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特許7543265プリフォームの製造方法および二重壁容器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】プリフォームの製造方法および二重壁容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 11/08 20060101AFI20240826BHJP
   B29C 49/22 20060101ALI20240826BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20240826BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B29B11/08
B29C49/22
B29C49/06
B29C45/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021527792
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2020025330
(87)【国際公開番号】W WO2020262644
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2019121122
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 要一
(72)【発明者】
【氏名】河村 遼
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-205906(JP,A)
【文献】米国特許第04035461(US,A)
【文献】特開2004-123146(JP,A)
【文献】特開2003-312721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/08
B29C 49/22
B29C 49/06
B29C 45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金型にリサイクル材を射出し一次成形体を射出成形する第1の工程と、
第2の金型に前記一次成形体を収容して、バージン材を射出し二次成形体を射出成形する第2の工程と、を含む、前記一次成形体および前記二次成形体を含む樹脂製のプリフォームの製造方法であって、
前記第1の工程において射出成形される前記一次成形体は、開口部と、前記開口部と連なるネック部と、前記ネック部と連なる胴部と、前記胴部と連なる底部と、を備え、
前記胴部は、前記ネック部側の第1の部分予定部、前記底部側の第2の部分予定部および前記第1の部分予定部と前記第2の部分予定部との間の第3の部分予定部を備え、
前記胴部の前記第2の部分予定部および前記第3の部分予定部並びに前記底部の厚みは、前記第1の部分予定部の厚みよりも薄く、
前記第2の工程において射出成形される前記二次成形体は、前記一次成形体の前記胴部の前記第2の部分予定部および前記第3の部分予定部並びに前記底部の外側に形成される、プリフォームの製造方法。
【請求項2】
前記第1の工程で射出される前記リサイクル材の、前記第2の工程で射出される前記バージン材に対する重量比は2以上である、請求項1に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項3】
外壁と、前記外壁と連なる内壁と、前記内壁と連なる内底と、を有する二重壁容器を成形するためのプリフォームの製造方法であって、前記一次成形体の前記第3の部分予定部およびその外側に形成された前記二次成形体は前記二重壁容器の前記内壁の少なくとも一部および前記外壁の少なくとも一部に対応する、請求項1または請求項2に記載のプリフォームの製造方法。
【請求項4】
開口部と、前記開口部と連なるネック部と、前記ネック部と連なる胴部と、前記胴部と連なる底部と、を備える樹脂製のプリフォームを延伸ブローすることにより中間成形品を成形するブロー工程と、
前記中間成形品を押圧して、外壁と、前記外壁と連なる内壁と、前記内壁と連なる内底と、前記内壁を挟んで前記内底と反対側に設けられた開口と、を有する樹脂製の二重壁容器を成形する押圧工程と、を含む、二重壁容器の製造方法であって、
前記中間成形品は、前記内壁に対応する内壁対応部と、前記外壁に対応する外壁対応部と、前記内底に対応する内底対応部と、を有し、
前記内壁対応部および前記内底対応部は、前記外壁対応部から膨出するように形成され、
前記押圧工程において、前記外壁対応部から膨出するように形成された前記内壁対応部が前記外壁対応部の内側まで反転するように、前記内底対応部を押圧することで前記二重壁容器を成形し、
前記プリフォームの前記胴部は、前記ネック部側の第1の部分、前記底部側の第2の部分および前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分を備え、
前記ネック部および前記胴部の前記第1の部分は、リサイクル材で構成され、
