(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】システム、装置、制御方法、物品の製造方法、制御プログラム、記録媒体
(51)【国際特許分類】
G08C 17/00 20060101AFI20240826BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
B23Q17/00 A
(21)【出願番号】P 2020176776
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 権人
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-17914(JP,A)
【文献】特開2019-185391(JP,A)
【文献】特開2019-36841(JP,A)
【文献】特開2015-89080(JP,A)
【文献】国際公開第2017/212586(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0356051(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
B23Q 17/00-23/00
H04L 13/00-67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、コネクタを有する装置を備え、
前記コネクタに第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作可能であり、
前記コネクタに第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作可能であ
り、
前記コネクタに部品が接続されていない場合は、リピータ装置として動作可能である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記コネクタに前記第1部品と前記第2部品が接続された場合は、前記ノード装置もしくは前記ゲートウェイ装置のいずれかとして動作可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1部品は、設備の状態を計測するセンサと接続するためのセンサ入力端子と、前記ノード装置として動作するための設定に係る情報を記憶した記憶部と、を備えたセンサ入力基板である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2部品は、ネットワークに接続するためのネットワーク接続端子と、前記ゲートウェイ装置として動作するための設定に係る情報を記憶した記憶部と、を備えたネットワーク基板である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記コネクタに第3部品が接続された場合は、前記システムを構成するリピータ装置として動作可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第3部品は、前記リピータ装置として動作するための設定に係る情報を記憶した記憶部を備えたリピータ基板である、
ことを特徴とする請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
システムであって、第1部品が接続される第1コネクタと第2部品が接続される第2コネクタとが設けられたマスター回路基板を有する装置を備え、
前記第1コネクタに前記第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作可能であり、
前記第2コネクタに前記第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作可能である、
ことを特徴とす
るシステム。
【請求項8】
前記マスター回路基板において、前記第1コネクタは前記第2コネクタの外側に配置されている、
ことを特徴とする請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1コネクタの高さは、前記第2コネクタの高さよりも高い、
ことを特徴とする請求項
7または
8に記載のシステム。
【請求項10】
表示装置を備え、前記表示装置に前記装置に関する情報を表示し、前記装置と前記表示装置とは別体であって、
前記表示装置に、前記第1部品が接続されている前記装置と前記第1部品とを対応付けで表示し、前記第2部品が接続されている前記装置と前記第2部品とを対応付けで表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
表示装置を備え、前記表示装置に前記装置に関する情報を表示し、前記装置と前記表示装置とは別体であって、
前記表示装置に、前記第1部品が接続されている前記装置と前記第1部品とを対応付けで表示し、前記第2部品が接続されている前記装置と前記第2部品とを対応付けで表示し、前記第3部品が接続されている前記装置と前記第3部品とを対応付けで表示する、
ことを特徴とする請求項
5に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1部品および前記第2部品は基板であり、前記表示装置に、前記基板の種類に関する情報として、センサ入力、ネットワーク、リピータ用、の少なくとも1つを表示する、
ことを特徴とする請求項
10または
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記表示装置に、前記装置が動作している動作モードに関する情報として、ノード、ゲートウェイ、リピータ、の少なくとも1つを表示する、
ことを特徴とする請求項
10乃至
12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記表示装置において、前記装置に設定されたIDに関する情報を表示する、
ことを特徴とする請求項
10乃至
13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記表示装置において前記装置の動作状態に関する情報として、正常、休止、の少なくとも1つを表示する、
ことを特徴とする請求項
10乃至
14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記表示装置において前記装置の所在に関する情報として、前記装置が設置される対象装置、前記装置が保管される保管庫、の少なくとも1つを表示する、
ことを特徴とする請求項
10乃至
15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記表示装置において、前記装置が前記対象装置のどの位置に設置されているのか、または、前記装置が前記保管庫のどの場所に保管されているのか、を表示する、
ことを特徴とする請求項
16に記載のシステム。
【請求項18】
前記表示装置において、前記装置のバッテリー残量に関する情報を表示する、
ことを特徴とする請求項
10乃至
17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記表示装置において、前記装置に接続されている前記第1部品または前記第2部品に関する情報をテーブルで表示し、前記第1部品または前記第2部品が接続されていない状態を空欄で表示する、
ことを特徴とする請求項
10乃至
18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
生産設備が動作して物品の製造を行う動作工程と、
請求項1乃至
19のいずれか1項に記載のシステムを用いて、
前記動作工程における前記生産設備の状態
に係る情報を
コンピュータが取得する取得工程と、を行う
ことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項21】
システムの制御方法であって、前記システムは、コネクタを有する装置を備え、
前記コネクタに第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作させ、
前記コネクタに第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作さ
せ、
前記コネクタに部品が接続されていない場合は、リピータ装置として動作させる、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項22】
コネクタを備え、
前記コネクタに第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作可能であり、
前記コネクタに第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作可能であ
り、
前記コネクタに部品が接続されていない場合は、リピータ装置として動作可能である、
ことを特徴とする装置。
【請求項23】
コントローラと、コネクタと、を有するマスター回路基板を有する装置であって、
前記コントローラは、
前記コネクタに第1部品または第2部品が接続されているか否かの判定を行う接続判定ステップと、
前記接続判定ステップにおいて接続が判定された部品が前記第1部品および前記第2部品かを識別する識別ステップと、
