(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】区分化された風力タービンブレード用の封止部材
(51)【国際特許分類】
F03D 13/10 20160101AFI20240826BHJP
F03D 80/30 20160101ALI20240826BHJP
F03D 1/06 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
F03D13/10
F03D80/30
F03D1/06 A
(21)【出願番号】P 2021547904
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2019079171
(87)【国際公開番号】W WO2020089069
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-17
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521178493
【氏名又は名称】ブレード ダイナミクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】アヴァルディ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】スワットン,クリス・ポール
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュ,ジョージ・ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ムケルジー,マニッシュ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/104429(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0090968(US,A1)
【文献】特開2005-147080(JP,A)
【文献】実開昭49-074015(JP,U)
【文献】特開2010-038314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
F16B 5/00- 5/12
F16J 15/16-15/32;15/324-15/3296;15/46-15/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のブレードセクション(44)と、前記第1のブレードセクション(44)に結合された第2のブレードセクション(46)と、を含
み、前縁(18)と後縁(20)とを有する風力タービンブレード(10)であって、
前記第1のブレードセクション(44)は、根元部(16)から第1の端部(50)まで長手方向軸に沿って延在し、前記第1のブレードセクション(44)は、根元領域(30)および第1の翼形部領域(34a)を含み、前記第1のブレードセクション(44)は、前記第1の端部(50)で終端する第1の外側シェル(25)を含み、
前記第2のブレードセクション(46)は、前記長手方向軸に沿って第2の端部(52)から先端部(14)まで延在し、前記第2のブレードセクション(46)は、第2の翼形部領域(34b)を含み、前記第2のブレードセクション(46)は、前記第2の端部(52)で終端する第2の外側シェル(27)を含み、
前記風力タービンブレード(10)は、第1の表面(72)および第2の表面(74)を有する封止部材(70)を含み、前記封止部材(70)は、第1の縁部(76)と第2の縁部(78)との間の幅を有し、前記封止部材(70)は、前記第1の縁部(76)に沿って前記第1の外側シェル(25)に取り付けられ、前記封止部材(70)は、前記第2の縁部(78)に沿って前記第2の外側シェル(27)に取り付けられ、
前記封止部材(70)は、前記第1の縁部(76)と前記第2の縁部(78)との間に波形セクション(80)を含み、
前記封止部材(70)は、前記波形セクション(80)において第1の表面と第2の表面との間でほぼ均一な厚さを有し、前記波形セクション(80)は、前記封止部材(70)の長手方向に沿って延在する1つまたは複数の谷部(82)および1つまたは複数の隆起部(84)を含む、風力タービンブレード(10)。
【請求項2】
前記封止部材(70)は、前記風力タービンブレード(10)の
前記後縁(20)から、前記風力タービンブレード(10)の負圧側面(26)に沿って、前記風力タービンブレード(10)の
前記前縁(18)を越えて、前記風力タービンブレード(10)の正圧側面(24)に沿って、前記風力タービンブレード(10)の前記後縁(20)まで延在する、請求項1に記載の風力タービンブレード(10)。
【請求項3】
前記封止部材(70)は、第1の封止部材端部(86)から第2の封止部材端部(88)まで前記長手方向に延在し、前記第1の封止部材端部(86)は、前記風力タービンブレード(10)の前記後縁(20)において、前記第2の封止部材端部(88)に取り付けられる、請求項1または2に記載の風力タービンブレード(10)。
【請求項4】
前記第1の封止部材端部(86)および前記第2の封止部材端部(88)は、前記第1の封止部材端部(86)における前記第2の表面(74)の第1の接続領域(87)を前記第2の封止部材端部(88)における前記第2の表面(74)の第2の接続領域(89)に取り付けることによって取り付けられる、請求項3に記載の風力タービンブレード(10)。
【請求項5】
前記第2の表面(74)は、前記第1の縁部(76)に沿った第1の接合領域(77)を含み、前記第2の表面(74)は、前記第2の縁部(78)に沿った第2の接合領域(79)を含み、前記封止部材(70)は、前記第1の接合領域(77)と前記第1の外側シェル(25)の第1のシェル接合領域(90)とが互いに接合されることによって前記第1の外側シェル(25)に取り付けられ、前記封止部材(70)は、前記第2の接合領域(79)と前記第2の外側シェル(27)の第2のシェル接合領域(92)とが互いに接合されることによって前記第2の外側シェル(27)に取り付けられる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の風力タービンブレード(10)。
【請求項6】
前記封止部材(70)は、前記封止部材(70)の前記長手方向が前記風力タービンブレード(10)の前記長手方向軸に対して実質的に垂直な平面内にあるように配置される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の風力タービンブレード(10)。
【請求項7】
前記第1のブレードセクション(44)と前記第2のブレードセクション(46)とを結合するスパービーム(60)を含み、前記スパービーム(60)は、第1のビーム位置から第2のビーム位置までスパービーム軸に沿って長手方向に延在し、前記第1のビーム位置が前記第1の翼形部領域(34a)に位置し、前記第2のビーム位置が前記第2の翼形部領域(34b)に位置し、前記第1のビーム位置と前記第2のビーム位置との間の第3のビーム位置が前記第2のブレードセクション(46)の前記第2の端部(52)と位置合わせされるように配置される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の風力タービンブレード(10)。
