(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】導波管内の全内部反射を助長するための空気ポケット構造
(51)【国際特許分類】
G02B 6/122 20060101AFI20240826BHJP
G02B 6/132 20060101ALI20240826BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240826BHJP
G02B 6/00 20060101ALN20240826BHJP
【FI】
G02B6/122 311
G02B6/132
G02B27/02 Z
G02B6/00 301
(21)【出願番号】P 2021535716
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 US2019067919
(87)【国際公開番号】W WO2020132484
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-17
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デン, シャオペイ
(72)【発明者】
【氏名】シン, ビクラムジト
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, シューチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, カン
(72)【発明者】
【氏名】ピ, ナイ-ウェン
(72)【発明者】
【氏名】シュー, フランク ワイ.
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-021853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0063802(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0074457(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0205838(US,A1)
【文献】特表2009-541808(JP,A)
【文献】特開2007-311777(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043625(WO,A1)
【文献】特表2018-513414(JP,A)
【文献】特開2016-085426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0044572(US,A1)
【文献】特開2008-268873(JP,A)
【文献】特開2012-008356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0218301(US,A1)
【文献】国際公開第2018/166921(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/203201(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0132914(US,A1)
【文献】特表2017-535825(JP,A)
【文献】特開2016-126134(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0122648(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0217395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムを製造する方法であって、
前面側および後面側を有する高屈折率透明材料の導波管と固体ポロゲン材料と選択透明材料のキャップ層とを含むスタックを形成することによって、前記キャップ層を前記導波管に固着させることであって、複数の空洞が、前記キャップ層と前記導波管との間に画定され、前記空洞が、隆起形成物と交互になっており、前記固体ポロゲン材料が、各空洞の中にあ
り、前記空洞および前記隆起形成物が、前記導波管に平行な平面に沿って位置している、ことと、
前記固体ポロゲン材料を、前記固体ポロゲン材料が各空洞の中で犠牲ガスに変わる分解温度まで加熱することと、
同時に、前記空洞から前記犠牲ガスを除去することであって、前記キャップ層の選択材料は、多孔性であり、前記犠牲ガスは、前記キャップ層の選択材料を通してガス放出する、ことと、
同時に、各空洞の中で前記固体ポロゲン材料を気体に置換することと
を含み、
前記同時に、各空洞の中で前記固体ポロゲン材料を前記気体に置換することで、周囲光源が、前記導波管の前面側において位置する場合、周囲光のビームが、前記キャップ層の選択透明材料の中、
前記気体を保持する前記空洞の中、および前記導波管の高屈折率透明材料の中を透過し、投影光のビームが、前記導波管に導入される場合、前記投影光のビームが、前記空洞によって画定される前記導波管の壁で反射することによって前記導波管の内部を透過するよう
な構成に
する、方法。
【請求項2】
