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特許7543276ポリエチレンコポリマー組成物及びそれらのバリア特性
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】ポリエチレンコポリマー組成物及びそれらのバリア特性
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20240826BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240826BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
C08L23/08
C08J5/18 CES
C08K5/098
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2021535906
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 IB2019060781
(87)【国際公開番号】W WO2020128753
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】3028157
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】513269848
【氏名又は名称】ノヴァ ケミカルズ(アンテルナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオチュアン
(72)【発明者】
【氏名】サロモンズ、スティーブン
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0079898(US,A1)
【文献】特表2019-529649(JP,A)
【文献】特表2005-505672(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0249083(US,A1)
【文献】特開2011-111579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/08
C08J 5/18
C08K 5/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンコポリマー組成物であって、
(1)0.1~10g/10分のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、0.930~0.960g/cmの密度を有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(2)50g/10分未満のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.970g/cm未満の密度を有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.031g/cm未満高く、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI よりも小さく、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、2.0よりも大きく、
ポリエチレンコポリマー組成物は、1.8~7.0の分子量分布M/M、少なくとも0.949g/cmの密度、少なくとも200g/10分の高負荷メルトインデックスI21、200,000未満のZ平均分子量M、40未満のメルトフロー比I21/I、1.40未満の応力指数を有する、ポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項2】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、5.0~40.0g/10分のメルトインデックスIを有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項3】
前記第2のエチレンコポリマーの密度が、前記第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.020g/cm未満大きい、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項4】
前記第1のエチレンコポリマーが、0.1~5.0g/10分のメルトインデックスI を有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項5】
前記第2のエチレンコポリマーが、10~50g/10分未満のメルトインデックスI を有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項6】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、250~750g/10分の高負荷メルトインデックスI21を有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項7】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される単峰性の分子量分布を有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項8】
前記第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と前記第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、少なくとも2.5である、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項9】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、1.8~4.0の分子量分布M/Mを有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項10】
前記第1のエチレンコポリマーが、0.936~0.952g/cmの密度を有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項11】
前記第2のエチレンコポリマーが、0.963g/cm未満の密度を有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項12】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、0.951~0.960g/cmの密度を有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項13】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、65重量%を超える組成分布幅指数CDBI(50)を有する、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項14】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、
20~55重量%の第1のエチレンコポリマー、及び
80~45重量%の第2のエチレンコポリマー
を含む、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項15】
前記第1及び第2のエチレンコポリマーが、エチレン及び1-オクテンのコポリマーである、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項16】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、核形成剤をさらに含む、請求項1に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項17】
前記核形成剤が、ジカルボン酸化合物の塩である、請求項16に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項18】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーの合計重量に基づいて、20~4000ppmの核形成剤を含む、請求項17に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のポリエチレンコポリマー組成物を含む射出成形品。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか一項に記載のポリエチレンコポリマー組成物を含む圧縮成形品。
【請求項21】
請求項1~18のいずれか一項に記載のポリエチレンコポリマー組成物を含むクロージャ。
【請求項22】
請求項1~18のいずれか一項に記載のポリエチレンコポリマー組成物を含むフィルム。
【請求項23】
請求項1~18のいずれか一項に記載のポリエチレンコポリマー組成物を含むキャストフィルム。
【請求項24】
ポリエチレンコポリマー組成物を調製するための方法であって、
ポリエチレンコポリマー組成物は、
(1)0.1~10g/10分のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、0.930~0.960g/cmの密度を有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(2)50g/10分未満のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.970g/cm未満の密度を有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.031g/cm未満高く、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI よりも小さく、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、2.0よりも大きく、
ポリエチレンコポリマー組成物は、1.8~7.0の分子量分布M/M、少なくとも0.949g/cmの密度、少なくとも200g/10分の高負荷メルトインデックスI21、200,000未満のZ平均分子量M、40未満のメルトフロー比I21/I、1.40未満の応力指数を有し、
少なくとも2つの重合反応器中で、溶液重合条件下で、少なくとも1つのシングルサイト重合触媒系をエチレン及び少なくとも1つのα-オレフィンと接触させる工程を含む、上記方法。
【請求項25】
少なくとも2つの重合反応器が、直列に構成された第1の反応器及び第2の反応器を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
1~100重量%のポリエチレンコポリマー組成物を含むポリマー組成物であって、
ポリエチレンコポリマー組成物は、
(1)0.1~10g/10分のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、0.930~0.960g/cmの密度を有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(2)50g/10分未満のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.970g/cm未満の密度を有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.031g/cm未満高く、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI よりも小さく、 第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、2.0よりも大きく、
ポリエチレンコポリマー組成物は、1.8~7.0の分子量分布M/M、少なくとも0.949g/cmの密度、少なくとも200g/10分の高負荷メルトインデックスI21、200,000未満のZ平均分子量M、40未満のメルトフロー比I21/I、1.40未満の応力指数を有する、
上記ポリマー組成物。
【請求項27】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、核形成剤をさらに含む、請求項26に記載のポリマー組成物。
【請求項28】
前記核形成剤が、ジカルボン酸化合物の塩である、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項29】
前記ポリエチレンコポリマー組成物が、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーの合計重量に基づいて、20~4000ppmの核形成剤を含む、請求項28に記載のポリマー組成物。
【請求項30】
PCO1881 CSDクロージャに作製される場合、0.0030[cm/クロージャ/日]未満のOTRを有する、請求項16に記載のポリエチレンコポリマー組成物。
【請求項31】
100[cm/100インチ/日]以下の正規化されたOTR(ただし、100インチ =6.4516m を有する、請求項16に記載のポリエチレンコポリマー組成物を含むフィルム。
【請求項32】
0.250[g/100インチ/日]以下の正規化されたWVTR(ただし、100インチ =6.4516m を有する、請求項16に記載のポリエチレンコポリマー組成物を含むフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、良好なバリア特性を有するフィルム又は成形品の製造に有用なポリエチレン組成物に関する。そのような物品には、例えば、キャストフィルム、又はボトル用の射出成形クロージャが含まれる。
【背景技術】
【0002】
選択された成分が比較的低分子量と比較的高分子量である2種類のエチレンホモポリマー成分を含むポリエチレン組成物を開発するための研究がなされてきた。二峰性の分子量分布プロファイルを有し得るこれらのエチレンホモポリマー組成物は、良好なバリア特性を有するフィルムの形成に有用に適用されてきた(例えば、米国特許第7,737,220号及び第9,587,093号、並びに米国特許出願公開第2008/0118749号、2009/0029182号及び2011/0143155号参照)。
【0003】
従来の知識は、所与の密度を有するポリエチレンのバリア特性(例えば、ガス又は水蒸気の透過速度)は、ポリエチレンコポリマー組成物と比較して、ポリエチレンホモポリマー組成物に対して優れているべきであることを示唆している。実際に、相対分子量と密度が異なる第1及び第2のエチレンコポリマーを含むポリエチレン組成物が、クロージャなどの成形用途に適用されている(米国特許第9,758,653号;第9,074,082号;第9,475,927号;第9,783,663号;第9,783,664号;第8,962,755号;第9,221,966号;第9,371,442号及び第8,022,143号参照)が、これまでのところ、このような樹脂のバリア特性にはあまり重点が置かれていない(例えば、WO2016/135590)。
【発明の概要】
【0004】
我々は、驚くべきことに、ポリエチレンコポリマー組成物が適切に設計されている場合、同等のポリエチレンホモポリマー組成物に近いバリア特性を有することができることを見出した。この新規なポリエチレンコポリマー組成物は、例えば、圧縮成形フィルム又は射出成形クロージャに作製された場合、良好なバリア特性を有する。
【0005】
本開示の一実施形態は、ポリエチレンコポリマー組成物であって、(1)0.1~10g/10分のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、0.930~0.960g/cmの密度を有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、(2)50g/10分未満のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.970g/cm未満の密度を有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーとを含み、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.031g/cm未満高く、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI よりも小さく、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、2.0よりも大きく、ポリエチレンコポリマー組成物は、1.8~7.0の分子量分布M/M、少なくとも0.949g/cmの密度、少なくとも200g/10分の高負荷メルトインデックスI21、200,000未満のZ平均分子量M、40未満のメルトフロー比I21/I、1.40未満の応力指数を有する、ポリエチレンコポリマー組成物である。
【0006】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、核形成剤、又は核形成剤の混合物をさらに含む。
【0007】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ジカルボン酸化合物の塩である核形成剤を含む。
【0008】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、20~4000ppmの核形成剤又は核形成剤の混合物を含む。
【0009】
本開示の一実施形態は、ポリエチレンコポリマー組成物を含む射出成形品である。
【0010】
本開示の一実施形態は、ポリエチレンコポリマー組成物を含む圧縮成形品である。
【0011】
本開示の一実施形態は、ポリエチレンコポリマー組成物を含むクロージャ(例えば、ボトル用のクロージャ)である。
【0012】
本開示の一実施形態は、ポリエチレンコポリマー組成物を含むフィルムである。
【0013】
本開示の一実施形態は、ポリエチレンコポリマー組成物を含むキャストフィルムである。
【0014】
