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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/11 20060101AFI20240826BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240826BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240826BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240826BHJP
   G01N 29/48 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G01N29/11
G03G21/00 370
B41J29/38 204
B41J29/38 301
B65H7/14
G01N29/48
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020209698
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096539
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】萩原 紘史
(72)【発明者】
【氏名】土橋 直人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】原 星児
(72)【発明者】
【氏名】財津 義貴
(72)【発明者】
【氏名】門出 昌文
(72)【発明者】
【氏名】熊田 博光
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-160237(JP,A)
【文献】特開2009-251170(JP,A)
【文献】特開2001-183196(JP,A)
【文献】特開2019-148673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0265607(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
G03G 21/00
B41J 29/38
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を積載する積載部と、
前記積載部から記録材を給送する給送手段と、
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
超音波を送信する送信部と、
記録材が搬送される搬送路を介して前記送信部に対向して設けられ、前記送信部から送信された前記超音波、又は記録材に画像を形成する際に生じる動作音を受信する受信部と、
前記受信部が前記送信部から送信された前記超音波を前記画像形成手段に搬送される記録材を介して受信したときの出力に基づいて前記記録材の坪量を検知する坪量検知手段と、
前記受信部が前記動作音を受信したときの出力に基づいて前記動作音を検知する動作音検知手段と、
前記画像形成手段に搬送される記録材毎に、前記坪量検知手段が記録材の坪量を検知する坪量検知指示、又は前記動作音検知手段が前記動作音を検知する動作音検知指示を選択し、前記受信部に送信する受信モード選択手段と、
を備え、
前記受信モード選択手段は、前記積載部に積載された記録材の用紙特性が繰り返される周期と、前記動作音検知指示を選択する記録材の間隔とが連続して重ならないように、前記間隔を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記受信モード選択手段は、前記動作音検知指示を選択する前記間隔を決定するための2つ以上の異なる正の整数が並べられた組を有し、前記組から順に循環して取り出される前記整数を、次に前記動作音検知指示を選択する記録材の間隔とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記組が有する前記整数は、前記組の前記整数の総和が記録材の前記用紙特性の前記周期の想定される最大値より大きいこと、前記組の前記整数の総和が前記用紙特性の想定される周期と互いに素の関係であること、前記組の前記整数を2つ以上のグループに分けた場合の各グループの和と順列上隣り合う他のグループの和との最大公約数がいずれの前記用紙特性の想定される周期と一致しないことの3つの条件のうち、少なくとも1つ以上の条件を満たしていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記積載部は、複数の積載部を有し、
前記受信モード選択手段は、各々の前記積載部から給送される記録材毎に前記坪量検知指示、又は前記動作音検知指示を選択することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記給送手段は、前記積載部から給送された記録材の搬送を前記画像形成手段への搬送路の途中で一旦停止させたのち、再度、搬送を再開し前記画像形成手段へ搬送する第1の搬送モードと、前記積載部から給送された記録材を停止させずに前記画像形成手段へ搬送する第2の搬送モードと、を有し、
前記受信モード選択手段は、前記第1の搬送モードにより搬送される所定枚数以上の記録材において連続して前記坪量検知指示が選択された場合には、前記坪量検知指示から前記動作音検知指示に切り替えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録材の両面に画像を形成するための両面搬送路を備え、
前記受信モード選択手段は、前記両面搬送路から搬送された記録材については前記動作音検知指示を選択することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記用紙特性は、坪量であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記坪量検知手段は、前記受信部により記録材を介して前記超音波を受信した結果に基づき、前記記録材の減衰係数を演算する演算部を有し、前記演算部により算出された前記減衰係数に基づいて前記記録材の坪量を検知することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記記録材の坪量は、前記坪量検知手段により検知された直近の所定の枚数の記録材の坪量の平均値であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成手段は、形成された画像を記録材に定着させるために前記画像を加熱する定着部を有し、前記記録材の坪量に応じて、前記定着部が前記画像を加熱する温度を切り替えることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記動作音検知手段は、前記受信部より出力された動作音をフィルタ処理により対象部材の動作音データを抽出することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記動作音検知手段により抽出された前記動作音データに基づいて前記対象部材の異常音の発生を診断する動作音診断手段と、
情報を表示する表示部と、
を備え、
前記動作音診断手段は、前記対象部材の異常音が発生していると診断した場合には、前記表示部に前記対象部材の異常音の発生を表示することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによる画像形成条件設定の負担を軽減するために、用紙の種類を判別する機能を備えた電子写真方式の画像形成装置では、用紙の判別結果に応じて最適な画像形成条件が設定され、省電力化や画質向上を実現している。例えば、特許文献1では、用紙に照射した超音波の透過率から用紙の坪量(単位面積あたりの質量)を検知し、坪量の検知結果に基づいて用紙の種類を判別する画像形成装置が開示されている。また、メンテナンス機能の1つとして、画像形成装置が画像形成動作時に発生させる音を検知することにより、画像形成装置の異常箇所を特定する画像形成システムが知られている。特許文献2では、一つの受信部材が用紙の坪量検知用の超音波受信器と異常特定用の集音装置とを兼ねる画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-29622号公報
