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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 33/50 20220101AFI20240826BHJP
   B01F 27/806 20220101ALI20240826BHJP
   B01F 35/40 20220101ALI20240826BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B01F33/50
B01F27/806
B01F35/40
C02F11/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020188945
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077884
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋
(72)【発明者】
【氏名】繁泉 恒河
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼地 春菜
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-054460(JP,U)
【文献】実開昭57-167742(JP,U)
【文献】実開昭57-167738(JP,U)
【文献】実開昭54-007172(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/00 - 27/96
B01F 33/50 - 33/503
B01F 35/40 - 35/43
C05B 1/00 - 21/00
C05C 1/00 - 13/00
C05D 1/00 - 11/00
C05G 1/00 - 5/40
C02F 11/00 - 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナが設置される設置面から上方に延び、互いに離隔する一対の柱部と、
一対の前記柱部の上部に架設されたアーム部と、
前記アーム部から下方に延出し、かつ前記柱部よりも短い支持部材と、
前記支持部材の下部に固定された撹拌機と、
前記撹拌機の高さを調整可能な高さ調整機構と、
を備え、
前記撹拌機は、前記一対の柱部の下端より上方に配置され
前記支持部材は、前記撹拌機を回動自在に支持することで前記撹拌機の高さを調整する前記高さ調整機構を有しており、
前記柱部が延在する方向を上下方向とし、
前記支持部材は、前記アーム部に固定され前記上下方向に延在する第1軸部と、前記第1軸部の下方に配置され前記撹拌機に連結する第2軸部と、前記第1軸部の下部と前記第2軸部の上部を回動自在に連結する自在クランプと、を有し、
前記第2軸部が回動する中心軸は、前記アーム部が延在する方向と平行であり、
前記撹拌機が回動する方向は、前記アーム部の上方から視て前記アーム部と交差する方向である
撹拌装置。
【請求項2】
コンテナが設置される設置面から上方に延び、互いに離隔する一対の柱部と、
一対の前記柱部の上部に架設されたアーム部と、
前記アーム部から下方に延出し、かつ前記柱部よりも短い支持部材と、
前記支持部材の下部に固定された撹拌機と、
前記撹拌機の高さを調整可能な高さ調整機構と、
を備え、
前記撹拌機は、前記一対の柱部の下端より上方に配置され
前記支持部材は、前記撹拌機を回動自在に支持することで前記撹拌機の高さを調整する前記高さ調整機構を有しており、
前記支持部材の上部には、前記アーム部と回動自在に連結する連結軸が設けられ、
前記連結軸は、前記柱部が延在する上下方向と、前記アーム部が延在する方向と、の両方に交差する方向に延在し、
前記撹拌機が回動する方向は、前記アーム部の上方から視て前記アーム部と平行である
撹拌装置。
【請求項3】
前記アーム部と前記支持部材とを連結し、前記支持部材を前記アーム部に沿ってスライド自在に支持するスライド機構を備える
請求項1又は請求項2に記載の撹拌装置。
【請求項4】
一対の前記柱部の下部に設けられて前記設置面に対し、移動可能な移動部を備える
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の撹拌装置。
【請求項5】
前記撹拌機は、前記コンテナの上方に配置された散水機と、前記コンテナの側壁と、の間に挿入可能である
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の撹拌装置。
【請求項6】
一対の前記柱部は、側面において前記コンテナの側壁に沿って案内するガイド部を備える
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の撹拌装置。
【請求項7】
一対の前記柱部は、側面において前記コンテナの側壁に沿って案内するガイド部を備え、
前記ガイド部は、前記移動部よりも上方に配置される
請求項に記載の撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撹拌装置は、撹拌翼を回転させて対象物をかき混ぜる装置である。また、撹拌装置は、複数の爪で対象物を耕起して対象物をかき混ぜるものもある。特許文献1の撹拌装置は、肥料を撹拌するためのものであり、肥料の上方を跨ぐ門型の本体部と、本体部に支持される撹拌機と、を備える。門型の本体部は、肥料の両側で上方に延びる一対の柱部と、その一対の柱部に架設されたアーム部と、を備える。撹拌機は、アーム部から垂れ下がるように支持され、肥料を上方から撹拌する。さらに、特許文献1の各柱部には、撹拌機よりも前方にある前輪と、撹拌機よりも後方にある後輪と、が設けられている。よって、特許文献1の撹拌装置は、合計4つの車輪を有している。