(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】車両用バンパレインフォースメント及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B60R 19/18 20060101AFI20240826BHJP
B60R 19/03 20060101ALI20240826BHJP
B60R 19/04 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B60R19/18 D
B60R19/03 B
B60R19/04 M
(21)【出願番号】P 2020164409
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】522160125
【氏名又は名称】MAアルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】佐田 俊一
(72)【発明者】
【氏名】久野 季朗
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-030722(JP,A)
【文献】特開2006-151095(JP,A)
【文献】特開2000-335333(JP,A)
【文献】特開平07-246894(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011010174(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/18
B60R 19/03
B60R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前部及び後部の少なくとも一方のステーに車体の幅方向に沿って固定される金属製の中空部材からなる車両用バンパレインフォースメントであって、
車体取付面側に上下方向に沿って配置される後壁、前記車体取付面側とは反対側の衝突面側に上下方向に沿って配置される前壁、これら前壁及び後壁の間の上下端部を相互に連結状態とする上壁及び下壁、前記上壁と前記下壁との間に配置され前記前壁及び前記後壁を接続するリブを備え、
前記中空部材の両端部における前記前壁は、前記車体とは反対方向に凸となるように
屈曲部により屈曲しているとともに、前記両端部における前記車体取付面側に、該中空部材が斜めに切断されてなる切断面が形成されており、
前記切断面は、前記上壁側から見て前記後壁よりも前記前壁側に位置し、前記中空部材の両端部の前記後壁から前記前壁に向かう方向の幅は、先端に向かうに従って漸次小さくなって
おり、前記屈曲部は、前記切断面の後壁との接続部を支点として屈曲していることを特徴とする車両用バンパレインフォースメント。
【請求項2】
前記切断面内における前記前壁の屈曲している部位から先端側の前記上壁、前記下壁及び前記リブのそれぞれには、前記上壁側から見て前記前壁から前記車体に向けて延びるシワが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパレインフォースメント。
【請求項3】
前記シワは、前記切断面内における前記前壁の屈曲している部位から先端側の前記上壁、前記下壁及び前記リブのそれぞれに前記前壁の屈曲方向に並んで複数形成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用バンパレインフォースメント。
【請求項4】
前記切断面を塞ぐ蓋部材をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用バンパレインフォースメント。
【請求項5】
前記後壁の前記切断面に隣接する部位と、これに対向する前記前壁とを連結固定する固定部材を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用バンパレインフォースメント。
【請求項6】
車体取付面側に上下方向に沿って配置される後壁、前記車体取付面側とは反対側の衝突面側に上下方向に沿って配置される前壁、これら前壁及び後壁の間の上下端部を相互に連結状態とする上壁及び下壁、前記上壁と前記下壁との間に配置され前記前壁及び前記後壁を接続するリブを備える直線状に延びる中空部材の前記後壁側端部を斜めに切断して切断面を形成
する切断工程と、
前記上壁側から見て前記切断面が前記後壁よりも後方に張り出さない範囲で前記切断工程後の前記中空部材の両端部の前記前壁を前方に向けて凸となるように屈曲させるプレス工程と、を備え
、
