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特許7543149パネルの取付具及び太陽電池パネルの支持構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】パネルの取付具及び太陽電池パネルの支持構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20240826BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20240826BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240826BHJP
【FI】
E04D13/00 J
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021008810
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022112835
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】514158800
【氏名又は名称】株式会社クリーンエナジージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井原 邦宜
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253451(JP,A)
【文献】特開2013-007237(JP,A)
【文献】特開2017-048506(JP,A)
【文献】特開2011-111745(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0302928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折板屋根のハゼ部にパネルを取り付ける取付具であって、
前記ハゼ部の側面を挟み込む一対の挟持部と、
前記パネルの取付時に前記パネルにおける辺縁部の下面を支持する支持体と、
前記辺縁部の上面を保持する上面保持部と、
前記挟持部、前記支持体及び前記上面保持部を締結する締結部とを備え、
対を成す前記挟持部が、前記ハゼ部の側面に当接する咬合端部、前記支持体と接続する接続部及び前記接続部から前記咬合端部にかけて延設された延設部をそれぞれ備え、
対を成す前記挟持部における前記接続部の少なくとも一方が、前記支持体に対して揺動可能に接続され、前記接続部を揺動軸として揺動する一方の端部が前記咬合端部であり、他方の端部が前記揺動によって前記支持体に対して離合する揺動端部であって、前記揺動端部を前記支持体から離す方向に移動させた場合に、対を成す前記挟持部における前記咬合端部の間隔が開き、前記揺動端部を前記支持体に近づける方向に移動させた場合に、前記咬合端部の間隔が閉じるように、前記揺動端部と前記咬合端部とが前記接続部に対して配置され、
前記締結部が、前記上面保持部の前記支持体と反対側の面と接して前記上面保持部を係止する第一係止部と、前記揺動端部の前記支持体と反対側の面と接して前記揺動端部を係止する第二係止部とを備え、前記締結部が、前記パネルの取り付け時に前記第一係止部と前記第二係止部との間隔を狭めることにより、前記第一係止部が前記上面保持部を前記支持体側へ締め付けて前記上面保持部と前記支持体との間に前記パネルを挟持させると共に、前記第二係止部が前記揺動端部を前記支持体側へ締め付け、この締め付けによって前記咬合端部の間隔を閉じさせて前記ハゼ部を挟持する
パネルの取付具。
【請求項2】
前記締結部が、前記支持体の前記パネルを支持する面における中央に立設された支柱部を備える請求項1に記載のパネルの取付具。
【請求項3】
前記上面保持部が、前記上面保持部の下面から前記支柱部と当接する位置にかけて延設された突支部を備えた請求項2に記載のパネルの取付具。
【請求項4】
前記上面保持部が、前記支柱部に対して回転可能に取り付けられた請求項3に記載のパネルの取付具。
【請求項5】
