(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20240826BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240826BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20240826BHJP
G06T 11/80 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/00 555D
G09G5/00 530M
G09G5/36 400
G09G5/38
G06T11/80 D
(21)【出願番号】P 2020210390
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520433344
【氏名又は名称】西山 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 賢一
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217049(JP,A)
【文献】特表2011-521489(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0191728(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0107507(KR,A)
【文献】特開2020-195669(JP,A)
【文献】特開平10-097700(JP,A)
【文献】特開2008-134722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 ー 5/42
G06T 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人または人が所有する物品である要素に取り付けられ、前記要素の態様を特定する要素情報が少なくとも記録される情報処理媒体と、
前記情報処理媒体との非接触通信によって、前記要素情報と、前記要素の位置を特定する位置情報とを対応付けて取得する取得部と、
任意の基準位置を特定する基準位置情報を決定する基準位置決定部と、
前記取得部によって取得された前記要素情報の中から、前記基準位置情報で特定される位置の近傍に位置する前記要素の前記要素情報を抽出する要素抽出部と、
前記基準位置決定部によって決定された前記基準位置情報によって特定される前記基準位置を基準として、少なくとも前記要素抽出部によって抽出された前記要素情報に基づく表示を、対応する前記位置情報に基づいて行う表示部と、
を備え
、
前記情報処理媒体は、前記情報処理媒体の位置を特定するGPS位置情報を取得するGPS通信部と、前記GPS通信部によって取得された前記GPS位置情報に基づいて前記情報処理媒体の位置する経度及び緯度を算出する制御部と、前記情報処理媒体の地上からの高さを検知するセンサと、を有し、前記経度、前記緯度、及び前記高さを前記位置情報として取得し、
前記表示部は、前記経度、前記緯度、及び前記高さに基づいて、少なくとも前記要素抽出部によって抽出された前記要素情報に基づく表示を行う表示システム。
【請求項2】
前記表示部は、前記基準位置に基づく位置を視点として、少なくとも前記要素抽出部によって抽出された前記要素情報に基づく表示を、対応する前記位置情報に基づいて行う請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記要素情報に基づく画像とは異なる画像を、前記要素情報に基づく画像と合成して表示させる請求項
1又は請求項2に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、現実の風景(人や物の状態など)をコンピュータなどの表示装置に表示させる技術が知られている。例えば、特許文献1の表示システムでは、動物に取り付ける表示装置が、その動物の運動および健康状態を検出する種々のセンサと、その動物を検出するためのRFIDチップと、を備える構成となっている。また、表示装置は、RFIDチップに記憶されるデータを上位システムに送信する送信ユニットを備えている。ユーザは、上位システムを用いて、送信ユニットから送信されたデータ(健康指数や運動データなど)をモニタリングする構成となっている。
【0003】
また、特許文献2の仮想試着システムは、店舗の試着室に設けられる第1端末を備えている。第1端末は、第1記憶部と、第1取得部と、第1算出部と、合成部と、を備えている。第1記憶部は、ショーウィンドウに陳列された衣服の衣服画像が予め記憶されている。第1取得部は、試着者の試着者画像を取得する。第1算出部は、試着者画像に含まれる、試着者を示す試着者領域を囲む矩形状の合成対象領域を合成位置情報として算出する。合成部は、試着者における、剛性位置情報によって示される位置に、衣服画像を合成することで、合成画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2019-509765号公報
【文献】特開2016-122411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の表示システムでは、動物に関するデータ(健康指数や運動データ)のみが上位システムに表示される構成である。そのため、ユーザは、動物の状態を数値や文字などによって認識することができるが、動物の状態を形態的に(視覚的外観で)認識することができない。また、特許文献2の仮想試着システムでは、試着者を第1取得部によって直接撮像する必要があり、試着時に用いられる表示(試着者とその試着品の表示)のみが行われる。そこで、カメラを用いた撮像を行う必要がなく、予め定められた特定の視点からの表示に限定されない汎用性の高い表示技術が求められている。
【0006】
本発明は、撮像を行わなくとも、表示対象となる人または物である要素の態様を、任意の位置を視点として表示部に表示させ得る表示システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示システムは、
人または人が所有する物品である要素に取り付けられ、前記要素の態様を特定する要素情報が少なくとも記録される情報処理媒体と、
前記情報処理媒体との非接触通信によって、前記要素情報と、前記要素の位置を特定する位置情報とを対応付けて取得する取得部と、
任意の基準位置を特定する基準位置情報を決定する基準位置決定部と、
前記取得部によって取得された前記要素情報の中から、前記基準位置情報で特定される位置の近傍に位置する前記要素の前記要素情報を抽出する要素抽出部と、
前記基準位置決定部によって決定された前記基準位置情報によって特定される前記基準位置を基準として、少なくとも前記要素抽出部によって抽出された前記要素情報に基づく表示を、対応する前記位置情報に基づいて行う表示部と、
を備える。
【0008】
本発明の表示システムは、現実に存在する人および人が所有する物品である要素に対して、その態様を特定する要素情報と、その位置を特定する位置情報と、を対応付けて取得することができる。そして、このような要素の態様および位置関係を、基準位置情報に基づいて任意の位置を視点となるように表示部に表示することができる。したがって、ユーザは、要素に対する撮像を行わなくとも、表示対象となる要素を、任意の視点からの視覚的外観で認識することができる。
【0009】
本発明の表示システムにおいて、
移動体の位置を特定する移動位置情報を受け取る移動情報受取部を備え、
前記基準位置決定部は、前記移動情報受取部によって受け取られた前記移動位置情報を、変化する前記基準位置を特定する前記基準位置情報として決定し、
前記要素抽出部は、前記基準位置決定部によって決定された前記基準位置情報に基づいて、前記移動体の移動に応じて変化する前記基準位置の近傍に位置する前記要素の前記要素情報を抽出し、
前記表示部は、前記移動体の移動に応じて前記要素抽出部によって抽出された前記要素情報に基づく表示を、前記移動体の移動に応じて行う。
【0010】
このような構成によって、表示システムは、移動体の移動によって変化する移動位置情報を基準位置情報として用いることができる。そして、現実に存在する人および人が所有する物品の態様およびこれらの位置関係を、移動体の移動に応じて表示部に表示することができる。これにより、ユーザは、移動体の移動に応じた要素の位置関係の変化を認識することができる。
【0011】
本発明の表示システムにおいて、
前記表示部は、前記移動情報受取部によって受け取られた前記移動位置情報に基づいて前記移動体の移動態様を表示しつつ、前記移動体の移動に応じて前記要素抽出部によって抽出された前記要素情報に基づく表示を、前記移動体の移動に応じて行う。
【0012】
このような構成によって、表示部は、現実に存在する人および人が所有する物品の態様およびこれらの位置関係を、移動体の移動態様を反映させつつ表示することができる。そのため、ユーザは、移動体の移動態様を認識しつつ、その移動態様に対応して変化する要素の位置関係を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1の表示システムの構成を概略的に例示する説明図である。
【
図2】
図2は、