本開示の一実施形態は、ポリエチレンコポリマー組成物であって、(1)0.1~10g/10分のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、0.930~0.960g/cmの密度を有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、(2)50g/10分未満のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.970g/cm未満の密度を有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーとを含み、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.031g/cm未満高く、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI よりも小さく、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、2.0よりも大きく、ポリエチレンコポリマー組成物は、1.8~7.0の分子量分布M/M、少なくとも0.949g/cmの密度、少なくとも200g/10分の高負荷メルトインデックスI21、200,000未満のZ平均分子量M、40未満のメルトフロー比I21/I、1.40未満の応力指数を有し、ポリエチレンコポリマー組成物は、少なくとも2つの重合反応器中で、溶液重合条件下で、少なくとも1つのシングルサイト重合触媒系をエチレンと接触させる工程を含むプロセスによって作製される、ポリエチレンコポリマー組成物である。
【0015】
本開示の一実施形態は、ポリエチレンコポリマー組成物を調製するための方法であって、ポリエチレンコポリマー組成物は、(1)0.1~10g/10分のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、0.930~0.960g/cmの密度を有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、(2)50g/10分未満のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.970g/cm未満の密度を有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーとを含み、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.031g/cm未満高く、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI よりも小さく、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、2.0よりも大きく、ポリエチレンコポリマー組成物は、1.8~7.0の分子量分布M/M、少なくとも0.949g/cmの密度、少なくとも200g/10分の高負荷メルトインデックスI21、200,000未満のZ平均分子量M、40未満のメルトフロー比I21/I、1.40未満の応力指数を有し、少なくとも2つの重合反応器中で、溶液重合条件下で、少なくとも1つのシングルサイト重合触媒系をエチレン及び少なくとも1つのα-オレフィンと接触させる工程を含む、上記方法である。
【0016】
本開示の一実施形態では、少なくとも2つの重合反応器は、直列に構成された第1の反応器及び第2の反応器を含む。
【0017】
本開示の一実施形態は、1~100重量%のポリエチレンコポリマー組成物を含むポリマー組成物であって、ポリエチレンコポリマー組成物は、(1)0.1~10g/10分のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、0.930~0.960g/cmの密度を有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、(2)50g/10分未満のメルトインデックスI 、3.0未満の分子量分布M/M、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.970g/cm未満の密度を有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーとを含み、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.031g/cm未満高く、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI よりも小さく、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、2.0よりも大きく、ポリエチレンコポリマー組成物は、1.8~7.0の分子量分布M/M、少なくとも0.949g/cmの密度、少なくとも200g/10分の高負荷メルトインデックスI21、200,000未満のZ平均分子量M、40未満のメルトフロー比I21/I、1.40未満の応力指数を有する、上記ポリマー組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示に従って作製されたポリエチレン組成物(例1~例3)の屈折率検出を用いたゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を示す。
【0019】
図2】有核ポリエチレン組成物(例1~例3)の密度に対する、本開示による当該有核ポリエチレン組成物(例1~例3)から作製された圧縮成形フィルムの酸素透過率(OTR)を示す。図2はまた、比較例の有核ポリエチレン組成物(例4、例5、例6、並びに例7及び例8)の密度に対する、当該比較例の有核ポリエチレン組成物(例4、例5、例6、並びに例7及び例8)から作製された圧縮成形フィルムの酸素透過率(OTR)を示す。
【0020】
図3】有核ポリエチレン組成物(例1~例3)の密度に対する、本開示による当該有核ポリエチレン組成物(例1~例3)から作製された圧縮成形フィルムの水蒸気透過率(WVTR)を示す。図3はまた、比較例の有核ポリエチレン組成物(例4、例5、例6、並びに例7及び例8)の密度に対する、当該比較例の有核ポリエチレン組成物(例4、例5、例6、並びに例7及び例8)から作製された圧縮成形フィルムの水蒸気透過率(WVTR)を示す。
【0021】
図4】有核ポリエチレン組成物(例1~例3)の密度に対する、本開示による当該有核ポリエチレン組成物(例1~例3)から作製された射出成形クロージャの酸素透過率(OTR)を示す。図4はまた、比較例の有核ポリエチレン組成物(例4、例5、例6、並びに例7及び例8)の密度に対する、当該比較例の有核ポリエチレン組成物(例4、例5、例6、並びに例7及び例8)から作製された射出成形クロージャの酸素透過率(OTR)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
「エチレンホモポリマー」若しくは「ポリエチレンホモポリマー」、又は「エチレンホモポリマー組成物」という用語は、当該ポリマーが重合プロセスの生成物であることを意味し、当該重合プロセスにおいて、エチレンのみが重合可能なオレフィンとして意図的に添加されたことを意味する。対照的に、「エチレンコポリマー」若しくは「ポリエチレンコポリマー」、又は「ポリエチレンコポリマー組成物」という用語は、当該ポリマーが重合プロセスの生成物であることを意味し、当該重合プロセスにおいて、エチレン及び1種以上のαオレフィンコモノマーが、重合可能なオレフィンとして意図的に添加されたことを意味する。
【0023】
「単峰性」という用語は、本明細書において、GPC曲線において明らかな1つの有意なピーク又は極大値のみが存在することを意味すると定義される。単峰性プロファイルは広範な単峰性プロファイルを含む。あるいは、「単峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線における単一の極大値の存在を意味する。対照的に、「二峰性」という用語は、より高い又はより低い分子量の成分を表すGPC曲線において明らかな二次ピーク又は肩が存在することを意味する(すなわち、分子量分布は、分子量分布曲線において2つの極大値を有すると言える)。あるいは、「二峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線における2つの極大値の存在を意味する。「多峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線における2つ以上の極大値の存在を意味する。
【0024】
本開示の一実施形態では、ポリマー組成物は、本明細書で定義されるように、1~100重量%のポリエチレンコポリマー組成物を含む。
【0025】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、2つの成分、(1)第1のエチレンコポリマーと、(2)第1のエチレンコポリマーとは異なる第2のエチレンコポリマーとを含む。
【0026】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、2つのポリマー成分、(1)第1のエチレンコポリマーと、(2)第1のコポリマーとは異なる第2のエチレンコポリマーのみを含む。
【0027】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、核形成剤をさらに含む。
【0028】
第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーは、以下でさらに定義される。
【0029】
<第1のエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、重合されたエチレンと少なくとも1つの重合されたα-オレフィンコモノマーとを含み、大部分の種が重合されたエチレンである。
【0030】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、シングルサイト重合触媒を使用して作製される。
【0031】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、液相重合プロセスにおいて、シングルサイト重合触媒を使用して作製される。
【0032】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中のコモノマー(すなわち、α-オレフィン)含量は、13C NMR、又はFTIR若しくはGPC-FTIR法で測定し、あるいは反応器モデルから計算すると(実施例の項を参照)、約0.05~約3.0モル%であり得る。コモノマーは、1種以上の適切なαオレフィンであり、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、αオレフィンは、1-オクテンである。
【0033】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり約0.10~約15個の短鎖分岐であり得る(SCB1/1000C)。本開示のさらなる実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり0.10~10、又は0.20~10、又は0.20~5、又は0.20~3、又は0.10~5、又は0.10~1、又は0.20~1個の分岐であり得る(SCB1/1000C)。短鎖分岐は、エチレンコポリマー中にα-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーについては2個の炭素原子、1-ヘキセンコモノマーについては4個の炭素原子、1-オクテンコモノマーについては6個の炭素原子を有する。コモノマーは、1種以上の適切なα-オレフィンであり、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、αオレフィンは、1-オクテンである。
【0034】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中のコモノマーは、1種以上のオレフィンであり、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどであるがこれらに限定されない。
【0035】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、エチレンと1-オクテンとのコポリマーである。
【0036】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、第2のエチレンコポリマーのコモノマー含量よりも多い(例えば、モル%で報告される)。
【0037】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量は、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量(ポリマー骨格中の炭素1000個(1000C)当たりの短鎖分岐(SCB)で報告される)よりも多い。
【0038】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI よりも小さい。
【0039】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、25.0g/10分以下、又は15.0g/10分以下、又は10.0g/10分以下、又は5.0g/10分以下のメルトインデックスI を有する。本開示の別の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.001~25.0g/10分未満のメルトインデックスI を有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、0.001~20.0g/10分、又は0.001~15.0g/10分、又は0.001~10.0g/10分、又は0.001~5.0g/10分、又は0.01~25.0g/10分、又は0.01~20.0g/10分、又は0.01~15.0g/10分、又は0.01~10.0g/10分、又は0.01~5.0g/10分、又は0.1~25.0g/10分、又は0.1~20.0g/10分、又は0.1~15.0g/10分、又は0.1~10.0g/10分、又は0.1~5.0g/10分であってもよい。
【0040】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、25未満、又は23未満、又は20未満のメルトフロー比I21/Iを有する。
【0041】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、40,000~250,000g/モルの重量平均分子量Mを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、50,000~200,000g/モル、又は50,000~175,000g/モル、又は50,000~150,000g/モル、又は40,000~125,000g/モル、又は50,000~135,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。
【0042】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、3.0以下、又は3.0未満、又は2.7以下、又は2.7未満、又は2.5以下、又は2.5未満、又は2.3以下、又は2.3未満、又は2.1以下、又は2.1未満又は約2の分子量分布M/Mを有する。本開示の別の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、1.7~3.0の分子量分布M/Mを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、1.8~2.7、又は1.8~2.5、又は1.8~2.3、又は1.9~2.1の分子量分布M/Mを有する。
【0043】
本開示の一実施形態では、第1のコポリマーの密度dは、第2のエチレンコポリマーの密度dよりも小さい。
【0044】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.920~0.985g/cmの密度dを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、0.925~0.980g/cm、又は0.927~0.975g/cm、又は0.930~0.980g/cm、又は0.935~0.980g/cm、又は0.937~0.980g/cm、又は0.940~0.980g/cm、又は0.940~0.975g/cm、又は0.937~0.975g/cm、又は0.935~0.975g/cm、又は0.933~0.975g/cm、又は0.930~0.975g/cm、又は0.935~0.970g/cm、又は0.940~0.965g/cm、又は0.935~0.965g/cm、又は0.933~0.965g/cm、又は0.930~0.965g/cm、又は0.940~0.960g/cm、又は0.937~0.960g/cm、又は0.935~0.960g/cm、又は0.933~0.960g/cm、又は0.931~0.960g/cm、又は0.930~0.960g/cm、又は0.940~0.957g/cm、又は0.937~0.957g/cm、又は0.935~0.957g/cm、又は0.933~0.957g/cm、又は0.931~0.957g/cm、又は0.930~0.957g/cm、又は0.936~0.955g/cm、又は0.936~0.952g/cmの密度dを有する。
【0045】
本開示の一実施形態では、シングルサイト触媒によって、単一の反応器での溶液相重合の間に少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%のCDBI(50)を有するエチレンコポリマーが得られ、このシングルサイト触媒が第1のエチレンコポリマーの調製に使用される。
【0046】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、約60重量%超、又は約65重量%超、又は約70重量%超、又は約75重量%超、又は約80重量%超、又は約85重量%超のCDBI(50)有するエチレンコポリマーである。
【0047】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)(すなわち、第1及び第2のエチレンコポリマーの総重量に基づく第1のエチレンコポリマーの重量パーセント)は、約5重量%~約95重量%であってもよく、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物中の第1のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)は、約5重量%~約90重量%、又は約10重量%~約90重量%、又は約5重量%~約80重量%、又は約10重量%~約70重量%、又は約5重量%~約70重量%、又は約5重量%~約60重量%、又は約10重量%~約50重量%、又は約15重量%~約45重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約20重量%~約50重量%、又は約20重量%~約55重量%であってもよい。
