(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/38 20200101AFI20240826BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20240826BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20240826BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20240826BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240826BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20240826BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20240826BHJP
D06F 58/02 20060101ALI20240826BHJP
D06F 58/04 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
D06F58/38
F26B21/00 H
F24F7/06 B
F24F7/08 Z
F24F7/007 B
F24F13/22 221
F24F13/02 Z
D06F58/02 J
D06F58/04
(21)【出願番号】P 2021029939
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 開斗
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-184791(JP,A)
【文献】特開2018-036006(JP,A)
【文献】特開2004-193855(JP,A)
【文献】特開平05-084217(JP,A)
【文献】特開2008-151460(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0041562(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103547729(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/38
F26B 21/00
F24F 7/06
F24F 7/08
F24F 7/007
F24F 13/22
F24F 13/02
D06F 58/02
D06F 58/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物が収容されて温風投入口から温風が投入される乾燥室と、
前記温風を生成して前記温風投入口に通じる温風路に供給可能な温風生成部と、
屋内に敷設されて屋外に通じる排気ダクトが接続される排気風路と、
前記乾燥室から排気を取り込んで排気風路に送出する排気ファンと、
前記排気ファン及び前記温風生成部を作動させて前記乾燥室に対して温風の投入と排気の排出を行って当該乾燥室に収容された乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転を実行可能な運転制御部と、を備えた乾燥装置であって、
前記排気ダクトの外表面に結露が発生するか否かを判定する結露発生判定部と、
前記結露発生判定部により前記排気ダクトの外表面に結露が発生すると判定されたときに前記排気ファンを作動させる結露防止用送風運転を実行する結露防止制御部と、を備え
、
前記排気風路の温度を排気風路温度として検知する排気風路温度検知部と、
屋外から前記排気ダクト内への外気の流入を検知する外気流入検知部と、を備え、
前記結露発生判定部が、前記外気流入検知部により前記排気ダクト内への外気の流入が検知され、且つ、前記排気風路温度検知部で検知された排気風路温度が所定の設定排気風路温度以下に低下した場合に、前記排気ダクトの外表面に結露が発生すると判定する乾燥装置。
【請求項2】
前記排気風路の温度を排気風路温度として検知する排気風路温度検知部と、
屋内空気の温度を内気温度として検知する内気温度検知部と、を備え、
前記結露発生判定部が、前記排気風路温度検知部で検知された排気風路温度と前記内気温度検知部で検知された内気温度との間に所定の設定温度幅以上の温度差があった場合に、前記排気ダクトの外表面に結露が発生すると判定する請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記内気温度検知部として、
