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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】光源装置および水処理システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20240826BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20240826BHJP
【FI】
B01J19/12 C
C02F1/32
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021513680
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2020015859
(87)【国際公開番号】W WO2020209302
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2019074283
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】菅原 良行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】杉本 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】本山 信行
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0116400(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0137528(US,A1)
【文献】中国実用新案第203927481(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0184807(US,A1)
【文献】特開2005-203437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/12
C02F 1/32
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも外周面側表層部の熱伝導率が高い、筒状または柱状の支持体と、
複数の紫外線発光ダイオード素子を有し、前記支持体の外周面の少なくとも一部を覆うように前記支持体の外周面上に配置された可とう性シート状光源と、
防水性および紫外線透過性を有し、少なくとも前記可とう性シート状光源を密着して覆う袋状または筒状の熱収縮部材と、
を備え、
前記熱収縮部材が収縮することで、前記熱収縮部材、可とう性シート状光源、及び支持体が密着している、光源装置。
【請求項2】
前記支持体は、円筒状に形成されている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記外周面側表層部が金属製である、請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記熱収縮部材がフッ素樹脂製である、請求項1~3のいずれかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記支持体が、前記外周面に凹部を有し、
前記紫外線発光ダイオード素子が前記凹部内に配置されている、請求項1~の何れかに記載の光源装置。
【請求項6】
前記熱収縮部材の形状が、開口部が長手方向一端側に位置する長尺の袋状であり、
前記支持体および前記可とう性シート状光源が、前記支持体の軸線方向一端が前記熱収縮部材の開口部側に位置するように前記熱収縮部材内に収容されている、請求項1~の何れかに記載の光源装置。
【請求項7】
前記開口部が封止剤で水密に封止されている、請求項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記熱収縮部材の形状が筒状であり、
少なくとも軸線方向一端側に位置する開口部が封止剤で水密に封止されている、請求項1~の何れかに記載の光源装置。
【請求項9】
被処理水が貯留された水槽または被処理水が流れる流路と、
請求項1~の何れかに記載の光源装置と、
を備え、
少なくとも前記可とう性シート状光源が前記被処理水中に浸漬されている、水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置および水処理システムに関し、特には、発光ダイオード(LED)を用いた光源装置および当該光源装置を用いた水処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料水等の被処理水を殺菌する技術として、紫外線照射を用いる技術(紫外線処理)が検討されている。そして、被処理水の紫外線処理には、被処理水が流れる流路と、流路内を流れる被処理水に紫外線を照射する光源とを備える水処理装置が用いられている。