【文献】特開2020-160237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載された一つの受信部材を兼用する構成では、用紙の坪量検知と動作音の検知を同時に行うことは困難である。そのため、ある1枚の用紙(記録材)が超音波の送信部材と受信部材の間に搬送される期間において、前半の期間では動作音の検知を行い、後半の期間では坪量の検知を行う制御が考えられる。しかし、後半の期間においても用紙搬送に起因して異音が発生する可能性はある。したがって、特定の周期で用紙1枚毎に動作音の検知、又は坪量の検知のいずれか一方を実行することで、用紙搬送中のどのタイミングでも異音が検知できるようにする制御が考えられる。つまり、ある用紙が搬送される期間では坪量検知のみを行い、また別の用紙が搬送される期間では動作音の検知のみを行うということである。
【0005】
しかしながら、用紙1枚毎に動作音の検知又は坪量の検知に切り替える制御を行った場合には、用紙特性の周期性に起因して坪量の検知結果がずれてしまうことがある。画像形成装置で使用する用紙束は、一般に複数のロールから裁断された用紙を重ねて作られていることが多い。1つのロールから裁断された複数の用紙は特定の周期性を持って用紙の特性(坪量)が微小に変化することが知られている。そのため、用紙束の中を順番に見ていくと、1つ目のロールから裁断された複数の用紙がある特定の周期で用紙特性が変化していき、2つ目のロールから裁断された複数の用紙がまた別の周期で用紙特性が変化していくことになる。ここで、用紙特性が変化する周期と動作音を検知する周期が偶然重なった場合には、用紙特性が変化する周期と動作音を検知する周期が重なっていない場合と比較して、坪量の検知結果に偏りが生じる可能性がある。そして、坪量の検知結果が偏ることにより、例えば定着装置の目標温度が数℃低くなることにより画像不良が発生したり、逆に目標温度が数℃高くなることにより定着装置における消費電力が増えたりするなどの課題が生じる。
【0006】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、記録材の用紙特性の正確な検知と動作音の検知とを両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
【0008】
(1)記録材を積載する積載部と、前記積載部から記録材を給送する給送手段と、記録材に画像を形成する画像形成手段と、超音波を送信する送信部と、記録材が搬送される搬送路を介して前記送信部に対向して設けられ、前記送信部から送信された前記超音波、又は記録材に画像を形成する際に生じる動作音を受信する受信部と、前記受信部が前記送信部から送信された前記超音波を前記画像形成手段に搬送される記録材を介して受信したときの出力に基づいて前記記録材の坪量を検知する坪量検知手段と、前記受信部が前記動作音を受信したときの出力に基づいて前記動作音を検知する動作音検知手段と、前記画像形成手段に搬送される記録材毎に、前記坪量検知手段が記録材の坪量を検知する坪量検知指示、又は前記動作音検知手段が前記動作音を検知する動作音検知指示を選択し、前記受信部に送信する受信モード選択手段と、を備え、前記受信モード選択手段は、前記積載部に積載された記録材の用紙特性が繰り返される周期と、前記動作音検知指示を選択する記録材の間隔とが連続して重ならないように、前記間隔を選択することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録材の用紙特性の正確な検知と動作音の検知とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の画像形成装置の構成を示す断面図
図2】実施例1、2の制御系の構成を示す構成図
図3】実施例1、2のエンジン制御部の機能ブロック図
図4】実施例1、2の坪量検知制御部と動作音検知制御部の機能ブロック図
図5】実施例1、2の用紙束の周期性検知、及び画像形成条件切替制御を説明する図
図6】実施例1、2の動作音検知タイミング表と効果を説明する図
図7】実施例1の坪量検知及び動作音検知の制御シーケンスを示すフローチャート
図8】実施例2の画像形成装置の構成を示す断面図
図9】実施例2の坪量検知及び動作音検知の制御シーケンスを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。したがって、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0012】
[画像形成装置の構成]
本発明を適用可能な電子写真方式のカラー画像形成装置について説明する。図1は、複数の画像形成部を並列に配設したタンデム式のカラーレーザビームプリンタ203(以下、プリンタ203とする)の概略構成を示す断面図である。プリンタ203は、画像形成部である各プロセスカートリッジ22で生成される、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー像を中間転写ベルト12上で重畳することで、カラー画像を形成するように構成されている。各プロセスカートリッジ22の構成は、トナーの色が異なることを除き、同一の構成を有している。プロセスカートリッジ22を構成する部材の符号中のY、M、C、Kはそれぞれトナーの色であるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのプロセスカートリッジの部材であることを示している。以下の説明において、特定のトナーの色の部材を指す場合を除き、トナーの色を区別する必要のない部材については、説明の便宜上、符号の添え字のY、M、C、Kの記載を省略する。
【0013】
各プロセスカートリッジ22は、像担持体である感光ドラム5、感光ドラム5の表面を一様な電位に帯電する帯電ユニット7、感光ドラム5上に生成された静電潜像にトナーを付着させて、トナー像を形成する現像ユニット8を有している。各プロセスカートリッジ22は、プリンタ203に着脱可能に配設されている。感光ドラム5は、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成し、駆動モータ(不図示)により回転駆動され、画像形成動作に応じて図中矢印方向(時計回り方向)に回転する。帯電ユニット7は帯電ローラ7Rを有し、帯電ローラ7Rは感光ドラム5の表面を一様な電位に帯電する。スキャナユニット10は、感光ドラム5の表面に画像信号に応じた光ビームを照射することにより、感光ドラム5の表面に静電潜像を形成する。現像ユニット8は現像ローラ8Rを有し、現像ローラ8Rは感光ドラム5に形成された静電潜像にトナーを付着させることにより、感光ドラム5上にトナー像を形成する。
【0014】
画像形成時には、中間転写ベルト12は、各プロセスカートリッジ22の感光ドラム5に接触した状態で、図中矢印方向(反時計回り方向)に回転する。一次転写ローラ4は、各感光ドラム5に対向する位置に配置され、一次転写電圧を印加されることにより、感光ドラム5上に形成されたトナー像を中間転写ベルト12上に重畳して転写する。二次転写ローラ9と中間転写ベルト12とが当接して形成される転写ニップ部において、中間転写ベルト12に転写されたカラーのトナー像が、後述するカセットトレイ101から搬送された用紙2に転写される。なお、各一次転写ローラ4及び二次転写ローラ9は、中間転写ベルト12の回転に伴って回転する。転写ニップ部で用紙2に転写されずに中間転写ベルト12上に残ったトナー像は、クリーニングブレード12aまで搬送され、クリーニングブレード12aによって掻き取られて除去され、掻き取られたトナーは、廃トナー容器12bに回収される。
【0015】
カセットトレイ101は、記録材である用紙2が収容され、積載された積載部である。給紙ローラ102は、電磁クラッチ(不図示)をオン状態に設定すると、モータ(不図示)からの駆動が伝達され、給紙ローラ102が図中反時計回り方向に回転し、カセットトレイ101から1枚の用紙2を給送する。搬送部である搬送ローラ40は、給紙ローラ102により給送された用紙2を搬送路25に搬送する。搬送ローラ40により用紙2が搬送された後に、電磁クラッチはオフ状態に設定され、これにより給紙ローラ102への駆動伝達が解除され、給紙ローラ102は停止する。給紙ローラ102によって給送された用紙2は、レジストレーションローラ3(以下、レジローラ3と表記する)へ搬送される。搬送路25には、用紙2を検知するレジストレーションセンサ16(以下、レジセンサ16と表記する)が、レジローラ3の用紙2の搬送方向の下流側に配置されている。レジローラ3は、レジセンサ16が搬送される用紙2の先端を検知したタイミングに応じて、用紙2を転写ニップ部まで搬送する。
