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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04225 20160101AFI20240826BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240826BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20240826BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20240826BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20240826BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20240826BHJP
【FI】
H01M8/04225
H01M8/04 Z
H01M8/04302
H01M8/04313
H01M8/04664
H01M8/04694
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021009522
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113347
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 雄介
(72)【発明者】
【氏名】堀田 真志
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-187830(JP,A)
【文献】特開2011-124043(JP,A)
【文献】特開2019-175798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0120445(US,A1)
【文献】特開2010-002264(JP,A)
【文献】特開2010-271190(JP,A)
【文献】特開平04-052513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00 - 9/42
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を含む燃料電池システムを制御する制御部と、前記燃料電池システムに関するデータを取得するセンサと、情報収集端末と、を備える燃料電池ユニットであって、
前記制御部は、
前記制御部よりも起動が遅い前記情報収集端末が起動するまで、前記センサにより取得される前記データをメモリに一時記憶し、
前記情報収集端末が起動した後に、前記メモリに一時記憶した前記データを前記情報収集端末へ送信する
ことを特徴とする燃料電池ユニット
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池ユニットであって、
前記制御部は、前記燃料電池システムに関するエラーのエラーコードと、前記エラーが発生した経緯に関する記録を前記データとして記憶する
ことを特徴とする燃料電池ユニット
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料電池ユニットであって、
前記情報収集端末は、前記制御部から送信された前記データの受信完了後に、前記データをサーバへアップロードする
ことを特徴とする燃料電池ユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムでは、正常に動作させるために、燃料電池システムにかかわるセンサ値や、制御変数などのデータを収集して、情報収集端末へ送信する必要がある。情報収集端末では、送信されたデータを上位装置であるサーバへ送信して、異常解析や設計開発に使用される。
【0003】
燃料電池システムにおいては、コンタクタ(リレー)の接点ON不良による電圧値異常や、燃料電池を構成する各セルの水詰まりによるセル電圧の低下など、起動直後に異常が発生する可能性がある。このため、燃料電池システムでは、起動直後からデータを収集して情報収集端末へ送信する必要がある。
【0004】
例えば、燃料電池システムにおける各種計器による計測結果などを収集できる燃料電池システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-187830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、情報収集端末の起動には燃料電池システムの起動よりも時間がかかることがあるため、燃料電池システムが起動してから、情報収集端末が起動するまでの間に燃料電池システムから送信されるデータの取りこぼしが発生する場合もある。
【0007】
また、軽量のOS(Operating System)を実装するCAN/IFなどハードウェア装置を設けた場合には、燃料電池システムが起動してから情報収集端末が起動されるまでのデータを収集することができる。しかしながら、別途ハードウェア装置を設けなければならず、ハードウェア構成が複雑化し筐体が巨大化するため好ましくない。
