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特許7543097液体吐出ヘッド用基板、及び液体吐出ヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド用基板、及び液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
B41J2/14 201
B41J2/14 613
B41J2/14 209
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020189848
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078885
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】南 聖子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 健治
(72)【発明者】
【氏名】服部 真依
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043098(JP,A)
【文献】特開2017-213859(JP,A)
【文献】特開2017-121813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
C23C 16/00-16/56
H01L 21/312-21/3213
21/47-21/475
21/768
23/522
23/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口と流路を有する流路形成部材と、液体の吐出のための発熱抵抗素子と、発熱抵抗素子を覆う絶縁層と、前記絶縁層の上に設けられ、表面が前記流路に露出する導電性の保護層と、前記流路形成部材と前記保護層との間に設けられた中間層とを有し、
前記中間層が、以下の組成式(I):
Siw1x1y1 (I)
[上記式(I)において、
39≦w1≦62(at.%)であり、
32≦x1≦55(at.%)であり、
6≦y1≦29(at.%)である。
ただし、w1+x1+y1=100(at%)である。]
で表される材料を含む液体吐出ヘッド用基板。
【請求項2】
前記組成式(I)中のw1、x1及びz1が以下の関係式:
39≦w1≦43(at.%)、
35≦x1≦44(at.%)、
13≦y1≦24(at.%)
を満たす請求項1に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項3】
前記中間層は、前記組成式(I)で表される材料からなる層を有し、当該層の膜厚が100nm以上である請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項4】
前記中間層は、前記保護層に接する下層と、前記下層を覆う上層を有し、
前記下層が、前記組成式(I)で表される材料を含み、
前記上層が、以下の組成式(II):
Siw2y2z2 (II)
[上記式(II)において、
30≦w2≦59(at.%)であり、
y2≧5(at.%)であり、
z2≧15(at.%)である。
ただし、w2+y2+z2=100(at%)である。]
で表される材料を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項5】
前記中間層の上層は、前記組成式(II)で表される材料からなる層であり、該上層の膜厚が50nm以上である請求項4に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項6】
吐出口と流路を有する流路形成部材と、液体の吐出のための発熱抵抗素子と、発熱抵抗素子を覆う絶縁層と、表面が流路に露出する導電性の保護層と、流路形成部材と保護層との間に設けられた中間層とを有し、
前記中間層が、以下の組成式(III):
Siw3x3y3z3(III)
[上記式(III)において、
37≦w3≦60(at.%)であり、
30≦x3≦53(at.%)であり、
6≦y3≦29(at.%)であり、
4≦z3≦9(at.%)である。
ただし、w3+x3+y3+z3=100(at%)である。]
で表される材料を含む液体吐出ヘッド用基板。
【請求項7】
前記組成式(III)中のw3、x3、y3及びz3が、
以下の関係式:
37≦w3≦39(at.%)、
33≦x≦41(at.%)、
12≦y≦22(at.%)、及び
7≦z≦8(at.%)
を満たす請求項6に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項8】
前記中間層が、前記組成式(III)で表される材料からなる層を有し、当該層の膜厚は100nm以上である請求項6又は7に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項9】
