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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】半導体チップおよび受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/26 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
H04B1/26 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021518360
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2020017980
(87)【国際公開番号】W WO2020226090
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2019088934
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】山口 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】庄野 寛
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-046790(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037687(WO,A1)
【文献】特開2014-171058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0060065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16 - 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上波放送のRF信号を入力するRF入力端子と、
衛星デジタル放送の1stIF信号を入力する1stIF入力端子と、
所定の周波数よりも低い周波数帯域の信号をフィルタリングする第1のフィルタと、
前記所定の周波数以上の周波数帯域の信号をフィルタリングする第2のフィルタと、
前記RF信号の周波数が、前記所定の周波数よりも低い周波数である場合、前記第1のフィルタに前記RF信号を入力させ、前記RF信号の周波数が、前記所定の周波数以上の周波数である場合、前記第2のフィルタに前記RF信号を入力させ、前記1stIF信号の周波数が前記所定の周波数よりも低い周波数である場合、前記第1のフィルタに前記1stIF信号を入力させ、前記1stIF信号の周波数が前記所定の周波数以上の周波数である場合、前記第2のフィルタに前記1stIF信号を入力させるスイッチと
を備える半導体チップ。
【請求項2】
前記スイッチの前段に、前記RF信号または前記1stIF信号を増幅する少なくとも1つのLNA回路をさらに備える
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタの前段に、前記RF信号および前記1stIF信号のゲインを信号レベルに応じて変えるRFVGA回路をさらに備える
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記RF信号を周波数変換することで、前記RF信号より周波数の低いIF信号を生成し、前記1stIF信号を周波数変換することで、ベースバンドのBB信号を生成する周波数変換回路と、
前記IF信号または前記BB信号を出力する少なくとも1つの出力端子と
をさらに備える請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記周波数変換回路は、前記IF信号として、位相が直交するIF(I)信号とIF(Q)信号とを出力し、前記BB信号として、位相が直交するBB(I)信号とBB(Q)信号とを出力し、
前記出力端子は、前記IF信号として、前記IF(I)信号と前記IF(Q)信号とが合成された信号を出力する第1の出力端子、前記BB信号のうちの一方の信号として、前記BB(I)信号を出力する第2の出力端子、前記BB信号のうちの他方の信号として、前記BB(Q)信号を出力する第3の出力端子からなる
請求項4に記載の半導体チップ。
【請求項6】
前記IF信号と前記BB信号の信号帯域を制限するフィルタ回路と、
前記出力端子の前段に配置され、周波数変換後の信号レベルに応じて前記IF信号および前記BB信号のゲインを変えるVGA回路と
をさらに備える請求項4に記載の半導体チップ。
【請求項7】
地上波放送のRF信号を入力するRF入力端子と、
衛星デジタル放送の1stIF信号を入力する1stIF入力端子と、
所定の周波数よりも低い周波数帯域の信号をフィルタリングする第1のフィルタと、
前記所定の周波数以上の周波数帯域の信号をフィルタリングする第2のフィルタと、
前記RF信号の周波数が、前記所定の周波数よりも低い周波数である場合、前記第1のフィルタに前記RF信号を入力させ、前記RF信号の周波数が、前記所定の周波数以上の周波数である場合、前記第2のフィルタに前記RF信号を入力させ、前記1stIF信号の周波数が前記所定の周波数よりも低い周波数である場合、前記第1のフィルタに前記1stIF信号を入力させ、前記1stIF信号の周波数が前記所定の周波数以上の周波数である場合、前記第2のフィルタに前記1stIF信号を入力させるスイッチと
を備えるチューナを有する受信装置。
【請求項8】
前記チューナは、前記スイッチの前段に、前記RF信号または前記1stIF信号を増幅する少なくとも1つのLNA回路をさらに備える
請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
TV装置で構成される
請求項7に記載の受信装置。
【請求項10】
Set Top Boxで構成される
請求項7に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、半導体チップおよび受信装置に関し、特に、回路の複雑化による大型化およびコストアップを抑えることができるようにした半導体チップおよび受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全世界ではアナログ放送からデジタル化された地上波デジタル放送や衛星デジタル放送が普及している。
【0003】