【請求項8】
風力タービンブレード(10)の第1のブレードセクション(44)と第2のブレードセクション(46)との間の接合部を封止するための封止部材(70)であって、前記第2のブレードセクション(46)は前記第1のブレードセクション(44)に結合され、
前記封止部材(70)は第1の表面(72)および第2の表面(74)を有し、前記封止部材(70)は第1の縁部(76)と第2の縁部(78)との間の幅を有し、前記封止部材(70)は、前記第1の縁部(76)に沿って前記第1のブレードセクション(44)の第1の外側シェル(25)に取り付けられ、かつ前記第2の縁部(78)に沿って前記第2のブレードセクション(46)の第2の外側シェル(27)に取り付けられるように構成され、
前記封止部材(70)は、前記第1の縁部(76)と前記第2の縁部(78)との間に波形セクション(80)を含み、
前記封止部材(70)は、前記波形セクション(80)において第1の表面と第2の表面との間でほぼ均一な厚さを有し、前記波形セクション(80)は、前記封止部材(70)の長手方向に沿って延在する1つまたは複数の谷部(82)および1つまたは複数の隆起部(84)を含む、封止部材(70)。
【請求項9】
前記波形セクション(80)は、10~30mmのピーク間高さを有する、請求項8に記載の封止部材(70)。
【請求項10】
前記波形セクション(80)における前記第1の表面(72)と前記第2の表面(74)との間で0.5~5.0mmのほぼ均一な厚さを有する、請求項8または9に記載の封止部材(70)。
【請求項11】
前記封止部材(70)は押出部材であり、前記封止部材(70)は、前記長手方向に沿って実質的に一定の断面を有する、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の封止部材(70)。
【請求項12】
前記封止部材(70)は、熱可塑性ポリウレタンで作られている、請求項8乃至11のいずれか一項に記載の封止部材(70)。
【請求項13】
風力タービンブレード(10)の第1のブレードセクション(44)と第2のブレードセクション(46)との間の接合部を封止するための方法(200)であって、前記第2のブレードセクション(46)は前記第1のブレードセクション(44)に結合され、
前記第1のブレードセクション(44)は、根元部(16)から第1の端部(50)まで長手方向軸に沿って延在し、前記第1のブレードセクション(44)は、根元領域(30)および第1の翼形部領域(34a)を含み、前記第1のブレードセクション(44)は、前記第1の端部(50)で終端する第1の外側シェル(25)を含み、
前記第2のブレードセクション(46)は、前記長手方向軸に沿って第2の端部(52)から先端部(14)まで延在し、前記第2のブレードセクション(46)は、第2の翼形部領域(34b)を含み、前記第2のブレードセクション(46)は、前記第2の端部(52)で終端する第2の外側シェル(27)を含み、
前記風力タービンブレード(10)を形成するために、前記第1のブレードセクション(44)および前記第2のブレードセクション(46)をそれぞれの位置に結合および配置した後に、前記方法(200)は、
第1の表面(72)および第2の表面(74)を有する封止部材(70)を提供するステップ(202)であって、前記封止部材(70)は、第1の縁部(76)と第2の縁部(78)との間に幅を有し、前記封止部材(70)は、前記第1の縁部(76)と前記第2の縁部(78)との間に波形セクション(80)を含み、
前記封止部材(70)は、前記波形セクション(80)において第1の表面と第2の表面との間でほぼ均一な厚さを有し、前記波形セクション(80)は、前記封止部材(70)の長手方向に沿って延在する1つまたは複数の谷部(82)および1つまたは複数の隆起部(84)を含む、ステップ(202)と、
前記第1のブレードセクション(44)と前記第2のブレードセクション(46)との間の前記接合部に前記封止部材(70)を適用するステップ(203)と、を含み、前記封止部材(70)を適用するステップ(203)は、
前記封止部材(70)を前記第1の縁部(76)に沿って前記第1の外側シェル(25)に取り付けるステップ(204)と、
前記封止部材(70)を前記第2の縁部(78)に沿って前記第2の外側シェル(27)に取り付けるステップ(206)と、を含む方法(200)。
【請求項14】
前記第1の外側シェル(25)の第1のシェル接合領域(90)を洗浄するステップ(208)と、前記第2の外側シェル(27)の第2のシェル接合領域(92)を洗浄するステップ(208)と、を含む、請求項13に記載の方法(200)。
【請求項15】
前記長手方向における前記封止部材(70)は、第1の封止部材端部(86)から第2の封止部材端部(88)まで延在し、前記封止部材(70)を適用するステップ(203)は、前記第1の封止部材端部(86)を前記第2の封止部材端部(88)に取り付けるステップ(214)を含み、前記第1の封止部材端部(86)を前記第2の封止部材端部(88)に取り付けるステップ(214)は、前記第1の封止部材端部(86)における前記第2の表面(74)の第1の接続領域(87)と、前記第2の封止部材端部(88)における前記第2の表面(74)の第2の接続領域(89)と、を互いに接合するステップ(214b)を含む、請求項13または14に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、封止部材、特に風力タービンブレード用の封止部材に関し、より具体的には、本開示は、第1のブレードセクションおよび第2のブレードセクション、ならびに任意選択的にさらなるブレードセクションを含む風力タービンブレードなどの、風力タービンブレードの隣接セクションなどの、隣接セクション間の接合部を封止するための封止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービン用のブレードに対する要求は、長さが増加するブレードに向かう傾向があるため、例えば設置場所で組み立てられるための、ブレードを区分化して製造する概念に対する関心が高まっている。複数のセクションを含むそのような風力タービンブレードは、分割ブレード、または2部分ブレード、またはセグメント化ブレードなどとして知られている場合がある。
【0003】
しかしながら、空気力学的性能および/または望ましくない増大したノイズの発生を損なうことなく後続のセクションのシェルをどのように接合するかを含むシェルセグメントの製造および接合に関するいくつかの課題が、そのような設計に関連している。
【0004】
さらに、外部環境からの雨、埃、または他のものが風力タービンブレードに入り、風力タービンブレードの内部部品に損傷を引き起こす可能性を防ぐために、セグメント間のそのような接合部を封止することが重要であり得る。
【0005】
さらに、セグメント化された風力タービンブレードは、現場で、例えば架設現場で、しばしばまたは常に組み立てられる。風力タービンブレードの容易で簡単な組み立てを促進する解決策を提供することも関心事である。
【0006】
