(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240826BHJP
F16C 13/06 20060101ALI20240826BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20240826BHJP
F16C 35/02 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G03G15/16 103
F16C13/06
F16C13/00 B
F16C35/02 A
(21)【出願番号】P 2020132716
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】嶋 敏秀
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109434(JP,A)
【文献】特開2005-301216(JP,A)
【文献】特開2010-134325(JP,A)
【文献】特開2005-316200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/02
F16C 13/06
F16C 13/00
F16C 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの外周面に当接して、前記中間転写ベルトの回転に伴って回転し、前記中間転写ベルト上に担持されたトナー像を転写する転写部を形成する転写ローラと、
前記転写ローラに当接する金属ローラであって、前記転写ローラの回転によって回転させられ、前記金属ローラと前記転写ローラとの間にそれを通して電流が流れる電流経路を形成する金属ローラと、
前記転写ローラを回転可能に支持する第1の軸受部材と、
前記第1の軸受部材を移動可能に保持する保持部材と、
前記第1の軸受部材を加圧する第1の加圧部材と、
前記第1の軸受部材によって移動可能に保持され、前記金属ローラを回転可能に支持する第2の軸受部材と、
前記第1の軸受部材に設けられた座面と前記第2の軸受部材との間に設けられ、前記第2の軸受部材を加圧する第2の加圧部材と、
を有
し、
前記第1の加圧部材及び前記第2の加圧部材を介して、前記金属ローラに対して電力を供給する給電経路が形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
一端部が前記第2の加圧部材に接触し他端部が前記第1の加圧部材に接触する第1の導電部材と、
一端部が前記第1の加圧部材に接触し他端部が前記保持部材から引き出された第2の導電部材と、
を更に有し、
前記第2の導電部材、前記第1の加圧部材、前記第1の導電部材、前記第2の加圧部材、及び導電性を有する前記第2の軸受部材を介して、前記金属ローラに対して電力を供給する前記給電経路が形成されることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの外周面に当接して、前記中間転写ベルトの回転に伴って回転し、前記中間転写ベルト上に担持されたトナー像を転写する転写部を形成する転写ローラと、
前記転写ローラに当接する金属ローラであって、前記転写ローラの回転によって回転させられ、前記金属ローラと前記転写ローラとの間にそれを通して電流が流れる電流経路を形成する金属ローラと、
前記転写ローラを回転可能に支持する第1の軸受部材と、
前記第1の軸受部材を移動可能に保持する保持部材と、
前記第1の軸受部材を加圧する第1の加圧部材と、
前記第1の軸受部材によって移動可能に保持され、前記金属ローラを回転可能に支持する第2の軸受部材と、
前記第1の軸受部材に設けられた座面と前記第2の軸受部材との間に設けられ、前記第2の軸受部材を加圧する第2の加圧部材と、
を有し、
前記第1の軸受部材は、前記保持部材に対して着脱可能であり、前記第1の軸受部材が前記保持部材に取り付けられたときに前記保持部材と係合して前記第1の加圧部材の加圧方向に関する前記第1の軸受部材の移動を規制する係合部を有することを特徴とす
る画像形成装置。
【請求項4】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトの外周面に当接して、前記中間転写ベルトの回転に伴って回転し、前記中間転写ベルト上に担持されたトナー像を転写する転写部を形成する転写ローラと、
前記転写ローラに当接する金属ローラであって、前記転写ローラの回転によって回転させられ、前記金属ローラと前記転写ローラとの間にそれを通して電流が流れる電流経路を形成する金属ローラと、
前記転写ローラを回転可能に支持する第1の軸受部材と、
前記第1の軸受部材を移動可能に保持する保持部材と、
前記第1の軸受部材を加圧する第1の加圧部材と、
前記第1の軸受部材によって移動可能に保持され、前記金属ローラを回転可能に支持する第2の軸受部材と、
前記第1の軸受部材に設けられた座面と前記第2の軸受部材との間に設けられ、前記第2の軸受部材を加圧する第2の加圧部材と、
を有し、
前記転写ローラは、前記第1の軸受部材に対して着脱可能であり、前記第1の軸受部材は、前記転写ローラが前記第1の軸受部材に取り付けられていないときに前記第2の軸受部材と係合して前記第2の加圧部材の加圧方向に関する前記第2の軸受部材の移動を規制する係合部を有することを特徴とす
る画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の加圧部材は、前記中間転写ベルトを介して前記転写ローラに対向する対向ローラに向けて前記転写ローラを付勢するように前記第1の軸受部材を加圧し、
前記第1の加圧部材による前記転写ローラに対する加圧力の設定の方が、前記第2の加圧部材による前記金属ローラに対する加圧力の設定よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写ローラは、芯金と、前記芯金の周りに形成された弾性層と、を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写ローラは、前記第1の軸受部材に対して着脱可能であり、
前記第1の軸受部材は、
前記転写ローラを回転可能に支持する支持部であって、前記転写ローラの周方向における一部が開放された支持部と、前記転写ローラが前記中間転写ベルトに当接していないときに前記転写ローラと係合可能
な規制部であって、
前記転写ローラの回転軸線方向において前記支持部とは異なる位置に設けられ、前記第1の軸受部材に取り付けられた前記転写ローラを前記第1の軸受部材に保持可能な
規制部
と、を有することを特徴とする請求項1
乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の加圧部材は、前記第1の加圧部材よりも、前記転写ローラの回転軸線方向に関する前記転写ローラの中央部の近くに位置することを特徴とする請求項1
乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、これらのうち複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式を用いた複写機などの画像形成装置では、像担持体としての感光体から紙などの転写材にトナー像を転写させるために、転写部材としての転写ローラが用いられている。また、第1の像担持体としての感光体から、第2の像担持体としての無端状のベルトなどで構成された中間転写体に一次転写されたトナー像を、転写材に二次転写させるために、転写部材としての転写ローラが用いられている。以下、中間転写体としての中間転写ベルトを有する中間転写方式の画像形成装置における二次転写部に関連して説明する。
【0003】
転写ローラとしては、弾性部材で形成された弾性層を有する弾性ローラが多く用いられる。この弾性ローラの弾性層には、イオン導電剤などが分散されることで導電性が付与される。弾性層がイオン導電剤を含有しておりイオン導電性を有する転写ローラは、通電により弾性層のイオン導電剤の分極が生じ、電気抵抗が上昇することがある。そのため、電気抵抗の上昇に伴って、転写のために転写ローラなどに印加する転写電圧の絶対値を大きくする必要が生じることがあり、高圧基板の容量から決まる転写ローラの寿命が短くなることがある。
【0004】
そこで、転写ローラの外周面に給電部材としての給電ローラを当接させて、弾性層におけるイオン導電剤の分極を緩和するように給電ローラから転写ローラに電流を供給する構成が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の構成では、転写ローラの外周面に接触して回転する給電ローラから転写ローラに電流を供給して、給電ローラを介して転写ローラに転写電圧を印加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、給電ローラは、転写ローラの回転に伴って従動回転する構成とすることが望ましい。このように給電ローラを従動回転する構成とすることで、給電ローラに駆動列を繋げるための部品が不要となるため、部品数を削減することができ、装置の構成の簡易化や低価格化を図ることができる。また、同様に、転写ローラも従動回転する構成とされることが多い。
【0007】
