(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】車両クレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/78 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
B66C23/78 E
B66C23/78 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020212071
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】10 2019 135 717.9
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520417377
【氏名又は名称】タダノ デマグ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Tadano Demag GmbH
【住所又は居所原語表記】Europaallee 2, 66482 Zweibruecken, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ウルバン クリスティアン モリッツ
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014209564(DE,A1)
【文献】国際公開第2019/004958(WO,A2)
【文献】特開2019-089626(JP,A)
【文献】実公昭16-006950(JP,Y1)
【文献】実開昭60-009896(JP,U)
【文献】実開昭53-008625(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0089925(US,A1)
【文献】米国特許第03125352(US,A)
【文献】米国特許第06142180(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/00-23/94
B66F 9/00-11/04
B60S 3/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両クレーン(1)であって、
長手方向軸(X)を有する下部キャリッジ(2)と、前記下部キャリッジ(2)上に配置され、鉛直軸(Z)を中心に回転可能な上部構造(5)
であって、伸縮式主要ジブ(6)が当該上部構造(5)上に水平寄せ可能な方式で配置されたものと、前記上部構造(5)上に配置され、前記伸縮式主要ジブ(6)に沿って延びる吊り上げケーブルを介して、荷物を昇降するためのフックに接続された吊り上げウインチと、を備え、前記下部キャリッジ(2)上に配置され
た1つのみの基体支持部(11)、
または、前記下部キャリッジ(2)上に、前記下部キャリッジ(2)の平面図に見られるように、前記下部キャリッジ(2)の前記長手方向軸(X)に対して対称的に位置合わせして配置された2つのみの基体支持部(11)を備え、前記下部キャリッジ(2)上に配置された少なくとも2つの側面支持部(12a、12b)を備え、前記基体支持部(11)および前記側面支持部(12a、12b)は、地面(U)に対して支持されることが可能であり、前記少なくとも2つの側面支持部(12a、12b)は、支持搬器(10a、10b)を用いて前記下部キャリッジ(2)上に、かつ前記下部キャリッジ(2)の前記長手方向軸(X)に対して対向してそれぞれ配置され
、各基体支持部(11)が、前記鉛直軸(Z)に関して少なくとも前記2つの側面支持部(12a、12b)に対して対向し、かつこれが前記長手方向軸(X)の方向にて見られるように配置され、前記上部構造(5)のための回転接続支持部(4a)が、前記下部キャリッジ(2)上に配置され、前記2つの支持搬器(10a、10b)が、前記回転接続支持部(4a)から離れて配置されることを特徴とする、
車両クレーン。
【請求項2】
前記長手方向軸(X)の方向にて見られるように、前記2つの支持搬器(10a、10b)が、前記回転接続支持部(4a)から少なくとも1.5mの距離で配置されることを特徴とする、
請求項1に記載の車両クレーン(1)。
【請求項3】
前記支持搬器(10a、10b)が、前記下部キャリッジ(2)上に変位可能および/もしくは枢軸旋回可能な方式で配置される、かつ/または、前記支持搬器(10a、10b)が、伸縮式であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の車両クレーン(1)。
【請求項4】
各基体支持部(11)が、前記鉛直軸(Z)と前記下部キャリッジ(2)の長手方向軸(X)との間に存在する長手方向平面(XE)内に配置されることを特徴とする、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の車両クレーン(1)。