前記温風生成部の非作動時における前記温風路の温度を前記内気温度として検知する温風路温度検知部、及び、前記温風生成部の非作動時における前記乾燥室の温度を前記内気温度として検知する乾燥室温度検知部の少なくとも一方を備える請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記排気ダクトの外表面に結露が発生しない温暖期であるか否かを判定する温暖期判定部を備え、
前記結露防止制御部は、前記温暖期判定部で温暖期であると判定したときには前記結露防止用送風運転の実行を禁止する請求項1~
3の何れか1項に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記結露防止制御部は、前記結露防止用送風運転において、前記温風生成部を作動させて前記乾燥室に温風を投入する請求項1~
4の何れか1項に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥室に収容された濡れた衣類などの乾燥対象物を乾燥させるための乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥室から排気風路を通じて排出された排気を屋外へ導く排気ダクトを屋内に敷設して備えた乾燥装置が知られている(例えば特許文献1を参照。)。このような乾燥装置は、乾燥室から取り込んだ排気を排気風路に送出する排気ファンを作動させながら、温風路を通じて温風生成部で生成された温風を乾燥室に投入することで、乾燥室へ収容した濡れた衣類などの乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転を実行可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾燥装置が設置された屋内の気圧が当該屋内の換気状態などの要因で屋外よりも低くなる場合がある。特に冬期などの寒冷期において、乾燥運転を実行していない乾燥運転非実行時に屋内の気圧が屋外よりも低くなると、屋外から乾燥装置の排気ダクト内に冷気が流入し、その流入した冷気により排気ダクト自身が冷却され、結果、冷却された排気ダクトの外表面に結露が発生する場合がある。
このような排気ダクトの外表面における結露の発生を防止する方法としては、一般的に、排気ダクトの外表面を断熱材で完全に覆うことで、冷却された排気ダクトの外表面に対して屋内空気が接触しないようにする方法がある。しかしながら、このような方法では、断熱材の材料費や施工費が嵩み、乾燥装置の拡販および設置率の向上に対して大きな障害となる。
また、排気ダクトへの断熱材の施工を簡素化又は省略するために、外気温度などに基づいて作動する電動シャッターを排気ダクト内に設置して、屋外から排気ダクト内への冷気の流入を防止することが考えられるが、このような電動シャッターの追加は、イニシャルコストの増加を招く上に、乾燥室から排気ダクト内に排出される衣類埃による作動不良等が問題となる。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、乾燥室から排気風路を通じて排出された排気を屋外へ導く排気ダクトを屋内に敷設して備えた乾燥装置において、廉価で合理的な構成を採用しながら、排気ダクトの外表面における結露の発生を適切に防止することができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、乾燥対象物が収容されて温風投入口から温風が投入される乾燥室と、
前記温風を生成して前記温風投入口に通じる温風路に供給可能な温風生成部と、
屋内に敷設されて屋外に通じる排気ダクトが接続される排気風路と、
前記乾燥室から排気を取り込んで排気風路に送出する排気ファンと、
前記排気ファン及び前記温風生成部を作動させて前記乾燥室に対して温風の投入と排気の排出を行って当該乾燥室に収容された乾燥対象物を乾燥させる乾燥運転を実行可能な運転制御部と、を備えた乾燥装置であって、
前記排気ダクトの外表面に結露が発生するか否かを判定する結露発生判定部と、
前記結露発生判定部により前記排気ダクトの外表面に結露が発生すると判定されたときに前記排気ファンを作動させる結露防止用送風運転を実行する結露防止制御部と、を備えた点にある。
【0006】