前記プレス工程は、前記切断面の後壁との接続部を支点として屈曲することを特徴とする車両用バンパレインフォースメントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バンパレインフォースメント及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の前部及び後部に位置するバンパレインフォースメントは、衝突時に、大きな衝撃が加わった場合に自身が変形することによりその衝撃を吸収し、衝撃が小さい場合には抵抗力となって、車体や衝突対象物を保護するものである。このような車両用バンパレインフォースメントとして、特許文献1に記載の車両用バンパレインフォースメントが知られている。
【0003】
特許文献1に記載されている車両用バンパレインフォースメントは、中空断面を有するアルミニウム合金押出材からなり、このアルミニウム合金押出材が取り付けられる車体の幅方向両端部が水平面内で車体側に向けて曲げ加工されている。このバンパレインフォースメント本体の幅方向両端部の前面側が斜めに切り落とされ、切断面に前面側から溝型の補強部材を固定している。これら両端部は、押出材の一部切除に伴う強度及び剛性の低下が補強部材により補われ、車幅方向両側部に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用バンパレインフォースメントは、切断面が車体とは反対側に配置される構成であるため、車両の衝突時に自車部品や被衝突者側を傷つけるおそれがある。このため、切断面全体を覆う蓋(補強部材)が取り付けられている。
また、車両デザイン上、車両用バンパレインフォースメントの車体幅方向の両端部近傍にタイヤが位置するため、車両用バンパレインフォースメントの車体幅方向の両端部の設置スペースは、厳しく制限される。このため、特許文献1に記載の車両用バンパレインフォースメントを適切に設置することは難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車体取付面における車体の幅方向の両端部にも適切に設置することができる車両用バンパレインフォースメント及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用バンパレインフォースメントは、車体の前部及び後部の少なくとも一方のステーに車体の幅方向に沿って固定される金属製の中空部材からなる車両用バンパレインフォースメントであって、車体取付面側に上下方向に沿って配置される後壁、前記車体取付面側とは反対側の衝突面側に上下方向に沿って配置される前壁、これら前壁及び後壁の間の上下端部を相互に連結状態とする上壁及び下壁、前記上壁と前記下壁との間に配置され前記前壁及び前記後壁を接続するリブを備え、前記中空部材の両端部における前記前壁は、前記車体とは反対方向に凸となるように屈曲しているとともに、前記両端部における前記車体取付面側に、該中空部材が斜めに切断されてなる切断面が形成されており、前記切断面は、前記上壁側から見て前記後壁よりも前記前壁側に位置し、前記中空部材の両端部の前記後壁から前記前壁に向かう方向の幅は、先端に向かうに従って漸次小さくなっている。
【0008】
本発明では、前壁が屈曲しているとともに切断面が前方(車体とは反対側の衝突面)を向いていないので、車両の衝突時に切断面内の上壁、下壁及びリブによって自車部品や被衝突者側を傷つけることを抑制できる。また、切断面が後壁よりも前壁側に位置し、切断面が後壁よりも後方に張り出すことがないので、中空部材の両端部が車両のタイヤに接することがない。このため、タイヤの配置位置等により設置スペースが小さくなっている車体の幅方向の両端部にも車両用バンパレインフォースメントを適切に配置することができる。
なお、車体は、車両用バンパレインフォースメントが取り付けられる車両側の躯体を意味する。
【0009】
本発明の車両用バンパレインフォースメントの好ましい態様としては、前記切断面内における前記前壁の屈曲している部位から先端側の前記上壁、前記下壁及び前記リブのそれぞれには、前記上壁側から見て前記前壁から前記車体に向けて延びるシワが形成されているとよい。
上記態様では、シワが衝突面(前壁)から車体に向かう方向、つまり、衝突方向に沿う方向に形成されているので、中空部材の端部の変形強度を高めることができる。
【0010】
本発明の車両用バンパレインフォースメントの好ましい態様としては、前記シワは、前記切断面内における前記前壁の屈曲している部位から先端側の前記上壁、前記下壁及び前記リブのそれぞれに前記前壁の屈曲方向に並んで複数形成されているとよい。
上記態様では、衝突方向に沿う方向にシワが複数形成されているので、中空部材の端部の変形強度をさらに高めることができる。
【0011】
本発明の車両用バンパレインフォースメントの好ましい態様としては、前記切断面を塞ぐ蓋部材をさらに有するとよい。