地上波デジタル放送と衛星デジタル放送のように、異なる周波数帯域で放送される放送信号の受信機能を1つの回路に設ける場合、各受信機能を別々に実現すると、全体の回路規模が大きくなる傾向がある。そのような回路をLSI化した場合、レイアウト面積が増大してしまう。
【0004】
そこで、地上波デジタル放送の受信機能と衛星デジタル放送の受信機能を合わせて有する回路で所定の回路の共用を図ることで、回路規模を縮小させた技術が公開されている。
【0005】
特許文献1には、周波数変換の機能を有する周波数変換回路(Mixer)に入力する2つの信号のうち、その1つである発振信号を生成する局部発振器やPLL(Phase Locked Loop)回路の共用を図るようにした技術が公開されている。
【0006】
特許文献2には、周波数変換回路や周波数変換された信号の信号帯域を制限するフィルタなどの共用を図るようにした技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-031149号公報
【文献】特開2015-167324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現行で実運用されている地上波およびCableデジタル放送の周波数は、42MHz乃至1002MHzであり、衛星デジタル放送波の周波数は、950MHz乃至3300MHz程度である。インターネットサービスの拡大に伴って、Cableデジタル放送の場合、CATVインターネットサービス(DOCSISなど)に利用されたり、衛星デジタル放送の場合、WideBand LNBへの対応に利用されたり、周波数範囲を現行よりも拡大したサービスが利用されようとしている。
【0009】
ところが、周波数帯域が現行より広帯域なデジタル放送の周波数を受信する場合、当然のことながら、これまでの放送受信装置に代えて、広帯域な周波数まで受信可能な放送受信装置が新たに必要になる。
【0010】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、回路の複雑化による大型化およびコストアップを抑えることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術の一側面の半導体チップは、地上波放送のRF信号を入力するRF入力端子と、衛星デジタル放送の1stIF信号を入力する1stIF入力端子と、所定の周波数よりも低い周波数帯域の信号をフィルタリングする第1のフィルタと、前記所定の周波数以上の周波数帯域の信号をフィルタリングする第2のフィルタと、前記RF信号の周波数が、前記所定の周波数よりも低い周波数である場合、前記第1のフィルタに前記RF信号を入力させ、前記RF信号の周波数が、前記所定の周波数以上の周波数である場合、前記第2のフィルタに前記RF信号を入力させ、前記1stIF信号の周波数が前記所定の周波数よりも低い周波数である場合、前記第1のフィルタに前記1stIF信号を入力させ、前記1stIF信号の周波数が前記所定の周波数以上の周波数である場合、前記第2のフィルタに前記1stIF信号を入力させるスイッチとを備える。
【0012】
本技術においては、RF入力端子より地上波放送のRF信号が入力される。1stIF入力端子により、衛星デジタル放送の1stIF信号が入力される。第1のフィルタにより所定の周波数よりも低い周波数帯域の信号がフィルタリングされる。第2のフィルタにより前記所定の周波数以上の周波数帯域の信号がフィルタリングされる。スイッチが、RF信号の周波数が、所定の周波数よりも低い周波数である場合、第1のフィルタにRF信号が入力されるように切り替えられ、RF信号の周波数が、所定の周波数以上の周波数である場合、第2のフィルタにRF信号が入力されるように切り替えられ、1stIF信号の周波数が所定の周波数よりも低い周波数である場合、第1のフィルタに1stIF信号が入力されるように切り替えられ、1stIF信号の周波数が所定の周波数以上の周波数である場合、第2のフィルタに1stIF信号が入力されるように切り替えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来のチューナの構成例を示す図である。
図2】地上波放送および衛星デジタル放送の周波数範囲のイメージを示す図である。
図3】RFフィルタが追加されたチューナの構成例を示す図である。
図4】本技術の一実施形態に係る放送受信システムの構成例を示すブロック図である。
図5】チューナの構成例を示す図である。
図6】RF信号を受信した場合のチューナの受信処理を説明するフローチャートである。
図7】1stIF信号を受信した場合のチューナの受信処理を説明するフローチャートである。
図8図5のチューナの他の構成例を示す図である。
図9図8のチューナの他の構成例を示す図である。
図10】本技術の適用したSTBおよびTV装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
<1.概要>
<2.放送受信システム>
<3.チューナの詳細>
<4.変形例>
<5.その他>
【0015】
<1.概要>
<従来のチューナの構成例>
図1は、従来のチューナの構成例を示す図である。
【0016】
図1のチューナは、地上波デジタル放送およびCableデジタル放送の放送信号と、衛星デジタル放送の放送信号とを受信する放送受信システムに用いられるチューナである。
【0017】
なお、地上波デジタル放送のRF信号の周波数帯域とCableデジタル放送のRF信号の周波数帯域は近い周波数帯域であり、地上波デジタル放送のRF信号とCableデジタル放送のRF信号には、ほぼ同じ処理が施される。したがって、以下、地上波デジタル放送とCableデジタル放送とを特に区別する必要がない場合、まとめて地上波放送と称する。
【0018】
チューナは、RF入力端子101、1stIF入力端子102、RFVGA(RF VGA(Voltage Gain Amp))103および104、RFフィルタ105-1乃至105-n、RFフィルタ106、並びにMIX(Mixer)107から構成される。また、チューナは、複素Filter兼LPF(Low Pass Filter)108、スイッチ109、IQ合成器110、スイッチ111、IFVGA(IF VGA)112、BBVGA(BB VGA)113および114、IF信号出力端子115、BB(I)信号出力端子116、並びにBB(Q)信号出力端子117から構成される。
【0019】
