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特許7543092情報処理装置、物品の製造方法、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、物品の製造方法、情報処理方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/00 20060101AFI20240826BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240826BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G08C15/00 D
G05B23/02 V
G05B19/418 Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020188892
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077850
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦田 一輝
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-185391(JP,A)
【文献】特開2016-142632(JP,A)
【文献】特開2013-55570(JP,A)
【文献】特開2011-118727(JP,A)
【文献】特開2004-233159(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159495(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
G01D 1/00-21/02
G05B 19/418、23/02
H03J 9/00- 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置であって、
前記センサからのデータに基づき、第2時間を取得し、
取得した第2時間に基づき取得した第1時間が、所定の範囲外なら、ユーザに通知し、
取得した第2時間に基づき取得した第1時間が、所定の範囲内なら、当該第1時間を前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定る、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
1時間は待機する時間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記センサからデータを取得するための処理は、前記センサへの給電である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記センサへの給電を開始した時点からの前記センサからのデータを用いて第1時間を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記センサの測定環境に変動が無いとみなせる状態における、前記センサへの給電を開始した時点からの前記センサからのデータを用いて第1時間を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記センサからのデータにローパスフィルタ処理を施し、前記ローパスフィルタ処理が施された、前記センサからのデータを用いて第1時間を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記センサからのデータが収束条件を満たす時間を第2時間として得する、
ことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記収束条件は、前記センサからのデータにおける特徴量が閾値の範囲にあることである、
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記収束条件は、前記特徴量が連続して前記閾値の範囲にあることである、
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記特徴量は、前記センサからのデータの、1階の時間微分値、分散値、の少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置であって、
前記センサからのデータが収束条件を満たす第2時間を取得し、
第2時間よりも長くなるように第1時間を取得し
当該第1時間を前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
1時間を設定する設定モードと、前記センサからのデータに基づき前記センサの測定対象となっている機械装置の状態を取得する場合の測定データを取得する測定モードとを実行可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置であって、
第1時間は前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定され、
第1時間を設定する設定モードと、前記センサからのデータに基づき前記センサの測定対象となっている機械装置の状態を取得する場合の測定データを取得する測定モードとを実行可能であり、
前記測定モードにおいて、前記設定モードで設定した第1時間だけ測定予定時刻よりも早いタイミングで前記センサへの給電を開始する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
前記情報処理装置の起動時に第1時間を自動で設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記センサに対して第1時間が既設定の場合には、第1時間を再設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記センサに対して第1時間が既設定であり、
前記情報処理装置の起動後の前記センサを用いた初回の測定において、前記センサへの給電開始後の前記センサからのデータであって、前記センサへの給電を開始してから前記既設定の第1時間が経過した時点以降の前記センサからのデータを取得し、かつ第1時間を再設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記センサに対して第1時間が未設定の場合に、第1時間を自動で設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項18】
センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置であって、
第1時間は前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定され、
前記センサは複数のセンサのうちの1つであり、
前記複数のセンサの各々は、複数のグループのいずれかに含まれ、
前記複数のグループのいずれかのグループにおいて2つ以上のセンサが含まれている場合、前記2つ以上のセンサに対し第1時間を同一に設定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項19】
前記2つ以上のセンサの各々に対し暫定の第1時間を求め、前記2つ以上のセンサに対する2つ以上の暫定の第1時間のうち、最大のものを設定する、
ことを特徴とする請求項18に記載の情報処理装置。
【請求項20】
1時間が経過した以降の前記センサからのデータを、前記センサの測定対象となっている機械装置の状態を取得する場合の測定データとして取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項21】
請求項1乃至2のいずれか1項に記載の情報処理装置はノード装置である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項22】
請求項1乃至2のいずれか1項に記載の情報処理装置により取得されるデータに基づき生産設備の状態監視を行いながら前記生産設備を動作させ、前記生産設備が完成品または中間品となる物品を製造する、
ことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項23】
センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置の情報処理方法であって、
前記センサからのデータに基づき、第2時間を取得し、
取得した第2時間に基づき取得した第1時間が、所定の範囲外なら、ユーザに通知し、
取得した第2時間に基づき取得した第1時間が、所定の範囲内なら、当該第1時間を前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定る、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項24】
センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置の情報処理方法であって、
前記センサからのデータが収束条件を満たす第2時間を取得し、
第2時間よりも長くなるように第1時間を取得し、
当該第1時間を前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項25】
センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置の情報処理方法であって、
第1時間は前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定され、
