(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240826BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240826BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240826BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20240826BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240826BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240826BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/02
H04N23/57
H04N23/68
H04N23/50
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2020122046
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-232708(JP,A)
【文献】特開2014-137514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0044368(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0166402(US,A1)
【文献】特開2013-025117(JP,A)
【文献】特開2020-086367(JP,A)
【文献】特開2020-086369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G03B 30/00
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を光軸と交差する第1軸周りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸周りに揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記可動体を前記第1軸周りおよび前記第2軸周りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、
前記可動体から引き出されるフレキシブルプリント基板と、を有し、
前記光軸と直交する方向を第1方向とし、前記光軸と直交し且つ前記第1方向と直交する方向を第2方向とする場合に、
前記固定体は、前記可動体に対して前記第1方向で離間した基板固定部を備え、
前記フレキシブルプリント基板は、
前記可動体と前記基板固定部との間で前記光軸と交差する仮想平面内に配置される平面部と、前記基板固定部に固定される被固定部と、を備え、
前記平面部は、前記仮想平面内で湾曲した湾曲部を備え、
前記被固定部は、前記基板固定部に当接することにより前記光軸方向に位置決めされ、
前記基板固定部は、前記被固定部を固定可能な固定可能領域を備え、
前記固定可能領域の前記第2方向の幅は、前記被固定部の前記第2方向の幅よりも大きいことを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記固定可能領域の前記第1方向の幅は、前記被固定部の前記第1方向の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記平面部は、前記第1方向に対して傾斜し、
前記基板固定部は、前記被固定部が当接する固定面を備え、前記固定面は、前記平面部と同一方向に傾斜することを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記平面部は、前記第1方向において前記可動体に近づくに従って、前記光軸方向において前記可動体の揺動中心が位置する側に向かう方向に傾斜することを特徴とする請求項
3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記仮想平面と前記光軸との交点は、前記可動体の揺動中心と一致することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記平面部は、前記第1軸もしくは前記第2軸と交差することを特徴とする請求項1から
4の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記湾曲部は、前記仮想平面内において逆向きに湾曲した第1湾曲部および第2湾曲部を備え、
前記平面部は、前記第1方向に延びる第1直線部、前記第1直線部から湾曲した前記第1湾曲部、前記第1湾曲部から前記第1直線部と略平行に延びる第2直線部、前記第2直線部から
前記第1湾曲部と逆向きに湾曲した前記第2湾曲部、前記第2湾曲部から前記第2直線部と略平行に延びる第3直線部、を備えることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記フレキシブルプリント基板は、
