(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】メッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物およびそれを用いた高圧ホース
(51)【国際特許分類】
C08L 9/00 20060101AFI20240826BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20240826BHJP
C08K 3/06 20060101ALI20240826BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240826BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20240826BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20240826BHJP
C08L 55/02 20060101ALI20240826BHJP
F16L 11/10 20060101ALI20240826BHJP
F16L 11/08 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
C08L9/00
C08L91/00
C08K3/06
C08K3/04
C08K5/10
C08L9/06
C08L55/02
F16L11/10 A
F16L11/08 A
(21)【出願番号】P 2020129314
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517027686
【氏名又は名称】住友理工ホーステックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】野末 絢深
(72)【発明者】
【氏名】川井 皓一朗
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/035647(WO,A1)
【文献】特開2014-190373(JP,A)
【文献】特開2014-185758(JP,A)
【文献】特開2016-030784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキワイヤーからなる補強層を備えた高圧ホースにおける、上記補強層の周囲を被覆するのに用いられるゴム組成物であって、下記(A)~(E)成分を含有し、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が5~20重量部、(C)成分が0.2~4.8重量部、(D)成分が0.2~4.8重量部、(E)成分が40~100重量部、(C)および(D)成分の合計量が1.0~6.0重量部の含有割合であるジエン系ゴム組成物からなることを特徴とするメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
(A)ジエン系ゴム。
(B)可塑剤。
(C)不溶性硫黄。
(D)可溶性硫黄。
(E)窒素吸着比表面積が56m
2/g以下のカーボンブラック。
上記(C)不溶性硫黄は二硫化炭素に対して90重量%以上不溶性を示す硫黄のことをいい、上記(D)可溶性硫黄は二硫化炭素に対して99.5重量%以上可溶性を示す硫黄のことをいう。
【請求項2】
上記可塑剤(B)が、アロマ系オイル、エーテルエステル系可塑剤、およびプロセスオイルからなる群から選ばれた少なくとも一つである、請求項1記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
【請求項3】
上記ジエン系ゴム(A)がスチレンブタジエンゴムであり、上記可塑剤(B)がアロマ系オイルである、請求項1記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
【請求項4】
上記ジエン系ゴム(A)がアクリロニトリルブタジエンゴムであり、上記可塑剤(B)がエーテルエステル系可塑剤である、請求項1記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
【請求項5】
上記ジエン系ゴム(A)が、スチレン量が10~25重量%のスチレンブタジエンゴムである、請求項1または2記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
【請求項6】
