特許 7543118 画像形成装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-08-23

(45)【発行日】2024-09-02

(54)【発明の名称】画像形成装置

(51)【国際特許分類】

   G03G 15/20 20060101AFI20240826BHJP

   G03G 21/16 20060101ALI20240826BHJP

   B65H 29/52 20060101ALI20240826BHJP

   G03G 15/00 20060101ALI20240826BHJP

【ＦＩ】

G03G15/20 535

G03G21/16 138

B65H29/52

G03G15/00 460

【請求項の数】 12

(21)【出願番号】P 2020206771

(22)【出願日】2020-12-14

(65)【公開番号】P2022094002

(43)【公開日】2022-06-24

【審査請求日】2023-11-30

(73)【特許権者】

【識別番号】000001007

【氏名又は名称】キヤノン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000718

【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】小山 宏

【審査官】内藤 万紀子

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１４－１０２４１８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００７－０９９４０８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００３－１８６３３７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００５－０３７６７２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－１５１３５９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－０２１１４７（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｇ０３Ｇ １５／２０

Ｇ０３Ｇ ２１／１６

Ｂ６５Ｈ ２９／５２

Ｇ０３Ｇ １５／００

Ｂ６５Ｈ ５／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

加熱部材と前記加熱部材に押圧された加圧部材とによりシートに画像を定着する定着部を有する本体部と、
前記本体部に揺動可能に設けられ、前記本体部に係合して画像形成装置の外装をなす係合位置と、前記本体部との係合を解除して前記定着部から送り出されたシートを載置する載置位置との間を揺動可能な外装カバーと、
を備え、シートに画像を形成する画像形成装置であって、
前記定着部と前記外装カバーの間に設けられ、前記本体部に揺動可能に設けられ、前記定着部より送り出されたシートを案内する案内位置と、前記案内位置から退避した退避位置との間を揺動可能な搬送ガイドと、
前記搬送ガイドに設けられ、前記本体部に対して解除可能に係合して前記搬送ガイドを前記案内位置に保持する解除レバーと、
前記搬送ガイドに設けられ、前記解除レバーより鉛直方向下側に設けられ、前記加熱部材に対して第一の押圧力で押圧された第一の押圧位置にある前記加圧部材を、前記第一の押圧力より小さい第二の押圧力で押圧する第二の押圧位置に移動させる操作レバーと、
前記搬送ガイドの前記解除レバーと前記操作レバーの間に設けられ、前記解除レバーの回転中心と前記操作レバーの回転中心を結ぶ直線から外装カバー側に向けて垂直方向に突出した第一の突出部と、
前記第一の突出部の操作レバー側に設けられ、操作レバー側に突出した第二の突出部であって、前記垂直方向において前記第一の突出部の外装カバー側の端部より搬送ガイド側の位置に設けられ、なおかつ、前記操作レバーのツマミの回転軌跡より外側の位置に設けられた第二の突出部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【請求項2】

前記操作レバーは、加圧部材を第二の押圧位置に押し下げた位置で、本体部の受け面に当接するカム面を有し、前記カム面が前記受け面に当接することで前記押し下げ位置に保持されることを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。

【請求項3】

前記第二の突出部は、前記搬送ガイドが前記案内位置に保持された状態において、鉛直方向下側の端部を、前記加圧部材が前記第一の押圧位置にある際の前記操作レバーのツマミより、鉛直方向下側まで設け、
前記操作レバーのツマミを、シートの搬送方向と直交する幅方向において、シートの搬送領域の外側であって、前記第二の突出部よりも外側に突出して設けたことを特徴とする請求項１または２に記載の画像形成装置。

【請求項4】

前記操作レバーのツマミは、シートの搬送方向と直交する幅方向において、前記第二の突出部から１０ｍｍ以上、幅方向外側に露出していることを特徴とする請求項３に記載の画像形成装置。

【請求項5】

前記解除レバー、前記操作レバー、および前記第二の突出部を含む前記第一の突出部は、シートの搬送方向と直交する幅方向において、シートの搬送領域の外側に設けたことを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項6】

前記第一の突出部は、前記解除レバーの係合を解除する回転方向である、前記解除レバーの下側に設けられていることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項7】

前記第一の突出部は、前記加圧部材を第二の押圧位置から第一の押圧位置に向けて移動させる前記操作レバーの回転方向である、前記操作レバーの上側に設けられていることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項8】

前記第一の突出部および前記第二の突出部は、前記解除レバーの回転軸線方向に幅を有する板状のリブであることを特徴とする請求項１乃至７のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項9】

前記搬送ガイドの前記解除レバーと前記第一の突出部の間に設けられ、前記解除レバーの回転中心と前記操作レバーの回転中心を結ぶ直線から外装カバー側に向けて垂直方向に突出した第三の突出部（搬送ガイドのリブ）を設けたことを特徴とする請求項１乃至８のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【請求項10】

前記第三の突出部は、前記解除レバーの係合を解除する回転方向である、前記解除レバーの下側に設けられていることを特徴とする請求項９に記載の画像形成装置。

【請求項11】

前記第三の突出部は、前記直線の方向において、前記第一の突出部から１０ｍｍ以上離間して設けられていることを特徴とする請求項９または１０に記載の画像形成装置。

【請求項12】

前記第三の突出部は、前記解除レバーの回転軸線方向に幅を有する板状のリブであることを特徴とする請求項９乃至１１のいずれか１項に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来よりシートに画像を形成する画像形成装置として、感光体に形成された画像を転写部にてシートに転写し、転写された画像を定着部にてシートに定着し、画像が定着されたシートを装置上部の排出トレイに排出する構成が知られている。

【0003】

そして近年、普通紙、封筒などの様々な種類のシートに対応することがユーザから要求されている。このような様々な種類のシートに対応することを目的として、装置側面（もしくは装置背面）の外装カバーを開放して、定着部にて画像が定着されたシートを、装置側面から水平方向に排出する構成が知られている。

【0004】

さらにシートの搬送方向に直交する方向の幅が、普通紙より狭い封筒などのシートに対応することを目的として、定着部にてシートに対するニップ圧を調整する圧調整機構を設けた構成が開示されている。