前記可動体から前記基板固定部が位置する側へ延びる引き出し部と、前記引き出し部から前記光軸方向で前記可動体の揺動中心に近づく方向へ曲げられた第1曲げ部と、前記第1曲げ部と前記平面部との間で前記仮想平面に沿う方向へ曲げられた第2曲げ部と、を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記第1曲げ部および前記第2曲げ部を保持する曲げ補助部材を備えることを特徴とする請求項8に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュールを揺動させて振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、光学モジュールが搭載される可動体を揺動あるいは回転させて振れを補正する機構を備えるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが開示される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、固定体に対して可動体を光軸と交差する回転軸(X軸、Y軸)周りに回転可能に支持する揺動支持機構を有する。可動体からは、光学モジュールに接続されるフレキシブルプリント基板(フレキシブル配線基板)が引き出される。フレキシブルプリント基板の端部(固定端)は、固定体に設けられた位置決め部に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
振れ補正機能付き光学ユニットでは、可動体は、フレキシブルプリント基板を撓ませながら揺動する。このとき、フレキシブルプリント基板が備えるバネ性によって、可動体の動きが阻害され、可動体を揺動させるための負荷が増大することがある。特許文献1では、フレキシブルプリント基板を撓みやすくするため、光軸方向から見て重なるように折り返した形状に引き回している。
【0006】
しかしながら、フレキシブルプリント基板を複数回折り返す作業は手間がかかり、多くのタクトタイムを要している。また、曲げ形状を安定させるために治具を用いたり、曲げ後の変形を防ぐための処理を行う工程が必要となっている。
【0007】
また、フレキシブルプリント基板の折り曲げ寸法がばらつくと、フレキシブルプリント基板の固定端の位置がばらつく。従来、フレキシブルプリント基板の固定端を固定体に固定する際、固定端に設けた位置決め用の凹部や穴を固定体の位置決め部に嵌合させているが、固定端の位置がばらついている状態で無理に凹部や穴を嵌合させると、フレキシブルプリント基板に突っ張りや変形が生じる。その結果、フレキシブルプリント基板から可動体に力が加わるので、可動体の初期位置がずれたり、可動体の滑らかな動きが阻害される。そのため、安定したアクチュエータ特性が得られないという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、フレキシブルプリント基板に起因する可動体の揺動負荷の増大およびアクチュエータ特性の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を光軸と交差する第1軸周りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する
第2軸周りに揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記可動体を前記第1軸周りおよび前記第2軸周りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、前記可動体から引き出されるフレキシブルプリント基板と、を有し、前記光軸と直交する方向を第1方向とし、前記光軸と直交し且つ前記第1方向と直交する方向を第2方向とする場合に、前記固定体は、前記可動体に対して前記第1方向で離間した基板固定部を備え、前記フレキシブルプリント基板は、前記可動体と前記基板固定部との間で前記光軸と交差する仮想平面内に配置される平面部と、前記基板固定部に固定される被固定部と、を備え、前記平面部は、前記仮想平面内で湾曲した湾曲部を備え、前記被固定部は、前記基板固定部に当接することにより前記光軸方向に位置決めされ、前記基板固定部は、前記被固定部を固定可能な固定可能領域を備え、前記固定可能領域の前記第2方向の幅は、前記被固定部の前記第2方向の幅よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、可動体に接続されるフレキシブルプリント基板は、光軸と交差する仮想平面内に配置される平面部を備えており、平面部は、前記仮想平面内で湾曲した湾曲部を備えている。従って、フレキシブルプリント基板を折り返す作業を行わずに撓みやすい形状が得られるので、フレキシブルプリント基板の加工手間を削減できる。また、固定体に設けられた基板固定部の固定可能領域は、フレキシブルプリント基板に設けられた被固定部よりも第2方向の幅が大きい。従って、基板固定部にフレキシブルプリント基板を固定する際、被固定部の位置を第2方向にずらすことによってフレキシブルプリント基板の突っ張りや変形を抑制できる。これにより、フレキシブルプリント基板を自然な状態にすることができるため、フレキシブルプリント基板の形状精度の低下によって可動体に意図しない力が加わることを抑制できる。よって、フレキシブルプリント基板に起因する可動体の揺動負荷の増大およびアクチュエータ特性の低下を抑制できる。
【0011】
本発明において、前記固定可能領域の前記第1方向の幅は、前記被固定部の前記第1方向の幅よりも大きいことが好ましい。このようにすると、基板固定部にフレキシブルプリント基板を固定する際、被固定部の位置を第1方向にずらすことによってフレキシブルプリント基板の突っ張りや変形を抑制でき、フレキシブルプリント基板を自然な状態にすることができる。よって、フレキシブルプリント基板に起因する可動体の揺動負荷の増大およびアクチュエータ特性の低下を抑制できる。
【0012】
