(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】毛髪の沈着システム
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20240826BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240826BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240826BHJP
A61K 8/892 20060101ALI20240826BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20240826BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/34
A61K8/891
A61K8/892
A61K8/898
A61Q5/12
(21)【出願番号】P 2021535073
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2019086032
(87)【国際公開番号】W WO2020127542
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ,コリン・クリフトファー・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ロンロン
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-533704(JP,A)
【文献】Conditioner, Creightons, 2016年10月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.10.24], インターネット<URL:http://www.gnpd.com>, ID:4317989
【文献】Accelerator Conditioner, Botica Comercial Farmaceutica, 2017年9月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.10.24], インターネット<URL:http://www.gnpd.com>, ID:5062001
【文献】Supreme Shine Conditioner, Botica Comercial Farmaceutica, 2017年11月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.10.24], インターネット<URL:http://www.gnpd.com>, ID:5248497
【文献】Conditioner, L'Occitane, 2018年4月, Mintel GNPD [online], [検索日 2023.10.24], インターネット<URL:http://www.gnpd.com>, ID:5580633
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアトリートメント組成物であって、
a)下記i)およびii)を含むコンディショニングベース
i)16から32の炭素原子を有するカチオン性コンディショニング界面活性剤、
ii)8から22の炭素原子を有する脂肪アルコール、および
b)0.1から10
重量%のコンディショニングシリコーン
を含み、さらに、
c)分枝した飽和鎖を含むジエステルクワット、分枝していない不飽和鎖を含むジエステルクワット、及びそれらの混合物から選択されるジエステルクワットを0.1から5重量%含み、b)対c)の重量比は1:1から1:0.1である、ヘアトリートメント組成物。
【請求項2】
ジエステルクワットがC16からC18の炭素鎖長を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ジエステルクワットがビスイソステアロイルイソプロピルジモニウムメトスルフェート、ビスオレオイルイソプロピルジモニウムメトスルフェートおよびそれらの混合物から選択される、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
b)対c)の
重量比が1:0.25から1:0.4である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ジエステルクワットが、組成物の全重量に基づいて0.5から1.2重量%の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリコーンが、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に規定する組成物を毛髪に塗布する工程を含む、毛髪を処置する方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物中における、ビスイソステアロイルイソプロピルジモニウムメトスルフェート、ビスオレオイルイソプロピルジモニウムメトスルフェート及びこれらの混合物から選択される
ジエステルクワットの毛髪上にシリコーンを沈着させるための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ジエステルクワットを含有するヘアトリートメント組成物、および毛髪表面上にシリコーンを沈着させるためのこれらの組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景と先行技術
