎用的な経路探索機能を利用できる。ステップ15においては、ステップ5と同様に、シェアカーパーキングP2から目的地D2までの、何ら中継点を経ない、第1経路も併せて探索、生成している。
ステップ17では、第1経路と比較経路とを対比する。
【0045】
この対比において、シェアカーパーキングP2から中継点である最寄のステーションまでの距離(及び/又は、移動に要する時間)とシェアカーパーキングP2から目的地D2までの距離(及び/又は、移動に要する時間)が対比され、それぞれ所定の値以下であれば、最寄のステーションの利用が適しているものとして、これを第1ステーションとして採用する(ステップ19:YES)。所定の値として、前者の距離(時間)が後者の距離(時間)の1/50以下とすることができる。
対比の結果、最寄のステーションの利用が適さないもののときは(ステップ19:NO)、ステップ5に進む。
なお、最寄のステーションが、シェアカーパーキングP2からみて目的地D2と反対方向にあるとき、当該最寄のステーションを第1ステーションとして採用しないことができる。換言すれば、シェアカーパーキングP2からみて最寄のステーションが目的地D2に近づくところにあったとき、当該最寄のステーションを第1ステーションとして採用する。反対方向に案内されることは、利用者にとって心理的な抵抗となる場合があるからである。
【0046】
ステップ21では、クエリで特定したシェアカーパーキングP2の出発予定時刻に基づき、第2経路生成部23に備えられたナビゲーション装置の機能を利用して、シェアカーパーキングP2から最寄のステーション(第1ステーション)までの第2経路を生成し、最寄のステーションへの到着時刻T1を演算して特定する。
また、クエリで特定したシェアカーパーキングP2への帰着予定時刻と逆第2経路に要する時間、更に、代替ビークルV2からシェアカーA3への乗り換えに要する時間を考慮して、最寄のステーションへの帰着時刻T2を演算して特定する。
【0047】
ステップ23では、代替ビークル提案部25が、上記で特定した到着時刻T1から帰着時刻T2までの間に利用可能な代替ビークルあるか否かを検索する。利用可能な代替ビークルの空きがないときは(ステップ23:Y)、ステップ5に進む。
利用可能な代替ビークルがあるときは(ステップ23:N)、更に、代替ビークル提案部25のクエリ分析部251は目的地の属性等に基づき、目的地へのドライブに適した代替ビークルを選択する(ステップ25)。
このようにして利用可能な代替ビークルの存在が確認できとき、代替ビークルの予約サイトを開いて利用者に代替ビークルの利用を促す(ステップ27)。なお、ステップ25で選択されたより好適な代替ビークルが推薦上位となるようにする。
【0048】
ステップ29では、代替ビークルの予約の完了を確認する。代替ビークルの予約が完了されたら(ステップ29:YES)、ステップ30(
図6参照)へ進み、あらためて、第2経路生成部23にシェアカーパーキングP2から最寄のステーション(第1ステーション)までの経路を探索、生成させる。
代替ビークルの予約がされないときは(ステップ29:NO)、ステップ5へ進む。
【0049】
ステップ40では、ステップ5で生成された第1経路案又はステップ30で生成された第2経路が保存される。
このように保存された各経路は、乙さんがシェアカーA2を利用するとき、予めシェアカーA2の車載ナビゲーション装置に送信され、案内可能とする。
なお、予約された代替ビークルV2の車載ナビゲーション装置にも予め目的地D2を送信し、第1ステーションから目的地D2までの経路について探索させておくことが好ましい。
【0050】
図8には、代替ビークルとして鉄道を利用するときの例を示す。なお、
図7と同じステップには同じ符号を付して、その説明を省略する。
ステップ111において、最寄のステーションの付近に駅があるか否かを判定する。最寄のステーションの付近に駅があり(ステップ111:YES)、更に当該駅から目的地まで公共交通機関網が繋がっている(ステップ113:YES)のとき、代替ビークル提案部25は、時刻表データ保存部45のデータを参照して、好適な電車を選択する(ステップ115)。このとき、往路の出発到着時刻(最寄のステーション近くの駅の出発時刻、目的地D2近くの駅への到着時刻)及び復路の出発到着時刻(目的地D2近くの駅の出発時刻、最寄のステーション近くの駅への到着時刻)、並びに往復の料金も併せて特定することが好ましい。
【0051】
ステップ117では、ステップ23と同様にして利用可能な代替ビークルの有無を検証する。利用可能な代替ビークル(大型車)が存在しないとき、ステップ5へ進む(ステップ117:Y)。利用可能な代替ビークル(大型車)が存在するときはステップ119へ進む(ステップ117;NO)。
ステップ119では、ステップ27と同様に代替ビークル(大型車)の予約サイトを開く。また、公共交通機関として電車が利用できる場合には、電車の予約サイトを開く。
このとき、代替ビークル(大型車)を利用したときの料金と電車を利用したときの料金とも併せて表示することが好ましい。
【0052】
ステップ120では、代替ビークルの予約の完了を確認する。即ち、電車若しくは代替ビークル(大型車)の何れかの予約が完了されたら(ステップ120:YES)、ステップ30(
図6参照)へ進み、あらためて、第2経路生成部23にシェアカーパーキングP2から最寄のステーション(第1ステーション)までの経路を探索、生成させる。
代替ビークルの予約がされないときは(ステップ120:NO)、ステップ5へ進む。
【0053】
図9には、第1ステーションに加えて第2ステーションの指定し、第1ステーションと第2ステーションとの間で代替ビークルを利用する態様を示す。なお、
図1の例と同じ要素には同じ符号を付してその説明を部分的に省略する。
この例において、乙さんはシェアカーパーキングP2から第1ステーションまでの移動にシェアカーA2を利用する。このシェアカーA2を第1ステーションで乗り捨てて代替ビークルV2に乗り換える。この代替ビークルV2で第2ステーションまで運転し、第2ステーションで乗り捨てて第3ビークルAfに乗り換える。この第3ビークルAfは第2ステーションを最寄のステーションとするシェアカーステーションPfから出発したシェアカーAfであり、第2ステーションで乗り捨てられたものである。
代替ビークルV2は第三者に利用されて第Yステーションへ移動する。この第三者はシェアカーステーションPgよりシェアカーAgを運転して第2ステーションに移動してきた。他の第三者に運転された第Zステーションからの代替ビークルV3が第2ステーションに駐車されている。この他の第三者はシェアカーAgを利用してシェアステーションPhへ移動することができる。
【0054】
乙さんは、シェアカーAfを利用して目的地D2に滞在した後、第2ステーションへ帰着する。そこには、代替ビークルV3が存在するので、乙さんは当該代替ビークルV3を利用して第1ステーションまで戻り、そこに存在するシェアカーAtを利用して、出発地であるシェアカーパーキングP2へ戻ることができる。なおシェアカーAtは第三者がシェアカーステーションPtから第1ステーションまで運転してきてそこで乗り捨てたものである。
図9に示すステーションサービスを実行するにあたり、
図1の案内装置1において、第2経路案内部20と同様な機能を有する第3経路案内部を設ければよいことは当業者であれば容易に想定できよう。
【0055】
本発明は、上記実施形態、実施例、変形例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 案内装置
3 クエリ取得部
5 提示部
21 ステーション特定部
25 代替ビークル提案部
A1、A2、A3、Af、Ag、At シェアカー
D1、D2 目的地
V1、V2、V3 代替ビークル