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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
A47J27/00 102
A47J27/00 103E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021085787
(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公開番号】P2022178761
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】貫名 明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須賀 圭
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-239501(JP,A)
【文献】特開2013-236796(JP,A)
【文献】実開昭61-103028(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理袋が収容された有底筒状の鍋と、
前記鍋を着脱可能に収容する本体と、
前記本体に配設され前記鍋の上端開口を開放可能に閉じ、前記鍋内と外部とを連通させる蒸気路を有する蓋体と、
前記蓋体の下部に配置され、前記鍋内と前記蒸気路とを連通させる、前記鍋内で発生した蒸気を排気するための蒸気孔が設けられた内蓋と、
前記内蓋に設けられ、前記内蓋の下面から離れるように隆起し、前記蒸気孔を覆うように延在し、一端が前記鍋の縁付近まで延びているフィルタ部材と、
前記フィルタ部材に前記鍋内を臨むように設けられ、前記フィルタ部材の延在方向に沿って前記一端から前記蒸気孔と対向するように延びている溝部と、
前記溝部に前記蒸気孔と位置合わせするように設けられた貫通孔と
を備える、調理器。
【請求項2】
前記フィルタ部材の前記一端は、前記鍋の前記縁から0.5mm以上30.0mm以下離間している、請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記フィルタ部材は、
前記鍋の底面に面するフィルタ本体部と、
前記フィルタ部材の前記一端を除く外周縁に沿って前記フィルタ本体部より下側に突出するように設けられたリブと
を備え、
前記溝部は前記フィルタ本体部と前記リブとの間に形成されている、請求項1又は2に記載の調理器。
【請求項4】
前記リブの高さは1.5mm以上15.0mm以下である、請求項3に記載の調理器。
【請求項5】
前記蒸気孔は、
前記フィルタ部材に覆われて設けられた第1蒸気孔と、
前記フィルタ部材に覆われずに設けられた第2蒸気孔と
を備え、
前記第2蒸気孔は前記フィルタ部材付近に設けられている、請求項1から4のいずれかに記載の調理器。
【請求項6】
前記第2蒸気孔は前記フィルタ部材から8.0mm以下離間している、又は、前記第2蒸気孔は前記フィルタ部材と接するように位置合わせされている、請求項5に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、耐熱性の調理袋に食材を入れ、その調理袋を調理器の鍋で湯煎するパッククッキングという調理方法が流行している。パッククッキングでは、調味料を含む食材に水を介して全方向から熱が加えられるため、フライパン等で調理する場合に比べ、効率的に調理できる。
【0003】
しかし、調理袋に空気が残っている状態で調理袋の口を密閉し調理した場合、加熱によって調理袋内の空気が膨張することで調理袋が膨らみ、調理器の蒸気孔が塞がれるおそれがある。その場合、フィルタ部材に設けられた蒸気孔を介して鍋内の蒸気が排出されないおそれがある。
【0004】
特許文献1には、蒸気孔を覆うようにフィルタ部材を配設することで、蒸気孔にパッククッキング用の袋が密着して蒸気孔が塞がれることを防止している調理器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-239501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の調理器では、例えば大きな調理袋を用いてパッククッキングをした場合や、厚みの薄い調理袋を用いてパッククッキングをした場合等に、フィルタ部材を含め内蓋全体が調理袋で覆われ、蒸気孔が塞がれるおそれがある。