【0003】
ここで、水処理装置に用いられる紫外線光源としては、紫外線LED(UV-LED)が注目されている。そして、紫外線光源としてUV-LEDを用いた水処理装置では、UV-LEDの自己発熱による劣化および損傷、並びに、水濡れによる故障を防止するために、紫外線光源の冷却性および防水性を高めることが求められている。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、被処理水が流れる流路と、石英ガラス等の透明部材からなる窓部を介して流路の外側に配置されたLED素子収容室と、LED素子収容室内に配置された複数のUV-LED素子と、LED素子収容室の流路側とは反対側に設けられた冷却装置とを備える水処理装置が提案されている。この水処理装置は、LED素子収容室が窓部を介して流路の外側に配置されているので防水性が高いと共に、冷却装置が設けられているのでLED素子収容室を良好に冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-069144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の水処理装置は、紫外線照射面積を確保するために窓部を構成する透明部材を大型化する必要があるため、また、冷却装置を外付けしているため、装置構造が大型化および複雑化するという点や製造コストの点において改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、簡素な構造で十分な防水性および冷却性を発揮し、且つ、低コストで製造可能な光源装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該光源装置を使用し、被処理水を良好に紫外線処理し得る水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の光源装置は、少なくとも外周面側表層部の熱伝導率が高い、筒状または柱状の支持体と、複数の紫外線発光ダイオード素子を有し、前記支持体の外周面の少なくとも一部を覆うように前記支持体の外周面上に配置された可とう性シート状光源と、防水性および紫外線透過性を有し、少なくとも前記可とう性シート状光源を密着して覆う袋状または筒状の熱収縮部材とを備えることを特徴とする。このように、外周面側表層部の熱伝導率が高い支持体の外周面上に可とう性シート状光源を配置すれば、例えば可とう性シート状光源を水中に浸漬して使用した際に、可とう性シート状光源を低コスト且つ簡素な構造で良好に冷却することができる。また、防水性を有する熱収縮部材で可とう性シート状光源を密着して覆えば、低コスト且つ簡素な構造で紫外線発光ダイオード素子の水濡れを防止し、良好な防水性を付与することができる。
【0009】
ここで、本発明の光源装置は、前記外周面側表層部が金属製であることが好ましい。金属製の支持体を使用すれば、可とう性シート状光源を更に良好に冷却することができる。
【0010】
また、本発明の光源装置は、前記熱収縮部材がフッ素樹脂製であることが好ましい。フッ素樹脂は他の樹脂材料と比較して紫外線の透過率が高いため、紫外線発光ダイオード素子から照射された光を、最大限生かすことができる。
【0011】
更に、本発明の光源装置は、前記支持体が、前記外周面に凹部を有し、前記紫外線発光ダイオード素子が前記凹部内に配置されていることが好ましい。凹部内に紫外線発光ダイオード素子が配置されていれば、光源装置の洗浄が容易になる。
【0012】
また、本発明の光源装置は、前記熱収縮部材の形状が、開口部が長手方向一端側に位置する長尺の袋状であり、前記支持体および前記可とう性シート状光源が、前記支持体の軸線方向一端が前記熱収縮部材の開口部側に位置するように前記熱収縮部材内に収容されていることが好ましい。長尺で袋状の熱収縮部材内に支持体および可とう性シート状光源を支持体の軸線方向一端が熱収縮部材の開口部側に位置するように収容すれば、紫外線発光ダイオード素子の水濡れを更に良好に防止することができる。
【0013】
ここで、本発明の光源装置において、前記熱収縮部材の前記開口部は封止剤で水密に封止されていることが好ましい。開口部が封止材で水密に封止されていれば、紫外線発光ダイオード素子の水濡れを更に良好に防止することができる。
【0014】
また、本発明の光源装置は、前記熱収縮部材の形状が筒状であり、少なくとも軸線方向一端側に位置する開口部が封止剤で水密に封止されていることが好ましい。筒状の熱収縮部材の少なくとも軸線方向一端側に位置する開口部を封止剤で水密に封止すれば、紫外線発光ダイオード素子の水濡れを更に良好に防止することができる。
