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特許7543228道路平面点群データの補正方法及びその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】道路平面点群データの補正方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240826BHJP
   E01C 23/01 20060101ALI20240826BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G06T7/00 650A
E01C23/01
G06T7/00 C
G08G1/00 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021140922
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034604
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】栗田 大貴
(72)【発明者】
【氏名】加藤 永
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-005819(JP,A)
【文献】特開2020-165717(JP,A)
【文献】特開2018-004477(JP,A)
【文献】特開2013-093008(JP,A)
【文献】国際公開第2009/045096(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110675392(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113177508(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
E01C 23/01
G08G 1/00
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定した道路に対応する点群データを取得するステップと、
前記点群データから前記道路に対応する地表面点群データを抽出するステップと、
道路地図データの道路情報を参照して、前記地表面点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから車両が走行する道路面に対応し、かつ前記車両が走行する道路面を平面に正規化した第1道路平面点群データを得るステップと、
前記道路地図データの道路情報と仮想的な道路の一側縁を規定する情報を参照して、前記地表面点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから仮想的な道路の道路面に対応し、かつ前記仮想的な道路の道路面を平面に正規化した第2道路平面点群データを得るステップと、
前記第2道路平面点群データで前記第1道路平面点群データを補正する補正ステップと、
を備えてなる道路平面点群データの補正方法。
【請求項2】
前記補正ステップは、前記第1道路平面点群データにおいて空所を前記第2道路平面点群データで補充する、請求項1に記載の補正方法。
【請求項3】
前記仮想的な道路の一側縁は、MMSの撮影装置の移動軌跡に一致する、請求項1又は2に記載の補正方法。
【請求項4】
指定した道路に対応する点群データを取得する点群データ取得部と、
前記点群データから前記道路に対応する地表面点群データを生成する地表面点群データ生成部と、
道路地図データの道路情報を参照して、前記地表面点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから車両が走行する道路面に対応し、かつ前記車両が走行する道路面を平面に正規化した第1道路平面点群データを得る一般道路平面点群データ生成部と、
前記道路地図データの道路情報と仮想的な道路の一側縁を規定する情報を参照して、前記地表面点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから仮想的な道路の道路面に対応し、かつ前記仮想的な道路の道路面を平面に正規化した第2道路平面点群データを得る仮想道路平面点群データ生成部と、
前記第2道路平面点群データで前記第1道路平面点群データを補正する道路平面点群データ補正部と、
を備えてなる道路平面点群データの補正装置。
【請求項5】
点群データ取得装置、地表面点群データ生成部、一般道路平面点群データ生成部、仮想道路平面点群データ生成部及び道路平面点群データ補正部を備えてなる道路平面点群データの補正装置を構成するコンピュータ装置に適用されるコンピュータプログラムであって、
前記点群データ取得装置に、指定した道路に対応する点群データを取得させ、
前記地表面点群データ生成部に、前記点群データから前記道路に対応する地表面点群データを生成させ、
前記一般道路平面点群データ生成部に、道路地図データの道路情報を参照して、前記地表面点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから車両が走行する道路面に対応し、かつ前記車両が走行する道路面を平面に正規化した第1道路平面点群データを得させ、
前記仮想道路平面点群データ生成部に、前記道路地図データの道路情報と仮想的な道路の一側縁を規定する情報を参照して、前記地表面点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから仮想的な道路の道路面に対応し、かつ前記仮想的な道路の道路面を平面に正規化した第2道路平面点群データを得させ、