前記マスター回路基板にあらかじめ記憶された情報と、前記第1部品および前記第2部品のうち前記識別ステップにおいて識別された部品にあらかじめ記憶された情報と、を照合して前記装置があらかじめ設定された動作を実行可能かを判定する実行判定ステップと、
前記あらかじめ設定された動作を実行する実行ステップと、を行い、
前記実行判定ステップにおいて前記装置がノード装置としての動作を実行可能であると判定された場合に、前記実行ステップにおいて前記装置をノード装置として動作させ、
前記実行判定ステップにおいて前記装置がゲートウェイ装置としての動作を実行可能であると判定された場合に、前記実行ステップにおいて前記装置をゲートウェイ装置として動作させる、
ことを特徴とする装置。
【請求項24】
第1コネクタと第2コネクタとが設けられたマスター回路基板を備え、
前記第1コネクタに第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作可能であり、
前記第2コネクタに第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作可能である、
ことを特徴とする装置。
【請求項25】
コネクタを備えた装置の制御方法であって、
前記コネクタに第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作させ、
前記コネクタに第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作さ
せ、
前記コネクタに部品が接続されていない場合は、リピータ装置として動作させる、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項26】
コントローラと、コネクタを有するマスター回路基板を有する装置の制御方法であって、
前記コントローラは、
前記コネクタに第1部品または第2部品が接続されているか否かの判定を行う接続判定ステップと、
前記接続判定ステップにおいて接続が判定された部品が前記第1部品および前記第2部品かを識別する識別ステップと、
前記マスター回路基板にあらかじめ記憶された情報と、前記第1部品および前記第2部品のうち前記識別ステップにおいて識別された部品にあらかじめ記憶された情報と、を照合して装置があらかじめ設定された動作を実行可能かを判定する実行判定ステップと、
前記あらかじめ設定された動作を実行する実行ステップと、を行い、
前記実行判定ステップにおいて前記装置がノード装置としての動作を実行可能であると判定された場合に、前記実行ステップにおいて前記装置をノード装置として動作させ、
前記実行判定ステップにおいて前記装置がゲートウェイ装置としての動作を実行可能であると判定された場合に、前記実行ステップにおいて前記装置をゲートウェイ装置として動作させる、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項27】
請求項
21、25、および26のいずれか1項に記載の制御方法をコンピュータにより実行可能な制御プログラム。
【請求項28】
請求項
27に記載の制御プログラムを格納した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械装置をはじめとする設備に取付けられたセンサから、信号を取得して当該設備の状態を取得するシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
機械装置をはじめとする設備では、構成部品の状態変化等により動作状態が時々刻々と変化し得る。その機械装置の使用目的に照らして動作状態が許容範囲内の場合を正常状態、許容範囲外の場合を故障状態と呼ぶとすれば、例えば生産機械であれば、故障状態になると不良品を製造したり、生産ラインを停止させるなどの不具合を発生させてしまうことになる。
【0003】
そこで、故障状態をなるべく発生させないようにするため、予防安全として保守作業を実施するのが一般的である。予防安全性を高くするには、保守作業の実施インターバルを短くするのが有効だが、保守作業中は設備を停止させるため、保守作業の頻度を過度に高めると設備の稼働率が低下してしまう。そこで、保守作業を適時に実施できるようにするため、設備にセンサを取り付け、センサから信号を取得して当該設備の状態を取得できるようにするシステムが知られている。
【0004】
一般に、設備に取付けられたセンサとシステムのコンピュータとは離間しており、センサからの信号をコンピュータに直接入力させるのは困難である。そのため、上記のようなシステムでは、センサからの信号をデータ送信するノード装置と、ノード装置からのデータ信号を受信してコンピュータと接続するネットワークにアップロードするゲートウェイ装置とが用いられる。さらに、ノード装置とゲートウェイ装置の間の通信を安定化させたり、通信可能距離を拡大するため、ノード装置からのデータ信号を中継してゲートウェイ装置に送信するリピータ装置を合わせて用いる場合もある。
【0005】
特許文献1には、センサーボード、マイコンボード、通信ボード等を備え、測定目的に応じてこれらのボードを取り換え可能なノード装置が開示されている。尚、特許文献1では、ノード装置をセンサ装置セットと呼んでいる。特許文献1に記載されたノード装置では、例えば、使用するセンサの機種を変更する場合には、新たなセンサに適合した別のセンサーボードに換装する。また、各々が異なる通信規格に準拠した複数の通信ボードを予め準備しておき、通信ボードを適宜換装することにより、所望の通信規格に準じた通信を行うことができる。このように、仕様が異なるボードを準備しておいて適宜に換装することで、ノード装置としての仕様を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したシステムでは、状態を取得する対象となる設備の改変や増設などに応じて、システムの規模や構成要素の配置を変更する必要が生じる場合がある。また、状態を取得する対象である設備には変更が無くても、保守作業等が変わる場合等は、システムが備えるセンサの数や種類、配置などを変更する必要が生じる場合がある。こうした場合には、システムを構成するノード装置、ゲートウェイ装置、リピータ装置の台数や配置を変更する必要が生じる。
【0008】
その一方で、従来のシステムでは、ノード機能を担うノード装置、ゲートウェイ機能を担うゲートウェイ装置、リピータ機能を担うリピータ装置の各々は、その機能を担う専用装置として構成されていた。
【0009】
このため、例えば、システムを構成する各種装置の総台数はそのままで構成比率を変更する必要が生じた場合には、ノード装置は余るがゲートウェイ装置は不足する等の不都合が生じていた。システムの改変に備えて予め各種の専用装置を多数準備しておくとすれば、調達コストや保管スペースが増大するという課題が生じていた。
【0010】
尚、特許文献1に記載されたセンサ装置セットは、ボード交換によりセンサの機種や通信方式を変更できる点で、ノード装置としての枠内で汎用性を向上させるのには寄与するが、あくまでノード装置という範疇での汎用性向上である。このため、ノード装置以外の装置も含めたシステムにおいて生じる上述の課題には、特許文献1の解決方法では対処できなかった。
【0011】
そこで、過大なコストや保管スペースを要することなく、規模やレイアウトを容易に変更することが可能なシステム、およびそれを構成するためのノード装置、ゲートウェイ装置、リピータ装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、システムであって、コネクタを有する装置を備え、前記コネクタに第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作可能であり、前記コネクタに第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作可能であり、前記コネクタに部品が接続されていない場合は、リピータ装置として動作可能である、ことを特徴とするシステムである。
【0013】
また、本発明の第2の態様は、コネクタを備え、前記コネクタに第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作可能であり、前記コネクタに第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作可能であり、前記コネクタに部品が接続されていない場合は、リピータ装置として動作可能である、ことを特徴とする装置である。
【0014】
また、本発明の第3の態様は、コネクタを備えた装置の制御方法であって、前記コネクタに第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作させ、前記コネクタに第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作させ、前記コネクタに部品が接続されていない場合は、リピータ装置として動作させる、ことを特徴とする制御方法である。
【0015】