【0016】
定着部である定着ユニット13は、転写ニップ部でトナー像が転写された用紙2を搬送すると共に、転写されたトナー像を用紙2に定着させるユニットである。定着ユニット13は、用紙2を加熱する定着ローラ14と、定着ローラ14に圧接して、搬送される用紙2を加圧しながら搬送する加圧ローラ15とを有している。定着ローラ14と加圧ローラ15は中空状に形成されており、定着ローラ14の内部には用紙2を加熱するためのヒータが内蔵されている。未定着のトナー像が転写された用紙2は、定着ローラ14と加圧ローラ15により加熱、加圧されながら搬送されることにより、トナー像が用紙2の表面に定着される。トナー像が定着された用紙2は、排出ローラ52によって排出トレイ27に排出され、画像形成動作を終了する。なお、定着ユニット13の用紙2の搬送方向の下流側には、定着排出センサ17が配置されており、定着排出センサ17は、定着ユニット13を通過した用紙2を検知する。
【0017】
搬送路25のレジセンサ16と転写ニップ部との間の搬送路上には、搬送路25を挟むように対向して、超音波を送信する送信部31と送信部31が送信した超音波等を受信する受信部71が配置されている。送信部31は、機械的変位と電気信号の相互変換素子である圧電素子(ピエゾ素子ともいう)、及び電極端子を有している。一方、受信部71は、圧力による振動板の振動変位を電圧変化に変換して出力するMEMS(Micro Electro Mechanical System)マイクロフォン及び電極端子を有している。また、プリンタ203の上部には、入力操作や情報表示を行う操作表示部205が設けられている。
【0018】
[制御部の構成]
図2は、本実施例のプリンタ203の制御部の構成を示す構成図である。プリンタ203の制御部は、ビデオコントローラ204、エンジン制御部206から構成されている。ビデオコントローラ204は、プリンタ203に印刷要求を行う外部装置であるホストコンピュータ100から送信された印刷データや印刷指示を受信し、エンジン制御部206に送信する。また、ビデオコントローラ204は、エンジン制御部206から受信したプリンタ203の状態を操作表示部205に送信し、操作表示部205は、ビデオコントローラ204から受信したプリンタ203の状態を表示する。また、操作表示部205には、ユーザがプリンタ203に指示を行うためのオペレーションパネルやデータ等を入力するための操作ボタン等が設けられている。
【0019】
エンジン制御部206は、CPU207、ROM208、RAM209を有している。CPU207は、RAM209を作業領域として使用して、ROM208に格納されたプログラム及び各種データに基づいてプリンタ203の制御を行う。IOポート211には、図1で説明した画像形成を行う各ユニットを制御するアクチュエータ(不図示)が接続されている。CPU207、ROM208、RAM209、IOポート211は。システムバス210を介して接続され、双方向にアクセス可能となっている。CPU207は、ビデオコントローラ204から印刷命令に基づいて、システムバス210、IOポート211を介して、各アクチュエータを駆動して、用紙2の搬送や用紙2への画像形成を制御する。
【0020】
[記録材の坪量検知及び動作音検知の機能ブロック]
次に、エンジン制御部206の用紙2の坪量検知、及びプリンタ203の動作音検知に関する機能について説明する。図3は、エンジン制御部206における用紙2の坪量検知、及びプリンタ203の動作音検知に関する機能ブロックと、図1で説明した送信部31、受信部71との関係を説明するブロック図である。エンジン制御部206は、画像形成制御部200、坪量検知制御部302、動作音検知制御部305、及び動作音診断制御部308の4つの制御部を有している。
【0021】
画像形成制御部200は、各プロセスカートリッジ22、スキャナユニット10の制御やカセットトレイ101からの用紙2の給送制御等の用紙2への画像形成動作を制御し、画像形成条件切替部300と受信モード選択部301とを有している。画像形成条件切替部300は、坪量検知制御部302から取得した用紙2の坪量検知結果に基づいて、用紙2への画像形成を行う際の画像形成条件を切り替える。また、受信モード選択部301は、搬送される用紙2の坪量を検知する場合には、坪量検知制御部302に坪量の検知開始を指示し、プリンタ203の動作音の検知を行う場合には、動作音検知制御部305に動作音の検知開始を指示する。
【0022】
坪量検知制御部302は、超音波送信部303と超音波受信部304とを有している。超音波送信部303は、送信部31に対して超音波の送信を指示する。超音波受信部304は、受信モード選択部301からの指示に応じて、送信部31から発信された超音波を受信する受信部71からの出力信号に基づいて、搬送される用紙2の坪量を算出し、坪量情報を記憶する。坪量検知制御部302は、画像形成制御部200からの要求に応じて、超音波受信部304に記憶されている用紙2の坪量情報を画像形成制御部200に送信する。
【0023】
動作音検知制御部305は、動作音受信部306を有している。動作音受信部306は、受信部71にて検知したプリンタ203の動作音についての出力信号に基づいて、動作音情報を生成する。動作音検知制御部305は、受信モード選択部301からの指示に応じて、動作音受信部306において生成した動作音情報を動作音診断制御部308に送信する。
【0024】
動作音診断制御部308は、動作音検知制御部305から取得した動作音情報に基づいてプリンタ203の動作音に異常があるか否かを判断する。動作音診断制御部308は、プリンタ203の動作音に異常があると判断した場合には、ビデオコントローラ204にプリンタ203の状態情報を送信する。ビデオコントローラ204は、エンジン制御部206の動作音診断制御部308より受信したプリンタ203の状態情報に基づいて、操作表示部205にプリンタ203の状態表示、及びホストコンピュータ100にプリンタ203の状態情報の送信を行う。なお、上述した各機能ブロックが有する機能は、エンジン制御部206のCPU207がROM208に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0025】
[坪量検知の制御]
次に、本実施例の坪量検知の制御について説明する。図4(a)は、坪量検知制御部302の機能ブロックの構成と、画像形成制御部200、送信部31、及び受信部71との関係を説明する図である。なお、本実施例での坪量とは、用紙2の単位面積当たりの質量であり、単位は[g/m]で表される。
【0026】
図4(a)において、送信部31は、周波数が32KHzの超音波を送信し、受信部71は、送信部31から送信された周波数が32KHzの超音波を受信する。超音波の周波数は予め設定されており、送信部31及び受信部71の構成、検知精度等に応じて適切な範囲の周波数を選択すればよい。
【0027】
坪量検知制御部302は、通信制御部404、超音波送信部303、及び超音波受信部304を有している。超音波送信部303は、通信制御部404を介して、画像形成制御部200の受信モード選択部301から用紙2の坪量の検知開始指示を受信すると、駆動信号生成部405に、坪量検知のための駆動信号の生成を指示する。駆動信号生成部405は、駆動信号の生成を指示されると駆動信号を生成し、送信部31に出力する。送信部31は、駆動信号生成部405から出力された駆動信号に応じて超音波を出力する。一方、受信部71は、送信部31から送信された超音波を受信すると、坪量検知制御部302の超音波受信部304に出力する。なお、送信部31からの超音波の送信は、受信部71との間の搬送路上に用紙2が存在しない状態(用紙2が搬送されていない状態)と、用紙2が存在する状態(用紙2が通過している状態)で行われる。
【0028】
