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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240826BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20240826BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240826BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L21/285 C
H01L21/285 Z
H01L21/90 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020139687
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035390
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 昂拓
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-169568(JP,A)
【文献】特表2020-513224(JP,A)
【文献】米国特許第06294423(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0247949(US,A1)
【文献】特開2016-066775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H01L 21/768
H01L 21/285
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と第2の絶縁層とが複数交互に積層された第1の積層体として所定膜を形成し、
複数のホールと、前記複数のホールよりも狭い幅で前記複数のホールを連結する溝とを、前記所定膜の所定深さまでエッチング加工し、
前記複数のホールの側壁と前記溝の側壁とに側壁層を形成して前記溝を閉塞させ、
前記複数のホールを更にエッチング加工して前記所定膜を貫通させ、
前記所定膜を貫通する前記複数のホールの形成と並行して、
前記第1の積層体の各層の面に沿う第1の方向に長手方向があり、前記溝の幅より広い幅を有する1対の第1のスリットと、
前記第1の方向に長手方向があり、前記1対の第1のスリットから離れた前記1対の第1のスリットの両側の位置で、前記溝の幅より広い幅を有する1対の第2のスリットと、を前記第1の積層体を貫通させて形成し、
前記複数のホールの側壁と前記溝の側壁とへの前記側壁層の形成と並行して、
前記第1及び第2のスリットの側壁に、前記側壁層をそれぞれ形成する、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項2】
前記所定膜を貫通する前記複数のホールを形成するときは、
前記複数のホールを前記1対の第1及び第2のスリットよりも深い位置まで到達させる、
請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項3】
前記所定膜を貫通する前記複数のホールを形成するときは、
前記複数のホールを前記第1の積層体の下方に配置される配線に到達させ、
前記1対の第1及び第2のスリットを前記配線の上方に位置するソース線に到達させる、
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
前記側壁層は、CVD法もしくはスピンコーティング法で形成されるカーボン層、またはエッチング加工で生成されるCxFy層であり、
前記所定膜を貫通する前記複数のホールをエッチング加工した後に、
前記側壁層をアッシング除去し、
前記溝内に第3の絶縁層を充填するとともに、前記複数のホールの外周に前記第3の絶縁層を形成し、
前記複数のホールの前記第3の絶縁層の内側に導電層を充填する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
前記複数のホールの側壁と前記溝の側壁とに前記側壁層を形成するときは、
フルオロカーボン系ガスを用い、前記複数のホール内および前記溝内にCxFy層がエッチングされやすい条件でエッチング加工を行う、
請求項4に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上層配線と下層配線とを接続するコンタクト等のように、所定膜を貫通する柱状体を備える半導体記憶装置がある。所定膜を確実に貫通させるため、半導体記憶装置の設計段階において、柱状体のアスペクト比が所定値未満となるよう柱状体の断面積を拡大させる場合がある。これにより、半導体記憶装置のサイズが増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-035932号公報
