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特許7543198押出発泡シート及び押出発泡シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】押出発泡シート及び押出発泡シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/14 20060101AFI20240826BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20240826BHJP
   B29C 48/10 20190101ALI20240826BHJP
   B29C 48/32 20190101ALI20240826BHJP
【FI】
C08J9/14 CET
B29C44/00 E
B29C48/10
B29C48/32
C08J9/14 CFD
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021059670
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156132
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000131810
【氏名又は名称】株式会社ジェイエスピー
(74)【代理人】
【識別番号】100126413
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 太亮
(72)【発明者】
【氏名】角田 博俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔
(72)【発明者】
【氏名】久保田 真史
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/054536(WO,A1)
【文献】特開2000-136257(JP,A)
【文献】特開2012-201818(JP,A)
【文献】特開2014-201708(JP,A)
【文献】特開2006-328318(JP,A)
【文献】特開2008-50426(JP,A)
【文献】特開2010-77180(JP,A)
【文献】特開2015-67665(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098489(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60
B29C 48/32
B29C 48/10
B29C 67/20
C08J 9/00-9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂との混合樹脂を基材樹脂としており、
見掛け密度が50kg/m以上200kg/m以下、且つ、独立気泡率が70%以上であり、
前記混合樹脂は、前記ポリスチレン系樹脂を30質量%以上95質量%以下、且つ、前記ポリ乳酸系樹脂を5質量%以上70質量%以下の比率で含んでおり(ただし、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)、
前記ポリスチレン系樹脂が、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体であり、
前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における(メタ)アクリル酸成分の含有量が、2質量%以上10質量%以下である、
押出発泡シート。
【請求項2】
前記混合樹脂は、前記ポリスチレン系樹脂を40質量%以上80質量%以下、且つ、前記ポリ乳酸系樹脂を20質量%以上60質量%以下の比率で含む(ただし、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)、
請求項1に記載の押出発泡シート。
【請求項3】
前記ポリスチレン系樹脂のガラス転移温度が110℃以上125℃以下である、
請求項1又は2に記載の押出発泡シート。
【請求項4】
前記ポリスチレン系樹脂の、温度200℃、荷重5kgで測定されるMFRが0.5g/10分以上2.0g/10分以下である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の押出発泡シート。
【請求項5】
前記ポリ乳酸系樹脂は、L-乳酸とD-乳酸との共重合体であり、前記D-乳酸の含有率が3質量%以上12質量%以下である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の押出発泡シート。
【請求項6】
ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂と物理発泡剤とを混練してなる発泡性溶融樹脂を環状ダイから押出し且つ発泡させる工程を有する、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリ乳酸系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする押出発泡シートの製造方法であって、
前記混合樹脂は、前記ポリスチレン系樹脂を30質量%以上95質量%以下、且つ、前記ポリ乳酸系樹脂を5質量%以上70質量%以下の比率で含んでおり(ただし、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)、
前記ポリスチレン系樹脂が、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体であり、
前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における(メタ)アクリル酸成分の含有量が、2質量%以上10質量%以下であり、
前記押出発泡シートの見掛け密度が50kg/m以上200kg/m以下、且つ、独立気泡率が70%以上である、
押出発泡シートの製造方法。
【請求項7】
前記物理発泡剤は、炭素数3から5の飽和炭化水素から選ばれた少なくとも1種類を含む、
請求項6に記載の押出発泡シートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出発泡シート及び押出発泡シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製発泡シートは、軽量性、成形性及び剛性等に優れ、例えば、ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られる成形体は、食品容器等の広範な用途で使用される。こうした成形体はプラスチックごみとして廃棄されると、マイクロプラスチックの発生源になることが懸念されている。そこで、環境負荷を低減した樹脂を用いた発泡シートが望まれている。環境負荷低減に寄与する樹脂としては、ポリ乳酸が注目されている。ポリ乳酸は、バイオマス由来の原料から重合することができ、生分解性を有するプラスチックであり、且つ、物性に優れるとされている。
【0003】
押出発泡シートの分野において、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸との混合樹脂を基材樹脂とすることが検討されている。特許文献1には、ポリ乳酸とポリスチレン系樹脂と相溶化剤とを含む樹脂組成物を原料とし、所定の発泡倍率、厚みの発泡シートが開示されている。特許文献2には、ポリ乳酸系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有するポリ乳酸系樹脂組成物からなる所定密度の発泡体が開示され、具体的には発泡シートが記載されている。また、特許文献3には、スチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂とを含むスチレン系樹脂組成物を発泡してなる、所定の物性を有する発泡シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-328318号公報