【0005】

特許文献１には、シートの幅方向に左右一対の圧調整レバーを設け、この圧調整レバーを操作して、定着部における加熱ローラと前記加熱ローラに押圧された加圧ローラとのニップ圧を調整するニップ圧調整機構が開示されている。定着部における加熱ローラと加圧ローラとニップ圧は、前記圧調整レバーを押し下げることで、押し下げ前に比べて押し下げ後の方が小さくなるように調整される。そして、圧調整レバーは、普通紙より幅の狭い封筒を用いる場合にニップ圧が小さくなるように押し下げられ、押し下げ前よりもニップ圧が小さくなった押し下げ後の位置で姿勢が保持される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【文献】特開２０１８－１０６０２８公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

さらに従来の画像形成装置において、定着部にて画像が定着されたシートは、水平方向から装置側面に沿った鉛直方向の上側に向けて送られ、さらに装置上部のトレイに向けて送られる。そのため、従来の画像形成装置は、前述した圧調整機構に加えて、定着部と装置上部の排出トレイの間の前記装置側面に沿う区間に、水平方向に送られてきたシートを、装置側面に沿った鉛直方向の上側に向けて送るガイドやローラが設けられている。

【0008】

そして、前記定着部や前記装置側面に沿う区間に残留したシートを除去するために、前記ガイドは装置本体に対して開閉可能に設けられている。このガイドには、ガイドを装置本体に対して係合しまたは係合を解除する解除レバーが設けられている。ガイドは、解除レバーを装置本体に係合することでシートを鉛直方向に案内する位置に保持され、係合を解除することでシートを案内する位置から退避可能となる。さらに前記ガイドには、前述した圧調整レバーも設けられている。圧調整レバーは、解除レバーにより装置本体に係合されたガイドにおいて、解除レバーよりも鉛直方向の下側に設けられ、解除レバーよりもガイドの回動中心に近い位置に設けられている。

【0009】

ここで前述の区間に残留したシートを除去する際に、前記残留したシートが封筒である場合、前記ガイドを開放する際に、前記圧調整レバーは押し下げ後の位置に保持されている。この場合、加熱ローラと加圧ローラとを押圧する付勢部材の付勢力が、押し下げ後の位置に保持されている圧調整レバーに作用している。そのため、前記ガイドを開放する際に、圧調整レバーが押し下げ後の位置に保持されていると、解除レバーにより装置本体に対する係合を解除しても、圧調整レバーに作用している力がガイドの姿勢を維持する負荷として作用し、ガイドを開放する際の妨げとなる。

【0010】

そのため、前記定着部や前記装置側面に沿う区間に残留したシートを除去する際には、押し下げ後の位置にある圧調整レバーの保持を解除してから、解除レバーにより装置本体に対する係合を解除して、ガイドを開放することが好ましい。

【0011】

すなわち、上記従来の画像形成装置では、定着部や装置側面に沿う区間に残留したシートを除去する場合に、その作業性が低下してしまうという問題があった。

【0012】

そこで、本発明の目的は、残留したシートを除去する場合の作業性を向上することである。

【課題を解決するための手段】

【0013】

上記目的を達成するため、本発明は、加熱部材と前記加熱部材に押圧された加圧部材とによりシートに画像を定着する定着部を有する本体部と、前記本体部に揺動可能に設けられ、前記本体部に係合して画像形成装置の外装をなす係合位置と、前記本体部との係合を解除して前記定着部から送り出されたシートを載置する載置位置との間を揺動可能な外装カバーと、を備え、シートに画像を形成する画像形成装置であって、前記定着部と前記外装カバーの間に設けられ、前記本体部に揺動可能に設けられ、前記定着部より送り出されたシートを案内する案内位置と、前記案内位置から退避した退避位置との間を揺動可能な搬送ガイドと、前記搬送ガイドに設けられ、前記本体部に対して解除可能に係合して前記搬送ガイドを前記案内位置に保持する解除レバーと、前記搬送ガイドに設けられ、前記解除レバーより鉛直方向下側に設けられ、前記加熱部材に対して第一の押圧力で押圧された第一の押圧位置にある前記加圧部材を、前記第一の押圧力より小さい第二の押圧力で押圧する第二の押圧位置に移動させる操作レバーと、前記搬送ガイドの前記解除レバーと前記操作レバーの間に設けられ、前記解除レバーの回転中心と前記操作レバーの回転中心を結ぶ直線から外装カバー側に向けて垂直方向に突出した第一の突出部と、前記第一の突出部の操作レバー側に設けられ、操作レバー側に突出した第二の突出部であって、前記垂直方向において前記第一の突出部の外装カバー側の端部より搬送ガイド側の位置に設けられ、なおかつ、前記操作レバーのツマミの回転軌跡より外側の位置に設けられた第二の突出部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の効果】

【0014】

本発明によれば、残留したシートを除去する場合の作業性を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】ジョイントカバー載置位置時の画像形成装置を示す斜視図

【図2】ジョイントカバー離間位置時の画像形成装置を示す斜視図

【図3】通常モードの画像形成装置を示す左側面図

【図4】封筒モードの画像形成装置を示す左側面図

【図5】実施例１に係る画像形成装置の外装カバーが閉じた状態を示す斜視図

【図6】実施例１に係る画像形成装置の外装カバーが開いた状態を示す斜視図

【図7】（ａ）（ｂ）実施例１に係る画像形成装置の搬送ガイドを示す図

【図8】実施例１に係る画像形成装置のニップ圧調整機構を示す図

【図9】実施例２に係る画像形成装置の外装カバーが開いた状態を示す斜視図

【図10】（ａ）（ｂ）実施例２に係る画像形成装置の搬送ガイドを示す図

【発明を実施するための形態】

【0016】

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を例示的に説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。

【0017】

〔実施例１〕
＜画像形成装置の全体構成＞
図１、図２、図３、図４を用いて画像形成装置の全体構成について説明する。図１は、ジョイントカバー載置位置時の画像形成装置を示す斜視図である。図２は、ジョイントカバー離間位置時の画像形成装置を示す斜視図である。図３は、ジョイントカバー載置位置時の画像形成装置を示す模式断面図である。図４は、ジョイントカバー離間位置時の画像形成装置を示す模式断面図である。