【文献】特開2019-161042号公報
【文献】特開2019-169568号公報
【文献】特開2018-157103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、断面積を拡大させることなく所定膜を貫通する柱状体を形成することができる半導体記憶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置の製造方法は、第1の絶縁層と第2の絶縁層とが複数交互に積層された第1の積層体として所定膜を形成し、複数のホールと、前記複数のホールよりも狭い幅で前記複数のホールを連結する溝とを、前記所定膜の所定深さまでエッチング加工し、前記複数のホールの側壁と前記溝の側壁とに側壁層を形成して前記溝を閉塞させ、前記複数のホールを更にエッチング加工して前記所定膜を貫通させ、前記所定膜を貫通する前記複数のホールの形成と並行して、前記第1の積層体の各層の面に沿う第1の方向に長手方向があり、前記溝の幅より広い幅を有する1対の第1のスリットと、前記第1の方向に長手方向があり、前記1対の第1のスリットから離れた前記1対の第1のスリットの両側の位置で、前記溝の幅より広い幅を有する1対の第2のスリットと、を前記第1の積層体を貫通させて形成し、前記複数のホールの側壁と前記溝の側壁とへの前記側壁層の形成と並行して、前記第1及び第2のスリットの側壁に、前記側壁層をそれぞれ形成する
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態にかかる半導体記憶装置の詳細の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示す図である。図1(a)は半導体記憶装置1の全体構成を示すX方向に沿う模式的な断面図であり、図1(b)は半導体記憶装置1の横断面図である。
【0009】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、基板SB上に、周辺回路CUA、メモリ領域MR、貫通コンタクト領域TPc、及び階段領域SRを備える。
【0010】
基板SBは、例えばシリコン基板等の半導体基板である。基板SB上にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CUAが配置されている。周辺回路CUAは、後述するメモリセルの動作に寄与する。
【0011】
周辺回路CUAは絶縁層50で覆われている。絶縁層50上にはソース線SLが配置されている。ソース線SL上には複数のワード線WLが積層されている。
【0012】
複数のワード線WLは、複数のコンタクトLIによってY方向に分割されている。すなわち、複数のコンタクトLIのそれぞれは、ワード線WLの面に沿うX方向に長手方向があり、ワード線WLを積層方向に貫通する。
【0013】
複数のコンタクトLIの間には、メモリ領域MR、貫通コンタクト領域TPc、及びワード線WLの両端部に配置される階段領域SRが配置されている。複数のコンタクトLIの間のこれらの構成はブロックBLKと呼ばれる。
【0014】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のピラーPLがマトリクス状に配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。ピラーPLの上端部には、ピラーPLとビット線等の上層配線とを接続するプラグが配置されている。
【0015】
階段領域SRは、複数のワード線WLが階段状に引き出された構成を有する。階段状に引き出された複数のワード線WLの個々のテラス部には、ワード線WLと上層配線等とを接続するコンタクトCCが配置されている。なお、本明細書においては、階段領域SRの各段のテラス面が向いた方向を上方向と規定する。
【0016】
貫通コンタクト領域TPcは、Y方向に並ぶ2つのバリア層BRに挟まれた絶縁領域NRを有する。バリア層BRのそれぞれは、X方向に長手方向があり、ワード線WLを積層方向に貫通する。バリア層BRに遮られ、ワード線WLは絶縁領域NRには配置されない。絶縁領域NRには、下方の基板SB上に配置された周辺回路CUAと各種の上層配線等とを接続する複数のコンタクトC4が配置されている。
【0017】
複数のコンタクトC4の間には、複数のコンタクトC4を連結する梁部BMが配置されている。梁部BMは、コンタクトC4のY方向の幅よりも狭い幅を有し、例えばX方向に並ぶ複数のコンタクトC4を連結してX方向に延びる。梁部BMは、X方向端部のコンタクトC4の外側にも配置されてもよい。
【0018】
