(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】非接触空中操作水栓
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20240826BHJP
E03C 1/05 20060101ALI20240826BHJP
H01H 35/00 20060101ALI20240826BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240826BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20240826BHJP
G01V 8/20 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G06F3/0488
E03C1/05
H01H35/00 C
H01H35/00 M
G09F9/00 366A
G09F9/00 313
G06F3/042 481
G01V8/20 P
(21)【出願番号】P 2020213331
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 真樹
(72)【発明者】
【氏名】片岡 健介
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-280501(JP,A)
【文献】特開2019-133284(JP,A)
【文献】特開2019-045916(JP,A)
【文献】特開2003-008964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0024082(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109117066(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0488
E03C 1/05
H01H 35/00
G09F 9/00
G06F 3/042
G01V 8/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも吐水と止水を含む複数の動作をする水栓ユニットと、
前記水栓ユニットの前記複数の動作のそれぞれを指示する複数の操作部が、それぞれ異なる領域に配置された面状の実体操作面を有する1つの実体操作パネルと、
前記実体操作面の
実像である
実像操作面を空中に結像して表示する1つの
実像表示装置と、
ユーザが前記実体操作パネルに接触することなく前記
実像操作面を操作した操作入力位置を検出する1つの操作入力位置検出装置と、
前記操作入力位置検出装置により検出された前記
実像操作面の前記操作入力位置に対応する前記実体操作面の前記操作部が操作されたと判定して前記水栓ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を有
し、
前記実像表示装置は、
一方面と他方面とを有する平面形状を有しており、
前記一方面に対向する位置に配置された前記実体操作パネルの前記実体操作面の実像である前記実像操作面を、前記他方面に対向する位置かつ前記実像表示装置に関して前記実体操作面と面対称の位置となる空中へ結像して表示し、
前記実体操作面は、
該実体操作面の法線方向に光軸を有するように発光しており、
前記一方面への前記光軸の入射角度は、0度より大きく90度未満に設定されており、
前記実体操作面の発光は、前記実像表示装置に近い位置から遠い位置となるに従って明るさが増すように発光している、
非接触空中操作水栓。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触空中操作水栓であって、
前記光軸の入射角度は、45度に設定されている、
非接触空中操作水栓。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の非接触空中操作水栓であって、
前記実体操作パネルと前記実像表示装置との間は、外部からの光を遮断する遮光部材にて囲まれている、
非接触空中操作水栓。
【請求項4】
請求項
1-3のいずれか一項に記載の非接触空中操作水栓であって、
前記操作入力位置検出装置は、前記操作入力位置検出装置に対して予め設定された位置となる2次元検出平面への前記操作入力位置を検出可能であり、
前記2次元検出平面が、前記実像操作面と一致する位置、又は前記実像操作面に対して平行かつユーザの側に所定距離だけ離れた位置、となるように前記操作入力位置検出装置が配置されている、
非接触空中操作水栓。
【請求項5】
請求項
1-4のいずれか一項に記載の非接触空中操作水栓であって、
前記実体操作パネルは、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイであり、
前記実体操作面は、前記制御ユニットに予め記憶された複数の画像パターンのうちいずれかが前記ユーザに選択されて表示される構成とされて、
複数の前記画像パターンは、前記実体操作パネルに表示された際の前記操作部の位置が前記画像パターンごとにそれぞれ異なる構成とされて、
前記制御ユニットは、選択された前記画像パターンと検出された前記操作入力位置とに基づいて、操作された前記操作部を判定して前記水栓ユニットの動作を制御する、
非接触空中操作水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水と止水を含む複数の操作を非接触で行うことができる非接触空中操作水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば公衆洗面所等において、衛生的な観点から不特定多数のユーザによる接触利用を避け、非接触で水栓操作を行う要望が高まっている。従来から、蛇口の下に手を差し出すと吐水が開始され、差し出した手を戻すと止水される、非接触の水栓が知られている。しかし、このタイプの水栓は、単純に吐水と止水を行うことしかできない。近年では、吐水と止水に加えて、例えば吐水量や吐水温度の選択(又は調整)など、複数の動作を非接触で操作することができる水栓の要望が高まっている。
【0003】
