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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】筋肉関連の疾患を評価する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
A61B5/055 380
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021545456
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2020053068
(87)【国際公開番号】W WO2020161274
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】19156100.0
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520012194
【氏名又は名称】アムラ・メディカル・エービー
【氏名又は名称原語表記】AMRA Medical AB
【住所又は居所原語表記】Badhusgatan 5,582 22 Linkoeping,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ダールクビスト・ラインハルト、オロフ
(72)【発明者】
【氏名】リンゲ、ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ペル、ビドホルム
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0368729(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0326149(US,A1)
【文献】A Bosy-Westphal, et al.,Identification of skeletal muscle mass depletion across age and BMI groups in health and disease - there is need for a unified definition,International Journal of Obesity,2004年,1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者個人の筋肉関連の疾患を評価する評価装置の作動方法(100)であって、前記作動方法が、前記評価装置によって実行される以下のステップ、
前記被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値(20)を取得するステップ(101)と、
前記被験者個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値(10)を取得するステップ(102)と、ここで、前記データパラメータ値は、前記被験者個人の体組成の定量化されたパラメータに関連するものであり、
前記第1の筋肉の筋脂肪浸潤値(70)を取得するステップと、
前記筋脂肪浸潤値(70)を所定の閾値(80)と比較するステップ(107)と、
データベース(30)からある数の個人を選択するステップ(103)と、ここにおいて、前記データベースは、複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値(31)と、前記複数の個人についての前記第1の筋肉の筋肉量値(32)とを含み、前記データベースからのある数の個人の選択は、前記複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値を前記被験者個人の少なくとも1つのデータパラメータ値と比較することに基づき、それによって、選択された前記個人を含む仮想対照群(VCG)(40)を作成するものであり、
前記VCG(40)内の選択された前記個人についての前記筋肉量値(42)の予測値(50)を計算するステップ(104)と、
前記被験者個人についての前記筋肉量値(20)を、前記VCG(40)の決定された前記予測値(50)と比較するステップ(105)と、
前記筋脂肪浸潤値(70)と前記所定の閾値(80)との前記比較(107)と、前記筋肉量値(20)と前記VCG(40)の決定された前記予測値(50)との前記比較(105)と、を組み合わせるステップと、
を備える、評価装置の作動方法。
【請求項2】
前記予測値(50)は、前記VCG(40)内の選択された前記個人についての前記筋肉量値の平均値、中央値、又はモデル化された予測値である、請求項1に記載の評価装置の作動方法。
【請求項3】
前記筋肉量値(20,32,42)は、除脂肪筋量(FFMV)値である、請求項1又は2に記載の評価装置の作動方法。
【請求項4】
前記筋肉量値(20,32,42)は、前記第1の筋肉の第1の部分の有効体積を表し、前記第1の部分は、所定の閾値レベルTを下回る筋脂肪浸潤レベルを有し、前記有効体積は、前記第1の筋肉の前記第1の部分の体積に1-(1/T)*MFIを乗じることによって決定され、MFIは、前記第1の筋肉の前記第1の部分における前記筋脂肪浸潤レベルである、請求項1又は2に記載の評価装置の作動方法。
【請求項5】
筋脂肪浸潤の前記所定の閾値レベルTは、30~80%である、請求項4に記載の評価装置の作動方法。
【請求項6】
前記被験者個人についての前記第1の筋肉の前記筋肉量値(20)を前記VCG(40)の決定された前記予測値(50)と比較する前記ステップ(105)は、前記予測値(50)からの前記筋肉量値(20)の偏差の程度を決定するステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の評価装置の作動方法。
【請求項7】
前記予測値からの前記筋肉量値(20)の偏差についての決定された前記程度は、前記被験者個人についての前記筋肉量値が前記VCGの前記予測値を下回る又は上回る標準偏差の数である、請求項6に記載の評価装置の作動方法。
【請求項8】
偏差の決定された前記程度が所定の閾値を下回るかどうかを決定することによって、前記比較(105)に基づいて前記被験者個人の筋肉関連の疾患を決定するステップ(106)を更に含む、請求項6又は7に記載の評価装置の作動方法。
【請求項9】
前記データベース(30)からある数の個人を選択するステップ(103)は、少なくとも1つのデータパラメータ値(31b)が前記被験者個人のデータパラメータ値(10)から所定の範囲内にある個人を選択するステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の評価装置の作動方法。
【請求項10】
前記データベース(30)からある数の個人を選択するステップ(103)は、基準を満たす所定数の個人が前記データベース内で見つからなかった場合に、前記被験者個人のデータパラメータ値(10)からの範囲を拡大するステップを含む、請求項9に記載の評価装置の作動方法。
【請求項11】
前記被験者個人の前記第1の筋肉の筋肉量値(20)が、前記被験者個人についての磁気共鳴映像法(MRI)スキャン(60)に基づく、請求項1から10のいずれか一項に記載の評価装置の作動方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の作動方法を実行するように構成された評価装置を備えるシステム。
【請求項13】
被験者個人の筋肉関連の疾患を評価するように構成された評価装置であって、