前記胴部の前記第2の部分および前記第3の部分並びに前記底部は、リサイクル材で構成される内層およびバージン材で構成される外層により構成される二層構造を備える、二重壁容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームの製造方法、二重壁容器および二重壁容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内層が新生プラスチック、外層が再生プラスチックで構成される2層構造のプラスチック製ボトルが開示されている。特許文献2には、リサイクル樹脂により筒状の外層材を成形する外層成形工程と、外層材の内面側に外層材よりも薄肉の筒状のバージン樹脂で構成される内層材を積層成形する内層成形工程と、を有する積層樹脂成形品の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2002-103429号公報
【文献】日本国特開2002-104362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年プラスチックごみによる海洋汚染が大きく問題視されるようになり、プラスチックの3R(リユース、リデュース、リサイクル)の取り組みが国際的に活発化してきている。食品/飲料/医薬品用ボトル(食品系容器)で、内外二層構造で射出成形されたプリフォームをブロー成形し、内容物が接触する部分(内層)はバージン材、非接触部分(外層)はリサイクル材を、各々利用するという方法が開発されている。
【0005】
ここで、樹脂製容器の中には、断熱作用(保冷保温作用)を備えたカップ式のものが存在する。この種の容器では、胴部を内外二重壁の構成とし、内壁と外壁との間に適度な空間を形成させることで断熱作用を得るようにしている。当該容器においてもリサイクル材を積極的に活用すべきであるところ、使用時の衛生面で優れつつリサイクル材を利用可能にしたものは現状開発されていない。
【0006】
本発明は、リサイクル材の使用比率が大きくても使用時の衛生面で優れる二重壁容器を形成できるプリフォームの製造方法、当該二重壁容器及び二重壁容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の一態様は、
第1の金型にリサイクル材を射出し一次成形体を射出成形する第1の工程と、
第2の金型に前記一次成形体を収容して、バージン材を射出し二次成形体を射出成形する第2の工程と、を含む、前記一次成形体および前記二次成形体を含む樹脂製のプリフォームの製造方法であって、
前記第1の工程において射出成形される前記一次成形体は、開口部と、前記開口部と連なるネック部と、前記ネック部と連なる胴部と、前記胴部と連なる底部と、を備え、
前記胴部は、前記ネック部側の第1の部分予定部、前記底部側の第2の部分予定部および前記第1の部分予定部と前記第2の部分予定部との間の第3の部分予定部を備え、
前記胴部の前記第2の部分予定部および前記第3の部分予定部並びに前記底部の厚みは、前記第1の部分予定部の厚みよりも薄く、
前記第2の工程において射出成形される前記二次成形体は、前記一次成形体の前記胴部の前記第2の部分予定部および前記第3の部分予定部並びに前記底部の外側に形成される、プリフォームの製造方法である。
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明の別の態様は、
外壁と、前記外壁と連なる内壁と、前記内壁と連なる内底と、前記内壁を挟んで前記内底と反対側に設けられた開口と、を有する樹脂製の二重壁容器であって、
前記外壁の前記開口側の部分、前記内壁および前記内底は、リサイクル材で構成される内層およびバージン材で構成される外層により構成される二層構造を備え、
前記外壁における前記開口側の部分以外の部分は、リサイクル材で構成されており、
前記内壁および前記内底の前記外層は、前記二重壁容器に収容される内容物が接触するように構成されている、二重壁容器である。
【0009】
上記課題を解決することのできる本発明の別の態様は、
開口部と、前記開口部と連なるネック部と、前記ネック部と連なる胴部と、前記胴部と連なる底部と、を備える樹脂製のプリフォームを延伸ブローすることにより中間成形品を成形するブロー工程と、
前記中間成形品を押圧して、外壁と、前記外壁と連なる内壁と、前記内壁と連なる内底と、前記内壁を挟んで前記内底と反対側に設けられた開口と、を有する樹脂製の二重壁容器を成形する押圧工程と、を含む、二重壁容器の製造方法であって、
前記中間成形品は、前記内壁に対応する内壁対応部と、前記外壁に対応する外壁対応部と、前記内底に対応する内底対応部と、を有し、
前記内壁対応部および前記内底対応部は、前記外壁対応部から膨出するように形成され、
前記押圧工程において、前記外壁対応部から膨出するように形成された前記内壁対応部が前記外壁対応部の内側まで反転するように、前記内底対応部を押圧することで前記二重壁容器を成形し、
前記プリフォームの前記胴部は、前記ネック部側の第1の部分、前記底部側の第2の部分および前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分を備え、
前記ネック部および前記胴部の前記第1の部分は、リサイクル材で構成され、
前記胴部の前記第2の部分および前記第3の部分並びに前記底部は、リサイクル材で構成される内層およびバージン材で構成される外層により構成される二層構造を備える、二重壁容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リサイクル材の使用比率が大きくても使用時の衛生面で優れる二重壁容器を形成できるプリフォームの製造方法、当該二重壁容器及び二重壁容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るプリフォームを表す断面図である。