超音波受信部304は、A-D変換部400、ピーク検出部401、記憶部402、及び演算部403を有している。A-D変換部400は、受信部71から出力されたアナログ信号が入力され、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、ピーク検出部401に出力する。ピーク検出部401は、A-D変換部400から出力されたデジタル信号が入力され、入力されたデジタル信号のピーク値(極大値)を検知し、記憶部402に記憶する。また、ピーク検出部401は、送信部31と受信部71の間の搬送路上の検知位置450に用紙2が存在しない状態と用紙2が存在する状態でのデジタル信号のピーク値を記憶部402に記憶させる。演算部403は、記憶部402に記憶された用紙2が存在しない状態でのデジタル信号のピーク値と、用紙2が存在する状態でのデジタル信号のピーク値との比から、搬送された用紙2の減衰係数(用紙2の坪量に相当する値)を算出し、記憶部402に格納する。画像形成制御部200の画像形成条件切替部300は、通信制御部404を介して、超音波受信部304の記憶部402に格納された用紙2の減衰係数情報を取得し、取得した減衰係数情報に基づいて、用紙2に対する画像形成条件を切り替える。用紙2に対する画像形成条件は、用紙2の減衰係数情報である坪量に応じて変更される。本実施例での画像形成条件は、例えば用紙2の搬送速度や二次転写ローラ9への印加電圧、定着ユニット13のヒータの目標温度である。
【0029】
[動作音検知の制御]
次に、本実施例の動作音検知の制御について説明する。図4(b)は、動作音検知制御部305の機能ブロックの構成と、画像形成制御部200、動作音診断制御部308、及び受信部71との関係を説明する図である。動作音検知を行う場合には、プリンタ203内部の動作音を受信するため、坪量検知の際に用いる受信部71を用いる。受信部71はMEMSマイクロフォンを有しており、MEMSマイクロフォンは可聴域の音圧でも振動板が変位するため、検知されたプリンタ203内部の動作音も電圧信号(アナログ信号)として出力することができる。
【0030】
動作音検知制御部305は、動作音受信部306、及び通信制御部413を有している。動作音検知制御部305は、通信制御部413を介して、画像形成制御部200の受信モード選択部301から動作音の検知開始指示を受信すると、プリンタ203の動作音の検知制御を開始する。動作音受信部306は、A-D変換部410、デジタルフィルタ演算部411、演算部414、及び記憶部412を有している。
【0031】
A-D変換部410は、受信部71から出力されたアナログ信号(電圧信号)が入力され、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタルフィルタ演算部411に出力する。デジタルフィルタ演算部411は、検知精度を高めるために、受信モード選択部301により予め選択された対象部材の動作音に適したフィルタを、A-D変換部410から入力されたデジタル信号に適用する。デジタルフィルタ演算部411は、フィルタ演算(フィルタ処理)によりA-D変換部410から入力されたデジタル信号から特定の周波数領域の動作音のみを抽出した信号を生成し、演算部414に出力する。演算部414は、デジタルフィルタ演算部411においてフィルタ演算が行われた信号に対して、異常音診断時に音の大小の比較を容易にするため、自乗演算や区間平均演算を行う。本実施例では、区間平均演算を行う区間を100ms(ミリ秒)とするが、これに限定されるものではなく、例えば複数の区間を設けて選択可能にしてもよいし、区間を任意に設定できるようにしてもよい。区間平均演算が行われた信号は、動作音の信号レベルとして、記憶部412に格納される。
【0032】
動作音診断制御部308は、通信制御部413を介して、動作音受信部306の記憶部412に格納された動作音データを取得し、取得した動作音データの信号レベルが予め選択していた診断対象の部材の異常判定閾値を超えているかどうか判断する。動作音診断制御部308は、取得した動作音の信号レベルが異常判定閾値を超えている場合には、診断対象の部材において異常音が発生していると診断する。その後、動作音診断制御部308は、エンジン制御部206にして異常音の発生を抑える制御の指示、操作表示部205に異常音発生個所の表示、プリンタ203が接続されているネットワークを介しての保守センタへプリンタ203の状態報知等を行う。
【0033】
[用紙特性の周期性]
上述したように、オフィスで使用するプリンタ向けの用紙束は、複数のロールから裁断された用紙を重ねて作られていることが多く、ロール毎で用紙の特性が異なっている場合には、作成される用紙束は、特性の異なる用紙が周期性を有した用紙束となる。そのため、このような用紙束がカセットトレイ101に載置され、画像形成時に給送されると、一つの給紙口から特性の異なる用紙がある周期で給送されることになる。
【0034】
図5(a)は、画像形成制御部200の画像形成条件切替部300が坪量検知制御部302から取得した用紙2の坪量について、4枚周期から7枚周期の周期グループに分け、各周期グループにおける給送の順番の用紙2の坪量の平均値を示したグラフである。図5(a)のグラフでは、坪量が90g/m、90g/m、90g/m、90g/m、60g/mの用紙2が周期的に給送された場合の、各周期グループにおける給送の順番の用紙2の坪量の平均値を示している。図5(a)では、上から順に、4枚周期、5枚周期、6枚周期、7枚周期での用紙2の坪量の平均値を示したグラフである。図5(a)の縦軸は、用紙2の坪量(g/m)を示し、横軸は、各周期における用紙2の給送される順番を示している。
【0035】
図5(a)の図の見方、表示されている坪量の平均値について説明する。図5(a)の4枚周期において、(4n+0枚目)は、給送される用紙2のうち、4枚目、8枚目、12枚目、・・に給送された用紙2の坪量の平均値を示している。同様に、(4n+1)枚目は、1枚目、5枚目、9枚目、・・に給送された用紙2の坪量の平均値を示し、(4n+2)枚目は、2枚目、6枚目、10枚目、・・に給送された用紙2の坪量の平均値を示している。また、(4n+3)枚目は、3枚目、7枚目、11枚目、・・に給送された用紙2の坪量の平均値を示している。図5(a)の5枚周期、6枚周期、7枚周期についても、用紙2の周期枚数は異なるが、図の見方は同様である。
【0036】
このように、図5(a)は用紙束の用紙特性(ここでは坪量)の周期の一例を示したものであるが、図5(a)に示すように、用紙特性には周期的な変動がある。そのため、本実施例では、画像形成条件切替部300は、坪量検知制御部302から取得した用紙2の坪量の検知結果から画像形成条件を決定する際に、直近数回分の坪量検知結果の平均値に基づいて画像形成条件を決定する。これにより、用紙2の用紙特性の周期と坪量検知のタイミングによって、定着ユニット13の定着温度の目標温度などの画像形成条件が大きく変わり、印刷品質が不安定になることを防ぐことができる。
【0037】
[画像形成条件の切替制御]
続いて、画像形成条件切替部300が行う、用紙2の坪量の検知結果に基づく画像形成条件の切替制御について説明する。本実施例では、用紙2の用紙特性(ここでは坪量)が3枚~8枚周期で繰り返される用紙束が利用されることを想定し、直近8枚の用紙2の坪量の検知結果の平均値を用いて、用紙2に対する画像形成条件を決めるものとする。
【0038】
図5(b)は、カセットトレイ101から給送される用紙2の用紙特性が5枚周期で変化する用紙束に対して、画像形成条件切替部300が定着ユニット13の定着温度の切替えを行う例を説明する図である。図5(b)において、左側の縦軸は用紙2の坪量(g/m)を示し、右側の縦軸は定着ユニット13の定着温度(℃)を示し、横軸は印刷ジョブにおいて給送される用紙2の印刷順番を示す印刷枚数(図中、印字枚数と記載)(1枚目~10枚目)を示している。また、黒丸は給送している用紙2の坪量を示し、実線のグラフは、用紙2の平均坪量に応じた定着ユニット13の定着温度(図中、定着温調と記載)の変化を示している。
【0039】
図5(b)では、定着ユニット13の定着温度は、給送された用紙2を含む直近の8枚の用紙2の平均坪量に応じて切り替えられる。例えば、図5(b)では、1枚目の用紙2の坪量は60g/mであるが、その前に給送された直近の7枚の用紙2の坪量は、90g/m、90g/m、60g/m、90g/m、90g/m、90g/m、90g/mとなっている。そのため、1枚目の用紙2が給送されたときの1枚目の用紙2を含む直近の8枚の用紙2の平均坪量は、82.5g/mとなり、算出された平均坪量に応じた定着温度は201℃に設定される。2枚目の用紙2(坪量は90g/m)、3枚目の用紙2(坪量は90g/m)が給送された場合の定着温度も201℃に設定される。ところが、4枚目の用紙2(坪量は90g/m)が給送された場合には、その前に給送された直近の7枚の用紙2の坪量は、90g/m、90g/m、90g/m、90g/m、60g/m、90g/m、90g/mとなっている。そのため、4枚目の用紙2が給送されたときの4枚目の用紙2を含む直近の8枚の用紙2の平均坪量は、87.5g/mとなり、算出された平均坪量に応じた定着温度は203℃に設定される。そして、5枚目の用紙2(坪量は90g/m)が給送された場合の定着温度も203℃に設定される。ところが、6枚目~8枚目の用紙2が給送された場合には、算出された平均坪量に応じた定着温度は201℃に設定され、9枚目、10枚目の用紙2が給送された場合には算出された平均坪量に応じた定着温度は203℃に設定される。このように、給送された直近8枚の用紙2のうち、坪量が60g/mの用紙2が1枚含まれるか、2枚含まれるかにより、算出された平均坪量に応じた定着温度は203℃、又は201℃に切り替えられる。
