IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/087 20060101AFI20240826BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G03G9/087 325
G03G9/087 331
G03G9/097 375
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020198743
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2021096467
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2019225293
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜 雅之
(72)【発明者】
【氏名】菅野 伊知朗
(72)【発明者】
【氏名】釜江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武
(72)【発明者】
【氏名】井田 隼人
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-142632(JP,A)
【文献】特開2019-211763(JP,A)
【文献】特開2017-227698(JP,A)
【文献】特開2002-148851(JP,A)
【文献】特開2007-034264(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0308611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/087
G03G 9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の樹脂及び第二の樹脂を有する結着樹脂を含有するトナー粒子並びに該トナー粒子表面の微粒子を有するトナーであって、
該第一の樹脂は結晶性樹脂であり、
該第二の樹脂は非晶性樹脂であり、
該第一の樹脂は、下記式(1)で表される第一のモノマーユニットを有し、
該第一の樹脂中の該第一のモノマーユニットの含有割合が、30.0質量%~99.9質量%であり、
該第一の樹脂の酸価が、0.1mgKOH/g~30.0mgKOH/gであり、
該第二の樹脂の酸価が、0.5mgKOH/g~40.0mgKOH/gであり、
該トナーの断面観察において、該第一の樹脂を含むマトリクス及び該第二の樹脂を含むドメインで構成されるドメインマトリクス構造が見られ、
該微粒子は、その表面に窒素原子を含む化合物が結合または吸着していることを特徴とするトナー。
式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数18~36のアルキル基を表す。
【請求項2】
前記結着樹脂中の、前記第一の樹脂の含有量Xに対する、前記第二の樹脂の含有量Yの質量比Y/Xが、0.20~2.00である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーの断面観察における前記ドメインの個数平均径が、0.10μm~2.00μmである請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記窒素原子を含む化合物が、アミノ基を有する化合物を含む請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項5】
前記窒素原子を含む化合物が、4級アンモニウム基を有する化合物を含む請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項6】
前記微粒子が、炭素数4~24のアルキル基を有する化合物を少なくともその表面に有する請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項7】
前記第一のモノマーユニットのRで示されるアルキル基の炭素数をCxとし、前記炭素数4~24のアルキル基を有する化合物のアルキル基の炭素数をCyとしたとき、Cx/Cyが1.0~5.0である請求項6に記載のトナー。
【請求項8】
前記結着樹脂が、さらに第三の樹脂を含み、
該第三の樹脂が、前記第一の樹脂及び前記第二の樹脂が結合した樹脂を含有する請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項9】
前記第二の樹脂が、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とが結合したハイブリッド樹脂、ポリエステル樹脂及びビニル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一を含む請求項1~8のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項10】
前記結着樹脂中の前記第一の樹脂の含有量が、30.0質量%以上である請求項1~9のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項11】
前記第一の樹脂は、前記第一のモノマーユニットとは異なる、下記式(2)で表されるモノマーユニット及び下記式(3)で表されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも一である第二のモノマーユニットを有する請求項1~10のいずれか一項に記載のトナー。
式(2)中、Xは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を示す。
は、-C≡N、
-C(=O)NHR10(R10は水素原子、若しくは炭素数1~4のアルキル基を表す。)、
ヒドロキシ基、
-COOR11(R11は炭素数1~6のアルキル基若しくは炭素数1~6のヒドロキシアルキル基を表す。)、
-NH-C(=O)-N(R13(2つのR13はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基を表す。)、
-COO(CHNHCOOR14(R14は炭素数1~4のアルキル基を表す。)、又は
-COO(CH-NH-C(=O)-N(R15(2つのR15はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基を表す。)を表す。
は、水素原子又はメチル基を表す。
式(3)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、及びトナージェット方式に用いられるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、高速印刷化や省エネルギー対応への要求がさらに高まっている。高速印刷に対応するため、定着工程においてはトナーをより素早く溶融させる技術が検討されている。また、生産性を向上させるために1つのジョブ中や、ジョブ間における各種制御の時間を短縮する技術が検討されている。また、省エネルギー対応策として、定着工程での消費電力を低下させるために、トナーをより低い温度で定着させる技術が検討されている。
高速印刷に対応し、かつトナーの低温定着性を向上させるために、トナーの結着樹脂のガラス転移温度や軟化点を下げ、かつシャープメルト性を有する結着樹脂を用いる方法がある。近年、さらにシャープメルト性を有する樹脂として、結晶性ポリエステルを含有させたトナーが多く提案されている。しかしながら、結晶性ポリエステルは高温高湿環境における帯電安定性、特に高温高湿環境に放置後の帯電性の維持という面で課題のある材料であった。
シャープメルト性を有する他の結晶性樹脂として、結晶性のビニル系樹脂を使用したトナーが各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、側鎖に結晶性を有するアクリレート系樹脂を用いることで低温定着性と耐熱保存性を両立させるトナーが提案されている。
また特許文献2では、非晶性のビニル系樹脂及び結晶性のビニル系樹脂を化学的に結合させた結着樹脂を用いたトナーが提案されている。
また、帯電性維持という技術課題に対する別のアプローチとして、トナーの粒子表面のシェル化や粒子外添技術の改良により、帯電性を向上させる提案がなされてきている。
例えば、特許文献3では、トナーの結着樹脂に外添粒子を結合させることでトナーの帯電安定性を向上させたトナーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-097321号公報
【文献】特開2017-227766号公報
【文献】特開2019-078802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献の技術を用いることで、低温定着性と耐熱保存性を両立することができ、結晶性ポリエステル樹脂を使用したトナーの弱点であった帯電安定性もある程度改善することができている。しかしながら、これら結晶性のビニル系樹脂を結着樹脂として使用したトナーは帯電の立ち上がりが遅く、高画質の画像形成を安定的に行う点で、特性改善の余地が大きいことがわかってきた。
特に、印字比率の小さい画像を印刷した後に長時間放置した後、再び画像出力を行った場合、トナー粒子表面内での電荷密度に偏りが生じて、ドットや細線などのミクロ画質が低下しやすいことがわかった。こういった課題を解決するためにトナー粒子表面における摩擦帯電を高速かつ均一に行うためのさらなる技術開発の検討余地がある。
本開示は、低温定着性と耐熱保存性を両立した上で、様々な使用状況においても帯電安
定性を有し、高画質な画像が得られるトナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の態様は、第一の樹脂及び第二の樹脂を有する結着樹脂を含有するトナー粒子並びに該トナー粒子表面の微粒子を有するトナーであって、
該第一の樹脂は結晶性樹脂であり、
該第二の樹脂は非晶性樹脂であり、