米国特許出願公開第2016081907号(Evonik)は、カルボマーまたは他のポリマーの添加により長期間安定に製造される液体エステルクワットおよび/またはイミダゾリニウム塩を含有する毛髪製剤を開示している。米国特許出願公開第2016083333号は、ケラチン繊維を化粧品で処理するための混合エステルクワットを含有する化粧品配合物を開示している。
【0003】
独国特許出願公開第102015223028号(Henkel)は、化粧品担体中に、a)全組成物の重量に基づいて0.01~20.0重量%の量の少なくとも1つの特定のエステルコート、およびb)0.01~20.0重量%の量のa)とは別の少なくとも1つのカチオン性および/またはカチオン化可能な化合物を含む、ケラチン繊維を処理するための化粧品組成物を開示している。
【0004】
現在では、シリコン含有ヘアトリートメントベースと特定のエステルクワットを組み合わせることで、シリコーンの髪への沈着が改善されることがわかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2016081907号
【文献】米国特許出願公開第2016083333号
【文献】独国特許出願公開第102015223028号
【発明の概要】
【0006】
発明の定義
第一の態様において、本発明は、以下を含むヘアトリートメント組成物を提供する:
a) 下記i)およびii)を含むコンディショニングベース:
i) 16から32の炭素原子を有するカチオン性コンディショニング界面活性剤;
ii) 8~22個の炭素原子を有する脂肪アルコール;および
b) 0.1~10重量%のコンディショニングシリコーン。
ここで、該組成物はさらに
(c)分枝した飽和鎖を含むジエステルクワット、分枝していない不飽和鎖を含むジエステルクワット、およびそれらの混合物を含むジエステルクワットから選択される0.1~5重量%のジエステルクワットを含み、
b)対c)の重量比は1:1から1:0.1である。
【0007】
第2の態様では、本発明は、毛髪に本発明の第1の態様の組成物を塗布する工程を含む、毛髪を処置する方法を提供する。
【0008】
第3の態様では、本発明は、分岐した飽和鎖を含むジエステルクワット、分岐していない不飽和鎖を含むジエステルクワット、およびそれらの混合物を含むジエステルクワットから選択されるジエステルクワットの毛髪上にシリコーンを沈着させるための使用を提供する。
【0009】
発明の一般的説明
【0010】
該カチオン性コンディショニング界面活性剤
コンディショナー組成物は、カチオン性コンディショニング界面活性剤を含み、これは美容的に許容可能であり、毛髪への局所適用に適している。
【0011】
好ましくは、カチオン性コンディショニング界面活性剤は、式N+(R1)(R2)(R3)(R4)[式中、R1、R2、R3およびR4は、独立して(C1からC30)アルキルまたはベンジルである]を有する。
【0012】
好ましくは、R1、R2、R3およびR4の1つ、2つまたは3つは、独立して(C4-C30)アルキルであり、他のR1、R2、R3およびR4基は、(C1-C6)アルキルまたはベンジルである。
【0013】
より好ましくは、R1、R2、R3およびR4の1つまたは2つは、独立して(C6-C30)アルキルであり、他のR1、R2、R3およびR4基は、(C1-C6)アルキルまたはベンジル基である。任意に、アルキル基は、アルキル鎖内の1つ以上のエステル(-OCO-または-COO-)および/またはエーテル(-O-)結合を含み得る。アルキル基を1つ以上のヒドロキシル基で置換してもよい。アルキル基は直鎖または分枝鎖であってもよく、3個以上の炭素原子を有するアルキル基については環状であってもよい。アルキル基は飽和であってもよいし、一つ以上の炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい(例えば、オレイル)。アルキル基は、アルキル鎖上で任意に1つ以上のエチレンオキシ基でエトキシル化される。
【0014】
本発明によるコンディショナー組成物に使用する適切なカチオン性コンディショニング界面活性剤は、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(BTAC)、塩化ベフェニルトリメチルアンモニウム(BTMS)、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルジメチルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化タロウトリメチルアンモニウム、塩化二水素化(dihydrogenated)タロウジメチルアンモニウム(例えばAkzo NobelからのArquad 2HT/75)、塩化ココトリメチルアンモニウム、PEG-2-オレアンモニウムクロリドおよびそれらの対応するヒドロキシドが挙げられる。さらなる適切なカチオン性界面活性剤としては、CTFA命名、クオタニウム-5、クオタニウム-31およびクオタニウム-18を有する材料が挙げられる。上記材料のいずれかの混合物も適当であり得る。本発明によるコンディショナーでの使用のために特に有用なカチオン性界面活性剤は、市販の、例えばHoechst CelaneseからのGENAMIN CTACのような、塩化セチルトリメチルアンモニウムである。本発明によるコンディショナーでの使用のための別の特に有用なカチオン性界面活性剤は、市販の、例えばClariantからのGENAMIN KDMPのような、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムである。好ましくは、カチオン性界面活性剤は、塩化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化ベフェニルトリメチルアンモニウム、最も好ましくは塩化ベフェニルトリメチルアンモニウムから選択される。
【0015】
単独で、または1つ以上の他のカチオン性界面活性剤と共に、本発明に使用するのに適したカチオン性界面活性剤のクラスの別の例は、以下の(i)および(ii)の組合せである:
(i)一般式(II)に対応するアミドアミン:
R1CONH(CH2)mN(R2)R3 (II)
[式中、R1は、10個以上の原子を有するヒドロカルビル鎖であり、R2及びR3は、1~10個の原子を有するヒドロカルビル鎖から独立に選択され、mは、1~約10の整数である。]
および
(ii)酸。
【0016】
本明細書中で使用される、用語「ヒドロカルビル鎖」は、アルキルまたはアルケニル鎖を意味する。
【0017】
好ましいアミドアミン化合物は式(I)に対応するものであって、R1は、約11~約24個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基であり、R2及びR3はそれぞれ独立してヒドロカルビル残基であり、好ましくは1~約4個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1~約4個の整数である。
【0018】
好ましくは、R2およびR3はメチル基またはエチル基である。
好ましくは、mは2または3、すなわちエチレン基またはプロピレン基である。
【0019】
本明細書中で有用な好ましいアミドアミンには、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミトエチルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン、およびこれらの混合物が含まれる。
本明細書において有用な特に好ましいアミドアミンは、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、およびそれらの混合物である。
【0020】
本明細書で有用な市販のアミドアミンには、Inolex (Philadelphia Pennsylvania, USA)から入手可能な商標名LEXAMINE S-13を有するステアラミドプロピルジメチルアミン、およびNikko (Tokyo, Japan)から入手可能な商標名AMIDOAMINE MSP、Nikkoから入手可能な商標名AMIDOAMINEを有するステアラミドエチルジエチルアミン、Croda (North Humberside, England)から入手可能な商標名INCROMINE BBを有するベフェナミドプロピルジメチルアミン、ならびにScher (Clifton New Jersey, USA)から入手可能な商標名SCHERCODINEシリーズを有する種々のアミドアミンが含まれる。
【0021】
酸は、コンディショナー組成物中においてアミドアミンをプロトン化することができる任意の有機またはミネラル酸である。本明細書で有用な適切な酸としては、塩酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、酸は酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸、乳酸およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0022】
この酸の主な役割は、ヘアトリートメント組成物中のアミドアミンをプロトン化し、それによりヘアトリートメント組成物中にin situで第三アミン塩(TAS)を形成することである。効果的なTASは非永久的な第四級アンモニウムまたは擬似第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である。
【0023】
適切には、酸は、存在するアミドアミンの95モル%(293K)を超えてプロトン化するのに十分な量で含まれている。
【0024】
本発明に使用するコンディショナーにおいて、カチオン性コンディショニング界面活性剤のレベルは、組成物の全重量に基づいて、カチオン性コンディショニング界面活性剤の全重量が、一般に、0.01~10%、より好ましくは0.05~7.5%の範囲であり、最も好ましくはにより0.1~5%である。
【0025】
脂肪アルコール
本発明の組成物は、C8からC22までの炭素-炭素鎖長を有する脂肪アルコールを含む。
【0026】
コンディショニング組成物における脂肪アルコールおよびカチオン性界面活性剤の組み合わせ使用は、これがラメラ相の形成をもたらし、その中にカチオン性界面活性剤が分散されるので好ましい。
【0027】
脂肪アルコールは、8~22個の炭素原子、好ましくは16~22個、最も好ましくはC16~C18個を含む。脂肪アルコールは典型的には直鎖アルキル基を含む化合物である。好ましくは、アルキル基は飽和である。好ましい脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物が挙げられる。これらの材料の使用はまた、本発明で使用するための組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与する点で有利である。
【0028】
本発明に使用するコンディショナー中の脂肪アルコールのレベルは、一般的に組成物の重量の0.01~10%、好ましくは0.1~8%、より好ましくは0.2~7%の範囲となり、最も好ましくは0.3~6%である。
【0029】
カチオン性界面活性剤対脂肪アルコールの重量比は、1:1~1:10が適当であり、好ましくは1:1.5~1:8が適当であり、1:2~1:5が適当である。脂肪アルコールに対するカチオン性界面活性剤の重量比が高すぎると、この組成物から眼の刺激性につながる可能性がある。低すぎると、消費者の中には、髪がきしむような感じになることがあります。
【0030】
シリコーン
本発明の組成物は、コンディショニング性能を高めるために、シリコーンコンディショニング剤の乳化小滴を含むことができる。