また、本発明の第4の態様は、システムの制御方法であって、前記システムは、コネクタを有する装置を備え、前記コネクタに第1部品が接続された場合は、ノード装置として動作させ、前記コネクタに第2部品が接続された場合は、ゲートウェイ装置として動作させ、前記コネクタに部品が接続されていない場合は、リピータ装置として動作させる、ことを特徴とする制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、過大なコストや保管スペースを要することなく、規模やレイアウトを容易に変更可能なシステム、およびそれを構成するためのノード装置、ゲートウェイ装置、リピータ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】(a)実施形態に係るベース装置の外観図。(b)実施形態に係るベース装置の分解図。
【
図3】(a)実施形態に係るマスター回路基板の外観図。(b)実施形態に係るマスター回路基板のブロック図。
【
図5】(a)実施形態に係るマスター回路基板を開口部側から見た平面図。(b)実施形態に係るマスター回路基板を底板側から見た平面図。(c)実施形態に係るセンサ入力基板を開口部側から見た平面図。(d)実施形態に係るセンサ入力基板を底板側から見た平面図。
【
図6】(a)実施形態に係るノード装置の外観図。(b)実施形態に係るノード装置の分解図。
【
図7】実施形態に係るマスター回路基板とセンサ入力基板の外観図。
【
図9】(a)実施形態に係るセンサ入力基板のAD変換器の設定情報。(b)実施形態に係るマスター回路基板のCPUが行う制御動作を示す表。
【
図11】実施形態に係る動作制御方法のフローチャート。
【
図12】(a)実施形態に係るゲートウェイ装置の外観図。(b)実施形態に係るゲートウェイ装置の分解図。
【
図13】実施形態に係るマスター回路基板とネットワーク基板の外観図。
【
図14】実施形態に係るゲートウェイ装置のブロック図。
【
図15】実施形態に係るネットワーク基板のイーサネットコントローラの情報。
【
図16】(a)実施形態に係るリピータ装置の外観図。(b)実施形態に係るリピータ装置の分解図。
【
図17】実施形態に係るマスター回路基板とリピータ用基板の外観図。
【
図18】実施形態に係るリピータ装置のブロック図。
【
図19】(a)実施形態に係る多機能装置の外観図。(b)実施形態に係る多機能装置の分解図。
【
図20】実施形態に係るマスター回路基板とセンサ入力基板とネットワーク基板の外観図。
【
図22】実施形態に係るシステムにおけるコンピュータ画面の例。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して、本発明の実施形態であるシステム、およびそれを構成するためのベース装置、ノード装置、ゲートウェイ装置、リピータ装置などについて説明する。
尚、以下の実施形態の説明において参照する図面では、特に但し書きがない限り、同一の参照番号を付して示す要素は、同一又は類似の機能を有するものとする。
【0020】
[システム]
図1は、実施形態としての、設備の状態を取得し、もって設備監視等を行うシステムを説明するための模式図である。対象である生産設備101は、物品を製造するために用いられる設備であればよく、特にその種類は限定されない。例えば、ロボット装置、成膜装置、三次元造形装置、切削加工装置、金型装置、加熱炉、反応炉などの様々な設備が対象としての生産設備101になり得る。
【0021】
生産設備101の状態に係る物理量を計測するために、センサ102とセンサ103が設けられている。尚、センサの数は2個に限られるわけではなく、3個以上でもよい。センサの種類は、生産設備101の種類に応じて適宜選択されるが、例えば振動センサ、加速度センサ、圧力センサ、光センサ、トルクセンサ、温度センサなどのように、計測した物理量をアナログあるいはデジタルの信号として出力可能なセンサが用いられる。尚、センサは、予め生産設備101に装備されていたセンサでもよいし、システムを構築するためにノード装置104とともに追加的に装着されたセンサでもよい。
【0022】
ノード装置104は、センサ配線113を介してセンサ102及びセンサ103と接続されており、センサ102及びセンサ103の計測結果をデジタルな計測データとして、第1の通信部109を用いてゲートウェイ装置105に送信する。尚、生産設備に付帯して配置されるノード装置は一台に限られるわけではなく、例えばセンサの数に応じて同じ生産設備に複数のノード装置を設けてもよい。
【0023】
ノード装置104が備える第1の通信部109は、ゲートウェイ装置105が備える第2の通信部110と通信可能であり、例えばLPWA(Low Power Wide Area)や無線LANが用いられる。
【0024】
実施形態のシステムでは、ノード装置104が、ゲートウェイ装置105から遠距離に配置されたり、通信電波の伝搬が阻害される環境に設置された場合には、通信を中継するためのリピータ装置111が配置される。リピータ装置111は、ノード装置104とゲートウェイ装置105の間に配置され、第3の通信部112を備える。第3の通信部112は、第1の通信部109が送信した信号を受信すると、受信した信号よりも強度の強い電波に換えて信号を送信し、通信を中継する。尚、リピータ装置111は一台に限られるわけではなく、通信距離や通信環境に応じて必要な台数を配置することができる。
【0025】
ゲートウェイ装置105は、ノード装置104からセンサの計測データを収集して、システムが備える記憶部107に格納する。そのため、ゲートウェイ装置105は、ノード装置104と通信するための第2の通信部110と、記憶部107が接続されたネットワーク106と接続するための第4の通信部114(例えばI/Oポート等のネットワークインターフェース)を備えている。
【0026】
ネットワーク106は、例えば生産設備101が稼働する工場内に敷設された専用のローカルエリアネットワーク(LAN)でもよいし、いわゆるインターネットのように広域のネットワークでもよい。
ネットワーク106に接続された記憶部107は、HDD、SSD、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等の記憶装置であり、その記憶領域には、計測データを蓄積するデータベースが構築される。
また、ネットワーク106にはコンピュータ108が接続されており、コンピュータ108は、システムの動作を制御するソフトウェアが実装された制御装置である。
【0027】
例えば、ゲートウェイ装置105がノード装置104からセンサの計測データを受信した際には、コンピュータ108にデータ受信通知を送るとともに、計測データを記憶部107に格納する。コンピュータ108は、ゲートウェイ装置105からデータ受信通知を受け取ると、計測データを分析するプログラムを起動して、記憶部107に格納された計測データを処理して生産設備101の状態を分析する。そして、コンピュータ108は、生産設備101の状態に係る情報(例えば異常の有無)を、電子メールの送信、表示部への表示、アラートの発信などの通知手段を用いて管理者に伝達する。もちろん、これは一例であり、システムの動作は適宜に設定すればよい。例えば、コンピュータ108は記憶部107から計測データを読み出して表示する処理だけを行い、管理者が計測データに基づいて生産設備101の状態を分析するようにしてもよい。
【0028】
次に、本実施形態のシステムの構成要素であるノード装置104、ゲートウェイ装置105、リピータ装置111についてさらに詳しく説明する。
これら3つの装置は、同一仕様のベース装置に、電気回路が実装された部品(例えば、各装置を構成するための専用のプリント回路板)を装着することにより構成されている。同一仕様のベース装置には、電気回路が実装された部品を着脱可能に電気的に接続するコネクタと、処理部としてのCPU、および通信器が実装されている。尚、電気回路が実装された部品とは、典型的にはプリント回路板であるが、板ではない任意の形状の基体に電気回路が実装された部品でもよい。
【0029】
ベース装置のコネクタに、ノード装置専用の電気回路が実装された第1の部品(以下、第1の部品と記す)のみが装着された場合には、ベース装置と第1の部品によりノード装置104が構成される。
また、ベース装置のコネクタに、ゲートウェイ装置専用の電気回路が実装された第2の部品(以下、第2の部品と記す)のみが装着された場合には、ベース装置と第2の部品によりゲートウェイ装置105が構成される。
【0030】
また、ベース装置のコネクタに第1の部品と第2の部品の両方が装着された場合には、ノード装置104としてもゲートウェイ装置105としても動作可能な多機能装置が構成される。当該多機能装置の第1の部品にセンサが接続された場合には、当該多機能装置はノード装置104として動作し、当該多機能装置の第2の部品にネットワークが接続された場合には、当該多機能装置はゲートウェイ装置105として動作する。
【0031】
また、ベース装置のコネクタに、リピータ装置専用の電気回路が実装された第3の部品(以下、第3の部品と記す)が装着された場合には、ベース装置と第3の部品によりリピータ装置111が構成される。
【0032】
本実施形態によれば、ベース装置に、第1の部品または第2の部品または第3の部品を装着するだけで、ノード装置またはゲートウェイ装置またはリピータ装置を容易に構成することができる。したがって、設備の管理者やユーザは、同一仕様の複数のベース装置と、第1の部品、第2の部品、第3の部品を準備しておくことにより、簡単にシステムを構築したり改変することができるので、柔軟にシステムを運用することができる。ノード、ゲートウェイ、リピータの各専用装置を用いて構築していた従来のシステムに比べ、実施形態のシステムは、規模やレイアウトを容易に変更することが可能で、過大なコストや保管スペースを要することがない。