【請求項5】
少なくとも1つまたは各基体支持部(11)が、前記下部キャリッジ(2)上に位置を固定する方式で配置されることを特徴とする、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の車両クレーン(1)。
【請求項6】
少なくとも1つまたは各基体支持部(11)が、前記下部キャリッジ(2)の下に配置されることを特徴とする、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の車両クレーン(1)。
【請求項7】
少なくとも1つまたは各基体支持部(11)が、基体搬器によって折りたたみ可能または枢軸旋回可能なように前記下部キャリッジ(2)上に配置されることを特徴とする、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の車両クレーン(1)。
【請求項8】
少なくとも1つまたは各基体支持部(11)が、水平軸を中心に折りたたみ可能であるように、または鉛直軸を中心に枢軸旋回可能であるように前記下部キャリッジ(2)上に配置されることを特徴とする、
請求項
7に記載の車両クレーン(1)。
【請求項9】
前記地面(U)に対して支援を提供するため、少なくとも前記一方または各基体支持部(11)が、前記車両クレーン(1)
の傾斜領域(F)を拡大させるために、垂直方向にまたは0~45°、好ましくは15~30°の領域の角度で垂線へと延在され得る
ものであり、前記傾斜領域(F)が、前記1つのみの基体支持部(11)または前記2つのみの基体支持部(11)と前記2つの側面支持部(12a、12b)との間に仮想的に形成されていることを特徴とする、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の車両クレーン(1)。
【請求項10】
前記2つの支持搬器(10a、10b)が、前記下部キャリッジ(2)の自由端部(E1、E2)の領域にて前記下部キャリッジ(2)上に配置されることを特徴とする、
請求項1~
9のいずれか一項に記載の車両クレーン(1)。
【請求項11】
前記下部キャリッジ(2)が、フロントフレーム(8a)およびリアフレーム(8b)で構成され、それらの間
にポット(4)が配置されて
おり、前記上部構造(5)が、前記ポット(4)上に取り付けられていることを特徴とする、
請求項1~
10のいずれか一項に記載の車両クレーン(1)。
【請求項12】
伸縮式主要ジブ(6)が、前記上部構造(5)上に水平寄せ可能な方式で配置されることを特徴とする、
請求項1~
11のいずれか一項に記載の車両クレーン。
【請求項13】
前記側面支持部(12a、12b)が、平面図に見られるように、前記下部キャリッジ(2)の外側輪郭から出発して1m超、好ましくは1.5m超に横方向に拡張可能であることを特徴とする、
請求項1~12のいずれか一項に記載の車両クレーン。
【請求項14】
前記基体支持部(11)が、平面図に見られるように、前記下部キャリッジ(2)の外側輪郭に対して、1.5m以下、好ましくは1m以下の距離のみ延在可能であることを特徴とする、
請求項1~13のいずれか一項に記載の車両クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向軸を有する下部キャリッジと、下部キャリッジ上に配置され、鉛直軸を中心に回転可能な上部構造と、を備え、下部キャリッジ上に配置された少なくとも1つの基体支持部と、下部キャリッジに配置された少なくとも2つの側面支持部と、を備える車両クレーンに関し、基体支持部および側面支持部は地面に対して支持されることが可能であり、該少なくとも2つの側面支持部は、支持搬器を用いて下部キャリッジ上に、かつ下部キャリッジの該長手方向軸に対して対向してそれぞれ配置され、2つのみの側面支持部は下部キャリッジに配置される。
【背景技術】
【0002】
車両クレーンの安定性は、その固定面およびその車両クレーンの質量によって大きく左右される。通常、生じた傾斜モーメントを確実に吸収し、およびその地点で地面へと当該モーメントの方向を確実に変更するため、車両クレーンの側面に位置づけられている積荷を持ち上げるといった少なくともこの場合、走行装置の幅によって予め定められている固定面は十分ではない。加えて、特に動的運動中の走行装置の可撓性によって、車両クレーンの安定性が危うくなるような制御不能運動が引き起こされる可能性がある。特に上記の理由から、設計によって決定されているその固定面は、概して変更され得、通常は横方向の支持部によって変更され得る。更には、設計によって規定されているクレーンの質量は、少なくとも1台のクレーンの重量を搭載することによってそれぞれの使用目的に合わせることが可能である。こうした場合における目的は、クレーンの重力の中心を維持することである。この重力の中心は、その固定モーメントが積荷によって変化する傾斜モーメントよりも常に高い状態であるよう、積荷を持ち上げている際に特定の領域内で変化する。