該第一の樹脂は、下記式(1)で表される第一のモノマーユニットを有し、
該第一の樹脂中の該第一のモノマーユニットの含有割合が、30.0質量%~99.9質量%であり、
該第一の樹脂の酸価が、0.1mgKOH/g~30.0mgKOH/gであり、
該第二の樹脂の酸価が、0.5mgKOH/g~40.0mgKOH/gであり、
該トナーの断面観察において、該第一の樹脂を含むマトリクス及び該第二の樹脂を含むドメインで構成されるドメインマトリクス構造が見られ、
該微粒子は、その表面に窒素原子を含む化合物が結合または吸着していることを特徴とするトナー。
[下記式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数18~36のアルキル基を表す。]
【0007】
【化1】
【発明の効果】
【0008】
本開示により、低温定着性と耐熱保存性を両立した上で、様々な使用状況においても帯電安定性を有し、高画質な画像を出力できるトナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。例えば、ポリマー中のビニル系モノマーが重合した主鎖中の、炭素‐炭素結合1区間を1ユニットとする。ビニル系モノマーとは下記式(Z)で表すことができる。
【化2】
[式(Z)中、RZ1は、水素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基)を表し、RZ2は、任意の置換基を表す。]
結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂を指す。
【0010】
本発明者らは、低温定着性及び耐熱保存性に優れる結晶性のビニル系樹脂を有する結着樹脂の課題の解決にむけて、樹脂特性及びトナー粒子表面の微粒子組成を様々に変えて評価検討し、ミクロ画質が向上するトナー材料構成を見出した。上記効果が発現するメカニズムについて、本発明者らは以下のように推定している。
トナー粒子の結着樹脂の酸価は、電子供与性を有する酸の部位が樹脂に含まれる量を表す指標である。一方、微粒子中の窒素(N)原子は電子吸引性を有する。窒素(N)原子を有する微粒子は、酸価を有する結着樹脂を表面に有するトナー粒子との密着性が高くなり、電気的にも化学的にも安定する。そして、帯電した微粒子とトナー粒子表面と電荷の移動が行われやすくなり、電荷の蓄積/拡散が大きくなると考えられる。
また、トナー粒子への微粒子の付着が均一になりやすく、機械的負荷での移動による付着状態の偏りも起きにくいため、トナー粒子表面電荷の分布も均一化されやすいと考えられる。
【0011】
[結晶性樹脂]
結晶性樹脂である第一の樹脂は、式(1)で表される第一のモノマーユニットを有する。
そして、第一の樹脂中の第一のモノマーユニットの含有割合が、30.0質量%~99.9質量%である。また、第一の樹脂の酸価が、0.1mgKOH/g~30mgKOH/gである。第一の樹脂がこのような第一のモノマーユニットを有することで、結着樹脂が結晶性を有し、トナーの低温定着性が良化する。
【0012】
第一の樹脂中の第一のモノマーユニットの含有割合が、30.0質量%~99.9質量%であることで、低温定着性及び低湿環境での帯電安定性が良好となる。
第一のモノマーユニットの含有割合が30.0質量%未満であると、低温定着性が低下する。より好ましい範囲は40.0質量%~85.0質量%であり、さらに好ましくは45.0質量%~75.0質量%である。第一のモノマーユニットの含有割合が99.9質量%を超えると、第一の樹脂中におけるSP値の低い非極性部の占める部分が大きくなる場合があるため、低湿環境でのトナー表面電荷の帯電安定性が低下する可能性がある。
【0013】
また、結晶性樹脂である第一の樹脂の酸価は、0.1mgKOH/g~30.0mgKOH/gである。酸価が上記範囲であると、トナー粒子表面が微粒子から電荷を受け取りやすくなり、トナーの帯電安定性が向上する。
第一の樹脂の酸価が、0.1mgKOH/g未満であると、微粒子からトナー粒子表面への電荷移動がスムーズに行われないため、トナーの帯電安定性向上の効果が発現しない。第一の樹脂の酸価が、30.0mgKOH/gを超える場合、トナー粒子表面の疎水性が低下するため、特に高湿環境下での帯電維持性が低下する可能性がある。より好ましい範囲は5.0mgKOH/g~20.0mgKOH/gである。
【0014】
【化3】
【0015】
[式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数18~36のアルキル基(好ましくは炭素数18~30の直鎖のアルキル基)を表す。]
式(1)で表される第一のモノマーユニットは、炭素数18~36のアルキル基を有す
る(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一に由来するモノマーユニットであることが好ましい。
炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコシル、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドトリアコンチル等]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル等]が挙げられる。
【0016】
これらの内、トナーの低温定着性及び保存安定性の観点から、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一が好ましく、炭素数18~30の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一がより好ましく、直鎖の(メタ)アクリル酸ステアリル及び(メタ)アクリル酸ベヘニルからなる群から選択される少なくとも一がさらに好ましい。
第一のモノマーユニットを形成するモノマーは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
第一の樹脂は、ビニル重合体であることが好ましい。ビニル重合体は、例えば、エチレン性不飽和結合を含むモノマーの重合体が挙げられる。エチレン性不飽和結合とは、ラジカル重合することが可能な炭素-炭素二重結合を指し、例えば、ビニル基、プロペニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
【0017】
第一の樹脂は、第一のモノマーユニットとは異なる、下記式(2)で表されるモノマーユニット及び下記式(3)で表されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも一である第二のモノマーユニットを有することが好ましい。

第二のモノマーユニットを含有することにより、トナー中で第一のモノマーユニットの直鎖アルキル部位がブロック化された形で結晶化しやすく、定着性(シャープメルト性)が良好になる。

第一の樹脂中の第二のモノマーユニットの含有割合は、好ましくは1.0質量%~70.0質量%であり、より好ましくは10.0質量%~60.0質量%であり、さらに好ましくは15.0質量%~30.0質量%である。
【0018】
【化4】
【0019】
(式(2)中、Xは単結合又は炭素数1~6のアルキレン基を示す。
は、ニトリル基(-C≡N)、
アミド基(-C(=O)NHR10(R10は水素原子、若しくは炭素数1~4のアルキル基を表す。))、
ヒドロキシ基、
-COOR11(R11は炭素数1~6(好ましくは1~4)のアルキル基若しくは炭素数1~6(好ましくは1~4)のヒドロキシアルキル基を表す。)、
ウレア基(-NH-C(=O)-N(R13(2つのR13はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6(好ましくは1~4)のアルキル基を表す。))、
-COO(CHNHCOOR14(R14は炭素数1~4のアルキル基を表す。)、又は
-COO(CH-NH-C(=O)-N(R15(2つのR15はそれぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6(好ましくは1~4)のアルキル基を表す。)
である。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
(式(3)中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
【0020】
結着樹脂中の、結晶性樹脂である第一の樹脂の含有量は、30.0質量%以上であることが好ましい。
上記範囲であると、第一の樹脂を含むマトリクス及び第二の樹脂を含むドメインによるドメインマトリクス構造が形成されやすいため、低温定着性及び耐ホットオフセット性が両立できる。該含有量は、より好ましくは50.0質量%以上であり、さらに好ましくは55.0質量%以上である。
一方、上限は特に制限されないが、好ましくは97.0質量%以下であり、より好ましくは75.0質量%以下である。
【0021】
上記効果を得やすくする観点から、結着樹脂中の、非晶性樹脂である第二の樹脂の含有量は、3.0質量%以上であることが好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましく、20.0質量%以上であることがさらに好ましく、30.0質量%以上であることがさらにより好ましい。一方、上限は、70.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以下であることがより好ましく、45.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0022】
[非晶性樹脂]
第二の樹脂である非晶性樹脂の酸価は、0.5mgKOH/g~40.0mgKOH/gであることを特徴とする。上記範囲であることで、第一の樹脂との相互作用が起こり、トナー粒子表面全体へ外添微粒子から電荷の拡散が起きやすくなりトナー表面の電荷密度が小さくなり均一帯電しやすくなる。