上記ジエン系ゴム(A)が、アクリロニトリル量が10~33重量%のアクリロニトリルブタジエンゴムである、請求項1または2記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物からなるゴム層と、メッキワイヤー補強層とを備えており、上記メッキワイヤー補強層が、上記ゴム層内に埋装されていることを特徴とする高圧ホース。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物からなるゴム層と、メッキワイヤー補強層とを備えており、上記メッキワイヤー補強層が、上記ゴム層の内周面および外周面の少なくとも一方に対し積層されていることを特徴とする高圧ホース。
【請求項9】
上記ゴム層における、上記メッキワイヤー補強層との接触面から50μmまでの範囲内の箇所の、エネルギー分散型X線分析法(EDX)で測定される硫黄元素のピーク強度が、上記ゴム層における上記範囲外の箇所で測定される硫黄元素のピーク強度よりも高い、請求項7または8記載の高圧ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械(建機),鉱山(マイニング)機械向けの高圧油圧ホースや、自動車用のエンジンオイルホース等の、メッキワイヤー補強層を備えた各種オイル輸送用ホース等に用いられる、メッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物、およびそれを用いた高圧ホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械,鉱山機械等に用いられる高圧油圧ホースは、高い内圧に耐えうるよう、通常、ワイヤー補強層が設けられている。
上記高圧油圧ホースの層構成としては、例えば、内面ゴム層と外面ゴム層との間に、中間ゴム層とワイヤー補強層とを交互に複数積層して、ワイヤー補強層を中間ゴム層内に埋装するようにした層構成のもの等が採用されている。
【0003】
上記ワイヤー補強層を構成する金属ワイヤーには、防錆性を高めるため、通常、メッキが施された金属ワイヤー(メッキワイヤー)が用いられる。
そして、高圧油圧ホースの耐久性を向上させるためには、メッキワイヤーを編組してなるメッキワイヤー補強層と、これに接するゴム層(特に、中間ゴム層)とを強固に接着する必要がある。すなわち、メッキワイヤー補強層とゴム層との接着性が劣ると、ワイヤーが動いたり緩んだりするため、耐久性に悪影響を与えることとなるからである。
【0004】
上記のようにメッキワイヤー補強層とゴム層とを強固に接着するには、通常、接着剤が用いられるが、この手法は製造工程が煩雑になる等の問題がある。
接着剤を使用しない(接着剤レス)で上記メッキワイヤー補強層との接着性を向上させるには、例えば、上記ゴム層材料としてジエン系ゴム組成物を用い、かつ上記ジエン系ゴム組成物中の硫黄の配合量を増加させることが検討されるが、硫黄の配合量が多いとゴム中で架橋点が多く形成され、耐熱性が低下することとなるため、この手法は現実的ではない。
このため、耐熱性を維持できる硫黄の配合量で良好な接着性を得るため、例えば、上記ゴム層材料中にフェノール樹脂や無水マレイン酸変性ポリマー等を加えたり、上記ゴム層材料中の加硫促進剤を改良したりするといった手法が各種検討されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭58-72436号公報
【文献】特開2010-254876号公報
【文献】特開2014-152311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような既存の手法では、ゴム硬度が上昇しすぎて耐疲労性の低下を招くといった問題や、タック性の上昇により作業性や製品外観に悪影響を及ぼすといった問題等、数多くの問題が生じる。このことから、既存の手法とは異なる別の手法により、ゴム物性を損なうことなく、メッキワイヤー補強層に対する接着性の向上効果を得ることが望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ゴム物性を損なうことなく、さらに接着剤を使用しなくともメッキワイヤーからなる補強層との接着性に優れる、メッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物およびそれを用いた高圧ホースの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、本発明者らは、高圧ホースの中間ゴム層材料として、ジエン系ゴム組成物を用い、さらに、上記ゴム層材料中の硫黄の種類および配合量等を中心として各種検討を行った。先にも述べたように、単にゴム層材料中の硫黄の配合量を増加させただけでは、メッキワイヤー補強層との接着性は向上するものの、ゴム物性が低下するといった問題が生じる。そこで、本発明者らは、主にメッキワイヤー補強層との接着性に寄与する硫黄と、主にゴムの加硫に寄与する硫黄とを併用し、各々の硫黄の機能を充分に発揮させるとともに全体的な硫黄量を抑えることにより、所期の目的を達成することを検討した。