また、例えば特許文献1には、ユーザに(洗面台の)照明の操作スイッチと曇り止めの操作スイッチとが、空中に立体表示されているように見せかけ、立体表示された見せかけのスイッチを操作させることで、非接触で操作することができる(洗面台の)操作入力装置が開示されている。特許文献1に記載の操作入力装置では、ユーザの左右の目の視差を利用して各スイッチが空中に立体表示されているように見せかけている。そして各スイッチが立体表示された空中の位置である検出領域をユーザが指で操作したか否かを検出可能となるように、それぞれの検出領域に対応させて発光部と受光部とが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の操作入力装置では、操作スイッチの数が増えると、増えた操作スイッチに対応する検出領域を検出可能とするように、発光部と受光部の数を増やさなければならない。また操作スイッチの位置が変更された場合、当該操作スイッチが立体表示される位置が変更されて検出領域の位置が変わるので、操作スイッチの位置に合わせて発光部と受光部の位置を変更しなければならない。つまり、操作スイッチの数や、操作スイッチの位置が異なる種々の製品ごとに、発光部と受光部の数と配置を設計し直さなければならない。
【0006】
本発明は、このような点を鑑みて創案されたものであり、非接触で複数の動作を操作可能な非接触空中操作水栓であって、複数の動作に対応させた複数の操作部の数や操作部の位置が変更されても、操作部の数や位置に合わせて検出装置の数や位置を変更する必要がなく、設計の自由度が高い非接触空中操作水栓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の非接触操作水栓は次の手段をとる。
【0008】
すなわち、本発明の非接触空中操作水栓は、少なくとも吐水と止水を含む複数の動作をする水栓ユニットと、水栓ユニットの複数の動作のそれぞれを指示する複数の操作部が、それぞれ異なる領域に配置された面状の実体操作面を有する1つの実体操作パネルと、実体操作面の実像である実像操作面を空中に結像して表示する1つの実像表示装置と、ユーザが実体操作パネルに接触することなく実像操作面を操作した操作入力位置を検出する1つの操作入力位置検出装置と、操作入力位置検出装置により検出された実像操作面の操作入力位置に対応する実体操作面の操作部が操作されたと判定して水栓ユニットの動作を制御する制御ユニットと、を有する。
【0009】
上記構成によれば、1つの操作入力位置検出装置により複数の操作部を非接触で操作することができる。これにより、複数の操作部の数や位置が変更されても、操作部の数や位置に合わせて操作入力位置検出装置の数や位置を変更する必要がなく、設計の自由度を高めることができる。
【0010】
また、本発明の非接触空中操作水栓は、更に次のように構成されていても良い。実像表示装置は、一方面と他方面とを有する平面形状を有しており、一方面に対向する位置に配置された実体操作パネルの実体操作面の実像である実像操作面を、他方面に対向する位置かつ実像表示装置に関して実体操作面と面対称の位置となる空中へ結像して表示する。実体操作面は、実体操作面の法線方向に光軸を有するように発光しており、一方面への光軸の入射角度は、0度より大きく90度未満に設定されている。
【0011】
上記構成によれば、実像操作面を、実体操作面と実像表示装置との位置関係で自由に結像させることができる。これにより、実像操作面をユーザに近づけつつ、水撥ね等の生じやすい位置から実体操作面を適切に遠ざけることができる。
【0012】
また、本発明の非接触空中操作水栓は、更に次のように構成されていても良い。光軸の入射角度は、45度に設定されている。
【0013】
上記構成によれば、実像表示装置がより鮮明に実像操作面を表示することができる。
【0014】
また、本発明の非接触空中操作水栓は、更に次のように構成されていても良い。実体操作面の発光は、実像表示装置に近い位置から遠い位置となるに従って明るさが増すように発光している。
【0015】
上記構成によれば、実像操作面を全面に亘って一定の明るさで表示できる。
【0016】
また、本発明の非接触空中操作水栓は、更に次のように構成されていても良い。実体操作パネルと実像表示装置との間は、外部からの光を遮断する遮光部材にて囲まれている。
【0017】
上記構成によれば、実像表示装置に外部からの光を遮断して実体操作面の発光のみを入射することで、より鮮明な実像操作面を表示することができる。
【0018】
また、本発明の非接触空中操作水栓は、更に次のように構成されていても良い。操作入力位置検出装置は、操作入力位置検出装置に対して予め設定された位置となる2次元検出平面への操作入力位置を検出可能である。2次元検出平面が、実像操作面と一致する位置、又は実像操作面に対して平行かつユーザの側に所定距離だけ離れた位置、となるように操作入力位置検出装置が配置されている。
【0019】
上記構成によれば、実像操作面に沿った1つの2次元検出平面により、実像操作面の複数の操作部への操作入力位置をそれぞれ適切に検出することができる。
【0020】
また、本発明の非接触空中操作水栓は、更に次のように構成されていても良い。実体操作パネルは、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。実体操作面は、制御ユニットに予め記憶された複数の画像パターンのうちいずれかがユーザに選択されて表示される構成とされる。複数の画像パターンは、実体操作パネルに表示された際の操作部の位置が画像パターンごとにそれぞれ異なる構成とされる。制御ユニットは、選択された画像パターンと検出された操作入力位置とに基づいて、操作された操作部を判定して水栓ユニットの動作を制御する。
【0021】
上記構成によれば、実体操作面が予め記憶された複数の画像パターンを切り替えて表示されることで、非接触空中操作水栓を使用するユーザや使用場所に合わせて適切な操作面に切り替えることができる。これにより、非接触空中操作水栓の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】家庭の台所のシンクの水栓に、本発明の非接触空中操作水栓を適用した例を説明する斜視図である。
【
図4】
実像操作面と2次元検出平面との位置関係を示す左側面図である。
【
図5】
実像操作面と2次元検出平面との位置関係を示す正面図である。
【
図7】
図6の実体操作面を縮小表示した実体操作面の図である。
【
図8】
図6の実体操作面から操作部の配置を変更した実体操作面の図である。
【
図9】第1の実施形態の非接触空中操作水栓の構成を説明するブロック図である。
【
図10】第1の実施形態において、制御ユニットの処理(全体処理)の処理手順の例を説明するフローチャートである。
【
図11】第1の実施形態において、
図10に示すフローチャートにおける処理SN100(初期化処理)の詳細を説明するフローチャートである。
【
図12】第1の実施形態において、
図10に示すフローチャートにおける処理SA100(入力信号処理)の詳細の前半部分を説明するフローチャートである。
【
