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特許7543284無線ベースの検出器、および産業用無線通信における予測できない干渉から保護するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】無線ベースの検出器、および産業用無線通信における予測できない干渉から保護するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/345 20150101AFI20240826BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240826BHJP
   H04W 28/18 20090101ALI20240826BHJP
【FI】
H04B17/345
H04W72/0446
H04W28/18
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021545774
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020052771
(87)【国際公開番号】W WO2020164977
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】19156813.8
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パン,ジボ
(72)【発明者】
【氏名】ルビソット,ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンソン,ロジャー
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0273289(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0353293(US,A1)
【文献】特開平03-245615(JP,A)
【文献】国際公開第2006/098325(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/177788(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/345
H04W 72/0446
H04W 28/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク通信システムにおいて干渉信号を検出するために無線ネットワークノードによって実行される方法であって、前記方法は、
a)前記無線ネットワーク通信システムのトポロジーに、およびデータトラフィックパターンに基づいて、予想される受信入力信号(S1A)のエネルギーパターンを判断するステップと、
b)少なくとも1つのアンテナからの入力信号(S1B)を処理するように構成された受信器への前記入力信号の到着を遅延させながら、前記入力信号を受信し、前記入力信号のエネルギーパターンを判断するステップ(S2)と、
c)前記入力信号の前記エネルギーパターンを、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンと比較するステップ(S3)と、
d)前記無線ネットワークノードの前記受信器がアクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンとは異なるエネルギーパターンを有する場合、および/または、前記受信器が非アクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンと同様であるかまたは等しいエネルギーパターンを有する場合に、前記受信器への前記入力信号の到着を依然として遅延させながら、アラーム信号を少なくとも前記受信器に放出するステップ(S5)と、を含み、前記放出するステップは、前記アラーム信号が受信されたときに前記受信器がアクティブである場合に、前記受信器によって新しいチャネルに切り換えるステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記放出するステップは、前記アラーム信号を前記無線ネットワークノードの送信器に送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送信器は、検出された干渉信号を前記無線ネットワーク通信システムに無線でリンクされた他のネットワークノードに通知するために、および、チャネルの変更を要求するために、予約されたチャネルに関するメッセージを送信する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記放出するステップは、受信処理回路から前記少なくとも1つのアンテナを切り離す(S6)ために配置されたスイッチに、前記受信器がアクティブである場合に前記スイッチが開かれ、前記受信器が非アクティブである場合に前記スイッチが閉じられるようにするために、前記アラーム信号を送信するステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記スイッチが開かれた場合に、前記受信器の制御システムを安全モードに変更するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、産業用制御システムにおいて使用される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