第二の樹脂の酸価が、0.5mgKOH/g未満であると、第一の樹脂との相互作用効果が得られず、電荷移動がスムーズに行われないため、トナーの帯電均一性向上の効果が発現しにくい。第二の樹脂の酸価が、40.0mgKOH/gを超える場合、トナー粒子表面の疎水性が低下するため、特に高湿環境下での帯電維持性が低下する可能性がある。より好ましくは1mgKOH/g~30.0mgKOH/gであり、さらに好ましくは3.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下である。
【0023】
第二の樹脂としては、例えば以下の樹脂が挙げられる。
ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共
重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
【0024】
これらの中でも、第二の樹脂が、スチレン系共重合体などのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、及びビニル系樹脂とポリエステル樹脂が結合したハイブリッド樹脂からなる群から選択される少なくとも一を含むことが帯電安定性の観点で好ましい。結合とは、例えば、共有結合が挙げられる。第二の樹脂は、より好ましくはポリエステル樹脂を含み、さらに好ましくはポリエステル樹脂である。
【0025】
以下、第二の樹脂について、ポリエステル樹脂を例に説明する。
ポリエステル樹脂は、アルコール成分及びカルボン酸成分の縮重合体であることが好ましい。
第二の樹脂の酸価は、例えば、非晶性樹脂中のアルコールユニットと、カルボン酸ユニットの含有量と種類を変えることでコントロール可能である。
アルコールユニットとは、第二の樹脂において、モノマーであるアルコール成分が縮重合した構造(アルコール成分に由来するモノマーユニット)である。また、カルボン酸ユニットとは、第二の樹脂において、モノマーであるカルボン酸成分が縮重合した構造(カルボン酸成分に由来するモノマーユニット)である。
アルコールユニットは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が縮重合した構造を75mol%以上含有することが帯電安定性の観点から好ましい。より好ましくは80mol%以上であり、さらに好ましくは90mol%以上である。ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては下記式(A)で示される化合物が挙げられる。
【0026】
【化5】
【0027】
(式(A)中、Rは、それぞれ独立してエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
帯電安定性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物はビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物及び/又はエチレンオキサイド付加物であることが好ましい。より好ましくはプロピレンオキサイド付加物である。また、x+yの平均値は1以上5以下であることが好ましく、1.6以上2.8以下であることがより好ましい。
【0028】
アルコールユニットを形成するビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外の成分としては、以下の多価アルコール成分を使用することができる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-
1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン。
【0029】
低温定着性と耐ホットオフセットの観点から第二の樹脂のピーク分子量Mpは、3000~30000が好ましく、5000~20000がより好ましく、10000~15000がさらに好ましい。
【0030】
カルボン酸ユニットは、芳香族ジカルボン酸が縮重合した構造、飽和脂肪族ジカルボン酸が縮重合した構造及び不飽和ジカルボン酸が縮重合した構造からなる群から選択される少なくとも一を含有することが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類又はその無水物が挙げられる。
【0031】
飽和脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸のようなアルキルジカルボン酸又はその無水物が帯電安定性の観点から好ましい。
不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、炭素数6~18のアルケニル基で置換されたコハク酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物を用いることが好ましい。特にドデセニルコハク酸を含有することが好ましい。さらに、上記飽和脂肪族ジカルボン酸及び不飽和ジカルボン酸を2種類以上併用することがさらに好ましい。
【0032】
また、カルボン酸ユニットは、芳香族トリカルボン酸、又は芳香族テトラカルボン酸が縮重合した構造を含有することが帯電安定性及び耐ホットオフセット性の点で好ましい。芳香族トリカルボン酸の例としては、トリメリット酸及びその無水物が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸の例としてはピロメリット酸及びその無水物が挙げられる。
【0033】
カルボン酸ユニットは、芳香族カルボン酸が縮重合した構造を30mol%~90mol%含有することが好ましい。より好ましくは40mol%~80mol%である。

脂肪族ジカルボン酸に対して、芳香族カルボン酸の含有率が増えることで、帯電維持性が向上するために好ましい。
芳香族カルボン酸としては、前述した芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸が挙げられる。
カルボン酸ユニットを形成する他のカルボン酸としては、炭素数6~18のアルキル基で置換されたコハク酸又はその無水物;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
【0034】
非晶性ポリエステル樹脂は、通常用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;及びこれらの金属含有化合物など、いずれの触媒を用いても製造することができる。
中でもスズ化合物を用いると、帯電性の向上の点で好ましい。スズ化合物としては、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキサイド、ジフェニルスズオキサイドなどの有機スズ化合物が挙げられる。ここで、有機スズ化合物とは、Sn-C結合を有する化合物を指す。
【0035】
さらにSn-C結合を有しない無機スズ化合物も好ましく用いられる。ここで、無機スズ化合物とは、Sn-C結合を有しない化合物のことを指す。
無機スズ化合物の例としては、ジ酢酸スズ、ジヘキサン酸スズ、ジオクタン酸スズ、ジステアリン酸スズなどの非分岐型アルキルカルボン酸スズ、ジネオペンチル酸スズ、ジ(
2-エチルヘキサン酸)スズ、などの分岐型アルキルカルボン酸スズ、シュウ酸スズなどのカルボン酸スズ、ジオクチロキシスズ、ジステアロキシスズなどのジアルコキシスズなどが挙げられる。
これらのスズ化合物の中でも、アルキルカルボン酸スズやジアルコキシスズが好ましく、ジオクタン酸スズ、ジ(2-エチルヘキサン酸)スズ、ジステアリン酸スズといった、分子内にカルボキシル残基を有するアルキルカルボン酸スズが特に好ましい。
【0036】
本発明者らの検討において、結着樹脂の主成分として結晶性のビニル系樹脂を用いた場合、非晶性の樹脂を添加して高温領域の粘弾性を付与しても必ずしも定着温度領域が広がらないことがあった。場合によっては低温定着性と耐ホットオフセット性のどちらも低下することもあることがわかった。
さらに検討を進めると、トナー粒子断面の結晶性樹脂を含むマトリクス及び非晶性樹脂を含むドメインで構成されるドメインマトリクス構造と定着温度領域とに相関があることが分かった。
【0037】
ドメインマトリクス構造による効果が発現するメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。トナー断面のドメインマトリクス構造において、マトリクスが結晶性樹脂である第一の樹脂を含むことで優れた低温定着性を発現する。
トナー粒子がドメインマトリクス構造をもたず結晶性樹脂と非晶性樹脂とが相溶した均一構造の場合は、結晶性樹脂のシャープメルト性が失われるために低温定着性が低下する。
また、マトリクスが非晶性樹脂、ドメインが結晶性樹脂で構成されるドメインマトリクス構造を持つトナーの場合、溶融特性が非晶性樹脂により支配されるため、結晶性樹脂のシャープメルト性が十分に発揮されずに低温定着性が低下する。
また、トナー粒子の表面の少なくとも一部にマトリクスが露出しており、微粒子の少なくとも一部がマトリクスの露出部分に接して存在していることが好ましい。
【0038】
低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、トナーの断面観察におけるドメインの個数平均径は、好ましくは0.10μm~2.00μmであり、より好ましくは0.50μm~1.50μmである。
ドメインの個数平均径が2.00μm以下であると、トナー粒子中と定着時にドメインの非晶性樹脂が溶融しやすく定着性が良好となる。一方、高温領域においては、溶融した結晶性樹脂のマトリクスの粘度を適切に維持できるためホットオフセットを抑制できる。
ドメインの個数平均径が0.10μm以上であると、結晶性樹脂のシャープメルト性を発揮させやすく低温定着性が良化する。
ドメインの個数平均径は、結晶性樹脂と非晶性樹脂のモノマー組成、製造条件等により制御することが可能である。
【0039】
<結晶性樹脂と非晶性樹脂の結合>
