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特許7543059プラズマ処理装置、およびプラズマ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置、およびプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240826BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H01L21/302 101D
H01L21/302 101C
H01L21/302 101B
H05H1/46 B
H05H1/46 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020165063
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057019
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】目黒 佑一
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-110325(JP,A)
【文献】特開2003-218124(JP,A)
【文献】特開平10-163127(JP,A)
【文献】特開平06-204191(JP,A)
【文献】特開平11-274127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素原子を含むガスを用いて、処理物をプラズマ処理可能なプラズマ処理装置であって、
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持し、表面にフッ素化合物が付着した前記処理物を内部に保持可能な第1のチャンバと、
前記第1のチャンバの内部を所定の圧力まで減圧可能な排気部と、
前記フッ素化合物が付着した前記処理物に、または、プラズマを発生させる領域に、水蒸気を含むガスを供給可能なガス供給部と、
を備え、
前記水蒸気を含むガスは、温度が20℃以上、25℃以下であり、
前記プラズマを発生させる領域に供給された、前記水蒸気を含むガスは、発生したプラズマにより励起されて、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に供給されるプラズマ処理装置。
【請求項2】
フッ素原子を含むガスを用いて、処理物をプラズマ処理可能なプラズマ処理装置であって、
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持し、表面にフッ素化合物が付着した前記処理物を内部に保持可能な第1のチャンバと、
前記第1のチャンバの内部を所定の圧力まで減圧可能な排気部と、
前記フッ素化合物が付着した前記処理物に、または、プラズマを発生させる領域に、水蒸気を含むガスを供給可能なガス供給部と、
を備え、
前記水蒸気を含むガスの供給圧力は、1000Pa以上、2000Pa以下であり、
前記プラズマを発生させる領域に供給された、前記水蒸気を含むガスは、発生したプラズマにより励起されて、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に供給されるプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記プラズマを発生させる領域は、前記第1のチャンバの内部、または、前記第1のチャンバから離隔した位置に設けられる請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
第2のチャンバをさらに備え、
前記プラズマを発生させる領域は、前記第2のチャンバの内部、または、前記第2のチャンバから離隔した位置に設けられ、
前記ガス供給部は、前記第1のチャンバの内部に保持された前記フッ素化合物が付着した処理物に、前記水蒸気を含むガスを供給する請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
ロードロック部をさらに備え、
前記第1のチャンバは、前記ロードロック部に設けられ、
前記ガス供給部は、前記第1のチャンバの内部に保持された前記フッ素化合物が付着した処理物に、前記水蒸気を含むガスを供給する請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記水蒸気を含むガスの供給圧力は、1000Pa以上、2000Pa以下である請求項1載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
フッ素原子を含むガスを用いて、処理物をプラズマ処理する工程と、
前記処理物の表面に付着したフッ素化合物を除去する工程と、
を備え、
前記フッ素化合物を除去する工程において、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に、または、プラズマを発生させる領域に、水蒸気を含むガスを供給し、
前記水蒸気を含むガスは、温度が20℃以上、25℃以下であり、