ここで、給電ローラは、転写ローラの回転に対して安定して回転する必要がある。給電ローラが転写ローラの回転に対して安定して回転しない場合には、転写ローラに付着したトナーなどの付着物が転写ローラと給電ローラとの接触部に堆積してしまうことがある。そして、この堆積したトナーなどの付着物が転写ローラと給電ローラとの接触部を一度にすり抜け、転写材の裏面(画像が転写される面とは反対側の面)に付着して、転写材の裏汚れとなることがある。
【0008】
給電ローラを転写ローラの回転に対して安定して回転させるためには、給電ローラを転写ローラに対して押圧する必要がある。また、転写ローラを安定して回転させるなどのために、転写ローラも中間転写ベルトに対して押圧する必要がある。従来は、例えば、中間転写ベルトに対して転写ローラをバネにより所定の押圧力で押圧(圧規制)すると共に、転写ローラに対して所定の侵入量となるように給電ローラを位置決め(位置規制)する構成とされている。
【0009】
このとき、例えば、転写ローラの外径のばらつきなどにより、転写ローラの外周面が給電ローラから逃げる方向となった場合には、給電ローラの転写ローラに対する押圧力が弱まり、給電ローラの回転不良が発生することがある。また、転写ローラの外径のばらつきなどにより、給電ローラが転写ローラの外周面に食い込む方向となった場合には、給電ローラの転写ローラに対する押圧力が強まり、転写ローラの回転を妨げることがある。この場合、転写ローラと中間転写ベルトとに挟持された転写材の搬送にブレーキをかけることとなり、中間転写ベルト上に描かれた画像に対して転写材の搬送が遅れて、転写材上に転写された画像が縮むことがある。
【0010】
このような問題は、装置の構成の簡易化や低価格化などのために給電ローラが金属ローラ、特に、転写ローラと接触する外周面が平滑な金属ローラで構成されている場合に顕著となる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、装置の構成の簡易化や低価格化を図りながら、転写ローラや、転写ローラに当接する金属ローラの安定した回転を可能とする画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの外周面に当接して、前記中間転写ベルトの回転に伴って回転し、前記中間転写ベルト上に担持されたトナー像を転写する転写部を形成する転写ローラと、前記転写ローラに当接する金属ローラであって、前記転写ローラの回転によって回転させられ、前記金属ローラと前記転写ローラとの間にそれを通して電流が流れる電流経路を形成する金属ローラと、前記転写ローラを回転可能に支持する第1の軸受部材と、前記第1の軸受部材を移動可能に保持する保持部材と、前記第1の軸受部材を加圧する第1の加圧部材と、前記第1の軸受部材によって移動可能に保持され、前記金属ローラを回転可能に支持する第2の軸受部材と、前記第1の軸受部材に設けられた座面と前記第2の軸受部材との間に設けられ、前記第2の軸受部材を加圧する第2の加圧部材と、を有し、前記第1の加圧部材及び前記第2の加圧部材を介して、前記金属ローラに対して電力を供給する給電経路が形成されることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の態様によると、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの外周面に当接して、前記中間転写ベルトの回転に伴って回転し、前記中間転写ベルト上に担持されたトナー像を転写する転写部を形成する転写ローラと、前記転写ローラに当接する金属ローラであって、前記転写ローラの回転によって回転させられ、前記金属ローラと前記転写ローラとの間にそれを通して電流が流れる電流経路を形成する金属ローラと、前記転写ローラを回転可能に支持する第1の軸受部材と、前記第1の軸受部材を移動可能に保持する保持部材と、前記第1の軸受部材を加圧する第1の加圧部材と、前記第1の軸受部材によって移動可能に保持され、前記金属ローラを回転可能に支持する第2の軸受部材と、前記第1の軸受部材に設けられた座面と前記第2の軸受部材との間に設けられ、前記第2の軸受部材を加圧する第2の加圧部材と、を有し、前記第1の軸受部材は、前記保持部材に対して着脱可能であり、前記第1の軸受部材が前記保持部材に取り付けられたときに前記保持部材と係合して前記第1の加圧部材の加圧方向に関する前記第1の軸受部材の移動を規制する係合部を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の他の態様によると、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの外周面に当接して、前記中間転写ベルトの回転に伴って回転し、前記中間転写ベルト上に担持されたトナー像を転写する転写部を形成する転写ローラと、前記転写ローラに当接する金属ローラであって、前記転写ローラの回転によって回転させられ、前記金属ローラと前記転写ローラとの間にそれを通して電流が流れる電流経路を形成する金属ローラと、前記転写ローラを回転可能に支持する第1の軸受部材と、前記第1の軸受部材を移動可能に保持する保持部材と、前記第1の軸受部材を加圧する第1の加圧部材と、前記第1の軸受部材によって移動可能に保持され、前記金属ローラを回転可能に支持する第2の軸受部材と、前記第1の軸受部材に設けられた座面と前記第2の軸受部材との間に設けられ、前記第2の軸受部材を加圧する第2の加圧部材と、を有し、前記転写ローラは、前記第1の軸受部材に対して着脱可能であり、前記第1の軸受部材は、前記転写ローラが前記第1の軸受部材に取り付けられていないときに前記第2の軸受部材と係合して前記第2の加圧部材の加圧方向に関する前記第2の軸受部材の移動を規制する係合部を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置の構成の簡易化や低価格化を図りながら、転写ローラや、転写ローラに当接する金属ローラの安定した回転を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】二次転写外ローラ、給電ローラの支持構成を示す模式的な断面図である。
【
図6】右扉ユニットを開放した状態の画像形成装置の断面図である。
【
図7】二次転写外ローラ、給電ローラの支持構成の具体例を示す断面図である。
【
図8】二次転写外ローラ、給電ローラの支持構成の具体例を示す斜視図である。
【
図9】二次転写ユニットの組み立て手順を説明するための斜視図である。
【
図10】二次転写ユニットの組み立て手順を説明するための斜視図である。
【
図11】二次転写部の給電態様の他の例を説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0016】
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置1の断面図である。本実施例の画像形成装置1は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型の複合機であり、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置の機能を有している。
【0017】
画像形成装置1は、複数のステーションとして、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成する第1、第2、第3、第4のステーションSY、SM、SC、SKを有する。各ステーションSY、SM、SC、SKにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、ステーションSは、後述する感光ドラム11、帯電ローラ12、露光装置13、現像装置14、一次転写ローラ17、ドラムクリーニング装置15などを有して構成される。
【0018】
トナー像を担持する像担持体としての、ドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム11は、図中矢印R1方向(時計回り)に、所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。回転する感光ドラム11の表面(外周面)は、帯電手段としての帯電ローラ12により所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理された感光ドラム11の表面は、露光手段としての露光装置(レーザスキャナ)13により画像情報に応じて走査露光され、感光ドラム11上に静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム11上に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置14により現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム11上にトナー像が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム11上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム11の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像)。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。各ステーションSにおいて、帯電ローラ12、露光装置13、現像装置14は、感光ドラム11にトナー像を形成する画像形成部を構成する。