そして、4つの車輪が肥料を収容する一対の収納壁の上面を転動することで、撹拌装置を移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-145763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンテナには積載重量の制限があるため、コンテナ内の堆積物の高さが低い場合がある。特許文献1の撹拌装置をコンテナの上面に載置すると、撹拌機を支持する軸を長尺化する必要がある。軸の長尺化によって、撹拌機の支持剛性が低下し、撹拌機の動作が不安定になる可能性がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、コンテナ内で堆積物を撹拌でき、且つ撹拌機の動作を安定させることができる撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係る撹拌装置は、コンテナが設置される設置面から上方に延び、互いに離隔する一対の柱部と、一対の前記柱部の上部に架設されたアーム部と、前記アーム部から下方に延出し、かつ前記柱部よりも短い支持部材と、前記支持部材の下部に固定された撹拌機と、前記撹拌機の高さを調整可能な高さ調整機構と、を備える。前記撹拌機は、前記一対の柱部の下端より上方に配置される。
【0007】
撹拌装置において、一対の前記柱部は、上下方向に伸縮自在である前記高さ調整機構を有してもよい。
【0008】
撹拌装置において、前記支持部材は、前記撹拌機を回動自在に支持する前記高さ調整機構を有しており、前記撹拌機が回動する方向は、平面視で前記アーム部と交差する方向であってもよい。
【0009】
撹拌装置において、前記支持部材は、前記撹拌機を回動自在に支持する前記高さ調整機構を有しており、前記撹拌機が回動する方向は、平面視で前記アーム部と平行であってもよい。
【0010】
撹拌装置において、前記アーム部と前記支持部材とを連結し、前記支持部材を前記アーム部に沿ってスライド自在に支持するスライド機構を備えてもよい。
【0011】
撹拌装置において、一対の前記柱部の下部に設けられて前記設置面に対し、移動可能な移動部を備えてもよい。
【0012】
撹拌装置において、前記撹拌機は、前記コンテナの上方に配置された散水機と、前記コンテナの側壁と、の間に挿入可能であってもよい。
【0013】
撹拌装置において、一対の前記柱部は、側面において前記コンテナの側壁に沿って案内するガイド部を備えてもよい。
【0014】
撹拌装置において、一対の前記柱部は、側面において前記コンテナの側壁に沿って案内するガイド部を備え、前記ガイド部は、前記移動部よりも上方に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示の撹拌装置によれば、コンテナ内で堆積物を撹拌でき、且つ撹拌機の動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る撹拌装置の平面図である。
図3図3は、図1のIII―III線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る支持部材を拡大し、一部断面にした部分断面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。
図6図6は、第2実施形態に係る支持部材の一部を拡大した拡大図である。
図7図7は、第3実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。
図8図8は、第4実施形態の撹拌装置に対応するコンテナの側面図である。
図9図9は、図8のIX-IX線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。
図10図10は、図8のX-X線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。
図11図11は、第4実施形態の撹拌装置に対応するコンテナの側面図である。
図12図12は、図11のXII-XII線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。
図13図13は、図11のXIII-XIII線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。
図14図14は、第5実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。
図15図15は、図14の撹拌装置を前後方向で切った断面を側方から視た場合の断面図である。
図16図16は、第5実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。
図17図17は、図16の撹拌装置を前後方向で切った断面を側方から視た場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。図2は、第1実施形態に係る撹拌装置の平面図である。図3は、図1のIII‐III線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。図4は、第1実施形態に係る支持部材を拡大し、一部断面にした部分断面図である。
【0019】
撹拌装置1を説明する前に、コンテナ100について説明する。図1に示すように、コンテナ100は、上部に開口部101を有する。コンテナ100は、下面に、図示しない車輪(図16図17にのみ図示)を備えている。コンテナ100は、脱着式コンテナのように車両による運搬が可能な可搬式の容器である。コンテナ100が設置される設置面90は、特に限定されないが、平坦な面であることが好ましい。図2に示すように、コンテナ100は、平面視で長方形状となっている。つまり、コンテナ100は、水平方向において長手方向と短手方向とが存在する。以下、長手方向を前後方向Xと称する。短手方向を左右方向Yと称する。また、鉛直方向を高さ方向Zと称する。