前記プラズマを発生させる領域に供給された、前記水蒸気を含むガスは、発生したプラズマにより励起されて、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に供給されるプラズマ処理方法。
【請求項8】
フッ素原子を含むガスを用いて、処理物をプラズマ処理する工程と、
前記処理物の表面に付着したフッ素化合物を除去する工程と、
を備え、
前記フッ素化合物を除去する工程において、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に、または、プラズマを発生させる領域に、水蒸気を含むガスを供給し、
前記水蒸気を含むガスの供給圧力は、1000Pa以上、2000Pa以下であり、
前記プラズマを発生させる領域に供給された、前記水蒸気を含むガスは、発生したプラズマにより励起されて、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に供給されるプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記水蒸気を含むガスの供給圧力は、1000Pa以上、2000Pa以下である請求項7載のプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置、およびプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを利用したドライプロセスは、半導体装置の製造、金属部品の表面硬化、プラスチック部品の表面活性化、無薬剤殺菌など、幅広い技術分野において活用されている。例えば、半導体装置やフラットパネルディスプレイなどの製造においては、エッチング処理、アッシング処理、イオンを用いたエッチング処理により生じたダメージの除去などの各種のプラズマ処理が行われている。
【0003】
このようなプラズマ処理においては、発生させたプラズマによりプロセスガスを励起、活性化させてラジカルやイオンなどのプラズマ生成物を生成する。そして、生成したラジカルやイオンなどにより処理物に対するプラズマ処理を行う。この場合、プロセスガスは、処理の種類や処理物の材料などに応じて適宜選択される。例えば、エッチング処理の場合には、反応性の高いラジカルが生成されるように、CFやCFなどのフッ素原子を含むプロセスガスが用いられる場合が多い。
【0004】
ところが、フッ素原子を含むプロセスガスを用いてエッチング処理を行うと、処理が終了した処理物の表面にフッ素化合物が残留する場合がある。また、プラズマ処理を行うチャンバの内壁に付着していたフッ素化合物が、処理が終了した処理物の表面に付着する場合もある。また、処理が終了した処理物は、チャンバの外部に設けられたポッドなどの収納部に収納される。この場合、チャンバから収納部に搬送された処理物の表面にフッ素化合物が付着していると、フッ素化合物が収納部の内部に放出され、収納部に収納さている他の処理物の表面にフッ素化合物が付着する場合もある。
【0005】
処理物の表面にフッ素化合物が付着していると、エッチング処理の後に行われる処理(例えば、エッチング処理により生じたダメージの除去)において、フッ素化合物が障害となる場合がある。
そのため、一般的には、フッ素化合物が付着している処理物を水洗処理することで、フッ素化合物を除去するようにしている。しかしながら、水洗処理を行うと処理時間が長くなるので生産性が低下する。また、ウォータマークが発生するおそれもある。
【0006】
また、水素原子を含むガスの雰囲気中において処理物を加熱することで、処理物の表面に付着しているフッ素化合物を除去する技術が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
しかしながら、加熱された処理物が、チャンバから搬出されて空気などの酸素を含むガスが存在する雰囲気に晒されると、処理物の表面が酸化するおそれがある。この場合、加熱された処理物の温度が低下するまで、処理物をチャンバの内部に待機させると、処理時間が長くなるので生産性が低下する。
【0007】
そこで、処理物の表面に付着しているフッ素化合物を効率よく除去することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-163127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、処理物の表面に付着しているフッ素化合物を効率よく除去することができるプラズマ処理装置、およびプラズマ処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係るプラズマ処理装置は、
フッ素原子を含むガスを用いて、処理物をプラズマ処理可能なプラズマ処理装置である。大気圧よりも減圧された雰囲気を維持し、表面にフッ素化合物が付着した前記処理物を内部に保持可能な第1のチャンバと、前記第1のチャンバの内部を所定の圧力まで減圧可能な排気部と、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に、または、プラズマを発生させる領域に、水蒸気を含むガスを供給可能なガス供給部と、を備えている。前記水蒸気を含むガスは、温度が20℃以上、25℃以下であり、前記プラズマを発生させる領域に供給された、前記水蒸気を含むガスは、発生したプラズマにより励起されて、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に供給される。