上記態様では、蓋部材により切断面が塞がれて補強されるので、中空部材の端部の変形強度を高めることができる。
【0012】
本発明の車両用バンパレインフォースメントの好ましい態様としては、前記後壁の前記切断面に隣接する部位と、これに対向する前記前壁とを連結固定する固定部材を有するとよい。
上記態様では、固定部材により前壁及び後壁が連結されているので、中空部材の端部の変形強度を高めることができる。
【0013】
本発明の車両用バンパレインフォースメントの製造方法は、車体取付面側に上下方向に沿って配置される後壁、前記車体取付面側とは反対側の衝突面側に上下方向に沿って配置される前壁、これら前壁及び後壁の間の上下端部を相互に連結状態とする上壁及び下壁、前記上壁と前記下壁との間に配置され前記前壁及び前記後壁を接続するリブを備える直線状に延びる中空部材の前記後壁側端部を斜めに切断して切断面を形成する切断工程と、前記上壁側から見て前記切断面が前記後壁よりも後方に張り出さない範囲で前記切断工程後の前記中空部材の両端部の前記前壁を前方に向けて凸となるように屈曲させるプレス工程と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車体取付面における車体の幅方向の両端部にも車両用バンパレインフォースメントを適切に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る中空部材からなる車両用バンパレインフォースメントを簡略化して示す図である。
【
図2】
図1に示す中空部材の中央部をA1-A1線で切断した断面を示す断面図である。
【
図3】
図1に示す中空部材の端部近傍を上壁側から見た平面図である。
【
図4】
図1に示す中空部材の端部近傍を後壁側から見た平面図である。
【
図5】
図1に示す中空部材の端部近傍を後壁側から見た斜視図である。
【
図6】
図1に示す中空部材の製造方法における端部の加工方法を示す図である。
【
図7】上記実施形態の第1変形例に係る中空部材の端部近傍を後壁側から見た斜視図である。
【
図8】上記実施形態の第2変形例に係る中空部材の端部近傍を後壁側から見た斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の車両用バンパレインフォースメント及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
車両用バンパレインフォースメント10は、
図1に示すように、自動車等の車両を構成する車体3の前部又は後部に設けられたステー31に固定され、衝突時に、大きな衝撃が加わった場合に自身が変形することによりその衝撃を吸収し、衝撃が小さい場合には抵抗力となって、車体3や衝突対象物を保護するものである。この車両用バンパレインフォースメント10は、車体3の幅方向に沿って固定される金属製の長尺材からなり、例えば、JIS A6000系等のアルミニウム合金からなる中空の押出形材(中空部材20)によって形成されている。
【0017】
中空部材20の断面形状は特に限定されるものではないが、中空部材20の中央部の断面形状は、日本漢字で略「日」の字状とされている。具体的には、
図2に示す例では、車体取付面側(ステー31側)に上下方向に沿って配置される後壁201、車体取付面側とは反対側の衝突面側に上下方向に沿って配置される前壁202、これら前壁202及び後壁201の間の上下端部を相互に連結状態とする上壁203及び下壁204、上壁203と下壁204との間に配置され前壁202及び後壁201を接続するリブ205を備えている。なお、後壁201の厚さは4.5mm~5.5mm、前壁202の厚さは4.5mm~5.5mm、上壁203の厚さは2.0mm~3.0mm、下壁204の厚さは2.0mm~3.0mmとされている。
【0018】
このような中空部材20は、
図1に示すように、車体3の幅方向に略直線状に延びる中央部21と、中央部21の両端が車体2側に曲げられた両曲げ部22と、両曲げ部22の端部のそれぞれから略直線状に延びる傾斜部23とからなる。これらのうち、両傾斜部23のそれぞれに各ステー31が溶接等により固定される。また、両傾斜部23の先端部(中空部材20の両端部24)のそれぞれは、
図1及び
図3に示すように、先端(中央部21から離れる方向)に向かうに従って部材の幅寸法が小さくなっている。
なお、本実施形態では、中空部材20は、中央部21、曲げ部22及び傾斜部23からなることとしたが、これに限らず、全体がなだらかに湾曲する形状であってもよい。この場合も、中空部材の両端部の幅寸法が先端に向かうに従って小さくなっていればよい。
【0019】
[中空部材の端部の構成]
両端部24は、
図3~