第1時間を設定する設定モードと、前記センサからのデータに基づき前記センサの測定対象となっている機械装置の状態を取得する場合の測定データを取得する測定モードとを実行可能である、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項26】
センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置の情報処理方法であって、
第1時間は前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定され、
前記センサは複数のセンサのうちの1つであり、
前記複数のセンサの各々は、複数のグループのいずれかに含まれ、
前記複数のグループのいずれかのグループにおいて2つ以上のセンサが含まれている場合、前記2つ以上のセンサに対し第1時間を同一に設定する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項27】
請求項23から26のいずれか1項に記載の情報処理方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項28】
請求項2に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械装置に取り付けられたセンサを用いて機械装置の状態を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生産設備などに組み込まれる機械装置の状態をセンサで測定し、機械装置の劣化状態に応じて、機械装置の部品の交換、修理又は更新を行う予知保全が行われている。予知保全により、部品の無駄な交換や人件費を削減することができる。また、生産設備などに組み込まれる機械装置の状態を測定する場合、機械装置にセンサを設置して測定データを収集することで、機械装置の故障や異常を早期に発見し、機械装置を詳細に診断することができる。
【0003】
ところで、省エネルギーの観点から、測定が必要な時にセンサへの給電を開始し、測定が終了したらセンサへの給電を停止するのが好ましい。しかし、センサへの給電直後は、センサのセンシングによって得られるセンシングデータが過渡的に変動するため安定しない。この過渡期間のセンシングデータは、測定データとしては正確さに欠ける。これに対し、特許文献1には、センサ検出開始から信号を出力するまでに遅延時間を持たせることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-181197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、遅延時間を、予め段階的に定められた複数の値の中からユーザが選択して設定することが記載されている。しかし、遅延時間を必要以上に長く設定することは、センサへの給電時間が増加するため、センサにおける消費電力量の増加につながる。適切な遅延時間は、測定対象、又はセンサの種類若しくは個体差によって異なる。従来の方法では、使用者や設計者、作業者などの人がセンサに応じて遅延時間を正確に予測しなければならならなかったため、作業負担が大きいものであった。
【0006】
そこで、本発明は、作業負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様は、センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置であって、前記センサからのデータに基づき、第2時間を取得し、取得した第2時間に基づき取得した第1時間が、所定の範囲外なら、ユーザに通知し、取得した第2時間に基づき取得した第1時間が、所定の範囲内なら、当該第1時間を前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定る、ことを特徴とする情報処理装置である。
本開示の第2態様は、センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置であって、前記センサからのデータが収束条件を満たす第2時間を取得し、第2時間よりも長くなるように第1時間を取得し、当該第1時間を前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定する、ことを特徴とする情報処理装置である。
本開示の第3態様は、センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置であって、第1時間は前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定され、第1時間を設定する設定モードと、前記センサからのデータに基づき前記センサの測定対象となっている機械装置の状態を取得する場合の測定データを取得する測定モードとを実行可能であり、前記測定モードにおいて、前記設定モードで設定した第1時間だけ測定予定時刻よりも早いタイミングで前記センサへの給電を開始する、ことを特徴とする情報処理装置である。
本開示の第4態様は、センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置であって、第1時間は前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定され、前記センサは複数のセンサのうちの1つであり、前記複数のセンサの各々は、複数のグループのいずれかに含まれ、前記複数のグループのいずれかのグループにおいて2つ以上のセンサが含まれている場合、前記2つ以上のセンサに対し第1時間を同一に設定する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0008】
本開示の第態様は、センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置の情報処理方法であって、前記センサからのデータに基づき、第2時間を取得し、取得した第2時間に基づき取得した第1時間が、所定の範囲外なら、ユーザに通知し、取得した第2時間に基づき取得した第1時間が、所定の範囲内なら、当該第1時間を前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定る、ことを特徴とする情報処理方法である。
本開示の第6態様は、センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置の情報処理方法であって、前記センサからのデータが収束条件を満たす第2時間を取得し、第2時間よりも長くなるように第1時間を取得し、当該第1時間を前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定する、ことを特徴とする情報処理方法である。
本開示の第7態様は、センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置の情報処理方法であって、第1時間は前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定され、第1時間を設定する設定モードと、前記センサからのデータに基づき前記センサの測定対象となっている機械装置の状態を取得する場合の測定データを取得する測定モードとを実行可能である、ことを特徴とする情報処理方法である。
本開示の第8態様は、センサからのデータを取得するための処理を実行してから第1時間が経過した以降の前記センサからのデータを取得することができる情報処理装置の情報処理方法であって、第1時間は前記センサからのデータを取得する場合に用いる情報として自動で設定され、前記センサは複数のセンサのうちの1つであり、前記複数のセンサの各々は、複数のグループのいずれかに含まれ、前記複数のグループのいずれかのグループにおいて2つ以上のセンサが含まれている場合、前記2つ以上のセンサに対し第1時間を同一に設定する、ことを特徴とする情報処理方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る生産設備の模式図。
図2】第1実施形態に係る監視ノード装置のブロック図。
図3】(a)及び(b)は第1実施形態に係る設定テーブルの一例を示す説明図。
図4】第1実施形態に係る情報処理方法のフローチャート。
図5】(a)及び(b)は第1実施形態における収束判定処理の説明図。(c)は第1実施形態における測定ルーティン処理の説明図。
図6】第2実施形態に係る情報処理方法のフローチャート。
図7】第3実施形態に係る設定テーブルの一例を示す説明図。
図8】第4実施形態に係る測定ルーティン処理の説明図。
図9】第5実施形態に係る測定ルーティン処理の説明図。
図10】第6実施形態に係る情報処理方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る生産設備1000の模式図である。生産設備1000は、物品Wを製造するのに用いられる設備であり、工場などに配置される。生産設備1000は、監視対象である機械装置101と、システムの一例であり、監視対象を監視する監視システム100と、を備える。機械装置101は、例えばポンプなどである。機械装置101を含む生産設備1000は、監視システム100により機械装置101の状態を測定することで監視を行いながら、所定の製造方法によって物品Wを製造する。物品Wは、完成品であっても製造途中の中間品であってもよい。
【0014】
監視システム100は、機械装置101の予防保全に用いられる。監視システム100によって機械装置101を監視することで、機械装置101の故障や異常を早期に発見し、機械装置101を詳細に診断することができる。
【0015】
監視システム100は、機械装置101の監視に使用する少なくとも1つのセンサを備える。本実施形態において、少なくとも1つのセンサは、複数、例えば2つのセンサ102,103である。また、監視システム100は、監視装置の一例であり、ノード装置の一例である監視ノード装置104と、ゲートウェイ装置の一例である監視ゲートウェイ装置106と、データベース108と、端末109とを備える。
