IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トーモクの特許一覧

<>
  • 特許-包装箱 図1
  • 特許-包装箱 図2
  • 特許-包装箱 図3
  • 特許-包装箱 図4
  • 特許-包装箱 図5
  • 特許-包装箱 図6
  • 特許-包装箱 図7
  • 特許-包装箱 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20240826BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B65D5/52 Z
B65D5/02 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020149944
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044359
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓人
(72)【発明者】
【氏名】杉田 愛衣
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-327235(JP,A)
【文献】実開平02-087718(JP,U)
【文献】特開2021-011300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底角筒状の収容部と、前記収容部を構成する複数の側板のうち少なくとも1枚の側板に対して、その上端縁に沿って横方向に延在する折目線を介して連接されたフラップと、を備えている紙製の包装箱であって、
前記少なくとも1枚の側板および前記フラップのうち一方である第1パネルには、横方向に局所的に延在する第1折目線と、前記第1折目線の各端部から前記折目線の一部を構成する中間折目線の各端部まで延在する、相互に横方向に離間している一対の第1切目線と、により画定される第1舌片が形成され、
前記少なくとも1枚の側板および前記フラップのうち他方である第2パネルには、前記中間折目線を挟んで前記第1折目線に対向する、横方向に局所的に延在する第2折目線と、前記第2折目線の各端部から前記中間折目線の各端部まで延在する、相互に横方向に離間している一対の第2切目線と、により画定されている第2舌片が形成され、
前記一対の第1切目線のうち少なくとも一方の第1切目線が、前記第1舌片を前記第2舌片よりも少なくとも部分的に横方向に拡張する副舌片を画定するように前記第1パネルに形成され
前記第1パネルには、前記少なくとも一方の第1切目線の上で、前記中間折目線に対して相対的に近い近位箇所と、前記中間折目線に対して相対的に遠い遠位箇所と、の間で延在し、前記第1舌片を前記副舌片および基部に区画する補助折目線がさらに形成されている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項に記載の包装箱において、
前記近位箇所が、前記中間折目線よりも横方向外側に配置されている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項またはに記載の包装箱において、
前記遠位箇所が、前記第1折目線から前記折目線に向かう方向について前記第1折目線から離間して配置されている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項に記載の包装箱において、
前記遠位箇所が、前記中間折目線よりも前記第1折目線に対して近くに配置されている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1~のうちいずれか1項に記載の包装箱において、
前記少なくとも一方の第1切目線の一部が前記折目線にしたがって形成されている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1~のうちいずれか1項に記載の包装箱において、
前記一対の第2切目線のうち、前記少なくとも一方の第1切目線に対応する少なくとも一方の第2切目線が、途中で屈曲または少なくとも部分的に湾曲して形成されている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項7】
請求項に記載の包装箱において、
前記少なくとも一方の第2切目線が、前記中間折目線から前記第2折目線に向かって、前記第2舌片を少なくとも途中まで横方向に拡張させるように途中で屈曲または少なくとも部分的に湾曲して形成されている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項8】
請求項またはに記載の包装箱において、
前記少なくとも一方の第2切目線が、前記中間折目線から前記第2折目線に向かって、前記第2舌片を少なくとも途中から横方向に縮小させるように途中で屈曲または少なくとも部分的に湾曲して形成されている