【0033】
[ベース装置]
次に、ベース装置について詳しく説明する。
図2(a)はベース装置200の外観図であり、
図2(b)はベース装置200の内部構成を説明するための分解図である。
図2(a)に示すように、ベース装置200は、底板208、カバー207、蓋206、通信器203、電源部205、マスター回路基板201を備えている。
底板208、カバー207、蓋206は、ベース装置200の筐体を構成している。
【0034】
カバー207は底板208に対して着脱可能に固定されている。電気部品が実装された部品(例えばプリント回路板)をベース装置200の内部に装着する際に、カバー207が着脱できれば部品の装着作業が容易になるからである。
また、蓋206は、カバー207の開口部209に装着されるが、着脱可能である。蓋206を取り外せば、開口部209を配線を通す経路として用いることができる。例えばベース装置を用いてノード装置を構成する際には、蓋206は取り外され、開口部209はセンサ配線を通す経路として用いられる。一方、ベース装置を用いてリピータ装置を構成する場合や、ベース装置を保管する場合のように、開口部209を開放する必要がない時には、蓋206を取り付けて、ベース装置200内部への湿気やダスト等の侵入を防止する。
【0035】
電源部205は、ベース装置を用いてノード装置104、ゲートウェイ装置105、リピータ装置111、あるいは後述する多機能装置600を構成する場合に、電源となる部分である。電源部205は、電池あるいは充電可能な蓄電池を装着する方式でもよいし、ACアダプタのように外部電源線に接続する方式でもよいが、汎用性を確保するためにその両方を備えていてもよい。
【0036】
通信器203は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)や無線LANとして動作する無線通信端末である。ベース装置200を用いてノード装置104を構成する場合には、通信器203はノード装置104の第1の通信部109(
図1)として動作する。ベース装置200を用いてゲートウェイ装置105を構成する場合には、通信器203はゲートウェイ装置105の第2の通信部110として動作する。ベース装置200を用いてリピータ装置111を構成する場合には、通信器203はリピータ装置111の第3の通信部112として動作する。
【0037】
また、
図2(b)に示すように、ベース装置200は、筐体内部に実装されたマスター回路基板201を備えている。マスター回路基板201は、底板208に固定された電気回路基板である。
図3(a)はマスター回路基板201の外観を示す外観図で、
図3(b)はマスター回路基板201の構成を説明するためのブロック図である。
【0038】
マスター回路基板201は、コネクタ202、CPU204、トリガー部210、メモリ211、表示部212を備えており、マスター回路基板201には電源部205および通信器203が接続されている。
【0039】
コネクタ202は、マスター回路基板201の電気回路と、第1の部品、あるいは第2の部品、あるいは第3の部品に実装された電気回路とを着脱自在に接続するためのコネクタである。
CPU204は、ベース装置200を制御するコンピュータである。CPU204は、コネクタ202に装着された電気回路の種類を判別し、装着された電気回路の種類に応じて異なる制御をするようにプログラムされている。
【0040】
例えば、第1の部品であるセンサ入力基板(センサ入力回路)のみがコネクタ202に装着された場合には、センサ入力基板と協働してベース装置200がノード装置104として動作するようにCPU204はプログラムされている。
【0041】
また、第2の部品であるネットワーク基板のみがコネクタ202に装着された場合には、ネットワーク基板と協働してベース装置200がゲートウェイ装置105として動作するようにCPU204はプログラムされている。
【0042】
また、センサ入力基板とネットワーク基板の両方がコネクタ202に装着された場合には、これらの基板のうち一方の基板との協働を優先するようにCPU204はプログラムされている。例えば、センサ入力基板にセンサが接続されている場合には、センサ入力基板と協働してベース装置200がノード装置104として動作するようにCPU204はプログラムされている。逆に、ネットワーク基板にネットワークが接続されている場合には、ネットワーク基板と協働してベース装置200がゲートウェイ装置105として動作するようにCPU204はプログラムされている。
【0043】
また、第3の部品であるリピータ用基板のみがコネクタ202に装着された場合には、ベース装置200がリピータ装置111として動作するようにCPU204はプログラムされている。
【0044】
図10は、ベース装置200が取り得る状態を示した状態遷移図である。ベース装置200は、部品が装着される前の初期状態(ST1)、ノード装置として動作するノード状態(ST2)、ゲートウェイ装置として動作するゲートウェイ状態(ST3)、リピータ装置として動作するリピータ状態(ST4)、を取り得る。また、ST2~ST4のいずれかの動作終了後に相手基板がコネクタから取り外されたり、初期状態(ST1)において設定情報の誤りや通信器203等に不具合が発見された場合には、終了状態(ST5)に移行する。
【0045】
図11は、CPU204が実行する処理の流れを示すフローチャートであるが、その内容については、後にノード装置、ゲートウェイ装置、リピータ装置についての説明の中で、詳細に述べる。
【0046】
図3(b)に戻り、マスター回路基板201のトリガー部210は、例えばタイマーのように、所定の動作を開始する起因となるトリガーイベントを発生させる機能ブロックである。トリガー部210は、例えばASICのようにハードウエアで構成してもよいが、CPU204を動作させるプログラムとしてソフトウェアで構成してもよい。
【0047】
メモリ211は記憶装置であり、CPU204の動作プログラムを記憶したROM(コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体)と、データ処理等に用いるRAMとを含んでいる。
【0048】
表示部212は、装置の動作状態をオペレータに示すための表示装置であり、例えばLEDランプを用いたインジケータや、LCDデバイス、OLEDデバイスなどを用いることができる。表示部212は、マスター回路基板201上の、筐体の開口部209を通して視認できる位置に配置する。あるいは、
図4に示すように、カバー207に視認用の窓WDを設けておき、窓WDから見える位置に表示部212を配置してもよい。尚、表示部212は、必ずしもマスター回路基板201上に実装しなくてもよく、例えばベース装置200の筐体に外装して、マスター回路基板201から表示用の信号線を配線しておいてもよい。
【0049】
ところで、ベース装置200を用いてノード装置104を構成した場合には、当該ノード装置104は測定対象である生産設備101の近傍に設置されるが、湿度が高かったりダスト等の汚染源が多く存在する環境に置かれる可能性がある。しかも、センサへの配線経路を確保するため、蓋206が取り外されて開口部209が開放される場合がある。そこで、マスター回路基板201には、結露やダストの付着等による絶縁破壊や腐食を防止するための保護膜を設けるのが望ましい。
【0050】
図5(a)はマスター回路基板201を開口部209側から見た平面図、
図5(b)はマスター回路基板201を底板208側から見た平面図である。図示のように、コネクタ202等の着脱式の電気接点が配置された領域を除いて、マスター回路基板201は保護膜217により被覆されている。保護膜217は、プリント配線板のレジスト膜とは別に設けられており、プリント配線板に部品を実装した後に、シリコン樹脂といった防湿性・絶縁性に優れた材料を被覆して形成されたものである。
【0051】
以上説明した実施形態のベース装置は、内蔵するコネクタに、電気回路が実装された部品を装着するだけで、容易にノード装置またはゲートウェイ装置またはリピータ装置を構成することができる。設備の管理者やユーザは、複数のベース装置を準備しておくことにより、簡単にシステムを構築したり改変することができ、柔軟にシステムを運用することができる。
【0052】
例えば、システムを構成するノード装置、ゲートウェイ装置、リピータ装置の総台数は変えずに台数比率を変更する場合に、従来のように専用装置を用いていた場合には、余る種類や不足する種類が生じていた。本実施形態のベース装置を用いれば、内蔵するコネクタに装着する基板を取り換えるだけで、簡単に別種の装置を構成することが可能である。
【0053】
また、本実施形態のベース装置は、着脱可能な蓋を備えるため、ノード装置やゲートウェイ装置を構成して稼働する際に、蓋を外して外部から容易に配線等を導入することができる。一方、リピータ装置を構成したりベース装置として保管する際には、蓋を閉めることにより、湿気やダスト等の汚染から装置内部を保護することができる。
【0054】
また、本実施形態のベース装置は、内蔵するマスター回路基板に、結露やダスト等の付着による絶縁破壊や腐食を防止するための保護膜が設けられているため、ノード装置やゲートウェイ装置を構成するために使用される場合にも、高い信頼性を発揮する。