図13】第1の実施形態において、
図10に示すフローチャートにおける処理SA100(入力信号処理)の詳細の後半部分を説明するフローチャートである。
【
図14】第1の実施形態において、
図10に示すフローチャートにおける処理SB100(出力処理)の詳細を説明するフローチャートである。
【
図15】第1の実施形態において、
図14に示すフローチャートにおける処理SD100(開閉弁選択処理)の詳細を説明するフローチャートである。
【
図16】第1の実施形態において、
図10に示すフローチャートにおける処理SC100(画面選択処理)の詳細を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1-16を用いて説明する。以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。
【0024】
<第1の実施形態>
始めに、本発明の第1の実施形態に係る非接触空中操作水栓1について説明する。本実施形態に係る非接触空中操作水栓1は、
図1に示すように、家庭の台所90に取り付けられた湯水混合水栓として構成される。
【0025】
非接触空中操作水栓1は、吐水と止水、吐出する水の流量の調整、吐出する水の温度の調整、の3つの動作をする水栓ユニット50と、水栓ユニット50の動作を指示するための操作画面を表示する表示操作ユニット10と、表示操作ユニット10への操作に基づいて水栓ユニット50の動作を制御する制御ユニット30と、を有する。また、台所90は、シンク91と、蛇口92Aを有する水栓92と、シンク91の上方に位置する棚93と、を有する。
【0026】
水栓ユニット50は、
図1に示すように、水栓92の下方、かつ台所90内に配置されている。水栓ユニット50は、制御ユニット30から制御されて、水と湯を所定割合で混合した湯水を水栓92に送る。水栓92は、シンク91の後方に取り付けられて、その蛇口92Aがシンク91に対して円弧を描くように水平方向に回転できるように設けられている。これにより、水栓92は水の吐出位置を変化させることができる。
【0027】
表示操作ユニット10は、
図1に示すように、棚93の底面に組み付けられている。表示操作ユニット10は、
図2に示すように、水栓ユニット50の操作画面である面状の実体操作面11aを映す液晶ディスプレイ11と、実体操作面11aの
実像を液晶ディスプレイ11から離れた空中に結像する
実像表示装置12と、
実像表示装置12により結像された
実像操作面13と、を有する。表示操作ユニット10は、液晶ディスプレイ11と
実像表示装置12との間を外部からの光を遮断するように囲う遮光部材14を有する。この液晶ディスプレイ11が、本発明の「実体操作パネル」に相当する。
【0028】
液晶ディスプレイ11は、制御ユニット30からの制御信号に基づいて、実体操作面11aを発光表示させる構成とされる。液晶ディスプレイ11は、
図3に示すように、遮光部材14内で実体操作面11aを下方に向けるように配置されている。このため、実体操作面11aから生じる光は、その光軸11dを実体操作面11aの法線方向である下方に向ける構成とされる。実体操作面11aの輝度は、前方から後方に向かうほどより大きくなるように設定されている。
【0029】
実像表示装置12は、平面形状のミラー部材であって、所定の光源から
実像表示装置12に入射された光を、上記光源と面対称となる位置で結像させることができる。
実像表示装置12は、
図3に示すように、その上面12aが液晶ディスプレイ11に対向するように液晶ディスプレイ11の下方に配置されている。また、
実像表示装置12は、前方から後方に延びるにつれて液晶ディスプレイ11から遠ざかるように、液晶ディスプレイ11に対して前後方向に45度傾斜して配置されている。上記構成により、
図3に示すように、実体操作面11aから下方に延びて
実像表示装置12の上面12aに入射される光軸11dの入射角度θ1は、45度に設定されている。ここで、上面12aが、本発明の「一方面」に相当する。
【0030】
実像表示装置12は、実体操作面11aから入射された光を結像させて、下面12bに対向する位置かつ
実像表示装置12に関して実体操作面11aと面対称となる位置に
実像操作面13を表示させる。具体的には、
図3に示すように、実体操作面11aからの入射光を、
実像表示装置12の下面12bに対して45度の角度となるように前方に向けて反射させて結像させる。これにより、
実像操作面13は、
図2及び
図3に示すように、前方に面を向けるように表示される構成とされる。ここで、下面12bが、本発明の「他方面」に相当する。
【0031】
上記により、
実像操作面13は、
図1及び
図3に示すように、液晶ディスプレイ11に対して直交する向きかつ台所90の前に立つユーザUに面を向けるように設けられる。また、
実像操作面13は、上方の棚93の底面に設けられた液晶ディスプレイ11よりも低い位置に設けられる。これにより、液晶ディスプレイ11が台所90の表面や内部に設けられる構成と比べて、液晶ディスプレイ11をユーザUの作業位置や水の影響を受けやすい位置から適切に遠ざけると共に
実像操作面13をユーザUに近づけることができる。
【0032】
実体操作面11aと実像表示装置12との間は、上記遮光部材14により外部からの光を遮断される構成とされる。これにより、実像表示装置12に外部からの光が遮断されて実体操作面11aからの光のみが入射されることで、実像操作面13をより鮮明に表示させることができる。なお、実像表示装置12による実像の輝度は、所定の光源と実像表示装置12との間隔が大きくなるほど減少する。しかし、実体操作面11aは、上述したように、前方から後方に向かうにつれて、すなわち実像表示装置12に対して遠ざかる位置に向かうにつれて輝度がより大きくなる構成とされる。これにより、結像された実像操作面13の輝度を全面に亘って一定に保つことができる。
【0033】
表示操作ユニット10は、更に、ユーザUが
実像操作面13を操作入力した際の操作入力位置を検出する位置検出センサ15を有する。位置検出センサ15は、
図2及び
図3に示すように、左右方向に延びる棒状部材で、
実像操作面13の上方に設けられている。位置検出センサ15は、
図5に示すように、赤外線を照射する複数の発光部15aと、複数の受光部15bと、を左右方向に交互かつ一列に並ぶように有する。各発光部15aと各受光部15bとは、液晶ディスプレイ11の左右幅に合わせた長さで設けられる。この位置検出センサ15が、本発明の「操作入力位置検出装置」に相当する。
【0034】
各発光部15aは、
図3及び
図4に示すように、
実像操作面13に沿うように下方に向かって赤外線レーザ15cをそれぞれ照射する。このため、各発光部15aは、
