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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】エキシマランプ
(51)【国際特許分類】
   H01J 65/00 20060101AFI20240826BHJP
   H01J 61/067 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H01J65/00 D
H01J61/067 N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021037753
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137996
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】栗山 晴男
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和泉
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-011763(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225303(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 65/00
H01J 61/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ガスが封入され、発光部が設けられた外側管と、
少なくとも前記発光部の端部の外表面に設けられる外側電極と、
前記外側管内に同軸配置された内側電極とを備え、
被照射物が周囲に流れるジャケット管の内部に設置可能であり、
前記外側電極が、膜状に形成され、少なくとも前記発光部において、その厚さが0.1μm~0.5μmの範囲内であり、
前記外側電極が、前記発光部と前記発光部の先端に設けた小径部との間に設けられた縮径する曲面形状の肩部において、少なくとも一部に設けられていることを特徴とするエキシマランプ。
【請求項2】
波長200nm以下にピーク波長を有する紫外線を放射し、
前記ジャケット管内に設置したときの前記外側電極の外表面から前記ジャケット管の内表面までの離間距離は、前記発光部の外表面から放射される紫外線の紫外線強度比が50%に減衰する透過距離以下であることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
【請求項3】
前記離間距離は、3mm以下であって、
前記外側電極は、ランプ軸方向に沿って均一な厚さを有する膜状に形成されることを特徴とする請求項2に記載のエキシマランプ。
【請求項4】
前記外側電極の一部が、前記発光部において、ランプ軸方向又はランプ周方向に所定間隔で離間する複数の帯状部分として形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項5】
放電ガスが封入され、発光部が設けられた外側管と、
少なくとも前記発光部の端部の外表面に設けられる外側電極と、
前記外側管内に同軸配置された内側電極とを備え、
被照射物が周囲に流れるジャケット管の内部に設置可能であり、
前記外側電極が、膜状に形成され、少なくとも前記発光部において、その厚さが0.1μm~0.5μmの範囲内であり、
前記外側電極の一部が、前記発光部において、ランプ軸方向に延び、ランプ周方向に所定間隔で離間する3つの帯状部分として形成されていることを特徴とするエキシマランプ。
【請求項6】
前記外側電極が、前記肩部の周方向全体を覆うように、設けられていることを特徴とする請求項のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項7】
前記外側電極が、前記発光部の少なくとも一方の端部から前記肩部を介して前記小径部にまで渡って、設けられていることを特徴とする請求項に記載のエキシマランプ。
【請求項8】
前記外側電極は、前記被照射物と同電位となるように、アース側へ電気的に接続され、前記発光部内で生じた放電から放射された紫外線を含む光に対する光反射性を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項9】
前記外側電極は、乾式メッキ法により成膜されたアルミニウム膜により形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項10】
放電ガスが封入され、発光部が設けられた外側管と、
