(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】シンク
(51)【国際特許分類】
E03C 1/14 20060101AFI20240826BHJP
A47K 1/04 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
E03C1/14 Z
A47K1/04 E
(21)【出願番号】P 2021073141
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-124330(JP,A)
【文献】特開平05-071151(JP,A)
【文献】実開平03-093874(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
A47K 1/00-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向き開口の水槽を成すシンク本体と、該シンク本体のいずれかの内側壁の上縁から水平方向に広がる天板と、を有するシンクであって、
前記内側壁の壁幅方向の一部領域から前記天板の下側に潜り込む形に凹む凹部と、
該凹部の底面を成す凹底面部に形成される排水口と、
前記凹部に前記内側壁に沿った立板形状を成す形に被せられて前記排水口を外部に対して覆う着脱可能なカバーと、を有し、
前記凹部が、前記天板により上方から覆われ、前記カバーにより前記シンク本体の内側から覆われ
、
前記天板が、前記カバーが設けられる壁幅方向の設置領域に、前記内側壁を越えて前記シンク本体内に庇状に張り出す張出部を有し、
前記カバーが、前記張出部に沿って該張出部の直下に該張出部と高さ方向に近接して配置されると共に、前記張出部に対して下方から各々の斜めに面取りされた角部同士が突き合わされて互いに直交する形に組み付けられるシンク。
【請求項2】
上向き開口の水槽を成すシンク本体と、該シンク本体のいずれかの内側壁の上縁から水平方向に広がる天板と、を有するシンクであって、
前記内側壁の壁幅方向の一部領域から前記天板の下側に潜り込む形に凹む凹部と、
該凹部の底面を成す凹底面部に形成される排水口と、
前記凹部に前記内側壁に沿った立板形状を成す形に被せられて前記排水口を外部に対して覆う着脱可能なカバーと、を有し、
前記凹部が、前記天板により上方から覆われ、前記カバーにより前記シンク本体の内側から覆われ、
前記カバーが、前記内側壁の前記凹部が形成される壁幅方向の前記一部領域と、前記凹部が形成されない壁幅方向の他部領域と、に跨る壁幅方向の全域に亘って被せられるシンク。
【請求項3】
請求項2に記載のシンクであって、
前記
凹底面部が、前記シンク本体の底面を成す本体底面部より低い位置に形成され、
前記カバーが、前記本体底面部上に前記排水口への通水孔となる高さ方向の隙間を空けて設けられるシンク。
【請求項4】
請求
項3に記載のシンクであって、
前記
隙間が、壁幅方向の全域に亘って形成され、前記本体底面部の前記内側壁の壁幅方向の前記他部領域に臨む縁部に沿って、前記凹底面部へ向けた壁幅方向に延びる通水路を形成する筋状の通水溝が形成されるシンク。
【請求項5】
上向き開口の水槽を成すシンク本体と、該シンク本体のいずれかの内側壁の上縁から水平方向に広がる天板と、を有するシンクであって、
前記内側壁の壁幅方向の一部領域から前記天板の下側に潜り込む形に凹む凹部と、
該凹部の底面を成す凹底面部に形成される排水口と、
前記凹部に前記内側壁に沿った立板形状を成す形に被せられて前記排水口を外部に対して覆う着脱可能なカバーと、を有し、
前記凹部が、前記天板により上方から覆われ、前記カバーにより前記シンク本体の内側から覆われ、
前記カバーが、前記シンク本体に対し、永久磁石による水平方向の吸着構造と水平方向の凹凸の引掛け構造とを組み合わせた取付構造により着脱可能に取り付けられるシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクに関する。詳しくは、上向き開口の水槽を成すシンク本体と、シンク本体のいずれかの内側壁の上縁から水平方向に広がる天板と、を有するシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シンク本体の奥側の内側壁に部分的に奥側へ凹む拡張スペースが形成され、その底面部に排水口が設けられたシンクが開示されている。上記拡張スペースは、シンク本体内とシンク上方とに開口する形に形成されている。上記拡張スペースには、シンク本体の奥側の内側壁と奥側の天板とにそれぞれ面一となる形にセットされる着脱可能なL字板型のカバーが装着されている。