そして、各種実験を行った結果、ジエン系ゴム(A)に対し、可塑剤(B)、不溶性硫黄(C)、可溶性硫黄(D)、および、窒素吸着比表面積が56m2/g以下のカーボンブラック(E)を、特定の割合で配合したところ、環状構造を有し、早期に活性化する上記可溶性硫黄(D)が、比表面積の小さい(窒素吸着比表面積が56m2/g以下の)カーボンブラック(E)の影響を受けながら加硫に寄与し、その一方で、上記特定のカーボンブラック(E)の影響を受けにくいポリマー状の不溶性硫黄(C)が、可塑剤(B)の作用により、加硫が進行するゴム組成物中から押し出されてメッキワイヤー表面付近に集まりやすくなるようになった。それとともに、上記不溶性硫黄(C)が、可溶性硫黄(D)よりも遅れて活性化し、上記メッキワイヤー表面のメッキ成分(例えば銅)と反応して、上記メッキ成分と硫黄の接着層を形成することで、接着性を発現するようになることを突き止めた。このことから、全体的な硫黄量は抑えつつも、メッキワイヤーとの接着性が強固となり、かつ、ゴムの加硫も充分なされゴム物性も良好となることから、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、上記の目的を達成するために、以下の[1]~[9]を、その要旨とする。
[1] メッキワイヤーからなる補強層を備えた高圧ホースにおける、上記補強層の周囲を被覆するのに用いられるゴム組成物であって、下記(A)~(E)成分を含有し、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が5~20重量部、(C)成分が0.2~4.8重量部、(D)成分が0.2~4.8重量部、(E)成分が40~100重量部、(C)および(D)成分の合計量が1.0~6.0重量部の含有割合であるジエン系ゴム組成物からなることを特徴とするメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
(A)ジエン系ゴム。
(B)可塑剤。
(C)不溶性硫黄。
(D)可溶性硫黄。
(E)窒素吸着比表面積が56m2/g以下のカーボンブラック。
[2] 上記可塑剤(B)が、アロマ系オイル、エーテルエステル系可塑剤、およびプロセスオイルからなる群から選ばれた少なくとも一つである、[1]に記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
[3] 上記ジエン系ゴム(A)がスチレンブタジエンゴムであり、上記可塑剤(B)がアロマ系オイルである、[1]に記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
[4] 上記ジエン系ゴム(A)がアクリロニトリルブタジエンゴムであり、上記可塑剤(B)がエーテルエステル系可塑剤である、[1]に記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
[5] 上記ジエン系ゴム(A)が、スチレン量が10~25重量%のスチレンブタジエンゴムである、[1]または[2]に記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
[6] 上記ジエン系ゴム(A)が、アクリロニトリル量が10~33重量%のアクリロニトリルブタジエンゴムである、[1]または[2]に記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物からなるゴム層と、メッキワイヤー補強層とを備えており、上記メッキワイヤー補強層が、上記ゴム層内に埋装されていることを特徴とする高圧ホース。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物からなるゴム層と、メッキワイヤー補強層とを備えており、上記メッキワイヤー補強層が、上記ゴム層の内周面および外周面の少なくとも一方に対し積層されていることを特徴とする高圧ホース。
[9] 上記ゴム層における、上記メッキワイヤー補強層との接触面から50μmまでの範囲内の箇所の、エネルギー分散型X線分析法(EDX)で測定される硫黄元素のピーク強度が、上記ゴム層における上記範囲外の箇所で測定される硫黄元素のピーク強度よりも高い、[7]または[8]記載の高圧ホース。
【発明の効果】
【0010】
以上のことから、本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物により、ゴム物性を損なうことなく、接着剤を使用しなくともメッキワイヤーからなる補強層との接着性を高めることができ、その結果、高圧ホースのゴム層材料(特に中間層材料)として優れた性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の高圧ホースの一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の高圧ホースの他の例を示す模式図である。