貫通コンタクト領域TPcの絶縁領域NRを除く領域には、ワード線WLを積層方向に貫通する複数の柱状部HRがマトリクス状に配置されている。柱状部HRは階段領域SRにも配置されている。柱状部HRは、半導体記憶装置1の製造工程において、半導体記憶装置1を支持する支柱として機能する。
【0019】
次に、図2を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。図2は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の詳細の構成例を示す図である。
【0020】
図2(a)は、貫通コンタクト領域TPcの所定のワード線WLの面に沿う横断面図である。図2(b)は、メモリ領域MRの所定のワード線WLの面に沿う横断面図である。
【0021】
図2(c)は、図2(a)のa-a’線におけるバリア層BRの縦断面図である。図2(d)は、図2(a)のb-b’線における梁部BMの縦断面図である。図2(e)は、図2(a)のc-c’線におけるコンタクトC4の縦断面図である。図2(f)は、図2(a)のd-d’線におけるコンタクトLIの縦断面図である。図2(g)は、図2(a)のe-e’線における柱状部HRの縦断面図である。図2(h)は、図2(b)のf-f’線におけるピラーPLの縦断面図である。
【0022】
ただし、図2(c)~(h)においては、基板SB及び周辺回路CUA等の絶縁層50下方の構造および上層配線等が省略されている。
【0023】
図2に示すように、半導体記憶装置1は、例えばポリシリコン層等であるソース線SL上に配置される積層体LMを備える。
【0024】
第2の積層体としての積層体LMは、タングステン層またはモリブデン層等の第1の導電層としてのワード線WLと、SiO層等の第2の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に複数積層された構成を有する。
【0025】
積層体LMは、複数のメモリセルが3次元に配置されたメモリ領域MRと、各層のワード線WLが積層体LMの両端部で階段状となった階段領域SR(図1(a)参照)と、複数のコンタクトC4及びこれらを接続する梁部BMが配置された貫通コンタクト領域TPcとを備える。貫通コンタクト領域TPcにおいて、積層体LMは絶縁領域NRを取り囲んでいる。絶縁領域NRは、SiN層およびSiO層等の種類の異なる絶縁層が複数交互に積層された第1の積層体としての積層構造を有している。すなわち、絶縁領域NR内にワード線WLは配置されない。
【0026】
第1の板状部としてのバリア層BRは、X方向に長手方向があり、Y方向の幅は例えばコンタクトLIのY方向の幅と略等しい。また、バリア層BRは、絶縁領域NRに接するように積層体LMを貫通してソース線SLに到達している。これにより、バリア層BRは、少なくともY方向において、絶縁領域NRと、絶縁領域NRを取り囲む積層体LMとを隔てている。バリア層BRの内部にはSiO層等の絶縁層36が充填されている。
【0027】
梁部BMは、絶縁領域NRをX方向に延びるとともに、絶縁領域NRの深さ方向に延びる。ただし、梁部BMは、絶縁領域NRの積層構造を貫通しておらず、梁部BMの底部は、例えば後述するコンタクトC4の底部よりも浅い位置にある。梁部BMのY方向の幅は、バリア層BR及びコンタクトLIのY方向の幅よりも狭い。梁部BMの内部にはSiO層等の第3の絶縁層としての絶縁層35が充填されている。
【0028】
柱状体としてのコンタクトC4は、例えば円柱、楕円柱、または多角柱等の形状を有しており、少なくともY方向の幅が、例えばコンタクトLIのY方向の幅よりも1.3倍程度広くなっている。コンタクトC4は、絶縁領域NRの積層構造を貫通し、ソース線SL下方の絶縁層50内に配置される配線D2と接続される。配線D2は、コンタクトC2を含む複数のコンタクト、及び他の配線等を介して周辺回路CUAのトランジスタTRに電気的に接続されている。
【0029】
コンタクトC4は、コンタクトC4の側壁を覆うSiO層等の絶縁層35と、絶縁層35の内側に充填されるタングステン層等の導電層25を備える。これにより、コンタクトC4は、積層体LMの下層の配線D2と上層配線とを電気的に接続する。
【0030】
コンタクトC4が、ワード線WLを有さない絶縁領域NR内に配置されることで、ワード線WL等と電気的に接続してしまうことが抑制される。また、コンタクトC4の側壁が絶縁層35で覆われていることにより、複数のコンタクトC4間でリーク電流等が発生してしまうことが抑制される。また、複数のコンタクトC4を連結する梁部BMの内部には絶縁層35が充填されているので、梁部BMが複数のコンタクトC4間の絶縁性能に影響を及ぼすこともない。
【0031】
第2の板状部としてのコンタクトLIは、X方向に長手方向があり、積層体LMを貫通してソース線SLに到達している。これにより、複数のコンタクトLIはY方向に積層体LMを分割する。
【0032】