【0018】

図１では、画像形成装置Ａの給送トレイ３１を引き出す方向の下流側及び排出トレイ３２の開口側を画像形成装置Ａの前側とし、給送トレイ３１を引き出す方向の上流側を画像形成装置Ａの後側としている。また画像形成装置Ａの前側から見て、左手に来る側を画像形成装置Ａの左側、右手に来る側を画像形成装置Ａの右側としている。また画像形成装置Ａの鉛直方向上側を画像形成装置Ａの上側、鉛直方向下側を画像形成装置Ａの下側としている。このようにして、前後、左右及び上下の各方向を図１に表示する。図２以降の図に示す各方向は、全て図１に示す各方向に対応させて表示する。また、後述する揺動中心となる軸心の方向である水平方向は、画像形成装置Ａの鉛直方向である上下方向と直交する左右方向とする。

【0019】

この画像形成装置Ａは、図１に示すように、本体部の一例としてのプリンタ部１と、プリンタ部１上に設けられたジョイントカバー２と、ジョイントカバー２上に設けられた読取装置３と、読取装置３上に設けられた自動給送装置４と、を備えている。

【0020】

プリンタ部１とジョイントカバー２との間には、図２に示すように、それぞれの後側に第１軸心Ｏ１周りで両者を揺動させる一対の第１ヒンジ部１１ａ，１１ｂが設けられている。これにより、ジョイントカバー２は、プリンタ部１の後側面側において前記鉛直方向に直交する水平方向の第１軸心Ｏ１を中心にしてプリンタ部１に揺動可能に設けられている。ジョイントカバー２は、図１に示すプリンタ部１の上部に載置された載置位置と、図２に示す第１軸心Ｏ１を中心にプリンタ部１から上方に離間された離間位置との間で変位可能に構成されている。

【0021】

図２に示すように、プリンタ部１に対して、ジョイントカバー２を離間位置に変位させることで、画像形成部１５の各カートリッジ２５Ｋ，２５Ｙ，２５Ｍ，２５Ｃの交換が可能となる。さらに、プリンタ部１から、カートリッジを取り外すことで、搬送ベルト２９におけるシートのジャム処理が可能となる。

【0022】

プリンタ部１は、図２に示すように、画像形成装置Ａの外装をなす樹脂製の本体カバー２０によって外側から覆われている。本体カバー２０は、左側のサイドカバー２３と、右側のサイドカバー２４と、前側の前面カバー２２と、後側の背面カバー２１と、を有している。プリンタ部１の左側はサイドカバー２３で覆われ、プリンタ部１の右側はサイドカバー２４で覆われている。また、プリンタ部１の前側においてサイドカバー２３，２４間には、図１に示すように、給送トレイ３１が前側に引き出し可能に設けられており、給送トレイ３１の上方であるプリンタ部１の前側は前面カバー２２で覆われている。プリンタ部１の後側においてサイドカバー２３，２４間には、図２に示すように、後述する外装カバーとしての背面カバー２１が揺動可能に設けられている。背面カバー２１は、後述するシート搬送部３０（図３、図４参照）に対向した位置に設けられている。

【0023】

プリンタ部１は、シートに画像を形成する画像形成部１５と、シートに画像を定着する定着部５と、を有している。画像形成部１５は、図２に示すように、四つのカートリッジ２５Ｋ，２５Ｙ，２５Ｍ，２５Ｃを有している。これらカートリッジ２５Ｋ，２５Ｙ，２５Ｍ，２５Ｃは、プリンタ部１内において、第１軸心Ｏ１から離れた前部分に配置されており、プリンタ部１に対して取り外し可能に装着されている。カートリッジ２５Ｋはブラック色に対応し、カートリッジ２５Ｙはイエロー色に対応し、カートリッジ２５Ｍはマゼンタ色に対応し、カートリッジ２５Ｃはシアン色に対応している。これらは、図３に示される搬送ベルト２９によるシートの搬送方向に沿ってカートリッジ２５Ｋ、カートリッジ２５Ｙ、カートリッジ２５Ｍ、カートリッジ２５Ｃの順に配置されている。各カートリッジ２５Ｋ，２５Ｙ，２５Ｍ，２５Ｃは、トナー容器の他、像担持体である感光ドラムと、感光ドラムに作用するプロセス手段としての現像器及び帯電器等を有している。帯電器は、感光ドラムの表面を均一に帯電させる帯電手段である。現像器は、感光ドラムの表面に形成された潜像をトナーによって現像する現像手段である。なお、感光ドラムに作用するプロセス手段は、現像器、帯電器に限定されるものではない。各カートリッジ２５Ｋ，２５Ｙ，２５Ｍ，２５Ｃが交換を要する交換部の一例である。

【0024】

また、搬送ベルト２９は、プリンタ部１の内部に設けられ、鉛直方向において画像形成部１５の下側に設けられ、給送トレイ３１から給送されたシートを搬送する。ここで搬送ベルト２９は、シートを担持して搬送する搬送体（シート担持体）である。したがって、本画像形成装置は、搬送ベルト２９に担持されたシートに対して画像形成部１５にて各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置である。

【0025】

また、定着部５は、加熱部材としての加熱ローラ３９と、前記加熱ローラ３９に押圧された加圧部材としての加圧ローラ３８と、を有する（図３、図４参照）。搬送ベルト２９上にて画像（トナー像）が転写されたシートは定着部５に送られる。そして、定着部５にて加熱ローラ３９と加圧ローラ３８とにより、搬送ベルト２９上にて転写された画像をシートに定着する。

【0026】

さらにプリンタ部１内には、プリンタ部１の後側において、画像が定着されたシートをプリンタ部１の鉛直方向の側面に沿って搬送するシート搬送部３０が設けられている。シート搬送部３０は、後述する、シートを搬送する搬送ローラ３６，３７、シートを案内する搬送ガイド３５などから構成される。そして、画像が定着されたシートを、シート搬送部３０により搬送し、定着部５より鉛直方向の上側に設けられた排出トレイ３２に排出する。

【0027】

前述したように、外装カバーとしての背面カバー２１は、プリンタ部１の後側において本体カバー２０を構成するサイドカバー２３，２４間に設けられ、シート搬送部３０に対向した位置に設けられている。

