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  • 特許-型締装置、および射出成形機 図1
  • 特許-型締装置、および射出成形機 図2
  • 特許-型締装置、および射出成形機 図3
  • 特許-型締装置、および射出成形機 図4
  • 特許-型締装置、および射出成形機 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】型締装置、および射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/64 20060101AFI20240826BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20240826BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B29C45/64
B29C45/03
B29C45/17
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021190777
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2023077496
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2024-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】三谷 聡麻
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-256280(JP,A)
【文献】特開平5-269748(JP,A)
【文献】特開平10-667(JP,A)
【文献】特開2003-33954(JP,A)
【文献】特開2007-136518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/64
B29C 45/03
B29C 45/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2の型盤と、
前記第1、第2の型盤を連結する複数組のボールねじ機構と、
前記ボールねじ機構を駆動する型開閉用サーボモータと、を備え、
前記ボールねじ機構は、ボールねじと、
該ボールねじに螺合しているボールナットと、を備え、
前記ボールねじは、軸受機構を介して前記第1の型盤に回転可能に支持されていると共に、その端部が前記型開閉用サーボモータの回転軸になっており、
前記ボールナットは前記第2の型盤に固定されており、
前記型開閉用サーボモータは、前記第1の型盤に対して断熱手段を介して設けられている、型締装置。
【請求項2】
前記ボールねじ機構は4組からなる、請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
前記断熱手段は断熱材からなる、請求項1または2に記載の型締装置。
【請求項4】
前記第1の型盤の、前記型開閉用サーボモータの取り付け箇所には突起部が設けられて前記型開閉用サーボモータとの間に空気層が形成されており、前記断熱手段は前記空気層である、請求項1または2に記載の型締装置。
【請求項5】
金型を型締めする型締装置と、
射出材料を射出する射出装置とからなり、
前記型締装置は、第1、第2の型盤と、
前記第1、第2の型盤を連結する複数組のボールねじ機構と、
前記ボールねじ機構を駆動する型開閉用サーボモータと、を備え、
前記ボールねじ機構は、ボールねじと、
該ボールねじに螺合しているボールナットと、を備え、
前記ボールねじは、軸受機構を介して前記第1の型盤に回転可能に支持されていると共に、その端部が前記型開閉用サーボモータの回転軸になっており、
前記ボールナットは前記第2の型盤に固定されており、
前記型開閉用サーボモータは、前記第1の型盤に対して断熱手段を介して設けられている、射出成形機。
【請求項6】
前記ボールねじ機構は4組からなる、請求項5に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記断熱手段は断熱材からなる、請求項5または6に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記第1の型盤の、前記型開閉用サーボモータの取り付け箇所には突起部が設けられて前記型開閉用サーボモータとの間に空気層が形成されており、前記断熱手段は前記空気層である、請求項5または6に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1、2の型盤と第1、2の型盤を連結する複数組のボールねじ機構とを備えた型締装置、ならびに射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機もしくはプレス機には、金型を型締めする型締装置が設けられている。型締装置には色々な種類があるが、特許文献1にはいわゆる2プラテンからなる型締装置が記載されている。