前記被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値(20)を取得する(101)ように構成された取得手段と、ここで、前記筋肉量値は、前記第1の筋肉の第1の部分の有効体積を表し、前記第1の部分は、所定の閾値レベルTを下回る筋脂肪浸潤レベルを有し、前記有効体積は、前記第1の筋肉の前記第1の部分の体積に1-(1/T)*MFIを乗じることによって決定され、MFIは、前記第1の筋肉の前記第1の部分における前記筋脂肪浸潤レベルであり、データパラメータ値が前記被験者個人の体組成の定量化されたパラメータに関連するものであり、
データベース(30)からある数の個人を選択する(103)ように構成された選択手段と、ここで、前記データベースは、複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値(31)と、前記複数の個人についての前記第1の筋肉の筋肉量値(32)とを含み、前記データベースからのある数の個人の選択は、前記複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値を前記被験者個人の少なくとも1つのデータパラメータ値と比較することに基づき、それによって、選択された前記個人を含む仮想対照群(VCG)(40)を作成するものであり、
前記VCG(40)内の前記個人についての前記筋肉量値(42)の予測値(50)を計算する(104)ように構成された計算手段と、
前記被験者個人についての前記筋肉量値(20)を、前記VCG(40)の決定された前記予測値(50)と比較する(105)ように構成された比較手段と、
を備える評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被験者個人の筋肉関連の疾患を評価する方法に関し、特に、筋肉量値を入力データの一部として使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人の健康関連の疾患を特定するための多くの異なる方法がある。サルコペニアなどのいくつかの筋肉関連の疾患は、時間に経過と共にゆっくりと進行するため、特定のテストを繰り返す一般的に使用される方法を使用困難にし得る。
【0003】
例えば、サルコペニアは、時間の経過に伴う筋肉の量と機能の進行性の低下を特徴とする疾患であり、いくつかの異なる疾患領域において有害転帰をもたらす。
【0004】
低い筋肉質量の特定のために広く使用されている二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)及び生体電気インピーダンス法(BIA)では、四肢骨格筋量(ASM)を推定し、筋肉質量が特に低い被験者に対して敏感な閾値の特定のための基礎を提供している。
【0005】
サルコペニア及びその結果を理解する上での主要な課題は、一般集団では、正常な生理機能に大きなばらつきがある点である。低い筋肉量の原因は必然的に多岐にわたる。健康的なライフスタイルが低カロリー摂取と組み合わされると筋肉量が低下し得るため、低い筋肉量を有する特定の表現型は寿命と関連している場合がある。そのような個人をサルコペニアと特定することは、サルコペニアの定義の特異性の観点から問題である。個人の観点から、現在のサルコペニアの定義に対してより一層問題となるのは、早期診断を困難にする肥満の蔓延の拡大である。より高いボディマス指数(BMI)の場合、個人の体重が増加し続けた結果として筋肉量が増加するため、低い筋肉量によるサルコペニア患者の特定がより困難になる。そのため、測定された筋肉量に対してある範囲の身体サイズ調整を適用する方法、すなわち、例えばASMを身長、体重、又はBMIで割る方法、が開示されてきた。しかしながら、好ましい調整が何であるかについての議論は依然として続いており、サルコペニアの定義及び診断に関する最近更新された欧州コンセンサス(EWGSOP2)では、具体的な推奨がなされていない。サルコペニア型肥満を検出するための別の課題は、長時間の間、消耗による脂肪質量の減少が、患者が体重を減少させようとする意欲によって曖昧にされてしまう可能性がある点である。これらの課題に加えて、DXA機器ブランドによって、結果が一貫しておらず、筋肉質量の測定は、身体の厚み及び身体の水分補給状態の影響を受ける可能性がある。BIAにも同様の制限がある。
【0006】
機能低下を特定するために、握力、椅子立ち上がり、歩行速度、400メートル歩行テスト、タイムアップアンドゴーテスト、及び簡易身体能力バッテリーを含むいくつかの測定が提案されており、一般的に使用されている。これらは低コストで入手できるが、筋肉に特異的ではないため、低機能の病因に対する感度は高くない。これらのテストに影響を与え得る要因は、例えば、テストを行うモチベーション、患者の一般的なフィットネスレベル、神経学的原因、疼痛、又は関節炎である。更に、患者は、疾患の後期になると、これらの各検査を実施することが困難になっていく可能性がある。
【0007】
サルコペニアに関する現在のコンセンサスは、サルコペニアを評価及び確認するために機能的な測定値と筋肉の量又は質との組合せを使用することである。サルコペニア診断における特異性を増加させるために組合せが必要である。低筋力の病因には、例えば、うつ病、脳卒中、平衡障害、又は末梢血管障害があり得、筋体積低下の病因(一般集団と比較して)には、単に身体サイズが小さいことが挙げられ得る。
【0008】
従って、例えばサルコペニア、悪液質、筋肉変性疾患、又は例えば運動不足若しくは体重減少による筋肉の変化などの筋肉関連の疾患を評価する方法であって、過体重及び肥満の個人にも適用可能であり、これまでの既知の方法よりも効果的かつ予測可能な方法が必要である。
【発明の概要】
【0009】
磁気共鳴映像法(MRI)は、コンピュータ断層撮影(CT)と共に、筋肉量の非侵襲評価のゴールドスタンダードと考えられている。体組成プロファイリングは、伝統的な体組成(総除脂肪筋組織体積及び総脂肪組織体積)の同時評価だけでなく、内臓脂肪組織(VAT)、肝臓脂肪、及び筋脂肪浸潤(MFI)などの、脂肪組織分布及び異所性脂肪蓄積の詳細な特徴付けも可能にする、標準化されたMRI検査を利用したコンセプトである。筋脂肪浸潤は、これまで筋肉の質の定量的尺度として使用されてきたものであり、様々な筋ジストロフィーの説明における確立されたバイオマーカーである。EWGSOP2は、筋肉の質の評価が、治療選択の指針となったり、将来的に治療への反応を監視したりするのに役立つことを期待している。
【0010】
本発明の目的は、現在の方法に伴う上述した欠点を軽減する改善された解決策を提供することである。更に、本発明の目的は、例えば、BMIの個別化された不変量の閾値に関して、サルコペニア又は悪液質などの筋肉関連の疾患を決定する方法、例えば、異常に低い筋肉量を特定する方法を提供することである。
【0011】
本発明は、添付の独立請求項によって定義され、実施形態は、添付の従属請求項、以下の説明、及び図面に記載されている。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、被験者個人の筋肉関連の疾患を評価する方法が提供される。本方法は、被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値を取得するステップと、被験者個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値を取得するステップと、ここにおいて、データパラメータ値は、被験者個人の体組成の定量化されたパラメータに関連する、データベースからある数の個人を選択するステップと、ここにおいて、データベースは、複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値と、上記複数の個人についての上記第1の筋肉の筋肉量値とを含み、データベースからのある数の個人の選択は、少なくとも1つのデータパラメータ値を被験者個人の少なくとも1つのデータパラメータ値と比較することに基づき、それによって、選択された個人を含む仮想対照群(VCG)を作成する、VCG内の個人の筋肉量値の予測値を計算するステップと、被験者個人の筋肉量値をVCGの決定された予測値と比較するステップとを含む。