図5に示すように、車体3の幅方向の両端部に配置される部位であり、その形状は、車体3に固定されるタイヤ(図示省略)への接触を防止する形状とされている。具体的には、両端部24における前壁202は、
図3及び
図5に示すように、上壁203側から見て車体3とは反対方向に凸となるように屈曲しているとともに、両端部24における車体3側に、中空部材20が切断されてなる切断面25が形成されている。この切断面25は、
図3及び
図5に示すように、上壁203側から見て後壁201よりも前壁202側に位置している。
【0020】
この両端部24では後壁201が設けられていないため、
図4及び
図5に示すように、一部が切断面25により切り欠かれた上壁203、下壁204及びリブ205が露出した状態とされている。これら上壁203、下壁204及びリブ205は、
図3及び
図5に示すように、上壁203側から見て中空部材20の先端(両端)に向かうに従って両端部24の後壁201から前壁202に向かう方向の幅が小さくなっている。
【0021】
また、両端部の切断面25内における前壁202の屈曲している部位から先端側の上壁203、下壁204及びリブ205のそれぞれには、
図3及び
図5に示すように、前壁202から車体3に向けて延びるシワS1が形成されている。このようなシワS1は、上壁203、下壁204及びリブ205のそれぞれに前壁202の屈曲方向に並んで間隔をあけて4本ずつ形成されている。これらシワS1は、衝突面である前壁202に対して略垂直方向に延びているため、中央部21や曲げ部22に比べて中空部材20の後壁201から前壁202に向かう方向の幅が小さい端部24の変形強度を高めるために設けられる。
【0022】
本実施形態の車両用バンパレインフォースメント10を製造するため、直線状に延びる中空部材20に対して曲げ加工やプレス加工等の各種工程を実施する。以下、詳しく説明する。
【0023】
[車両用バンパレインフォースメントの製造方法]
本実施形態の車両用バンパレインフォースメント10の製造方法は、アルミニウム合金の押出成形により直線状に延びる中空部材20(
図6(a)参照)を形成する押出成形工程と、この中空部材20に曲げを付与するプレス曲げ工程と、この中空部材20を車両に取付る為の取付穴及び作業穴をあけるプレス穴あけ工程と、傾斜部23の後壁201側端部を斜めに切断して切断面25を形成する切断工程(
図6(b)参照)と、上壁203側から見て切断面25が後壁201よりも後方に張り出さない範囲で切断工程後の中空部材20の両端部24の前壁202を前方に向けて凸となるように屈曲させるプレス工程(
図6(c)及び
図6(d)参照)と、を備えている。
【0024】
(押出成形工程)
まず、金属製の中空部材20を押出成形により形成する。この押出成形により、車体取付面側に上下方向に沿って配置される後壁201、車体取付面側とは反対側の衝突面側に上下方向に沿って配置される前壁202、これら前壁202及び後壁201の間の上下端部を相互に連結状態とする上壁203及び下壁204、上壁203と下壁204との間に配置され前壁202及び後壁201を接続するリブ205を備える中空部材20が形成される。
【0025】
(プレス曲げ工程)
次に、中空部材20をプレス曲げ型(図示省略)に設置し、上方向からプレス曲げ型を押付けて曲げ変形する。これにより、中空部材20に中央部21、曲げ部22及び傾斜部23を形成する。
【0026】
(プレス穴あけ工程)
次に、中空部材20の端部をプレス穴あけ型(図示省略)に設置し、車両取付用の取付穴および取付用作業穴をプレス穴あけ型により穴あけを行う。この工程は各端部に対して行う。
【0027】
(切断工程)
次に、
図6(b)に示すように、中空部材20の両端部について傾斜部23の後壁201側端部を斜めに切断して切断面25を形成する。この切断工程により傾斜部23の端部における後壁201と、上壁203、下壁204及びリブ205の一部が取り除かれ、切断面25が形成される。
【0028】
(プレス工程)
最後に、上壁203側から見て切断面25が後壁201よりも後方に張り出さない範囲で切断工程後の中空部材20の両端部24の前壁202を前方に向けて凸となるように屈曲させるように押圧する。具体的には、
図6(d)に示すように、凸部511を有する第1押圧部材51と凸部511に対応する形状の凹部521を有する第2押圧部材52とにより、中空部材20の両端部24を押圧する。このとき、第1押圧部材51を後壁201側、第2押圧部材202を前壁202側に配置するとともに、凸部511は、
図6(c)に示すように、切断面25の後壁201との接続部位近傍に当接させる。この状態で、