【0028】

ここでプリンタ部１と背面カバー２１との構成について説明する。プリンタ部１と背面カバー２１との間には、図２に示すように、プリンタ部１の後側及び背面カバー２１の下部側に第２軸心Ｏ２周りで両者を揺動させる一対の第２ヒンジ部１２ａ，１２ｂが設けられている。これにより、背面カバー２１は、プリンタ部１の後側面側において前記鉛直方向に直交する水平方向の第２軸心Ｏ２を中心にしてプリンタ部１に揺動可能に設けられている。なお、背面カバー２１の第２軸心Ｏ２は、プリンタ部１の後側面側において、ジョイントカバー２の第１軸心Ｏ１より鉛直方向下側に位置する。

【0029】

また、背面カバー２１は、本体部であるプリンタ部１に係合して画像形成装置Ａの外装をなす係合位置（図３参照）と、プリンタ部１との係合を解除してプリンタ部１から離間した離間位置（図４参照）との間で揺動可能に構成されている。ここでは、背面カバー２１は前記離間位置において、定着部５から送り出されたシートを載置するトレイとして機能する。このため、背面カバー２１がプリンタ部１から離間した離間位置は、定着部５から送り出されたシートを載置する載置位置（図４参照）でもある。そして、プリンタ部１の後側面には、背面カバー２１が図４に示す離間位置（載置位置）にある時に、シート搬送部３０を背面側に露出させる後開口２８が形成されている。このように、背面カバー２１は、プリンタ部１の後側面側に形成された後開口２８を塞ぐようにプリンタ部１に係合した係合位置と、プリンタ部１の後開口２８を開放するようにプリンタ部１から離間した離間位置（載置位置）とに変位可能である。

【0030】

読取装置３は、図３、図４に示すようにジョイントカバー２上に載置される。また、読取装置３は、読取対象となる原稿が載置される載置面３ａと、載置面３ａ上の原稿の画像を移動しながら読み取る読取部３ｂと、を有している。ここでは、読取装置３は、プリンタ部１に対してジョイントカバー２を揺動させた際に、ジョイントカバー２とともに揺動する構成となっている。

【0031】

自動給送装置４は、図３、図４に示すように読取装置３上に載置される。また、自動給送装置４は、原稿給送部（不図示）を備え、原稿給送部にセットされた原稿を一枚ずつ分離し、停止位置にある読取部３ｂに向けて搬送する原稿搬送部４ａを有している。原稿搬送部４ａによって搬送される原稿は、搬送途中で読取部３ｂにより画像の読み取りが行われ、原稿排出部（不図示）に排出される。

【0032】

ここでは、読取装置３および自動給送装置４は、プリンタ部１に対してジョイントカバー２を揺動させた際に、ジョイントカバー２とともに揺動する構成となっている。

【0033】

＜通常モードと封筒モード＞
図３，図４を用いて、画像形成装置おける通常モードと封筒モードについて説明する。図３は、通常モードの画像形成装置を示す左側面図である。図４は、封筒モードの画像形成装置を示す左側面図である。

【0034】

先ず図３を用いて、画像形成装置における通常モードのシートパスについて説明する。図３に示す通常モード時は、シートＳは給送トレイ３１から給送され、画像形成部１５、定着部５、シート搬送部３０を通過して、排出トレイ３２に排出される。図３において、Ｓａ，Ｓｂ，Ｓｃはそれぞれシートの位置を示す。

【0035】

通常モード時、シートＳは、図３にシート位置Ｓａで示すように、給送トレイ３１から給送されて、屈曲したシート搬送路を鉛直方向に通過した後に、給送トレイ３１より鉛直方向上側に設けられた画像形成部１５に送られる。

【0036】

さらにシートＳは、図３にシート位置Ｓｂで示すように、画像形成部１５を水平方向に通過して、加圧ローラ３８と加熱ローラ３９のニップ部、及び搬送ローラ３６，３７のニップ部を通過する。シートＳは、前記ニップ部を通過した後に、シートを案内する位置に保持された搬送ガイド３５に沿って鉛直方向に案内される。

【0037】

さらにシートＳは、図３にシート位置Ｓｃで示すように、鉛直方向に案内された後に、定着部５より鉛直方向上側に設けられた排出トレイ３２に排出される。

【0038】

次に図４を用いて、画像形成装置における封筒モードのシートパスについて説明する。図４に示す封筒モード時は、シートＳは装置前側のマルチトレイ（不図示）から給送され、画像形成部１５、定着部５、搬送ローラ３６，３７を水平方向に通過して、装置後側の背面カバー２１に排出される。図４において、Ｌａ，Ｌｂ，Ｌｃはそれぞれシートとしての封筒Ｌの位置を示す。

【0039】

封筒Ｌは、通常モード時のシートＳと比べて厚く、またシート搬送方向と直交する幅方向の幅が狭いため、図３に示す鉛直方向に屈曲したシート搬送路を通過すると、封筒が損傷する可能性がある。そのため、図４に示す水平方向のシート搬送路を形成して、背面カバー２１を画像形成装置から開いた状態でその背面カバー２１に排出することが望ましい。

【0040】

封筒モード時、封筒Ｌは、図４に封筒位置Ｌａで示すように、装置前側のマルチトレイ（不図示）から給送されて、水平方向に画像形成部１５に送られる。

【0041】

さらに封筒Ｌは、図４に封筒位置Ｌｂで示すように、画像形成部１５を水平方向に通過して、加圧ローラ３８と加熱ローラ３９のニップ部、及び搬送ローラ３６，３７のニップ部を通過する。

【0042】

さらに封筒Ｌは、図４に封筒位置Ｌｃで示すように、背面カバー２１が開放された装置後側から、その背面カバー２１上に排出される。

【0043】

＜定着部およびシート搬送部＞
次に図５、図６、図７、図８を用いて、定着部およびシート搬送部について説明する。図５は、本実施例に係る画像形成装置の搬送ガイドが閉じた状態の斜視図である。図６は、本実施例に係る画像形成装置の搬送ガイドが開いた状態の斜視図である。図７（ａ）は、本実施例に係る画像形成装置の搬送ガイドが閉じた状態の側面図、図７（ｂ）は、本実施例に係る画像形成装置の搬送ガイドが閉じた状態の背面図である。図８は、本実施例に係る画像形成装置のシート搬送部を示す図である。