ことを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
有底角筒状の収容部と、当該収容部を構成する各側板の上端縁に折目線を介して連接されたフラップと、を有する包装箱において、フラップを折目線にしたがって側板に対して略平行になる程度にまで折った状態を保持するための、折り倒し容易なロック片を有する包装箱が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-177891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、包装箱に収容されている商品に関するポップ広告等がフラップの内側に貼られるような場合、ポップ広告等の視認性の向上のため、側板に対してフラップが折り曲げられた状態で保持された際の当該折り曲げ角度の自由度が高いことが好ましい。
【0005】
そこで、本発明は、側板に対するフラップを折り曲げた状態で保持された際の当該折り曲げ角度の自由度の向上を図りうる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装箱は、
有底角筒状の収容部と、前記収容部を構成する複数の側板のうち少なくとも1枚の側板に対して、その上端縁に沿って横方向に延在する折目線を介して連接されたフラップと、を備えている紙製の包装箱であって、
前記少なくとも1枚の側板および前記フラップのうち一方である第1パネルには、横方向に局所的に延在する第1折目線と、前記第1折目線の各端部から前記折目線の一部を構成する中間折目線の各端部まで延在する、相互に横方向に離間している一対の第1切目線と、により画定される第1舌片が形成され、
前記少なくとも1枚の側板および前記フラップのうち他方である第2パネルには、前記中間折目線を挟んで前記第1折目線に対向する、横方向に局所的に延在する第2折目線と、前記第2折目線の各端部から前記中間折目線の各端部まで延在する、相互に横方向に離間している一対の第2切目線と、により画定されている第2舌片が形成され、
前記一対の第1切目線のうち少なくとも一方の第1切目線が、前記第1舌片を前記第2舌片よりも少なくとも部分的に横方向に拡張する副舌片を画定するように前記第1パネルに形成されている。
【0007】
当該構成の包装箱によれば、フラップおよび側板が当接するように、フラップが折目線にしたがって側板に対して外側または開封方向に折り曲げられる。これにより、第1舌片および第2舌片が当該折目線の一部である中間折目線にしたがって相対的に折り曲げられて相互に当接した状態になる。この状態で、第1舌片が第2舌片に向かって押し倒されると、第2舌片が第2切目線において第2パネルから切り離され、かつ、第2折目線にしたがって第2パネルに対して折り曲げられる。同様に、第1舌片が第1切目線において第1パネルから切り離され、かつ、第1折目線にしたがって第1パネルに対して折り曲げられる。
【0008】
この際、第1舌片の基部が、第2舌片の折り曲げにより出現した第2パネルの欠け箇所を通じて第2パネルを越えて案内される。また、第1舌片の副舌片が、第2パネルの欠け箇所の縁部に当接しながら、第1舌片の折り曲げ方向とは反対方向に、すなわち第1パネルの内側方向に、基部に対して起立する。
【0009】
第1舌片が第2舌片に向かってさらに押し倒されると、副舌片が第1舌片の基部に対してさらに起立するようにして、第2パネルを乗り越えながら、第2舌片が押し倒されることにより出現した第2パネルの欠け箇所を通じて、第2パネルの内側に案内される。第1舌片および第2舌片のそれぞれの形状およびサイズは、第1舌片および第2舌片が重ねられて第1パネルおよび第2パネルのそれぞれに対して折り曲げられた際に、第1舌片の副舌片が全体的に第2パネルの欠け箇所を通過可能なように設計されている。
【0010】
続いて、フラップが折目線にしたがって側板に対して内側に折り曲げられる。これにより、第1舌片および第2舌片が当該折目線の一部である中間折目線にしたがって相対的に離間するまたは開くように回動する。この際、第2パネルと共に変位する第2舌片により第1舌片が第2パネルの欠け箇所に向かう方向に押し込まれる。このため、第1舌片の副舌片が第2パネルの欠け箇所の縁部に当接しながら、第1舌片の折り曲げ方向とは反対方向に、すなわち第1パネルの外側方向に基部に対して起立する。
【0011】
そして、第1舌片の副舌片が第2切目線に由来する第2舌片および第2パネルの間隙に差し込まれたまたは係合した状態が実現される。第1舌片および第2舌片のそれぞれの形状およびサイズは、第1舌片の副舌片が第2切目線に由来する第2舌片および第2パネルの間隙に差し込まれたまたは係合した状態が実現されるように設計されている。第1舌片の副舌片が当該間隙に挟み込まれていれば、フラップの側板に対する外側への折り曲げ角度が変更されても、フラップが側板に対して外側に折り曲げられた状態が保持されうる。このため、側板に対してフラップが折り曲げられた状態で保持された際の当該折り曲げ角度の自由度の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態としての包装箱の展開図。