また、他の実施形態に係るプラズマ処理装置は、
フッ素原子を含むガスを用いて、処理物をプラズマ処理可能なプラズマ処理装置である。大気圧よりも減圧された雰囲気を維持し、表面にフッ素化合物が付着した前記処理物を内部に保持可能な第1のチャンバと、前記第1のチャンバの内部を所定の圧力まで減圧可能な排気部と、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に、または、プラズマを発生させる領域に、水蒸気を含むガスを供給可能なガス供給部と、を備えている。前記水蒸気を含むガスの供給圧力は、1000Pa以上、2000Pa以下であり、前記プラズマを発生させる領域に供給された、前記水蒸気を含むガスは、発生したプラズマにより励起されて、前記フッ素化合物が付着した前記処理物に供給される。

【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、処理物の表面に付着しているフッ素化合物を効率よく除去することができるプラズマ処理装置、およびプラズマ処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
図2】ガスの効果を例示するためのグラフである。
図3】他の実施形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
図4】他の実施形態に係るプラズマ処理装置を例示するためのレイアウト図である。
図5】除去部を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係るプラズマ処理装置1を例示するための模式断面図である。 図1に例示をするプラズマ処理装置1は、一般に「CDE(Chemical Dry Etching;ケミカルドライエッチング)装置」、あるいは、「リモートプラズマ装置」と呼ばれるマイクロ波励起型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、プラズマPを用いてプロセスガスからプラズマ生成物を生成し、主に、プラズマ生成物に含まれているラジカルを用いて処理物Wの処理を行う。
【0014】
図1に示すように、プラズマ処理装置1は、例えば、プラズマ発生部2、排気部3、マイクロ波発生部4、チャンバ5(第1のチャンバの一例に相当する)、ガス供給部6、および、コントローラ7を備えている。
プラズマ発生部2は、例えば、放電管2a、導入導波管2b、および輸送管2cを有する。
放電管2aは、内部にプラズマPを発生させる領域を有し、チャンバ5から離隔した位置に設けられている。放電管2aは管状を呈し、マイクロ波Mに対する透過率が高くエッチングされにくい材料を含んでいる。例えば、放電管2aは、アルミナや石英などの誘電体を含んでいる。
【0015】
導入導波管2bは、放電管2aと略直交するように放電管2aの外側に接続されている。導入導波管2bの終端には終端整合器2b1が設けられている。また、導入導波管2bの入口側(マイクロ波Mの導入側)にはスタブチューナ2b2が設けられている。
【0016】
導入導波管2bと放電管2aの接続部分には、環状のスロット2b3が設けられている。導入導波管2bの内部を伝播したマイクロ波Mは、スロット2b3を介して、放電管2aの内部に放射される。
【0017】
輸送管2cの一方の端部は、放電管2aの、ガス供給部6側とは反対側の端部に接続されている。輸送管2cの他方の端部は、チャンバ5に接続されている。輸送管2cは、プラズマ生成物に含まれているラジカルに対する耐性のある材料から形成される。輸送管2cは、例えば、石英、ステンレス鋼、セラミックス、フッ素樹脂などから形成される。
【0018】
排気部3は、例えば、チャンバ5の底面に接続される。また、排気部3とチャンバ5との間には、圧力制御部(Auto Pressure Controller)3aを設けることができる。排気部3は、チャンバ5の内部を所定の圧力まで減圧する。排気部3は、例えば、ドライポンプやターボ分子ポンプ(TMP)などである。
【0019】
マイクロ波発生部4は、導入導波管2bの、放電管2a側とは反対側の端部に設けられている。マイクロ波発生部4は、所定周波数(例えば2.75GHz)のマイクロ波Mを発生させ、導入導波管2bに向けて放射する。
【0020】
チャンバ5は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有している。チャンバ5の内部には、図示しない静電チャックを内蔵した載置部5aが設けられている。処理物W(例えば、半導体ウェーハやガラス基板など)は、載置部5aの上に載置される。そのため、チャンバ5は、表面Waにフッ素化合物が付着した処理物Wを内部に保持することができる。
【0021】