本発明において、前記平面部は、前記第1方向に対して傾斜し、前記基板固定部は、前記被固定部が当接する固定面を備え、前記固定面は、前記平面部と同一方向に傾斜することが好ましい。このようにすると、平面部と被固定部の傾きを同一にすることができるので、平面部と被固定部を曲げずに配置できる。これにより、フレキシブルプリント基板を自然な状態で配置できるので、フレキシブルプリント基板から可動体に意図しない力が加わることを抑制できる。また、フレキシブルプリント基板が固定体に干渉するおそれを少なくすることができる。
【0013】
本発明において、前記平面部は、前記第1方向において前記可動体に近づくに従って、前記光軸方向において前記可動体の揺動中心が位置する側に向かう方向に傾斜することが好ましい。このようにすると、フレキシブルプリント基板が配置される仮想平面と可動体の揺動中心との距離を小さくすることができる。従って、フレキシブルプリント基板が撓むことによる、可動体の揺動負荷の増大を抑制できる。
【0014】
本発明において、前記仮想平面と前記光軸との交点は、前記可動体の揺動中心と一致することが好ましい。このようにすると、フレキシブルプリント基板が撓むことによる、可動体の揺動負荷の増大を抑制できる。
【0015】
本発明において、前記平面部は、前記第1軸および前記第2軸と交差することが好まし
い。このようにすると、可動体が第1軸回りおよび第2軸回りに揺動する際に、可動体の動きに追従して平面部が撓む際の負荷が少ない。従って、フレキシブルプリント基板が撓むことによる、可動体の揺動負荷の増大を抑制できる。
【0016】
本発明において、前記湾曲部は、前記仮想平面内において逆向きに湾曲した第1湾曲部および第2湾曲部を備え、前記平面部は、前記第1方向に延びる第1直線部、前記第1直線部から逆向きに湾曲した前記第1湾曲部、前記第1湾曲部から前記第1直線部と略平行に延びる第2直線部、前記第2直線部から逆向きに湾曲した前記第2湾曲部、前記第2湾曲部から前記第2直線部と略平行に延びる第3直線部、を備えることが好ましい。このように、フレキシブルプリント基板の平面形状を蛇行状にすることで、光軸に交差する第1軸回りおよび第2軸回りに可動体が揺動するときにフレキシブルプリント基板を撓みやすくすることができる。従って、可動体の揺動負荷の増大を抑制できる。
【0017】
本発明において、前記フレキシブルプリント基板は、前記可動体から前記基板固定部が位置する側へ延びる引き出し部と、前記引き出し部から前記光軸方向で前記可動体の揺動中心に近づく方向へ曲げられた第1曲げ部と、前記第1曲げ部と前記平面部との間で前記仮想平面に沿う方向へ曲げられた第2曲げ部と、を備えることが好ましい。このようにすると、フレキシブルプリント基板の光軸方向の位置を可動体の揺動中心に近づけることができる。従って、フレキシブルプリント基板が撓むことによる、可動体の揺動負荷の増大を抑制できる。
【0018】
本発明において、前記第1曲げ部および前記第2曲げ部を保持する曲げ補助部材を備えることが好ましい。このようにすると、第1曲げ部および第2曲げ部の形状を維持できるため、平面部93の光軸方向の位置を可動体の揺動中心に近づけた状態でフレキシブルプリント基板の形状を維持しやすい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可動体に接続されるフレキシブルプリント基板は、光軸と交差する仮想平面内に配置される平面部を備えており、平面部は、前記仮想平面内で湾曲した湾曲部を備えている。従って、フレキシブルプリント基板を折り返す作業を行わずに撓みやすい形状が得られるので、フレキシブルプリント基板の加工手間を削減できる。また、固定体に設けられた基板固定部の固定可能領域は、フレキシブルプリント基板に設けられた被固定部よりも第2方向の幅が大きい。従って、基板固定部にフレキシブルプリント基板を固定する際、被固定部の位置を第2方向にずらすことによってフレキシブルプリント基板の突っ張りや変形を抑制できる。これにより、フレキシブルプリント基板を自然な状態にすることができるため、フレキシブルプリント基板の形状精度の低下によって可動体に意図しない力が加わることを抑制できる。よって、フレキシブルプリント基板に起因する可動体の揺動負荷の増大およびアクチュエータ特性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
【
図3】振れ補正機能付き光学ユニットをXZ平面で切断した断面図である。
【
図4】ベースを取り外した振れ補正機能付き光学ユニットを像側から見た底面図である。
【
図5】ベースを取り外した振れ補正機能付き光学ユニットを像側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。
図2は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。
図3は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXZ平面で切断した断面図である。
図4は、ベース20を取り外した振れ補正機能付き光学ユニット1を像側から見た底面図である。
図5は、ベース20を取り外した振れ補正機能付き光学ユニット1を像側から見た斜視図である。
【0023】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子3(
図3参照)を備えた光学モジュール4を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、光学モジュール4の傾きを補正する。
【0024】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4が備えるレンズ2の光軸Lと直交する第1軸R1(
図2参照)回りに光学モジュール4を回転させるとともに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2(