【0016】
各センサ102、103は、機械装置101の状態を測定するためのセンサであり、機械装置101に設けられる。各センサ102、103は、振動センサ、加速度センサ、圧力センサ、光センサ、トルクセンサ、温度センサといった、機械装置101の状態を物理量として定量化したアナログのセンシング信号を出力可能なセンサである。例えば振動センサは、振動の強さを物理量である電圧として出力する。
【0017】
監視ノード装置104は、センサが接続可能な端子部105を有する。端子部105には、複数のセンサが接続可能な複数、例えば8つのチャンネル端子ch1~ch8を含む。本実施形態では、端子部105の複数のチャンネル端子1ch~8chのうち、チャンネル端子1chには、センサ102が接続され、別のチャンネル端子2chには、センサ103が接続されている。図1の例では、複数のチャンネル端子1ch~8chのうち、チャンネル端子1ch,2ch以外のチャンネル端子ch3~ch8には、センサが接続されていない。
【0018】
センサ102とチャンネル端子1chとは、例えば電力線、グラウンド線、及び信号線を含むケーブル121で接続されている。センサ103とチャンネル端子2chとは、例えば電力線、グラウンド線、及び信号線を含むケーブル122で接続されている。
【0019】
監視ノード装置104は、必要に応じて監視システム100に1つ以上設置される。本実施形態では、監視システム100が、1つの監視ノード装置104を備える場合について説明するが、複数の監視ノード装置を備えてもよい。例えば、監視システム100は、監視対象の数だけ監視ノード装置を備えてもよい。監視ノード装置104には、個別のノード番号が割り振られている。
【0020】
監視ノード装置104は、通信ユニット110を有し、監視ゲートウェイ装置106は、通信ユニット111を有している。これら通信ユニット110,111によって、監視ノード装置104と監視ゲートウェイ装置106とは互いに通信可能となっている。監視ノード装置104は、監視ゲートウェイ装置106に無線通信又は有線通信により測定データを出力可能、即ち送信可能となっている。監視ゲートウェイ装置106は、監視ノード装置104から情報を収集することができる。
【0021】
通信ユニット110,111の通信方式は、LPWA(Low Power Wide Area)や無線LANといった無線通信であってもよいし、Ethernet(登録商標)、フィールドネットワークといった有線通信であってもよい。また、通信ユニット110,111は、無線通信および有線通信の両方の機能を有し、無線通信および有線通信のうち、いずれかの通信方式を選択的に実行するようにしてもよい。第1実施形態では、通信ユニット110,111は、無線通信および有線通信の両方の機能を有し、無線通信および有線通信のうち、いずれかの通信方式を選択的に実行するように構成されている。
【0022】
監視ゲートウェイ装置106は、監視ノード装置104と通信可能な範囲に設定される。監視ノード装置104で測定により生成された測定データは、通信ユニット110,111によって監視ゲートウェイ装置106に集められる。
【0023】
監視ゲートウェイ装置106、データベース108及び端末109は、ネットワーク107に接続されている。ネットワーク107は、工場内の専用ネットワークであっても、インターネットといった広域ネットワークであってもよい。監視ゲートウェイ装置106によって集められた測定データは、ネットワーク107を介して、データ蓄積装置の一例であるデータベース108に蓄積される。端末109は、ディスプレイを備えたコンピュータである。端末109は、必要に応じてスピーカを備えていてもよい。
【0024】
なお、監視ゲートウェイ装置106は、データベース108又は端末109のソフトウェアの処理としてデータベース108又は端末109に実装されていてもよい。また、データベース108は記憶装置や記憶媒体のいずれであってもよい。また、端末109は、ユーザの操作により、データベース108に蓄積された結果を確認可能に構成されていてもよい。また、端末109は、機械装置101に異常が発生した場合、必要に応じてアラートやメール送信といった通知手段によって、ユーザに通知するように構成されていてもよい。
【0025】
図2は、第1実施形態に係る監視ノード装置104のブロック図である。第1実施形態では監視ノード装置104は、情報処理装置、即ちコンピュータである。監視ノード装置104は、端子部105、トリガ発生部202、電力供給部204、AD変換部の一例である信号入力部205、処理部の一例である信号処理部206、出力部207、及び記憶部210を備える。これらがバス220で接続されている。記憶部210は、例えばHDDやSSD等の記憶装置である。
【0026】
電力供給部204には、電池203が接続されている。電力供給部204は、電池203からの電力を、監視ノード装置104の各部、及びセンサ102,103に供給する制御を行う。電池203は、監視ノード装置104に組み込まれていても監視ノード装置104に着脱可能であってもよい。また、電池203は監視ノード装置104の外部にあってもよい。電力供給部204は、プログラムによる任意のタイミングで各センサ102,103に電力を供給する。各センサ102,103は、電力が供給されることでセンシング可能となり、センシングによって得られたセンシング信号であるアナログ信号、例えば電圧を出力する。
【0027】
信号入力部205は、各センサ102,103からアナログ信号、例えば出力電圧の入力を受け、アナログ信号をデジタル信号へ変換するアナログデジタル変換処理、即ちAD変換処理が可能に構成されている。なお、信号入力部205は、各センサ102,103に内蔵されていてもよい。AD変換処理として、指定されたチャンネル端子から取得されるアナログ信号に対し、指定されたサンプリング周波数、指定されたサンプリング数でサンプリングを行い、デジタル信号であるセンシングデータを生成する。
【0028】
信号処理部206は、トリガ発生部202、電力供給部204、信号入力部205、出力部207、及び記憶部210を統括的に制御する制御部でもある。信号処理部206は、例えばCPUで構成され、記憶部210に格納された制御プログラム230を実行することにより、各種処理を実行可能である。
【0029】
信号処理部206は、測定タスクを実行することで各センサ102,103を用いて機械装置101の状態を測定可能である。測定タスクには、信号入力部205にAD変換を行わせるAD変換処理のタスク、信号入力部205によって生成されたデジタル信号を処理して測定データを生成する信号処理のタスク及び出力部207に測定データを出力させる出力処理のタスクが含まれる。デジタル信号を処理する信号処理は、センシングデータを処理するデータ処理である。
【0030】
信号処理、即ちデータ処理には、複数の処理内容が含まれる。以下、複数の処理内容の具体例について説明するが、以下の処理内容に限定するものではない。また、信号処理部206は、以下に示す複数の処理内容の全ての機能を有していてもよいが、必要な機能だけ有していてもよい。
【0031】
信号処理には、例えば中継処理、遅延タイマ計算処理、FFT処理、パーシャルオーバーオール処理、エンベロープ処理、周波数フィルタ処理、微分処理、積分処理、ウェーブレット処理、平均値処理、標準偏差処理、最大値処理、及び最小値処理が含まれる。また、信号処理には、例えばピークツーピーク処理、ピークホールド処理、実効値処理、波高率処理、波形率処理、インパルス係数処理、マージン係数処理、及び機械学習モデル推論処理が含まれる。信号処理部206は、これら複数の処理内容のうち選択された処理内容を実行する。信号処理部206は、選択された処理内容が2つ以上の場合、指定された順番で選択された2つ以上の処理内容を実行する。
【0032】
以下、各処理内容について説明する。中継処理は、入力されたデジタル信号を出力部207にそのまま渡す処理である。遅延タイマ計算処理は、センシングデータの収束を判定して収束時間を算出してそれに安全率をかけたものを遅延タイマ値として算出する処理である。FFT処理は、入力されたデジタル信号を周波数成分に分解する処理である。パーシャルオーバーオール処理は、FFT処理された周波数成分に対して周波数範囲を限定して積和を求める処理である。エンベロープ処理は、入力されたデジタル信号に対して包絡線処理を行う処理である。周波数フィルタ処理は、入力されたデジタル信号に対し、周波数を設定してローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、又はバンドパスフィルタを通すことで不要な信号成分を除く処理である。微分処理は、入力されたデジタル信号に対して微分する処理である。積分処理は、入力されたデジタル信号に対して積分する処理である。ウェーブレット処理は、入力されたデジタル信号を周波数成分と時間成分とに分解する処理である。平均値処理は、入力されたデジタル信号に対して平均値を求める処理である。標準偏差処理は、入力されたデジタル信号の標準偏差を求める処理である。最大値処理は、入力されたデジタル信号に対して最大値を求める処理である。最小値処理は、入力されたデジタル信号に対して最小値を求める処理である。ピークツーピーク処理は、入力されたデジタル信号に対して最大値と最小値との差を求める処理である。ピークホールド処理は、入力されたデジタル信号において予め定めた期間内の信号から最大値を得る処理である。実効値処理は、入力されたデジタル信号に対して実効値を求める処理である。波高率処理は、入力されたデジタル信号の最大値を実効値で除して波高率を求める処理である。波形率処理は、入力されたデジタル信号の実効値を平均値で除すことで、波形率を求める処理である。インパルス係数処理は、入力されたデジタル信号の最大値を、デジタル信号の絶対値を平均した値で除すことで、インパルス係数を求める処理である。マージン係数処理は、入力されたデジタル信号の最大値を、デジタル信号の平方根を平均した値の二乗で除すことで、マージン係数を求める処理である。機械学習モデル推論処理は、入力されたデジタル信号と機械学習モデルに基づいて出力を求める処理である。機械学習モデルは、学習データをコンピュータに読み込ませ、コンピュータにデータを分析させて分類や識別のルールを定めることで生成される。生成された機械学習モデルは、予め監視ノード装置104に組み込まれる。