【0013】
少なくとも1つのデータパラメータ値は、BMI(ボディマス指数)、性別、年齢(例えば、範囲内)、民族性、総脂肪量、総筋肉量、又は個人の体組成を表す別の重さ及び/若しくは長さ関連パラメータの群から選択されるパラメータの値であり得る。パラメータの種類は、被験者個人に類似する個人を見つける目的で、データベースから個人を選択するための基礎を提供するために選択され得る。一実施形態では、被験者個人について2つのデータパラメータ値が取得され得、データベースは、その中にその個人についての対応する2つのデータパラメータ値を含み得る。そのような2つのパラメータは、一実施形態では、個人の重さ及び/又は長さに関するデータを含むパラメータを表す体組成及び性別であり得る。他の実施形態では、2つのパラメータは、例えば、BMIと性別、総脂肪量と性別、総筋肉量と性別、BMIと総脂肪量、BMIと年齢、BMIと民族性、年齢と総脂肪量、又はBMIと総筋肉量であり得る。2つのパラメータを使用してVCGのためにデータベースから個人を選択する場合、更なる選択からデータベースのコホートの一部を除外するためにまずは第1のデータパラメータが使用され得る。次いで、VCGのために個人を選択するために、データベースコホートの除外されていない部分に対して第2のデータパラメータが使用され得る。そのような第1のデータパラメータは、例えば性別であり得、被験者個人が女性である場合、その第1のフィルタリングにおいて、男性の個人が除外される。データベース内の女性の個人の中で、第2のデータパラメータ、例えばBMIを使用して、データベース内の女性の個人のBMI値を被験者個人のBMIと比較することによって、選択が実行され得る。更なる実施形態では、データベースからVCGに個人を選択するために、より多くのデータパラメータが使用され得る。例えば、被験者個人についての3つ、4つ、又はそれ以上のデータパラメータが取得され得、データベースは、その中にその個人についての対応する3つ、4つ、又はそれ以上のデータパラメータを含み得、VCGのための個人の選択は、上記3つ、4つ、又はそれ以上のデータパラメータに基づき得る。実例となる例として、選択は、被験者個人及びデータベース内の個人についての性別、民族性、年齢、及びBMIに基づき得る。
【0014】
第1の筋肉の筋肉量値は更に、MRIスキャン及び画像解析を使用して決定可能であり得る。すなわち、第1の筋肉の筋肉量値は、磁気共鳴映像装置を用いて取得され得る。大腿筋のサイズは個人の身体サイズに密接に関係している可能性があるため、第1の筋肉は大腿筋であり得る。
【0015】
筋肉量とは、筋体積、筋肉質量、筋肉の断面積、又はそれらの組合せに基づく筋肉の定量化を意味し得る。
【0016】
予測値は、データベースから選択された個人についての第1の筋肉の筋肉量値に基づいて決定された値であり得、これは、群についての第1の筋肉の共通値の予測を提供する。そのような予測値は、いくつかの異なる方法で計算又はモデル化され得る。予測値の目的は、VCG内の個人からなる群全体についての第1の筋肉の筋肉量値の数値表現を提供することである。次いで、予測値の形態のこの表現は、被験者個人の筋肉量値と比較され得る。それによって、予測値は、筋肉関連の疾患を決定する際の、被験者個人についての個人基準値を提供し得る。
【0017】
被験者個人を表すデータパラメータのデータパラメータ値を使用して仮想対照群を作成することで、データパラメータと筋肉量との間の正規化された関係を用いて、第1の筋肉の筋肉量値を使用した決定が行われ得、それによって、例えば身体サイズで調整された個別化された閾値(予測値)が提供され得る。従って、本発明は、身体サイズ、例えば長さ及び重さを同時に補正する筋肉量の基準値を提供する体系的な方法を提供する。それによって、筋肉量は、長さ及び重さに関して正規化される。
【0018】
本方法が評価の基礎を提供し得る筋肉関連の疾患は、あらゆる種類の筋肉変性疾患、サルコペニア、悪液質、成長障害、筋肉関連の代謝性疾患、神経疾患であり得る。更に、本発明は更に、ワークアウト関連の状態、例えばワークアウト結果、リハビリテーション手段、又は減量中などの個人の他の筋肉関連の変化を評価するために使用され得る。任意の状況において、本方法は、異なる体組成に従う正規化された基準値を用いて、被験者個人の筋肉関連の疾患を評価するために使用され得る。
【0019】
一実施形態では、予測値は、VCG内の個人についての筋肉量値の平均値、中央値、又はモデル化された予測値であり得る。
VCG内の個人についての平均値、中央値、又はモデル化された予測値を決定することによって、群についての筋肉量の共通値を表すと予測される値が提供され得る。このような決定は、被験者個人についての筋肉量値との比較に適した予測値を提供し得る。
【0020】
一実施形態では、筋肉量値は、除脂肪筋量(FFMV)値であり得る。サルコペニア又は他の筋肉関連の疾患を評価する場合、除脂肪筋量は、評価での使用に適したバイオマーカーであり得る。更に、大腿筋の体積は身体サイズに密接に関係している可能性があるため、脂肪を含まない大腿筋の体積がバイオマーカーとして使用され得、それによって、個人の身体サイズを補償する。
【0021】
一実施形態では、筋肉量値は、第1の筋肉の第1の部分の有効体積を表し得、上記第1の部分は、所定の閾値レベルTを下回る筋脂肪浸潤レベルを有し、有効体積は、第1の筋肉の第1の部分の体積に1-(1/T)*MFIを乗じることによって決定され、MFIは、第1の筋肉の第1の部分における筋脂肪浸潤レベルである。第1の筋肉は、高レベルの脂肪浸潤により、部分的に損傷しているか、又はそうでなければ機能しない可能性があり得る。本方法では、筋肉量値を提供するときに、閾値レベルを上回る脂肪浸潤レベルを有する筋肉の第2の部分を無視することができる。有効という用語は、第1の筋肉の第1の部分の体積を、筋肉の機能の観点から有効なままである筋肉の体積として認識するために使用され得る。第1の筋肉の第1の部分、すなわち閾値レベルを下回る筋脂肪浸潤を有する部分が、筋肉量値のための基礎として使用され得る。筋肉の第1の部分について、その第1の部分における筋脂肪浸潤に基づいて有効体積が決定される。第1の部分の体積に1-(1/T)*MFIを乗じることによって、有効体積値が提供され得、これは、筋脂肪浸潤がゼロの場合には第1の部分の全体積が使用され、筋脂肪浸潤レベルが所定の閾値に向かって増加すると第1の部分の有効体積がゼロに向かうことを規定する。それによって、第1の筋肉の残りの機能に基づく評価を可能にする第1の筋肉の有効体積が提供され得る。一実施形態では、筋脂肪浸潤の所定の閾値レベルは、30~80%であり得る。更なる実施形態では、所定の閾値レベルは40~70%であり得る。更なる実施形態では、所定の閾値レベルは、45~55%であり得る。更なる実施形態では、所定の閾値レベルは約50%であり得る。データベース内の個人の筋肉量値は、それぞれの個人の対応する有効体積を、被験者個人についての筋肉量値として表す筋肉量値であり得る。
【0022】
別の実施形態では、被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値をVCGの決定された予測値と比較するステップは、予測値からの筋肉量値の偏差の程度を決定するステップを含む。予測値に対する筋肉量値の分散は、予測値からの個人の筋肉量値の偏差の数値表現を提供し得る。被験者の筋肉量値に対する個別化された基準値を提供する予測値は、基礎として使用され得、それとの比較は、そこからの筋肉量値による偏差の程度を提供し得る。更なる実施形態では、偏差の程度は、被験者個人についての筋肉量値が予測値を下回る又は上回る標準偏差の数であり得る。被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値を予測値と比較すると場合、筋肉量値が予測値を下回る又は上回る標準偏差の数は、VCGの予測値に対する筋肉量値の関係の効果的な分析を提供し得る。結果として、これは、筋肉関連の疾患の効果的な決定又は評価を提供し得る。