【0019】
各ステーションSY、SM、SC、SKの感光ドラム11Y、11M、11C、11Kに対向して、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト61が配置されている。中間転写ベルト61は、フレーム(図示せず)に回転可能に保持された複数の張架ローラにより張架されている。本実施例では、複数の張架ローラは、二次転写内ローラ62と、二次転写前ローラ63と、第1の補助ローラ64と、第2の補助ローラ65と、テンションローラ66と、を有する。中間転写ベルト61は、駆動ローラの機能を有する二次転写内ローラ62に駆動力が入力されることにより駆動され、図中矢印R2方向(反時計回り)に、感光ドラム11の周速度に対応する周速度(プロセススピード)で回転(周回移動)する。中間転写ベルト61の内周面側において、第1の補助ローラ64と二次転写前ローラ63との間には、各感光ドラム11に対応して、一次転写手段を構成する一次転写部材としての一次転写ローラ17が配置されている。一次転写ローラ17は、中間転写ベルト61を介して感光ドラム11に向けて押圧され、感光ドラム11と中間転写ベルト61とが接触する一次転写部(一次転写ニップ部)N1を形成する。複数の張架ローラのうち二次転写内ローラ62以外の張架ローラ、及び各一次転写ローラ17は、中間転写ベルト61の回転に伴って従動回転する。
【0020】
感光ドラム11上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが付与されることで、回転している中間転写ベルト61上に転写(一次転写)される。一次転写工程時に一次転写ローラ17には、一次転写電源(図示せず)からトナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム11に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト61上に重ね合わせるようにして順次転写される。なお、画像形成装置1は、ステーションSが4色分設けられている構成に限定されるものではなく、また各色用のステーションSの並び順も本実施例における並び順に限定されるものではない。一次転写工程後に感光ドラム11上に残ったトナー(一次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置15により感光ドラム11上から除去されて回収される。
【0021】
中間転写ベルト61の外周面側において、二次転写内ローラ62と対向する位置には、二次転写手段を構成する二次転写部材としての二次転写外ローラ31が配置されている。二次転写外ローラ31は、中間転写ベルト61の回転に伴って従動回転する。二次転写外ローラ31は、中間転写ベルト61を介して対向部材としての二次転写内ローラ62に向けて押圧され、中間転写ベルト61と二次転写外ローラ31とが接触する二次転写部(二次転写ニップ部)N2を形成する。中間転写ベルト61上に形成されたトナー像は、二次転写部N2において所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが付与されることで、中間転写ベルト61と二次転写外ローラ31とに挟持されて搬送される転写材P上に転写(二次転写)される。二次転写部N2の給電態様については後述する。二次転写工程後に中間転写ベルト61上に残ったトナー(二次転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置67により中間転写ベルト61上から除去されて回収される。
【0022】
転写材(シート、記録材、記録媒体)Pは、転写材収納部としての転写材収納庫(カセット)21内に、該転写材収納庫21が有するリフトアップの上に積載されて収納されている。転写材収納庫21に収納されている転写材Pは、給送手段としてのピックアップローラなどを有する給送機構22により、転写材収納庫21から1枚ずつ送り出される。転写材収納庫21から送り出された転写材Pは、搬送パスを通って搬送手段としてのレジストローラ及びコロなどを有するレジユニット23へと搬送される。この転写材Pは、レジユニット23において斜行補正が行われた後に、レジユニット23により中間転写ベルト61上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部N2へと送られる。なお、転写材Pを搬送する搬送パスは、搬送手段として、転写材Pを保持しながら受け渡すために適切な間隔で配置された搬送部材(例えば、ローラ対や吸着ベルトなど)24、及び転写材Pの挙動を抑えながら案内するガイド25などを有して構成される。
【0023】
トナー像が転写された転写材Pは、定着手段としての定着装置40へと搬送される。定着装置40は、未定着のトナー像を担持した転写材Pを加圧及び加熱してトナー像を転写材Pに定着(溶解、固着)させる。トナー像が定着された転写材Pは、分枝搬送機構51により、そのまま排出トレイ52上に排出されるか、又は両面画像形成を要する場合には反転搬送機構53から両面搬送機構54へと搬送されるかの経路選択が行われる。なお、本実施例の画像形成装置1は、定着装置40を通過した転写材Pを反転搬送機構53に搬送するための第1の搬送路55と、第1の搬送路55から搬送された転写材Pが反転して搬送される反転搬送路56と、を有する。また、本実施例の画像形成装置1は、反転搬送路56で反転された転写材Pが排出される第3の搬送路57と、反転搬送路56で反転された転写材Pを第1の搬送路55へと再搬送するための両面搬送路58と、を有する。
【0024】
本実施例では、各ステーションSにおいて、感光ドラム11、帯電ローラ12、現像装置14、及びドラムクリーニング装置15は、一体的に画像形成装置1の装置本体2に対して着脱可能なプロセスカートリッジ10を構成している。また、本実施例では、中間転写ベルト61、複数の張架ローラ62~66、各一次転写ローラ17、及びベルトクリーニング装置67は、一体的に画像形成装置1の装置本体2に対して着脱可能な中間転写ベルトユニット60を構成している。
【0025】
中間転写ベルト61を用いた中間転写方式の画像形成装置1は、感光ドラム11に転写材Pを直接接触させないため、薄紙、普通紙、厚紙といった多様な転写材Pに対して画像を形成することが容易であるという特徴がある。
【0026】
中間転写ベルト61としては、ポリイミド、ポリアミドなどの樹脂若しくはそのアロイ、又は各種ゴムなどに、カーボンブラックなどの帯電防止剤を適当量含有させた材料で形成されたものが好適に用いられる。また、中間転写ベルト61は、例えば、その表面抵抗率が1×109~5×1013Ω/□となるように形成される。また、中間転写ベルト61は、例えば、その厚みが0.04~0.5mm程度のフィルム状の無端ベルトで構成される。
【0027】
2.二次転写構成
図2は、本実施例における二次転写部N2の近傍の模式的な断面図(二次転写内ローラ62、二次転写外ローラ31、後述する給電ローラ32のそれぞれの回転軸線方向と略直交する断面)である。
【0028】
二次転写部N2は、二次転写部材(転写部材、転写回転体、転写ローラ)としての二次転写外ローラ31が、対向部材(対向ローラ)としての二次転写内ローラ62にバックアップされた中間転写ベルト61に当接することにより形成される。二次転写内ローラ62は、中間転写ベルト61のトナー像担持面とは反対側の面(内周面)側に配置される。二次転写外ローラ31は、中間転写ベルト61のトナー像担持面(外周面)側に配置される。
【0029】
本実施例では、二次転写内ローラ62は、金属製の芯金(芯材)62aの外周に導電性ゴムの弾性層62bが形成された弾性ローラである。本実施例では、二次転写内ローラ62の弾性層62bは、導電性を付与されたEPDMゴムを用いて形成されている。また、本実施例では、二次転写内ローラ62は、外径が16mm、弾性層の厚みが0.5mmになるように形成され、弾性層62bの硬度は例えば70°(アスカーC)に設定されている。本実施例では、二次転写内ローラ62は、中間転写ベルト61を駆動する駆動ローラの機能を有する。
【0030】
本実施例では、二次転写外ローラ31は、金属製の芯金(芯材)31aの外周に導電性ゴムのスポンジ(発泡弾性体)で弾性層31bが形成された弾性ローラである。本実施例では、二次転写外ローラ31の芯金31aは、全体が中実である。本実施例では、二次転写外ローラ31の弾性層31bは、イオン導電剤としての金属錯体と、カーボンなどの電子導電剤と、が含有されて導電性が付与されたNBRゴム又はEPDMゴムのスポンジを用いて形成されている。また、本実施例では、二次転写外ローラ31は、外径が20mm、弾性層の厚みが6mmになるように形成され、弾性層31bの硬度は例えば28°(アスカーC)に設定されている。なお、導電剤としてイオン導電剤のみを含有する弾性層が用いられてもよい。そして、二次転写外ローラ31は、詳しくは後述するように、二次転写内ローラ62にバックアップされた中間転写ベルト61の外周面に所定の押圧力で加圧当接され、中間転写ベルト61の回転に伴って従動回転する。