【0003】
WO2006/045609A1は、走行装置が備え付けられている下部キャリッジ、および下部キャリッジ上に配置され、主要ジブを有する上部構造を備える車両クレーンを開示している。下部キャリッジはフロントフレームおよびリアフレームを有し、これらフレーム間にて、少なくとも下部キャリッジにおいて部分的にポットが配置されている。主要ジブは、上部構造に関節接合型方式で取り付けられ、かつ水平寄せ可能な方式でこれに支持されている。上部構造は、下部キャリッジのポットに、主要ジブを回転可能に取り付けている。その車両クレーンの固定面を増加させるために、下部キャリッジは支持部によりその地点で地面に対して支持されることが可能である。この目的のため、車両クレーンがその長手方向に対して支持されることが可能であることから、支持部はそれぞれの場合で下部キャリッジのフロントフレームおよびリアフレーム上に設けられている。更には、4つの支持搬器全てはそれぞれが1つの支持部を有するポットにて枢軸旋回可能に関節接合されており、当該支持搬器の配置は、使用時にはX形状にて外部で枢軸旋回され、これにより車両クレーンを特に横方向方式で支持することができる。
【0004】
多種多様な構成部品といった理由から、安定性の増加は、車両クレーンの重量の必然的な増加と関連する。特に、その油圧部品と共に複数の支持搬器は、建造および保守点検のための支出および費用の価格を高騰させている。加えて、支持搬器の配置および枢軸旋回可能な構成には、適切な設置スペースが必要とされる。そのため、特に車軸がコンパクトに配置されていない場合には車両クレーンの長さが増加する。
【0005】
更には、特許文書であるUS4723667は、下部キャリッジに、支持部の前側対、支持部の中央対および支持部の後側対を有する車両クレーンを開示している。この場合、支持部の中央対および後側対は、支持搬器によって横方向に延在され得る。車両クレーンに対する費用および重量を減少させるため、支持部の前側対は横方向に延在させることができず、支持部の後側対は中央支持部と同じくらいの距離では延在され得ない。
【0006】
公開文書であるDE3143801A1はまた、伸縮自在で延在可能かつ折りたたみ可能なジブを備える、更なる車両クレーンを開示している。ジブは、鉛直軸を中心に枢軸旋回できるような方式で回転接続することで、下部キャリッジ上に取り付けられた上部構造に水平寄せして取り付けられている。車両クレーンを操作する目的のため、下部キャリッジは2つの側面支持部と、2つの基体支持部を用いて地面に支持されることが可能である。2つの側面支持部は、下部キャリッジの長手方向に見られるように、回転接続部に隣接した右と左の下部キャリッジに関節接合されている。位置を固定された2つの基体支持部のうち一方は、それぞれの場合で、前側端部ならびに下部キャリッジおよび下部キャリッジの下の後側端部に配置されている。
【0007】
更には、特許公開文書であるDE3635328A1は、車両クレーン、2対の側面支持部によって支持されることが可能な下部キャリッジを開示している。第1の対は、下部キャリッジの一方の端部に配置され、第2の対は下部キャリッジに提供されている上部構造のための回転接続部と隣接している。長手方向に見られるように、第1の対および第2の対は回転接続部の上流および下流に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO2006/045609A1
【文献】US4723667
【文献】DE3143801A1
【文献】DE3635328A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の目的は、支持部によって安定性が増加されているにも関わらず、その全体が従来のものより軽量で、かつ費用効果がより高い状態となるように、問題となっている種類の車両クレーンおよびこうした車両クレーン用の下部キャリッジを更に開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は、請求項1の特徴を含む車両クレーンにおいて本発明に基づいて達成される。従属請求項2~15は、本発明の有利な実施形態を記載する。
【0011】