図1の表示システムの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1の無線タグにおける通信制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図1の情報端末における表示制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、複数の集合した要素とその周りの風景の一例を模式的に示す説明図である。
【
図6】
図6は、サーバに記憶される抽出要素に関する情報を例示的に示す説明図である。
【
図7】
図7は、情報端末において、表示制御に基づいて表示部に合成画像が表示されている状態の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2の情報端末における表示制御の流れを例示するフローチャートである。
【
図9】
図9は、フロントガラス越しに見える風景の一例を模式的に示す説明図である。
【
図10】
図10は、サーバに記憶される抽出要素に関する情報を例示的に示す説明図である。
【
図11】
図11は、表示制御に基づいてフロントガラスに合成画像が表示されている状態の一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例3において、市街地を上空側から見た風景の一例を模式的に示す説明図である。
【
図13】
図13は、サーバに記憶される抽出要素に関する情報を例示的に示す説明図である。
【
図14】
図14は、情報端末において、表示制御に基づいて表示部に合成画像が表示されている状態の一例を示す説明図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施例4において、高速道路を上空側から見た風景の一例を模式的に示す説明図である。
【
図16】
図16は、サーバに記憶される抽出要素に関する情報を例示的に示す説明図である。
【
図17】
図17は、情報端末において、表示制御に基づいて表示部に合成画像が表示されている状態の一例を示す説明図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施例5において、アメリカンフットボールの競技場を上空側から見た風景の一例を模式的に示す説明図である。
【
図19】
図19は、サーバに記憶される抽出要素に関する情報を例示的に示す説明図である。
【
図20】
図20は、情報端末において、表示制御に基づいて表示部に合成画像が表示されている状態の一例を示す説明図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施例6において、室内の所定位置から見た風景の一例を模式的に示す説明図である。
【
図22】
図22は、サーバに記憶される抽出要素に関する情報を例示的に示す説明図である。
【
図23】
図23は、情報端末において、表示制御に基づいて表示部に合成画像が表示されている状態の一例を示す説明図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施例7において、倉庫内の所定位置から見た風景の一例を模式的に示す説明図である。
【
図25】
図25は、サーバに記憶される抽出要素に関する情報を例示的に示す説明図である。
【
図26】
図26は、情報端末において、表示制御に基づいて表示部に合成画像が表示されている状態の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の表示システムを具体化した実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<実施例1>
(表示システム)
図1に示す表示システム1は、任意のデバイス(例えば情報端末)の表示部に、実際にある風景から要素を抽出して表示するシステムである。ユーザは、風景に対して撮像を行わなくとも、風景を構成する要素を表示部に表示することができ、任意の視点からの視覚的外観で認識することができる。
【0016】
表示システム1は、
図1に示すように、無線タグ10と、基地局20と、サーバ30と、情報端末40と、を備えている。
【0017】
無線タグ10は、本発明の「情報処理媒体」の一例に相当する。無線タグ10は、公知のRFIDタグと同様の機能を有する。無線タグ10は、
図1に示すように、要素に取り付けられている。ここで、要素は、人または人が所有する物品である。無線タグ10は、要素情報が記憶されている。例えば、
図6に示すように、無線タグ10は、その無線タグ10を特定する識別記号(H1など)に対応付けて、要素情報を記憶している。要素情報は、要素の態様を特定する情報である。要素情報は、例えば、要素の特徴、形態、構造、状態、デザイン、性質などである。例えば、
図6に示すように、要素が人である場合、要素情報として年齢、性別、身長、体重などが挙げられる。要素が物である場合、その物の種類、色などである。
【0018】
位置情報は、要素の位置、すなわち無線タグ10の位置を特定する情報である。位置情報は、要素(無線タグ10)の位置の変化に応じて変化する情報である。位置情報は、例えば、GPS位置情報や、各種センサで検知される情報であり、緯度や経度、高さ(高度)などで表される。この位置情報は、所定位置を原点とした座標など、公知のその他の方法で定められる情報であってもよい。無線タグ10は、
図2に示すように、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、GPS通信部14と、センサ15と、を備えている。
【0019】
制御部11は、例えばマイクロコンピュータとして構成されており、CPU、システムバス、入出力インタフェースなどを有している。記憶部12は、例えばROMなどの各種半導体メモリによって構成されている。記憶部12は、後述する要素情報(無線タグ10が取り付けられる要素の態様を特定する情報)が記憶されている。通信部13は、例えば図示しないアンテナ、電源回路、復調回路、変調回路などを有している。電源回路は、アンテナを介して受信した受信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御部11をはじめとする各構成要素に供給する。復調回路は、受信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御部に出力する。制御部11は、記憶部12から上記要素情報などを読み出し、それを送信データとして変調回路に出力する構成をなす。変調回路は、応答信号(キャリア信号)を当該送信データで負荷変調してアンテナから送信するように構成されている。
【0020】
GPS(Global Positioning System)通信部14は、GPS衛星(図示略)と通信可能な公知のGPS通信装置として構成されている。GPS衛星は、GPSシステムで用いられる公知のGPS用の人工衛星であり、実際は複数のGPS衛星が存在する。GPS通信部14は、例えば、GPS衛星との間で通信を行うことで無線タグ10の位置を特定する位置情報(GPS位置情報)を取得する。また、制御部11は、GPS通信部14が取得した位置情報(GPS位置情報)に基づいて無線タグ10の位置(例えば、緯度及び経度など)を算出し得る。
【0021】
センサ15は、無線タグ10に設けられる様々なセンサである。センサ15は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、重力センサ、圧力センサなどである。センサ15は、無線タグ10の所定位置からの高さ(高度)などを検知することができる。例えば、加速度センサやジャイロセンサなどによって無線タグ10を所持している人の動き(数センチの移動など)を検知して、無線タグ10の地上からの高さ(高度)などを検知することができる。また、圧力センサなどによって、無線タグ10の地上からの高さ(高度)を直接的に検知することができる。
【0022】
基地局20は、公知の携帯電話の基地局などと同様の機能を有する。基地局20は、所定の通信規格に準拠した通信方式により無線タグ10、情報端末40と無線通信を行う。基地局20とサーバ30との間の通信は、通信線を介した有線通信であってもよく、公知方式の無線通信であってもよい。なお、基地局20は、所定のアクセスポイントを経由して情報端末40およびサーバ30と通信を行ってもよい。基地局20は、例えば図示しないアンテナ、送受信機などを有している。基地局20は、送受信機による制御によって、アンテナを介した電波の送受信を行う。例えば、情報端末40間で通信を行う場合、一方の情報端末40とその最寄りの基地局20との間で無線通信が行われ、他方の情報端末40とその最寄りの基地局20との間で無線通信が行われる。そして、両方の基地局20間では、各種通信設備を介してデータのやり取りが行われる。基地局20は、無線タグ10との非接触通信によって要素情報および位置情報を取得する。基地局20は、取得した要素情報および位置情報をサーバ30に送信する。基地局20は、サーバ30から取得した要素情報および位置情報を情報端末40に対して送信する。
【0023】
サーバ30は、表示システム1を管理する管理装置として機能する。サーバ30は、サーバなどの公知のコンピュータとして構成されている。サーバ30および基地局20は、本発明の「取得部」の一例に相当し、無線タグ10との非接触通信によって、各要素の要素情報と位置情報とを対応付けて取得するように機能する。サーバ30は、図示しない制御部、記憶部、通信部などを備えている。制御部は、CPU、システムバス、入出力インタフェースなどを有している。記憶部は、例えばROMなどの各種半導体メモリによって構成されている。記憶部は、基地局20から取得した要素情報および位置情報などを記憶する。通信部は、図示しないアンテナや通信ケーブルなどの通信インタフェースを有している。サーバ30は、基地局20との有線通信または無線通信により、直接又は他装置を介して間接的に要素情報および位置情報の送受信を行う。