【文献】特開2010-77180号公報
【文献】国際公開第2020/54536号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、軽量性を向上させるために発泡倍率の高い発泡シートを得る点で改善の余地があり、また、外観や成形性及び耐熱性の観点からも改善の余地があった。特許文献2、3の技術では、外観等が良好な発泡シートを安定的に製造する観点で改善の余地があり、また、剛性の観点からも改善の余地があった。また、特許文献2、3の技術では、容器等の成形体を成形可能な成形条件の範囲を広く確保する観点でも改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、環境負荷低減性と発泡性に優れ、外観が良好で、剛性の高い押出発泡シート、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次の(1)から(7)に示す開示を要旨とする。
【0008】
(1)ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂との混合樹脂を基材樹脂としており、
見掛け密度が50kg/m以上200kg/m以下、且つ、独立気泡率が70%以上であり、
前記混合樹脂は、前記ポリスチレン系樹脂を30質量%以上95質量%以下、且つ、前記ポリ乳酸系樹脂を5質量%以上70質量%以下の比率で含んでおり(ただし、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)、
前記ポリスチレン系樹脂が、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体であり、
前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における(メタ)アクリル酸成分の含有量が、2質量%以上10質量%以下である、
押出発泡シート。
(2)前記混合樹脂は、ポリスチレン系樹脂を40質量%以上80質量%以下、且つ、ポリ乳酸系樹脂20質量%以上60質量%以下の比率で含む(ただし、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)、
上記(1)に記載の押出発泡シート。
(3)前記ポリスチレン系樹脂のガラス転移温度が110℃以上125℃以下である、上記(1)又は(2)に記載の押出発泡シート。
(4)前記ポリスチレン系樹脂の、温度200℃、荷重5kgで測定されるMFRが0.5以上2.0以下である、上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の押出発泡シート。
(5)前記ポリ乳酸系樹脂は、L-乳酸とD-乳酸との共重合体であり、前記D-乳酸の含有率が3%以上12%以下である、上記(1)から(4)のいずれか一つに記載の押出発泡シート。
(6)ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂との混合樹脂と物理発泡剤とを混練してなる発泡性溶融樹脂を環状ダイから押出し且つ発泡させる工程を有する、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂との混合樹脂を基材樹脂とする押出発泡シートの製造方法であって、
前記混合樹脂は、前記ポリスチレン系樹脂を30質量%以上95質量%以下、且つ、前記ポリ乳酸系樹脂を5質量%以上70質量%以下の比率で含んでおり(ただし、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)、
前記ポリスチレン系樹脂が、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体であり、
前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における(メタ)アクリル酸成分の含有量が、2質量%以上10質量%以下であり、
前記押出発泡シートの見掛け密度が50kg/m以上200kg/m以下、且つ、独立気泡率が70%以上である、
押出発泡シートの製造方法。
(7)前記物理発泡剤は、炭素数3から5の飽和炭化水素から選ばれた少なくとも1種類を含む、
上記(6)に記載の押出発泡シートの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、環境負荷低減性と発泡性に優れ、外観が良好で、剛性の高い押出発泡シート、およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について以下の順序で説明する。
1 押出発泡シート
2 押出発泡シートの製造方法
【0011】
なお、本発明は、以下に説明する実施の形態等に限定されない。
【0012】
[1 押出発泡シート]
[1-1 構成]
本発明にかかる押出発泡シートは、ポリスチレン樹脂とポリ乳酸系樹脂系との混合樹脂を基材樹脂とする。
【0013】
(ポリスチレン系樹脂)
ポリスチレン系樹脂は、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体である。本明細書において、「(メタ)アクリル酸」という言葉は、アクリル酸とメタクリル酸とを包含する概念を示すものとする。スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体としては、スチレンとアクリル酸との共重合体、スチレンとメタクリル酸との共重合体等が例示される。中でも、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体としては、スチレンとメタクリル酸との共重合が好ましい。ただし、スチレンとアクリル酸との共重合体は、メタクリル酸がさらに少量共重合されたもの、メタクリル酸メチルやアクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル及び/又はアクリル酸アルキルエステルが第三成分として少量共重合されたものでもよい。スチレンとメタクリル酸との共重合体は、アクリル酸がさらに少量共重合されたもの、メタクリル酸メチルやアクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル及び/又はアクリル酸アルキルエステルが第三成分として少量共重合されたものでもよい。ただし第三成分による影響を抑制する観点からは、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における、スチレン及び(メタ)アクリル酸以外の共重合の含有量は3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であることが更に好ましい。
【0014】
((メタ)アクリル酸成分の含有量)
スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における(メタ)アクリル酸成分の含有量が2質量%以上10質量%以下である。(メタ)アクリル酸成分の含有量が、2質量%未満(0質量%を含む)であると、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のガラス転移温度やビカット軟化温度が低く、押出発泡シートの耐熱性が不十分となるおそれがある。また、押出発泡シートの外観が悪化するおそれがある。上記観点から、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における(メタ)アクリル酸成分の含有量が、4質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましい。一方、(メタ)アクリル酸成分の含有量が、10質量%を超えると、押出発泡シートの剛性が不十分となるおそれがある。また、押出発泡シートの独立気泡率が低下し、剛性や耐衝撃性等の物性、熱成形性等が損なわれるおそれがある。さらに、押出発泡シートの製造時において、押出発泡が安定せず、押出発泡シートの生産性が低下するおそれがある。上記観点からは、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における(メタ)アクリル酸成分の含有量が、9質量%以下であることが好ましい。なお、スチレンと共重合される(メタ)アクリル酸成分が複数種類用いられる場合、(メタ)アクリル酸成分の含有量は、これら複数種類の(メタ)アクリル酸成分の合計を示す。
【0015】
(ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度)
ポリスチレン系樹脂の耐熱性は、ビカット軟化点温度で評価することができる。本発明にかかる押出発泡シートに使用されるポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度は108℃以上であることが好ましい。ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度が108℃以上であることにより、十分な耐熱性を有する押出発泡シートを得ることが容易となる。上記観点から、ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度は110℃以上であることがより好ましく、115℃以上であることが更に好ましい。ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の上限は、樹脂の流動性等の観点から、概ね150℃であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。
【0016】
(ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の測定)
ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度はJIS K7206:1999のA50法にて求められる。
【0017】
(ポリスチレン系樹脂のガラス転移温度)
ポリスチレン系樹脂のガラス転移温度Tgが110℃以上125℃以下であることが好ましい。ポリスチレン系樹脂のガラス転移温度がこの範囲内である場合、押出発泡シートの耐熱性が確保されやすくなる。また、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸との混合樹脂を基材樹脂とする押出発泡シートの製造において、発泡温度を好適な範囲に調整しやすく、得られる押出発泡シートの物性や外観が良好なものとなりやすくなる。上記観点から、ポリスチレン系樹脂のガラス転移温度Tgが115℃以上123℃以下であることが好ましい。
【0018】
(ポリスチレン系樹脂のガラス転移温度の測定)
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法に準拠し、熱流束示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
【0019】
(ポリスチレン系樹脂のMFR)
ポリスチレン系樹脂の、温度200℃、荷重5kgで測定されるMFR(メルトフローレイト)が0.5g/10分以上2.0g/10分以下であることが好ましく、1.0g/10分以上、1.8g/10分以下であることがより好ましい。MFRがこの範囲内であることにより、押出発泡シートの独立気泡率の低下を抑制しやすく、押出発泡シートの熱成形性の向上や、押出発泡シートの機械的強度や剛性を向上させることが容易となる。
【0020】
(ポリスチレン系樹脂のMFRの測定)
ポリスチレン系樹脂のMFRは、JIS K7210-1:2014に基づき、200℃、荷重5kgの条件で測定される値として特定することができる。
【0021】
(ポリ乳酸系樹脂)
ポリ乳酸系樹脂は、乳酸成分単位を50モル%以上含むポリマーとして定義される。ポリ乳酸系樹脂には、例えば、次の(1)から(5)で示すポリマー(コポリマーを含む)や、(1)から(5)の何れかの組み合わせによる混合物等が包含される。
【0022】
(1)乳酸の重合体(ポリマー)、
(2)乳酸とその他(乳酸以外)の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、
(3)乳酸と脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、
(4)乳酸と脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、そして
(5)乳酸と脂肪族多価アルコールとのコポリマー。
【0023】
上記乳酸の具体例としては、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸又はそれらの環状2量体であるL-ラクチド、D-ラクチド、DL-ラクチド又はそれらの混合物を挙げることができる。その他(乳酸以外)の脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、酒石酸、クエン酸などを例示することができる。脂肪族多価カルボン酸としては、ブタンテトラカルボン酸などを例示することができる。脂肪族多価アルコールとしては、例えばグリセリンを例示することができる。
【0024】
乳酸成分単位を構成する化合物(モノマー)としては、上記したようにD体とL体の2種類(以下、それぞれD体化合物とL体化合物と呼ぶことがある)の光学異性体が挙げられる。ポリ乳酸系樹脂としては、L体化合物のみ、D体化合物のみ及びL体化合物とD体化合物の両方のいずれが用いられたものであってもよい。
【0025】
ポリ乳酸系樹脂としては、(1)乳酸の重合体が好ましい。乳酸の重合体としては、L-乳酸の単独重合体(PLLA)、D-乳酸の単独重合体(PDLA)、L-乳酸とD-乳酸との共重合体、PLLAとPDLAとの混合物等が例示される。発泡性の観点からは、ポリ乳酸系樹脂は、L-乳酸とD-乳酸との共重合体であることが好ましい。
【0026】
ポリ乳酸系樹脂の製造方法は、特に限定されない。例えば、ポリ乳酸系樹脂の製造方法は、乳酸又は乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法、乳酸の環状二量体(ラクチド)を重合する開環重合法等を挙げることができる。
【0027】
(ポリ乳酸系樹脂のD体含有率)
ポリ乳酸系樹脂のD体含有率(質量%)は、特に限定されるものでないが、0.5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂のD体含有率が少ないほど、ポリ乳酸系樹脂の結晶性が向上し、耐熱性が向上する傾向がある。一方、ポリ乳酸系樹脂のD体含有率が多いほど、ポリ乳酸系樹脂の結晶性が低下し(非晶性が強まり)、発泡性を向上させやすくなる傾向がある。ポリ乳酸系樹脂のD体含有率(質量%)が上記範囲内であると、耐熱性と発泡性とをバランスよく両立させることができる。また、押出発泡シートの耐衝撃性をより高める観点から、ポリ乳酸系樹脂のD体含有率は3質量%以上12質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上8質量%以下であることが更に好ましい。