【0040】
本実施例では、定着温度の設定に、直近数回の坪量検知結果の平均値を用いたが、例えば坪量の最大値や重み付けした坪量の平均値を用いてもよい。また、本実施例では、画像形成条件切替部300は、用紙特性情報として坪量を用いているが、坪量以外の用紙特性の情報を併用して画像形成条件を決定してもよい。例えば、用紙2の表面の平滑度を検知するために用紙2に光ビームを照射し、照射した光の反射光量の測定結果を併用して、画像形成条件を決めるようにしてもよい。
【0041】
[動作音検知タイミングの決定方法]
次に、受信モード選択部301が用紙2の用紙特性の周期を考慮して、動作音検知タイミングを決定する方法について説明する。まず、図6(a)を用いて、動作音検知制御の実行間隔と用紙特性の周期性が重なったときに生じる弊害について説明する。図6(a)は、カセットトレイ101から給送される用紙2の用紙特性が5枚周期で変化する用紙束に対して、動作音測定なし、5枚周期、6枚周期で動作音測定を実施した場合の坪量検知結果に応じた定着温度の変化を示した図である。図6(a)において、左側の縦軸は用紙2の坪量(g/m)を示し、右側の縦軸は定着ユニット13の定着温度(℃)を示し、横軸は給送される用紙2の枚数(順番)(1枚目~20枚目)を示している。また、黒丸は給送される用紙2の坪量を示し、実線のグラフは、動作音の検知を行わない場合の用紙2の平均坪量に応じた定着ユニット13の定着温度の変化を示している。更に、破線のグラフは動作音の検知を5枚周期で行った場合の、点線のグラフは動作音の検知を6枚周期で行った場合の、用紙2の平均坪量に応じた定着ユニット13の定着温度の変化を示している。また、図6(a)では、坪量が90g/m、90g/m、90g/m、90g/m、60g/mの用紙2が5枚周期で給送されている。
【0042】
図6(a)に示すように、動作音測定を行わなかった場合と6枚周期で動作音測定を行った場合の定着温度は、約201~203℃の範囲で変化している。一方、5枚周期で動作音測定を行った場合には、動作音測定のタイミングが坪量が60g/mの用紙2が給送されるタイミングと重なっているため、用紙2の平均坪量が90g/mとなっている。そのため、平均坪量に応じた定着温度は205℃となり、動作音測定を行わない場合や6枚周期で動作音測定を行った場合と比べて、定着温度が205℃で安定している点が異なっている。このように動作音を測定するタイミングと給送される用紙2の用紙特性の周期とが重なることにより、用紙2の用紙特性(坪量)の検知結果に偏りが生じ、画像形成条件切替部300による定着温度制御が期待した動作と異なってしまうことがある。
【0043】
プリンタ203の画像形成条件は、動作音測定なしで、用紙2の坪量検知を連続で行った場合に最適になるように設計されている。そのため、用紙2の用紙特性の検知結果に偏りが生じ、その結果、偏った用紙特性に応じた画像形成条件で画像形成を続けると画像不良などの品質低下が生じる可能性がある。具体的には、本来の温度よりも高い定着温度で画像形成を続けた場合には、プリンタ203の消費電力が大きくなってしまう。一方、本来の温度よりも低い定着温度で画像形成を続けた場合には、定着ユニットにおいて用紙2が加熱される温度が下がることにより、トナーの用紙2への定着不良が生じることがある。上述したように、画像形成条件のずれは数%程度ではあるが、その影響は、連続して用紙2への画像形成を行うことにより顕著になる。そのため、坪量の検知結果を複数枚で平均化した平均坪量が、動作音測定を行った場合でも動作音測定なしの場合と同等になるよう制御し、上述した弊害の発生を防止する必要がある。
【0044】
本実施例では、受信モード選択部301は、想定した用紙特性の周期と動作音検知タイミングが連続して重ならないよう、図6(b)に示す動作音検知タイミング表に基づいて動作音検知の実行間隔(実行タイミング)を決めている。図6(b)は、受信モード選択部301がプリンタ203の動作音を検知するタイミング(実行間隔)を示した表である。受信モード選択部301は、図6(b)に示す表の値(動作音の検知を行う用紙2の枚数を示す)を先頭から順番に繰り返し参照することで、動作音検知制御の実行間隔を決定する。図6(b)では、1回目の動作音検知のタイミングは、前回の動作音検知タイミングから5枚目の用紙2が給送されたとき、2回目の動作音検知のタイミングは、1回目の動作音検知タイミングから6枚目の用紙2が給送されたときである。更に、3回目の動作音検知のタイミングは、2回目の動作音検知タイミングから8枚目の用紙2が給送されたときである。そして、4回目の動作音検知タイミングは、図6(b)に示す表の最初に戻り、3回目の動作音検知タイミングから5枚目の用紙2が給送されたときである。このように、受信モード選択部301は、図6(b)に示す表の値を順次繰り返して(循環して)参照して、動作音検知を実行するタイミング(間隔)を決定し、動作音検知制御部305に動作音検知を指示する。
【0045】
図6(b)に示す表の値(動作音の検知を行う用紙2の枚数)は、次の3つの条件に基づいて決められている。
(条件1):表の値は、2つ以上の正の整数を有し、その総和Sが想定する用紙2の用紙特性周期の最大値Tpmaxより大きい。
(条件2):総和Sが想定する用紙2の用紙特性周期Tpのいずれとも互いに素の関係である。
(条件3):表の値を構成する「組」の値を2つ以上のグループGiに分けた場合、各グループの値の和Sgiと、「組」の順列上隣り合う他のグループの和Sgi’の最大公約数GCDが想定する用紙2の用紙特性周期Tpと一致しない。ただし、各グループの値の和Sgiが用紙2の用紙特性周期の最大値Tpmaxより大きいものは除外する。
【0046】
具体的には、図6(b)の表に示す値の組{5、6、8}は、想定する用紙特性周期Tp{3、4、5、6、7、8}に対して、上述した条件1~3を満たしている。組の値{5、6、8}の総和Sは19(=5+6+8)であり、総和Sは、用紙2の用紙特性周期の最大値Tpmaxである8より大きいため、上述した条件1を満たしている。また、総和Sである19は素数であり、用紙2の用紙特性周期Tpである{3、4、5、6、7、8}とは互いに素であるため、上述した条件2を満たしている。続いて、条件3については、まず組{5、6、8}内を複数のグループに分けて、各グループの和を算出する。組{5、6、8}内の値の組合せとしては、{5、6}{6、8}{8、5}{5、14(=6+8)}{11(=5+6)、8}が考えられる。{8、5}は5→6→8→5→・・・と繰り返し値を参照した際に隣り合うため組み合わせに含まれる。このうち、用紙2の用紙特性周期の最大値Tpmaxである8より大きい値を含む組合せ{5、14}、{11、8}は除外し、残った組合せにおける最大公約数GCDを求める。組(5、6)の最大公約数GCDは1、組(6、8)の最大公約数GCDは2、組(8、5)の最大公約数GCDは1であり、いずれの最大公約数も用紙2の用紙特性周期Tp{3、4、5、6、7、8}に含まれていない。そのため、組{5、6、8}は上述した条件3を満たしている。
【0047】