【0008】
別の手段として、情報収集端末を常時起動させることにより、データの取りこぼしを防ぐことができる。しかし、燃料電池システムに搭載されているバッテリから情報収集端末へ電力を供給し続けなければならず、バッテリあがりが懸念されるとともにエネルギーコストに無駄が生じるため好ましくない。
【0009】
本発明の一側面にかかる目的は、データの収集を確実に行うことができるとともに、ハードウェア構成の簡素化および制御の簡素化を図ることができる燃料電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る一つの態様の燃料電池システムは、燃料電池を含む燃料電池システムを制御する制御部と、前記燃料電池システムに関するデータを取得するセンサとを備える。前記制御部は、前記制御部よりも起動が遅い情報収集端末が起動するまで、前記センサにより取得される前記データをメモリに一時記憶し、前記情報収集端末が起動した後に、前記メモリに一時記憶した前記データを前記情報収集端末へ送信することを特徴とする。
【0011】
以上の構成により、制御部は、制御部よりも起動が遅い情報収集端末が起動するまで、センサにより取得されるデータをメモリに一時記憶する。そして、情報収集端末が起動した後に、メモリに一時記憶したデータを情報収集端末へ送信することができる。
【0012】
これにより、燃料電池システムが起動してから、情報収集端末が起動するまでの間に燃料電池システムの制御部から送信されるデータの取りこぼしを抑止することができる。
【0013】
また、別途CAN/IFなどのハードウェア装置を設けずに、燃料電池システムの制御部から送信されるデータの取りこぼしを抑止できることから、ハードウェア構成の簡略化を図ることができ、筐体のコンパクト化を図ることができる。
【0014】
さらに、情報収集端末を常時起動させることなく、燃料電池システムの制御部から送信されるデータの取りこぼしを抑止できることから、車両に採用した場合のバッテリあがりの問題を未然に防ぐことができる。
【0015】
また、前記制御部は、前記燃料電池システムに関するエラーのエラーコードと、前記エラーが発生した経緯に関する記録を前記データとして記憶することを特徴とする。
【0016】
これにより、燃料電池システムに異常が発生した場合に、異常の特定が容易になる。これにより、燃料電池システムの起動時に発生したエラーを容易に把握することができる。
【0017】
また、前記情報収集端末は、前記制御部から送信された前記データの受信完了後に、前記データをサーバへアップロードすることを特徴とする。
【0018】
これにより、燃料電池システムが起動してから、情報収集端末が起動するまでの間に生じたデータをサーバへアップロードすることで、現状異常解析や、設計開発のフィードバックに使用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、データの収集を確実に行うことができるとともに、ハードウェア構成の簡素化および制御の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係わる燃料電池ユニットの一例を示す図である。
図2】燃料電池システムと、情報収集端末との接続関係の一例を示す図である。
図3】燃料電池システムのFCECUと、情報収集端末の主制御基盤とのデジタル信号回路の一例を示す図である。
図4】燃料電池システムと情報収集端末とにおけるコネクタ端子間の電圧レベルに基づくシーケンスチャートの一例を示す図である。
図5】燃料電池システムのFCECUで実行されるデータ収集処理の一例を示すフローチャートである。
図6】情報収集端末の主制御基盤で実行されるデータ収集処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係わる燃料電池ユニット100の一例を示す図である。
【0022】
図1に示す燃料電池ユニット100は、フォークリフトなどの産業車両や電気自動車などの車両Veに搭載され、負荷に電力を供給する。なお、負荷は、走行用モータや荷役モータ、電装部品、コンピュータやメモリなどに電力を供給するための電源などである。
【0023】
燃料電池ユニット100は、燃料電池システム10と、情報収集端末20とを備える。燃料電池ユニット100は、図1に示していない他の構成を備えていてもよい。燃料電池システム10は、燃料電池11と、蓄電装置12と、センサ13と、メモリ14と、FCECU15と、リレー16とを備える。燃料電池システム10は、図1に示していない他の構成を備えていてもよい。
【0024】
燃料電池11は、水素タンクから供給される水素と、大気中から供給される空気中の酸素との化学反応により、電気エネルギーを生成する。すなわち、燃料電池11は、水素と酸素の化学反応により発電する。蓄電装置12は、燃料電池11により発電された電力を燃料電池11の発電状況や負荷の状況に応じて蓄電する。
【0025】