前記中間層の膜厚は300nm以下である請求項1~8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項10】
前記保護層は、Taを含む請求項1~9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項11】
前記保護層は、Irを含む請求項1~9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項12】
前記流路形成部材と前記中間層との間に、有機中間層を有することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド用基板。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド用基板を備えた液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッド用基板、及び液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドとして代表的なインクジェットヘッドを用いた記録方式の一つに、発熱素子によってインクを加熱して発泡させ、この気泡を利用してインクを吐出する方式がある。
【0003】
上記の吐出方式を適用した液体吐出ヘッドの一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される液体吐出ヘッドは、
吐出口と流路を有する樹脂層を含む流路形成部材と、
液体の吐出のための発熱抵抗素子と、発熱抵抗素子を覆う部分を備え、該部分の表面が流路に露出する保護層と、を有する基板と、
前記樹脂層と前記保護層との間に設けられ、炭窒化シリコン材料を含む中間層と、
を有している。
基板には、発熱抵抗素子を駆動するための配線が設けられている。発熱抵抗素子及び配線は発熱抵抗素子を駆動可能なように、これらを被覆する絶縁層により絶縁されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-43098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、液体吐出ヘッドに、炭窒化シリコン材料を流路形成部材に含まれる樹脂層と保護層との間の中間層に適用している。このような液体吐出ヘッドにおいては、偶発的に保護層に電圧が印加された状態で使用すると、中間層に適用された炭窒化シリコンには絶縁性がないため、陽極酸化されてインク中に溶解することがある。中間層が溶解すると、ノズルが剥がれ、正常吐出ができなくなる恐れがある。さらに、中間層が溶解したインクが液体吐出ヘッドの内部に侵入し絶縁層を溶解することにより配線の腐食に至る恐れがあるため、液体吐出ヘッド全体の不具合に繋がる恐れもある。このように、中間層の溶解によって液体吐出ヘッドの信頼性が低下するため、信頼性の低下を抑えることが課題となる。
そこで、本発明は、流路形成部材及び保護層への密着性、耐インク性といった中間層として求められる性能を満たし、陽極酸化による中間層の溶解が抑制された、長期信頼性を有する液体吐出ヘッド用基板及び液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、吐出口と流路を有する流路形成部材と、液体の吐出のための発熱抵抗素子と、発熱抵抗素子を覆う絶縁層と、前記絶縁層の上に設けられ、表面が前記流路に露出する保護層と、前記流路形成部材と前記保護層との間に設けられた中間層とを有し、前記中間層が以下の組成式(I):
Siw1x1y1 (I)
[上記式(I)において、39≦w1≦62(at.%)であり、32≦x1≦55(at.%)であり、6≦y1≦29(at.%)である。ただし、w1+x1+y1=100(at%)である。]
で表される材料を含むことを特徴とする液体吐出ヘッド用基板が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、前記中間層が以下の組成式(III):
Siw3x3y3z3(III)
[上記式(III)において、37≦w3≦60(at.%)であり、30≦x3≦53(at.%)であり、6≦y3≦29(at.%)であり、4≦z3≦9(at.%)である。ただし、w3+x3+y3+z3=100(at%)である。]で表される材料を含む液体吐出ヘッド用基板が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、上記の液体吐出ヘッド用基板を備えた液体吐出ヘッドが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流路形成部材と保護層の密着性、耐インク性といった中間層として求められる性能を満たし、陽極酸化による中間層の溶解が抑制された長期信頼性を有する液体吐出ヘッド用基板、及び液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド用基板の一例を示す斜視図である。