【0020】
図1に示すようにコンテナ100は、第1底壁110と、4つの側壁(図2に示す、前側壁111、右側壁112、左側壁113、後側壁114を参照)と、第2底壁115と、を備える。よって、コンテナ100の内部には、第1底壁110を底面とし、第2底壁115を天面とする第1室102と、第2底壁115を底面とし、上方が開口部により開口する第2室103と、の2つの空間を有している。第2室103には、焼却灰200が積載されている。そして、第2底壁115の上面に、焼却灰200が敷き詰められている。
【0021】
図3に示すように、後側壁114には、第1室102と外部空間とを連通する供給穴114aが設けられている。第2底壁115には、高さ方向Zに貫通する貫通孔115aが複数設けられている。そして、供給穴114aを介して、第1室102に二酸化炭素(CO)を含有するガスが供給される。これにより、第1室102のガスは、貫通孔115aを介して第2室103の方に流れる(図3の矢印を参照)。そして、焼却灰200は、貫通孔115aを介して供給されるガスと通気し、炭酸化反応する。これにより、焼却灰200に含まれるカルシウム、及び鉛等の重金属が難溶化する。
【0022】
なお、焼却灰200は、特別管理廃棄物に該当するため、炭酸化処理に加えてキレート剤等の薬剤による不溶化処理も必要となる。このため、コンテナ100の開口部101の上方には、前後方向Xに延びるパイプ300が設けられている。パイプ300の各ノズル301から薬液が噴霧され、焼却灰200に薬剤が接触する。なお、本実施形態のパイプ300は、コンテナ100の開口部101よりも上方に配置されているが、コンテナ100の内部に入り込んでもよい。また、パイプ300と複数のノズル301とを合わせて散水機と呼ぶ。なお、本実施形態において、ノズル301から薬液が噴霧されるようになっているが、パイプ300に設けられた微細孔から薬液が噴霧されるようにしてもよい。または、ノズル301を後述する撹拌機30に固定し、可撓性を有するパイプ300からノズル301に薬液を供給するようにしてもよい。
【0023】
なお、ノズル301から大量の薬液を一度に噴霧してしまうと、焼却灰200の中に水みちができてしまい、焼却灰200の下層より外部へ流出してしまう。この現象を防ぐため、ノズル301から噴霧される薬液量は、焼却灰200の吸水量以下と少量であり、間欠的に噴霧することが有効である。一方で少量の薬液を噴霧すると、焼却灰200の上層のみが接触するため、焼却灰に含まれる重金属の不溶化処理が不十分となる。この問題を解決すべく、撹拌装置1は、焼却灰200をかき混ぜて焼却灰200の上層と下層とを混ぜ合わせるために使用される。これによれば、焼却灰200の全体に薬剤が接触するようになり、ノズル301から噴霧する薬剤量を抑えることができる。図1に示すように、撹拌装置1は、門型フレーム2と、スライド機構10と、支持部材20と、撹拌機30と、ガイド部40と、移動部50と、を備える。
【0024】
門型フレーム2は、一対の柱部3、3と、一対の柱部3、3の上部に架設されたアーム部4と、を有する。一対の柱部3、3は、間にコンテナ100を配置できるように、左右方向Yに互いに離隔して配置される。一対の柱部3、3の間の距離は、コンテナ100の左右方向Yの長さより大きい。図3に示すように、柱部3は、前後方向Xに離隔する2つの四角柱5、5と、四角柱5、5の下部を連結する連結具6と、を備える。四角柱5は、コンテナ100よりも上方に延びている。2つの四角柱5、5の上部の間には、アーム部4が配置されている。2つの四角柱5、5の上部は、アーム部4を介して連結している。図1に示すように、アーム部4は、左右方向Yに延び、かつコンテナ100の左右方向Yの長さよりも長い四角柱である。なお、本実施形態のアーム部4の高さは、コンテナ100の側壁112、113の上面よりも上方にあり、コンテナ100の側壁112、113の上面と離隔しているが、アーム部4を側壁112、113の上面に当接するようにしてもよい。これによれば、アーム部4が側壁112、113に支持され、アーム部4の姿勢が安定する。また、本実施形態の柱部3は、2つの四角柱5、5から構成されているが、1つの円柱から構成されてもよく、柱の本数や柱の断面形状について特に限定されていない。
【0025】
スライド機構10は、アーム部4の下面に沿って左右方向Yに延在するレール11と、レール11にスライド自在に支持されるスライダ12と、を備える。レール11は、左右方向Yの長さがコンテナ100の左右方向Yの長さと略同じである。図4に示すように、レール11は、断面視でH状となっている。つまり、レール11の前面と後面は、凹部11a、11aを有している。スライダ12は、凹部11a、11aに入り込む爪部12a、12aを有している。これにより、スライダ12は、下方に脱落することなく、左右方向Yに移動する。
【0026】
支持部材20は、撹拌機30を支持するものである。本実施形態の支持部材20は、伸縮自在となっている。図4に示すように、支持部材20は、上部がスライダ12に連結する第1軸21と、第1軸21の下方に配置される第2軸22と、第1軸21と第2軸22とを連結するする締結具23と、を備える。第1軸21と第2軸22とは、筒状に形成され、第2軸22の方が第1軸21よりも小径となっている。第2軸22の上部は、第1軸21の下側から第1軸21の内部に入り込んでいる。第1軸21には、第1穴21aが設けられている。第2軸22には、高さ方向Zに等間隔で複数の第2穴22aが設けられている。締結具23は、ボルト24とナット25とを有する。ボルト24の軸部は、第1穴21aと第2穴22aに挿入され、ナット25と螺合している。これにより、第1軸21に対し、第2軸22が高さ方向Zに移動不能となる。また、ナット25を緩め、ボルト24の軸部を第1穴21aと第2穴22aとから抜き、第1穴21aと合致させる第2穴22aを変え、第1穴21aと第2穴22aにボルト24の軸部を挿入する。これにより、第2軸22が高さ方向Zに移動し、支持部材20を伸縮させることができる。また、支持部材20の縮小時、撹拌機30がコンテナ100の4つの側壁(前側壁111、右側壁112、左側壁113、後側壁114)の上面よりも上方に移動する。以上から、第1実施形態においては、支持部材20が高さ調節機構を有している。