【0023】
一実施形態では、本方法は、決定された偏差の程度が所定の閾値を上回るか下回るかを決定することによって、上記比較に基づいて被験者個人の筋肉関連の疾患を決定するステップを更に含み得る。評価対象の疾患に応じて、評価の結果が特定の疾患を示し得る閾値が選択され得る。
【0024】
更なる実施形態では、データベースからある数の個人を選択するステップは、少なくとも1つのデータパラメータ値が被験者個人のデータパラメータ値から所定の範囲内にある個人を選択するステップを含み得る。データベース内の個人についてのデータパラメータ値は、BMIなどに関する数値であり得る。VCGのために個人を選択する場合、データベース内の個人のデータパラメータ値が被験者個人のデータパラメータ値と比較され得、個人のデータパラメータ値が所定の範囲内である場合、その個人はVCGに選択され得る。所定の範囲は、固定され得るか、又は性別、年齢などの被験者個人の別のパラメータに依存し得る。2つ以上のデータパラメータ値が存在し、選択に使用される場合、被験者個人のデータパラメータ値の所定の範囲に基づく選択は、データパラメータ値のうちの1つ、利用可能なデータパラメータ値の一部、又はデータパラメータ値の全てに適用され得る。
【0025】
例として、被験者個人のBMIから±2kg/m以内のBMIを有する場合、データベースからの個人がVCGのために選択され得る。
【0026】
一実施形態では、データベースからある数の個人を選択するステップは、基準を満たす所定数の個人がデータベース内で見つからなかった場合に、被験者個人のデータパラメータ値からの範囲を拡大するステップを含み得る。上記の例に従って、VCGのための個人が所定の数に達していない場合、範囲は、所定の数に達するまで0.1kg/m単位で段階的に拡張され得る。
【0027】
別の実施形態では、方法は、被験者個人についての第2のバイオマーカーのパラメータ値を取得するステップを更に含み得る。第2のバイオマーカーは、筋肉関連の疾患の評価を改善し得る。第2のバイオマーカーのパラメータ値は、被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値をVCGについての予測値と比較した結果と組み合わせて、上記評価で使用され得る。第2のバイオマーカーは、第1の筋肉についての筋肉関連のバイオマーカーであり得る。代替的に、第2のバイオマーカーは、第2の筋肉又は総筋肉量についての筋肉関連のバイオマーカーであり得る。更に別の実施形態では、第2のバイオマーカーは、内臓脂肪の量、臓器中の脂肪含有量など、筋肉に関連していないバイオマーカーであり得る。第2のバイオマーカーのパラメータ値は、被験者個人のMRIスキャンに基づいて取得され得る。一実施形態では、方法は、MRIスキャンを実行するステップを含み得、第2のバイオマーカーのパラメータ値は、実行されたMRIスキャンに基づいて取得され得る。ある実施形態では、筋肉量値がMRIスキャンから取得される場合、第2のバイオマーカーのパラメータ値を取得するために、同じMRIスキャンが使用され得る。
【0028】
更なる実施形態では、第2のバイオマーカーのパラメータ値が所定の閾値と比較され得る。第2のバイオマーカーのパラメータ値は、所定の閾値と比較され得る。閾値は、固定され得るか、又は性別、体重、BMI、総脂肪量、総筋肉量などの被験者個人のデータパラメータ値に依存し得る。
【0029】
一実施形態では、第2のバイオマーカーのパラメータ値と所定の閾値との比較は、筋肉量値とVCGの予測値との比較と組み合わされる。それによって、疾患の評価は、それぞれ、筋肉量及び第2のバイオマーカーのパラメータ値と予測値及び所定の閾値との二次元比較で実行され得る。このような動作は、被験者個人の疾患を評価するための効果的な分析を提供し得る。
【0030】
更なる実施形態では、第2のバイオマーカーは、筋脂肪浸潤であり得る。本方法によってサルコペニアの存在又はリスクが決定される実施形態では、第2のバイオマーカーは、好ましくは筋肉量と同じ筋肉又は筋肉型の筋脂肪浸潤(MFI)であり得る。筋肉量又はFFMVと組み合わせてMFIを使用することによって、筋の組成のより完全な記述が提供され得る。MFIは、不健康な状態の追加の徴候を更に提供し得る。MFIは、筋肉内脂肪組織(IMAT)とも呼ばれ得る。
【0031】
一実施形態では、被験者個人の第1の筋肉の筋肉量値は、被験者個人のMRIスキャンに基づき得る。被験者個人のMRIスキャンは、筋肉量の効果的かつ正確な定量化を提供し得る。MRIスキャンから被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値を得るために、そのようなバイオマーカーを定量化する任意の既知の方法が使用され得る。1つのそのような方法は、欧州特許第2283376号明細書に開示されている。一実施形態では、方法は、被験者個人のMRIスキャンを実行するステップを含み得、筋肉量値は、MRIスキャンから取得され得る。これに対応して、筋肉量値について上述したことは、第2のバイオマーカーのパラメータ値にも適用され得る。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、上記実施形態のいずれかによる方法を実行するように構成された手段を備えるシステムが提供される。そのような手段は、上記方法を実行するように構成されたコンピュータであり得る。コンピュータには、上記方法を実行するように構成されたコンピュータプログラム製品が備わっていてもよい。
【0033】
本発明の第3の態様によれば、被験者個人の筋肉関連の疾患を評価するように構成された評価装置が提供されており、この評価装置は、被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値を取得するように構成された取得手段と、ここにおいて、筋肉量値は、第1の筋肉の第1の部分の有効体積を表し、上記第1の部分は、所定の閾値レベルTを下回る筋脂肪浸潤レベルを有し、有効体積は、第1の筋肉の上記第1の部分の体積に1-(1/T)*MFIを乗じることによって決定され、MFIは、第1の筋肉の第1の部分における筋脂肪浸潤レベルであり、データパラメータ値は、被験者個人の体組成の定量化されたパラメータに関連する、データベースからある数の個人を選択するように構成された選択手段と、ここにおいて、データベースは、複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値と、上記複数の個人人についての上記第1の筋肉の筋肉量値とを含み、データベースからのある数の個人の選択は、少なくとも1つのデータパラメータ値を被験者個人の少なくとも1つのデータパラメータ値と比較することに基づき、それによって、選択された個人を含む仮想対照群(VCG)を作成する、VCG内の個人の筋肉量値の予測値を計算するように構成された計算手段と、被験者個人の筋肉量値をVCGの決定された予測値と比較するように構成された比較手段とを備える。評価装置内の異なる手段には、一実施形態では、それぞれの取得ユニット、選択ユニット、計算ユニット及び比較ユニットが備わっていてもよい。これらのユニットは、1つ又は複数のコンピュータユニット又は処理ユニットにおいて提供され得る。
【0034】
本発明は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態による方法のフローチャート図を示す。