RF入力端子101は、図示せぬ地上波放送用アンテナから供給される地上波放送信号であるRF信号を受信し、RFVGA103に出力する。
【0020】
1stIF入力端子102は、図示せぬ衛星デジタル放送用アンテナから供給される、衛星デジタル放送波信号であるRF信号の周波数変換後の信号である1stIF(Intermediate Frequency)信号を受信し、RFVGA104に出力する。
【0021】
RFVGA103および104は、RF信号の信号レベルの大きさに応じて変化する制御電圧によって増幅度を可変可能なVGAである。RFVGA103は、RF入力端子101から供給されるRF信号を増幅する。RF信号は、RFフィルタ105-1乃至105-nのうち、選択するチャンネルの周波数に対応する周波数帯域のRFフィルタに供給される。
【0022】
RFVGA104は、1stIF入力端子102から供給される1stIF信号を増幅する。1stIF信号は、RFフィルタ106に供給される。
【0023】
RFフィルタ105-1乃至105-nは、地上波放送のチャンネルの周波数に対応する複数のRFフィルタで構成される。チャンネルの周波数に対応するRFフィルタ105-1乃至105-nは、RFVGA103から供給されるRF信号の周波数を、チャンネルの周波数に同調することで、フィルタリングする。RFフィルタ105-1乃至105-nのいずれかによるフィルタリング後のRF信号は、MIX107に出力される。
【0024】
なお、以下、RFフィルタ105-1乃至105-nを特に区別する必要がない場合、RFフィルタ105と称する。
【0025】
RFフィルタ106は、衛星デジタル放送の周波数に対応するRFフィルタで構成される。RFフィルタ106は、RFVGA104から供給される1stIF信号の周波数を、RFフィルタ106の周波数に同調することで、フィルタリングする。RFフィルタ106によるフィルタリング後の1stIF信号は、MIX107に出力される。
【0026】
MIX107は、RFの高い周波数を、IFまたはベースバンド(BB)の低い周波数に変換する周波数変換回路(Mixer)である。フィルタリング後のRF信号または1stIF信号がMIX107に供給されると、MIX107には、互いに位相が直交したI信号(0度)の発振信号I1とQ信号(90度)の発振信号Q1も供給される。
【0027】
RF信号は、MIX107に供給される発振信号I1と発振信号Q1により、IF信号I1とIF信号Q1に周波数変換され、複素Filter兼LPF108に供給される。このとき、IF信号I1とIF信号Q1には、イメージ成分が付加される場合がある。
【0028】
1stIF信号は、MIX107に供給される発振信号I1と発振信号Q1により、BB信号I1とBB信号Q1に周波数変換され、複素Filter兼LPF108に供給される。
【0029】
複素Filter兼LPF108は、周波数変換された信号の信号帯域を制限するフィルタであり、IFの周波数帯域を制限する複素FilterとBBの周波数帯域を制限するLPFからなる。複素Filter兼LPF108においては、MIX107からIF信号が供給される場合、複素Filterが選択され、MIX107から1stIF信号が供給される場合、LPFが選択される。
【0030】
複素Filter兼LPF108は、MIX107からIF信号が供給され、複素Filterが選択された場合、IF信号I1とIF信号Q1の周波数帯域を制限して、IF信号I1とIF信号Q1を出力する。複素Filter兼LPF108は、MIX107から1stIF信号が供給され、LPFが選択された場合、BB信号I1とBB信号Q1の周波数帯域を制限して、BB信号I1とBB信号Q1を出力する。
【0031】
複素Filter兼LPF108から供給されるIF信号I1は、スイッチ109の端子aを介して、IQ合成器110に出力される。複素Filter兼LPF108から供給されるIF信号Q1は、スイッチ111の端子aを介して、IQ合成器110に出力される。
【0032】
IQ合成器110は、IF信号I1とIF信号Q1とをIQ合成し、イメージ成分が除去されたIF信号を生成し、IFVGA112に出力する。
【0033】
複素Filter兼LPF108から供給されるBB信号I1は、スイッチ109の端子bを介して、BBVGA113に出力される。複素Filter兼LPF108から供給されるBB信号Q1は、スイッチ111の端子bを介して、BBVGA114に出力される。
【0034】
IFVGA112、BBVGA113、BBVGA114は、供給される信号レベルの大きさに応じて変化する制御電圧によって増幅度を可変可能なVGAである。
【0035】
IFVGA112は、IQ合成器110から供給されるIF信号を増幅し、増幅したIF信号をIF信号出力端子115に出力する。BBVGA113は、スイッチ109を介して供給されるBB(I)信号を増幅し、増幅したBB(I)信号をBB(I)信号出力端子116に出力する。BBVGA114は、スイッチ111を介して供給されるBB(Q)信号を増幅し、増幅したBB(Q)信号をBB(Q)信号出力端子117に出力する。
【0036】
IF信号出力端子115は、IFVGA112から供給されるIF信号を、図示せぬ後段の復調処理部に出力する。BB(I)信号出力端子116は、BBVGA113から供給されるBB(I)信号を、図示せぬ後段の復調処理部に出力する。BB(Q)信号出力端子117は、BBVGA114から供給されるBB(Q)信号を、図示せぬ後段の復調処理部に出力する。
【0037】
<地上波放送および衛星デジタル放送の周波数範囲>
図2は、地上波放送および衛星デジタル放送の周波数範囲のイメージを示す図である。
【0038】
現行で実運用されている地上波放送のRF周波数は、上段のハッチング部分に示されるように、42MHz乃至1002MHz程度である。また、衛星デジタル放送の1stIF周波数は、下段のハッチング部分に示されるように、950MHz乃至3300MHz程度である。
【0039】
Cableデジタル放送の場合、CATVインターネットサービス(DOCSISなど)に利用されたり、衛星デジタル放送の場合、WideBand LNBへの対応として利用されたりするなど、インターネットサービスが拡大されている。今後、このようなインターネットサービスの拡大に伴い、図2の各破線の矩形部分に示されるように、周波数範囲を現行よりも拡大してサービスが利用されようとしている。
【0040】