【0031】
また、本実施例では、二次転写外ローラ31に電荷(電流)を供給する給電部材(給電回転体)としての給電ローラ32が、二次転写外ローラ31の外周面に当接させられている。そして、本実施例では、給電ローラ32を介して二次転写外ローラ31に二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。中間転写ベルト61と二次転写外ローラ31との接触部が二次転写部(二次転写ニップ部)N2である。また、二次転写外ローラ31と給電ローラ32との接触部が給電部(給電ニップ部)N3である。なお、二次転写部N2、給電部N3の位置は、それぞれ二次転写外ローラ31、給電ローラ32の周方向(回転方向)に関する中央位置で代表するものとする。また、画像形成装置1の運転時には、二次転写内ローラ62、二次転写外ローラ31、給電ローラ32のそれぞれの回転軸線方向は略平行である。
【0032】
本実施例では、給電ローラ32は、導体であるSUMやSUSなどの金属で形成された金属ローラで構成されている。本実施例では、給電ローラ32を構成する金属ローラは、二次転写外ローラ31に接触可能なローラ部32b(
図3)と、ローラ部32bの回転軸線方向に関する両端部に形成された回転軸部32a(
図3)と、を含み全体が金属で形成されている。本実施例では、給電ローラ32は、全体が中実である。また、本実施例では、給電ローラ32のローラ部32bの外周面は実質的に平滑とされている。また、本実施例では、給電ローラ32のローラ部32bの外径は10mmである。そして、給電ローラ32は、詳しくは後述するように、二次転写外ローラ31の弾性層31bの外周面に所定の押圧力で加圧当接され、二次転写外ローラ31の回転に伴って従動回転する。
【0033】
給電ローラ32には、電圧印加手段(電流供給手段)としての二次転写電源(高圧電源回路)81が接続されている。二次転写電源81は、給電ローラ32を介して二次転写外ローラ31にトナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である二次転写電圧を印加する。本実施例では、二次転写電源81は定電圧電源である。本実施例では、二次転写電圧は定電圧制御される。一方、本実施例では、二次転写内ローラ62は、その芯金62aが接地電位(グラウンド)に接続されることで、電気的に接地されている。また、二次転写外ローラ31は電気的にフロート状態とされている。このような給電態様において、二次転写部N2に形成された転写電界の作用により、中間転写ベルト61上から、二次転写部N2を通過する転写材P上に、トナー像が転写される。なお、本実施例では二次転写電圧は定電圧制御されるが、二次転写電圧が定電流制御される構成とすることもできる。
【0034】
本実施例では、
図2に示す断面において、二次転写外ローラ31の回転中心を中心として、二次転写部N2の位置を0度としたときに、給電部N3の位置が約180度となる位置に給電ローラ32が配置されている。上記角度は、二次転写外ローラ31の回転中心と二次転写内ローラ62の回転中心とを結んだ直線と、二次転写外ローラ31の回転中心と二次転写外ローラ31の外周(二次転写部N2、又は給電部N3)とを結んだ直線とのなす角度である。つまり、本実施例では、給電ローラ32は、二次転写外ローラ31の芯金31aを挟んで二次転写部N2と給電部N3とが反対側に位置するように配置されている。これは、二次転写外ローラ31の弾性層31bを介して給電ローラ32から二次転写内ローラ62へ直接電流が流れることを抑制するためである。ただし、本実施例のような給電態様の場合、給電ローラ32は、二次転写外ローラ31の芯金31aを経由して二次転写部N2に転写電流が流れるように配置すればよく、例えば上記角度が180度±15度の範囲となるように配置することが好ましい。
【0035】
ここで、本実施例とは異なり、二次転写外ローラ31の芯金31aに電圧を印加する構成では、二次転写外ローラ31の周方向に関するある位置の弾性層31bに注目した場合に、その位置にかかる電界は、常に同じ向きの電界となる。そのため、この構成では、二次転写外ローラ31の弾性層31bにおけるイオン導電剤の分極が発生して、二次転写外ローラ31の使用に伴って二次転写外ローラ31の電気抵抗が上昇していく。これに対して、本実施例のような給電態様では、給電ローラ32から供給された電荷が二次転写外ローラ31の芯金31aを経由して二次転写部N2に到達するように構成されている。これにより、二次転写外ローラ31の周方向に関するある位置の弾性層31bに注目した場合に、その位置にかかる電界は、二次転写外ローラ31が約半周回転するごとに逆方向の電界となる(
図2中の矢印A)。そのため、二次転写外ローラ31の弾性層31bにおけるイオン導電剤の分極を抑制することができ、二次転写外ローラ31の電気抵抗の上昇を抑制することができる。
【0036】
3.中間転写ベルト、二次転写外ローラ、給電ローラの回転
本実施例では、中間転写ベルト61は、駆動ローラの機能を有する二次転写内ローラ62に、駆動手段を構成する駆動源としてのベルトモータ(図示せず)から駆動力が入力されることにより駆動される。画像形成装置1に設けられた制御手段としてのCPUの回転数決定部は、印刷設定に対応した二次転写内ローラ62の回転数(対応するベルトモータの回転数)を決定する。本実施例では、画像形成装置1は、転写材Pの種類に対応してプロセススピードを変化させることができるようになっている。そのため、CPUは、印刷設定に含まれている転写材Pの種類に対応した回転数を、画像形成装置1に設けられた記憶手段としてのメモリに記憶されたテーブルなどに基づいて決定する。ベルトモータは、CPUが決定した回転数で二次転写内ローラ62を回転させることで、中間転写ベルト61を対応する搬送速度で回転させる。
【0037】
二次転写外ローラ31は、二次転写内ローラ62にバックアップされた中間転写ベルト61に所定の押圧力で押圧され、中間転写ベルト61の回転に伴って従動回転する。これにより、二次転写外ローラ31が中間転写ベルト61の回転に対して安定して従動回転する場合、二次転写外ローラ31と中間転写ベルト61との間に周速差が生じにくくなっている。しかし、二次転写外ローラ31の回転トルクが大きい場合には、二次転写外ローラ31と中間転写ベルト61との周速差が大きくなってしまうことがある。この場合には、転写材Pが二次転写部N2に突入した際に、転写材Pの搬送速度が低下してしまうことがある。これにより、中間転写ベルト61と転写材Pとの搬送速度差が大きくなり、画像が伸縮してしまう問題が発生することがある。このように、中間転写ベルト61の回転に伴って従動回転する二次転写外ローラ31は、中間転写ベルト61の回転に対して安定して回転する必要があり、この観点からは二次転写外ローラ31の回転トルクは小さい方がよい。
【0038】
一方、二次転写外ローラ31の回転に伴って従動回転する給電ローラ32も、二次転写外ローラ31の回転に対して安定して回転する必要がある。給電ローラ32が二次転写外ローラ31の回転に対して安定して回転しない場合には、二次転写外ローラ31に付着したトナーなどの付着物が二次転写外ローラ31と給電ローラ32との接触部に堆積してしまうことがある。そして、この堆積したトナーなどの付着物が二次転写外ローラ31と給電ローラ32との接触部を一度にすり抜け、転写材Pの裏面に付着して、転写材Pの裏汚れとなることがある。また、給電ローラ32は、二次転写外ローラ31との間での電気的な導通を確保する必要性からも、安定して回転する必要がある。給電ローラ32を二次転写外ローラ31の回転に対して安定して回転させるためには、給電ローラ32を二次転写外ローラ31に所定の押圧力で押圧する必要がある。なお、給電ローラ32を安定して回転させるために、給電ローラ32を、金属軸にローレット加工を施した金属ローラで構成したり、金属ローラの外周に導電性ゴムを付加した弾性ローラで構成したりすると、装置の価格の上昇につながる。
【0039】
しかしながら、従来の構成では、詳しくは後述するように、二次転写外ローラ31や給電ローラ32を安定して回転させることが難しくなる場合がある。
【0040】
4.支持構成
次に、本実施例における二次転写外ローラ31、給電ローラ32の支持構成について説明する。ここでは、画像形成装置1、及びその要素に関して、画像形成装置1の運転時における
図1の紙面手前側を「手前側」、紙面奥側を「奥側」とする。この「手前側」と「奥側」とを結ぶ直線は、画像形成装置1の運転時における二次転写外ローラ31、給電ローラ32のそれぞれの回転軸線方向と略平行であるものとし、該方向を「スラスト方向」ともいう。
図3は、本実施例における二次転写外ローラ31、給電ローラ32の支持構成を示す模式的な断面図(二次転写外ローラ31及び給電ローラ32の回転軸線を通るスラスト方向と略平行な断面)である。
図3には、スラスト方向に関する一方の端部の支持構成のみを示している。ただし、本実施例では、二次転写外ローラ31、給電ローラ32の支持構成は、スラスト方向に関する両端部側で同様の構成(スラスト方向に関する中央を通るスラスト方向と略直交する平面に対し実質的に対称の構成)とされる。