【0024】
情報端末40は、
図2に示すように、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、表示部44と、操作部45と、を備える。情報端末40は、例えばスマートフォンやタブレット端末などの携帯型情報処理端末として構成されており、図示しない二次電池を電源として動作し得るようになっている。なお、
図1,7では、スマートフォンとして構成された情報端末40を例示しているが、情報処理機能を有する携帯型の端末であればスマートフォン以外の構成であってもよい。
【0025】
制御部41は、例えばマイクロコンピュータなどの公知の情報処理装置として構成され、CPUなどの公知の演算装置及び他の周辺回路などを備えてなり、様々な制御や演算を行い得る。記憶部42は、例えばROMなどの各種半導体メモリによって構成されている。記憶部42は、制御部41を制御させるためのプログラム(後述する表示アプリなど)などが記憶されている。表示部44は、例えば公知のタッチパネル式表示装置の一部をなす表示部であり、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの公知の画像表示装置として構成されている。操作部45は、例えば、表示部44の前方を覆うように配置される公知のタッチパネルとして構成され、表示部44の画像を外部から視認可能な透明性の構成で表示部44を覆う構成をなす。なお、ここで示す例はあくまで一例であり、表示部44は、ユーザが視認し得る状態で画像を表示し得る構成であればよい。操作部45は、ユーザの操作によって情報を入力し得る構成であればよく、タッチパネル以外の入力インタフェース(ボタン等)を備えていてもよい。
【0026】
通信部43は、公知の通信方式で基地局20と無線通信を行い得る装置であり、例えば、WiFi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、第4世代移動通信システム、第5世代移動通信システムなどの公知の無線通信規格に従った通信方式で無線通信を行い得る通信装置となっている。具体的には、制御部41と通信部43とが協働し、基地局20との間で情報の送受信を行い得る。通信部43は、基地局20との無線通信を介して、サーバ30とデータのやり取りを行う。また、通信部43は、基地局20との無線通信によって広域通信網WANに直接又は他装置を介して間接的にアクセスし得る機能を有している。
【0027】
情報端末40には、例えば、表示部44に画像の表示制御に関するアプリケーションプログラム(表示アプリ)がインストールされている。表示アプリは、既存のアプリケーションソフトで表示する画像に対して、別途生成するイメージ(画像)を合成して表示する機能を有する。既存のアプリケーションソフトは、例えば、地図画像を表示部44に表示する地図表示アプリケーション(以下、地図アプリという)である。地図アプリは、地図の表示や、地図上の位置に対応する位置の写真を表示する機能などを有する。表示アプリは、例えば、地図アプリで表示する写真に対して、要素情報に基づくイメージ(画像)を合成して表示する。表示アプリは、要素の位置情報を、地図アプリで使用する位置情報に対応させて表示の合成を行う。例えば、表示アプリは、地図アプリと連動して実行される構成であってもよく、地図アプリと同様の機能を備える構成であってもよい。
【0028】
また、表示アプリは、情報端末40などで別途撮影した画像や動画に対して、要素情報に基づくイメージ(画像)を合成して表示することもできる。例えば、情報端末40に設けられたカメラ機能で撮影された画像に、要素情報に基づいて生成されるイメージを重ねて表示することもできる。
【0029】
(無線タグの通信制御)
次に、無線タグ10の通信制御について説明する。
図3に示す通信制御は、無線タグ10によって実行される制御である。無線タグ10の制御部11は、基地局20から送信指令を受信すると(ステップS11)、通信制御を開始する。ここで、送信指令は、無線タグ10に対して情報を送信するように命令する情報を含む信号である。基地局20は、例えば、所定の時間間隔(例えば数秒間隔など)で、送信指令を送信している。
【0030】
制御部11は、ステップS11の後、位置情報を生成する(ステップS12)。例えば、制御部11は、GPS通信部14やセンサ15が取得した位置情報(GPS位置情報や高さ情報)に基づいて無線タグ10の位置(例えば、緯度や経度、高さ(高度)など)を算出する。続いて、制御部11は、記憶部12から要素情報を読み出す(ステップS13)。続いて、制御部11は、通信部13を介して、要素情報および位置情報を基地局20に送信する(ステップS14)。基地局20は、受信した要素情報および位置情報をサーバ30に送信する。サーバ30は、取得した要素情報および位置情報を記憶する。制御部11は、ステップS14の処理の後、
図3の通信制御を終了する。
【0031】
(情報端末の表示制御)
次に、情報端末40の表示制御について説明する。
図4に示す表示制御は、情報端末40によって実行される制御である。ここでは、
図5に示す風景を、情報端末40の表示部44に表示する制御について説明する。制御部41は、上述した表示アプリを起動させることで、
図4の処理を開始する。制御部41は、表示アプリを起動させ(ステップS21)、その後、基準位置(基準位置情報によって特定される位置)を決定する(ステップS22)。基準位置情報は、例えば、緯度や経度で表される。制御部41は、本発明の「基準位置決定部」に相当し、任意の基準位置を特定する基準位置情報を決定するように機能する。
【0032】
基準位置の決定方法としては、予め表示アプリに登録された要素の位置情報を用いることができる。例えば、
図6に示す識別記号H1で表される要素(要素H1という、以下同じ)が、予め表示アプリに登録されているものとする。ユーザが操作部45を操作することで、要素H1の位置情報(北緯X1、東経Y1、高さZ1)を基準位置情報に用いる選択を行う。なお、基準位置の決定方法は、これに限らず、その他の方法で行われてもよい。例えば、表示部44に表示される地図画像の任意の箇所をタッチして基準位置を決定してもよい。
【0033】
続いて、制御部41は、データ要求指令を、基地局20を介してサーバ30に送信する(ステップS23)。データ要求指令は、表示部44で表示する要素に関する情報(要素情報、位置情報)を、送信するように指示するための信号である。表示部44で表示する要素は、基準位置の近傍に位置する要素である。基準位置の近傍とは、例えば、基準位置から所定距離(5mなど任意の距離)以内の領域である。制御部41は、本発明の「要素抽出部」に相当し、データ要求指令によって、基地局20およびサーバ30によって取得された要素情報の中から、基準位置情報で特定される位置の近傍に位置する要素の要素情報を抽出させる。
【0034】
サーバ30は、データ要求指令を受信すると、要素情報を抽出する。例えば、
図6に示すデータが、基準位置(要素H1の位置)の近傍に位置する各要素(抽出要素)のデータとして抽出される。識別記号H1に対応付けられる人(おじいさん)H1は、その人が装着する腕時計型の装着物に搭載された無線タグ10Aの情報によって特定される。以下、無線タグ10A~10Hの構成は無線タグ10と同様の構成であるものとする。無線タグ10Aには、識別記号H1に対応付けられた要素情報(70歳、男、160cm、65kg)および位置情報(北緯X1、東経Y1、高さZ1)が記録されている。同様に、識別記号H1T1に対応付けられる物(ベスト)T1は、人(おじいさん)H1が装着するベストに搭載された無線タグ10Bの情報によって特定される。無線タグ10Bには、識別記号H1T1に対応付けられた要素情報(ニットベスト、オレンジ色、Mサイズ)および位置情報(北緯X1、東経Y1、高さZ2)が記録されている。他の抽出要素(帽子(H1T2)、眼鏡(H1T3)、お父さん(H2)、子供(H3)、ペット(P1)、首輪(P1T4)など)も、
図6に示す情報が記憶された無線タグ10C~10Hがそれぞれ取り付けられている。ペットは、人が所有する物品の一例である。
【0035】
続いて、制御部41は、基地局20との無線通信によって、抽出要素の要素情報および位置情報を受信する(ステップS24)。すなわち、
図6に示す抽出要素に関する情報を受信する。
【0036】
続いて、制御部41は、
図7に示すように、ステップS24で受信した抽出要素の要素情報を合成して表示部44に表示する(ステップS25)。制御部41は、ステップS22で決定した基準位置情報によって特定される基準位置を基準として、抽出要素の要素情報に基づく表示を行う。例えば、制御部41は、基準位置(要素H1の位置(北緯X1、東経Y1、高さZ1))から所定距離(10mなど)離れた位置が視点(
図5のS1参照)となるように、要素の態様および位置関係を表示部44に表示させる。
【0037】
要素の態様の表示は、対応する位置情報に基づいて行われる。例えば、人(おじいさん)H1の要素情報(70歳、男、160cm、65kg)に基づいて、