本構成によれば、上記結露防止用送風運転が実行されて排気ファンが作動されると、屋内空気が温風路を通じて乾燥室に流入すると共に、その流入した屋内空気が排気風路及び排気ダクト内を通流した後に屋外へ排出されることになる。そして、乾燥運転を実行していない乾燥運転非実行時に排気ダクト自体がその内部に流入した冷気によって冷却されることに起因して排気ダクトの外表面に結露が発生する可能性がある場合には、上記結露発生判定部による結露発生の判定に伴って上記のような結露防止用送風運転が実行される。すると、排気ダクト内には乾燥室から屋外に向けて屋内空気が通流するので、排気ダクト自身の温度を屋内空気の温度(本願では屋内空気の温度を「内気温度」と呼ぶ場合がある。)と略同等又はそれ以上にまで昇温させることができる。よって、排気ダクトの外表面を断熱材で覆わずに当該外表面に屋内空気が接触する場合であっても、排気ダクトの外表面における結露の発生を適切に防止することができる。
従って、本発明により、乾燥室から排気風路を通じて排出された排気を屋外へ導く排気ダクトを屋内に敷設して備えた乾燥装置において、廉価で合理的な構成を採用しながら、排気ダクトの外表面における結露の発生を適切に防止することができる技術を提供することができる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記排気風路の温度を排気風路温度として検知する排気風路温度検知部と、
屋内空気の温度を内気温度として検知する内気温度検知部と、を備え、
前記結露発生判定部が、前記排気風路温度検知部で検知された排気風路温度と前記内気温度検知部で検知された内気温度との間に所定の設定温度幅以上の温度差があった場合に、前記排気ダクトの外表面に結露が発生すると判定する点にある。
【0008】
本構成によれば、排気風路温度検知部で検知される排気風路温度は、排気ダクト自身の温度と略同等のものとなる。よって、排気風路温度に対する内気温度の温度差を把握することにより、排気ダクト自身の温度に対する内気温度の温度差を把握することができる。そこで、結露発生判定部は、このことを利用して、排気風路温度と内気温度との間に所定の設定温度幅以上の温度差があった場合、具体的には排気風路温度が内気温度に対して設定温度幅以上低温である場合には、排気ダクトの外表面が内気温度よりも低温であることにより当該排気ダクトの外表面に結露が発生すると判定することができる。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記内気温度検知部として、
前記温風生成部の非作動時における前記温風路の温度を前記内気温度として検知する温風路温度検知部、及び、前記温風生成部の非作動時における前記乾燥室の温度を前記内気温度として検知する乾燥室温度検知部の少なくとも一方を備える点にある。
【0010】
本構成によれば、温風生成部が温風を生成していない当該温風生成部の非作動時において、上記温風路温度検知部で検知される温風路の温度や、上記乾燥室温度検知部で検知される乾燥室の温度は、それら温風路や乾燥室に流入する屋内空気の温度である内気温度と略同等のものとなる。よって、排気風路温度に対する温風路や乾燥室の温度の温度差を把握することにより、排気ダクト自身の温度に対する内気温度の温度差を把握することができる。そこで、結露発生判定部は、このことを利用して、排気風路温度と温風路や乾燥室の温度との間に所定の設定温度幅以上の温度差があった場合、具体的には排気風路温度が温風路や乾燥室の温度に対して設定温度幅以上低温である場合には、排気ダクトの外表面が内気温度よりも低温であることにより当該排気ダクトの外表面に結露が発生すると判定することができる。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、前記排気風路の温度を排気風路温度として検知する排気風路温度検知部と、
屋外から前記排気ダクト内への外気の流入を検知する外気流入検知部と、を備え、
前記結露発生判定部が、前記外気流入検知部により前記排気ダクト内への外気の流入が検知され、且つ、前記排気風路温度検知部で検知された排気風路温度が所定の設定排気風路温度以下に低下した場合に、前記排気ダクトの外表面に結露が発生すると判定する点にある。
【0012】
本構成によれば、外気流入検知部により排気ダクト内への外気の流入が検知された場合において、排気風路温度検知部で検知される排気風路温度は、排気ダクト内に流入した冷気の温度に略相当する。そこで、結露発生判定部は、このことを利用して、排気ダクト内に流入した冷気の温度に相当する排気風路温度が例えば内気温度に応じて設定された所定の設定ダクト内温度以下に低下した場合には、排気ダクトの外表面が内気温度よりも低温であることにより当該排気ダクトの外表面に結露が発生すると判定することができる。
【0013】
本発明の第5特徴構成は、前記排気ダクトの外表面に結露が発生しない温暖期であるか否かを判定する温暖期判定部を備え、