図2】実施形態に係る二重壁容器を表す断面図である。
図3】実施形態に係るプリフォームの製造工程を表すフローチャートである。
図4】実施形態に係るプリフォームの射出成形の態様を表す断面図である。
図5】実施形態に係る二重壁容器の製造工程を表すフローチャートである。
図6】実施形態に係る中間成形品のブロー成形の態様を表す断面図である。
図7】実施形態に係る二重壁容器を成形する押圧工程の態様を表す断面図である。
図8】押圧工程の別の態様を示す図である。
図9】押圧工程の別の態様を示す図である。
図10】実施形態に係る中間成形品または二重壁容器の製造装置を示す図である。
図11】実施形態に係る製造装置を用いた中間成形品または二重壁容器の製造工程を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0013】
まず、図1を参照して、実施形態に係るプリフォーム10について説明する。図1はプリフォーム10の断面図である。プリフォーム10は開口部12、開口部12と連なるネック部14、ネック部14と連なる胴部16、および胴部16と連なる底部18を備える、樹脂成形品である。プリフォーム10の胴部16は、ネック部14側から底部18側にかけてテーパーしている。胴部16は、ネック部14側の第1の部分16a、底部18側の第2の部分16bおよび第1の部分16aと第2の部分16bとの間の第3の部分16cを備えている。
【0014】
ネック部14および胴部16の第1の部分16aは、使用済の樹脂材料を再生利用して調製されたリサイクル材で構成される。胴部16の第2の部分16bおよび第3の部分16c並びに底部18は、前述のリサイクル材で構成される内層22および未使用の樹脂材料であるバージン材で構成される外層24により構成される二層構造を備える。第1の部分16aと前記二層構造における内層22は連続しており、同一の材料で構成されている。バージン材およびリサイクル材はポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂を母材とする。プリフォーム10は後述する二重壁容器30を成形するために使用される。
【0015】
プリフォーム10に含まれるリサイクル材の、プリフォーム10に含まれるバージン材に対する重量比は2以上である。具体的には、胴部16の第1の部分16aと胴部16の第2の部分16bおよび第3の部分16c並びに底部18における内層22との合計重量の、胴部16の第2の部分16bおよび第3の部分16c並びに底部18における外層24の重量に対する重量比は2以上である。また、特に限定されるものではないが、胴部16の第1の部分16aのネック部14から底部18へ延びる方向における長さの、胴部16の第2の部分16bおよび第3の部分16cのネック部14から底部18へ延びる方向における長さの合計に対する比が、0.1以上1未満であると好ましい。また、当該比は0.3以上であるとより好ましく、0.5以上であると特に好ましい。また、当該比は0.9以下であるとより好ましく、0.8以下であると特に好ましい。当該数値範囲であることで、リサイクル材の使用比率をより向上でき、使用時の衛生面でより優れた二重壁容器30を形成できる。また、胴部16の第2の部分16bおよび第3の部分16c並びに底部18において、内層22および外層24の厚みは略均一である。
【0016】
次に、図2を参照して、実施形態に係る二重壁容器30について説明する。図2は二重壁容器30の断面図である。二重壁容器30はプリフォーム10をブロー成形することにより得られた樹脂製容器である。二重壁容器30は、外壁32と、外壁32と連なる内壁34と、内壁34と連なる内底36と、内壁34を挟んで内底36の反対側に設けられた開口38と、を有する。外壁32と内壁34とはそれぞれの開口38側の端部において縁部33を介して連なっている。内壁34の開口38の反対側の端部は内底36を介して連なっている。外壁32の開口38側の部分32a、縁部33、内壁34および内底36は、リサイクル材で構成される内層(ベース層)42およびバージン材で構成される外層(被覆層)44により構成される二層構造を備える。リサイクル材およびバージン材はプリフォーム10において説明したものと同一の材料である。外壁32における開口38側の部分32a以外の部分32bは、リサイクル材で構成される。部分32bと前記二層構造における内層42は連続しており、同一の材料で構成されている。前述のプリフォーム10の第3の部分16cは、二重壁容器30の内壁34の開口38側の部分34a、縁部33および外壁32の開口38側の部分32aに対応する。なお、内壁34および内底36の外層44は凹部形状であり、二重壁容器30に収容される飲料等の内容物が当該凹部形状の外層44に接触するように構成されている。
【0017】
図2において外壁32同士の間隔(直径)よりも内壁34同士の間隔(直径)は小さく、内壁34は外壁32の内側に配置されている。縁部33は内壁34の開口38側の内径と同じ大きさの内径を有し、かつ外壁32の開口38側の外径と同じ大きさの外径を有する。内壁34および外壁32の間には空間が形成されている。内壁34より外方側の外壁32の開口38と反対側の端部は解放されており、二重壁容器30の外底39は開放されている。内壁34および外壁32の間の空間に空気等の媒体が入り断熱効果が得られる。二重壁容器30は、コーヒーカップ等の用途に使用できる。