【0003】
上記カバーの装着により、排水口が外部から見えないように見栄え良く被覆される。また、上記カバーをシンク本体から取り外すことで、使用者が排水口のメンテナンスを簡便に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、カバーが着脱可能な構成であることから、カバーとシンク本体の奥側の天板との間にこれらの見切り線が露出し、シンクの見栄え品質が損なわれやすい。そこで、本発明は、排水口を覆うカバーが着脱可能な構成であっても、排水口をより見栄え良く被覆することが可能なシンクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のシンクは次の手段をとる。すなわち、シンクは、上向き開口の水槽を成すシンク本体と、シンク本体のいずれかの内側壁の上縁から水平方向に広がる天板と、を有する。上記シンクは、更に、内側壁の壁幅方向の一部領域から天板の下側に潜り込む形に凹む凹部と、凹部の底面を成す凹底面部に形成される排水口と、凹部に内側壁に沿った立板形状を成す形に被せられて排水口を外部に対して覆う着脱可能なカバーと、を有する。凹部が、天板により上方から覆われ、カバーによりシンク本体の内側から覆われる。
【0007】
上記構成によれば、排水口を有する凹部が、天板下に潜り込む形となって、カバーによりシンク本体の内側から面状に覆われる構成となる。したがって、天板上にカバーや凹部との見切り線を露出させることなく、凹部や凹部を仕切るカバーを設けることができる。その結果、排水口を覆うカバーが着脱可能な構成であっても、排水口をより見栄え良く被覆することができる。
【0008】
また、本発明のシンクは、更に次のように構成されていてもよい。天板が、カバーが設けられる壁幅方向の設置領域に、内側壁を越えてシンク本体内に庇状に張り出す張出部を有する。カバーが、張出部に沿って張出部の直下に張出部と高さ方向に近接して配置される。
【0009】
上記構成によれば、カバーの上面が、天板の張出部により上方から覆われて、外部からより見えにくくなる。そのため、排水口をより見栄え良く被覆することができる。
【0010】
また、本発明のシンクは、更に次のように構成されていてもよい。カバーが、張出部に対して、下方から各々の斜めに面取りされた角部同士が突き合わされて互いに直交する形に組み付けられる。
【0011】
上記構成によれば、カバーの上縁と天板との間の見切り線を、天板のシンク本体内に臨む縁の上縁ラインと重ねることができる。したがって、排水口をより見栄え良く被覆することができる。
【0012】
また、本発明のシンクは、更に次のように構成されていてもよい。カバーが、内側壁の凹部が形成される壁幅方向の上記一部領域と、凹部が形成されない壁幅方向の他部領域と、に跨る壁幅方向の全域に亘って被せられる。
【0013】
上記構成によれば、カバーにより、内側壁の凹部の形成領域(一部領域)とその他の領域(他部領域)とをひと続き状に覆って、排水口をより見栄え良く被覆することができる。
【0014】
また、本発明のシンクは、更に次のように構成されていてもよい。凹底面部が、シンク本体の底面を成す本体底面部より低い位置に形成される。カバーが、本体底面部上に排水口への通水孔となる高さ方向の隙間を空けて設けられる。
【0015】
上記構成によれば、カバーを、排水口への通水路を適切に確保しつつ排水口をより見栄え良く被覆できるように設けることができる。
【0016】
また、本発明のシンクは、更に次のように構成されていてもよい。上記隙間が、壁幅方向の全域に亘って形成され、本体底面部の内側壁の壁幅方向の他部領域に臨む縁部に沿って、凹底面部へ向けた壁幅方向に延びる通水路を形成する筋状の通水溝が形成される。