図2参照)回りに光学モジュール4を回転させて振れ補正を行う。本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、ピッチング補正およびヨーイング補正を行う。
【0025】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。Z軸は光軸Lと一致する。X軸およびY軸を含む平面をXY平面とした場合に、第1軸R1および第2軸R2は、XY平面上に位置する。第1軸R1および第2軸R2は、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0026】
また、以下の説明では、X軸、Y軸、Z軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とし、Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とし、Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。X軸方向は第1方向であり、Y軸方向は第2方向である。Z軸方向は、光軸Lに沿った光軸方向である。-Z方向は、光学モジュール4の像側であり、+Z方向は、光学モジュール4の被写体側である。また、第1軸R1に沿った方向を第1軸R1方向、第2軸R2に沿った方向を第2軸R2方向とする。
【0027】
図1、
図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4を備える可動体5と、ジンバル機構7と、ジンバル機構7を介して可動体5を支持する固定体8と、振れ補正用駆動機構6と、フレキシブルプリント基板9、10を備える。フレキシブルプリント基板9は可動体5に接続される。振れ補正用駆動機構6への給電用のフレキシブルプリント基板10は、固定体8に固定される。
【0028】
ジンバル機構7は、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに揺動可能に支持する揺動支持機構である。可動体5は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りのピッチ方向、および、Y軸回りのヨー方向に回転可能である。
【0029】
振れ補正用駆動機構6は、可動体5に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補
正用駆動機構6Xと、可動体5に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用駆動機構6Yを備える。
図4に示すように、本形態では、第1振れ補正用駆動機構6Xは、可動体5の-Y方向に配置される。第2振れ補正用駆動機構6Yは、可動体5の-X方向に配置される。
【0030】
(可動体)
図3に示すように、可動体5は、光学モジュール4と、光学モジュール4を囲む金属製のホルダ15を備える。光学モジュール4は、ホルダ15の中央から+Z方向に突出する鏡筒4aを備えており、鏡筒4aにレンズ2が保持される。光学モジュール4の-Z方向の端部には、基板30が配置される。
【0031】
フレキシブルプリント基板9は、撮像素子3が搭載される基板30に接続され、光学モジュール4の-Z方向の端部から+X方向に引き出される。ホルダ15は、可動体5の+Y方向の側面を構成するホルダ側壁14の-Z方向の縁を切り欠いたホルダ切欠き部13を備える。フレキシブルプリント基板9は、ホルダ切欠き部13を通って可動体5の+X方向に引き出されている。
【0032】
図3、
図4に示すように、可動体5の-Y方向の側面には、第1マグネット61Xが固定される。また、可動体5の-X方向の側面には、第2マグネット61Yが固定される。第1マグネット61Xおよび第2マグネット61Yは、Z軸方向に分極着磁されている。
図4に示すように、ホルダ15における第1軸R1方向の対角部分には、それぞれ、ジンバルフレーム受け部材16が固定される。
【0033】
(固定体)
図2、
図3に示すように、固定体8は、可動体5の外周側を囲むケース19と、ケース19に-Z方向から固定されたベース20と、ケース19に+Z方向から被さるカバー21を備える。ケース19、ベース20、およびカバー21は金属製である。ケース19は、ベース20とカバー21との間に収容される。
図1、
図3に示すように、可動体5およびジンバル機構7の一部は、カバー21の開口部21aから+Z方向に突出している。
【0034】
また、固定体8は、可動体5から+Y方向に引き出されたフレキシブルプリント基板9に+Z方向から被さる配線ケース22を備える。配線ケース22は樹脂製である。ベース20は、ケース19から+X方向に延びており、配線ケース22を-Z方向から覆っている。
図3に示すように、フレキシブルプリント基板9は、ベース20と配線ケース22との間に収容される。
【0035】
図4、
図5に示すように、配線ケース22のY軸方向の両端には、X軸方向に延びる一対の側壁25、26が配置される。配線ケース22は、側壁25、26の-X方向の端部に繋がる側壁27と、側壁25、26の+X方向の端部に繋がる基板固定部80を備える。フレキシブルプリント基板9は、Y軸方向に延びる側壁27の-Z方向の縁を切り欠いた切欠き部28に通され、一対の側壁25、26の間に引き出されている。
【0036】
側壁25、26、27は、配線ケース22の+Z方向の端部に配置される端板部29の外周縁から-Z方向へ突出する。端板部29の+X方向の縁からは、基板固定部80が-Z方向へ突出する。後述するように、フレキシブルプリント基板9は、基板固定部80に固定される。