図7に示すように、男性の老人の仮想的なイメージ(モデル画像)V1を表示部44に表示する。このような各種イメージは、要素情報に対応付けられて記憶部42に記憶されている。また、無線タグ10Aは、人の腕に取り付けられているため、センサ15によって腕が動かされている状態(高さZ1の位置情報)などが検知された場合、その検知結果に基づく表示(腕が振り上げられているなどの表示)を行ってもよい。表示部44におけるイメージの表示位置は、基準位置情報(より具体的には視点(
図5のS1参照))との相対的な位置関係に基づいて決められる。例えば、要素の位置が視点S1から遠いほど、表示サイズを小さくする。なお、表示部44の表示形式は、2次元であっても良く、3次元であってもよい。
【0038】
同様に、物(ベスト)T1の要素情報(ニットベスト、オレンジ色、Mサイズ)に基づいて、オレンジ色のベストのイメージV2を表示部44に表示する。イメージV2の表示位置は、物T1の位置情報と基準位置情報(人H1の位置情報)との相対的な位置関係によって決められる。すなわち、制御部41は、物T1の位置情報と基準位置情報(人H1の位置情報)がともに北緯X1、東経Y1であるため、男性の老人(イメージV1)がベスト(イメージV2)を着ているように、合成して表示する。なお、物T1の位置情報が基準位置情報と異なっていても、その差が小さい場合(予め定められた所定の範囲内である場合)には、物T1を人H1が所持しているとみなして、イメージV1とイメージV2を合成して表示してもよい。このように、物の要素は、人の所有物であることが想定される場合に、その物をその人が所持(装着)しているように表示する。なお、予め人と物が対応付けられているような場合(識別記号が対応付けられている場合など)には、位置情報に基づかなくとも人と物を合成して表示するようにしてもよい。同様に、物の要素(帽子(H1T2)、眼鏡(H1T3)など)も、イメージV3、V4として、イメージV1に合成して表示される。
【0039】
人H1以外の人の要素(人H2、人H3(ペットP1を含む))は、その位置情報と人H1の位置情報との相対的な位置関係に基づいて表示部44に表示される。例えば、人(お父さん)H2の位置情報(北緯X2、東経Y2、高さZ5)が、人H1のイメージV1の位置情報(北緯X1、東経Y1、高さZ1)に対して、右側に隣り合うような位置関係(1m離れた関係など)である場合、
図7に示すように、人(お父さん)H2のイメージV5を人(おじいさん)H1のイメージV1の表示位置に対して右側に隣り合う位置に表示する。同様に、人H3(子供)、ペットP1(犬)なども、基準位置情報との相対的な位置関係で、イメージV6、V7として、表示部44に合成して表示される。また、物T4(首輪)は、位置情報の値がペットP1(犬)と同じであるため、ペットP1(犬)の装着物(イメージV8)として表示される。
【0040】
さらに、以上のようにして合成されたイメージV1~V8に対して、地図アプリで用いられる画像を合成して表示部44に表示する。すなわち、地図アプリの実行時に、基準位置情報に基づいて定められた視点(
図5のS1参照)から見える景色を追加して表示部44に表示する。例えば、
図5に示すように、視点(
図5のS1)から見て、基準位置(人H1の位置)よりも遠くに山林Mが見える場合に、表示部44においてイメージV1の後方に山林のイメージV9を追加する。なお、表示部44に表示する景色のイメージは、2次元であってもよく、3次元であってもよい。このようにして、ユーザは、
図5に示すような風景に対して撮像を行わなくとも、風景を構成する要素を表示部44に表示することができ、任意の視点からの視覚的外観で認識することができる。
【0041】
ステップS25の処理が終了すると、
図4の表示処理が終了する。
【0042】
(本構成の効果)
以上のように、実施例1の表示システムは、現実に存在する人および人が所有する物品である要素に対して、その態様を特定する要素情報と、その位置を特定する位置情報と、を対応付けて取得することができる。そして、表示システムは、このような要素の態様および位置関係を、基準位置情報に基づいて任意の位置を視点となるように表示部44に表示することができる。したがって、ユーザは、要素に対する撮像を行わなくとも、表示対象となる要素を、任意の視点からの視覚的外観で認識することができる。
【0043】
<実施例2>
実施例2の表示システム1は、表示媒体として情報端末40の代わりに車両のヘッドアップディスプレイを用いる点が実施例1と異なっている。また、実施例2の表示システム1は、表示制御の内容が実施例1と異なっている。これら以外の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0044】
(表示システム)
実施例2の表示システム1は、車両の運転を支援する表示システムである。表示システム1は、車両のフロントガラスに車両の運転を支援する情報(要素情報に基づく情報)を表示する。表示システム1は、実施例1と同様の無線タグ10、基地局20、およびサーバ30を備え、さらに表示装置を備えている。表示装置は、実施例1の情報端末40の構成(制御部41、記憶部42、通信部43、操作部45)と同様に機能する構成(制御部、記憶部、通信部、操作部)を備え、さらにヘッドアップディスプレイを備えている。ヘッドアップディスプレイは、本発明の「表示部」に相当し、公知のヘッドアップディスプレイとして構成され、車両のフロントガラスや透明な表示板に画像や映像を投影する。
図9、
図11では、ヘッドアップディスプレイの一部として構成されるフロントガラス50を示している。表示装置の制御部41、記憶部42、通信部43、操作部45に相当する構成は、例えばインストルメントパネルに設けられている。
【0045】
無線タグ10は、人または人が所有する物品(車両を含む物品)に取り付けられている。車両において、無線タグ10は、フロントガラス50の後面やインストルメントパネル内などに配置することができる。
図10に示すように、無線タグ10は、その無線タグ10を特定する識別記号(C1など)に対応付けて、要素情報を記憶している。例えば、要素が車両である場合、その車両の車種、色などである。
【0046】
サーバ30および基地局20は、本発明の「移動情報受取部」の一例に相当し、移動体(表示装置が搭載された自車)の位置を特定する位置情報(移動位置情報)を受け取るように機能する。
【0047】
(表示装置の表示処理)
実施例2の表示装置の表示制御について説明する。
図8に示す表示制御は、表示装置によって実行される制御である。ここでは、
図9に示す車両(車C1(自車))のフロントガラス50に、要素情報に基づく表示を行わせる制御について説明する。表示装置は、実施例1と同様に表示アプリを起動させることで、
図8の処理を開始する。
【0048】
制御部は、表示アプリを起動させ(ステップS31)、その後、基準位置(基準位置情報によって特定される位置)を決定する(ステップS32)。基準位置情報は、車C1(自車)の位置情報(移動位置情報)を、変化する基準位置を特定する情報として用いる。すなわち、車C1(自車)に搭載された無線タグ10で取得する位置情報(
図10では北緯X21、東経Y21、高さZ21)を用いる。
図10では、各要素に対応する無線タグ10において、所定の時刻に取得した位置情報を示している。なお、車C1(自車)の位置情報は、無線タグ10のGPS通信部14の代わりに、車両のナビゲーションシステムに搭載されるGPS通信部を利用して取得してもよい。
【0049】
続いて、制御部は、実施例1と同様に、データ要求指令を、基地局20を介してサーバ30に送信する(ステップS33)。データ要求指令では、例えば、基準位置から所定距離(100mなど)以内の領域にある要素に関する情報(要素情報、位置情報)を、送信するように指示する。
【0050】
サーバ30は、データ要求指令を受信すると、要素情報を抽出する。サーバ30は、移動体(車両C1(自車))の移動に応じて変化する基準位置の近傍に位置する要素を、抽出要素として抽出する。例えば、
図10に示すようなデータが、所定の時間間隔で、基準位置(要素C1の位置)の近傍に位置する各要素(抽出要素)のデータとして抽出される。これにより、車両C1(自車)が移動していれば、異なる要素が抽出される場合が生じる。識別記号C2に対応付けられる車C2(他車)は、その車両に搭載された無線タグ210Bの情報によって特定される。以下、無線タグ210B~210Fの構成は無線タグ10と同様の構成であるものとする。無線タグ210Bには、識別記号C2に対応付けられた要素情報(車種A2、白色)および位置情報(北緯X22、東経Y22、高さZ22)が記録されている。同様に、他の抽出要素(車C3(他車)、人H21(自転車に乗車)、物T21(自転車)、人H22(歩行者))も、
図10に示す情報が記憶された無線タグ210C~210Fがそれぞれ取り付けられている。
【0051】
続いて、制御部は、基地局20との無線通信によって、抽出要素の要素情報および位置情報を受信する(ステップS34)。すなわち、
図10に示す抽出要素に関する情報を受信する。
【0052】
続いて、制御部は、
図11に示すように、ステップS34で受信した抽出要素の要素情報を合成して表示装置に表示する(ステップS35)。制御部は、ステップS32で決定した基準位置情報によって特定される基準位置を基準として、抽出要素の要素情報に基づく表示を行う。例えば、制御部は、基準位置(要素C1の位置(北緯X21、東経Y21、高さZ21))にある車両に搭乗する運転車の視点となるように、要素の態様および位置関係を表示装置に表示させる。
【0053】
要素の態様の表示は、対応する位置情報に基づいて行われる。例えば、人H21(自転車に乗車している人)の要素情報(20歳、男、170cm、65kg)に基づいて、