【0055】
次に、ベース装置200のコネクタ202に、部品(例えばプリント基版に専用回路が実装された専用回路板)を接続して、ノード装置104、あるいはゲートウェイ装置105、あるいはリピータ装置111、等を構成した例について具体的に説明する。
【0056】
[ノード装置]
図6(a)は、システム用のノード装置104の外観図であり、
図6(b)はノード装置104の内部構成を説明するための分解図である。ベース装置に、ノード装置専用の電気回路が実装されたセンサ入力基板(第1の部品)が装着されて、ノード装置104が構成されている。ノード装置104は、センサから計測データを取得し、通信器203(第1の通信部109:
図1)を用いて計測データを送信する。
【0057】
図6(a)に示すように、ノード装置104の外観は、ベース装置200から蓋206を取り外して開口部209を露出させた状態と同様である。開口部209を経由して、センサ配線113がノード装置104の筐体内部に導入されている。
図6(b)に示すように、ノード装置104には、ベース装置200の構成要素に加えてセンサ入力基板301が装着されている。
【0058】
図7は、センサ入力基板301とマスター回路基板201の外観を示す図である。センサ入力基板301の下面にはコネクタ302が設けられている。コネクタ302は、マスター回路基板201のコネクタ202と着脱自在に接続可能であり、接続することによりセンサ入力基板301の電気回路とマスター回路基板201の電気回路とが接続される。接続により、マスター回路基板201からセンサ入力基板301に電源電圧(例えば、増幅器、AD変換部、メモリ等の駆動に必要な5Vと3.3V)が供給されるとともに、両基板間で信号の授受が可能となる。尚、マスター回路基板201からセンサ入力基板301に単一の電源電圧(例えば5V)を供給し、センサ入力基板301が備える変圧器(例えばDC/DCコンバータ)により必要な各種電圧を生成するように構成してもよい。
【0059】
尚、マスター回路基板201のコネクタ202の端子のうち、一部端子のみがセンサ入力基板301のコネクタ302と接続可能になるよう配置されている。コネクタ202の他の端子は、後述するようにネットワーク基板が備えるコネクタと接続可能な別の位置に配置されている。すなわち、コネクタ202においてはセンサ入力基板用の端子とネットワーク基板用の端子が別の位置に配置されており、センサ入力基板とネットワーク基板を同時に接続しても機械的・電気的な干渉が生じない構造となっている。
【0060】
センサ入力基板301の上面には、コネクタ303が設けられている。コネクタ303は、センサと接続するセンサ配線113を、センサ入力基板301に着脱自在に接続するためのコネクタ(センサ入力端子)である。センサ配線113をセンサ入力基板301に接続することにより、センサ入力基板301からセンサにセンサ駆動電力を供給したり、センサから計測信号を受信することが可能となる。
【0061】
センサ入力基板301には、結露やダストの付着等による絶縁破壊や腐食を防止するための保護膜を設けるのが望ましい。前述したように、ノード装置104は測定対象である生産設備101の近傍に設置されるため、湿度が高かったりダスト等の汚染源が多い環境下に置かれる可能性があるからである。
【0062】
図5(c)はセンサ入力基板301を開口部209側から見た平面図、
図5(d)はセンサ入力基板301をマスター回路基板201側から見た平面図である。図示のように、コネクタ302、コネクタ303等の着脱式の電気接点が配置された領域を除いて、センサ入力基板301は保護膜317により被覆されている。保護膜317は、プリント配線板のレジスト膜とは別に設けられており、プリント配線板に部品を実装した後に、シリコン樹脂といった防湿性・絶縁性に優れた材料を被覆して形成されたものである。
【0063】
図8は、ノード装置104の回路構成を説明するためのブロック図である。ノード装置104内において、センサ入力基板301とマスター回路基板201は、各々が備えるコネクタ302とコネクタ202を介して接続されている。
【0064】
センサ入力基板301は、増幅器305、AD変換器307、ROM306を備えている。ROM306には、当該基板がセンサ入力基板であることを示す識別情報が記憶されている。マスター回路基板201のCPU204は、コネクタ202に基板が装着されたことを検知すると、ROM306から識別情報を読み出すことにより、装着されたのがセンサ入力基板301であることを認識する。
すると、CPU204は、ノード装置として動作するための制御プログラムを起動して、ノード装置としての動作制御を開始する。表示部212には、ノード装置として動作していることが表示される。
【0065】
センサ入力基板301のROM306には、前述した基板識別情報の他に、増幅器305やAD変換器307の動作設定に係る情報が記憶されている。
図9(a)に、AD変換器307の動作設定に係る情報の一例を示す。この例では、601欄にAD変換器の機種情報として型式とロット番号が記載され、602欄に入力条件として周波数設定範囲、入力電圧レンジ、測定点数が記載されている。マスター回路基板201のCPU204は、ROM306から設定情報を読み出し、センサ入力基板301に接続されたセンサの種類や測定目的に応じて、増幅器305やAD変換器307の動作を設定したり変更することができる。
【0066】
増幅器305は、センサ配線113及びコネクタ303を介してセンサ102及びセンサ103から入力されるアナログ計測信号を増幅する回路である。例えば、センサ102が振動センサで、センサ103が圧力センサである場合には、各センサのアナログ出力信号をAD変換器307の入力条件に合わせるために、増幅器305はセンサ毎にアナログ計測信号を適宜の増幅率で増幅する。
【0067】
AD変換器307は、増幅されたアナログ計測信号をデジタル信号に変換する。アナログ計測信号の周波数特性や測定目的に応じて、適宜のサンプリングレート、測定点数でAD変換を行う。
【0068】
図9(b)は、マスター回路基板201のコネクタ202に各種の専用回路板が装着された際に、CPU204が実行する制御動作を例示する表である。制御動作の内容は、制御プログラムとして、マスター回路基板201のメモリ211に記憶されている。
【0069】
この場合には、センサ入力基板301が装着されているので、801欄にて対応するのはセンサ入力基板であり、それに対応する横列の802欄~805欄には、ノード装置として動作する際の制御動作が規定されている。
【0070】
例えば、802欄にはイベント条件が記載されているが、ノード装置104がこのイベント条件に従い計測とデータ送信を実行するように、マスター回路基板201のトリガー部210は60分間隔でトリガー信号を発生する。803欄には入力条件が記載されているが、ノード装置104は、この条件に従いセンサからの計測信号を取り込む。また、804欄には処理条件が記載されているが、ノード装置104は、この条件に従い計測信号を処理する。805欄には出力条件が記載されているが、ノード装置104は、これに従い通信器203を用いて計測データを無線送信する。
【0071】
次に、
図11のフローチャートを参照して、マスター回路基板201のCPU204が実行する処理について説明する。電源が投入されると、CPU204は、マスター回路基板201のコネクタ202に、回路板が接続されているか否かの判定を開始する(ステップS1)。回路板の接続が検出された場合には、接続された回路板のROMにアクセスして回路板の種類に係る情報を読み出し、回路板の種類を判定するステップS2、ステップS22、ステップS32、・・・を実行してゆく。
【0072】
コネクタ202に接続された基板がセンサ入力基板であると識別された場合(ステップS2:YES)には、ステップS13に移行する。ステップS13では、マスター回路基板201のメモリ211と、センサ入力基板301のROM306にアクセスして、各々から設定情報を取得する。そして、ステップS14にて、メモリ211に記憶されたノード装置としての動作設定と、ROM306に記憶されたセンサ入力基板の基本設定とを比較し、接続されたセンサ入力基板でノード装置としての動作設定を実行可能か否かを確認する。
【0073】
接続されたセンサ入力基板では、設定された動作を実行不可能であると判定した場合(ステップS14:NO)には、ステップS51に移行し、例えば表示部212や通信器203を用いて、実行不可である旨の通知を操作者に伝達する。通信器203を用いる場合には、
図1に示すゲートウェイ装置105を経由して、システムの動作を統括するコンピュータ108に通知が伝達される。その後、ステップS52に移行し、動作を終了する。
【0074】
接続されたセンサ入力基板により、設定された動作を実行可能であると判定した場合(ステップS14:YES)には、ステップS15に移行し、
図9(b)を参照して内容を説明した動作プログラムの実行を開始する。すなわち、ステップS16に移行し、イベント条件が成立してイベントが発生したか否かを判定する。
イベント条件が成立した旨の通知(例えば割り込み通知)をトリガー部210から受信していない場合(ステップS16:NO)には、ステップS16を繰り返してイベントの発生を待つ。
【0075】
イベント条件が成立した旨の通知(例えば割り込み通知)をトリガー部210から受信した場合(ステップS16:YES)には、ステップS17に移行して、
