(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】医薬品の崩壊時間を安定させるための、保管中の薬物粒子コーティング材料の凝集を最小限に抑える
(51)【国際特許分類】
A61K 9/50 20060101AFI20240826BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240826BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240826BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20240826BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240826BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240826BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240826BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240826BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240826BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240826BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240826BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240826BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20240826BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20240826BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20240826BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240826BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
A61K9/50
A61K47/44
A61K47/42
A61K47/40
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/02
A61K9/19
A61P29/00
A61P25/04
A61P25/18
A61P1/08
A61P1/10
A61P1/12
A61P25/24
A61P43/00 113
(21)【出願番号】P 2021549373
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 GB2020050423
(87)【国際公開番号】W WO2020169992
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-20
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519135460
【氏名又は名称】キャタレント・ユーケー・スウィンドン・ザイディス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロザリーン・マクラフリン
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・アンドリュー・マーティン・ハウズ
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・ウェドン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ホワイトハウス
【審査官】今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533162(JP,A)
【文献】特表2008-526827(JP,A)
【文献】米国特許第05558880(US,A)
【文献】特表2017-532331(JP,A)
【文献】特表2008-508255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的組成物であって、
65~85%w/wのAPI粒子と、
15~30%w/wの前記API粒子をカプセル化するコーティング材料と、
3~15%w/wのコーティングされた前記API粒子を囲むマトリックスと、を含み、
前記コーティング材料が蝋を含み、前記マトリックスが、水溶性材料、水分散性材料、ポリペプチド、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びアカシアのうちの1つ以上を含むマトリックス形成剤、並びにマンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、及びシクロデキストリンのうちの1つ以上を含む構造形成剤を含み、
前記薬学的組成物が、少なくとも25℃及び少なくとも60%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
前記薬学的組成物が、少なくとも30℃及び少なくとも65%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記薬学的組成物が、少なくとも40℃及び少なくとも75%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む、請求項1または請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記API粒子が、抗炎症剤、鎮痛剤、抗精神病薬、制吐薬、緩下剤、抗下痢剤、抗ヒスタミン剤、または抗うつ剤のうちの1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記コーティング材料が、保護コーティングまたはフロー助剤のうちの1つ以上としてシリカを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記コーティング材料が、カルナウバ蝋、キャンデリラ蝋、または合成蝋のうちの1つ以上を含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記API粒子を前記コーティング材料と組み合わせるために使用されるコーティング比が、5~85%w/wのコーティング材料及び15~95%w/wのコーティングされていないAPI粒子を含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記マトリックス形成剤が、ポリペプチドを含む、請求項
1に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記ポリペプチドが、ゼラチンを含む、請求項
1または
8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記構造形成剤が、マンニトールを含む、請求項
1に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
薬学的組成物を調製する方法であって、
API粒子をコーティング材料でコーティングして、コーティングされたAPI粒子を形成することであって、前記コーティング材料が、1つ以上の変形可能な構成要素を含む、前記コーティングすることと、
前記コーティングされたAPI粒子に機械的応力を印加して、前記1つ以上の変形可能な構成要素を変形させることと、
前記コーティングされたAPI粒子をシリカで乾燥コーティングして、前記コーティング材料に保護疎水性バリア層を提供することと、
機械的応力を印加して、前記コーティングされたAPI粒子上に前記シリカ
を部分的に埋め込むこ
とまたは埋め込むこ
とと、
シリカでコーティングされたAPI粒子に機械的応力を印加した後、前記コーティングされたAPI粒子を篩にかけて、過剰なコーティング材料を除去することであって、前記過剰なコーティング材料が、コーティングされたAPI粒子に結合していないコーティング材料を含む、前記篩にかけることと、
前記コーティングされたAPI粒子をマトリックス溶液/懸濁液中に混合して、薬学的懸濁液を形成することと、
前記薬学的懸濁液を成形型に投与することと、を含む方法。
【請求項12】