【0007】
本発明は、調理器において、パッククッキングの際、調理袋が内蓋の下面全体を覆うように膨らんだ場合でも、蒸気孔が塞がれることを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、調理袋が収容された有底筒状の鍋と、前記鍋を着脱可能に収容する本体と、前記本体に配設され前記鍋の上端開口を開放可能に閉じ、前記鍋内と外部とを連通させる蒸気路を有する蓋体と、前記蓋体の下部に配置され、前記鍋内と前記蒸気路とを連通させる、前記鍋内で発生した蒸気を排気するための蒸気孔が設けられた内蓋と、前記内蓋に設けられ、前記内蓋の下面から離れるように隆起し、前記蒸気孔を覆うように延在し、一端が前記鍋の縁付近まで延びているフィルタ部材と、前記フィルタ部材に前記鍋内を臨むように設けられ、前記フィルタ部材の延在方向に沿って前記一端から前記蒸気孔と対向するように延びている溝部と、前記溝部に前記蒸気孔と位置合わせするように設けられた貫通孔とを備える、調理器を提供する。
【0009】
本発明の調理器によれば、調理袋の内部の空気が膨張し、調理袋がフィルタ部材に押し付けられた際、下向きに隆起したフィルタ部材によって、調理袋はフィルタ部材に接している箇所で張力を有した状態となる。そのため、フィルタ部材に設けられた溝部の内面に調理袋が密着し難くなる。従って、調理袋が鍋内で膨張し、内蓋の概ね全体を覆ったとしても、フィルタ部材に形成されている溝部を介して蒸気が排気され得るため、蒸気孔が塞がれ鍋内が高圧になることが防止され得る。また、溝部は鍋の縁付近から延びており、調理袋は内蓋と鍋の縁とが接する箇所付近までは膨張し難いため、溝部全体が調理袋によって覆われ難い。従って、蒸気孔が塞がれ鍋内が高圧になることが防止され得る。
【0010】
前記フィルタ部材の前記一端は、前記鍋の前記縁から0.5mm以上30.0mm以下離間していてもよい。
【0011】
前記フィルタ部材は、前記鍋の底面に面するフィルタ本体部と、前記フィルタ部材の前記一端を除く外周縁に沿って前記フィルタ本体部より下側に突出するように設けられたリブとを備え、前記溝部は前記フィルタ本体部と前記リブとの間に形成されていてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、調理袋が膨張した際、リブによって、調理袋とフィルタ部材とが接する箇所での調理袋の張力が向上し得る。そのため、溝部の内面に向かって調理袋が膨らみ、溝部の内面に調理袋が密着することが効果的に防止され得る。
【0013】
前記リブの高さは1.5mm以上15.0mm以下であってもよい。
【0014】
前記蒸気孔は、前記フィルタ部材に覆われて設けられた第1蒸気孔と、前記フィルタ部材に覆われずに設けられた第2蒸気孔とを備え、前記第2蒸気孔は前記フィルタ部材付近に設けられていてもよい。
【0015】
前記の構成によれば、第2蒸気孔付近まで調理袋が膨張し難いため、フィルタ部材付近に設けられた第2蒸気孔が塞がれることが防止され得る。調理袋が膨張しても、下向きに隆起したフィルタ部材によって、フィルタ部材と内蓋との間に空間が形成され得る。その空間に連通するように第2蒸気孔は設けられているため、鍋内の蒸気は排気でき、鍋内が高圧になることが防止され得る。
【0016】
前記第2蒸気孔は前記フィルタ部材から8.0mm以下離間している、又は、前記第2蒸気孔は前記フィルタ部材と接するように位置合わせされていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の調理器によれば、パッククッキングの際、調理袋が内蓋の下面全体を覆うように膨らんだ場合でも、蒸気孔が塞がれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る調理器の斜視図。
図2図1の蓋体が開いた状態での斜視図。
図3】本発明に係る調理器の内蓋を下から見た分解斜視図。
図4】本発明に係る調理器のフィルタ部材を下から見た斜視図。
図5】本発明に係る調理器のフィルタ部材を上から見た斜視図。