図2図1に示す液体吐出ヘッド用基板のA-A’の断面図である。
図3】中間層に電圧が印加された場合に流れる電流を示すグラフである。
図4】中間層の成膜に使用した成膜装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの情報出力装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。そして、この液体吐出ヘッドを用いることによって、紙、糸、繊維、布帛、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなどの種々の被記録媒体に記録を行うことができる。
【0011】
本明細書内で用いられる「記録」とは、文字や図形などの意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を付与することも意味する。
また本明細書内で用いられる「液体」とは、広く解釈されるべきものであり、記録動作に用いるインクのみならず、次の液体も含むものとする。すなわち「液体」は、被記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、被記録媒体の加工、或いはインクまたは被記録媒体の処理に供される液体も含む。ここで、インクまたは被記録媒体の処理とは、例えば、被記録媒体に付与されるインクの中の色材の凝固または不溶化による定着性の向上や、記録品位ないし発色性の向上、画像耐久性の向上のための処理のことを言う。さらに、本発明の液体吐出ヘッドに用いられる「液体」は、一般的に電解質を多く含むものであり、導電性を有している。
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を図1及び図2(a)及び(b)を用いて説明する。図1は液体吐出ヘッド用基板の斜視図である。図2(a)及び(b)は図1の液体吐出ヘッド用基板のA-A’断面図である。ここでは、吐出口の列方向(長手方向)を第1の方向(F)、ヘッド用基板の幅方向を第2の方向(S)、基板の厚み方向を第3の方向(T)として表示している。
図1には、液体吐出ヘッド用基板の主要部を一部破断して示しており、素子基板1には、発熱抵抗素子6と液体供給口7が設けられており、素子基板1上に吐出口9を形成した流路形成部材8が設けられている。また、図2(a)及び(b)に示すように、素子基板1はSiにより形成される基材(不図示)を有し、ロジック回路(不図示)が形成される多層配線層(不図示)を有している。多層配線層の上層の電気絶縁層(蓄熱層)203上には、液体を吐出するための熱エネルギーを発生する発熱抵抗素子6を構成する発熱抵抗体層204及び発熱抵抗素子を駆動するための電極配線207を有する。液体供給口7から供給された液体は、流路212から発泡室205に至り、発熱抵抗素子6で熱エネルギーが印加されて発泡し、この発泡によるエネルギーによって吐出口209から吐出される。発熱抵抗体層204及び電極配線207を覆って絶縁層202が形成され、この絶縁層202の上には、耐キャビテーション用の保護層201、吐出口209と流路212(発泡室205を含む)を有する流路形成部材200が設けられている。保護層201の表面は流路に露出している。
また流路形成部材200と保護層201との間には、後述する特定の炭酸化シリコン材料を含む中間層210が設けられている。
絶縁層202は、通常SiNからなり、膜厚(T方向寸法)は150~300nm程度である。絶縁層202はSiOまたはSiCで形成してもよい。絶縁層202は保護層201で覆われている。保護層201は導電性を有する材料で形成される。保護層201は通常Taからなり、膜厚は200~300nm程度である。保護層201はIrやIrとTaの積層膜で形成してもよい。また、同図では流路形成部材200と中間層210の間に、有機中間層211を形成している場合を示しているが、省略してもよい。
【0013】
中間層210は、以下の組成式(I):
Siw1x1y1(I)
[上記式(I)において39≦w1≦62(at.%)であり、32≦x1≦55(at.%)であり、6≦y1≦29(at.%)である。ただし、w1+x1+y1=100(at%)である。]
で表される材料を含む層で形成される。
液体吐出ヘッドを長期間使用していると、偶発的に発熱抵抗素子6と保護層201との間の絶縁層202に不具合が生じ、発熱抵抗素子6と保護層201とが導通する場合がある。これにより、発熱抵抗素子6に印加された電圧が保護層201にも印加された状態となる場合がある。しかし、液体吐出ヘッドの保護層201に偶発的に電圧が印加された状態で使用した場合であっても、上記の中間層210を絶縁性の高い組成式(I)で表される材料を含む層で形成することで、陽極酸化による中間層210のインク溶解を抑制することができる。このため、長期の信頼性を有する液体吐出ヘッドを提供することができる。