図9(b)の803欄に記載された入力条件に従って、測定データを取得する。すなわち、センサから出力された計測信号を増幅器305により増幅した後、AD変換器307にてデジタル化し、メモリ211内のRAMに記憶する。
【0076】
そして、ステップS18に移行して、デジタル化された計測データに対して、
図9(b)の804欄に記載された処理条件に従ってデータ処理を行い、送信用データを作成する。送信用データは、メモリ211内のRAMに一旦記憶してもよい。
次に、ステップS19に移行して、
図9(b)の805欄に記載された出力条件に従って、通信器203を用いて送信用データを無線送信する。センサからの計測信号の入力から、無線送信までの一連の処理が完了すると、ステップS16に戻り、次のトリガーイベントの発生を待つ。
【0077】
以上、実施形態のノード装置について説明したが、これは一例にすぎず、装置の構成や制御方法は適宜変更することができる。例えば、接続されるセンサがアナログ出力ではなくデジタル出力の場合には、センサ入力基板には増幅器やAD変換器の代わりにデジタル信号用のバッファを設ければよい。
【0078】
本実施形態のノード装置は、ベース装置にセンサ入力基板を装着するだけで容易に構成することができる。システムの管理者やユーザは、複数のベース装置と複数のセンサ入力基板を準備しておけば、システムに設置するノード装置の台数を容易に変更することができる。また、本実施形態のノード装置は、センサ入力基板を取り外せばベース装置に戻るので、ゲートウェイ装置やリピータ装置に転用するのが容易である。また、保管する際には、蓋を閉めておくことにより、湿気やダストから装置内部を保護することができる。
【0079】
[ゲートウェイ装置]
図12(a)は、システム用のゲートウェイ装置105の外観図であり、
図12(b)はゲートウェイ装置105の内部構成を説明するための分解図である。ベース装置に、ゲートウェイ装置専用の電気回路が実装されたネットワーク基板(第2の部品)が装着されて、ゲートウェイ装置105が構成されている。
【0080】
ゲートウェイ装置105は、通信器203(第2の通信部110:
図1)を用いてノード装置との間で無線通信を行い(リピータ装置により中継される場合も含む)、計測データをノード装置から受信する。そして、ゲートウェイ装置105は、ネットワークインターフェース(第4の通信部114:
図1)を用いてネットワーク106にアクセスし、ノード装置から受信した計測データを、システムが備える記憶部107に格納する。
【0081】
図12(a)に示すように、ゲートウェイ装置105の外観は、ベース装置200から蓋206を取り外して開口部209を露出させた状態と同様である。開口部209を経由して、ネットワーク106と繋がるネットワーク接続線116(例えばLANケーブル)が、ゲートウェイ装置105の筐体内部に導入されている。
図12(b)に示すように、ゲートウェイ装置105には、ベース装置200の構成要素に加えてネットワーク基板401が装着されている。
【0082】
図13は、ネットワーク基板401とマスター回路基板201の外観図である。ネットワーク基板401の下面にはコネクタ402が設けられている。コネクタ402は、マスター回路基板201のコネクタ202と着脱自在に接続可能であり、接続することによりネットワーク基板401の電気回路とマスター回路基板201の電気回路とが接続される。接続により、マスター回路基板201からネットワーク基板401に電源電圧が供給されるとともに、両基板間で信号の授受が可能となる。尚、ネットワーク基板401は、例えばPoE(Power Over Ethernet)を介してネットワークから給電を受けるように構成してもよい。
【0083】
尚、マスター回路基板201のコネクタ202の端子のうち、一部端子のみがネットワーク基板401のコネクタ402と接続可能になるよう配置されている。コネクタ202の他の端子は、前述したようにセンサ入力基板が備えるコネクタと接続可能な別の位置に配置されている。すなわち、コネクタ202においてはセンサ入力基板用の端子とネットワーク基板用の端子が別の位置に配置されており、センサ入力基板とネットワーク基板を同時に接続しても機械的・電気的な干渉が生じない構造となっている。
【0084】
ネットワーク基板401の上面には、I/Oポート403が設けられている。I/Oポート403は、ネットワーク106と繋がるネットワーク接続線116(例えばLANケーブル)を、ネットワーク基板401に着脱自在に接続するためのコネクタ(ネットワーク接続端子)である。ネットワーク接続線116をネットワーク基板401に接続することにより、ネットワーク基板401からネットワーク106にアクセスして、記憶部107にデータを格納することが可能となる。尚、後述するように、ネットワーク基板401の上にセンサ入力基板301を重ねて、マスター回路基板201の上に実装する場合もある。その場合でも、センサ入力基板301と干渉せずにネットワーク接続線116を接続できるように、I/Oポート403はネットワーク基板401の縁部に配置されている。
【0085】
図14は、ゲートウェイ装置105の回路構成を説明するためのブロック図である。ゲートウェイ装置105内において、ネットワーク基板401とマスター回路基板201は、各々が備えるコネクタ402とコネクタ202を介して接続されている。
ネットワーク基板401は、I/Oポート403、イーサネットコントローラ407、ROM406を備えている。イーサネットコントローラ407は、イーサネット通信を制御する集積回路であり、ゲートウェイ装置105がネットワーク106にアクセスすることを可能にする。
【0086】
ROM406には、当該基板がネットワーク基板であることを示す識別情報が記憶されている。マスター回路基板201のCPU204は、コネクタ202に基板が装着されたことを検知すると、ROM406から識別情報を読み出すことにより、装着されたのがネットワーク基板401であることを認識する。
すると、CPU204は、ゲートウェイ装置として動作するための制御プログラムを起動して、ゲートウェイ装置としての動作制御を開始する。表示部212には、ゲートウェイ装置として動作していることが表示される。
【0087】
ネットワーク基板401のROM406には、前述した基板識別情報の他に、イーサネットコントローラ407の型式や変更可能な設定項目とその範囲の情報が書き込まれている。尚、ROM406は、イーサネットコントローラ407の内部に組み込まれていてもよい。
【0088】
図15に、ROM406に書き込まれたイーサネットコントローラ407に係る情報の一例を示す。この例では、701欄にイーサネットコントローラの機種情報として型式とロット番号が記載され、702欄に出力条件として通信プロトコルが記載されている。マスター回路基板201のCPU204はROM406から情報を読み出し、イーサネットコントローラ407の動作を設定したり変更することができる。
【0089】
図9(b)を参照して、マスター回路基板201のCPU204が実行する制御動作の内容を示す。この内容は、制御プログラムとして、メモリ211に記憶されている。
この場合には、ネットワーク基板401が装着されているので、801欄にて対応するのはネットワーク基板であり、それに対応する横列の802欄~805欄には、ゲートウェイ装置として実行する制御内容が規定されている。
【0090】
例えば、802欄にはイベント条件が記載されているが、この条件に従いゲートウェイ装置105は常時稼働するよう制御される。803欄には入力条件が記載されているが、ゲートウェイ装置105は、この条件に従い第2の通信部110(通信器203)を介して測定データを取り込む。また、804欄には処理条件が記載されているが、ゲートウェイ装置105は、この条件に従い、取り込んだ測定データをデータベースに登録するためのSQL文を生成する処理を実行する。805欄には出力条件が記載されているが、この条件に従い、ゲートウェイ装置105は計測データをイーサネットコントローラ407を用いてネットワーク106上の記憶部107内に格納する。
【0091】
次に、
図11のフローチャートを参照して、マスター回路基板201のCPU204が実行する処理について説明する。電源が投入されると、CPU204は、マスター回路基板201のコネクタ202に、回路板が接続されているか否かの監視を開始する(ステップS1)。回路板の接続が検出された場合には、回路板のROMにアクセスして回路板の種類に係る情報を読み出し、回路板の種類を判定するステップS2、ステップS22、ステップS32、・・・を実行してゆく。
【0092】
コネクタ202に接続された基板がセンサ入力基板ではなく(ステップS2:NO)、ネットワーク基板であると識別された場合(ステップS22:YES)には、ステップS23に移行し、ゲートウェイ装置として動作するための設定情報を読み出す。すなわち、マスター回路基板201のメモリ211と、ネットワーク基板401のROM406にアクセスして、各々から設定情報を取得する(ステップS23)。メモリ211に記憶されたゲートウェイ装置としての動作設定と、ROM406に記憶されたネットワーク基板の基本設定とを比較し、接続されたネットワーク基板でゲートウェイ装置としての動作を実行可能か否かを確認する(ステップS24)。
【0093】