また、チャンバ5の内部には、整流板5bが設けられている。整流板5bは、載置部5aの載置面と略平行となるようにチャンバ5の内壁に設けられる。整流板5bとチャンバ5の天井との間の空間には、輸送管2cを介して、ラジカルを含んだガス、あるいは、後述する水蒸気を含むガスG2が導入される。整流板5bが設けられていれば、処理物Wの表面Waにおけるラジカルの量、あるいは水蒸気の量を略均一にするのが容易となる。
【0022】
また、チャンバ5の側壁などには、処理物Wの搬入と搬出を行うための開口5cが設けられている。また、開口5cを開閉する扉5dが設けられている。開口5cが設けられている部分には、チャンバ5e1(第1のチャンバの一例に相当する)を有するロードロック部5eが設けられている。なお、ロードロック部5eには既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0023】
ガス供給部6は、放電管2aの、チャンバ5側とは反対側の端部に接続されている。ガス供給部6は、ガスG1の供給と、ガスG2の供給とを切り替えることができる。また、ガス供給部6と、放電管2aとの間には、圧力制御部6aが設けられている。圧力制御部6aは、放電管2aの内部に供給するガスG1の圧力と、ガスG2の圧力とを制御する。 なお、ガスG1を供給するガス供給部と、ガスG2を供給するガス供給部とを別々に設けることもできる。ガスG1の圧力を制御する圧力制御部と、ガスG2の圧力を制御する圧力制御部とを別々に設けることもできる。
【0024】
ガスG1は、いわゆるプロセスガスとすることができる。ガスG1は、処理物Wの表面Waの材料に応じて適宜選択される。例えば、エッチング処理の場合には、反応性の高いラジカルが生成されるように、CFやCFなどのフッ素原子を含むガスG1とすることができる。例えば、ガスG1は、CFだけとすることができる。また、ガスG1は、CFに酸素ガスや窒素ガスなどの反応性ガスを混合した混合ガスとすることもできる。また、ガスG1は、CFにアルゴンガスやヘリウムガスなどの希ガスを混合した混合ガスとすることもできる。
【0025】
ガスG2は、水蒸気を含む。例えば、ガスG2は、水蒸気だけとすることができる。また、ガスG2は、キャリアガスをさらに含むことができる。キャリアガスは、反応性の低いガスとすることが好ましい。キャリアガスは、例えば、窒素ガスとすることができる。また、キャリアガスは、例えば、アルゴンガスやヘリウムガスなどの希ガスとすることもできる。
【0026】
なお、ガスG2は、プラズマPを用いて励起、活性化させた後に、チャンバ5の内部に供給することもできるし、ガスG2をそのままチャンバ5の内部に供給することもできる。
ガスG2をそのままチャンバ5の内部に供給する場合には、マイクロ波発生部4におけるマイクロ波Mの発生は行われない。また、ガスG2を、輸送管2cの内部に供給したり、チャンバ5の内部に供給したりすることもできる。また、後述するように、ガスG2は、ロードロック部5eのチャンバ5e1の内部に供給することもできる。
例えば、ガス供給部6は、後述するフッ素化合物が付着した処理物Wに、または、プラズマPを発生させる領域に、水蒸気を含むガスG2を供給する。プラズマPを発生させる領域に供給された、水蒸気を含むガスG2は、発生したプラズマPにより励起されて、フッ素化合物が付着した処理物Wに供給される。
【0027】
コントローラ7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを有する。コントローラ7は、例えば、コンピュータなどである。コントローラ7は、例えば、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、プラズマ処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
【0028】
次に、プラズマ処理装置1の作用について説明する。
まず、ガスG1を用いて、処理物Wに対するプラズマ処理が行われる。
まず、図示しない搬送装置により処理物Wが、チャンバ5の内部に搬入され、載置部5aの上に載置、保持される。
次に、チャンバ5の内部が排気部3により所定の圧力まで減圧される。この際、圧力制御部3aによりチャンバ5の内部の圧力が制御される。また、チャンバ5と連通する放電管2aの内部も減圧される。
【0029】
次に、プラズマ発生部2によりプラズマ生成物が生成される。例えば、ガス供給部6から圧力制御部6aを介して所定の圧力のガスG1(例えば、CFなど)が放電管2aの内部に供給される。また、マイクロ波発生部4から所定のパワーのマイクロ波Mが導入導波管2bの内部に放射される。放射されたマイクロ波Mは導入導波管2bの内部を伝播し、スロット2b3を介して放電管2aの内部に放射される。
【0030】
放電管2aの内部に放射されたマイクロ波Mのエネルギーにより、プラズマPが発生する。発生したプラズマPにより、ガスG1が励起、活性化されて、ラジカルやイオンなどを含むプラズマ生成物が生成される。
【0031】