【0028】
なお、ポリ乳酸系樹脂のD体含有率(質量%)とは、ポリ乳酸系樹脂中の乳酸成分単位を構成する化合物の全量に対する、D体化合物の質量比率(質量%)である。
【0029】
(ポリ乳酸系樹脂の融点)
ポリ乳酸系樹脂の融点は、130℃以上190℃以下であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂の融点がこの範囲内である場合、押出発泡シートの耐熱性や発泡性が確保されやすくなる。上記観点から、ポリ乳酸系樹脂の融点が145℃以上185℃以下であることが好ましい。
【0030】
(ポリ乳酸系樹脂の融点の測定)
ポリ乳酸系樹脂の融点は、JIS K7121:1987に基づき求められる。具体的には、状態調節として「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、状態調節された試験片を10℃/minの加熱速度で30℃から200℃まで加熱することによりDSC曲線を取得し、融解(吸熱)ピークの頂点温度を融点とする。なお、DSC曲線に複数の融解ピークが表れる場合は、最も高さの高い融解ピークの頂点温度を融点とする。
【0031】
(ポリ乳酸系樹脂の結晶化温度)
ポリ乳酸系樹脂の結晶化温度は、100℃以上130℃以下であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂の結晶化温度がこの範囲内である場合、例えば押出発泡シートや押出発泡シートを熱成形してなる容器等を加熱して結晶化させる工程を設けることにより耐熱性を向上させることが容易となる。上記観点から、ポリ乳酸系樹脂の結晶化温度は、100℃以上125℃以下であることがより好ましく、102℃以上118℃以下であることが更に好ましい。
【0032】
(ポリ乳酸系樹脂の結晶化温度の測定)
ポリ乳酸系樹脂の結晶化温度は、JIS K7121:1987に基づき求められる。具体的には、上記ポリ乳酸系樹脂の融点の測定と同様に、状態調節として「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、状態調節された試験片を10℃/minの加熱速度で30℃から200℃まで加熱することによりDSC曲線を取得する。そして、DSC曲線から定められる結晶化(発熱)ピークの頂点温度を結晶化温度とする。なお、結晶化ピークが2つ以上現れる場合には、最も高さの高い結晶化ピークの頂点温度を結晶化温度とする。
【0033】
(ポリ乳酸系樹脂のMFR)
ポリ乳酸系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、発泡性の観点から、好ましくは1.0g/10分以上8.0g/10分以下、より好ましくは2.0g/10分以上5.0g/10分以下である。
【0034】
(ポリ乳酸系樹脂のMFRの測定)
ポリ乳酸系樹脂のMFRは、JIS K7210-1:2014に基づき、190℃、荷重2.16kgの条件で測定される値として特定することができる。
【0035】
(混合樹脂における配合比率)
混合樹脂は、ポリスチレン系樹脂を30質量%以上95質量%以下、且つ、ポリ乳酸系樹脂を5質量%以上70質量%以下の比率で含んでいる。ただし、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である。
【0036】
混合樹脂は、ポリ乳酸系樹脂を5質量%以上含むことで、環境負荷軽減の実質的効果を確保しやすくなる。混合樹脂は、ポリスチレン系樹脂を30質量%以上含むことで、押出発泡シートの熱成形性や剛性等の物性が向上しやすくなる。
【0037】
混合樹脂は、ポリスチレン系樹脂を40質量%以上80質量%以下、且つ、ポリ乳酸系樹脂20質量%以上60質量%以下の比率で含む(ただし、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)ことが好ましい。混合樹脂がポリ乳酸系樹脂を20質量%以上60質量%以下の比率で含むことで、ポリスチレン系樹脂による押出発泡シートの熱成形性、耐熱性、剛性等を確保しつつ、押出発泡シートの耐衝撃性を向上させることが可能となり、剛性と耐衝撃性の両立を図ることができる。上記観点から、混合樹脂は、ポリスチレン系樹脂を50質量%以上70質量%以下、且つ、ポリ乳酸系樹脂30質量%以上50質量%以下の比率で含む(ただし、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)ことがより好ましい。
【0038】
(その他の添加物)
本発明においては、基材樹脂には、本発明の所期の目的が阻害されない程度に、他の熱可塑性樹脂が含まれてもよい。例えば、他の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体等のスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体以外のポリスチレン系樹脂や、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂等を挙げることができる。他の熱可塑性樹脂の含有量は、基材樹脂中20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。また、押出発泡シートの剛性を高めるとともに、熱成形可能な成形条件の範囲をより確実に広げる観点からは、基材樹脂は、ゴム変性スチレンを含まないことが好ましい。
【0039】
なお、基材樹脂中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、無機充填剤、着色剤等を添加することができる。
【0040】
(押出発泡シートの厚み)
上記で説明した基材樹脂を用いて得られる本発明の押出発泡シートの厚みは、特に限定されないが、おおむね0.5mm以上15mm以下であることが好ましい。押出発泡シートの厚みがこの範囲にあると、押出発泡シートを食品容器、弁当箱等の折箱、ディスプレイパネル等の用途に好適に用いることができる。本発明の押出発泡シートを熱成形用の押出発泡シートとして好適に用いることができ、剛性、断熱性、及び取り扱い性等に優れる容器を熱成形可能なものとなる観点から、押出発泡シートの厚みは、0.5mm以上3mm以下であることがより好ましい。
【0041】
(押出発泡シートの厚みの測定方法)
押出発泡シートの厚み(mm)は、押出発泡シートの幅方向にわたって等間隔の10箇所について厚みを測定し、それらを算術平均することにより求められる値として定めることができる。
【0042】
(押出発泡シートの見掛け密度)
押出発泡シートの見掛け密度は、50kg/m以上200kg/m以下である。押出発泡シートの見掛け密度が小さすぎると、押出発泡シートを熱成形して得られる容器等の成形体の強度が低下するおそれがある。また、押出発泡シートの見掛け密度が大きすぎると、上記成形体の断熱性及び軽量性が低下するおそれがある。これらの観点から、押出発泡シートの見掛け密度は、80kg/m以上180kg/m未満であることが好ましく、また100kg/m以上150kg/m未満であることがより好ましい。
【0043】
(押出発泡シートの見掛け密度の測定方法)