【0037】
図3、
図4に示すように、ケース19の-Y方向の側面には、第1コイル62Xが固定される。また、ケース19の-X方向の側面には、第2コイル62Yが固定される。
図2に示すように、第1コイル62Xおよび第2コイル62Yは、周方向に長い長円形の空芯
コイルである。第1コイル62Xおよび第2コイル62Yは、フレキシブルプリント基板10に電気的に接続される。フレキシブルプリント基板10は、ケース19の-X方向の側面および-Y方向の側面に沿って引き回され、ケース19の-Y方向の側面から配線ケース22の-Y方向の側面へ延びて、配線ケース22の端板部29に配置される給電基板11に接続される。
【0038】
図2、
図4に示すように、ケース19における第2軸R2方向の対角部分には、それぞれ、ジンバルフレーム受け部材16が固定される。ケース19に固定されるジンバルフレーム受け部材16は、可動体5のホルダ15に固定されるジンバルフレーム受け部材16と同一部材であり、径方向内側へ突出する凸曲面(図示省略)を備えている。
【0039】
図2、
図3に示すように、ケース19は、可動体5の+X方向に配置されるケース側壁18の-Z方向の縁を切り欠いたケース切欠き部17を備える。可動体5から引き出されたフレキシブルプリント基板9は、ケース切欠き部17および配線ケース22の切欠き部28を通って配線ケース22の内部へ延びており、配線ケース22から+X方向へ引き出されている。
【0040】
(ジンバル機構)
図2~
図4に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルフレーム70と、第1接続機構71と、第2接続機構72を備える。第1接続機構71は、ジンバルフレーム70と可動体5とを第1軸R1回りに回転可能に接続する。第2接続機構72は、ジンバルフレーム70とケース19とを第2軸R2回りに回転可能に接続する。ジンバル機構7が構成されると、可動体5は、光軸L、第1軸R1、および第2軸R2が交差する交点である揺動中心P(
図3参照)を中心に揺動可能となる。
【0041】
ジンバルフレーム70は、金属製の板バネからなる。
図3、
図4に示すように、ジンバルフレーム70は、鏡筒4aが配置される開口部73を備えたジンバルフレーム本体部74と、ジンバルフレーム本体部74から第1軸R1方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第1ジンバルフレーム延設部75と、ジンバルフレーム本体部74から第2軸R2方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第2ジンバルフレーム延設部76とを備える。
【0042】
第1接続機構71は、ホルダ15における第1軸R1方向の対角部分に固定されたジンバルフレーム受け部材16と、一対の第1ジンバルフレーム延設部75によって構成される。各ジンバルフレーム受け部材16は、径方向内側へ突出する凸曲面(図示省略)を備えている。一方、各第1ジンバルフレーム延設部75の先端には、それぞれ、径方向内側へ凹む凹曲面が設けられている。各ジンバルフレーム受け部材16とホルダ15との隙間に第1ジンバルフレーム延設部75を挿入して凹曲面に凸曲面を点接触させることにより、第1接続機構71が構成される。
【0043】
第2接続機構72は、ケース19における第2軸R2方向の対角部分に固定されたジンバルフレーム受け部材16と、一対の第2ジンバルフレーム延設部76によって構成される。各ジンバルフレーム受け部材16は、径方向内側へ突出する凸曲面(図示省略)を備えている。一方、各第1ジンバルフレーム延設部75は、それぞれ、径方向内側へ凹む凹曲面を備えている。各ジンバルフレーム受け部材16とケース19との隙間に第2ジンバルフレーム延設部76を挿入して凹曲面に凸曲面を点接触させることにより、第2接続機構72が構成される。
【0044】
(振れ補正用駆動機構)
ジンバル機構7が構成されると、可動体5の-Y方向の側面に固定された第1マグネッ
ト61Xとケース19に固定された第1コイル62Xとが第1振れ補正用駆動機構6Xを構成する。従って、第1コイル62Xへの給電により、可動体5は、X軸回りに回転する。また、可動体5の-X方向の側面に固定された第2マグネット61Yとケース19に固定された第2コイル62Yとが第2振れ補正用駆動機構6Yを構成する。従って、第2コイル62Yへの給電により、可動体5はY軸回りに回転する。振れ補正用駆動機構6は、第1振れ補正用駆動機構6Xによる可動体5のX軸回りの回転と、第2振れ補正用駆動機構6Yによる可動体5のY軸回りの回転とを合成して、可動体5を第1軸R1回り、および第2軸R2回りに回転させる。
【0045】
(フレキシブルプリント基板)
図3に示すように、フレキシブルプリント基板9は、可動体5の底部から+X方向に引き出される引き出し部91、引き出し部91から+X方向および+Z方向に対して傾斜した方向へ延びる傾斜部92、傾斜部92から+X方向へ延びる平面部93、平面部93の+X方向の端部に接続される第1基板94、第1基板94から+X方向へ延びる延伸部95、延伸部95の先端に接続される第2基板96を備える。フレキシブルプリント基板9は、延伸部95および第2基板96が配線ケース22から+X方向へ引き出されている。第2基板96は、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される光学機器に接続される外部接続用の基板である。
【0046】
図2に示すように、フレキシブルプリント基板9は、第1基板94の+Y方向の端部から+Z方向へ延びる分岐部97と、分岐部97の先端に接続される第3基板98を備える。