前記コーティングされたAPI粒子を前記マトリックス溶液/懸濁液と組み合わせるために使用される投与比が、5~60%w/wのコーティングされたAPI粒子及び40~95%w/wのマトリックス溶液/懸濁液を含む、請求項1
1に記載の方法。
【請求項13】
前記API粒子を前記コーティング材料と組み合わせるために使用されるコーティング比が、5~85%w/wのコーティング材料及び15~95%w/wのコーティングされていないAPI粒子を含む、請求項1
1または1
2に記載の方法。
【請求項14】
前記投与された懸濁液を、ゼロ度以下の条件下で凍結させ、凍結乾燥させて、凍結乾燥した薬学的組成物を形成することを含む、請求項1
1~1
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記薬学的組成物が、少なくとも30℃及び少なくとも65%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む、請求項1
1~1
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記薬学的組成物が、少なくとも40℃及び少なくとも75%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む、請求項1
1~1
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
65~85%w/wのAPI粒子を含む、請求項1
1~
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
15~30%w/wのコーティング材料を含む、請求項1
1~
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
3~15%w/wのマトリックスを含む、請求項1
1~
18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
コーティングされていないAPI粒子を篩にかけることを含む、請求項1
1~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記コーティングされたAPI粒子を篩にかけることが、前記コーティングされたAPI粒子を、2つ以上の篩を備えるデバイスに通すことを含む、請求項1
1~1
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記コーティングされたAPI粒子を篩にかけることが、前記コーティングされたAPI粒子を篩にかけて75μm以上の平均粒径にすることを含む、請求項1
1~2
1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記コーティングされたAPI粒子を篩にかけることが、前記コーティングされたAPI粒子を篩にかけて200μm以下の平均粒径にすることを含む、請求項1
1~2
2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記API粒子が、抗炎症剤、鎮痛剤、抗精神病薬、制吐薬、緩下剤、抗下痢剤、抗ヒスタミン剤、または抗うつ剤のうちの1つ以上を含む、請求項1
1~2
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記コーティング材料が、保護コーティングまたはフロー助剤のうちの1つ以上としてシリカを含む、請求項1
1~2
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記コーティング材料の前記1つ以上の変形可能な構成要素が、蝋を含む、請求項1
1~2
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記蝋が、カルナウバ蝋、キャンデリラ蝋、または合成蝋のうちの1つ以上を含む、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記マトリックス溶液/懸濁液が、マトリックス形成剤及び構造形成剤を含む、請求項1
1~
27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記マトリックス形成剤が、水溶性材料、水分散性材料、ポリペプチド、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びアカシアのうちの1つ以上を含む、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
前記マトリックス形成剤が、ポリペプチドを含む、請求項
28または
29に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリペプチドが、ゼラチンを含む、請求項
29または
30に記載の方法。
【請求項32】
前記構造形成剤が、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、及びシクロデキストリンのうちの1つ以上を含む、請求項
28~3
1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記構造形成剤が、マンニトールを含む、請求項
28~3
2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
治療量の、請求項1
1~3
3のいずれか1項に記載の方法によって調製された薬学的組成物を患者に投与することを含む、患者を治療する方法であって、前記患者は非ヒト患者である、方法。
【請求項35】
前記コーティング材料の前記1つ以上の変形可能な構成要素が、蝋を含み、前記マトリックス溶液/懸濁液が、水溶性材料、水分散性材料、ポリペプチド、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びアカシアのうちの1つ以上を含むマトリックス形成剤並びにマンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、及びシクロデキストリンのうちの1つ以上を含む構造形成剤を含む、請求項1
1~3
3のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月22日に出願された米国仮出願第62/809,307号の優先権を主張し、この全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
これは、活性薬学的成分(active pharmaceutical ingredient、API)粒子をコーティングするためのプロセスに関し、より具体的には、過剰なコーティング材料を最小限に抑えて、保管中に凍結乾燥された経口崩壊剤形でのコーティングされた材料の凝集を防止するプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
薬学的組成物は、典型的には、活性薬学的成分ならびに1つ以上の不活性成分の両方を含む。活性薬学的成分(API)は、生物学的に活性であり、患者の症状、疾患、障害、及び/または病気に直接影響を及ぼすように設計されている。一方、薬学的組成物の不活性成分(複数可)は、薬学的に不活性であり、長期安定化の改善、固体製剤の充填もしくは希釈、薬物吸収の促進、液体製剤の粘度の調整、溶解性の向上、及び/または薬学的組成物の製造の支援を含むが、これらに限定されない、様々な目的に使用され得る。
【0004】
加えて、いくつかの不活性成分を使用して、APIの味をマスクすることができる。多くのAPIは、口腔内に溶解させる場合、苦味、灼熱感、及び痺れなどの不快な感覚受容性を示すことが知られている。例えば、いくつかの経口投与薬学的組成物は、水なしでの投与を可能にするように口内に分散するように設計されており、小児患者、老年患者、動物患者、及び/または嚥下に困難を有する可能性のある他のタイプの患者を標的とする。これらのタイプの経口投与薬学的組成物の場合、不活性成分を使用して、APIの味をマスクするための「機能的コーティング」を形成することができる。
【0005】