【0044】

まず定着部５のニップ圧調整について説明する。図８に示すように、定着部５は、加熱部材としての加熱ローラ３９と、前記加熱ローラ３９に押圧された加圧部材としての加圧ローラ３８と、を有する。加熱ローラ３９は、本体部であるプリンタ部１に回転可能に支持されている。加圧ローラ３８は、揺動レバー４１に回転可能に支持されている。揺動レバー４１は、加圧ローラ３８を支持する支持位置を介して、一方の端部がプリンタ部１に揺動可能に支持され、他方の端部に後述する圧調整レバー３４と当接可能な受け面４１ａを有する。また揺動レバー４１とプリンタ部１の間には加熱ローラ３９と加圧ローラとを押圧する付勢部材４０が設けられている。付勢部材４０はバネであり、一方の端部が揺動レバー４１に取り付けられ、他方の端部がプリンタ部に取り付けられている。

【0045】

圧調整レバー３４は、加熱ローラ３９に対して第一の押圧力で押圧された第一の押圧位置にある加圧ローラ３８を、前記第一の押圧力より小さい第二の押圧力で押圧する図５に示す第二の押圧位置に移動させる操作レバーである。具体的には、圧調整レバー３４は、後述する搬送ガイド３５に揺動可能に設けられている。圧調整レバー３４は、圧調整レバー３４を揺動させて加圧ローラ３８を支持している揺動レバー４１に当接し、揺動レバー４１を付勢部材４０の付勢力に抗して押し下げることで、加圧ローラ３８を前記第二の押圧位置に移動させる。

【0046】

圧調整レバー３４は、加圧ローラ３８を第二の押圧位置に押し下げた位置で、揺動レバー４１の受け面４１ａに当接するカム面３４ａを有している。圧調整レバー３４は、前記カム面３４ａが前記受け面４１ａに当接することで、加圧ローラ３８を第二の押圧位置に押し下げた位置に保持される。また、圧調整レバー３４を揺動させて、圧調整レバー３４のカム面３４ａと揺動レバー４１の受け面４１ａとの当接を解除することで、付勢部材４０の付勢力（復元力）により、加圧ローラ３８が第一の押圧位置に移動される。

【0047】

＜シート搬送部＞
次にシート搬送部３０について説明する。前述したように、シート搬送部３０は、シートを搬送する搬送ローラ３６，３７、シートを案内する搬送ガイド３５などから構成される。

【0048】

搬送ガイド３５は、定着部５と背面カバー２１の間に設けられている（図３、図４参照）。搬送ガイド３５は、プリンタ部１に揺動可能に設けられている。搬送ガイド３５は、定着部５から送り出されたシートを鉛直方向に案内する案内位置（図５に示す位置）と、前記案内位置から退避した退避位置（図６に示す位置）との間を変位可能に構成されている。

【0049】

搬送ローラ３６，３７は、定着部５から送り出されたシートを挟持して搬送する。搬送ローラ３６，３７のうち、一方の搬送ローラ３７はプリンタ部１側に支持され、搬送ローラ３７と対向する他方の搬送ローラ３６は搬送ガイド３５に支持される。したがって、搬送ガイド３５が案内位置に保持された状態では、搬送ガイド側の搬送ローラ３６がプリンタ部側の搬送ローラ３７に当接される（図７参照）。一方、搬送ガイド３５が案内位置から退避位置に退避された状態では、搬送ガイド側の搬送ローラ３６がプリンタ部側の搬送ローラ３７から離間される（図６参照）。

【0050】

搬送ガイド３５には、本体部であるプリンタ部１側の被係合部１ａに解除可能に係合する解除レバー４２が設けられている。解除レバー４２は、プリンタ部１側の被係合部１ａに係合することで搬送ガイド３５を前記案内位置に保持する（図７参照）。一方、解除レバー４２は、プリンタ部１側の被係合部１ａとの係合を解除することで搬送ガイド３５を前記案内位置から前記退避位置に移動することが可能となる（図８参照）。

【0051】

操作レバーとしての圧調整レバー３４は、搬送ガイド３５に揺動可能に設けられている。圧調整レバー３４は、案内位置に保持された搬送ガイド３５において、前記解除レバー４２より鉛直方向下側に設けられている（図７参照）。圧調整レバー３４は、加熱ローラ３９に対して第一の押圧力で押圧された第一の押圧位置にある加圧ローラ３８を、前記第一の押圧力より小さい第二の押圧力で押圧する第二の押圧位置に移動させる。

【0052】

また前記搬送ガイド３５には第一の突出部が設けられている。第一突出部には第二の突出部が設けられている。ここでは、第一の突出部および第二の突出部は、解除レバー４２の回転軸線方向に幅を有する板状の第一リブ３３ａおよび第二リブ３３ｂである。

【0053】

第一リブ３３ａは、搬送ガイド３５の解除レバー４２と圧調整レバー３４の間に設けられている。第一リブ３３ａは、解除レバー４２の回転中心と圧調整レバーの回転中心を結ぶ直線Ｂから背面カバー側に向けて垂直方向に突出している。第二リブ３３ｂは、前記第一リブ３３ａの操作レバー側である圧調整レバー側に設けられ、圧調整レバー側に突出している。第二リブ３３ｂは、前記垂直方向において、第一リブ３３ａの背面カバー側の端部３３ａ１より搬送ガイド側の位置に設けられている。なおかつ、第二リブ３３ｂは、圧調整レバー３４のツマミ３４ｂのツマミ端部の回転軌跡より外側の位置に設けられている。ここで、圧調整レバー３４のツマミ３４ｂのツマミ端部とは、図７（ａ）に二点鎖線で示す圧調整レバー３４のツマミ３４ｂの鉛直方向上側の端部である。

【0054】

これにより、解除レバー４２を操作する際に第一リブ３３ａをともにつまんだとしても、第二リブ３３ｂによってつまむ位置が規制され、圧調整レバー３４の回転領域への侵入が規制される。

【0055】

また、第一リブ３３ａは、解除レバー４２の係合を解除する回転方向である、解除レバー４２の鉛直方向下側に設けられている。このため、ユーザは、解除レバー４２と第一リブ３３ａを指で把持して、解除レバー４２を解除する方向に操作することができる。

【0056】

また、第一リブ３３ａは、加圧ローラ３８を第二の押圧位置から第一の押圧位置に向けて移動させる圧調整レバー３４の回転方向である、圧調整レバー３４の鉛直方向上側に設けられている。このため、ユーザは、圧調整レバー３４と第一リブ３３ａを指で把持して、圧調整レバー３４を操作することができる。