周波数帯域が現行よりも広帯域なデジタル放送の周波数を受信する場合、これまでの放送受信装置に代えて、広い周波数を受信可能な放送受信装置が新たに必要になる。
【0041】
<RFフィルタが追加されたチューナの構成例>
図3は、RFフィルタが追加されたチューナの構成例を示すブロック図である。
【0042】
図3のチューナは、RFフィルタ105aとRFフィルタ106aが追加された点が、図1のチューナと異なっている。図3に示す構成のうち、図1を参照して説明した構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0043】
RFフィルタ105aは、地上波放送において現行より高い周波数に拡大された分の周波数の信号をフィルタリングするフィルタである。RFフィルタ106aは、衛星デジタル放送において現行より低い周波数に拡大された分の周波数の信号をフィルタリングするフィルタである。
【0044】
図3のチューナは、RFフィルタ105aとRFフィルタ106aが増えた分、図1のチューナより回路規模が大型化してしまう。
【0045】
そこで、本技術においては、RF信号の周波数に応じて切り替えることで、第1のフィルタであるRFフィルタ105または第2のフィルタであるRFフィルタ106にRF信号を入力させ、1stIF信号の周波数に応じて切り替えることで、第1のフィルタまたは第2のフィルタに1stIF信号を入力させるスイッチが備えられる。
【0046】
これにより、現行の受信装置に大きな変更を加えることなく、現行よりも広い範囲の周波数の信号を受信することができる。また、回路の複雑化による大型化とコストアップを抑えることができる。
【0047】
<2.放送受信システム>
<放送受信システムの構成例>
図4は、本技術の一実施形態に係る放送受信システムの構成例を示すブロック図である。
【0048】
図4の放送受信システム201は、地上波放送用アンテナ211、衛星デジタル放送用アンテナ212、受信装置213、およびディスプレイ214から構成される。
【0049】
地上波放送用アンテナ211は、図示せぬ放送局の送信装置から送信される地上波デジタル放送波を受信し、RF(Radio Frequency)信号を受信装置213に出力する。地上波放送の放送波は、送信装置において変調されてから送信されてくる。Cableデジタル放送波は、ケーブルによって伝達され、地上波放送用アンテナ211の変わりに受信装置213に接続される。なお、以下、地上波デジタル放送波とCableデジタル放送波とを、まとめて、地上波放送の放送波と称する。
【0050】
衛星デジタル放送用アンテナ212は、図示せぬ衛星の送信装置から送信される衛星デジタル放送波を受信する。衛星デジタル放送用アンテナ212は、図示せぬ周波数コンバータを有している。衛星デジタル放送用アンテナ212は、周波数コンバータを用いて、RF信号を周波数変換し、周波数変換後の信号である1stIF信号を受信装置213に出力する。
【0051】
受信装置213は、チューナ221、復調部222、処理部223、および制御部224から構成される。
【0052】
チューナ221は、LSIなど、1チップ(半導体チップ)からなる。チューナ221は、制御部224から供給される制御信号に応じて、ユーザ所望のチャンネルの周波数を選択する。チューナ221は、選択した周波数のRF信号を増幅し、RF信号の周波数を低い周波数に周波数変換する。
【0053】
このとき、地上波放送のRF信号は、「スーパーヘテロダイン方式」と呼ばれる検波方式で、4MHz程度のIF周波数の信号であるIF信号に変換される。
【0054】
衛星デジタル放送の1stIF信号は、「ダイレクトコンバージョン方式」と呼ばれる検波方式で、0MHz乃至数10MHzのベースバンド(BB)信号に変換される。BB信号は、互いに位相が直交したI信号(0度)とQ信号(90度)からなる。
【0055】
復調部222は、制御部224から供給される制御信号に応じて、復調処理を行う。復調部222は、ADC(Analog Digital Converter)241-1乃至241-3、復調処理部242-1および242-2、並びに誤り訂正部243-1および243-2から構成される。
【0056】
ADC241-1乃至241-3は、チューナ221から供給されるアナログ信号であるIF信号、I信号、およびQ信号を、デジタル信号にそれぞれ変換する。ADC241-1は、変換後のデジタル信号を、復調処理部242-1に出力する。ADC241-2および241-3は、変換後のデジタル信号を復調処理部242-2に出力する。
【0057】
復調処理部242-1および242-2は、それぞれ、変換後のデジタル信号に対して復調処理を行い、復調信号を、誤り訂正部243-1および243-2に出力する。
【0058】
誤り訂正部243-1および243-2は、復調信号の誤り訂正を行い、その結果得られる、例えば、TS(Transport Stream)信号を処理部223に出力する。
【0059】
処理部223は、制御部224から供給される制御信号に応じて、誤り訂正部243-1および243-2から供給されるTS信号のデータに対してデマックス処理、多重分離処理、およびデコード処理を行う。
【0060】
デマックス処理は、例えば、映像コンテンツを、映像部分、音声部分、および字幕部分などを分離する処理である。多重分離処理は、データ中に含まれる、例えば、映像データと音声データとを分離する処理である。デコード処理は、映像データをデコードすることで、映像信号を生成する処理であり、生成された映像信号は、ディスプレイ214に出力される。また、デコード処理は、音声データをデコードすることで、音声信号を生成する処理であり、生成された音声信号は、図示せぬスピーカに出力される。
【0061】
制御部224は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。制御部224は、ROMなどに記憶されているプログラムを実行し、図示せぬ操作入力部からのユーザの指示信号に応じて、チューナ221、復調部222、および処理部223の制御を行う。
【0062】
ディスプレイ214は、処理部223から供給される映像信号を表す映像を表示する。
【0063】
<3.チューナの詳細>
<チューナの構成例>
図5は、チューナ221の構成例を示すブロック図である。
【0064】