図6(c)は、上述した組{5、6、8}を用いて、動作音測定を行った場合に、用紙2の用紙特性の周期が5枚、6枚、7枚、8枚のときの坪量検知結果に応じた定着温度の変化を示したグラフである。グラフの見方について、5枚周期~8枚周期の周期束で共通しており、ここでは用紙特性の周期が5枚周期の用紙束のグラフを例に説明する。図中、左側の縦軸は用紙2の坪量(g/m)を示し、右側の縦軸は定着ユニット13の定着温度(℃)を示し、横軸は給送される用紙2の印字枚数(印刷順番)(1枚目~50枚目)を示している。また、5枚周期の用紙束では、坪量が90g/m、90g/m、90g/m、90g/m、60g/mの用紙2が5枚周期で給送されている。そして、黒丸は、坪量検知により測定された用紙2の坪量(測定した坪量)、白丸は、動作音検知を行ったため坪量検知が行われなかった用紙2の坪量(測定しなかった坪量)を示している。また、実線のグラフは、動作音の検知を行わず、坪量検知を行った場合の用紙2の平均坪量に応じた定着ユニット13の定着温度(動作音検知なし時の温度)の変化を示している。更に、破線のグラフは、上述した組{5、6、8}に従って、5枚目、11枚目、19枚目、24枚目、30枚目、38枚目、43枚目、49枚目に動作音検知を行った場合の用紙2の平均坪量に応じた定着温度(動作音測定ありの温度)の変化を示している。また、平均坪量は、坪量検知を行った直近の8枚の用紙2の坪量に基づいて算出している。なお、6枚周期の用紙束では、坪量が90g/mの用紙2が5枚給送された後、坪量が60g/mの用紙2が1枚給送され、7枚周期の用紙束では、坪量が90g/mの用紙2が6枚給送された後、坪量が60g/mの用紙2が1枚給送される。同様に、8枚周期の用紙束では、坪量が90g/mの用紙2が7枚給送された後、坪量が60g/mの用紙2が1枚給送される。
【0048】
図6(c)に示す、用紙2の用紙特性の周期が5枚~8枚周期の各グラフにおいて、動作音測定なしの定着温度のグラフ(実線で表示)と、動作音測定を行った場合の定着温度のグラフ(点線で表示)を比べて、ほぼ同じ範囲の温度で前後していることがわかる。なお、坪量が60g/mの用紙2が給送される周期と動作音測定を行う組の値とが重なったタイミングで動作音測定が実施されるために平均坪量が大きくなり、定着温度が205℃に上昇する区間があるが、すぐに動作音測定なしの場合の温度範囲に戻っている。これは、用紙特性が大きくずれる坪量が60g/mの用紙2と、動作音測定を行う用紙2のタイミングの重なりが連続しないように、動作音測定タイミング表が設計されているためである。
【0049】
以上説明したように、受信モード選択部301は、上述した条件1~3に基づいて決定されたタイミングを参照し、動作音検知の実行間隔を決定することにより、想定した用紙特性の周期と動作音検知タイミングとが連続して重ならないようにすることができる。なお、動作音検知の実行頻度をより多くしたいが、3つの条件全てを満たすことが困難な場合には、一部の条件を満たす動作音検知のタイミングの組を利用する。例えば、前述の動作音検知のタイミングの組{5、6、8}の代わりに、条件1のみを満たし、条件2、3は満たさない組{2、3、4}を用いることにする。これにより、動作音検知の実効頻度を平均約6枚間隔(≒(5枚+6枚+8枚)/3)から3枚間隔(=(2枚+3枚+4枚)/3)に増やすことができる。
【0050】
[受信モード選択部の制御シーケンス]
次に、受信モード選択部301が行う坪量検知制御と動作音検知制御の選択方法について説明する。図7は、受信モード選択部301の制御シーケンスを示すフローチャートである。プリンタ203では、ビデオコントローラ204は、ホストコンピュータ100から送信された印刷データや印刷指示を受信すると、印刷命令や画像情報等を含んだ印刷データをエンジン制御部206に送信する。エンジン制御部206が、印刷命令や画像情報等を含んだ印刷データを受信すると、画像形成制御部200は画像形成制御を開始する。具体的には、画像形成制御部200は、スキャナユニット10の駆動、感光ドラム5、搬送ローラ40など各種ローラ類の駆動、定着ユニット13のヒータの温度調整などを行う。そして、画像形成制御部200では、上述した画像形成制御と並列して、図7に示す坪量検知制御及び動作音検知制御を行うため、受信モード選択部301が起動される。なお、受信モード選択部301の処理は、エンジン制御部206のCPU207により実行される。また、後述する、給送された用紙2の枚数を示す給紙カウントは、プリンタ203の電源がオンされ、エンジン制御部206のCPU207が起動されるとリセットされ、0に設定される。
【0051】
ステップ(以下、Sとする)701では、受信モード選択部301は、レジセンサ16の検知結果に基づいて、カセットトレイ101から給送された用紙2の先端がレジセンサ16に到達したかどうか(用意先端センサ到達?)判断する。受信モード選択部301は、用紙2の先端がレジセンサ16に到達したと判断した場合には処理をS702に進め、用紙2の先端がレジセンサ16に到達していないと判断した場合には処理をS701に戻す。S702では、受信モード選択部301は、直近の動作音検知が行われた後にカセットトレイ101から給送された用紙2の枚数を示す給紙カウントの値を1加算する。
【0052】
S703では、受信モード選択部301は、画像形成制御部200より用紙2の紙種判別結果を取得し、カセットトレイ101から給送された用紙2の紙種が判別しているかどうか(紙種判別結果あり?)判断する。ここで、画像形成制御部200が有する紙種判別結果とは、画像形成条件切替部300が坪量検知制御部302から取得した用紙2の用紙特性(ここでは坪量)の検知結果に基づいて、カセットトレイ101に収容された用紙束の紙種の判別結果のことである。受信モード選択部301は、用紙2の紙種が判別されていると判断した場合には処理をS704に進め、用紙2の紙種が判別されていないと判断した場合には、処理をS707に進める。なお、画像形成制御部200が有する用紙2の紙種の判別結果は、用紙2の坪量検知を実施してから、カセットトレイ101の開閉操作が行われるまで保持される。
【0053】
S704では、受信モード選択部301は、給紙カウントが閾値Tc以上かどうか(給紙カウント≧閾値Tc?)判断する。ここで、閾値Tcは、上述した図6(b)の動作音測定タイミングを示す表の値であり、本実施例では、エンジン制御部206が起動されたタイミングで、図6(b)の表の先頭の値である{5}が格納されているものとする。受信モード選択部301は、給紙カウントが閾値Tc以上であると判断した場合には、処理をS705に進め、給紙カウントが閾値Tc未満であると判断した場合には、処理をS707に進める。
【0054】
S705では、受信モード選択部301は、受信モードとして動作音検知モードを選択し、閾値Tcに設定する値の更新と給紙カウントのリセットを行い、給紙カウントを0に設定する。ここで、閾値Tcに設定する値の更新は、図6(b)の動作音測定タイミングを示す表から、現在の閾値Tcの値(ここでは5)の次の値(ここでは6)を取得して、閾値Tcに設定する。なお、現在の閾値Tcが図6(b)の示す表の最後の値(8)の場合には、表の先頭の値(5)を取得し、閾値Tcに設定する。このように、図6の動作音タイミングを示す表を用いることにより、動作音測定の実施タイミングと用紙2の紙種特性の周期とが重ならない制御を実現している。S706では、受信モード選択部301は、動作音検知制御部305にプリンタ203の動作音測定の開始を指示(動作音検知指示)し、処理をS708に進める。
【0055】
S707では、受信モード選択部301は、受信モードとして坪量検知モードを選択し、坪量検知制御部302に坪量測定の開始を指示(坪量検知指示)し、処理をS708に進める。S708では、受信モード選択部301は、画像形成制御部200より印刷ジョブの情報を取得し、取得した情報に基づいて印刷ジョブが終了したかどうか(印刷ジョブ終了?)判断する。受信モード選択部301は、印刷ジョブが終了していないと判断した場合には処理をS701に戻し、印刷ジョブが終了したと判断した場合には処理を終了する。
【0056】
以上、本実施例では、受信モード選択部301が、用紙2の用紙特性の周期を考慮して坪量検知・動作音検知のどちらの検知動作を実行するか選択する方法について説明した。用紙2の用紙特性の周期を考慮することにより、坪量検知結果の偏りを減らし、坪量検知結果に基づいて適切な画像形成条件で画像形成動作を実行することが可能になる。また、用紙2毎(記録材毎)に用紙1枚全体を動作音検知の対象とすることで、用紙2の搬送中の任意のタイミングで発生する動作異常音を検知することが可能になる。
【0057】
以上説明したように、本実施例によれば、記録材の用紙特性の正確な検知と動作音の検知とを両立させることができる。
【実施例2】
【0058】
実施例1では、給紙口であるカセットトレイが1つで、片面印刷が可能な画像形成装置を用いて、用紙特性の周期を考慮したモード選択を行う実施例について説明した。実施例2では、実施例1の構成に加えて、カセットトレイが追加され、両面印刷を可能にする両面搬送部を備えた画像形成装置を用いて、用紙特性の周期を考慮したモード選択を行う実施例について説明する。