例えば、不活性成分を使用して、API粒子を湿潤コーティングまたは乾燥コーティングすることによってAPIの味をマスクし、API粒子を囲む機能的コーティングを産生して、それが口内におけるAPIの放出を防止するようにしてもよい。湿潤粒子コーティングでは、不活性成分(ポリマー及び添加剤)を溶媒または水に溶解または分散させて、懸濁液または溶液を形成する。次いで、この懸濁液または溶液をAPI粒子の表面上に噴霧し、溶媒または水の蒸発によってフィルムのコーティングを形成することができる。湿潤粒子コーティングのための技術の例としては、マイクロカプセル化、流体床コーティング、噴霧乾燥、パンコーティング等が挙げられる。乾燥粒子コーティング(無溶媒コーティングとも呼ばれる)において、API粒子は、不活性成分(ポリマー及び添加剤)の微粒子で物理的にコーティングされて、粒子複合材を形成する。乾燥粒子コーティングの例としては、ホットメルトコーティング、超臨界コーティング、インパクションコーティング、静電コーティングが挙げられる。味マスキング不活性成分でコーティングされたAPI粒子は、嚥下困難を有するか、またはそうでなければ否定的な患者経験及びコンプライアンス不良をもたらすであろう味に対する感受性を有する患者に、より快適な経験を提供することができる。
【0006】
例えば、乾燥した無溶媒混合方法は、APIを不活性成分(複数可)と混合するために高エネルギー振動または音響共鳴を使用し得る。さらに、API粒子を機能性コーティングでコーティングすることは、薬学的組成物の分散中に患者の口内におけるAPIの放出を一時的に遅らせることができるが、それでも、コーティングなしで放出されるAPIの少なくとも90%が、吸収のための好適な量の時間内に機能的にコーティングされたAPIから放出されるのを可能にする。味マスキング不活性成分中のAPIをコーティングすることにより、コーティングされたAPI粒子の溶解速度を制御することができ、コーティングされたAPI粒子の大部分が、コーティングされたAPI粒子が患者の胃に入った後まで放出されないようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
様々な混合プロセスを使用して産生されたコーティングされたAPI粒子のためのコーティング材料の凝集を最小限に抑えるための方法が提供される。従来の混合プロセスを使用してコーティングされるAPI粒子は、特に保管時に、過剰なコーティング材料の凝集を経験することが多い。コーティング材料の凝集は、経時的に医薬品の安定性を低下させることがある。例えば、医薬品の崩壊時間は、凝集したコーティング材料を含む場合、経時的に増加し得る。崩壊時間の増加及び/または溶解速度の低下は、不安定な医薬品を意味する。不安定な医薬品は、所望のよりも短い貯蔵期間をもたらし得る。したがって、提供される実施形態は、コーティングされたAPI粒子のためのコーティング材料の凝集を最小限に抑えるのに役立ち、保管中の医薬品の安定性を改善し、その貯蔵寿命を増加させることができる。
【0008】
例えば、記載される方法は、コーティングされたAPI粒子から過剰なコーティング材料を除去して、コーティング材料粒子の凝集の可能性を最小限に抑えることを含む。特に、提供される方法は、最終的な医薬品が乾燥マトリックスによって適切に囲まれるようにコーティングされたAPI粒子を篩にかけることを含み、保管時のコーティング材料粒子のいかなる凝集も最小限に抑える。記載される薬学的組成物は、経時的に比較的安定したままである崩壊時間及び溶解速度を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物が提供され、薬学的組成物は、65~85%w/wのAPI粒子、15~30%w/wのAPI粒子をコーティングするコーティング材料、及び3~15%w/wのコーティングされたAPI粒子を囲むマトリックスを含み、薬学的組成物は、少なくとも25℃及び少なくとも60%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む。いくつかの実施形態では、コーティング材料は、第1のコーティング材料及び第2のコーティング材料を含み、薬学的組成物は、10~30%w/wの第1のコーティング材料及び0.5~10%w/wの第2のコーティング材料を含む。いくつかの実施形態では、第1のコーティング材料は、蝋を含む。いくつかの実施形態では、第2のコーティング材料は、シリカを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも30℃及び少なくとも65%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも40℃及び少なくとも75%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、API粒子は、抗炎症剤、鎮痛剤、抗精神病薬、制吐薬、緩下剤、抗下痢剤、抗ヒスタミン剤、または抗うつ剤のうちの1つ以上を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、コーティング材料は、保護剤またはフロー助剤のうちの1つ以上としてシリカを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、コーティング材料は、蝋を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、コーティング材料は、カルナウバ蝋、キャンデリラ蝋、または合成蝋のうちの1つ以上を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、API粒子をコーティング材料と組み合わせるために使用されるコーティング比は、5~85%w/wのコーティング材料及び15~95%w/wのコーティングされていないAPI粒子を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、マトリックスは、マトリックス形成剤及び構造形成剤を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、マトリックス形成剤は、水溶性材料、水分散性材料、ポリペプチド、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びアカシアのうちの1つ以上を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、マトリックス形成剤は、ポリペプチドを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ゼラチンを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、構造形成剤は、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、及びシクロデキストリンのうちの1つ以上を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、構造形成剤は、マンニトールを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物が提供され、薬学的組成物は、API粒子を第1のコーティング材料でコーティングして、コーティングされたAPI粒子を形成するステップであって、コーティング材料が、1つ以上の変形可能な構成要素を含む、コーティングするステップと、機械的応力をコーティングされたAPI粒子に印加して、1つ以上の変形可能な構成要素を変形させるステップと、コーティングされたAPI粒子をシリカでコーティングするステップと、機械的応力を印加して、コーティングされたAPI粒子にシリカを埋め込むステップと、コーティングされたAPI粒子を篩にかけて、過剰なコーティング材料を除去するステップであって、過剰なコーティング材料が、コーティングされたAPI粒子に結合されていないコーティング材料を含む、篩にかけるステップと、コーティングされたAPI粒子をマトリックス溶液/懸濁液中に混合して、薬学的懸濁液を形成するステップと、薬学的懸濁液を成形型に投与するステップであって、薬学的組成物が、少なくとも25℃及び少なくとも60%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む、投与するステップと、を含むプロセスによって調製される。