図11に示すように、自転車に乗車した格好の成人男性の仮想的なイメージ(モデル画像)V21をフロントガラス50に表示する。このような各種イメージは、要素情報に対応付けられて記憶部に記憶されている。フロントガラス50における各イメージの表示サイズおよび表示位置は、基準位置情報との相対的な関係に基づいて決められる。すなわち、各イメージは、実際に運転者の視点から対応する要素を見た状態(視点からの距離や方向が反映された状態)で表示される。例えば、要素の位置が視点から遠いほど、イメージの表示サイズを小さくする。
【0054】
人H21(自転車に乗車している人)は、
図9に示すように、運転者の視点からでは建物に遮られて見えないが、
図11に示すように、表示装置の表示によって仮想的に存在しているように示すことができる。そのため、運転者は、死角に潜む要素を認識することが可能となる。なお、車両の制御システムは、表示システム1がこのような死角に潜む要素を検知した場合に、警告を行うような構成となっていてもよい。
【0055】
同様に、制御部は、物T21(自転車)の要素情報(マウンテンバイク、黒色)に基づいて、黒色のマウンテンバイクのイメージV22をフロントガラス50に表示する。制御部は、人H21(自転車に乗車している人)の位置情報と物T21(自転車)の位置情報とがともに北緯X24、東経Y24であるため、人H21のイメージV21が黒色のマウンテンバイクのイメージV22に乗車しているように、合成して表示する。なお、2つの要素間において位置情報の値が同じとならなくても、近い値(予め定めた所定の範囲内の値)である場合に、2つのイメージを組み合わせた表示を行ってもよい。
【0056】
同様に、制御部は、人H22(歩行者)の要素情報(60歳、男、150cm、55kg)に基づいて、成人男性の仮想的なイメージ(モデル画像)V23をフロントガラス50に表示する。人H22は、
図9に示すように、運転者の視点からでは建物に遮られて見えないが、
図11に示すように、表示装置の表示によって仮想的に存在しているように示すことができる。
【0057】
なお、運転者の視点から建物などに遮られることなく見える要素(車C2(他車)、車C3(他車)など)は、フロントガラス50に表示しないようにしてもよい。例えば、車載レーダによって検知される要素に関して、表示処理を行わないようにしてもよい。
【0058】
ステップS35の後、制御部は、再びステップS34を行う。すなわち、制御部は、前回のステップS34で受信した抽出要素の情報とは異なる時間に無線タグ10から送信された抽出要素の情報を受信する。そして、続くステップS35で、要素情報の合成表示を行う。このように、制御部は、ステップS34,S35を繰り返すことで、自車(移動体)の移動に応じて要素抽出部によって抽出された要素情報に基づく表示を、自車(移動体)の移動に応じて行う。すなわち、制御部は、刻々と移動する要素をフロントガラス50に表示することができる。
【0059】
なお、制御部によって要素情報に基づいて生成されるイメージを、車載機器で別途撮影された動画と合成して情報端末などに表示する構成としてもよい。例えば、ドライブレコーダで撮影された動画に対して、要素情報に基づいて生成されるイメージを、位置情報に対応付けて重ねて表示するような構成であってもよい。
【0060】
(本構成の効果)
以上のように、実施例2の表示システム1は、移動体の移動によって変化する移動位置情報を基準位置情報として用いることができる。そして、現実に存在する人および人が所有する物品の態様およびこれらの位置関係を、移動体の移動に応じてフロントガラス50に表示することができる。これにより、ユーザは、移動体の移動に応じた要素の位置関係の変化を認識することができる。特に、運転者の視点からでは建物などに遮られて見えない要素を、表示装置の表示によって仮想的に存在しているように示すことができる。
【0061】
<実施例3>
実施例3の表示システム1は、情報端末40の表示制御の内容が実施例1と異なっている。これら以外の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0062】
(表示システム)
実施例3の表示システム1は、人の見守りを支援する表示システムである。表示システム1は、見守り対象の人やその周りの要素の動きを示す情報(要素情報に基づく情報)を、情報端末40に表示する。
【0063】
無線タグ10は、人または人が所有する物品(車両を含む物品)に取り付けられている。車両において、無線タグ10は、フロントガラスの後面やインストルメントパネル内などに配置することができる。
図13に示すように、無線タグ10は、その無線タグ10を特定する識別記号(C31など)に対応付けて、要素情報を記憶している。例えば、要素が車両である場合、その車両の車種、色などである。
【0064】
(情報端末の表示処理)
実施例3の情報端末40の表示制御について説明する。実施例3の情報端末40の表示制御は、実施例2と同様に、
図8に示す流れで実行される。ここでは、情報端末40に、特定の要素(人H31)を対象とした見守りを行う表示制御について説明する。制御部41は、実施例2と同様に表示アプリを起動させることで、
図8の処理を開始する。
【0065】
制御部41は、表示アプリを起動させ(ステップS31)、その後、基準位置(基準位置情報によって特定される位置)を決定する(ステップS32)。基準位置情報は、人H31(見守り対象の子供)の位置情報(移動位置情報)を、変化する基準位置を特定する情報として用いる。すなわち、人H31(見守り対象の子供)が装着する無線タグ10(腕時計型の装着物に付される無線タグ10)で取得する位置情報(
図13では北緯X31、東経Y31)を用いる。
図13では、各要素に対応する無線タグ10において、所定の時刻に取得した位置情報を示している。
【0066】
続いて、制御部41は、実施例2と同様に、データ要求指令を、基地局20を介してサーバ30に送信する(ステップ33)。データ要求指令では、例えば、基準位置から所定距離(100mなど)以内の領域にある要素に関する情報(要素情報、位置情報)を、送信するように指示する。
【0067】
サーバ30は、実施例2と同様に、データ要求指令を受信すると、要素情報を抽出する。例えば、
図13に示すようなデータが、所定の時間間隔で、基準位置(要素H31の位置)の近傍に位置する各要素(抽出要素)のデータとして抽出される。これにより、要素H31(見守り対象)が移動していれば、異なる要素が抽出される場合が生じる。識別記号H31に対応付けられる人H31(見守り対象)は、その人H31が装着する無線タグ310Aの情報によって特定される。以下、無線タグ310A~310Eの構成は無線タグ10と同様の構成であるものとする。無線タグ310Aには、識別記号H31に対応付けられた要素情報(10歳、男、100cm、25kg)および位置情報(北緯X31、東経Y31、高さZ31)が記録されている。同様に、他の抽出要素(物T31(シャツ)、人H32(隣の子供)、人H33(他の人)、車C31)も、
図13に示す情報が記憶された無線タグ310B~310Eがそれぞれ取り付けられている。
【0068】
続いて、制御部41は、基地局20との無線通信によって、抽出要素の要素情報および位置情報を受信する(ステップS34)。すなわち、
図13に示す抽出要素に関する情報を受信する。
【0069】
続いて、制御部41は、
図14に示すように、ステップS34で受信した抽出要素の要素情報を合成して表示部44に表示する(ステップS35)。制御部41は、ステップS32で決定した基準位置情報によって特定される基準位置を基準として、抽出要素の要素情報に基づく表示を行う。例えば、制御部41は、基準位置(要素H31の位置(
図13では北緯X31、東経Y31、高さZ31))から所定距離(例えば5mなど)離れた位置を視点(
図12のS31参照)とするように、要素の態様および位置関係を表示部44に表示させる。また、
図14に示すように、要素H31の移動方向とは反対側に視点を設定する。なお、視点の設定方法は、限定されず、例えば要素H31の上方や、移動方向に対する側方(人の左右方向)など、任意の位置に視点を設定できる。
【0070】
要素の態様の表示は、実施例2と同様に、対応する位置情報に基づいて行われる。例えば、物T31(シャツ)、人H32(見守り対象に並んで歩く人)、人H33(他の人)、車C31に対して、
図14に示すように、それぞれイメージ(モデル画像)V32~V35をフロントガラス50に表示する。さらに、実施例1と同様に、地図アプリで用いられる画像を合成して表示部44に表示する。すなわち、要素情報の受信時に、基準位置情報に基づいて定められた視点(
図12のS31参照)から見える景色を追加して表示部44に表示する。例えば、
図14に示すように、歩道の防護柵V36や建物V37などを表示してもよい。
【0071】
ステップS35の後、制御部41は、再びステップS34を行う。すなわち、制御部41は、前回のステップS34で受信した抽出要素の情報とは異なる時間に無線タグ10から送信された抽出要素の情報を受信する。そして、続くステップS35で、要素情報の合成表示を行う。このように、制御部41は、ステップS34,S35を繰り返すことで、位置情報(移動位置情報)に基づいて移動体(見守り対象)の移動態様を表示しつつ、移動体の移動に応じて要素情報に基づく表示を、移動体の移動に応じて行う。すなわち、制御部41は、見守り対象の人(移動体)の移動に応じて要素抽出部によって抽出された要素情報に基づく表示を、見守り対象の人(移動体)の移動に応じて行う。制御部41は、見守り対象の人(移動体)とともに、その他の要素(周囲の要素)が刻々と移動する様子を表示部44に表示することができる。これにより、見守り対象の人H31を後方から見ているような画像を表示部44に表示することができる。