【0048】
<第2のエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、重合されたエチレンと少なくとも1つの重合されたα-オレフィンコモノマーとを含み、大部分の種が重合されたエチレンである。
【0049】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、シングルサイト重合触媒を使用して作製される。
【0050】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、液相重合プロセスにおいて、シングルサイト重合触媒を使用して作製される。
【0051】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、13C NMR、又はFTIR若しくはGPC-FTIR法で測定し、あるいは反応器モデルから計算すると(実施例の項を参照)、約0.03~約3モル%であり得る。コモノマーは、1種以上の適切なα(アルファ)オレフィンであり、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、αオレフィンは、1-オクテンである。
【0052】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり約0.05~約10個の短鎖分岐であり得る(SCB1/1000C)。本開示のさらなる実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり0.05~7.5、又は0.05~5、又は0.05~3、又は0.05~1個の分岐であり得る(SCB1/1000C)。短鎖分岐は、エチレンコポリマー中にα-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーについては2個の炭素原子、1-ヘキセンコモノマーについては4個の炭素原子、1-オクテンコモノマーについては6個の炭素原子を有する。コモノマーは、1種以上の適切なαオレフィンである。αオレフィンの例には、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどを含まれるがこれらに限定されない。一実施形態では、αオレフィンは、1-オクテンである。
【0053】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマー中のコモノマーは、1種以上のオレフィンであり、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどであるがこれらに限定されない。
【0054】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、エチレンと1-オクテンとのコポリマーである。
【0055】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、第1のエチレンコポリマーのコモノマー含量未満である(例えば、モル%で報告される)。
【0056】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量は、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量(ポリマー骨格中の炭素1000個(1000C)当たりの短鎖分岐(SCB)で報告される)よりも少ない。
【0057】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI よりも大きい。
【0058】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI に対する第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI の比は、1.1~500であり、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスI に対する第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI の比は、1.1~250、又は1.1~100、又は1.1~75であってもよい。
【0059】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、少なくとも50.0g/10分未満、又は45.0g/10分以下、又は43.0g/10分以下のメルトインデックスI を有する。本開示の別の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.1~50.0g/10分未満のメルトインデックスI を有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI は、0.1~49.5g/10分、又は0.1~45.0g/10分、又は1~50g/10分未満、又は1~49.5g/10分、又は1~45.0g/10分、又は5~50g/10分未満、又は5~49.5g/10分、又は5~45.0g/10分、又は10~50g/10分未満、又は10~49.5g/10分、又は10~45.0g/10分、又は20~50g/10分未満、又は20~49.5g/10分、又は20~45.0g/10分、又は30~50g/10分未満、又は30~49.5g/10分、又は30~45.0g/10分、又は35~50g/10分未満、又は35~49.5g/10分、又は35~45.0g/10分であってもよい。
【0060】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、25未満、又は23未満、又は20未満のメルトフロー比I21/Iを有する。
【0061】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、75,000g/モル以下、又は60,000g/モル以下、又は50,000g/モル以下、又は45,000g/モル以下、又は40,000g/モル以下の重量平均分子量Mを有する。別の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、5,000~100,000g/モルの重量平均分子量Mを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、10,000~75,000g/モル、又は15,000~65,000g/モル、又は20,000~60,000g/モル、又は20,000~55,000g/モル、又は20,000~50,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。
【0062】
本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、3.0以下、又は3.0未満、又は2.7以下、又は2.7未満、又は2.5以下、又は2.5未満、又は2.3以下、又は2.3未満、又は2.1以下、又は2.1未満又は約2の分子量分布M/Mを有する。本開示の別の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、1.7~3.0の分子量分布M/Mを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、1.8~2.7、又は1.8~2.5、又は1.8~2.3、又は1.9~2.1の分子量分布M/Mを有する。
【0063】
本開示の一実施形態では、第2のコポリマーの密度dは、第1のエチレンコポリマーの密度dよりも大きい。
【0064】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度dは、第1のエチレンコポリマーの密度dよりも、0.031g/cm未満大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度dは、第1のエチレンコポリマーの密度dよりも、0.025g/cm未満大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度dは、第1のエチレンコポリマーの密度dよりも、0.020g/cm未満大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度dは、第1のエチレンコポリマーの密度dよりも、0.0175g/cm未満大きい。
【0065】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.970g/cm未満、又は0.967g/cm未満、又は0.965g/cm未満、又は0.963g/cm未満、又は0.961g/cm未満の密度dを有する。
【0066】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.943~0.985g/cmの密度dを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、0.945~0.985g/cm、又は0.947~0.985g/cm、又は0.950~0.985g/cm、又は0.943~0.980g/cm、又は0.945~0.980g/cm、又は0.947~0.980g/cm、又は0.950~0.980g/cm、又は0.951~0.985g/cm、又は0.951~0.985g/cm、又は0.951~0.980g/cm、又は0.943~0.975g/cm、又は0.945~0.975g/cm、又は0.947~0.975g/cm、又は0.950~0.975g/cm、又は0.950~0.970g/cm、又は0.945~0.965g/cm、又は0.947~0.965g/cmの密度dを有する。
【0067】
本開示の一実施形態では、シングルサイト触媒によって、単一の反応器での溶液相重合の間に少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%のCDBI(50)を有するエチレンコポリマーが得られ、このシングルサイト触媒が第2のエチレンコポリマーの調製に使用される。
【0068】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、約60重量%超、又は約65重量%超、又は約70重量%超、又は約75重量%超、又は約80重量%超、又は約85重量%超のCDBI(50)有するエチレンコポリマーである。
【0069】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)(すなわち、第1及び第2のエチレンコポリマーの総重量に基づく第2のエチレンコポリマーの重量パーセント)は、約95重量%~約5重量%であってもよく、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物中の第2のエチレンコポリマーの重量パーセント(重量%)は、約90重量%~約10重量%、又は約90重量%~約20重量%、又は約90重量%~約30重量%、又は約90重量%~約40重量%、又は約90重量%~約50重量%、又は約80重量%~約50重量%、又は約80重量%~約60重量%、又は約80重量%~約45重量%であってもよい。
【0070】
<ポリエチレンコポリマー組成物>
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマー(それぞれ本明細書で定義される)を含む。
【0071】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析において単峰性プロファイル(すなわち、単峰性分子量分布)を有する。
【0072】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ASTM D6474-99の方法に従って生成されたゲル浸透クロマトグラフにおいて単峰性のプロファイルを有する。
【0073】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマー(上記で定義した通り)を含むポリエチレンコポリマー組成物は、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、1.0よりも大きい(すなわち、SCB1/SCB2>1.0)。本開示のさらなる実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、少なくとも1.5である。本開示のさらに別の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、少なくとも2.0である。本開示のさらに別の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、2.0より大きい。本開示のさらに別の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、少なくとも2.5である。本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、1.0超~約12.0、又は1.0超~約10、又は1.0超~約7.0、又は1.0超~約5.0、又は約2.0~約10.0、又は約2.0~約7.5、又は約2.0~約5.0である。
【0074】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、100,000g/モル以下、又は75,000g/モル以下、又は70,000g/モル未満、又は65,000g/モル以下、又は65,000g/モル未満、又は60,000g/モル以下、又は60,000g/モル未満の重量平均分子量Mを有する。別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、20,000~125,000g/モルの重量平均分子量Mを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、25,000~100,000g/モル、又は25,000~90,000g/モル、又は30,000~80,000g/モル、又は30,000~75,000g/モル、又は35,000~65,000g/モル、又は35,000~60,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。
【0075】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、60,000g/モル以下、又は50,000g/モル以下、又は50,000g/モル未満、又は45,000g/モル以下、又は45,000g/モル未満、又は40,000g/モル以下、又は40,000g/モル未満、又は35,000g/モル以下、又は35,000g/モル未満、又は30,000g/モル以下、又は30,000g/モル未満の数平均分子量Mを有する。別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、5,000~60,000g/モルの数平均分子量Mを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、10,000~55,000g/モル、又は10,000~50,000g/モル、又は15,000~50,000g/モル、又は15,000~45,000g/モル、又は15,000~40,000g/モル、又は15,000~35,000g/モル、又は15,000~30,000g/モル、又は20,000~50,000g/モル、又は20,000~45,000g/モル、又は20,000~40,000g/モル、又は20,000~35,000g/モル、又は20,000~30,000g/モルの数平均分子量Mを有する。
【0076】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、約200,000g/モル未満のZ平均分子量Mを有する。本開示の別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、約175,000g/モル未満のZ平均分子量Mを有する。本開示のさらに別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、約150,000g/モル未満のZ平均分子量Mを有する。本開示のさらに別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、約125,000g/モル未満のZ平均分子量Mを有する。
【0077】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、7.0以下、又は7.0未満、又は6.5以下、又は6.5未満、又は6.0以下、又は6.0未満、又は5.5以下、又は5.5未満、又は5.0以下、又は5.0未満、又は4.5以下、又は4.5未満、又は4.0以下、又は4.0未満、又は3.5以下、又は3.5未満、又は3.0以下、又は3.0未満、又は2.5以下、又は2.5未満の分子量分布M/Mを有する。本開示の別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、1.7~7.0の分子量分布M/Mを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、1.8~7.0、又は1.8~6.5、又は1.8~6.0、又は1.8~5.5、又は1.8~5.0、又は1.8~4.5、又は1.8~4.0、又は1.8~3.5、又は1.8~3.0、又は1.8~2.5、又は2.0~5.0、又は2.0~4.5、又は2.0~4.0、又は2.0~3.5、又は2.0~3.0、又は2.0~2.5の分子量分布M/Mを有する。
【0078】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、≧0.949g/cm、又は>0.949g/cm、又は≧0.950g/cm、又は>0.950g/cm、又は≧0.953g/cm、又は>0.953g/cm、又は≧0.955g/cm、又は>0.955g/cmの密度を有する。