【0033】
以上、信号処理部206は、デジタル信号に、選択した処理内容の信号処理を施して、測定データを生成可能である。
【0034】
出力部207は、信号処理部206により生成された測定データを出力する出力処理が可能な装置である。即ち、出力部207は、出力処理を実行することにより測定データを出力可能である。出力部207は、通信ユニット110、及び汎用入出力ユニット212を含む。通信ユニット110は、無線通信を行う通信モジュール208と、有線通信を行う通信モジュール209とを含む。通信モジュール208は、測定データを無線で出力することができる。この場合、監視ゲートウェイ装置106は、電波として測定データを監視ノード装置104から取得することになる。通信モジュール209は、測定データをネットワーク107に出力することができる。この場合、監視ゲートウェイ装置106は、ネットワーク107を介して測定データを監視ノード装置104から取得することになる。
【0035】
なお、出力部207は、信号の入出力が可能に構成されているが、少なくとも測定データを出力可能に構成されていればよい。また、監視システム100に採用される通信方式に応じて、出力部207において通信モジュール208及び通信モジュール209のいずれか一方を省略してもよい。
【0036】
また、出力部207は、記憶部210に測定データを出力することもできる。また、出力部207は、汎用入出力ユニット212に接続される外部装置(例えば外部ストレージ)に測定データを出力することもできる。また、出力部207は、出力処理として、監視ノード装置104の個体を識別するためのノード番号情報、信号処理部206が実行する測定タスクのタスク番号情報を、測定データと合わせて出力する。例えば、出力部207は、無線通信又は有線通信によって、ノード番号情報、タスク番号情報、測定データの順に、監視ゲートウェイ装置106にこれらデータを出力する。
【0037】
トリガ発生部202は、イベントが発生したときに、信号処理部206にトリガ信号を発生させる。即ち、トリガ発生部202は、イベントが発生したときに、発生したイベントに対応するトリガ信号を出力する。トリガ信号には、タスク番号情報が含まれる。
【0038】
ここで、「イベントが発生する」とは、測定を開始する条件が成立することをいう。以下、この条件をイベント条件という。本実施形態において、測定を開始する条件、即ちイベント条件は、信号処理部206によりトリガ発生部202に設定される。また、信号処理部206により設定されるイベント条件は、1つのみの場合もあり得るし、複数の場合もあり得る。信号処理部206により複数のイベント条件がトリガ発生部202に設定された場合には、トリガ発生部202は、複数のイベント条件のうち、成立したイベント条件に対応するトリガ信号を、成立した順に信号処理部206に出力する。
【0039】
信号処理部206により設定され得るイベント条件には、測定時間間隔、又は測定開始時刻などの時間条件が含まれる。また、本実施形態では、信号処理部206により設定され得るイベント条件には、時間条件以外の条件も含まれる。時間条件以外の条件の例として、外部トリガ入力信号、監視ノード装置の状態変化、監視ノード内の他タスクからの呼び出し、監視ゲートウェイ装置からの呼び出し、他の監視ノード装置からの呼び出しがある。
【0040】
イベント条件が測定時間間隔の場合、予め定めた一定の時間間隔でイベントが発生する。イベント条件が測定時刻の場合、予め定めた時刻にイベントが発生し、曜日も指定されていれば、予め定めた曜日の時刻にイベントが発生する。イベント条件が外部トリガ入力信号の場合、汎用入出力ユニット212の信号変化でイベントが発生する。イベント条件が監視ノード装置の状態変化の場合、監視ノード装置の電池残量変化や監視ノード装置内の温度センサの変化があった場合にイベントが発生する。イベント条件が監視ノード内の他タスクから呼び出しの場合、同じ監視ノード装置内の測定タスク以外の他のタスクの出力条件から呼び出されることでイベントが発生する。イベント条件が監視ゲートウェイ装置からの呼び出しの場合、監視ゲートウェイ装置からタスク実行命令が受信されることでイベントが発生する。イベント条件が他の監視ノード装置からの呼び出しの場合、他の監視ノード装置の出力処理により呼び出されることでイベントが発生する。
【0041】
複数のイベント条件の各々と対応付けられた、信号入力部205のAD変換処理、信号処理部206の信号処理、及び出力部207の出力処理のそれぞれの処理内容は、測定タスクとして、タスクテーブル240に記録される。タスクテーブル240は、例えば記憶部210に格納される。信号処理部206は、タスクテーブル240を参照し、タスクテーブル240に定義されている測定タスクで指定されたセンサを用いて測定を行う。なお、タスクテーブル240の格納場所は、監視ノード装置104の内部にある記憶部210であるのが好適であるが、これに限定するものではない。例えば、タスクテーブル240は、監視ノード装置104の外部にある外部記憶装置に格納されてもよい。タスクテーブル240の情報は、作業者や使用者などの人によって設定される。
【0042】
信号処理部206は、計時部の一例としてタイマ216を有する。信号処理部206は、タイマ216を用いて計時することができる。なお、タイマ216が信号処理部206内に設けられる場合について説明したが、これに限定するものではない。タイマ216は、監視ノード装置104内のどこに設けられていてもよい。
【0043】
また、記憶部210には、信号処理部206が測定タスクを実行するときに用いる設定テーブル250が格納される。第1実施形態では、信号処理部206は、測定タスクに従って測定データを生成する測定モードと、設定テーブル250に情報を設定する設定処理を実行する設定モードとを択一的に実行可能である。なお、設定テーブル250の格納場所は、監視ノード装置104の内部にある記憶部210であるのが好適であるが、これに限定するものではない。例えば、設定テーブル250は、監視ノード装置104の外部にある外部記憶装置に格納されてもよい。
【0044】
汎用入出力ユニット212には、外部装置が接続可能である。外部装置の一例として、汎用入出力ユニット212には、制御プログラム230を記録した記録媒体214が接続可能である。記録媒体214は、制御プログラム230を記録した、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体である。記録媒体214に記録された制御プログラム230は、汎用入出力ユニット212を介して記憶部210に格納することができる。記録媒体214としては、磁気ディスクや光ディスクなどの記録ディスク(例えばCD-ROMやDVD-ROM)であってよいし、フラッシュメモリなどの記憶デバイス(例えばSDカード)であってもよい。
【0045】
測定モードにおいて、監視ノード装置104は、イベントが発生するまでは、センサ102又は103への給電を停止する状態になる。イベントが発生したとき、監視ノード装置104は、センサ102,103のうち、対応するセンサへの給電を開始して、測定を行う。例えば、イベント条件が成立したセンサがセンサ102であったとすると、監視ノード装置104は、センサ102に給電を開始してセンサ102を用いて測定を行う。このようにして、電池203における容量低下を抑制することができる。センサ103についても同様である。
【0046】
センサ102への給電を開始したとき、センサ102への給電直後は、センサ102のセンシングによって得られるセンシングデータが過渡的に変動するため安定しない。この過渡期間のセンシングデータを用いた測定データは、正確さに欠ける。そこで、本実施形態では、信号処理部206は、センサ102への給電開始後のセンシングデータであってセンサ102への給電を開始してから所定の時間T1が経過した時点以降のセンシングデータを用いて測定データを生成可能に構成されている。
【0047】
時間T1は、第1時間である。この時間T1は、遅延時間又は待機時間ともいう。即ち、第1実施形態では、イベント条件が成立した時点でセンサ102への給電が開始され、センサ102の出力電圧が安定した時点でセンサ102を用いた測定が開始される。時間T1は、イベント条件が成立した時点に対して測定開始の時点が遅延するため、遅延時間ともいえる。また、時間T1は、イベント条件が成立した時点からセンサ102の出力電圧が安定した時点まで測定を待機するため、待機時間ともいえる。この時間T1の情報は、設定テーブル250に登録される。
【0048】
第1実施形態では、測定モードにおいて、信号入力部205は、時間T1の間、センサ102からアナログ信号が入力されても、AD変換処理を行わない。よって、時間T1の間、信号処理部206は、信号処理を行わない。そして、信号処理部206は、時間T1に到達した時点からアナログ信号をデジタル信号、即ちセンシングデータに変換する。信号処理部206は、信号入力部205から取得したセンシングデータに、選択された処理内容の信号処理をして測定データを生成する。なお、信号処理の処理内容が中継処理の場合、時間T1以降のセンシングデータは、そのまま出力部207に出力されるため、測定データと同一である。つまり、センシングデータと測定データとの間で内容の変化がなくても、中継処理は、測定データを生成する処理に含むものとする。