前記道路平面点群データ補正部に、前記第2道路平面点群データで前記第1道路平面点群データを補正させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はモバイルマッピングシステムで得られた点群データから生成される道路平面点群データを補正する方法、及びその装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元レーザ計測機とデジタルカメラによって構成されるモバイルマッピングシステム(この明細書で「MMS」と略することがある)で得られた点群データを処理して地図データが作成されている(特許文献1~4)。
点群データを構成する点データには撮影車両の進行方向の座標y、進行方向と垂直に横断する方向の座標x、及び高さ方向の座標zが付与されるものとする。
地図データにおいて道路平面を特定するデータ(この明細書で「道路平面点群データ」という)の生成は、例えば次のようなアルゴリズムを実行するコンピュータ処理によりなされる。
【0003】
地表面点群データの抽出
撮影車両の進行方向において同一座標ynに存在するすべての点群データ(道路面のものも非道路面のものも含まれる)について、その抽出中心を(yn、xn)としたとき、抽出中心から横断方向へ所定の一次抽出幅±A内に存在するもの(一次抽出点群データ)を抽出する。抽出中心(yn、xn)毎に抽出された一次抽出点群データの高さの中央値znを当該抽出中心(yn、xn)における基準高さznとする。この基準高さznは同一座標ynに存在するすべての点群データ(道路面のものも非道路面のものも含まれる)について特定される。
次に、抽出中心(yn、xn)ごとに特定された基準高さznを中心に所定の二次抽出高さ幅±Bを持たせ、当該座標(yn、xn、zn±B)に存在する点群データを抽出する。このようにして抽出された点群データ(地表面点群データ)を図1に符号Pで示す。この地表面点群データはMMSで撮影された地表面全域を対象としている。
【0004】
道路平面点群データの抽出
地表面点群データから道路平面点群データの抽出を行う。ここに、実際の道路面の横断面形状はカーブしているが、これが直線状であるとして、即ち道路面が平面であるとして、道路平面点群データを抽出する。なお、道路面とは車両の走行が予定されている領域をいう。
予め備えられる道路地図データのリンクデータと道路幅データを利用して、地表面点群データの中から道路面に対応するものを選択抽出する。ここに、図1の例では、符号Eで示す抽出断面領域に含まれる点群データが道路面に対応するものである。抽出断面領域Eの高さは二次抽出高さ幅2Bの範囲であり、抽出断面領域Eの幅は道路地図データから得られる路面幅を採用する。かかる抽出断面領域Eがリンクに沿って連なり、平板状の抽出領域を形成しているものといえる。
【0005】
一次抽出点群データから特定された基準高さznは道路幅方向に変化するので、路面を平面状と仮定するには、道路幅方向の基準高さznを正規化する。例えば、最小二乗法等により各抽出中心(yn、xn)における基準高さznを直線上にのせる。その結果、抽出断面領域Eは矩形状となる。
抽出断面領域Eに含まれる点群データが道路面に対応しているものとし、抽出断面領域Eを矩形のフィルタとすることで、道路面を平面に正規化する。このようにして抽出された点群データをこの明細書では道路平面点群データという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-027973号公報
【文献】特開2018-004477号公報
【文献】特開2014-115904号公報
【文献】特再公表WO2010/024212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンピュータにより自動生成される道路平面点群データには、オペレータによるマニュアル修正が加えられて、地図データに反映される。
上記のようにして道路平面点群データを自動作成したところ、車両が本来通行すべき道路面とその縁に連続する非道路面(路肩、中央分離帯など)との境界線を明確に区分けられないことがあった。例えば、道路面の縁の領域が、路面データ群から欠落することが生じていた。
かかる欠落のマニュアル修正には多大な時間と手間がかかる。よって、かかる欠落を低減することが求められる。
【0008】
欠落が生じる理由は次のように考えられる。
現実の道路では、非道路面(路肩や中央分離帯)が道路面に比べて上下方向に大きく傾斜することがある。ここに、道路横断方向の一次抽出幅(±A)が大きいとき、当該傾斜面が基準高さznの特定に影響する。
例えば、抽出中心が道路面において非道路面近くにあったとき、非道路面に傾斜があると、この傾斜のある領域が一次抽出幅±Aに包含される。その結果、道路面にある抽出中心の基準高さznの特定に当該傾斜領域が大きく影響する(図1の領域P1参照)。しかしながら、当該傾斜が抽出断面領域Eに与える影響は小さい。抽出断面領域Eの傾斜は道路面全域の基準高さznを正規化して特定されるので、領域P1に比べて道路面の他の部分(中央側の幅広部分)の影響の方が大きいからである。その結果、抽出断面領域EはP1領域から乖離してしまい、点群データの欠落を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記の課題を解決すべくなされたものであり、その第1局面は次のように規定される。即ち、
指定した道路に対応する点群データを取得するステップと、