【0041】
画像形成装置1は、二次転写外ローラ31及び給電ローラ32などを保持するための保持部材としてのホルダ101を有する。また、画像形成装置1は、二次転写外ローラ31を回転可能に支持するための第1の軸受部材としての二次転写軸受部材102と、給電ローラ32を回転可能に支持するための第2の軸受部材としての給電軸受部材103と、を有する。また、画像形成装置1は、二次転写軸受部材102を付勢するための第1の加圧部材(付勢部材)としての二次転写加圧バネ104と、給電軸受部材103を付勢するための第2の加圧部材(付勢部材)としての給電加圧バネ105と、を有する。
【0042】
二次転写外ローラ31は、その回転軸線方向に関する端部において、二次転写軸受部材102により回転可能に支持される。より詳細には、二次転写外ローラ31は、その芯金31aの回転軸線方向に関する端部に形成された回転軸部31a1が二次転写軸受部材102により回転可能に支持される。二次転写軸受部材102は、ホルダ101により、二次転写内ローラ62に対する加圧方向に沿って移動可能に保持される。二次転写加圧バネ104は、圧縮コイルバネで構成されており、一端が二次転写軸受部材102に当接し、他端がホルダ101に当接するように配置され、画像形成装置1の運転時に所定の押圧力を二次転写軸受部材102に付加する。これにより、二次転写外ローラ31は、二次転写内ローラ62にバックアップされた中間転写ベルト61に押圧され、中間転写ベルト61の回転に伴って従動回転する。
【0043】
また、給電ローラ32は、その回転軸線方向に関する端部において、給電軸受部材103により回転可能に支持される。より詳細には、給電ローラ32は、その回転軸線方向に関する端部に形成された回転軸部32aが給電軸受部材103により回転可能に支持される。給電軸受部材103は、二次転写軸受部材102により、二次転写外ローラ31に対する加圧方向に沿って移動可能に保持される。給電加圧バネ105は、圧縮コイルバネで構成されており、一端が給電軸受部材103に当接し、他端が二次転写軸受部材102に当接するように配置され、画像形成装置1の運転時に所定の押圧力を給電軸受部材103に付加する。これにより、給電ローラ32は、二次転写外ローラ31に押圧され、二次転写外ローラ31の回転に伴って従動回転する。
【0044】
このように、本実施例では、移動可能な二次転写軸受部材102が、給電軸受部材103と給電加圧バネ105とを保持する。これにより、二次転写外ローラ31に対する給電ローラ32の押圧力を安定させることができ、二次転写外ローラ31、給電ローラ32の安定した回転を可能とすることができる。
【0045】
5.効果
次に、比較例の構成も参照しながら、本実施例における二次転写外ローラ31、給電ローラ32の支持構成による効果について更に説明する。なお、比較例の構成についても、本実施例のものと対応する機能あるいは構成を有する要素には同一の符号を付して説明する。
【0046】
図4は、比較例1における二次転写外ローラ31、給電ローラ32の支持構成を示す
図3と同様の模式的な断面図である。比較例1の構成では、ホルダ101に、二次転写軸受部材102と給電軸受部材103とが共に加圧方向に沿って移動可能に保持されている。そして、比較例1の構成では、二次転写加圧バネ104は、一端が二次転写軸受部材102に当接し、他端がホルダ101に当接するように配置されている。さらに、比較例1では、給電加圧バネ105は、一端が給電軸受部材103に当接し、他端がホルダ101に当接するように配置されている。つまり、比較例1の構成では、中間転写ベルト61、二次転写外ローラ31に対して、二次転写外ローラ31、給電ローラ32を、それぞれホルダ101に押し当てられた二次転写加圧バネ104、給電加圧バネ105により所定の押圧力で押圧(圧規制)する。
【0047】
比較例1の構成では、例えば、二次転写加圧バネ104の製造上の誤差などにより、二次転写加圧バネ104の押圧力が強い場合には、次のようになることがある。つまり、二次転写外ローラ31が中間転写ベルト61側に押し込まれ、給電ローラ32から逃げる方向に働き、給電ローラ32の二次転写外ローラ31に対する押圧力が弱まってしまう。そのため、給電ローラ32の回転不良を引き起こしてしまうことがある。給電ローラ32が回転不良を起こすと、前述のように、二次転写外ローラ31に付着したトナーなどの付着物が二次転写外ローラ31と給電ローラ32との接触部で貯まってしまうことがある。そして、この貯まったトナーなどの付着物が一度にすり抜けると、転写材Pの裏面に付着して転写材Pの裏汚れとなることがある。また、二次転写加圧バネ104の押圧力が弱い場合には、次のようになることがある。つまり、二次転写外ローラ31が給電ローラ32に対して食い込む方向に働き、給電ローラ32の二次転写外ローラ31に対する押圧力が強くなってしまう。そのため、給電ローラ32の二次転写外ローラ31の回転に対するブレーキの働きが強くなってしまうことがある。二次転写外ローラ31にブレーキがかかると、前述のように、中間転写ベルト61と二次転写外ローラ31とに挟持されている転写材Pの搬送にブレーキをかけることとなる。そして、中間転写ベルト61上に描かれた画像に対して転写材Pの搬送が遅れて、転写材P上に転写された画像が縮むことがある。
【0048】
また、
図5は、比較例2における二次転写外ローラ31、給電ローラ32の支持構成を示す
図3と同様の模式的な断面図である。比較例2の構成では、ホルダ101に移動可能に保持された軸受部材202に、二次転写外ローラ31と給電ローラ32とが共に回転可能に保持されている。そして、比較例2の構成では、加圧バネ204は、一端が軸受部材202に当接し、他端がホルダ101に当接するように配置されている。つまり、比較例2の構成では、中間転写ベルト61に対して二次転写外ローラ31を加圧バネ204により所定の押圧力で押圧(圧規制)すると共に、二次転写外ローラ31に対して所定の侵入量となるように給電ローラ32を位置決め(位置規制)する。
【0049】
比較例2の構成では、給電ローラ32を二次転写外ローラ31の回転に伴って良好に従動回転させるには、給電ローラ32を二次転写外ローラ31に0.2mm侵入させる必要があったとする。ここで、例えば、製造上の誤差などにより、二次転写外ローラ31の外径や給電ローラ32の外径が公差の範囲内でばらついてしまうことがある。このとき、二次転写外ローラ31の外径や、給電ローラ32の外径が公差の範囲内で小径側に振れたとしても、給電ローラ32の侵入量0.2mmを保証する必要がある。このため、二次転写外ローラ31と給電ローラ32の軸間距離は短く設定せざるを得なくなる。しかし、このような軸間距離の設定では、二次転写外ローラ31の外径や給電ローラ32の外径が大径側に振れた場合、侵入量が過大となってしまう。例えば、二次転写外ローラ31の外径が狙いよりも0.3mm小さく作製され、給電ローラ32の外径が狙いよりも0.1mm小さく作製された場合を想定して、次のようにすることがある。つまり、例えば、供給ローラ32を二次転写外ローラ31に対して称呼で0.6mm侵入した状態にすることがある。しかし、この場合に、例えば、二次転写外ローラ31の外径が狙いよりも0.3mm大きく作製され、給電ローラ32の外径が狙いよりも0.1mm大きく作製されることが考えられる。この場合には、供給ローラ32の二次転写外ローラ31に対する侵入量が1.0mmとなり、給電ローラ32の二次転写外ローラ31の回転に対するブレーキの働きが強くなってしまうことがある。そして、上記同様、画像が縮む問題が生じることがある。逆に、二次転写外ローラ31の外径が狙いよりも大きく作製され、給電ローラ32の外径が狙いよりも大きく作製された場合を想定して、称呼の侵入量を設定することが考えられる。この場合に、二次転写外ローラ31の外径が狙いよりも小さく作製され、給電ローラ32の外径が狙いよりも小さく作製されると、給電ローラ32の二次転写外ローラ31に対する押圧力が弱まって、給電ローラ32が回転不良を起こすことがある。そして、上記同様、転写材Pの裏汚れの問題が生じることがある。
【0050】
これに対して、本実施例の構成では、二次転写軸受部材102を二次転写加圧バネ104により押圧すると共に、その二次転写軸受部材102に保持された給電軸受部材103を同じく二次転写軸受部材102に保持された給電加圧バネ105により押圧する。つまり、本実施例の構成では、中間転写ベルト61に対して二次転写外ローラ31を二次転写加圧バネ104により所定の押圧力で押圧(圧規制)する。また、本実施例では、二次転写外ローラ31に対して給電ローラ32を給電加圧バネ105により所定の押圧力で押圧(圧規制)する。そして、本実施例では、この給電ローラ32及び給電加圧バネ105が、二次転写外ローラ31の加圧方向への移動に伴って一緒に移動できるように、給電軸受部材103及び給電加圧バネ105は二次転写軸受部材102に保持されている。したがって、仮に上述のように二次転写加圧バネ104の押圧力のばらつきがあっても、給電ローラ32及び供給加圧バネ105が二次転写外ローラ31と一緒に、二次転写加圧バネ104の加圧方向に沿って移動する。そのため、その押圧力のばらつきの影響を受けないか十分に抑制できる。また、仮に上述のように二次転写外ローラ31や供給ローラ32(特に、弾性層31bを有する二次転写外ローラ31)の外径のばらつきがあっても、供給ローラ32は、圧規制されており、その外径のばらつきに応じて位置が変化する。そのため、その外径のばらつきの影響は受けないか十分に抑制できる。