【0049】
なお、信号入力部205における処理負荷を考慮すると、測定モードにおいて、時間T1のカウント期間中は、信号入力部205は処理を行わないのが好適であるが、これに限定するものではない。即ち、信号入力部205は、測定データとして用いない時間T1のカウント期間中もセンシングデータを生成するようにしてもよい。
【0050】
ここで、センサの種類やセンサによる測定対象によって、設定すべき時間T1が異なる。このため、人が適切な時間T1を設定することは困難である。設定される時間T1が短すぎる場合には、測定データが不安定である。また、設定される時間T1が長すぎる場合には、測定開始のタイミングの遅延や無駄な電力消費が生じる。
【0051】
そこで、第1実施形態では、信号処理部206は、時間T1を自動で設定する設定処理を実行可能に構成されている。即ち、信号処理部206は、設定モードにおいて、時間T1を自動で設定する設定処理を実行する。本実施形態では、少なくとも1つのセンサが複数のセンサ102,103であるため、信号処理部206は、複数のセンサ102,103の各々に対して、個別に時間T1を自動で設定する。
【0052】
図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係る記憶部210に記憶される設定テーブル250の一例を示す説明図である。図3(a)には、時間T1の情報が設定(登録)される前の設定テーブル250を図示している。図3(b)には、時間T1の情報が設定(登録)された後の設定テーブル250を図示している。
【0053】
設定テーブル250は、端子部105における各チャンネル端子に割り当てたチャンネル番号が設定される項目302と、各センサに印加する動作電圧の情報が設定される項目303と、を含む。また、設定テーブル250は、各時間T1を計算するための係数が設定される項目304と、各センサの出力電圧の収束判定に使用する閾値が設定される項目305と、を含む。また、設定テーブル250は、信号処理部206によって求められた各時間T1の情報が設定される項目306を含む。なお、図3(a)に示す設定テーブル250において、時間T1の情報が設定される前は、時間T1の情報が設定される項目303内は、空欄である。また、項目302~306において、センサが接続されていないチャンネルについても空欄である。項目302~305内の情報は、人が設定する。ここで、図3(a)及び図3(b)に示す例では、チャンネル番号1には、チャンネル端子ch1、即ちセンサ102が対応付けられ、チャンネル番号2には、チャンネル端子ch2、即ちセンサ103が対応付けられている。
【0054】
以下、測定モードにおいて、イベント条件が成立したセンサがセンサ102である場合を例に説明する。測定モードにおいて、信号処理部206は、図3(b)に示す時間T1が設定済みの設定テーブル250を用いる。センサ102は、チャンネル端子1chに接続されている。信号処理部206は、測定モードにおいて、設定テーブル250を参照し、イベント条件が成立したセンサ102に対応する情報を用いて、電力供給部204及び信号入力部205を制御する。例えば、信号処理部206は、設定テーブル250を参照し、センサ102が接続されたチャンネル端子1chに、3.3Vのセンサ電圧を供給する。
【0055】
信号処理部206は、センサ102に給電を開始したタイミングでタイマ216による計時を開始する。信号処理部206は、タイマ216によって計時した時間が時間T1、即ち150msecに達した時点で、信号入力部205にサンプリング周波数及びサンプリング数などを指令する。なお、測定時間は、サンプリング周波数及びサンプリング数によって決まる。信号処理部206は、信号入力部205にサンプリングさせたセンシングデータを、信号入力部205から取得する。このように、信号処理部206は、センサ102への給電を開始してから時間T1が経過するまで待機した後、測定を開始する。
【0056】
一方、設定モードにおいて、信号処理部206は、センサ102に給電を開始したタイミングから、信号入力部205にサンプリング周波数及びサンプリング数を指示し、信号入力部205からセンシングデータを取得する。信号処理部206は、取得したセンシングデータから、項目304に設定された係数と、項目305に設定された閾値を使用して時間T1を導出し、時間T1の情報を、図3(a)の設定テーブル250の項目306を設定する。
【0057】
以下、信号処理部206がセンサ102に対する時間T1の情報を設定する設定処理について詳細に説明する。センサ103に対する時間T1の設定処理もセンサ102に対する時間T1の設定処理と同様であるため、説明を省略する。なお、センサ102,103に対する両方の設定処理を同時に実行可能であれば、同時に実行してもよいし、一方のセンサに対する設定処理の後、他方のセンサに対する設定処理を順番に実行してもよい。
【0058】
図4は、第1実施形態に係る情報処理方法のフローチャートである。即ち、図4は、監視ノード装置104が起動してからの処理のフローチャートである。ここで、「起動」は、電池203からの電力が監視ノード装置104の各部に供給開始されることをいう。例えば、「起動」とは、監視ノード装置104の不図示の電源スイッチがオンされた場合である。また、「起動」とは、監視ノード装置104が不図示のリセットスイッチを有していれば、不図示のリセットスイッチがオンされた場合である。つまり、起動には、再起動が含まれる。
【0059】
まず、ステップS1において、電源スイッチがオンされ、監視ノード装置104が起動する。ステップS2において、信号処理部206は、所定のノード起動処理を実行する。例えば、記憶部210に記憶されている情報を、不図示のRAMに展開する。その後、信号処理部206は、設定モードにおいて、設定処理401を実行する。信号処理部206は、この設定処理401において、センサ102への給電開始後のセンシングデータを用いて時間T1を求める。第1実施形態の設定処理401に用いるセンシングデータは、測定データを求めるためのデータではなく、時間T1の導出用のデータである。
【0060】
なお、設定処理401は、機械装置101においてセンサ102の測定環境に変動がない状態、あるいは変動がないとみなせる状態で実行される。例えば、センサ102が温度センサであったならば、設定処理401は、温度変化がない状態、あるいは温度変化がないとみなせる状態で実行される。センシングデータが環境に応じて変化してしまうと、収束判定が困難となるためである。
【0061】
以下、設定処理401について具体的に説明する。ステップS3において、信号処理部206は、チャンネル端子ch1に接続されたセンサ102へ給電を開始する。ステップS4において、信号処理部206は、信号入力部205に、サンプリング周波数及びサンプリング数を指示してAD変換処理を行わせる。このステップS4の処理の開始タイミングは、ステップS3の処理と同時、即ちセンサ102への給電を開始したタイミングと同じである。ステップS4により、信号処理部206は、指定されたサンプリング数のセンシングデータを、センサ102への給電を開始した時点以降、信号入力部205から順次取得する。
【0062】
次に、ステップS5において、信号処理部206は、これらセンシングデータを用いて、収束時間である時間T2を算出する。時間T2は、第2時間である。図5(a)及び図5(b)は、第1実施形態における収束判定処理の説明図である。なお、センサ102の出力であるアナログ信号は、例えば電圧でありこの出力電圧をAD変換することにより、デジタルの出力電圧値が得られる。よって、図5(a)の縦軸は、電圧値である。横軸は、経過時間である。
【0063】
ステップS5において、信号処理部206は、ステップS4で得られたセンシングデータにローパスフィルタ処理を施すことで、図5(a)に示すような、ローパスフィルタ処理が施されたセンシングデータ501を生成する。このローパスフィルタ処理のカットオフ周波数は、例えば100Hzである。これにより、センシングデータ501において、判定に不要なノイズ成分(高周波の変動成分)が除去され、センシングデータ501は、時間に対して滑らかなプロファイルとなる。よって、ローパスフィルタ処理が施されたセンシングデータ501を用いることで、収束判定が容易となる。即ち、収束判定の計算処理における計算結果のばらつきを低減することができる。なお、設定処理401において、ローパスフィルタ処理を実施するのが好ましいが、センシングデータの変動成分が小さいような場合、即ち収束判定に支障がない場合には、ローパスフィルタ処理は、省略してもよい。
【0064】
図5(a)に示すように、センシングデータ501は、時間が経過するに連れて、過渡応答によって変動する状態から変動が収束する状態へと変化する。以下、ローパスフィルタ処理をしたセンシングデータ501の過渡応答により、収束のタイミング504を求める。
【0065】
即ち、信号処理部206は、センシングデータ501が収束条件を満たす収束時間である時間T2を求める。具体例を挙げて説明する。信号処理部206は、センシングデータ501から所定期間ごとの特徴量502を計算する。図5(b)において、縦軸は、特徴量であり、横軸は、経過時間である。特徴量502は、例えばセンシングデータ501の1階の時間微分値、即ちセンシングデータ501の勾配である。信号処理部206は、特徴量502と閾値503との大小比較を行い、閾値503を下回った時点の特徴量502におけるタイミング504を求める。この閾値503の情報は、図3(a)に示す項目304に設定された閾値を用いる。センサ102の場合、図3(a)の例では閾値は0.03である。
【0066】