無線ネットワーク通信システムにおいて干渉信号を検出するための無線ネットワークノード(202B)であって、前記無線ネットワークノードは、
- 前記無線ネットワーク通信システムにおける他のノードに情報を送信するように構成された送信器(206TX)と、
- 前記無線ネットワーク通信システムにおける他のノードから情報を受信して処理するように構成された受信器(206RX)と含み、
前記無線ネットワークノードは、
- 少なくとも1つのアンテナから入力信号を受信するように構成された検出器(204)と、
- 前記少なくとも1つのアンテナからの前記入力信号を、前記受信器への到着に先立って遅延させるように構成された遅延コンポーネント(205)とを含み、
前記受信器はさらに、前記無線ネットワーク通信システムのトポロジーに、および、データトラフィックパターンに基づいて、予想される受信入力信号のエネルギーパターンを判断するように構成され、
前記検出器はさらに、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンを受信して前記入力信号のエネルギーパターンと比較するとともに、前記受信器がアクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンとは異なるエネルギーパターンを有する場合、および/または、前記受信器が非アクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンと同様であるかまたは等しいエネルギーパターンを有する場合に、前記遅延コンポーネントが前記受信器への前記入力信号の到着を遅延させている間にアラーム信号を少なくとも前記受信器に放出するように構成され、前記受信器は、アクティブである場合に、前記アラーム信号が受信されたときに新しいチャネルに切り換えるように構成されることを特徴とする、無線ネットワークノード。
【請求項8】
前記送信器は、検出された干渉信号を前記無線ネットワーク通信システムに無線でリンクされた他のネットワークノード(202A)に通知するために、および、チャネルの変更を要求するために、予約されたチャネルに関するメッセージを送信するように構成される、請求項7に記載の無線ネットワークノード。
【請求項9】
前記検出器はさらに、前記アラーム信号を前記送信器に送信するように構成される、請求項8に記載の無線ネットワークノード。
【請求項10】
前記ノードはさらに、受信処理回路から前記少なくとも1つのアンテナを切り離すために配置されたスイッチ(207)を含み、前記スイッチは、前記検出器から前記アラーム信号を受信したときに、前記受信器がアクティブである場合に開かれ、前記受信器が非アクティブである場合に閉じられるように構成される、請求項7~9のいずれか1項に記載の無線ネットワークノード。
【請求項11】
前記受信器はさらに、前記スイッチが開かれた後で、前記受信器の制御システムを安全モードに変更するように構成される、請求項10に記載の無線ネットワークノード。
【請求項12】
無線ネットワーク通信システムにおいて干渉信号を検出するための検出器(204)であって、
少なくとも1つのアンテナから入力信号を受信し、
前記入力信号のエネルギーパターンを、無線ネットワークノード(202B)の受信器(206RX)によって提供された予想される受信入力信号の判断されたエネルギーパターンと比較し、
前記受信器がアクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンとは異なるエネルギーパターンを有する場合、および、前記受信器が非アクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンと同様であるエネルギーパターンを有する場合に、アラーム信号を少なくとも前記受信器に放出するように構成され、前記検出器はさらに、前記受信器がアクティブである場合に、前記アラーム信号を送信器(206TX)に送信するように構成されることを特徴とする、検出器。
【請求項13】
前記アラーム信号は、前記送信器が、検出された干渉信号を前記無線ネットワーク通信システムに無線でリンクされた他のネットワークノード(202A)に通知するために、および、チャネルの変更を要求するために、予約されたチャネルに関するメッセージを送信するようにする、請求項12に記載の検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用無線ネットワークにおける外部干渉の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用通信システムは、たとえばサブステーション自動化または高電圧変換器の制御といった、電力システムの自動化において使用される。柔軟性および拡張性を高めるとともに、コストを削減するためには、イーサネット(登録商標)ベースのネットワークなどの有線ネットワークを無線ネットワークと置き換えることが便利である。