【0015】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の水処理システムは、被処理水が貯留された水槽または被処理水が流れる流路と、上述した光源装置の何れかとを備え、少なくとも前記可とう性シート状光源が前記被処理水中に浸漬されていることを特徴とする。このように、上述した光源装置を使用すれば、紫外線発光ダイオード素子の熱による劣化および損傷、並びに、水濡れによる故障を防止しつつ、被処理水を良好に紫外線処理することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡素な構造で十分な防水性および冷却性を発揮し、且つ、低コストで製造可能な光源装置を提供することができる。
また、本発明の水処理システムによれば、当該光源装置を使用し、被処理水を良好に紫外線処理し得る水処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に従う光源装置の一例の概略構成を示す斜視図である。
図2図1に示す光源装置の製造方法を示す説明図である。
図3】本発明に従う光源装置の他の例の概略構成を示す斜視図である。
図4】本発明に従う光源装置の別の例の概略構成を示す斜視図である。
図5】本発明に従う水処理システムの一例の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の構成要素を示すものとする。また、各図中において、破線で示されている熱収縮部材30,30Aは、理解を要因するために支持体10,10B、可とう性シート状光源20,20Aおよび給電線40と離隔させて描かれているが、支持体10,10B、可とう性シート状光源20,20Aおよび給電線40に密着しているものである。
【0019】
(光源装置)
ここで、本発明の光源装置の一例の概略構成を図1に示す。図1に示す光源装置100は、円柱状の支持体10と、支持体10の外周面上に配置された可とう性シート状光源20と、熱収縮部材30と、可とう性シート状光源20に外部から電気を供給する給電線40とを備えている。
【0020】
支持体10は、少なくとも外周面側表層部が、熱伝導率が高い材料よりなることを必要とする。少なくとも外周面側表層部の熱伝導率が高い支持体10を使用すれば、例えば可とう性シート状光源20を水中に浸漬して使用した際に、可とう性シート状光源20を良好に冷却することができる。
なお、図1では支持体10が円柱状である場合を示したが、本発明の光源装置の支持体は、筒状または柱状であれば、角柱状(板状を含む)、円筒状、角筒状などの任意の形状とすることができる。また、可とう性シート状光源の冷却性を高める観点からは、本発明の光源装置の支持体の外周面側表層部は、金属性であることが好ましい。更に、本発明の光源装置の支持体の外周面側表層部は、可とう性シート状光源を良好に冷却する観点から、熱伝導率が10W/m・K以上であることが好ましく、15W/m・K以上であることがより好ましく、200W/m・K以上であることが更に好ましく、重量や加工性を考慮するとアルミニウム製であることが特に好ましい。
ここで、支持体は、単一の素材で構成されていてもよいし、外周面側表層部と外周面側表層部以外の部分とが互いに異なる素材で構成されていてもよい。具体的には、支持体は、筒状または柱状の基材の外周面を熱伝導率が高い材料で被覆したものであってもよい。
【0021】
可とう性シート状光源20は、可とう性基板21と、可とう性基板21上に設けられた複数の紫外線発光ダイオード素子22とを有している。また、可とう性基板21には、給電線40を介して外部から供給された電気を紫外線発光ダイオード素子22へと送る配線(図示せず)が設けられている。そして、可とう性シート状光源20は、支持体10の外周面の軸線方向中央部を覆うように支持体10の外周面上に配置されている。
なお、可とう性シート状光源20の構造は、図1に示す構造に限定されるものではなく、本発明の光源装置の可とう性シート状光源は、例えばメッシュシート状の可とう性シート状光源であってもよい。また、紫外線発光ダイオード素子22は、透明樹脂等の封止部材で封止されていてもよい。更に、紫外線発光ダイオード素子22への電気の供給は、給電線40を使用することなく、ワイヤレス給電技術を用いて行ってもよい。また、可とう性シート状光源20の形状は、図1に示す形状に限定されるものではなく、本発明の光源装置の可とう性シート状光源は、例えば図3を参照して後に詳細に説明するような、支持体10の外周面に捲き回される長尺シート状(テープ状)であってもよい。また、可とう性シート状光源20の寸法は、支持体10の外周面の全体を覆うような寸法であってもよい。
【0022】
ここで、可とう性シート状光源20が可とう性基板21を有する場合、可とう性シート状光源20を良好に冷却する観点から、光源装置の支持体の外周面側表層部の熱伝導率は、可とう性基板21よりも大きいことが好ましい。
【0023】
熱収縮部材30は、加熱により収縮する熱収縮性に加え、防水性および紫外線透過性を有している。そして、熱収縮部材30は、支持体10および支持体10上に配置された可とう性シート状光源20の全体と、給電線40の一部とを密着して覆う長尺の袋状体である。