【0027】
撹拌機30は、第2軸22の下端に固定される本体部31と、本体部31から下方に延びる支持部32と、支持部32に支持され左右方向Yに延びる回転軸33と、回転軸33に固定される複数の撹拌翼34と、動力伝達機構と、を備える。本体部31は、内部にモータが格納されている。動力伝達機構は、モータの出力軸と回転軸33とに設けられたスプロケットと、各スプロケットに掛け渡しされたチェーンと、を有する。撹拌翼34は、回転軸33から径方向外側に延びる複数の羽根を有している。以上から、モータの駆動により回転軸33が回転し、撹拌翼34の各羽根が焼却灰200を掘り起こす。これにより、焼却灰200の上層と下層とがかき混ぜられる。支持部材20に支持される撹拌機30は、移動部50よりも上方に位置している。なお、本実施形態の撹拌機30の動力源は、モータとなっているが、燃料の供給により駆動するエンジンであってもよい。
【0028】
ガイド部40は、一対の柱部3、3から突出する一対の突出片41、41と、一対の突出片に回転自在に支持されるローラ42と、を備える。図1に示すように、ガイド部40は、各四角柱5に設けられている。よって、合計4つのガイド部40を備える。ローラ42は、コンテナ100の右側壁112と左側壁113の外面に当接している。また、ガイド部40は、移動部50よりも上方に配置されている。
【0029】
移動部50は、一対の柱部3、3の底面から下方に突出する一対の突出片51、51と、一対の突出片51、51に回転自在に支持される車輪52と、を備える。移動部50は、各四角柱5に設けられている(図3参照)。よって、撹拌装置1は、合計4つの移動部50を備える。
【0030】
本実施形態の設置面90には、レール部60が設けられている。レール部60は、左右方向Yに互いに離隔して配置された一対のレール61、61を有する。レール61は、コンテナの長さ方向に延びている。レール61は、上面に車輪52が入る凹部62が設けられている。なお、本実施形態は、撹拌装置1は、レール部60を介して、設置面90上を走行するが、本開示の撹拌装置は、直接、設置面90上を走行してもよい。
【0031】
次に、撹拌装置1の使用例を説明する。コンテナ100の外部に配置された撹拌機30を、コンテナ100の第2室103内に移動するため、最初に支持部材20を縮める。そして、門型フレーム2を前後方向に移動させる。これにより、撹拌機30は、前側壁111を乗り越え(図2の矢印A1参照)、撹拌機30がコンテナ100の開口部101の上方に配置される。次に、支持部材20を伸ばし、撹拌翼34を焼却灰200と接触させる。
【0032】
撹拌機30に電力を供給し、撹拌翼34を回転させる。そして、作業者は、門型フレーム2を前後方向に押圧する。これにより撹拌翼34が前後方向に移動する(図2の矢印A2参照)。これにより、焼却灰200は、撹拌翼34でかき混ぜられた個所が前後方向に拡大する。
【0033】
次に、作業者は、支持部材20又はスライダ12を左右方向Yに押圧し、撹拌機30を左右方向Yに移動する(図2の矢印A3参照)。つぎに、作業者は、門型フレーム2を前後方向に移動する。これにより、焼却灰200は、撹拌翼34でかき混ぜられた個所が左右方向Yに拡大する(図2の矢印A4参照)。ここで、矢印A4に沿って撹拌する場合、矢印A2に沿って撹拌する場合と門型フレーム2の移動方向が異なり、撹拌機30の撹拌翼34の回転方向を逆回転に代える必要がある。なお、撹拌機30の撹拌翼34が一方向のみしか回転しない場合、支持部材20の第1軸21に取り付けられている第2軸22の向きを180度回転させることで、撹拌翼34の回転方向を変えることができる。
【0034】
また、支持部材20とパイプ300とが接触する場合、支持部材20を縮める。これにより、撹拌機30がパイプ300を乗り越して左右方向Yに移動する(図2の矢印A5参照)。
【0035】
上記作業を繰り返し行い、焼却灰200の全てを撹拌機30で撹拌した場合、支持部材を縮める。そして、門型フレーム2を前後方向に移動させる。これにより、撹拌機30は、前側壁111を乗り越え、第2室103の外側に移動する(図2の矢印A6参照)。これにより、撹拌作業が終了する。
【0036】
なお、上記作業においてパイプ300を動かしていないが、パイプ300を移動させながら焼却灰200を撹拌してもよく、本開示の撹拌装置は特に限定されない。また、撹拌機30の撹拌は、薬剤の噴霧中、又は、薬剤の噴霧が完了した後でもよく、特に限定されない。
【0037】
以上、第1実施形態の撹拌装置1は、コンテナ100が設置される設置面90から上方に延び、互いに離隔する一対の柱部3、3と、一対の柱部3、3の上部に架設されたアーム部4と、アーム部4から下方に延出し、かつ柱部よりも短い支持部材20と、支持部材20の下部に固定された撹拌機30と、撹拌機30の高さを調整可能な高さ調整機構と、を備える。撹拌機30は、一対の柱部3、3の下端より上方に配置される。
【0038】
第1実施形態の撹拌装置1は、設置面90上に設置される。よって、コンテナ100の上面に設置された場合よりも撹拌装置1の姿勢が安定する。また、撹拌装置1の移動範囲は、コンテナ100の上面に制限されない。よって、コンテナ100の前後方向の隅部に積載された焼却灰200を撹拌機35で撹拌することができる。支持部材20は柱部3よりも短い。つまり、支持部材20の長尺化が回避されている。よって、支持部材20の支持剛性が高く、撹拌機30の動作が安定する。
【0039】
また、第1実施形態の撹拌装置1は、アーム部4と支持部材20とを連結し、支持部材20をアーム部4に沿ってスライド自在に支持するスライド機構10を備える。