【
図3】ゴムと黄銅メッキワイヤーとの接着性評価における、剥離試験を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0013】
本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物は、先に述べたように、メッキワイヤーからなる補強層を備えた高圧ホースにおける、上記補強層の周囲を被覆するのに用いられるゴム組成物であって、下記(A)~(E)成分を含有し、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が5~20重量部、(C)成分が0.2~4.8重量部、(D)成分が0.2~4.8重量部、(E)成分が40~100重量部、(C)および(D)成分の合計量が1.0~6.0重量部の含有割合であるジエン系ゴム組成物からなる。
(A)ジエン系ゴム。
(B)可塑剤。
(C)不溶性硫黄。
(D)可溶性硫黄。
(E)窒素吸着比表面積が56m2/g以下のカーボンブラック。
【0014】
本発明において、上記不溶性硫黄(C)とは、二硫化炭素に対して90重量%以上不溶性を示す硫黄のことをいい、上記不溶性硫黄(C)は、二硫化炭素に対して好ましくは95重量%以上、より好ましくは98重量%以上の不溶性を示す。また、上記可溶性硫黄(D)とは、二硫化炭素に対して99.5重量%以上可溶性を示す硫黄のことをいい、上記可溶性硫黄(D)は、二硫化炭素に対して好ましくは99.9重量%以上、より好ましくは100重量%の可溶性を示す。
【0015】
本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物における各成分の詳細について、以下に説明する。
【0016】
《ジエン系ゴム(A)》
上記ジエン系ゴム(A)としては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、耐油性が求められる場合は、NBRが好ましく、耐摩耗性が求められる場合は、SBR、NRが好ましい。
そして、上記NBRは、メッキワイヤーからなる補強層に対する接着性の観点から、アクリロニトリル量(AN量)が10~33重量%のNBRであることが好ましく、より好ましくはAN量が10~28重量%のNBRである。すなわち、AN量が多過ぎると、加硫速度が速くなり、さらにはポリマー間の結合が強くなり硫黄が表面に溶出されにくくなるため、接着性の低下を生じるおそれがあり、AN量が少な過ぎると、初期特性が低くなるおそれがあるからである。
また、上記SBRは、メッキワイヤーからなる補強層に対する接着性の観点から、スチレン量が10~25重量%のSBRであることが好ましく、より好ましくはスチレン量が15~25重量%のSBRである。すなわち、スチレン量が多過ぎると、加硫速度が速くなり、さらにはポリマー間の結合が強くなり硫黄が表面に溶出されにくくなるため、接着性の低下を生じるおそれがあり、スチレン量が少な過ぎると、初期特性が低くなるおそれがあるからである。
【0017】
《可塑剤(B)》
上記可塑剤(B)としては、例えば、アロマ系オイル、エーテルエステル系可塑剤、プロセスオイル等があげられる。
ここで、上記アロマ系オイルとしては、例えば、ダイアナプロセスAC-12、ダイアナプロセスAC-460、ダイアナプロセスAH-16(以上、出光昭和シェル社製)、JSOアロマ790(日本サン石油社製)、アロマックス1、アロマックス3(以上、富士興産社製)等があげられる。
また、上記エーテルエステル系可塑剤としては、一分子中にエーテル結合とエステル結合の双方を有する可塑剤、具体的には、アジピン酸ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]等のアジピン酸エーテルエステル系可塑剤等があげられる。
また、上記プロセスオイルとしては、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等があげられる。
そして、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0018】
そして、前記ジエン系ゴム(A)がスチレンブタジエンゴムであり、上記可塑剤(B)がアロマ系オイルである場合、ジエン系ゴム(A)と可塑剤(B)とが相溶性に優れるようになるため、好ましい。
また、前記ジエン系ゴム(A)がアクリロニトリルブタジエンゴムであり、上記可塑剤(B)がエーテルエステル系可塑剤である場合も、ジエン系ゴム(A)と可塑剤(B)とが相溶性に優れるようになるため、好ましい。
【0019】