前記キャップ層は、前記周囲光源と前記導波管の前面側との間に位置する前面キャップ層であり、前記周囲光のビームは、順次、前記前面キャップ層の選択透明材料を通して、前記気体を保持する前記空洞を通して、および前記導波管の高屈折率透明材料の中に透過する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前面キャップ層の選択透明材料は、前記導波管の前面表面による前記周囲光の吸光を増加させ、前記導波管の前面表面による前記周囲光の反射を低減させる反射防止材料である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記高屈折率透明材料は、高屈折率ガラス、高屈折率ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、および炭化ケイ素のうちの1つである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記高屈折率透明材料は、少なくとも1.74の屈折率を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記気体は、1.3未満の屈折率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記気体は、1の屈折率を伴う空気である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記固体ポロゲン材料は、120℃~230℃の分解温度において分解する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記キャップ層は、少なくとも12nmの厚さを有するSiOxから作製され、xは変数である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記導波管の前面側を、複数の陥凹と、複数の隆起形成物とを有するように形成することであって、各隆起形成物が、前記陥凹のうちの2つの間に位置する、ことと、
前記空洞の個別のものが、前記キャップ層の第2の部分の個別のもの、および前記導波管の前面側における前記陥凹の個別のものによって画定されるように、前記キャップ層の第1の部分の間に位置する前記キャップ層の第2の部分が、前記陥凹にわたって位置する状態で、前記キャップ層の第1の部分を前記隆起形成物を用いて支持することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
各陥凹は、奥行と、幅とを有し、前記幅は、300ミクロン未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記陥凹は、前記前面側においてインプリントされる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記導波管の前面側上に透明層を共形に堆積させること
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記キャップ層は、前記周囲光源と前記導波管の前記前面側との間に位置する前面キャップ層であり、前記空洞は、前記前面キャップ層と前記導波管の前面側との間の前面空洞であり、
選択透明材料の後面キャップ層を前記導波管に固着させることであって、周囲光源が、前記導波管の前面側において位置する場合、周囲光のビームが、前記導波管の高屈折率透明材料の中、気体を保持する後面空洞の中、および前記後面キャップ層の選択透明材料の中を透過するように、前記気体が前記後面空洞の中にある状態で、前記後面空洞が、前記後面キャップ層と前記導波管の後面との間に画定される、こと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記キャップ層は、第1のキャップ層であり、前記選択透明材料は、第1の選択透明材料であり、
第2の選択透明材料の第2のキャップ層を前記第1のキャップ層に固着させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のキャップ層は、前記第1のキャップ層より堅い、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記キャップ層の選択透明材料のうちの少なくとも1つは、前記導波管の前面表面による前記周囲光の吸光を増加させ、前記導波管の前面表面による前記周囲光の反射を低減させる反射防止材料である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
大きさが変わる屈折率を有するキャップ層のスタックを形成すること
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記キャップ層は、1.45の屈折率を有するSiOxと、2.2~2.3の屈折率を有するTiOxとから作製され、xは変数である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
光学システムであって、
前面側および後面側を有する高屈折率透明材料の導波管と、
前記導波管に固着される選択透明材料のキャップ層であって、複数の空洞が、前記キャップ層と前記導波管との間に画定され、前記空洞が、隆起形成物と交互になって
おり、前記空洞および前記隆起形成物が、前記導波管に平行な平面に沿って位置している、キャップ層と、
前記空洞の中の気体であって、前記空洞の中の気体は、周囲光源が、前記導波管の前面側において位置する場合、周囲光のビームが、前記キャップ層の選択透明材料の中、前記気体を保持する前記空洞の中、および前記導波管の高屈折率透明材料の中を透過し、投影光のビームが、前記導波管に導入される場合、前記投影光のビームが、前記空洞によって画定される前記導波管の壁で反射するようなものである、前記空洞の中の気体と