図5のチューナ221は、LNA301および302、並びにスイッチ303乃至306が新たに追加された点が、図1のチューナと異なっている。図5に示す構成のうち、図1を参照して説明した構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0065】
LNA(Low Noise Amp)301および302は、後段のスイッチ303乃至306の信号ロスの影響を小さくさせるためのLow Noise Ampである。
【0066】
LNA301は、RF入力端子101から供給されるRF信号を増幅し、増幅したRF信号を、スイッチ303を介して、RFVGA103に出力するか、または、スイッチ305を介して、RFVGA104に出力する。
【0067】
LNA302は、1stIF入力端子102から供給される1stIF信号を増幅し、増幅した1stIF信号を、スイッチ306を介して、RFVGA103に出力するか、または、スイッチ304を介して、RFVGA104に出力する。
【0068】
スイッチ303乃至306は、通常オフの状態となっているが、制御部224(図4)から供給される制御信号に応じてオンの状態となる。
【0069】
制御部224では、例えば、拡張される前の現行の地上波放送の周波数帯域(42MHz乃至1002MHz程度)と、拡張される前の現行の衛星デジタル放送の周波数帯域(950MHz乃至3300MHz程度)との境界を表す所定の周波数が予め設定されている。この所定の周波数は、地上波放送と衛星デジタル放送の周波数帯域のオーバーラップ部分(950MHz乃至1002MHz)のいずれかの周波数であればよい。所定の周波数は、受信信号がRF信号の場合、例えば、1002MHzであり、受信信号が1stIF信号の場合、例えば、950MHzであるというように、RF信号の場合と1stIF信号の場合とで異なってもよい。
【0070】
制御部224は、RF信号の周波数が所定の周波数よりも低い周波数である場合、スイッチ303をオンの状態にして、RF信号をRFVGA103に出力させる。制御部224は、RF信号の周波数が所定の周波数よりも高い周波数である場合、スイッチ305をオンの状態にして、RF信号をRFVGA104に出力させる。
【0071】
制御部224は、1stIF信号の周波数が所定の周波数よりも低い周波数である場合、スイッチ306をオンの状態にして、1stIF信号をRFVGA103に出力させる。制御部224は、1stIF信号の周波数が所定の周波数よりも高い周波数である場合、スイッチ304をオンの状態にして、1stIF信号をRFVGA104に出力させる。
【0072】
RFVGA103は、スイッチ303を介して供給されるRF信号またはスイッチ306を介して供給される1stIF信号を増幅する。RF信号または1stIF信号は、RFフィルタ105-1乃至105-nのうち、選択するチャンネルの周波数に対応する周波数帯域のRFフィルタに供給される。
【0073】
RFVGA104は、スイッチ304を介して供給される1stIF信号またはスイッチ305を介して供給されるRF信号を増幅する。増幅後、1stIF信号またはRF信号は、RFフィルタ106に供給される。
【0074】
RFフィルタ105-1乃至105-nは、RFVGA103から供給されるRF信号または1stIF信号の周波数を、チャンネルの周波数に同調することで、フィルタリングする。RFフィルタ105-1乃至105-nのいずれかによるフィルタリング後のRF信号または1stIF信号は、MIX107に出力される。
【0075】
RFフィルタ106は、RFVGA104から供給されるRF信号または1stIF信号の周波数を、RFフィルタ106の周波数に同調することで、フィルタリングする。RFフィルタ106によるフィルタリング後の1stIF信号またはRF信号は、MIX107に出力される。
【0076】
MIX107以降の各部における処理は、図1を参照して上述したMIX107以降の各部における処理と同様の処理である。
【0077】
以上のように構成することで、地上波放送と衛星デジタル放送とでRFフィルタを共用することができるので、回路規模が大きくなるのを抑制することができる。
【0078】
また、地上波放送のRF信号を受信した場合、スイッチ304および306が介在することにより、MIX107の発振信号I1およびQ1の1stIF入力端子102へのリークが小さくなるので、1stIF入力端子102からの不要輻射は小さくなる。
【0079】
一方、衛星デジタル放送の1stIF信号を受信した場合、スイッチ303および305が介在することにより、MIX107の発振信号I1およびQ1のRF入力端子101へのリークが小さくなるので、RF入力端子101からの不要輻射は小さくなる。
【0080】
<チューナの動作>
図6は、RF信号を受信した場合のチューナの受信処理を説明するフローチャートである。
【0081】
RF入力端子101は、地上波放送用アンテナ211から供給される地上波放送信号であるRF信号を受信し、LNA301に出力する。
【0082】
ステップS101において、LNA301は、RF入力端子101から供給されるRF信号を増幅する。
【0083】
ステップS102において、制御部224は、RF信号の周波数が所定の周波数よりも高い周波数であるか否かを判定する。ステップS102において、RF信号の周波数が所定の周波数よりも低い周波数であると判定された場合、処理は、ステップS103に進む。
【0084】
ステップS103において、制御部224は、スイッチ303をオンの状態にし、スイッチ305をオフの状態にする。LNA302により増幅されたRF信号は、スイッチ303を介して、RFVGA103に供給される。
【0085】
ステップS104において、RFVGA103は、スイッチ303を介して供給されるRF信号を増幅する。RF信号は、RFフィルタ105-1乃至105-nのうち、選択するチャンネルの周波数に対応する周波数帯域のRFフィルタに供給される。
【0086】
ステップS105において、チャンネルの周波数に対応するRFフィルタ105は、RFVGA103から供給されるRF信号の周波数を、チャンネルの周波数に同調することで、フィルタリングする。RFフィルタ105によるフィルタリング後のRF信号は、MIX107に出力される。
【0087】
一方、ステップS102において、RF信号の周波数が所定の周波数よりも高い周波数であると判定された場合、処理は、ステップS106に進む。
【0088】
ステップS106において、制御部224は、スイッチ305をオンの状態にし、スイッチ303をオフの状態にする。LNA301により増幅されたRF信号は、スイッチ305を介して、RFVGA104に供給される。