コンタクトLIは、コンタクトLIの側壁を覆うSiO層等の絶縁層34と、絶縁層34の内側に充填されるタングステン層等の導電層24を備える。これにより、コンタクトLIは、ソース線SLと電気的に接続され、ソース線コンタクトとして機能する。
【0033】
柱状部HRは、例えば円柱または楕円柱等の形状を有しており、貫通コンタクト領域TPc及び階段領域SR等において、積層体LMを貫通してソース線SLに到達している。柱状部HRの内部にはSiO層等の絶縁層37が充填されている。
【0034】
ピラーPLは、例えば円柱または楕円柱等の形状を有しており、積層体LMを貫通してソース線SLに到達している。ピラーPLは、外周側から順に、メモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRを備える。メモリ層MEは、ピラーPLの外周側から順に、図示しないブロック絶縁層、電荷蓄積層、及びトンネル絶縁層が積層された層である。チャネル層CNはピラーPLの底面にも配置される。
【0035】
ブロック絶縁層、トンネル絶縁層、及びコア層CRは例えばSiO層等である。電荷蓄積層は例えばSiN層等である。チャネル層CNは、例えばアモルファスシリコン層またはポリシリコン層等である。
【0036】
これらの構成により、ピラーPLと複数のワード線WLとの交差部には、それぞれピラーPLの高さ方向に並ぶ複数のメモリセルが形成される。メモリセルは、電荷蓄積層に電荷が蓄積されること等によりデータを保持する。所定のワード線WLから、そのワード線WLの高さ位置にあるメモリセルに所定の電圧が印加されることで、メモリセルに対するデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0037】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、図3及び図4を用いて、実施形態の半導体記憶装置1の製造方法の例について説明する。図3及び図4は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一例を示す図である。
【0038】
図3(A)~(C)は、順次、処理が進んでいく様子を示している。図3(A)~(C)にaが付された図は、その処理における貫通コンタクト領域TPcの一部横断面図であり、c~eが付された各図はそれぞれ、aが付された図におけるa-a’線の縦断面図、b-b’線の縦断面図、及びc-c’線の縦断面図である。つまり、図3(A)~(C)にc~eが付された各図は、上述の図2(c)~(e)に対応している。
【0039】
図4(c)~(h)は、1つの処理における上述の図2(c)~(h)に対応する縦断面図である。
【0040】
半導体記憶装置1の製造方法においては、まず、基板SB上にトランジスタTRを含む周辺回路CUAが形成される。また、周辺回路CUAを絶縁層50で覆いつつ、複数のコンタクト及び複数の配線を形成し、最上層にコンタクトC2及び配線D2を形成する。これらの構成上にはソース線SLが形成される。
【0041】
ソース線SL上には積層体LMsが形成され、積層体LMsを貫通する複数のピラーPL及び複数の柱状部HRが形成される。
【0042】
図3(A)に示すように、第1の積層体としての積層体LMsは、SiN層等の第1の絶縁層としての絶縁層NLと、SiO層等の第2の絶縁層としての絶縁層OLとが1層ずつ交互に複数積層された構成を有する。絶縁層NLの略全体は、後に導電材料等に置き換えられてワード線WLとなる犠牲層として機能する。
【0043】
積層体LMs上に、バリア層BR、梁部BM、及びコンタクトC4,LIのパターンを有するカーボン層等のマスク層60を形成し、積層体LMsを所定深さまでエッチング加工する。カーボン層は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスピンコーティング法等によって形成されるカーボンを主体とする層である。
【0044】
これにより、バリア層BRのパターンが転写されたスリットSTr、梁部BMのパターンが転写された溝TRm、コンタクトC4のパターンが転写されたホールHL、及びコンタクトLIのパターンが転写された図示しないスリットが、積層体LMsに形成される。
【0045】
なお、コンタクトLIのパターンが転写されたスリットと、バリア層BRのパターンが転写されたスリットSTrとは略同様の構成を備え、また、図3(A)~(C)において、これらのスリットは略同様の処理を施される。したがって、図3には、例示的にスリットSTrのみを示す。
【0046】
ここで、少なくともY方向におけるホールHLの幅は、スリットSTrのY方向における幅よりも広い。また、ホールHLには溝TRmが連通されている。これにより、ホールHLの見かけ上のアスペクト比が低くなり、エッチングレートが向上する。このため、積層体LMsにおけるホールHLの到達深さは、例えばスリットSTrよりも深い位置になる。