接続されたネットワーク基板では、設定された動作を実行不可能であると判定した場合(ステップS24:NO)には、ステップS61に移行し、例えば表示部212を用いて、実効不可である旨の通知を操作者に伝達する。イーサネットコントローラ407およびI/Oポート403が動作可能な場合には、ネットワーク106を介してシステムの動作を統括するコンピュータ108に実行不可である旨を伝達してもよい。その後、ステップS62に移行し、動作を終了する。
【0094】
接続されたネットワーク基板により、設定された動作を実行可能であると判定した場合(ステップS24:YES)には、
図9(b)を参照して制御内容を説明した制御プログラムをメモリ211からロードして、制御動作を開始する。そして、ステップS25に移行し、通信器203がノード装置から送信された測定データを受信したか否かを常時監視する。
ノード装置から送信される測定データを受信していない場合(ステップS25:NO)には、受信するまでステップS25を繰り返す。
【0095】
測定データを受信した場合(ステップS25:YES)には、測定データをメモリ211内のRAMに一旦格納するとともに、ステップS26に移行して、記憶部107のデータベースに測定データを登録するためのSQL文を生成する。そして、ステップ27でSQL文を実行し、イーサネットコントローラ407およびI/Oポート403を動作させて記憶部107のデータベースに測定データを登録する。
測定データの受信から、データベースへの登録までの一連の処理が完了すると、ステップS25に戻り、次の測定データの受信を待つ。
以上、実施形態のゲートウェイ装置について説明したが、これは一例にすぎず、装置の構成や制御は適宜変更することができる。
【0096】
本実施形態のゲートウェイ装置は、ベース装置にネットワーク基板を装着するだけで容易に構成することができる。システムの管理者やユーザは、複数のベース装置と複数のネットワーク基板を準備しておけば、システムに設置するゲートウェイ装置の台数を容易に変更することができる。また、本実施形態のゲートウェイ装置は、ネットワーク基板を取り外せばベース装置に戻るので、ノード装置やリピータ装置に転用するのが容易である。また、保管する際には、蓋を閉めておくことにより、湿気やダストから装置内部を保護することができる。
【0097】
[リピータ装置]
図16(a)は、システム用のリピータ装置111の外観図であり、
図16(b)はリピータ装置111の内部構成を説明するための分解図である。ベース装置に、リピータ装置専用の電気回路が実装されたリピータ用基板が装着されて、リピータ装置111が構成されている。
リピータ装置111は、通信器203(第3の通信部112:
図1)を用いて、ノード装置とゲートウェイ装置の間の無線通信を中継する。
【0098】
図16(a)に示すように、リピータ装置111の外観は、蓋206を取り付けた状態のベース装置200と同様である。
図16(b)に示すように、リピータ装置111には、ベース装置200の構成要素に加えてリピータ用基板501が装着されている。
【0099】
図17は、リピータ用基板501とマスター回路基板201の外観図である。リピータ用基板501の下面にはコネクタ502が設けられている。コネクタ502は、マスター回路基板201のコネクタ202と着脱自在に接続可能であり、接続することによりリピータ用基板501の電気回路とマスター回路基板201の電気回路とが接続される。接続により、マスター回路基板201からリピータ用基板501に電源電圧が供給されるとともに、両基板間で信号の授受が可能となる。
【0100】
図18は、リピータ装置111の回路構成を説明するためのブロック図である。リピータ装置111内において、リピータ用基板501とマスター回路基板201は、各々が備えるコネクタ502とコネクタ202を介して接続されている。
【0101】
リピータ用基板501は、ROM506を備えている。ROM506には、当該基板がリピータ用基板であることを示す識別情報が記憶されている。マスター回路基板201のCPU204は、コネクタ202に基板が装着されたことを検知すると、ROM506から識別情報を読み出すことにより、装着されたのがリピータ用基板501であることを認識する。
すると、CPU204は、リピータ装置として動作するための制御プログラムを起動して、リピータ装置としての動作制御を開始する。表示部212には、リピータ装置として動作していることが表示される。
【0102】
リピータ用基板501のROM506には、基板識別情報の他に、中継に係る送受信の条件など、リピータ装置として動作するための設定項目等の情報が書き込まれていてもよい。
【0103】
図9(b)を参照して、マスター回路基板201のCPU204が実行する制御動作の例を示す。この内容は、制御プログラムとして、メモリ211に記憶されている。
【0104】
この場合には、リピータ用基板501が装着されているので、801欄にて対応するのはリピータ用基板であり、それに対応する横列の802欄~805欄には、リピータ装置として動作する内容が規定されている。
【0105】
例えば、802欄にはイベント条件が記載されているが、この条件に従いリピータ装置111は常時稼働するよう制御される。803欄には入力条件が記載されているが、リピータ装置111は、この条件に従い第3の通信部112(通信器203)を用いて、ノード装置が送信した測定データを取り込む。また、804欄には処理条件が記載されているが、リピータ装置111はこの条件に従い、ホッピング動作をする。805欄には出力条件が記載されているが、この条件に従いリピータ装置111は、取り込んだ計測データを第3の通信部112(通信器203)を用いて送信する。
【0106】
次に、
図11のフローチャートを参照して、マスター回路基板201のCPU204が実行する処理について説明する。電源が投入されると、CPU204は、マスター回路基板201のコネクタ202に、回路板が接続されているか否かの監視を開始する(ステップS1)。回路板の接続が検出された場合には、回路板のROMにアクセスして回路板の種類に係る情報を読み出し、回路板の種類を判定するステップS2、ステップS22、ステップS32、・・・を実行してゆく。
【0107】
コネクタ202に接続された基板がセンサ入力基板やネットワーク基板ではなく(ステップS2:NO、ステップS22:NO)、リピータ用基板であると識別された場合(ステップS32:YES)には、ステップS33に移行する。ステップS33では、リピータ装置として動作するための設定情報を読み出す。すなわち、マスター回路基板201のメモリ211と、リピータ用基板501のROM506にアクセスして、各々から設定情報を取得する。次に、ステップS34にて、メモリ211に記憶されたリピータ装置としての動作設定と、ROM506に記憶された設定とを比較し、設定された動作を実行可能か否かを確認する。
【0108】
設定された動作を実行不可能であると判定した場合(ステップS34:NO)には、ステップS71に移行し、例えば表示部212や通信器203を用いて、実行不可である旨の通知を操作者に伝達する。通信器203を用いる場合には、
図1に示すゲートウェイ装置105を経由して、システムの動作を統括するコンピュータ108に通知が伝達される。その後、ステップS72に移行し、動作を終了する。
【0109】
設定された動作を実行可能であると判定した場合(ステップ34:YES)には、
図9(b)を参照して動作内容を説明した制御プログラムをメモリ211からロードして実行する。そして、ステップS35に移行し、通信器203がノード装置から送信された測定データを受信したか否かを常時監視する。
ノード装置から送信される測定データを受信していない場合(ステップS35:NO)には、受信するまでステップS35を繰り返す。
【0110】
測定データを受信した場合(ステップS35:YES)には、測定データをメモリ211内のRAMに一旦格納するとともに、ステップS36に移行して、格納された測定データを通信器203を用いて無線送信する。
測定データの受信から、無線送信までの一連の処理が完了すると、ステップS35に戻り、次の測定データの受信を待つ。
以上、実施形態のリピータ装置について説明したが、これは一例にすぎず、装置の構成や制御は適宜変更することができる。
【0111】
本実施形態のリピータ装置は、ベース装置にリピータ用基板を装着するだけで容易に構成することができる。システムの管理者やユーザは、複数のベース装置と複数のリピータ用基板を準備しておけば、システムに設置するリピータ装置の台数を容易に変更することができる。また、本実施形態のリピータ装置は、リピータ用基板を取り外せばベース装置に戻るので、ゲートウェイ装置やノード装置に転用するのが容易である。また、保管する際には、蓋を閉めておくことにより、湿気やダストから装置内部を保護することができる。
【0112】
[多機能装置]
図19(a)は、システム用のノード装置としてもゲートウェイ装置としても動作可能な多機能装置600の外観図であり、
図12(b)は多機能装置600の内部構成を説明するための分解図である。ベース装置に、センサ入力基板およびネットワーク基板の両方が装着されることにより、多機能装置600が構成されている。
【0113】