本発明に基づいて、長手方向軸を有する下部キャリッジと、下部キャリッジ上に配置され、鉛直軸を中心に回転可能な上部構造と、を備え、下部キャリッジ上に配置された少なくとも1つの基体支持部、下部キャリッジ上に配置された少なくとも2つの側面支持部を備える車両クレーンの場合であって、基体支持部および側面支持部は地面に対して支持されることが可能であり、少なくとも2つの側面支持部は、支持搬器を用いて下部キャリッジ上に、かつ下部キャリッジの長手方向軸に対して対向してそれぞれ配置され、少なくとも1つの更なる基体支持部は、鉛直軸に対して少なくとも2つの側面支持部に対して配置され、2つのみの側面支持部は下部キャリッジ上に配置され、その安定性にも関わらず軽量かつ費用効果がより高い設計が得られる。これは、各基体支持部が鉛直軸に対して、かつ長手方向軸の方向にて見られるように、少なくとも2つの側面支持部に対して対向して配置され、上部構造の回転接続支持部が下部キャリッジ上に配置され、かつ2つの支持搬器が回転接続支持部から離れて配置されるという事実により、基体支持部および側面支持部を用いて増加される。本発明の核心は、支持搬器を用いて側面支持部の数を総じて2つまでにそれぞれの場合にて減少させた状態としている点である。特に短尺の車両クレーンの場合、こうした点から最大量の設置スペースが回転接続支持部の領域にて得られることが可能である。
【0012】
特に有利な方式で規定され、用語「離れて」の定義は、長手方向軸の方向にて見られるように、2つの支持搬器が回転接続支持部から少なくとも1.5mの距離で配置されていることを示す。
【0013】
本発明に関連して、側面支持部と基体支持部の間には相違点が生じる。以下はこれらの用語の選択を通じて表現されるものである。
【0014】
側面支持部は、典型的には車両クレーンに設けられており、これにより車両クレーンのいわゆる傾斜領域を拡大されることが可能な、横方向に延在可能な支持部である。側面支持部の横方向の拡張性は、当該支持部が支持搬器を用いて下部キャリッジに接続されるといった事実によって通常得られる。この場合、支持搬器は下部キャリッジに変位可能および/または枢軸旋回可能な方式で配置され、更には、これはまた伸縮式でもあり得る。したがって、側面支持部および関連の支持搬器について、1m超、好ましくは1.5m超の横方向の拡張性は、平面図にて見られるような下部キャリッジの外側輪郭から出発しており、これは車両クレーンの傾斜領域の望ましい拡大を得るために獲得される。これは、側面支持部が対応する設置サイズを有し、それにより下部キャリッジの領域にて対応する設置スペースを必要とし、対応する重量を含むといった事実に関連している。
【0015】
側面支持部とは対照的に、基体支持部は設置サイズがより小さく、したがって車両クレーンの傾斜領域を拡大するという点ではその貢献を側面支持部よりも極めて小さくすることができる。ただし、この目的のため、基体支持部は側面支持部よりもより小型かつ軽量であるという利点を有する。ここから、こうした基体支持部は位置を固定する方式で下部キャリッジの上にもしくはその下に配置されるか、または相対的に短い基体搬器のみによって下部キャリッジに支持されることになる。結果として、仮に基体支持部が横方向または後側もしくは前側に枢軸旋回または折りたたまれた場合に、短く、横方向のみの傾斜領域の拡大が得られる。基体支持部は平面図にて見られるように、1.5mのみ、好ましくは1mのみの小間隔にわたってのみ、下部キャリッジの輪郭に対して延在され得る。通常、下向きに延在可能な基体支持部の下部末端は、この間隔では参照点として機能する。
【0016】
ここから得られた利点は、構築および保守点検にかかる経費および費用における減少と合わせて、車両クレーンの元々の下部重量に見られ得る。加えて、2つの支持搬器のみに対し個別に減少することで、例えばモータおよび/または更なる構成部品の導入に使用され得る設置スペースの制限が取り払われる。
【0017】
同時にまたは代替的に、車両クレーンは既知の設計よりも短い長さを有する必要がある。この長さは、重量の減少およびより良好な操作性に追加的に貢献している。事実、この解決法は下部キャリッジそれ自身が剛性のある支持搬器として使用可能であるという知識に基づいている。下部キャリッジのうち少なくとも1つの基体支持部および2つの側面支持部によって、下部キャリッジの長手方向軸に対して交差するように対応する安定性を得ることが既に可能である。長手方向軸に対し、ある角度を出力可能である2つの支持搬器は、下部キャリッジの長手方向軸の回りで、安定性を確実なものとするのに十分である。
【0018】
代替的には、基体支持部および側面支持部はまた、油圧シリンダ以外の動作機構によって地面の方向で延在し、地面の下部キャリッジを支持する構造物でもあり得る。地面への接続もまた実現可能である。
【0019】
基礎的な発明思想による特定の好ましい開発に従って、支持搬器は、下部キャリッジ上に配置された支持筐体に対し、変位可能および/または枢軸旋回可能であるような方式でフロントフレームまたはリアフレームに配置され得る。更には、支持搬器はもう一方の内部にて一方を伸縮する。移動可能な構成は、時に枢軸旋回可能な構成に比べ、車両クレーンでの横方向の張出しが少ない。これは、格納状態では、変位可能な構成は走行装置の横方向領域間でのほぼ完全な収納が可能であることに因る。したがって、それぞれの場合において少なくとも1つの基体支持部を有する支持搬器は、車両クレーンの支持位置から移動位置へと変位可能であり、移動位置にて個別に実現可能である最も小型の領域を得るために後退状態にすることができる。