【0003】
産業用制御システムにおいて無線ネットワークを導入する際の最も大きい懸念のうちの1つは、無線チャネルの共有の性質に関連しており、それは、2つ以上の装置が同じ周波数帯域上で同時に送信する場合、それらの送信が衝突し、ターゲット受信器がそれらを正しく復号することをおそらく妨げるであろうということを暗示する。この理由のため、産業用無線ネットワークにおけるチャネルへのアクセスは、同じネットワークにおける無線エンティティ/ノード間の衝突が生じないように、たとえば時分割多重アクセス(time-division multiple access:TDMA)などの時間スケジューリングを用いるシステムを使用して、細かくスケジューリングされる。
【0004】
しかしながら、たとえば2.4GHzの産業、科学および医療用(industrial, scientific and medical:ISM)帯域といった、ライセンスのない帯域で動作する産業用無線システムは、ネットワーク内干渉を受けるだけでなく、同じスペクトルを共有する他のシステムからの外部干渉にも悩まされるかもしれない。これらのシステムは典型的には、制御のために使用される産業用ネットワークに関して予測できない送信パターンおよび電力レベルを有しており、よって、この種の干渉から保護することが非常に難しい場合がある。
【0005】
また、1つ以上の悪意のある送信器が、産業用ネットワークと同じ周波数帯域において、非常に高い電力を有する無線信号を放出し、このため、無線チャネルを妨害し、制御システムの動作をおそらく停止させる場合もあるかもしれない。
【0006】
外部ネットワークからの干渉または悪意のある妨害といった、予測できない外乱の問題は、ライセンスのない帯域にデプロイされたどの産業用無線ネットワークも悩ませ、しばしば、市場における無線解決策の成功にとって最大の懸念と見なされる。結果として、どの産業用無線解決策も、予測できない干渉と格闘するための何らかのメカニズムをデプロイする必要がある。
【0007】
(たとえばWirelessHARTによって使用される)最も一般的なアプローチは、送信ノードおよび受信ノードが予め定められたパターンに従って周波数チャネルを連続的に切り換える周波数ホッピングスケジュールを採用することによって、この干渉の影響を最小限にすることである。より高度なメカニズムは、周波数ホッピングとチャネルブラックリスティングとを組合せることであり、それに従って、強い外部干渉を経験しているチャネルは、ホッピングスケジュールから除外される。
【0008】
これらのメカニズムは、予測できない干渉に対する回復力を概して向上させることを可能にするが、依然としていくつかの問題を提示する。たとえば、悪意のある妨害器が周波数ホッピングスケジュールを学習し、それにジャム信号を適合することで、すべての通信の試みを損なうおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本開示は、無線ネットワーク通信システムにおいて、干渉された信号が受信器によって受信される前に、干渉信号を検出するための無線ネットワークノードを提供することによって、前述の問題を解決するよう意図されている。これらの問題は、独立請求項の技術的特徴を有する方法、無線ネットワークノード、および検出器によって対処される。
【0010】
無線ネットワークノードは、無線ネットワーク通信システムにおける他のノードとの間で情報を送信/受信するように構成された送信器および受信器と、少なくとも1つのアンテナから入力信号を受信して処理するように構成された検出器と、前記少なくとも1つのアンテナからの前記入力信号を、前記受信器への到着に先立って遅延させるように構成された遅延コンポーネントとを含む。受信器はさらに、無線ネットワーク通信システムのトポロジーに、および/またはデータトラフィックパターンに基づいて、予想される受信入力信号のエネルギーパターンを判断するように構成される。ネットワークトポロジーとは、無線ネットワークにリンクされたノードの構成であり、データトラフィックパターンとは、所与の時点でネットワークを横断するデータまたはデータパケットの量のパターンである。検出器はさらに、予想される受信入力信号のエネルギーパターンを受信して、少なくとも1つのアンテナからの入力信号のエネルギーパターンと比較するとともに、前記受信器がアクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンとは異なるエネルギーパターンを有する場合、および/または、前記受信器が非アクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンと同様であるかまたは等しいエネルギーパターンを有する場合に、遅延コンポーネントが受信器への前記入力信号の到着を遅延させている間にアラーム信号を少なくとも受信器に放出するように構成される。
【0011】