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子をマトリックス溶液/懸濁液と組み合わせるために使用される投与比は、40~95%w/wのマトリックス溶液/懸濁液に対して5~60%w/wのコーティングされたAPI粒子を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、API粒子をコーティング材料と組み合わせるために使用されるコーティング比は、5~85%w/wのコーティング材料及び15~95%w/wのコーティングされていないAPI粒子を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、投与された懸濁液をゼロ度以下の条件下で凍結させ、凍結乾燥させて、凍結乾燥した薬学的組成物を形成することを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも30℃及び少なくとも65%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも40℃及び少なくとも75%の相対湿度の保管条件下で少なくとも6ヶ月間、10秒未満の崩壊時間を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、65~85%w/wのAPI粒子を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、15~30%w/wのコーティング材料を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、3~15%w/wのマトリックスを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、薬学的組成物を調製するために使用される方法は、コーティングされていないAPI粒子を篩にかけることを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子を篩にかけることは、コーティングされたAPI粒子を、2つ以上の篩を備えるデバイスに通すことを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子を篩にかけることは、コーティングされたAPI粒子を篩にかけて75μm以上の平均粒径にすることを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子を篩にかけることは、コーティングされたAPI粒子を篩にかけて200μm以下の平均粒径にすることを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、API粒子は、抗炎症剤、鎮痛剤、抗精神病薬、制吐薬、緩下剤、抗下痢剤、抗ヒスタミン剤、または抗うつ剤のうちの1つ以上を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、コーティング材料は、保護コーティングまたはフロー助剤のうちの1つ以上としてシリカを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、コーティング材料の1つ以上の変形可能な構成要素は、蝋を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、蝋は、カルナウバ蝋、キャンデリラ蝋、または合成蝋のうちの1つ以上を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、マトリックスは、マトリックス形成剤及び構造形成剤を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、マトリックス形成剤は、水溶性材料、水分散性材料、ポリペプチド、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びアカシアのうちの1つ以上を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、マトリックス形成剤は、ポリペプチドを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ゼラチンを含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、構造形成剤は、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、及びシクロデキストリンのうちの1つ以上を含む。薬学的組成物のいくつかの実施形態では、構造形成剤は、マンニトールを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、患者を治療する方法を提供し、この方法は、治療量の薬学的組成物を患者に投与することを含む。方法のいくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。
【0012】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物を調製する方法が提供され、この方法は、API粒子を第1のコーティング材料でコーティングして、コーティングされたAPI粒子を形成することであって、コーティングされた材料が、1つ以上の変形可能な構成要素を含む、コーティングすることと、機械的応力をコーティングされたAPI粒子に印加して、コーティング材料の1つ以上の変形可能な構成要素を変形させて、API粒子の表面上に連続フィルム層を形成することと、機械的応力を印加して、変形可能なコーティング中にシリカを部分的に埋め込むか、または埋め込むことによって、コーティングされたAPI粒子をシリカでコーティングして第2のコーティングを形成することと、コーティングされたAPI粒子を篩にかけて、過剰なコーティング材料を除去することと、コーティングされたAPI粒子をマトリックス溶液/懸濁液中に混合して、薬学的懸濁液を形成することと、薬学的懸濁液を成形型に投与することと、を含む。方法のいくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子をマトリックス溶液/懸濁液と組み合わせるために使用される投与比は、40~95%w/wのマトリックス溶液/懸濁液に対して5~60%w/wのコーティングされたAPI粒子を含む。方法のいくつかの実施形態では、API粒子をコーティング材料と組み合わせるために使用されるコーティング比は、5~85%w/wのコーティング材料及び15~95%w/wのコーティングされていないAPI粒子を含む。方法のいくつかの実施形態では、方法は、投与された懸濁液をゼロ度以下の温度下で凍結させ、凍結乾燥させて、凍結乾燥した薬学的組成物を形成することを含む。方法のいくつかの実施形態では、方法は、コーティングされていないAPI粒子を篩にかけることを含む。方法のいくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子を篩にかけることは、コーティングされたAPI粒子を、2つ以上の篩を備えるデバイスに通すことを含む。方法のいくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子を篩にかけることは、コーティングされたAPI粒子を篩にかけて75μm以上の平均粒径にすることを含む。方法のいくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子を篩にかけることは、コーティングされたAPI粒子を篩にかけて200μm以下の平均粒径にすることを含む。方法のいくつかの実施形態では、API粒子は、抗炎症剤、鎮痛剤、抗精神病薬、制吐薬、緩下剤、抗下痢剤、抗ヒスタミン剤、または抗うつ剤のうちの1つ以上を含む。方法のいくつかの実施形態では、コーティング材料は、保護コーティングまたはフロー助剤のうちの1つ以上としてシリカを含む。方法のいくつかの実施形態では、コーティング材料の1つ以上の変形可能な構成要素は、蝋を含む。
【0013】
方法のいくつかの実施形態では、蝋は、カルナウバ蝋、キャンデリラ蝋、または合成蝋のうちの1つ以上を含む。方法のいくつかの実施形態では、マトリックスは、マトリックス形成剤及び構造形成剤を含む。方法のいくつかの実施形態では、マトリックス形成剤は、水溶性材料、水分散性材料、ポリペプチド、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びアカシアのうちの1つ以上を含む。方法のいくつかの実施形態では、マトリックス形成剤は、ポリペプチドを含む。方法のいくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ゼラチンを含む。方法のいくつかの実施形態では、構造形成剤は、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、及びシクロデキストリンのうちの1つ以上を含む。方法のいくつかの実施形態では、構造形成剤は、マンニトールを含む。
【0014】
ここで、本発明は、単なる例として、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】いくつかの実施形態による、変形可能なコーティング材料の粒子(すなわち、第1のコーティング層)でコーティングされたAPI粒子を示す。
【
図1B】いくつかの実施形態による、変形可能なコーティング材料の連続フィルム層(すなわち、第1のコーティング層)でコーティングされたAPI粒子を示す。
【