図5に示すように、前方から見て
実像操作面13に重なる各赤外線レーザ15cによる2次元検出平面15dを形成する。この2次元検出平面15dが、位置検出センサ15の検出領域とされる。2次元検出平面15dは、
図4に示すように、左右方向から見て
実像操作面13から平行かつ前方にΔLだけ離れた位置となるように設定される。本実施形態においては、ΔL=0とされ、すなわち、
実像操作面13と2次元検出平面15dとが、左右方向から見て重なるように設定されている。
【0035】
上記構成により、ユーザUが実像操作面13を操作しようとすることで、2次元検出平面15dに干渉するようになっている。この2次元検出平面15dへの干渉により、各発光部15aから照射される各赤外線レーザ15cのうちいずれかが、上方に向かって拡散しながら反射する。上記各受光部15bは、この赤外線レーザ15cの反射光を検知する構成とされる。制御ユニット30は、各受光部15bから入力された赤外線レーザ15cの反射光の受光強度及び受光範囲に基づいて、ユーザUが2次元検出平面15dのうちの何れの位置に操作入力したかを判定できるようになっている。
【0036】
実体操作面11a及び
実像操作面13は、その面内の所々に水栓ユニット50の種々の動作を操作するための複数の操作部20を有する(
図6参照)。制御ユニット30は、位置検出センサ15から検出した操作入力位置に基づいて、その操作入力位置に対応する
実像操作面13の操作部20が操作されたと判定する。これにより、制御ユニット30は、
実像操作面13の操作部20に対応する実体操作面11aの操作部20が操作されたと判定し、水栓ユニット50の動作を制御する。
【0037】
上記により、1つの位置検出センサ15により形成される実像操作面13に沿った2次元検出平面15dにより、実像操作面13の複数の操作部20への操作入力位置をそれぞれ適切に検出できる。これにより、ユーザUは、実像操作面13を操作することで、非接触空中操作水栓1の複数の動作を非接触で行うことができる。更に、複数の操作部20の数や位置が変更されても、操作部20の数や位置に合わせて位置検出センサ15の数や位置を変更する必要がなく、設計の自由度を高めることができる。
【0038】
<操作部20>
以下に、上記非接触空中操作水栓1の各構成について詳しく説明する。液晶ディスプレイ11の実体操作面11aは、
図6に示すように、複数の操作部20を有する。複数の操作部20は、吐出操作部21と、温度操作部22と、流量操作部23と、時間操作部24と、を有する。
【0039】
吐出操作部21は、吐出設定として、吐水又は止水の設定(ONモード又はOFFモード)を制御ユニット30に記憶させるONOFFボタン21aから成る。
【0040】
温度操作部22は、温度設定として、吐水時に湯水を吐出させる設定(HOTモード)を制御ユニット30に記憶させるHOTボタン22aと、吐水時に水を吐出させる設定(COLDモード)を制御ユニット30に記憶させるCOLDボタン22bと、から成る。
【0041】
流量操作部23は、流量設定として、単位時間当たりの吐水量を増やす設定(MAXモード)を制御ユニット30に記憶させるMAXボタン23aと、単位時間当たりの吐水量を減らす設定(MINモード)を制御ユニット30に記憶させるMINボタン23bと、から成る。
【0042】
時間操作部24は、時間設定として、吐出後1分間で自動的に止水する設定(1minモード)を制御ユニット30に記憶させる1minボタン24aと、吐出後6秒で自動的に止水する設定(6secモード)を制御ユニット30に記憶させる6secボタン24bと、から成る。上記時間操作部24による設定を行わない場合、制御ユニット30は、吐出操作部21による止水の制御が行われるまで連続的に吐水を行う設定(連続モード)とされる。
【0043】
上記複数の操作部20の各外枠は、制御ユニット30からの制御信号に基づいて赤色に点灯する光の出力を行う。
【0044】
液晶ディスプレイ11は、水栓ユニット50の操作画面として実体操作面11aの代わりに、実体操作面11aを縮小表示させた実体操作面11b(
図7参照)や操作部20の配置を変更した実体操作面11c(
図8参照)を切り替えて表示できる構成とされる。例えば、実体操作面11aの
実像である
実像操作面13の下方領域に重なる障害物がある場合には、上記下方領域に操作部20が配置されていない実体操作面11bや実体操作面11cに切り替えることで、適切に操作を行うことができる。
【0045】
各実体操作面11a、11b、11cの画像パターンは、予め制御ユニット30に記憶されており、COLDボタン22bとMINボタン23bとを同時に操作入力することで任意の画像パターンを選択することができるように設定されている。
【0046】
<水栓ユニット50>
水栓ユニット50は、
図9に示すように、混合弁51と、湯水用開閉弁52と、水用開閉弁53と、大流量用開閉弁54と、小流量用開閉弁55と、を有する。混合弁51は、水(水道水)の配管と湯(給湯器からの湯)の配管が接続され、水と湯を所定割合で混合した湯水を湯水用開閉弁52に向けて流出する。混合弁51の所定割合(混合割合)は、外部からの操作により予め設定される。
【0047】
湯水用開閉弁52は、制御ユニット30からの制御信号にて開状態(全開)又は閉状態(全閉)に制御される。湯水用開閉弁52が開状態に制御された場合、混合弁51から流入された水は、大流量用開閉弁54及び小流量用開閉弁55に向けて流出する。
【0048】
水用開閉弁53は、水(水道水)の配管が接続され、制御ユニット30からの制御信号にて開状態(全開)又は閉状態(全閉)に制御される。水用開閉弁53が開状態に制御された場合、水(水道水)の配管から流入された水は、大流量用開閉弁54及び小流量用開閉弁55に向けて流出する。
【0049】
大流量用開閉弁54は、湯水用開閉弁52又は水用開閉弁53から流入してきた湯水又は水を、大流量で水栓92の蛇口92A(
図1参照)に向けて流出させる。大流量用開閉弁54は、制御ユニット30からの制御信号にて開状態(全開)又は閉状態(全閉)に制御される。
【0050】
小流量用開閉弁55は、湯水用開閉弁52又は水用開閉弁53から流入してきた湯水又は水を、小流量で水栓92の蛇口92A(
図1参照)に向けて流出させる。小流量用開閉弁55は、制御ユニット30からの制御信号にて開状態(全開)又は閉状態(全閉)に制御される。
【0051】
<制御ユニット30>
制御ユニット30は、
図9に示すように、CPU31と、FlashROM等の記憶装置32と、RAM33と、タイマ34と、出力タイマ35と、を有する。CPU31は、受光部15bからの検出信号に基づいて、