多機能装置600は、内蔵するセンサ入力基板にセンサ配線が接続されている時にはノード装置として機能し、内蔵するネットワーク基板にネットワーク接続線が接続されている時にはゲートウェイ装置として機能する。センサ配線とネットワーク接続線の両方が接続されている場合には、先に接続された方を優先させる。もっとも、両方が接続された場合には、必ずネットワークとの接続を優先してゲートウェイ装置として機能するように制御してもよい。あるいは、両方が接続された場合にはエラー通知をして待機するように制御するなど、任意の制御方法を設定することができる。すなわち、管理者や使用者の便宜になるように制御方法を設定し、予めベース装置の制御プログラムに登録しておけばよい。
【0114】
図19(a)に示すように、多機能装置600の外観は、ベース装置200から蓋206を取り外して開口部209を露出させた状態と同様である。開口部209を経由して、センサと接続するセンサ配線113か、ネットワーク106と繋がるネットワーク接続線116を、多機能装置600の筐体内部に導入することができる。
図19(b)に示すように、多機能装置600には、ベース装置200の構成要素に加えてセンサ入力基板301およびネットワーク基板401が装着されている。
【0115】
図20は、センサ入力基板301、ネットワーク基板401、およびマスター回路基板201の外観を拡大した図である。ネットワーク基板401の上にセンサ入力基板301を重ねて、マスター回路基板201上に実装する。すでに説明したように、コネクタ202においてはセンサ入力基板用の端子とネットワーク基板用の端子が別の位置に配置されており、センサ入力基板とネットワーク基板を同時に接続しても機械的・電気的な干渉が生じない構造となっている。また、I/Oポート403は、ネットワーク基板401の縁部に配置されており、センサ入力基板301と干渉せずにネットワーク接続線を接続できる構造となっている。
【0116】
図21は、多機能装置600の回路構成を説明するためのブロック図である。多機能装置600内において、センサ入力基板301とネットワーク基板401は、マスター回路基板201のコネクタ202と接続されている。
【0117】
センサ入力基板301は、すでにノード装置の説明で述べた機能に加え、コネクタ303にセンサ配線113が接続されているか否かを検知する機能を備えている。また、ネットワーク基板401は、すでにゲートウェイ装置の説明で述べた機能に加え、I/Oポート403にネットワーク接続線116が接続されているか否かを検知する機能を備えている。
【0118】
電源が投入されて多機能装置600が活性化されると、マスター回路基板201のCPU204は、センサ入力基板301およびネットワーク基板401と通信し、センサ配線あるいはネットワーク接続線が接続されたか否かを常に監視する。そして、接続が確認された場合には、上述したように、ノード装置またはゲートウェイ装置として動作する。
以上、実施形態の多機能装置について説明したが、これは一例にすぎず、装置の構成や制御は適宜変更することができる。
【0119】
本実施形態の多機能装置は、ベース装置にセンサ入力基板およびネットワーク基板を装着するだけで容易に構成することができる。システムの管理者やユーザは、同一構成の複数のベース装置と複数のセンサ入力基板およびネットワーク基板を準備しておけば、システムに設置する多機能装置の台数を容易に変更することができる。また、本実施形態の多機能装置は、センサ入力基板を取り外せばゲートウェイ装置になり、ネットワーク基板を取り外せばノード装置になるので、異種の装置に転用するのが容易である。また、本実施形態の多機能装置は、センサ入力基板およびネットワーク基板を取り外せばベース装置に戻るので、リピータ装置に転用するのも容易である。また保管する際には、蓋を閉めておくことにより、湿気やダストから装置内部を保護することができる。
【0120】
[他の実施形態]
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
例えば、コネクタ202に基板が装着されていない場合には、ベース装置が自動的にリピータ装置としての機能を実行するようにベース装置の制御プログラムを構成してもよい。その場合には、コネクタ202にセンサ入力基板を接続すればリピータ装置をノード装置に転用することができ、センサ入力基板を取り外せばノード装置からリピータ装置に戻すことができる。同様に、コネクタ202にネットワーク基板を接続すればリピータ装置をゲートウェイ装置に転用することができ、ネットワーク基板を取り外せばゲートウェイ装置からリピータ装置に戻すことができる。また、センサ入力基板とネットワーク基板の両方を接続すれば、リピータ装置から多機能装置に転用することができる。係る構成にすれば、リピータ用基板を用いなくとも、容易にネットワークシステムの構築や改変を行うことができる。
【0121】
また、複数のベース装置の管理を容易にするため、各ベース装置には識別するためのIDを付与しておき、マスター回路基板201のメモリ211に記憶させておくこともできる。各ベース装置は、電源投入時などの適時のタイミングにて自身のIDと動作状態をシステムのコンピュータ108に伝達する。すなわち、ノード装置あるいはリピータ装置として動作している場合には通信器203を用いて、ゲートウェイ装置として動作している場合にはI/Oポート403を用いて、自身のIDと動作状態をコンピュータ108に送信する。
【0122】
図22に、システムを統括するコンピュータ108の表示画面に表示された画像の一例を示す。表示画像900は、複数のベース装置を管理するのに用いられる表である。901欄には、各ベース装置の所在が入力されており、この例では生産装置Aと生産装置Bに各3台ずつ設置され、3台が保管庫に保管されていることがわかる。902欄には各ベース装置のIDが記述され、903欄には各ベース装置の動作モード(いかなる装置として動作しているか)が記述され、904欄には各ベース装置に装着されている基板の種類が記述されている。また、905欄には、各装置の動作状態が記述されている。
【0123】
例えば、IDがXY1であるベース装置(第1のベース装置)は、センサ入力基板が装着されており、生産装置Aを監視するシステムにおいてノード装置として正常に動作していることがわかる。IDがXY2であるベース装置(第2のベース装置)は、ネットワーク基板が装着されており、生産装置Aを監視するシステムにおいてゲートウェイ装置として正常に動作していることがわかる。また、IDがXZ2のベース装置(第3のベース装置)は、基板が装着されない状態で保管庫に保管されていることがわかる。
図22は管理画面の一例であり、システムの管理者や使用者の便宜に合わせて、様々に変更した形で管理画面を自動生成させることができる。例えば、901欄の記載内容については、対象装置のどの位置に設置されているかや、保管庫内のどの場所に置かれているかなど、より詳細な情報を含めることもできる。また、904欄の記載内容については、当該基板の設定情報など、より詳細な情報を含めることもできる。また、905欄の記載内容については、バッテリーの残量など、より詳細な情報を含めることもできる。また、
図22では不図示であるが、保管庫に保管されている基板の種類や数などの情報を、システムの画面に表示させることもできる。
このように、実施形態のシステムの管理者や操作者は、コンピュータ108を用いて各ベース装置の動作状態を容易に把握でき、管理が容易になる。
【0124】
また、ベース装置に基板を装着することにより構成される装置は、ノード装置、ゲートウェイ装置、リピータ装置、ノード装置とゲートウェイ装置を兼用する多機能装置、だけに限られるわけではない。実施形態に例示した基板とは異なる基板を装着することにより、実施形態に例示した装置とは異なる装置をベース装置が構成できるようにしてもよい。
【0125】
上述したベース装置の制御方法を実行可能な制御プログラム、制御プログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体も、本発明の実施形態に含まれる。
実施形態のシステムは、製造ラインで稼働するロボット装置をはじめとする様々な設備の状態を所得し、設備監視等を行うシステムとして実施することができる。例えば、制御装置に設けられる記憶装置の情報に基づき、伸縮、屈伸、上下移動、左右移動もしくは旋回の動作またはこれらの複合動作を自動的に行うことができる機械および設備である。
【0126】
本発明は、実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0127】
101・・・生産設備/102、103・・・センサ/104・・・ノード装置/105・・・ゲートウェイ装置/106・・・ネットワーク/107・・・記憶部/108・・・コンピュータ/111・・・リピータ装置/113・・・センサ配線/116・・・ネットワーク接続線/200・・・ベース装置/201・・・マスター回路基板/202・・・コネクタ/203・・・通信器/204・・・CPU/205・・・電源部/210・・・トリガー部/211・・・メモリ/212・・・表示部/217・・・保護膜/301・・・センサ入力基板/302、303・・・コネクタ/306・・・ROM/317・・・保護膜/401・・・ネットワーク基板/402・・・コネクタ/403・・・I/Oポート/406・・・ROM/407・・・イーサネットコントローラ/501・・・リピータ用基板/502・・・コネクタ/506・・・ROM/600・・・多機能装置/900・・・表示画像