図1に示すように、分岐部97は、配線ケース22の+X方向の側面に設けられた溝部23とベース20の+X方向の端部に設けられた立ち上がり部24との隙間から+Z方向へ引き出されている。第3基板98は配線ケース22の端板部29に配置され、-Y方向の端部が給電基板11に重なる。上記のように、給電基板11は、振れ補正用駆動機構6への給電用のフレキシブルプリント基板10に接続される。従って、第3基板98に設けられた端子と給電基板11に設けられた端子とを接続することにより、フレキシブルプリント基板9を介してフレキシブルプリント基板10に給電される。
【0047】
フレキシブルプリント基板9は、第1基板94、第2基板96、および第3基板98がガラスエポキシ樹脂等からなるリジッド基板であり、他の部分(引き出し部91、傾斜部92、平面部93、延伸部95、分岐部97)はポリイミド樹脂等からなる可撓性基板90(
図3参照)である。
【0048】
図3に示すように、本形態では、フレキシブルプリント基板9において可撓性基板90からなる部分は、多層構造である。ここで、多層構造とは、複数の層が積層されるすべてを含む。本形態では、可撓性基板90は第1層901、第2層902、第3層903からなる3層の積層構造であるが、層数は3に限定されない。また、各層は、片面側のみに配線が形成される構成と、両面に配線が形成される構成のどちらでもよい。本形態では、各層は他の層と接着されていない非接着領域を備えているが、非接着領域を備えていなくてもよい。
【0049】
図3に示すように、フレキシブルプリント基板9は、引き出し部91と傾斜部92とを繋ぐ第1曲げ部B1と、傾斜部92と平面部93とを繋ぐ第2曲げ部B2を備える。第1曲げ部B1と第2曲げ部B2は、鈍角をなす形状に曲げられている。第1曲げ部B1と第2曲げ部B2の2か所で可撓性基板を曲げたことにより、フレキシブルプリント基板9は、引き出し部91に対して可動体5の揺動中心Pが位置する側(すなわち、+Z方向)に平面部93が配置される。引き出し部91に対して+Z方向に平面部93が位置していれば、可動体5が揺動して-Z方向に傾いたときに、フレキシブルプリント基板9がベース20に干渉しにくい。
【0050】
図3に示すように、平面部93は、光軸Lに対して交差する仮想平面V内に配置される。本形態では、仮想平面Vと光軸Lとの交点が可動体5の揺動中心Pと一致する。従って、フレキシブルプリント基板9は、揺動中心Pを中心として可動体5が揺動する際に、平面部93を撓ませるための負荷が小さい形状になっている。
【0051】
平面部93は、X軸方向に対してわずかに傾斜しており、その傾斜方向は、可動体5に近づくに従って被写体側(+Z方向)へ向かう方向である。本形態では、平面部93が傾いていることによって、平面部93が配置される仮想平面Vと光軸Lとの交点が揺動中心Pと一致する状態が形成されている。
【0052】
フレキシブルプリント基板9は、固定体8に固定される被固定部を備える。本形態では、第1基板94が被固定部である。
図3に示すように、固定体8は、可動体5に対してX軸方向で離間した基板固定部80を備えており、第1基板94(被固定部)は、基板固定部80に固定される。可動体5は、基板固定部80と可動体5との間に設けられた平面部93を撓ませながら揺動する。
【0053】
図4、
図5に示すように、基板固定部80は、配線ケース22の+X方向の端部においてY方向に延びている。基板固定部80は、第1基板94を固定可能な固定可能領域を備える。本形態では、固定可能領域は、基板固定部80の-Z方向の先端に設けられた固定面81である。第1基板94は、固定面81に対して-Z方向から当接することによってZ軸方向に位置決めされる。
【0054】
図3に示すように、固定面81は、X軸方向に対してわずかに傾斜しており、その傾斜角度は、平面部93の傾斜角度と同一である。フレキシブルプリント基板9は、平面部93と第1基板94が一直線に延びており、第1基板94は、平面部93が配置される仮想平面V上に配置される。
【0055】
図4に示すように、固定面81は、Y軸方向(第2方向)の幅D1が第1基板94のY軸方向の幅D0よりも大きい。従って、第1基板94を基板固定部80に固定する際、固定面81のY軸方向の幅D1の範囲内で、第1基板94の固定位置をY軸方向にずらすことが可能である。また、固定面81は、X軸方向(第1方向)の幅D3が第1基板94のX軸方向の幅D2よりも大きい。従って、第1基板94を基板固定部80に固定する際、固定面81のX軸方向の幅D3の範囲内で、第1基板94の固定位置をX軸方向にずらすことが可能である。
【0056】
図4、
図5に示すように、平面部93は、仮想平面V内で湾曲する湾曲部を備える。本形態では、第1湾曲部931および第2湾曲部932の2つの湾曲部を備える。平面部93は仮想平面V内で2回逆向きに曲げられてY軸方向に蛇行して延びている。平面部93は、第2曲げ部B2を介して傾斜部92と繋がる第1直線部933、第1直線部933から逆向きに湾曲した第1湾曲部931、第1湾曲部931から第1直線部933と略平行に延びる第2直線部934、第2直線部934から逆向きに湾曲した第2湾曲部932、第2湾曲部932から第2直線部934と略平行に延びる第3直線部935、を備える。
【0057】
(曲げ補助部材)
図6(a)は、曲げ補助部材100の斜視図である。
図6(b)は、曲げ補助部材100の側面図である。フレキシブルプリント基板9の傾斜部92には、第1曲げ部B1と第2曲げ部B2を保持して曲げ形状を維持させる曲げ補助部材100が取り付けられている。本形態では、曲げ補助部材100は板金部材である。曲げ補助部材100は、傾斜部92および引き出し部91を-Z方向から支持する第1屈曲板110と、傾斜部92および