【0047】
また、Y方向における溝TRmの幅は、スリットSTrのY方向における幅よりも狭い。このため、溝TRmのアスペクト比は、スリットSTrよりも高く、エッチングレートが低下し、積層体LMsにおける溝TRmの到達深さは、例えばスリットSTrよりも浅い位置になる。
【0048】
図3(B)に示すように、スリットSTr、溝TRm、及びホールHLの側壁に側壁層としてのカーボン層31を所定厚さで形成する。これにより、Y方向の幅が狭い溝TRmの少なくとも上部がカーボン層31によって閉塞する。
【0049】
図3(C)に示すように、積層体LMsに対するエッチング加工を再開する。これにより、スリットSTrにおいては、カーボン層31が略除去されるとともに、スリットSTrの底部がソース線SLに到達する。また、ホールHLにおいては、カーボン層31が略除去されるとともに、ホールHLの底部が配線D2に到達する。一方、溝TRmはカーボン層31で閉塞されているので、溝TRmにおいてはそれ以上エッチングが進行せず、積層体LMsにおける溝TRmの到達深さは略変化しない。
【0050】
なお、スリットSTrとホールHLとは、略同時にエッチングが終了することが望ましい。一方のエッチング終了を待って、もう一方のオーバーエッチング量が過剰になってしまったり、スループットが低下してしまったりするのを抑制するためである。ただし、一般的には、ホールHL単体では高アスペクト比となり、アスペクト比が低くてエッチング加工されやすいスリットSTrよりもエッチングレートが低下してしまう。
【0051】
そこで、実施形態の半導体記憶装置1では、ホールHLに溝TRmを連通させて、見かけ上のアスペクト比を低下させる。このとき、到達深さがソース線SL上であるスリットSTrに比べ、ホールHLは、更に下層の配線D2まで到達させるため、スリットSTrよりも例えば1μm程度エッチング深さが増すことも考慮に入れ、ホールHLのエッチングレートがスリットSTrのエッチングレートより若干高くなるよう調整されることが好ましい。そのためには、例えばホールHLのY方向の幅を、スリットSTrのY方向の幅の1.3倍程度とすることが好ましい。
【0052】
一方で、ホールHLと連通させる溝TRmは、積層体LMsを貫通することがないよう、例えばカーボン層31によって閉塞可能な程度にY方向の幅が調整されていることが好ましい。溝TRmが、積層体LMsを貫通することにより、下層の構造と干渉してしまうのを抑制するためである。したがって、溝TRmのY方向の幅は、例えばスリットSTrのY方向の幅より狭いことが好ましい。
【0053】
積層体LMsに対するエッチング加工の終了後、マスク層60及びカーボン層31はアッシング除去される。
【0054】
図4に示すように、スリットSTrの側壁を絶縁層36で覆う。また、溝TRmの内部に絶縁層35を充填して梁部BMを形成する。このとき、ホールHLの側壁にも絶縁層35が形成される。ホールHLに形成された絶縁層35の内側には犠牲層55が充填される。犠牲層55は、アモルファスシリコン層等であり、後に導電層25に置き換えられる層である。
【0055】
後にコンタクトLIとなるスリットSTを介して、絶縁層NLの除去液を積層体LMs内に浸透させて絶縁層NLを除去する。このとき、積層体LMsは、絶縁層NLが除去されたギャップを絶縁層OL間に有する脆弱な状態となる。ピラーPLは、メモリ領域MRにおいて積層体LMsを支える支柱として機能する。柱状部HRは、貫通コンタクト領域TPc及び階段領域SRにおいて積層体LMsを支える支柱として機能する。
【0056】
なお、スリットSTから進入した除去液は、絶縁層36を有するスリットSTrに阻まれて、2つのスリットSTr間の領域には到達しない。換言すれば、除去液がX方向側からスリットSTr間の領域に進入する前に、絶縁層NLを除去する処理を終了させる。これにより、2つのスリットSTr間の積層体LMsには、絶縁層NLが除去されずに残る。
【0057】
スリットSTを介して、導電材料ガスを積層体LMs内に充満させて、絶縁層NLが除去されたギャップに充填する。これにより、ギャップ内にワード線WLが形成され、ワード線WLと絶縁層OLとが交互に複数積層された積層体LMが形成される。ただし、2つのスリットSTr間の積層体LMsには絶縁層NLが残っているためワード線WLは形成されない。このように、スリットSTr間に維持された第1の積層体としての積層体LMsによって絶縁領域NRが形成される。
【0058】
上記のように、積層体LMsの絶縁層NLをワード線WLに置換して積層体LMを形成する処理をリプレース処理と呼ぶことがある。
【0059】