この型締装置は、第1、2の型盤つまり固定盤と可動盤と、これらを連結する4組のボールねじ機構と、それぞれのボールねじ機構に設けられている4個の型開閉用サーボモータとから構成されている。4個の型開閉用サーボモータを駆動すると4組のボールねじ機構が駆動されて、可動盤が固定盤に対してスライドする。すなわち型開閉することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-269748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の型締装置は、型盤が2個からなるので、型締装置をコンパクトに構成できる。したがって、比較的接地面積を小さくすることができるという優れた効果を奏する。しかしながら、解決すべき課題も見受けられる。具体的には型開閉用サーボモータの性能低下の問題が見受けられる。金型は射出材料が射出されるので必然的に高温になるが、金型の熱は固定盤に伝導し、固定盤も高温になる。特許文献1に記載の型締装置は型開閉用サーボモータが固定盤に固定されているので、固定盤の熱は型開閉用サーボモータにも伝導する。つまり型開閉用サーボモータも高温になる。そうすると永久磁石に影響を及ぼして、出力トルクが低下させる問題がある。
【0005】
本開示において、型開閉用サーボモータの性能の低下を防止する型締装置、および射出成形機を提供する。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、第1、2の型盤と、これらを連結する複数組のボールねじ機構と、型開閉用サーボモータと、を備えた型締装置を対象とする。ボールねじ機構は、ボールねじとボールナットとを備えており、ボールねじは、軸受機構を介して第1の型盤に回転可能に支持されていると共に、その端部が型開閉用サーボモータの回転軸になっている。一方、ボールナットは第2の型盤に固定されている。本開示は、型開閉用サーボモータを、第1の型盤に対して断熱手段を介して設けるようにする。
【発明の効果】
【0008】
型締装置において型開閉用サーボモータの性能の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る射出成形機を示す正面図である。
図2】本実施の形態に係る型締装置を示す斜視図である。
図3】本実施の形態に係る型締装置の一部を示す正面断面図である。
図4】本実施の形態に係る断熱材を示す斜視図である。
図5】本実施の第2の形態に係る固定盤の一部であって、型開閉用サーボモータが取り付けられるサーボモータ取り付け箇所を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0011】
<本実施の形態に係る射出成形機>
本実施の形態に係る射出成形機1は、図1に示されているように、ベッドBに設けられている型締装置2と、射出装置4とから構成されている。
【0012】
<射出装置>
最初に射出装置4を説明する。射出装置4は加熱シリンダ6と、この加熱シリンダ6に入れられているスクリュ7と、スクリュ7を駆動するスクリュ駆動装置8とから構成されている。加熱シリンダ6にはホッパ10が設けられ、そして先端に射出ノズル11が設けられている。ホッパ10から射出材料が投入され、そしてスクリュ7を回転して射出材料を溶融するとスクリュ7の先端に計量される。スクリュ7を軸方向に駆動すると射出材料が射出されるようになっている。
【0013】
<型締装置>
本実施の形態に係る型締装置2は、いわゆる2プラテンの型締装置からなる。すなわち型締装置2は、図2に示されているように、第1、2の型盤13、14、つまり固定盤13と可動盤14とを備えている。固定盤13はベッドB上に固定されており、可動盤14はベッドB上に設けられたリニアガイド15、15に載せられている。すなわち可動盤14は固定盤13に接近・離間する方向にスライド自在になっている。図1に示されているように、固定盤13には固定側金型16が、そして可動盤14には可動側金型17がそれぞれ取り付けられている。
【0014】
本実施の形態に係る型締装置2は、図2に示されているように、固定盤13と可動盤14とが4組のボールねじ機構18、18、…によって連結されている点に特徴がある。それぞれのボールねじ機構18、18、…は、ボールねじ19、19、…と、ボールねじ19、19、…が螺合するボールナット20、20、…とを備えている。
【0015】
図2には示されていないが、可動盤14には貫通孔が開けられており、この貫通孔にボールナット20、20、…が固着されている。つまりボールねじ19、19、…はボールナット20、20、…を介して可動盤14に接続されている。一方、ボールねじ19、19、…は、次に詳しく説明するように固定盤13を貫通し、固定盤13に対して回転可能に支持されている。固定盤13には型開閉用サーボモータ22、22、…が設けられ、ボールねじ19、19、…と接続されている。したがって、型開閉用サーボモータ22、22、…を駆動するとボールねじ19、19、…が回転し、可動盤14がスライドすることになる。すなわち金型16、17(図1参照)が型開閉される。
【0016】