センサ13は、燃料電池11や蓄電装置12に関するセンサ値を取得する。センサ13は、FCECU15が制御対象を制御する際に参照する参照情報を入力するセンサである。センサ13が取得するセンサ値として、例えば、電圧、電流、温度、圧力などのセンサ値を取得する。センサ13が取得するセンサ値には、例えば、燃料電池11を構成するセルごとの電圧、温度、燃料電池11の排気(オフガス)の温度、外気の温度などの各種情報が含まれる。なお、FCECU15には、例えば、汎用のOSとは異なる専用のOSが搭載されている。
【0026】
メモリ14は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)などにより構成され、プログラム、センサ13により取得された各種センサ値、エラーコードなどのデータを記憶している。メモリ14には、センサ値に対応する閾値を記憶してもよい。メモリ14は、燃料電池システム10の内部に備えられている。図1では、メモリ14は、FCECU15とは別に構成されているがこの限りではなく、FCECU15の内部に構成されていてもよい。
【0027】
FCECU15は、燃料電池システム10全体の処理および動作を制御するものである。FCECU15は、制御部に対応する。FCECU15は、たとえば、汎用なICなどによって構成される。なお、FCECU15は汎用なICの代わりに、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成されていてもよい。FCECU15には、制御対象として、燃料電池11と、蓄電装置12と、センサ13と、メモリ14とが、それぞれ電気的に接続されている。
【0028】
FCECU15は、センサ13により取得したセンサ値を取得する。また、FCECU15は、センサ13により取得したセンサ値がエラーであるか否かを判定する。センサ値がエラーであるか否かの判定は、例えば、メモリ14に記憶されている所定の閾値との比較により判定することができる。センサ値がエラーであるか否かの判定は、他の方法により実施してもよい。FCECU15は、センサ値を含むデータを情報収集端末20へ送信する。センサ値にエラーがある場合には、当該エラーに対応するエラーコードとセンサ値とを含むデータを情報収集端末20へ送信する。
【0029】
なお、汎用OSが搭載されている情報収集端末20は、燃料電池システム10のFCECU15よりも起動が遅い。このため、FCECU15は、情報収集端末20が起動していない場合には、情報収集端末20が起動するまで、センサ13により取得されるセンサ値を含むデータをメモリ14に一時記憶する。その後、情報収集端末20が起動した場合には、FCECU15は、メモリ14に一時記憶していたデータを情報収集端末20へ送信する。情報収集端末20へ送信されるデータは、エラーコードの他に、エラーが発生した直前の数秒間のデータが好ましい。エラーが発生した直前の数秒間のデータは、エラーが発生した経緯に関するデータに相当する。データの取得時間の長さは、必要に応じて適宜設定されてよい。
【0030】
リレー16は、FCECU15の制御に基づき、蓄電装置12から情報収集端末20へ供給する12Vの電力の供給を開始または停止を行う。キーONされた場合には、FCECU15は、リレー16をONにして情報収集端末20への電力の供給を開始し、情報収集端末20の稼働を開始させる。キーOFFされた場合には、FCECU15は、リレー16をOFFにして情報収集端末20への電力の供給を停止し、情報収集端末20の稼働を終了させる。
【0031】
情報収集端末20は、電源制御部21と、主制御基盤22と、携帯通信アンテナ23とを備える。
【0032】
電源制御部21は、燃料電池システム10と電気的に接続され、燃料電池システム10から供給された12Vの電力を主制御基盤22へ供給する。
【0033】
主制御基盤22は、情報収集端末20全体の処理および動作を制御するものである。主制御基盤22は、たとえば、汎用なICなどによって構成される。なお、主制御基盤22は汎用なICの代わりに、CPU、マルチコアCPU、またはプログラマブルなデバイス(FPGAやPLD)などにより構成されていてもよい。主制御基盤22には、制御対象として、電源制御部21と、携帯通信アンテナ23とが、それぞれ電気的に接続されている。主制御基盤22には、汎用のOSが搭載されているため、燃料電池システム10よりも起動に時間がかかる。また、情報収集端末20の主制御基盤22は、燃料電池システム10のFCECU15と電気的に接続されている。
【0034】
携帯通信アンテナ23は、燃料電池システム10から取得したデータを主制御基盤22の制御に基づきサーバへアップロードする。
【0035】
図2は、燃料電池システム10と、情報収集端末20との接続関係の一例を示す図である。図2に示すように、燃料電池システム10(FCECU15)と、情報収集端末20(主制御基盤22)との間で、バッテリ電圧、GNDおよびデジタル信号、CAN通信のデータが通信可能に接続されている。
【0036】
デジタル信号は、情報収集端末20の主制御基盤22から燃料電池システム10のFCECU15に対し出力されるONまたはOFFの信号である。情報収集端末20の電源がONの状態、すなわち、情報収集端末20のCAN通信が可能な状態である場合には、情報収集端末20の主制御基盤22は、燃料電池システム10に対し出力するデジタル信号をOFFからONへ切り替える。情報収集端末20の電源がOFFの状態、すなわち、情報収集端末20が終了状態である場合には、情報収集端末20の主制御基盤22は、燃料電池システム10に対し出力するデジタル信号をONからOFFへ切り替える。