実像操作面13の操作入力位置を検出する。CPU31は、検出された
実像操作面13の操作入力位置に対応する実体操作面11aの操作部20が操作されたと判定し、湯水用開閉弁52、水用開閉弁53、大流量用開閉弁54及び小流量用開閉弁55を制御する制御信号を出力する。CPU31は、上記検出信号に基づいて、実体操作面11aを制御する制御信号を出力する。
【0052】
<CPU31の処理手順における全体処理(
図10)>
次に、
図10に示すフローチャートを用いて、CPU31の全体処理の処理手順の例について説明する。まず、CPU31は、起動されるとステップS010へと処理を進める。
【0053】
ステップS010にてCPU31は、処理SN100(初期化処理)を実行してステップS020へ処理を進める。なお、処理SN100(初期化処理)の詳細については後述する。
【0054】
ステップS020にてCPU31は、タイマ34を用いて所定の時間(例えば0.5秒)が経過したか否かを判定する。経過した場合(Yes)はステップS030に処理を進め、経過しない場合(No)は再びステップS020に処理を進める。
【0055】
ステップS030にてCPU31は、処理SA100(入力信号処理)を実行してステップS040に処理を進める。なお、処理SA100(入力信号処理)の詳細については後述する。
【0056】
ステップS040にてCPU31は、液晶ディスプレイ11の操作画面を切り替える画面選択モードのフラグがONかOFFかを判定する。ONの場合(Yes)はステップS060に処理を進める。OFFの場合(No)はステップS050に処理を進める。
【0057】
ステップS050にてCPU31は、処理SB100(出力処理)を実行してステップS020に処理を戻す。なお、処理SB100(出力処理)の詳細については後述する。
【0058】
ステップS060にてCPU31は、処理SC100(画面選択処理)を実行して、ステップS020に処理を戻す。なお、処理SC100(画面選択処理)の詳細については後述する。
【0059】
<処理SN100(初期化処理)の詳細(
図11)>
次に、
図11を用いて、処理SN100(初期化処理)の詳細について説明する。CPU31は、
図10に示すフローチャートのステップS010に処理を進めた場合、
図11に示す処理SN100のステップSN110へ処理を進める。
【0060】
ステップSN110にてCPU31は、RAM33に吐出設定としてOFFモード、温度設定としてCOLDモード、流量設定としてMINモード、時間設定として6secモードをそれぞれ記憶させる。CPU31は、液晶ディスプレイ11に各モードに合わせた出力(例えば、ONOFFボタン21aの外枠の消灯、HOTボタン22aの外枠の消灯、COLDボタン22bの外枠の点灯、MAXボタン23aの外枠の消灯、MINボタン23bの外枠の点灯、1minボタン24aの外枠の消灯、6secボタン24bの外枠の点灯)を行う。また、CPU31は、出力タイマ35のカウントを0に設定し動作を停止させて、処理SN100を終了して
図10に示すステップS020に処理を戻す。
【0061】
<処理SA100(入力信号処理)の詳細(
図12、
図13)>
次に、
図12及び
図13を用いて、処理SA100(入力信号処理)の詳細について説明する。CPU31は、
図10に示すフローチャートのステップS030に処理を進めた場合、
図12に示す処理SA100のステップSA110に処理を進める。
【0062】
ステップSA110にてCPU31は、位置検出センサ15からの検出信号に基づいて検出した2次元検出平面15dの操作入力位置と実像操作面13とを重ねて、操作された実体操作面11aの操作部20を判定する。CPU31は、ステップSA120に処理を進める。
【0063】
ステップSA120にてCPU31は、液晶ディスプレイ11の実体操作面11aの画像パターンを切り替えるための操作が行われたか否か、すなわちCOLDボタン22bとMINボタン23bとが同時に操作されたか否かを判定する。操作された場合(Yes)はステップSA125に処理を進め、操作されていない場合(No)はステップSA130に処理を進める。
【0064】
ステップSA125にてCPU31は、液晶ディスプレイ11の操作画面を切り替える画面選択モードのフラグをONに設定し、処理SA100を終了して
図10に示すステップS040に処理を戻す。
【0065】
ステップSA130にてCPU31は、液晶ディスプレイ11の操作画面を切り替える画面選択モードのフラグをOFFに設定し、ステップSA140に処理を進める。
【0066】
ステップSA140にてCPU31は、HOTボタン22aが操作されたか否かを判定する。操作された場合はステップSA145に処理を進め、操作されていない場合(No)はステップSA150に処理を進める。
【0067】
ステップSA145にてCPU31は、RAM33に温度設定としてHOTモードを記憶させ、液晶ディスプレイ11にHOTモード用の出力(例えば、HOTボタン22aの外枠を点灯、COLDボタン22bの外枠を消灯)を行い、ステップSA160に処理を進める。
【0068】
ステップSA150にてCPU31は、COLDボタン22bが操作されたか否かを判定する。操作された場合はステップSA155に処理を進め、操作されていない場合(No)はステップSA160に処理を進める。
【0069】
ステップSA155にてCPU31は、RAM33に温度設定としてCOLDモードを記憶させ、液晶ディスプレイ11にCOLDモード用の出力(例えば、COLDボタン22bの外枠を点灯、HOTボタン22aの外枠を消灯)を行い、ステップSA160に処理を進める。
【0070】
ステップSA160にてCPU31は、MAXボタン23aが操作されたか否かを判定する。操作された場合はステップSA165に処理を進め、操作されていない場合(No)はステップSA170に処理を進める。
【0071】
ステップSA165にてCPU31は、RAM33に流量設定としてMAXモードを記憶させ、液晶ディスプレイ11にMAXモード用の出力(例えば、MAXボタン23aの外枠を点灯、MINボタン23bの外枠を消灯)を行い、
図13に示すステップSA180に処理を進める。
【0072】
ステップSA170にてCPU31は、MINボタン23bが操作されたか否かを判定する。操作された場合はステップSA175に処理を進め、操作されていない場合(No)は
図13に示すステップSA180に処理を進める。
【0073】
ステップSA175にてCPU31は、RAM33に流量設定としてMINモードを記憶させ、液晶ディスプレイ11にMINモード用の出力(例えば、MINボタン23bの外枠を点灯、MAXボタン23aの外枠を消灯)を行い、