【0079】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、0.943~0.987g/cmの密度を有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、0.945~0.985g/cm、又は0.947~0.985g/cm、又は0.950~0.985g/cm、又は0.953~0.985g/cm、又は0.955~0.985g/cm、又は0.945~0.980g/cm、又は0.947~0.980g/cm、又は0.950~0.980g/cm、又は0.951~0.980g/cm、又は0.953~0.980g/cm、又は0.955~0.980g/cm、又は0.945~0.975g/cm、又は0.947~0.975g/cm、又は0.950~0.975g/cm、又は0.951~0.975g/cm、又は0.953~0.975g/cm、又は0.955~0.975g/cm、又は0.945~0.970g/cm、又は0.947~0.970g/cm、又は0.950~0.970g/cm、又は0.951~0.970g/cm、又は0.953~0.970g/cm、又は0.955~0.970g/cm、又は0.945~0.965g/cm、又は0.947~0.965g/cm、又は0.950~0.965g/cm、又は0.951~0.965g/cm、又は0.953~0.965g/cm、又は0.955~0.965g/cm、又は0.945~0.960g/cm、又は0.947~0.960g/cm、又は0.950~0.960g/cm、又は0.951~0.960g/cm、又は0.953~0.960g/cm、又は0.955~0.960g/cmの密度を有する。
【0080】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、少なくとも1.0g/10分(≧1.0g/10分)、又は少なくとも3.0g/10分(≧3.0g/10分)、又は少なくとも5.0g/10分(≧5.0g/10分)、又は少なくとも7.5g/10分(≧7.5g/10分)、又は少なくとも10.0g/10分(≧10.0g/10分)、又は3.0g/10分より大きい(>3.0g/10分)、又は5.0g/10分より大きい(>5.0g/10分)、又は7.5g/10分より大きい(>7.5g/10分)、又は10.0g/10分より大きい(>10.0g/10分)のメルトインデックスIを有する。本開示の別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、1.0~250g/10分のメルトインデックスIを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物のメルトインデックスIは、1.0~200g/10分、又は1.0~150g/10分、又は1.0~100g/10分、又は1.0~50g/10分、又は10.0~200g/10分、又は10.0~150g/10分、又は10.0~100g/10分、又は10.0~50g/10分、又は7.5~200g/10分、又は7.5~150g/10分、又は7.5~100g/10分、又は7.5~50g/10分、又は5.0~200g/10分、又は5.0~150g/10分、又は5.0~100g/10分、又は5.0~75g/10分、又は5.0~50g/10分、又は5.0~40g/10分、又は3.0~100g/10分、又は3.0~75g/10分、又は3.0~50g/10分、又は3.0~40g/10分であってもよい。
【0081】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、少なくとも150g/10分(≧150g/10分)、又は少なくとも175g/10分(≧175g/10分)、又は少なくとも200g/10分(≧200g/10分)、又は200g/10分より大きい(>200g/10分)、又は少なくとも225g/10分(≧225g/10分)、又は225g/10分より大きい(>225g/10分)、又は少なくとも250g/10分(≧250g/10分)、又は250g/10分より大きい(>250g/10分)の高負荷メルトインデックスI21を有する。本開示の別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、175~1200g/10分の高負荷メルトインデックスI21を有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物の高負荷メルトインデックスI21は、175~1000g/10分、又は175~750g/10分、又は200~1000g/10分、又は200~750g/10分、又は225~1000g/10分、又は225~750g/10分、又は250~1000g/10分、又は250~750g/10分であってもよい。
【0082】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、50以下、又は50未満、又は45以下、又は40未満、又は35以下、又は35未満、又は30以下、又は30未満、又は25以下、又は25未満のメルトフロー比I21/Iを有する。本開示の別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、12~50のメルトフロー比I21/Iを有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、14~45、又は14~42、又は16~40、又は16~38、又は16~36、又は16~34、又は16~32、又は14~30、又は14~28のメルトフロー比I21/Iを有する。
【0083】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]として定義される応力指数を有し、これは≦1.40、又は<1.40である。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、1.38未満、又は1.36未満、又は1.34未満、又は1.32未満、又は1.30未満、又は1.28未満の応力指数Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]を有する。
【0084】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、約10-1(240℃)で約10Pa・s未満の剪断粘度を有する。本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、約10-1(240℃)で約3から約12Pa・sの剪断粘度を有し、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、約10-1(240℃)で約5~約12Pa・s、又は約6~約12Pa・s、又は約6~約10Pa・sの剪断粘度を有する(sは秒を表す)。
【0085】
本発明の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物の240℃での剪断粘度比SVR(100,100000)は、約5~約70であってもよく、この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む。例えば、本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物の240℃での剪断粘度比SVR(100,100000)は、約10~約60、又は約10~約50、又は約5~約50、又は約10~約55、又は約10~約45、又は約5~約45であってもよい。
【0086】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、5.5重量パーセント以下、又は4.5重量%未満、又は3.5重量%未満、又は2.5重量%未満、又は2.0重量%未満、又は1.5重量%未満、又は1.0重量%未満、又は0.5重量%未満のヘキサン抽出物値を有する。
【0087】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物が有する温度溶出分別(TREF)によって決定される組成分布幅指数(CDBI(50))は、約60重量パーセント%以上である。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、約65%超、又は約70%超、又は約75%超、又は約80%超、又は約85%のCDBI(50)を有する。
【0088】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物が有する温度溶出分別(TREF)によって決定される組成分布幅指数(CDBI(25))は、約55重量パーセント以上である。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレン組成物は、約60%超、又は約65%超、又は約55~約75%、又は約60~約75%のCDBI(25)を有する。
【0089】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物又はポリエチレンコポリマー組成物から作製された成形品(又はプラーク)が有するASTM D1693(条件B、10%IGEPAL(登録商標)及び50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは、50時間未満、又は40時間未満、又は30時間未満、又は20時間未満である。
【0090】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物又はポリエチレンコポリマー組成物から作製された成形品(又はプラーク)が有するASTM D1693(条件B、100%IGEPAL(登録商標)及び50℃)に従って測定した100%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは、10時間未満、又は5時間未満、又は3.5時間未満である。
【0091】
本開示のポリエチレンコポリマー組成物は、マルチ反応器システムにおける重合による物理的ブレンディング及びin-situブレンディングなどであるがこれらの限定されない任意の従来のブレンディング方法を使用して作製することができる。例えば、第1のエチレンコポリマーと第2のエチレンコポリマーとの混合を、2つの予め形成されたポリマーの溶融混合によって行うことが可能である。好ましいのは、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーを少なくとも2つの連続重合段階で調製するプロセスであるが、本開示で使用するために直列又は並列反応器プロセスの両方が想定される。気相、スラリー相又は溶液相反応器システムを使用することができ、溶液相反応器システムが好ましい。
【0092】
本開示のポリエチレンコポリマー組成物を作製するために、混合触媒単一反応器システムを使用することもできる。
【0093】
本開示の一実施形態では、例えば、米国特許第6,372,864号及び米国特許出願公開第20060247373A1号に記載されているように、二重反応器溶液重合プロセスが使用され、これらの記載は参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
一般に、本開示で使用される触媒は、少なくとも1種のシクロペンタジエニル配位子を有する第4族金属に基づくいわゆるシングルサイト触媒である。メタロセン、拘束幾何触媒及びホスフィンイミン触媒を含むそのような触媒の例は、典型的には、メチルアルミノキサン、ボラン又はイオン性ホウ酸塩から選択される活性化剤と組み合わせて使用され、米国特許第3,645,992号、第5,324,800号、第5,064,802号、第5,055,438号、第6,689,847号、第6,114,481号、及び第6,063,879号にさらに説明されている。そのようなシングルサイト触媒は、当技術分野でよく知られている伝統的なチーグラー・ナッタ触媒又はフィリップス触媒とは区別される。一般に、シングルサイト触媒は、約3.0未満、場合によっては約2.5未満の分子量分布(M/M)を有するエチレンコポリマーを生成する。
【0095】
本開示の実施形態では、シングルサイト触媒は、約3.0未満、又は約2.7未満、又は約2.5未満の分子量分布(M/M)を有するエチレンコポリマーを生成し、このシングルサイト触媒は、第1及び第2のエチレンコポリマーのそれぞれを調製するために使用される。
【0096】
本開示の一実施形態では、第1及び第2のエチレンコポリマーは、ホスフィンイミン配位子を有することをさらに特徴とする第3族、第4族、又は第5族金属の有機金属錯体を用いて調製される。このような錯体は、オレフィン重合に対して活性がある場合、一般にホスフィンイミン(重合)触媒として知られている。ホスフィンイミン触媒のいくつかの非限定的な例は、米国特許第6,342,463号、第6,235,672号、第6,372,864号、第6,984,695号、第6,063,879号、第6,777,509号、及び第6,277,931号に見出すことができ、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
メタロセン触媒のいくつかの非限定的な例は、米国特許第4,808,561号、第4,701,432号、第4,937,301号、第5,324,800号、第5,633,394号、第4,935,397号、第6,002,033号、及び第6,489,413号に見出すことができ、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。拘束幾何触媒のいくつかの非限定的な例は、米国特許第5,057,475号、第5,096,867号、第5,064,802号、第5,132,380号、第5,703,187号、及び第6,034,021号に見出すことができ、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0098】
本開示の一実施形態では、長鎖分岐(LCB)を生成しないシングルサイト触媒の使用が好ましい。NMRによって検出されたヘキシル(C6)分岐は、本開示における長鎖分岐の定義から除外される。
【0099】
本開示の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物には、長鎖分岐がないか、又は検出できないレベルの長鎖分岐がある。
【0100】
任意の単一の理論に束縛されることは望まないが、長鎖分岐は、低剪断速度で粘度を増加させる可能性があり、それにより、圧縮成形のプロセス中など、キャップ及びクロージャの製造中のサイクル時間に悪影響を及ぼす。長鎖分岐は、13C NMR法を用いて決定することができ、RandallのRev.Macromol.Chem.Phys.C29(2及び3)、285頁に開示された方法を用いて定量的に評価することができる。
【0101】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、炭素原子1000個当たり0.3未満の長鎖分岐を含む。本開示の別の実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、炭素原子1000個当たり0.01未満の長鎖分岐を含む。
【0102】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、少なくとも2つの重合反応器中で、溶液相重合条件下で、エチレン及び少なくとも1つのα-オレフィンを重合触媒と接触させることによって調製される(溶液相重合条件は、例えば、米国特許第6,372,864号、第6,984,695号及び米国特許出願公開第2006/0247373A1号を参照)。
【0103】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、少なくとも2つの重合反応器中で、溶液重合条件下で、少なくとも1つのシングルサイト重合触媒系(少なくとも1つのシングルサイト触媒と少なくとも1つの活性化剤とを含む)を、エチレン及び少なくとも1つのコモノマー(例えば、C3-C8のα-オレフィン)と接触させることによって調製される。
【0104】
本開示の一実施形態では、シングルサイト触媒と活性化剤とを含む第4族シングルサイト触媒系を溶液相二重反応器システムで使用して、α-オレフィンコモノマーの存在下で、エチレンを重合することによって、ポリエチレンコポリマー組成物を調製する。
【0105】
本開示の一実施形態では、シングルサイト触媒と活性化剤とを含む第4族シングルサイト触媒系を溶液相二重反応器システムで使用して、1-オクテンの存在下で、エチレンを重合することによって、ポリエチレンコポリマー組成物を調製する。
【0106】
本開示の一実施形態では、ホスフィンイミン触媒と活性化剤とを含む第4族ホスフィンイミン触媒系を溶液相二重反応器システムで使用して、α-オレフィンコモノマーの存在下で、エチレンを重合することによって、ポリエチレンコポリマー組成物を調製する。
【0107】
本開示の一実施形態では、ホスフィンイミン触媒と活性化剤とを含む第4族ホスフィンイミン触媒系を溶液相二重反応器システムで使用して、1-オクテンの存在下で、エチレンを重合することによって、ポリエチレンコポリマー組成物を調製する。
【0108】
本開示の一実施形態では、溶液相二重反応器システムは、直列に接続された2つの溶液相反応器を含む。
【0109】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物を調製するための重合プロセスは、少なくとも2つの重合反応器中で、溶液重合条件下で、少なくとも1つのシングルサイト重合触媒系(少なくとも1つのシングルサイト触媒と少なくとも1つの活性化剤とを含む)をエチレン及び少なくとも1つのα-オレフィンコモノマーと接触させる工程を含む。
【0110】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物を調製するための重合プロセスは、溶液重合条件下で、直列に構成された第1の反応器及び第2の反応器中で、少なくとも1つのシングルサイト重合触媒系をエチレン及び少なくとも1つのα-オレフィンコモノマーと接触させる工程を含む。
【0111】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物を調製するための重合プロセスは、溶液重合条件下で、直列に構成された第1の反応器及び第2の反応器中で、少なくとも1つのシングルサイト重合触媒系をエチレン及び少なくとも1つのα-オレフィンコモノマーと接触させる工程を含み、少なくとも1つのα-オレフィンコモノマーは、第1の反応器に排他的に供給される。
【0112】
本開示のポリエチレンコポリマー組成物の生成は、典型的には、押出又は配合工程を含む。このような工程は、当技術分野において周知である。