適切なシリコーンには、ポリジオルガノシロキサン、特に、ジメチコンというCTFA名称を有するポリジメチルシロキサンが含まれる。また、本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)の使用に適するものは、ジメチコノールというCTFA名を有するヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンである。また、本発明の組成物における使用に適しているのは、例えば国際公開96/31188号に記載されているように、わずかな架橋度を有するシリコーンガムである。好ましくは、シリコーンはジメチコン、ジメチコール、アモジメチコンおよびそれらの混合物からなる群より選択される。また、ジメチコンとアミノ官能化シリコーンの混合物が好ましい。
【0031】
エマルション化シリコーンそのものの粘度(エマルジョンまたは最終的なヘアコンディショニング組成ではない)は、典型的には25℃で少なくとも10,000 cstであり、シリコーン自身の粘度は、好ましくは少なくとも60,000 cst、最も好ましくは少なくとも500,000 cst、理想的には少なくとも1,000,000 cstである。製剤化の容易性から、粘性が109 cst以下であることが望ましい。
【0032】
本発明のシャンプー組成物に使用する乳化シリコーンは、典型的には、30未満、好ましくは20未満、好ましくは10ミクロン未満、理想的には0.01から1ミクロンの組成のD90シリコン液滴サイズを有するであろう。平均シリコーン小滴サイズ(D50)が0.15ミクロンのシリコーン乳剤は、一般にマイクロエマルションと呼ばれる。
【0033】
シリコーン粒子径は、レーザ光散乱技術、例えば、Malvern Instruments社の2600D Particle Sizerを用いて測定することができる。
適切な既成エマルションの例としては、Dow Corning社から入手可能なXiameter MEM 1785およびマイクロエマルションDC2-1865が挙げられる。これらはジメチコノールのエマルション/マイクロエマルションである。架橋シリコーンガムもプレエマルション型で入手可能であり、これは製剤化の容易さにおいて有利である。
【0034】
本発明のシャンプーおよびコンディショナーに含有するための更に好ましいクラスのシリコーンは、アミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」とは、少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミン基、または第四級アンモニウム基を含むシリコーンを意味し、適当なアミノ官能性シリコーンの例としては、「アモジメチコン」というCTFA名を有するポリシロキサンが挙げられる。好ましいアモジメチコンは、DC 7134としてDow Corningから市販されている。
本発明で使用するのに適したアミノ官能性シリコーンの具体例は、アミノシリコン油DC2-8220、DC2-8166およびDC2-8566(すべてex Dow Corning)である。
【0035】
適切な第四級シリコーンポリマーは、EP-A-530 974に記載されている。好ましい四級シリコーンポリマーはK3474、例えば、Goldschmidtである。
【0036】
また、適当なのは、非イオン性および/またはカチオン性界面活性剤を有するアミノ官能性シリコーン油のエマルションである。
【0037】
アミノ官能性シリコーンのあらかじめ形成されたエマルジョンは、ダウンコーニングおよびジェネラルエレクトリックなどのシリコンオイルの供給業者からも入手可能である。具体的な例としては、DC939カチオン性エマルションおよび非イオン性エマルションDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177およびDC2-8154(すべて例えばダウコーニング)が挙げられる。
【0038】
シリコーンの総量は、組成物全体の0.1wt%~10wt%が好ましく、0.1wt%~5wt%がより好ましく、0.5wt%~3wt%が最も好ましいレベルである。
【0039】
ジエステルクワット
成分iv)として、本発明の組成物は、分岐した飽和鎖を含むジエステルクワット、分岐していない不飽和鎖を含むジエステルクワット、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのエステルクワットを含む。
【0040】
ジエステルクワットはC16~C18の炭素鎖長をもつ。
【0041】
好ましくは、ジエステルクワットは、ビスイソステアロイルイソプロピルジモニウムメトスルフェート、ビスオレオイルイソプロピルジモニウムメトスルフェートおよびそれらの混合物から選択される。
【0042】
非常に好ましい化合物は、ビス(イソステアロイル/オレオイルイソプロピル)ジモニウムメトスルフェートという名称を持ち、INCIの命名法によりQuaternium-98と命名されている;これは、ビスイソステアロイルイソプロピルジモニウムメトスルフェートとビスオレオイルイソプロピルジモニウムメトスルフェートの混合物であり、エボニックからVarisoft(登録商標)EQ 100という名称で市販されている。
【0043】
エステルクワットは、本発明の組成物中に、組成物の全重量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.5~1.5、さらにより好ましくは0.5~1.2、最も好ましくは0.6~1重量%の量で存在する。
【0044】
シリコン(b)とジエステルクワット(c)の重量比は1:1から1:0.1、好ましくは1:0.2から1:0.4であり、最も好ましくは1:0.25から1:0.4である。
【0045】
更なる成分
本発明による組成物は、コンディショニング組成物に共通な多数の成分のいずれかを含み得る。
【0046】