【0059】
[画像形成装置構成の構成]
図8は、本実施例の複数の画像形成部を並列に配設したタンデム式のプリンタ203の概略構成を示す断面図である。本実施例のプリンタ203は、実施例1の図1に示すプリンタ203と比べて、用紙2を給送するカセットトレイ103が追加されている点と、両面印刷を行うため、片面が印刷された用紙2を搬送する両面搬送部が追加されている点が異なる。
【0060】
カセットトレイ103は、カセットトレイ101と同様に、記録材である用紙2が収容され、積載された積載部である。給紙ローラ104は、電磁クラッチ(不図示)をオン状態に設定すると、モータ(不図示)からの駆動が伝達され、給紙ローラ104が図中反時計回り方向に回転し、カセットトレイ103から1枚の用紙2を給送する。搬送部である搬送ローラ41は、給紙ローラ104により給送された用紙2を搬送路28に搬送する。なお、搬送路28は、途中で、カセットトレイ101から給送される用紙2が搬送される搬送路25と合流する。搬送ローラ41により用紙2が搬送された後に、電磁クラッチはオフ状態に設定され、これにより給紙ローラ104への駆動伝達が解除され、給紙ローラ104は停止する。
【0061】
用紙2に両面印刷を行うための両面搬送部は、両面フラッパ50、両面搬送路26、反転ローラ53、両面搬送ローラ54、フラッパソレノイド(不図示)、反転モータ(不図示)、両面モータ(不図示)により構成されている。ビデオコントローラ204からの印刷命令が両面印刷だった場合には、フラッパソレノイド(不図示)がオンされ、両面フラッパ50の先端が図中、下方向に向けられる。これにより、定着ユニット13から搬送される用紙2の搬送方向が、排出ローラ52から反転ローラ53の方向に切り替えられる。そして、反転モータ(不図示)を正回転させることにより、反転ローラ53は、第1面にトナー像が定着された用紙2を排出トレイ27へ排出する方向に搬送する。その後、定着排出センサ17が用紙2の後端を検知したタイミングを基準にして、反転モータ(不図示)の回転方向を正回転から逆回転に切り替えることにより、用紙2を両面搬送路26の方向へ搬送する。両面搬送ローラ54は、両面モータ(不図示)により駆動され、用紙2を両面搬送路26と搬送路25との合流点まで搬送する。その後、用紙2は表裏を反転された状態で、再度レジローラ3に到達し、転写ニップ部へと搬送され、転写ニップ部において、用紙2の第2面に中間転写ベルト12上のトナー像が転写される。用紙2に転写されたトナー像は、定着ユニット13において加熱、加圧されることにより用紙2の第2面に定着される。そして、フラッパソレノイド(不図示)をオフし、両面フラッパ50の先端を図中下方向から上方向に向けることにより、定着ユニット13から搬送される用紙2の搬送方向を排出ローラ52の方向に切替え、両面印刷された用紙2が排出トレイ27に排出される。
【0062】
[制御部の構成]
本実施例のプリンタ203の制御部の構成は、実施例1の図2に示す構成と同様であり、同じ構成には同じ符号を用いて説明することにより、ここでの説明を省略する。
【0063】
[記録材の坪量検知及び動作音検知の機能ブロック]
本実施例におけるエンジン制御部の機能ブロックの構成は、実施例1の図3に示す構成と同様であり、ここでの説明を省略する。なお、本実施例のプリンタ203では、カセットトレイ103と、両面搬送部が追加されている。そのため、画像形成制御部200は、ビデオコントローラ204からの印刷命令に応じて、画像形成動作時に、カセットトレイ101又はカセットトレイ103から用紙2を給送する制御を行う。また、ビデオコントローラ204からの印刷命令が両面印刷の場合には、画像形成制御部200は、用紙2の第1面の印刷、又は第2面の印刷に応じて、フラッパソレノイド(不図示)のオン・オフ制御を行う。これにより、画像形成制御部200は、用紙2の搬送先(排出ローラ52、反転ローラ53)を切り替える制御を行う。 [レジ停止搬送制御と動作音測定の説明]
本実施例の画像形成制御部200は、上述した制御に加えて、紙詰まり(ジャム)が発生した際のトナーの消費を抑えるために、レジセンサ16において用紙2の到達を確認してから画像形成動作を開始させる。この場合、用紙2は中間転写ベルト12上のトナー像が転写ニップ部に到達する前に二次転写ローラ9に到達してしまう。そのため、画像形成制御部200は、用紙2の搬送を二次転写ローラ9の手前で一旦停止させ、その後、搬送を再開するレジ停止搬送制御(第1の搬送モード)を実行する。なお、画像形成制御部200は、レジ停止搬送制御だけでなく、用紙2の搬送を二次転写ローラ9の手前で一旦停止させることなく、転写ニップ部に搬送するレジ非停止搬送制御(第2の搬送モード)も実行する。本実施例の画像形成制御部200は、印刷ジョブにおける1枚目の用紙2に対しては、必ずレジ停止搬送制御を行う。
【0064】
レジ停止搬送制御で搬送される用紙2に対して動作音測定を行うと、搬送制御以外の動作音に注目した動作音測定を実施できるという利点がある。具体的には、レジ停止搬送制御で用紙2の搬送が一時停止している間は、用紙2と搬送路との摺擦音、レジローラ3や搬送ローラ40の回転音、駆動源であるモータやモータの駆動を各ローラに伝えるギアの駆動音が発生しない。そのため、相対的に、他の画像形成部の駆動音(例えば、中間転写ベルト12、感光ドラム5、定着ユニット13などの回転音)を検知することが可能になり、動作音診断制御部308において、より詳細な異常動作音の要因分析が可能になる。
【0065】
そのため、本実施例の受信モード選択部301は、レジ停止搬送制御が行われる用紙2に対して20枚連続で坪量検知モードが選択された場合には、動作音測定モードに切り替える制御を行う。これにより、搬送制御以外の動作音に注目した動作音測定が一定の頻度で行うことができるようになり、異常動作音の詳細な分析が可能となる。具体的な方法はについて後述する。
【0066】
[受信モードの選択方法]
本実施例では、プリンタ203にカセットトレイ103及び両面搬送部が追加されたことにより、受信部71が設置された搬送路に用紙2を搬送する搬送経路が3つある。具体的には、カセットトレイ101から用紙2を搬送する経路、カセットトレイ103から用紙2を搬送する経路、及び両面搬送部から片面印刷された用紙2を搬送する経路の3つの搬送経路が存在する。
【0067】
実施例1で説明した用紙2の用紙特性の周期性について搬送パス毎に検討する。まず、カセットトレイ101とカセットトレイ103には、それぞれ異なる用紙束から用紙2が積載されており、用紙2の用紙特性の周期はカセットトレイ毎に独立し手いるものと考えられる。そのため、本実施例では、給紙カウント、及び図6(b)に示す動作音測定タイミング表から得られる閾値Tcの管理をカセットトレイ毎に独立して行うこととする。これにより、カセットトレイ毎に積載された用紙2の用紙特性の周期を考慮した動作音測定を行うことができる。
【0068】
また、両面搬送部から受信部71に搬送された用紙2は、既にトナー像が転写・定着されているため、用紙2の坪量が変化しており、受信部71で坪量検知を行うには不適切な用紙になっていると考えられる。そのため、本実施例では、両面搬送路26から搬送された用紙2は、常に動作音検知モードの対象とする。なお、本実施例のプリンタ203は、2つのトレイユニットを有する構成であるが、トレイユニットを3つ以上有する構成の場合についても、トレイユニット毎に独立して給紙カウントと閾値を管理するようにすればよい。これにより、2つのトレイユニットを有する構成の場合と同様に、カセットトレイ毎に積載された用紙2の用紙特性の周期を考慮した動作音測定を行うことができる。
【0069】
[受信モード選択部の制御シーケンス]
次に、本実施例において、受信モード選択部301が行う坪量検知制御と動作音検知制御の選択方法について説明する。図9は、受信モード選択部301の制御シーケンスを示すフローチャートである。受信モード選択部301が図9のフローチャートに示す処理を開始するまでの流れは、実施例1と同じであるため、説明を省略する。受信モード選択部301の処理は、エンジン制御部206のCPU207により実行される。また、後述する、カセットトレイ101、103毎の、給送された用紙2の枚数を示す給紙カウントC1、C2、及びレジ停止カウントは、プリンタ203の電源がオンされ、エンジン制御部206のCPU207が起動されるとリセットされ、0が設定される。
【0070】