【0072】
(本構成の効果)
以上のように、実施例3の表示システム1において、表示部44は、現実に存在する人および人が所有する物品の態様およびこれらの位置関係を、移動体の移動態様を反映させつつ表示することができる。そのため、ユーザは、移動体の移動態様を認識しつつ、その移動態様に対応して変化する要素の位置関係を認識することができる。
【0073】
<実施例4>
実施例4の表示システム1は、情報端末40の表示制御の内容が実施例1と異なっている。これら以外の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0074】
(表示システム)
実施例4の表示システム1は、任意の視点から見た風景を表示する表示システムである。表示システム1は、任意の基準位置の周辺(近傍)の要素を示す情報(要素情報に基づく情報)を、情報端末40に表示する。
【0075】
無線タグ10は、人または人が所有する物品(車両を含む物品)に取り付けられている。車両において、無線タグ10は、フロントガラスの後面やインストルメントパネル内などに配置することができる。
図16に示すように、無線タグ10は、その無線タグ10を特定する識別記号(C41など)に対応付けて、要素情報を記憶している。例えば、要素が車両である場合、その車両の車種、色などである。
【0076】
(情報端末の表示処理)
実施例4の情報端末40の表示制御について説明する。実施例4の情報端末40の表示制御は、実施例1と同様に、
図4に示す流れで実行される。ここでは、情報端末40に、制御部41は、実施例1と同様に表示アプリを起動させることで、
図4の処理を開始する。
【0077】
制御部41は、表示アプリを起動させ(ステップS21)、その後、基準位置(基準位置情報によって特定される位置)を決定する(ステップS22)。基準位置情報は、ユーザが操作部45を操作することで、任意の位置を特定する情報として決定される。例えば、表示部44に表示される地図画像の任意の箇所(
図15のS41参照)をタッチして基準位置を決定することができる。
図15は、高速道路を上空側から見た風景の一例であり、表示部44に表示される地図画像も同様の風景となる。S41は、高速道路上に架けられた陸橋の一部を指している。
図16では、各要素に対応する無線タグ10において、所定の時刻に取得した位置情報を示している。
【0078】
続いて、制御部41は、実施例1と同様に、データ要求指令を、基地局20を介してサーバ30に送信する(ステップS23)。表示部44で表示する要素は、基準位置の近傍(例えば、基準位置から所定距離(100mなど)以内の領域)に位置する要素である。
【0079】
サーバ30は、実施例1と同様に、データ要求指令を受信すると、要素情報を抽出する。例えば、
図16に示すデータが、基準位置(
図15のS41参照)の近傍に位置する各要素(抽出要素)のデータとして抽出される。例えば、識別記号C41に対応付けられる車C41は、その車に搭載された無線タグ410Aの情報によって特定される。以下、無線タグ410A~410Cの構成は無線タグ10と同様の構成であるものとする。無線タグ410Aには、識別記号C1に対応付けられた要素情報(車種A41、青色)および位置情報(北緯X41、東経Y41、高さZ41)が記録されている。他の抽出要素(車C42、車C43など)も、
図16に示す情報が記憶された無線タグ410B,410Cがそれぞれ取り付けられている。
【0080】
続いて、制御部41は、実施例1と同様に、基地局20との無線通信によって、抽出要素の要素情報および位置情報を受信する(ステップS24)。すなわち、
図16に示す抽出要素に関する情報を受信する。
【0081】
続いて、制御部41は、実施例1と同様に、
図17に示すように、ステップS24で受信した抽出要素の要素情報を合成して表示部44に表示する(ステップS25)。制御部41は、ステップS22で決定した基準位置情報によって特定される基準位置を基準として、抽出要素の要素情報に基づく表示を行う。例えば、制御部41は、基準位置(
図15のS41参照)が視点となるように、要素の態様および位置関係を表示部44に表示させる。
【0082】
要素の態様の表示は、実施例1と同様に、対応する位置情報に基づいて行われる。例えば、車C41、車C42に対して、
図17に示すように、それぞれイメージ(モデル画像)V41,V42を表示部44に表示する。さらに、実施例1と同様に、地図アプリで用いられる画像を合成して表示部44に表示する。すなわち、要素情報の受信時に、基準位置情報に基づいて定められた視点(
図15のS41参照)から見える景色を追加して表示部44に表示する。例えば、
図17に示すように、斜線境界線V43や陸橋V44などを表示してもよい。このようにして、ユーザは、
図15に示すような風景に対して撮像を行わなくとも、風景を構成する要素を表示部44に表示することができ、無線タグ10が存在しない任意の視点からの視覚的外観で認識することができる。
【0083】
(本構成の効果)
以上のように、実施例4の表示システム1において、表示部44は、現実に存在する人や物の態様およびこれらの位置関係を、任意の視点で表示することができる。そのため、表示システム1は、多くのカメラを用意して任意の基準位置からの撮像画像を取得する必要がなく、簡易な構成で自由視点の風景を表示することができる。
【0084】
<実施例5>
実施例5の表示システム1は、情報端末40の表示制御の内容が実施例1と異なっている。これら以外の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0085】
(表示システム)
実施例5の表示システム1は、スポーツ観戦を支援する表示システムである。表示システム1は、スポーツのプレーヤー及びその動き(フォーメーションなど)をあらわす情報(要素情報に基づく情報)を、情報端末40に表示する。
【0086】
無線タグ10は、人が所有する物品(装具を含む)に取り付けられている。
図19に示すように、無線タグ10は、その無線タグ10を特定する識別記号(T51など)に対応付けて、要素情報を記憶している。例えば、要素情報は、要素がヘルメットである場合、装身具の種類(ヘルメット)、デザイン(色など)、所属チーム名、所有者(装着者)などである。
【0087】
(情報端末の表示処理)
実施例5の情報端末40の表示制御について説明する。実施例5の情報端末40の表示制御は、実施例2と同様に、
図8に示す流れで実行される。ここでは、情報端末40を用いた、アメリカンフットボールが行われる競技場において、複数のプレーヤーを対象とした表示制御について説明する。制御部41は、実施例2と同様に表示アプリを起動させることで、
図8の処理を開始する。
【0088】
制御部41は、表示アプリを起動させ(ステップS31)、その後、基準位置(基準位置情報によって特定される位置)を決定する(ステップS32)。基準位置情報は、ユーザが操作部45を操作することで、任意の位置を特定する情報として決定される。例えば、表示部44に表示される競技場の画像(撮像して取り込まれた画像や他のアプリで取得された画像など)内における任意の箇所(
図18のS51参照)をタッチして基準位置を決定することができる。
図18は、競技場を上空側から見た風景の一例であり、表示部44に表示される画像も同様の風景となる。
【0089】
続いて、制御部41は、実施例2と同様に、データ要求指令を、基地局20を介してサーバ30に送信する(ステップ33)。データ要求指令では、例えば、基準位置から所定距離(100mなど)以内の領域にある要素に関する情報(要素情報、位置情報)を、送信するように指示する。
【0090】
サーバ30は、実施例2と同様に、データ要求指令を受信すると、要素情報を抽出する。例えば、
図19に示すようなデータが、所定の時間間隔で、基準位置の近傍に位置する各要素(抽出要素)のデータとして抽出される。例えば、識別記号H51に対応付けられる物T51(ヘルメット)は、人H51が装着する(所有する)ヘルメットに付される無線タグ510Aの情報によって特定される。以下、無線タグ510A~510Hの構成は無線タグ10と同様の構成であるものとする。無線タグ510Aには、識別記号T51に対応付けられた要素情報(ヘルメット、赤色、Aチーム、人H51)および位置情報(北緯X51、東経Y51、高さZ51)が記録されている。同様に、他の抽出要素(物T52(ジャージ)、物T53(サイパッド)、物T54(スパイク)、物T55(ヘルメット)、物T56(ジャージ)、物T57(サイパッド)、物T58(スパイク))も、
図19に示す情報が記憶された無線タグ510B~510Hがそれぞれ取り付けられている。
【0091】
続いて、制御部41は、基地局20との無線通信によって、抽出要素の要素情報および位置情報を受信する(ステップS34)。すなわち、
図19に示す抽出要素に関する情報を受信する。
【0092】
続いて、制御部41は、
図20に示すように、ステップS34で受信した抽出要素の要素情報を合成して表示部44に表示する(ステップS35)。制御部41は、ステップS32で決定した基準位置情報によって特定される基準位置を基準として、抽出要素の要素情報に基づく表示を行う。例えば、制御部41は、基準位置(