前記締結部が、前記第一係止部が係止する前記上面保持部と前記支柱部との間に弾性部材を備え、前記パネルの取り付け前の状態では、前記弾性部材の弾性力によって前記上面保持部を前記支持体から離れる方向へ付勢し、前記上面保持部と前記支持体との間隔を前記パネルの厚さ以上に保持した請求項2から4の何れか1項に記載のパネルの取付具。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のパネルの取付具を用い、太陽電池パネルの周縁部を折板屋根のハゼ部に対して固定支持した太陽電池パネルの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根上にパネルを取り付ける取付具及び太陽電池パネルの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、矩形状に形成された太陽電池パネルの外周フレーム枠を保持して折板屋根のハゼ部に固定設置するための太陽電池パネルの取付金具が記載されている。
【0003】
特許文献2には、略コ状に形成して対向させる左右一対の挟着板と、両挟着板の天板部を重ねて一体に結合する取付用ボルトとからなり、対向した両底板部の先端部で折板屋根のハゼ部を挟着し得るようにしてなる折板屋根ハゼ取付金具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-127330号公報
【文献】実用新案登録第3176991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
折板屋根上に太陽電池パネルを取り付ける場合、折板屋根のハゼ部を挟持するように取付金具を取り付ける工程と、この取付金具上に太陽電池パネルを載置する工程と、太陽電池パネルを押さえる部材を組み付けて取付金具に対して固定する工程とを太陽電池パネルの数に合わせて繰り返すことになり、非常に手間がかかるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、折板屋根上にパネルを設置する作業を容易にする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るパネルの取付具は、
折板屋根のハゼ部にパネルを取り付ける取付具であって、
前記ハゼ部の側面を挟み込む一対の挟持部と、
前記パネルの取付時に前記パネルにおける辺縁部の下面を支持する支持体と、
前記辺縁部の上面を保持する上面保持部と、
前記挟持部、前記支持体及び前記上面保持部を締結する締結部とを備え、
対を成す前記挟持部が、前記ハゼ部の側面に当接する咬合端部、前記支持体と接続する接続部及び前記接続部から前記咬合端部にかけて延設された延設部をそれぞれ備え、
対を成す前記挟持部における前記接続部の少なくとも一方が、前記支持体に対して揺動可能に接続され、前記接続部を揺動軸として揺動する一方の端部が前記咬合端部であり、他方の端部が前記揺動によって前記支持体に対して離合する揺動端部であって、前記揺動端部を前記支持体から離す方向に移動させた場合に、対を成す前記挟持部における前記咬合端部の間隔が開き、前記揺動端部を前記支持体に近づける方向に移動させた場合に、前記咬合端部の間隔が閉じるように、前記揺動端部と前記咬合端部とが前記接続部に対して配置され、
前記締結部が、前記上面保持部の前記支持体と反対側の面と接して前記上面保持部を係止する第一係止部と、前記揺動端部の前記支持体と反対側の面と接して前記揺動端部を係止する第二係止部とを備え、前記締結部が、前記パネルの取り付け時に前記第一係止部と前記第二係止部との間隔を狭めることにより、前記第一係止部が前記上面保持部を前記支
持体側へ締め付けて前記上面保持部と前記支持体との間に前記パネルを挟持させると共に、前記第二係止部が前記揺動端部を前記支持体側へ締め付け、この締め付けによって前記咬合端部の間隔を閉じさせて前記ハゼ部を挟持する。
【0008】
前記取付具は、前記締結部が、前記支持体の前記パネルを支持する面における中央に立設された支柱部を備えてもよい。
【0009】
前記取付具は、前記上面保持部が、前記上面保持部の下面から前記支柱部と当接する位置にかけて延設された突支部を備えてもよい。
【0010】
前記取付具は、前記上面保持部が、前記支柱部に対して回転可能に取り付けられてもよい。
【0011】
前記取付具は、前記締結部が、前記第一係止部が係止する前記上面保持部と前記支柱部との間に弾性部材を備え、前記パネルの取り付け前の状態では、前記弾性部材の弾性力によって前記上面保持部を前記支持体から離れる方向へ付勢し、前記上面保持部と前記支持体との間隔を前記パネルの厚さ以上に保持しても良い。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る太陽電池パネルの支持構造は、前記取付具を用い、太陽電池パネルの周縁部を折板屋根のハゼ部に対して固定支持する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、折板屋根上にパネルを設置する作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】太陽電池パネルの支持構造を示す外観図である。