結着樹脂は、好ましくは第三の樹脂を含む。第三の樹脂が、結晶性樹脂である第一の樹脂及び非晶性樹脂である第二の樹脂が結合した樹脂を含有することが好ましく、第一の樹脂及び第二の樹脂が結合した樹脂であることがより好ましい。このような第三の樹脂を含有することで、帯電安定性、低温定着性及び耐ホットオフセット性が良好になる。第三の樹脂は、例えば、第一の樹脂及び第二の樹脂の少なくとも一部が結合した構造を有することが好ましい。
【0040】
第一の樹脂と第二の樹脂とを結合させる方法としては、第一の樹脂と第二の樹脂を溶解又は溶融させた混合物に対しラジカル開始剤を用いて架橋させる方法、第一の樹脂と第二の樹脂の双方と反応する官能基を有する架橋剤を用いて架橋させる方法等が挙げられる。
ラジカル開始剤を用いて架橋させる方法に用いるラジカル開始剤としては、特に制限さ
れず、無機過酸化物、有機過酸化物、及びアゾ化合物等が挙げられる。また、これらのラジカル反応開始剤を併用してもよい。
【0041】
第一の樹脂と第二の樹脂の双方に炭素―炭素不飽和結合がある場合、それらが開裂して第一の樹脂と第二の樹脂とが架橋する。また、第一の樹脂と第二の樹脂の一方又は双方に炭素―炭素不飽和結合がない場合であっても、第一の樹脂及び/又は第二の樹脂に含まれる炭素原子に結合した水素原子を引き抜いて双方が架橋される。この場合、ラジカル開始剤としては水素引き抜き能の高い有機過酸化物を用いることがより好ましい。
第一の樹脂と第二の樹脂の双方と反応する官能基を有する架橋剤としては、特に限定はされず公知のものを用いることができ、例えば、エポキシ基を有する架橋剤、イソシアネート基を有する架橋剤、オキサゾリン基を有する架橋剤、カルボジイミド基を有する架橋剤、ヒドラジド基を有する架橋剤、アジリジン基を有する架橋剤、等が挙げられる。
【0042】
第一の樹脂と第二の樹脂の双方と反応する官能基を有する架橋剤を用いて架橋させる方法では、第一の樹脂と第二の樹脂の双方が架橋剤と反応する官能基を持つ必要がある。
上記の方法によって架橋した第一の樹脂及び第二の樹脂の少なくとも一部が結合した樹脂(すなわち第一の樹脂及び第二の樹脂が架橋した第三の樹脂、第一の樹脂並びに第二の樹脂を含有する樹脂組成物)をトナーの製造に用いることができる。
また、溶融混練法でトナーを製造する際に、上記ラジカル開始剤又は架橋剤の存在下で第一の樹脂と第二の樹脂を含有する原材料混合物を溶融混練することにより第一の樹脂と第二の樹脂とが結合した樹脂を含有するトナー粒子を製造することもできる。
結着樹脂中の第三の樹脂の含有量は、好ましくは1.0質量%~20.0質量%であり、より好ましくは5.0質量%~15.0質量%である。
【0043】
例えば、第三の樹脂は、第二の樹脂である炭素―炭素二重結合を有する非晶性ポリエステル樹脂及び第一の樹脂である結晶性樹脂を溶融混錬しながらラジカル反応開始剤を添加して架橋反応を行うことにより得られる樹脂が好ましい。
第一の樹脂及び第二の樹脂を用いて第三の樹脂を製造することで、第一の樹脂及び第二の樹脂の少なくとも一部が結合し、第三の樹脂が形成される。そうすることで、第一の樹脂、第二の樹脂及び第三の樹脂を含有する結着樹脂が得られる。
第一の樹脂及び第二の樹脂の少なくとも一部を結合させることで、第一の樹脂、第二の樹脂及び第三の樹脂を含有する結着樹脂を得てもよい。別途第三の樹脂を製造して、第一の樹脂及び第二の樹脂と混合し、結着樹脂を得てもよい。
【0044】
上記架橋反応のために用いるラジカル反応開始剤としては、特に制限されず、無機過酸化物、有機過酸化物、及びアゾ化合物等が挙げられる。また、これらのラジカル反応開始剤を併用してもよい。
無機過酸化物としては、特に限定されないが、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0045】
有機過酸化物としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)へキサン、ジ-t-へキシルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシへキシン-3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m-トルイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパー
オキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及びt-ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
アゾ化合物及びジアゾ化合物としては、特に制限されないが、例えば、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0046】
これらの中でも開始剤効率が高く、シアン化合物などの有毒な副生成物を生成しないことから、有機過酸化物が好ましい。
さらに、架橋反応が効率よく進行し、使用量が少なくて済むことから、水素引抜き能の高い反応開始剤がより好ましく、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ベンゾイルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)へキサン及びジ-t-へキシルパーオキシド等の水素引抜き能の高いラジカル反応開始剤がさらに好ましい。
ラジカル反応開始剤の使用量は、特に制限されないが、架橋させる結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部~50質量部が好ましく、0.2質量部~5質量部がより好ましい。
【0047】
また、低温定着性、ホットオフセット性及び帯電安定性の観点から、結着樹脂中の第一の樹脂の含有量Xに対する、第二の樹脂の含有量Yの質量比Y/Xが、0.20~2.00であることが好ましく、0.30~1.50であることがより好ましい。
【0048】
<微粒子>
トナーは、トナー粒子の表面に微粒子を有する。微粒子は、窒素原子を含む化合物がその表面に結合または吸着している。窒素原子を含む化合物が結合または吸着した微粒子は、トナー粒子表面に対する外添微粒子として存在することが好ましく、トナー粒子表面に均一に付着して外添された外添微粒子として存在することがより好ましい。
微粒子の個数平均径はトナー個数平均径の1/1000倍~1/20倍が好ましい。
【0049】
微粒子には、シリカ微粒子、及び金属酸化物微粒子(アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化マグネシウム微粒子、酸化亜鉛微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、又はチタン酸バリウム微粒子など)などの無機微粒子を用いることができる。
また、ビニル系樹脂、シリコーン樹脂及びメラミン樹脂などからなる有機微粒子、及び有機無機複合微粒子などを用いてもよい。好ましくは無機微粒子であり、より好ましくはシリカ微粒子である。
窒素原子を含む化合物が結合または吸着した微粒子の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部~4.0質量部であることが好ましく、0.2質量部~3.5質量部であることがより好ましく、1.0質量部~3.0質量部であることがさらに好ましい。
【0050】
窒素原子を含む化合物が結合または吸着した微粒子は、窒素原子を含む化合物により表面処理された上記無機微粒子、有機微粒子又は有機無機複合微粒子が好ましい。
窒素原子を含む化合物は、窒素元素を有する置換基としてアミノ基又は4級アンモニウム基を有する化合物が好ましい。すなわち、窒素原子を含む化合物は、アミノ基を有する化合物及び4級アンモニウム基を有する化合物からなる群から選択される少なくとも一を含むことが好ましく、アミノ基を有する化合物及び4級アンモニウム基を有する化合物からなる群から選択される少なくとも一であることがより好ましい。
【0051】
アミノ基を有する化合物としては、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、側鎖又は末端にアミノ基を導入し変性したアミノ変性シリコーンオイルなどを用いることができる。それらの中でも、トナー流動性付与の観点から、アミノ基含有シランカップリング剤が特に好ましい。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらの中でも、帯電性能の環境安定性の向上効果が優れていることから、3-アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0052】
4級アンモニウム基を有する化合物は、例えば4級アンモニウム塩が挙げられる。第4級アンモニウム塩は、特に限定されないが、例えば、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、アルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩、環状アンモニウム塩、二環状アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩型シランなど、公知の材料が挙げられる。
4級アンモニウム塩の微粒子表面への処理方法は、例えば、4級アンモニウム塩を適当な溶剤に溶解し、微粒子に添加して表面被覆した後、溶剤を乾燥させる方法があげられる。当該処理には、ニーダーコーター、スプレードライヤー、サーマルプロセッサー、流動床等を用いることができる。必要に応じて粉砕、分級を行ってもよい。また、ノビルタ等により乾式に処理することも可能である。
【0053】
また、4級アンモニウム塩での表面処理は、例えば、4級アンモニウム塩をエチルアルコールで溶解し、微粒子と攪拌混合した後、溶剤のエチルアルコールを除くため真空乾燥を行うことで、微粒子表面に4級アンモニウム塩を施すことが可能である。
【0054】
窒素原子を含む化合物による表面処理量は、微粒子100質量部に対して、好ましくは0.02質量部~15質量部であり、より好ましくは0.05質量部~10質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部~8質量部である。