他の成分には、粘度改良剤、保存剤、着色剤、グリセリンおよびポリプロピレングリコールのようなポリオール、EDTAのようなキレート剤、酢酸ビタミンEのような抗酸化剤、芳香剤、抗菌剤およびサンスクリーンが含まれ得る。これらの成分はそれぞれ、その目的を達成するのに有効な量が存在するであろう。一般に、これらの任意成分は、組成物全体の約5重量%までのレベルで個々に含まれる。
【0047】
好ましくは、本発明の組成物は、ヘアケアに適したアジュバントも含む。一般に、そのような成分は、最大2%、好ましくは全組成の1重量%までのレベルで個別に含まれる。
【0048】
適切なヘアケアアジュバントは以下のとおりである。
(i)アミノ酸や糖などの天然の毛根栄養素。適当なアミノ酸の例としては、アルギニン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、セリンおよびバリン、および/またはそれらの前駆体および誘導体が挙げられる。アミノ酸は、単独で、混合して、またはペプチド、例えばジ-およびトリペプチドの形態で添加され得る。アミノ酸はまた、ケラチンまたはコラーゲン加水分解物のようなタンパク質加水分解物の形で加えてもよい。適当な糖はグルコース、デキストロース及びフルクトースである。これらは単独で、または果実抽出物のような形で添加される。
【0049】
(ii)毛髪繊維利益剤。例えば、
- 繊維の水分上昇とキューティクルの完全性を維持するためのセラミド。セラミドは天然源からの抽出、あるいは合成セラミドやプソイドセラミドとして利用できる。好ましいセラミドはCeramide II、例えば、Questである。セラミドLSなどのセラミドの混合物、例えば、Laboratoires Serobiologiquesも適当であろう。
- クチクラの修復と損傷予防のための遊離脂肪酸。例えば、18-メチルエイコサン酸などの分岐鎖脂肪酸およびこの系列の他の相同体、ステアリン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸などの直鎖脂肪酸、ならびにオレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸などの不飽和脂肪酸である。好ましい脂肪酸はオレイン酸である。脂肪酸は、単独で、混合物として、またはラノリンなどの抽出物に由来する混合物の形態で添加することができる。
【0050】
上記のいずれかの有効成分の混合物を使用してもよい。
【0051】
第2の局面において、第1の局面によるコンディショニング組成物の製造方法が提供される。この方法は、カチオン性界面活性剤および脂肪物質を含むコンディショニングゲル相を形成し、これとは別に疎水性変性ポリマーの溶液を形成することを含み、該疎水性変性ポリマーの溶液は、カチオン性界面活性剤と共に形成してもよく、このカチオン性界面活性剤が存在する場合には、最初に水に添加することを特徴とする。
【0052】
次いで、2つの混合物は、残りの成分がコンディショニング組成物を形成するために添加される前に、互いに添加される。
【0053】
好ましくは、余分な成分は香料、増粘剤および保存剤を含む。
【0054】
本発明は、ここで、以下の非限定的実施例によって例示される。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0055】
実施例
本発明は、ここで、以下の非限定的実施例によって例示される。
【0056】
実施例1:シリコーン沈着分析前のヘアトリートメント用組成物
3種類の毛髪質改良剤を用いて、シリコーン分析の沈着前に毛髪を処理した。組成Bは本発明に従うが、組成AおよびCは比較組成物である。組成を表1に示す。
【0057】
【0058】
脂肪アルコールにカチオン性界面活性剤を添加し、85℃で撹拌することによって組成物を作製した。この混合物を、混合物温度が60℃になるように、典型的には55℃で水に徐々に添加した。この温度を撹拌しながら30分間維持した。その後、より多くの水、および他の周囲温度成分を加え、必要であれば外部冷却を用いて混合物を周囲に向かって冷却し、撹拌した。
【0059】
実施例2:組成物A、B、およびCによる毛髪の処理、および本発明に従ったシリコン沈着測定
使用した毛髪は、重量5g、長さ6インチのスイッチで、暗褐色のヨーロッパの毛であった。
【0060】
毛髪は以下のように組成A、BおよびCで処理した。
毛髪は、まず以下の方法を用いて洗浄用シャンプーで処理した。
毛髪線維を流水下で30秒間保持し、毛髪1gあたりシャンプー0.1mlの用量でシャンプーを塗布し、毛髪に30秒間擦り込んだ。流水下で30秒間保持し、シャンプー期を繰り返すことで余分な石鹸泡を除去した。流水下で毛髪を30秒間リンスした。
【0061】
次いで、以下の方法を用いて、コンディショナーAまたはBまたはCで湿毛を処理した。
【0062】
毛髪1gあたりコンディショナー0.2gの用量でコンディショナーを湿毛に適用し、毛髪に1分間マッサージした。毛髪を流水下で1分間洗浄し、過剰な水分を除去した。毛髪は室温で一晩乾燥させた。
【0063】
各コンディショナーについて5つの複製ヘアスイッチを用意した。その後、毛髪を切断して40mmプラスチックリングに取り付け、毛髪へのシリコーン沈着をX線蛍光分析計(XRF)を用いてインターテックマンチェスターにより測定し、適切な標準で校正した。
【0064】
コンディショナーA、BおよびCで処理したヘアスイッチ上で測定したシリコーン沈着を表2に示す。
【0065】
【0066】
コンディショナーA、BおよびCで処理された毛髪に対するシリコーン沈着が認められる。コンディショナーBはより多くのシリコーン沈着を示し、これは本発明による製剤中のジエステルクワット(Varisoft EQ100)に関連している。コンディショナーAとCは、これほど多くのシリコーンを沈着させることができない。