前記点群データから前記道路に対応する地表面点群データを生成するステップと、
道路地図データの道路情報を参照して、前記地表点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから車両が走行する道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第1道路平面点群データを得るステップと、
前記道路地図データの道路情報と仮想的な道路の一側縁を規定する情報を参照して、前記地表面点群データ所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから仮想的な道路の道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第2道路平面点群データを得るステップと、
前記第2道路平面点群データで前記第1道路平面点群データを補正する補正ステップと、
を備えてなる道路平面点群データの補正方法。
【0010】
このように規定される第1局面の道路平面点群データの補正方法によれば、仮想的な道路を設定し、この仮想的な道路に対して所定のアルゴリズムを用いて道路平面点群データを作成する。この仮想的な道路はその一側縁が前記道路面の走行領域内にあり、他の側縁が前記道路面の側縁と一致する。即ち、道路面中央側において狭くなっている。その結果、抽出断面領域Eの基準高さznの正規化において、即ち抽出断面領域Eの傾斜角度を特定するときの、道路面中央側の影響が小さくなる。
【0011】
図2に、仮想的な道路に対して設定される抽出断面領域E1、E2を示す。
図2の抽出断面領域E1には、非道路面の傾斜の影響が大きく表れている。これは、図1の例と比べて、道路面の中央側の影響が小さくなったためである。
これにより抽出断面領域E1は、抽出断面領域Eを通してはカバーされなかった領域P1の点群データをカバーする。
【0012】
抽出断面領域Eを通して抽出された第1道路平面点群データが欠落した領域の点群データを、抽出断面領域E1を通して抽出された第2道路平面点群データで補充することにより、道路平面点群データが現実の道路面に対応したものとなる。よって、道路平面点群データに基づき表示される道路面画像において、道路面と非道路面との境界を明確に区分できる。また、オペレータによる補修作業も少なくなる。
【0013】
このように、1つの道路に対して、道路面の全域を対象とする点群データを、道路面において側縁を含む一部の領域を対象とする点群データで補正することは、道路面を平面とする正規化処理がなされる場合に有効である。道路面の側縁に続く非道路面が道路面に比べて大きく傾斜することがあり、MMS撮影装置が撮影した点群データ(処理前)において道路面と非道路面とは区別がつかないことから、かかる非道路面の傾斜は点群データの処理方法に影響する一方、非道路面は道路面より狭いので、道路面の平面化のための正規化処理に与える非道路面の傾斜の影響は小さいからである。
【0014】
仮想的な道路を設定するにあたり、仮想的な道路の他方の側縁は一般道路(道路地図データで特定されるもの)の側縁と一致され、一方の側面は一般道路面の走行領域内にある。かかる仮想的な道路面の一方の側面は、一般道路面(即ち走行面)内において任意に設定可能であるが、MMS撮影装置の移動軌跡と一致させることができる。MMS撮影時の位置の記録は容易なため、データの取扱いが容易になるためである。
【0015】
第1局面を実行するための装置は次のように規定される。
指定した道路に対応する点群データを取得する点群データ取得部と、
前記点群データから前記道路に対応する地表面点群データを生成する地表面点群データ生成部と、
道路地図データの道路情報を参照して、前記地表点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから車両が走行する道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第1道路平面点群データを得る一般道路平面点群データ生成部と、
前記道路地図データの道路情報と仮想的な道路の一側縁を規定する情報を参照して、前記地表面点群データ所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから仮想的な道路の道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第2道路平面点群データを得る仮想道路平面点群データ生成部と、
前記第2道路平面点群データで前記第1道路平面点群データを補正する道路平面点群データ補正部と、
を備えてなる道路平面点群データの補正装置。
【0016】
この補正装置用のコンピュータ装置を動作させるコンピュータプログラムは次のように規定される。
点群データ取得装置、地表面点群データ生成部、一般道路平面点群データ生成部、仮想道路平面点群データ生成部及び道路平面点群データ補正部を備えてなる道路平面点群データの補正装置を構成するコンピュータ装置に適用されるコンピュータプログラムであって、
前記点群データ取得装置に、指定した道路に対応する点群データを取得させ、
前記地表面点群データ生成部に、前記点群データから前記道路に対応する地表面点群データを生成させ、
前記一般道路平面点群データ生成部に、道路地図データの道路情報を参照して、前記地表点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから車両が走行する道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第1道路平面点群データを得させ、