S901では、受信モード選択部301は、レジセンサ16の検知結果に基づいて、給送された用紙2の先端がレジセンサ16に到達したかどうか(用紙先端センサ到達?)判断する。受信モード選択部301は、用紙2の先端がレジセンサ16に到達したと判断した場合には処理をS902に進め、用紙2の先端がレジセンサ16に到達していないと判断した場合には処理をS901に戻す。
【0071】
S902では、受信モード選択部301は、画像形成制御部200から用紙2の給送元についての情報を取得し、当該用紙2が両面搬送部の両面搬送路26から搬送されたかどうか(両面搬送路からの用紙?)判断する。受信モード選択部301は、当該用紙2が両面搬送部の両面搬送路26から搬送されたと判断した場合には、動作音検知を行うため、処理をS920に進める。一方、受信モード選択部301は、当該用紙2が両面搬送部の両面搬送路26から搬送されていない(カセットトレイ101又はカセットトレイ103から給送された)と判断した場合には処理をS903に進める。
【0072】
S903では、受信モード選択部301は、画像形成制御部200から取得した用紙2の給送元についての情報に基づいて、当該用紙2がカセットトレイ101から給送された用紙かどうか(カセットトレイ101からの用紙?)判断する。受信モード選択部301は、当該用紙2がカセットトレイ101から給送された用紙であると判断した場合には処理をS904に進める。一方、受信モード選択部301は、当該用紙2はカセットトレイ101から給送された用紙ではない(カセットトレイ103から給送された用紙)と判断した場合には処理をS908に進める。
【0073】
S904では、受信モード選択部301は、直近の動作音検知が行われた後にカセットトレイ101から給送された用紙2の枚数を示す給紙カウントC1の値を1加算する。S905では、受信モード選択部301は、画像形成制御部200よりカセットトレイ101の用紙2の紙種判別結果M1を取得し、カセットトレイ101から給送された用紙2の紙種が判別しているかどうか(紙種判別結果M1あり?)判断する。ここで、紙種判別結果M1とは、画像形成条件切替部300が坪量検知制御部302から取得したカセットトレイ101から給送された用紙2の用紙特性(ここでは坪量)の検知結果に基づいた、カセットトレイ101に収容された用紙束の紙種の判別結果である。受信モード選択部301は、カセットトレイ101から給送された用紙2の紙種が判別していると判断した場合には処理をS906に進め、用紙2の紙種が判別あいていないと判断した場合には、処理をS921に進める。なお、画像形成制御部200が有するカセットトレイ101から給送された用紙2の紙種の判別結果は、用紙2の坪量検知を実施してから、カセットトレイ101の開閉操作が行われるまで保持される。
【0074】
S906では、受信モード選択部301は、カセットトレイ101用の給紙カウントC1がカセットトレイ101用の閾値Tc1以上かどうか判断する(給紙カウントC1≧閾値Tc1?)。ここで、閾値Tc1は、上述した図6(b)の動作音測定タイミングを示す表の値であり、本実施例では、エンジン制御部206が起動されたタイミングで、図6(b)の表の先頭の値である{5}が格納されているものとする。受信モード選択部301は、給紙カウントC1が閾値Tc1以上であると判断した場合には、処理をS907に進め、給紙カウントが閾値Tc未満であると判断した場合には、処理をS913に進める。S907では、受信モード選択部301は、受信モードとして動作音検知モードを選択し、カセットトレイ101用の閾値Tc1に設定する値の更新とカセットトレイ101用の給紙カウントC1のリセットを行い、給紙カウントC1を0に設定する。ここで、閾値Tc1に設定する値の更新は、図6(b)の動作音測定タイミングを示す表から、現在の閾値Tc1の値(ここでは5)の次の値(ここでは6)を取得して、閾値Tc1に設定する。なお、現在の閾値Tc1が図6(b)の示す表の最後の値(8)の場合には、表の先頭の値(5)を取得し、閾値Tc1に設定する。
【0075】
S908~S911の処理は、S903の処理で、受信モード選択部301が、用紙2はカセットトレイ103から給送された用紙であると判断した場合に実行される処理である。S908~S911の処理は、カセットトレイ101から給送された用紙2についての処理であるS904~S907に対応する、カセットトレイ103から給送された用紙2に対する処理である。S904~S907における処理とS908~S911における処理の違いは、次の点である。すなわち、S904~S907の処理ではカセットトレイ101用の紙種判別結果M1・給紙カウントC1・閾値Tc1を利用し、S908~S911の処理ではカセットトレイ103用の紙種判別結果M2・給紙カウントC2・閾値Tc2を利用する点が異なる。このようにカセットトレイ毎に処理が分けられているが、S908~S911の処理は、それぞれS904~S907における処理に対応し、処理内容は同様であるため、処理内容の説明は省略する。S904~S907の処理、及びS908~S911の処理は、カセットトレイ101、103の用紙特性の周期を考慮した制御を独立して実行している。
【0076】
S913では、受信モード選択部301は、画像形成制御部200からレジ停止搬送制御情報を取得し、取得したレジ停止搬送制御情報に基づいて、当該用紙2がレジ停止搬送制御の対象かどうか(レジ停止搬送制御?)判断する。受信モード選択部301は、当該用紙2がレジ停止搬送制御の対象であると判断した場合には処理をS914に進め、当該用紙2はレジ停止搬送制御の対象ではないと判断した場合には処理をS921に進める。S914では、受信モード選択部301は、レジ停止搬送対象の用紙2に対して、連続して坪量検知モードが選択された回数を示すレジ停止カウントの値を1加算する。S915では、受信モード選択部301は、レジ停止カウントが閾値Tcs以上(所定枚数以上)かどうか(レジ停止カウント≧閾値Tcs?)判断する。受信モード選択部301は、レジ停止カウントが閾値Tcs以上であると判断した場合には処理をS916に進め、レジ停止カウントが閾値Tcs未満であると判断した場合には処理をS921に進める。なお、閾値Tcsは、予め決められた用紙2の給送枚数であり、本実施例では閾値Tcsを20枚とした。これにより、本実施例では、少なくともと印刷ジョブ20回に1回は、搬送制御以外の動作音に注目した動作音測定を実施することができる。S916では、受信モード選択部301は、レジ停止カウントをリセットして0に設定し、処理をS920に進める。
【0077】
S920では、受信モード選択部301は、動作音検知制御部305にプリンタ203の動作音測定の開始を指示し、処理をS922に進める。S921では、受信モード選択部301は、受信モードとして坪量検知モードを選択し、坪量検知制御部302に坪量測定の開始を指示し、処理をS922に進める。S922では、受信モード選択部301は、画像形成制御部200より印刷ジョブの情報を取得し、取得した情報に基づいて印刷ジョブが終了したかどうか(印刷ジョブ終了?)判断する。受信モード選択部301は、印刷ジョブが終了していないと判断した場合には処理をS901に戻し、印刷ジョブが終了したと判断した場合には処理を終了する。
【0078】
以上、本実施例では、複数のカセットトレイ101、103、及び両面印刷機能を有したプリンタ203において、カセットトレイ101、103に積載された用紙2の特性周期を考慮して動作音測定タイミングを決める方法について説明した。カセットトレイ毎に積載された用紙2の特性の周期性を考慮することで、用紙2の坪量検知結果の偏りを減らし、かつ両面搬送路から給送された用紙かどうか判断することで、動作音測定頻度を増加させることができる。
【0079】
また、本実施例では、用紙搬送制御が動作音測定に影響を与えることを考慮して、動作音測定タイミングを決める方法についても説明した。搬送中の用紙が一旦停止するレジ停止搬送制御時に動作音測定が実行される頻度を制御することで、用紙搬送部以外の箇所で発生する動作異常音の検知頻度を高めることができる。
【0080】
以上説明したように、本実施例によれば、記録材の用紙特性の正確な検知と動作音の検知とを両立させることができる。
【符号の説明】
【0081】
22 プロセスカートリッジ
31 送信部
71 受信部
101 カセットトレイ
104 給送ローラ
301 受信モード選択部
302 坪量検知制御部
305 動作音検知制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9