図2】第1舌片および第2舌片の構成に関する説明図。
図3】フラップが側板に対して折り曲げられていない開封状態の包装箱の斜視図。
図4】第1舌片および第2舌片の第1の状態遷移に関する概念的説明図。
図5】第1舌片および第2舌片の第2の状態遷移に関する概念的説明図。
図6】第1舌片および第2舌片の状態遷移に応じた包装箱の斜視図。
図7】フラップが側板に対して外側に折り曲げられて保持されている状態の包装箱の斜視図。
図8】第1舌片および第2舌片の他の構成に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ブランクの構成)
図1には、本発明の一実施形態としての包装箱のブランクが示されている。包装箱のブランクとしては、紙製の波状のシートからなる中芯がライナーでラミネートされた段ボール板が一般的に使用される。段ボール板が打ち抜かれると共に図1に実線で示されているように切目線が入れられ、かつ、破線で示されているように折目線が入れられることにより、組み立て前のブランクが得られる。切目線は、切込線および/または切断補助線(例えばミシン目により構成されている。)により構成されている。図1に示されているブランクは包装箱の内側に相当し、包装箱の組み立てに際して折目線は図1の紙面に対して谷折りされる。
【0014】
図1に示されているブランクは、それぞれが略矩形状の連接片11、前側板12、右側板14、後側板16、左側板18、前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26、左上フラップ28、前下フラップ42、右下フラップ44、後右フラップ46および左下フラップ48を備えている。
【0015】
連接片11、前側板12、右側板14、後側板16および左側板18は、左から順に折目線を介して横方向に連接されている。前側板12、右側板14、後側板16および左側板18のそれぞれは、上側の折目線を介して前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26および左上フラップ28のそれぞれに連接されている。前側板12、右側板14、後側板16および左側板18のそれぞれは、下側の折目線を介して前下フラップ42、右下フラップ44、後下フラップ46および左下フラップ48のそれぞれに連接されている。
【0016】
本実施形態では、前側板12、右側板14、後側板16および左側板18のそれぞれが「第1パネルX1」に該当する。前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26および左上フラップ28のそれぞれが「第2パネルX2」に相当する。
【0017】
図1および図2に示されているように、第1パネルX1および第2パネルX2のそれぞれには、第1舌片100および第2舌片200のそれぞれが形成されている。図2に示されているように、第1舌片100および第2舌片200は、第1パネルX1および第2パネルX2の折目線の一部である中間折目線L0を介して連接されている。
【0018】
図1に示されているように、前側板12および前上フラップ22のそれぞれには、横方向の略中央箇所に第1舌片100および第2舌片200のそれぞれが形成されている。同様に、後側板16および後上フラップ26のそれぞれには、横方向の略中央箇所に第1舌片100および第2舌片200のそれぞれが形成されている。その一方、右側板14および右上フラップ24のそれぞれには、横方向の略中央箇所から外れた箇所に第1舌片100および第2舌片200のそれぞれが形成されている。同様に、左側板18および左上フラップ28のそれぞれには、横方向の略中央箇所から外れた箇所に第1舌片100および第2舌片200のそれぞれが形成されている。
【0019】
図2に示されているように、第1舌片100は、横方向(第1パネルX1および第2パネルX2の折目線に対して平行な方向)に局所的に延在する第1折目線L1と、第1折目線L1の各端部から中間折目線L0の各端部まで延在する、相互に横方向に離間している一対の第1切目線C1と、により画定されている。一対の第1切目線C1のそれぞれが、第1舌片100を第2舌片200よりも少なくとも部分的に横方向に拡張させる副舌片120を画定するように形成されている。
【0020】
一対の第1切目線C1のそれぞれの上で、中間折目線L0(第1パネルX1および第2パネルX2の折目線)に対して相対的に近い近位箇所P1と、中間折目線L0に対して相対的に遠い遠位箇所P2と、の間で直線的に延在し、第1舌片100を副舌片120および基部110に区画する補助折目線L10がさらに形成されている。補助折目線L10は省略されていてもよい。本実施形態では、第1舌片100の中心線を基準として近位箇所P1は遠位箇所P2よりも横方向外側に位置している。第1舌片100の中心線を基準として近位箇所P1は遠位箇所P2よりも横方向内側に位置していてもよい。