を備える、光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全てが参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2018年12月21日に出願された、米国仮特許出願第62/783,778号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、光学システムおよび光学システムを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現代のコンピューティングおよび表示技術は、いわゆる「仮想現実」視認デバイスの開発を促進している。そのような視認デバイスは、通常、ユーザの頭部に搭載可能である、フレームを有し、頻繁に、視認者の各眼の正面に1つずつの、2つの導波管を含む。導波管は、物体からの周囲光が、導波管を通して透過し得、ユーザに物体が見え得るように、透明である。各導波管はまた、プロジェクタから投影される光をユーザの個別の眼に透過する役割も果たす。投影された光は、眼の網膜上に画像を形成する。眼の網膜は、したがって、周囲光および投影された光を受光する。ユーザには、実物体と、投影された光によって生成される画像とが、同時に見える。
【0004】
投影された光は、通常、導波管の縁上の導波管に入射し、次いで、導波管内で反射し、次いで、導波管から、導波管の瞳を通してユーザの眼に向かって出射する。全内部反射(TIR)は、投影された光の導波管から外への損失が存在せず、100パーセントの投影された光がユーザの眼に到達する、理想的な状況である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、選択透明材料のキャップ層を、前面側と、後面側とを有する、高屈折率透明材料の導波管に固着させることであって、周囲光源が、導波管の前面側において位置する場合、周囲光のビームが、キャップ層の選択透明材料の中、光ガスを保持する空洞の中、および導波管の高屈折率透明材料の中を透過するように、空洞が、光ガスが空洞の中にある状態で、キャップ層と導波管との間に画定される、ことを含む、光学システムを製造する方法を提供する。
【0006】
本発明はまた、前面側と、後面側とを有する、高屈折率透明材料の導波管と、前記導波管に固着される、選択透明材料のキャップ層であって、空洞が、前記キャップ層と前記導波管との間に画定される、キャップ層と、周囲光源が、導波管の前面側において位置する場合、周囲光のビームが、キャップ層の選択透明材料の中、光ガスを保持する空洞の中、および導波管の高屈折率透明材料の中を透過するような、空洞の中の光ガスとを含む、光学システムを提供する。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
光学システムを製造する方法であって、
選択透明材料のキャップ層を、前面側と、後面側とを有する高屈折率透明材料の導波管に固着させることであって、周囲光源が、前記導波管の前面側において位置する場合、周囲光のビームが、前記キャップ層の選択透明材料の中、光ガスを保持する空洞の中、および前記導波管の高屈折率透明材料の中を透過するように、空洞が、光ガスが前記空洞の中にある状態で、前記キャップ層と前記導波管との間に画定される、こと
を含む、方法。
(項目2)
前記キャップ層は、前記周囲光源と前記導波管の前面側との間に位置する前面キャップ層であり、前記周囲光のビームは、順次、前記前面キャップ層の選択透明材料を通して、前記光ガスを保持する前記空洞を通して、および前記導波管の高屈折率透明材料の中に透過する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記前面キャップ層の選択透明材料は、前記導波管の前面表面による前記周囲光の吸光を増加させ、前記導波管の前面表面による前記周囲光の反射を低減させる反射防止材料である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記高屈折率材料は、高屈折率ガラス、高屈折率ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、および炭化ケイ素のうちの1つである、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記高屈折率材料は、少なくとも1.74の屈折率を有する、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記光ガスは、1.3未満の屈折率を有する、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記光ガスは、1の屈折率を伴う空気である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記導波管と、固体ポロゲン材料と、前記キャップ層とを含むスタックを形成することと、
前記ポロゲン材料を前記光ガスに置換することと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記ポロゲン材料は、
前記ポロゲン材料を、前記ポロゲン材料が犠牲ガスに変わる分解温度まで加熱することと、
前記空洞から前記犠牲ガスを除去することと
を行うことによって除去される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記キャップ層の選択材料は、多孔性であり、前記犠牲ガスは、前記キャップ層の選択材料を通してガス放出する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記ポロゲン材料は、120℃~230℃の分解温度において分解する、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記キャップ層は、少なくとも12nmの厚さを有するSiOxから作製され、xは変数である、項目10に記載の方法。
(項目13)