処理される微粒子がシリカ微粒子であり、処理剤がアミノ基含有シランカップリング剤である場合、シリカ微粒子表面のOH基とカップリング剤とが反応するため、この場合には、微粒子表面に窒素原子を含む化合物が結合している状態となる。一方、処理される微粒子がチタン酸ストロンチウム微粒子であって、処理剤がアミノ基含有シランカップリング剤である場合や、処理される微粒子がシリカ微粒子であって、処理剤がアミノ基含有シリコーンオイルである場合には、微粒子と処理剤との間で反応が起こらないため、これらの場合には、微粒子表面に窒素原子を含む化合物が吸着している状態となる。
即ち、処理される微粒子と処理剤とが、その組み合わせや処理条件に基づいて、反応する場合には、微粒子と窒素原子を含む化合物が結合している状態となり、反応しない場合には、微粒子と窒素原子を含む化合物が吸着している状態となる。
【0055】
さらに、微粒子が、窒素原子を含む化合物とともにアルキル基を有する化合物により表面処理されていることが、微粒子の疎水性を向上させ湿度による帯電量の差が出にくくなるため好ましい。すなわち、微粒子が、アルキル基を有する化合物を少なくともその表面に有することが好ましい。また、微粒子が、窒素原子を含む化合物及びアルキル基を有する化合物による表面処理物であることが好ましい。
特に窒素原子を含まないアルキル基を含む珪素化合物を表面処理剤として共存させて用いると、正帯電から負帯電の極性を制御することのみならず、微粒子同士の間の接触で摩擦帯電が行われやすく、トナー表面で電荷分布が均一になりやすく、接触する面に対する静電付着力を小さくすることができる。
【0056】
アルキル基を有する化合物の例としては脂肪酸、脂肪酸金属塩、シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、脂肪族アルコールなどが挙げられる。
中でも、脂肪酸、脂肪酸金属塩、シリコーンオイル、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも一つの化合物が本開示の効果をより得られやすいため好ましい。
脂肪酸及び脂肪酸金属塩の例としては、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ラウリン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
シリコーンオイルの例としてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、オクチル変性シリコーンオイルのようなアルキル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0057】
シランカップリング剤の例としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、セチルトリメトキシシラン、ステアリルトリメトキシシランなどが挙げられる。
脂肪族アルコールの例としては、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、n-オクタノール、ステアリルアルコール、1-テトラコサノールなどが挙げられる。脂肪族アルコールの処理の方法としては例えば、沸点以上の温度に加熱し気化させた状態で無機微粒子と処理することが挙げられる。
【0058】
アルキル基を有する化合物は、炭素数4~24(好ましくは4~18)のアルキル基を有する化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。このような化合物により、第一のモノマーユニットのアルキル基との相互作用がより向上するため、画質維持性がさらに向上する。
【0059】
第一のモノマーユニットのRで示されるアルキル基の炭素数をCxとし、アルキル基を有する化合物のアルキル基の炭素数をCyとしたとき、Cx/Cyが1.0~5.0であると、アルキル基同士の相互作用がより強くなるため好ましい。より好ましくは1.2~4.5である。
第一のモノマーユニット又はアルキル基を有する化合物を複数使用する際は、そのモル比率に応じた平均炭素数とする。
【0060】
表面処理の方法としては、公知技術が使用できる。例えば、微粒子とシリコーンオイルとを混合機を用い、混合する;微粒子中にシリコーンオイルを、噴霧器を用い噴霧する;又は溶剤中にシリコーンオイルを溶解させた後、微粒子を混合する方法が挙げられる。処理方法としてはこれに限定されるものではない。
【0061】
微粒子の一次粒子の個数平均径は、10nm~200nmであることが好ましく、20nm~50nmであることがより好ましい。一次粒子の個数平均径が上記範囲内であると、微粒子がトナー粒子表面に均一に接触付着し易く、帯電均一性が良好となる。
【0062】
結晶性樹脂である第一の樹脂は、上述した式(1)で表される第一のモノマーユニット、及び式(2)又は(3)で表される第二のモノマーユニットとは異なる第三のモノマーユニットを含んでいてもよい。
第三のモノマーユニットを形成しうる重合性単量体は以下のものが挙げられる。例えば、スチレン、o-メチルスチレンなどのスチレン及びその誘導体、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸。
第一の樹脂は、スチレン由来のモノマーユニットを含有することが好ましい。また、第一の樹脂は、(メタ)アクリル酸由来のモノマーユニットを含有することが好ましい。
第一の樹脂中の第三のモノマーユニットの含有割合は、好ましくは1.0質量%~20.0質量%であり、より好ましくは5.0質量%~15.0質量%である。
【0063】
<着色剤>
トナーには着色剤を用いてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
【0064】
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
【0065】
<ワックス>
トナーにはワックスを用いてもよい。ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して2.0質量部~30.0質量部であることが好ましい。
【0066】
<荷電制御剤>
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部~10質量部が好ましい。
【0067】
<他の微粒子>
トナーには、前述した微粒子のほかに、必要に応じて他の微粒子を含有させることもできる。他の微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし、外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。
他の微粒子の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部~2.0質量部であることが好ましく、0.2質量部~1.5質量部であることがより好ましい。
他の微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
他の微粒子としては、シリカ微粒子、及び金属酸化物微粒子(アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化マグネシウム微粒子、酸化亜鉛微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、又はチタン酸バリウム微粒子など)などの無機微粒子が挙げられる。
また、ビニル系樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂などからなる有機微粒子、及び有機無機複合微粒子などを用いてもよい。
【0068】
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m/g以上400m/g以下
の無機微粉末が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m/g以上50m/g以下の無機微粉末であることが好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の微粒子を併用してもよい。
【0069】
<現像剤>
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。すなわち、トナー及び磁性キャリアを含有する二成分系現像剤であって、該トナーが本発明のトナーであることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、あるいは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、好ましくは2質量%以上15質量%以下、より好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
【0070】
<トナー粒子の製造方法>
トナー粒子を製造する方法としては、特に制限されず、懸濁重合法、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知の製造方法を採用できる。
得られたトナー粒子に対し、窒素原子を含む化合物が結合または吸着した微粒子、及び必要に応じて他の微粒子を外添剤として混合して、トナーを得る。トナー粒子と微粒子の混合は、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を用いることができる。
【0071】
トナー及び原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
<微粉子の一次粒子の個数平均径の測定方法>
微粒子の一次粒子の個数平均径の測定は、日立超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM)S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて行う。
測定は、微粒子を混合した後のトナーについて行う。