少なくとも前記発光部の端部の外表面に設けられる外側電極と、
前記外側管内に同軸配置された内側電極とを備え、
被照射物が周囲に流れるジャケット管の内部に設置可能であり、
前記外側電極が、膜状に形成され、少なくとも前記発光部において、その厚さが0.1μm~0.5μmの範囲内であり、
前記内側電極は、少なくとも一部が誘電体に被覆され、
前記小径部がチップ管であり、
前記誘電体の先端部が、前記チップ管内に入り込み、
前記内側電極のランプ軸に沿った先端位置が、前記チップ管よりも後端側にあることを特徴とするエキシマランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプに関し、特に、ランプ電極の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
エキシマランプでは、発光管内に希ガスを封入し、発光管の外表面に設けられた外側電極と、発光管内に設けられた内側電極との間に電圧を印加することによって放電し、エキシマ光が放射される。エキシマ光として紫外線を照射可能であり、紫外線照射によるオゾン発生などを行う光源として利用することができる。
【0003】
例えば、エキシマランプの周囲をジャケット管や保護管などの光透過性のある容器で囲み、紫外線照射の対象となる流体(洗浄水など)の流れる流路にジャケット管を配置し、あるいは、流体の流れる容器に対してエキシマランプを容器外表面に近接配置する構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-39028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エキシマ光として照射される紫外線(特に、波長172nm)はその到達距離が他の波長域の光と比べて短い。したがって、ジャケット管や照射窓などの容器内表面とエキシマランプ外表面との間の隙間が大きくなると、紫外線照射対象物(被照射物)に紫外線が十分到達せず、紫外線照射による効果が低減する。一方で、エキシマランプは発光管の外表面に外側電極を配設する構成であり、ランプ外表面の周囲にスペースが要求される。
【0006】
したがって、被照射物に対して紫外線を有効に照射できるエキシマランプを提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエキシマランプは、放電ガスが封入され、発光部が設けられた外側管と、少なくとも発光部の端部の外表面に設けられる外側電極とを備え、被照射物が周囲に流れるジャケット管の内部に設置可能である。例えば、外側電極の一部が、前記発光部において、ランプ軸方向又はランプ周方向に所定間隔で離間する複数の帯状部分として形成することが可能である。また、内側電極は、例えば、少なくとも一部が誘電体に被覆されるように構成可能である。エキシマランプは、所定のピーク波長の紫外線を放射するように構成することが可能であり、例えば、波長200nm以下にピーク波長を有する紫外線を放射するように構成することができる。
【0008】
本発明の外側電極は、膜状に形成され、少なくとも発光部において、その厚さが0.1μm~0.5μmの範囲内に定められている。この厚さは、紫外線のピーク波長や減衰特性、あるいは、ジャケット管内へ設置したときのジャケット管との距離間隔などを考慮して、その厚さを定めることが可能である。波長200nm以下にピーク波長を有する紫外線を放射する場合、ジャケット管内に設置したときの前記外側電極の外表面から前記ジャケット管の内表面までの離間距離を、前記発光部の外表面から放射される紫外線の紫外線強度比が50%に減衰する透過距離以下となるようにすることができる。この場合、例えば、離間距離を3mm以下とし、外側電極を、ランプ軸方向に沿って均一な厚さを有する膜状に形成することが可能である。外側電極の一部は、発光部において、ランプ軸方向又はランプ周方向に所定間隔で離間する複数の帯状部分として形成可能である。例えば、外側電極の一部は、発光部において、ランプ軸方向に延び、ランプ周方向に所定間隔で離間する3つの帯状部分として形成される。
【0009】
外側電極は、発光部と発光部の先端に設けた小径部との間に設けられた縮径する曲面形状の肩部において、少なくとも一部に設けることができる。例えば、外側電極は、発光部の少なくとも一方の端部から肩部を介して小径部にまで渡って、設けることができる。ここで、小径部は、外側管の径一定部分より径が小さい部分を示し、例えば管軸(ランプ軸)に沿って形成可能である。外側電極は、被照射物と同電位となるように、アース側へ電気的に接続することができる。外側電極は、発光部内で生じた放電から放射された紫外線を含む光に対する光反射性を有し、乾式メッキ法により成膜されたアルミニウム膜により形成することができる。