【0020】
特に好ましい方式では、この発明の領域内に記載されている基体支持部および側面支持部は、シリンダの長さの、特に油圧との適合性といった理由により、その地点にて地面との隣接摩擦接続を確立するため、伸縮式の支持シリンダであり得る。車両クレーンは、例えば道路にて駆動され得る移動式クレーンまたはオールテレーン(AT)クレーンなどの種々の設計にて製造され得る。
【0021】
本発明は、1つのみの基体支持部を下部キャリッジ上に配置可能であるということを提案する。それに対して代替的には、2つのみの基体支持部は下部キャリッジ上に配置され得る。したがって、支持搬器の2つのみの側面支持部を組み合わせ、その地点にて地面の基体支持部および側面支持部の実質的に剛性である、合計で3つまたは4つの接触面によって車両クレーンの傾斜保護が得られる。この場合、剛性は典型的なバネ取り付けされた走行装置との比較について言及し、これを用いることで、前述の場合に関して車両クレーンが可動方式で地面上に静止する。基体支持部および側面支持部全体の数を厳格に減少させることで、可能な傾斜に対して十分な安定性を同時に確保しつつ、車両クレーンの重量を有利に減少させることができる。
【0022】
とはいえ、2つの基体支持部を配置する場合、これらの支持部は例えば、下部キャリッジの前側または後側に共に配置され得る。好ましくは、下部キャリッジに配置された個々の基体支持部または2つの基体支持部は、下部キャリッジの鉛直軸と長手方向軸との間に存在する長手方向平面内にそれぞれ配置されることが可能である。これは本質的には、個別の基体支持部または互いに離れて位置している2つの基体支持部が次に、中央に位置づけられた長手方向軸、好ましくは中心に対して一方は後に、もう一方は約+/-400mmの片寄りにて下部キャリッジの長手方向に相対的に中心寄りに配置されていることを意味する。したがって、個々の基体支持部または2つの基体支持部および回転接続支持部の中心に特に位置づけられた鉛直軸は共通線を形成する。この位置合わせにより、下部キャリッジの長手方向と交差する安定性に対して実現可能となる、最大に均衡が取られた挙動を生成する。
【0023】
好ましくは、1つのみの基体支持部または2つのみの基体支持部は、下部キャリッジ上に配置されると規定する。
【0024】
2つのみの基体支持部の場合、これらは下部キャリッジの平面図にて確認されるように、下部キャリッジの長手方向軸に対して対称的に位置合わせされる。
【0025】
概して、本実施形態における車両クレーンは次に、3つまたは4つの基体支持部および側面支持部を有する。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つの基体支持部は、下部キャリッジに位置を固定する方式で配置される。これにより、下部キャリッジの少なくとも1つの基体支持部が次いで例えば横方向に、可動方式で延在され得ないことから、通例の2つの支持搬器が削減可能であるという点で、費用削減および重量減少に関して更なる簡素化が可能となる。この場合、1つまたは複数の基体支持部が下部キャリッジ上に配置され、好ましくは下部キャリッジの下に配置される。この場合、典型的には下向きに延在可能である基体支持部の下部端部は、参照点としても機能する。
【0027】
有利な方式では、少なくとも1つまたは各基体支持部は、基体搬器を用いて折りたたみ可能または枢軸旋回可能となるように下部キャリッジ上に配置されると規定する。望ましい小型構成は、上記または相対的に短い基体搬器によって得られる。この場合、少なくとも1つまたは各基体支持部は、水平軸を中心に折りたたみ可能か、または鉛直軸を中心に枢軸旋回可能となるように下部キャリッジ上に配置される。
【0028】
車両クレーンの傾斜領域はまた、地面に対する支持を提供するための少なくとも1つまたは各基体支持部が、垂直方向に、または0~45°、好ましくは15~30°の領域の角度で垂線に延在され得るという事実によって拡大され得る。結果として、典型的には基体支持部の下部端部に固定されている支持プレートは、地面に接触状態にある下部キャリッジの重力の中心から更に離れた位置へ移動する。
【0029】
前述事項に関連して、仮に2つの支持搬器が下部キャリッジの自由端部の領域にて位置づけられている場合は特に有利であると考えられている。この接続に関して下部キャリッジの長手方向にて確認されるように、この領域は、前側端部または後側端部から、それぞれの場合にて1m内側までの領域であると考えられている。下部キャリッジはまた、その搭載部分に関しても理解されている。したがって、下部キャリッジの前側端部上に取り付けられた運転席は、下部キャリッジのせいと見なされるべきではない。
【0030】
好ましい実施形態では、下部キャリッジはフロントフレームおよびリアフレームからなり、この間にポットが配置されている。ポットは回転接続支持部を搭載する。