プラズマ生成物を含むガスは、輸送管2cを介してチャンバ5の内部に供給される。この際、寿命の短いイオンなどはチャンバ5の内部に到達できず、寿命の長いラジカルがチャンバ5の内部に到達する。チャンバ5の内部に供給されたラジカルを含むガスは、整流板5bにより整流されて処理物Wの表面Waに到達し、エッチング処理などのプラズマ処理が行われる。この場合、主に、ラジカルによる化学的な処理が行われる。また、物理的な処理に用いられるイオンは、チャンバ5の内部に供給されないので、処理物Wの表面Waがイオンにより損傷を受けることがない。そのため、プラズマ処理装置1は、例えば、イオンを用いたエッチング処理により生じたダメージを除去するのに好適である。
【0032】
ここで、CFなどのフッ素原子を含むガスG1を用いると、処理物Wの表面Waにフッ素化合物が付着する場合がある。例えば、プラズマ処理により発生したフッ素化合物が処理物Wの表面Waに残留する場合がある。また、プラズマ処理により発生し、チャンバ5の内壁に付着していたフッ素化合物が処理物Wの表面Waに付着する場合がある。また、処理が終了した処理物Wは、チャンバ5から排出されて、ポッドなどの収納部に収納される。収納部に搬入された処理物Wの表面Waにフッ素化合物が付着していると、フッ素化合物が収納部の内部に放出され、収納部に収納さている他の処理物Wの表面Waにフッ素化合物が付着する場合がある。
【0033】
処理物Wの表面Waにフッ素化合物が付着していると、エッチング処理の後に行われる処理において、フッ素化合物が障害となる場合がある。
【0034】
そこで、次に、ガスG2を用いて、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物を除去する。
まず、ガス供給部6から圧力制御部6aを介して所定の圧力のガスG2が放電管2aの内部に供給される。放電管2aの内部に供給されたガスG2は、輸送管2cおよび整流板5bを介して、処理物Wの表面Waに供給される。この場合、前述したように、ガスG2を、輸送管2cの内部に供給したり、チャンバ5の内部に供給したりすることもできる。 また、放電管2aの内部に供給されたガスG2を、プラズマPにより、励起、活性化してもよい。励起、活性化されたガスG2は、フッ素化合物が付着した処理物Wに供給される。
【0035】
この場合、ガスG2や、励起、活性化されたガスG2が、チャンバ5の内部に供給されるので、チャンバ5の内壁に付着しているフッ素化合物も除去することができる。処理物Wの表面Waやチャンバ5の内壁から除去されたフッ素化合物は、排気部3により、チャンバ5の外部に排出される。
【0036】
処理が終了した処理物Wは、図示しない搬送装置によりチャンバ5から搬出される。この後、必要があれば、次の処理物Wがチャンバ5の内部に搬入され、前述した処理が行われる。
【0037】
図2は、ガスG2の効果を例示するためのグラフである。
図2中の「A1」は、ガスG2の供給圧力を500Pa、ガスG2の温度を25℃とした場合である。「A2」は、ガスG2の供給圧力を1000Pa、ガスG2の温度を25℃とした場合である。「A3」は、ガスG2の供給圧力を1000Pa、ガスG2の温度を100℃とした場合である。「B」は、ガスG2の供給圧力を1000Pa、ガスG2の温度を25℃とし、プラズマPにより、ガスG2を励起、活性化した場合である。
【0038】
「A1」および「A2」から分かるように、ガスG2の供給圧力を高くすれば、ガスG2の供給量が増えるので、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物の除去率を向上させることができる。
「A2」および「A3」から分かるように、ガスG2の温度を高くすると、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物の除去率が低下する。
【0039】
本発明者の得た知見によれば、ガスG2の供給圧力を、1000Pa以上、2000Pa以下とし、ガスG2の温度を、20℃以上、25℃以下とすることが好ましい。この様にすれば、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物を効率よく除去することができる。
【0040】
またさらに、「A2」および「B」から分かるように、プラズマPにより、ガスG2を励起、活性化すれば、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物をさらに効率よく除去することができる。
【0041】
図3は、他の実施形態に係るプラズマ処理装置11を例示するための模式断面図である。
図3に例示をするプラズマ処理装置11は、一般に「平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置」と呼ばれる容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)処理装置である。プラズマ処理装置11は、プラズマPを用いてプロセスガスからプラズマ生成物を生成し、プラズマ生成物に含まれているイオンとラジカルを用いて処理物Wの処理を行う。
【0042】
図3に示すように、プラズマ処理装置11は、例えば、プラズマ発生部12、排気部3、電源部14、チャンバ15(第1のチャンバの一例に相当する)、ガス供給部6、コントローラ7を備えている。