他の産業においても同様の課題が見出される可能性があり、したがって、以下に提供される解決策は、風力タービンブレードまたは風力タービン以外の構造のセクションの組み立てにも適用可能であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2018/238300号明細書
【発明の概要】
【0008】
本開示の目的は、セグメント化された構造の組み立ておよび性能をサポートするための、特にセグメント化された風力タービンブレードの組み立ておよび性能を容易にするための、要素および方法を提供することである。
【0009】
したがって、風力タービンブレードの第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとの間の接合部などの構造のセクション間の接合部を封止するための封止部材などの封止部材が開示され、第2のブレードセクションは第1のブレードセクションに結合される。封止部材は、第1の表面および第2の表面を有する。封止部材は、第1の縁部と第2の縁部との間の幅を有する。封止部材は、第1の縁部に沿って第1のブレードセクションの第1の外側シェルなどの第1の外面に取り付けられ、第2の縁部に沿って第2のブレードセクションの第2の外側シェルなどの第2の外面に取り付けられるように構成される。封止部材は、第1の縁部と第2の縁部との間に波形セクションを含む。波形セクションは、封止部材の長手方向に沿って延在する1つまたは複数の谷部および/または隆起部を含む。
【0010】
第1のブレードセクションと、第1のブレードセクションに結合された第2のブレードセクションと、を含む風力タービンブレードも開示される。第1のブレードセクションは、根元部から第1の端部まで長手方向軸に沿って延在し、第1のブレードセクションは、根元領域および第1の翼形部領域を含む。第1のブレードセクションは、第1の端部で終端する第1の外側シェルを含む。第2のブレードセクションは、長手方向軸に沿って第2の端部から先端部まで延在し、第2のブレードセクションは、第2の翼形部領域を含み、第2のブレードセクションは、第2の端部で終端する第2の外側シェルを含む。風力タービンブレードは、例えば第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとの間の接合部を封止するために、上述の封止部材などの封止部材を含む。封止部材は、第1の表面および第2の表面を有する。封止部材は、第1の縁部と第2の縁部との間の幅を有する。封止部材は、第1の縁部に沿って第1の外側シェルに取り付けられ、封止部材は、第2の縁部に沿って第2の外側シェルに取り付けられる。封止部材は、第1の縁部と第2の縁部との間に波形セクションを含む。波形セクションは、封止部材の長手方向に沿って延在する1つまたは複数の谷部および/または隆起部を含む。
【0011】
風力タービンブレードの第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとの間の接合部などの構造のセクション間の接合部を封止するための方法も開示され、第2のブレードセクションは、上述の風力タービンブレードなどの第1のブレードセクションに結合される。第1のブレードセクションは、根元部から第1の端部まで長手方向軸に沿って延在し、第1のブレードセクションは、根元領域および第1の翼形部領域を含む。第1のブレードセクションは、第1の端部で終端する第1の外側シェルを含む。第2のブレードセクションは、長手方向軸に沿って第2の端部から先端部まで延在し、第2のブレードセクションは、第2の翼形部領域を含む。第2のブレードセクションは、第2の端部で終端する第2の外側シェルを含む。
【0012】
構造のセクションをそれぞれの位置に配置した後に、例えば風力タービンブレードを形成するために、第1のブレードセクションおよび第2のブレードセクションをそれぞれの位置に結合および配置した後に、本方法は、第1の表面および第2の表面を有する、上記で開示した封止部材などの、封止部材を提供するステップであって、封止部材は、第1の縁部と第2の縁部との間に幅を有し、封止部材は、第1の縁部と第2の縁部との間に波形セクションを含み、波形セクションは、封止部材の長手方向に沿って延在する1つまたは複数の谷部および/または隆起部を含む、ステップと、第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとの間の接合部に封止部材を適用するステップと、を含む。封止部材を適用するステップは、第1の縁部に沿って第1の外側シェルなどの第1の外面に封止部材を取り付けるステップと、第2の縁部に沿って第2の外側シェルなどの第2の外面に封止部材を取り付けるステップと、を含む。
【0013】
任意選択的に、封止部材を接合部に適用する前に、本方法は、第1の外側シェルの第1のシェル接合領域を洗浄するステップ、および/または第2の外側シェルの第2のシェル接合領域を洗浄するステップを含む。第1のシェル接合領域および/または第2のシェル接合領域を洗浄するステップは、例えば、溶媒を用いた研磨および/または洗浄を含むことができる。代替的または追加的に、洗浄は、例えば乾燥布を使用して、第1のシェル接合領域および/または第2のシェル接合領域を乾燥状態で拭き取るステップを含んでもよい。
【0014】
本開示は、風力タービンブレードのセクション間の接合部の封止に関連して開示された封止部材を利用することを主に説明しているが、開示された封止部材および封止部材を使用して接合部を封止する方法は、自動車部品、航空機部品、船舶部品、ロボット、機械などの他の構造の接合部の封止に使用されてもよいことが理解されよう。
【0015】
柔軟で特注ではない封止部材が提供され、接合部を封止することができ、例えば、キャビティへの/からの液体および/または破片の出入りを簡単で容易な手順で防止することができるという利点がある。
【0016】
本開示のさらなる利点は、例えば接合部を形成するセクションが取り付けられ、それぞれ配置された後に、接合部を外側から封止することができることである。したがって、本開示は、構造のセクション間の接合部を封止するためのより容易でより便利な方法を提供する。
【0017】
本開示のさらなる利点は、ある程度の圧縮および/または拡張を可能にするために、例えば故障のリスクを防止または低減するために、ある程度の可撓性が封止部材に設けられることである。
【0018】
さらに、本開示の利点は、風力タービンブレードの接合部を封止する場合に、本開示が、ブレードシェル端部間の大きな荷重の伝達を回避または低減しながら、風力タービンブレードの空力性能を維持することができる封止部材および接合部を封止するための方法を提供することである。好ましい実施形態では、封止部材は、第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとの間で、10%以下の荷重伝達、例えば5%以下の荷重伝達を可能にする。したがって、第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとの間の荷重伝達の少なくとも90%または少なくとも95%などの大部分、またはすべてが、1つまたは複数のスパービームを介して行われることが好ましい。したがって、封止部材を介してではなく、一方のブレードセクションからスパービームを介して他方のブレードセクションに荷重およびモーメントが有利に伝達される。