【0021】
第1切目線C1は、中間折目線L0の端部を始端部として近位箇所P1を越えて横方向外側に折目線に沿って延在する切目要素C10と、当該切目要素C10の終端部から遠位箇所P2にかけて当該折目線から離間しながら横方向内側に全体的に凸曲線を描くように延在している切目要素C11と、遠位箇所P2から第1折目線L1の端部まで縦方向に延在する切目要素C12と、により構成されている。これにより、第1舌片100は、略矩形の基部110の両側に翼状の略四半楕円形の一対の副舌片120が連接された形状を有している。
【0022】
第1パネルX1において、右側の近位箇所P1が、中間折目線L0よりも横方向外側(右側)に配置されている。第1パネルX1において、左側の近位箇所P1が、中間折目線L0よりも横方向外側(左側)に配置されている。遠位箇所P2が、第1折目線L1から第1パネルX1および第2パネルX2の折目線に向かう縦方向について第1折目線L1から離間して配置されている。遠位箇所P2が、縦方向について第1パネルX1および第2パネルX2の折目線よりも第1折目線L1に対して近くに配置されている。
【0023】
第2舌片200は、中間折目線L0を挟んで第1折目線L1に対向する、横方向に局所的に延在する第2折目線L2と、第2折目線L2の各端部から中間折目線L0の各端部まで延在する、相互に横方向に離間している一対の第2切目線C2と、により画定されている。中間折目線L0から第2折目線L2までの間隔が、中間折目線L0から第1折目線L1までの間隔よりも大きい。中間折目線L0から第2折目線L2までの間隔が、中間折目線L0から第1折目線L1までの間隔以下であってもよい。
【0024】
第2切目線C2が、中間折目線L0から第2折目線L2に向かって、第2舌片200を途中まで横方向に拡張させた後、途中から横方向に縮小させるように途中で屈曲または少なくとも部分的に湾曲して形成されている。これにより、第2舌片200は、下底で連接された一対の台形のような形状を有している。
【0025】
(包装箱の組み立て)
図1に示されているブランクから、包装箱を組み立てる方法の一例について説明する。当該一例とは異なる手順にしたがって当該包装箱が組み立てられてもよい。
【0026】
まず、連接片11、前側板12、右側板14、後側板16および左側板18が折目線にしたがって相互に折り曲げられたうえで、連接片11が左側板18の左端部に接着される。これにより、ブランクは略矩形筒状(角筒状)になる。続いて、前側板12、右側板14、後側板16および左側板18のそれぞれに対して、前下フラップ42、右下フラップ44、後下ラップ46および左下フラップ48のそれぞれが折目線にしたがって内側に折り曲げられる。前下フラップ42、右下フラップ44、後右フラップ46および左下フラップ48が相互に接着または固定されることにより包装箱の底部が形成される。図3には、この状態、すなわち、有底角筒状の収容部がフラップ22、24、26および28により閉じられていない状態または開封状態の包装箱が示されている。この状態で、青果物などの物品が収容部に収容される。
【0027】
そして、前側板12、右側板14、後側板16および左側板18のそれぞれに対して、前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26および左上フラップ28のそれぞれが折目線にしたがって内側に折り曲げられる。必要に応じて、前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26および左上フラップ28が相互に接着または固定される。これにより、包装箱が完成する。
【0028】
(包装箱の利用方法)
図3に示されている包装箱の利用方法の一実施形態について説明する。
【0029】
まず、図4Aに示されているように、第1パネルX1としての前側板12、右側板14、後側板16および左側板18のそれぞれに対して、第2パネルX2としての前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26および左上フラップ28のそれぞれが重なるように、第1パネルX1が第2パネルX2に対して折目線にしたがって外側に折り曲げられる。これにより、図4Aに示されているように、第1舌片100および第2舌片200が当該折目線の一部である中間折目線L0に沿って相対的に折り曲げられて相互に当接した状態になる。
【0030】
本実施形態では、この段階で、図2に示されている第1切目線C1のうち、折目線に沿って延在している切目要素C10に沿って、第1舌片100が第1パネルX1から部分的に切断された状態になる。このため、後述するように第1舌片100が第1折目線L1にしたがって第1パネルX1に対してさらに折り曲げられる際の抵抗の低減が図られる。この段階では、第1舌片100の基部110および副舌片120は同一の平面上にある。図6Aには、この状態において包装箱を内側から見た様子が示されている。図6Aでは、第2パネルX2は第1パネルX1の外側または奥側に隠れている。