図1C】いくつかの実施形態による、第1のコーティング層の表面に部分的に埋め込まれた、及び/または埋め込まれたシリカ粒子(すなわち、第2のコーティング層)とともに、変形可能なコーティング材料の連続フィルム層(すなわち、第1のコーティング層)でコーティングされたAPI粒子を示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、コーティングされていないAPI粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【
図3】いくつかの実施形態による、コーティングされたAPI粒子のSEM画像を示す。
【
図4】いくつかの実施形態による、コーティングされたAPI粒子を調製するための混合プロセスのフローチャートである。
【
図5】(A~P)実施例1~8の篩にかけたコーティングされたAPIに関して撮影された一連の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
コーティングされたAPI粒子のコーティング材料の凝集を最小限に抑える、及び/または防止するための方法の例示的な実施形態が、本明細書に記載される。特に、いくつかの実施形態による方法は、過剰なコーティング材料粒子を除去して、医薬品中のコーティング材料の凝集を最小限に抑える、及び/または防止することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、生のAPI粒子及び/またはコーティングされたAPI粒子を篩にかけることを含んでもよい。具体的には、提供される方法は、API粒子及び/またはコーティングされたAPI粒子を篩にかけて、過剰なコーティング材料粒子などの任意の望ましくない粒子を除去することを含んでもよい。開示された実施形態による篩にかけるプロセスは、最終産物の崩壊時間及び/または溶解速度に悪影響を及ぼす可能性のあるコーティング材料の凝集の可能性を防止する、及び/または最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0017】
本明細書に記載される実施形態によるコーティング材料粒子の凝集を最小限に抑える、及び/または防止するための方法は、API粒子をコーティングするための乾燥した無溶媒混合プロセスに適用され得る。したがって、提供される方法は、API粒子をコーティングするための1つ以上の乾燥した無溶媒混合プロセスの文脈で以下に記載される。しかしながら、コーティング/カプセル化プロセスの他の変形も使用され得る。例えば、糖コーティング、フィルムコーティング、マイクロカプセル化の他の変形、圧縮コーティング、乾燥コーティングの他の変形、溶融コーティング、浸漬コーティング、ロータリーダイコーティング、静電コーティング、及び/または他の好適なタイプのコーティングを使用することができる。
【0018】
一般に、API粒子をコーティングするための無溶媒混合プロセスは、コーティング材料をAPI粒子と混合して、コーティングされたAPI粒子を産生することを含む。次いで、コーティングされたAPI粒子を機械的及び/または熱的に応力印加して、変形可能なコーティング材料を変形させ、API粒子を囲む連続フィルムを作成する。次いで、コーティングされたAPI粒子をマトリックス溶液/懸濁液と混合して、薬学的懸濁液を形成する。コーティングされたAPI粒子を含む薬学的懸濁液を、ブリスターパックなどの予め形成された成形型に投与し、さらに処理して、分注可能な薬学的組成物(例えば、凍結乾燥剤、ウエハ、錠剤等)を産生することができる。
【0019】
しかしながら、最終産物が保管されるとき、コーティングされたAPI粒子に結合していない任意の過剰なコーティング材料粒子が凝集し得る。凝集の量及び/または重度は、経時的に増加し得る。過剰なコーティング材料の凝集は、医薬品の崩壊時間を増加させる、及び/または溶解速度を低下させることがあり、コーティング材料の任意の機能的特性に悪影響を及ぼし得る。崩壊時間の増加は、インビボで許容されない分散及び口当たりの特徴を引き起こす場合もある。
【0020】
したがって、コーティングされたAPI粒子を篩にかけることにより、過剰なコーティング材料を除去することができるため、保管時の過剰なコーティング材料の凝集の量を最小限に抑えることが発見されている。さらに、いくつかの実施形態は、コーティング比(コーティングされていないAPIの量に対するコーティング材料の量)を最適化することを含み、投与比(他のすべての不活性成分を含むマトリックス溶液/懸濁液に対するコーティングされたAPI粒子の量)を最適化することもまた、過剰なコーティング材料粒子の凝集を最小限に抑えることができる。
【0021】
本明細書に提供される実施形態は、乾燥した無溶媒プロセスを使用して産生されるコーティングされたAPI粒子に適用され得る。例えば、いくつかの実施形態によるプロセスは、小児患者、老人患者、動物患者、及び/または嚥下困難を有し得るか、または味覚に感受性であり得る他のタイプの患者に投与され得る、味が悪いAPIを含む薬学的組成物を産生するように特に設計され得る。特に、多くのAPIは、これらの患者にとって問題となり得る望ましくない味及び/またはしびれ効果を有する。したがって、本明細書に記載される実施形態によるいくつかの混合プロセスは、API粒子を味マスキングコーティングでコーティングすることを含む。かかるコーティングは、経口投与時のAPIの放出が、口内にあるときの最初の数分間に遅延されるか、または大幅に低減されるように、口内分散性薬学的組成物の崩壊時間及び/または溶解速度を制御することができるが、満足のいく量のAPIは、嚥下後の経口投与から30分以内に放出される。(例えば、満足のいく量のAPIは、コーティングなしで放出されるAPI量の90%であってもよい)。米国特許第9,107,851号(′851特許)は、薬学的成分をコーティングするための例示的な乾燥した無溶媒プロセスを対象としており、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
しかしながら、コーティング/カプセル化プロセスの他の変形も使用され得る。例えば、糖コーティング、フィルムコーティング、マイクロカプセル化の他の変形、圧縮コーティング、乾燥コーティングの他の変形、溶融コーティング、浸漬コーティング、ロータリーダイコーティング、静電コーティング、及び/または他の好適なタイプのコーティングを使用することができる。
【0023】
さらに、本明細書に提供される特定のデータは、崩壊時間に関連している。しかしながら、崩壊時間は、溶解速度に反比例する。したがって、データは、本質的に、溶解速度に関する情報も提供する。崩壊時間は、米国薬局方(崩壊701)によって定められた方法に従って測定されてもよい。いくつかの実施形態では、崩壊時間は、2~30秒または5~20秒であり得る。いくつかの実施形態では、崩壊時間は、30秒未満、25秒未満、20秒未満、15秒未満、10秒未満、または5秒未満であり得る。いくつかの実施形態では、崩壊時間は、2秒超、5秒超、10秒超、15秒超、20秒超、または25秒超であり得る。同様に、溶解速度は、米国薬局方(溶解711)によって定められた方法に従って試験されてもよい。
【0024】
図1A、
図1B、図及び1Cは、いくつかの実施形態による、コーティングされたAPI粒子の異なる相を示す。いくつかの実施形態では、API粒子は、コーティングされたAPI粒子を産生するために1つ以上のコーティング材料と組み合わせることができる。このコーティングは、水溶性及び/または水膨張性材料ならびに水不溶性材料(以下に詳細に記載される)を含む材料を含み得る。
【0025】
例えば、
図1Aは、コーティング材料104の粒子によって囲まれたAPI粒子102を示す。
図1AのコーティングされたAPI粒子を達成するために、組み合わされたAPI粒子(すなわち、API粒子102)及び1つ以上のコーティング材料(複数可)(すなわち、コーティング材料粒子104)を機械的及び/または熱エネルギーに曝露して、API粒子102の表面を層状化するコーティング材料粒子104の離散層を含むAPI粒子102の規則混合物を産生してもよい。
図1AのAPI粒子102は、コーティング材料(複数可)の離散粒子の単層で示されている。しかしながら、API粒子102は、コーティング粒子の2つ以上の離散層を有してもよい。さらに、
図2は、コーティングされていないAPI粒子のSEM画像を示す。
【0026】
図1Bは、連続した変形フィルム層104によって囲まれたAPI粒子102を示す。具体的には、
図1Bは、コーティング材料粒子104のすべてが変形可能であってもよく、機械的応力及び/または高温に供されると変形し得ることを示す。したがって、すべてのコーティング材料は変形可能な特性を含むため、