【0017】
上記構成によれば、カバーと本体底面部との間の隙間から内側壁へと流れ込んだ水を、通水溝に沿って排水口へと導くことができる。したがって、上記隙間から内側壁へと流れ込んだ水を逆流させにくくすることができる。
【0018】
また、本発明のシンクは、更に次のように構成されていてもよい。カバーが、シンク本体に対し、永久磁石による水平方向の吸着構造と水平方向の凹凸の引掛け構造とを組み合わせた取付構造により着脱可能に取り付けられる。
【0019】
上記構成によれば、カバーをシンク本体に対して簡便かつ適切な位置に着脱可能なように組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施形態に係るシンクの概略構成を示す斜視図である。
【
図3】カバーを取り外した状態を示す
図2の対応図である。
【
図7】カバーの取り付け方法を示す
図6の対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
《第1の実施形態》
(シンク1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係るシンク1の構成について、
図1~
図7を用いて説明する。なお、以下の説明において、手前、奥、上、下、左、右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。各図中に示す方向は、ユーザが、本実施形態に係るシンク1の正面に立つ位置を基準とした方向となっている。以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、
図1~
図7のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るシンク1は、キッチンに備え付けられる流し台として構成される。具体的には、シンク1は、キッチンのフロア上に設置されるキャビネット2上に組み込まれている。上記シンク1は、上向き開口の水槽を成すシンク本体10と、シンク本体10の上縁から水平方向に広がるキッチンのカウンタトップを成す天板20と、を有する。
【0024】
シンク本体10は、横長な略矩形容器状の水槽を成す構成とされる。天板20は、シンク本体10よりもひとまわり大きな横長な略矩形板形状に形成されている。シンク本体10と天板20とは、それぞれ、図示しない金属製の基材の表面全体に、人造大理石製の化粧層が一体的に積層された構成とされる。
【0025】
上記天板20のシンク本体10の奥側に広がるカウンタトップ面には、いわゆる台付きタイプの水栓金具30が設置されている。上記水栓金具30は、いわゆるシングルレバー水栓から成り、ユーザがレバー操作を行うことで、先端側の吐水口31から湯水を吐水したり、吐水を止めたりすることができる構成とされる。
【0026】
図3に示すように、シンク本体10の奥側の内側壁11には、その右端側の一部領域A1に、奥側へ向かって略直方体形状に凹む凹部13が形成されている。上記凹部13は、天板20の下側へと潜り込む形に凹んでおり、シンク本体10内側にのみ開口する形状とされる。上記凹部13には、その底面を成す凹底面部13Aの中間部に、シンク本体10内から流れ込んだ湯水を外部へと排出する排水口14が形成されている。
【0027】
上記排水口14は、
図5~
図6に示すように、その下部に排水管50が接続されており、流れ込んだ湯水を排水管50から外部へと排出する。上記凹底面部13Aは、シンク本体10の底面を成す本体底面部12よりも低い位置に形成されている。
【0028】
詳しくは、本体底面部12は、手前側から奥側に向かって僅かに下り勾配となるように傾斜した形状とされる。凹底面部13Aは、
図6に示すように、本体底面部12から段差部13Bを介して段差状に落ち込んだ位置に形成されている。
【0029】
凹部13は、天板20より下側の高さ方向の全域に亘って形成されている。上記凹部13は、
図3に示すように、天板20上に設置される自動水栓よりも右側に離れた内側壁11の右端側の一部領域A1に形成されている。上記凹部13の右側面は、シンク本体10の右側面と面一となっている。
【0030】
図1~