複数の空洞は、前記キャップ層と前記導波管との間に画定され、光ガスが、各個別の空洞の中にある、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記導波管の前面側を、複数の陥凹と、複数の隆起形成物とを有するように形成することであって、各隆起形成物が、前記陥凹のうちの2つの間に位置する、ことと、
前記空洞の個別のものが、前記キャップ層の第2の部分の個別のもの、および前記導波管の前面側における前記陥凹の個別のものによって画定されるように、前記キャップ層の第1の部分の間に位置する前記キャップ層の第2の部分が、前記陥凹にわたって位置する状態で、前記キャップ層の第1の部分を前記隆起形成物を用いて支持することと
をさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
各陥凹は、奥行と、幅とを有し、前記幅は、300ミクロン未満である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記陥凹は、前記前面側においてインプリントされる、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記導波管の前面側において共形層を形成することであって、前記共形層は、透明材料から作製される、こと
をさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記キャップ層は、前記周囲光源と前記導波管の前記前面側との間に位置する前面キャップ層であり、前記空洞は、前記前面キャップ層と前記導波管の前面側との間の前面空洞であり、
選択透明材料の後面キャップ層を前記導波管に固着させることであって、周囲光源が、前記導波管の前面側において位置する場合、前記周囲光のビームが、前記導波管の高屈折率透明材料の中、前記光ガスを保持する後面空洞の中、および前記後面キャップ層の選択透明材料の中を透過するように、光ガスが前記後面空洞の中にある状態で、後面空洞が、前記後面キャップ層と前記導波管の後面との間に画定される、こと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記キャップ層は、第1のキャップ層であり、前記選択透明材料は、第1の選択透明材料であり、
第2の選択透明材料の第2のキャップ層を前記第1のキャップ層に固着させること
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記第2のキャップ層は、前記第1のキャップ層より堅い、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記キャップ層の選択透明材料のうちの少なくとも1つは、前記導波管の前面表面による前記周囲光の吸光を増加させ、前記導波管の前面表面による前記周囲光の反射を低減させる反射防止材料である、項目19に記載の方法。
(項目22)
大きさが変わる屈折率を有するキャップ層のスタックを形成すること
をさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記キャップ層は、1.45の屈折率を有するSiOxと、2.2~2.3の屈折率を有するTiOxとから作製され、xは変数である、項目22に記載の方法。
(項目24)
光学システムであって、
前面側と、後面側とを有する高屈折率透明材料の導波管と、
前記導波管に固着される選択透明材料のキャップ層であって、空洞が、前記キャップ層と前記導波管との間に画定される、キャップ層と、
前記空洞の中の光ガスであって、前記空洞の中の光ガスは、周囲光源が、前記導波管の前面側において位置する場合、前記周囲光のビームが、前記キャップ層の選択透明材料の中、前記光ガスを保持する前記空洞の中、および前記導波管の高屈折率透明材料の中を透過するようなものである、前記空洞の中の光ガスと
を備える、光学システム。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明はさらに、付随の図面を参照して、実施例として説明される。
【0008】
【
図1A】
図1Aは、高屈折率透明材料の導波管の断面側面図である。
【0009】
【
図1B】
図1Bは、導波管が、前面側および後面側において複数の陥凹と、隆起形成物とを有するようにパターン化された後の、
図1Aに類似する図である。
【0010】
【
図1C】
図1Cは、陥凹が、スピンプロセスにおいて固体ポロゲン材料で充填された後の、
図1Bに類似する図である。
【0011】
【
図1D】
図1Dは、第1の前面キャップ層が、前面側において形成され、第1の後面キャップ層が、後面側において形成された後の、
図1Cに類似する図である。
【0012】
【
図1E】
図1Eは、構造が、加熱され、固体ポロゲン材料を除去し、固体ポロゲン材料を空気に置換した後の、
図1Dに類似する図である。
【0013】
【
図1F】
図1Fは、さらなるキャップ層が、第1の前面および第1の後面キャップ層上に形成され、光学システムの加工を完成させた後の、
図1Eに類似する図である。
【0014】
【0015】
【
図1H】
図1Hは、パターン化された層が、フォトレジスト材料から形成される、本発明の代替実施形態による、光学システムの断面側面図である。
【0016】
【
図2】
図2は、周囲光の吸光を助長するためにナノ構造を有する、本発明の代替実施形態による、光学システムの断面側面図である。
【0017】
【
図3】
図3は、可変の特徴高または可変のデューティサイクルを有するナノ構造を伴う、
図1Fに類似する断面側面図である。
【0018】
【
図4】
図4は、可変の特徴高または可変のデューティサイクルを伴うナノ構造を有する、
図2に類似する断面側面図である。
【0019】
【
図5】