前記結露防止制御部は、前記温暖期判定部で温暖期であると判定したときには前記結露防止用送風運転の実行を禁止する点にある。
【0014】
本構成によれば、温暖期判定部により温暖期であると判定された場合には結露防止制御部により結露防止用送風運転の実行が禁止されるので、排気ダクトの外表面に結露が発生しない温暖期における無用な排気ファンの作動を防止することができる。
【0015】
本発明の第6特徴構成は、前記結露防止制御部は、前記結露防止用送風運転において、前記温風生成部を作動させて前記乾燥室に温風を投入する点にある。
【0016】
本構成によれば、結露防止用送風運転において温風生成部を作動させて乾燥室に温風を投入することで、排気ダクト内には乾燥室から屋外に向けて温風が通流するので、排気ダクト自身の温度を内気温度以上にまで昇温させて、排気ダクトの外表面における結露の発生をより一層確実に防止することができる。更に、乾燥運転に先立って、温風生成部を作動させながら結露防止用送風運転を実行することにより、乾燥室を予め昇温させることができるので、次の乾燥運転の運転時間(乾燥時間)を短縮して、省エネルギー性及び使用感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】衣類乾燥装置が備える制御部の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る乾燥装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す本実施形態の衣類乾燥装置1は、衣類などの乾燥対象物Aを乾燥させるための乾燥装置であって、この衣類乾燥装置1の筐体10内には、前扉15を開放して内部に形成された乾燥室13に乾燥対象物Aが投入される回転ドラム12と、当該乾燥室13に温風HGを供給するための温風生成部30と、当該乾燥室13から排気EGを排出するための排気風路23及び排気ファン20と、これら温風生成部30や排気ファン20の作動を制御する制御部50などが設けられている。
【0019】
回転ドラム12は、略水平の回転軸周りに回転自在に支持されており、駆動モータ25によりベルトB12を介して回転駆動される。この回転ドラム12の内部には、乾燥対象物Aが収容されて温風投入口36から温風HGが投入される乾燥室13が形成されている。また、乾燥室13の前方側壁面には、温風投入口36が乾燥室13に臨む姿勢で開口しており、乾燥室13の後方側は、フィルタ17が装着された開口を通じて排気ファン20の一次側(吸引側)に連通されている。
乾燥室13の前方側壁面には、当該乾燥室13の温度である乾燥室温度T13を計測する乾燥室サーミスタ13t(乾燥室温度検知部の一例)が設けられている。
【0020】
温風生成部30は、温風HGを生成して温風投入口36に通じる温風路35に供給可能に構成されており、回転ドラム12の下方には、温風生成部30として機能するバーナ31が設けられている。バーナ31は、燃料供給弁33を通じて供給された燃料ガスを燃料ノズル32から噴出して筐体10内から温風路35に流入する燃焼用空気CAにより燃焼させて、高温の燃焼排ガスを生成する。そして、この高温の燃焼排ガスが、温風HGとして、温風路35を経て温風投入口36から乾燥室13に投入される。また、筐体10内には、底面に形成された開口部を通じて屋内Rから屋内空気RAが流入可能であり、その流出した屋内空気RAが燃焼用空気CAとしてバーナ31が設けられた温風路35に流入可能である。
温風路35には、当該温風路35の温度である温風路温度T35を計測する温風路サーミスタ35t(温風路温度検知部の一例)が設けられている。
【0021】
排気風路23は、屋内Rに敷設されて屋外Oに通じる排気ダクト22が接続される風路である。そして、排気ファン20は、乾燥室13から排気EGを取り込んで排気風路23及び排気ダクト22内に送出するファンであって、駆動モータ25によりベルトB20を介して回転駆動される。そして、排気ファン20が回転駆動されて作動することにより、乾燥室13から屋外Oへ向けて排気風路23及び排気ダクト22内に通風させることができる。
排気風路23には、当該排気風路23の温度である排気風路温度T23を計測する排気風路サーミスタ23t(排気風路温度検知部の一例)が設けられている。
また、排気ダクト22内には、屋外Oから排気風路23及び排気ダクト22内への外気の流入を検知する風圧スイッチ24(外気流入検知部の一例)が設けられている。
【0022】
制御部50は、