押出発泡シートの見掛け密度は、例えば、次のようにして測定される値として特定することができる。まず、押出発泡シートから縦25mm×横25mmの試験片を切り出す。試験片の厚みは押出発泡シートの厚みである。次に、切り出された試験片の質量(g)を測定する。測定された質量を1600倍して、単位換算することで坪量(g/m)を求める。さらに、求められた押出発泡シートの坪量(g/m)を押出発泡シートの厚み(mm)で除した値を単位換算し、押出発泡シートの見掛け密度(kg/m)とする。上記測定を、押出発泡シートの幅方向における等間隔の10箇所について行い、それらの算術平均値を押出発泡シートの見掛け密度とする。
【0044】
(押出発泡シートの坪量)
押出発泡シートの坪量は、100g/m~400g/mが好ましく、より好ましくは150g/m~300g/mである。坪量がこの範囲内であると、押出発泡シートを熱成形して得た容器が、剛性と軽量性とのバランスにより優れたものとなる。
【0045】
(押出発泡シートの坪量の測定方法)
押出発泡シートの坪量は、例えば、次のようにして測定される値として特定することができる。まず、押出発泡シートから縦25mm×横25mmの試験片を切り出す。試験片の厚みは押出発泡シートの厚みである。次に、切り出された試験片の質量(g)を測定する。測定された質量を1600倍して、単位換算することで坪量(g/m)を求める。上記測定を、押出発泡シートの幅方向における等間隔の10箇所について行い、それらの算術平均値を押出発泡シートの坪量とする。
【0046】
(押出発泡シートの独立気泡率)
押出発泡シートの独立気泡率は、70%以上である。押出発泡シートの独立気泡率がこの範囲であることで、押出発泡シートを用いた成形体を熱成形する際の押出発泡シートの二次発泡性を良好にすることができる。また、押出発泡シートを熱成形することで得られる成形体の強度等を確保することができる。この観点から、押出発泡シートの独立気泡率は、80%以上であることが好ましい。
【0047】
(押出発泡シートの独立気泡率の測定方法)
押出発泡シートから無作為に25mm×25mm×シート厚み(押出発泡シートの厚み)に切断したカットサンプルを作成する。シート厚みの総和が20mmに最も近づくように(ただし、20mmを超えない。)カットサンプルを複数枚重ねて試験片とする。次に、ASTM-D2856-70の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型等を使用して試験片の真の体積Vxを測定し、下記(1)式により独立気泡率S(%)を計算する。上記測定を、5個の試験片を用いて行い、その算術平均値を押出発泡シートの独立気泡率とする。
【0048】
【数1】
【0049】
ただし、
Vx:上記方法で測定された試験片の真の体積(cm)であり、発泡シートを構成する樹脂の容積と、試験片内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する、
Va:測定に使用された試験片の外寸から計算された試験片の見掛け上の体積(cm)、
W:測定に使用されたカットサンプル全質量(g)、そして
ρ:発泡シートを構成する樹脂の密度(g/cm)、
である。
【0050】
(押出発泡シート中のブタンの含有量)
本発明の押出発泡シートは、ブタンを含有することが好ましい。押出発泡シートがブタンを含有することにより、発泡シートの二次発泡性が向上し、容器等を熱成形する際の加熱温度や加熱時間等の成形条件の範囲を広くすることができる。また、押出発泡シートを製造後、長期にわたって保管した場合であっても良好な熱成形を確保することができる。かかる観点から、押出発泡シート中のブタンの含有量が1.0質量%以上であることが好ましく、1.2質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることが更に好ましい。一方、例えばフィルムを積層した押出発泡シートを加熱した際のフィルムと押出発泡シートとの剥離(デラミ)を抑制する観点からは、押出発泡シート中のブタンの含有量は、3.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましい。
押出発泡シート中のブタンの含有量を上記範囲内に調整する方法としては、押出発泡シートの製造方法において、上記混合樹脂を基材樹脂とするとともに、物理発泡剤としてブタンを用いることが挙げられる。
なお、上記押出発泡シートのブタンの含有量は、製造後の押出発泡シートを室内環境下(23℃、相対湿度50%)で30日間養生した押出発泡シート中のブタンの含有量を意味する。
【0051】
押出発泡シート中のブタンの含有量は、ガスクロマトグラフを用いて内部標準法により測定される値である。具体的には、室内環境下で30日間養生した押出発泡シートから適量のサンプルを切り出し、このサンプルを完全に溶解し得る量のトルエンと内部標準物質の入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、十分に撹拌し押出発泡シートの発泡剤をトルエン中に溶解させた溶液を測定用試料としてガスクロマトグラフ分析を行い、ブタンの含有量を求めることができる。
【0052】
本発明の押出発泡シートは、耐油性等を向上させるために、その片面または両面に、フィルムを積層接着させることができる。フィルムとしては、ポリ乳酸系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムや、ポリオレフィン系樹脂フィルムとポリスチレン系樹脂フィルムとを予め接着させた、いわゆるPO/PSドライラミネートフィルム等が例示される。上記フィルムを積層する方法としては、熱ラミネーション等の公知の方法をあげることができる。
【0053】
[1-2 作用効果]
食品収容用の容器などの様々な分野でポリスチレン系樹脂を用いた押出発泡シートの熱成形体が用いられている。こうした熱成形体は、使い捨て用途で使用されることも多く、自然環境への影響を懸念されている。また、ポリスチレン系樹脂は石油系の原料を用いて製造されることも多く石油資源への影響も懸念される。そこで、熱成形体に使用される樹脂の一部あるいは全部を、生分解性樹脂やバイオマス由来の原料から合成できる樹脂とすることが検討される。
【0054】
本発明の押出発泡シートによれば、ポリスチレン樹脂とポリ乳酸系樹脂系との混合樹脂を基材樹脂としている。押出発泡シートがこのようなポリ乳酸系樹脂を基材樹脂の一部に使用されることで、環境負荷低減に貢献することができる。例えば、ポリ乳酸系樹脂系の一例であるポリ乳酸は、バイオマス由来の原料から合成できる樹脂であり、且つ、コンポスト化において生分解可能な樹脂であることから、環境負荷軽減に貢献する。
【0055】
ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂との混合樹脂を用いて押出発泡シートを形成する場合、押出発泡シートの外観や熱成形性、剛性等への影響が懸念される。本発明の押出発泡シートにおいては、ポリスチレン系樹脂が所定の条件を満たすスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体であることから、耐熱性に優れて外観熱成形性、及び剛性にも優れる押出発泡シートを得ることができる。
【0056】
特に、ポリスチレン系樹脂に用いられるスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が、(メタ)アクリル酸成分の含有量を2質量%以上とするものであるため、スチレン単独重合体に比べてポリ乳酸系樹脂との相溶性が良好となり、外観に優れた押出発泡シートを得ることができる。また、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が、(メタ)アクリル酸成分の含有量を10質量%以下とするものであるため、押出発泡シートの独立気泡率を良好にすることができる。
【0057】