ボールねじ19、19、…と、固定盤13との接続について説明する。図3に示されているように、固定盤13には貫通孔24が開けられており、ボールねじ19はこの貫通孔24に入れられている。ボールねじ19には、外径が小さくなっている段部25が形成されており、この段部25に軸受機構26が入れられている。段部25には、一部の範囲に雄ねじが形成されており、ロックナット28が螺合している。固定盤13には環状の軸受押さえ29が固定されており、軸受機構26は固定盤13側の軸受押さえ29と、ボールねじ19側のロックナット28とによって挟み込まれている。このようにしてボールねじ19は、軸受機構26を介して固定盤13に回転可能に取り付けられている。
【0017】
このようにボールねじ19と固定盤13とが接続されているので、ボールねじ19と固定盤13との間に作用するスラスト方向の荷重は、軸受押さえ29と、軸受機構26とロックナット28とによって受けられることになる。したがって、ボールねじ19の端部には、スラスト方向の荷重は作用しない。型開閉用サーボモータ22はステータ30とロータ31とからなるが、このボールねじ19の端部にロータ31が固定されている。つまり型開閉用サーボモータ22には、スラスト方向の荷重が作用しないようになっている。
【0018】
<断熱材>
本実施の形態に係る型締装置2は、固定盤13に対して型開閉用サーボモータ22が断熱手段を介して設けられている点に特徴がある。本実施の形態において断熱手段は断熱材35からなる。断熱材35は断熱作用を備えていると共に耐熱性を備えていればどのような素材から構成してもよい。例えばシリカウール、セラミックファイバー、グラスウール等から構成することができる。図4には、本実施の形態に係る断熱材35が示されている。断熱材35は円盤状に形成され、中心にはボールねじ19(図3参照)が貫通する孔36が開けられている。そして断熱材35の円盤の外周近傍にはボルトを貫通させるためのボルト孔37、37、…が開けられている。型開閉用サーボモータ22は、図3に示されているように、断熱材35を介して固定盤13に接触するようになっており、ボルト39、39、…によって取り付けられている。
【0019】
<型締装置の作用>
本実施の形態に係る型締装置2は、型開閉用サーボモータ22が断熱材35を介して固定盤13に設けられているので、固定盤13の熱が型開閉用サーボモータ22に伝導しにくい。したがってサーボモータ22の温度上昇を抑制することができる。型開閉用サーボモータ22には永久磁石が設けられ、永久磁石はいわゆる熱減磁により高温になると磁力が低下する。しかしながら、本実施の形態に係る型締装置2は型開閉用サーボモータ22の温度上昇が抑制されているので、磁力低下に伴う出力トルクの低下を防止することができる。さらには型開閉用サーボモータ22内に設けられている電気部品についても高温にさらされることがないので、寿命低下を抑制することができる。
【0020】
<第2の実施の形態に係る型締装置>
本実施の形態は色々な変形が可能である。例えば断熱手段を変形することができる。図5には第2の実施の形態に係る固定盤13Aの一部である、型開閉用サーボモータが取り付けられるサーボモータ取り付け箇所41が示されている。サーボモータ取り付け箇所41には所定の肉厚の複数の突起部43、43、…が形成されている。これらの突起部43、43、…は全体として環状に配置され、頂部にはボルト孔45、45、…が形成されている。
【0021】
型開閉用サーボモータ22(図3参照)はこれらの突起部43、43、…に直接接するようにして固定盤13に取り付けられるようになっている。型開閉用サーボモータ22(図3参照)が図5に示されているサーボモータ取り付け箇所41に設けられると、突起部43、43、…によって型開閉用サーボモータ22と固定盤13との間に空気の層が形成される。この空気の層が断熱手段になり、型開閉用サーボモータ22の温度上昇が抑制される。さらに突起部43、43、…が複数からなり分離しているので、空気の層は外部と交換されて温度上昇が抑制される効果もある。なお、突起部43、43、…は別部品として固定盤13に設けられてもよい。
【0022】
<他の変形例>
本実施の形態において、第1、2の型盤つまり固定盤13と可動盤14とを連結しているボールねじ機構18、18、…は4組であると説明した。しかしながら、2組あるいは3組であってもよいし、5組以上であってもよい。
【0023】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0024】
1 射出成形機 2 型締装置
4 射出装置 6 加熱シリンダ
7 スクリュ 8 スクリュ駆動装置
10 ホッパ 11 射出ノズル
13 固定盤 14 可動盤
15 リニアガイド 16 固定側金型
17 可動側金型 18 ボールねじ機構
19 ボールねじ 20 ボールナット
22 型開閉用サーボモータ 24 貫通孔
25 段部 26 軸受機構
28 ロックナット 29 軸受押さえ
30 ステータ 31 ロータ
35 断熱材 36 孔
37 ボルト孔 39 ボルト
41 サーボモータ取り付け箇所 43 突起部
45 ボルト孔
B ベッド

図1
図2
図3
図4
図5