前記ジエン系ゴム(A)100重量部に対する、上記可塑剤(B)の含有量は、先に述べた通り5~20重量部の範囲であり、好ましくは5~18重量部の範囲、より好ましくは8~15重量部の範囲である。すなわち、上記可塑剤(B)の含有量が少なすぎると、不溶性硫黄(C)のブリードが少なくなることに伴いメッキワイヤーとの接着効果が充分に得られず、上記可塑剤(B)の含有量が多すぎると、ゴム物性の低下、可塑剤(B)のブリードによる接着性低下等が起こるおそれがあるからである。
【0020】
《不溶性硫黄(C)》
上記不溶性硫黄(C)としては、例えば、μ硫黄、π硫黄、ω硫黄等の、ポリマー状の硫黄があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記のような不溶性硫黄は、具体的には、サンフェル(三新化学社製)、サンフェルEX(三新化学社製)等があげられる。
そして、前記ジエン系ゴム(A)100重量部に対する、上記不溶性硫黄(C)の含有量は、先に述べた通り0.2~4.8重量部の範囲であり、好ましくは0.5~4.5重量部の範囲、より好ましくは1.0~3.5重量部の範囲である。すなわち、上記不溶性硫黄(C)の含有量が少なすぎると、メッキワイヤーとの接着効果が充分に得られず、上記不溶性硫黄(C)の含有量が多すぎると、メッキワイヤーと反応しない多量の不溶性硫黄が表面に溶出し、メッキワイヤーとの接着効果を阻害するおそれがあるからである。
【0021】
《可溶性硫黄(D)》
上記可溶性硫黄(D)としては、例えば、α硫黄、β硫黄、γ硫黄、λ硫黄等の、環状構造を有する硫黄があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記のような可溶性硫黄は、具体的には、金華印微粉硫黄(鶴見化学工業社製)、粉末硫黄S(細井化学工業社製)等があげられる。
そして、前記ジエン系ゴム(A)100重量部に対する、上記可溶性硫黄(D)の含有量は、先に述べた通り0.2~4.8重量部の範囲であり、好ましくは0.5~4.5重量部の範囲、より好ましくは1.0~3.5重量部の範囲である。すなわち、上記可溶性硫黄(D)の含有量が少なすぎると、ゴムの加硫が充分になされず、ゴム物性に劣る結果となり、上記可溶性硫黄(D)の含有量が多すぎると、加硫前のゴム表面に可溶性硫黄がブルームし、メッキワイヤーとの接着効果を阻害するおそれがあるからである。
【0022】
そして、上記不溶性硫黄(C)および可溶性硫黄(D)の合計量は、前記ジエン系ゴム(A)100重量部に対し、先に述べた通り、1.0~6.0重量部の範囲であり、好ましくは1.0~5.0重量部の範囲、より好ましくは1.5~4.0重量部の範囲である。すなわち、このような範囲であると、耐熱性等の低下を伴うことなく、加硫等が良好になされるようになるからである。
【0023】
《カーボンブラック(E)》
上記カーボンブラックとしては、先に述べたように、窒素吸着比表面積が56m2/g以下のカーボンブラック(E)が用いられる。そして、可溶性硫黄(D)によるゴム組成物の加硫効果をより高める観点から、窒素吸着比表面積が20~50m2/gのカーボンブラックであることが好ましく、より好ましくは窒素吸着比表面積が25~45m2/gのカーボンブラックが用いられる。なお、上記窒素吸着比表面積は、JIS K 6217に規定されており、単位重量当たりの窒素吸着比表面積(m2/g)を意味する。上記のようなカーボンブラックは、具体的には、シーストSO、シースト116HM(ともに東海カーボン社製)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
そして、前記ジエン系ゴム(A)100重量部に対する、上記特定のカーボンブラック(E)の含有量は、先に述べた通り40~100重量部の範囲であり、好ましくは50~90重量部の範囲、より好ましくは60~90重量部の範囲である。すなわち、上記特定のカーボンブラック(E)の含有量が少なすぎると、可溶性硫黄(D)によるゴム組成物の加硫を高める効果および不溶性硫黄(C)によるメッキワイヤーとの接着性を高める効果が充分に得られず、上記特定のカーボンブラック(E)の含有量が多すぎると、加硫を活性化し、不溶性硫黄も加硫に使用されるため、メッキワイヤーとの接着効果を阻害するおそれがあるからである。
【0024】
なお、本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物には、上記(A)~(E)成分以外に、酸化亜鉛、ステアリン酸、シリカ、加工助剤、加硫促進剤等の任意材料を必要に応じて配合しても差し支えない。
【0025】
上記ゴム組成物は、例えば、上記(A)~(E)成分、および、必要に応じて上記のような各種の任意材料を適宜に配合し、これらをニーダー,ロール,バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。