【0051】
このように、本実施例では、画像形成装置1は、トナー像を担持する像担持体11と、像担持体11にトナー像を形成する画像形成部12、13、14と、像担持体11からトナー像が転写される中間転写ベルト61と、芯金31aと芯金31aの周りに設けられた弾性層31bとを備え、中間転写ベルト61の外周面に当接して転写部N2を形成する転写ローラ31と、中間転写ベルト61を挟んで転写ローラ31に対向され、転写ローラ31と協同して転写部N2を形成する対向ローラ62と、転写部N2に流す電流を供給する電源81と、転写ローラ31に当接する金属ローラ32であって、転写ローラ31の芯金31aとの間に電源81から供給される電流が流れる電流経路を形成する金属ローラ32と、を有する。また、この画像形成装置1は、転写ローラ31の回転軸線方向の両端部側にそれぞれ設けられ、転写ローラ31を回転可能に支持する第1の軸受部材102と、第1の軸受部材102を移動可能に保持する保持部材101と、転写ローラ31の回転軸線方向の両端部側にそれぞれ設けられ、第1の軸受部材102と保持部材101との間に設けられ、転写ローラ31を中間転写ベルト61に加圧する第1の加圧部材104と、金属ローラ32の回転軸線方向の両端部側にそれぞれ設けられ、第1の軸受部材102に移動可能に保持され、金属ローラ32を回転可能に支持する第2の軸受部材103と、金属ローラ32の回転軸線方向の両端部側にそれぞれ設けられ、第2の軸受部材103と第1の軸受部材102との間に設けられ、第2の軸受部材103を第1の軸受部材102に対して相対移動させて金属ローラ32を転写ローラ31に加圧する第2の加圧部材105と、を有する。本実施例では、給電ローラ32の転写ローラ31に接触する外周面は平滑である。
【0052】
以上のように、本実施例によれば、給電軸受部材103と給電加圧バネ105とを移動可能な二次転写軸受部材102によって保持することで、従動回転する二次転写外ローラ31や給電ローラ32の回転が安定しないことによる不具合を抑制することができる。したがって、本実施例によれば、装置の構成の簡易化や低価格化を図りながら、二次転写外ローラ31や、二次転写外ローラ31に当接する給電ローラ32の安定した回転を可能とすることができる。
【0053】
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0054】
本実施例では、主に、実施例1において説明した二次転写外ローラ31、給電ローラ32の支持構成の原理を適用したより具体的な構成について説明する。なお、実施例1と同様、画像形成装置1、及びその要素に関して、画像形成装置1の運転時における
図1の紙面手前側を「手前側」、紙面奥側を「奥側」とする。また、この「手前側」と「奥側」とを結ぶ直線方向(画像形成装置1の運転時における二次転写外ローラ31、給電ローラ32のそれぞれの回転軸線方向と略平行な方向)を「スラスト方向」ともいう。また、画像形成装置1、及びその要素に関して、上下方向は重力方向(鉛直方向)の上下方向を言うものであるが、それぞれ直上、直下のみを意味するものではなく、注目する要素又は位置を通る水平面より上側、下側を含むものである。
【0055】
1.二次転写ユニット
図6は、
図1に示す本実施例の画像形成装置1の後述する右扉ユニット90を開放した状態を示す断面図である。
【0056】
画像形成装置1は、装置本体2を手前側から見た際の右側の側部に、装置本体2の内部を開放する開閉部材としての右扉ユニット90を有する。右扉ユニット90は、下方に設けられたスラスト方向と略平行に伸びる回転軸91を中心として、上部を下方に回動させて開放し、上部を上方に回動させて閉鎖するように構成されている。右扉ユニット90は、ユーザーやサービス担当者などの操作者によって右扉ユニット90に設けられた把手部などの操作部(図示せず)が操作されることによって開閉される。
【0057】
右扉ユニット90は、転写材収納庫21から二次転写部N2を経て定着装置40に至る転写材Pの搬送経路の少なくとも一部を、転写材Pのオモテ面(トナー像が転写される面)側とウラ面側とを分割するようにして開放される。実施例1において説明したものと同様の、二次転写外ローラ31、給電ローラ32、ホルダ101、二次転写軸受部材102及び給電軸受部材103などを備えた二次転写ユニット70は、右扉ユニット90に取り付けられている。右扉ユニット90を開放すると、二次転写外ローラ31が中間転写ベルト61から離間されるようにして、二次転写ユニット70は右扉ユニット90と共に移動する。そして、操作者は、開放された右扉ユニット90に取り付けられている二次転写ユニット70にアクセスすることができる。
【0058】
本実施例では、二次転写外ローラ31は、その寿命が装置本体2の寿命よりも短いため、装置本体2に対して着脱して交換することができるようになっている。一方、本実施例では、給電ローラ32は金属ローラで構成されており、その交換の必要性は低い。ただし、給電ローラ32は、その表面に付着したトナーなどの付着物を清掃することが必要な場合がある。本実施例では、操作者は、上述のようにして右扉ユニット90を開放して二次転写ユニット70にアクセスし、詳しくは後述するように、二次転写軸受部材102をホルダ101から取り外すことができる。これにより、本実施例では、二次転写軸受部材102と一緒に、二次転写外ローラ31及び給電ローラ32などをホルダ101から取り外すことができる。そして、操作者は、二次転写外ローラ31を二次転写軸受部材102から取り外して新品と交換することができ、また給電ローラ32を給電軸受部材103から取り外すなどして清掃することができる。
【0059】
なお、詳しくは後述するように、二次転写軸受部材102をホルダ101に取り付けた状態のまま二次転写外ローラ31や給電ローラ32を二次転写軸受部材102から取り外すようにしてもよい。また、二次転写ユニット70がホルダ101ごと右扉ユニット90に対して着脱可能とされていてもよい。この場合、二次転写ユニット70を右扉ユニット90から取り外した後に、二次転写外ローラ31の交換や給電ローラ32の清掃を行ってもよい。
【0060】
2.支持構成
図7は、本実施例における二次転写外ローラ31、給電ローラ32の支持構成を示す断面図(二次転写外ローラ31及び給電ローラ32の回転軸線を通るスラスト方向と略平行な断面)である。
図8は、本実施例における二次転写軸受部材102及び給電軸受部材103などをスラスト方向に関する中央側から見た斜視図である。
図9は、
図8に示す二次転写軸受部材102に給電ローラ32を取り付ける様子を示す斜視図である。また、
図10は、
図8に示す二次転写軸受部材102に二次転写外ローラ31を取り付ける様子を示す斜視図である。
図7~
図10には、スラスト方向に関する一方の端部の支持構成のみを示している。ただし、本実施例では二次転写外ローラ31、給電ローラ32の支持構成は、スラスト方向に関する両端部側で同様の構成(スラスト方向に関する中央を通るスラスト方向と略直交する平面に対し実質的に対称の構成)とされる。また、
図8~
図10の(a)、(b)は、後述するようにそれぞれ一部が異なる具体的な構成の一例を示している。なお、
図7~
図10において、各部材は、ほぼ右扉ユニット90が開放された状態における配向で示されているものとし、図中の上方が重力方向に関する上方、図中の下方が重力方向に関する下方に配置されているものとして説明する。
【0061】
図6、
図7に示すように、二次転写ユニット70は、ホルダ101と、二次転写軸受部材102と、給電軸受部材103と、二次転写加圧バネ104と、給電加圧バネ105と、を有する。ホルダ101は、右扉ユニット90が開放された状態で、上方に開口部を有する略箱型の形状を有し、そのスラスト方向に関する両端部に二次転写軸受部材102が取り付けられるように構成されている。これにより、給電ローラ32が下側、二次転写外ローラ31が上側に配置されるようにして、二次転写外ローラ31及び給電ローラ32などが二次転写軸受部材102に保持されてホルダ101内に組み付けられる。二次転写外ローラ31の外周面の一部は、ホルダ101の外部に露出し、右扉ユニット90が閉鎖されると、二次転写外ローラ31の外周面が二次転写内ローラ62にバックアップされた中間転写ベルト61の外周面に当接する。また、右扉ユニット90が閉鎖された状態で、二次転写外ローラ31は二次転写加圧バネ104によって二次転写内ローラ62にバックアップされた中間転写ベルト61に所定の押圧力で押圧される。また、この状態で、給電ローラ32は給電加圧バネ105によって二次転写外ローラ31に所定の押圧力で押圧される。
【0062】
図7、