【0018】
二重壁容器30に含まれるリサイクル材の、二重壁容器30に含まれるバージン材に対する重量比は2以上である。具体的には、外壁32における開口38側の部分32a以外の部分32bと外壁32の開口38側の部分32a、縁部33、内壁34および内底36における内層42との合計重量の、外壁32の開口38側の部分32a、縁部33、内壁34および内底36における外層44の重量に対する重量比は2以上である。また、特に限定されるものではないが、外壁32の開口38側の部分32aの開口38から内底36へ延びる方向における長さの、外壁32における開口38側の部分32a以外の部分32bの開口38から内底36へ延びる方向における長さに対する比が、0より大きく5以下であると好ましい。また、当該比は0.06以上であるとより好ましく、0.1以上であると特に好ましい。また、当該比は3以下であるとより好ましく、1以下であるとさらに好ましく、0.5以下であると特に好ましい。当該数値範囲であることで、リサイクル材の使用比率をより向上でき、使用時の衛生面でより優れた二重壁容器30となる。内層42および外層44の厚みは略均一である。
【0019】
次に、図3および図4を参照して、プリフォーム10の製造方法について説明する。図3はプリフォーム10の製造工程を示すフローチャートである。図4はプリフォーム10の射出成形の態様を示す図である。
【0020】
図3に示すように、本実施形態のプリフォーム10の製造方法は、二段階の射出成形工程となる、第1の工程S1と、第2の工程S2とを含む。第1の工程S1は、第1の金型にリサイクル材を射出し一次成形体を射出成形する工程である。第2の工程S2は、第2の金型に前記一次成形体を収容して、バージン材を射出し二次成形体を射出成形する工程である。
【0021】
ここで、図4を参照して各工程について説明する。第1の工程S1では、第1のキャビティ型52、第1の射出コア型54およびネック型56で構成される第1の金型50が形成するキャビティ内に、第1のゲート58を介してリサイクル材を射出する。リサイクル材のキャビティ内への充填が完了したところで、所定時間第1の金型50の型締めを維持し、その後開放することで、一次成形体60を成形する。なお、第1のキャビティ型52や第1の射出コア型54には、一次成形体60を冷却させる冷却媒体(流体)が流れる回路(媒体流通孔または媒体流通溝)が設けられ、その冷却媒体は、例えば約5℃~約20℃の範囲内で適宜設定される。
【0022】
成形される一次成形体60は、開口部62と、開口部62と連なるネック部64と、ネック部64と連なる胴部66と、胴部66と連なる底部68と、を備える。胴部66は、ネック部64側の第1の部分予定部(第1の部分形成部)66a、底部68側の第2の部分予定部(第2の部分形成部)66bおよび第1の部分予定部66aと第2の部分予定部66bとの間の第3の部分予定部(第3の部分形成部)66cを備える。胴部66の第2の部分予定部66bおよび第3の部分予定部66c並びに底部68の厚みは、第1の部分予定部66aの厚みよりも薄い。また、特に限定されるものではないが、胴部66の第1の部分予定部66aのネック部64から底部68へ延びる方向における長さの、胴部66の第2の部分予定部66bおよび第3の部分予定部66cのネック部64から底部68へ延びる方向における長さの合計に対する比は、上述のプリフォーム10の第1の部分16aの、第2の部分16bおよび第3の部分16cに対する長さの比と同様の態様であると好ましい。
【0023】
成形された一次成形体60は、第1の射出コア型54およびネック型56と共に上昇されて第1のキャビティ型52から離される。また、第1の射出コア型54はさらに上昇されて一次成形体60から離される。そして、一次成形体60はネック型56に保持された状態で図示を省略する回転手段によってネック型56ごと回転されて、第2のキャビティ型72の上方に配置される。
【0024】
第2の工程S2では、第2の射出コア型74および第2のキャビティ型72に対して一次成形体60を保持するネック型56を型締めすることで、第2のキャビティ型72、第2の射出コア型74およびネック型56で構成される第2の金型70に一次成形体60を収容する。そして、第2の金型70が形成するキャビティ内のうちの、一次成形体60の胴部66の第2の部分予定部66bおよび第3の部分予定部66c並びに底部68の外側に第2のゲート78を介してバージン材を射出する。バージン材のキャビティ内への充填が完了したところで、所定時間第2の金型70の型締めを維持し、その後開放することで、一次成形体60と、その胴部66の第2の部分予定部66bおよび第3の部分予定部66c並びに底部68の外側に形成された二次成形体80と、を含むプリフォーム10を成形する。
【0025】
なお、本実施形態では、前のプリフォーム10の第2の工程S2の間に、次のプリフォーム10の第1の工程S1が実施される。また、第2のキャビティ型72や第2の射出コア型74にも、二次成形体80および一次成形体60を冷却させる冷却媒体が流れる回路が設けられ、その冷却媒体は、例えば約5℃~約20℃の範囲内で適宜設定される。なお、第1の金型50と第2の金型70とで冷却媒体の温度、つまり、冷却強度を異ならせても良い(例えば、第1の金型50より第2の金型70の冷却媒体の温度を低く設定する。)。さらに、第2の金型70でも、第2のキャビティ型72と第2の射出コア型74とで冷却強度を変えても構わない(例えば、第2の射出コア型55より第2のキャビティ型72の冷却媒体の温度を低く設定する。)。