【0010】
小径部がチップ管として構成される場合、誘電体の先端部が、チップ管内に入り込み、内側電極のランプ軸に沿った先端位置が、チップ管よりも後端側にあるように構成することが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被照射物に対して紫外線を有効に照射できるエキシマランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態であるエキシマランプの概略的平面図である。
図2】エキシマランプの概略的内部構成を示した断面図である。
図3図1のラインIII-IIIに沿った概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態であるエキシマランプの平面図である。図2は、エキシマランプの概略的内部構成を示した断面図である。図3は、図1のラインIII-IIIに沿ったエキシマランプの概略的断面図である。
【0015】
エキシマランプ10は、ここでは紫外線を放射し、例えば、波長172nmの紫外線を放射する。エキシマランプ10は、光透過性のあるジャケット管11の内部に設置された状態で、紫外線照射対象となる流体の流れる管路に配置される。
【0016】
エキシマランプ10の放電容器(発光管)は、石英ガラスなどの誘電材料から成る断面略円筒状の外側管20と断面略円柱状の内側管30を備え、外側管20内の放電空間Sには、キセノンガスなどの希ガスや希ガスとハロゲンガスとの混合ガスが放電ガスとして封入されている。
【0017】
外側管20内には、管軸すなわちランプ軸Eに沿って延びる内側電極40が配置されている。ここでは、内側電極40は、外側管20に対して同軸的に配置された箔状の電極であって、誘電材料から成る内側管30によって埋設(被覆)されている。内側電極40は、内側管30と外側管20との間に形成される放電空間Sに露出せず、内側管30内に埋設されている。内側電極40の一端40Eは、外部から延びる給電線60に接続されている。
【0018】
外側管20は、ランプ中央部を含む径一定の発光部24と、発光部24の両端に径が縮小していく縮径部(以下、肩部という)28を備え、肩部28と繋がる小径部(チップ管、封止管)21、22を設けている。小径部21、22は、ランプ製造の過程で形成されるものであり、その外径R2、R3は、肩部28と両端で繋がる発光部24の外径R0より小さい。小径部21は、径が略一定で先端封止して有底円筒状に構成される円筒部29を有する。小径部22は、内側管30の後端側の一部が外側管20に覆われずにランプ後端に向けてランプ軸Eに沿って突出した部分であり、内部を給電線60が貫通している。
【0019】
小径部21、22を設けたエキシマランプ10の製造工程としては、例えば、まず内側給電線に接続する内側電極(箔電極)を内側管(円筒状誘電体)内に挿入し、外部から加熱して内側管と箔電極とを溶着させる。そして、内側管の挿入入口付近の内側電極端部において、他の軸方向範囲よりも外径が大きい部分である、いわゆるそろばん形状の封止部を形成する。
【0020】
一方、一端に排気管(チップ管)を形成し、他端に挿入口を設けた外側管を形成し、内部電極を内部に埋設した内側管(柱状誘電体)を外側管内に挿入する。そして、挿入口で外側管をそろばん形状封止部(内側管の大径部)と溶着させ、外側管と内側管とからなる放電容器を形成する。発光管内を加熱しながら排気管を通じて真空引きをして、排気管から放電用ガスを封入した後、排気管を封止し、外側管の外表面に外側電極を設ける。
【0021】
このようなランプ製造工程を経て製造された外側管20の小径部21は、排気管に基づいて形成された部分であり、小径部22は、内側電極挿入口側(後端側)に対応している。そのため、小径部21、22には、その端部(封止部)まで略径一定である円筒部が形成される。
【0022】
外側管20の外表面20Sには、外側電極50が設けられている。ここでは、外側電極50は、外側管20の外表面20Sにおいて、離間する3つの帯状部分の隙間となる領域をマスキングして、外側電極50を設ける領域を紫外線照射して表面処理した後に、スパッタリングにより外側管20の外表面20Sに直接形成する。外側電極50の厚さは、スパッタ処理する成膜時間の長さによって調整可能である。例えば、耐オゾン性のあるアルミニウム膜などの金属膜によって構成される。その他、白金や、これらの合金など、変質や劣化なく使用できる金属であれば適用できる。外側電極50は、外側管20の両端付近で周方向に沿った外表面全体を覆う一方、その間の径一定の発光部24では、紫外線放射の障害とならないように一部表面のみ覆っていることで、外側管20の外表面20Sを透過する紫外線が、外側電極50に遮られる面積を抑えることができる。さらに金属膜が、放電空間Sで生じた放電から放射された紫外線を含む光や、放電容器の内表面に塗布された蛍光体膜から放射された光に対する光反射性を兼ねるとよい。このように外側電極50への光吸収を軽減して、離間する3つの帯状部分の隙間から外部へ放射されることで、被照射物に対して紫外線を有効に照射できる。