【0057】

また、解除レバー４２、圧調整レバー３４、および第二リブ３３ｂを含む第一リブ３３ａは、シートの搬送方向と直交する幅方向（左右方向）の両側に対で設けられている。また、解除レバー４２、圧調整レバー３４、および第二リブ３３ｂを含む第一リブ３３ａは、シートの幅方向において、シートの搬送領域の外側に設けられている。また、プリンタ部１側の被係合部１ａも、搬送ガイド３５側の解除レバー４２と同様に、シートの搬送方向と直交する幅方向（左右方向）の両側に対で設けられている。また、被係合部１ａは、シートの幅方向において、シートの搬送領域の外側に設けられている。これにより、解除レバー４２、圧調整レバー３４、および第二リブ３３ｂを含む第一リブ３３ａ、被係合部１ａによって、シートの搬送が阻害されることがない。

【0058】

＜各レバーの位置関係＞
ここで、画像形成装置の鉛直方向における解除レバー４２、第一リブ３３ａ、圧調整レバー３４のそれぞれの位置関係について、具体的な数値で説明する。

【0059】

先ず、解除レバー４２の回動中心から第一リブ３３ａの端面（解除レバー側の面）までの間隔は、指で把持して解除レバー４２を解除する方向に操作するストロークとして、１０ｍｍが望ましい。１０ｍｍより小さくなると解除レバー４２が搬送ガイド３５から離間することができなくなるためである。

【0060】

次に、圧調整レバー３４の回動中心から第一リブ３３ａの端面（圧調整レバー側の面）の間隔は、指で把持して圧調整レバー３４を押し上げる方向に操作するストロークとして、１５ｍｍが望ましい。１５ｍｍより小さくなると圧調整レバー３４を搬送ガイド３５から離間することができなくなるためである。

【0061】

＜ジャム処理手順＞
定着部やシート搬送部でシートが残留した場合のジャム処理手順について説明する。

【0062】

まず通常モードのシートパスにおいて、定着部５やシート搬送部３０でシートが残留する場合のジャム処理手順について説明する。

【0063】

ジャムが発生する条件の一例として、シートが給送トレイ３１に高湿下で２～３日程度放置されていて、シートが水分を吸湿してシート全体が伸びている場合である。さらに、シートが定着部を通過した後に、シートの水分が加熱ローラ３９側だけ少なくなり、シートの片面だけが短く場合である。

【0064】

この結果、シートの表裏面の長さの差分によってシートがカールするため、シート搬送部３０の搬送ローラ３６，３７のニップ部でシートが引っ掛かり、ジャムが生じる可能性がある。

【0065】

この通常モード時のジャム処理の場合、先ず図５に示すように、背面カバー２１をプリンタ部１に対して開いた状態に回動して、解除レバー４２の操作を可能にする。

【0066】

次に図７に示すように、解除レバー４２を解除する方向に操作する。前述したように、第一リブ３３ａは、解除レバー４２の係合を解除する回転方向である、解除レバー４２の鉛直方向下側に設けられている。このため、解除レバー４２と第一リブ３３ａを指で把持して、解除レバー４２を解除する方向に操作することができる。これによって、解除レバー４２によるプリンタ部側との係合が解除されるため、搬送ガイド３５の退避位置への移動が可能となり、ジャム処理可能にすることができる。

【0067】

なお、通常モードは、圧調整レバー３４が押し下げ前の位置にある。このとき、圧調整レバー３４が揺動レバー４１に当接しておらず、加圧ローラ３８は加熱ローラ３９に対して付勢部材４０により第一の押圧力で押圧されている。そのため、圧調整レバー３４の操作は必要ない。

【0068】

次に封筒モードのシートパスにおいて、定着部５やシート搬送部３０でシートが残留する場合のジャム処理手順について説明する。

【0069】

封筒モード時のジャム処理の場合、通常モード時と同様に、解除レバー４２を解除する方向に操作する。前述したように、第一リブ３３ａは、解除レバー４２の係合を解除する回転方向である、解除レバー４２の鉛直方向下側に設けられている。このため、ユーザは、解除レバー４２と第一リブ３３ａを指で把持して、解除レバー４２を解除する方向に操作することができる。

【0070】

このとき、圧調整レバー３４は揺動レバー４１を押し下げた位置に保持されている。この場合、加熱ローラ３９と加圧ローラ３８とを押圧する付勢部材４０の付勢力が、前記押し下げた位置に保持されている圧調整レバー３４に作用している。そのため、搬送ガイド３５を開放するときに、解除レバー４２によりプリンタ部１側の被係合部１ａに対する係合を解除しても、圧調整レバー３４に作用している力が搬送ガイド３５の姿勢を維持する負荷として作用する。

【0071】

しかし、第一リブ３３ａは、解除レバー４２の係合を解除する回転方向である、解除レバー４２の鉛直方向下側に設けられているため、解除レバー４２を解除する操作を、解除レバー４２と第一リブ３３ａを指で把持して操作することができる。このため、圧調整レバー３４に作用している力が搬送ガイド３５の姿勢を維持する負荷として作用していても、解除レバー４２によりプリンタ部１側の被係合部１ａに対する係合を解除し、搬送ガイド３５を案内位置から退避位置に移動させることができる。

【0072】

またこの操作の際に、搬送ガイド３５の回動にともなって、圧調整レバー３４のカム面３４ａと揺動レバー４１の受け面４１ａとの当接が解除される方向に、圧調整レバー３４も回動される。このため、圧調整レバー３４に対して揺動レバー４１を通して付勢部材４０の付勢力が作用して、圧調整レバー３４が押し下げ前の位置に回動される。しかし、第一リブ３３ａには第二リブ３３ｂが設けられており、前述の操作の際に圧調整レバー３４の回転領域への侵入を規制することができる。これにより、操作手順が短縮され、作業性を向上することができる。

【0073】

あるいは、封筒モード時のジャム処理の場合、以下のようにも操作できる。

【0074】

まず圧調整レバー３４と第一リブ３３ａを指で把持して、圧調整レバー３４を操作する。前述したように、第一リブ３３ａは、加圧ローラ３８を第二の押圧位置から第一の押圧位置に向けて移動させる圧調整レバー３４の回転方向である、圧調整レバー３４の鉛直方向上側に設けられている。このため、圧調整レバー３４と第一リブ３３ａを指で把持して、圧調整レバー３４を揺動レバー４１との当接を解除する方向に操作することができる。