平面部93を+Z方向から支持する第2屈曲板120と、第1屈曲板110と第2屈曲板120とを接続する湾曲状の折り返し部130を備える。
【0058】
第1屈曲板110は、傾斜部92に沿う第1傾斜板111と、第1傾斜板111に対して鈍角をなすように屈曲した第1支持板112を備える。第2屈曲板120は、傾斜部92に沿う第2傾斜板121と、第2傾斜板121に対して鈍角をなすように屈曲した第2支持板122を備える。第1傾斜板111と第2傾斜板121は、傾斜部92を挿入可能な隙間を開けて対向する。折り返し部130は、第1傾斜板111と第2傾斜板121の一方の側端を接続する。第1傾斜板111と第2傾斜板121の他方の側端には、傾斜部92の挿入をガイドするガイド部114、124が設けられている。
【0059】
第1支持板112は、第1傾斜板111の-Z方向の端部から-X方向へ延びており、第2支持板122は、第2傾斜板121の+Z方向の端部から+X方向へ延びている。第1傾斜板111の+Z方向の端部には、第2傾斜板121とは反対側に略直角に屈曲した第1折り曲げ部113が設けられている。第2傾斜板121の-Z方向の端部には第1傾斜板111とは反対側に略直角に屈曲した第2折り曲げ部123が設けられている。
【0060】
曲げ補助部材100は、第1支持板112に対する第1傾斜板111の屈曲角度が、第1曲げ部B1の屈曲角度と一致し、第2支持板122に対する第2傾斜板121の屈曲角度が、第2曲げ部B2の屈曲角度と一致する。従って、第1傾斜板111と第2傾斜板121の隙間に傾斜部92を挿入して挟持させることで、第1曲げ部B1の曲げ形状が第1支持板112によって維持されるとともに、第2曲げ部B2の曲げ形状が第2支持板122によって維持される。
【0061】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4を備える可動体5と、固定体8と、固定体8に対して可動体5を光軸Lと交差する第1軸R1周りに揺動可能に支持すると共に、可動体5を光軸Lおよび第1軸R1と交差する第2軸R2周りに揺動可能に支持するジンバル機構7と、可動体5を第1軸R1周りおよび第2軸R2周りに揺動させる振れ補正用駆動機構6と、可動体5から引き出されるフレキシブルプリント基板9と、を有する。光軸Lと直交する方向をX軸方向(第1方向)とし、光軸Lと直交し且つX軸方向(第1方向)と直交する方向をY軸方向(第2方向)とする場合に、固定体8は、可動体5に対してX軸方向(第1方向)で離間した基板固定部80を備える。フレキシブルプリント基板9は、可動体5と基板固定部80との間で光軸Lと交差する仮想平面V内に配置される平面部93と、基板固定部80に固定される第1基板94(被固定部)と、を備える。平面部93は、仮想平面V内で湾曲した湾曲部(第1湾曲部931、第2湾曲部932)を備え、第1基板94(被固定部)は、基板固定部80に当接することにより光軸方向に位置決めされる。基板固定部80は、第1基板94(被固定部)を固定可能な固定可能領域(固定面81)を備え、固定可能領域(固定面81)のY軸方向(第2方向)の幅D1は、第1基板94(被固定部)のY軸方向(第2方向)の幅D0よりも大きい。
【0062】
このように、本形態では、フレキシブルプリント基板9が光軸Lと交差する仮想平面V内に配置される平面部93を備えており、平面部93は、仮想平面V内で湾曲した湾曲部(第1湾曲部931、第2湾曲部932)を備える。このような構成では、可動体5が揺動する際に平面部93が容易に撓むため、可動体5の動きが阻害されにくい。従って、可動体5を揺動させる際の揺動負荷の増大を抑制できる。また、フレキシブルプリント基板9を折り返す作業を行わなくとも撓みやすい基板形状が得られるので、フレキシブルプリント基板9の加工手間を削減できる。
【0063】
また、本形態では、固定体8に設けられた基板固定部80の固定可能領域(固定面81)は、フレキシブルプリント基板9に設けられた第1基板94(被固定部)よりもY軸方向(第2方向)の幅が大きい。従って、基板固定部80にフレキシブルプリント基板9を固定する際、第1基板94(被固定部)の位置をY軸方向(第2方向)にずらすことによってフレキシブルプリント基板9の突っ張りや変形を抑制でき、フレキシブルプリント基板9を自然な状態にすることができる。従って、フレキシブルプリント基板9の形状精度の低下によって可動体5に意図しない力が加わることを抑制できる。よって、フレキシブルプリント基板9の形状精度の低下に起因するアクチュエータ特性の低下を抑制できる。例えば、可動体5の初期位置がずれたり、可動体5の滑らかな動きが阻害されるおそれが少ない。また、可動体5の揺動負荷を抑制できるので、振れ補正を行う際の消費電流を少なくすることができる。
【0064】
本形態では、フレキシブルプリント基板9の第1基板94(被固定部)が固定される固定可能領域(固定面81)のX軸方向(第1方向)の幅D3は、第1基板94(被固定部)のX軸方向(第1方向)の幅D2よりも大きい。従って、基板固定部80にフレキシブルプリント基板9を固定する際、第1基板94(被固定部)の位置をX軸方向(第1方向)にずらすことによってフレキシブルプリント基板9の突っ張りや変形を抑制できる。よって、フレキシブルプリント基板9の形状精度の低下に起因するアクチュエータ特性の低下を抑制できる。
【0065】
本形態では、フレキシブルプリント基板9の平面部93は、X軸方向(第1方向)に対して傾斜する。また、基板固定部80は、第1基板94(被固定部)が当接する固定面81を備え、固定面81は、平面部93と同一方向に傾斜する。従って、固定面81に固定される第1基板94(被固定部)の傾きを平面部93の傾きと同一にすることができるので、平面部93と第1基板94(被固定部)を曲げずに一直線に配置できる。これにより、フレキシブルプリント基板9の変形を抑制できるので、フレキシブルプリント基板9から可動体5に意図しない力が加わることを抑制できる。また、フレキシブルプリント基板9が固定体8に干渉するおそれを少なくすることができる。