前記仮想道路平面点群データ生成部に、前記道路地図データの道路情報と仮想的な道路の一側縁を規定する情報を参照して、前記地表面点群データ所定のアルゴリズムで処理して、前記地表面点群データから仮想的な道路の道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第2道路平面点群データを得させ、
前記道路平面点群データ補正部に、前記第2道路平面点群データで前記第1道路平面点群データを補正させる、コンピュータプログラム。
【0017】
この発明の第2局面は次のように規定される。
道路に対応する点群データを取得するステップと、
前記点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記点群データから車両が走行する道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第1道路平面点群データを得るステップと、
前記点群データから、仮想的な道路に対応する仮想点群データを抽出する抽出ステップであって、前記仮想的な道路の一側縁は前記道路面の走行領域内にあり、他の側縁は前記道路面の側縁と一致する、仮想点群データ抽出ステップと、
前記仮想的な道路に対応する仮想点群データを前記所定のアルゴリズムで処理して、前記仮想点群データから仮想的な道路の道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第2道路平面点群データを得るステップと、
前記第2道路平面点群データで前記第1道路平面点群データを補正する補正ステップと、
を備えてなる道路平面点群データの補正方法。
【0018】
第2局面の補正方法を実行するための補正装置は次のように規定される。
道路に対応する点群データを取得する点群データ取得装置と、
前記点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記点群データから車両が走行する道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した一般道路平面点群データを得る第1道路平面点群データ生成部と、
前記点群データから、仮想的な道路に対応する仮想点群データを抽出する仮想点群データ抽出部であって、前記仮想的な道路の一側縁は前記道路面の走行領域内にあり、他の側縁は前記道路面の側縁と一致する、仮想点群データ抽出部と、
前記仮想的な道路に対応する仮想点群データを前記所定のアルゴリズムで処理して、前記仮想点群データから仮想的な道路の道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第2道路平面点群データを得る第2道路平面点群データ生成部と、
前記第2道路平面点群データで前記第1道路平面点群データを補正する道路平面点群データ補正部と、
を備えてなる道路平面点群データの補正装置。
【0019】
この補正装置のコンピュータ装置を実行するためのコンピュータプログラムは次のように規定される。
点群データ取得装置、第1道路平面点群データ生成部、仮想点群データ抽出部、第2道路平面点群データ生成部及び道路平面点群データ補正部を備えてなる道路平面点群データの補正装置を構成するコンピュータ装置に適用されるコンピュータプログラムであって、
前記点群データ取得装置に、道路に対応する点群データを取得させ、
前記第1道路平面点群データ生成部に、前記点群データを所定のアルゴリズムで処理して、前記点群データから車両が走行する道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した一般道路平面点群データを得させ、
前記仮想点群データ抽出部に、前記点群データから仮想的な道路に対応する仮想点群データを抽出させ、前記仮想的な道路の一側縁は前記道路面の走行領域内にあり、他の側縁は前記道路面の側縁と一致する、
前記第2道路平面点群データ生成部に、前記仮想的な道路に対応する仮想点群データを前記所定のアルゴリズムで処理して、前記仮想点群データから仮想的な道路の道路面に対応し、かつこれを平面に正規化した第2道路平面点群データを得させ、
前記道路平面点群データ補正部に、前記第2道路平面点群データで前記第1道路平面点群データを補正させる、コンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は従来の道路平面点群データの生成方法を説明する模式図である。
図2図2はこの発明による仮想的な道路の道路平面点群データの生成方法を説明する模式図である。
図3図3はこの発明の実施形態の道路平面点群データの補正装置を示すブロック図である。
図4図4図3の装置を用いた道路平面点群データの補正方法を説明するフローチャートである。
図5図5図4のステップ3の詳細を示すフローチャートである。
図6図6図4のステップ5の詳細を示すフローチャートである。
図7図7は実施形態の道路平面点群データの補正装置を動作させるコンピュータ装置の機能ブロックである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図3のブロック図に、実施形態の道路平面点群データ補正装置1の構成を示す。
この補正装置1は、データベース部10、データ保存部20、地表面点群データ生成部25、道路平面点群データ生成部30、道路平面点群データ保存部40、道路平面点群データ補正部50を概略備えてなる。
データベース部10には、MMS撮影装置で撮影した全ての点群データを保存する点群データベース11と、MMS撮影装置の軌跡(座標)を保存するMMS軌跡データベース13とが備えられる。