【0026】
本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物は、先に述べたように、メッキワイヤーからなる補強層を備えた高圧ホースにおける、上記補強層の周囲を被覆するのに用いられるゴム組成物である。
上記高圧ホースとしては、例えば、次の(1)や(2)に示す態様のものがあげられる。
(1)本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物からなるゴム層と、メッキワイヤー補強層とを備えており、上記メッキワイヤー補強層が、上記ゴム層内に埋装されている高圧ホース。
(2)本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物からなるゴム層と、メッキワイヤー補強層とを備えており、上記メッキワイヤー補強層が、上記ゴム層の内周面および外周面の少なくとも一方に対し積層されている高圧ホース。
【0027】
ここで、
図1に示す高圧ホースは、内面ゴム層1の外周面に中間ゴム層2aが形成され、上記中間ゴム層2aの外周面にメッキワイヤーからなる補強層3が形成され、上記補強層3の外周面に中間ゴム層2bが形成され、中間ゴム層2bの外周面に外面ゴム層4が形成されたものである。そして、上記中間ゴム層2a,2bを、本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物からなる層とすることにより、上記(1)に示す態様の高圧ホースとすることができる。
【0028】
また、
図2に示す高圧ホースは、メッキワイヤーからなる補強層13aの外周面に中間ゴム層2が形成され、上記中間ゴム層2の外周面にメッキワイヤーからなる補強層13bが形成されたものである。そして、上記中間ゴム層2を、本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物からなる層とすることにより、上記(2)に示す態様の高圧ホースとすることができる。
【0029】
なお、本発明の高圧ホースにおいては、上記中間ゴム層と補強層とが交互に繰り返し積層してなる積層構造を有するものであれば、
図1および
図2に示す層構成のものに限定されず、中間ゴム層/補強層の2層、4層(中間ゴム層/補強層/中間ゴム層/補強層)、6層(中間ゴム層/補強層/中間ゴム層/補強層/中間ゴム層/補強層)、8層(中間ゴム層/補強層/中間ゴム層/補強層/中間ゴム層/補強層/中間ゴム層/補強層)等の積層構造を有するホースであっても差し支えない。
【0030】
また、上記中間ゴム層における、上記補強層(メッキワイヤー補強層)との接触面から50μmまでの範囲内の箇所の、エネルギー分散型X線分析法(EDX)で測定される硫黄元素のピーク強度が、上記中間ゴム層における上記範囲外の箇所で測定される硫黄元素のピーク強度よりも高くなっていることが好ましい。すなわち、上記のようになっていると、上記補強層のメッキとの接触反応により、上記中間ゴム層内に接着層が良好に形成され、接着性が良好に発現するようになるからである。
なお、上記エネルギー分散型X線分析法(EDX)の測定条件は、例えば、以下の条件により行うことができる。
≪エネルギー分散型X線分析法(EDX)測定条件≫
・断面加工:イオンミリング法
・分析測定条件
装置名:走査型電子顕微鏡 S-4800(日立ハイテク社製)
エネルギー分散型X線マイクロアナライザ X-Max(堀場製作所社製)
像種:反射電子像
加速電圧:15kV
導電化処理:C蒸着
倍率:×100k
元素種:硫黄
【0031】
また、本発明において、上記中間ゴム層は、耐久性および柔軟性の観点から、25℃雰囲気下における引張応力(M100)が3.0MPa以上であることが好ましく、より好ましくは3.0~6.0MPa、さらに好ましくは3.5~5.0MPa以下である。
なお、上記引張応力(M100)は、例えば、JIS K 6251に準拠して測定することができる。
【0032】
上記補強層は、ホース全体の強度を補強するためにメッキワイヤーをブレード状、スパイラル状等に編み組してなる層である。
上記メッキワイヤーにおけるメッキ処理としては、例えば、銅メッキ、亜鉛メッキ、黄銅(銅-亜鉛系合金)メッキ、ニッケルメッキ、錫メッキ、コバルトメッキ等があげられ、好ましくは黄銅メッキである。
また、上記メッキワイヤーの直径は、通常、0.15~1.00mmの範囲、好ましくは0.20~0.80mmの範囲のものが用いられる。
【0033】
なお、