図2に示すように、乾燥室13に投入した乾燥対象物Aを乾燥させるための乾燥運転等を実行する運転制御部51として機能する。即ち、運転制御部51が実行する乾燥運転では、駆動モータ25で回転駆動させる形態で排気ファン20が作動されると共に、燃料供給弁33を開弁してバーナ31へ燃料ガスを供給して燃焼させる形態でバーナ31(温風生成部30)が作動される。すると、乾燥室13に対して、バーナ31による温風HGの投入と、排気ファン20による排気EGの排出とが行われることによって、乾燥室13に収容された乾燥対象物Aに温風HGにより乾燥させることができる。
そして、運転制御部51は、上記乾燥運転において、温風路サーミスタ35tで計測される温風路温度T35に基づいてバーナ31の作動を確認しながら、乾燥室サーミスタ13tで計測される乾燥室温度T13及び排気風路温度T23で計測される排気風路温度T23に基づいて乾燥対象物Aの乾燥度を推定することができる。
【0023】
以上のような衣類乾燥装置1の構成では、特に冬期などの寒冷期において乾燥運転の非実行時に屋内Rの気圧が屋外Oよりも低くなると、屋外Oから排気ダクト22内に冷気が流入して、その流入した冷気により排気ダクト22自身が冷却されて、その冷却された排気ダクト22の外表面22oに結露が発生することが懸念される。そこで、本実施形態の衣類乾燥装置1は、廉価で合理的な構成を採用しながら、排気ダクト22の外表面22oにおける結露の発生を適切に防止することができる特徴構成を有しており、その詳細について以下に説明を加える。
【0024】
本実施形態の衣類乾燥装置1には、詳細については後述するが、制御部50が機能する形態で、内気温度検知部53と、結露発生判定部54と、温暖期判定部55と、結露防止制御部56とが設けられている。
【0025】
内気温度検知部53は、屋内空気RAの温度を内気温度Trとして検知する手段であって、例えば屋内R又は筐体10内に設置されたサーミスタ(図示省略)により直接的に内気温度Trを計測するものであってもよいが、本実施形態では、温風路サーミスタ35t及び乾燥室サーミスタ13tの少なくとも一方の計測結果を用いて内気温度Trを検知するものとして構成されている。
即ち、温風生成部30が温風HGを生成していない当該温風生成部30の非作動時において、温風路サーミスタ35tで計測される温風路温度T35や乾燥室サーミスタ13tで計測される乾燥室温度T13は、それら温風路35や乾燥室13に流入する屋内空気RAの温度である内気温度Trと略同等のものとなる。よって、内気温度検知部53は、温風生成部30を作動させていない乾燥運転の非実行時において、温風路サーミスタ35tや乾燥室サーミスタ13tで計測される温風路温度T35や乾燥室温度T13を内気温度Trとして検知することができる。
【0026】
結露発生判定部54は、排気ダクト22の外表面22oに結露が発生するか否かを判定する手段である。
具体的に、結露発生判定部54は、以下に示す複数の判定方法で排気ダクト22の外表面22oに結露が発生するか否かを判定することができる。
先ず、第1の判定方法では、結露発生判定部54は、排気風路サーミスタ23tで検知された排気風路温度T23と内気温度検知部53で検知された内気温度Trとの間に所定の設定温度幅(例えば10℃~20℃の範囲内の温度幅)以上の温度差あった場合に、排気ダクト22の外表面22oに結露が発生すると判定する。
即ち、排気風路温度T23が内気温度Trに対して上記設定温度幅以上低温である場合には、排気ダクト22の外表面22oが内気温度Trよりも低温であることにより当該排気ダクト22の外表面22oに結露が発生すると判定される。
【0027】
第2の判定方法では、結露発生判定部54は、風圧スイッチ24により排気風路23及び排気ダクト22内への外気の流入が検知され、且つ、排気風路サーミスタ23tで検知された排気風路温度T23が所定の設定排気風路温度(例えば10℃~30℃の範囲内の温度)以下に低下した場合に、排気ダクト22の外表面22oに結露が発生すると判定する。
尚、別の判定方法として、結露発生判定部54は、外気温度(屋外Oの温度)が所定の設定外気温度以下となったときに排気ダクト22の外表面22oに結露が発生すると判定することもできる。
【0028】
そして、結露防止制御部56は、上記結露発生判定部54により排気ダクト22の外表面22oに結露が発生すると判定されたときに排気ファン20を作動させる結露防止用送風運転を実行するように構成されている。