MMS撮影装置は一般的には車両に備え付けられた3次元レーザ計測器とデジタルカメラから構成される。ここに、MMS撮影装置の軌跡は車両の走行データから特定される。ドローンにMMS撮影装置を備え付けることもできる。
【0022】
オペレータは、リンク指定部60により、道路地図データ保存部70に保存されている道路のリンクデータを参照して、道路平面点群データの生成対象とすべきリンクデータを指定する。このとき、リンクデータのy座標がy1~ytのとき、各y座標における全てのx座標、z座標のデータが指定されものとする。換言すれば、道路面に対応する点群データのみならず、非道路面に対応する点群データも併せて指定されることとなる。
指定されたリンクデータに対応する点群データが点群データベース11から読み出されて点群データ保存部21に保存される。同様に、指定されたリンクデータに対応するMMS撮影装置の軌跡データがMMS軌跡データベース13から読み出されてMMS軌跡保存部23に保存される。
【0023】
地表面点群データ生成部25は、点群データ保存部21に保存されている点群データから地表面点群データを生成する。
一般道路平面点群データ生成部31は、道路地図データのリンクデータの座標と道路幅データを参照して抽出断面領域Eを形成する(図1参照)。抽出した地表面点群データの中から、この抽出断面領域Eに含まれる点群データを抽出し、これをもって第1道路平面点群データとする。
このように生成された第1道路平面点群データは第1道路平面点群データ保存部41に保存される。
【0024】
仮想道路平面点群データ生成部33は道路地図データのリンクデータの座標とMMS軌跡保存部23に保存されているMMS撮影装置の軌跡データを参照して、抽出断面領域E1を形成する(図2参照)。、地表面点群データ生成部25が生成した地表面点群データから、この抽出断面領域E1に含まれる点群データを抽出し、これをもって第2道路平面点群データとする。
このように生成された第2道路平面点群データは第2道路平面点群データ保存部43に保存される。
この例では、仮想的な道路の一側縁をMMS撮影装置の軌跡に基づいて自動的に定めているが、仮想的な道路の一側縁はオペレータが任意に定めることができる。なお、この一側縁は一般道路のほぼ中央にあることが好ましい。
上記において、道路地図データのリンクデータの座標とMMS軌跡保存部23に保存されているMMS撮影装置の軌跡データを参照して予め仮想的な道路を規定し、点群データベース11に保存されている点群データから、この仮想的な道路に対応する点群データを抽出し、抽出された点群データについて地表面点群データ生成部25と一般道路平面点群データ生成部31で実行した処理と同様な処理を実行することで、第2道路平面点群データを生成することもできる。
【0025】
道路平面点群データ補正部50は、第1道路平面点群データ保存部41に保存されている第1道路平面点群データと、第2道路平面点群データ保存部43に保存されている第2道路平面点群データとを比較し、第1道路平面点群データにおいて欠落されているデータを第2道路平面点群データで補充する。
この例では、第1道路平面点群データが欠落した座標に第2道路平面点群データが存在したとき、後者のデータを前者のデータへ嵌め込むことにより、補充としている。
その他、第1道路平面点群データにおいてデータ欠落した座標の周囲の座標のデータも第2道路平面点群データで入れ替えることがきる。
このように、第1道路平面点群データに第2道路平面点群データを対応させることをこの明細書では補正と称する。
【0026】
次に、図3の道路平面点群データ補正装置1の動作について、図4~6のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップ1では、リンク指定部60が、オペレータが指定するか若しくは所定のルールに従って指定された道路のリンクデータ(座標y1~yt)に対応する点群データを点群データベース11から読み出して点群データ保存部21に保存する。同様に、リンク指定部60は、指定された道路のリンクデータに対応するMMS撮影装置の移動軌跡をMMS軌跡データベース13から読み出してMMS軌跡保存部23に保存する。
【0027】
ステップ2では地表面点群データが生成される。
MMS撮影装置の進行方向において同一座標y1に存在するすべての点群データ(道路面のものも非道路面のものも含まれる)について、その抽出中心を(y1、xn)としたとき、抽出中心から横断方向へ所定の一次抽出幅±A(例えば1.0m)内に存在するもの(一次抽出点群データ)を抽出する。抽出中心(y1、xn)毎に抽出された一次抽出点群データの高さの中央値znを当該抽出中心(y1、xn)における基準高さznとする。この基準高さznは同一座標y1に存在するすべての点群データ(道路面のものも非道路面のものも含まれる)について特定される。
次に、抽出中心(y1、xn)ごとに特定された基準高さznを中心に所定の二次抽出高さ幅±B(例えば0.5m)を持たせ、当該座標(y1、xn、zn±B)に存在する点群データを抽出する。このようにして抽出された地表面点群データは図1に符号Pで示される。
【0028】
一般道路平面点群データ生成部31が、リンクデータの開始点である座標y1における道路平面点群データを生成する。この道路平面点群データは第1道路平面点群データとして第1道路平面点群データ保存部41に保存される。
より詳細には、ステップ33及びステップ35において、ステップ2で生成された地表面点群データの中から道路平面点群データを抽出する。