図6図5の線VI-VIでの内蓋を含む断面図。
図7図5の線VII-VIIでの内蓋を含む断面図。
図8図7の変形例を示す図。
図9図1の蓋体および鍋の線IX-IXでのフィルタ部材付近の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態のマルチクッカー(調理器)1を、以下、説明する。以下の説明において、上下方向に関する用語、すなわち、上方や下方といった用語は、蓋体20が閉じられた状態に対して用いられる。
【0020】
図1及び図2を参照すると、マルチクッカー1は、本体10、蓋体20、及び鍋30を備える。本体10は、筒形状をなす胴体11と、胴体11の下端開口を閉塞する底体12と、胴体11の上端開口を覆うように取り付けられた肩体13とからなる外装体を備える。肩体13は、略中央に鍋30を着脱可能に配置するための開口部(図示せず)を備える。また、肩体13の下部には、鍋30の下部を加熱する加熱手段(図示せず)と、鍋30の温度を検出するための鍋温度センサ(図示せず)とが配設されている。
【0021】
鍋30は、上端を開口した有底筒状で、本体10の開口部に着脱可能に収容されている。本実施形態では、鍋30には水と調理袋70とが入れられている。調理袋70は、ポリエチレン製の袋(所謂ポリ袋)である。調理袋70には、食材と調味料とが入れられている。
【0022】
蓋体20は、本体10の背部に形成されたヒンジ受部(図示せず)に回動可能に配設され、蓋体20の下部に配置された内蓋21を介して、鍋30の上端開口を開放可能に密閉する。内蓋21は、略円形で板状の蓋板23と、蓋板23の外周に配置されたパッキン22とを備える。蓋体20が閉じられることによって、パッキン22が鍋30の開口を形成する縁31に密着する。
【0023】
蓋体20の上面には、操作部26と蒸気口25が設けられている。操作部26によって、加熱時間や加熱温度等が制御される。後述の通り、蒸気口25を介して鍋30内の蒸気が排気される。
【0024】
図3は、内蓋21を上下反転させた状態の分解斜視図である。図3を参照すると、蓋板23の中央部分23cには、鍋30内で発生した蒸気を排気するための第1から第3蒸気孔24a~24cが、蓋板23の中心を通りマルチクッカー1の背面側から正面側に延びる軸Xに関して、対称に設けられている。第1蒸気孔24aは、軸Xに最も近く後述のフィルタ部材40に覆われている。第2蒸気孔24bは、第1蒸気孔24aの外側でフィルタ部材40付近に、フィルタ部材40に覆われずに設けられている。第3蒸気孔24cは、第2蒸気孔24bの外側に設けられている。また、蓋板23には、軸Xに沿って第1固定孔29が設けられている。以下の説明において、軸Xに関して対称に構成されている部分については、片側のみを説明する。
【0025】
また、蓋板23の外周部には、センサ部27が設けられている。センサ部27の上側、すなわち、蓋体20の内部のセンサ部27と対応する位置には蒸気センサ(図示せず)が設けられている。蒸気がセンサ部27を介して蒸気センサに接することで鍋30内の温度が測定される。
【0026】
また、蓋板23には複数のエンボス23aが設けられている。エンボス23aは蓋板23にエンボス加工された部分である。
【0027】
蓋板23には、フィルタ部材40が設けられている。フィルタ部材40は、樹脂製の成形品で、蓋板23の下面23bから離れるように隆起している。フィルタ部材40は、軸Xに沿って第1蒸気孔24aを覆うように延在している。フィルタ部材40の一端48は蓋板23の外周付近まで延び、他端49は蓋板23の中心部分23cまで延びている。すなわち、図9を参照すると、フィルタ部材40の一端48は、鍋30の縁31付近まで延びている。具体的には、フィルタ部材40の一端48と縁31との離間距離Aは0.5mm以上30.0mm以下である。好ましくは、離間距離Aは約2.0mmである。
【0028】
図4を参照すると、フィルタ部材40はフィルタ本体部41、溝部42、貫通孔45、第2固定孔46、及びリブ47を備える。フィルタ本体部41は軸Xに沿って延在し、鍋30の底面33に面する板状部材である。フィルタ部材40の外周部、すなわち、フィルタ本体部41の外周に沿って、一端48を除いて溝部42が設けられている。本実施形態では、溝部42は、軸Xに関して対称に軸Xに平行に、すなわち、フィルタ部材40の延在方向に沿って一端48から延びている直線状の一対の溝部42aと、一対の溝部42aの各先端を接続する円弧状の溝部42bとを備える。また、溝部42aは、第1蒸気孔24aと対向するように延びている。