【0014】
陽極酸化メカニズムについて図3を用いて説明する。図3は偶発的に保護層201に電圧が印加された際、電極(不図示)に流れる電流を示している。中間層210がSiCNのような炭窒化シリコン材料の場合、図3に示すように、電圧が高くなると電流が流れるため、絶縁性が低いことがわかる。つまり、絶縁性が十分ではないため、偶発的に保護層201に電圧が印加された際、陽極酸化を起こすことがある。一方、中間層210が前記組成式(I)のSiの材料を含む場合、図3に示すように、この膜に、35Vまで電圧を印加しても、電流は流れないため、絶縁性が高いことがわかる。このように中間層を構成する材料の組成にOが含まれることで、絶縁性が高くなることがわかる。つまり、絶縁性が高いため、偶発的に保護層201に電圧が印加されても、陽極酸化が抑制されることが分かる。
【0015】
さらに中間層210のインク耐性を高めるために、図2(b)に示されるように、組成式(I)の層を覆うようにインク耐性のある層を設け、中間層210を中間層下層210bと中間層上層210aの二層構成にすることが好ましい。
具体的には、中間層下層210bは、前記組成式(I)で表される材料を含む膜で形成され、
中間層上層210aは、
以下の組成式(II):
Siw2y2z2(II)
[上記式(II)において、30≦w2≦59(at.%)であり、y2≧5(at.%)であり、z2≧15(at.%)である。ただし、w2+y2+z2=100(at%)である。]
で表される材料を含む膜で形成されることが好ましい。この組成式(II)は、特許文献1に開示される組成式(I)と同等であり、当該組成範囲の技術的意義は、特許文献1から理解される。
このような構成により、前述の組成式(I)の絶縁性材料による、陽極酸化による中間層210のインク溶解の抑制効果に加えて、さらに組成式(II)の膜により耐インク性を高めることができるため、液体吐出ヘッドの長期信頼性をより高めることができる。
【0016】
また、液体吐出ヘッドを省エネルギーで駆動させるために、絶縁層202を薄くすることもできる。このような場合、パッシベーション耐性が不足し、水分やイオンが透過しやすくなり、電極配線207の腐食が発生することが懸念される。このため、中間層210にもパッシベーション耐性を持たせることが好ましい。
例えば、中間層210を、
以下の組成式(III):
Siw3x3y3z3(III)
[上記式(III)において、37≦w3≦60(at.%)であり、30≦x3≦53(at.%)であり、6≦y3≦29(at.%)であり、4≦z3≦9(at.%)である。ただし、w3+x3+y3+z3=100(at%)である。]
で表される材料を含む膜で形成することができる。
このような構成により、前述の陽極酸化による中間層210のインク溶解の抑制効果に加えて省エネ駆動ができるため、省エネ駆動する液体吐出ヘッドの長期信頼性を高めることができる。
【0017】
中間層210において、組成式(I)で表される材料を含む膜の膜厚は絶縁性を担保するため100nm以上であることが好ましい。また組成式(II)で表される材料を含む膜の膜厚は耐インク性を担保するため50nm以上であることが好ましい。さらに、組成式(III)で表される材料を含む層の膜厚は、絶縁性およびパッシベーション耐性を担保するため100nm以上であることが好ましい。ただし、保護層201を流路に露出させる際に、中間層210を開口するエッチングが行われる。このため、中間層210と保護層201との選択比の観点から、中間層210膜厚は300nm以下であることが好ましい。
【0018】
中間層210を構成する上記Siw1x1y1(I)、Siw2y2z2(II)、Siw3x3y3z3(III)膜はプラズマCVD法を用いて成膜することができる。
図4はSiw1x1y1(I)、Siw2y2z2(II)、Siw3x3y3z3(III)膜の成膜に使用したプラズマCVD装置の成膜室を模式的に示す断面図である。
図4を用いて、Siw1x1y1(I)、Siw2y2z2(II)、Siw3x3y3z3(III)膜の成膜方法の概略を以下に説明する。
【0019】
まず、プラズマ放電の際の上部電極として機能するシャワーヘッド303と、下部電極として機能するサンプルステージ302の間の距離(GAP)を、サンプルステージ302の高さを調整することで決定する。また、サンプルステージ302の温度をヒータ304によって加熱することで調整する。
【0020】
次に、シャワーヘッド303を介して使用する各種ガスを成膜室310に流入する。その際、各種ガスは各々に対応する配管300にそれぞれ取り付けられたマスフローコントローラー301によって流量が制御される。その後、使用するガスの導入バルブ307aを開放することでガスは配管内で混合され、シャワーヘッド303に向けて供給される。続いて、真空ポンプ(不図示)に繋がる排気口305に取り付けられた排気バルブ307bを調整し、排気量を制御することで成膜室310内の圧力を一定に保つ。その後、2周波のRF電源308aおよび308bによってシャワーヘッド303とサンプルステージ302との間にプラズマを放電する。そのプラズマ中で解離した原子がウエハ306上に堆積されていくことで成膜が行われる。