図2に示すように、上記シンク1は、更に、上記凹部13が形成されたシンク本体10の奥側の内側壁11を着脱可能に被覆することが可能な立板形状のカバー40を有する。上記カバー40は、シンク本体10に対し、凹部13が形成された奥側の内側壁11の壁幅方向(左右方向)の一部領域A1と、凹部13の形成されていない壁幅方向の他部領域A2と、に跨る壁幅方向の全域に亘って、前方からひと続き状に被せられる略矩形板状の立板形状とされる。
【0031】
上記カバー40も、シンク本体10や天板20と同様に、図示しない金属製の基材の表面全体に、人造大理石製の化粧層が一体的に積層された構成とされる。上記カバー40は、
図6~
図7に示すように、シンク本体10に対し、天板20の張出部21に下側から突き合わされる形となって、奥側の内側壁11に手前側から立板状に被せられる形にセットされる。
【0032】
具体的には、天板20は、そのシンク本体10の奥側の内側壁11上に掛かる部位が、奥側の内側壁11を超えてシンク本体10内に庇状に張り出す張出部21を有する形状とされる。上記張出部21は、奥側の内側壁11上の壁幅方向の全域に亘って連続的に形成されている。
【0033】
上記張出部21は、その張り出した先の先端面が、斜め下向きとなるように45度にC面取りされた角部21Aを有する形状とされる。一方、カバー40も、その上端面が、斜め奥側を向くように45度にC面取りされた角部41を有する形状とされる。したがって、上記カバー40の上端側のC面取りされた角部41を天板20の先端側の張出部21のC面取りされた角部21Aに下方から突き合わせることで、カバー40が天板20の先端から下方に直交して延びる形に組み付けられる(
図6参照)。
【0034】
上記カバー40は、シンク本体10に対して、永久磁石15と金属製のパッチ42とを用いた水平方向の吸着構造と、凸部43と受け具16とを用いた水平方向の凹凸の引掛構造と、によって着脱可能に取り付けられる。具体的には、
図6及び
図7に示すように、カバー40の左右両端側(
図4も参照)の奥側の面上には、それぞれ、上下2箇所ずつに金属製のパッチ42が一体的に接合されている。
【0035】
また、上記カバー40の左右両端側の上下の各パッチ42の間の中間部には、それぞれ、奥側に向かって板状に突出する凸部43が形成されている。一方、
図3、
図6及び
図7に示すように、シンク本体10の左右の各側面上(
図4も参照)には、それぞれ、上下2箇所ずつに、各側面上から張り出すように永久磁石15が一体的に取り付けられている。
【0036】
また、シンク本体10の左右の各側面上における上下の各永久磁石15の間の中間部には、それぞれ、各側面上から張り出すように平板状の受け具16が一体的に取り付けられている。上記シンク本体10の左右の各側面上に取り付けられた上下2箇所の各永久磁石15は、それぞれ、
図6~
図7に示すように、上述したカバー40を天板20の張出部21に下方から突き当てる組み付けに伴い、カバー40の奥面に接合された各側のパッチ42をそれぞれ前方から当てて吸着することのできる位置に設けられている。
【0037】
また、シンク本体10の左右の各側面上に取り付けられた各受け具16は、それぞれ、上述したカバー40の組み付けに伴い、カバー40の奥面上から突出する各側の凸部43をそれらの上面に乗せられる位置に設けられている。したがって、上記カバー40の組み付けにより、各パッチ42が対応する各永久磁石15に吸着されることで、カバー40がシンク本体10に対して水平方向にガタ付かない状態に位置固定される。
【0038】
併せて、各凸部43が対応する各受け具16上にセットされることで、カバー40がシンク本体10に対して各永久磁石15の吸着力に負けて重力方向に落下しないように適切に下支えされる。その結果、
図6に示すように、カバー40が、天板20の張出部21に対し、下方から各々の斜めに面取りされた角部41,21A同士が突き合わされて互いに直交する形に組み付けられた状態として保持される。
【0039】
詳しくは、上記カバー40は、上記組み付けにより、シンク本体10の奥側の内側壁11から手前側に離間した位置(本体底面部12上の位置)で、内側壁11を手前側から覆う形にセットされる。上記組み付け状態では、カバー40は、本体底面部12との間に通水孔となる高さ方向の隙間Tを空けた状態とされる。