図1Bのコーティング材料104は、機械的及び/または熱エネルギーに曝露された後の比較的滑らかで連続的なコーティング層である。いくつかの実施形態では、API粒子102は、2つ以上の比較的滑らかで連続的なコーティング層を有し得る。本明細書で使用される場合、「連続フィルム」は、API粒子を囲む単一の連続層を含むように、個々のコーティング材料粒子の1つ以上の変形可能な構成要素を溶融/軟化させる、または他の方法で分解することにより形成されるAPI粒子を囲む層であってもよい。
図3はまた、いくつかの実施形態による、コーティングされたAPI粒子を示すSEM画像を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態では、コーティング材料のうちの1つ以上は変形可能ではないが、変形可能なコーティング層に埋め込まれてもよい。したがって、連続フィルムは、変形されたコーティング材料内に埋め込まれた非変形材料の固体粒子を含み得る。
図1Cは、連続フィルム104が、連続フィルム104の変形されたコーティング材料内に部分的に埋め込まれた、及び/または埋め込まれた1つ以上の非変形材料の固体非変形粒子108を含み得ることを示す。
図1Bまたは1Cのこの連続フィルム104は、コーティング(例えば、APIの味をマスクするコーティング)及び遅延したAPI放出を確実にすることができる。いくつかの実施形態では、API粒子102は、非変形コーティング材料粒子とともに部分的に埋め込まれた、及び/または埋め込まれた2つ以上の連続コーティング層を有し得る。
図3はまた、いくつかの実施形態による、機能的にコーティングされたAPI粒子を示すSEM画像を提供する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「変形可能な」、「変形可能な構成要素」、「コーティング材料の変形可能な構成要素」という用語、及び他の関連用語は、機械的応力及び/または高温に供されたときに分解され得る、水溶性、水膨張性、及び/または水不溶性材料の1つ以上の構成要素を指す。
【0029】
コーティングされたAPI粒子のAPI粒子102は、多数のAPIのいずれであってもよい。
図2は、いくつかの実施形態による、コーティングされていないAPI粒子のSEM画像を示す。本明細書で使用される場合、「活性薬学的成分」または「API」は、疾患の診断、治癒、緩和、治療、または予防に使用され得る医薬品を指す。任意のAPIが、本開示の目的のために使用され得る。好適なAPIとしては、限定されないが、鎮痛剤及び抗炎症剤、抗酸、駆虫薬、抗不整脈剤、抗細菌剤、抗凝固剤、抗うつ薬、抗糖尿病剤、抗下痢薬、抗てんかん薬、抗真菌剤、抗痛風剤、抗高血圧剤、抗マラリア剤、抗偏頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗腫瘍剤及び免疫抑制剤、抗プロタゾール剤、抗精神病薬、制吐薬、抗リウマチ剤、抗甲状腺剤、抗ウイルス剤、抗不安薬、軟下薬、鎮静剤、催眠剤及び神経遮断剤、β遮断剤、強心剤、コルチコステロイド、咳止め剤、細胞傷害薬、充血除去薬、利尿薬、酵素、抗パーキンソン病薬、胃腸薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、緩下剤、脂質調節剤、局所麻酔薬、神経筋作用薬、硝酸塩及び抗狭心症薬、栄養剤、オピオイド鎮痛薬、経口ワクチン、タンパク質、ペプチド及び組換え薬、下剤、性ホルモン及び避妊薬、殺精子剤、及び興奮剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。これらのAPIの具体例のリストは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,709,669号に見出すことができる。存在する場合、APIは、臨床研究によって確立される必要な生理学的効果を示すために必要な量で薬学的製剤中に存在する。当業者は、本開示に従って作製された剤形に含めるための適切な量のAPIを容易に決定することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子または薬学的組成物は、30.0~90.0%w/wのAPIを含み得る。いくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子または薬学的組成物は、40.0~85.0%w/w、50.0~80.0%w/w、または70.0~80.0%w/wのAPIを含み得る。いくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子または薬学的組成物は、40.0%w/w超、50.0%w/w超、60.0%w/w超、65%w/w超、70.0%w/w超、75.0%w/w超、80.0%w/w超、または85.0%w/w超のAPIを含み得る。いくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子または薬学的組成物は、90.0%w/w未満、85.0%w/w未満、80.0%w/w未満、75.0%w/w未満、70.0%w/w未満、60.0%w/w未満、50.0%w/w未満、または40.0%w/w未満のAPIを含み得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、生のAPI粒子をコーティングプロセスの前に篩にかけて、より狭い粒径範囲を達成することができる。例えば、生のAPI粒子を篩にかけて、大きすぎる粒子を除去し、及び/または小さい粒子を除去してもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上のメッシュを使用して、ある特定の粒子を除去することができる。例えば、篩デバイスは、メッシュ(複数可)のサイズに応じてある特定のサイズの粒子を除去するための一連の2つ以上のメッシュを備え得る。篩は、真空移送システムを組み込んで、デバイスの一連のメッシュを通して粒子を輸送することができる。さらに、超音波プローブを篩デバイスに組み込んで、処理中の材料のフローを改善し、メッシュの目詰まりを最小限に抑えることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、生のAPI粒子は、30μm~500μm、50μm~450μm、100μm~400μm、150μm~350μm、または200μm~300μmのメッシュサイズを使用して篩にかけることができる。いくつかの実施形態では、生のAPI粒子は、500μm未満、450μm未満、400μm未満、350μm未満、300μm未満、250μm未満、200μm未満、150未満、または100μm未満のメッシュサイズを使用して篩にかけることができる。いくつかの実施形態では、生のAPI粒子は、30μm超、50μm超、100μm超、150μm超、200μm超、250μm超、300μm超、350μm超、または400μm超のメッシュサイズを使用して篩にかけることができる。
【0033】
API粒子102を囲むコーティング104は、水溶性及び/または水膨張性材料及び水不溶性材料を含む材料を含み得る。いくつかの実施形態では、このコーティングは、API粒子を直接コーティングしてもよく、または既に1つ以上のコーティングを含むAPI粒子をコーティングしてもよい。いくつかの実施形態では、コーティング材料対API粒子の比は、過剰なコーティング材料を最小限に抑えるように最適化され得る。例えば、コーティング材料は、5~85%w/w、10~50%、15~30%のAPI及びコーティング材料の混合物または最終的な薬学的組成物を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料は、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満のAPI及びコーティング材料の混合物または最終的な薬学的組成物を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料は、5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、または75%超のAPI及びコーティング材料の混合物または最終的な薬学的組成物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、コーティング材料のパーセンテージは、2つ以上のコーティング材料層を含んでもよい。
【0034】