【0019】
さらに、本開示の利点は、特に風力タービンブレードの接合部を封止する場合に、動作騒音レベルを許容範囲内に保つことができることである。
【0020】
さらに、本開示の利点は、構造、例えば風力タービンブレード、特に接合部の雷保護を容易にするために提供され得ることである。
【0021】
封止部材の第2の表面は、接合部の近くの外面に接合されるように構成された接合領域を含むことができる。封止部材の第2の表面は、第1の縁部に沿って第1の接合領域を含んでもよい。第1の接合領域は、第1の外側シェルに接合されるように構成されてもよい。第2の表面は、第2の縁部に沿って第2の接合領域を含むことができる。第2の接合領域は、第2の外側シェルに接合されるように構成されてもよい。例えば、第1の縁部に沿って封止部材を第1の外側シェルに取り付けるステップは、第1の外側シェルの第1の接合領域と第1の外側シェル接合領域とを互いに結合するステップを含んでもよい。したがって、封止部材は、第1の外側シェルの第1の接合領域および第1の外側シェル接合領域が互いに接合されることによって、風力タービンブレードの第1の外側シェルに取り付けられてもよい。追加的または代替的に、第2の縁部に沿って封止部材を第2の外側シェルに取り付けるステップは、第2の外側シェルの第2の接合領域と第2の外側シェル接合領域とを互いに接合するステップを含んでもよい。したがって、封止部材は、第2の外側シェルの第2の接合領域および第2の外側シェル接合領域が互いに接合されることによって、風力タービンブレードの第2の外側シェルに取り付けられてもよい。第1の接合領域と第1のシェル接合領域とを互いに接合すること、および/または第2の接合領域と第2のシェル接合領域とを互いに接合することは、接着、溶接などによって提供され得る。例えば、第1の接合領域および第1のシェル接合領域ならびに/あるいは第2の接合領域および第2のシェル接合領域は、接着剤、両面テープ、接着剤などによって互いに接合されてもよい。
【0022】
封止部材の第1の縁部および第2の縁部は、実質的に平行など、平行であってもよい。
【0023】
封止部材は、波形セクションを有する。波形セクションは、例えば15mmなどの10~30mmのピーク間高さを有することができる。
【0024】
封止部材は、第1の表面と第2の表面との間に厚みを有してもよい。封止部材は、第1の表面と第2の表面との間でほぼ均一な厚さを有してもよい。封止部材は、波形セクションにおいて第1の表面と第2の表面との間でほぼ均一な厚さを有してもよい。封止部材の波形セクションの厚さなどの封止部材の厚さは、0.5~5.0mm、例えば2mmであってもよい。
【0025】
封止部材は、押出部材であってもよく、引抜形材であってもよい。封止部材は、長手方向に沿った断面が実質的に一定であってもよい。
【0026】
封止部材を構成する材料は、第1および第2のブレードセクションを構成する材料と異なることが好ましい。
【0027】
好ましい実施形態では、封止部材は、第1のブレードセクションおよび第2のブレードセクションよりも低い剛性を有する。同様に、封止部材を形成する材料の弾性率は、第1のブレードセクションを形成する材料および第2のブレードセクションを形成する材料の弾性率よりも低いことが好ましい。
【0028】
好ましい実施形態では、封止部材は、弾性率(ヤング率)が1000MPa以下、好ましくは500MPa以下の材料から形成される。いくつかの実施形態では、封止部材は、1~1000MPa、例えば1~500MPaの弾性率(ヤング率)を有する。当業者は、ヤング率としても知られている弾性率が、材料における応力(単位面積当たりの力)と歪み(比例変形)との間の関係を規定することを理解するであろう。したがって、弾性率は、材料の剛性の尺度である。弾性率は、当技術分野で周知のように、片持ち梁試験によって決定することができる。
【0029】
封止部材は、脂肪族熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性ポリウレタンを含んでもよい。好ましい実施形態では、封止部材は、脂肪族熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性ポリウレタンで作製されてもよい。封止部材の材料は、封止部材の所望の強度および/または可撓性を提供するように選択されてもよい。さらに、材料は、例えば風力タービンブレードなどの構造の内部構成要素の雷保護を強化するために、雷に対して絶縁するように選択することができる。
【0030】
封止部材は、例えば、封止部材にeガラスまたはアラミド繊維を含めることによって補強されてもよい。例えば、1つまたは複数のeガラスまたはアラミド二軸シートを熱可塑性ポリウレタンの層間に設けて、封止部材を形成してもよい。
【0031】
封止部材は、第1のブレードセクションの第1の外側シェルおよび/または第2のブレードセクションの第2の外側シェルを取り囲んでもよい。例えば、封止部材は、風力タービンブレードの後縁から、風力タービンブレードの負圧側面に沿って、風力タービンブレードの前縁を越えて、風力タービンブレードの正圧側面に沿って、風力タービンブレードの後縁まで延在してもよい。封止部材の1つの連続片は、風力タービンブレードの外側シェルの周り全体に延在してもよい。したがって、好ましい実施形態では、封止部材は、単一の連続片である。単一の封止部材の対向する端部が、好ましくは風力タービンブレードの後縁で接合されて、封止部材の閉ループを提供することが特に好ましい。好ましい実施形態では、風力タービンブレードは、本発明による1つの封止部材のみを含む。風力タービンブレードは、1つの封止部材のみを含み、封止部材は、その範囲全体にわたって単一材料で構成されることが特に好ましい。単一材料は、熱可塑性ポリウレタンまたは繊維強化熱可塑性ポリウレタンなどのポリウレタンを含んでもよい。
【0032】
封止部材を適用するステップは、第1のブレードセクションの第1の外側シェルおよび/または第2のブレードセクションの第2の外側シェルを取り囲むように封止部材を配置するステップを含んでもよい。封止部材を適用するステップは、風力タービンブレードの後縁から、風力タービンブレードの負圧側面に沿って、風力タービンブレードの前縁を越えて、風力タービンブレードの正圧側面に沿って、風力タービンブレードの後縁まで延在するように封止部材を配置するステップを含んでもよい。封止部材は、任意の適切な順序で適用されてもよく、例えば、封止部材は、正圧側面に適用される前に負圧側面に適用されてもよく、または封止部材は、負圧側面に適用される前に正圧側面に適用されてもよい。
【0033】
封止部材は、第1の封止部材端部から第2の封止部材端部まで長手方向に延在してもよい。封止部材の長手方向は、第1の縁部に平行であってもよく、および/または第2の縁部に平行であってもよい。第1の封止部材端部は、第2の封止部材端部に取り付けられてもよい。例えば、第1の封止部材端部は、風力タービンブレードの後縁において第2の封止部材端部に取り付けられてもよく、例えば、封止部材を、例えば接合部に適用するステップは、第1の封止部材端部を第2の封止部材端部に取り付けるステップを含んでもよい。例えば、封止部材は、後縁から、外側シェルの周りで、風力タービンブレードの反対側の後縁に戻って、風力タービンブレードの接合部に適用されてもよく、封止部材の2つの端部、第1の封止部材端部および第2の封止部材端部は、互いに取り付けられてもよい。第1の封止部材端部を第2の封止部材端部に取り付けるステップは、第1の封止部材端部における第2の表面の第1の接続領域と、第2の封止部材端部における第2の表面の第2の接続領域と、を互いに接合するステップを含んでもよい。