【0029】
図6を参照すると、溝部42aは、横方向に延びる水平部43と、水平部43の両端から下方に延び、フィルタ本体部41の下面41aに接続される側壁部44aとリブ47aに接続される側壁部44bとを備える。溝部42bも溝部42aと同様の構成である。すなわち、溝部42は、フィルタ本体部41の外周部に下面41aから陥没して設けられている。換言すると、溝部42は、鍋30内に臨むようにフィルタ部材に設けられている。
【0030】
図4を参照すると、溝部42の外側、すなわち、フィルタ部材40の一端48を除く外周縁40aに沿って、リブ47が設けられている。リブ47は、溝部42a,42bのそれぞれの外側に設けられたリブ47a,47bを備える。すなわち、溝部42はフィルタ本体部41とリブ47との間に形成されている。
【0031】
図6を参照すると、リブ47aは、フィルタ本体部41の下面41aより下側に突出するように設けられている。本実施形態では、リブ47aは、側壁部44bを蓋板23の下面23bから離れる方向、すなわち、下方に延長することで形成されている。リブ47bもリブ47aと同様の構成である。リブ47の蓋板23の下面23bからの高さHは1.5mm以上15.0mm以下である。好ましくは、リブ47の高さHは約2.7mmである。
【0032】
図4及び図7を参照すると、溝部42には、軸Xに関して対称に貫通孔45が設けられている。貫通孔45は第1蒸気孔24aと位置合わせするように設けられている。本実施形態では、貫通孔45は、第1蒸気孔24aと同軸上に水平部43に設けられている。貫通孔45は、貫通孔45と第1蒸気孔24aとのそれぞれの開口が一部であっても重なるように設けられていてもよい。
【0033】
図4を参照すると、第2固定孔46が、軸Xに沿ってフィルタ本体部41に設けられている。第2固定孔46は第1固定孔29と同軸上に設けられている(図9参照)。
【0034】
図5及び図6を参照すると、フィルタ本体部41の上面41bには、延在方向に沿って上面41bから陥没している凹部41cが設けられている。また、フィルタ部材40の一端48を除く外周に沿って上面41bより上側に突出するように突条51が設けられている。
【0035】
図3を参照すると、フィルタ部材40と蓋板23との間には、フィルタ部材用パッキン60が配置されている。フィルタ部材用パッキン60は、突条51の内側に嵌合するパッキン本体部61を備える。パッキン本体部61の下面61aには、第3固定孔62と、下面61aから隆起している凸部63が設けられている。また、パッキン本体部61は、貫通孔45と対応する位置に切欠部64を備える。
【0036】
フィルタ部材40は、フィルタ部材用パッキン60を介して、蓋板23に取り付けられている。具体的には、フィルタ部材用パッキン60の凸部63をフィルタ部材40の凹部50に嵌合させ、フィルタ部材40の第2固定孔46とフィルタ部材用パッキン60の第3固定孔62とを介して、フィルタ部材40は蓋板23にリベット28で固定されている。
【0037】
図7を参照すると、フィルタ部材40は、第2蒸気孔24bがフィルタ部材40の側面40b付近に位置するように配置されている。換言すると、第2蒸気孔24bはフィルタ部材40付近に設けられている。具体的には、第2蒸気孔24bの最もフィルタ部材40に近い部分とフィルタ部材40の側面40bとの離間距離Bは8.0mm以下である。好ましくは、離間距離Bは約0.5mmである。
【0038】
図8を参照すると、第2蒸気孔24bは、フィルタ部材40の側面40bと接するように位置合わせされていてもよい。すなわち、第2蒸気孔24bの最もフィルタ部材40に近い部分とフィルタ部材40の側面40bとが重なるように、第2蒸気孔24bは配置されていてもよい。
【0039】