【0040】
上記隙間Tは、壁幅方向の全域に亘って形成されている。したがって、シンク本体10内から本体底面部12の下り勾配に沿って奥側へと流された湯水は、上記隙間Tから凹部13へと直接流される他、凹部13の形成されていない内側壁11(
図2参照)に向かっても流されることとなる。
【0041】
上記隙間Tから内側壁11に向かって流された湯水は、
図6に示すように、内側壁11に臨む本体底面部12の奥側の縁部に沿って形成された通水溝12A内に入り込む。通水溝12Aは、内側壁11の壁幅方向の全域に亘って壁幅方向に筋状に延びる形に形成され、その右端部が凹部13と連通するように形成されている。
【0042】
詳しくは、通水溝12Aは、右方に向かって僅かに下り勾配となるように傾斜して、凹底面部13Aと互いの底面が面一状に滑らかに繋がる形状とされる。より詳しくは、通水溝12Aは、その手前側の側面が、凹部13の手前側の側面、すなわち、段差部13Bの立ち上がり面と壁幅方向に連続するように繋がる形状とされる。
【0043】
上記通水溝12Aにより、上記隙間Tから内側壁11に向かって流された湯水は、隙間Tからシンク本体10の内側へと逆流することなく、通水溝12Aに沿って排水口14へと流されるように導かれる。また、上記隙間Tから凹部13内へと流された湯水も、本体底面部12との間に形成された段差部13Bにより、隙間Tからシンク本体10の内側へと逆流することなく、排水口14へと適切に流される。
【0044】
上記カバー40は、その奥面が段差部13Bの立ち上がり面よりも手前側に離間するように、シンク本体10の奥側の内側壁11から手前側に離間して配置される。詳しくは、カバー40は、本体底面部12との間の隙間Tの高さHが、カバー40の手前側の面から段差部13Bまでの奥行Lよりも狭くなるように配置されている。上記の隙間Tは、壁幅方向の全域に亘って略均一とされる。
【0045】
上記のように、カバー40と本体底面部12との間の隙間Tが狭くなっていることで、シンク1の正面に立つユーザが隙間Tの中を覗き込んだとしても、その奥側にある段差部13Bや通水溝12Aのラインが見えにくくなる。したがって、カバー40により、凹部13が形成されたシンク本体10の奥側の内側壁11を見栄え良く被覆することができる。
【0046】
また、上記のようにカバー40と本体底面部12との間の隙間Tが狭くなっていても、同隙間Tがシンク本体10の奥側の内側壁11に沿った壁幅方向の全域に形成されていることで、通水孔全体としての開口を広く確保することができる。
【0047】
図4に示すように、上記カバー40が天板20の庇状に張り出す張出部21の直下に設けられることで、カバー40の上面が上方から見えないように被覆される。詳しくは、
図6で前述したように、カバー40は、天板20の張出部21に対し、下方から各々の斜めに面取りされた角部41,21A同士が突き合わされて互いに直交する形に組み付けられる構成とされる。そのようなことから、カバー40の上縁と天板20との間の見切り線が、張出部21のシンク本体10内に臨む縁の上縁ラインと重ねられ、天板20の見栄え品質が損なわれにくい。
【0048】
また、排水口14がシンク本体10から奥側に凹んだ凹部13の底面に形成されることから、排水口14に下方から接続される排水管50がシンク本体10から奥側に退いた位置に配設されることなる。そのようなことから、
図1及び
図5に示すように、シンク本体10とフロアとの間に、ユーザがシンク本体10により近づけるようにするための足入れスペースSPを広く確保することができる。
【0049】
また、カバー40が着脱可能とされることで、排水口14や排水管50の施工時やメンテナンス時にカバー40を外すことで、これらの施工作業やメンテナンス作業を簡便に行うことができる。また、カバー40が経年劣化等で損傷した場合等に、カバー40単体を簡便に取り替えることができる。また、凹部13が天板20の下側に潜り込んで天板20により上方から覆われる構成とされることから、天板20の形状変更を伴うことなく、天板20を凹部13の直上域でも一般面とひと続き状に広がる形に延びる見栄えの良い形にすることができる。