【0040】
これによれば、撹拌装置1自体を移動させることなく、撹拌機30のみを左右方向Yに移動させることができる。よって、撹拌機30を移動させる労力が低減する。
【0041】
また、第1実施形態の撹拌装置1は、一対の柱部3、3の下部に設けられて設置面90に対し、移動可能な移動部50を備える。
【0042】
これによれば、撹拌装置1を移動させることが容易となり、労力が低減する。
【0043】
また、第1実施形態の撹拌装置1において、撹拌機30は、コンテナ100の上方に配置された散水機(パイプ300及びノズル301)と、コンテナ100の側壁112、113との間に挿入可能である。
【0044】
これによれば、散水機(パイプ300及びノズル301)を移動させる手間を省くことができる。
【0045】
また、第1実施形態の撹拌装置1の一対の柱部3、3は、側面においてコンテナ100の側壁に沿って案内するガイド部40を備える。ガイド部40は、一対の柱部3、3の側面であって、コンテナ100の側壁側に設けられる。
【0046】
門型フレーム2を前後方向に移動させる場合、ローラ42が右側壁112及び左側壁113の側面を転動し、門型フレーム2が前後方向に案内される。よって、撹拌機30は、蛇行することなく、直線状に前後方向に移動し、効率良く撹拌できる。また、本実施形態では、レール部60上を走行するため、より確実に直線状に移動する。以上から、撹拌機30を前後方向に移動させる作業が容易となる。
【0047】
なお、伸縮自在な支持部材の例として、第1実施形態では支持部材20を挙げて説明したが、本開示の支持部材は、これに限定されない。例えば、電動アクチュエータや、ボールねじ装置を利用した機構でもよい。
【0048】
また、第1実施形態の撹拌装置1のガイド部40は、移動部50よりも上方に配置される。
【0049】
仮に、ガイド部40が移動部50よりも下方にあると、ガイド部40が柱部3を案内する力が弱い。一方で、実施形態のガイド部40は、柱部3の側面に設置され、柱部3を側方から案内する。よって、門型フレーム2は、より安定して直線状に前後方向Xに移動する。また、設置面90にレール部60が設けられていない場合、設置面90からの抵抗を受けて左右の柱部3、3に前後の位置ずれが生じ易い。このため、門型フレーム2が捻じれ、コンテナ100に門型フレーム2が引っ掛かってしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態の柱部3の側面にはガイド部40が設けられており、門型フレーム2の捻じれを低減することができる。
【0050】
また、第1実施形態の撹拌装置1は、スライド機構10を有するため、支持部材20及び撹拌機30をアーム部4に沿って選択的な場所に移動させることができる。このため、上面にパイプ300を有するコンテナ100であっても、コンテナ100とパイプ300の間に撹拌機30を挿入し、焼却灰200を撹拌することができる。また、パイプ300のノズル301から薬液を噴霧しながら焼却灰200を撹拌することが可能であり、焼却灰200に含まれる重金属の不溶化を均一に行うことができる。また、第1室102のガスを、貫通孔115aを介して第2室103の方に導入しながら焼却灰200を撹拌することで、塊状の焼却灰200を解砕しつつガスを導入することが可能であり、ガスと焼却灰200との反応の均一性を高めることができる。
【0051】
なお、第1実施形態のコンテナ100の収容物が焼却灰200の場合を例として挙げて説明したが、本開示の撹拌装置は、これに限定されない。つまり、コンテナ100の収容物は、粉体、粒体等の固体であればよく、具体的には、焼却灰の他に、堆肥用の有機系残渣、汚染土等が挙げられる。なお、コンテナ100の収容物が堆肥用有機系残渣の場合、第1室102から第2室103に空気を供給しつつ撹拌装置1で撹拌し、堆肥用有機系残渣を乾燥させる、という処理を行ってもよい。また、コンテナ100の収容物が汚染土の場合、ノズル301から汚染土に含まれる重金属の不溶化のための薬液を噴霧し、撹拌装置1で撹拌してもよい。また、コンテナ100の収容物が油を含む汚染土の場合、ノズル301から酸化剤(H及びFeSO)を噴霧する。そして、撹拌装置1で汚染土を撹拌すると、汚染土に含まれるトリクロロエチレンが分解される。
【0052】
(第2実施形態)
次に、他の実施形態の撹拌装置を説明する。なお、以下の説明においては、上述した第1実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0053】
図5は、第2実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。図6は、第2実施形態に係る支持部材の一部を拡大した拡大図である。第2実施形態の撹拌装置1Aは、支持部材20に代えて支持部材120を備える点で第1実施形態の撹拌装置1と相違する。また、第2実施形態の撹拌装置1Aは、チェーンブロック70を備える点で、第1実施形態の撹拌装置1と相違する。以下、相違点を説明する。
【0054】
支持部材120は、第1棒状部材121と、第2棒状部材122と、第1棒状部材121と第2棒状部材122との間に介在するサスペンション123と、を備える。第1棒状部材121と第2棒状部材122は、直線状に延びており、伸縮性を有していない。サスペンション123は、第1棒状部材121と第2棒状部材122とを連結している。また、支持部材120は、柱部3よりも短尺であり、剛性が高い。サスペンション123は、第2棒状部材122に伝達する振動を吸収するばね部材と、ばね部材の振動を減衰させるアブソーバーと、を備える。これにより、撹拌機30の撹拌時、撹拌機30から門型フレーム2に伝達する振動が低減する。
【0055】