図9を参照すると、内蓋21の上部、すなわち蓋体20の内側には、蒸気路80が設けられている。蒸気路80は第1蒸気路80aと第2蒸気路80bとを備える。第1蒸気路80aと第2蒸気路80bとは、第3蒸気路80cによって連通している。また、第1蒸気路80aは、蒸気孔24a~24cと貫通孔45とを介して、鍋30の内側と連通している(図7参照)。また、第2蒸気路80bは、蒸気口25を介してマルチクッカー1の外部に連通している。すなわち、蒸気路80は鍋30内とマルチクッカー1の外部とを連通させる。
【0040】
図4図7、及び図9を参照し、鍋30内で生じた蒸気の排気経路を説明する。
【0041】
調理袋70が膨張していない場合、蒸気は、蒸気孔24a~24cを介して第1蒸気路80aに流入する。第1蒸気路80aに流入した蒸気は、第3蒸気路80cと第2蒸気路80bとを介して蒸気口25から排気される。
【0042】
調理袋70が内蓋21の下面23b全体を覆うように膨らんだ場合、図4及び図7の矢印で示されているように、蒸気は、溝部42の一端48側から溝部42、貫通孔45、及び第1蒸気孔24aを介して第1蒸気路80aに流入する。また、図7を参照すると、調理袋70が膨張しても、フィルタ部材40の側面40bと内蓋21との間に空間81が形成される。蒸気は、空間81と第2蒸気孔24bとを介して第1蒸気路80aに流入する。第1蒸気路80aに流入した蒸気は、第3蒸気路80cと第2蒸気路80bとを介して蒸気口25から排気される。
【0043】
本実施形態のマルチクッカー1によれば、調理袋70の内部の空気が膨張し、調理袋70がフィルタ部材40に押し付けられた際、下向きに隆起したフィルタ部材40によって、調理袋70はフィルタ部材40に接している箇所で張力を有した状態となる。そのため、フィルタ部材40に設けられた溝部42の内面に調理袋70が密着し難くなる。従って、調理袋70が鍋30内で膨張し、内蓋21の概ね全体を覆ったとしても、フィルタ部材40に形成されている溝部42を介して蒸気が排気され得るため、蒸気孔24a~24cが塞がれ鍋30内が高圧になることが防止され得る。また、溝部42は鍋30の縁31付近から延びており、調理袋70は内蓋21と鍋30の縁31とが接する箇所付近までは膨張し難いため、溝部42全体が調理袋70に覆われ難い。従って、蒸気孔24a~24cが塞がれ鍋30内が高圧になることが防止され得る。
【0044】
また、調理袋70が膨張した際、リブ47によって、調理袋70とフィルタ部材40とが接する箇所での調理袋70の張力が向上し得る。そのため、溝部42の内面に向かって調理袋70が膨らみ、溝部42の内面に調理袋70が密着することが効果的に防止され得る。
【0045】
また、第2蒸気孔24b付近まで調理袋70が膨張し難いため、フィルタ部材40付近に設けられた第2蒸気孔24bが塞がれることが防止され得る。調理袋70が膨張しても、下向きに隆起したフィルタ部材40によって、フィルタ部材40と内蓋21との間に空間81が形成され得る。その空間81に連通するように第2蒸気孔24bは設けられているため、鍋30内の蒸気は排気でき、鍋30内が高圧になることが防止され得る。
【0046】
以上より、本実施形態のマルチクッカー1によれば、パッククッキングの際、調理袋70が内蓋21の下面23b全体を覆うように膨らんだ場合でも、蒸気孔24a~24cが塞がれることを防止できる。
【符号の説明】
【0047】
1 マルチクッカー(調理器)
10 本体
11 胴体
12 底体
13 肩体
20 蓋体
21 内蓋
22 パッキン
23 蓋板
23a エンボス
23b 下面
23c 中心部分
24a 第1蒸気孔
24b 第2蒸気孔
24c 第3蒸気孔
25 蒸気口
26 操作部
27 センサ部
28 リベット
29 第1固定孔
30 鍋
31 縁
32 内面
33 底面
40 フィルタ部材
40a 外周縁
40b 側面
41 フィルタ本体部
41a 下面
41b 上面
42 溝部
42a,42b 溝部
43 水平部
44a,44b 側壁部
45 貫通孔
46 第2固定孔
47 リブ
47a,47b リブ
48 一端
49 他端
50 凹部
51 突条
60 フィルタ部材用パッキン
61 パッキン本体部
61a 下面
62 第3固定孔
63 凸部
64 切欠部
70 調理袋
80 蒸気路
80a 第1蒸気路
80b 第2蒸気路
80c 第3蒸気路
81 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9