図2】本発明の実施形態による方法のブロック図を示す。
図3】筋肉量値と予測値との比較と、MFI値と所定の閾値との比較を組み合わせて使用した評価を示す。
図4】FFMViVCGとMFIとの関係(coupling)及びそれらの分布の図を示す。
図5】男女別のBMIクラス内の筋肉評価に失敗した被験者の割合に対する、FFMViVCGと比較したFFMViへの閾値適用の影響を示す。
図6-1】サルコペニア検出のための筋肉量の評価に一般的に使用される他の身体サイズ調整と比較した、FFMViVCGとBMIとの間の関連性を示す。
図6-2】サルコペニア検出のための筋肉量の評価に一般的に使用される他の身体サイズ調整と比較した、FFMViVCGとBMIとの間の関連性を示す。
図6-3】サルコペニア検出のための筋肉量の評価に一般的に使用される他の身体サイズ調整と比較した、FFMViVCGとBMIとの間の関連性を示す。
図7-1】ASMi、FFMV、FFMVi、ASMi/BMI、FFMV/BMI、及び/又はFFMVi/BMIのものと比較した、FFMViVCG及びMFIと年齢との関係を示す。
図7-2】ASMi、FFMV、FFMVi、ASMi/BMI、FFMV/BMI、及び/又はFFMVi/BMIのものと比較した、FFMViVCG及びMFIと年齢との関係を示す。
図7-3】ASMi、FFMV、FFMVi、ASMi/BMI、FFMV/BMI、及び/又はFFMVi/BMIのものと比較した、FFMViVCG及びMFIと年齢との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、本発明の好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照して以下でより完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全となり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えることができるように提供される。図面では、同様の番号は同様の要素を指す。
【0037】
図1は、被験者個人の筋肉関連の疾患を評価する開示された方法100の概要を例示する。方法100は、被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値を取得するステップ(101)を含む。これは、例えば、被験者個人の大腿筋の除脂肪筋量(FFMV:Fat-free Muscle Volume)値であり得る。更に、被験者個人の体組成の定量化されたパラメータを提供する少なくとも1つのデータパラメータ値が取得される(102)。そのようなデータパラメータは、例えば、性別及びBMIであり得る。次に、複数の個人の少なくとも1つのパラメータデータ値と、複数の個人についての上記第1の筋肉の筋肉量値とを含むデータベースから、ある数の個人の選択(103)が行われる。データベース内の個人についてその中に値が存在するデータパラメータ(複数可)は、好ましくは、被験者個人について取得されるものと同じデータパラメータ(複数可)である。データパラメータの少なくとも1つのデータパラメータ値を被験者個人の少なくとも1つのデータパラメータ値と比較することに基づいて、ある数の個人がデータベース内の複数の個人の中から選択される。それによって、被験者個人の仮想対照群(VCG)が作成される。VCGを作成した後、VCG内の個人についての第1の筋肉の筋肉量値の予測値が決定される(104)。予測値は、被験者個人の筋肉量値との比較(105)に使用される。この比較(105)は、被験者個人の筋肉関連の疾患の評価を提供し得る。従って、被験者個人の疾患の決定(106)が行われ得る。
【0038】
図2は、本発明の実施形態を更に例示している。被験者個人についての2つのデータパラメータ10、性別、及びBMIが提供される。これらの値は、データベース30内のある数n個の個人についての対応するデータパラメータ値31a,31bと比較される。データパラメータ31aは、データベース30内の個人の性別(男性又は女性)を示す。データベース30は更に、その中の各個人についての筋肉量値32を含む。個人のデータパラメータ10とデータベース30内の個人のデータパラメータ31a,31bとの間の比較に基づいて選択(103)が行われ、データベース30内のn個の個人から選択されたm個の個人を含む仮想対照群(VCG)40を形成する。VCG40内の個人について、筋肉量値42は、予測値50を計算する(104)ために使用される。予測値50は、例として、VCG40における筋肉量値42の平均値であり得る。最後に、予測値50が、被験者個人の筋肉量値(例えば、除脂肪筋量(FFMV)値)20と比較される。それによって、被験者個人の筋肉関連の疾患の評価が提供され、個別化された閾値が提供され、それによって、被験者個人の身体サイズに関して評価を正規化する。
【0039】
被験者個人の筋肉量値50は、筋肉の定量化された値を提供するMRIスキャン60から取得され得る。被験者個人のデータパラメータ10は、典型的には、以前のデータ又は測定値から取得される。
【0040】
評価は、ここでは筋脂肪浸潤(MFI)値70として例示される第2のバイオマーカー値を取得し、この値を所定の閾値80と比較する(107)追加のステップを更に含み得る。これは、特に、個別化された閾値を使用した筋肉量値の比較と組み合わされた場合、被験者個人の筋肉関連の疾患の評価の効率及び精度の向上をもたらし得る。
【0041】
図3は、筋肉量値50と予測値との比較105と、MFI値70と所定の閾値80との比較107を組み合わせて使用した評価を例示する。この図は、評価に基づいた被験者個人の筋肉関連の疾患200を視覚化するために使用され得る。
【0042】
以下では、被験者個人についてのバイオマーカーとして、除脂肪筋量(FFMV)を使用して、サルコペニアの有無を決定する方法が実施形態において説明される。方法間の相関を見るために、筋肉量低下の決定に使用される以前から知られている筋肉評価と比較した方法の結果に関する説明も含まれる。上述したように、本実施形態では、FFMVとは別の筋肉量の表現も使用され得ることに留意されたい。
【0043】
異常に低い筋体積を特定する個別化されたサルコペニア閾値を用いたサルコペニアの判定に対する基礎を提供するために、被験者個人について仮想対照群(VCG)を作成し、FFMV/身長(FFMVi)という指数を使用する。仮想対照群は、同じ性別で被験者個人のBMIから±2kg/m以内の個人を層別化するフィルターを適用することによって作成される。このフィルターの適用によりVCGに対して150個の個人が選択されない場合、少なくとも150個の仮想対照群が層別化されるまで、BMI間隔を0.1kg/m単位で対称的かつ段階的に増加させ得る。各被験者個人がその予測されたFFMViからどの程度乖離しているかを測定するために、個々のFFMViのz-スコア(平均値(予測値)からの標準偏差(SD)の数)がVCG分布から計算される。これはFFMViVCGと呼ばれる。FFMViVCGへの閾値の適用は、男女別のBMIクラス内の筋肉評価に失敗した個人の機能的性能を調査することによって、FFMViのものと比較され得る。低い筋体積を識別する個別化されたサルコペニア閾値に対する基礎は、BMI値の範囲について平均を下回る異なる数のSDに対応するFFMVi値を提示することによって作成される。
【0044】
サルコペニア検出のための筋肉量の評価に一般的に使用される筋肉測定の他の身体サイズ調整の文脈にFFMViVCGを入れるために、BMIとのその関連性が、ASM/身長(四肢骨格筋量(ASM))、ASM/体重、ASM/BMI、FFMVi、FFMV/体重、及びFFMV/BMIがどのようにBMIに関連しているかと比較され得る。
【0045】