【0075】

次に解除レバー４２と第一リブ３３ａを指で把持して、解除レバー４２を解除する方向に操作する。前述したように、第一リブ３３ａは、解除レバー４２の係合を解除する回転方向である、解除レバー４２の鉛直方向下側に設けられている。このため、解除レバー４２と第一リブ３３ａを指で把持して、解除レバー４２をプリンタ部１との係合を解除して、搬送ガイド３５を退避位置に移動することができる。

【0076】

このように、封筒モード時のジャム処理を手順にしたがってスムーズに行うことも可能である。

【0077】

以上説明したように、本実施例によれば、残留したシートを除去する場合の作業性を向上することができる。また、ジャム処理を手順にしたがってスムーズに行うことも可能である。

【0078】

〔実施例２〕
図９，図１０を用いて、実施例２に係る画像形成装置について説明する。図９は、実施例２に係る画像形成装置の搬送ガイドが閉じた状態の斜視図である。図１０（ａ）は、実施例２に係る画像形成装置の搬送ガイドが閉じた状態の側面図、図１０（ｂ）は、実施例２に係る画像形成装置の搬送ガイドが閉じた状態の背面図である。

【0079】

本実施例では、図９及び図１０に示すように、前述した実施例１の構成に加えて、第一の突出部に設けた第二の突出部である第二リブ３３ｂおよび圧調整レバー３４のツマミ３４ｂを以下のように構成している。なお、その他の構成は、前述した実施例と同様であるため、ここでは説明を省略する。

【0080】

図１０（ａ）に示すように、第二リブ３３ｂは、搬送ガイド３５が案内位置に保持された状態において、鉛直方向下側の端部３３ｂ１を、加圧ローラ３８が第一の押圧位置にある際の圧調整レバー３４のツマミ３４ｂのツマミ端部より鉛直方向下側まで設けている。ここで、加圧ローラ３８が第一の押圧位置にある際の圧調整レバー３４のツマミ端部とは、図１０（ａ）に二点鎖線で示す圧調整レバー３４のツマミ３４ｂの鉛直方向上側の端部である。

【0081】

また図１０（ｂ）に示すように、圧調整レバー３４のツマミ３４ｂを、シートの搬送方向と直交する幅方向において、シートの搬送領域の外側であって、第二リブ３３ｂよりも外側に突出して設けている。

【0082】

また圧調整レバー３４のツマミ３４ｂは、シートの搬送方向と直交する幅方向において、第二リブ３３ｂから１０ｍｍ以上、幅方向外側に露出していることが望ましい。一般的には大人の指サイズ（指の直径）はΦ１０ｍｍと規定されているからであり、１０ｍｍより小さくなると圧調整レバー３４を把持することが難しくなるからである。

【0083】

これにより、圧調整レバー３４のツマミ３４ｂが、鉛直方向において第二リブ３３ｂに覆われていても、シートの幅方向においては第二リブ３３ｂから外側に突出している。このため、搬送ガイド３５の退避位置への回動にともなって、圧調整レバー３４と揺動レバー４１との当接が解除されても、前記第二リブ３３ｂにより、圧調整レバー３４の回転領域への侵入を規制することができる。さらに圧調整レバー３４の操作の際に第二リブ３３ｂが妨げになることもない。

【0084】

なお、ジャム処理手順については前述した実施例１と同様であるため、ここでは説明を省略する。

【0085】

以上説明したように、本実施例においても、前述した実施例と同様に、残留したシートを除去する場合の作業性を向上することができる。

【0086】

〔他の実施例〕
前述した実施例では、搬送ガイド３５の解除レバー４２と圧調整レバー３４の間に、解除レバー４２の回転中心と圧調整レバーの回転中心を結ぶ直線Ｂから背面カバー側に向けて垂直方向に突出した第一の突出部である第一リブ３３ａ（図７参照）を設けた。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。

【0087】

例えば、前述した実施例の構成に加えて、搬送ガイドに第三の突出部を設けても良い。図示していないが、第三の突出部は、以下のように設けられている。

【0088】

第三の突出部は、搬送ガイドの解除レバーと第一の突出部の間に設けられている。また第三の突出部は、解除レバーの回転中心と操作レバーの回転中心を結ぶ直線から外装カバー側に向けて垂直方向に突出している。

【0089】

また第三の突出部は、解除レバーの係合を解除する回転方向である、解除レバーの鉛直方向下側に設けられている。

【0090】

さらに第三の突出部は、前記直線方向において、第一の突出部から１０ｍｍ以上離間して設けることが望ましい。

【0091】

また第三の突出部は、第一の突出部および第二の突出部と同様に、解除レバーの回転軸線方向に幅を有する板状のリブである。以下、第三の突出部を第三リブと称する。

【0092】

＜各レバーの位置関係＞
ここで、画像形成装置の鉛直方向における解除レバー、第三リブ、第一リブ、圧調整レバーのそれぞれの位置関係について、具体的な数値で説明する。

【0093】

先ず、解除レバーの回動中心から第三リブの端面（解除レバー側の面）までの間隔は、指で把持して解除レバーを解除する方向に操作するストロークとして、１０ｍｍが望ましい。１０ｍｍより小さくなると解除レバーが搬送ガイドから離間することができなくなるためである。

【0094】

次に、圧調整レバーの回動中心から第一リブの端面（圧調整レバー側の面）の間隔は、指で把持して圧調整レバーを押し上げる方向に操作するストロークとして、１５ｍｍが望ましい。１５ｍｍより小さくなると圧調整レバーを搬送ガイドから離間することができなくなるためである。

【0095】

さらに、第三リブの端面（第一リブ側の面）と第一リブの端面（第三リブ側の面）との間隔は、１０ｍｍが望ましい。一般的には大人の指サイズ（指の直径）はΦ１０ｍｍと規定されているためである。

【0096】

＜ジャム処理手順＞
定着部やシート搬送部でシートが残留した場合のジャム処理手順について説明する。

【0097】

まず通常モードのシートパスにおいて、定着部やシート搬送部でシートが残留する場合のジャム処理手順について説明する。

【0098】

通常モード時のジャム処理の場合、先ず、背面カバーをプリンタ部に対して開いた状態に回動して、解除レバーの操作を可能にする。

【0099】

次に、解除レバーを解除する方向に操作する。前述したように、第三リブは、解除レバーの係合を解除する回転方向である、解除レバーの鉛直方向下側に設けられている。このため、解除レバーと第三リブを指で把持して、解除レバーを解除する方向に操作することができる。これによって、解除レバーによるプリンタ部側との係合が解除されるため、搬送ガイドの退避位置への移動が可能となり、ジャム処理可能にすることができる。