図6に示すように、第1棒状部材121の上部には、スライダ12の下面から突出する一対の突出片124、124と、一対の突出片124、124と第1棒状部材121とを連結する連結軸125と、が設けられている。一対の突出片124、124の間には、第1棒状部材121の上端が配置される。連結軸125は、円柱形の部品であり、一対の突出片124、124及び第1棒状部材121を貫通している。これにより、図5の矢印で示すように、支持部材120は、連結軸125を中心に回動自在となっている。以上から、支持部材120は、撹拌機30を回動自在に支持し、高さ調整機構を有している。また、撹拌機30が回動する方向は、平面視でアーム部4と平行(左右方向Y)となっている。
【0056】
チェーンブロック70は、電動式のチェーンブロックである。つまり、チェーンブロック70は、一対の柱部3、3に固定される滑車71と、滑車71に巻装されるチェーン72と、滑車71を回転させチェーン72の巻き取りを行う図示しないモータと、を有する。チェーンブロック70は、一対の柱部3、3のそれぞれに設置される。チェーン72は、撹拌機30の本体部31に連結される。また、チェーン72は、張った状態とする。これにより、撹拌機30は、連結軸125を中心に上方に回動しないように規制される。
【0057】
第2実施形態の撹拌装置1Aによれば、チェーンブロック70のチェーン72を緩め、支持部材120を回動させると、撹拌機30が上方に跳ね上がる。そして、撹拌機30が跳ね上がった状態を維持しつつ、門型フレーム2を前後方向に押圧する。これにより、撹拌機30をコンテナ100の側壁を乗り越すことができる。
【0058】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。第3実施形態の撹拌装置1Bは、支持部材20に代えて2つの支持部材220を備える点で第1実施形態及び第2実施形態の撹拌装置1、1Aと相違する。また、第3実施形態の撹拌装置1Bは、一対の柱部3、3に代えて一対の柱部203、203を備える点で、第1実施形態及び第2実施形態の撹拌装置1、1Aと相違する。
【0059】
支持部材220は、第1棒状部材221と、第2棒状部材222と、第1棒状部材と第2棒状部材との間に介在するサスペンション223と、を備える。よって、支持部材220は、第2実施形態の支持部材120と同じである。ただし、第1棒状部材221は、スライダ12に回動不能に固定されている。つまり、支持部材220は、撹拌機30を跳ね上げできないようになっている。また、2つの支持部材220は、左右方向Yに離隔してスライダ12に連結している。そして、2つの支持部材220は、撹拌機30の本体部31を左右から挟んで支持している。よって、1つの支持部材220で支持する場合よりも撹拌機30を支持する支持剛性が高く、撹拌機30は安定して撹拌することができる。
【0060】
柱部203は、固定台204と、固定台204から上方に延出する可動柱205と、可動柱205を上下動させる図示しない油圧装置と、を備えている。これによれば、固定台204から上方に突出する可動柱205の突出量を変更することで、撹拌機30の高さを変更でき、撹拌機30をコンテナ100の内外に移動することができる。以上から、第3実施形態の一対の柱部3、3は、上下方向に伸縮自在であり、高さ調整機構を有している。
【0061】
(第4実施形態)
上記した第1実施形態から第3実施形態の撹拌装置1、1A、1Bは、ガイド部40のローラ42がコンテナ100の右側壁112及び左側壁113の側面を転動するようになっている。しかしながら、コンテナの側壁にリブが設け、ローラが転動できない場合がある(図8参照)。よって、以下において、リブを有するコンテナに、ガイド部に対応する部品を設け、撹拌装置のガイド部を案内する例を説明する。
【0062】
図8は、第4実施形態の撹拌装置に対応するコンテナの側面図である。図9は、図8のIX-IX線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。図10は、図8のX-X線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。最初にコンテナ100Aについて説明する。コンテナの右側壁112と左側壁113とは、同じ構造となっているため、右側壁112を代表例として説明し、左側壁113の方は省略する。
【0063】
図8に示すように、コンテナ100Aの右側壁112の外側面112aには、前後方向に延びる案内部400が設けられている。案内部400は、上方に配置される上側案内部401と、下方に配置される下側案内部402と、を有する。
【0064】
図9図10に示すように、上側案内部401及び下側案内部402は、前後方向から視て略L状を成している。上側案内部401は、右側壁112の外側面112a及びリブ117から外側に延びる第1水平部403と、第1水平部403から下方へ延びる第2水平部404と、を備える。下側案内部402は、右側壁112の外側面112a及びリブ117から外側に延びる第3水平部405と、第3水平部405から上方へ延びる第4水平部406と、を備える。また、第2水平部404と第4水平部406とは、高さ方向に離隔している。第2水平部404と第4水平部406の間には、前後方向に延びるスリットSが設けられている。
【0065】
一方で、第4実施形態の撹拌装置1Cは、ガイド部40に代えて、ガイド部440を備える。ガイド部440は、柱部3からコンテナ100Aに向かって延び、スリットSに挿入される水平部441と、水平部441の端部から下方に延びる下片442と、を備える。
【0066】
第4実施形態によれば、撹拌装置1Cを前後方向に移動させる際、下片442が下側案内部402に当接し、前後方向に案内される。よって、撹拌装置1Cは蛇行することなく、直線状に移動する。また、撹拌装置1Cによる高さ方向Zの振動も抑制される。
【0067】
なお、第4実施形態の撹拌装置1Cは、コンテナ100Aのみに対応するものではない。次に、第4実施形態の撹拌装置1Cに対応する変形例のコンテナ100Bを説明する。
【0068】