また、受信器がアクティブである場合に、アラーム信号を受信すると、受信器は、妨害された信号が受信入力信号に干渉し続けることを妨げるために、新しい(たとえば、以前に利用されたかもしれず、利用されなかったかもしれない、異なる)チャネルに変更するように構成されてもよい。
【0012】
受信器がアクティブであり、そのためノードの回路が閉じられる場合に、ネットワークノードの検出器はまた、アラーム信号を無線ネットワークノードの送信器に送信するように構成されてもよい。アラーム信号は次に、送信器が、送信された信号における検出された干渉信号をシステムに無線でリンクされた他のネットワークノードに通知するために、予約されたチャネルに関するメッセージを送信することをトリガしてもよく、チャネル/周波数の変更を要求してもよい。要求されたチャネルは、同じ周波数上で通信を続けるために、受信器が変更されるのと同じチャネル(新しいチャネル)であるべきである。
【0013】
請求される無線ネットワークノードは、受信処理回路から少なくとも1つのアンテナを切り離すために配置されたスイッチを含んでいてもよく、スイッチは、検出器からアラーム信号を受信している間、前記受信器がアクティブである場合に開かれ、およびまたは、前記受信器が非アクティブである場合に閉じられるように構成される。スイッチは、干渉が検出される/検出されない場合に、ベースバンド/受信器を切り離す/接続することを可能にするように構成され、その干渉/干渉の欠如を取り扱うための自動アクションをトリガする。また、遅延コンポーネントは、少なくとも1つのアンテナからの入力信号を、前記受信器への到着に先立って遅延させるように構成されてもよい。
【0014】
また、干渉が検出され、アラーム信号が開かれるべきスイッチに送信されるときに受信器がアクティブである場合、受信器は、スイッチが開かれた後で、その根本的な制御システムを安全モードに変更するように構成されてもよい。安全モードとは、根本的な制御システムの機能性が低下するモードである。根本的な制御システムを安全モードに変更する利点は、安全モードにあるシステムは、ネットワークの低い性能によるデータパケットの潜在的損失を許容するようにより良好に適合されるということである。
【0015】
外部の干渉または妨害信号を直ちに検出してそれらに反応する可能性は、産業用無線通信の分野における利点である。うまく適用されれば、それは、これらの解決策のために市場を根底から変えることができ、無線ネットワークにおける顧客の信用を高める。
【0016】
無線ネットワーク通信システムにおいて干渉信号を検出するために無線ネットワークノードによって実行される方法も提供される。方法は、前記無線ネットワーク通信システムのトポロジーに、および/またはデータトラフィックパターンに基づいて、予想される受信入力信号のエネルギーパターンを判断するステップと、少なくとも1つのアンテナからの入力信号を処理するように構成された受信器への入力信号の到着を遅延させながら、(たとえば、受信器の上流に配置された検出器が)入力信号を受信し、入力信号のエネルギーパターンを判断するステップと、検出器が、前記入力信号のエネルギーパターンを、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンと比較するステップと、無線ネットワークノードの前記受信器がアクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンとは異なるエネルギーパターンを有する場合、および/または、前記受信器が非アクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンと同様であるかまたは等しいエネルギーパターンを有する場合に、受信器への入力信号の到着を依然として遅延させながら、アラーム信号を少なくとも前記受信器に放出するステップとを含む。
【0017】
アラーム信号が受信器に到達すると、それは、妨害信号が受信器のベースバンドに到達することを妨げるであろう異なるアクションを起動してもよい。これは、たとえば、パケットが復号された後でベースバンド受信器において実行される干渉検出アルゴリズムに依拠するブラックリスティングメカニズムを上回る利点である。たとえば、非常に高い電力を用いて妨害信号が送信された場合、受信器でのアナログ-デジタル変換器(analog-to-digital converter:ADC)の入力が飽和され、有用な信号がベースバンドに到達せず、このため、ブラックリスティングメカニズムが正しく作動することを妨げるであろう。
【0018】
方法によって行なわれるアクションのいくつかの例は、前記アラーム信号が放出されたときに受信器がアクティブである場合に、前記受信器によって新しいチャネルに切り換える/変更するステップを含むことであってもよい。チャネルの変更に続き、方法の放出するステップは、アラーム信号を無線ネットワークノードの送信器に送信するステップ、および/または、受信処理回路から少なくとも1つのアンテナを切り離すために配置されたスイッチに、受信器がアクティブである場合にスイッチが開かれるようにするために、アラーム信号を送信するステップを含んでいてもよい。送信器が検出器からアラーム信号を受信すると、送信器は、検出された干渉信号を無線ネットワーク通信システムに無線でリンクされた他のネットワークノードに通知するために、および、チャネルの変更を要求するために、予約されたチャネルに関するメッセージを送信してもよい。