【0100】

なお、通常モードは、圧調整レバーが押し下げ前の位置にある。このとき、圧調整レバーが揺動レバーに当接しておらず、加圧ローラは加熱ローラに対して付勢部材により第一の押圧力で押圧されている。そのため、圧調整レバーの操作は必要ない。

【0101】

次に封筒モードのシートパスにおいて、定着部やシート搬送部でシートが残留する場合のジャム処理手順について説明する。

【0102】

封筒モード時のジャム処理の場合、通常モード時と同様に、解除レバーを解除する方向に操作する。前述したように、第三リブは、第一リブよりも鉛直方向上側に設けられ、解除レバーの係合を解除する回転方向である、解除レバーの鉛直方向下側に設けられている。このため、ユーザは、解除レバーと第三リブを指で把持して、解除レバーを解除する方向に操作することができる。

【0103】

このとき、圧調整レバーは揺動レバーを押し下げた位置に保持されている。この場合、加熱ローラと加圧ローラとを押圧する付勢部材の付勢力が、前記押し下げた位置に保持されている圧調整レバーに作用している。そのため、搬送ガイドを開放するときに、解除レバーによりプリンタ部側の被係合部に対する係合を解除しても、圧調整レバーに作用している力が搬送ガイドの姿勢を維持する負荷として作用する。

【0104】

しかし、第三リブは、解除レバーの係合を解除する回転方向である、解除レバーの鉛直方向下側に設けられているため、解除レバーを解除する操作を、解除レバーと第三リブを指で把持して操作することができる。このため、圧調整レバーに作用している力が搬送ガイドの姿勢を維持する負荷として作用していても、解除レバーによりプリンタ部側の被係合部に対する係合を解除し、さらに搬送ガイドを案内位置から退避位置に移動させることができる。

【0105】

またこの操作の際に、搬送ガイドの回動にともなって、圧調整レバーのカム面と揺動レバーの受け面との当接が解除される方向に、圧調整レバーも回動される。このため、圧調整レバーに対して揺動レバーを通して付勢部材の付勢力が作用して、圧調整レバーが押し下げ前の位置に回動される。しかし、第三リブと圧調整レバーの間には第一リブが設けられているため、前述の操作の際に圧調整レバーの回転領域への侵入を規制することができる。これにより、操作手順が短縮され、この場合も作業性を向上することができる。

【0106】

あるいは、封筒モード時のジャム処理の場合、以下のようにも操作できる。

【0107】

封筒モード時のジャム処理の場合、通常モード時と同様に、解除レバーを解除する方向に操作する。前述した実施例で説明したように、第一リブは、第三リブよりも鉛直方向下側に設けられているが、解除レバーの係合を解除する回転方向である、解除レバーの鉛直方向下側に設けられている。このため、ユーザは、解除レバーと第三リブではなく、解除レバーと第一リブを指で把持して、解除レバーを解除する方向に操作することもできる。

【0108】

またこの操作の際に、搬送ガイドの回動にともなって、圧調整レバーのカム面と揺動レバーの受け面との当接が解除される方向に、圧調整レバーも回動される。このため、圧調整レバーに対して揺動レバーを通して付勢部材の付勢力が作用して、圧調整レバーが押し下げ前の位置に回動される。しかし、第一リブには第二リブが設けられており、前述の操作の際に圧調整レバーの回転領域への侵入を規制することができる。これにより、操作手順が短縮され、この場合も作業性を向上することができる。

【0109】

あるいは、封筒モード時のジャム処理の場合、以下のようにも操作できる。

【0110】

まず圧調整レバーと第一リブを指で把持して、圧調整レバーを操作する。前述したように、第一リブは、第三リブよりも鉛直方向下側に設けられ、加圧ローラを第二の押圧位置から第一の押圧位置に向けて移動させる圧調整レバーの回転方向である、圧調整レバーの鉛直方向上側に設けられている。このため、ユーザは、圧調整レバーと第一リブを指で把持して、圧調整レバーを揺動レバーとの当接を解除する方向に操作することができる。

【0111】

次に解除レバーと第三リブを指で把持して、解除レバーを解除する方向に操作する。前述したように、第三リブは、第一リブよりも鉛直方向上側に設けられ、解除レバーの係合を解除する回転方向である、解除レバーの鉛直方向下側に設けられている。このため、ユーザは、解除レバーと第三リブを指で把持して、解除レバーをプリンタ部との係合を解除して、搬送ガイドを退避位置に移動することができる。

【0112】

このように、封筒モード時のジャム処理を手順にしたがってスムーズに行うことも可能である。

【0113】

以上説明したように、本実施例によっても、前述した実施例と同様に、残留したシートを除去する場合の作業性を向上することができる。また、ジャム処理を手順にしたがってスムーズに行うことも可能である。

【符号の説明】

【0114】

Ａ …画像形成装置
Ｂ …直線
Ｏ１ …第１軸心
Ｏ２ …第２軸心
１ …プリンタ部（本体部）
１ａ …被係合部
２ …ジョイントカバー
３ …読取装置
４ …自動給送装置
５ …定着部
１２ａ，１２ｂ …ヒンジ部
１５ …画像形成部
２０ …本体カバー
２１ …背面カバー
２２ …前面カバー
２３，２４ …サイドカバー
２５Ｋ，２５Ｙ，２５Ｍ，２５Ｃ …カートリッジ
２８ …後開口
２９ …搬送ベルト
３０ …シート搬送部
３１ …給送トレイ
３２ …排出トレイ
３３ａ …第一リブ
３３ａ１ …端部
３３ｂ …第二リブ
３３ｂ１ …端部
３４ …圧調整レバー
３４ａ …カム面
３４ｂ …ツマミ
３５ …搬送ガイド
３６，３７ …搬送ローラ
３８ …加圧ローラ
３９ …加熱ローラ
４０ …付勢部材
４１ …揺動レバー
４１ａ …受け面
４２ …解除レバー

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】