本発明の押出発泡シートによれば、ポリスチレン系樹脂が所定の条件を満たすスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体であることから、剛性に優れる。一般的に樹脂材料においては、剛性の高いものは耐衝撃性が低下しやすい傾向があるとされる。この点、本発明の押出発泡シートによれば、混合樹脂がポリスチレン系樹脂を40質量%以上80質量%以下、且つ、ポリ乳酸系樹脂20質量%以上60質量%以下の比率で含む(ただし、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)場合には、押出発泡シートとして、剛性と耐衝撃性のいずれも向上させることができ、すなわち優れた剛性と耐衝撃性の両立を図ることができる。なお、環境負荷への配慮を確保すること及び耐衝撃性の観点からは、ポリスチレン系樹脂としてゴム変性スチレン等の耐衝撃性の高いポリスチレン系樹脂を用い、さらにポリ乳酸系樹脂を併用したものを基材樹脂として、押出発泡シートを得ることも考えられる。しかしながら、この場合には、押出発泡シートの剛性が不十分なものとなりやすく、また、押出発泡シートにおけるブタン等の発泡剤の保持性が低いため容器等を熱成形する際の成形条件が狭くなるおそれがある。
【0058】
混合樹脂が、ポリスチレン系樹脂を40質量%以上80質量%以下、且つ、ポリ乳酸系樹脂20質量%以上60質量%以下の比率で含む(ただし、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)ことにより、押出発泡シートの剛性を確保しつつ、耐衝撃性が向上する理由は、明らかではないが、次のように考えられる。ポリ乳酸系樹脂は、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と比較して耐衝撃性に優れる樹脂であることが知られている。また、本発明においては、ポリスチレン系樹脂が所定の条件を満たすようなスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体である。したがって、本発明のような所定のポリスチレン系樹脂では混合樹脂中においてポリ乳酸系樹脂との相溶性が高く、より均一に分散しやすいと考えられる。さらに、ポリ乳酸系樹脂を比較的多く含む場合であっても、押出発泡シートの独立気泡率が高いものとなる。従って、基材樹脂となる混合樹脂中のポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂との配合比率が所定の条件を満たす場合には、混合樹脂に含まれるポリスチレン系樹脂としてスチレン-(メタ)アクリル酸共重合が用いられた場合であっても、耐衝撃性に優れた押出発泡シートが得られるものと考えられる。すなわち、本発明によれば、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体であることによる優れた剛性とポリ乳酸系樹脂による優れた耐衝撃性とを活かした押出発泡シートを得ることができるものと考えられる。なお、押出発泡シートを製造する工程において、押出発泡時の延伸により混合樹脂に配向がかかることにより、押出発泡シートの剛性の低下が抑制されうる点も考えられる。
【0059】
なお、本願明細書において、押出発泡シートの剛性は、例えば押出発泡シートの曲げ応力を指標として評価される。最大曲げ応力は、JIS K7171:2016に準拠して測定することができる。また、押出発泡シートの耐衝撃性は、例えばパンクチャー衝撃強度を指標として評価される。パンクチャー衝撃強度は、JIS K7211-2に準拠して測定することができる。
【0060】
[2 押出発泡シートの製造方法]
本発明にかかる押出発泡シートは、例えば、次のように製造することができる。
【0061】
[2-1 製造方法の内容]
上記で説明したポリスチレン系樹脂及び上記で説明したポリ乳酸系樹脂を含有する上記した混合樹脂を押出機に投入する。ポリスチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂混合樹脂の配合比については、ポリスチレン系樹脂が30質量%以上95質量%以下、且つ、ポリ乳酸系樹脂が5質量%以上70質量%以下の比率(ただし、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂の配合量の合計が100質量%である)となっている。
【0062】
基材樹脂は押出機内で加熱、溶融、及び混練される。なお、押出機には必要に応じて添加される気泡調整剤等の各種の添加剤が投入される。さらに、押出機内に物理発泡剤が圧入され、基材樹脂をさらに混練することで、発泡性溶融樹脂が形成される。発泡性溶融樹脂は、目的とする樹脂温度に調整された状態とされる。そして所定の樹脂温度に調整された発泡性溶融樹脂を、環状ダイを通して大気圧下に押出しすることで発泡性溶融樹脂を発泡させることにより、押出発泡シートが形成される。
【0063】
押出発泡シートは、押出機から発泡性溶融樹脂を押出して発泡された状態の押出時のシートそのもので使用されてもよいし、その押出時のシートをさらに積層融着して1つのシートとしたものが押出発泡シートとして使用されてもよい。押出時のシートそのもので構成される場合には押出発泡シートを厚みの薄いものにすることが容易であり、押出時のシートを積層して1つのシートとしたものでは押出発泡シートを厚みの厚いものにすることが容易である。
【0064】
また、上記押出発泡シートの製造方法において、環状ダイが用いられたのは、厚みの調整などの後工程の適用容易性を考慮したためである。また、発泡性溶融樹脂を環状ダイから押出して発泡させることにより、樹脂に配向がかかりやすく、得られる押出発泡シートの剛性を高めることができる。
【0065】
なお、発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族飽和炭化水素類、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、二酸化炭素、窒素、水等の物理発泡剤を用いることができる。この中では、本発明の混合樹脂をより容易に可塑化できるため押出発泡シートの製造を容易とする観点、且つ、押出発泡シートを用いた熱成形性を向上させる観点からは、発泡剤としては、炭素数3から5の飽和炭化水素から選ばれた1種類以上を用いることが好ましく、ブタンを用いることがより好ましい。
【0066】
発泡剤の添加量、気泡調節剤の添加量は、基材樹脂の種類・発泡剤の種類、気泡調整剤の種類や、目的とする各発泡層の密度によって適宜選択できるが、通常は、基材樹脂100質量部に対して、発泡剤は0.5~10質量部、気泡調整剤は0.1~3質量部である。また、発泡時の溶融樹脂混合物の樹脂温度は、基材樹脂の種類、発泡剤の種類、気泡調節剤の種類や、目的とする押出発泡シートの密度によって適宜選択できる。
【0067】
なお、上記の製造方法の説明では、混合樹脂を押出機に投入した例が用いられているが、押出発泡シートの製造方法はこれに限定されない。押出機内で押出発泡シートを構成する各種の原料(例えばポリスチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂等)が加熱、溶融、及び混練されるのであれば、各種の原料を混合した状態で押出機に投入されても、各種の原料を個別に押出機に投入されてもいずれであってもよい。
【0068】
[2-2 作用効果]