なお、図1では熱収縮部材30が袋状である場合を示したが、本発明の光源装置の熱収縮部材は、例えば図3に示すように筒状であってもよい。また、熱収縮部材が密着して覆う範囲は、少なくとも可とう性シート状光源20を覆うことができる範囲(即ち、熱収縮部材の軸線方向両端間に可とう性シート状光源の軸線方向両端が位置する範囲)であれば特に限定されない。
【0024】
ここで、熱収縮部材30が有する熱収縮性の程度は、収縮により支持体10や可とう性シート状光源20に密着可能であれば、特に限定されない。
また、熱収縮部材30が有する防水性の程度は、水中に浸漬した状態で内側に水を通過させず、紫外線発光ダイオード素子22の水濡れによる故障を防止できる程度であれば、特に限定されない。
更に、熱収縮部材30が有する紫外線透過性の程度は、使用する光源の波長に対する透過率が実用上支障ない程度であれば、特に限定されない。
【0025】
そして、図1では、長尺の袋状体である熱収縮部材30が、長手方向一端側に位置する開口部31が支持体10の軸線方向一端11側から突出する給電線40上に位置し、長手方向他端32側が支持体10の軸線方向他端12側に位置するように、支持体10および可とう性シート状光源20を収容している。即ち、支持体10および可とう性シート状光源20と、熱収縮部材30とは、各々の軸線方向が略同一となるように配置されており、支持体10および可とう性シート状光源20が熱収縮部材30内に収容されている。
なお、給電線40上に位置する熱収縮部材30の開口部31は、防水性を更に向上させる観点から、封止剤(図示せず)で水密に封止されていてもよい。この際、封止剤としては、特に限定されることなく、エポキシ樹脂組成物などの既知の樹脂組成物を用いることができるが、中でも、紫外線硬化型の樹脂組成物を用いることが好ましい。紫外線硬化型の樹脂組成物を使用すれば、紫外線発光ダイオード素子22を利用して硬化させて開口部31を封止することができるからである。また、紫外線硬化型樹脂は一般的に耐紫外線性能が良いため、紫外線暴露環境下において耐久性に優れるからである。
【0026】
ここで、熱収縮部材30内への支持体10および可とう性シート状光源20の収容、並びに、熱収縮部材30と、支持体10上に配置された可とう性シート状光源20および給電線40の一部との密着は、例えば図2に示すようにして行うことができる。
具体的には、図2に示すように、まず、給電線40と接続された可とう性シート状光源20を支持体10の外周面に巻き付けた後、長尺の袋状の熱収縮部材30内に、支持体10、可とう性シート状光源20および給電線40を、熱収縮部材30の開口部31側に支持体10の軸線方向一端11が位置するように挿入する。そして、熱収縮部材30を加熱して熱収縮部材30を収縮させ、熱収縮部材30と、支持体10、可とう性シート状光源20および給電線40とを密着させる。
【0027】
そして、上述した光源装置100では、少なくとも外周面側表層部の熱伝導率が高い支持体10の外周面上に可とう性シート状光源20を配置しているので、水中であらゆる形状で、かつ安定して保持することを可能とし、同時に可とう性シート状光源20を良好に冷却することができる。また、光源装置100は、冷却装置を外付けする必要が無いので、構造を簡素化することができる。更に、光源装置100では、防水性を有する熱収縮部材30で可とう性シート状光源20を密着して覆っているので、密着していない場合と比較し、防水性部材の光源側表面反射による影響を受けにくいため、照射エネルギーの損失を最小限に抑えることができると共に、構造の簡素化により低コストで紫外線発光ダイオード素子22の水濡れを防止することができる。
【0028】
更に、光源装置100では、長尺で袋状の熱収縮部材30内に支持体10および可とう性シート状光源20を支持体10の軸線方向一端11が熱収縮部材30の開口部31側に位置するように収容しているので、例えば支持体10の軸線方向他端12側から水中に浸漬させ、開口部31を水面上に出した状態で使用することにより、紫外線発光ダイオード素子22の水濡れを更に良好に防止することができる。
【0029】
以上、一例を用いて本発明の光源装置を説明したが、本発明の光源装置は上述した例に限定されるものではない。具体的には、本発明の光源装置は、例えば図3,4に示すような構造を有していてもよい。
【0030】
ここで、図3に示す光源装置100Aは、可とう性シート状光源20Aの形状が長尺シート状であり、支持体10の外周面上に可とう性シート状光源20Aが螺旋状に配置されている点、および、熱収縮部材30Aの形状が筒状である点において光源装置100と構成が異なっている。具体的には、光源装置100Aでは、可とう性シート状光源20Aが、長尺で狭幅シート状の可とう性基板21Aと、可とう性基板21A上に設けられた複数の紫外線発光ダイオード素子22とを有しており、支持体10の外周面上に螺旋状に巻き回されている。また、光源装置100Aでは、防水性および紫外線透過性を有する筒状の熱収縮部材30Aが、少なくとも可とう性シート状光源20Aが配置されている部分を密着して覆っている。換言すれば、光源装置100Aでは、熱収縮部材30Aの軸線方向一端に位置する開口部31と軸線方向他端に位置する開口部32Aとの間に螺旋状に巻き回された可とう性シート状光源20Aが位置するように、熱収縮部材30Aが配置されている。