【0031】
得られた利点は、この局面に関連する対応する記述に関して重複参照を避ける目的で、本発明に基づいた車両クレーンと共に既に説明されている。
【0032】
本発明は特に、伸縮式主要ジブが水平寄せ可能な方式で配置される上部構造の、車両クレーンに関して好適である。
【0033】
本発明の代表的な実施形態は、以下の図面の簡単な説明によってより詳細に説明されることだろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】概略的な透視図にて、先行技術による車両クレーンを表す。
【
図2】支持位置に位置づけられた支持搬器を有する車両クレーンのための、発明の下部キャリッジの上面概略図を表す。
【
図3】支持位置から移動位置へと変更された支持搬器を有する、
図2の下部キャリッジの変形していない別の図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、先行技術からの、道路上を移動可能である車両クレーン1の概略図を示す。車両クレーン1は、この場合での例として、3つの走行装置車軸3a、3b、3cを伴う走行装置3を有する下部キャリッジ2を備える。下部キャリッジ2の長手方向軸Xに対して交差し、かつこの点で下部キャリッジ2の横軸Yと平行に延在し、この例示によれば直接には明示されていないこれらの走行装置車軸3a、3b、3cは、長手方向軸Xに沿って前後に配置される。走行装置車軸3a、3b、3cの反対側の端部は、それぞれの場合で少なくとも1つのゴムタイヤ車輪が回転可能に配置されている。これにより、車両クレーン1は地面Uにて可動であるように支持されている。ここでは直接確認できないが、更なる
図2および
図3にて確認可能であるように、下部キャリッジ2はポット4を有する。この上に上部構造5が備え付けられ、上部構造5は鉛直軸Zを中心に回転可能である。単純に例として、ポット4は1つの前側走行装置車軸3aと、残り2つの後側走行装置車軸3b、3cとの間に位置づけられる。ここに例示されていることとは相違するが、下部キャリッジ2はまた、2つのみまたは3つ超の走行装置車軸3a、3b、3cを当然有することもできる。次いでポット4は、3つの走行装置車軸3a、3b、3cのうち2つの間に、それに対応する好適な方式で位置づけられる。更には、伸縮式主要ジブ6は上部構造5上に配置され、当該主要ジブの状態は実質的に例示中では縮小されているこの場合においては、基礎筐体へと収納されている。一方でこれに対してかつ互いに対して変位され得る内部筐体は、基礎筐体内部に、対応する格納する方式にて配置される。主要ジブ6は、この場合にてのみ示される、少なくとも1つの水平寄せシリンダ7を用いて、実質的な水平軸を中心に水平寄せするように上部構造5の上に上向きに支持される。ここで例として表されている実施形態の上部構造5は、運転室5aを有する。
【0036】
図2は、車両クレーン1用の発明の下部キャリッジ2、または発明の下部キャリッジ2へと格納されている車両クレーン1を示す。この場合、走行装置車軸3a、3b、3cの数およびポット4の位置はまた、例示目的のために単純に例として選択されている。この場合ではより詳細に例示されていない、車両クレーン1および/または下部キャリッジ2の更なる構成部品は、本実施形態および
図1に既に示されている配置に対応させることが可能である。特にこの場合、格納された状態であることが原因で視認不可能または容易に視認不可能な領域に加えて、単純な概略上面図に縮小されている、本発明に基づく下部キャリッジ2の図を理由として、本発明に本質的である機能はより容易に視認可能である。
【0037】
下部キャリッジ2は、フロントフレーム8aおよびリアフレーム8bを有する基礎フレームワーク8を備える。ポット4は、フロントフレーム8aとリアフレーム8bの間、または基礎フレームワーク8中の少なくとも部分的に配置されることが確認可能である。したがって、ポット4は基礎フレームワーク8の一部を形成し、フロントフレーム8aおよびリアフレーム8bは、長手方向軸Xに沿って互いに対向してこれに接続されている。
【0038】
ここで表されているものに対し、ポット4がフロントフレーム8aおよび/またはリアフレーム8b上に搭載されることも実施可能であり、当該ポットがフロントフレーム8aおよび/またはリアフレーム8bに少なくとも部分的に配置することも実施可能である。本実施形態は、ポット4がフロントフレーム8aとリアフレーム8bの間に配置されているという特徴によって対象として含まれることも意図している。
【0039】