図8(a)、(b)に示すように、二次転写軸受部材102は、二次転写外ローラ31の芯金31aの回転軸線方向に関する端部に形成された回転軸部31a1を回転可能に支持する二次転写支持部121を有する。本実施例では、二次転写支持部121は、二次転写外ローラ31の回転軸部31a1を回転可能に支持するベアリング(滑り軸受)121bと、このベアリング121bを保持するベアリング保持部121aと、を有して構成されている。ただし、二次転写支持部121は、ベアリングなどの別部材が設けられておらず、二次転写外ローラ31の回転軸部31a1を直接支持するように構成されていてもよい。その場合、二次転写支持部121は、例えば、上方が開放された断面略U字形状の受け面を有する構成などとすることができる(
図10(a)参照)。二次転写軸受部材102における二次転写支持部121の底部の下方を向いた面には、二次転写加圧バネ104の押圧力を受ける二次転写加圧受け部122が形成されている。二次転写加圧バネ104の上方の端部は、二次転写加圧受け部122に当接する。また、二次転写加圧バネ104の下方の端部は、ホルダ101の上方を向いた面に形成された二次転写加圧座面111に当接する。
図8(a)、(b)に示すように、二次転写軸受部材102における二次転写支持部121を挟んだ両側には、ホルダ101に設けられたガイド部(図示せず)と摺動可能に係合するガイド受け部126が設けられている。二次転写軸受部材102は、ガイド受け部126がホルダ101のガイド部に係合することで、上下方向(画像形成装置1の運転時における二次転写外ローラ31の二次転写内ローラ62に対する加圧方向に沿う方向)にスライド移動可能とされている。
【0063】
図7、
図8(a)、(b)に示すように、二次転写軸受部材102には、スラスト方向に関して外側に突出した二次転写軸受係合部(係合凸部、爪形状部)127が設けられている。本実施例では、二次転写軸受係合部127は、スラスト方向に沿って外側及び内側(中央側)に移動するように弾性変形可能とされている。二次転写軸受部材102がホルダ101の所定の位置に配置されると、二次転写軸受係合部127がホルダ101に設けられたホルダ係合部(係合穴部又は凹部)112(
図7)と係合する。二次転写軸受部材102は、二次転写軸受係合部127が弾性変形されながらホルダ101内に装着できるようになっている。そして、二次転写軸受部材102は、二次転写加圧バネ104がある程度圧縮された状態でホルダ101に保持される。これにより、右扉ユニット90の開閉時に二次転写軸受部材102がホルダ101から脱落しないようになっている。操作者が指などで操作して二次転写軸受係合部127とホルダ係合部112との係合を解除することで、二次転写軸受部材102をホルダ101から取り外すことができる。また、
図7、
図8(a)、(b)に示すように、二次転写軸受部材102には、二次転写支持部121よりもスラスト方向に関して外側に、二次転写外ローラ31の回転軸部31a1の端部近傍と係合可能な軸係合部(爪形状部)128が設けられている。本実施例では、軸係合部128は、上方が開放された断面略U字形状とされ、上方の端部が二次転写外ローラ31の回転軸部31a1に向かう方向及びその逆方向に移動するように弾性変形可能とされている。軸係合部128は、二次転写外ローラ31を二次転写軸受部材102に組み付ける際に、操作者の操作により回転軸部31a1によって弾性変形させられて該回転軸部31a1を受け入れられるようになっている。また、軸係合部128は、二次転写外ローラ31を二次転写軸受部材102から取り外す際に、操作者の操作により回転軸部31a1によって弾性変形させられて二次転写外ローラ31を二次転写軸受部材102から引き抜けるようになっている。
【0064】
また、
図7、
図8(a)、(b)に示すように、二次転写軸受部材102は、給電軸受部材103を保持する給電軸受保持部124を有する。給電軸受保持部124は、給電軸受部材103を上下方向(画像形成装置1の運転時における給電ローラ32の二次転写外ローラ31に対する加圧方向に沿う方向)にスライド移動可能に保持する。また、二次転写軸受部材102は、給電軸受保持部124の下方の、上方(給電軸受部材103側)を向いた面に形成された給電加圧座面123を有する。給電加圧バネ105の上方の端部は、後述する給電軸受部材103の下方を向いた面に形成された給電加圧受け部132に当接する。また、給電加圧バネ105の下方の端部は、二次転写軸受部材102に形成された給電加圧座面123に当接する。
図8(a)、(b)に示すように、給電軸受保持部124の上方(二次転写外ローラ31側)の端部には、給電軸受部材103が配置される位置を挟んで両側から該位置側に突出した、給電軸受係合部(係合凸部、爪形状部)125が設けられている。給電軸受保持部124は、その上方の端部に設けられた給電軸受係合部125が給電軸受部材103に向かう方向及びその逆方向に移動するように弾性変形可能とされている。給電軸受部材103が給電軸受保持部124に配置されると、給電軸受部材103の上方の端部が給電軸受係合部125と係合する。二次転写軸受部材102は、給電軸受部材103により給電軸受係合部125を弾性変形させながら、給電軸受部材103を給電軸受保持部124に装着できるようになっている。そして、給電軸受部材103は、給電加圧バネ105がある程度圧縮された状態で二次転写軸受部材102に保持される。
【0065】
また、
図7、
図8(a)、(b)に示すように、給電軸受部材103は、給電ローラ32の回転軸線方向に関する端部に形成された回転軸部32aを回転可能に支持する給電支持部131を有する。給電支持部131は、
図8(a)に示すように上方が開放された断面略U字形状の受け面を有する構成とされていてもよいし、
図8(b)に示すように断面略円形(略円筒形状)の受け面を有する構成とされていてもよい。給電軸受部材103の底部の下方を向いた面には、給電加圧バネ105の押圧力を受ける給電加圧受け部132が形成されている。上述のように、給電加圧バネ105の上方の端部は、給電加圧受け部132に当接する。また、上述のように、給電加圧バネ105の下方の端部は、二次転写軸受部材102に形成された給電加圧座面123に当接する。そして、上述のように、給電軸受部材103は、給電加圧バネ105がある程度圧縮された状態で二次転写軸受部材102に保持される。
【0066】
ここで、
図7、
図8(a)、(b)に示すように、本実施例では、スラスト方向に関して、二次転写加圧バネ104(二次転写加圧受け部122)と、給電加圧バネ105(給電加圧受け部132)とは、異なる位置に配置されている。特に、本実施例では、二次転写加圧バネ104がスラスト方向に関して外側に配置され、給電加圧バネ105がスラスト方向に関して内側(中央側)に配置される。本実施例では、二次転写外ローラ31の二次転写内ローラ32に対する押圧力の設定(例えば6~8kgf)の方が、給電ローラ32の二次転写外ローラ31に対する押圧力の設定(例えば300gf)よりも大きい。この場合、材料などにもよるが、本実施例では、二次転写加圧バネ104の伸縮方向の長さ(自由長で代表)は、給電加圧バネ105の伸縮方向の長さ(自由長で代表)よりも大きくなっている。そのため、本実施例のように、二次転写加圧バネ104と給電加圧バネ105とをスラスト方向に関して並列に配置することで、二次転写ユニット70の加圧方向のサイズ(高さ)の小型化を図ることができる。
【0067】
3.給電構成
図7を参照して、本実施例における給電ローラ32に対する給電構成について説明する。
【0068】
本実施例では、ホルダ101は電気絶縁性の樹脂で形成されている。また、本実施例では、二次転写軸受部材102は電気絶縁性の樹脂で形成されている。なお、二次転写支持部121がベアリング121bを有して構成される場合、このベアリングは金属を用いて形成されていてよい。また、本実施例では、給電軸受部材103は、導電性の樹脂で形成されている。また、本実施例では、二次転写加圧バネ104、給電加圧バネ105は、それぞれ導電性材料である金属(硬鋼線など)で構成され、また給電ローラ32は金属ローラで構成されている。
【0069】
そして、本実施例では、二次転写ユニット70には、金属の線材で形成された第1の導電部材106と、第2の導電部材107と、が設けられている。第1の導電部材106は、一端部が二次転写軸受部材102の給電加圧座面123に配置され、他端部が二次転写軸受部材102の二次転写加圧受け部122に配置される。そして、第1の導電部材106は、一端部が給電加圧バネ105の下方の端部と接触し、他端部が二次転写加圧バネ104の上方の端部と接触する。これにより、第1の導電部材106は、給電加圧バネ105と二次転写加圧バネ104とを電気的に接続する。また、給電加圧バネ105は、導電性を有する給電軸受部材103に接触しているため、給電軸受部材103を介して給電ローラ32と電気的に接続される。一方、第2の導電部材107は、一端部がホルダ101の二次転写加圧座面111に配置され、他端部がホルダ101から引き出される。そして、第2の導電部材107は、一端部が二次転写加圧バネ104の下方の端部と接触し、他端部がホルダ101あるいは右扉ユニット90に設けられた接点部材(図示せず)に接続される。これにより、第2の導電部材107は、二次転写加圧バネ104と上記接点部材とを電気的に接続する。上記接点部材は、右扉ユニット90及び装置本体2に設けられた導通経路を経由して装置本体2に設けられた二次転写電源81に接続されている。
【0070】