【0026】
第1の工程S1および第2の工程S2では、プリフォーム10に含まれるリサイクル材の、プリフォーム10に含まれるバージン材に対する重量比が2以上となるように、一次成形体60および二次成形体80を成形する。第2の工程では、プリフォーム10の胴部16および底部18の厚みが均一になるように二次成形体を射出成形する。本実施形態において、一次成形体の第2の部分予定部66b、第3の部分予定部66cおよび底部68の厚みは、二次成形体の厚みと略同一である。一次成形体のこれらの部分(66b、66c、68)の厚みと二次成形体の厚みとの比は、特に限定されるものではないが、例えば、一次成形体のこれらの部分(66b、66c、68)の厚み:二次成形体の厚み=1:2~5:1としてもよく、特に1:1~3:1に設定されると好ましい。また、一次成形体60の第1の部分予定部66a、第2の部分予定部66bおよび第3の部分予定部66cは、それぞれプリフォーム10の第1の部分16a、第2の部分16bおよび第3の部分16cの少なくとも一部を構成する。すなわち、一次成形体60の第3の部分予定部66cと、その外側に形成された二次成形体80とは、プリフォーム10から成形される二重壁容器30の内壁34の開口38側の部分および外壁32の開口38側の部分32aに対応する(図2参照)。
【0027】
次に図5図7を参照して、二重壁容器30の製造方法について説明する。図5は、二重壁容器30の製造工程を示すフローチャートである。図6は、後述する中間成形品のブロー成形の態様を表す図である。図7は、二重壁容器30を成形する押圧工程の態様を表す図である。図5に示すように、本実施形態の二重壁容器30の製造方法は、ブロー工程S3と、押圧工程S4と、を含む。ブロー工程S3は、プリフォーム10を延伸ブローすることにより中間成形品を成形する工程である。押圧工程S4は、中間成形品を押圧して、二重壁容器30を成形する工程である。
【0028】
ここで、図6を参照してブロー工程S3を説明する。ブロー工程S3では、ブローネック型92に保持されたプリフォーム10(図示省略)を、ブローキャビティ型94、ブロー底型96および延伸ロッド98を少なくとも含むブロー成形ユニット90に収容し、プリフォーム10を延伸ロッド98で延伸させつつ、ブロー媒体でブローして中間成形品100を成形する。なお、押圧ロッド96aをブロー底型に設けても良い。ブロー媒体としては、空気等の気体を用いることができる。また、水などの液体を用いてもよく、気体と液体との混合媒体を用いてもよい。
【0029】
ブロー工程S3で成形される中間成形品100は、二重壁容器30の内壁34に対応する内壁対応部104と、二重壁容器30の外壁32に対応する外壁対応部102と、二重壁容器30の内底36に対応する内底対応部106と、を有する。内底対応部106は、内壁対応部104と連なるように構成されている。内壁対応部104は外壁対応部102と連なるように構成されている。内壁対応部104および内底対応部106は、外壁対応部102から膨出するように形成されている。
【0030】
外壁対応部102の内底対応部106側の部分102a、内壁対応部104および内底対応部106は、リサイクル材で構成される内層112およびバージン材で構成される外層114により構成される二層構造を備える。リサイクル材およびバージン材はプリフォーム10において説明したものと同一の材料である。外壁対応部102の内底対応部106側の部分102a以外の部分102bは、リサイクル材で構成される。部分102bと前記二層構造における内層112は連続しており、同一の材料で構成されている。前述のプリフォーム10の第3の部分16cは、中間成形品100の内壁対応部104の外壁対応部102側の部分および外壁対応部102の内底対応部106側の部分102aに対応する。
【0031】
続いて、図7を参照して押圧工程S4を説明する。押圧工程S4では、ブロー工程S3で成形された中間成形品100の内底対応部106をブロー成形ユニット90内で押圧して、外壁対応部102から膨出するように形成された内壁対応部104を外壁対応部102の内側まで反転させて、二重壁容器30を成形する。具体的にはブロー底型96が備える昇降可能に構成された押圧ロッド96aを上昇させることで、内底対応部106を押圧する。この際延伸ロッド98を併せて上昇させても良く、またあらかじめ延伸ロッド98を上昇させておいても良い。以上により、二重壁容器30が成形される。なお、押圧工程S4は、ブロー成形ユニット90内で行わなくても構わない。例えば、ブロー成形部の下流側に設けた反転部や取出し部で実施したり、製造装置から中間成形品100を取り出した後に別の機構(装置)により実施したりしても構わない。
【0032】