チャンバ15は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有している。チャンバ15の側壁などには、処理物Wの搬入と搬出を行うための開口15aが設けられている。また、開口15aを開閉する扉15bが設けられている。開口15aが設けられている部分には、チャンバ15c1(第1のチャンバの一例に相当する)を有するロードロック部15cが設けられている。なお、ロードロック部15cには既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0043】
プラズマ発生部12は、例えば、下部電極12a、および上部電極12bを有する。
下部電極12aは、チャンバ15の内部に設けられている。下部電極12aは、チャンバ15の底面に設けることができる。下部電極12aは、放電電極、および処理物Wを載置する載置部として機能する。
上部電極12bは、下部電極12aに対向している。上部電極12bは、例えば、接地することができる。
【0044】
電源部14は、例えば、高周波電源14a、およびブロッキングコンデンサ14bを有する。高周波電源14aは、ブロッキングコンデンサ14bを介して下部電極12aに電気的に接続されている。高周波電源14aは、100KHz~100MHz程度の高周波電力を下部電極12aに印加する。ブロッキングコンデンサ14bは、プラズマPの中で発生し下部電極12aに到達した電子の移動を阻止するために設けられている。
【0045】
次に、プラズマ処理装置11の作用について説明する。
まず、ガスG1を用いて、処理物Wに対するプラズマ処理が行われる。
まず、図示しない搬送装置により処理物Wが、チャンバ15の内部に搬入され、下部電極12aの上に載置、保持される。
【0046】
次に、チャンバ15の内部が排気部3により所定の圧力まで減圧される。この際、圧力制御部3aによりチャンバ15の内部の圧力が制御される。
【0047】
次に、プラズマ発生部12によりプラズマ生成物が生成される。例えば、ガス供給部6から圧力制御部6aを介して所定の圧力のガスG1(例えば、CFなど)が、チャンバ15の内部のプラズマPを発生させる領域に供給される。
【0048】
また、電源部14(高周波電源14a)から100KHz~100MHz程度の高周波電力が下部電極12aに印加される。下部電極12aと上部電極12bとが平行平板電極となるため、電極間に放電が起こりプラズマPが発生する。発生したプラズマPによりガスG1が励起、活性化されてラジカル、イオン、電子などのプラズマ生成物が生成される。生成されたプラズマ生成物が、チャンバ15の内部を下降して処理物Wの表面Waに到達して、エッチング処理などのプラズマ処理が行われる。
【0049】
この場合、生成されたイオンと電子のうち、質量の軽い電子は動きが速く、下部電極12aと上部電極12bにすぐに到達する。下部電極12aに到達した電子は、ブロッキングコンデンサ14bにより移動を阻止されるので、下部電極12aが帯電する。下部電極12aの帯電圧は400V~1000V程度に達するが、これを「陰極降下」という。一方、上部電極12bは接地されているため、到達した電子は移動が阻止されず、上部電極12bはほとんど帯電しない。
【0050】
そして、陰極降下により発生する垂直な電界に沿って、イオンが下部電極12a(処理物W)に向かって移動し、処理物Wの表面Waに入射する。そのため、イオンによる物理的な処理が、処理物Wの表面Waに施される。また、ラジカルは、ガス流や重力により下降して処理物Wの表面Waに到達する。そのため、ラジカルによる化学的な処理も行われる。イオンによる物理的な処理を行うプラズマ処理装置11は、処理物Wの表面Waにトレンチやホールなどを形成するのに好適である。
【0051】
ここで、前述したプラズマ処理装置1の場合と同様に、CFなどのフッ素原子を含むガスG1を用いると、処理物Wの表面Waにフッ素化合物が付着する。
そのため、プラズマ処理装置11の場合にも、ガスG2を用いて、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物を除去する。
【0052】
まず、ガス供給部6から圧力制御部6aを介して所定圧力のガスG2が、チャンバ15の内部に供給される。チャンバ15の内部に供給されたガスG2は、チャンバ15の内部を下降して、処理物Wの表面Waに供給される。
また、チャンバ15の内部に供給されたガスG2を、プラズマPにより、励起、活性化してもよい。励起、活性化されたガスG2は、フッ素化合物が付着した処理物Wに供給される。
【0053】
また、ガスG2や、励起、活性化されたガスG2が、チャンバ15の内部に供給されるので、チャンバ15の内壁に付着しているフッ素化合物も除去することができる。処理物Wの表面Waやチャンバ15の内壁から除去されたフッ素化合物は、排気部3により、チャンバ15の外部に排出される。
ガスG2の効果は、図2において説明したとおりである。
【0054】
処理が終了した処理物Wは、図示しない搬送装置によりチャンバ15から搬出される。この後、必要があれば、次の処理物Wがチャンバ15の内部に搬入され、前述した処理が行われる。
【0055】