【0021】
本発明に係るSiw1x1y1(I)膜は、SiHガス流量、Oガス流量、CHガス流量、HRF電力、LRF電力、圧力、温度の成膜条件を適宜調整することで、組成比の異なるSiw1x1y1(I)を得ることができる。なお、各プロセスガスの流量比を変化させても、w1≦38のSiw1x1y1(I)を作製することはできなかった。基板の膜構成やレイアウトにより、応力抑制が必要な場合は成膜温度を高くすることで調整することができる。
【0022】
本発明に係るSiw2y2z2(II)膜は、SiHガス流量、NHガス流量、Nガス流量、CHガス流量、HRF電力、LRF電力、圧力、温度の成膜条件を適宜調整することで、組成比の異なるSiw2y2z2(II)を得ることができる。
【0023】
本発明に係るSiw3x3y3z3(III)膜を得るために、SiHガス流量、NOガス流量、CHガス流量、HRF電力、LRF電力、圧力、及び温度の成膜条件を、条件を適宜調整する。これにより、組成比の異なるSiw3x3y3z3(III)を得ることができる。なお、各プロセスガスの流量比を変化させても、w3≦36のSiw3x3y3z3(III)膜および、z3≧10のSiw3x3y3z3(III)膜を作製することはできなかった。
【0024】
なお、本明細書ではSiw1x1y1(I)、Siw2y2z2(II)、Siw3x3y3z3(III)は各元素の含有割合を原子百分率(at.%)で示している。また、上述したCVD法の原料ガス由来の水素が含有されるが、水素含有量は考慮していない。ただし、上述の原料ガスを用いて成膜された膜には、一般的に15~30(at.%)程度の水素が含まれており、その範囲を大きく逸脱するものでなければ水素が含まれても差し支えない。以下に、Siw1x1y1(I)、Siw2y2z2(II)、Siw3x3y3z3(III)の性能を判断するための実施例を示す。また、以下の実施例では、SiO膜を参考水準として併せて同様の実験を行った。
【実施例
【0025】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
(実験例1)
実施形態におけるSiw1x1y1(I)膜、Siw3x3y3z3(III)膜のインクに対する耐浸食性を確認するために以下の実験を行った。まず、Siw1x1y1(I)、Siw3x3y3z3(III)の膜を別々のシリコン基板上に成膜した。その後、前記基板を20mm×20mmの大きさとなるように割断した。その個片を、60℃に加熱した30mlのpH9程度の顔料インクの中に浸漬し72時間放置した際の溶解量を調べた。その際、基板の端面及び裏面に露出しているSiが溶解することによる影響を無くすために、基板の裏面及び側面をインクに不溶な樹脂で保護した。なお、本実験例による膜厚の測定は分光エリプソメータを用いて行った。この実験における、膜厚の変動を調べることでSiw1x1y1(I)膜、Siw3x3y3z3(III)膜のインクに対する耐浸食性を確認した。結果を表1、2に示す。この実験における判断基準は以下の通りとした。
A:溶解量が1nm未満である。
B:溶解量が1nm以上10nm未満である。
C:溶解量が10nm以上30nm未満である。
D:溶解量が30nm以上である。
この際の判断結果として用いた、Aは非常に効果が得られるもの、Bは効果が得られるもの、Cは効果が少ないもの、Dはほとんど効果のないものとした。この判断は以下の実験例の結果も同様である。なお、Siw1x1y1(I)膜の各サンプルa~kの溶解量は、Siw3x3y3z3(III)の各サンプルA~Kの溶解量とほぼ同じ傾向であったため、判定結果のみを表1に示す。
表1に示した結果から、インクに対する耐浸食性を満足するSiw1x1y1(I)の組成範囲は、6≦y1(at.%)を満足する組成領域であることがわかる。表2に示した結果から、インクに対する耐浸食性を満足するSiw3x3y3z3(III)の組成範囲は、6≦y3(at.%)を満足する組成領域であることがわかる。特に、顔料インクを用いるときにこの組成領域の範囲内のSiw1x1y1(I)、Siw3x3y3z3(III)を用いることが有効である。また、pH5~11程度の顔料インク及び染料インクであっても上述の結果と同等の結果が得られた。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
(実験例2)