即ち、乾燥運転を実行していない乾燥運転非実行時に排気ダクト22自体がその内部の排気ダクト22内に流入した冷気によって冷却されることに起因して排気ダクト22の外表面22oに結露が発生する可能性がある場合には、結露発生判定部54による結露発生の判定に伴ってのような結露防止用送風運転が実行される。このような結露防止用送風運転が実行されて排気ファン20が作動されると、屋内空気RAが温風路35を通じて乾燥室13に流入すると共に、その流入した屋内空気RAが排気風路23及び排気ダクト22内を順に通流した後に屋外Oへ排出されることになる。すると、排気ダクト22自身の温度を屋内空気RAの温度と略同等又はそれ以上にまで昇温させることができる。よって、排気ダクト22の外表面22oを断熱材で覆わずに当該外表面22oに屋内空気RAが接触する場合であっても、排気ダクト22の外表面22oにおける結露の発生を適切に防止することができる。
【0029】
温暖期判定部55は、カレンダー機能等を利用して、夏期や中間期のように排気ダクト22の外表面22oに結露が発生しない温暖期であるか否かを判定する手段である。
そして、結露防止制御部56は、温暖期判定部55で温暖期であると判定したときには結露防止用送風運転の実行を禁止する。このことで、排気ダクト22の外表面22oに結露が発生しない温暖期における無用な排気ファン20の作動が防止されている。
【0030】
更に、結露防止制御部56は、上述のような結露防止用送風運転を、結露発生判定部54で結露が発生すると判定されなくなるまでの間実行することができるが、結露発生判定部54の判定結果に拘らず一定時間実行後に結露防止用送風運転を終了しても構わない。また、その終了時点から一定時間経過するまでの間は、結露発生判定部54の判定結果に拘らず結露防止用送風運転の実行を禁止することで、排気ダクト22の外表面22oにおける結露発生の状態が継続する場合には一定時間間隔で結露防止用送風運転を繰り返し実行して、合理的に結露の発生を抑制することができる。
【0031】
更に、結露防止制御部56は、温風生成部30を作動させて乾燥室13に温風HGを投入する形態で、上述の結露防止用送風運転を実行するように構成することができる。このように、結露防止用送風運転において温風生成部30を作動させて乾燥室13に温風HGを投入することで、排気ダクト22内には乾燥室13から屋外Oに向けて温風HGが通流する。すると、排気ダクト22自身の温度を内気温度Tr以上にまで昇温させることができるの、排気ダクト22の外表面22oにおける結露の発生がより一層確実に防止される。更に、乾燥運転に先立って、温風生成部30を作動させながら結露防止用送風運転を実行すれば、乾燥室13を予め昇温させることができるので、次の乾燥運転の運転時間(乾燥時間)が短縮されて、省エネルギー性及び使用感が向上される。
【0032】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0033】
(1)上記実施形態では、温風生成部30を、屋内Rから取り込んだ屋内空気RAを燃焼用空気CAとして燃料ガスを燃焼させて燃焼排ガスを温風HGとして生成するバーナ31で構成したが、屋内Rから取り込んだ屋内空気RAを加熱して加熱空気を温風HGとして生成する電気ヒータで構成しても構わない。
【0034】
(2)上記実施形態では、乾燥室13は、略水平の回転軸周りに回転する回転ドラム12内部に形成された空間として説明したが、乾燥室13の構成は適宜改変可能であり、例えば、略鉛直の回転軸周りに回転する縦型回転槽内部に形成された空間を乾燥室としたり、固定の室内を乾燥室とすることもできる。
【0035】
(3)上記実施形態では、結露発生判定部54は、排気風路温度T23や内気温度Trや風圧スイッチ24の検知結果を用いて間接的に推定する形態で、排気ダクト22の外表面22oに結露が発生するか否かを判定したが、例えば、排気ダクト22の外表面22oに貼設した漏水センサ等の検知結果に基づいて直接的に、排気ダクト22の外表面22oに結露が発生したか否かを判定しても構わない。
【符号の説明】
【0036】
1 衣類乾燥装置(乾燥装置)
13 乾燥室
13t 乾燥室サーミスタ(乾燥室温度検知部)
20 排気ファン
22 排気ダクト
22o 外表面
23 排気風路
23t 排気風路サーミスタ(排気風路温度検知部)
24 風圧スイッチ(外気流入検知部)
30 温風生成部
31 バーナ(温風生成部)
35 温風路
35t 温風路サーミスタ(温風路温度検知部)
36 温風投入口
50 制御部
51 運転制御部
53 内気温度検知部
54 結露発生判定部
55 温暖期判定部
56 結露防止制御部
A 乾燥対象物
EG 排気
HG 温風
O 屋外
R 屋内
RA 屋内空気
T13 乾燥室温度
T23 排気風路温度
T35 温風路温度
Tr 内気温度