ポット4は、鉛直軸Zの方向で上方端部にて、通常は回転接続に対応し、ここではより詳細には例示されていない、上部構造5に対する円周方向の回転接続支持部4aを有する。この場合では、基礎フレームワーク8の一部分であり得るベアリングブロック9は、リアフレーム8bの自由端部E2の領域にて配置されている。ここで示される本実施形態にて、ベアリングブロック9に、またはベアリングブロック9上に支持されている2つの支持搬器10a、10bは、直線上に格納可能および延在可能であるような方式でベアリングブロック9上に配置されている。この場合、両方の支持搬器10a、10bはその支持位置にて位置づけられており、この支持搬器は、延在状態にて下部キャリッジ2の横軸Yに関して平行に延在する。
【0040】
ここで示されている本実施形態では、下部キャリッジ2は概して、1つの基体支持部11および2つの側面支持部12a、12bを備え、それぞれの場合では、1つの側面支持部12a、12bがその2つの支持搬器10a、10bのそれぞれの自由端部の領域にて配置されている。具体的には、側面支持部12aは、
図2の図に対して右側の支持搬器10a上に配置されているが、一方で側面支持部12bはこの図に対して右側の支持搬器10b上に固定されている。この場合では、更なる基体支持部11はフロントフレーム8a上に配置されている。代替的には、2つの基体支持部11は、より詳細には示されていない方式にて、基礎フレームワーク8上に配置されることが可能であり、次いでフロントフレーム8aおよび/またはリアフレーム8b上に共に、または互いに離れてのどちらかで位置づけられる。それぞれの場合において、1つの基体支持部11はフロントフレーム8a上に配置され、更なる基体支持部11がリアフレーム8b上に配置される場合には、これらの支持部は好ましくは、長手方向軸Xに沿って、または少なくともその領域の位置へと向けられ得る。例えば鉛直軸Zに平行に延在する基体支持部11および側面支持部12a、12bは、より詳細には示されていない方式にて、油圧的に長さが変位可能である。これにより、地面Uに対し、走行装置3に加えて下部キャリッジ2がこれらの支持部によって支持されることが可能であるように垂直方向に格納可能および延在可能である。長手方向に移動可能であるこうした場合における支持搬器10a、10bの構成とは対照的に、より詳細には示されていない方式にて、こうした基体支持部11および側面支持部12a、12bは、例えば基礎フレームワーク8に枢軸旋回可能に配置され得る。前述の組合せは、同様に実現可能である。それぞれの場合で、支持搬器10a、10b上に配置された側面支持部12a、12bは、前述のとおりにすることで、基礎フレームワーク8に近接する移動位置と、それとは対照的な基礎フレームワーク8から離れた支持位置との間で変位され得る。移動位置では、側面支持部12a、12bは基礎フレームワーク8に可能な限り近接して位置づけられ、車両クレーン1が自由に可動できるように地面Uから引き上げられる。
【0041】
図2(および
図3も同様)に示されている支持搬器10a、10bの位置は、単純に例として選択されており、代替的には、例えばフロントフレーム8aの自由端部E1の領域にて位置づけられることも可能である。ただしその一方で、基体支持部11は次いでリアフレーム8b上に位置づけられ得る。基本的には、支持搬器10a、10bは、ポット4または回転接続支持部4aの領域の外側に常に位置づけられ、特に、以下で詳細に記載される下部キャリッジ2の通路Kの外側に位置づけられる。
【0042】
この点では上面図平面に対して垂直である長手方向平面XEは、下部キャリッジ2の鉛直軸Zと長手方向軸Xとの間に存在する。好ましくは、少なくとも1つの基体支持部11はこの長手方向平面XE内部に配置され得、その中に延在可能である。更には、ポット4の中心に位置づけられた鉛直軸Zおよび下部キャリッジ2の長手方向軸Xに対して直交して延在している下部キャリッジ2の横軸Yは、その間の横方向平面YEに存在している。この点において、その横方向平面YEは、この場合に示されている上面図に対して同様に垂直である。したがって、鉛直軸Zは長手方向平面XEと横方向平面YEとの間の区域に沿って正確に延在する。フロントフレーム8aに面しているポット4または回転接続支持部4aの領域上に、およびリアフレーム8bに面しているポット4または回転接続支持部4aの領域上にそれぞれの場合において接線方向に存在する2つの接平面T1、T2は、横方向平面YEと平行に延在している。2つの接平面T1、T2は、上にて既に記載された通路Kをその間に含む。本発明に基づく2つの支持搬器10a、10bは、この通路Kの外側に本質的には配置されている。
図2および
図3の単に代表的な図に関して、2つの支持搬器10a、10bは当該通路Kから遠く離れて存在する。これとは対照的に、この支持搬器はまた、示されてはいない方式で、通路Kに近接して移動される方式で当然配置され得る。これらは通路Kの外側に常に位置づけられている。
【0043】