図11は、第4実施形態の撹拌装置に対応するコンテナの側面図である。図12は、図11のXII-XII線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。図13は、図11のXIII-XIII線で切った断面を矢印方向から視た断面図である。図11に示すように、コンテナ100Bの右側壁112の外側面112aには、前後方向に延びる棒状部材480と、棒状部材480の両端を右側壁112に固定する固定部481、481と、棒状部材480に貫通されるリング482と、を備える。リング482は、棒状部材480に沿って前後方向に案内され、固定部481、481の間を移動できる。そして、図12図13に示すように、第4実施形態の撹拌装置1Cは、ガイド部440の下片442をリング482に引っ掛ける。これにより、撹拌装置1Cは蛇行することなく、直線状に移動することができる。
【0069】
(第5実施形態)
図14は、第5実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。図15は、図14の撹拌装置を前後方向で切った断面を側方から視た場合の断面図である。図14に示すように、第5実施形態の撹拌装置1Dは、門型フレーム502と、支持部材520と、撹拌機30と、移動部550と、チェーンブロック570と、を備える。なお、撹拌機30は第1実施形態と同じ構成であり、説明を省略する。
【0070】
門型フレーム502は、一対の柱部503、503と、一対の柱部503、503の上部に架設されたアーム部504と、を有する。図15に示すように、柱部503は、前後方向Xに離隔する2つの四角柱505、505と、四角柱505、505の下部と上部を連結する2つの連結具506、506と、四角柱505、505の間を斜めに延在する第1筋交い507と、を備える。第1筋交い507は、柱部503の捻じれを抑制している。
【0071】
アーム部504は、前側に配置された第1アーム部504aと、後方に配置された第2アーム部504bと、を備える。第1アーム部504aは、支持部材520及び撹拌機30を支持するためのものである。第2アーム部504bは、チェーンブロック570を支持するためのものである。また、後ろ側の四角柱505と第2アーム部504bとの間には、第2筋交い508が設けられている(図14図15参照)。これにより、後ろ側の四角柱505と第2アーム部504bとに捻じれが発生し難い。
【0072】
移動部550は、一対の柱部503、503の底面に設けられた車輪支持部551と、車輪支持部551に回転自在に支持される車輪552と、を備える。車輪支持部551は、高さ方向Zに延在する図示しない軸を中心に回転自在に柱部503に固定されている。よって、車輪支持部551が回転することで車輪552が転動する方向が変わる。つまり、第5実施形態の撹拌装置1Dは、前後方向のみならず、左右方向にも移動可能となっている。以上から、撹拌装置1Dを左右方向Yに移動させることで、撹拌機30で撹拌する位置を左右方向Yにずらすことができる。また、撹拌装置1Dを前後方向Xに移動させることで、撹拌機30で撹拌する位置を前後方向Xにずらすことができる。
【0073】
図14に示すように、撹拌機30をコンテナ100の左右方向Yの中央部に配置した場合、コンテナ100の右側壁112から撹拌機30までの距離と、コンテナ100の左側壁113から撹拌機30までの距離は、共に同じでL1となっている。撹拌機30は、一対の柱部503、503の中間に位置している。一対の柱部503、503からコンテナ100の側壁(右側壁112、左側壁113)までの距離は、共にL2となっている。そして、距離L2は、距離L1よりも大きくなるように設計されている。このため、撹拌機30を左右方向Y移動させるために撹拌装置1Dを移動しても、一対の柱部503、503がコンテナ100に接触しないようになっている。
【0074】
支持部材520は、第1アーム部504aに固定され上下方向に延びる第1軸521と、第1軸521の下方に配置され撹拌機30に連結する第2軸522と、第1軸521の下部と第2軸522の上部を連結する自在クランプ523と、を備える。自在クランプ523は、第1軸521に対して第2軸522が回動自在に連結する部品である。つまり、自在クランプ523は、第1軸521と連結する部分と、第2軸522と連結する部分と、の間に、可動部品(不図示)が介在している。よって、第2軸522は、左右方向Yに延在する軸P(図15の符号Pを参照)を中心に前後方向Xへ回動自在となるように、自在クランプ523に支持されている(図15の矢印を参照)。そして、第2軸522が回動すると、撹拌機30も前後方向に移動(回動)し、撹拌機30の高さが変わる。以上から、支持部材520は、撹拌機30を回動自在に支持し、高さ調整機構を有している。そして、撹拌機30が回動する方向は、平面視でアーム部504と交差する方向(前後方向X)である。また、第2軸522Dが高さ方向Zに延在し、撹拌機30が最も下方に位置した場合、撹拌機30は、一対の柱部504、504の下端より上方に配置される。よって、撹拌機30は設置面90に接触しない。
【0075】
チェーンブロック570は、第2アーム部504bに固定される滑車571と、滑車571に巻装されるチェーン572と、滑車571を回転させチェーン572の巻き取りを行う図示しないモータと、を有する。チェーン572は、撹拌機30の本体部31に連結している。これにより、撹拌機30Dが前方へ回動しないように規制される。
【0076】
また、撹拌機30の本体部31の前面には、ピン573が設けられている。そして、ピンに紐574を括り付けて前方に引くことで、撹拌機30を下方の焼却灰200に押し付けることができる。
【0077】