【0031】
次に、図4Bに示されているように、第1舌片100が第2舌片200に向かって押し倒されると、第2舌片200が第2切目線C2において第2パネルX2から切り離され、かつ、第2折目線L2に沿って第2パネルX2に対して折り曲げられる。同様に、第1舌片100が第1切目線C1(または切目要素C11およびC12)において第1パネルから切り離され、かつ、第1折目線L1に沿って第1パネルX1に対して折り曲げられる。この際、図4Bに示されているように、第1舌片100の基部110が、第2舌片200の折り曲げにより出現した第2パネルX2の欠け箇所LSを通じて第2パネルX2を越えて案内される。また、第1舌片100の副舌片120が、第2パネルX2の欠け箇所LSの縁部に当接しながら、第1舌片100の折り曲げ方向とは反対方向に、すなわち第1パネルX1の内側方向に、基部110に対して起立する。第1舌片100において副舌片120が補助折目線L10にしたがって基部110に対して折り曲げられるので、副舌片120が第2パネルX2に当接した際に基部100に対して起立しやすい。
【0032】
図4Cに示されているように、第1舌片100が第2舌片200に向かってさらに押し倒されることにより、第1舌片100の副舌片120が、第2パネルX2の欠け箇所LSの縁部に当接しながら、第1舌片100の折り曲げ方向とは反対方向に基部110に対してさらに起立する。第1舌片100の基部110に対して起立した副舌片120が、第2パネルX2を乗り越えながら、第2パネルX2の欠け箇所LSを通じて、第2パネルの内側に案内される。図6Bには、この状態において包装箱を内側から見た様子が示されている。図6Bでは、第1舌片100の基部110が第2舌片200に向かって押し倒されることにより、一対の副舌片120のそれぞれが、第2パネルX2の欠け箇所LSの縁部に当接しながら、基部110に対して略垂直に起立している。
【0033】
最終的に、第1舌片100の基部110に対して起立した副舌片120が全体的に、第2パネルX2の欠け箇所LSを通じて、第2パネルの内側に案内される。これにより、図4Dに示されているように、第2パネルX2の欠け箇所LSの縁部との当接が解消された副舌片120が、基部110に対して起立角度を低減させるように平伏する。図6Cには、この状態において包装箱を内側から見た様子が示されている。図6Cでは、第1舌片100が基部110のみならず一対の副舌片120も含めて全体的に、第2パネルX2の欠け箇所LSを通じて第2パネルX2の向こう側に案内され、基部110に対して平伏している。
【0034】
続いて、図5Aに示されているように、第1パネルX1としての前側板12、右側板14、後側板16および左側板18のそれぞれに対して、第2パネルX2としての前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26および左上フラップ28のそれぞれが折目線にしたがって内側に折り曲げられる。これにより、図5Aに示されているように、第1舌片100および第2舌片200が当該折目線の一部である中間折目線L0にしたがって相対的に離間するまたは開くように回動する。
【0035】
この際、第2パネルX2と共に変位する第2舌片200により第1舌片100が第2パネルX2の欠け箇所LSに向かう方向に押し込まれる。このため、図5Aに示されているように、第1舌片100の副舌片120が第2パネルX2の欠け箇所LSの縁部に当接しながら、第1舌片100の折り曲げ方向とは反対方向に、すなわち第1パネルX1の外側方向に基部110に対して起立する。
【0036】
そして、図5Aに示されているように、第1舌片100の副舌片120が第2切目線C2に由来する第2舌片200および第2パネルX2の間隙に差し込まれたまたは係合した状態が実現される。図6Dには、この状態において包装箱を内側から見た様子が示されている。図6Dでは、一対の副舌片120のそれぞれが、第2パネルX2に近づくようにやや平伏した状態で第2舌片200および第2パネルX2の間隙に差し込まれている。
【0037】
図5Bおよび図5Cのそれぞれに示されているように、第1舌片100の副舌片120が当該間隙に挟み込まれていれば、第2パネルX2としての各フラップ22、24、26、28の、第1パネルX1としての各側板12、14、16、18に対する外側への折り曲げ角度が変更されても、図7に示されているように各フラップ22、24、26、28が各側板12、14、16、18に対して外側に折り曲げられた状態が保持されうる。図6Eおよび図6Fのそれぞれには、図5Bおよび図5Cのそれぞれの状態における包装箱を上方から斜視した様子が示されている。このため、各側板12、14、16、18に対して各フラップ22、24、26、28が折り曲げられた状態で保持された際の当該折り曲げ角度の自由度の向上が図られる。当該自由度の向上のため、第1舌片100の副舌片120の横方向の形状および/またはサイズが、各側板12、14、16、18に対する各フラップ22、24、26、28の折り曲げ保持状態における、所望の当該折り曲げ角度に応じてさまざまに変更されてもよい。