フロントフレーム8aの領域に位置づけられた基体支持部11と、延長された支持搬器10a、10b上のリアフレーム8bの後側領域に位置づけられた2つの側面支持部12a、12bとの間で、車両クレーン1に、発生した傾斜モーメントに対する安定性を付与する仮想の三角形の傾斜領域Fが形成される。これは使用中、特に積荷を持ち上げ、これを操縦する際に必要となる。本発明に基づく2つのみ存在する支持搬器10a、10bを理由として、追加の支持搬器に対する他の通常の設置領域を削減することは、例えばモータを取り付けるためといった、基礎フレームワーク8にて利用可能な設置スペースが非常に多く存在していることを意味する。
【0044】
好ましくは、少なくとも1つの基体支持部11は変位不可能であり、この点では基礎フレーム8上に位置を固定する方式で配置されている。当然、この配置は、この少なくとも1つの基体支持部11のうち、その鉛直方向のまたは傾斜した延長部を含まない。この傾斜した延長部を理由として、更に拡張された車両クレーンの傾斜領域を得ることができる。この理由は、この場合、地面に対して支持を提供するためのそれぞれの基体支持部11は、垂線に対して0~45°超、好ましくは15~30°の領域の角度で延在されるためである。その結果、典型的には基体支持部11の下部端部に固定されている支持プレートは、地面Uと接触状態にある下部キャリッジ2の重力の中心から更に離れた位置に移動する。
【0045】
ただし代替的には基体支持部11の少なくとも1つは、例えば比較的短い追加の基体搬器を用いて、以下により詳細には示されていない方式で、下部キャリッジ2の基礎フレームワーク8へも接続可能である。この少なくとも1つの基体搬器は、鉛直軸または水平軸を中心に枢軸旋回可能な方式で関節接合可能であり、次いでこれは、少なくとも1つの基体支持部11が基体キャリッジにより有利に変位可能であることを意味している。特に、下部キャリッジ2上、とりわけそのフロントフレーム8aまたはリアフレーム8b上の2つの基体支持部11を代替的に配置する場合では、上記のように、傾斜領域Fの拡大および同時に基体支持部11を変位可能なように構成するための単純な構造といった点で有利となり得る。フロントフレーム8aおよびリアフレーム8b上に少なくとも2つの基体支持部11が共に配置されていることによって、別の三角形の傾斜領域Fは拡張されて不等辺四辺形を形成することが可能であり、それによって、例えば回転および/または屈曲が少ないといった、とりわけ向上された下部キャリッジ2の変形特性を得ることができる。折りたたみ状態または枢軸旋回状態では、下部キャリッジ2の平面図に見られるように、2つのみの基体支持部は次いで、下部キャリッジ2の長手方向軸Xに対して対称的に位置合わせされる。
【0046】
図3は、支持搬器10a、10b(移動位置)が指示された矢印の方向でベアリングブロック9へとここでは格納されている、
図2の視点を示す。この目的のため、これらの支持搬器は地面Uに実質的に平行に延在している平面にて、互いを通って横方向に摺動することが確認されるであろう。代替的には、ここで示されていない一実施形態では、2つの支持搬器10a、10bは互いに対して同軸上に延在することができる。ただしこれは、格納状態にて可能である最も小型のサイズを得るためにベアリングブロック9に対してその支持長さを減少させ、および/または全体的に短い支持搬器10a、10bの設置長さを必要とする。支持搬器10a、10bの好ましくは連続的な線形移動性によって、必要な場合には、車両クレーン1の安定性に対し、それぞれの要件に可能な限り適合させることを可能とするために、全体として傾斜領域Fの形状は変化し得る。
【0047】
本発明の、支持搬器10a、10bを2つのみへと減少するというのは、主要支持搬器が搬送され、かつ保守点検にかけられなければならない数が少数になることを意味する。これはとりわけ有利な重量減少に寄与する。したがって、更なる支持搬器を接続するための対応するベアリングブロックを削減することで得られた設置スペースは、例えば、下部キャリッジ2の長さを減少させるために、ならびに/または車両クレーン1の現存するおよび/もしくは新規の構成部品を収容するために使用され得る。
【0048】
前述の代表的な実施形態に示される下部キャリッジ2は、フロントフレーム8a、ポット4およびリアフレーム8bから構成され、ポット4は回転接続支持部4aを搭載している。根本的には、下部キャリッジ2は連続基礎フレーム8を有することも実現可能であり、その上にはポット4が取り除かれた状態で回転接続支持部4aが配置されている。
【符号の説明】
【0049】
1 車両クレーン
2 下部キャリッジ
3 走行装置
3a 走行装置車軸
3b 走行装置車軸
3c 走行装置車軸
4 ポット
4a 回転接続支持部
5 上部構造
5a キャビン
6 主要ジブ
7 水平寄せシリンダ
8 基礎フレームワーク
8a フロントフレーム
8b リアフレーム
9 ベアリングブロック
10a 支持搬器
10b 支持搬器
11 基体支持部
12a 側面支持部
12b 側面支持部
E1 自由端部
E2 自由端部
F 傾斜領域
K 通路
T1 接平面
T2 接平面
U 地面
X 長手方向軸
XE 長手方向平面
Y 横軸
YE 横方向平面
Z 鉛直軸