なお、タイミング504は、複数の特徴量502が連続で閾値を下回った時点としてもよい。また、特徴量502として、1階の時間微分値としたがこれに限定するものではなく、例えば分散値やその他の値としてもよい。特徴量の算出方法によっては、タイミング504を、特徴量502が閾値を上回った時点としてもよい。
【0067】
次に、信号処理部206は、センサ102に給電を開始してからタイミング504までの時間を、収束時間、即ち時間T2として算出する。以上、ステップS5において、信号処理部206は、センシングデータ501が収束条件を満す時間T2を求める。
【0068】
次に、ステップS6において、信号処理部206は、時間T2の情報から時間T1の情報を求める。センサ102に給電を開始した時点から時間T1が経過した時点では、センシングデータは安定しているため、時間T1を時間T2と同じ時間に設定してもよい。しかし、よりセンシングデータの安定性を確保するため、時間T1を時間T2よりも長い時間に設定するのが好ましい。よって、第1実施形態では、ステップS6において、信号処理部206は、時間T2よりも長くなるように時間T1を求める。
【0069】
第1実施形態では、図3(a)に示すように、項目304に係数が設定されている。センサ102の場合、図3の例では係数は1.2である。係数は、1よりも大きいのが好ましい。信号処理部206は、時間T2に、設定テーブル250において予め登録されている係数(例えば1.2)を乗算して時間T1を求める。これにより、時間T1は、時間T2よりも長い時間となる。
【0070】
次に、ステップS7において、信号処理部206は、求めた時間T1を設定する。具体例を挙げて説明すると、信号処理部206は、求めた時間T1の情報を、設定テーブル250に設定(登録)する。図3(b)に示す例では、時間T1の情報として、150msecが登録される。
【0071】
以上、信号処理部206が、センサ102に対応する時間T1を設定する場合について説明したが、センサ103についても同様に設定する。即ち、第1実施形態では、信号処理部206は、複数のセンサ102,103の各々に対して個別に時間T1を設定する。
【0072】
以上の設定処理が終了すると、ステップS8において、信号処理部206は、設定モードから測定モードへと移行し、測定ルーティン処理402を開始する。測定ルーティン処理は、センサを用いて測定を行う測定処理である。測定ルーティン処理402について詳細に説明する。図5(c)は、第1実施形態における測定ルーティン処理の説明図である。なお、センサ102の出力であるアナログ信号は、例えば電圧でありこの出力電圧をAD変換することにより、デジタルの出力電圧値が得られる。よって、図5(c)の縦軸は、電圧値である。横軸は、経過時間である。
【0073】
センサ102を用いて測定するためのイベント条件が成立すると、信号処理部206は、電力供給部204にセンサ102への給電を行わせるとともに、計時を開始する。そして、信号処理部206は、設定した時間T1が経過した時点から予め設定された測定時間T3に亘って、測定を行う。即ち、信号処理部206は、信号入力部205にAD変換処理を行わせ、測定時間T3に亘って、信号入力部205から時間T1が経過した時点以降のセンシングデータ505を取得する。測定時間T3は、サンプリング周波数及びサンプリング数で決まる。即ち、信号処理部206は、時間T1が経過した時点で信号入力部205にサンプリング周波数及びサンプリング数を指示する。これにより、信号入力部205は、指示されたサンプリング周波数で、指示されたサンプリング数のセンシングデータ505を信号処理部206に出力する。
【0074】
測定時間T3の経過後は、信号処理部206は、電力供給部204にセンサ102への給電を停止させる。信号処理部206は、センシングデータ505に例えば平均値処理などの処理内容の信号処理をして測定データ506を生成する。測定データ506は、図2の出力部207によって図1の監視ゲートウェイ装置106に出力される。
【0075】
なお、第1実施形態では、信号処理部206は、監視ノード装置104が起動される度に、監視ノード装置104の起動時に、図4に示す設定処理401を実行する。したがって、信号処理部206は、設定処理401において、センサに対して時間T1が既設定の場合には、時間T1を再設定する。例えば、センサ102,103のほかに新たなセンサを追加した場合、この時点でセンサ102,103に対して時間T1は既設定であり、新たなセンサに対して時間T1は未設定である。この状態で監視ノード装置104を起動させることで、センサ102,103に対して時間T1が再設定され、新たなセンサに対して時間T1が新たに設定される。センサ102を新たなセンサに交換した場合も同様である。即ち、信号処理部206は、監視ノード装置104の起動時に設定処理401を実行することで、監視ノード装置104の起動時に監視ノード装置104に接続されている複数のセンサの各々に対し時間T1を設定又は再設定する。このように、監視ノード装置104が起動される度に設定処理401が実行されるので、センサの追加、交換及び変更などが容易となる。
【0076】
なお、監視ノード装置104の起動時、即ち監視ノード装置104の電源がオンされた時に、設定テーブル250における項目306の情報を全て消去するようにしてもよい。つまり、項目306の情報を上書き保存するのではなく、一旦消去して、新たに書き込むようにしてもよい。
【0077】
以上、第1実施形態によれば、信号処理部206が自動で時間T1を設定するので、人が意識することなく、自立的に時間T1を設定することができる。また、信号処理部206が自動で時間T1を設定するので、人が手動で時間T1を設定するのに比べ、人の作業負担が大幅に軽減する。即ち、人が時間T1を正確に設定しようとすると、実験や分析を行う必要があり、人の作業負担が大きいものであるが、この作業負担を軽減することができる。そして、安定した測定データ506が得られる。
【0078】
また、設定される時間T1が最適化され、監視ノード装置104における消費電力量を低減することができる。即ち、電池203における容量低下を抑制することができる。
【0079】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る情報処理方法について説明する。なお、第2実施形態において、生産設備の全体構成は、第1実施形態の生産設備1000の全体構成と同様であり、説明を省略する。第2実施形態においては、情報処理方法の一部が第1実施形態と異なる。
【0080】
即ち、第1実施形態では、監視ノード装置104の起動時に監視ノード装置104に接続されているセンサの全てに対して、時間T1が設定又は再設定される場合について説明した。第2実施形態では、監視ノード装置104の起動時に時間T1が未設定のセンサに対してのみ時間T1が設定される場合について説明する。以下、第2実施形態において、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、同様の部分については説明を省略する。
【0081】
図6は、第2実施形態に係る情報処理方法のフローチャートである。即ち、図6は、監視ノード装置104が起動してからの処理のフローチャートである。
【0082】
まず、ステップS61において、電源スイッチがオンされ、監視ノード装置104が起動する。ステップS62において、信号処理部206は、所定のノード起動処理を実行する。
【0083】
その後、ステップS63において、信号処理部206は、設定テーブル250を記憶部210から読み込む。これにより、信号処理部206は、測定を行うセンサに対するチャンネル番号と時間T1の情報を取得する。
【0084】
ステップS64において、信号処理部206は、監視ノード装置104に接続されているセンサ102,103のそれぞれに対して、時間T1の情報が設定されているか否かを判定する。即ち、信号処理部206は、設定テーブル250に、各センサ102,103に対応する時間T1の情報が登録されているか否かを判定する。
【0085】
センサ102,103のうちのいずれかに対して、時間T1の情報が未設定の場合(S64:YES)、ステップS65の設定モードにおいて、設定処理401を実行する。いずれのセンサに対しても、時間T1の情報が既に設定されている場合(S64:NO)、ステップS65の処理をスキップする。即ち、信号処理部206は、設定処理401を、センサ102,103のうちいずれかセンサに対して時間T1が未設定の場合に実行する。
【0086】
例えば、センサ102,103の両方に対して時間T1の情報が既設定であれば、信号処理部206は、ステップS65の処理をスキップする。センサ102に対して時間T1の情報が未設定であり、センサ103に対して時間T1の情報が既設定であれば、信号処理部206は、ステップS65において、センサ102に対してのみ時間T1の情報を設定する。センサ102,103の両方に対して時間T1の情報が未設定であれば、信号処理部206は、ステップS65において、センサ102,103の両方に対して時間T1の情報を設定する。
【0087】
ステップS66の測定モードにおいて、信号処理部206は、測定ルーティン処理402を実行する。
【0088】
以上、第2実施形態では、設定処理401が実行されると、設定テーブル250に時間T1の情報が登録され、監視ノード装置104の電源がオフにされても、時間T1の情報が保持される。そして、信号処理部206は、監視ノード装置104の次回の起動時に、時間T1の情報がない場合にだけ、時間T1を自動で設定する。これにより、監視ノード装置104における消費電力量を更に低減することができ、更なる省エネルギーを実現することができる。
【0089】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る情報処理方法について説明する。なお、第3実施形態において、生産設備の全体構成は、第1実施形態の生産設備1000の全体構成と同様であり、説明を省略する。第3実施形態においては、情報処理方法の一部が第1実施形態と異なる。