図5は、異なる層の中に空気ポケットを有する、光学システムの断面側面図である。
【0020】
【
図6A】
図6Aは、単一のコーティングを伴う、走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0021】
【
図6B】
図6Bは、多層コーティングで覆われる空気ポケットのSEM画像である。
【0022】
【
図7A】
図7Aは、酸化ケイ素層で覆われ、次いで、光学ポリマーでスピンコーティングされた、空気ポケットの断面側面図である。
【0023】
【0024】
【
図8】
図8は、実験測定からの0°透過グラフである。
【0025】
【
図9】
図9は、シミュレーションの目的のために使用される、モデルである。
【0026】
【
図10A】
図10Aは、シミュレーションのための、いかなるコーティングも伴わない、導波管の側面図である。
【0027】
【
図10B】
図10Bは、シミュレーションのための、光学ポリマーコーティングを伴う、導波管の側面図である。
【0028】
【
図10C】
図10Cは、シミュレーションのための、空気ポケットを伴う、導波管の側面図である。
【0029】
【
図10D】
図10Dは、シミュレーションのための、空隙の代わりにポリマーを伴う、導波管の側面図である。
【0030】
【
図11】
図11は、シミュレーションからの透過データを示す、グラフである。
【0031】
【
図12】
図12は、シミュレーションからのユーザ側回折効率を示す、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
光学システムおよび光学システムを作製するための方法が、説明される。陥凹が、導波管の前面側および後面側において形成される。固体ポロゲン材料が、前面側および後面側においてスピンされ、陥凹を充填する。第1の前面および後面キャップ層が、次いで、導波管の隆起形成物および固体ポロゲン材料上に形成される。構造全体が、次いで、加熱され、固体ポロゲン材料は、ポロゲンガスに分解する。第1の前面および後面キャップ層は、多孔性であり、ポロゲンガスが逃散すること、および空気が陥凹の中に進入することを可能にする。空気は、導波管の高屈折率透明材料と空気との間の屈折率の差を最大限にし、導波管と空気との間の界面からの導波管の中での反射を助長する。第2の前面および後面キャップ層が、それぞれ、第1の前面および後面キャップ層上に形成され、さらなる前面および後面キャップ層が、次いで、第2の前面および後面キャップ層上に形成される。キャップ層は、キャップ層を通した導波管の中への周囲光の吸光を助長する、屈折率を有する。
【0033】
図1A-1Fは、本発明のある実施形態による、光学システムを製造する方法を図示する。
【0034】
図1Aは、後続の加工のための一次基板としての役割を果たす、導波管20を図示する。導波管20は、高屈折率透明材料から作製される。概して、導波管20の屈折率は、少なくとも1.5であると考えられる。本実施形態では、導波管20は、1.73の屈折率を有する高屈折率ガラスから作製される。別の実施形態では、導波管は、2.0を上回る屈折率を有する、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、または炭化ケイ素から作製されてもよい。高屈折率透明材料は、最終製品の中の視野を最大にするため、好ましい。
【0035】
導波管20は、前面側および後面側22および24を有する。前面側および後面側22および24は、3mm未満の厚さ26だけ、相互から離間される。前面側および後面側22および24はそれぞれ、50~70mmの幅28と、50~70mmの紙の中への奥行とを有する。前面側および後面側22および24は、相互に平行な平面である、平面状表面である。導波管20の材料は、前面側および後面側22および24が、導波管20の材料内での微小亀裂または光学的歪みの形成を伴わずに22℃の室温において、または50℃の中程度に高い温度において形成されることを可能にするために十分に軟質である。
【0036】
図1Bは、前面側および後面側22および24が成形された後の導波管20を図示する。前面側22は、複数の陥凹30と、複数の隆起形成物32とを有するように成形され、各隆起形成物32は、陥凹30のうちの2つの間に位置する。陥凹30の側壁34が、隆起形成物32の側壁を形成する。隆起形成物32は、同一の平面内にある、外側表面36を有する。陥凹30は、同一の平面内にあり、外側表面36の平面に平行である、溝表面38を有する。各陥凹30は、10nm~500nmである、幅40を有する。後面側24は、複数の陥凹44と、複数の隆起形成物46とを有するように成形され、各隆起形成物46は、陥凹44のうちの2つの間に位置する。陥凹44の側壁48が、隆起形成物46の側壁を形成する。隆起形成物46は、同一の平面内にある、外側表面50を有する。陥凹44は、外側表面50の平面に平行である、同一の平面内にある、溝表面52を有する。各陥凹44は、10nm~500nmである、幅54を有する。
【0037】
前面側および後面側22および24は、陥凹30および44および隆起形成物32および46をインプリントするツールを用いて同時に成形される。ツールは、硬化金属から作製される、前面部と、後面部とを有する。前面部は、前面側22において生成される外形に相補的である、形状を有し、後面部は、後面側24において生成される形状に相補的である、形状を有する。導波管20は、前面部と後面部との間に挿入され、アクチュエータが、前面部および後面部を相互に向かって移動させる一方、その部の表面が、導波管20の前面側および後面側22および24において圧力を付与するために使用される。導波管20は、次いで、ツールから除去される。前面側および後面側22および24は、次いで、エッチングされる。エッチングプロセスは、溝表面38および52から微視的アーチファクトを除去し、溝表面38および52を平坦にする。