実施形態におけるSiw1x1y1(I)膜、Siw3x3y3z3(III)膜の電気絶縁性を確認するために以下の実験を行った。まず、膜厚1μmのシリコン熱酸化膜が形成されたシリコン基板上に、第一の電極として用いるために、アルミニウムを主材料とする金属層を200nmの厚さで形成し、2.5mm×2.5mmの大きさとなるように加工する。その後Siw1x1y1(I)またはSiw3x3y3z3(III)の膜を300nmの厚さで成膜した。さらにその上層に第二の電極として用いるためにアルミニウムを主材料とする膜を、2mm×2mmの大きさに加工し、第一の電極の直上からはみ出ないように200nmの厚さで形成する。その後第一の電極との電気的な接触を取るためのスルーホールをSiw1x1y1(I)膜、Siw3x3y3z3(III)膜に開口した。このようなサンプルを用いて、第一の電極と第二の電極との間に32Vの電圧を加えた際の電流量を測定した。この実験における、電流量を測定することでSiw1x1y1(I)膜、Siw3x3y3z3(III)膜の電気絶縁性を確認した。結果を表3、4に示す。この実験における判断基準は以下の通りとした。
A:電流量が、0.1nA未満である。
B:電流量が0.1nA以上10nA未満である。
C:電流量が10nA以上100nA未満である。
D:電流量が100nA以上である。
なお、Siw1x1y1(I)膜の各サンプルa~kの電流値は、Siw1x1y1z1(III)膜の各サンプルA~Kの電流値とほぼ同じ傾向であったため、判定結果のみを表3に示す。
表3に示した結果から、電気絶縁性を満足するSiw1x1y1(I)膜の組成範囲は、32≦x1(at.%)を満足する組成領域であることがわかる。表4に示した結果から、電気絶縁性を満足するSiw3x3y3z3(III)の組成範囲は、30≦x3(at.%)を満足する組成領域であることがわかる。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
(実験例3)
応力調整方法のひとつとして、成膜温度がある。SiOCは成膜温度を高くすることで、応力を抑制することができる。SiOCNは窒素を有することで応力を抑制するため、SiOCよりも低い成膜温度で成膜可能できる。
本発明におけるSiw3x3y3z3(III)膜の応力を測定するために以下の実験を行った。シリコン基板上にSiw3x3y3z3(III)膜を成膜し、応力測定器で応力を測定した。結果を表5に示す。なお、応力の値は0以上であれば引張応力、0未満であれば圧縮応力を表す。この実験における判断基準は以下の通りである。
A:応力の絶対値が150MPa未満である。
B:応力の絶対値が150MPa以上400MPa未満である。
C:応力の絶対値が400MPa以上500MPa未満である。
D:応力の絶対値が500MPa以上である。表5に示した結果から、低応力を満足するSiw3x3y3z3(III)膜の組成範囲は、4≦z3(at.%)を満足する組成領域であることがわかる。
【0033】
【表5】
【0034】
以上の実験例1から実験例3の実験結果を表6、7にまとめる。表6はSiw1x1y1(I)、表7はSiw3x3y3z3(III)の実験結果である。総合的な判断は、各実験の結果の中で最も評価が低いものの判断を用いた。液体吐出ヘッドの中間層210としては、以上の実験例1から3に挙げた性能に優れることが求められる。
Siw1x1y1(I)膜の組成範囲を以下の様に定める。w1≦38のSiw1x1y1(I)膜を作製することはできなかった。表6からSiw1x1y1(I)膜の組成は、w1+x1+y1=100(at%)として、32≦x1(at.%)であり、6≦y1(at.%)である。以上のことから、各性能を満足するようSiw1x1y1(I)膜の組成は、w1+x1+y1=100(at%)として、39≦w1(at.%),32≦x1(at.%)であり、6≦y1(at.%)となる。w1+x1+y1=100(at%)であることから、w1、x1、y1の上限はそれぞれw1≦62(at.%)であり、x1≦55(at%)であり、y1≦29(at%)となる。したがって,求められる性能を発揮可能なSiw1x1y1(I)膜の組成は、w1+x1+y1=100(at%)として、39≦w1≦62(at.%)であり、32≦x1≦55(at.%)であり、6≦y1≦29(at.%)となる。
また、総合的な判断がA、Bとなる水準はc、d、e、f、g、hの各水準であった。これより、Siw1x1y1(I)において、39≦w1≦43(at.%)であり、35≦x1≦44(at.%)であり、13≦y1≦24(at.%)の関係式を満たすことがより好ましい。
【0035】