【0019】
しかしながら、受信器が非アクティブである場合、放出するステップは、スイッチが閉じられるようにするために、前記スイッチにアラーム信号を送信するステップを含んでいてもよい。これは、回路を閉じることと、受信器が少なくとも1つのアンテナから入力信号を受信することを可能にすることとを伴う。
【0020】
また、方法は、少なくとも1つのアンテナからの入力信号を、受信器への到着に先立って遅延させるように構成された遅延コンポーネントによって遅延させるステップを含んでいてもよい。
【0021】
また、方法は、前記スイッチが開かれた場合に、前記受信器の制御システムを安全モードに変更するステップを含んでいてもよい。受信器は、ノードにおいて受信された制御メッセージを取り扱うための根本的な制御システムを有しており、制御システムを安全モードに変えることによって、ネットワークの性能だけでなく、電力が低下するであろう。
【0022】
さらに、方法は、産業用制御システムにおいて使用されてもよい。
無線ネットワーク通信システムにおいて干渉信号を検出するための検出器であって、少なくとも1つのアンテナから入力信号を受信し、前記入力信号のエネルギーパターンを、無線ネットワークノードの受信器によって提供された予想される受信入力信号の判断されたエネルギーパターンと比較し、前記受信器がアクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記パターンとは異なるエネルギーパターンを有する場合、および/または、前記受信器が非アクティブであり、かつ、前記入力信号が、予想される受信入力信号の前記エネルギーパターンと同様であるかまたは等しいエネルギーパターンを有する場合に、アラーム信号を少なくとも前記受信器に送信するように構成された、検出器が提供される。
【0023】
外部干渉を認識するように構成された、請求されるような無線ベースの検出器の使用は、ハードウェアを使用する実用性により、ソフトウェアメカニズムの使用よりも有利である。たとえば、専用ハードウェアの回路は、上述の行為を行なうために最適化され得る。
【0024】
ノードのこの特定の構成を用いる利点は、競合企業がこの構成を複製/適用しているか否かを検証することが容易であるということである。ノードの回路を開いて検査したときに、検出器、遅延およびスイッチが受信アンテナと受信処理回路との間に配置されている場合には、無線ノードの複製が検出される。
【0025】
また、検出器は、受信器がアクティブである場合に、アラーム信号を送信器に送信するように構成されてもよい。無線ノードの検出器によって放出されたアラーム信号は、送信器が、検出された干渉信号を前記無線ネットワーク通信システムに無線でリンクされた他のネットワークエンティティ/ノードに通知するために、および、チャネルの変更を要求するために、予約されたチャネルに関するメッセージを送信することをトリガしてもよい。
【0026】
図面の簡単な説明
以下に、この発明を、図面における例示的な方法および装置を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】無線ネットワークの全体図を示す図である。
図2】本開示の例示的な一実施形態に従った、無線ネットワークにおける無線ノードの仕組みを示す図である。
図3】本開示の別の例示的な実施形態に従った、無線ネットワークにおける無線ノードの仕組みを示す図である。
図4】本開示の無線ネットワークノードの例示的な一実施形態に従った、干渉中の2つの無線エンティティ/ノードの信号パターンを表わす図である。
図5】本開示の例示的な一実施形態によって行なわれる方法のフローチャートを示す図である。
図6】本開示の別の例示的な実施形態によって行なわれる方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本開示は、図1に表わされたものと同様の構成に適用されてもよい。図1は、ノードとも呼ばれるいくつかの無線エンティティ102と通信するネットワークマネージャ101を有する無線通信システム100を示す。これらのノード102A~Dは、少なくとも1つのアンテナを装備しており、それは、入力信号の送信および受信のために交互に使用される。しかしながら、より多くのアンテナが適用される場合、アンテナの機能性は変化してもよい。たとえば、あるアンテナが受信アンテナで、別のアンテナが送信アンテナであってもよく、または、単に複数のアンテナが適用される場合、それらは、より正確な情報を受信/送信するように互いに協力してもよい。ノードはまた、無線ネットワークを通して通信することを可能にするRFフロントエンドを装備している。ノードは、制御メッセージを交換する、サブステーション自動化システムの異なるコンポーネント、たとえば、ゲートウェイ、遮断器、保護器を表わしていてもよい。
【0029】