図8および図9は、製造装置においてブロー成形部の下流側に設けた反転部や取出し部、または、製造装置とは別の装置(押圧装置)で実施される、押圧工程S4の別の態様を示す図である。押圧工程S4では、内壁対応部104と内底対応部106が軟化状態で外壁対応部102が固化状態である中間成形品100を収容金型310に収容して(図8)、凸状押圧金型330を収容金型310側に移動させ、内底対応部106を収容金型310の収容凹部311内に押し込んで、内壁対応部104を外壁対応部102の内側まで反転させてもよい(図9)。なお、凸状押圧金型330を収容金型310側に移動させる前、外壁対応部102を収容金型310の収容凹部311に嵌入させた状態で、内壁対応部104と外壁対応部102の境界部を、収容凹部311の開口側に位置する収容金型310の平面(上面)と収容凹部311に対して移動可能なリング状金型の平面(下面)とにより、位置不動に保持(押圧)させてもよい。凸状押圧金型330は、先端に向けてテーパー形状となる円筒形状の金型である。凸状押圧金型330は収容金型310の収容凹部311に移動されたときに、収容凹部311に接触しない大きさとされる。この方法では、凸状押圧金型330の外形が、二重壁容器30の内壁34の外形として転写される。
【0033】
ここで、中間成形品100または二重壁容器30の製造装置の一例を説明する。当該製造装置としては、プリフォームを射出成形する第1の射出成形部と第2の射出成形部、成形されたプリフォーム10をブロー適温に温調する温調部、温調されたプリフォーム10をブローすることで中間成形品100または二重壁容器30を成形するブロー成形部、および成形された中間成形品100または二重壁容器30を取り出すための取出部を少なくとも備える、5から6ステーション式の製造装置(ブロー成形装置)が挙げられる(日本国特開昭55-111236号参照)。中間成形品100が取出部で製造装置から取り出される場合、製造装置の下流側に、製造装置の一部として別の機構(押圧機構)が設けられる。射出成形部及びブロー成形部の態様としては、それぞれプリフォーム10の製造方法及び二重壁容器30の製造方法において説明した態様(図4図6図7図8および図9)の構成が採用される。当該製造装置は、ホットパリソン式の樹脂製容器の製造装置であって、プリフォーム10及び中間成形品100または二重壁容器30の製造を連続的に実施する。
【0034】
図10は、6ステーション式の製造装置の一例を示す図である。図10に示す6ステーション式の製造装置350は、第1の射出装置362からリサイクル材を射出し一次成形体を射出成形する第1の射出成形部352と、第1の射出成形部352で形成された一次成形体を温調する第1の温調部354と、第1の温調部354で温調された一次成形体の外側に第2の射出装置363からバージン材を射出し二次成形体を射出成形する第2の射出成形部353と、成形されたプリフォーム10をブロー適温に温調する第2の温調部355と、温調されたプリフォーム10をブローすることで中間成形品100または二重壁容器30を成形するブロー成形部356と、成形された中間成形品100または二重壁容器30を取り出すための取出部358と、を備える。製造装置350において、プリフォーム10および中間成形品100または二重壁容器30は回転盤等で構成される搬送装置370によって図示する矢印の方向に搬送される。中間成形品100が取出部358で製造装置350から取り出される場合、製造装置350の下流側に、製造装置の一部として別の機構(押圧機構)が設けられる。
【0035】
図11は、6ステーション式の製造装置を採用した場合の中間成形品または二重壁容器の製造方法のフローを示す図である。図10に示す6ステーション式の製造装置350により実施される中間成形品または二重壁容器の製造方法は、リサイクル材を射出し一次成形体を射出成形する第1の射出成形工程S31と、第1の射出成形工程S31で形成された一次成形体を温調する第1の温調工程S32と、第1の温調工程S32で温調された一次成形体の外側にバージン材を射出し二次成形体を射出成形する第2の射出成形工程S33と、成形されたプリフォーム10をブロー適温に温調する第2の温調工程S34と、温調されたプリフォーム10をブローすることで中間成形品100または二重壁容器30を成形するブロー成形工程S35と、を備える。ブロー成形工程S35は、上述のブロー工程を少なくとも含む。上述の押圧工程は、ブロー成形工程S35で実施されるのが望ましいが、下流側に設けた反転部や取出部で実施したり、製造装置350から中間成形品100を取り出した後に別の機構により実施したりしても構わない
【0036】
ところで、プラスチックの3Rの取り組みが国際的に活発化する中、例えば、洗剤用/トナー用合成樹脂製容器(非食品系容器)は、使用済容器を粉砕し得られたフレーク材や再生ペレット材とバージン材とのブレンド材が利用され、製造されることが多い。一方、食品/飲料/医薬品用合成樹脂製容器(食品系容器)は衛生面に優れることが要求されるため、リサイクル材の利用はあまり進展していない。
【0037】
ここで、樹脂製容器の中には、胴部を内外二重壁の構成とし、内壁と外壁との間に適度な空間を形成させることで断熱作用(保冷保温作用)を得るカップ式のものが存在する。当該容器においてもリサイクル材を積極的に活用すべきであるところ、使用時の衛生面で優れつつリサイクル材を利用可能にしたものは現状開発されていない。
【0038】
本発明者らは、リサイクル材を多く利用しつつも使用時の衛生に優れる樹脂製容器を鋭意検討した。その結果、特定のプリフォームによって二重壁容器を製造することにより、リサイクル材の使用比率が大きくても使用時の衛生面で優れる二重壁容器を形成できることを見出した。すなわち、ネック部14および胴部16の第1の部分16aがリサイクル材で構成され、胴部16の第2の部分16bおよび第3の部分16c並びに底部18が、リサイクル材で構成される内層22およびバージン材で構成される外層24により構成される二層構造を備える、上記のプリフォーム10によれば、成形される二重壁容器30の内壁34および内底36の容器内側表面および使用者の唇が接触する外壁32の一部の容器外側表面を含む部分をバージン材で構成することができ、当該容器を衛生面で優れたものとすることができ、かつリサイクル材を高い割合で利用することができる。