一般道路平面点群データ生成部31は道路地図データ保存部70に保存されている道路地図データのリンクデータの座標と道路幅データを参照して抽出断面領域Eを形成する(図1参照)。なお、抽出断面領域Eの高さ(縦軸方向の長さ)は二次抽出高さ幅2Bであり、その幅(横軸方向の長さ)は道路幅データから特定される(ステップ33)。
その後、ステップ35において、地表面点群データにおいて抽出断面領域Eに含まれるものを抽出する。
このようにして抽出された点群データに基づき、従来の道路平面点群データは生成されていた。
【0029】
ステップ5では、仮想道路平面点群データ生成部31が、リンクデータの開始点である座標y1における仮想道路平面点群データを生成する。このデータは、設定された仮想道路に対して既存のアルゴリズム(ステップ3で利用したものと同じ)を実行させることにより得られる。
この仮想道路平面点群データは第2道路平面点群データとして第2道路平面点群データ保存部43に保存される。
ステップ5の詳細を図6に示す。なお、ステップ2で抽出された地表面点群データは図2に符号Pで示される。
【0030】
ステップ53及びステップ55において、地表面点群データの中から仮想平面点群データを抽出する。
より詳しくは、仮想道路平面点群データ生成部33は道路地図データ保存部70に保存されている道路地図データと、MMS軌跡保存部23に保存されているMMS撮影装置の軌跡データを参照して断面抽出領域E1を形成する(図2参照)。なお、断面抽出領域E1の高さ(縦軸方向の長さ)は二次抽出高さ幅2Bであり、その幅(横軸方向の長さ)は道路地図データの道路幅データとMMS撮影装置の軌跡とから特定される(ステップ53)。換言すれば、道路面の走行領域内にある仮想道路の一側縁はMMS撮影装置の軌跡により規定される。仮想道路の他側縁は、リンクの座標と道路幅データから特定される道路の側縁と一致させる。
その後、ステップ55において、地表面点群データにおいて抽出断面領域E1に含まれるものを抽出する。抽出された点群データは第2道路平面点群データとして第2道路平面点群データ保存部43に保存される。
【0031】
上記において、道路地図データ保存部70に保存されている道路地図データと、MMS軌跡保存部23に保存されているMMS撮影装置の軌跡データを参照して仮想的な道路を予め設定する。この仮想的な道路を一般的な道路とみなして、当該仮想的な道路に対応する表面点群データを点群データベース11から読み出し、ステップ3と同様な処理を実行することにより、第2道路平面点群データを得ることもできる。
【0032】
ステップ7では、道路平面点群データ補正部50が、第1道路平面点群データ保存部41に保存されている第1道路平面点群データと第2道路平面点群データ保存部43に保存されている第2道路平面点群データとを比較して、前者において欠落したデータを後者のデータで補充する。
かかる操作をリンクデータの座標ytまで繰り返す(ステップ9,10)
点群データの補正は、座標y1~ytについて、ステップ3及びステップ5を実行した後に行ってもよい。
図2の断面抽出領域E2についても上記と同様の処理を行うことができる。
【0033】
図7に補正装置1のハード構成を示す。
演算部300はCPU301、ROM303及びRAM305を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、地表面点群データ生成部25、道路平面点群データ生成部30、道路平面点群データ補正部50及びリンク指定部60として機能する。ROM303は、演算部300を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM305は、キーボード等の入力装置330を介して利用者により予め設定された各種設定値を読み出し可能に格納したり、CPU301に対してワーキングエリアを提供したりする。演算部300を制御する制御プログラムはROM303に限らずRAM305や第1、第2記憶装置340及び350に格納されていてもよい。出力装置320を介して各種の相関データをナビゲーション装置へ送出される。入力装置330を介して車両走行データを取得する条件などが入力される。
【0034】
第1記憶装置340はデータ保存部20及び道路平面点群データ保存部40として機能する。
第2記憶装置350はデータベース部10や道路地図データ保存部70として機能させることもできるが、これらのデータの保存は外部サーバに担わせることもできる。
第1、第2記憶装置はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバシステムのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
【0035】
一時的に保存されるデータ(道路平面点群データ生成部が生成する地表面点群データ等)用保存部としての、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。
コンピュータを構成する各装置はシステムバス370で連結されている。
【0036】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 道路平面点群データの補正装置
10 データベース部
20 データ保存部
25 地表面点群データ生成部
30 道路平面点群データ生成部
40 道路平面点群データ保存部
50 道路平面点群データ補正部
P 地表面点群データ
E、E1、E2 抽出断面領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7