【0113】
ポリエチレンコポリマー組成物は、第1及び第2のエチレンコポリマーに加えて、さらなるポリマー成分を含むことができる。そのようなポリマー成分には、その場で作製されるポリマー、又は押出又は配合工程の間にポリマー組成物に添加されるポリマーが含まれる。
【0114】
任意選択で、添加剤をポリエチレンコポリマー組成物に添加することができる。添加剤は、押出又は配合工程の間にポリエチレンコポリマー組成物に添加することができるが、他の適切な公知の方法が当業者には明らかであろう。添加剤はそのまま、又は別個のポリマー成分の一部として添加することができ(すなわち、本明細書に記載の第1又は第2のエチレンコポリマーではない)、あるいはマスターバッチの一部として(任意選択で押出又は配合工程中に)添加することができる。適切な添加剤は当技術分野で知られており、限定されるものではないが、酸化防止剤、ホスファイト及びホスホナイト、ニトロン、制酸剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、染料、充填剤及び補強剤、ナノスケールの有機又は無機材料、帯電防止剤、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤、エルカミド又はベヘンアミドなどの滑剤、及び核形成剤(核剤、顔料、又はポリエチレンコポリマー組成物に核形成効果を与えることができる他の化学物質を含む)が含まれる。任意に添加することができる添加剤は、典型的には、20重量パーセント(wt%)までの量で添加される。
【0115】
1種以上の核形成剤は、通常は粉末又はペレット形態のポリマーの混合物を核形成剤と混練することによってポリエチレンコポリマー組成物に導入することができ、これを単独で使用するか、又は安定剤、顔料、帯電防止剤、紫外線安定剤及び充填剤などのさらなる添加剤を含有する濃縮物の形態で使用することができる。それは、ポリマーによって湿潤又は吸収され、ポリマーに不溶性であり、ポリマーの融点よりも融点が高い材料である必要があり、ポリマー溶融物中に可能な限り微細な形態で(1~10μm)均質に分散できる必要がある。ポリオレフィンの核形成能を有することが知られている化合物には、コハク酸ナトリウム又はフェニル酢酸アルミニウムなどの脂肪族一塩基酸又は二塩基酸又はアリールアルキル酸の塩、及びβ-ナフトエ酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウムなどの芳香族又は脂環式カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルミニウム塩が挙げられる。
【0116】
市販されており、ポリエチレンコポリマー組成物に添加できる核形成剤のいくつかの非限定的な例は、ジベンジリデンソルビタールエステル(例えば、Milliken ChemicalによってMILLAD(登録商標)3988の商標で、及びCiba Speciality ChemicalsによってIRGACLEAR(登録商標)の商標で、販売されている製品など)である。ポリエチレンコポリマー組成物に添加できる核形成剤のさらなる非限定的な例には、米国特許第5,981,636号に開示されている環状有機構造(及びその塩類、例えば、ビシクロ二ナトリウム[2.2.1]ヘプテンジカルボキシレートなど)、米国特許第5,981,636号に開示されている構造の飽和バージョン(米国特許第6,465,551号(Zhaoら、Milliken)に開示されている)、米国特許第6,599,971号(Dotsonら、Milliken)に開示されているようなヘキサヒドロフタル酸構造(又は「HHPA」構造)を有する特定の環状ジカルボン酸の塩類、並びに、例えば、米国特許第5,342,868号に開示されており、旭電化工業によりNA-11及びNA-21の商品名で市販されているようなリン酸エステル類、例えば、米国特許第6,599,971号に開示されているHHPA構造の二価金属又は半金属塩類(特にカルシウム塩類)などの環状ジカルボン酸及びそれらの塩類が含まれる。明確にするために、HHPA構造は、一般に、環に6個の炭素原子を有する環構造と、環構造の隣接する原子上の置換基である2つのカルボン酸基とを含む。米国特許第6,599,971号に開示されているように、環の他の4個の炭素原子は置換されていてもよい。一例として、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩(CAS登録番号491589-22-1)がある。ポリエチレンコポリマー組成物に添加できる核形成剤のさらに別の非限定的な例には、国際公開第2015042561号、第2015042563号、第2015042562号及び第2011050042号に開示されているものが含まれる。
【0117】
上記の核形成剤の多くは、核形成されるポリエチレンコポリマー組成物と混合することが困難な場合があり、この問題を緩和するために、例えば、ステアリン酸亜鉛などの分散助剤を使用することが知られている。
【0118】
本開示の一実施形態では、核形成剤は、ポリエチレンコポリマー組成物中に十分に分散される。
【0119】
本開示の一実施形態では、使用される核形成剤の量は比較的少なく(ポリエチレンコポリマー組成物の重量に基づいて)重量あたり100~4000ppmであるため、核形成剤が十分に分散していることを確実にするために何らかの注意を払う必要があることが当業者によって理解されるであろう。本開示の一実施形態では、混合を容易にするために、核形成剤を微細に分割した形態(50ミクロン未満、特に10ミクロン未満)でポリエチレンコポリマー組成物に添加する。このタイプの「物理的ブレンド」(すなわち、核形成剤と樹脂の固形混合物)は、一実施形態では、核形成剤の「マスターバッチ」の使用よりも好ましい場合がある(「マスターバッチ」という用語は、最初に、添加剤-この場合は核形成剤-を少量のポリエチレンコポリマー組成物と溶融混合し、次いで、「マスターバッチ」をポリエチレンコポリマー組成物の残りのバルクと溶融混合することを指す)。
【0120】
本開示の一実施形態では、「マスターバッチ」の方法で、核形成剤などの添加剤をポリエチレンコポリマー組成物に添加してもよく、ここで「マスターバッチ」という用語は、最初に、添加剤(例えば、核形成剤)を少量のポリエチレンコポリマー組成物と溶融混合し、次いで、「マスターバッチ」をポリエチレンコポリマー組成物の残りのバルクと溶融混合することを指す。
【0121】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、核形成剤をさらに含む。
【0122】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、20~4000ppm(すなわち、ポリエチレンコポリマー組成物中の第1及び第2のエチレンコポリマーの総重量に基づく、百万分の1)の核形成剤を含む。
【0123】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ジカルボン酸化合物の塩である核形成剤をさらに含む。ジカルボン酸化合物は、本明細書では、2つのカルボキシル(-COOH)官能基を含む有機化合物として定義される。次いで、ジカルボン酸化合物の塩は、1つ以上の適切なカチオン性対カチオン、好ましくは金属カチオン、及び2つのアニオン性カルボキシレート(-COO)基を有する有機化合物を含む。
【0124】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、成形品の形成に使用される。このような物品は、圧縮成形、連続圧縮成形、射出成形又はブロー成形によって形成することができる。このような物品には、例えば、ボトル、容器、パウチ、錠剤ボトル、付属品、医薬品ボトルなどのための、キャップ、スクリューキャップ、及びクロージャ(それらのヒンジ付き及びテザー付きのバージョンを含む)が含まれる。
【0125】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ボトル、パウチなどの付属品の形成に使用される。
【0126】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、可撓性包装に使用される。
【0127】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、例えば、インフレーションフィルム、キャストフィルム、及びラミネーションフィルム若しくは押出フィルム又は押出コーティング並びに延伸フィルムなどのフィルムの形成に使用される。ポリマーからそのようなフィルムを作製するプロセスは、当業者によく知られている。
【0128】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、押出コーティングフィルム層に使用される。
【0129】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、多層フィルム又はフィルム構造の一部である1つ以上のフィルム層の形成に使用される。そのような多層フィルム又はフィルム構造を作製するためのプロセスは、当業者によく知られている。
【0130】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、任意の適切なボトル、容器などを充填するための任意の高温充填プロセス(又は無菌充填プロセス)で使用するための任意の適切な設計及び寸法の任意のクロージャの形成に使用される。
【0131】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、ボトル、容器、パウチなどのクロージャの形成に使用される。例えば、連続圧縮成形又は射出成形によって形成されたボトルのクロージャが想定される。そのようなクロージャには、例えば、キャップ、ヒンジ付きキャップ、スクリューキャップ、ヒンジ付きスクリューキャップ、スナップトップキャップ、ヒンジ付きスナップトップキャップ、及び任意選択でボトル、容器、パウチなどのためのヒンジ付きクロージャが含まれる。
【0132】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、パウチ、容器などの付属品の形成に使用される。
【0133】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物は、成形品の形成に使用される。例えば、連続圧縮成形及び射出成形によって形成された物品が想定される。そのような物品には、例えば、キャップ、スクリューキャップ、及びボトル用のクロージャが含まれる。
【0134】
<クロージャ>
「キャップ」及び「クロージャ」という用語は、本開示では交換可能に使用される。これらは両方とも、適切な形状の開口部、適切に成形された開口、オープンネック型構造などの封入、密封、閉鎖又は被覆などをするための任意の適切に成形された物品を意味し、容器、ボトル、ジャー、パウチなどと組み合わせて使用される。
【0135】
クロージャは、ワンピースのクロージャ、又は複数のピースを含むクロージャを含む。
【0136】
本開示の一実施形態では、上記のポリエチレンコポリマー組成物は、クロージャの形成に使用される。
【0137】
本開示の一実施形態では、上記のポリエチレンコポリマー組成物は、ワンピースのクロージャの形成に使用される。
【0138】
本開示の一実施形態では、上記のポリエチレンコポリマー組成物は、タンパーエビデントバンド(TEB)を有するクロージャの形成に使用される。
【0139】
本開示の一実施形態では、上記のポリエチレンコポリマー組成物は、ボトル、容器、パウチなどのためのクロージャの形成に使用される。例えば、圧縮成形又は射出成形によって形成されるボトル用のクロージャが想定される。そのようなクロージャは、例えば、ボトル、容器、パウチなどのためのヒンジ付きキャップ、ヒンジ付きスクリューキャップ、ヒンジ付きスナップトップキャップ、及びヒンジ付きクロージャを含む。
【0140】
本開示の一実施形態では、上記のポリエチレンコポリマー組成物は、キャップ部分、テザー部分、及び保持手段部分を含むボトルクロージャアセンブリの形成に使用される。
【0141】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ボトル、容器、パウチなどのためのスクリューキャップである。
【0142】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ボトル、容器、パウチなどのためのスナップクロージャである。
【0143】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、クロージャ(又はキャップ)の他の部分と同じ材料で作製されたヒンジを備える。
【0144】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)はヒンジ付きクロージャである。
【0145】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ボトル、容器、パウチなどのためのヒンジ付きクロージャである。
【0146】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、レトルト、高温充填、無菌充填及び低温充填の用途のためのものである。
【0147】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、プラスチックのケチャップボトル又は食品を収容する類似の容器に使用するためのフリップトップ型ヒンジクロージャなどのフリップトップ型ヒンジクロージャである。
【0148】
クロージャがヒンジ付きクロージャである場合は、ヒンジ付き構成要素を含み、一般に、少なくとも2つの本体からなる。これらは、いわゆる「リビングヒンジ」として機能する少なくとも1つのより薄い部分によって接続されており、これらの少なくとも2つの本体が、最初に成形された位置から曲がることを可能にする。前記の1つ又は複数のより薄い部分は、連続的であってもウェブ状であってもよく、幅が広くても狭くてもよい。
【0149】
(ボトル、容器などのための)有用なクロージャは、ヒンジ付きクロージャであり、少なくとも1つのより薄い曲げ可能部分によって互いに接合された2つの本体から構成されてもよい(例えば、2つの本体を1つのブリッジ部分、複数のブリッジ部分、又はウェブ部分などによって接合することができる)。第1の本体は分配穴を備えてもよく、容器開口部(例えばボトルの開口部)を覆うために、容器にスナップ嵌め又はねじ止めしてもよく、一方で、第2の本体は、第1の本体と嵌合するスナップ式の蓋として機能してもよい。
【0150】
ヒンジ付きキャップ及びクロージャとスクリューキャップとがサブセットであるキャップ及びクロージャは、例えば、当業者に周知の射出成形及び圧縮成形技術を含む任意の既知の方法に従って作製することができる。したがって、本開示の一実施形態では、ポリエチレンコポリマー組成物(上記で定義された)を含むクロージャ(又はキャップ)は、少なくとも1つの圧縮成形工程及び/又は少なくとも1つの射出成形工程を含むプロセスによって調製される。
【0151】
一実施形態では、キャップ及びクロージャ(単一片又は複数片の変形及びヒンジ付き変形を含む)は、良好なバリア特性、及び良好な加工性を有する上記のポリエチレンコポリマー組成物を含む。したがって、この実施形態のクロージャ及びキャップは、ボトル、容器などを密封するのによく適しており、一例として、(例えば、酸素との接触により)腐敗しやすい液体又は食品(適切な圧力下にある液体(すなわち炭酸飲料又は適切に加圧された飲用可能な液体)を含むがこれに限定されない)を収容し得るボトルが挙げられる。
【0152】
クロージャ及びキャップは、飲用水又は非炭酸飲料(例えば、ジュース)を収容するボトルを密封するためにも使用され得る。他の用途には、例えばケチャップボトルなどの食品を収容するボトル、容器及びパウチのためのキャップ及びクロージャが含まれる。
【0153】
クロージャ及びキャップは、クロージャ及びライナを備えるワンピースのクロージャ又は2ピースのクロージャであってもよい。
【0154】
クロージャ及びキャップはまた、多層設計であってもよく、クロージャ又はキャップは、少なくとも2つの層を備え、そのうちの少なくとも1層は、本明細書に記載のポリエチレンコポリマー組成物で作製される。
【0155】
本開示の一実施形態では、クロージャは連続圧縮成形によって作製される。
【0156】
本開示の一実施形態では、クロージャは射出成形によって作製される。
【0157】
本開示に記載のクロージャは、高温充填プロセス、場合によっては無菌充填プロセスなど、高温でクロージャが液体と接触する1つ以上のステップを含む容器密封プロセスでの使用に適したクロージャであってもよい。そのようなクロージャ及びプロセスは、例えば、カナダ特許出願第2,914,353号;2,914,354号;及び2,914,315号に記載されている。
【0158】
本開示の一実施形態では、作製されるクロージャは、約2.15gの重量を有し、以下の寸法:クロージャ高さ(タンパーリングを含まない)=約10.7mm、タンパーリング付きクロージャ高さ=約15.4mm、4mmでの外径=約29.6mm、ねじ直径=約25.5mm、バンプシール直径=約24.5mm、バンプシール厚さ=約0.7mm、オリーブ中心までのバンプシール高さ=約1.5mm、ボアシール直径=約22.5mm、ボアシール厚さ=約0.9mm、オリーブ中心までのボア高さ=約1.6mm、上部パネル厚さ=約1.2mm、タンパーバンドアンダーカット直径=約26.3mm、ねじ深さ=約1.1mm、ねじピッチ=約2.5mm、4mmでのねじ根元=27.4mm、の寸法を有するPCO 1881 CSDクロージャである。
【0159】
本開示の一実施形態では、クロージャは、射出成形プロセスを使用して作製され、約2.15gの重量を有し、以下の寸法:クロージャ高さ(タンパーリングを含まない)=約10.7mm、タンパーリング付きクロージャ高さ=約15.4mm、4mmでの外径=約29.6mm、ねじ直径=約25.5mm、バンプシール直径=約24.5mm、バンプシール厚さ=約0.7mm、オリーブ中心までのバンプシール高さ=約1.5mm、ボアシール直径=約22.5mm、ボアシール厚さ=約0.9mm、オリーブ中心までのボア高さ=約1.6mm、上部パネル厚さ=約1.2mm、タンパーバンドアンダーカット直径=約26.3mm、ねじ深さ=約1.1mm、ねじピッチ=約2.5mm、4mmでのねじ根元=27.4mm、の寸法を有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。