【0031】
そして、光源装置100Aによれば、光源装置100と同様にして、低コスト且つ簡素な構造で十分な防水性および冷却性を発揮することができる。
【0032】
なお、紫外線発光ダイオード素子22の水濡れを更に良好に防止する観点からは、熱収縮部材30Aの開口部31,32Aのうち少なくとも軸線方向一端側に位置する開口部は封止剤で水密に封止されていることが好ましく、使用時に水中に浸漬される開口部が封止剤で水密に封止されていることがより好ましく、熱収縮部材30Aの開口部31,32Aは両方とも封止剤で水密に封止されていることが好ましい。また、支持体10は、水を透過させない部材であることが好ましい。
【0033】
また、図4に示す光源装置100Bは、支持体10Bの外周面に凹部13が形成されており、紫外線発光ダイオード素子22が凹部13内に配置されている点において光源装置100と構成が異なっている。具体的には、光源装置100Bでは、支持体10Bが複数(図示例では3つ)の環状凹部13を外周面に有しており、各凹部13内に、可とう性基板21と、可とう性基板21上に設けられた複数の紫外線発光ダイオード素子22とを有する可とう性シート状光源20が配置されている。
【0034】
そして、光源装置100Bによれば、光源装置100と同様にして、低コスト且つ簡素な構造で十分な防水性および冷却性を発揮することができる。また、光源装置100Bでは、凹部13内に紫外線発光ダイオード素子22が配置されているので、外周面が平坦な支持体に紫外線発光ダイオード素子を配置する場合と比較し、表面の凹凸を小さくするか、無くすことができる。従って、光源装置100Bは、紫外線が放射される部分の清掃等のメンテナンスが容易である。
【0035】
なお、図4では、支持体に複数の凹部が形成されている場合を示したが、凹部の数は1つであってもよいし、複数であってもよい。更に、凹部の形状も任意の形状とし得る。また、凹部の幅および深さは、可とう性基板21および紫外線発光ダイオード素子22の数、寸法、配置、密度等に応じて適宜に設計することができ、例えば、凹部の深さは、特に限定されることなく、1.0~1.5mmとすることができる。中でも、表面の凹凸を無くし、清掃等のメンテナンスを更に容易する観点からは、凹部の深さは、当業者が許容できる程度の深さであればよいが、具体的には、凹部内に配置される可とう性シート状光源20の最大高さと支持体表面(凹部が形成されていない部分の表面)との差が、熱収縮部材を密着させた状態で0~3mmになる深さであることが好ましく、可とう性シート状光源20の最大高さと等しいことがより好ましい。なお、紫外線透過率に問題が生じない範囲内で、凹部の深さに応じて熱収縮部材の素材や厚み等を選択して、仕上がりの高さを調整してもよい。
【0036】
(水処理システム)
本発明の水処理システムは、被処理水が貯留された水槽または被処理水が流れる流路と、本発明の光源装置とを備え、少なくとも可とう性シート状光源が被処理水中に浸漬されている。
【0037】
具体的には、本発明の水処理システムの一例を例えば図5に示すように、水処理システム300は、被処理水が貯留された水槽200と、光源装置100とを備えている。そして、水処理システム300では、熱収縮部材30で覆われた支持体10および可とう性シート状光源20が被処理水中に浸漬されている。また、水処理システム300では、熱収縮部材30の開口端31が水面よりも上側に位置しており、給電線40は外部電源(図示せず)に接続されている。
なお、図5では熱収縮部材30の開口端31が水面よりも上側に位置する場合を示したが、開口端31は被処理水中に浸漬されていてもよい。
【0038】
そして、本発明の水処理システムによれば、簡素な構造で十分な防水性および冷却性を発揮する本発明の光源装置を使用し、被処理水を良好に紫外線処理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、簡素な構造で十分な防水性および冷却性を発揮し、且つ、低コストで製造可能な光源装置を提供することができる。
また、本発明の水処理システムによれば、被処理水を良好に紫外線処理し得る水処理システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
10,10B 支持体
11 軸線方向一端
12 軸線方向他端
13 凹部
20,20A 可とう性シート状光源
21,21A 可とう性基板
22 紫外線発光ダイオード素子
30,30A 熱収縮部材
31 開口部
32 長手方向他端
32A 開口部
40 給電線
100,100A,100B 光源装置
200 水槽
300 水処理システム
図1
図2
図3
図4
図5