【0089】
ステップS107において、RFVGA104は、スイッチ305を介して供給されるRF信号を増幅する。RF信号は、RFフィルタ106に供給される。
【0090】
ステップS108において、RFフィルタ106は、RFVGA104から供給されるRF信号の周波数を、RFフィルタ106の周波数に同調することで、フィルタリングする。RFフィルタ106によるフィルタリング後のRF信号は、MIX107に出力される。
【0091】
ステップS105またはS108の後、処理は、ステップS109に進む。
【0092】
ステップS109において、MIX107は、RF信号の高い周波数を、IF信号I1とIF信号Q1に周波数変換する。MIX107により周波数変換されたIF信号I1とIF信号Q1は、複素Filter兼LPF108に供給される。
【0093】
複素Filter兼LPF108においては、MIX107からIF信号が供給される場合、複素Filterが選択され、MIX107からBB信号が供給される場合、LPFが選択される。
【0094】
ステップS110において、複素Filter兼LPF108は、複素Filterが選択された場合、IF信号I1とIF信号Q1の周波数帯域を制限して、IF信号I1とIF信号Q1を出力する。
【0095】
ステップS111において、スイッチ109とスイッチ111は、制御部224の制御信号に応じて、端子aを選択する。複素Filter兼LPF108から供給されるIF信号I1は、スイッチ109の端子aを介して、IQ合成器110に出力される。複素Filter兼LPF108から供給されるIF信号Q1は、スイッチ111の端子aを介して、IQ合成器110に出力される。
【0096】
ステップS112において、IQ合成器110は、IF信号I1とIF信号Q1とをIQ合成し、イメージ成分除去後のIF信号を生成し、IFVGA112に出力する。
【0097】
ステップS113において、IFVGA112は、IQ合成器110から供給されるIF信号を増幅する。
【0098】
ステップS114において、IFVGA112は、増幅したIF信号をIF信号出力端子115に出力する。
【0099】
図7は、1stIF信号を受信した場合のチューナの受信処理を説明するフローチャートである。
【0100】
1stIF入力端子102は、衛星デジタル放送用アンテナ212から供給される衛星デジタル放送信号である1stIF信号を受信し、LNA302に出力する。
【0101】
ステップS201において、LNA302は、1stIF入力端子102から供給される1stIF信号を増幅する。
【0102】
ステップS202において、制御部224は、1stIF信号の周波数が所定の周波数よりも低いか否かを判定する。ステップS202において、1stIF信号の周波数が所定の周波数よりも高いと判定された場合、処理は、ステップS203に進む。
【0103】
ステップS203において、制御部224は、スイッチ304をオンの状態にし、スイッチ306をオフの状態にする。LNA302により増幅されたRF信号は、スイッチ304を介して、RFVGA104に供給される。
【0104】
ステップS204において、RFVGA104は、スイッチ304を介して供給される1stIF信号を増幅する。1stIF信号は、RFフィルタ106に供給される。
【0105】
ステップS205において、RFフィルタ106は、RFVGA104から供給されるRF信号の周波数を、RFフィルタ106の周波数に同調することで、フィルタリングする。RFフィルタ106によるフィルタリング後のRF信号は、MIX107に出力される。
【0106】
一方、ステップS202において、1stIF信号の周波数が所定の周波数よりも低いと判定された場合、処理は、ステップS206に進む。
【0107】
ステップS206において、制御部224は、スイッチ306をオンの状態にし、スイッチ304をオフの状態にする。LNA302により増幅された1stIF信号は、スイッチ306を介して、RFVGA103に供給される。
【0108】
ステップS207において、RFVGA103は、スイッチ306を介して供給される1stIF信号を増幅する。1stIF信号は、RFフィルタ105-1乃至105-nのうち、選択するチャンネルの周波数に対応する周波数帯域のRFフィルタに供給される。
【0109】
ステップS208において、チャンネルの周波数に対応するRFフィルタ105-1乃至105-nは、RFVGA103から供給される1stIF信号の周波数を、チャンネルの周波数に同調することで、フィルタリングする。RFフィルタ105によるフィルタリング後の1stIF信号は、MIX107に出力される。
【0110】
ステップS205またはS208の後、処理は、ステップS209に進む。
【0111】
ステップS209において、MIX107は、1stIF信号の高い周波数を、BB信号I1とBB信号Q1に周波数変換する。MIX107により周波数変換されたBB信号I1とBB信号Q1は、複素Filter兼LPF108に供給される。
【0112】
複素Filter兼LPF108においては、MIX107からIF信号が供給される場合、複素Filterが選択され、MIX107からBB信号が供給される場合、LPFが選択される。
【0113】
ステップS210において、複素Filter兼LPF108は、LPFが選択された場合、BB信号I1とBB信号Q1の周波数帯域を制限して、BB信号I1とBB信号Q1を出力する。
【0114】
ステップS211において、スイッチ109とスイッチ111は、制御部224の制御信号に応じて、端子bを選択する。複素Filter兼LPF108から供給されるBB信号I1は、スイッチ109の端子bを介して、BBVGA113に出力される。複素Filter兼LPF108から供給されるBB信号Q1は、スイッチ111の端子bを介して、BBVGA114に出力される。
【0115】
ステップS212において、BBVGA113は、スイッチ109の端子bを介して供給されるBB信号I1を増幅する。BBVGA114は、スイッチ111の端子bを介して供給されるBB信号Q1を増幅する。
【0116】
ステップS213において、BBVGA113は、増幅したBB信号I1をBB(I)信号出力端子116に出力する。BBVGA114は、増幅したBB信号Q1をBB(Q)信号出力端子117に出力する。
【0117】
<4.変形例>