サルコペニアに対する複合的な筋肉評価
複合的な筋肉評価及び加齢
FFMViVCG及び筋脂肪浸潤(MFI)と年齢との間の関係を調査するために、平均の5年差及び5年のエフェクトサイズの視覚化及び計算を通して、年齢に対するそれらの関連性を、ASMi、FFMV、FFMVi、ASMi/BMI、FFMV/BMI、及びFFMVi/BMIの関連性と比較することができる。
【0046】
複合的な筋肉評価、健康管理負担、及び機能的転帰
FFMV及びMFIの両方を含む、サルコペニアに対する複合的な筋肉評価の潜在的価値を更に評価するために、MFIを、機能及び移動度を予測する筋肉の質の潜在的なバイオマーカーとして調査することができる。この調査には、以下の変数が含まれる:
・ 健康管理負担:妊娠に関連する泊数(ICD10コードでOとPに該当するもの)を除いて、スキャンから10年前までの入院泊数として定義され、30泊で切り捨てられる。
・ 握力:サルコペニア検出に使用される男女別の閾値(女性/男性の閾値:16/27kg)を下回る被験者を、その閾値を上回る被験者と比較したものである。右手/左手について10kgを下回る握力の測定値は取り除かれ得る。分析に使用される握力は、利き手と報告された手の握力であった。利き手の情報がない場合には、右手と左手の平均値が使用され得る。
・ 通常の歩行ペース:「遅いペース」と報告された被験者を「安定した平均ペース」又は「速いペース」と報告された被験者と比較したものである。
・ 階段上り:1日の階段上り(約10歩)の頻度が0と報告された被験者を、1日に1つ以上の階段を上ったと報告された被験者と比較したものである。
・ 転倒回数:昨年1回以上の転倒を報告された被験者を、転倒が報告されなかった被験者と比較したものである。報告された転倒が1回だけの被験者は、分析から除外され得る(N=1,223)。
【0047】
多変数ロジスティック回帰モデリングは、予測因子としてFFMViVCG及びMFIを使用して実行され得る。健康管理負担の測定に含まれる疾患及び合併症は広範囲であるため、(VAT及びASATによって表される)腹部脂肪分布も予測因子として含まれ得る。このモデルは、性別及び年齢について更に補正される。健康管理負担と体組成との間の関連性が、全コホート(N=9,615)で、サルコペニア検出のためのASMi閾値を下回る被験者(N=797)で、及びサルコペニア検出のための握力閾値を下回る被験者(N=612)で、調査される。この分析は、FFMViVCGの代わりにFFMViを使用して繰り返され得る。
【0048】
握力、通常の歩行ペース、階段上り、及び転倒回数を予測するための多変数ロジスティック回帰モデルは、MFI及びFFMViVCGだけを含み、性別、年齢、及びBMIについて補正される。
【0049】
複合的な筋肉評価による低機能性能の検出
FFMV及びMFIの両方を測定する複合的な筋肉評価の値を調査するために、上記4つの機能的転帰(握力テストの失敗、遅い通常の歩行ペース、階段上りなし、及び1回を超える昨年の転倒)の予測のための適合値を、(1)FFMVi、(2)FFMViVCG、(3)MFI、(4)FFMViVCG及びMFIという予測因子を使用して4つのロジスティック回帰から抽出することができる。適合値は、受信者動作特性(ROC)分析において予測因子として使用され、ROC曲線下面積(AUC)及び対応する信頼区間が、診断性能の比較のために計算される。
【0050】
複合的な筋肉評価のためのサルコペニア閾値
複合的な筋肉評価に基づくサルコペニア検出のための閾値適用のための基礎を提供するものである。異なる閾値を下回るFFMViVCG及びMFI値を有する女性/男性内の被験者の割合が、それらの群における低機能的性能(すなわち、低握力、遅い歩行ペース、階段上りなし、及び1回を超える昨年の転倒)を有する被験者の割合と共に、計算される。FFMViVCGのための閾値は、BMI値あたりのFFMVi値に変換される。
【0051】
本方法は、実施された研究の結果を使用して以下で更に例示される。
【0052】
被験者
表1は、女性と男性に分けて、全コホートの特徴をまとめたものである。
【0053】
サルコペニアにおける筋肉量評価
異なるBMIクラスにおける、筋肉評価(DXAにより評価されたASM/身長)、握力テスト、及び2つクラスの組合せ、に失敗した被験者の割合を表2に示す。筋肉評価に失敗した被験者の数は、BMIが増加するにつれて減少した:標準体重の女性及び男性における11.1%及び36.8%と比較して、肥満の被験者の場合、女性の0.0%及び男性の0.2%が失敗した。
【0054】
個別化された筋肉体積評価
図4は、FFMViVCGとMFIとの関係及びそれらの分布を示す。FFMViVCG及びMFIについての決定係数(R)は、女性が0.13、男性が0.17であった。
【0055】
図5は、男女別のBMIクラス内の筋肉評価に失敗した被験者の割合に対する、FFMViVCGと比較したFFMViへの閾値適用の影響を示す。FFMViに閾値適用すると、BMIクラスに応じて層別化される被験者の割合が異なるのに対して、FFMViVCGに閾値適用すると、層別化される被験者の割合は、BMIクラスから独立したものとなった。
【0056】
図6は、表3の対応するR値と共に、サルコペニア検出のための筋肉量を評価するために一般的に使用される他の身体サイズ調整と比較した、FFMViVCGとBMIとの間の関連性を示す。女性の場合、ASMと体重又はBMIとの間の相関は、FFMVと体重又はBMIとの間の相関と比べて、それぞれ1.7倍及び2.4倍の大きさであった。ASMをASM/身長に調整すると、BMIとの相関は、ASMとBMIとの間で最初に観察されたもの(R=0.378)よりも大きくなった(R=0.640)。ASM/体重は、同じく最初に観察されたよりも大きい(R=0.397)、BMIとの負の相関を示し、ASM/BMIは、同様の大きさ(R=0.315)の負の相関を示した。FFMViVCGをもたらす仮想対照群の適用は、筋肉体積とBMIとの間の関連性を効果的に正規化させた(R=0.002/0.006(女性/男性)。
【0057】
サルコペニアに対する複合的な筋肉評価
複合的な筋肉評価及び加齢
図7は、ASMi、FFMV、FFMVi、ASMi/BMI、FFMV/BMI、及び/又はFFMVi/BMIのものと比較した、FFMViVCG及びMFIと年齢との関係を示す。FFMViVCGは、年齢に対して負の関連性を示し、ここで、平均の5年差は、47-77歳の間、平均VCGからの-0.19個のSDであった。MFIは、年齢に対して正の関連性を示し、ここで、平均の5年差は0.40ppであった。平均の5年差と、対応するSD及び5年のエフェクトサイズとが表4に示されている。FFMVの5年のエフェクトサイズは、仮想対照群(FFMViVCG)を適用して調整するとわずかに増加し、最も高い5年のエフェクトサイズは、MFIについて見つかった。
【0058】
複合的な筋肉評価及び健康管理負担
健康管理負担の統計的モデリングの結果を表5に示す。より高いMFIは、全ての群(全コホート、低ASMiの被験者(p<0.001)及び低握力の被験者(p<0.05))について、より高い健康管理負担に有意に関連していた。より低いFFMViVCGは、全コホート(p<0.01)及び低ASMiの被験者(p<0.05)について、より高い健康管理負担がに有意に関連していた。低握力の被験者については、FFMViVCGと健康管理負担との間の関連性は有意ではなかった。VATと健康管理負担との間の関連性は、全コホート(p<0.05)については正であり、低ASMiの被験者(p<0.05)については負であり、低握力の被験者について有意ではなかった。ASATとの関連性は、全ての群について有意ではなかった。FFMViVCGの代わりにFFMViを含むモデルは、より高いMFIが、全ての群(全コホート、低ASM/身長の被験者(p<0.001)及び低握力の被験者(p<0.01))について、より高い健康管理負担に有意に関連することを示した。FFMViと健康管理負担との間の関連性は、低ASMiの被験者についてのみ有意であった。健康管理負担とVAT及びASATとの間の関連性は変化がなかった。