【0023】
さらに外側電極50は、小径部21側の外側管20の端部から肩部28、そして小径部21に渡って周方向全体を覆うように、外側管20および小径部21の外表面に設けられている。外側電極50は、被照射物と同電位となるように、小径部21を介して外部の給電線(図示せず)によりアース側へ電気的に接続されている。なお、図2、3では、外側電極50の厚みを誇張して描いている。また、肩部28、円筒部29の一部のみ外側電極50が覆うように構成してもよい。
【0024】
図3に示すように、外側管20の発光部24表面には、ランプ軸Eに沿って延びる3本の帯状部分52、54、56が外側電極50の一部として設けられ、周方向に所定間隔(ここでは等間隔)離れて配置されている。
【0025】
本実施形態の外側電極50の一部は、ランプ軸方向又はランプ周方向に所定間隔で離間して外側管20の外表面20Sにおいて膜状に形成しているため、外側電極50の縁部(エッジ)が発光部24や肩部28の範囲に形成される。しかし、スパッタリングにより外側管20の外表面20Sに直接形成することで、外側電極50の内表面と外側管20の外表面20Sとが一体として馴染んでいるため、外側管20の外表面20Sから剥離することを防止できる。このような外側電極50は、ジャケット管の軸方向に沿って均一な厚さを有する膜状に形成され、その厚さrが0.1μm~0.5μmの範囲に定められている。表面に外側電極が形成された外側管の切断面を走査型電子顕微鏡によって観察することができるが、スパッタリングにより外側管の外表面に直接形成された外側電極50を設けることにより、外側電極50の厚さを実質的に考慮する必要がないので、外側電極の外表面からジャケット管の内表面までの離間距離は、外側管の外表面からジャケット管の内表面までの離間距離と実質的に同一となる。その結果、エキシマランプ10の最大径部分である発光部24の外径R0を、ジャケット管11の内径R1に出来る限り近づけることが可能となり、ジャケット管11の内表面と外側管20(発光部24)の外表面20Sとの離間距離が狭まる。ここで、外側管20内の放電空間Sで生じた放電から放射された紫外線が、ジャケット管11周囲を通る流体などの被照射物に十分到達させるために、エキシマランプの外表面から放射する紫外線の紫外線強度比が、好ましくは50%、より好ましくは80%に減衰する透過距離以下の離間距離とする。好ましくは3mm以下、より好ましくは1mmの離間距離とすることができる。なお、外側電極50は、肩部28、小径部21において、その厚さrが0.5μm以上あってもよい。一方で外側電極50の厚さを薄くすると、耐電流、電気抵抗による不均一な放電、耐オゾンの観点から望ましくない。そして、単なる導電線の巻き付けや、導電性フィルムやシールの貼り付け等よりも、付着力の強いスパッタリングによって外側電極を形成することにより、外側電極と外側管との間に隙間が生じるのを防ぎ、不要な放電発生(異常放電)や放電に伴うオゾン等の化合物の発生を防止することができる。このような外側電極50に対して、内側電極40は、誘電材料から成る内側管30によって埋設(被覆)されずに、放電空間Sに露出してもよい。また、ランプ軸に沿って径一定の円柱状の内側電極としてもよい。
【0026】
箔状の内側電極40は幅方向の中心から縁部に向けて先鋭化し、その厚さは幅方向の中心部の厚さに比べて薄くなり、縁部は尖ってナイフエッジ形状になっている。一方、外側電極50の一部として、3本の帯状部分52、54、56が、発光部24の両端付近に設けられた外側電極50と繋がるとともに、周方向に等間隔離れて設けられている。3つの帯状部分52、54、56は互いに径方向で対向する位置に配置されてないため、内側電極40の2つの縁部との周方向の位置関係により、電界集中が生じて電解強度の強い領域が形成される。このような外側電極50に対して、円柱状の内側電極としたときにも、帯状部分52、54、56の縁部との位置関係により、電界集中が生じて電界強度の強い領域が形成される。
【0027】
図3に示す位置関係においては、Y方向に沿った幅方向となるように配置された内側電極40の上側の縁部と外側電極の帯状部分54との間に電界強度の高い領域が形成される。これに対して、内側電極40の幅方向がY方向に対して斜めとなるように配置された位置関係のときでも、内側電極40の下側の縁部と外側電極の帯状部分52または56との間に電界強度が高い領域を形成される。