なお、以上においては、CDE装置(リモートプラズマ装置)、平行平板型RIE装置に代表される容量結合型プラズマ処理装置を例示したが、本発明に係るプラズマ処理装置は、これらのプラズマ処理装置に限定されるわけではない。本発明は、フッ素原子を含むプロセスガスを用いることができるプラズマ処理装置に適用することができる。例えば、本発明に係るプラズマ処理装置は、「SWP(Surface Wave Plasma:表面波プラズマ)装置」と呼ばれるマイクロ波励起型のプラズマ処理装置、「誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)」、「上部に誘導結合型電極を有し、下部に容量結合型電極を有する二周波プラズマ処理装置」などであってもよい。なお、これらのプラズマ処理装置の基本的な構成には、既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0056】
図4は、他の実施形態に係るプラズマ処理装置21を例示するためのレイアウト図である。
図4に示すように、プラズマ処理装置21は、例えば、収納部21a、搬送部21b、ロードロック部21c、受け渡し部21d、処理部21e、およびコントローラ27を有する。
【0057】
コントローラ27は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを有する。コントローラ27は、例えば、コンピュータなどである。コントローラ27は、例えば、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、プラズマ処理装置21に設けられた各要素の動作を制御する。
【0058】
収納部21aは、例えば、処理物Wを積層状(多段状)に収納する。収納部21aは、例えば、いわゆるポッドや、正面開口式キャリアであるFOUP(Front-Opening Unified Pod)などである。ただし、収納部21aは、例示をしたものに限定されるわけではなく、処理物Wを収納することができるものであればよい。収納部21aは、少なくとも1つ設けられる。
【0059】
搬送部21bは、収納部21aと、ロードロック部21cとの間に設けられている。搬送部21bは、収納部21aとロードロック部21cとの間における処理物Wの搬送と受け渡しを行う。この場合、搬送部21bは、プラズマ処理を施す際の圧力よりも高い圧力(例えば、大気圧)の環境において、処理物Wの搬送と受け渡しを行う。搬送部21bは、例えば、アームを有する搬送ロボットである。
【0060】
ロードロック部21cは、搬送部21bと受け渡し部21dとの間に設けられている。ロードロック部21cは、雰囲気の圧力が異なる、搬送部21bと処理部21eとの間で、処理物Wの受け渡しを行う。そのため、ロードロック部21cは、チャンバ21c1(第1のチャンバの一例に相当する)、排気部21c3、および、ガス供給部21c2を有する。排気部21c3は、ロードロック部21cの内部の圧力が、受け渡し部21dのチャンバ21d1の内部の圧力とほぼ同等となるようにする。ガス供給部21c2は、ロードロック部21cの内部にガスを供給して、ロードロック部21cの内部の圧力が、搬送部21bの圧力とほぼ同等となるようにする。
【0061】
受け渡し部21dは、処理部21eとロードロック部21cとの間に設けられている。受け渡し部21dは、処理部21eとロードロック部21cとの間における処理物Wの受け渡しを行う。受け渡し部21dは、チャンバ21d1(第1のチャンバの一例に相当する)、チャンバ21d1の内部に設けられた搬送部21d2、および、チャンバ21d1の内部を所定の圧力まで減圧する排気部21d3を有する。搬送部21d2は、例えば、アームを有する搬送ロボットである。
【0062】
なお、収納部21a、搬送部21b、ロードロック部21c、および、受け渡し部21dには既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。また、収納部21a、搬送部21b、ロードロック部21c、受け渡し部21d、および処理部21eにおける、処理物Wの受け渡し手順や、プラズマ処理の手順には、既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0063】
処理部21eは、プラズマ処理部21e1、および、除去部21e2を有する。プラズマ処理部21e1は、少なくとも1つ設けられる。除去部21e2は、少なくとも1つ設けられる。
プラズマ処理部21e1は、大気圧よりも減圧された雰囲気において、処理物Wに対してプラズマ処理を施す。プラズマ処理部21e1は、例えば、前述したプラズマ処理装置1、11から、ガスG2を供給するガス供給部を除去し、ガスG1を供給するガス供給部のみを設けたものとすることができる。すなわち、プラズマ処理部21e1は、フッ素原子を含むプロセスガスを用いることができるプラズマ処理装置であればよい。そのため、プラズマ処理部21e1の構成は、前述したものと同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0064】
除去部21e2は、大気圧よりも減圧された雰囲気において、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物を除去する。