産業用無線ネットワーク、特にライセンスのない無線ネットワークでは、無線通信システムに属さない他のノードが、周波数スペクトルの同じ部分において送信し、ノードとネットワークマネージャとの間の通信に干渉するかもしれない。これらのタイプのノード103は干渉器と呼ばれ、悪意がない場合、または悪意がある場合がある。第1の場合、干渉器は、同じ周波数帯域において動作する別の無線ネットワークに属するノードであるかもしれない。第2の場合、干渉器は、ノードの受信を妨げ、制御アルゴリズムが適切に機能することを損なう目的で、ターゲットとされたネットワークの同じ帯域上で故意に送信する妨害器であるかもしれない。どちらの場合も、干渉器103の送信パターンは、ターゲットとされたネットワークの通信スケジュールとは異なっており、このため、予測できない干渉源になる。
【0030】
本発明の例示的な一実施形態を、図2に示す。この図は、無線通信システムにおける2つのネットワークエンティティまたはノード202A、202Bと干渉器203とを示す。オプションで、通信システムは、時間スケジューリングを使用して動作される。通信は、中央エンティティ(図示せず)によって管理され、すべてのノード202A、202B中に分散される。このように、各ノードは、ネットワークにおけるすべての他のノードの送信パターンを正確に知っている。通信は、ネットワークノードと中央エンティティまたはコントローラとの間の二重通信である。オプションの時間スケジューリングは、制御メッセージ/信号を異なるタイムスロットに分割することによってノードが同じ周波数チャネルを共有することを可能にするチャネルアクセス方法に関連していてもよく、それは、たとえば、時分割多重アクセス(TDMA)であってもよい。しかしながら、無線ノード202Bは、任意の時間スケジューリングされた通信システムを使用してもよい。
【0031】
ノード202Bにおいて示されるように、各ノードは、送信器206 TXと、受信器206 RXとを含む。受信器206 RXは、アンテナTXを介して各々送信する他の送信ノードから電波を受信するように配置された受信アンテナRXに動作可能に接続される。しかしながら、各ノードは、通信システムにおいて情報を受信し送信するためのいくつかのアンテナを有していてもよい。また、受信器206 RXは、無線周波数(radio-frequency:RF)回路と、データを処理するためのベースバンドプロセッサと、それを格納するためのストレージとを含む。
【0032】
ノード202Bは、無線ネットワークにおける、たとえば電力システム制御用途における予測できない干渉に関連する問題を克服するために修正される。修正は、ノード202Bの新しいアーキテクチャを伴う。新しいアーキテクチャは、検出器204を含む。新しいアーキテクチャはまた、遅延コンポーネント205および/またはスイッチ207を含んでいてもよい。この検出器204、遅延コンポーネント、およびスイッチは、受信アンテナRXと受信器206 RXとの間の、ノード202Bの受信部分に追加される。この構成のおかげで、検出器は、入力信号が受信器に到達する前に、入力信号を少なくとも1つの受信アンテナRXから受信する。
【0033】
検出器は、受信入力信号のエネルギーパターンを判断するために配置される。これは、入力信号の電力対時間を求めることによって達成される。したがって、信号のエネルギーパターンを判断する際、無線通信システムの時間スケジューリング構造の特殊性が考慮され得る。
【0034】
また、受信器206 RX内部のベースバンドプロセッサは、ノード202Bにおいて点線矢印として示される別のエネルギーパターンを検出器204に提供するために配置される。このエネルギーパターンは、送信ノードから送信され、以前の通信サイクルで受信器によって観察された入力信号についての情報を集めることによって得られる。集められた情報は、システムの時間スケジューリング構造に属する各タイムスロットについてのデータトラフィックパターンまたは電力レベルを含んでいてもよい。エネルギーパターンはまた、無線ネットワーク通信システムのトポロジーに基づいていてもよい。集められた情報は、同じ無線ネットワークの送信ノードから来る、起こり得るかまたは予想される受信入力信号の推定を得るために使用される。得られた推定は、エネルギーパターンにおいて特徴的に表わされる。言い換えれば、受信器によって提供されるエネルギーパターンは、受信入力信号の電力対時間の予想される傾向を表わす。エネルギーパターンは次に、検出器204に送信される。検出器204は、受信入力信号のエネルギーパターンを、予想される受信入力信号のエネルギーパターンと比較する比較器(図示せず)を含む。干渉器が入力信号に干渉した場合、予想されるエネルギーパターンから逸脱する異なるパターンが、検出器204によって検出されるであろう。
【0035】
比較器は比較して双方のエネルギーパターン間の違いを検出する。パターンが互いに異なる場合、検出器204はアラーム信号を受信器206 RXに放出するであろう。違いが著しい場合、アラーム信号が放出されるように比較器が比較して違いを検出することは、より簡単であり得る。しかしながら、比較器は、より少ない有意差に対しても反応するように構成される。