図1に示す高圧ホースのように内面ゴム層1を形成する場合、その材料としては、耐油性に優れたゴムが好ましく、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリレートゴム(AEM)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、フッ素ゴム(FKM)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、耐油性、強度、コストの点から、NBRが好ましい。
また、上記内面ゴム層1形成用のゴム組成物には、NBR等のゴム以外に、補強材(カーボンブラック等)、白色充填材、可塑剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫剤、加硫促進剤、加工助剤等を必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
【0034】
さらに、
図1に示す高圧ホースのように外面ゴム層4を形成する場合、その材料としては、耐候性に優れたゴムが好ましく、例えば、クロロプレンゴム(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレン-プロピレン-ジエン系ゴム(EPDM)、SBRとEPDMのブレンドゴム、NBRとEPDMのブレンドゴム、NBRと塩化ビニル(PVC)のブレンドゴム、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリレートゴム(AEM)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、耐候性、コスト、耐油性の点から、CRが好ましい。
また、上記外面ゴム層4形成用のゴム組成物には、CR等のゴム以外に、補強材(カーボンブラック等)、白色充填材、可塑剤、ステアリン酸、亜鉛華、受酸剤(高活性化マグネシウム、ハイドロタルサイト等)、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加工助剤等を必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
【0035】
図1に示す本発明の高圧ホースは、例えばつぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、押出成形機を用いて、上記内面ゴム層形成用のゴム組成物をマンドレル上に押し出して内面ゴム層1を成形する。つぎに、この内面ゴム層1の外周面に、中間ゴム層形成用のゴム組成物を押し出して中間ゴム層2aを形成する。続いて、この中間ゴム層2aの外周面に、黄銅メッキワイヤー等のメッキワイヤーをスパイラル状に編み組して補強層3を形成する。その後、上記補強層3の外周面に、中間ゴム層形成用のゴム組成物を押し出して中間ゴム層2bを形成する。さらに、上記中間ゴム層2bの外周面に、外面ゴム層形成用のゴム組成物を押し出して外面ゴム層4を形成する。最後に、この積層体を、所定の条件(例えば、140~170℃×10~60分間)で加硫(スチーム加硫等)することにより、前記
図1に示したような層構造の高圧ホースを作製することができる。
【0036】
本発明の高圧ホースは、
図1に示したような層構造に限定されるものではなく、前述したように、
図2に示す層構造のものや、中間ゴム層と補強層とを交互に多数積層した構造であっても差し支えない。
【0037】
本発明の高圧ホースにおいて、ホース内径は、通常、5~85mmの範囲、好ましくは6~80mmの範囲であり、ホース外径は、通常、9~100mmの範囲、好ましくは10~85mmの範囲である。
【0038】
また、内面ゴム層1の厚みは、通常、0.7~4.0mmの範囲、好ましくは1.0~3.0mmの範囲、中間ゴム層全体の厚みは、0.1~0.5mmの範囲が好ましく、特に好ましくは0.2~0.4mmの範囲であり、外面ゴム層4の厚みは、通常、0.5~2.5mmの範囲、好ましくは0.8~2.0mmの範囲である。
【実施例】
【0039】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0040】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
【0041】
[SBR]
タフデン1000、旭化成社製、スチレン量:18重量%
【0042】
[NBR]
ニポールDN302、日本ゼオン社製、AN量:28重量%
【0043】
[NR]
RSS#3
【0044】
[可塑剤(i)]
アロマ系オイル(ダイアナプロセスAC-12、出光昭和シェル社製)
【0045】
[可塑剤(ii)]
エーテルエステル系オイル(アデカサイザーRS-107、ADEKA社製)
【0046】
[可塑剤(iii)]
パラフィンオイル(ダイアナプロセスNM-280、出光興産社製)
【0047】
[カーボンブラック(i)]
シーストSO、東海カーボン社製、窒素吸着比表面積:42m2/g
【0048】