上記した押出発泡シートの製造方法によれば、本発明の押出発泡シートを容易に製造することができる。また、押出発泡シートの製造方法において、物理発泡剤が炭素数3から5の飽和炭化水素から選ばれた1種類以上を用いられる場合、二酸化炭素などの発泡剤に比べてガス透過性が抑えられており(押出発泡シート内に残存されやすい)、熱成形時の二次発泡倍率を高めることができる点で、熱成形性を向上することができる。具体的には、容器等を熱成形する際の加熱温度や加熱時間等の成形条件の範囲を広くすることができる。また、押出発泡シートを製造後、長期にわたって保管した場合であっても良好な熱成形を確保することができる。
【0069】
次に、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【実施例
【0070】
(樹脂の準備)
第一押出機と第二押出機とを連結したタンデム押出機を準備し、表1に示すポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂を準備した。
【0071】
なお、表1は、準備されたポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂の内容を示す。表1のPLA1、PLA2、PLA3は、それぞれD体化合物(いずれもD体乳酸)の含有率が4質量%、1質量%、12質量%のポリ乳酸である。また、表1のPS1、PS2、PS3は、いずれもポリスチレン系樹脂としてのスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体である。スチレン以外の共重合体成分の含有量については、PS1ではメタクリル酸成分の含有量が8質量%、PPS2ではメタクリル酸成分の含有量が4質量%、PS3ではメタクリル酸及びメタクリル酸メチルの成分の含有量がそれぞれ14質量%、3質量%(合計17質量%)である。PS4は、ポリスチレン系樹脂としてのスチレン単独重合体である。HIPS1は、ゴム変性ポリスチレン(ポリスチレン中にポリブタジエンを含むゴム粒子が分散した樹脂)である。ゴム変性ポリスチレン中のゴム(ポリブタジエンゴム)含有量は12質量%である。
【0072】
また、表1には、各樹脂のガラス転移温度(Tg)及びMFRを示す。また、ポリスチレン系樹脂については、ビカット軟化温度を表1に示す。ポリ乳酸系樹脂については、結晶化温度(Tc)、融点(Tm)を表1に示す。また、表1に示す各樹脂のMFR(g/10min)及びガラス転移温度(℃)、ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度(℃)、ポリ乳酸系樹脂の結晶化温度(℃)及び融点(℃)の測定方法は、それぞれ以下のとおりである。
【0073】
(樹脂のMFRの測定)
樹脂のMFRは、JIS K7210-1:2014に基づき求めた。測定条件としては、ポリスチレン系樹脂の場合は200℃、荷重5kgの条件を採用し、ポリ乳酸系樹脂の場合は190℃、荷重2.16kgの条件を採用した。
【0074】
(樹脂のガラス転移温度)
樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121:1987年に準拠してDSC測定を行うことにより求めた。測定装置としては熱流束示差走査熱量測定装置(TA Instruments社製「装置名:DSC Q1000」)を用いた。なお、DSC測定における加熱速度は10℃/分とした。DSC測定により得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度を、樹脂のガラス転移温度とした。
【0075】
(ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の測定)
ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度はJIS K7206:1999のA50法に準拠して求めた。
【0076】
(ポリ乳酸系樹脂の融点)
ポリ乳酸系樹脂の融点Tm(℃)は、JIS K7121:1987に基づき求めた。具体的には、状態調節として「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、状態調節された試験片を10℃/minの加熱速度で30℃から200℃まで加熱することによりDSC曲線を取得し、融解(吸熱)ピークの頂点温度を融点とした。なお、測定装置としては、熱流束示差走査熱量測定装置(TA Instruments社製「装置名:DSC Q1000」)を用いた。
【0077】
(ポリ乳酸系樹脂の結晶化温度)
ポリ乳酸系樹脂の結晶化温度Tc(℃)は、JIS K7121:1987に基づき求めた。具体的には、状態調節として「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、状態調節された試験片を10℃/minの加熱速度で30℃から200℃まで加熱することによりDSC曲線を取得し、結晶化(発熱)ピークの頂点温度を結晶化温度とした。なお、測定装置としては、熱流束示差走査熱量測定装置(TA Instruments社製「装置名:DSC Q1000」)を用いた。
【0078】
(実施例1~9及び比較例1~6)
表2、及び表3に示す種類及び配合比(質量比)のポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂、及びタルク(松村産業社製)をタンデム押出機の第一押出機に供給し、さらに第一押出機内で加熱溶融し混練した。その後、第一押出機に物理発泡剤を圧入し、さらに混錬して混錬物を形成した。混錬物を第二押出機に移送し、樹脂温度を調整して発泡シート形成用樹脂溶融物を形成した。そして、発泡シート形成用樹脂溶融物を環状ダイ(環状ダイの直径は50mm)から、表2、及び表3に示す発泡温度で、吐出量50kg/hrで大気中に押出発泡させて発泡筒状体が形成された。さらに発泡筒状体を外径150mmの冷却用筒(マンドレル)の外面に沿わせながら、ブロー比を3として、引取速度8m/minで引取りながら、発泡筒状体を押出方向に沿って切り開くことで、押出発泡シートが製造された。押出発泡シートの幅は480mmであった。
【0079】
上記タルクは、気泡調整剤として用いられ、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂との合計100質量部に対して2質量部の比率で第一押出機に供給された。また、上記物理発泡剤は、ブタン(イソブタン30質量%とノルマルブタン70質量%との混合ブタン)を用いられ、ポリスチレン系樹脂とポリ乳酸系樹脂との合計100質量部に対して表2、及び表3に示す配合量となるように第一押出機に圧入された。
【0080】
実施例1~9及び比較例1~6それぞれについて、下記のように押出発泡シートの製造時の状況を観察し、製造安定性を評価した。また、実施例1~9及び比較例1~6それぞれについて、得られた押出発泡シートを室内環境下(23℃、相対湿度50%)で7日間養生し、養生後の押出発泡シートを用いて、下記のように厚み、坪量、見掛け密度、独立気泡率、パンクチャー衝撃強度、最大曲げ応力の測定、及び外観の評価を行った。結果を表2から表5に示す。表4及び表5において、説明の便宜上、パンクチャー衝撃強度は、単に衝撃強度と記載する。
【0081】
表2から表5に示すとおり、実施例1~9は、製造安定性に優れていた。また、押出発泡シートの発泡性、外観、剛性に優れていた。また、熱成形性、耐熱性にも優れていることが確認された。また、実施例2から実施例9では、さらに、押出発泡シートの剛性を維持しつつ、耐衝撃性を向上させることができることが確認された。
【0082】
(製造安定性の評価)
押出発泡シートの製造安定性は、以下の基準により評価された。
〇(良好):押出発泡シートの製造中に、押出発泡シートが切断することがほとんどなく、安定して押出発泡シートを製造することができた。