【0034】
第1の封止部材端部および第2の封止部材端部は、第1の封止部材端部の第2の表面の第1の接続領域を第2の封止部材端部の第2の表面の第2の接続領域に取り付けることによって取り付けられてもよい。例えば、第1の封止部材端部は、第1の接続領域と第2の接続領域とを接着または熱溶接などの溶接などによって互いに接合することによって第2の封止部材端部に取り付けられてもよい。
【0035】
第1の封止部材端部は、第1の封止部材端部および第2の封止部材端部が風力タービンブレードから、例えば風力タービンブレードの後縁から突出するように、第2の封止部材端部、例えば風力タービンブレードの後縁に取り付けられてもよい。第1の封止部材端部および/または第2の封止部材端部は、例えば風力タービンブレードの後縁などの風力タービンブレードから突出する突出封止部材部分を形成してもよい。突出封止部材部分は、風力タービンブレードの空気力学的性能に寄与するように成形されてもよい。例えば、突出封止部材部分は、封止部材の第1の縁部および/または第2の縁部に向かって先細になっていてもよい。突出封止部材部分は、丸みを帯びていてもよく、湾曲していてもよく、または三角形であってもよい。
【0036】
好ましい実施形態では、封止部材は、実質的に対称な断面を有する。封止部材のこのような対称な断面は、風力タービンブレードの空気力学的性能を維持するのに役立つことが分かった。
【0037】
第1の外側シェルおよび/または第2の外側シェルなどの第1のブレードセクションおよび/または第2のブレードセクションなどの風力タービンブレードは、突出封止部材なしで、または突出封止部材を限定して、第1の封止部材端部および第2の封止部材端部の取り付けを可能にするように形成されてもよい。例えば、第1の端部と第2の端部との間のギャップは、例えば、ギャップを介した第1の封止部材端部と第2の封止部材端部との取り付けを可能にするために、後縁付近で増加されてもよい。例えば、第1の外側シェルの後縁は、第1の空隙セクションを含むことができ、および/または第2の外側シェルの後縁は、例えば増加したギャップを形成するために、第2の空隙セクションを含むことができる。
【0038】
封止部材は、封止部材の長手方向が風力タービンブレードの長手方向軸に対して実質的に垂直な平面内にあるように配置されてもよい。例えば、封止部材を適用するステップは、封止部材の長手方向が風力タービンブレードの長手方向軸に対して実質的に垂直な平面内にあるように封止部材を配向するステップを含んでもよい。封止部材は、封止部材の長手方向が、動作時に風力タービンブレードを横切る予想される空気流、特に封止部材の位置での予想される空気流の方向と実質的に平行に配向されるように配置されてもよい。封止部材のこのような向きは、谷部および/または隆起部が予想される空気流と平行であることを提供し、それによって封止部材によって発生するノイズを低減することができる。
【0039】
第1のブレードセクションの第1の端部と第2のブレードセクションの第2の端部とは、第1の端部と第2の端部との間にギャップを形成するように離間されてもよい。例えば、ギャップは、第1の外側シェルと第2の外側シェルとの間に形成されていてもよい。封止部材は、例えば、封止部材が風力タービンブレードの接合部などの風力タービンブレードに適用されたときに、ギャップを横切って延在することができる。波形セクションは、ギャップ内に配置されてもよく、例えば、波形セクションは、第1の端部と第2の端部との間に配置されてもよい。
【0040】
風力タービンブレードは、第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとを結合するスパービームなどのスパービームを含んでもよい。スパービームは、例えば、第1のビーム端部などの第1のビーム位置から第2のビーム端部などの第2のビーム位置まで、スパービーム軸に沿って長手方向に延在してもよい。スパービームは、第1のビーム位置が第1の翼形部領域に配置され、第2のビーム位置が第2の翼形部領域に配置されるように配置されてもよい。例えば第1のビーム位置と第2のビーム位置との間の第3のビーム位置は、第1のブレードセクションの第1の端部および/または第2のブレードセクションの第2の端部と位置合わせされてもよい。
【0041】
本開示の実施形態は、添付の図面に関連して以下でより詳細に説明される。図面は、本発明を実施する1つの方法を示しており、添付の特許請求の範囲に含まれる他の可能な実施形態を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図2a】例示的な風力タービンブレードを示す概略図である。
【
図2b】例示的な風力タービンブレードを示す概略図である。
【
図3】例示的な風力タービンブレードの断面を示す概略図である。
【
図6】例示的な封止部材の断面を示す概略図である。
【
図9a】例示的な風力タービンブレードの一部を示す概略図である。
【
図9b】例示的な風力タービンブレードの一部を示す概略図である。
【
図10】接合部を封止するための例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、タワー4、ナセル6、および実質的に水平なロータシャフトを有するロータを備えた、いわゆる「デンマークの概念」による従来の最新の風上風力タービン2を示す。ロータは、ハブ8と、ハブ8から半径方向に延在する3つのブレード10と、を含み、それぞれがハブに最も近いブレード根元部16と、ハブ8から最も遠いブレード先端部14と、を有する。
【0044】
図2aは、例示的な風力タービンブレード10の概略図を示す。風力タービンブレード10は、根元端部17および先端部15を有する従来の風力タービンブレードの形状を有し、ハブに最も近い根元領域30、ハブから最も遠いプロファイルまたは翼形部領域34、および根元領域30と翼形部領域34との間の移行領域32を含む。ブレード10は、ブレードがハブに取り付けられたときにブレード10の回転方向に面する前縁18と、前縁18の反対方向に面する後縁20と、を含む。
【0045】
翼形部領域34(プロファイル領域とも呼ばれる)は、揚力の生成に関して理想的またはほぼ理想的なブレード形状を有するが、構造上の考慮事項による根元領域30は、実質的に円形または楕円形の断面を有し、これにより、例えば、ブレード10をハブに取り付けることがより容易かつ安全になる。根元領域30の直径(または翼弦)は、根元領域30全体に沿って一定であってもよい。移行領域32は、根元領域30の円形または楕円形から翼形部領域34の翼形部プロファイルに徐々に変化する移行プロファイルを有する。移行領域32の翼弦長は、典型的には、ハブからの距離rが増加するにつれて増加する。翼形部領域34は、ブレード10の前縁18と後縁20との間に延在する翼弦を有する翼形部プロファイルを有する。翼弦の幅は、ハブからの距離rが増加するにつれて減少する。