【0050】
(まとめ)
以上をまとめると、第1の実施形態に係るシンク1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0051】
すなわち、シンク(1)は、上向き開口の水槽を成すシンク本体(10)と、シンク本体(10)のいずれかの内側壁(11)の上縁から水平方向に広がる天板(20)と、を有する。上記シンク(1)は、更に、内側壁(11)の壁幅方向の一部領域(A1)から天板(20)の下側に潜り込む形に凹む凹部(13)と、凹部(13)の底面を成す凹底面部(13A)に形成される排水口(14)と、凹部(13)に内側壁(11)に沿った立板形状を成す形に被せられて排水口(14)を外部に対して覆う着脱可能なカバー(40)と、を有する。凹部(13)が、天板(20)により上方から覆われ、カバー(40)によりシンク本体(10)内側から覆われる。
【0052】
上記構成によれば、排水口(14)を有する凹部(13)が、天板(20)下に潜り込む形となって、カバー(40)によりシンク本体(10)内側から面状に覆われる構成となる。したがって、天板(20)上にカバー(40)や凹部(13)との見切り線を露出させることなく、凹部(13)や凹部(13)を仕切るカバー(40)を設けることができる。その結果、排水口(14)を覆うカバー(40)が着脱可能な構成であっても、排水口(14)をより見栄え良く被覆することができる。
【0053】
また、天板(20)が、カバー(40)が設けられる壁幅方向の設置領域に、内側壁(11)を越えてシンク本体(10)内に庇状に張り出す張出部(21)を有する。カバー(40)が、張出部(21)に沿って張出部(21)の直下に張出部(21)と高さ方向に近接して配置される。上記構成によれば、カバー(40)の上面が、天板(20)の張出部(21)により上方から覆われて、外部からより見えにくくなる。そのため、排水口(14)をより見栄え良く被覆することができる。
【0054】
また、カバー(40)が、張出部(21)に対して、下方から各々の斜めに面取りされた角部(41,21A)同士が突き合わされて互いに直交する形に組み付けられる。上記構成によれば、カバー(40)の上縁と天板(20)との間の見切り線を、天板(20)のシンク本体(10)内に臨む縁の上縁ラインと重ねることができる。したがって、排水口(14)をより見栄え良く被覆することができる。
【0055】
また、カバー(40)が、内側壁(11)の凹部(13)が形成される壁幅方向の一部領域(A1)と、凹部(13)が形成されない壁幅方向の他部領域(A2)と、に跨る壁幅方向の全域に亘って被せられる。上記構成によれば、カバー(40)により、内側壁(11)の凹部(13)の形成領域(一部領域(A1))とその他の領域(他部領域(A2))とをひと続き状に覆って、排水口(14)をより見栄え良く被覆することができる。
【0056】
また、凹底面部(13A)が、シンク本体(10)の底面を成す本体底面部(12)より低い位置に形成される。カバー(40)が、本体底面部(12)上に排水口(14)への通水孔となる高さ方向の隙間(T)を空けて設けられる。上記構成によれば、カバー(40)を、排水口(14)への通水路を適切に確保しつつ排水口(14)をより見栄え良く被覆できるように設けることができる。
【0057】
また、上記隙間(T)が、壁幅方向の全域に亘って形成され、本体底面部(12)の内側壁(11)の壁幅方向の他部領域(A2)に臨む縁部に沿って、凹底面部(13A)へ向けた壁幅方向に延びる通水路を形成する筋状の通水溝(12A)が形成される。上記構成によれば、カバー(40)と本体底面部(12)との間の隙間(T)から内側壁(11)へと流れ込んだ水を、通水溝(12A)に沿って排水口(14)へと導くことができる。したがって、上記隙間(T)から内側壁(11)へと流れ込んだ水を逆流させにくくすることができる。
【0058】
また、カバー(40)が、シンク本体(10)に対し、永久磁石(15)による水平方向の吸着構造(15,42)と水平方向の凹凸の引掛け構造(16,43)とを組み合わせた取付構造により着脱可能に取り付けられる。上記構成によれば、カバー(40)をシンク本体(10)に対して簡便かつ適切な位置に着脱可能なように組み付けることができる。