コーティング材料の水膨張性材料は、約0.5μm~約20μmまたは約1μm~約10μmの中央粒径を含む粒子であってもよい。いくつかの実施形態では、水膨張性材料は、規則正しい混合及びコーティングを可能にするために、APIのおよそ10倍小さくてもよい。水膨張性材料は、水膨張性粒子の直径が少なくとも約120~600%増加するように、水の吸収時に膨張することができる。コーティング材料または薬学的組成物は、0~8%w/wまたは0.1~0.9%w/wの水膨張性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料または薬学的組成物は、0.5~6.0%w/w、1.0~4.0%w/w、1.5~3.5%w/w、または2.0~3.0%w/wの水膨張性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料または薬学的組成物は、8.0%w/w未満、6.0%w/w未満、4.0%w/w未満、2.0%w/w未満、1.0%w/w未満、または0.5%w/w未満の水膨張性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料または薬学的組成物は、0.1%w/w超、0.5%w/w超、1.0%w/w超、2.0%w/w超、3.0w/w%超、5.0%w/w超、または6.0%w/w超の水膨張性材料を含み得る。コーティング材料の水膨張性材料は、機械的応力及び/または高温下で変形可能であり得る(以下に詳細に記載される)。水膨張性材料は、クロスポビドン、クロスカルメロース、デンプングリコール酸ナトリウム、または錠剤化のために作製された添加剤またはブレンドとして製薬業界で使用される任意の他の好適な崩壊剤のうちのいずれか1つ以上であってもよい。
【0035】
コーティング材料の水溶性材料は、約0.5μm~約20μmまたは約1μm~約10μmの中央粒径を含む粒子であってもよい。いくつかの実施形態では、水溶性材料は、規則正しい混合及びコーティングを可能にするために、APIのおよそ10倍小さくてもよい。水溶性材料は、中性pH及び20℃で、水中に少なくとも約50mg/mLの水溶性を有し得る。さらに、水溶性材料は、約3~60μg/m2sの固有溶解速度を有し得る。コーティング材料の水溶性材料は、機械的エネルギー及び/または熱エネルギー下で変形可能であり得る。コーティング材料または薬学的組成物は、0~35%w/wの水溶性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料または薬学的組成物は、0.5~25%w/w、1.0~15%w/w、1.5~10%w/w、または2.0~3.0%w/wの水溶性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料または薬学的組成物は、35%w/w未満、30%w/w未満、25%w/w未満、20%w/w未満、15%w/w未満、10%w/w未満、5.0%w/w未満、4.5%w/w未満、4.0%w/w未満、3.5%w/w未満、3.0%w/w未満、2.5%w/w未満、2.0%w/w未満、1.5%w/w未満、1.0%w/w未満、または0.5%w/w未満の水溶性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料または薬学的組成物は、0.1%w/w超、0.5%w/w超、1.0%w/w超、1.5%w/w超、2.0%w/w超、2.5%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、5.0%w/w超、8.0%w/w超、10%w/w超、15%w/w超、20%w/w超、25重量/%w/w超、または30%w/w超の水溶性材料を含み得る。水溶性材料は、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ラクトース、ポリ-(エチレンオキシド)、及び任意の他の好適な微小化可能材料またはポリオールのうちの1つ以上であり得る。
【0036】
上述の3~60μg/m2sの固有溶解速度に加えて、提供されるプロセスは、同様に約60~300μg/m2sのより高い固有溶解速度を有する水溶性及び/または水膨張性材料の使用を可能にすることができる。しかしながら、より高い固有溶解速度を有するコーティング材料を有するAPI粒子は、疎水性シリカで乾燥コーティングされるべきである。コーティングがより高い固有溶解速度を有する水溶性及び/または水膨張性材料を含む乾燥コーティングAPI粒子は、APIの崩壊時間を増加させることができ、それによりAPIの味を効果的にマスクすることができない。したがって、溶解速度を遅くするために、API粒子を第2のコーティング材料としてシリカで乾燥コーティングすることにより、コーティングのインビボでの味マスキング性能を向上させることができる。コーティングされたAPIは、0.5~35%w/wのシリカを含み得る。いくつかの実施形態では、コーティングされたイブプロフェンまたは最終的な薬学的組成物は、0.5~20%w/w、0.5~10%w/w、または0.5~5%w/wの疎水性ヒュームドシリカを含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティングされたイブプロフェンまたは最終的な薬学的組成物は、0.5%w/w超、1.0%w/w超、1.5%w/w超、2.0%w/w超、2.5%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、5.0%w/w超、10%w/w超、15%w/w超、20%w/w超、25%w/w超、または30%w/w超の疎水性ヒュームドシリカを含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティングされたイブプロフェンまたは最終的な薬学的組成物は、35%w/w未満、25%w/w未満、15%w/w未満、10%w/w未満、5.0%w/w未満、4.0%w/w未満、3.5%w/w未満、3.0%w/w未満、2.5%w/w未満、2.0%w/w未満、1.5%w/w未満、または1.0%w/w未満の疎水性ヒュームドシリカを含むことができる。使用され得るシリカの例としては、アエロジルR972シリカ(Degussa)、CAB-O-SIL EH-5シリカ(Cabot)、OX-50シリカ(Degussa)、COSM055(Catalyst&Chemical Ind.Co.Ltd(日本))、P-500親水性シリカ(Catalyst&Chemical Ind.Co.Ltd(日本))、及びTS5シリカ(Cabot)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、シリカで乾燥コーティングするために使用され得る好適なデバイスとしては、Comil(U3 Quadro Comil of Quadro Pennsylvania,U.S.)、LabRAM(Resodyne Minnesota,U.S.)、Magnetically Assisted Impact Coater(MAIC,Aveka Minnesota,U.S.)、及びFluid Energy Mill(FEM,Qualification Micronizer of Sturtevant Massachusetts U.S.)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
コーティング材料の水不溶性材料はまた、APIのそれよりも小さい平均粒径を含む粒子であってもよい。例えば、水不溶性材料(複数可)は、約1~20μm、約1~12μm、約2~10μm、約5~12μm、または約5~6μmの平均粒径を含み得る。いくつかの実施形態では、水不溶性材料は、規則正しい混合及びコーティングを可能にするために、APIのそれよりもおよそ10倍小さくてもよい。コーティング材料の水不溶性材料は、機械的応力及び/または高温下で変形可能であり得る。コーティング材料または薬学的組成物は、5~70%w/w、10~60%w/w、10~50%w/w、10~40%w/w、10~35%w/w、または15~30%w/wの水不溶性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料または薬学的組成物は、5%w/w超、10%w/w超、15%w/w超、20%w/w超、25%w/w超、30%w/w超、35%w/w超、または40%w/w超の水不溶性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料または薬学的組成物は、70%w/w未満、60%w/w未満、50%w/w未満、45%w/w未満、40%w/w未満、35%w/w未満、または30%w/w未満の水不溶性材料を含み得る。好適な水不溶性材料の例としては、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、カルナウバ蝋、カンデラ蝋、ヒマシ蝋、ポリアミド蝋、及び/または合成蝋が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