図18のS51参照)を視点とするように、要素の態様および位置関係を表示部44に表示させる。
【0093】
要素の態様の表示は、実施例2と同様に、対応する位置情報に基づいて行われる。例えば、物T51(ヘルメット)、物T52(ジャージ)、物T53(サイパッド)、物T54(スパイク)に対して、
図20に示すように、それぞれイメージ(モデル画像)V51~V54を、位置情報(基準位置との相対的な位置関係)に基づいて、表示部44に表示する。物T51~T54が所有者である人H51と紐付けられているため、イメージV51~V54を装着した状態の人のイメージが表示部44に表示される。また、センサ15によって検知される高さ(高度)の情報に基づいて、姿勢(スタンス)を反映して人のイメージが表示部44に表示される。例えば、物T51~T54を装着する人H51は、センサ15の検知情報(高さZ51~Z54)に基づいて、かがむような姿勢(ツーポイントスタンス)で表示される。
【0094】
同様に、物T55(ヘルメット)、物T56(ジャージ)、物T57(サイパッド)、物T58(スパイク)に対して、
図20に示すように、それぞれイメージ(モデル画像)V55~V58を、位置情報(基準位置との相対的な位置関係)に基づいて、表示部44に表示する。物V55~V58が所有者である人H52と紐付けられているため、物V55~V58を装着した状態の人のイメージが表示部44に表示される。また、物T55~T58を装着する人H52は、センサ15の検知情報(高さZ55~Z58)に基づいて、直立に近い姿勢で表示される。図示は省略するが、フィールド上のその他の要素(人)も同様に、装具に無線タグ10が付されており、同様にして装具を装着した状態の人のイメージが表示部44に表示される。
【0095】
このように、高さ情報(センサ15の検知情報)を用いることで、現実の風景(人のフォーメーションなど)を立体的に表示することができる。さらに、要素情報の受信時に、基準位置情報に基づいて定められた視点(
図18のS51参照)から見える景色(撮像して取り込まれた画像や他のアプリで取得された画像など)を追加して表示部44に表示する。例えば、
図20に示すように、フィールド上のラインV59などを表示してもよい。
【0096】
ステップS35の後、制御部41は、再びステップS34を行う。すなわち、制御部41は、前回のステップS34で受信した抽出要素の情報とは異なる時間に無線タグ10から送信された抽出要素の情報を受信する。そして、続くステップS35で、要素情報の合成表示を行う。このように、制御部41は、ステップS34,S35を繰り返すことで、抽出要素が刻々と移動する様子を表示部44に表示することができる。
【0097】
(本構成の効果)
以上のように、実施例5の表示システム1において、表示部44は、現実に存在する人や物の態様およびこれらの位置関係を、任意の視点で表示することができる。そのため、表示システム1は、多くのカメラを用意して任意の基準位置からの撮像画像を取得する必要がなく、簡易な構成で自由視点の風景を表示することができる。
【0098】
<実施例6>
実施例6の表示システム1は、情報端末40の表示制御の内容が実施例1と異なっている。これら以外の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0099】
(表示システム)
実施例6の表示システム1は、室内における見守りを支援する表示システムである。表示システム1は、見守り対象の要素(人やペットなど)を示す情報(要素情報)を、情報端末40に表示する。
【0100】
無線タグ10は、人や人が所有する物品(ペットを含む)に取り付けられている。
図22に示すように、無線タグ10は、その無線タグ10を特定する識別記号(P61など)に対応付けて、要素情報を記憶している。例えば、要素情報は、要素が猫である場合、年齢、性別、種類などである。
【0101】
(情報端末の表示処理)
実施例6の情報端末40の表示制御について説明する。実施例6の情報端末40の表示制御は、実施例2と同様に、
図8に示す流れで実行される。ここでは、情報端末40を用いた、室内における、ペットや人(乳児)を対象とした表示制御について説明する。制御部41は、実施例2と同様に表示アプリを起動させることで、
図8の処理を開始する。
【0102】
制御部41は、表示アプリを起動させ(ステップS31)、その後、基準位置(基準位置情報によって特定される位置)を決定する(ステップS32)。基準位置情報は、ユーザが操作部45を操作することで、任意の位置を特定する情報として決定される。例えば、表示部44に表示される室内の画像(撮像して取り込まれた画像や他のアプリで取得された画像など)内における任意の箇所(
図21に示す状態で視認される視点など)をタッチして基準位置を決定することができる。
図21は、室内の所定位置(部屋の隅における人の目の高さの位置など)から見た風景の一例であり、表示部44に表示される画像も同様の風景となる。
【0103】
続いて、制御部41は、実施例2と同様に、データ要求指令を、基地局20を介してサーバ30に送信する(ステップ33)。データ要求指令では、例えば、基準位置から所定距離(100mなど)以内の領域にある要素に関する情報(要素情報、位置情報)を、送信するように指示する。
【0104】
サーバ30は、実施例2と同様に、データ要求指令を受信すると、要素情報を抽出する。例えば、
図22に示すようなデータが、所定の時間間隔で、基準位置の近傍に位置する各要素(抽出要素)のデータとして抽出される。例えば、識別記号P61に対応付けられるペットP61(猫)は、ペットP61が装着する首輪に付される無線タグ610Aの情報によって特定される。以下、無線タグ610A,610Bの構成は無線タグ10と同様の構成であるものとする。無線タグ610Aには、識別記号P61に対応付けられた要素情報(1歳、雌、三毛猫)および位置情報(北緯X61、東経Y61、高さZ61)が記録されている。同様に、識別記号H61に対応付けられる人H61(乳児)は、人H61が装着する腕輪に付される無線タグ610Bの情報によって特定される。
【0105】
続いて、制御部41は、基地局20との無線通信によって、抽出要素の要素情報および位置情報を受信する(ステップS34)。すなわち、
図22に示す抽出要素に関する情報を受信する。
【0106】
続いて、制御部41は、
図23に示すように、ステップS34で受信した抽出要素の要素情報を合成して表示部44に表示する(ステップS35)。制御部41は、ステップS32で決定した基準位置情報によって特定される基準位置(部屋の隅における人の目の高さの位置など)を基準として、抽出要素の要素情報に基づく表示を行う。例えば、制御部41は、基準位置を視点とするように、要素の態様および位置関係を表示部44に表示させる。
【0107】
要素の態様の表示は、実施例2と同様に、対応する位置情報に基づいて行われる。例えば、ペットP61(猫)に対して、
図23に示すように、イメージ(モデル画像)V61~V54を表示部44に表示する。識別記号P61が無線タグ610Aの装着者であるペットP61と紐付けられているため、イメージV61を猫のイメージとして表示部44に表示される。センサ15の検知情報(高さZ61)に基づいて、猫の姿勢や、家具の上などに乗っているような状態などをイメージに反映させることができる。そして、ペットP61(猫)は、基準位置からの視点では家具(ソファ)の後に隠れて見えないが、家具(ソファ)の画像(イメージV63)に重ねてイメージV61を表示することで、ペットP61(猫)の存在を認識させることができる。
【0108】
同様に、人H61(乳児)に対して、
図23に示すように、イメージ(モデル画像)V62を表示部44に表示する。識別記号H61が人H61(乳児)と紐付けられているため、イメージV62を乳児のイメージとして表示部44に表示される。センサ15の検知情報(高さZ62)に基づいて、乳児の姿勢などをイメージに反映させることができる。そして、人H61(乳児)は、基準位置からの視点では家具(テーブル)の後に隠れて見えないが、家具(テーブル)の画像(イメージV64)に重ねてイメージV62を表示することで、人H61(乳児)の存在を認識させることができる。さらに、要素情報の受信時に、基準位置情報に基づいて定められた視点から見える景色(撮像して取り込まれた画像や他のアプリで取得された画像など)を追加して表示部44に表示する。例えば、
図23に示すように、その他の家具や窓などを表示してもよい。
【0109】
ステップS35の後、制御部41は、再びステップS34を行う。すなわち、制御部41は、前回のステップS34で受信した抽出要素の情報とは異なる時間に無線タグ10から送信された抽出要素の情報を受信する。そして、続くステップS35で、要素情報の合成表示を行う。このように、制御部41は、ステップS34,S35を繰り返すことで、抽出要素が刻々と移動する様子を表示部44に表示することができる。
【0110】
(本構成の効果)
以上のように、実施例6の表示システム1において、表示部44は、現実に存在する人や物の態様およびこれらの位置関係を、任意の視点で表示することができる。特に、任意の視点からでは家具などに遮られて見えない要素を、表示部44の表示によって仮想的に存在しているように示すことができる。このため、任意の視点で撮影するカメラとは異なり、死角であっても要素を認識することが可能となる。
【0111】
<実施例7>
実施例7の表示システム1は、情報端末40の表示制御の内容が実施例1と異なっている。これら以外の構成は実施例1と同様であるため、実施例1と同様の構成には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0112】