【0039】
また、上記のプリフォーム10は、ネック部14および胴部16の第1の部分16aをリサイクル材で構成し、胴部16の第2の部分16bおよび第3の部分16c並びに底部18の一部もリサイクル材で構成することで、リサイクル材をバージン材に対して2以上の重量比で利用することができ、高い割合でリサイクル材を利用することができている。
【0040】
また、上記のプリフォーム10の製造方法では、第1の工程S1において、胴部66の第2の部分予定部66bおよび第3の部分予定部66c並びに底部68の厚みを胴部66の第1の部分予定部66aの厚みよりも薄い一次成形体60を射出成形して、第2の工程S2において、一次成形体60の胴部66の第2の部分予定部66bおよび第3の部分予定部66c並びに底部68の外側に二次成形体80を形成して、プリフォーム10を形成している。当該製造方法により製造されるプリフォーム10では、上記で説明したように、成形される二重壁容器30の内壁34および内底36の容器内側表面および使用者の唇が接触する外壁32の一部の容器外側表面を含む部分をバージン材で構成することができ、当該容器を衛生面で優れたものとすることができ、かつリサイクル材を高い割合で利用することができる。
【0041】
また、上記のプリフォーム10の製造方法では、プリフォーム10の胴部16および底部18の厚みが均一になるように二次成形体80を射出成形することで、生産性良く二重壁容器30を形成することができるプリフォーム10を提供できる。
【0042】
また、上記の二重壁容器30は、外壁32の開口38側の部分32a、内壁34および内底36がリサイクル材で構成される内層42およびバージン材で構成される外層44により構成される二層構造を備え、外壁32の開口38側の部分32a以外の部分32bがリサイクル材で構成されることで、二重壁容器30の内壁34および内底36の容器内側表面および使用者の唇が接触する外壁32の一部の容器外側表面を含む部分をバージン材で構成することができ、当該容器を衛生面で優れたものとすることができ、かつリサイクル材を高い割合で利用することができる。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0044】
例えば、上記の実施形態において、バージン材およびリサイクル材はPP樹脂を母材とする態様を説明したが、材料がこれに限定されるものではない。ただし、耐熱性に優れる合成樹脂材料を採用すると好ましい。なお、耐熱性が優れている材料であれば、リサイクル材とバージン材とがそれぞれ異なるベース樹脂材料で構成されていても良い。
【0045】
例えば、上記の実施形態の二重壁容器30の縁部33として、内壁34の開口38側の内径と同じ大きさの内径を有し、かつ外壁32の開口38側の外径と同じ大きさの外径を有するものを説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、外壁32の開口38側の外径よりも大きい外径を有する、フランジ形状の縁部としてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態において同一のブロー成形ユニット90内でブロー工程S3および押圧工程S4を実施する態様を説明したが、本発明はこの態様に限定されない。ブロー工程S3を一つの成形ユニットで行って中間成形品100を成形し、別の成形ユニットに中間成形品100を移動して押圧工程S4を実施する態様としても良い。この場合、必要に応じて、押圧工程S4にて中間成形品100の押圧反転が可能な状態となるように、中間成形品100を温調する。なお、同一のブロー成形ユニット90内でブロー工程S3および押圧工程S4を実施する場合は工程数を削減することができ好ましい。
【0047】
また、上記の実施形態において5~6ステーション式の二重壁容器30の製造装置を説明したが、本発明はこの態様に限定されない。別の製造装置で製造されたプリフォーム10から二重壁容器30を成形するブロー成形部で構成される製造装置であってもよい。また、少なくとも射出成形部およびブロー成形部を備える製造装置としてもよい。
【0048】
以下、上述した実施形態およびその変形から抽出される態様を列記する。
[1]
開口部と、前記開口部と連なるネック部と、前記ネック部と連なる胴部と、前記胴部と連なる底部と、を備える樹脂製のプリフォームであって、
前記胴部は、前記ネック部側の第1の部分、前記底部側の第2の部分および前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分を備え、
前記ネック部および前記胴部の前記第1の部分は、リサイクル材で構成され、
前記胴部の前記第2の部分および前記第3の部分並びに前記底部は、リサイクル材で構成される内層およびバージン材で構成される外層により構成される二層構造を備える、プリフォーム。
[2]
プリフォームに含まれるリサイクル材の、プリフォームに含まれるバージン材に対する重量比は2以上である、[1]に記載のプリフォーム。
[3]