図13に示すステップSA180に処理を進める。
【0074】
ステップSA180にてCPU31は、1minボタン24aが操作されたか否かを判定する。操作された場合はステップSA185に処理を進め、操作されていない場合(No)はステップSA200に処理を進める。
【0075】
ステップSA185にてCPU31は、RAM33に現在記憶されている時間設定が1minモードであるか否かを判定する。1minモードである場合(Yes)はステップSA190に処理を進め、1minモードでない場合(No)はステップSA195に処理を進める。
【0076】
ステップSA190にてCPU31は、RAM33に時間設定として連続モードを記憶させ、出力タイマ35を停止させ、液晶ディスプレイ11に連続モード用の出力(例えば、1minボタン24a及び6secボタン24bの外枠を消灯)を行い、ステップSA220に処理を進める。
【0077】
ステップSA195にてCPU31は、RAM33に時間設定として1minモードを記憶させ、出力タイマ35のカウントを0に初期化し、液晶ディスプレイ11に1minモード用の出力(例えば、1minボタン24aの外枠を点灯、6secボタン24bの外枠を消灯)を行い、ステップSA220に処理を進める。
【0078】
ステップSA200にてCPU31は、6secボタン24bが操作されたか否かを判定する。操作された場合はステップSA205に処理を進め、操作されていない場合(No)はステップSA220に処理を進める。
【0079】
ステップSA205にてCPU31は、RAM33に現在記憶されている時間設定が6secモードであるか否かを判定する。6secモードである場合(Yes)はステップSA210に処理を進め、6secモードでない場合(No)はステップSA215に処理を進める。
【0080】
ステップSA210にてCPU31は、RAM33に時間設定として連続モードを記憶させ、出力タイマ35を停止させ、液晶ディスプレイ11に連続モード用の出力(例えば、1minボタン24a及び6secボタン24bの外枠を消灯)を行い、ステップSA220に処理を進める。
【0081】
ステップSA215にてCPU31は、RAM33に時間設定として6secモードを記憶させ、出力タイマ35のカウントを0に初期化し、液晶ディスプレイ11に6secモード用の出力(例えば、6secボタン24bの外枠を点灯、1minボタン24aの外枠を消灯)を行い、ステップSA220に処理を進める。
【0082】
ステップSA220にてCPU31は、ONOFFボタン21aが操作されたか否かを判定する。操作された場合はステップSA225に処理を進め、操作されていない場合(No)は処理SA100を終了して
図10に示すステップS040に処理を戻す。
【0083】
ステップSA225にてCPU31は、RAM33に現在記憶されている吐出設定がOFFモードであるか否かを判定する。OFFモードである場合(Yes)はステップSA230に処理を進め、OFFモードでない場合(No)はステップSA235に処理を進める。
【0084】
ステップSA230にてCPU31は、RAM33に吐出設定としてONモードを記憶させ、出力タイマ35を起動し、液晶ディスプレイ11にONモード用の出力(例えば、ONOFFボタン21aの外枠を点灯)を行い、処理SA100を終了して
図10に示すステップS040に処理を戻す。
【0085】
ステップSA235にてCPU31は、RAM33に吐出設定としてOFFモードを記憶させ、出力タイマ35を停止しカウントを0に初期化して、液晶ディスプレイ11にOFFモード用の出力(例えば、ONOFFボタン21aの外枠を消灯)を行い、処理SA100を終了して
図10に示すステップS040に処理を戻す。
【0086】
<処理SB100(出力処理)の詳細(
図14)>
次に、
図14を用いて、処理SB100(出力処理)の詳細について説明する。CPU31は、
図10に示すフローチャートのステップS050に処理を進めた場合、
図14に示す処理SB100のステップSB110に処理を進める。
【0087】
ステップSB110にてCPU31は、RAM33に現在記憶されている吐出設定がONモードであるか否かを判定する。ONモードである場合(Yes)はステップSB120に処理を進め、ONモードでない場合(No)はステップSB115に処理を進める。
【0088】
ステップSB115にてCPU31は、湯水用開閉弁52、水用開閉弁53、大流量用開閉弁54、小流量用開閉弁55をそれぞれ閉状態へと駆動し、処理SB100を終了し
図10に示すステップS020に処理を戻す。
【0089】
ステップSB120にてCPU31は、RAM33に現在記憶されている時間設定が連続モードであるか否かを判定する。連続モードである場合(Yes)はステップSB125に処理を進め、連続モードでない場合(No)はステップSB130に処理を進める。
【0090】
ステップSB125にてCPU31は、処理SD100(開閉弁選択処理)を実行し、処理SB100を終了して
図10に示すステップS020に処理を戻す。なお、処理SD100(開閉弁選択処理)の詳細については後述する。
【0091】
ステップSB130にてCPU31は、RAM33に現在記憶されている時間設定が6secモードであるか否かを判定する。6secモードである場合(Yes)はステップSB135に処理を進め、6secモードでない場合(No)はステップSB150に処理を進める。
【0092】
ステップSB135にてCPU31は、出力タイマ35の現在のカウントが6秒未満であるか否かを判定する。6秒未満である場合(Yes)はステップSB140に処理を進めて、6秒以上である場合(No)はステップSB145に処理を進める。
【0093】
ステップSB140にてCPU31は、処理SD100(開閉弁選択処理)を実行し、処理SB100を終了して
図10に示すステップS020に処理を戻す。
【0094】
ステップSB145にてCPU31は、湯水用開閉弁52、水用開閉弁53、大流量用開閉弁54、小流量用開閉弁55をそれぞれ閉状態に駆動し、出力タイマ35を停止させカウントを0に初期化して、処理SB100を終了し
図10に示すステップS020に処理を戻す。
【0095】
ステップSB150にてCPU31は、出力タイマ35の現在のカウントが1分未満であるか否かを判定する。1分未満である場合(Yes)はステップSB155に処理を進めて、1分以上である場合(No)はステップSB160に処理を進める。
【0096】
ステップSB155にてCPU31は、処理SD100(開閉弁選択処理)を実行し、処理SB100を終了して