【0037】
図3は、燃料電池システム10のFCECU15と、情報収集端末20の主制御基盤22とのデジタル信号回路の一例を示す図である。デジタル信号回路として、例えば、プルアップ回路を採用することができる。図3に示すように、デジタル信号回路は、コネクタ間の端子電圧により信号のON/OFF(12V/0V)により、電源がOFF状態であるのか、またはON状態でありCAN通信が可能な状態であるのかを判定することができる。
【0038】
図4は、燃料電池システム10と情報収集端末20とにおけるコネクタ端子間の電圧レベルに基づくシーケンスチャートの一例を示す図である。図4(1)は、リレー16の接続状態を示し、図4(2)は、情報収集端末20の電源状態を示している。 FCECU15の制御に基づき、リレー16をONにして蓄電装置12が情報収集端末20へ接続されると、T1において、情報収集端末20に対する電源印加が開始され、情報収集端末20の起動が開始される。但し、情報収集端末20が起動するまでは、数十秒かかるので、この間に異常なセンサ値などデータがある場合には、燃料電池システム10のFCECU15は、データをメモリ14に一時保存する。
【0039】
T1から数十秒経過して、T2において、情報収集端末20の電源がON(起動中)となると、燃料電池システム10のFCECU15は、一時保存しておいたデータをCAN通信により情報収集端末20へ送信する。そして、FCECU15の制御に基づき、リレー16がOFFに切り替えられると、T3において、情報収集端末20に対する電源印加が終了となり、燃料電池システム10から情報収集端末20へのデータの送信も終了する。
【0040】
図5は、燃料電池システム10のFCECU15で実行されるデータ収集処理の一例を示すフローチャートである。
【0041】
はじめに、FCECU15は、情報収集端末20から出力されているデジタル信号値の読み取りを行う(ステップS11)。FCECU21は、情報収集端末20の起動が完了したか否かを判定する(ステップS12)。
【0042】
この処理では、情報収集端末20から送信されたデジタル信号値がONであるかOFFであるかを判定する。情報収集端末20から送信されたデジタル信号値がONである場合には、情報収集端末20の起動が完了していないと判定され(ステップS12:No)、FCECU15は、各種データをメモリ14に保存し、処理はステップS11へ戻る。
【0043】
情報収集端末20から送信されたデジタル信号値がOFFである場合には、情報収集端末20の起動は完了したと判定され(ステップS12:Yes)、処理はステップS14へすすむ。ステップS14において、FCECU15は、メモリ14へ保存したデータを情報収集端末20へ送信する(ステップS14)。
【0044】
すなわち、FCECU15は、情報収集端末20の起動が完了するまでの間、各種データをメモリ14へ保存するステップS11~S13の処理を繰り返し実行する。そして、情報収集端末20の起動が完了したら、FCECU15は、メモリ14へ保存したデータを情報収集端末20へ送信する(ステップS14)。これにより、情報収集端末20の起動が完了するまでの間のデータを確実に情報収集端末20へ送信することができる。
【0045】
ステップS15において、FCECU15は、燃料電池システム10の稼働が終了したか否かを判定する。この処理では、例えば、FCECU15は、キーOFFされたか否かに基づき、燃料電池システム10の稼働が終了したか否かを判定することができる。FCECU15は、情報収集端末20から送信されたデジタル信号値がOFFであるか否かに基づいて、燃料電池システム10の稼働が終了したか否かを判定してもよい。
【0046】
燃料電池システム10が稼働している場合(ステップS15:No)には、FCECU15は、データを情報収集端末20へ送信する(ステップS16)。すなわち、燃料電池システム10が稼働している場合には、FCECU15は、データを情報収集端末20へ送信し続ける。
【0047】
そして、燃料電池システム10の稼働が終了した場合(ステップS15:Yes)には、FCECU15は、情報収集端末20へのデータの送信は停止され、FCECU15で実行されるデータ収集処理は終了となる。
【0048】
図6は、情報収集端末20の主制御基盤22で実行されるデータ収集処理の一例を示すフローチャートである。図6の主制御基盤22が実行するデータ収集処理は、例えば、燃料電池システム10のリレー16がONされたことを契機として開始される。図6の主制御基盤22が実行するデータ収集処理は、例えば、燃料電池システム10からの電力の供給が開始されたことを契機として開始してもよい。
【0049】
はじめに、主制御基盤22は、情報収集端末20の起動処理を行う(ステップS21)。この処理では、主制御基盤22は、情報収集端末20を構成する各機器の初期化処理を行う。起動処理では、情報収集端末20を起動するために必要な一連のプログラムが実行される。起動処理としては、例えば、情報収集端末20と燃料電池システム10との間のCAN通信が問題なく行われているか判断する処理などが実行される。