撮影倍率は5万倍とし、撮影された写真をさらに2倍に引き伸ばした後、得られたFE-SEM写真像から、微粒子の最大径(長軸径)aと最小径(短軸径)bを測定して、(a+b)/2を当該粒子の粒径とする。ランダムに選択した100個の微粒子について粒径を計測し算術平均を求め、微粒子の一次粒子の個数平均径とする。
【0072】
<第一の樹脂中の各モノマーユニットの含有割合の測定方法>
第一の樹脂中の各モノマーユニットの含有割合の測定は、H-NMRにより以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料 :測定試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
得られたH-NMRチャートより、第一のモノマーユニットの構成要素に帰属される
ピークの中から、他に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。
同様に、第二のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの中から、他に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。
さらに、第一の樹脂が第三のモノマーユニットを有する場合は、第三のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークから、他に由来するモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。
第一のモノマーユニットの含有割合は、上記積分値S、S及びSを用いて、以下のようにして求める。なお、n、n、nはそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
第一のモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
同様に、第二のモノマーユニット、及び第三のモノマーユニットの含有割合は以下のように求める。
第二のモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
第三のモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n))}×100
なお、第一の樹脂において、ビニル基以外の構成要素に水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C-NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、H-NMRにて同様にして算出する。
また、トナーが懸濁重合法によって製造される場合、離型剤やその他の樹脂のピークが重なり、独立したピークが観測されないことがある。それにより、第一の樹脂中の各種重合性単量体に由来するモノマーユニットの含有割合が算出できない場合が生じる。その場合、離型剤やその他の樹脂を使用しないで同様の懸濁重合を行うことで、第一の樹脂’を製造し、第一の樹脂’を第一の樹脂とみなして分析することができる。
【0073】
<融点の測定方法>
樹脂などの融点は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、示差走査熱量測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。
1回目の昇温過程における最大吸熱ピークのピーク温度を、融点とする。
なお、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことである。
【0074】
<GPCによる樹脂のTHF可溶分のピーク分子量、重量平均分子量の測定方法>
第一の樹脂及び第二の樹脂など樹脂のTHF可溶分のピーク分子量、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用い
て、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
【0075】
<樹脂の軟化点の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。
なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
【0076】
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量(流出終了点、Smaxとする)と、流出が開始した時点におけるピストンの降下量(最低点、Sminとする)との差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、ピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
測定における具体的な操作は、装置に付属のマニュアルに従って行う。
CFT-500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
【0077】
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジ
ウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料3mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下の条件で測定する。
昇温速度 :10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
なお、測定においては、一度180℃まで昇温させて10分間保持し、続いて10℃/minの降温速度で30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30℃~100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移温度(Tg)とする。
【0078】
<酸価の測定方法>
酸価とは、試料1g中に含まれる酸成分を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。酸価はJIS K 0070-1992に準じ以下のように測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。該水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した該水酸化カリウム溶液の量から求める。該0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。
【0079】
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)>
トナー粒子(又はトナー)の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コール
ター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
【0080】
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
【0081】
<トナーの断面観察及びマトリクス、ドメインの分析方法>
まず、存在量の基準サンプルとなる薄片を作製する。
可視光硬化性樹脂(アロニックス LCRシリーズ D800)中に結晶性樹脂である第一の樹脂を十分に分散させた後、短波長光を照射し硬化させる。得られた硬化物を、ダイアモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで切り出し、250nmの薄片状サンプルを作製する。同様にして非晶性樹脂である第二の樹脂についても薄片状サンプルを作製する。
また、第一の樹脂と第二の樹脂を質量基準で0/100、30/70、70/30、0/100で混合し、溶融混練した混練物を作製する。これらについても同様に可視光硬化性樹脂中に分散させ硬化させたのちに切り出すことで薄片状サンプルを作製する。
次いで、切り出したサンプルを透過型電子顕微鏡(日本電子社製電子顕微鏡JEM-2800)(TEM―EDX)を用いてこれら基準サンプルの断面を観察し、EDXを用い
て元素マッピングを行う。マッピングする元素としては、炭素、酸素、窒素とする。
マッピング条件としては、以下の通りとする。
加速電圧:200kV
電子線照射サイズ:1.5nm
ライブタイムリミット:600sec
デッドタイム:20~30
マッピング分解能:256×256
【0082】
各元素の(10nm四方の面積における平均)スペクトル強度をもとに(酸素元素の強度/炭素元素強度)及び(窒素元素強度/炭素元素強度)を算出し、第一の樹脂と第二の樹脂の質量比率に対して検量線を作成する。第一の樹脂のモノマーユニットに窒素原子が含まれる場合には(窒素元素強度/炭素元素強度)の検量線を用いて今後の定量を行う。
次に、トナーサンプルの分析を行う。
可視光硬化性樹脂(アロニックス LCRシリーズ D800)中にトナーを十分に分散させた後、短波長光を照射し硬化させる。得られた硬化物を、ダイアモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで切り出し、250nmの薄片状サンプルを作製する。次いで、切り出したサンプルに対し透過型電子顕微鏡(日本電子社製電子顕微鏡JEM-2800)(TEM―EDX)を用いた観察を行う。トナー粒子の断面画像を取得し、EDXを用いて元素マッピングを行う。マッピングする元素としては、炭素、酸素、窒素とする。
なお、観察するトナー断面は以下のように選択する。まずトナー断面画像から、トナーの断面積を求め、その断面積と等しい面積を持つ円の直径(円相当径)を求める。この円相当径とトナーの重量平均粒径(D4)との差の絶対値が1.0μm以内のトナー断面画像についてのみ観察する。