【0090】
まず、第1実施形態では、監視ノード装置104に、1つのセンサのみが接続される場合であっても、複数のセンサが接続される場合であってもよいが、第3実施形態では、監視ノード装置104に複数のセンサが接続される場合を前提とする。
【0091】
また、第1実施形態では、監視ノード装置104に複数のセンサが接続される場合、各センサに対して個別に時間T1を設定する場合について説明した。第3実施形態では、グループごとに時間T1を設定し、ある1つのグループに属するセンサには、時間T1として同一時間を設定する場合について説明する。以下、第3実施形態において、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、同様の部分については説明を省略する。
【0092】
図1において、端子部105の4つのチャンネル端子ch1~ch4に不図示の4つのセンサがそれぞれ接続されている場合を例に説明する。図7は、第3実施形態に係る設定テーブル250Bの一例を示す説明図である。第3実施形態では、図2に示す設定テーブル250の代わりに図7に示す設定テーブル250Bが、記憶部210に格納される。
【0093】
設定テーブル250Bは、端子部105における各チャンネル端子に割り当てたチャンネル番号が設定される項目702を含む。また、設定テーブル250Bは、各センサの型番の情報が設定される項目703を含む。また、設定テーブル250Bは、各センサに印加する動作電圧の情報が設定される項目704を含む。また、設定テーブル250Bは、各時間T1を計算するための係数が設定される項目705と、各センサの出力電圧の収束判定に使用する閾値が設定される項目706と、を含む。また、設定テーブル250Bは、各センサに対応して求めた暫定の第1時間である時間T1’の情報が設定される項目707を含む。また、設定テーブル250Bは、各センサの属するグループ番号の情報が設定される項目708を含む。また、設定テーブル250Bは、各センサに対応して求めた第1時間である時間T1の情報が設定される項目709を含む。なお、図7に示す設定テーブル250Bにおいて、設定処理の実行前は、項目707~709内は、空欄である。項目702~706内の情報は、人が設定する。
【0094】
以下、第3実施形態の設定モードにおいて、信号処理部206が実行する設定処理について具体的に説明する。なお、図7に示す設定テーブル250Bにおいて、設定前は項目707~709内が空欄であるものとし、信号処理部206がこれらを自動で設定するものとして説明する。
【0095】
信号処理部206は、監視ノード装置104の起動時、設定テーブル250Bに設定済みの情報に基づいて、複数のセンサのグルーピングを実行する。例えば、信号処理部206は、型番の項目703又は動作電圧の項目704を参照して、グルーピングを実行する。信号処理部206は、グルーピングの結果、各センサに割り当てたグループ番号を項目708に登録する。
【0096】
ここで、グルーピングの方法の一例について説明すると、チャンネル番号1~3は、型番が「XX-YY-00」で同一であり、チャンネル番号4は、型番が「AA-BB-11」でチャンネル番号1~3の型番と異なる。よって、信号処理部206は、型番が「XX-YY-00」のチャンネル番号1~3に対しては、グループ番号1を割り振り、型番が「AA-BB-11」のチャンネル番号4に対しては、グループ番号2を割り振る。
【0097】
このように、複数(4つ)のセンサの各々は、複数のグループのいずれかに含まれる。図7の例では、チャンネル番号1~3が割り振られた3つのセンサが、グループ番号1のグループに属し、チャンネル番号4が割り振られた1つのセンサが、グループ番号2のグループに属する。
【0098】
なお、グルーピングの方法は、これに限定するものではない。例えば、信号処理部206は、図7に示す動作電圧の項目303の情報を用いてグルーピングを行ってもよい。また、図7に示す設定テーブル250Bには含まれていないものの、信号処理部206がグルーピングに使用する情報として、センサ種類識別子、又は測定サンプリング周期を用いてもよい。あるいは、人が事前に項目708にグループの情報を登録しておいてもよい。
【0099】
信号処理部206は、複数のグループのいずれかのグループにおいて2以上のセンサが含まれている場合、2つ以上のセンサに対し時間T1を同一に設定する。図7の例では、2つのグループがあり、グループ番号1のグループが2以上のセンサ、即ち3つのセンサが含まれる。よって、信号処理部206は、これら3つのセンサのそれぞれに対して、時間T1を、同一の500msecに設定する。
【0100】
第3実施形態では、信号処理部206は、設定処理において、これら2つ以上のセンサの各々に対し時間T1’を求め、2つ以上のセンサに対する2つ以上の時間T1’のうち、最大のものを時間T1に設定する。なお、暫定の時間である時間T1’の求め方は、第1実施形態において時間T1を求める方法と同一である。
【0101】
信号処理部206は、設定処理において、複数のセンサに同時に給電を行って、各センサに対応するセンシングデータを一括して取得するようにしてもよいが、複数のセンサに順番に給電を行って、センシングデータを順番に取得するようにしてもよい。
【0102】
各センサに対応するセンシングデータを取得した信号処理部206は、同一グループに属するセンサに対応する時間T1’の情報の中で最大のものを、時間T1の情報として項目709に登録する。測定モードにおける測定ルーティン処理では、図7における項目709に設定されている時間T1の情報が参照される。
【0103】
図7の例では、グループ番号1に属する3つのセンサのうち、チャンネル番号1の時間T1’が500msec、チャンネル番号2の時間T1’が350msec、チャンネル番号3の時間T1’が400msecである。これら時間T1’を比較して、最大のものは、500msecである。したがって、項目709において、チャンネル番号1~3の時間T1は、500msecに設定される。
【0104】
チャンネル番号2のセンサ、及びチャンネル番号3のセンサは、設定処理をした段階では、350msec及び400msecと、500msecよりも短い。しかし、時間T1’が経年変動することを考慮すると、同一グループ内では、時間T1を最長の500msecに設定されるのが好ましい。
【0105】
以上、第3実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、長期に亘って安定した測定が可能となる。
【0106】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る情報処理方法について説明する。なお、第4実施形態において、生産設備の全体構成は、第1実施形態の生産設備1000の全体構成と同様であり、説明を省略する。第4実施形態においては、情報処理方法の一部が第1実施形態と異なる。
【0107】
第1実施形態では、信号処理部206が、設定処理を、測定ルーティン処理とは別に行う場合、即ち測定用のセンシングデータを取得するのとは別に、設定用のセンシングデータを取得する場合について説明した。第4実施形態では、信号処理部206が、センシングデータを測定用又は設定用と区別せず、一連のセンシングデータから測定データを生成しつつ、時間T1も設定する場合について説明する。以下、第4実施形態において、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、同様の部分については説明を省略する。
【0108】
図8は、第4実施形態に係る測定ルーティン処理の一例を示す説明図である。第4実施形態において、第1~第3実施形態と同様、信号処理部206は、監視ノード装置104が起動した後に1回だけ、時間T1の設定処理を実行する。しかし、第4実施形態において、第1~第3実施形態と異なり、信号処理部206は、測定データ806の取得に用いたセンシングデータ801を用いて時間T1を再設定する。
【0109】
即ち、信号処理部206は、電源が投入された後に、所定のノード起動処理を行う。そして、信号処理部206は、ノード起動処理を実行した後、測定ルーティン処理を実行する。
【0110】
ここで、記憶部210には、予めデフォルト時間802の情報が記憶されている。即ち、第1実施形態では、図3(a)に示す設定テーブル250において、時間T1の情報が設定される項目303内は、空欄であった。第4実施形態では、設定テーブル250において、項目303にデフォルト時間802の情報が既設定である。デフォルト時間802は、人によって設定される。デフォルト時間802は、収束時間よりも十分に長い時間に設定されればよく、正確な時間でなくてもよい。監視ノード装置104が起動して最初の測定時にセンシングデータ801がサンプリングされる時間は長くなるが、監視ノード装置104の起動後の最初の1回のみである。そのため、この測定によって消費される電力量はわずかである。
【0111】
信号処理部206は、測定ルーティン処理の初回の測定において、センサへの給電を開始した時点からデフォルト時間802と測定に必要な測定時間803との合計の時間が経過する時点までのセンシングデータ801を信号入力部205から取得する。センシングデータ801は、デフォルト時間802で取得されたセンシングデータ804と、測定時間803で取得されたセンシングデータ805とからなる。信号処理部206は、センサへの給電開始後のセンシングデータであってセンサへの給電を開始してからデフォルト時間802が経過した時点以降のセンシングデータ805を用いて、例えば平均値処理などの信号処理により、測定データ806を生成する。センシングデータ801のうち、安定したセンシングデータ805から測定データ806が生成される。
【0112】