【0046】
ブレード10の肩部40は、ブレード10がその最大翼弦長を有する位置として定義される。肩部40は、典型的には、移行領域32と翼形部領域34との間の境界に設けられる。
【0047】
ブレードの異なるセクションの翼弦は、通常、共通平面内には存在しないことに留意されたい。なぜなら、ブレードは、捻られかつ/または湾曲され(すなわち、予め曲げられ)てもよく、したがって、それに応じて捻られかつ/または湾曲されたコースを翼弦平面に提供するからであり、これは、ほとんどの場合、ハブからの半径に依存するブレードの局所的な速度を補償するためである。
【0048】
風力タービンブレード10は、典型的には繊維強化ポリマーで作られた、第1のブレードシェル部分24および第2のブレードシェル部分26の二つのブレードシェル部分を含み得るブレードシェルを含む。第1のブレードシェル部分24は、典型的には、正圧側面または風上ブレードシェル部分である。第2のブレードシェル部分26は、典型的には、負圧側面または風下ブレードシェル部分である。第1のブレードシェル部分24および第2のブレードシェル部分は、典型的には、ブレード10の後縁20および前縁18に沿って延在する接合線または接着接合部28に沿って互いに接着される。典型的には、ブレードシェル部分24、26の根元端部は、半円形または半楕円形の外側断面形状を有する。
【0049】
風力タービンブレード10は、長手方向軸Lに沿って延在する。根元端部17は、長手方向軸Lに実質的に垂直な根元端部面内に延在する。
【0050】
風力タービンブレード10は、いわゆる分割ブレード、または2部分ブレード、またはセグメント化ブレードである。風力タービンブレード10は、第1のブレードセクション44および第2のブレードセクション46を含む。第1のブレードセクション44は、根元端部17などの根元部から第1の端部50まで長手方向軸Lに沿って延在する。第2のブレードセクション46は、長手方向軸Lに沿って第2の端部52から先端部15などの先端部まで延在する。第1のブレードセクション44は、根元領域30と、第1の翼形部領域34aと、根元領域30と第1の翼形部領域34aとの間の移行領域32と、を含む。第2のブレードセクション46は、先端部15などの先端部を有する第2の翼形部領域34bを含む。第1のブレードセクション44および第2のブレードセクション46は、スパービームと結合することができる(
図2bを参照)。第1のブレードセクションおよび第2のブレードセクションは、接合部54で合流する。
【0051】
図2bは、前の図の風力タービンブレード10などの例示的な風力タービンブレード10を示す概略図である。風力タービンブレード10は、第1のブレードセクション44と、第2のブレードセクション46と、第1のブレードセクション44と第2のブレードセクション46とを結合するためのスパービーム60と、を含む。スパービーム60は炭素繊維を含んでもよく、例えばスパービーム60は引抜炭素繊維強化ポリマーを含んでもよい。
【0052】
スパービーム60は、スパービーム軸Bに沿って、例えば第1のビーム位置から第2のビーム位置まで、長手方向に延在するなどして延在する。スパービーム軸Bは、風力タービンブレード10の長手方向軸と一致および/または平行であってもよい。風力タービンブレードが組み立てられると、スパービーム60は、第1の翼形部領域34aの点から第2の翼形部領域34bの点まで延在する。例えば、スパービーム60は、第1のビーム位置、例えばスパービームの第1の端部が第1の翼形部領域34aに位置し、第2のビーム位置、例えばスパービームの第2の端部が第2の翼形部領域34bに位置するように配置されてもよい。第1のビーム位置と第2のビーム位置との間の第3のビーム位置は、第1のブレードセクション44の第1の端部50と位置合わせされてもよく、および/または第3のビーム位置は、第2のブレードセクション46の第2の端部52と位置合わせされてもよい。
【0053】
図3は、
図2aおよび
図2bの風力タービンブレード10などの例示的な風力タービンブレード10の翼形部領域の断面を示す概略図である。風力タービンブレード10は、後縁20と、前縁18と、正圧側面24と、負圧側面26と、後縁せん断ウェブ41aおよび前縁せん断ウェブ41bなどのせん断ウェブ41と、前縁18から後縁20まで延在する翼弦線38と、を含む。せん断ウェブ41は、別の風力タービンブレードでは、スパーの側面で置き換えることができる。したがって、以下では、せん断ウェブを含む風力タービンブレードを参照して例を提供することができるが、これらはスパーの側面で置き換えることができる。例えば、風力タービンブレード10は、第1のブレードセクションに示すようにせん断ウェブを有することができ、風力タービンブレードは、例えば
図2bに示すように、第2のブレードセクションのスパービームによって支持することができる。
【0054】
図4は、例えば前の図に示すように、風力タービンブレードの第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとの間の接合部などの接合部を封止するための封止部材70などの例示的な封止部材70を示す概略図であり、第2のブレードセクションは第1のブレードセクションに結合されている。
【0055】
封止部材70は、第1の表面72および第2の表面74を有する。封止部材70は、第1の縁部76と第2の縁部78との間の幅D0を有する。封止部材は、第1の縁部76に沿って第1のブレードセクションの第1の外側シェルに取り付けられ、第2の縁部78に沿って第2のブレードセクションの第2の外側シェルに取り付けられるように構成される。
【0056】
封止部材70は、第1の縁部76と第2の縁部78との間に波形セクション80を含む。波形セクションは、封止部材70の長手方向に沿って延在する1つまたは複数の谷部82および/または隆起部84を含む。
【0057】
封止部材70の断面は、長手方向に沿って実質的に一定であってもよい。封止部材70は、第1の封止部材端部86から第2の封止部材端部88まで長手方向に延在する。第1の封止部材端部86は、封止部材70が閉ループを形成できるように、第2の封止部材端部88に取り付けられるように構成されてもよい。
【0058】
第2の表面74は、第1の縁部76に沿って第1の接合領域77を有する。第1の接合領域77は、第1の外側シェルに接合されるように構成されている。第2の表面74は、第2の縁部78に沿って第2の接合領域79を含む。第2の接合領域79は、第2の外側シェルに接合されるように構成されている。
【0059】
図5は、前の図に関連して例示された風力タービンブレード10などの風力タービンブレードに適用される、前の図の封止部材などの例示的な封止部材70を示す概略図である。封止部材70は、風力タービンブレードを取り囲み、すなわち、封止部材70は、後縁20から負圧側面26に沿って、前縁18を越えて正圧側面(図示せず)に沿って後縁20まで延在する。封止部材70は、第1の端部86および第2の封止部材端部(図示せず)を有し、これらは後縁20で合流し、互いに取り付けられている(詳細については