<チューナの他の構成例>
図8は、図5のチューナ221の他の構成例を示すブロック図である。
【0118】
図8のチューナ221は、複素Filter兼LPF108に替えて、複素BPF401、LPF402、およびLPF403が設けられた点と、スイッチ109および111の位置と、複素BPF401、LPF402、およびLPF403の位置が入れ替わった点とが、図5のチューナ221と異なっている。図8に示す構成のうち、図5を参照して説明した構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0119】
MIX107は、RF信号を、IF信号I1とIF信号Q1に周波数変換し、スイッチ109および111にそれぞれ出力する。MIX107は、1stIF信号を、BB信号I1とBB信号Q1に周波数変換し、スイッチ109および111にそれぞれ出力する。
【0120】
MIX107から供給されるIF信号I1は、スイッチ109の端子aを介して、複素BPF401に出力される。MIX107から供給されるIF信号Q1は、スイッチ111の端子aを介して、複素BPF401に出力される。
【0121】
複素BPF401は、IF信号の信号帯域を制限するフィルタである。複素BPF401は、IF信号I1およびIF信号Q1の信号帯域を制限し、それぞれをIQ合成器110に出力する。IQ合成器110は、IF信号I1とIF信号Q1とをIQ合成し、IQ合成後のIF信号を生成し、IFVGA112に出力する。
【0122】
MIX107から供給されるBB信号I1は、スイッチ109の端子bを介して、LPF402に出力される。MIX107から供給されるBB信号Q1は、スイッチ111の端子bを介して、LPF403に出力される。
【0123】
LPF402および403は、BB信号の信号帯域を制限するローパスフィルタである。LPF402は、BB信号I1の信号帯域を制限し、BB(I)信号出力端子116に出力する。LPF403は、BB信号Q1の信号帯域を制限し、BB(Q)信号出力端子117に出力する。
【0124】
以上のように構成することで、図8のチューナ221の場合も、地上波放送と衛星デジタル放送とでRFフィルタを共用することができるので、回路規模が大きくなるのを抑制することができる。
【0125】
また、地上波放送のRF信号を受信した場合、スイッチ304および306が介在することにより、MIX107の発振信号I1およびQ1の1stIF入力端子102へのリークが小さくなるので、1stIF入力端子102からの不要輻射は小さくなる。
【0126】
一方、衛星デジタル放送の1stIF信号を受信した場合、スイッチ303および305が介在することにより、MIX107の発振信号I1およびQ1のRF入力端子101へのリークが小さくなるので、RF入力端子101からの不要輻射は小さくなる。
【0127】
なお、図8のチューナ221においては、複素Filter兼LPF108が、複素BPF401、LPF402、およびLPF403に入れ替わるため、回路規模が、図5のチューナ221よりも大きくなってしまう。
【0128】
図9は、図8のチューナ221の他の構成例を示すブロック図である。
【0129】
図9のチューナ221は、MIX107に替えて、MIX501および502が設けられた点が、図8のチューナ221と異なっている。図9に示す構成のうち、図8を参照して説明した構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0130】
RFフィルタ105によるフィルタリング後のRF信号または1stIF信号は、MIX501に出力される。RFフィルタ106によるフィルタリング後のRF信号または1stIF信号は、MIX502に出力される。
【0131】
MIX501および502は、RF信号を、IF信号I1とIF信号Q1に周波数変換し、スイッチ109および111にそれぞれ出力する。MIX501および502は、1stIF信号を、BB信号I1とBB信号Q1に周波数変換し、スイッチ109および111にそれぞれ出力する。
【0132】
MIX501または502から供給されるIF信号I1は、スイッチ109の端子aを介して、複素BPF401に出力される。MIX501または502から供給されるIF信号Q1は、スイッチ111の端子aを介して、複素BPF401に出力される。
【0133】
MIX501または502から供給されるBB信号I1は、スイッチ109の端子bを介して、LPF402に出力される。MIX501または502から供給されるBB信号Q1は、スイッチ111の端子bを介して、LPF403に出力される。
【0134】
複素BPF401、LPF402、およびLPF403以降の各部における処理は、図8を参照して上述した複素BPF401、LPF402、およびLPF403以降の各部における処理と同様の処理である。
【0135】
以上のように構成することで、図9のチューナ221の場合も、地上波放送と衛星デジタル放送とでRFフィルタを共用することができるので、回路規模が大きくなるのを抑制することができる。
【0136】
また、地上波放送のRF信号を受信した場合、スイッチ304および306が介在することにより、MIX107の発振信号I1およびQ1の1stIF入力端子102へのリークが小さくなるので、1stIF入力端子102からの不要輻射は小さくなる。
【0137】
一方、衛星デジタル放送の1stIF信号を受信した場合、スイッチ303および305が介在することにより、MIX107の発振信号I1およびQ1のRF入力端子101へのリークが小さくなるので、RF入力端子101からの不要輻射は小さくなる。
【0138】
なお、図9のチューナ221においては、MIX107が、MIX501および502に入れ替わるため、回路規模が、図8のチューナ221よりも大きくなってしまう。
【0139】
<5.その他>
< 効果 >
追加されるサービスによって利用される周波数範囲の拡大としては、一般的に地上波側は、より高い周波数に広がり、衛星側は、より低い周波数に広がる。したがって、地上波放送と衛星デジタル放送の周波数範囲がオーバーラップしてしまう。
【0140】
本技術は、オーバーラップした周波数に対して、回路の利用効率を高くした回路構成を特徴としたもので、周波数に応じて地上波側のフィルタ回路と衛星側のフィルタ回路を切り替え、それぞれのフィルタ回路を利用可能な構成とするようにした。
【0141】
これにより、回路の複雑化による大型化、コストアップを抑えることができる。