図2】太陽電池パネルの支持構造を示す模式断面図である。
図3】パネルの取付具を示す分解斜視図である。
図4】ハゼ部の断面形状を示す図である。
図5】取付具の取り付け手順を示す図である。
図6】太陽電池パネルを片側のみで挟持した場合の問題点を示す図である。
図7】取付具を中間クランプとして用いた状態を示す図である。
図8】取付具の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
<第1の実施形態>
図1は、パネルの取付具20を用いて太陽電池パネルPを折板屋根1に対して固定支持した太陽電池パネルの支持構造を示す外観図、図2は、太陽電池パネルの支持構造を示す模式断面図、図3は、パネルの取付具20を示す分解斜視図である。
【0016】
図1の例では、折板屋根1の勾配に沿って長手にハゼ部2が形成され、このハゼ部2に取付具20が固定され、この取付具20により太陽電池パネルPが固定指示されている。なお、取付具20を固定するハゼ部2は、縦葺きに限らず、横葺きであってもよい。
【0017】
取付具20は、図2図3に示すように、ハゼ部2の側面を挟み込む一対の挟持部22L,22Rと、太陽電池パネルPの取付時に、太陽電池パネル辺縁部の下面を支持する支持体23と、太陽電池パネルPの上面を保持する上面保持部24と、これらを締結する締結部25とを備えている。
【0018】
一対の挟持部22L,22Rは、実質的に同形状を有する部材であり、一方を逆向きに配置した左右対称の構成である。このため、以下の説明では、左右の区別が必要となる場合を除き、両方を挟持部22と総称する。
【0019】
挟持部22は、ハゼ部2の側面に当接する咬合端部221、支持体23と接続する接続部222及び接続部222から咬合端部221にかけて延設された延設部223を備えている。挟持部22は、接続部222を介して支持体23に対し揺動可能に接続されている。ここで接続部222を揺動軸として揺動する一方の端部が咬合端部221であり、他方の端部が揺動によって支持体23に対して離合する揺動端部224である。図2に示すように、挟持部22は、X-Y断面において、揺動端部224が接続部222から内側へ横行し、延設部223が接続部222から所定距離下降し、内側へ屈曲して、その下端を咬合端部221とした形状となっている。このように左右の挟持部22L,22Rは、ハゼ部2を挟持する際にハゼ部2を内側空間に収められるように延設部223が外側へ膨出している。これにより、種々の形状のハゼ部2を挟持できるようにしている。図4は、ハゼ部の断面形状を示す図である。本実施形態の挟持部22は、例えば図4に示す丸ハゼや各ハゼなど、種々のハゼ部2A~2Dを挟持可能である。
【0020】
咬合端部221は、ハゼ部2の側面と接する縦面221aと、折板屋根1の上面に接して太陽電池パネルPの荷重をかける底面221bとを有している。咬合端部221は、折板屋根1に取り付けられた際、折板屋根1に傷を付けないように少なくとも縦面221a及び底面221bを覆うゴム等のカバー221cを有してもよい。
【0021】
挟持部22は、接続部222を揺動軸(揺動中心)として揺動端部224を支持体から離す方向に移動させた場合に、対を成す挟持部22における各咬合端部221の間隔が開き、揺動端部224を支持体23へ近づける方向に移動させた場合に、各咬合端部221の間隔が閉じるように、揺動端部224と咬合端部221とが接続部222に対して配置されている。即ち、揺動端部224は、接続部222を支点として咬合端部221を開閉させる場合の力点となっている。揺動端部224は、左右の挟持部22L,22Rを向かい合わせた際に内側となる端辺における中央(X軸方向中央)に、第二ボルト255と係合する矩形状の係合凹部を備えている。
【0022】
支持体23は、略板状の部材であり、上面231が太陽電池パネルPの下面を支持する。上面231には、中央部を横断する溝231aが設けられ、この溝231aの側面に締結部25と嵌合する嵌合溝231bが設けられている。更に、上面231の平面視中央には、締結部25の第二ボルト255を通す貫通孔234が穿設されている。また、支持体23の下面232には、挟持部22と接続する嵌合凸部233が設けられている。
【0023】
締結部25は、第一ボルト251、支柱部252、中子部253、弾性部材254、及び第二ボルト255を備えている。
【0024】