図10に示すステップS020に処理を戻す。
【0097】
ステップSB160にてCPU31は、湯水用開閉弁52、水用開閉弁53、大流量用開閉弁54、小流量用開閉弁55をそれぞれ閉状態に駆動し、出力タイマ35を停止させカウントを0に初期化して、処理SB100を終了し
図10に示すステップS020に処理を戻す。
【0098】
<処理SD100(開閉弁選択処理)の詳細(
図15)>
次に、
図15を用いて、処理SD100(開閉弁選択処理)の詳細について説明する。CPU31は、
図14に示すフローチャートのステップSB125、SB140、SB155のうちいずれかに処理を進めた場合、
図15に示す処理SD100のステップSD110に処理を進める。
【0099】
ステップSD110にてCPU31は、RAM33に現在記憶されている温度設定がHOTモードであるか否かを判定する。HOTモードである場合(Yes)はステップSD115に処理を進め、HOTモードでない場合(No)はステップSD130に処理を進める。
【0100】
ステップSD115にてCPU31は、RAM33に現在記憶されている流量設定がMAXモードであるか否かを判定する。MAXモードである場合(Yes)はステップSD120に処理を進め、MAXモードでない場合(No)はステップSD125に処理を進める。
【0101】
ステップSD120にてCPU31は、湯水用開閉弁52と大流量用開閉弁54をそれぞれ開状態に駆動し、水用開閉弁53と小流量用開閉弁55をそれぞれ閉状態に駆動し、
図14に示すフローチャートの終了手前に処理を戻す。
【0102】
ステップSD125にてCPU31は、湯水用開閉弁52と小流量用開閉弁55をそれぞれ開状態に駆動し、水用開閉弁53と大流量用開閉弁54をそれぞれ閉状態に駆動し、
図14に示すフローチャートの終了手前に処理を戻す。
【0103】
ステップSD130にてCPU31は、RAM33に現在記憶されている流量設定がMAXモードであるか否かを判定する。MAXモードである場合(Yes)はステップSD135に処理を進め、MAXモードでない場合(No)はステップSD140に処理を進める。
【0104】
ステップSD135にてCPU31は、水用開閉弁53と大流量用開閉弁54をそれぞれ開状態に駆動し、湯水用開閉弁52と小流量用開閉弁55をそれぞれ閉状態に駆動し、
図14に示すフローチャートの終了手前に処理を戻す。
【0105】
ステップSD140にてCPU31は、水用開閉弁53と小流量用開閉弁55をそれぞれ開状態に駆動し、湯水用開閉弁52と大流量用開閉弁54をそれぞれ閉状態に駆動し、
図14に示すフローチャートの終了手前に処理を戻す。
【0106】
<処理SC100(画面選択処理)の詳細(
図16)>
次に、
図16を用いて、処理SC100(画面選択処理)の詳細について説明する。CPU31は、
図10に示すフローチャートのステップS060に処理を進めた場合、
図16に示す処理SC100のステップSC110へ処理を進める。
【0107】
ステップSC110にてCPU31は、前出の処理SN100(初期化処理)を実行してステップSC120に処理を進める。
【0108】
ステップSC120にてCPU31は、液晶ディスプレイ11に画面選択モード用の出力(例えば各実体操作面11a、11b、11cをそれぞれ並べて表示)を行い、ステップSC130に処理を進める。
【0109】
ステップSC130にてCPU31は、ユーザUが実像操作面13に表示された各実体操作面11a、11b、11cのいずれかを選択したか否かを判定する。選択した場合(Yes)はステップSC140に処理を進め、選択しない場合(No)はステップSC120に処理を戻す。
【0110】
ステップSC140にてCPU31は、選択された各実体操作面11a、11b、11cのうちいずれかを液晶ディスプレイ11に表示させる出力を行い、
図10に示すステップS020に処理を戻す。
【0111】
<まとめ>
以上をまとめると、本実施形態の非接触空中操作水栓1は次のような構成となっている。なお、以下において、括弧書きで示す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0112】
すなわち、少なくとも吐水と止水を含む複数の動作をする水栓ユニット(50)と、水栓ユニット(50)の複数の動作のそれぞれを指示する複数の操作部(20)が、それぞれ異なる領域に配置された面状の実体操作面(11a)を有する1つの実体操作パネル(11)と、実体操作面(11a)の実像である実像操作面(13)を空中に結像して表示する1つの実像表示装置(12)と、ユーザ(U)が実体操作パネル(11)に接触することなく実像操作面(13)を操作した操作入力位置を検出する1つの操作入力位置検出装置(15)と、操作入力位置検出装置(15)により検出された実像操作面(13)の操作入力位置に対応する実体操作面(11a)の操作部(20)が操作されたと判定して水栓ユニット(50)の動作を制御する制御ユニット(30)と、を有する。
【0113】
このような構成となっていることにより、1つの操作入力位置検出装置(15)により複数の操作部(20)を非接触で操作することができる。これにより、複数の操作部(20)の数や位置が変更されても、操作部(20)の数や位置に合わせて操作入力位置検出装置(15)の数や位置を変更する必要がなく、設計の自由度を高めることができる。
【0114】
また、実像表示装置(12)は、一方面(12a)と他方面(12b)とを有する平面形状を有しており、一方面(12a)に対向する位置に配置された実体操作パネル(11)の実体操作面(11a)の実像である実像操作面(13)を、他方面(12b)に対向する位置かつ実像表示装置(12)に関して実体操作面(11a)と面対称の位置となる空中へ結像して表示する。実体操作面(11a)は、実体操作面(11a)の法線方向に光軸(11d)を有するように発光しており、一方面(12a)への光軸(11d)の入射角度(θ1)は、0度より大きく90度未満に設定されている。
【0115】
このような構成となっていることにより、実像操作面(13)を、実体操作面(11a)と実像表示装置(12)との位置関係で自由に結像させることができる。これにより、実像操作面(13)をユーザ(U)に近づけつつ、水撥ね等の生じやすい位置から実体操作面(11a)を適切に遠ざけることができる。
【0116】
また、光軸(11d)の入射角度(θ1)は、45度に設定されている。
【0117】
このような構成となっていることにより、実像表示装置(12)がより鮮明に実像操作面(13)を表示することができる。
【0118】
また、実体操作面(11a)の発光は、実像表示装置(12)に近い位置から遠い位置となるに従って明るさが増すように発光している。