Siw3x3y3z3(III)膜の組成範囲を以下の様に定める。w3≦36、z3≧10のSiw3x3y3z3膜を作製することはできなかった。表7からSiw3x3y3z3(III)膜の組成は、w3+x3+y3+z3=100(at%)として、30≦x3(at.%)であり、6≦y3(at.%)であり、4≦z3(at.%)である。以上のことから、各性能を満足するようSiw3x3y3z3膜の組成は、w3+x3+y3+z3=100(at%)として、37≦w3(at.%)であり、30≦x3(at.%)であり、6≦y3(at.%)であり、4≦z3≦9(at.%)となる。w3+x3+y3+z3=100(at%)であることから、w3、x3、y3の上限はそれぞれw3≦60(at.%)であり、x3≦53(at%)であり、y3≦29(at%)となる。したがって、求められる性能を発揮可能なSiw3x3y3z3膜の組成は以下の通りとなる。すなわち、w3+x3+y3+z3=100(at%)として、37≦w3≦60(at.%)であり、30≦x3≦53(at.%)であり、6≦y3≦29(at.%)であり、4≦z3≦9(at.%)となる。
また、総合的な判断がB以上となる水準はD、F、G、Hの各水準であった。これより、Siw3x3y3z3において、37≦w3≦39(at.%)であり、33≦x3≦41(at.%)であり、12≦y3≦22(at.%)であり、7≦z3≦8(at.%)の関係式を満たすことがより好ましい。
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
(実施例1)
本実施形態において作製した各種液体吐出ヘッドを使用して実際に液体の吐出を行った。本実施例では、中間層210をSiw1x1y1膜またはSiw3x3y3z3膜の単層で形成した。結果を以下に示す。
表6に示したb~jの水準の材料で形成された中間層210は絶縁性を有している。このため、b~jの水準の材料で形成された中間層210を有する液体吐出ヘッドは、偶発的に電圧が印加された状態で使用した場合であっても、陽極酸化による中間層210のインク溶解を抑制することができ、長期信頼性を有するものとなった。特にc~hの水準の材料を中間層210に用いた場合、耐浸食性、絶縁性ともにB判定以上であるため、より信頼性の高い液体吐出ヘッドを形成することができた。
一方、a、lの水準の材料を中間層210に用いた液体吐出ヘッドは、長期間吐出を続けると、中間層210がインクに溶解し、吐出性能が低下する場合があった。中間層210の溶解によりノズルが剥がれ正常吐出ができなくなる場合があった。さらに、インクが侵入し絶縁層202を溶解することにより配線207の腐食に至るため液体吐出ヘッド全体の不具合が生じる場合もあった。また、kの水準の材料を中間層210に用いた液体吐出ヘッドは、通常時には不良が生じなかったが、偶発的に電圧が印加された状態で使用した場合、中間層210の絶縁性が乏しいため、陽極酸化してインク中に溶解した。中間層210の溶解によりノズルが剥がれ正常吐出ができなくなる場合があった。さらに、インクが侵入し絶縁層202を溶解することにより配線207の腐食に至るため液体吐出ヘッド全体の不具合に繋がることがあった。
表7に示したB,D~Jの水準の材料で形成された中間層210は絶縁性を有している。このため、B,D~Jの水準の材料で形成された中間層210を有する液体吐出ヘッドについては、偶発的に電圧が印加された状態で使用した場合であっても、陽極酸化による中間層210のインク溶解を抑制することができる。このため、長期信頼性を有する液体吐出ヘッドを形成することができた。特にD,F~Hの水準の材料を中間層に用いた場合、耐浸食性、絶縁性、応力ともにB判定以上であるため、より信頼性の高い液体吐出ヘッドを形成することができた。
一方、A、Lの水準の材料を中間層210に用いた液体吐出ヘッドは、長期間吐出を続けると、中間層210がインクに溶解し、吐出性能が低下する場合があった。中間層210の溶解によりノズルが剥がれ正常吐出ができなくなる場合があった。さらに、インクが侵入し絶縁層202を溶解することにより配線207の腐食に至るため液体吐出ヘッド全体の不具合が生じる場合もあった。Cの水準の材料を中間層210に用いた液体吐出ヘッドは、不良は生じなかったが、基板の反りが大きく、ヘッドの作製工程の一部で搬送エラーや吸着エラーが生じた。また、Kの水準の材料を中間層210に用いた液体吐出ヘッドは、通常時には不良が生じなかったが、偶発的に電圧が印加された状態で使用した場合、中間層210の絶縁性が乏しいため、陽極酸化してインク中に溶解した。中間層210の溶解によりノズルが剥がれ正常吐出ができなくなる場合があった。さらに、インクが侵入し絶縁層202を溶解することにより配線207の腐食に至るためヘッド全体の不具合が生じる場合もあった。
【0039】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2を、図2(a)を用いて説明する。図2(a)に示すように、絶縁層202はSiNまたはSiOからなり、膜厚は300nmで形成した。絶縁層202は膜厚200nmのTa保護層201で被覆し、保護層201を発泡室205に面する領域に残るようにパターニングした。保護層201を覆って中間層210を、前記組成式(I):Siw1x1y1(I)で表される材料で100nmの膜厚にプラズマCVD法で成膜した。ここで、前記組成式(I)で表される材料からなる膜は、w1、x1、y1をそれぞれ、w1=42(at.%)、x1=42(at.%)、y1=16(at.%)として形成した。なお、中間層210の絶縁性の担保のためには、中間層210を100nm以上の膜厚とすることが好ましい。その後、保護層201を露出させるため、発泡室に相当する部位の中間層210を除去した。更にポリエーテルアミド樹脂からなる有機中間層211を形成した。