【0050】
ステップS21の起動処理が終了した場合には、主制御基盤22は、燃料電池システム10へ出力するデジタル信号をOFFからONへ切り替える(ステップS22)。主制御基盤22は、情報収集端末20の稼働が終了しているか否かを判定する(ステップS23)。情報収集端末20の稼働が終了したか否かの判定は、例えば、燃料電池システム10のリレー16がOFFされたか否かに基づいて、判定することができる。情報収集端末20の稼働が終了したか否かの判定は、例えば、燃料電池システム10からの電力の供給が停止されたことに基づいて、判定してもよい。
【0051】
情報収集端末20の稼働が終了している場合(ステップS23:Yes)には、主制御基盤22は、燃料電池システム10へ出力するデジタル信号をONからOFFへ切り替える(ステップS26)。
【0052】
情報収集端末20の稼働が終了する場合には、これ以上CAN通信によりデータを取得する必要がないことから、情報収集端末20の主制御基盤22で実行されるデータ収集処理は終了となる。
【0053】
情報収集端末20の稼働が終了していない、すなわち、情報収集端末20が稼働中である場合(ステップS23:No)には、主制御基盤22は、燃料電池システム10から送信されたデータをCAN通信により取得する(ステップS24)。
【0054】
主制御基盤22は、ステップS23で取得したデータを携帯通信アンテナ23によりサーバへアップロードする(ステップS25)。主制御基盤22は、情報収集端末20の稼働が終了するまでの間ステップS23~S25の処理を繰り返し実行することにより、燃料電池システム10から送信されたデータの取得およびサーバへのアップロードをし続ける。そして、情報収集端末20の稼働が終了した場合(ステップS23:Yes)には、主制御基盤22は、燃料電池システム10へ出力するデジタル信号をONからOFFへ切り替える(ステップS26)。この場合、これ以上CAN通信によりデータを取得する必要がないことから、情報収集端末20の主制御基盤22で実行されるデータ収集処理は終了となる。
【0055】
以上の構成により、FCECU15は、FCECU15よりも起動が遅い情報収集端末20が起動するまで、センサ13により取得されるデータをメモリ14に一時記憶する。そして、情報収集端末20が起動した後に、メモリ14に一時記憶したデータを情報収集端末20へ送信することができる。
【0056】
これにより、燃料電池システム10が起動してから、情報収集端末20が起動するまでの間に燃料電池システム10のFCECU15から送信されるデータの取りこぼしを抑止することができる。
【0057】
また、別途CAN/IFなどのハードウェア装置を設けずに、燃料電池システム10のFCECU15から送信されるデータの取りこぼしを抑止できることから、ハードウェア構成の簡略化を図ることができ、筐体のコンパクト化を図ることができる。
【0058】
さらに、情報収集端末20を常時起動させることなく、燃料電池システム10のFCECU15から送信されるデータの取りこぼしを抑止できることから、車両Veに採用した場合の蓄電装置12のバッテリあがりの問題を未然に防ぐことができる。
【0059】
また、FCECU15は、燃料電池システム10に関するエラーのエラーコードと、エラーが発生した経緯に関する記録をデータとして記憶する。
【0060】
これにより、燃料電池システム10が起動してから、情報収集端末20が起動するまでの間に生じたエラーとエラーコードとを含むデータの取りこぼしを抑止することができる。これにより、燃料電池システム10の起動時に発生したエラーを容易に把握することができる。
【0061】
また、情報収集端末20は、FCECU15から送信されたデータの受信完了後に、データをサーバへアップロードとする。
【0062】
これにより、燃料電池システム10が起動してから、情報収集端末20が起動するまでの間に生じたデータをサーバへアップロードすることで、現状異常解析や、設計開発のフィードバックに使用することができる。
【0063】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0064】
例えば、上述の実施形態においては、FCECU15は、センサ13により取得された素のデータをセンサ値として取得しているがこの限りではない。例えば、FCECU15は、センサ13により取得したデータの結果から算出される(すなわち、一義的に決まる)算出結果をセンサ値として取得してもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 燃料電池システム
11 燃料電池
12 蓄電装置
13 センサ
14 メモリ
15 FCECU
16 リレー
20 情報収集端末
21 電源制御部
22 主制御基盤
23 携帯通信アンテナ
100 燃料電池ユニット
Ve 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6