【0066】
本形態では、フレキシブルプリント基板9の平面部93は、X軸方向(第1方向)において可動体5に近づくに従って、光軸方向において可動体5の揺動中心Pが位置する側に向かう方向(すなわち、+Z方向)に傾斜する。このような方向に傾斜していれば、フレキシブルプリント基板9が配置される仮想平面Vと可動体5の揺動中心Pとの距離を小さくすることができる。従って、フレキシブルプリント基板9が撓むことによる、可動体5の揺動負荷の増大を抑制できる。
【0067】
本形態では、仮想平面Vと光軸Lとの交点は、可動体5の揺動中心Pと一致しているため、フレキシブルプリント基板9が撓むことによる、可動体5の揺動負荷の増大を抑制できる。なお、仮想平面Vと光軸Lとの交点は、可動体5の揺動中心Pと一致していなくてもよいが、仮想平面Vと光軸Lとの交点は、揺動中心Pに近いことが好ましい。また、平面部93が第1軸R1および第2軸R2と交差することが好ましい。平面部93が第1軸R1および第2軸R2と交差する場合には、可動体5が第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに揺動する際に、可動体5の動きに追従して平面部93が撓む際の負荷が少ない。従って、フレキシブルプリント基板9が撓むことによる、可動体5の揺動負荷の増大を抑制できる。
【0068】
本形態では、フレキシブルプリント基板9の平面部93は、仮想平面V内において逆向きに湾曲した第1湾曲部931および第2湾曲部932を備える。より詳細には、平面部93は、X軸方向(第1方向)に延びる第1直線部933、第1直線部933から逆向きに湾曲した第1湾曲部931、第1湾曲部931から第1直線部933と略平行に延びる
第2直線部934、第2直線部934から逆向きに湾曲した第2湾曲部932、第2湾曲部932から第2直線部934と略平行に延びる第3直線部935、を備える。このように、フレキシブルプリント基板9の平面形状を蛇行状にすることで、光軸Lに交差する第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに可動体5が揺動するときにフレキシブルプリント基板9が撓みやすくすることができる。従って、可動体5の揺動負荷の増大を抑制できる。なお、平面部93は、2回逆向きに曲げられた形状に限定されるものではなく、1回逆向きに曲げられた形状、もしくは、3回以上逆向きに曲げられた形状であってもよい。
【0069】
本形態では、フレキシブルプリント基板9は、可動体5から基板固定部80が位置する側(+X方向)へ延びる引き出し部91と、引き出し部91から光軸方向で可動体5の揺動中心Pに近づく方向(+Z方向)へ曲げられた第1曲げ部B1と、第1曲げ部B1と平面部93との間で仮想平面Vに沿う方向へ曲げられた第2曲げ部B2と、を備える。このように、2か所に曲げ部を設けることにより、フレキシブルプリント基板9の光軸方向の位置を可動体5の揺動中心Pに近づけることができる。従って、フレキシブルプリント基板9が撓むことによる、可動体5の揺動負荷の増大を抑制できる。
【0070】
本形態では、フレキシブルプリント基板9の第1曲げ部B1および第2曲げ部B2を保持する曲げ補助部材100を備えるため、第1曲げ部B1および第2曲げ部B2の形状を維持できる。従って、平面部93の光軸方向の位置を可動体5の揺動中心Pに近づけた状態でフレキシブルプリント基板9の形状を維持しやすい。
【0071】
(他の実施形態)
上記形態は、可動体5をピッチング方向およびヨーイング方向に揺動させて2軸回りの振れ補正を行う形態であったが、本発明は、可動体5を3軸回りに揺動させる振れ補正機能付き光学ユニットに適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…撮像素子、4…光学モジュール、4a…鏡筒、5…可動体、6…振れ補正用駆動機構、6X…第1補正用駆動機構、6Y…第2補正用駆動機構、7…ジンバル機構、8…固定体、9、10…フレキシブルプリント基板、11…給電基板、13…ホルダ切欠き部、14…ホルダ側壁、15…ホルダ、16…ジンバルフレーム受け部材、17…ケース切欠き部、18…ケース側壁、19…ケース、20…ベース、21…カバー、21a…開口部、22…配線ケース、23…溝部、24…立ち上がり部、25、26、27…側壁、28…切欠き部、29…端板部、30…基板、61X…第1マグネット、61Y…第2マグネット、62X…第1コイル、62Y…第2コイル、70…ジンバルフレーム、71…第1接続機構、72…第2接続機構、73…開口部、74…ジンバルフレーム本体部、75…第1ジンバルフレーム延設部、76…第2ジンバルフレーム延設部、80…基板固定部、81…固定面(固定可能領域)、90…可撓性基板、91…引き出し部、92…傾斜部、93…平面部、94…第1基板、95…延伸部、96…第2基板、97…分岐部、98…第3基板、100…曲げ補助部材、110…第1屈曲板、111…第1傾斜板、112…第1支持板、113…第1折り曲げ部、114…第1ガイド部、120…第2屈曲板、121…第2傾斜板、122…第2支持板、123…第2折り曲げ部、124…第2ガイド部、130…折り返し部、901…第1層、902…第2層、903…第3層、931…第1湾曲部、932…第2湾曲部、933…第1直線部、934…第2直線部、935…第3直線部、B1…第1曲げ部、B2…第2曲げ部、L…第光軸、P…揺動中心、R1…第1軸、R2…第2軸、V…仮想平面