×(不良):押出発泡シートの製造中に、押出発泡シートの切断が生じやすかった、あるいは押出後すぐに押出発泡シートが切断した。
【0083】
(押出発泡シートの厚み)
押出発泡シートの厚みは、既述した方法により測定した。
【0084】
(押出発泡シートの坪量及び見掛け密度)
押出発泡シートの見掛け密度は、既述した方法により測定した。具体的には、押出発泡シートの幅方向における等間隔の10箇所それぞれから縦25mm×横25mm×押出発泡シートの厚みの寸法で試験片を切り出して質量を測定した。次に、その質量を1600倍して、単位換算することで坪量が算出された。さらに、算出された押出発泡シートの坪量を押出発泡シートの厚みで除した値を単位換算し、各試験片の見掛け密度を算出した。そして、それらの算術平均値を発泡シートの見掛け密度(D1)とした。
【0085】
(独立気泡率)
押出発泡シートの独立気泡率は、既述した方法により測定された。
【0086】
(発泡性の評価)
押出発泡シートの発泡性は、以下の基準により評価された。
〇(良好):発泡シートの独立気泡率が70%以上
×(不良):発泡シートの独立気泡率が70%未満
【0087】
(外観の評価)
押出発泡シートの表面を目視で観察し、以下の基準により押出発泡シートの外観を評価した。
〇(良好):発泡シートの表面に凹凸と筋模様のいずれもがほぼ認められない。
×(不良):発泡シートの表面に凹凸と筋模様の少なくともいずれか一方が見受けられる。
【0088】
(パンクチャー衝撃強度)
押出発泡シートの衝撃強度は、パンクチャー衝撃強度の測定によって特定された。パンクチャー衝撃強度は、試験速度を下記の速度とした他は、JIS K7211-2に準拠して測定された。具体的には、温度23℃、湿度50%の環境下、押出発泡シートから押出方向に沿って長さ60mm×幅60mmの寸法で切り出した試験片を用いて、次に示す測定装置で測定した。また測定で用いたストライカーは、次に示すとおりである。10個の試験片について測定を行い、各測定値の算術平均値を押出発泡シートのパンクチャー衝撃強度(N)とした。
【0089】
測定装置:テンシロン、圧縮モード(ロードセル10kN)
ストライカー:φ20、10Rの鉄製半球状ヘッド(潤滑油なし)
試験速度:500mm/min
【0090】
(耐衝撃性の評価)
押出発泡シートの耐衝撃性は、以下の基準により評価された。
◎(きわめて良好):押出発泡シートのパンクチャー衝撃強度が60N以上
〇(良好):押出発泡シートのパンクチャー衝撃強度が20N以上60N未満
×(不良):押出発泡シートのパンクチャー衝撃強度が20N未満
【0091】
(最大曲げ応力)
押出発泡シートの最大曲げ応力は、JIS K7171:2016に基づいて測定された。具体的には、温度23℃、湿度50%の環境下、押出発泡シートから押出方向に沿って長さ80mm×幅10mmの寸法で切り出した試験片を用いて、次に示す測定条件で測定した。押出発泡シートの表面と裏面を5個ずつ、計10個の試験片について測定を行い、各測定値の算術平均値を押出発泡シートの最大曲げ応力(MPa)とした。
【0092】
測定装置:テンシロン、圧縮モード(ロードセル1kN)
圧子:R=5
スパン:50mm
試験速度:10mm/min
【0093】
(剛性の評価)
押出発泡シートの剛性は、以下の基準により評価された。
〇(良好):押出発泡シートの最大曲げ応力が7.0MPa以上
×(不良):押出発泡シートの最大曲げ応力が7.0MPa未満
【0094】
また、実施例1~9及び比較例1~6それぞれについて、得られた発泡シートを室内環境下(23℃、相対湿度50%)30日間養生した押出発泡シート(以下、30日養生後の発泡シートと呼ぶ)を用いて、押出発泡シート中のブタンの含有量を測定した。結果を表4、表5に示す。
【0095】
(発泡シート中のブタンの含有量)
30日養生後の押出発泡シートの幅方向中央部から約1gとなるサイズで切り出した試験片について、前記方法によりガスクロマトグラフ(GLサイエンス社製GC-4000)を用いて試験片中のブタンの含有量が測定され、これを発泡シート中のブタンの含有量とした。なお、ブタンの含有量は、イソブタンとノルマルブタンとの合計含有量とした。
【0096】
さらに、実施例1~9及び比較例1~6それぞれについて、得られた発泡シートを室内環境下(23℃、相対湿度50%)37日間養生した押出発泡シート(以下、37日養生後の発泡シートと呼ぶ)を用いて、押出発泡シートの熱成形性、耐熱性を評価した。また、二次発泡倍率を測定した。結果を表4、表5に示す。
【0097】
(熱成形性)
37日養生後の発泡シートを用いて、次に示すようなマッチモールド真空成形で成形品を得た。真空成形には熱成形機(浅野研究所製 型番FKS-0631-10)が使用された。ヒーター温度を290℃とし加熱時間を10~24秒とする条件で、開口部が直径202mmの円形で、高さが38mmの皿状形(展開倍率1.28倍)の金型を用いて、養生後の発泡シートを熱成形した。これにより皿状の成形品を得た。
【0098】
上記マッチモールド真空成形は、加熱秒数を上記の値から変更して複数回実施された。良好な成形品を取得できた加熱秒数のうち最長時間と最短時間との差から求められる時間の幅を測定し、この時間幅を成形可能な時間幅とした。
【0099】
成形可能な時間幅に基づき、押出発泡シートの熱成形性は、次に示す基準で評価された。
〇(良好):成形可能な時間の幅が8秒以上である。
×(不良):成形可能な時間の幅が8秒未満であるか、あるいは良好な成形品を取得することができない。
【0100】
(二次発泡倍率)
37日養生後の発泡シートを160℃のオーブンに入れて加熱し、加熱後の発泡シートについて、押出発泡シートの見掛け密度(D1)の測定方法と同様の方法により、見掛け密度(D2)を測定した。二次発泡倍率(倍)は、以下の式(2)で算出された。
【0101】
【数2】
【0102】
(耐熱性)
37日養生後の押出発泡シートの幅方向中心付近から200mm×200mmの試験片(押出方向における加熱前の試験片の長さ及び幅方向における加熱前の試験片の長さはいずれも200mm)を切り出し、試験片を110℃に設定したオーブン(タバイエスペック社製PH-200改)に入れ、30秒加熱した。加熱後の試験片をオーブンから取り出した。加熱後の試験片の押出方向と幅方向の寸法を測定して、加熱前後での寸法変化率を算出し、これらの寸法変化率の値に基づき押出発泡シートの加熱寸法変化率を特定した。さらに、加熱後の試験片について加熱前後で外観に変化が認められたか否かについて目視観察した(以下では、外観変化観察と呼ぶ)。
【0103】
なお、寸法変化率は、以下の式(3)で求められる値であり、押出方向と幅方向それぞれについて算出される。そして算出された押出方向と幅方向それぞれについて求めた寸法変化率の算術平均値が、押出発泡シートの加熱寸法変化率(%)として特定される。
【0104】
【数3】
【0105】
37日養生後の押出発泡シートの耐熱性は、上記に算出された押出発泡シートの加熱寸法変化率(%)と外観変化観察の結果に基づいて、次に示す基準で評価された。
【0106】
〇(良好):外観に著しい変化が認められず、且つ加熱寸法変化率が10%(20mm)以下である。
×(不良):外観に著しい変化が認められること、及び、加熱寸法変化率が10%(20mm)を超えることの少なくともいずれか一方が満たされる。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
【表5】
【0112】
上述において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。また、上述で示す構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。