外壁と、前記外壁と連なる内壁と、前記内壁と連なる内底と、を有する二重壁容器を成形するためのプリフォームであって、前記第3の部分は前記二重壁容器の前記内壁の少なくとも一部および前記外壁の少なくとも一部に対応する、[1]または[2]に記載のプリフォーム。
[4]
第1の金型にリサイクル材を射出し一次成形体を射出成形する第1の工程と、
第2の金型に前記一次成形体を収容して、バージン材を射出し二次成形体を射出成形する第2の工程と、を含む、前記一次成形体および前記二次成形体を含む樹脂製のプリフォームの製造方法であって、
前記第1の工程において射出成形される前記一次成形体は、開口部と、前記開口部と連なるネック部と、前記ネック部と連なる胴部と、前記胴部と連なる底部と、を備え、
前記胴部は、前記ネック部側の第1の部分予定部、前記底部側の第2の部分予定部および前記第1の部分予定部と前記第2の部分予定部との間の第3の部分予定部を備え、
前記胴部の前記第2の部分予定部および前記第3の部分予定部並びに前記底部の厚みは、前記第1の部分予定部の厚みよりも薄く、
前記第2の工程において射出成形される前記二次成形体は、前記一次成形体の前記胴部の前記第2の部分予定部および前記第3の部分予定部並びに前記底部の外側に形成される、プリフォームの製造方法。
[5]
前記第1の工程で射出される前記リサイクル材の、前記第2の工程で射出される前記バージン材に対する重量比は2以上である、[4]に記載のプリフォームの製造方法。
[6]
前記第2の工程において、プリフォームの胴部および底部の厚みが均一になるように前記二次成形体を射出成形する、[4]または[5]に記載のプリフォームの製造方法。
[7]
外壁と、前記外壁と連なる内壁と、前記内壁と連なる内底と、を有する二重壁容器を成形するためのプリフォームの製造方法であって、前記一次成形体の前記第3の部分予定部およびその外側に形成された前記二次成形体は前記二重壁容器の前記内壁の少なくとも一部および前記外壁の少なくとも一部に対応する、[4]~[6]のいずれかに記載のプリフォームの製造方法。
[8]
外壁と、前記外壁と連なる内壁と、前記内壁と連なる内底と、前記内壁を挟んで前記内底と反対側に設けられた開口と、を有する樹脂製の二重壁容器であって、
前記外壁の前記開口側の部分、前記内壁および前記内底は、リサイクル材で構成される内層およびバージン材で構成される外層により構成される二層構造を備え、
前記外壁における前記開口側の部分以外の部分は、リサイクル材で構成されており、
前記内壁および前記内底の前記外層は、前記二重壁容器に収容される内容物が接触するように構成されている、二重壁容器。
[9]
二重壁容器に含まれるリサイクル材の、二重壁容器に含まれるバージン材に対する重量比は2以上である、[8]に記載の二重壁容器。
[10]
開口部と、前記開口部と連なるネック部と、前記ネック部と連なる胴部と、前記胴部と連なる底部と、を備える樹脂製のプリフォームを延伸ブローすることにより中間成形品を成形するブロー工程と、
前記中間成形品を押圧して、外壁と、前記外壁と連なる内壁と、前記内壁と連なる内底と、前記内壁を挟んで前記内底と反対側に設けられた開口と、を有する樹脂製の二重壁容器を成形する押圧工程と、を含む、二重壁容器の製造方法であって、
前記中間成形品は、前記内壁に対応する内壁対応部と、前記外壁に対応する外壁対応部と、前記内底に対応する内底対応部と、を有し、
前記内壁対応部および前記内底対応部は、前記外壁対応部から膨出するように形成され、
前記押圧工程において、前記外壁対応部から膨出するように形成された前記内壁対応部が前記外壁対応部の内側まで反転するように、前記内底対応部を押圧することで前記二重壁容器を成形し、
前記プリフォームの前記胴部は、前記ネック部側の第1の部分、前記底部側の第2の部分および前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分を備え、
前記ネック部および前記胴部の前記第1の部分は、リサイクル材で構成され、
前記胴部の前記第2の部分および前記第3の部分並びに前記底部は、リサイクル材で構成される内層およびバージン材で構成される外層により構成される二層構造を備える、二重壁容器の製造方法。
[11]
前記第3の部分は前記二重壁容器の前記内壁の少なくとも一部および前記外壁の少なくとも一部に対応する、[10]に記載の二重壁容器の製造方法。
【0049】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本願は、2019年6月28日付で出願された日本国特許出願(特願2019-121122)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【符号の説明】
【0050】
10:プリフォーム、12:開口部、14:ネック部、16:胴部、16a:第1の部分、16b:第2の部分、16c:第3の部分、18:底部、22:内層、24:外層、30:二重壁容器、32:外壁、34:内壁、36:内底、38:開口、42:内層、44:外層、50:第1の金型、52:第1のキャビティ型、54:第1の射出コア型、56:ネック型、58:第1のゲート、60:一次成形体、70:第2の金型、72:第2のキャビティ型、74:第2の射出コア型、78:第2のゲート、80:二次成形体、90:ブロー成形ユニット、100:中間成形品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11