【0036】
無線ネットワークノード202Bはさらに、遅延コンポーネントと直列に接続されたスイッチ207を含んでいてもよく、それはアナログであってもよい。双方のコンポーネントは、アンテナRXと受信器206 RXとの間に接続され、検出器204と並列に接続される。図2で見えるように、ノード202Bの電気回路を開くために、アラーム信号ALARMが検出器204によってスイッチ207に送信され、干渉器203からの妨害または干渉された信号が受信器206 RXに到達することを妨げる。遅延コンポーネント205は、受信アンテナRXからの入力信号を、それが受信器206 RXに到達する前に遅延させる。この遅延は、検出器204が、起こり得る干渉パターンを認識してアラーム信号を送信するのに十分な時間を有することを可能にする。無線ノード202Bが適切に作動するために、それは、通常状態において干渉への即時反応および最小の遅延を保証するために迅速であることと、潜在的な妨害器からの高い無線周波数電力に対処するように頑丈であることとの双方を必要とする。
【0037】
受信器はまた、妨害された信号が通信にさらに干渉することを妨げるためのアクションとしてスイッチが回路を開いたときに、新しいチャネルに切り換えてもよい。
【0038】
アラーム信号はまた、送信器206 TXに到達してもよく、それはこの場合、この目的のみのために、データメッセージを、予約されたチャネルを通して、ネットワークにおける他のノードに送信してもよい。そして、受信器がチャネルを変更した場合、それは、通信がノード間で再び流れることができるように、新しいチャネルについて要求するであろう。
【0039】
本発明のノード302Bの別の例示的な実施形態が、図3に示される。この実施形態は、この場合、検出器304における比較器が、受信入力信号のエネルギーパターンと予想される受信入力信号のエネルギーパターンとが整合されていると判断するまで、受信器306 RXが送信ノード302Aから入力信号を受信していないという点で、図2の中の実施形態とは異なる。これは、干渉器303がもはや周囲になく、入力信号が受信器306 RXによって安全に受信され得る場合に起こっている。これに鑑み、検出器は、スイッチ307および受信器306 RXの双方にアラーム信号を放出する。この場合、チャネルの変更が行なわれないため、アラーム信号を検出器306 TXに送信する必要はない。アラーム信号ALARMを受信すると、スイッチ307は、受信器がパケットを受信し始めることができるように回路を閉じる。前述の例示的な実施形態と同様に、遅延コンポーネント305は依然として、検出器が、パターンの整合を検出してアラーム信号を受信器306 RXに放出するための時間を許可されるように、入力信号を遅延させる同じ機能を有する。
【0040】
図4には、図2に示されたノードの例示的な一実施形態に従った、干渉中の無線エンティティ/ノードの信号パターンが表わされている。
【0041】
図4に示すように、および、図2の実施形態を参照することによって、ノード202Aは、周期的なパターンの信号を、送信器を介してノード202Bに送信する。干渉器203、403は、403 TX SIGとして示される妨害信号を同時に同じ周波数で送信し始める。ノード202Bでの検出器は、少なくとも1つのアンテナRXを介して、ノード202Aから送信された信号を受信する。しかしながら、信号は、404 IN-Bで示されるように、干渉器203、403からの妨害信号によって影響を受ける。このパターンは、受信器206 RXにおけるベースバンドプロセッサによって提供された予想される受信入力信号のエネルギーパターンとは異なるため、検出器204は、ALARM SIG-Bとして示される、受信器206 RXへのアラーム信号をトリガすることを決定する。干渉を検出し、アラーム信号を開始させるために検出器が必要とする時間の量は、DELAY 1として示される。遅延DELAY 1の後にアラーム信号ALARMがいったん受信器206 RXに放出されると、受信器は、異なるアクションが処置として行なわれ得るように、アラーム信号を処理してそれに反応するための時間を必要とする。この処理時間は、DELAY 3として示される。
【0042】
この例では、受信器206 RXは、新しいチャネルNEW CHに変更し、また、チャネル切り換えを送信器206 TXに通知することによって、検出された干渉に反応する。したがって、送信器206 TXは、検出された干渉を他のノードに通知し、送信ノード202Aにチャネル切り換えを要求するために、予約されたチャネルに関するメッセージを送信する。しかしながら、検出された妨害信号が受信器206 RXに到達することを回避するために、スイッチ207および遅延コンポーネント205が、これにより使用される。アラーム信号は、受信器206 RXだけでなく、検出された干渉された信号が受信器206 RXに到達できないように回路を開くスイッチもトリガし、RX RF IN-Bで示されるような人工的な遅延DELAY 2が、遅延コンポーネント205によって導入される。この遅延DELAY 2は、アンテナRXからの入力信号を遅延させて、信号が受信器206 RXに到達する前に、検出器が起こり得る干渉パターンを認識するのに十分な時間を許可する。次に、情報がうまく受信され得るように、次に続くデータパケットが、干渉のない指示された新しいチャネル上で、送信ノード202Aによって送信される。