プラズマ処理部21e1のチャンバ(第2のチャンバの一例に相当する)21e1aの内部にガスG2を供給してフッ素化合物の除去を行うと、除去している間、プラズマ処理部21e1に次の処理物Wを搬入することができない。また、次の処理物Wに対してプラズマ処理を施す前に、チャンバ21e1aの内部からガスG2を排出させる必要がある。プラズマ処理部21e1と除去部21e2とが分離されていれば、プラズマ処理後の処理物Wからフッ素化合物を除去することを待つこと無く、プラズマ処理部21e1に次の処理物Wを搬入することができる。また、次の処理物Wに対してプラズマ処理を施す前に、チャンバ21e1aの内部からガスG2を排出させる必要がない。そのため、除去部21e2が設けられていれば、スループットを向上させることができる。
【0065】
図5は、除去部21e2を例示するための模式断面図である。
図5に示すように、除去部21e2は、例えば、排気部3、チャンバ21e2a(第1のチャンバの一例に相当する)、ガス供給部26を備えている。
チャンバ21e2aは、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有している。
排気部3は、チャンバ21e2aの内部を所定の圧力まで減圧する。
【0066】
ガス供給部26は、チャンバ21e2aの内部にガスG2を供給する。ガス供給部26と、チャンバ21e2aとの間には、圧力制御部26aが設けられている。圧力制御部26aは、チャンバ21e2aの内部に供給するガスG2の圧力を制御する。
【0067】
この場合、ガス供給部26は、処理物Wの表面Waに向けてガスG2を供給できる位置に設けることが好ましい。例えば、図5に示すように、ガス供給部26は、載置部5aの載置面の中心に向けてガスG2を供給することができる。この様にすれば、処理物Wの表面WaにガスG2を直接供給することができるので、フッ素化合物の除去率を向上させることができる。
なお、ガスG2の効果は、図2において説明したとおりである。
【0068】
また、チャンバ21e2aの内容積は、プラズマ処理部21e1のチャンバ21e1aの内容積よりも小さくすることが好ましい。この様にすれば、ガスG2の利用効率を向上させることができ、ひいては、ガスG2の消費量を低減させることができる。
【0069】
また、除去部21e2は、フッ素化合物を除去後、ガスG2の供給を停止する。そして、ロードロック部21cから受け渡し部21dに処理物Wを搬送する際のロードロック部21cの圧力程度までガスG2を排出させる。これにより、受け渡し部21dに流入するガスG2の量を少なくできる。したがって、受け渡し部21dの排気速度を維持することができる。
【0070】
なお、以上に説明したものは、プラズマ処理を行うチャンバ5、15や、除去部21e2のチャンバ21e2aにおいて、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物を除去している。しかしながら、フッ素化合物の除去は、大気圧よりも減圧された雰囲気において行えばよい。
【0071】
例えば、プラズマ処理装置21の場合には、ロードロック部21cのチャンバ21c1、および、受け渡し部21dのチャンバ21d1の少なくともいずれかに、ガスG2を供給して、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物を除去してもよい。
【0072】
例えば、前述したプラズマ処理装置1、11にも、チャンバ5e1を有するロードロック部5e、チャンバ15c1を有するロードロック部15cが設けられるので、チャンバ5e1、15cにガスG2を供給して、処理物Wの表面Waに付着しているフッ素化合物を除去してもよい。
【0073】
以上に説明した様に、本実施の形態に係るプラズマ処理方法は、以下の工程を有することができる。
フッ素原子を含むガスG1を用いて、処理物Wをプラズマ処理する工程。
処理物Wの表面Waに付着したフッ素化合物を除去する工程。
フッ素化合物を除去する工程において、フッ素化合物が付着した処理物Wに、または、プラズマPを発生させる領域に、水蒸気を含むガスG2を供給する。
プラズマPを発生させる領域に供給された、水蒸気を含むガスG2は、発生したプラズマPにより励起されて、フッ素化合物が付着した処理物Wに供給される。
【0074】
水蒸気を含むガスG2の温度は、20℃以上、25℃以下である。
水蒸気を含むガスG2の供給圧力は、1000Pa以上、2000Pa以下である。
【0075】
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置1、11、21が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0076】
1 プラズマ処理装置、2 プラズマ発生部、3 排気部、5 チャンバ、5e ロードロック部、6 ガス供給部、11 プラズマ処理装置、12 プラズマ発生部、15 チャンバ、15c ロードロック部、21 プラズマ処理装置、21c ロードロック部、21d 受け渡し部、21e 処理部、21e1 プラズマ処理部、21e2 除去部、21e2a チャンバ、26 ガス供給部、G1 ガス、G2 ガス、P プラズマ、W 処理物、Wa 表面
図1
図2
図3
図4
図5