信号処理部206は、この初回の測定タスクの終了後に、センシングデータ801を使用して、設定処理を実行することで、時間T1の導出及び登録を行う。即ち、信号処理部206は、第1実施形態と同様、センシングデータ801を用いて設定処理を実行し、設定テーブル250において時間T1の情報を再設定する。
【0113】
監視ノード装置104の起動後の2回目以降の測定時には、信号処理部206は、第1実施形態と同様、設定テーブル250を参照し、測定を実施する。
【0114】
第4実施形態では、時間T1の情報が再設定されるので、人は、収束時間を正確に計算しなくてもよい。このように、第4実施形態によれば、時間T1として人がデフォルト時間802を設定するものの、後に時間T1が自動的に再設定される。このため、第1実施形態と同様、人の作業負担が大幅に軽減する。また、設定処理のためだけにセンシングデータを取得する必要がなくなるため、更なる省エネルギー化を実現することができる。
【0115】
なお、2回目以降の監視ノード装置104の起動時、信号処理部206は、設定テーブル250において時間T1の情報を、デフォルト時間802の情報に書き換えてもよいし、そのまま登録されている情報のままとしてもよい。いずれにしても、時間T1は、既設定であり、監視ノード装置104の起動後の最初の測定時には、上述の処理が実行される。
【0116】
また、設定テーブル250とは別に、デフォルト時間802が登録されている不図示のテーブルが、記憶部210に記憶されていてもよい。そして、監視ノード装置104の起動後の最初の測定時には、設定テーブル250の項目306に登録されている時間T1の情報を参照するのではなく、別の不図示のテーブルの情報を参照するにしてもよい。そして、信号処理部206は、監視ノード装置104の起動後の2回目以降の測定時には、設定テーブル250の項目306を参照してもよいし、不図示のテーブルを参照してもよい。
【0117】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る情報処理方法について説明する。なお、第5実施形態において、生産設備の全体構成は、第1実施形態の生産設備1000の全体構成と同様であり、説明を省略する。第5実施形態においては、情報処理方法の一部が第1実施形態と異なる。
【0118】
第1実施形態では、測定モードにおいて、信号処理部206が、イベント条件が成立したタイミングで、センサへの給電を開始する場合について説明した。第5実施形態では、イベント条件が測定予定時刻に到達するという条件である場合における信号処理部206の処理動作について説明する。以下、第5実施形態において、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、同様の部分については説明を省略する。
【0119】
図9は、第5実施形態に係る測定ルーティン処理の説明図である。図9は、横軸を時間としたタイムチャートである。測定モードにおいて測定を行わない期間中、信号処理部206は、センサへの給電を停止するスリープ動作を行う。スリープ動作は、省エネルギー動作とも言い換えることができる。
【0120】
第5実施形態の測定モードにおいて、図9に示すように、信号処理部206は、設定モードの設定処理で設定した時間T1だけ測定予定時刻901よりも早いタイミング904でセンサへの給電を開始する。そして、信号処理部206は、センサへの給電を開始したタイミング904から時間T1だけ待機する。そして、信号処理部206は、時間T1が経過したタイミング905で測定を開始し、時間T3が経過したタイミング907で測定を終了する。
【0121】
ここで、第5実施形態では、信号処理部206は、スリープ動作に入る前に、記憶部210に記憶されている測定情報から測定予定時刻901を算出しておく。信号処理部206は、算出した測定予定時刻901から時間T1を減算することで、給電開始のタイミング904を求めておき、測定開始のタイミング905を、次回の給電開始のタイミング904として記憶部210に記録しておく。以上のルーティン処理を繰り返すことで、測定予定時刻901と測定開始のタイミング905とを一致させることができる。そしてスリープ動作中に、給電開始のタイミングになればセンサへの給電を開始させ、測定開始のタイミングになればセンサからの測定値を取得する。以上により、スリープ動作中でも、適切なタイミングでセンサに給電を開始できると共に、適切なタイミングでセンサから測定値を取得できる。
【0122】
第5実施形態によれば、測定予定時刻と実際の測定開始時刻とを一致させることができるので、リアルタイム性の高いシステムを提供することができる。また、複数のセンサが監視ノード装置104に接続される場合にも、各センサの実際の測定タイミングをそれぞれの測定予定時刻に揃えることができる。
【0123】
なお本実施形態では、スリープ動作としてセンサへの給電を停止し、監視ノード101の機能部全てに給電を続けている。しかしながら、更に電力消費を抑えるならば、スリープ動作中は、トリガ発生部202、電力供給部204、信号処理部206、記憶部210のみに給電し、他は停止させても構わない。
【0124】
[第6実施形態]
第6実施形態に係る情報処理方法について説明する。なお、第6実施形態において、生産設備の全体構成は、第1実施形態の生産設備1000の全体構成と同様であり、説明を省略する。第6実施形態においては、情報処理方法の一部が第1実施形態と異なる。以下、第6実施形態において、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、同様の部分については説明を省略する。
【0125】
監視ノード装置104の記憶部210には、判定に用いる所定時間T0の上限値及び下限値が設定される。なお、必要に応じて上限値又は下限値のいずれかが省略されていてもよい。図10は、第6実施形態に係る情報処理方法のフローチャートである。即ち、図10は、監視ノード装置104が起動してからの処理のフローチャートである。
【0126】
まず、ステップS101において、電源スイッチがオンされ、監視ノード装置104が起動する。ステップS102において、信号処理部206は、所定のノード起動処理を実行する。
【0127】
その後、ステップS103において、信号処理部206は、第1実施形態と同様、設定処理を実行し、時間T1を設定する。ステップS104において、信号処理部206は、時間T1が所定時間T0の範囲内であるかどうかを判定する。時間T1が所定時間T0の範囲内であれば(S104:YES)、信号処理部206は、第1実施形態と同様、測定ルーティン処理を実行する(S105)。
【0128】
時間T1が所定時間T0の範囲を超える場合(S104:NO)、信号処理部206は、アラートを出力するアラート処理を実行する(S106)。アラートを出力するとは、アラートを示す信号又はデータを出力することである。
【0129】
以下、アラート処理の具体例について説明する。アラート処理として、信号処理部206は、異常識別子を含むデータを、出力部207に、上位装置である監視ゲートウェイ装置106へ無線又は有線で送信させる。そして、端末109がアラートを示す画像を表示することで、人に警告を発することができる。
【0130】
アラート処理は、これに限定するものではない。例えば、アラート処理として、信号処理部206は、不図示のLEDを点灯させる処理、不図示の表示器に警告画像を表示させる処理、又は不図示のブザーを鳴らす処理などを行ってもよい。
【0131】
また、所定時間T0の下限値を5msecに設定しておいた場合を例に説明する。センサと監視ノード装置との間のケーブルで断線していると、センサの電圧値が、センサに給電を開始時から不変である。このため、時間T1は、0msecと算出され、記憶部210に登録される。信号処理部206は、時間T1が0msecで、所定時間T0の下限値である5msecを下回っているため、アラート処理を実行する。アラート処理として、信号処理部206は、例えば不図示のLEDを点灯させる。これによって、ユーザなどの人は、センサ又はケーブルなどに異常があることを、生産設備の運用開始前に知ることができる。
【0132】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
【0133】
上述の実施形態では、監視対象である機械装置101に複数のセンサ、例えば2つのセンサ102,103が設けられる場合について説明したが、これに限定するものではない。機械装置101に複数のセンサが設けられるのが好適であるが、機械装置101に設けられるセンサが1つのみの場合であってもよい。
【0134】
また、上述の実施形態では、監視対象である機械装置101の一例としてポンプである場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、機械装置101が6軸多関節ロボットであってもよいし、制御装置に設けられる記憶装置の情報に基づき、伸縮、屈伸、上下移動、左右移動もしくは旋回の動作、またはこれらの複合動作を自動的に行うことができる機械であってもよい。
【0135】
また、上述の実施形態では、監視ノード装置が電池で駆動される場合について説明したが、これに限定するものではない。上述の実施形態では、電池における容量低下を低減する、即ち電池の持ち時間を長くするのに好適であるが、省エネルギーという観点から、電源装置や商用電源によって監視ノード装置が駆動される場合であっても、本発明は適用可能である。
【0136】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0137】
100…監視システム(システム)、101…機械装置、102…センサ、103…センサ、104…監視ノード装置(情報処理装置、ノード装置)、106…監視ゲートウェイ装置(ゲートウェイ装置)、206…信号処理部(処理部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10