流路212の側壁部及び天井部となる部分と、吐出口209を有する流路形成部材200は、感光性樹脂材料の硬化物層として基板上に形成した。感光性樹脂材料は特に限定されず、記録ヘッドの流路形成部材用として利用されているものから選択して用いることができる。流路形成部材の樹脂層からなる部分には、更に、他の材料からなる部分を追加してもよい。例えば、吐出口は開口する面には撥水層の形成などによる表面処理を行ってもよい。
図1に示す通り、流路形成部材と基板との接合は、流路以外の部分に設けられた接合部を介して行われる。接合部は、基板側の電気絶縁層202、保護層201、中間層210、有機中間層211が積層された部分と、樹脂層からなる流路形成部材200とによって形成される。これらの接合は、基板上で感光性樹脂材料により流路形成部材のパターンを形成し、これを露光により硬化させ、更に必要に応じて熱硬化させることにより行うことができる。吐出口209は、露光により形成してもよく、レーザー等を用いて形成してもよい。
【0040】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3を、実施例2と異なる箇所のみ示す。図2(b)に示すように、組成式(I)の材料(ここでは、実施例2と同様の材料)により下層中間層210bを100nmの膜厚で形成した。さらに、さらにインク耐性を高めるために、下層中間層210bを覆うようにインク耐性のある前記組成式(II)で表される材料からなる膜で形成した。組成式(II)で表される材料からなる膜は耐インク性を担保するため、その膜厚を50nmとした。前記組成式(II):Siw2y2z2(II)で表される膜は、x2、y2、z2が、w2=47(at.%)、y2=17(at.%)、z2=36(at.%)である膜で形成した。このような構成により、液体吐出ヘッドの前記保護層201に偶発的に電圧が印加された状態で使用した場合であっても、保護層に接する下層中間層210bに絶縁性があるため、陽極酸化によるインク溶解を抑制することができた。さらに上層中間層210aを設けることで中間層としての耐インク性を高めることができた。これらの点より、液体吐出ヘッドの長期信頼性を向上させることができた。
【0041】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4を、実施例2と異なる箇所のみ示す。液体吐出ヘッドを省エネルギーで駆動させるために、前記絶縁層202の膜厚を170nmに薄化した。しかし、パッシベーション耐性が不足し、水分やイオンが透過しやすくなり、電極配線207の腐食が懸念される。そこで、中間層にパッシベーション耐性を持たせるため、中間層210の構成を以下のとおり変更した。中間層210は、前記組成式(III):Siw3x3y3z3(III)において、w3、x3、y3、z3が、w3=38(at.%)、x=39(at.%)、y3=15(at.%)、z3=8(at.%)である材料を含む膜で形成した。前記中間層210において、組成式(III)で表される材料からなる膜は絶縁性およびパッシベーション耐性を担保するため、その膜厚を100nmとした。この構成により、液体吐出ヘッドの前記保護層201に偶発的に電圧が印加された状態で使用した場合であっても、中間層210に絶縁性があるため、陽極酸化による中間層210のインク溶解を抑制することができた。さらに絶縁層202の膜厚を薄膜化したことで省エネ駆動ができた。
【0042】
(比較例1)
次に、本発明の比較例1を、実施例1と異なる箇所のみ示す。中間層210の構成を以下のとおり変更した。
中間層210は、前記組成式(II):Siw2y2z2(II)において、x2、y2、z2が、w2=47(at.%)、y2=17(at.%)、z2=36(at.%)である材料からなる膜で形成した。膜厚は100nmであった。
この構成により、液体吐出ヘッドの前記保護層201に偶発的に電圧が印加された状態で使用した場合、中間層210の絶縁性が乏しいため、陽極酸化してインク中に溶解することがある。中間層210の溶解によりノズルが剥がれ正常吐出ができなくなることがあった。さらに、インクが侵入し絶縁層202を溶解することにより配線207の腐食に至るためヘッド全体の不具合が生じることがあった。
【符号の説明】
【0043】
1 素子基板
8、200 流路形成部材
201 保護層
202 絶縁層
204 発熱抵抗体層
9、209 吐出口
210 中間層
210a 中間層上層
210b 中間層下層
212 流路
6 発熱抵抗素子
図1
図2
図3
図4