[カーボンブラック(ii)]
シースト116HM、東海カーボン社製、窒素吸着比表面積:56m2/g
【0049】
[カーボンブラック(iii)]
シースト300、東海カーボン社製、窒素吸着比表面積:84m2/g
【0050】
[不溶性硫黄]
サンフェル、三新化学社製
【0051】
[可溶性硫黄]
金華印微粉硫黄、鶴見化学工業社製
【0052】
〔実施例1~16、比較例1~13〕
後記の表1および表2に示す各成分を、同表に示す割合で配合し、これらを、3Lニーダーを用いて混練りして、ゴム組成物を調製した。
【0053】
このようにして得られた実施例および比較例のゴム組成物を用いて、以下の特性を評価した。その結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
【0054】
≪接着性≫
上記ゴム組成物を用いて、未加硫状態のゴムシート(100mm×100mm、厚み2mm)を作製し、このゴムシートの上に、1本の黄銅メッキワイヤー(線径0.4mm、長さ300mm)を置いた。これを、面圧2MPaで、150℃で60分間プレス加硫することにより、加硫接着試料を作製した(
図3参照)。この加硫接着試料のゴム11と、黄銅メッキワイヤー12をチャックし、JIS K 6256のT型剥離試験に準拠して、黄銅メッキワイヤー12を矢視X方向に剥離し、黄銅メッキワイヤー12表面におけるゴム11の被覆率を測定した。被覆率が高いほど、ゴム11と黄銅メッキワイヤー12との接着性が良好であることを示す。なお、上記黄銅メッキワイヤー12としては、トクセン社製の黄銅メッキされたワイヤー(電気メッキ、メッキ組成:Cu/Zn=65/35重量%、メッキ付着量:4g/kg)を使用した。
そして、ワイヤー表面のゴムの被覆率が80%以上であったものを「○」、ワイヤー表面のゴムの被覆率が80%未満であったものを「×」と評価した。
【0055】
≪初期物性≫
上記ゴム組成物を用いて150℃で60分間プレス加硫することにより、ゴムシート(100mm×100mm、厚み2mm)を作製した。上記ゴムシートを用いて、JIS K 6251に準拠して、25℃雰囲気下における引張応力(M100)を測定した。
そして、上記引張応力(M100)が3.0MPa以上であったものを「○」、上記引張応力(M100)が3.0MPa未満であったものを「×」と評価した。
【0056】
【0057】
【0058】
上記表1および表2の結果から、実施例のゴム組成物は、黄銅メッキワイヤー表面のゴムの被覆率が高く、ゴムと黄銅メッキワイヤーとの接着性が良好であった。さらに、引張応力(M100)が3.0MPa以上であり、初期物性にも優れる結果となった。
【0059】
これに対し、比較例1~6のゴム組成物は、可塑剤の量が本発明の規定の範囲から外れており、接着性等に劣る結果となった。比較例7のゴム組成物は、窒素吸着比表面積が大きなカーボンブラックを用いており、所望の接着性が得られない結果となった。比較例8,9のゴム組成物は、カーボンブラックの量が本発明の規定の範囲から外れており、接着性等に劣る結果となった。比較例10~13のゴム組成物は、不溶性硫黄や可溶性硫黄の量が本発明の規定の範囲から外れており、接着性または初期物性に劣る結果となった。
【0060】
なお、実施例のゴム組成物を用いた、ゴムと黄銅メッキワイヤーとの接着性評価に使用のサンプルにおいて、上記黄銅メッキワイヤーとの接触面から50μmまでの範囲内の箇所の、エネルギー分散型X線分析法(EDX)で測定される硫黄元素のピーク強度と、上記ゴムにおける上記範囲外の箇所で測定される硫黄元素のピーク強度とを、以下の条件により測定したところ、上記黄銅メッキワイヤーとの接触面から50μmまでの範囲内の箇所の硫黄元素ピーク強度のほうが高くなっていることが確認された。
≪エネルギー分散型X線分析法(EDX)測定条件≫
・断面加工:イオンミリング法
・分析測定条件
装置名:走査型電子顕微鏡 S-4800(日立ハイテク社製)
エネルギー分散型X線マイクロアナライザ X-Max(堀場製作所社製)
像種:反射電子像
加速電圧:15kV
導電化処理:C蒸着
倍率:×100k
元素種:硫黄
【0061】
また、
図1や
図2に示す層構成の高圧ホースにおいて、その中間ゴム層の形成材料に、実施例のゴム組成物を用いたところ、接着剤レスであっても、補強層(メッキワイヤー補強層)と中間ゴム層との強固な接着がなされ、かつ、高圧ホースとしてのホース物性に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のメッキワイヤー補強層被覆用ゴム組成物は、建設機械(建機),鉱山(マイニング)機械,産業車両(フォークリフト、無人搬送車等)向けの高圧油圧ホースや、自動車用のエンジンオイルホース等の、メッキワイヤー補強層を備えた各種オイル輸送用ホース等に用いることができる。