【0028】
このように、外側電極の帯状部分と箔状の内側電極40の縁部との周方向の位置関係に製造誤差があったときでも、比較的低い入力電圧によっても安定した放電が生じやすくなり、点灯性や放電状態などのランプ性能のバラツキが少なくなる。また、外力や電流による断線のおそれのない幅の3つの帯状部分52、54、56だけを設けることにより、外側管の外表面20Sを透過する紫外線が遮られる面積を抑えることができる。なお、ランプ周方向に3つの帯状部分を外側電極50の一部として形成してもよい。また、3つ以外の複数の帯状部分を形成してもよい。
【0029】
厚さrを抑えた膜状外側電極50の外側管の外表面20Sへの配置、および3本の帯状部分52、54、56の発光部24への形成に加え、本実施形態では、内側電極40の少なくとも一部(例えば、先端部31や後端側の一部)は、誘電材料から成る内側管30によって埋設(被覆)され、内側管30の先端部31が小径部21に入り込む一方、内側電極40の先端部41は小径部より後端側に配置され、小径部21内にまで入り込んでいない。
【0030】
内側管30の先端部31は先細く、ここでは砲弾型形状になっている。一方、小径部21と外側管20との内面は、ここでは繋ぎ目が分からないように連続的で滑らかな曲面形状になっている。内側管30は、その先端部31の外表面31Sの一部で接触部23と接することで位置決めされ、外側管20によって支持されている。
【0031】
内側管30の先端部頂点31Tと内側電極40の先端部41とのランプ軸Eに沿った距離間隔Lは、箔状の内側電極40のランプ径方向端の縁部40Lと内側管30の外周面30Sとの最短距離間隔Tよりも長い。すなわち、内側管30に埋設された内側電極40のランプ軸E方向に沿った絶縁距離が、径方向に沿った絶縁距離よりも長い。
【0032】
上述したように、エキシマランプ10は、その小径部21の外表面に外側電極50が設けられている。また、箔状の内側電極40の縁部40Lは、ここでは幅方向の中心から縁に向けて先鋭化したナイフエッジ形状となっている。このような電極形状の内側電極40に対して高電圧が印加されると、縁部40Lにおいて(特に先端部41)電界集中が生じる。
【0033】
しかしながら、絶縁距離として距離間隔L(内側管30のランプ軸方向の厚さ)を確保しているため、小径部21の外表面に設けた外側電極50との間での絶縁破壊を防ぐことができる。その結果、比較的低い入力電圧によっても内側電極40と外側電極50の帯状部分との間で偏りの少ない均一な放電が良好に生じ、紫外線が発光部24全体から放射される。
【0034】
また、内側電極40の先端部41のランプ軸Eに沿った位置が、小径部21よりもランプ中央側にあり、小径部21に入り込まないことにより、肩部28、小径部21に設けられた外側電極50、あるいは外側電極50と同電位で肩部28、小径部21付近に設置された導電体との間で絶縁破壊が生じるのを抑制することができる。なお、小径部21は、放電空間側に延びる構成にしてもよい。
【0035】
また、放電容器の内表面に蛍光体膜を塗布した構成にしてもよく。このときには、内側管30の先端部31は先細の形状とし、小径部21と放電容器Sとの内面は繋ぎ目が分からないように連続的で滑らかな曲面の形状の肩部28として、内側管30は、その先端部31の外表面31Sの一部で接触部23と接することにより、塗料を放電容器内に流入流出させた時に、接触部23付近に澱みや気泡が発生せず、先端部31や肩部28のみが膜厚が著しく大きくなる状態や、塗布されていない状態を防ぐことができる。
【0036】
小径部21の内表面において、少なくとも円筒部29の底部付近の内表面には、蛍光体膜を塗布されていない構成にしてもよい。円筒部29の底部付近の内表面を放電空間Sに露出させることにより、放電用ガスを封入して気密封止する工程において、封止を確実に行うことができ、円筒部29の底部付近を起点としたクラックの発生を防ぐことができる。
【0037】
蛍光体膜以外に紫外線反射膜などの膜を形成することも可能である。さらに、箔状の内側電極に限定されず、外側管と内側管とからなる二重管構造の放電容器以外のエキシマランプに対しても適用することが可能である。また、外側電極を形成する方法としては、スパッタリングに限定されず、蒸着やCVDなど他の乾式めっき法によって形成することも可能である。外側管の表面に対し隙間がないように、外側電極の全体に渡って形成していればよい。
【符号の説明】
【0038】
10 エキシマランプ
20 外側管
24 発光部
30 内側管
40 内側電極
50 外側電極
図1
図2
図3