【0059】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0060】
1.本発明のシンクは、キッチンの流し台の他、洗面器の流し台を構成するものであっても良い。
【0061】
2.シンク本体及び/又は天板は、表面が人工大理石により化粧されたものに限らず、表面がステンレスから成る構成であっても良い。カバーも同様である。天板は、シンク本体のいずれかの内側壁の上縁から水平方向に広がる上面を成すものであれば良く、その周囲に更にカウンタトップとなるカウンタ天板が段差を介して段差上或いは段差下の位置に形成される構成であっても良い。また、天板は、それ自体が水平方向に面一状に延びてカウンタ天板を成すものであっても良い。
【0062】
3.凹部は、シンク本体のいずれかの内側壁の壁幅方向の一部領域から天板の下側に潜り込む形に凹むものであれば良く、シンク本体の奥側の内側壁の他、左右どちらかの内側壁に形成されるものであっても良い。また、シンク本体の手前側の内側壁に形成されるものであっても良い。
【0063】
上記凹部は、上記内側壁の壁幅方向の一部領域において、高さ方向の全域に亘って形成されるものの他、上部を残す下部領域にのみ形成される構成であっても良い。すなわち、凹部は、天板の下側に潜り込む形に凹んでその底面となる凹底面部に排水口を有するものであれば良く、必ずしも内側壁の高さ方向の全域に亘って凹む形に形成されるものでなくても良い。
【0064】
4.カバーは、シンク本体の内側壁における凹部が形成される壁幅方向の一部領域と、凹部が形成されない壁幅方向の他部領域と、に跨る壁幅方向の全域に亘って被せられるものの他、上記一部領域にのみ被せられるものであっても良い。その場合、カバーは、本体底面部の直上位置に設けられるものの他、凹部内に入り込んだ位置に設けられるものであっても良い。また、カバーは、上記一部領域と他部領域とに跨って被せられるものの、壁幅方向の全域には被せられない構成であっても良い。
【0065】
また、カバーは、凹部に被せられて排水口を外部に対して覆う構成であれば良く、その上縁が天板と面一状に並ぶように配置されるものの他、天板より低い位置に配置されるものであっても良い。すなわち、上記実施形態では、天板にシンク本体の内側壁を越えてシンク本体内に庇状に張り出す張出部が形成され、カバーが張出部の直下に高さ方向に近接して配置されたものを例示した。
【0066】
しかし、カバーは、上記天板の張出部と互いの上面が面一状に並ぶように配置されるものであっても良い。また、天板に張出部がなく、カバーが張出部よりもシンク本体の内側にオフセットされた位置で張出部よりも低い位置に並んで配置されるものであっても良い。
【0067】
また、カバーが張出部の直下に高さ方向に近接して配置される場合について、カバーは、張出部に下方から突き合わされて配置されるものの他、張出部から下方に離間して配置されるものであっても良い。
【0068】
カバーと本体側面部との間に形成される隙間は、必ずしもカバーの設置領域の壁幅方向の全域に亘って均一に形成されるものでなくても良く、設置領域の一部にのみ形成されるものであっても良い。
【0069】
5.永久磁石による水平方向の吸着構造は、カバー側に永久磁石を接合し、シンク本体側に永久磁石に吸着する金属板を設ける構成であっても良い。また、カバーとシンク本体との双方に永久磁石を設ける構成であっても良い。また、水平方向の凹凸の引掛け構造は、カバーとシンク本体との間で一方が他方の上に乗り上がる構成となるものであれば良い。
【符号の説明】
【0070】
1 シンク
2 キャビネット
10 シンク本体
11 内側壁
12 本体底面部
12A 通水溝
13 凹部
13A 凹底面部
13B 段差部
14 排水口
15 永久磁石(吸着構造)
16 受け具(凹凸の引掛け構造)
20 天板
21 張出部
21A 角部
30 水栓金具
31 吐水口
40 カバー
41 角部
42 パッチ(吸着構造)
43 凸部(凹凸の引掛け構造)
50 排水管
SP 足入れスペース
T 隙間
A1 一部領域
A2 他部領域
H 高さ
L 奥行