支柱部252は、所定の間隔を空けて上下方向に立設される一対の側壁部252aと、各側壁部252aの上端を繋ぐ上板部252bとにより、中子部253を収容する空間の三方を囲む枠状の部材である。各側壁部252aの下端には、側壁部252aから外側へ突出し、支持体23の嵌合溝231bと嵌合する嵌合鍔部252dが設けられている。また、上板部252bには、締結部25の第一ボルト251を通す貫通孔252cが穿設されている。
【0025】
中子部253は、支柱部252の内側空間に収容される立方体の部材である。中子部253は、上下方向に貫通したネジ穴253aが設けられている。中子部253は、横断面
(X-Z断面)において、その外形が支柱部252の内側空間と相似な非円形であり、上下動可能となるように、内側空間に遊嵌されている。但し、支柱部252の内壁面と中子部253の側面との隙間は僅かであり、例えば第二ボルト255又は第一ボルト251が中子部253のネジ穴253aにネジ込まれ、Y軸回りの回転力を受けた場合でも、中子部253の側面が支柱部252の内壁面に突き当たることで、中子部253が第二ボルト255又は第一ボルト251と共に回ることが防止される。
【0026】
弾性部材254は、支柱部252の上板部252bと上面保持部24の下面との間に配置され、上下方向に伸縮するコイルバネである。なお、弾性部材254は、コイルバネに限らず、板バネやコイルバネ、ゴム、スポンジ等、他の弾性部材であってもよい。
【0027】
上面保持部24は、太陽電池パネルPの辺縁部上面を保持する板状部材であり、上面視中央部に第一ボルト251を通す貫通孔241が穿設されている。第一ボルト251が、上面保持部24の貫通孔241、弾性部材254の中空部、及び支柱部252の貫通孔252cを介して、中子部253のネジ穴253aに螺合されることで、上面保持部24が締結部25の支柱部252に対して取り付けられる。このとき上面保持部24は、支柱部252の上板部252bよりも外側へ張り出しており、この張り出した部分の下面が太陽電池パネルPと接し、支持体23との間で太陽電池パネルPを挟持する。このように、太陽電池パネルPを挟持する際、第一ボルト251が上面保持部24をネジ止めする構成であり、第一ボルト251の頭部が本実施形態における第一係止部である。なお、第一ボルト251は、頭部にフランジを有するフランジ付きボルトである。これに限らず、第一ボルト251は、ワッシャーを介して上面保持部24をネジ止めする構成であってもよい。
【0028】
上面保持部24は、周縁部の下面から支柱部252と当接する位置にかけて筋交状に斜めに延設され、上面保持部24の平面状の部分の姿勢を使用時において支柱部252に対して略垂直に保持するようにサポートするつっかい(突支)部242を備えている。上面保持部24は、第一ボルト251を中心として回転可能であり、第一ボルト251に対して突支部242が位置する方向を変えられるようになっている。
【0029】
また、第二ボルト255が、揺動端部224の下側から、支持体23の貫通孔234を介して、中子部253のネジ部251aがネジ穴253aに螺合される。このように、太陽電池パネルPを挟持する際、第二ボルト255が揺動端部224を支持体23に対して締め付ける構成であり、第二ボルト255の頭部255bが本実施形態における第二係止部である。なお、第二ボルト255は、ネジ部255aと頭部255bの接合部分に、横断面形状が方形の角根部255cを備えている。第二ボルト255が揺動端部224を係止する際、第二ボルト255の角根部255cが揺動端部224の係合凹部と係合することにより、第二ボルト255の回転が抑止される。
【0030】
上述のように、本実施形態の取付具20は、支持体23に挟持部22及び締結部25が取り付けられ、上面保持部24が締結部25に取り付けられて、一つのユニットとして形成される。
【0031】
次に、取付具20により、折板屋根1上に太陽電池パネルPを固定設置する手順を説明する。図5は、取付具20の取り付け手順を示す図である。
【0032】
先ず図5(a)のように挟持部22L,22Rの延設部223を左右方向(X軸方向)に引いて咬合端部221・221間を開き、ハゼ部2に被せてから咬合端部221・221を閉じることで図5(b)のようにハゼ部2を挟持する。図5(a)のように咬合端部221・221間を開くと、揺動端部224が第二ボルト255を引き下げ、中子部253を介して第一ボルト251も引き下げることになるが、弾性部材254が縮むことで第
一ボルト251や上面保持部24を外すことなく咬合端部221・221間を開くことができる。そして咬合端部221・221間を開く力をかけない状態では、弾性部材254の弾性力によって第一ボルト251が上方へ引き上げられ、中子部253を介して第二ボルト255も引き上げられることにより、揺動端部224が支持体23側に近づけられ、咬合端部221・221間が閉じて図5(b)の姿勢が保たれる。