【0038】
外側表面36および50の間で測定されるような導波管20の厚さ58は、
図1Aの基板の厚さ26を上回り、溝表面38および52の間で測定されるような厚さ60は、厚さ26を下回る。導波管20は、200ミクロン~1nmの厚さを有する。各陥凹30または44は、10nm~500nmの奥行62を有する。
【0039】
図1Cは、ポロゲン(犠牲)材料が堆積された後の導波管20を図示する。ポロゲン材料は、導波管20の前面側22および後面側24においてスピンコーティングされてもよい。ポロゲン材料は、陥凹30および44を充填する。ポロゲン材料は、前面側22における陥凹30内に複数の分離されたポロゲン部分64と、後面側24における陥凹44内に複数の分離されたポロゲン部分66とを形成する。各ポロゲン部分64は、ポロゲン部分64の外側表面68が、隆起形成物32の外側表面36と同一平面状になるまで、個別の陥凹30を充填する。ポロゲン部分66は、ポロゲン部分66の外側表面70が、隆起形成物46の外側表面50と同一平面状になるまで、陥凹44を充填する。
【0040】
図1Dは、第1の前面キャップ層74および第1の後面キャップ層76が形成された後の、
図1Cの構造を図示する。キャップ層74および76は、例えば、化学蒸着プロセスにおいて形成されてもよい。
【0041】
第1の前面キャップ層74は、選択固体透明材料から作製される。第1の前面キャップ層74は、隆起形成物32の外側表面36およびポロゲン部分64の外側表面68の上に直接、形成される。第1の前面キャップ層74はまた、隆起形成物32の外側表面36に接着し、したがって、導波管20に固着される。
【0042】
第1の前面キャップ層74は、最終的に加工されたものとして示され、比較的に強力な固体材料から作製される。しかしながら、第1の前面キャップ層74は、その製造の間、最初は、薄く、不安定なフィルムである。そのような薄膜は、脆性であり、ポロゲン部分64の固体材料によって提供される支持がない状態では、圧潰するであろう。第1の前面キャップ層74は、より厚く成長し、最終的に、その構造的完全性のためにポロゲン部分64によって提供される支持に依拠しなくなるほど十分に厚くなるにつれて、より安定した状態になる。第1の前面キャップ層74は、隆起形成物32上に形成される複数の第1の部分80と、ポロゲン部分64上に形成される、複数の第2の部分82とを有する。
【0043】
同様に、第1の後面キャップ層76は、その初期の加工の間、支持のためにポロゲン部分66の固体材料に依拠するが、最終的に加工され、ポロゲン部分66を要求することなくそれ自体を支持するために好適である厚さを取得した後は、ポロゲン部分66の支持を要求しない。第1の後面キャップ層76は、隆起形成物46上に形成される、複数の第1の部分84と、ポロゲン部分66上に形成される、複数の第2の部分86とを有する。
【0044】
図1Eは、ポロゲン部分64および66が、除去され、個別の空洞88および90から退出した後の、
図1Dの構造を図示する。各空洞88および90は、除去されている個別のポロゲン部分と同一の寸法を有する。各空洞88および90は、空気の形態にある光ガスで充填される。
【0045】
ポロゲン部分64および66の固体ポロゲン材料は、導波管20、第1の前面キャップ層74、または第1の後面キャップ層76に損傷を引き起こさない温度において分解され得る、熱分解性材料または材料混合物である。
図1Dの構造全体が、固体ポロゲン材料をポロゲンガスに転換させる、分解温度まで加熱される。第1の前面キャップ層74および第1の後面キャップ層76の材料は、ポロゲンガスが、ポロゲンガスが空洞88および90から退出するように第1の前面キャップ層74および第1の後面キャップ層76を通して透過し、空気が、第1の前面キャップ層74および第1の後面キャップ層76を通して空洞88および90の中に透過することを可能にするために、十分に多孔性である。例えば、プロピレンカーボネート(PPC)は、明白な残留物を後に残すことなく、不活性雰囲気中または空気中で分解されることができる。概して、分解温度は、120℃~230℃であると考えられる。200℃~300℃の分解温度が、使用される場合、ポロゲン部分64および66は、短い時間量内で空気に置換されることができる。分解温度が、低下される必要がある場合、添加剤を添加すること、または焼成時間を延長させることが、可能性として考えられ得る。120℃~160℃の分解温度が、材料、フィルム厚、および焼成時間の好適な組み合わせを用いて可能性として考えられる。焼成温度および温度傾斜率が、有意な残留物が後に残されないように、かつポロゲンガスの放出率が、第1の前面キャップ層74および第1の後面キャップ層76に破裂、弛み、および亀裂等の損傷を引き起こさないために制御されるように、慎重に制御される必要がある。
【0046】
空洞88および90が、最終的に形成されると、第1の前面キャップ層74の第1の部分80および第1の後面キャップ層76が、隆起形成物32および46に固着され、それによって支持される。空洞88のうちのそれぞれ1つが、陥凹30のうちの個別のものの表面による、3つの側面において、および第1の前面キャップ層74の第2の部分82のうちの1つによる、第4の側面において、画定される。同様に、空洞90のうちのそれぞれ1つが、陥凹44の表面による、3つの側面において、および第1の後面キャップ層76の第2の部分86のうちの1つによる、第4の側面において、画定される。第1の前面キャップ層74および第1の後面キャップ層76の第2の部分82および86が、ポロゲン部分64および66によってそれ以上支持されないことに留意されたい。しかしながら、第1の前面キャップ層74および第1の後面キャップ層76は、依然として、隆起形成物32および46によって支持され、空洞88および90の幅40および54がそれぞれ、500nm未満であることを前提として、第1の前面キャップ層74および第1の後面キャップ層76の構造的完全性は、固体ポロゲン材料のガス放出の間、およびその後に留保されることができる。