このように、本実施例では、給電ローラ32への給電は、第2の導電部材107、二次転写加圧バネ104、第1の導電部材106、給電加圧バネ105、及び給電軸受部材103を介して行われる。給電加圧バネ105、更には二次転写加圧バネ104を給電ローラ32に対する給電経路を構成する部材として兼用することで、装置の構成の簡易化や低価格化を図ることができる。
【0071】
4.組み立て手順
図9、
図10を参照して、二次転写ユニット70の組み立て手順について説明する。
【0072】
図9(a)、(b)に示すように、例えば、二次転写外ローラ31の交換や給電ローラ32の清掃を行った際に、二次転写ユニット70を組み立てる場合には、まず給電ローラ32の組み付けを行う。給電ローラ32の組み付けは、ホルダ101に二次転写加圧バネ104が配置され、二次転写軸受係合部127とホルダ係合部112とが係合し二次転写軸受部材102がホルダ101に保持された状態で行うことができる。
図9(a)に示すように給電軸受部材103の給電支持部131の受け面が断面略U字形状の場合は、給電加圧バネ105が配置された状態の二次転写軸受部材102に給電軸受部材103を組み付けた後に、給電ローラ32を組み付けることができる。また、
図9(b)に示すように給電軸受部材103の給電支持部131の受け面が断面略円形の場合は、給電ローラ32を給電軸受部材103に組み付けてから、給電加圧バネ105が配置された状態の二次転写軸受部材102に組み付ければよい。
【0073】
次に、
図10(a)、(b)に示すように、二次転写外ローラ31の組み付けを行う。二次転写外ローラ31の組み付けは、上述のように給電ローラ32が組み付けられた二次転写軸受部材102がホルダ101に保持された状態で行うことができる。
図10(a)に示すように二次転写支持部121の受け面が断面略U字形状の場合は、二次転写外ローラ31をその受け面に載置するようにして組み付ける。また、
図10(b)に示すように二次転写支持部121がベアリング121bを有して構成されている場合は、二次転写外ローラ31の回転軸部31a1にベアリング121bを組み付けてから、ベアリング保持部121aに組み付けることができる。二次転写外ローラ31を組み付ける際に、二次転写外ローラ31の回転軸部31a1の端部近傍が、軸係合部
(規制部)128に受け入れられて、軸係合部128により係止される。これにより、二次転写軸受部材102に組み付けられた二次転写外ローラ31が容易には二次転写軸受部材102から脱落したようになっている。また、二次転写軸受部材102に先に組み付けられた二次転写給電ローラ32は、給電軸受係合部125によって給電軸受部材103が係止されることで、加圧方向に飛び出しすぎないようになっている。これにより、二次転写外ローラ31を組み付ける際に、二次転写外ローラ31により給電ローラ32を押し込む量を減らすことができ、二次転写外ローラ31が組み付けやすくなる。
【0074】
なお、二次転写軸受係合部127、給電軸受係合部125、軸係合部128の係合は、画像形成装置1の運転時には係合が解除され、二次転写加圧バネ104、給電加圧バネ105を適切に圧縮することができるようになっている。
【0075】
また、給電ローラ32、二次転写外ローラ31のうち少なくとも一方を、二次転写軸受部材102をホルダ101に組み付ける前に二次転写軸受部材102に組み付けるようにしてもよい。
【0076】
また、二次転写外ローラ31、給電ローラ32の取り外し手順は、概略上述の組み立て手順の逆の手順とすることができる。また、ホルダ101から二次転写軸受部材102を取り外した後に、二次転写外ローラ31、給電ローラ32を二次転写軸受部材102から取り外してもよい。
【0077】
また、ここでは、例えば二次転写外ローラ31の交換や給電ローラ32の清掃の際の組み立て手順として説明したが、画像形成装置1(二次転写ユニット70)の製造時の組み立て手順も同様とすることができる。
【0078】
このように、本実施例では、第1の軸受部材102は、保持部材101に対して着脱可能であり、第1の軸受部材102が保持部材101に取り付けられたときに保持部材101と係合して第1の加圧部材104による加圧方向への第1の軸受部材102の移動を規制する第1の係合部127を有する。また、本実施例では、転写ローラ31は、第1の軸受部材102に対して着脱可能であり、第1の軸受部材102は、転写ローラ31が第1の軸受部材101に取り付けられていないときに第2の軸受部材103と係合して第2の加圧部材105による加圧方向への第2の軸受部材103の移動を規制する第2の係合部125を有する。また、本実施例では、転写ローラ31は、第1の軸受部材102に対して着脱可能であり、第1の軸受部材102は、転写ローラ31が中間転写ベルト61に当接させられていないときに転写ローラ31と係合可能であって、第1の軸受部材102に取り付けられた転写ローラ31を第1の軸受部材102に保持可能な第3の係合部128を有する。
【0079】
また、本実施例では、転写ローラ31の回転軸線方向に関して、第1の軸受部材102による転写ローラ31の支持部と第2の軸受部材103による金属ローラ32の支持部とは異なる位置に配置されている。特に、本実施例では、第1の軸受部材102による転写ローラ31の支持部よりも、第2の軸受部材103による金属ローラ32の支持部の方が、転写ローラ31の回転軸線方向に関する転写ローラ31の中央側に位置する。また、本実施例では、転写ローラ31の回転軸線方向に関して、第1の加圧部材104と第2の加圧部材105とは異なる位置に配置されている。特に、本実施例では、第1の加圧部材104よりも、第2の加圧部材105の方が、転写ローラ31の回転軸線方向に関する転写ローラ31の中央側に位置する。また、本実施例では、画像形成装置1は、一端部が第2の加圧部材105に接触し他端部が第1の加圧部材104に接触する第1の導電部材106と、一端部が第1の加圧部材104に接触し他端部が保持部材101から引き出された第2の導電部材107と、を有し、第2の導電部材107、第1の加圧部材104、第1の導電部材106、第2の加圧部材105、及び導電性を有する第2の軸受部材103を介して、電源81から供給される電流が流れる電流経路が形成される。
【0080】
以上のように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、更に装置の構成の簡易化や低価格化を図ることができ、また組み立てを容易とすることができる。
【0081】
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0082】
上述の実施例では、給電ローラ32から二次転写外ローラ31を介して二次転写部N2に二次転写電圧を印加する構成について説明したが、二次転写部N2の給電態様は、次のようにしてもよい。なお、上述の実施例のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素には同一の符号を付している。
図11は、二次転写部N2の給電態様の他の例を示す模式図である。二次転写内ローラ62には、二次転写電源(高圧電源回路)82が接続されている。二次転写電源82は、二次転写工程時に、トナーの正規の帯電極性と同極性(本例では負極性)の直流電圧である二次転写電圧(二次転写バイアス)を、二次転写内ローラ62の芯金62aに印加する。本例では、二次転写電源82が二次転写内ローラ62に印加する電圧は、定電圧制御される。一方、二次転写外ローラ31の芯金31aは、電気的にフロート状態とされている。また、二次転写外ローラ31の外周面には、金属ローラ32が当接されている。また、本例では、金属ローラ32は、二次転写外ローラ31を介して二次転写内ローラ62と対向する位置の近傍に配置される。金属ローラ32は、電気的に接地(グラウンドに接続)されている。二次転写工程時に、二次転写部N2において、二次転写外ローラ31の半径方向に関する弾性層31bの外側にプラスの導電剤が偏り、内側(芯金側)にマイナスの導電剤が偏った状態になる。一方、金属ローラ32と二次転写外ローラ31が接触する接触部N3において、二次転写工程で生じた二次転写外ローラ31の導電剤の分極を緩和する方向(導電剤の偏在をキャンセルする方向)の電流が流れる。なお、本例では、二次転写電源82に定電圧源を採用したが、定電流源を採用した構成にも適用することができる。
【0083】
また、上述の実施例では、本発明を中間転写方式のカラー画像形成装置における二次転写部に関して適用したが、本発明は例えばモノクロ画像形成装置における転写部に関して適用してもよい。この場合、例えば、像担持体としての感光体に当接する転写ローラ、及び転写ローラに当接する給電ローラの支持構成を、上述の実施例と同様とすることができる。これにより、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 画像形成装置
31 二次転写外ローラ
32 給電ローラ(金属ローラ)
61 中間転写ベルト
62 二次転写内ローラ
101 ホルダ(保持部材)
102 二次転写軸受部材(第1の軸受部材)
121 二次転写支持部
103 給電軸受部材(第2の軸受部材)
131 給電支持部
104 二次転写加圧バネ(第1の加圧部材)
105 給電加圧バネ(第2の加圧部材)