【0033】
図5(b)に示すように、太陽電池パネルPの取り付け前の状態では、上面保持部24と支持体23との間隔LAが、太陽電池パネルPの厚さLBよりも大きくなるように設定されている。即ち、弾性部材254が上面保持部24を上方へ付勢し、上面保持部24と支持体23との間隔LAを保持しているので、太陽電池パネルPの辺縁部を上面保持部24と支持体23との間に差し入れることができ、一人で取り付け作業を行うような場合でも容易に取り付けることができる。
【0034】
そして、図5(c)に示すように、太陽電池パネルPの辺縁部を上面保持部24と支持体23との間に位置させた状態で、第一ボルト251を中子部253のネジ穴253aにネジ込む。これにより、第一ボルト251の頭部(第一係止部)と第二ボルト255の頭部(第二係止部)との間隔を狭め、第一ボルト251が上面保持部24を支持体23側へ締め付けて、上面保持部24と支持体23との間に太陽電池パネルPを挟持させる。これと共に、第二ボルト255が揺動端部224を支持体23側へ締め付け、この締め付けによって咬合端部221の間隔を閉じさせてハゼ部2を挟持する。
【0035】
このように、第一ボルト251を締める一つの動作で、太陽電池パネルPを挟持する動作とハゼ部2を挟持する動作を同時に行うことできるので、太陽電池パネルPを折板屋根1に設置する作業を容易にすることができる。
【0036】
なお、取付具20は、図6(a)に示すように、二つの太陽電池パネルPの間に配置され、両側の太陽電池パネルPを挟持する中間クランプとして用いられる場合と、片側の太陽電池パネルPを挟持するエンドクランプとして用いられる場合とがある。取付具20が、エンドクランプとして用いられる場合、例えば、図6(b)のように、片側でのみ太陽電池パネルPを挟持し、支柱部252を挟んで反対側に太陽電池パネルPが無いと、上面保持部24が傾いて、太陽電池パネルPが無い側の上面保持部24と支持体23との間隔LAが狭くなり、太陽電池パネルPを挟持している側の上面保持部24と支持体23との間隔LAが広がって、太陽電池パネルPが外れ易くなる可能性が考えられる。このため、取付具20が、エンドクランプとして用いられる場合、図7に示すように、支柱部252に対して太陽電池パネルPと反対側に突支部242を位置させ、突支部242が支柱部252の側面に突き当たることで、上面保持部24が傾くことを防止する。これにより取付具20が、エンドクランプとして用いられる場合でも、太陽電池パネルPを確実に挟持できる。なお、中間クランプとして用いられる場合には、上面保持部24を回転させて突支部242を太陽電池パネルPの間に位置させる。このように、上面保持部24を回転させて突支部242の位置を変えることで、取付具20は、中間クランプとエンドクランプを兼用できる。
【0037】
〈変形例〉
図8は、取付具の変形例を示す図である。上述の実施形態では、対を成す挟持部22L,22Rが共に、支持体23に対して揺動可能に接続された例を示したが、本変形例の取付具20Aは、一方の挟持部22Lが揺動可能に接続された構成となっている。なお、この他の構成は、前述の実施形態と同じである。
【0038】
図8に示すように、挟持部22Rは、接続部222Aが支持体23に固設されている。挟持部22L等については、前述と同じであるため再度の説明を省略する。本変形例では
、片側の挟持部22Lのみが揺動するので、咬合端部221間の開き量が少なくなるが、可動部が少なく、剛性が確保しやすいため信頼性を向上できると共に、組み立て工数が少なくなり、生産性を向上できる。
【0039】
〈その他〉
上記実施形態では、太陽電池パネルを折板那根に取り付ける例を示したが、取り付けるパネルは、太陽電池パネルに限らず、パワーコンディショナや太陽熱温水器など、少なくとも取付具に挟持される部分がパネル状のものであれば、他の装置であってもよい。例えば、看板や、表示装置、エアコンの室外機を固定するためのパネルなどであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 :折板屋根
2 :ハゼ部
20,20A:取付具
22 :挟持部
23 :支持体
24 :上面保持部
25 :締結部
221 :咬合端部
222 :接続部
223 :延設部
224 :揺動端部
P :太陽電池パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8