その後、スリットSTrの内部を絶縁層36で充填してバリア層BRを形成する。また、ホールHL内の犠牲層55を除去し、絶縁層35の内側に導電層25を充填してコンタクトC4を形成する。また、スリットSTの側壁に絶縁層34を形成し、絶縁層34の内側に導電層24を充填してコンタクトLIを形成する。また、コンタクトC4,LI及びピラーPLにプラグ等を介して上層配線を接続する。
【0060】
以上により、実施形態の半導体記憶装置1が製造される。
【0061】
(概括)
半導体記憶装置の製造工程においては、例えば所定膜を挟んで上下層の配線等を接続するコンタクトが形成されることがある。コンタクトが所定膜を確実に貫通するよう、コンタクトの横断面の面積は、電気特性上必要とされる面積よりも拡大気味に設定される場合がある。これにより、コンタクトを形成するためのコンタクトホールを所定膜にエッチング形成する際、コンタクトホールのアスペクト比が下がり、所定膜を確実に形成することができる。
【0062】
また、例えば3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置においては、リプレース処理のためのスリット、貫通コンタクト領域に絶縁領域を維持するバリアとなるスリット、及び上下層の配線を接続するコンタクトを形成するためのコンタクトホールが、一括してエッチング形成されることがある。このような場合、アスペクト比が低く、エッチング加工されやすいスリットに対し、高アスペクト比となりがちなコンタクトホールにおけるエッチングレートの低下、あるいは、それ以上エッチングが進行しないエッチングストップが発生しうる。
【0063】
したがって、コンタクトホールの横断面の面積を拡大させる設計が、よりいっそう重要となる。一例として、例えば円柱状のコンタクトを形成する場合には、コンタクトホールの径を、スリットの短手方向の幅の3倍程度とする。
【0064】
しかしながら、コンタクトホールの横断面の面積を拡大させると、半導体記憶装置のサイズが増大してしまう場合がある。
【0065】
実施形態の半導体記憶装置1の製造方法によれば、複数のホールHLよりも狭い幅で複数のホールHLを連結する溝TRmを形成する。これにより、ホールHLの断面積を拡大させることなく、ホールHLの見かけ上のアスペクト比を低下させ、より確実に積層体LMsを貫通するコンタクトC4を形成することができる。また、スリットST,STrとホールHLとを一括加工する場合であっても、ホールHLのY方向の幅をスリットST,STrのY方向の幅の1.3倍以内に抑えることができる。
【0066】
実施形態の半導体記憶装置1の製造方法によれば、複数のホールHLの側壁と溝TRmの側壁とに、CVD法もしくはスピンコーティング法で形成されるカーボン層31を形成して溝TRmを閉塞させる。このように、エッチング加工の途中で溝TRmが閉塞されるので、溝TRmが積層体LMsを貫通して下層構造と干渉してしまうのを抑制することができる。
【0067】
実施形態の半導体記憶装置1の製造方法によれば、溝TRmの幅は、スリットST,STrの幅より狭い。これにより、溝TRm、スリットST,STr、及びホールHLの一括加工時、溝TRmのエッチングレートを低下させることができ、溝TRmが閉塞する前に積層体LMsを貫通してしまうことが抑制される。
【0068】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、梁部BMは、複数のコンタクトC4に連通し、絶縁層35が充填された溝TRmである。これにより、梁部BMが複数のコンタクトC4間の絶縁性能に影響を及ぼすことが抑制される。
【0069】
(変形例)
次に、図5を用いて、実施形態の変形例の半導体記憶装置について説明する。変形例の半導体記憶装置では、溝TRmを閉塞させる手法が上述の実施形態とは異なる。
【0070】
図5は、実施形態の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示す図である。図5(A)~(C)は、順次、処理が進んでいく様子を示しており、上述の実施形態の図3(A)~(C)の処理に対応している。図5(A)~(C)にaが付された図は、その処理における貫通コンタクト領域TPcの一部横断面図であり、c~eが付された各図はそれぞれ、aが付された図におけるa-a’線の縦断面図、b-b’線の縦断面図、及びc-c’線の縦断面図である。つまり、図5(A)~(C)にc~eが付された各図は、上述の実施形態の図3(A)~(C)にc~eが付された各図と対応している。
【0071】
図5に示す処理に先駆けて、上述の実施形態の半導体記憶装置1の製造方法と同様に、積層体LMsにピラーPL及び柱状部HRを形成する処理までを行う。また、図5(A)(B)に示す処理は、上述の実施形態の図3(A)(B)に示す処理と同様である。
【0072】
ただし、図5(B)に示すように、スリットSTr、溝TRm、及びホールHLの側壁には、上述の実施形態の図3(B)の処理で形成されるカーボン層31よりも薄いカーボン層31を形成する。これにより、溝TRmは、スリットSTr及びホールHLと同様、閉塞されることなく上端が開放された状態のままとなる。