図7を参照)。封止部材70は、第1の表面72と、風力タービンブレード外側シェルに面する第2の表面(図示せず)と、第1の縁部76と、第2の縁部78と、を有する。封止部材は、第1のブレードセクション44の第1の外側シェル25に第1の縁部76に沿って取り付けられている。封止部材70は、第2の縁部78に沿って第2のブレードセクション46の第2の外側シェル27に取り付けられている。封止部材70は、封止部材の長手方向が風力タービンブレード10の長手方向軸Lに対して実質的に垂直な平面内にあるように配置される。
【0060】
図6は、前の図の封止部材などの例示的な封止部材70の断面を示す概略図である。封止部材70は、第1の表面72と、第2の表面74と、第1の縁部76と、第2の縁部78と、を有する。封止部材70は、第1の縁部76に沿って第1のブレードセクション44の第1の外側シェル25に取り付けられ、封止部材70は、第2の縁部78に沿って第2のブレードセクション46の第2の外側シェル27に取り付けられている。第2の表面74は、第1の接合領域77および第2の接合領域79を含む。封止部材は、封止部材の第1の接合領域77と第1の外側シェル90の第1のシェル接合領域とを互いに接合し、封止部材の第2の接合領域79と第2の外側シェル92の第2のシェル接合領域とを互いに接合することによって取り付けられてもよい。接合は、例えば、接着、溶接、テープ、接着剤を使用することを含んでもよい。封止部材70は、第1の外側シェル25の第1の端部50と第2の外側シェル27の第2の端部52との接合部54を跨いでいる。図示する例では、接合部はギャップを形成し、封止部材70は、第1の端部50と第2の端部52との間のギャップを跨いでいる。接合部54のギャップ、例えば、第1の端部50と第2の端部52との間の距離D4は、例えば40mmなど、20~80mmであってもよい。
【0061】
第1の縁部76と第2の縁部78との間には、封止部材70の長手方向に沿って延在する、例えば第1の縁部76および/または第2の縁部78と平行に延在する、1つもしくは複数の谷部82および/または隆起部84を含む波形セクション80がある。封止部材70の波形セクション80は、接合部54のギャップに位置している。
【0062】
封止部材は、第1の表面72と第2の表面74との間に厚みD1を有する。厚さD1は、波形セクションにおいて均一であってもよく、0.5~5.0mm、例えば2mmであってもよい。
【0063】
封止部材70は、例えば隆起部84と谷部82との間にピーク間高さD2を有する。高さD2は、例えば15mmなど、10~30mmであってもよい。
【0064】
封止部材70は、谷部および/または隆起部の間の距離D3、例えば谷部から隆起部までの距離、例えば2つの谷部および/または2つの隆起部の間の距離D3を有する。谷部および/または隆起部間の距離D3は、例えば20mmなど、5~30mmであってもよい。
【0065】
図6および
図7に見られるように、封止部材70は、好ましくは、風力タービンブレードの空気力学的性能を維持するのを助けるために、実質的に対称な断面を有する。
【0066】
図7は、前の図の封止部材などの例示的な封止部材70を示す概略図である。
図7は、封止部材70の第1の端部86および第2の端部88を示す。第2の表面74は、風力タービンブレードの第1の外側シェルに取り付けるための第1の接合領域77と、風力タービンブレードの第2の外側シェルに取り付けるための第2の接合領域79と、を有する。第2の表面74は、封止部材の第1の端部86に第1の接続領域87を有し、封止部材の第2の端部88に第2の接続領域89を有する。第1の端部86および第2の端部88は、風力タービンブレードの後縁で互いに合流して取り付けられる。第1の端部86および第2の端部88は、例えば熱溶接などの溶接によって、第1の接続領域87および第2の接続領域89を互いに接合することによって取り付けられてもよい。
【0067】
図8a~
図8dは、風力タービンブレード10(部分的にのみ図示)の接合部に適用されている前述の図の封止部材などの例示的な封止部材70を示す概略図である。
図8a~
図8dは、突出封止部材部分98を有する封止部材70を示す。第1の封止部材端部86および/または第2の封止部材端部88は、突出封止部材部分98を形成してもよい。第1の封止部材端部86および第2の封止部材端部88は、突出封止部材部分98で互いに取り付けられてもよい。突出封止部材部分98は、例えば、第1の封止部材端部86と第2の封止部材端部88との熱溶着を可能にするために、第1の封止部材端部86と第2の封止部材端部88とが互いに取り付けられることによって生じ得る。
【0068】
図8a~
図8dは、封止部材70が封止部材の第1の縁部76に沿って第1の外側シェル25に取り付けられ、封止部材70が封止部材70の第2の縁部78に沿って第2の外側シェル27に取り付けられるように、封止部材70が第1のブレードセクション44の第1の外側シェル25および第2のブレードセクション46の第2の外側シェル27に取り付けられることを示す。
【0069】
突出封止部材部分98は、図示するように風力タービンブレードの後縁20など、風力タービンブレード10から突出してもよい。さらに、突出封止部材部分98は、例えば風力タービンブレード10の空気力学的性能に寄与するように、様々な形状に成形されてもよい。例えば、突出封止部材部分98は、
図8b~
図8dに示すように、第1の縁部76に向かって先細になっていてもよい。代替的または追加的に、突出封止部材部分98は、
図8c~
図8dに示すように、第2の縁部78に向かって先細になっていてもよい。突出封止部材部分98は、丸みを帯びていても、湾曲していても、三角形であってもよい。
【0070】
突出封止部材部分98は、例えば、第1の封止部材端部86および/または第2の封止部材端部88を取り付ける前に、かつ/または第1の封止部材端部86および第2の封止部材端部88を取り付けた後に、例えば第1の封止部材端部86および/または第2の封止部材端部88を切断して所望の形状を形成することによって成形されてもよい。
【0071】
図9a~
図9bは、第1のブレードセクション44および第2のブレードセクション46を有する例示的な風力タービンブレード10の一部を示す概略図であり、第1のブレードセクション44と第2のブレードセクション46との間の接合部は、前の図に関連して説明した封止部材70などの封止部材70によって封止されている。
図9a~
図9bは、後縁20に空隙セクション100、102を含む、第1のブレードセクション44の第1の外側シェル25および第2のブレードセクション46の第2の外側シェル27の例を示す。第1の外側シェル25の後縁20は、第1の空隙セクション100を含む。第2の外側シェル27の後縁は、第2の空隙セクション102を含む。第1の空隙セクション100および第2の空隙セクション102は、後縁20の近くに増加したギャップを形成し、ギャップを介して第1の封止部材端部86および第2の封止部材88端部を取り付けることを可能にする。これにより、
図8a~
図8dに関連して説明したような突出封止部材端部98を回避または少なくとも低減することができる。
【0072】
空隙セクション100、102は、様々な形状で設けられてもよい。
図9a~
図9bの例は、2つの異なる形状、例えば、