【0038】
図7に示されているように、前側板12、右側板14、後側板16および左側板18のそれぞれに対して、前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26および左上フラップ28のそれぞれが折目線にしたがって外側に折り曲げられた状態が保持される。前側板12、右側板14、後側板16および左側板18のそれぞれに対する、前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26および左上フラップ28のそれぞれの折り曲げ角度は同一であってもよく相互に異なっていてもよい。
【0039】
例えば、前上フラップ22、右上フラップ24、後上フラップ26および左上フラップ28のうち、少なくとも一枚の上フラップの内側に収容部に収容されている物品に関する広告紙が貼付され、あるいは、広告が記載または印刷されることにより、ポップ広告機能を開封状態の包装箱に持たせることができる。
【0040】
図2に示されているように、遠位箇所P2が、第1折目線L1から第1パネルX1および第2パネルX2の折目線に向かう縦方向について第1折目線L1から離間して配置されている。これにより、第1パネルX1の縦方向について副舌片120の幅の縮小が図られる。このため、第2パネルX2の外側に当接することで第1舌片100の基部110に対して起立した副舌片120が、第2パネルX2を乗り越えながら、第2パネルの欠け箇所を通じて第2パネルの内側に案内される際に受ける抵抗の低減が図られる(図4B図4Cおよび図6B参照)。
【0041】
図2に示されているように、遠位箇所P2が、第1パネルX1および第2パネルX2の折目線(または中間折目線L0)よりも第1折目線L1に対して近くに配置されている。これにより、第1パネルX1の縦方向について副舌片120の幅の拡張が図られ、ひいては副舌片120の強度の向上が図られる。このため、第2パネルX2の外側に当接することで第1舌片100の基部110に対して起立した副舌片が、第2パネルX2の欠け箇所LSを通じて第2パネルX2の内側に案内される際に、副舌片120が第1舌片100から千切れるような事態が回避されうる(図4B図4Cおよび図6B参照)。
【0042】
図2に示されているように、近位箇所P1が、中間折目線L0よりも横方向外側に配置されている。中間折目線L0の端部と近位箇所P1(補助折目線L10の一端部)との間隔の分だけ第2パネルX2の欠け箇所LSの横方向の幅が狭められる分だけ、第1舌片100が第2パネルX2を乗り超える際の抵抗が大きくなる。このため、第2パネルX2の第2切目線C2に由来する第2舌片200と第2パネルX2との間隙に挟まれた状態の第1舌片100の副舌片120が、第1パネルX1に向かう方向について当該間隙から抜け出にくくなる(図5B図5C図6Eおよび図6F参照)。そして、フラップ22、24、26、28が側板12、14、16、18に対して折り曲げられた状態がより確実に保持される。
【0043】
図2に示されているように、第2パネルX2の第2切目線C2に由来する第2舌片200と第2パネルX2との間隙が途中で屈曲または少なくとも湾曲している分だけ、当該間隙に挟まれた状態の第1舌片100の副舌片120が、第1パネルX1に向かう方向について当該間隙に沿って変位しにくくなる。そして、フラップが側板に対して折り曲げられた状態がより確実に保持される。
【0044】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態では図1に示されているブランクから包装箱が組み立てられたが、他の実施形態として、これらとは異なるさまざまな形態のブランクから略直方体状の包装箱が組み立てられてもよい。前記実施形態では、4つの側板12、14、16、18および4つの下フラップ42、44、46、48により有底四角筒状の収容部が形成されていたが、他の実施形態として、収容部は有底三角筒状であってもよく、有底N角筒状(Nは5以上の整数)であってもよい。
【0045】
前記実施形態では、第1パネルX1としての各側板12、14、16、18に第1舌片100が形成され、第2パネルX2としての各上フラップ22、24、26、28に第2舌片200が形成されていたが、他の実施形態として4つの側板12、14、16および18のうち、第2パネルX2としての少なくとも1つの側板に第2舌片200が形成され、当該少なくとも1つ側板に連接されている第1パネルX1としての少なくとも1つの上フラップに第1舌片100が形成されていてもよい。
【0046】
前記実施形態では、相互に連接されている側板および上フラップの複数の組のそれぞれに第1舌片100および第2舌片200の組が形成されていたが、他の実施形態として相互に連接されている側板および上フラップの複数の組のうち一部の組のみに第1舌片100および第2舌片200の組が形成されていてもよい。