【0047】
図1Fは、第2の前面キャップ層94が、第1の前面キャップ層74上に形成され、さらなる前面キャップ層96が、順次、第2の前面キャップ層94上に形成された後の、
図1Eの構造を図示する。第2の前面キャップ層94は、第1の前面キャップ層74に付加的な強度を提供する。より良好な接着のために、Valmat(R)またはTranSpin(R)等の接着助長剤が、第1および第2の前面キャップ層74および94の間、および第2の前面キャップ層94とさらなる前面キャップ層96との間で使用されることができる。
【0048】
第2の前面キャップ層94およびさらなる前面キャップ層96は、異なる選択透明材料から作製される。第1、第2、およびさらなる前面キャップ層74、94、および96の材料のうちの1つ以上のものが、光の吸光を助長し、光の反射を低減させる、屈折率を有するように選択される。実践的実施例では、第1の前面キャップ層74は、1.45の屈折率を有するSiOxから作製され、第2の前面キャップ層94は、2.2~2.3の屈折率を有するTiOxから作製され、第3の前面キャップ層は、SiOxから作製され、第4の前面キャップ層は、TiOxから作製される(「x」は、変数である)。
【0049】
図1Fはまた、第2の後面キャップ層98が、第1の後面キャップ層76上に形成され、さらなる後面キャップ層100が、順次、第2の後面キャップ層98上に形成された後の、
図1Eの構造を図示する。第2の後面キャップ層98は、第1の後面キャップ層76に付加的な強度を提供する。より良好な接着のために、Valmat(R)またはTranSpin(R)等の接着助長剤が、第1および第2の後面キャップ層76および98の間、および第2の後面キャップ層98とさらなる後面キャップ層100との間で使用されることができる。
【0050】
第2の後面キャップ層98およびさらなる後面キャップ層100は、異なる選択透明材料から作製される。第1、第2、およびさらなる後面キャップ層76、98、および100の材料のうちの1つ以上のものが、光の吸光を助長し、光の反射を低減させる、屈折率を有するように選択される。実践的実施例では、第1の後面キャップ層76は、1.45の屈折率を有するSiOxから作製され、第2の後面キャップ層98は、2.2~2.3の屈折率を有するTiOxから作製され、第3の後面キャップ層は、SiOxから作製され、第4の前面後面層は、TiOxから作製される(「x」は、変数である)。
【0051】
図1Gはさらに、周囲光源102およびプロジェクタ106を示す。周囲光源102は、例えば、周囲光を反射する物体であってもよい。周囲光は、ビーム104Aおよび104Bによって表わされる。各ビーム104Aおよび104Bは、環境空気を通して透過し、次いで、順次、前面キャップ層96、94、および74を通して、導波管20を通して、および後面キャップ層76、98、および100を通して通過する。隣接するキャップ層間の屈折率は、最小限にされ、周囲光の反射を最小限にし、導波管20の中への周囲光の吸光を助長する。ビーム104Aはまた、導波管20の後面側24における陥凹44のうちの1つの中の空気を通して通過する。ビーム104Bは、導波管20の前面側22における陥凹30のうちの1つの中の空気を通して通過する。
【0052】
プロジェクタ106は、ビーム104Cによって表わされる、投影光を発生させる。ビーム104Cは、導波管20の中に挿入される。ビーム104Cは、例えば、後面キャップ層100、98、および76を通して挿入されてもよく、それらの屈折率は、ビーム104Cの吸光を助長し、その反射を限定するように選択される。ビーム104Cは、前面側22における陥凹30のうちの1つに指向される。導波管20の屈折率と陥凹30の中の空気の屈折率との間の差異が、最大限にされ、ビーム104Cの反射を助長し、陥凹30の中の空気の中へのビーム104Cの透過を限定する。空気は、1の屈折率を有し、導波管20は、少なくとも1.74の屈折率を有してもよい。屈折率は、したがって、相互と、少なくとも0.74異なる。別の実施形態では、別の光ガスが、そのような光ガスが1.3未満の屈折率を有することを前提として、空気の代わりに使用され得る。理想的には、導波管20の材料と光ガスとの間の屈折率は、少なくとも0.50であるべきである。陥凹30のうちの1つの中の空気から反射される、ビーム104Cは、続いて、導波管20の後面側24における、陥凹44のうちの1つに透過する。ビーム104Cは、陥凹44の中の空気間の界面から、導波管20の前面側22における陥凹30のうちの別のものに向かって反射する。代替構造は、次いで、蒸発される、スピンコーティングされたパラベン材料にわたって、Si含有レジストを使用する、直接インプリントパターンであることができる。Si含有レジストは、プラズマ処理され、SiOxポリマー構造を形成することができる。
【0053】
空気界面の反射は、1)「透明」な接眼レンズを通した世界光の透過性全体を改良し、世界側物体をより鮮明に、かつより明るくし、2)起伏構造の溝対格子高さ間の屈折率差を維持し、機能導波管起伏構造を成す、格子の高回折効率を可能にし、3)接眼レンズから出射し、異なるレンズまたはスタックされた導波管界面から反射して戻る、光の反射からの残像アーチファクトを低減させ、4)回折からユーザのアイボックスの中への外光を低減させ、そうでなければナノ特徴およびフィルムスタックアーキテクチャがなければはるかにより強力である、レインボーディフェクトを生成する等、光学アーチファクトを変化させることによって、光学画質を有意に改良する。