【0160】
本開示の一実施形態では、クロージャは、連続圧縮成形プロセスを使用して作製され、約2.15gの重量を有し、以下の寸法:クロージャ高さ(タンパーリングを含まない)=約10.7mm、タンパーリング付きクロージャ高さ=約15.4mm、4mmでの外径=約29.6mm、ねじ直径=約25.5mm、バンプシール直径=約24.5mm、バンプシール厚さ=約0.7mm、オリーブ中心までのバンプシール高さ=約1.5mm、ボアシール直径=約22.5mm、ボアシール厚さ=約0.9mm、オリーブ中心までのボア高さ=約1.6mm、上部パネル厚さ=約1.2mm、タンパーバンドアンダーカット直径=約26.3mm、ねじ深さ=約1.1mm、ねじピッチ=約2.5mm、4mmでのねじ根元=27.4mm、の寸法を有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。
【0161】
本開示の実施形態では、クロージャは、成形プロセスを使用して作製され、酸素透過率OTR≦0.0035cm/クロージャ/日、又は≦0.0032cm/クロージャ/日、又は≦0.0030cm/クロージャ/日、又は≦0.0028cm/クロージャ/日、又は≦0.0026cm/クロージャ/日、又は≦0.0025cm/クロージャ/日、の酸素透過率OTRを有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。
【0162】
本開示の一実施形態では、クロージャは、連続圧縮成形プロセスを使用して作製され、酸素透過率OTR≦0.0035cm/クロージャ/日、又は≦0.0032cm/クロージャ/日、又は≦0.0030cm/クロージャ/日、又は≦0.0028cm/クロージャ/日、又は≦0.0026cm/クロージャ/日、又は≦0.0025cm/クロージャ/日、の酸素透過率OTRを有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。
【0163】
本開示の一実施形態では、クロージャは、射出成形プロセスを使用して作製され、酸素透過率OTR≦0.0035cm/クロージャ/日、又は≦0.0032cm/クロージャ/日、又は≦0.0030cm/クロージャ/日、又は≦0.0028cm/クロージャ/日、又は≦0.0026cm/クロージャ/日、又は≦0.0025cm/クロージャ/日、の酸素透過率OTRを有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。
【0164】
本開示の実施形態では、クロージャは、成形プロセスを使用して作製され、0.0016~0.0035cm/クロージャ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲とこれらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の酸素透過率OTRを有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。例えば、本開示の実施形態では、クロージャは、成形プロセスを使用して作製され、0.0016~0.0033cm/クロージャ/日、又は0.0016~0.0032cm/クロージャ/日、又は0.0016~0.0030cm/クロージャ/日、又は0.0018~0.0030cm/クロージャ/日、又は0.0018~0.0028cm/クロージャ/日、又は0.0020~0.0030cm/クロージャ/日、又は0.0020~0.0028cm/クロージャ/日、の酸素透過率OTRを有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。
【0165】
本開示の一実施形態では、クロージャは、連続圧縮成形プロセスを使用して作製され、0.0010~0.0035cm/クロージャ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲とこれらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の酸素透過率OTRを有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。例えば、本開示の実施形態では、クロージャは、連続圧縮成形プロセスを使用して作製され、0.0016~0.0033cm/クロージャ/日、又は0.0016~0.0032cm/クロージャ/日、又は0.0016~0.0030cm/クロージャ/日、又は0.0018~0.0030cm/クロージャ/日、又は0.0018~0.0028cm/クロージャ/日、又は0.0020~0.0030cm/クロージャ/日、又は0.0020~0.0028cm/クロージャ/日、の酸素透過率OTRを有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。
【0166】
本開示の一実施形態では、クロージャは、射出成形プロセスを使用して作製され、0.0010~0.0035cm/クロージャ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲とこれらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の酸素透過率OTRを有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。例えば、本開示の実施形態では、クロージャは、射出成形プロセスを使用して作製され、0.0016~0.0033cm/クロージャ/日、又は0.0016~0.0032cm/クロージャ/日、又は0.0016~0.0030cm/クロージャ/日、又は0.0018~0.0030cm/クロージャ/日、又は0.0018~0.0028cm/クロージャ/日、又は0.0020~0.0030cm/クロージャ/日、又は0.0020~0.0028cm/クロージャ/日、の酸素透過率OTRを有するPCO 1881 CSDクロージャを調製する。
【0167】
<キャスト(及びラミネーション)フィルム>
本開示の一実施形態では、上記のポリエチレンコポリマー組成物は、キャストフィルム又はラミネートフィルムの形成に使用される。
【0168】
キャストフィルムは、フラットダイからチルドロール又はニップロールに、任意選択で真空ボックス及び/又はエアナイフを用いて押し出される。フィルムは、単一又は複数のダイを介した様々な押出しによって得られる単層又は共押出多層フィルムであってもよい。得られたフィルムは、そのまま使用してもよく、あるいは、他のフィルム又は基材上に積層してもよく、例えば、熱積層、接着積層、又は基材への直接押出しによって積層することができる。得られたフィルム及びラミネートは、エンボス加工、延伸、熱成形などの他の成形操作に供することができる。コロナなどの表面処理を施して、フィルムを印刷することができる。
【0169】
キャストフィルム押出プロセスでは、薄いフィルムがスリットを通して冷却され、高度に研磨されたターニングロールに押し出され、そこで片側から急冷される。ローラーの速度は、延伸比と最終的なフィルムの厚さを制御する。次いで、フィルムは他方の側を冷却するために第2のローラーに送られる。最後に、それはローラーのシステムを通過し、ロール上に巻かれる。別の実施形態では、2つ以上の薄いフィルムが、2つ以上のスリットを通して冷却され、高度に研磨されたターニングロール上に共押出しされ、共押出しされたフィルムは、片側から急冷される。ローラーの速度は、延伸比と最終的な共押出フィルムの厚さを制御する。次いで、共押出しされたフィルムは、他方の側を冷却するために第2のローラーに送られる。最後に、それはローラーのシステムを通過し、ロール上に巻かれる。
【0170】
一実施形態では、キャストフィルム生成物は、1層以上の層をさらに積層して多層構造にしてもよい。
【0171】
キャストフィルム及びラミネートは、様々な目的で使用することができ、例えば、食品包装用(乾燥食品、生鮮食品、冷凍食品、液体、加工食品、粉末、顆粒)、洗剤、練り歯磨き、タオルの包装用、ラベル及び剥離ライナ用に使用することができる。フィルムはまた、特に延伸フィルムにおいて、ユニット化包装及び工業用包装に使用することができる。フィルムはまた、衛生用途及び医療用途、例えば、おむつ、成人失禁用製品、女性用衛生製品、オストミーバッグに用いられる通気性及び非通気性フィルム用にも適している可能性がある。最後に、キャストフィルムはテープや人工芝の用途にも使用できる。
【0172】
本開示の実施形態では、フィルム又はフィルム層は、正規化された酸素透過率OTR≦120cm/100インチ/日、又は≦110cm/100インチ/日、又は≦100cm/100インチ/日、又は≦95cm/100インチ/日、の正規化された酸素透過率OTRを有する。
【0173】
本開示の実施形態では、圧縮成形フィルム又はフィルム層は、正規化された酸素透過率OTR≦120cm/100インチ/日、又は≦110cm/100インチ/日、又は≦100cm/100インチ/日、又は≦95cm/100インチ/日、の正規化された酸素透過率OTRを有する。
【0174】
本開示の実施形態では、キャストフィルム又はフィルム層は、正規化された酸素透過率OTR≦120cm/100インチ/日、又は≦110cm/100インチ/日、又は≦100cm/100インチ/日、又は≦95cm/100インチ/日、の正規化された酸素透過率OTRを有する。
【0175】
本開示の実施形態では、ラミネーションフィルム又はフィルム層は、正規化された酸素透過率OTR≦120cm/100インチ/日、又は≦110cm/100インチ/日、又は≦100cm/100インチ/日、又は≦95cm/100インチ/日、の正規化された酸素透過率OTRを有する。
【0176】
本開示の実施形態では、フィルム又はフィルム層は、60~120cm/100インチ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の正規化された酸素透過率OTRを有する。例えば、本開示の実施形態では、フィルム又はフィルム層は、60~110cm/100インチ/日、又は60~100cm/100インチ/日、又は60~95cm/100インチ/日、又は65~100cm/100インチ/日、又は65~95cm/100インチ/日の正規化された酸素透過率OTRを有する。
【0177】
本開示の実施形態では、圧縮成形フィルム又はフィルム層は、60~120cm/100インチ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の正規化された酸素透過率OTRを有する。例えば、本開示の実施形態では、圧縮成形フィルム又はフィルム層は、60~110cm/100インチ/日、又は60~100cm/100インチ/日、又は60~95cm/100インチ/日、又は65~100cm/100インチ/日、又は65~95cm/100インチ/日の正規化された酸素透過率OTRを有する。
【0178】
本開示の実施形態では、キャストフィルム又はフィルム層は、60~120cm/100インチ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の正規化された酸素透過率OTRを有する。例えば、本開示の実施形態では、キャストフィルム又はフィルム層は、60~110cm/100インチ/日、又は60~100cm/100インチ/日、又は60~95cm/100インチ/日、又は65~100cm/100インチ/日、又は65~95cm/100インチ/日の正規化された酸素透過率OTRを有する。
【0179】
本開示の実施形態では、ラミネーションフィルム又はフィルム層は、60~120cm/100インチ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の正規化された酸素透過率OTRを有する。例えば、本開示の実施形態では、ラミネーションフィルム又はフィルム層は、60~110cm/100インチ/日、又は60~100cm/100インチ/日、又は60~95cm/100インチ/日、又は65~100cm/100インチ/日、又は65~95cm/100インチ/日の正規化された酸素透過率OTRを有する。
【0180】
本開示の実施形態では、フィルム又はフィルム層は、正規化された水蒸気透過率WVTR≦0.300g/100インチ/日、又は≦0.280g/100インチ/日、又は≦0.260g/100インチ/日、又は≦0.250g/100インチ/日、又は≦0.240g/100インチ/日、又は≦0.230g/100インチ/日、の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。
【0181】
本開示の実施形態では、圧縮成形フィルム又はフィルム層は、正規化された水蒸気透過率WVTR≦0.300g/100インチ/日、又は≦0.280g/100インチ/日、又は≦0.260g/100インチ/日、又は≦0.250g/100インチ/日、又は≦0.240g/100インチ/日、又は≦0.230g/100インチ/日、の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。
【0182】
本開示の実施形態では、キャストフィルム又はフィルム層は、正規化された水蒸気透過率WVTR≦0.300g/100インチ/日、又は≦0.280g/100インチ/日、又は≦0.260g/100インチ/日、又は≦0.250g/100インチ/日、又は≦0.240g/100インチ/日、又は≦0.230g/100インチ/日、の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。
【0183】
本開示の実施形態では、ラミネーションフィルム又はフィルム層は、正規化された水蒸気透過率WVTR≦0.300g/100インチ/日、又は≦0.280g/100インチ/日、又は≦0.260g/100インチ/日、又は≦0.250g/100インチ/日、又は≦0.240g/100インチ/日、又は≦0.230g/100インチ/日、の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。
【0184】
本開示の実施形態では、フィルム又はフィルム層は、0.160~0.300g/100インチ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。例えば、本開示の実施形態では、フィルム又はフィルム層は、0.160~0.280g/100インチ/日、又は0.160~0.260g/100インチ/日、又は0.160~0.250g/100インチ/日、又は0.160~0.240g/100インチ/日、又は0.180~0.280g/100インチ/日、又は0.180~0.260g/100インチ/日、又は0.180~0.250g/100インチ/日、又は0.180~0.240g/100インチ/日の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。
【0185】
本開示の実施形態では、圧縮成形フィルム又はフィルム層は、0.160~0.300g/100インチ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。例えば、本開示の実施形態では、圧縮成形フィルム又はフィルム層は、0.160~0.280g/100インチ/日、又は0.160~0.260g/100インチ/日、又は0.160~0.250g/100インチ/日、又は0.160~0.240g/100インチ/日、又は0.180~0.280g/100インチ/日、又は0.180~0.260g/100インチ/日、又は0.180~0.250g/100インチ/日、又は0.180~0.240g/100インチ/日の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。
【0186】
本開示の実施形態では、キャストフィルム又はフィルム層は、0.160~0.300g/100インチ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。例えば、本開示の実施形態では、キャストフィルム又はフィルム層は、0.160~0.280g/100インチ/日、又は0.160~0.260g/100インチ/日、又は0.160~0.250g/100インチ/日、又は0.160~0.240g/100インチ/日、又は0.180~0.280g/100インチ/日、又は0.180~0.260g/100インチ/日、又は0.180~0.250g/100インチ/日、又は0.180~0.240g/100インチ/日の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。
【0187】
本開示の実施形態では、ラミネーションフィルム又はフィルム層は、0.160~0.300g/100インチ/日(この範囲内の任意のより狭い範囲と、これらの範囲に含まれる任意の値とを含む)の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。例えば、本開示の実施形態では、ラミネーションフィルム又はフィルム層は、0.160~0.280g/100インチ/日、又は0.160~0.260g/100インチ/日、又は0.160~0.250g/100インチ/日、又は0.160~0.240g/100インチ/日、又は0.180~0.280g/100インチ/日、又は0.180~0.260g/100インチ/日、又は0.180~0.250g/100インチ/日、又は0.180~0.240g/100インチ/日の正規化された水蒸気透過率WVTRを有する。
【0188】
本開示のさらなる非限定的な詳細は、以下の実施例において提供される。実施例は、本開示の選択された実施形態を説明する目的で提示されており、提示された例は、提示された特許請求の範囲を限定しないことが理解される。
【実施例
【0189】
<一般的なポリマーの特性評価方法>
試験の前に、各試験片を、23±2℃及び相対湿度50±10%で少なくとも24時間コンディショニングし、その後の試験を23±2℃及び相対湿度50±10%で行った。本明細書において、「ASTM条件」という用語は、23±2℃及び相対湿度50±10%に維持される実験室を指し、試験前にこの実験室で少なくとも24時間コンディショニングした試験対象の試験片を指す。ASTMは、米国材料試験協会を指す。
【0190】
密度(g/cm)は、ASTM D792-13(2013年11月1日)を用いて決定した。
【0191】
メルトインデックスは、ASTM D1238(2013年8月1日)を用いて決定した。メルトインデックス、I、I、I10、及びI21は、それぞれ2.16kg、6.48kg、10kg、及び21.6kgの重量を使用して190℃で測定した。本明細書では、「応力指数(stress exponent)」という用語又はその頭字語「S.Ex.」は、以下の関係によって定義される:
S.Ex.=log(I/I)/log(6480/2160)
(式中、I及びIは、それぞれ6.48kg及び2.16kgの負荷を使用して190℃で測定したメルトフローレートである)。
【0192】
、M及びM(g/モル)は、ユニバーサル較正(例えば、ASTM-D6474-99)を用いた示差屈折率(DRI)検出を備えた高温ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。GPCデータは、「Waters 150c」の商品名で販売されている機器を使用して、140℃で移動相として1,2,4-トリクロロベンゼンを用いて取得した。この溶媒にポリマーを溶解することによって試料を調製し、濾過せずに行った。分子量は、数平均分子量(「Mn」)については2.9%、重量平均分子量(「Mw」)については5.0%の相対標準偏差を有するポリエチレン当量として表される。分子量分布(MWD)は、重量平均分子量を数平均分子量で除したもの(M/M)である。z平均分子量分布はM/Mである。ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内150℃で4時間回転盤上で回転させることにより、ポリマー試料溶液(1~2mg/mL)を調製した。酸化防止剤である2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を混合物に添加して、酸化分解に対してポリマーを安定化させた。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液を、流速1.0mL/分の移動相としてTCBを用い、濃度検出器として示差屈折率(DRI)を用いて、4つのSHODEX(登録商標)カラム(HT803、HT804、HT805及びHT806)を備えたPL220高温クロマトグラフィー装置で140℃でクロマトグラフィーにかけた。カラムを酸化分解から保護するために、BHTを移動相に250ppmの濃度で添加した。試料の注入量は200mLであった。生データをCIRRUS(登録商標)GPCソフトウェアで処理した。カラムは狭い分布のポリスチレン標準で較正した。ASTM標準試験法D6474に記載されているように、Mark-Houwink方程式を用いてポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に換算した。
【0193】
オンラインFTIR検出器(GPC-FTIR)を備えた高温GPCを使用して、分子量の関数としてコモノマー含量を測定した。
【0194】
一次融解ピーク(℃)、融解熱(J/g)及び結晶化度(%)は、以下のように示差走査熱量測定(DSC)を用いて決定した:機器を最初にインジウムで較正し、較正後、ポリマー試験片を0℃で平衡化し、次いで温度を10℃/分の加熱速度で200℃まで上昇させ、次いで溶融物を200℃で5分間等温に保持し、次いで溶融物を10℃/分の冷却速度で0℃まで冷却し、0℃で5分間保持し、次いでその試験片を10℃/分の加熱速度で200℃まで加熱した。DSC Tm、融解熱及び結晶化度は、第2の加熱サイクルから報告される。
【0195】
ポリエチレン組成物の短鎖分岐周波数(炭素原子1000個当たりのSCB)は、ASTM D6645-01法に従ってフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって決定した。測定にはOMNICバージョン7.2aソフトウェアを備えたThermo-Nicolet(商標)750 Magna-IR分光光度計を使用した。また、ポリエチレン組成物中の不飽和度は、ASTM D3124-98に従って、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって決定した。
【0196】
ヘキサン抽出物は、ASTM D5227に従って決定した。
【0197】
剪断粘度は、Kayeness WinKARSキャピラリーレオメーター(モデル番号c-115)を用いて測定した。より低い剪断速度での剪断粘度については、ダイ直径0.06インチ、L/D比20、及び入射角180度を有するダイを使用した。より高い剪断速度での剪断粘度については、ダイ直径0.012インチ、及びL/D比20を有するダイを使用した。
【0198】
本開示で使用される用語としての剪断粘度比は、240℃で、η100/η100000として定義される。加工性インジケータは、100/η100000として定義される。η100は、100秒-1の剪断速度での溶融剪断粘度であり、η100000は、100000秒-1の剪断速度での溶融剪断粘度である(240℃で測定)。
【0199】
本明細書で使用される「加工性インジケータ」は、以下のように定義される:
加工性インジケータ = 100/η(10-1、240℃)
(式中、ηは、240℃で、10 1/秒で測定した剪断粘度である)。
【0200】
動的機械的分析は、直径25mmの円錐及びプレート形状を使用して、190℃の窒素雰囲気下で、レオメーター、すなわちRheometrics Dynamic Spectrometer(RDS-II)又はRheometrics SR5又はATS Stresstechを用いて、圧縮成形試料について行った。振動剪断実験は、0.05~100ラジアン/秒の周波数での線形粘弾性歪みレンジ(10%歪み)内で行った。貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、複素弾性率(G)及び複素粘度(η)の値を周波数の関数として得た。同じレオロジーデータは、窒素雰囲気下190℃で直径25mmの平行プレート形状を使用することによっても得ることができる。ゼロ剪断粘度は、Ellisモデル、すなわち、
η(ω)=η/(1+τ/τ1/2α-1
を用いて推定され、式中、ηはゼロ剪断粘度である。τ1/2は、η=η/2となる剪断応力の値であり、αは調整可能なパラメータの1つである。Cox-Merz則は、本開示において適用可能であると想定されている。SHI(1,100)値は、国際公開第2006/048253号及び国際公開第2006/048254号に記載されている方法に従って計算する。
【0201】
DRIは、「ダウレオロジーインデックス」であり、次式によって定義される:
DRI=[365000(τ/η)-1]/10
(式中、τは、ポリエチレンの特徴的な緩和時間であり、ηは材料のゼロ剪断粘度である)。
DRIは、米国特許第6,114,486号に記載されているように、レオロジー曲線(動的複素粘度vs適用周波数、例えば、0.01~100ラジアン/秒)の最小二乗適合によって計算され、次の一般化されたCross方程式を用いる:
η(ω)=η/[1+(ωτ
(式中、nは、材料のべき乗則指数、η(ω)及びωは、それぞれ測定された複素粘度及び適用周波数データである)。
DRIを決定するときに、使用したゼロ剪断粘度ηは、Crossモデルではなく、Ellisモデルを用いて推定した。
【0202】
クロスオーバー周波数は、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の曲線が互いに交差する周波数であり、一方、G’@G’’=500Paは、損失弾性率(G’’)が500Paになる貯蔵弾性率である。
【0203】
CDBI(50)を決定するために、まずポリエチレン組成物について溶解度分布曲線を作成する。これは、TREF技術から得られたデータを使用して行われる。この溶解度分布曲線は、温度の関数として溶解したコポリマーの重量分率のプロットである。これが重量分率対コモノマー含量の累積分布曲線に変換され、ここから、中央値の両側のコモノマー含量中央値の50%以内のコモノマー含量を有するコポリマー試料の重量パーセンテージを確定することによって、CDBI(50)が決定される(国際公開第93/03093号パンフレット及び米国特許第5,376,439号参照)。当業者は、TREF溶出温度をコモノマー含量(すなわち、特定の温度で溶出するポリエチレン組成物画分におけるコモノマーの量)に変換するために検量線が必要であることを理解するであろう。そのような検量線の生成は、先行技術(例えば、Wild他、J.Polym.Sci.,Part B,Polym.Phys.,Vol.20(3),441-455頁)に記載されており、参照により本明細書に完全に組み込まれる。CDBI(25)は、中央値の両側のコモノマー含量中央値の25%以内のコモノマー含量を有するコポリマー試料の重量パーセンテージを確定することによって決定される。
【0204】
本明細書で用いた昇温溶出分別法(TREF)は以下の通りである。ポリマー試料(50~150mg)を、IR検出器を備えた結晶化TREFユニット(Polymer Char,Valencia Technology Park,Gustave Eiffel,8,Paterna,E-46980 バレンシア,スペイン)の反応容器に導入した。反応容器に20~40mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を充填し、所望の溶解温度(例えば、150℃)まで1~3時間加熱した。次いで、溶液(0.5~1.5ml)をステンレス鋼ビーズを充填したTREFカラムに充填した。所与の安定化温度(例えば、110℃)で30~45分間平衡化した後、ポリマー溶液を安定化温度から30℃までの温度低下(0.1又は0.2℃/分)で結晶化させた。30℃で30分間平衡化した後、結晶化した試料を、TCBを用いて(0.5又は0.75mL/分)、30℃から安定化温度までの温度勾配(0.25又は1.0℃/分)で溶出した。最後に、溶解温度で30分間、TREFカラムを洗浄した。データは、Polymer Charソフトウェア、Excelスプレッドシート、及び社内で開発されたTREFソフトウェアを使用して処理した。Polymer Charソフトウェアを使用して、ポリエチレン組成物がTREFカラムから溶出されるときに、TREF分布曲線が生成された(すなわち、TREF分布曲線は、TREF溶出温度の関数としてカラムから溶出するポリエチレン組成物の量(又は強度)のプロットである)。結晶化-TREFは、TREFモードで操作され、これは、溶出温度、Co/Ho比(コポリマー/ホモポリマー比)、CDBI(組成分布幅指数)、すなわちCDBI(50)及びCDBI(25)、高温溶出ピークの位置(℃)、並びに、95~105℃の温度で溶出する高密度画分(重量パーセントで表した「HD画分(HD fraction」)のおおよその量、の関数として、ポリマー試料の化学組成を生成した。
【0205】
ポリエチレンコポリマー組成物から成形されたプラークを、以下のASTM方法に従って試験した:50℃、100%IGEPAL、条件Bでのベントストリップ環境応力亀裂抵抗(ESCR)(ASTM D1693)、ノッチ付きアイゾット衝撃特性(ASTM D256)、曲げ特性(ASTM D 790)、引張特性(ASTM D 638)、ビカット軟化点(ASTM D 1525)、熱変形温度(ASTM D 648)。
【0206】
ポリエチレンコポリマー組成物の例は、第1の反応器の内容物が第2の反応器に流入する二重反応器溶液重合プロセスで生成された。この直列の「二重反応器」プロセスは、「その場で(“in-situ”)」ポリエチレンブレンド(すなわち、ポリエチレン組成物)を生成する。直列の反応器構成を使用する場合、第1反応器に存在する未反応のエチレンモノマー及び未反応のα-オレフィンコモノマーが、さらなる重合のために、下流の第2反応器に流入することに留意されたい。
【0207】
本発明の実施例では、コモノマーは下流の第2の反応器に直接供給されないが、それにもかかわらず、エチレンコポリマーが第2の反応器で形成され、これは、第1の反応器から第2の反応器に流れ、そこでエチレンと共重合される未反応の1-オクテンがかなり存在するためである。各反応器は、成分が十分に混合される条件を与えるために十分に撹拌される。第1の反応器の容量は12リットルであり、第2の反応器の容量は22リットルであった。これらはパイロットプラントスケールである。第1の反応器は、10500~35000kPaの圧力で操作され、第2の反応器は、より低い圧力で操作されて、第1の反応器から第2の反応器への連続流を促進した。使用した溶媒は、メチルペンタンであった。プロセスは、連続供給流を使用して動作する。二重反応器溶液プロセス実験で使用した触媒は、チタン錯体であるホスフィンイミン触媒であり、ホスフィンイミン配位子((tert-ブチル)P=N)、シクロペンタジエニド配位子(Cp)及び2つの活性化可能配位子を有する(塩化物配位子;注:「活性化可能な配位子」は、例えば、活性金属中心を生成するために助触媒又は活性剤を使用する求電子性の引き抜きによって除去される)。ホウ素ベースの助触媒(PhCB(C)は、チタン錯体に対してほぼ化学量論量で使用した。市販のメチルアルミノキサン(MAO)は、スカベンジャーとしてAl:Tiが約40:1で含まれていた。さらに、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキシ-4-エチルベンゼンを添加して、MAO内の遊離トリメチルアルミニウムを約0.5:1のAl:OHの比率で除去した。本実施例のポリエチレンコポリマー組成物を作製するために使用する重合条件を、表1に示す。
【0208】
例1~3のポリエチレンコポリマー組成物は、上記のような二重反応器溶液プロセスでシングルサイトホスフィンイミン触媒を使用して作製される。
【0209】
図1からわかるように、例1~3は、GPC分析において単峰性の分子量分布又はプロファイルを有する。
【0210】
比較例のポリエチレンホモポリマー組成物である例4-例6を、カナダ特許出願番号3,026,098に記載されているように、ホスフィンイミン触媒を使用して、二重反応器溶液重合プロセスで調製した。
【0211】
比較例のポリエチレンコポリマー組成物である例7及び例8は、例1~例6と同じ方法かつ同じ量でHYPERFORM(登録商標)HPN-20E(Milliken Chemicalから商業的に入手可能)を用いて核形成されたものであり(下記参照)、ホスフィンイミン触媒を使用する二重反応器溶液重合プロセスにおいて、その全体がそれぞれ本明細書に組み込まれる米国特許第7,737,220並びに米国特許公開第2008/0118749号及び米国特許公開第2015/0203671号に実質的に概説されている方法で調製した。
【0212】
非有核及び有核の実施例及び比較例のポリエチレン組成物の特性を、表2に示す。表に「*」の記号で示されている有核の実施例(例1~例3)及び有核の比較例(例4~例6)の樹脂は、以下の方法で調製した。Milliken Chemicalから入手したHYPERFORM(登録商標)HPN-20E核形成剤の4重量%マスターバッチを最初に調製した。このマスターバッチには、Kisuma Chemicalsから入手したDHT-4V(炭酸アルミニウムマグネシウム水酸化物)が1重量%含まれていた。次いで、ベース樹脂と核形成剤マスターバッチを、L/Dが32:1のCoperion ZSK 26共回転二軸スクリュー押出機を用いて溶融ブレンドし、(ポリエチレン組成物の重量に基づいて)1200ppmのHYPERFORM HPN-20E核形成剤が存在するポリエチレン組成物を得た。押出機には、水中ペレタイザーとGalaスピンドライヤーが取り付けられていた。材料を、重量分析フィーダーを用いて押出機に同時供給し、所望の核形成剤レベルを達成した。ブレンドを、200rpmのスクリュー速度を用いて、15~20kg/時の出力速度及び225~230℃の溶融温度で配合した。
【0213】
本発明のポリエチレンコポリマー組成物(例1~例3)のそれぞれに存在する第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーについて計算した特性を、表3に示す(これらの特性を計算する方法については、以下の「重合反応器モデリング」を参照)。比較の目的で、表3には、例4~例8の比較例ポリエチレン組成物に存在する第1及び第2のエチレンホモポリマーについて計算した特性も含まれる(これらの特性を計算する方法については、係属中のカナダ特許出願番号3,026,098を参照)。
【0214】
非有核及び有核の実施例のポリエチレンコポリマー組成物及び比較例の組成物から作製されたプレスされたプラークの特性を、表4に示す。
【0215】
<重合反応器モデリング>
コモノマー含量が非常に低い多成分(又は二峰性樹脂)ポリエチレンポリマーの場合、例えば、米国特許第8,022,143号で行われたように、GPC-FTIRデータの数学的逆畳み込み(mathematical deconvolution)によって、各ポリマー成分の短鎖分岐を確実に推定すること(及び、他の情報を組み合わせることによりポリエチレン樹脂の密度を確実に推定すること)は困難な場合がある。代わりに、実際のパイロットスケールの運転条件に利用された入力条件を用いた反応器モデルシミュレーションを使用して、M、M、M、M/M、及び第1及び第2のコポリマーの炭素1000個当たりの短鎖分岐(SCB/1000C)を、本明細書で計算した(関連する反応器モデリング方法に関する参考文献として、「Copolymerization」、A.Hamielec、J.MacGregor、A.Penlidis著、Comprehensive Polymer Science and Supplements、volume 3、Chapter 2、17頁、Elsevier(1996年)及び「Copolymerization of Olefins in a Series of Continuous Stirred-Tank Slurry-Reactors using Heterogeneous Ziegler-Natta and Metallocene Catalysts. I. General Dynamic Mathematical Model」、J.B.P Soares、A.E Hamielec著、Polymer Reaction Engineering、4(2&3)、153頁(1996年)を参照)。このタイプのモデルは、コモノマーの取り込みレベルが低くても、コモノマー(例えば、1-オクテン)含量の推定について信頼できると考えられており、その理由は、エチレン転化、エチレン投入流量及びコモノマー投入流量を実験条件から直接得ることができ、本開示で使用される触媒系について反応率(下記参照)を確実に推定できるためである。明確にするために、「モノマー」又は「モノマー1」はエチレンを表し、「コモノマー」又は「モノマー2」という用語は1-オクテンを表す。
【0216】