【0047】
前記実施形態では、相互に連接されている1組の側板および上フラップの組に1組の第1舌片100および第2舌片200が形成されていたが、相互に連接されている1組の側板および上フラップの組に複数組の第1舌片100および第2舌片200が形成されていてもよい。共通の側板に第1舌片100および第2舌片200のそれぞれが形成され、これに連接されているフラップに対応する第2舌片200および第1舌片100のそれぞれが形成されていてもよい。
【0048】
第1舌片100および第2舌片200の形状はさまざまに変更されてもよい。例えば、図8に示されているように、図2に示されている第1舌片100および第2舌片200のそれぞれが横方向について半分割されたような形状を有していてもよい。この場合、第1舌片100の左側を画定する第1切目線C1’は、第1折目線L1の左端部から中間折目線L0の左端部まで縦方向に直線状に延在するように形成されている。第2舌片200の左側を画定する第2切目線C2’は、第2折目線L2の左端部から中間折目線L0の左端部まで縦方向に直線状に延在するように形成されている。第1舌片100および第2舌片200のそれぞれの右半分の構成は、図2に示されている前記実施形態の構成とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0049】
前記実施形態では、補助折目線L10の一端部である近位箇所P1が、中間折目線L0よりも横方向外側に配置されていたが(図2参照)、他の実施形態として近位箇所P1が、中間折目線L0の一端部に配置されていてもよい。
【0050】
前記実施形態では、補助折目線L10の他端部である遠位箇所P2が、第1折目線L1から中間折目線L0に向かう縦方向について第1折目線L1から離間して配置されていたが(図2参照)、遠位箇所P2が第1折目線L1の一端部に配置されていてもよい。
【0051】
前記実施形態では、補助折目線L10の他端部である遠位箇所P2が、中間折目線L0よりも第1折目線L1に対して近くに配置されていたが(図2参照)、遠位箇所P2が、中間折目線L0よりも第1折目線L1に対して遠くに配置されていてもよい。
【0052】
前記実施形態では、第1舌片100を画定する第1切目線C1の一部としての切目要素C10が第1パネルX1および第2パネルX2の折目線にしたがって第1パネルX1に形成されていたが(図2参照)、第1切目線C1の全部が当該折目線から離間して第1パネルX1に形成されていてもよい。前記実施形態では、副舌片120が略四半楕円形状であったが、略半楕円形状、略台形状、略平行四辺形状または略矩形状など、様々な形状になるように第1切目線C1の一部または全部が第1パネルX1に形成されていてもよい。
【0053】
前記実施形態では、第2舌片200を画定する第2切目線C2が、途中で屈曲または少なくとも部分的に湾曲して第2パネルX2形成されていたが(図2参照)、他の実施形態として、第2切目線C2が直線状に形成されていてもよい。この場合、第2舌片200が、第2折目線L2および中間折目線L0のそれぞれを上底および下底のそれぞれとする略台形状(高さと下底の長さとは同一であっても異なっていてもよい。)、第2折目線L2および中間折目線L0のそれぞれを下底および上底のそれぞれとする略台形状(高さと下底の長さとは同一であっても異なっていてもよい。)、または、第2折目線L2および中間折目線L0のそれぞれを短辺もしくは長辺とする略矩形状に形成されていてもよい。
【0054】
第2パネルX2の縦方向について第2舌片200を途中まで横方向に拡張させた後、途中から横方向に縮小させるように、第2切目線C2が途中で屈曲または少なくとも部分的に湾曲して第2パネルX2に形成されていたが(図2参照)、他の実施形態として、第2パネルX2の縦方向について第2舌片200を途中まで横方向に縮小させた後、途中から横方向に拡張させるように、第2切目線C2が途中で屈曲または少なくとも部分的に湾曲して第2パネルX2に形成されていてもよい。この場合、第2舌片200が、上底で連接された一対の台形のような形状(鼓状)、または、中腹部が湾曲してえぐれた略台形状もしくは略矩形状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
11‥連接片、12‥前側板、14‥右側板、16‥後側板、18‥左側板、22‥前上フラップ、24‥右上フラップ、26‥後上フラップ、28‥左上フラップ、42‥前下フラップ、44‥右下フラップ、46‥後下フラップ、48‥左下フラップ、C1‥第1切目線、C2‥第2切目線、L0‥中間折目線、L1‥第1折目線、L2‥第2折目線、LS‥欠け箇所、P1‥近位箇所、P2‥遠位箇所、X1‥第1パネル、X2‥第2パネル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8