以上、第5実施形態の撹拌装置1Dによれば、第2軸522を回動させて撹拌機30が上方に跳ね上げ、チェーンブロック570のチェーン572を連結することで、撹拌機30が跳ね上がった状態を維持することができ、撹拌機30をコンテナ100の側壁を乗り越すことができる。また、撹拌装置1D自体を前後方向Xや左右方向Yに移動することで、撹拌機30も前後方向Xや左右方向Yに移動し、撹拌する位置を変更することができる。なお、第5実施形態では、撹拌機30を左右に移動させるため、撹拌装置1Dを左右に移動しているが、本開示の撹拌装置は、第1アーム部504aと第2アーム部504bをスライドさせることで、撹拌機30が左右に移動するようにしてもよい。つまり、一対の柱部503、503に対し、第1アーム部504aと第2アーム部504bとを左右方向にスライド自在に連結するようにしてもよい。これによれば、撹拌装置1D全体を移動させる必要がなく、労力の低減を図れる。
【0078】
(第6実施形態)
図16は、第6実施形態に係る撹拌装置の全体構成を示す正面図である。図17は、図16の撹拌装置を前後方向で切った断面を側方から視た場合の断面図である。図16に示すように、第6実施形態の撹拌装置1Eは、門型フレーム602と、支持部材620と、撹拌機630と、を備える。門型フレーム602は、一対の柱部603、603と、一対の柱部603、603の上部に架設されたアーム部604と、を備える。図17に示すように、柱部603は、上下方向に延在する四角柱605と、四角柱605の下面と連結し、設置面90に沿って前後方向に延びる土台板606と、を備える。以上から、門型フレーム602は、土台板606を有し、設置面90から受ける摩擦抵抗が高くなっている。つまり、門型フレーム602は、他の実施形態よりも設置面90に対して移動し難くなっている。よって、本実施形態では、コンテナ100の方を移動させて撹拌する構造となっている。
【0079】
支持部材620は、チェーンブロックであり、アーム部604に固定される滑車621と、滑車621に巻装されるチェーン622と、滑車621を回転させチェーン622の巻き取りを行う図示しないモータと、を有する。撹拌機630は、チェーン622と連結し、左右方向Yに延在する本体部631と、本体部631から下方に延出する複数の爪632と、を備える。
【0080】
本体部631の左右方向Yの長さは、コンテナ100の右側壁112から左側壁113までの距離よりも僅かに小さい。よって、本体部631をコンテナ100内に配置可能となっている。また、爪632は、焼却灰200を耕起するためのものである。爪632は、左右方向Yに等間隔で配置されている。図17に示すように爪632は、本体部631から下方に向かうにつれて前方に屈曲する第1爪632aと、後方に屈曲する第2爪632bと、を備える。
【0081】
次に第6実施形態の撹拌装置1Eによる撹拌方法を説明する。上記したように撹拌装置1Eを移動させるには多大な労力が必要なため、コンテナ100の方を移動させる。最初に、図16に示すように、撹拌機630が上方に配置された状態とする。コンテナ100の方は、前側壁111に設けられた連結部111aと図示しないアームローム車を連結し、アームローム車でコンテナ100を牽引する。なお、コンテナ100の後側には、車輪118が設けられており、容易に移動させることができる。また、コンテナ100の前壁111は、第1底壁110よりも下方に突出し、設置面90に当接している。これにより、コンテナ100が傾かないようになっている。
【0082】
次に、支持部材620の滑車621から繰り出されるチェーン622の長さを長くし、爪632を焼却灰200に接触させる。また、爪632で耕起できるように、爪632の先端が焼却灰200に埋まるように撹拌機630の姿勢を調整する。なお、撹拌機630の爪632が焼却灰200に接触時、撹拌機630は門型フレーム602の柱部603の下端より上にある。
【0083】
次に、アームローム車を前後方向に走行させ、コンテナ100を移動させる。これによれば、図17に示すように、コンテナ100が前方へ移動する際、撹拌機630の第2爪632bが焼却灰200を耕起し、焼却灰200と図示しない薬液とが撹拌される。また、特に図示しないが、コンテナ100が後方へ移動する際、撹拌機630の第1爪632aが焼却灰200を耕起し、焼却灰200と図示しない薬液とが撹拌される。
【0084】
以上、第6実施形態によれば、移動しない撹拌装置1Eで撹拌するため、撹拌装置1Eを移動させる際の振動が撹拌機630に伝達しない。また、撹拌翼(図1の撹拌翼34参照)を駆動させるモータやエンジンを有していないため、モータ等の振動が撹拌機630に伝達しない。よって、撹拌機630の姿勢が安定し、撹拌機630の動作が安定する。
【0085】
なお、第6実施形態の撹拌機630は、第1爪632aと第2爪632bを備えているが、第1爪632aと第2爪632bのうちいずれか一方のみを備えたものであってもよく、撹拌機630の形状について特に問わない。また、第6実施形態の撹拌装置1Eは、支持部材620として、チェーンブロックのみから構成されているが、上下方向に延びる軸部材と組み合わせてもよい。つまり、支持部材は、アーム部604から下方に延びる支持軸と、その支持軸の下端に固定されたチェーンブロックと、を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1、1A、1C、1D、1E 撹拌装置
2、502、602 門型フレーム
3、203、503、603 柱部
4、504,604 アーム部
10 スライド機構
11 レール
12 スライダ
20、120、220、520、620 支持部材
30、630 撹拌機
31 本体部
34 撹拌翼
40、440 ガイド部
42 ローラ
50 移動部
52 車輪
60 レール部
70 チェーンブロック
90 設置面
100、100A、100B コンテナ
101 開口部
123 サスペンション
200 焼却灰
204 固定台
205 可動柱
300 パイプ(散水機)
301 ノズル
400 案内部
480 棒状部材
482 リング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17