【0054】
図1A-1Gは、反射防止キャップ構造を生成することの一実施例を図示する。反射防止性質はまた、代替の方法を使用して製造されることができる。
図1Hは、前面および後面パターン化層120および122が、導波管20の前面側および後面側において形成される、光学システムを図示する。層120および122は、従来のフォトリソグラフィ技法を使用してパターン化されてもよい、またはフォトリソグラフィを使用するパターニングのために好適である、ポリマーまたはフォトレジスト材料から作製される。付加的なエッチングステップは、要求されない。層は、次いで、それぞれ、前面および後面共形層124および126でコーティングされる。共形層は、無機SiOxから作製され、化学蒸着を使用して形成される。共形層124および126は、陥凹30および44を画定し、陥凹30および44は、前面および後面キャップ層74および76で被覆される。
【0055】
図2は、ナノパターニング110が、
図1Fに説明されるような複数のキャップ層の代わりに外部表面上で実行される、代替構造を図示する。ナノパターニング110は、周囲光の反射を低減させ、周囲光の吸光を助長する。
図2は、
図1Fにおいて使用される参照番号に類似する、参照番号を有し、同様の参照番号は、同様の、または類似する構成要素を示す。
【0056】
図3および4は、
図1Fおよび2に類似する。
図3および4に図示される光学システムは、可変の高さまたは「デューティサイクル」を伴う、導波管を有する。ポロゲン材料は、前述において説明されるようなスピンコーティング動作においてそのような構造に形成されることができる。
【0057】
図5は、異なる3次元ナノ構造スタックの異なる層を有する、さらなる光学システムを図示する。3次元ナノ構造スタックは、異なる導波管目的のために異なるように設計されることができる。キャップ層毎の種々の空間的および幾何学的構成を伴う材料組成、厚さ、およびナノパターニングは、層間で異なる、または同一であることができる。
【0058】
図6Aは、高屈折率ガラスの中のエッチングされた格子にわたってSiOxの単一の層で覆われた空気ポケットの走査電子顕微鏡(SEM)画像を図示する。
図6Bは、多層コーティングで覆われた空気ポケットSEM画像を示す。多層コーティングは、層毎に異なる厚さを伴う、SiOxとTiOxとの間で交互に入れ替わる。格子上の層の組成および厚さは、下から上に、20nmの多孔性SiOx、15nmのTiOx、65nmのSiOx、34nmのTiOx、18nmのSiOx、59nmのTiOx、97nmのSiOxである。空気ポケット構造の上の多層コーティングは、化学および/または物理蒸着、またはスピンコーティング、または異なるコーティング技法の組み合わせによって適用されることができる。
【0059】
図7Aおよび7Bは、最初にSiOx層で覆われ、次いで、屈折率1.31を伴う光学ポリマー(Chemours Company製Teflon AF1600)でスピンコーティングされた、空気ポケットを伴うサンプルを示す。空気ポケットは、ナノ構造化された格子面積の実効屈折率を低減させ、バルク基板から、表面格子面積、SiOxキャップ層、スピンコーティングされた光学ポリマー層、最後に、空気までの緩やかな屈折率変化をもたらした。本種類の緩やかな屈折率変化は、反射防止目的のために有益であり、周囲光の透過を有意に向上させることができる。
【0060】
図8は、透過が、
図7Aおよび7Bの空気ポケットおよびコーティングの組み合わせによって有意に増加されることを示す、実験測定からの0°透過グラフである。ナノ構造化された基板は、ここでは、表面格子を形成するようにエッチングされた、高屈折率ニオブ酸リチウム基板である。
【0061】
図9は、反射性質のシミュレーションの目的のために使用される、モデルを図示する。
図10A-10Dは、
図9の構造内でシミュレートされる、4つの異なる反射防止コーティングスタッキング構成を示す。
図10Aは、シミュレーションのための、いかなるコーティングも伴わない、導波管の側面図である。
図10Bは、シミュレーションのための、光学ポリマーコーティングを伴う、導波管の側面図である。
図10Cは、シミュレーションのための、空気ポケットを伴う、導波管の側面図である。
図10Dは、シミュレーションのための、空隙の代わりにポリマーを伴う、導波管の側面図である。
図11は、シミュレーションに基づく透過データを図示する、グラフである。
図12は、導波管のために高屈折率ニオブ酸リチウムを使用する、シミュレーションからのユーザ側回折効率を示す。シミュレートされた透過データに関して、直接スピンオンされた、低屈折率光学ポリマー(Chemours Company製AF2400、屈折率1.29)が、空気ポケットを伴う構成と比較して、透過を向上させることに類似の影響を及ぼすことが、見られ得る。しかしながら、単一のバウンス回折効率に関して、空気ポケット構成は、スピンオンされた低屈折率ポリマーのみを有する構成、またはPPCを伴うスタックが格子の溝を充填する構成より有意に良好である。シミュレーションは、回折効率が、低屈折率材料が溝を充填する状況より有意に高いが、依然として、いかなる反射防止コーティングが適用されていない状況より低いことを示す。効率をさらに高めるために、格子の幾何学形状は、それに応じて変更される必要がある。
【0062】
ある例示的実施形態が、説明され、付随の図面に示されているが、そのような実施形態が、例証的にすぎず、本発明を制限するものではないこと、および本発明が、修正が当業者に想起され得るため、示され、説明される具体的な構築物および配列に制限されるものではないことを理解されたい。