【0059】
複合的な筋肉評価及び機能的転帰
残りの機能的転帰(握力、階段上り、歩行ペース、及び転倒回数)を調査する多変数統計モデリングの結果を表6に示す。FFMViVCGと、握力、階段上り、及び歩行ペースとの間の関連性は、男女別に全コホート内で有意である。FFMViVCGと転倒回数との間の関連性は、全ての群において有意ではなかった。MFIと全ての機能的転帰との間の関連性は、階段上り及び転倒回数との関連性が有意ではい男性を除く全ての群内で有意である。
【0060】
複合的な筋肉評価による低機能性能の検出
低機能性能の予測因子として、FFMVi、FFMViVCG及びMFIの各々と、FFMViVCG及びMFIを組み合わせたものを使用したROC分析の結果を表7に示す。予測因子としてFFMViの代わりにFFMViVCGを使用した診断性能は、全ての機能的転帰についてかつ全ての群(全コホート体、女性、及び男性)内で、より高い。MFIを使用した診断性能は、FFMViVCGと比較して、全ての群内の階段上り及び転倒回数についてはより高く、歩行ペースについては同じ大きさであり、握力についてはわずかに低い。全ての機能的転帰について、低機能的性能を有する被験者を検出するためにFFMViVCG及びMFIを併用することで、診断性能は最も高くなった。
【0061】
複合的な筋肉評価のためのサルコペニア閾値
異なる閾値を下回るFFMViVCG及びMFI値を有する女性/男性内の被験者の割合を、それらの群における低機能的性能を有する被験者の割合と共に、男女別に、表8~11に示す。FFMViVCG閾値に対応する男女別のFFMVi値及びBMI値のルックアップテーブルを表12に示す。
【0062】
結論
提示された方法は、サルコペニア検出のためのBMI不変筋量評価の基礎を提供し、セグメンテーション及び定量化のためのMRI及び高度画像解析技術によって実行される複合的な筋肉評価(除脂肪量及び脂肪浸潤)の値を開示する。上記からの3つの重要な知見が提供され得る。第1に、FFMViVCGをもたらす仮想対照群の適用は、筋肉体積とBMIとの間の関連性を効果的に正規化する(R=0.002/0.006(女性/男性))。第2に、筋脂肪浸潤(MFI)及び仮想対照群ベースの除脂肪筋量(FFMViVCG)は、非常に曖昧に相関しており(R=0.13/017(女性/男性)、入院、筋機能(握力)、及び運動機能(階段上り、歩行ペース、及び転倒回数)を別々に予測した。最後に、FFMViVCGとMFIとの組合せは、イメージングバイオマーカーと機能的転帰との間の機能的結び付きを改善し、低機能の予測のためにこれら2つの組合せを利用する診断性能が最も高かった。
【0063】
上記は、以前に提案された調整(身長、体重、又はBMIによる除算)のいずれもが、筋肉量(ASM又はFFMV)と身体サイズとの間の相関を効率的に正規化しないことを提供している(表3)。実際に、大集団研究において、ASM/身長は、ASMと身長との間の関連性を効率的に正規化するが、同時に、示されたBMIとの相関は、ASMとBMIとの間で最初に観察されたもの(R=0.378)よりも大きくなった(R=0.640)。更に、他の2つの調整(体重又はBMIによる除算)は、最初に観察されたものより大きい又は同様の大きさを有する、BMIに対する負の相関を示した。サルコペニアに関する以前の研究で、これらの調整の適用により、実際に、身体サイズについて測定された筋肉量を意図どおりに正規化するか否かを制御したものは、あったとしてもわずかであり、これは、結果の誤解釈の原因となっていた可能性がある。FFMViVCGと身長、体重、及びBMIとの間の低い相関は、他の提案された調整(表3)の文脈では、身体サイズの効果的な正規化を示す。FFMViVCGの有効性の理由は、筋肉測定値を調整するときに、各BMI値に対するFFMViの特定の分布を考慮に入れることである。これにより、サルコペニア検出のためのBMI不変評価が可能になり、過体重及び肥満におけるサルコペニアを適切に評価する可能性を開く。
【0064】
本方法による仮想対照群の適用によって達成される有効な身体サイズの正規化に加えて、FFMVの調整(FFMViVCGをもたらす)は、FFMVと入院及び機能的転帰の両方との間の結び付きを強化し、直接測定された筋肉体積を使用して集団ベースの閾値と比較する代わりに、個人が期待される筋肉体積から乖離する程度を評価することのより高い臨床的関連を示す。身体サイズに対して筋肉体積を調整することの背後にある理論的根拠は、体重の増加に対する反応として筋肉体積を増加させる身体の自然な反応によって引き起こされる両者間の基本的な相関であり、すなわち、身体を支えるためにはより多くの筋肉が必要とされ、筋肉体積の増加により、個人は体重増加中にその移動性及び機能をより良好に維持することができる。MFIとBMIとの間にも相関があるが、MFIは、この研究では身体サイズについては調整されない。その理由は、より高いMFI(体重増加によって潜在的に引き起こされる)が、より高い筋肉体積とは対照的に、より低い機能及び不良転帰と関連しているからである。
【0065】
MFIは、FFMViVCGと非常に曖昧に相関しており(図4)、入院及び機能的転帰の多変数統計モデリングの結果における分化を示す。最も注目すべきは、転倒回数との関連であり、ここで、FFMViVCGとの関連が有意ではないのに対して、MFIは、1回を超える転倒に正に関連し(表6)、低握力の被験者では、MFIだけが入院を予測した(表5)。高齢者集団における筋肉体積の減少とMFIの増加とを組み合わせて説明することにより、機能的減衰のより完全な筋肉固有の状況(picture)が提供される。
【0066】
仮想対照群調整されたFFMV及びMFIが、入院、低筋肉機能(握力)、及び低運動機能(階段上り、歩行ペース、及び転倒回数)を別々に予測した(表5及び6)ことで、筋肉体積に加えて筋肉の質の記述子としてMFIを測定することに追加の価値があることが示された。これは、機能的転帰を予測するための診断性能に関する結果(表7)によって更に強化され、ここでは、FFMViVCG及びMFIの組合せにより、FFMVi又はFFMViVCGだけを使用することと比較して、全ての転帰について(全てが有意なわけではないが)より高い診断性能が得られた。
【0067】
6分間のMRIスキャンを、例えば内臓脂肪、皮下脂肪、及び肝臓脂肪の定量化を含む自動画像解析と併用して、サルコペニアに対する複合的な筋肉評価(MFI及びFFMViVCGの定量化)が実施され得、完全な衰弱評価を可能にする。今日、これは、画像処理研究コミュニティの外でも利用可能な解決策である。そのような評価により、客観的なサルコペニア評価を可能にし得る機能的転帰に直結した定量化可能な筋肉固有のイメージングバイオマーカーが得られる。標準化及び高い精度と精密さにより、大規模コホートにわたる及び大規模コホート間の長期的な変化の厳密な追跡及び比較が可能になる。しかしながら、今日のMRIは、集団規模でのサルコペニアの検出には容易に利用可能ではなく、潜在的なサルコペニアについての最初の評価には適していない。スクリーニングは、サルコペニアの進行の検出及び追跡のために、どのような患者がMRI検査から利益を得るかを決定するために必要とされる。
【0068】
上記において、異常に低い筋肉体積及び不十分な筋肉の質により低筋肉機能である個人を識別するための個別化された閾値に対する基礎が提供される。これは、閾値の範囲を機能的転帰に結び付けたFFMViVCG及びMFIについての男女別の表を提示することによって行われる(表8~11)。FFMViVCGは、身体サイズ調整されたFFMV値であるため、各FFMViVCG閾値が(BMI値あたりの)FFMVにおける何に対応するかを示すルックアップテーブルも提供される(表12)。これは、取得されたFFMV値に仮想対照群調整を適用する必要なく、表7及び9の使用を可能にする。