【0043】
本開示はまた、図5および図6の方法ステップで説明される方法として提供される。図5は、本開示に従った方法の一例のフローチャートを示す。
【0044】
図5で説明される方法は、受信器206 RXと、送信器206 TXと、検出器204とを含む無線ネットワークノード202Bによって実行される。受信器206 RX内部のベースバンドプロセッサ(図示せず)は、(オプションで時間スケジューリングを含む)無線システムに属する送信ノードのための以前の通信サイクルのデータトラフィックパターンを観察し、次に、どの時刻/タイムスロットでこれらのノードが無線信号を送信するかを判断する。この情報と、おそらくはネットワークトポロジーのさらなる知識とに基づいて、ステップS1Aで示される、各入力信号についての予想される受信エネルギーが計算され、ステップS2で示されるように、予想される受信エネルギーパターン、すなわち、受信信号のエネルギー対時間のパターンが判断される。エネルギーパターンはまた、ステップS2で、受信アンテナRXから受信された入力信号について、受信エネルギー対時間を測定することによって判断される。無線ネットワークノードは、互いに協力するいくつかの受信アンテナを有することが可能であり得るが、ノード202Bから入力信号を受信するために、少なくとも1つが必要である。
【0045】
前述のように、無線ネットワークノード202Bの構成は、干渉器が現われた場合に、干渉器203からの妨害された信号が、受信器206 RXまたはベースバンドプロセッサに到着する前に扱われるように、検出器が受信器に先立って入力信号を受信するように適合される。
【0046】
検出器204は、ステップS3で示されるように、受信入力信号のエネルギーパターンを予想されるエネルギーパターンと比較するために、比較器を使用する。干渉器203が妨害された信号をノードの残りと同じ周波数で送信している場合、受信入力信号は妨害された信号によって干渉され、入力信号のエネルギーパターンは、予想されるものとは異なるであろう。これが起こると、ステップS4で、比較器は違いを検出し、ステップS5で示されるように、アラーム信号が放出されるであろう。一方、エネルギーパターンがS4で示されるように異なってはいない場合、プロセスは、無線ネットワークにおける他のノードから受信された新しい入力信号ごとに繰り返される。
【0047】
アラーム信号が検出器によってトリガされた場合、妨害された信号が送信に侵入することを回避するために実行されるべき異なるアクションがある。これらのアクションの一例を、図6のステップS6~S7で示す。この例では、アラーム信号は、干渉パターンを検出するとスイッチを開くことによって受信器を切り離すために使用される。アラーム信号はまた、さらなるアクションを講じるために、実際のノードにおける送信器および受信器の双方に転送されてもよい。これらのアクションは、たとえば、検出された干渉を他のノードに通知し、チャネルの変更を要求するために、すでに予約されたチャネルに関するメッセージを送信することを含む。他のアクションは、根本的な制御システムを、パケットの潜在的損失を許容してネットワーキング性能を低下させ得る安全モードに切り換えることを含んでいてもよい。これらは、行なわれ得るアクションの例に過ぎないが、本開示は、検出された干渉への反応において、これらのアクションに限定されない。
【0048】
方法はまた、受信入力信号のエネルギーパターンと予想される受信入力信号のエネルギーパターンとがいつ整合されるか、または同様であるか、または等しいかを検出することが重要である、干渉された環境で使用されてもよい。この場合、受信器はアクティブではなく、スイッチがいったん閉じられて初めて、起動され得る。ステップS5で、エネルギーパターンが比較され、それらが異なる場合、アラーム信号は放出されず、破線ボックスで「いいえ」として示される。そのため、エネルギーパターンはもう一度判断され、比較されるであろう。しかしながら、それらが異なっていない場合、すなわち、整合される/同様である/等しい場合、これは、干渉器がもはや送信していないことを意味するであろう。そのため、アラーム信号が次に、受信器を起動するためにそれに放出され、破線ボックスで「はい」として示される。アラーム信号はまた、スイッチを閉じるためにそれに放出され、そのため、受信器は、他のノードから送信された入力信号をアンテナを介して受信するように起動され得る。
【0049】
この発明を、その例示的な実施形態に関して説明してきたが、ここに説明されたノード/エンティティおよび手段に、この発明の範囲および教示から逸脱することなく、さまざまな変更が行なわれ得ることが理解されるであろう。したがって、説明された実施形態は単に例示的であると考えられるべきであり、この発明または開示は、添付された請求項に定められる場合を除き、限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6