【0073】
図5(C)に示すように、積層体LMsに対するエッチング加工を再開する。このとき、エッチングガスとして、例えばC、C、C等のフルオロカーボン系(CxFy系)ガスを用い、スリットSTr、溝TRm、及びホールHL内にCxFy層32が堆積されやすいエッチング条件を使用する。
【0074】
フルオロカーボン系ガスは、エッチング加工時のプラズマ中でCxFyラジカル(CxFy)等に乖離してエッチャントとして機能する。つまり、このようなエッチャントはスリットSTr、溝TRm、及びホールHL内に吸着し、イオン衝撃のエネルギを受けてエッチングを進行させる。しかし、一部のエッチャントはイオン衝撃を受けることなく、エッチングに寄与しないまま、一部または全部のC(炭素)が重合を起こしてCxFy層32として堆積していく。このため、CxFy層32は、堆積層、デポ層(Deposition Layer)、またはフルオロカーボン層などと呼ばれることもある。ただし、このことは、CxFy層32が、化学的に分類可能なフルオロカーボンから構成されていることを意味しない。
【0075】
上記のように、CxFy層32が堆積されやすい条件でエッチング加工を行うことで、スリットSTr、溝TRm、及びホールHLのうち、よりアスペクト比が高く、イオンが内部に到達し難い溝TRm内に、側壁層としてのCxFy層32が堆積していき、溝TRmの少なくとも上部がCxFy層32によって閉塞する。
【0076】
これ以降、溝TRm内ではエッチングが進行せず、溝TRmの到達深さはエッチング加工再開前に比べて若干深くなるものの、積層体LMsを溝TRmが貫通することなくエッチングが終了する。一方、スリットSTr及びホールHLにおいてはエッチングが継続され、スリットSTrがソース線SLに到達し、ホールHLが配線D2に到達してエッチングが終了する。
【0077】
積層体LMsに対するエッチング加工の終了後、マスク層60、カーボン層31、及びCxFy層32はアッシング除去される。
【0078】
その後、上述の実施形態の図4と同様の処理が行われ、また、バリア層BR及びコンタクトC4,LIが形成され、コンタクトC4,LI及びピラーPLにプラグ等を介して上層配線が接続される。
【0079】
以上により、変形例の半導体記憶装置が製造される。
【0080】
変形例においても、上述の実施形態の半導体記憶装置1及び半導体記憶装置1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0081】
また、変形例の半導体記憶装置の製造方法によれば、複数のホールHLの側壁と溝TRmの側壁とに、エッチング加工で生成されるCxFy層32を形成して溝TRmを閉塞させる。これにより、カーボン層31を厚く形成する必要が無く、加工時間を短縮することができるとともに、コストを低減することができる。
【0082】
(その他の変形例)
上述の実施形態および変形例では、カーボン層31またはCxFy層32等のカーボン含有層によって溝TRmを閉塞させることとした。しかし、アモルファスシリコン層等のシリコン含有層、または金属含有層等で溝TRmを閉塞させてもよい。このとき、金属含有層は、例えばAl層のように金属酸化層等の絶縁性の層であることが好ましい。ただし、溝TRm内に導電性部材が残留したとしても、溝TRmは積層体LMs内の所定深さにしか到達しておらず、他の部材と電気的な導通が生じてしまう可能性は極めて低い。
【0083】
上述の実施形態および変形例では、所定膜としての積層体LMを貫通する柱状体としてのコンタクトC4を形成することとした。しかし、複数の柱状体を梁部で連結する上記手法は、他の構成にも適用可能である。すなわち、所定膜は、積層体LMのような積層膜に限らず、1種類の膜から構成されていてもよく、柱状体は、コンタクトC4に限らず、所定膜を貫通する他の部材であってもよい。
【0084】
上述の実施形態および変形例では、柱状体としてのコンタクトC4と共に、板状部としてのコンタクトLI及びバリア層BRを形成するためのエッチング加工が一括して行われることとした。しかし、複数の柱状体を梁部で連結する上記手法は、他の構成にも適用可能である。すなわち、板状部は、コンタクトLI及びバリア層BRに限らず、所定膜を貫通し、比較的アスペクト比の低いスリット状の他の部材であってもよい。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…半導体記憶装置、31…カーボン層、32…CxFy層、BM…梁部、BR…バリア層、C4…コンタクト、LI…コンタクト、LM,LMs…積層体、MR…メモリ領域、NL,OL…絶縁層、NR…絶縁領域、PL…ピラー、SB…基板、SR…階段領域、TPc…貫通コンタクト領域、WL…ワード線。
図1
図2
図3
図4
図5