図9aに示すような三角形の空隙セクション100、102、および
図9bに示すような台形の空隙セクション100、102を示す。
【0073】
図10は、前の図のうちの1つまたは複数に関連して説明したような封止部材などの例示的な封止部材で接合部を封止するための例示的な方法200を示す流れ図である。接合部は、前の図に関連して説明したような風力タービンブレードなどの風力タービンブレードの第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとの間にあってもよく、第2のブレードセクションは第1のブレードセクションに結合される。
【0074】
方法200は、例えば、風力タービンブレードを形成するために第1のブレードセクションおよび第2のブレードセクションをそれぞれの位置に結合および配置した後など、接合部を形成する部分を結合および配置した後に、第1の表面および第2の表面を有する封止部材を提供するステップ202を含み、封止部材は、第1の縁部と第2の縁部との間に幅を有し、封止部材は、第1の縁部と第2の縁部との間に波形セクションを含み、波形セクションは、封止部材の長手方向に沿って延在する1つまたは複数の谷部および/または隆起部を含む。
【0075】
方法200は、第1のブレードセクションと第2のブレードセクションとの間の接合部に封止部材を適用するステップ203を含む。封止部材を適用するステップ203は、封止部材を第1の縁部に沿って第1の外側シェルに取り付けるステップ204を含む。封止部材を適用するステップ203は、封止部材を第2の縁部に沿って第2の外側シェルに取り付けるステップ206を含む。
【0076】
第2の表面は、第1の縁部に沿った第1の接合領域を含み、第2の表面は、第2の縁部に沿った第2の接合領域を含む。第1の縁部に沿って封止部材を第1の外側シェルに取り付けるステップ204は、第1の外側シェルの第1の接合領域と第1のシェル接合領域とを互いに接合するステップ204bを含んでもよい。第2の縁部に沿って封止部材を第2の外側シェルに取り付けるステップ206は、第2の外側シェルの第2の接合領域と第2のシェル接合領域とを互いに接合するステップ206bを含んでもよい。
【0077】
方法200は、任意選択的に、第1の外側シェルの第1のシェル接合領域および/または第2の外側シェルの第2のシェル接合領域を洗浄するステップ208を含む。第1のシェル接合領域および/または第2のシェル接合領域を洗浄するステップ208は、例えば、溶媒を使用して研磨および/または洗浄するステップを含むことができる。洗浄するステップ208は、例えば乾燥布を使用して、第1のシェル接合領域および/または第2のシェル接合領域を乾燥した状態で拭き取るステップ208bを含んでもよい。第1のシェル接合領域および第2のシェル接合領域を洗浄するステップ208は、封止部材を接合部に適用するステップ203の前に実行されてもよい。
【0078】
方法200は、例えば、封止部材を適用するステップ203の一部として、封止部材を、風力タービンブレードの後縁から、風力タービンブレードの負圧側面に沿って、風力タービンブレードの前縁を越えて、風力タービンブレードの正圧側面に沿って、風力タービンブレードの後縁まで延在するように配置するステップ210を任意選択的に含む。
【0079】
封止部材は、第1の封止部材端部から第2の封止部材端部まで長手方向に延在してもよい。
【0080】
方法200は、例えば封止部材を適用するステップ203の一部として、封止部材の長手方向が風力タービンブレードの長手方向軸に実質的に垂直な平面内にあるように封止部材を配向するステップ212を任意選択的に含む。例えば、封止部材は、封止部材の長手方向が、動作時に風力タービンブレードを横切る予想される空気流の方向と実質的に平行になるように配置されてもよい。
【0081】
方法200は、例えば封止部材を適用するステップ203の一部として、第1の封止部材端部を第2の封止部材端部、例えば風力タービンブレードの後縁付近に取り付けるステップ214を任意選択的に含む。例えば、第1の封止部材端部および第2の封止部材端部は、風力タービンブレードの外側シェルの周りに封止部材を巻き付けた後に、かつ/または第1の外側シェルおよび第2の外側シェルに封止部材を取り付けるステップ204、206の後に、一緒に取り付けられてもよい(ステップ214)。
【0082】
第1の封止部材端部を第2の封止部材に取り付けるステップ214は、第1の封止部材端部における第2の表面の第1の接続領域と、第2の封止部材端部における第2の表面の第2の接続領域とを、例えば熱溶着によって互いに接合するステップ214bを任意選択的に含んでもよい。
【0083】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されている。しかしながら、本発明の範囲は、例示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0084】
2 風力タービン
4 タワー
6 ナセル
8 ハブ
10 ブレード
14 ブレード先端部
15 先端部
16 ブレード根元部
17 根元端部
18 前縁
20 後縁
24 第1のブレードシェル部分(正圧側面)
25 第1の外側シェル
26 第2のブレードシェル部分(負圧側面)
27 第2の外側シェル
28 接着線/接着接合部
30 根元領域
32 移行領域
34 翼形部領域
34a 第1の翼形部領域
34b 第2の翼形部領域
36 先端部
38 翼弦線
40 肩部
41 せん断ウェブ
41a 後縁せん断ウェブ
41b 前縁せん断ウェブ
44 第1のブレードセクション
46 第2のブレードセクション
50 第1の端部
52 第2の端部
54 接合部
60 スパービーム
70 封止部材
72 封止部材の第1の表面
74 封止部材の第2の表面
76 封止部材の第1の縁部
77 第1の接合領域
78 封止部材の第2の縁部
79 第2の接合領域
80 封止部材の波形セクション
82 谷部
84 隆起部
86 第1の封止部材端部
87 第1の接続領域
88 第2の封止部材端部
89 第2の接続領域
90 第1の外側シェルの第1のシェル接合領域
92 第2の外側シェルの第2のシェル接合領域
94 第1の接合材料
96 第2の接合材料
98 突出封止部材端部
100 第1の空隙セクション
102 第2の空隙セクション
200 方法
202 封止部材を提供するステップ
203 封止部材を適用するステップ
204 封止部材を第1の外側シェルへ取り付けるステップ
204b 第1の接合領域および第1のシェル接合領域を互いに接合するステップ
206 封止部材を第2の外側シェルへ取り付けるステップ
206b 第2の接合領域および第2のシェル接合領域を互いに接合するステップ
208 シェル接合領域を洗浄するステップ
208b シェル接合領域を拭き取るステップ
210 封止部材を位置決めするステップ
212 封止部材を配向するステップ
214 第1の封止部材端部および第2の封止部材端部を取り付けるステップ
214b 接続領域を互いに接合するステップ
D0 封止部材の幅
D1 封止部材の厚さ
D2 波形セクションのピーク間高さ
D3 谷部間および/または隆起部間の距離
D4 第1の端部と第2の端部との間の距離(ギャップ距離)