このモデルでは、各反応器に向かういくつかの反応種(例えば、触媒、エチレンなどのモノマー、1-オクテンなどのコモノマー、水素、及び溶媒)の流れ、温度(各反応器内)、及びモノマーの転化(各反応器内)を入力として受け取り、直列に接続された連続撹拌タンク反応器(CSTR)の末端動力学モデルを用いて、(各反応器内で作製されたポリマーの、すなわち、第1及び第2のエチレンコポリマーの)ポリマー特性を計算する。「末端動力学モデル(terminal kinetic model)」は、動力学が、活性触媒サイトが位置するポリマー鎖内のモノマー単位に依存することを前提としている(「Copolymerization」、A.Hamielec、J.MacGregor、A.Penlidis著、Comprehensive Polymer Science and Supplements、Volume 3、Chapter 2、17頁、Elsevier(1996年)参照)。このモデルでは、活性触媒中心でのモノマー/コモノマー単位の挿入の統計が有効であり、伝播以外の経路で消費されるモノマー/コモノマーが無視できることを確実にするために、コポリマー鎖は、かなり大きな分子量であると仮定している。これは、「長鎖」近似として知られている。
【0217】
重合の末端動力学モデルには、活性化、開始、伝播、連鎖移動、及び非活性化経路の反応速度方程式が含まれる。このモデルにより、上記で識別された反応種を含む反応流体の定常状態保存方程式(例えば、総物質収支及び熱収支)を解く。
【0218】
所与の数の入口と出口を備えた一般的なCSTRの総質量収支は、次式で与えられる:
【数1】
(式中、添え字iは入口流と出口流を示し、
は、個々の流れの質量流量を表す)。
【0219】
式(1)をさらに展開して、個々の種と反応を示すことができる:
【数2】
(式中、Mは、流体入口又は出口(i)の平均モル重量であり、xijは、流れi中の種jの質量分率であり、ρmixは、反応器混合物のモル密度であり、Vは反応器の容積であり、Rは、種jの反応率(単位はkmol/ms)である)。
【0220】
総熱収支は断熱反応器について解かれ、次式で与えられる:
【数3】
(式中、
は、流れi(入口又は出口)の質量流量であり、ΔHは、流れiのエンタルピーと参照状態のエンタルピーの差であり、qRx は、反応によって放出される熱であり、Vは反応器の容積であり、
は、作業入力(すなわち、撹拌機)であり、
は、熱の入力/損失である)。
【0221】
各反応器への触媒濃度の入力は、動力学モデルの方程式(例えば、伝播速度、熱収支及び物質収支など)を解くために、実験的に決定されたエチレン転化と反応器温度の値に一致するように調整される。
【0222】
各反応器へのH濃度の入力は同様に調整され、それにより、両方の反応器で作製されたポリマーの計算された分子量分布(それゆえ各反応器で作製されたポリマーの分子量)が、実験的に観察されたものと一致する。
【0223】
重合反応の重合度(DPN)は、連鎖移動/停止反応の速度に対する連鎖伝播反応の速度の比率で与えられる:
【数4】
(式中、kp12は、モノマー1が終端の成長ポリマー鎖にモノマー2を付加するための伝播速度定数であり、[m]は、反応器内のモノマー1(エチレン)のモル濃度であり、[m]は、反応器内のモノマー2(1-オクテン)のモル濃度であり、ktm12は、モノマー1が終端の成長鎖の、モノマー2への連鎖移動の停止速度定数であり、ktS1は、モノマー1が終端の鎖の自発的な連鎖停止速度定数であり、ktH1は、モノマー1が終端の鎖の水素による連鎖停止速度定数である。Φ及びΦは、それぞれモノマー1又はモノマー2で終端する鎖が占める触媒サイトの分率である)。
【0224】
ポリマーの数平均分子量(M)は、重合度とモノマー単位の分子量とから決まる。各反応器内のポリマーの数平均分子量から、シングルサイト触媒のフローリー分布を仮定して、各反応器内で形成されたポリマーの分子量分布が決定される:
【数5】
(式中、
【数6】
及びw(n)は、鎖長nを有するポリマーの重量分率である)。
【0225】
フローリー分布は、以下を適用することにより、一般的なログスケールのGPCトレースに変換できる:
【数7】
(式中、
【数8】
は、鎖長n(n=MW/28、ここで、28はC単位に対応するポリマーセグメントの分子量)を有するポリマーの示差重量分率であり、DPNは、式(4)によって計算された重合度である)。フローリーモデルから、各反応器で作製されたポリマーのM及びMは:M=2×M、及びM=1.5×Mである。
【0226】
両方の反応器の全体的な分子量分布は、各反応器で作製されたポリマーの分子量分布の合計であり、各フローリー分布は、各反応器で作製されたポリマーの重量分率で乗算される:
【数9】
(式中、
【数10】
は、全体的な分子量分布関数であり、wR1及びwR2は、各反応器で作製されたポリマーの重量分率であり、DPN及びDPNは、各反応器で作製されたポリマーの平均鎖長である(すなわち、DPN=MnR1/28))。各反応器で作製される材料の重量分率は、各反応器へのモノマーとコモノマーの質量流量を知ること、及び各反応器でのモノマーとコモノマーの転化率を知ることにより決定される。
【0227】
全体的な分子量分布(又は各反応器で作製されたポリマーの分子量分布)のモーメントは、式8a、8b、8cを使用して計算できる(上記ではフローリーモデルを想定しているが、以下の一般式は他のモデル分布にも適用される):
【数11】
【0228】
ポリマー生成物(各反応器内)中のコモノマー含量は、上記の末端動力学モデル及び長鎖近似を使用して計算することもできる(A.Hamielec、J.MacGregor、A.Penlidis著、Comprehensive Polymer Science and Supplements、volume 3、chapter Copolymerization、17頁、Elsevier(1996年)参照)。
【0229】
所与の触媒系について、コモノマー()の取り込みは、モノマー(例えば、エチレン)の転化、反応器内のコモノマーとモノマーの比率(γ)、及びモノマー2(例えば、1-オクテン)に対するモノマー1(例えば、エチレン)の反応率の関数:
=kp11/kp12である。
【0230】
CSTRの場合、ポリマー中のコモノマーに対するエチレンのモル比(Y)は、触媒系の反応率rを知ること、及び反応器内のエチレン転化率(Qm1)を知ることで推定できる。二次方程式は、瞬間的なコモノマーの取り込みについてのMay及びLewis方程式を用いて導出することができ(「Copolymerization」、A.Hamielec、J.MacGregor、A.Penlidis著、Comprehensive Polymer Science and Supplements、Volume 3、Chapter 2、17頁、Elsevier(1996年))、反応の周りの物質収支を解くことができる。ポリマー中の1オクテンに対するエチレンのモル比は、次の2次方程式の負の根である:
【数12】
(式中、Yは、ポリマー中の1-オクテンに対するエチレンのモル比であり、γは、反応器に流入する1-オクテンとエチレンの質量流量比であり、rは、触媒系のモノマー1とモノマー2の反応性比であり(r=kp11/kp12)、Qm1は、エチレンモノマー部分の転化率である)。
【0231】
次に、ポリマー中のモノマー1とモノマー2のモル比を知ることで、分岐周波数を計算できる:
【数13】
(式中、Yは、ポリマー中のモノマー2(1-オクテン)に対するモノマー1(エチレン)のモル比であり、BFは分岐周波数(炭素原子1000個当たりの分岐)である)。
【0232】
エチレン組成物の全体的な分岐周波数分布(BFD)は、各反応器で作製されたポリマーの分子量分布と重量分率、及び各反応器で作製されたエチレンコポリマーの平均分岐周波数(BF)を知ることによって計算できる。各反応器で作製されたポリマーの割合は、実験的な質量流量と、各反応器でのモノマーとコモノマーの転化率から計算できる。分岐周波数分布関数は、2つのフローリー分布から作成された全体的な分子量分布関数の各分子量の値の平均分岐含量を計算することによって得られる:
【数14】
(式中、BFMWは、分子量(MW)での分岐であり、wR1及びwr2は、反応器1及び反応器2で作製されたポリマーの重量分率であり、BFR1及びBFR2は、R1及びR2で作製されたポリマーの平均分岐周波数であり(式9及び10から)、F(MWR1)及びF(MWR2)は、反応器1及び反応器2からのフローリー分布関数である)。
【0233】
ポリエチレン組成物の全体的な分岐周波数は、各反応器で作製されたポリマーの分岐周波数の加重平均によって与えられる:
【数15】
(式中、BFavgは、全ポリマー(例えば、ポリエチレン組成物)の平均分岐周波数であり、w及びwは、各反応器で作製された材料の重量分率であり、BF及びBFは、各反応器で作製された材料の分岐周波数(例えば、第1及び第2のエチレンコポリマーの分岐周波数)である)。
【0234】
各反応器で得られるポリマーについて、上記の動力学モデルから得られる主要な樹脂パラメータは、分子量M、M、M、分子量分布M/M及びM/M、並びに分岐周波数(SCB/1000C)である。この情報を得て、成分(又は組成)密度モデルと成分(又は組成)メルトインデックスIモデルとを、経験的に決定された次の方程式に従って使用し、第1及び第2のエチレンコポリマーのそれぞれの密度とメルトインデックスIとを計算した:
密度:
【数16】
(式中、BFは分岐周波数であり、

【数17】
である)
メルトインデックスI(MI):
【数18】
【0235】
したがって、上記のモデルを使用して、反応器1及び2のそれぞれで形成されたポリエチレン組成物成分(すなわち、第1及び第2のエチレンコポリマー)の分岐周波数、重量分率(又は重量パーセント)、メルトインデックスI及び密度を推定した。
【0236】
【表1】
【0237】
【表2】


【0238】
【表3】

【0239】
【表4】


【0240】
<圧縮成形フィルムの作製方法>
実験室スケールの圧縮成形プレスWabash G304(Wabash MPI製)を使用して、実施例及び比較例のポリエチレン組成物から圧縮成形フィルムを調製した。必要な寸法と厚さの金属フレームに、測定した量の樹脂(例えば、ポリエチレン組成物のペレット)を充填し、2枚の研磨された金属プレートの間に挟んだ。測定して用いたポリマー量は、所望の膜厚を得るために十分であった。金属板への樹脂の付着を防ぐために、金属バッキングプレートの上にポリエステルシート(Mylar)を使用した。その樹脂を用いたこのアセンブリを圧縮プレスにロードし、低圧下(例えば、2トン又は4400ポンド/平方フィート)、200℃で5分間予熱した。プラテンを閉じ、高圧(例えば、28トン又は61670ポンド/平方フィート)をさらに5分間適用した。その後、プレスを、毎分約15℃の速度で約45℃に冷却した。サイクル完了後、フレームアセンブリを取り出して分解し、フィルム(又はプラーク)をフレームから分離した。その後の試験は、圧縮成形を行った時から少なくとも48時間後に行った。
【0241】
<マスキング法を用いた圧縮成形フィルムの酸素透過率(OTR)の決定>
圧縮成形フィルムの酸素透過率(OTR)は、米国ミネソタ州ミネアポリスのMOCON Incが製造したOX-TRAN(登録商標)2/20機器を使用して、ASTM F1249-90のバージョンを使用して試験した。この機器には2つの試験セル(AとB)があり、各フィルム試料を2回ずつ分析した。報告したOTRの結果は、これら2つの試験セル(AとB)の結果の平均であった。試験は、23℃の温度と0%の相対湿度で行った。典型的には、OTR試験に用いたフィルム試料領域は100cmであった。ただし、試料の量が限られているフィルムのバリア試験では、アルミ箔マスクを用いて試験領域を縮小した。マスクを使用すると、試験領域は5cmに縮小した。この箔マスクには、試料が取り付けられた片側に接着剤がついていた。次に、漏れのないシールを確保するために、第2の箔を最初の箔に取り付けた。使用したキャリアガスは、残りの窒素ガス中の2%水素ガスであり、試験ガスは超高純度酸素であった。圧縮成形フィルムのOTRは、圧縮成形プロセスから得られた対応するフィルムの厚さで試験した。ただし、異なる試料を比較するために、結果のOTR値は、1ミル(mil)の膜厚値に正規化されている。
【0242】
<マスキング法を用いた圧縮成形フィルムの水蒸気透過率(WVTR)の決定>
圧縮成形フィルムの水蒸気透過率(WVTR)は、米国ミネソタ州ミネアポリスのMOCON Incが製造したPERMATRAN-W(登録商標)3/34機器を使用して、ASTM D3985のバージョンを使用して試験した。この機器には2つの試験セル(AとB)があり、各フィルム試料を2回ずつ分析した。報告されたWVTRの結果は、これら2つの試験セル(AとB)の結果の平均であった。試験は、37.8℃の温度と100%の相対湿度で行う。典型的には、WVTR試験に用いたフィルム試料領域は50cmであった。ただし、試料の量が限られているフィルムのバリア試験では、アルミ箔マスクを用いて試験領域を縮小した。マスクを使用すると、試験領域は5cmに縮小した。この箔マスクには、試料が取り付けられた片側に接着剤が付いている。次に、漏れのないシールを確保するために、第2の箔を最初の箔に取り付けた。使用したキャリアガスは超高純度窒素ガスであり、試験ガスは相対湿度100%の水蒸気であった。圧縮成形フィルムのWVTRは、圧縮成形プロセスから得られた対応するフィルムの厚さで試験した。ただし、さまざまな試料を比較するために、結果のWVTR値は、1ミル(mil)の膜厚値に正規化されている。
【0243】
比較例及び実施例のポリエチレン組成物から作製されたプレスされたフィルムのバリア特性(OTR及びWVTR)を、表5に示す。
【0244】
【表5】


【0245】
表5、並びに図2及び図3のデータからわかるように、有核の実施例のポリエチレンコポリマー組成物から作製されたフィルムは、この実施例の組成物がより低い密度を有するにもかかわらず、同様に有核化された比較例のポリエチレンホモポリマー組成物から作製されたフィルムのOTR及びWVTR値に匹敵するOTR及びWVTR値を有していた。
【0246】
<射出成型によるクロージャの作製方法>
有核バージョンの実施例のポリエチレンコポリマー組成物と比較例の樹脂を、射出成形プロセスを用いてクロージャに作製した。住友製の射出成形機及び2.15gのPCO(plastic closure only:プラスチッククロージャのみ)1881炭酸化ソフトドリンク(CSD)クロージャモールドを使用して、本明細書のクロージャを調製した。28mmのスクリュー直径を有する住友製射出成形機(モデルSE75EV C250M)を使用した。4キャビティCSDクロージャモールドは、Z-moulds(オーストリア)によって製作された。2.15gのPCO 1881 CSDクロージャ設計は、Universal Closures Ltd.(英国)によって開発された。クロージャ製作中、4つのクロージャパラメータ、キャップ上部の直径、ボアシール直径、タンパーバンド直径及びキャップ全体の高さを測定し、品質管理仕様内になるようにした。
【0247】
国際飲料技術者協会(ISBT)の自主的な標準試験法を用いて、クロージャ寸法を決定した。使用した試験には、モールドキャビティの選択と、その特定のキャビティから作製された少なくとも5つのクロージャの測定が含まれる。生産日から少なくとも1週間経過したクロージャから少なくとも14の寸法測定値を得た。クロージャ寸法の測定は、Vision EngineeringのSwift Duoデュアル光学及びビデオ測定システムを用いて行った。すべての測定は、倍率10倍を使用し、METLOGIX(登録商標)Mビデオ測定システムソフトウェア(METLOGIX M:デジタルコンパレータ視野ソフトウェア、ユーザーズガイド参照)を利用して行った。
【0248】
クロージャを射出成形によって形成した。その射出成形加工条件を表6に示す。
【0249】
【表6】
【0250】
<射出成形クロージャの酸素透過率(OTR)>
クロージャを通過する酸素透過率を測定するために、ASTM D3985(クーロメトリックセンサを用いた、プラスチックフィルム及びシートを通過する酸素ガス透過率の標準試験方法)を以下のように適合させた。
【0251】
最初に、クロージャの不正開封防止バンド(タンパーエビデントバンド:tamper evident band)を外した。次に、クロージャの底部縁を(エポキシへのより良好な接着のために)サンドペーパーで軽く粗くし、次いで、(スイープガス用に)出口管とN導入用の入口管とを覆うように、クロージャを試験プレートに(DEVCON(登録商標)2部エポキシを用いて)エポキシで接着した。そのエポキシを一晩乾燥させた。クロージャ内部に突き出ている2本のガス管のうちの一方は、クロージャ内部に流入する流入窒素ガスを運び(窒素供給ライン)、他方は、スイープガス(例えば、窒素と、クロージャを取り囲む大気から浸透したガス)をクロージャ内部から検出器内に運んだ。大気中に存在する任意の酸素がクロージャ壁を透過している場合、それはスイープガスとしてクロージャ内部を出るN内の成分として検出された。プレート/クロージャ/チュービング装置を、23℃の温度に制御された環境チャンバ内に置かれた試験プレートと共に、OX-TRANローレンジ機器(PERMATRAN-C(登録商標)Model 2/21 MD)に接続した。大気中の酸素の検出のためのベースライン測定もまた、透過性の比較のために、(クロージャを用いるのと並行して)不透過性のアルミニウム箔を用いることによって行った。クロージャの酸素透過性を、cm/クロージャ/日という単位での平均酸素透過率として報告する。
【0252】
比較例及び実施例のポリエチレン組成物(すべて核形成されている)から作製された射出成形クロージャの酸素バリア特性を、表7に示す。
【0253】
【表7】
【0254】
表7及び図4のデータからわかるように、有核の実施例のポリエチレンコポリマー組成物から作製されたクロージャは、より高いOTR値を有していたが、(本実施例の組成物がより低い密度、特にははるかに低い密度であるにもかかわらず)、同様に有核化された比較例のポリエチレンホモポリマー組成物から作製されたクロージャのOTR値に依然として匹敵するOTR値を有していた。
【0255】
本開示によって記載されるような、より低い密度のポリエチレンコポリマー組成物の使用は、例えば、ボトル、容器などのためのキャップ若しくはクロージャ、又はパウチなどのための付属品のような、良好なバリア特性から恩恵を受け得る物品の製造において利点を有する可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0256】
良好なバリア特性を示すポリエチレン組成物が開示されている。このポリエチレン組成物は、例えば、ボトル又はキャストフィルム用のクロージャの調製に有用であり得る。

図1
図2
図3
図4