【0142】
特に、RFフィルタは、インダクタとキャパシタのLC共振回路で構成された回路であるため、低い周波数のRFフィルタを追加実装しようとすると、インダクタの物理的な大きさを大きくする必要が発生し、チップサイズの大型化、コストアップに多大な影響を及ぼすことになる。
【0143】
そこで、LNAとRFVGAとの間にスイッチを設けることにより、利用していない入力端子から出力される不要輻射の大きさを抑えることができる。これにより、チューナ221は、LNA301およびLNA302のどちらか、あるいは両方を必ずしも備える必要がなくなるため、回路規模を小さくすることができる。
【0144】
< 適用例 >
図10は、本技術を適用したSTB(Set Top Box)およびTV(TeleVision)装置の構成例を示す図である。
【0145】
図10のAには、図4のチューナ221を含むSTB501と、TV装置502からなる放送受信システムが示されている。
【0146】
図10のBには、図4のチューナ221を含むTV装置511が示されている。
【0147】
なお、図10には図示されないが、地上波放送用アンテナ211および衛星デジタル放送用アンテナ212もSTB501およびTV装置511に内蔵されている。
【0148】
以上のように、本技術は、STBおよびTV装置などにも適用することができる。
【0149】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0150】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0151】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0152】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0153】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0154】
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
(1)
地上波放送のRF信号を入力するRF入力端子と、
衛星デジタル放送の1stIF信号を入力する1stIF入力端子と、
所定の周波数より低い周波数帯域の信号をフィルタリングする第1のフィルタと、
前記所定の周波数以上の周波数帯域の信号をフィルタリングする第2のフィルタと、
前記RF信号の周波数に応じて切り替えることで、前記第1のフィルタまたは前記第2のフィルタに前記RF信号を入力させ、前記1stIF信号の周波数に応じて切り替えることで、前記第1のフィルタまたは前記第2のフィルタに前記1stIF信号を入力させるスイッチと
を備える半導体チップ。
(2)
前記スイッチの前段に、前記RF信号または前記1stIF信号を増幅する少なくとも1つのLNA回路をさらに備える
前記(1)に記載の半導体チップ。
(3)
前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタの前段に、前記RF信号および前記1stIF信号のゲインを信号レベルに応じて変えるRFVGA回路をさらに備える
前記(1)または前記(2)に記載の半導体チップ。
(4)
前記RF信号を周波数変換することで、前記RF信号より周波数の低いIF信号を生成し、前記1stIF信号を周波数変換することで、ベースバンドのBB信号を生成する周波数変換回路と、
前記IF信号または前記BB信号を出力する少なくとも1つの出力端子と
をさらに備える前記(1)乃至前記(3)のいずれかに記載の半導体チップ。
(5)
前記周波数変換回路は、前記IF信号として、位相が直交するIF(I)信号とIF(Q)信号とを出力し、前記BB信号として、位相が直交するBB(I)信号とBB(Q)信号とを出力し、
前記出力端子は、前記IF信号として、前記IF(I)信号と前記IF(Q)信号とが合成された信号を出力する第1の出力端子、前記BB信号のうちの一方の信号として、前記BB(I)信号を出力する第2の出力端子、前記BB信号のうちの他方の信号として、前記BB(Q)信号を出力する第3の出力端子からなる
前記(4)に記載の半導体チップ。
(6)
前記IF信号と前記BB信号の信号帯域を制限するフィルタ回路と、
前記出力端子の前段に配置され、周波数変換後の信号レベルに応じて前記IF信号および前記BB信号のゲインを変えるVGA回路と
をさらに備える前記(4)に記載の半導体チップ。
(7)
地上波放送のRF信号を入力するRF入力端子と、
衛星デジタル放送の1stIF信号を入力する1stIF入力端子と、
所定の周波数より低い周波数帯域の信号をフィルタリングする第1のフィルタと、
前記所定の周波数以上の周波数帯域の信号をフィルタリングする第2のフィルタと、
前記RF信号の周波数に応じて切り替えることで、前記第1のフィルタまたは前記第2のフィルタに前記RF信号を入力させ、前記1stIF信号の周波数に応じて切り替えることで、前記第1のフィルタまたは前記第2のフィルタに前記1stIF信号を入力させるスイッチと
を備えるチューナを有する受信装置。
(8)
前記チューナは、前記スイッチの前段に、前記RF信号または前記1stIF信号を増幅する少なくとも1つのLNA回路をさらに備える
前記(7)に記載の受信装置。
(9)
TV装置で構成される
前記(7)に記載の受信装置。
(10)
Set Top Boxで構成される
前記(7)に記載の受信装置。
【符号の説明】
【0155】
101 RF入力端子, 102 1stIF入力端子, 103,104 RFVGA, 105,105-1乃至105-n RFフィルタ, 106 RFフィルタ, 107 MIX, 108 複素Filter兼LPF, 109 スイッチ, 110 IQ合成器, 111 スイッチ, 112 IFVGA, 113,114 BBVGA, 115 IF信号出力端子, 116 BB(I)信号出力端子, 117 BB(Q)出力端子, 201 放送受信システム, 211 地上波放送用アンテナ, 212 衛星デジタル放送用アンテナ, 213 受信装置, 214 ディスプレイ, 221 チューナ, 222 復調部, 223 処理部, 224 制御部, 301,302 LNA, 303乃至306 スイッチ, 401 複素BPF, 402,403 LPF
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10