(表示システム)
実施例7の表示システム1は、倉庫内などにおける物品の位置特定を支援する表示システムである。表示システム1は、倉庫内などにおける位置特定対象の要素(物品)を示す情報(要素情報)を、情報端末40に表示する。
【0113】
無線タグ10は、倉庫内などの特定エリア内に配置される物品(書籍、棚など)に取り付けられている。
図25に示すように、無線タグ10は、その無線タグ10を特定する識別記号(P71など)に対応付けて、要素情報を記憶している。例えば、要素情報は、要素が書籍である場合、タイトル、サイズ、特定コードなどである。特定コードは、書籍を特定するためのコードであり、例えばJANコードなどである。サイズは、書籍の厚さや形状などの外観を表す情報である。
【0114】
(情報端末の表示処理)
実施例7の情報端末40の表示制御について説明する。実施例7の情報端末40の表示制御は、実施例1と同様に、
図4に示す流れで実行される。ここでは、情報端末40を用いた、倉庫内において、書籍を対象とした表示制御について説明する。制御部41は、実施例1と同様に表示アプリを起動させることで、
図4の処理を開始する。
【0115】
制御部41は、表示アプリを起動させ(ステップS21)、その後、基準位置(基準位置情報によって特定される位置)を決定する(ステップS22)。基準位置情報は、任意の書籍の位置情報を用いる。例えば、書籍B71に取り付けられた無線タグ10で取得する位置情報(
図25では北緯X71、東経Y71、高さZ71)を用いる。例えば、ユーザは、倉庫内で探し出したい書籍が書籍B71である場合に、操作部45を操作して書籍B71を選択することで、書籍B71に対応する位置情報が基準位置情報として決定される。表示部44に表示される書籍情報(タイトルなど)の一覧から選択することや、書籍情報(タイトルなど)を入力して選択することなどによって、任意の書籍B71を選択することができる。
図24は、倉庫内の所定の本棚を所定の位置からから見た風景の一例であり、表示部44に表示される画像も同様の風景となる。
【0116】
続いて、制御部41は、実施例1と同様に、データ要求指令を、基地局20を介してサーバ30に送信する(ステップ23)。データ要求指令では、例えば、基準位置から所定距離(1mなど)以内の領域にある要素に関する情報(要素情報、位置情報)を、送信するように指示する。
【0117】
サーバ30は、実施例1と同様に、データ要求指令を受信すると、要素情報を抽出する。例えば、
図25に示すようなデータが、基準位置の近傍に位置する各要素(抽出要素)のデータとして抽出される。例えば、識別記号B71に対応付けられる書籍B71は、書籍B71に取り付けられた無線タグ710Aの情報によって特定される。以下、無線タグ710A,710Bの構成は無線タグ10と同様の構成であるものとする。無線タグ710Aには、識別記号B71に対応付けられた要素情報(タイトル「BT1」、サイズ、特定コード「BC1」)および位置情報(北緯X71、東経Y71、高さZ71)が記録されている。同様に、識別記号B72に対応付けられる書籍B72は、書籍B72に取り付けられた無線タグ710Bの情報によって特定される。識別記号B73に対応付けられる書籍B73は、書籍B73に取り付けられた無線タグ710Cの情報によって特定される。
【0118】
続いて、制御部41は、基地局20との無線通信によって、抽出要素の要素情報および位置情報を受信する(ステップS24)。すなわち、
図25に示す抽出要素に関する情報を受信する。
【0119】
続いて、制御部41は、
図26に示すように、ステップS24で受信した抽出要素の要素情報を合成して表示部44に表示する(ステップS25)。制御部41は、ステップS22で決定した基準位置情報によって特定される基準位置(倉庫内における書籍B71の位置)を基準として、抽出要素の要素情報に基づく表示を行う。例えば、制御部41は、基準位置から所定距離だけ水平方向に離れた位置を視点とするように、要素の態様および位置関係を表示部44に表示させる。
【0120】
要素の態様の表示は、実施例1と同様に、対応する位置情報に基づいて行われる。例えば、書籍B71に対して、
図26に示すように、イメージ(モデル画像)V71~V73を表示部44に表示する。識別記号B71が書籍B71(無線タグ710Aが取り付けられている物品)と紐付けられているため、イメージV71を書籍のイメージとして表示部44に表示される。イメージV71は、要素情報の「サイズ」に基づいて、厚さや外観(形状)を反映して表示される。イメージV71の表示位置に合わせて、棚のイメージV74を表示してもよい。棚のイメージV74の形態は、書籍のイメージV71~V73の形状等に合わせて自動的に表示しもよく、予め登録されている形状で表示してもよく、撮像して取り込まれた画像や他のアプリで取得された画像などに応じて表示してもよい。また、棚の他に、その他の物品(家具や窓)などを表示してもよい。また、実物の棚にも無線タグが取り付けられており、この無線タグに記憶された要素情報(棚を特定する情報)および位置情報に基づいて、棚のイメージV74を表示してもよい。また、書籍B71が置かれている実際の棚の倉庫内における位置が分かるように、棚の識別番号や、棚の位置を示した地図なども表示部44に表示してもよい。
【0121】
同様に、書籍B72,B73、およびその他の書籍に対して、
図26に示すように、イメージ(モデル画像)V72,V73を表示部44に表示する。ここで、例えば、センサ15に含まれるジャイロセンサなどによって書籍の姿勢(縦置き、平置きなど)が検出されて位置情報として無線タグに記憶されていてもよい。これにより、例えば、書籍B73のイメージV73として、平置き状の書籍として表示してもよい。また、イメージV71の近傍に矢印など表示して、書籍B71に対応するイメージV71を視認し易くしてもよい。このような表示部44の表示により、ユーザは、倉庫内で探し出したい書籍(書籍B71)を、その他の書籍や棚などとの相対的な位置関係で特定することが可能となる。
【0122】
ステップS25の処理が終了すると、
図4の表示処理が終了する。
【0123】
(本構成の効果)
以上のように、実施例7の表示システム1において、表示部44は、特定エリア内で現実に存在する物品(書籍)の位置、形態、その他の物品との相対的な位置関係を表示することができる。そのため、特定エリア内における所望の物品を探し出し易くなる。
【0124】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1~7では、無線タグ10の位置情報をGPS通信部14によって取得したが、公知のその他の方法で無線タグ10の位置情報を取得してもよい。例えば、基地局20が無線タグ10と無線通信を行う際に受信する無線タグ10からの電波の強さに基づいて、無線タグ10の位置情報を算出する方法を用いてもよい。
(2)実施例1~3では、人の要素情報が記憶された無線タグ10を、腕時計型の装着物に取り付ける例を示したが、その他の所有物に取り付けてもよい。また、人の要素情報の特定方法として、無線タグ10の代わりに情報端末(携帯電話やスマートフォン)などを用いてもよい。すなわち、無線タグ10と同様の構成が情報端末に備えられていてもよい。
(3)実施例1,3~7では、表示媒体として、情報端末40(スマートフォンやタブレット端末などの携帯型情報処理端末)を例示したが、デスクトップ型のコンピュータなどその他の表示媒体であってもよい。
(4)実施例1~3,6において、人の要素情報として、任意の時刻における人の姿勢を含めるようにしてもよい。例えば、人に取り付けられる無線タグ10のセンサ15(加速度センサやジャイロセンサ)が搭載されており、これらセンサによって人の姿勢を検出してもよい。検出した姿勢は、記憶部42に随時記憶してもよい。
(5)実施例1~7において、無線タグ10は、要素情報を記憶していたが、要素情報を特定する簡易な情報のみが記憶されていてもよい。例えば、要素情報がサーバ30の記憶部に記憶されており、要素情報を特定する情報が無線タグ10の記憶部12に記憶されている構成であってもよい。要素情報を特定する情報は、例えば文字や数字などを組み合わせた文字列など、簡易な情報である。サーバ30は、無線タグ10から送信された要素情報を特定する情報に基づいて、読み出した要素情報を情報端末40に送信する構成である。
(6)実施例1~7において、無線タグ10は、受信信号に基づいて動作用電源を生成する構成であったが、接触式ICカードのように、外部から動作電源が供給される構成であってもよい。
(7)実施例1~7において、無線タグ10は、基地局20から送信指令を受信することで通信制御を行う構成であったが、送信指令の受信の有無に関わらず、常時、基地局20へ要素情報および位置情報を送信する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…表示システム
10,10A~10H,210B~210F,310A~310E,410A~410C,510A~510H,610A,610B,710A~710C…無線タグ(情報処理媒体)
11…制御部
12…記憶部
13…通信部
14…GPS通信部
15…センサ
20…基地局(取得部、移動情報受取部)
30…サーバ(取得部、移動情報受取部)
40…情報端末
41…制御部(基準位置決定部、要素抽出部)
42…記憶部
43…通信部
44…表示部
45…操作部
50…フロントガラス