【0069】
図面及び明細書において、本発明の好ましい実施形態及び実施例が開示されており、特定の用語が使用されているが、それらは限定を目的とするものではなく包括的かつ記述的な意味でのみ使用されており、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 被験者個人の筋肉関連の疾患を評価する方法(100)であって、
前記被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値(20)を取得するステップ(101)と、
前記被験者個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値(10)を取得するステップ(102)と、ここで、前記データパラメータ値は、前記被験者個人の体組成の定量化されたパラメータに関連するものであり、
データベース(30)からある数の個人を選択するステップ(103)と、ここにおいて、前記データベースは、複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値(31)と、前記複数の個人についての前記第1の筋肉の筋肉量値(32)とを含み、前記データベースからのある数の個人の選択は、前記複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値を前記被験者個人の少なくとも1つのデータパラメータ値と比較することに基づき、それによって、前記選択された個人を含む仮想対照群(VCG)(40)を作成するものであり、
前記VCG(40)内の前記選択された個人の前記筋肉量値(42)の予測値(50)を計算するステップ(104)と、
前記被験者個人の前記筋肉量値(20)を前記VCG(40)の決定された前記予測値(50)と比較するステップ(105)と
を含む方法。
[2] 前記予測値(50)は、前記VCG(40)内の前記個人についての前記筋肉量値の平均値、中央値、又はモデル化された予測値である、[1]に記載の方法。
[3] 前記筋肉量値(20,32,42)は、除脂肪筋量(FFMV)値である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記筋肉量値(20,32,42)は、前記第1の筋肉の第1の部分の有効体積を表し、前記第1の部分は、所定の閾値レベルT を下回る筋脂肪浸潤レベルを有し、前記有効体積は、前記第1の筋肉の前記第1の部分の体積に1-(1/T )*MFI を乗じることによって決定され、MFI は、前記第1の筋肉の前記第1の部分における前記筋脂肪浸潤レベルである、[1]又は[2]に記載の方法。
[5] 筋脂肪浸潤の前記所定の閾値レベルT は、30~80%、好ましくは45~55%、より好ましくは50%である、[4]に記載の方法。
[6] 前記被験者個人についての前記第1の筋肉の前記筋肉量値(20)を前記VCG(40)の前記決定された予測値(50)と比較する前記ステップ(105)は、前記予測値(50)からの前記筋肉量値(20)の偏差の程度を決定するステップを含む、[1]から[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記予測値からの前記筋肉量値(20)の偏差の前記決定された程度は、前記被験者個人の前記筋肉量値が前記VCGの前記予測値を下回る又は上回る標準偏差の数である、[6]に記載の方法。
[8] 偏差の前記決定された程度が所定の閾値を下回るかどうかを決定することによって、前記比較(105)に基づいて前記被験者個人の筋肉関連の疾患を決定するステップ(106)を更に含む、[6]又は[7]に記載の方法。
[9] 前記データベース(30)からある数の個人を選択するステップ(103)は、少なくとも1つのデータパラメータ値(31b)が前記被験者個人のデータパラメータ値(10)から所定の範囲内にある個人を選択するステップを含む、[1]から[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] 前記データベース(30)からある数の個人を選択するステップ(103)は、基準を満たす所定数の個人が前記データベース内で見つからなかった場合に、前記被験者個人のデータパラメータ(10)値からの範囲を拡大するステップを含む、[9]に記載の方法。
[11] 前記被験者個人についての第2のバイオマーカーのパラメータ値(70)を取得するステップを更に含む、[1]から[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 前記第2のバイオマーカーの前記パラメータ値(70)は、所定の閾値(80)と比較される(107)、[11]に記載の方法。
[13] 前記第2のバイオマーカーの前記パラメータ値(70)と前記所定の閾値(80)との前記比較(107)は、前記筋肉量値(20)と前記VCG(40)の予測値(50)との前記比較(105)と組み合わされる、[12]に記載の方法。
[14] 前記第2のバイオマーカーは筋脂肪浸潤である、[11]から[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15] 前記被験者個人の前記第1の筋肉の筋肉量値(20)が、前記被験者個人の磁気共鳴映像法(MRI)スキャン(60)に基づく、[1]から[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16] [1]から[15]のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された手段を備えるシステム。
[17] 被験者個人の筋肉関連の疾患を評価するように構成された評価装置であって、
前記被験者個人についての第1の筋肉の筋肉量値(20)を取得する(101)ように構成された取得手段と、ここで、前記筋肉量値は、前記第1の筋肉の第1の部分の有効体積を表し、前記第1の部分は、所定の閾値レベルT を下回る筋脂肪浸潤レベルを有し、前記有効体積は、前記第1の筋肉の前記第1の部分の体積に1-(1/T )*MFI を乗じることによって決定され、MFI は、前記第1の筋肉の前記第1の部分における前記筋脂肪浸潤レベルであり、データパラメータ値が前記被験者個人の体組成の定量化されたパラメータに関連するものであり、
データベース(30)からある数の個人を選択する(103)ように構成された選択手段と、ここで、前記データベースは、複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値(31)と、前記複数の個人についての前記第1の筋肉の筋肉量値(32)とを含み、前記データベースからのある数の個人の選択は、前記複数の個人についての少なくとも1つのデータパラメータ値を前記被験者個人の少なくとも1つのデータパラメータ値と比較することに基づき、それによって、前記選択された個人を含む仮想対照群(VCG)(40)を作成するものであり、
前記VCG(40)内の前記個人の前記筋肉量値(42)の予測値(50)を計算するように構成された計算手段(104)と、
前記被験者個人の前記筋肉量値(20)を前記VCG(40)の決定された前記予測値(50)と比較する(105)ように構成された比較手段と
を備える評価装置。
図1
図2
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図6-1】
図6-2】
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