図6(d)に示すように、第1押圧部材51及び第2押圧部材52により中空部材20の両端部を挟持して押圧することにより、端部24の前壁202の屈曲に伴って、切断面25における前壁202の屈曲している部位から先端側の切断面25内の上壁203、下壁204及びリブ205のそれぞれも屈曲してこれらにシワS1が形成され、中空部材20の両端部24が
図1に示す形状となる。
【0029】
このようにして製造された車両用バンパレインフォースメント10は、切断面25が車体3側を向くように車体3に固定される。そして、車両用バンパレインフォースメント10を覆うようにバンパーが取り付けられ、車両となる。
【0030】
本実施形態では、両端部24の前壁202が屈曲しているとともに切断面25が前方(車体3とは反対側の衝突面)を向いていないので、車両の衝突時に切断面25内の上壁203、下壁204及びリブ205によって自車部品や被衝突者側を傷つけることを抑制できる。また、切断面25が後壁201よりも前壁202側に位置し、切断面25が後壁201よりも後方に張り出すことがないので、中空部材20の両端部24が車両のタイヤに接することがない。このため、タイヤの配置位置等により設置スペースが小さくなっている車体3の幅方向の両端部にも車両用バンパレインフォースメントを適切に配置することができる。
また、シワS1が衝突面(前壁202)から車体3に向かう方向、つまり、衝突方向に沿う方向に形成されているので、中空部材20の両端部の変形強度を高めることができる。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、切断面25が車体3側を向いた状態で固定されるため、切断面25から上壁203、下壁204及びリブ205が露出した状態で車体3に固定されることとしたが、これに限らず、例えば、
図7に示すように蓋部材60により切断面25を覆うようにしてもよい。
【0032】
本変形例(第1変形例)の車両用バンパレインフォースメント10Aは、
図7に示すように、傾斜部23の両端部24に形成された切断面25を覆う蓋部材60を有している。この蓋部材60は、切断面25の全領域を覆うサイズに形成され、上壁203及び下壁204のそれぞれに当接する固定部61を有している。この固定部61は、溶接部Wにより上壁203及び204に固定される。これにより、切断面25内の上壁203、下壁204及びリブ205が蓋部材60に覆われた状態となる。このように、本変形例では、蓋部材60により切断面25が塞がれて補強されるので、中空部材20の端部24の変形強度を高めることができる。
【0033】
また、蓋部材60に代えて、
図8に示すように、後壁201の切断面25に隣接する部位と、これに対向する前壁202とを連結固定する固定部材70を有するようにしてもよい。
本変形例(第2変形例)の車両用バンパレインフォースメント10Bは、
図8に示すように、固定部材70を有している。このような固定部材70は、直線状に延びる本体部72と、本体部72の一方の端部に形成された係合部71とを有している。これらのうち、本体部72は、後壁201の切断面25側の端面の一部が切り欠かれた切り欠き部206に配置され、係合部71は、中央部21側に延出している。また、本体部72の係合部71が接続される側とは反対側の端部は、
図8に破線で示すように前壁202の内面に当接し、係合部71は、
図8に実線で示すように後壁201の外面に当接し、これら本体部72及び係合部71は、溶接部Wにより後壁201及び前壁202に接合されている。本変形例においても、固定部材70により前壁202及び後壁201が連結されているので、中空部材20の端部24の変形強度を高めることができる。
【0034】
上記実施形態では、中空部材20のリブ205は1つだけ設けられることとしたが、これに限らず、2つ以上設けられることとしてもよい。この場合、リブ205が複数設けられることとなるので、車両用バンパレインフォースメント10の変形強度をさらに高めることが可能となる。
【0035】
上記実施形態では、
図1、3及び5~8では、上壁203、下壁204及びリブ205のそれぞれに形成された4本のシワをシワS1として、説明しているが、このシワの本数は適宜設定できる。また、上記実施形態では、切断面25内の上壁203、下壁204及びリブ205にシワS1が形成されていることとしたが、シワS1が形成されていないものも本発明の権利範囲である。
【符号の説明】
【0036】
3 車体
31 ステー
10 10A 10B 車両用バンパレインフォースメント
20 中空部材
201 後壁
202 前壁
203 上壁
204 下壁
205 リブ
206 切り欠き部
21 中央部
22 曲げ部
23 傾斜部
24 端部
25 切断面
51 第1押圧部材
511 凸部
52 第2押圧部材
521 凹部
60 蓋部材
61 固定部
70 固定部材
71 係合部
72 本体部
S1 シワ
W 溶接部