観察画像により確認されるドメインについて、各元素の(10nm四方の平均)スペクトル強度をもとに(酸素元素の強度/炭素元素強度)及び/又は(窒素元素強度/炭素元素強度)を算出し、前記検量線と比較することにより第一の樹脂と第二の樹脂の比率を算出する。第二の樹脂の比率が80%以上のドメインを本開示のドメインとする。
観察画像により確認されるドメインを特定したのち、二値化処理により、トナー断面に存在するドメインの粒径を求める。粒径はドメインの長径とする。これを1トナーあたり10点測定し、トナー10個のドメインの算術平均値をドメインの個数平均径とする。なお、二値化処理には、Image Pro PLUS(日本ローパー株式会社製)を用いる。
【0083】
(トナーからの各材料の分離方法)
トナーに含まれる各材料の溶剤への溶解度の差を利用して、トナーから各材料を分離することができる。
第一分離:23℃のメチルエチルケトン(MEK)にトナーを溶解させ、可溶分(第二の樹脂)と不溶分(第一の樹脂、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を分離する。
第二分離:100℃のMEKに、第一分離で得られた不溶分(第一の樹脂、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を溶解させ、可溶分(第一の樹脂、離型剤)と不溶分(着色剤、無機微粒子など)を分離する。
第三分離:23℃のクロロホルムに、第二分離で得られた可溶分(第一の樹脂、離型剤)を溶解させ、可溶分(第一の樹脂)と不溶分(離型剤)を分離する。
【0084】
(第三の樹脂を含む場合)
第一分離:23℃のメチルエチルケトン(MEK)にトナーを溶解させ、可溶分(第二の樹脂、第三の樹脂)と不溶分(第一の樹脂、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を分離する。
第二分離:23℃のトルエンに第一分離で得られた可溶分(第二の樹脂、第三の樹脂)を溶解させ、可溶分(第三の樹脂)と不溶分(第二の樹脂)を分離する。
第三分離:100℃のMEKに、第一分離で得られた不溶分(第一の樹脂、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を溶解させ、可溶分(第一の樹脂、離型剤)と不溶分(着色剤、無機微粒子など)を分離する。
第四分離:23℃のクロロホルムに、第三分離で得られた可溶分(第一の樹脂、離型剤)を溶解させ、可溶分(第一の樹脂)と不溶分(離型剤)を分離する。
【0085】
(トナーにおける、結着樹脂中の第一の樹脂及び第二の樹脂の含有量の測定)
上記分離で得られた各分離工程において、可溶分及び不溶分の質量を測定することで、トナーにおける、結着樹脂中の第一の樹脂及び第二の樹脂の含有量を算出する。
【実施例
【0086】
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これらは本発明をなんら限定するものではない。以下の処方の「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
【0087】
<微粒子1の製造例>
火炎加水分解法にて製造した1次粒子の個数平均径30nmの未処理シリカ粒子100gを、小型磁器鉢型擂潰機を用いて攪拌しながら、シリカ粒子100部に対して6部の3-アミノプロピルトリエトキシシランをシリカ粒子に添加した。その後、擂潰機を用いてシリカ粒子を120分間攪拌した。
続けて、擂潰機を用いてシリカ粒子を攪拌しながら、シリカ粒子100部(3-アミノプロピルトリエトキシシランが添加される前の部数)に対して12部のn-オクチルトリエトキシシランをシリカ粒子に添加した。その後、擂潰機を用いてシリカ粒子を120分間攪拌した。
続けて、3-アミノプロピルトリエトキシシラン及びn-オクチルトリエトキシシランで処理された被覆シリカ粒子に対して、乾燥機を用いて温度85℃の熱処理を72時間行った。その後、熱処理された被覆シリカ粒子を解砕し、微粒子1を得た。
なお、微粒子1においては、微粒子と処理剤(窒素原子を含む化合物)とが結合していた。
【0088】
<微粒子2~10の製造例>
微粒子1の製造で用いた火炎加水分解法にて製造した1次粒子の個数平均径30nmの
未処理シリカ粒子に対し、表1に記載の化合物にて表面処理を行い、微粒子2~10を得た。各表面処理剤の添加量は、微粒子1と同様にした。
なお、微粒子2~9においては、微粒子と処理剤(窒素原子を含む化合物)とが結合しており、微粒子10においては、微粒子に処理剤(窒素原子を含む化合物)が吸着していた。
【0089】
<微粒子11~12の製造例>
火炎加水分解法にて製造した1次粒子の個数平均径30nm又は12nmの未処理シリカ粒子(100部)に対し、ヘキサメチルシラザンHMDS(10部)にて疎水化処理を行い、それぞれ微粒子11と微粒子12を得た。
上記製造により得られた微粒子を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
<結晶性樹脂C1の製造例>
・溶媒:トルエン 100.0部・単量体組成物 100.0部(単量体組成物は以下のアクリル酸ベヘニル・アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸を以下に示す割合で混合したものである)
(アクリル酸ベヘニル 70.0部)
(アクリロニトリル 18.7部)
(スチレン 10.0部)
(アクリル酸 1.3部)
・重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV) 0.5部
還流冷却管、攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、上記材料を投入した。反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、さらにメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して結晶性樹脂C1を得た。結晶性樹脂C1の重量平均分子量は73000、融点は64℃、酸価は10.0mgKOH/gであった。
【0092】
<結晶性樹脂C2~C12の製造例>
結晶性樹脂C1と同じ製造方法にて、材料種と量を表2に示すように変えて、結晶性樹脂C2~C12を製造した。結晶性樹脂C2~12は、DSC測定において明確な吸熱ピークを有していた。
【0093】
【表2】
表中、Fは、結晶性樹脂中の第一のモノマーユニットの含有割合である。酸価の単位はmgKOH/gである。
【0094】
<非晶性樹脂A1の製造例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 1500部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 500部
・フマル酸 250部
・テレフタル酸 350部
・アクリル酸 150部
・ジオクタン酸スズ(II) 15部
を、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で4.5時間重合した。
その後、一旦160℃まで冷却したところで、トリメリット酸150部を添加した。
次いで、スチレン450部、アクリル酸2-エチルヘキシル200部、及び重合開始剤であるジクミルパーオキサイド30部の混合物を、160℃で、2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに200℃まで昇温し、3時間反応を行い、軟化点が115℃の非晶性樹脂A1を得た。
得られた非晶性樹脂A1のGPCによるピーク分子量は9000であった。ガラス転移温度は60℃であり、酸価は20.0mgKOH/gであった。
【0095】
<非晶性樹脂A2の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:73.4部(0.186モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)・テレフタル酸:11.6部(0.070モル;多価カルボン酸総モル数に対して45.0mol%)
・アジピン酸:6.8部(0.047モル;多価カルボン酸総モル数に対して30.0mol%)
・ジ(2-エチルヘキシル酸)スズ:0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:8.2部(0.039モル;多価カルボン酸総モル数に対して25.0mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま15時間反応させ、温度を下げることで反応を止め、(第2反応工程)、非晶性樹脂A2を得た。得られた非晶性樹脂A2は、ピーク分子量Mpは11000、ガラス転移温度Tgは58℃、酸価は20.0mgKOH/gであった。
【0096】
<非晶性樹脂A3~A5の製造例>
非晶性樹脂A2の製造例において、使用するアルコール成分又はカルボン酸成分とモル比率を表3のように変更したほかは同様にして反応を行い、非晶性樹脂A3~A5を得た。その際、アルコール成分、カルボン酸成分の総モル数が非晶性樹脂A1の製造例と同じになるように原材料の質量部を調整した。物性を表3に示す。
【0097】
【表3】
表中、略称は以下の通り。
BPA-PO(2.2):ビスフェノールAプロピレンオキシド2.2モル付加物
EG:エチレングリコール
Tgの単位は℃であり、酸価の単位はmgKOH/gである。
【0098】
<非晶性樹脂A6の製造例>
オートクレーブにキシレン50.0部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下、密閉状態で180℃まで昇温した。
ここに、スチレン81.9部、アクリル酸-n-ブチル7.0部、アクリル酸ドデシル10.0部、ジビニルベンゼン1.1部、ジ-tert-ブチルパーオキサイド1.0部及びキシレン20.0部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を180℃にコントロールしながら、5時間連続的に滴下し重合させた。