【0119】
このような構成となっていることにより、実像操作面(13)を全面に亘って一定の明るさで表示できる。
【0120】
また、実体操作パネル(11)と実像表示装置(12)との間は、外部からの光を遮断する遮光部材(14)にて囲まれている。
【0121】
このような構成となっていることにより、実像表示装置(12)に外部からの光を遮断して実体操作面(11a)の発光のみを入射することで、より鮮明な実像操作面(13)を表示することができる。
【0122】
また、操作入力位置検出装置(15)は、操作入力位置検出装置(15)に対して予め設定された位置となる2次元検出平面(15d)への操作入力位置を検出可能である。2次元検出平面(15d)が、実像操作面(13)と一致する位置、又は実像操作面(13)に対して平行かつユーザ(U)の側に所定距離だけ離れた位置、となるように操作入力位置検出装置(15)が配置されている。
【0123】
このような構成となっていることにより、実像操作面(13)に沿った1つの2次元検出平面(15d)により、実像操作面(13)の複数の操作部(20)への操作入力位置をそれぞれ適切に検出することができる。
【0124】
また、実体操作パネル(11)は、液晶ディスプレイ(11)又は有機ELディスプレイである。実体操作面は、制御ユニットに予め記憶された複数の画像パターンのうちいずれかがユーザに選択されて表示される構成とされる。複数の画像パターンは、実体操作パネルに表示された際の操作部の位置が画像パターンごとにそれぞれ異なる構成とされる。制御ユニットは、選択された画像パターンと検出された操作入力位置とに基づいて、操作された操作部を判定して水栓ユニットの動作を制御する。
【0125】
このような構成となっていることにより、実体操作面(11a)が予め記憶された複数の画像パターンを切り替えて表示されることで、非接触空中操作水栓(1)を使用するユーザ(U)や使用場所に合わせて適切な操作面に切り替えることができる。これにより、非接触空中操作水栓(1)の利便性を向上させることができる。
【0126】
<その他の実施形態>
以上、本発明を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態の他、各種の形態で実施することができるものである。
【0127】
1.非接触空中操作水栓は、家庭の台所の水栓に限定されず、浴室や公共施設の水栓等、種々の水栓に広く適用することができるものである。浴室のシャワーの水栓に適用される場合、非接触空中操作水栓を用いることでシャワーによる水の散乱が多く生じたとしても、実像操作面を操作しやすい位置に表示させつつ実体操作パネルを遠ざけることができる。
【0128】
2.水栓ユニットは、吐水と止水、吐出する水の流量調整、吐出する水の温度調整、が可能な例を説明したが、これらのうち少なくとも吐水と止水を含む複数の動作を行うことができればよい。混合弁は外部からの操作ではなく、制御ユニットによって湯水の混合割合を制御される構成であっても良い。水栓ユニットは、流量に応じた全開又は全閉に制御される開閉弁を3つ以上有することで流量を調整する構成であってもよいし、調整用のモータにより制御される1つの流量調整弁を用いて流量を調整する構成であっても良い。
【0129】
3.実体操作パネルは、天井や床、台所の表面や内部に設けられていても良い。そのような場合でも、実像表示装置の位置及び向きを調整することで、実像操作面をユーザが操作しやすい適切な位置に表示することができる。実体操作パネルは、液晶ディスプレイの他、有機ELディスプレイであっても良いし、操作画面を書いた紙媒体を光源に張り付けた構成であっても良い。実体操作パネルは、実体操作面を表示するように発光させ続ける構成であっても良いし、所定の時間経過で実体操作面の表示を消して、操作入力位置の検出により制御ユニットからの制御を受けて実体操作面を表示させる構成であっても良い。実体操作パネルと実像表示装置との間は、実像操作面を表示できる構成であれば、遮光部材で囲まれておらず外部にむき出した状態となっていても良い。
【0130】
4.実体操作面の発光は、全面に亘って同じ明るさであっても良い。実像表示装置に対する実体操作面の光軸の入射角度は、45度でなくとも、0度より大きく90度未満であれば良い。実体操作面の複数の画像パターンは、上記実施形態で示した例の他、複数の操作部が2次元検出平面内に設けられる構成であれば、拡大又は縮小、操作部の配置変更、及びそれらを組み合わせた種々の画像パターンを適用することができる。画像パターンの切り替え方法は、3つ以上の操作部を同時に操作する構成であっても良いし、線を引く等の所定のジェスチャーを行う構成であっても良いし、画面切替用の画面切替ボタンが設けられる構成であっても良い。
【0131】
5.操作入力位置検出装置は、実像操作面と一致する位置、又は実像操作面に対して平行かつユーザの側に所定距離だけ離れた位置に2次元検出平面を形成する赤外線センサの他、3次元空間の検出領域を形成するステレオカメラやToFカメラ等の3Dカメラを用いる構成であっても良い。その場合、3Dカメラを実像操作面の斜め上方又は斜め下方等に配置し、実像操作面を含む3次元空間内における実像操作面の各操作部の位置と、ユーザの指の位置と、を検出する構成とされる。操作入力位置検出装置は、2次元検出平面を実像操作面に沿って設けられる構成であれば、実像操作面の上方の他、左方や右方、下方に設けられる構成であっても良い。発光部は、LED素子等の照明装置であっても良い。発光部と受光部とは、互いに交差する向きに並べられる構成であっても良い。
【符号の説明】
【0132】
1 非接触空中操作水栓
10 表示操作ユニット
11 液晶ディスプレイ(実体操作パネル)
11a 実体操作面
11b 実体操作面
11c 実体操作面
11d 光軸
12 実像表示装置
12a 上面(一方面)
12b 下面(他方面)
13 実像操作面
14 遮光部材
15 位置検出センサ(操作入力位置検出装置)
15a 発光部
15b 受光部
15c 赤外線レーザ
15d 2次元検出平面
20 操作部
21 吐出操作部
21a ONOFFボタン
22 温度操作部
22a HOTボタン
22b COLDボタン
23 流量操作部
23a MAXボタン
23b MINボタン
24 時間操作部
24a 1minボタン
24b 6secボタン
30 制御ユニット
31 CPU
32 記憶装置
33 RAM
34 タイマ
35 出力タイマ
50 水栓ユニット
51 混合弁
52 湯水用開閉弁
53 水用開閉弁
54 大流量用開閉弁
55 小流量用開閉弁
90 台所
91 シンク
92 水栓
92A 蛇口
93 棚
U ユーザ
θ1 入射角度