さらに同温度で1時間保ち重合を完了させ、溶媒を除去し、非晶性樹脂A6を得た。該非晶性樹脂A6のピーク分子量Mpは17000、ガラス転移温度Tgは60℃、酸価は0.0mgKOH/gであった。
【0099】
<結着樹脂1の製造例> 架橋樹脂
非晶性樹脂A1: 40部及び結晶性樹脂C1: 60部を混合し、二軸混練機[(株)栗本鉄工所製、S5KRCニーダー]に52kg/時で供給し、同時にラジカル反応開始剤としてt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート1.0部を0.52kg/時で供給して160℃で7分間、90rpmで混練押出して架橋反応を行い、さらにベント口から10kPaで減圧して有機溶剤の除去を行いながら混合した。混合で得られたものを冷却した後、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、結着樹脂1を得た。
【0100】
<結着樹脂2~25の製造例>
結着樹脂1の製造例と同様の製造方法にて、使用する樹脂、ラジカル反応開始剤の有無
、2軸混錬機の回転数を変えて、結着樹脂2~25を製造した。処方と製造条件を表4に示す。
【0101】
【表4】
【0102】
<トナー1の製造例>
・結着樹脂1 100部
・脂肪族炭化水素化合物HNP-51(日本精蝋製) 10部
・C.I.ピグメントブルー15:3 6.5部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度120℃、スクリュー回転数200rpmに設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて吐出温度135℃にて混練した。得られた混練物を15℃/minの冷却速度で冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、フロイントターボ(株)製)にて微粉砕した。
さらにファカルティF-300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を
120s-1とした。
【0103】
次に、下記材料をヘンシェルミキサーFM-10C型(三井三池化工機製)で回転数30s-1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。
・トナー粒子1 100部
・微粒子1 2.5部
・微粒子12: 0.8部
トナー1の重量平均粒径(D4)は5.4μmであった。
【0104】
<トナー2~33の製造例>
トナー1の製造例にて、結着樹脂、混錬スクリュー回転数、微粒子を変更してトナー2~33を製造した。
トナー1~33の処方とトナー製造条件を表5に示す。
得られたトナーの断面観察を行ったところ、トナー1~25,28及び30~33にお
いて、結晶性樹脂である第一の樹脂を含むマトリクス、及び非晶性樹脂である第二の樹脂を含むドメインで構成されるドメインマトリクス構造が見られた。
一方、トナー26、27では、第二の樹脂を含むマトリクス及び第一の樹脂を含むドメインで構成されるドメインマトリクス構造が見られた。トナー29ではドメインマトリクス構造が見られなかった。
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
表中、Xは、結着樹脂中の第一の樹脂の含有量(質量%)である。ドメイン径は、個数平均径(μm)である。
トナー1とトナー2の結着樹脂中には、12質量%の第三の樹脂が含有されていた。
【0107】
<磁性キャリア1の製造例>
・個数平均粒径0.30μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト1
・個数平均粒径0.50μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト2
上記の材料それぞれ100部に対し、4.0部のシラン化合物(3-(2-アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール:10質量%
・ホルムアルデヒド溶液:6質量%
(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%)
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト1 :58質量%
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト2 :26質量%
上記材料100部と、28質量%アンモニア水溶液5部、及び水20部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温し、3時間保持して重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。
その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体分散型の球状の磁性キャリア1を得た。体積基準の50%粒径(D50)は、34.2μmであった。
【0108】
<二成分系現像剤1の製造例>
91.0部の磁性キャリア1と9.0部のトナー1を振盪機「YS-LD」(ヤヨイ株式会社製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
【0109】
<二成分系現像剤2~33の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、トナーを表7のように変更する以外は同様にして製造を行い、二成分系現像剤2~33を得た。
【0110】
【表7】
【0111】
[低温定着性]
紙:GFC-081(81.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.90mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
定着温度:140℃
プロセススピード:400mm/sec
上記評価画像を出力し、低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。
画像濃度低下率は、X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定する。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、画像濃度を再度測定する。
そして、下記式を用いて摺擦前後での画像濃度の低下率を算出した。得られた画像濃度の低下率を下記の評価基準に従って評価した。D以上を本発明の効果が得られているものと判断した。評価結果を表8に示す。
画像濃度の低下率 =
(摺擦前の画像濃度-摺擦後の画像濃度)/摺擦前の画像濃度×100
(評価基準)
AA:画像濃度の低下率1.5%未満
A :画像濃度の低下率1.5%以上3.0%未満
B :画像濃度の低下率3.0%以上4.5%未満
C :画像濃度の低下率4.5%以上6.0%未満
D :画像濃度の低下率6.0%以上7.5%未満
E :画像濃度の低下率7.5%以上
【0112】
[耐ホットオフセット性]
紙:CS-064(64.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.06mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の通紙方向長端に2cm×20cmの画像を紙先端から2mmの余白を置いて配置
試験環境:常温低湿環境:温度23℃/湿度5%RH(以下「N/L」)
定着温度:140℃から5℃おきに昇温
プロセススピード:400mm/sec
上記評価画像を出力し、オフセットの生じない最高定着温度にて耐ホットオフセット性を以下の基準で評価した。D以上を本発明の効果が得られているものと判断した。
(評価基準)
AA:180℃以上
A :170℃以上180℃未満
B :160℃以上170℃未満
C :150℃以上160℃未満
D :140℃以上150℃未満
E :140℃未満
【0113】
<画像解像度(細線再現性)>
画像形成装置としてキヤノン製フルカラー複写機imagePress C800を用いて、上記二成分系現像剤を、画像形成装置のシアン用現像器に入れ、シアン用トナー容器に上記トナーを入れて後述の評価を行った。
改造点は、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する機構を取り外したことである。評価紙は、普通紙GF-C081(A4、坪量81.4g/m、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
FFh画像(ベタ画像)におけるトナーの紙上への載り量が0.45mg/cmとなるように、調整した。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
まず、室温23℃湿度5%RH(N/L環境)に設定された環境試験室において、画像比率0.1%の横罫線画像で500枚の画像出力試験を行った。500枚連続通紙中は、1枚目と同じ現像条件、転写条件(キャリブレーション無し)で通紙を行った。
その後、環境試験室を室温30℃湿度80%RH(H/H環境)に設定し、画像解像度600dpi相当の約40μm幅のライン画像を出力した。
さらにその後、環境試験室を室温23℃湿度5%RH(N/L環境)に再設定し、画像解像度600dpi相当の約40μm幅のライン画像を出力した。
得られた2環境のライン画像について、パーソナル画像品質評価システムPIAS-II(QEA社製)による線幅の複数測定値の標準偏差σにて以下の基準にて評価した。D以上を本発明の効果が得られているものと判断した。
AA:3.0μm未満
A:3.0μm以上4.0μm未満
B:4.0μm以上5.0μm未満
C:5.0μm以上6.0μm未満
D:6.0μm以上7.0μm未満
E:7.0μm以上
【0114】
<実施例1~25及び比較例1~8>
得られた二成分系現像剤1~33を用いて上記評価を行った。結果を表8に示す。
【0115】
【表8】