いくつかの実施形態では、機械的及び/または熱エネルギーを使用して、1つ以上の水不溶性材料、水膨張性材料、及び/または水不溶性材料を変形させることができる。例えば、PharmaRAM II音響ミキサー、RAM5 Pharmaミキサー、またはRAM55 Pharmaミキサー(Resodyn Mixers)を使用して、機械的応力を機能的にコーティングされたAPI粒子に印加することができる。コーティングされたAPI粒子は、この音響混合プロセス中に最大100倍の重力(100G加速度)に曝され得る。これらの高い力は、熱の形態でエネルギーを生成する粒子-粒子衝突を引き起こし、これを使用して、API上の1つ以上の水不溶性材料、水膨張性材料、及び/または水不溶性材料を変形させることができる。
【0039】
このステップでは、変形可能なコーティング材料をAPI粒子と混合すると、
図1Aに示されるように、コーティング材料粒子で囲まれた、または被覆されたAPI粒子が産生される。
図1Aは、コーティングされたAPI粒子を作成するために、個々のコーティング材料粒子104でコーティングされたAPI粒子102を示す。いくつかの実施形態では、コーティングされたAPIは、
図1Cに示されるように、第2の非コーティング材料でさらにコーティングされ得る。
図1Cは、層変形可能なコーティング材料104でコーティングされ、第2のコーティング材料108の粒子で部分的に埋め込まれ、埋め込まれたAPI粒子102を示す。
【0040】
しかしながら、上記のコーティングプロセスはまた、「緩い」、または「遊離」コーティング材料粒子を生成し得る。
図2は、コーティングされていないAPI粒子のSEM画像である。
図3は、コーティングされたAPI粒子312のSEM画像である。しかしながら、「緩い」または「遊離」コーティング材料粒子314は、コーティングされたAPI粒子312に結合しない。
【0041】
API粒子がコーティングされたAPI粒子を産生するためにコーティング材料によってコーティングされると、コーティングされたAPI粒子を篩にかけて、コーティングされていない、部分的にコーティングされている、またはコーティングされている過剰なコーティング材料及び残留微細API粒子を除去することができる。過剰なコーティング材料は、コーティングされたAPI粒子に結合していない任意のコーティング材料粒子を含んでもよい。最終的な薬学的組成物(すなわち、産生物)の保管時に、任意の過剰なコーティング材料が凝集し得る。例えば、融合は、過剰なコーティング粒子と、既にAPI粒子に結合しているコーティング粒子との間で起こり得、そうでなければ、単位もしくは錠剤の崩壊、またはコーティングされたAPI粒子の溶解を助ける媒質の侵入を防止する。したがって、過剰なコーティング材料の凝集は、投与時に崩壊時間の増加及び/または溶解速度の低下を引き起こし得る。
【0042】
しかしながら、コーティングされたAPI粒子から過剰なコーティング材料を篩にかける方法は、コーティング材料の凝集を最小限に抑え、最終産物の初期崩壊時間及び/または溶解速度を維持することができると判断されている。篩にかけるプロセスは、バッチまたは連続のいずれかであり得る。さらに、この篩にかけるプロセスは、上記の生のAPI粒子で実施される篩にかけるプロセスに加えて、またはその代わりに実施され得る。いくつかの実施形態では、篩にかけるプロセスのパラメーターは、コーティングされていない生のAPI粒子とコーティングされたAPI粒子との間で異なってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、コーティングされたAPI粒子を篩にかけて、所望のコーティングされたAPI粒子の平均粒径未満の平均粒径を有するコーティング材料粒子を除去することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上のメッシュを使用して、ある特定の粒子を除去することができる。例えば、篩デバイスは、メッシュ(複数可)のサイズに応じてある特定のサイズの粒子を除去するための一連の2つ以上のメッシュを備え得る。篩は、真空移送システムを組み込んで、デバイスの一連のメッシュに粒子を送達することができる。さらに、超音波プローブを篩デバイスに組み込んで、処理中の材料のフローを改善し、メッシュの目詰まりを最小限に抑えることができる。フロー助剤(例えば、シリカ)は、篩を通る移動を促進するために含まれてもよい。例えば、API粒子をコーティングするために使用されるコーティング材料は、フロー助剤を含み得る。逆に、生のAPI材料は凝集性がなく、篩にかける間にフロー助剤の補助を必要としない場合がある。篩にかけるプロセスは、バッチプロセスであっても連続プロセスであってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、生のAPI粒子は、30μm~500μm、50μm~450μm、100μm~400μm、150μm~350μm、または200μm~300μmのメッシュサイズを使用して篩にかけることができる。いくつかの実施形態では、生のAPI粒子は、500μm未満、450μm未満、400μm未満、350μm未満、300μm未満、250μm未満、200μm未満、150未満、または100μm未満のメッシュサイズを使用して篩にかけることができる。いくつかの実施形態では、生のAPI粒子は、30μm超、50μm超、100μm超、150μm超、200μm超、250μm超、300μm超、350μm超、または400μm超のメッシュサイズを使用して篩にかけることができる。
【0045】
一度篩にかけられると、コーティングされたAPI粒子をマトリックス溶液/懸濁液中に混合して、薬学的懸濁液を形成し、予め形成されたブリスターパックのポケットに重量で投与して、薬学的懸濁液のアリコートを形成することができる。一度投与されると、アリコート薬学的懸濁液を含むブリスターパックは、ゼロ度以下の条件下で凍結される。薬学的懸濁液の凍結アリコートは、凍結乾燥の準備ができるまで凍結状態で保持され、その間、薬学的懸濁液の溶媒を除去して薬学的組成物を形成する。
【0046】
マトリックス溶液/懸濁液は、マトリックス形成剤、構造形成剤、及び溶媒を含んでもよい。例えば、マトリックス形成剤は、機能的にコーティングされたAPI粒子に対して薬理学的に許容されるか、または不活性である任意の水溶性または水分散性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、マトリックス形成剤は、ゼラチンなどのポリペプチドであってもよい。ゼラチンは(水中で加熱することによって)少なくとも部分的に加水分解され得る。他の好適なマトリックス形成剤材料としては、加水分解されたデキストラン、デキストリン、及びアルギン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及び/またはアカシアなどの多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、最終的な薬学的組成物(例えば、経口崩壊錠剤)中のマトリックスの量は、1~30%w/wであり得る。いくつかの実施形態では、マトリックスの量は、30%w/w未満、25%w/w未満、20%w/w未満、15%w/w未満、10%w/w未満、5%w/w未満、または3%w/w未満であり得る。いくつかの実施形態では、マトリックスの量は、1%w/w超、3%w/w超、5%w/w超、10%w/w超、15%w/w超、20%w/w超、または25%w/w超であり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液または薬学的懸濁液中のマトリックス形成剤の量は、約0.1~10%w/wであり得る。いくつかの実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液または薬学的懸濁液中のマトリックス形成剤の量は、1.0~8.0%w/wまたは2.0~5.0%w/wを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液または薬学的懸濁液中のマトリックス形成剤の量は、0.1%w/w超、0.5%w/w超、1.0%w/w超、2.0%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、4.5%w/w超、5.0%w/w超、または8.0%w/w超を含んでもよい。いくつかの実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液または薬学的懸濁液中のマトリックス形成剤の量は、10%w/w未満、8.0%w/w未満、6.0%w/w未満、5.0%w/w未満、4.0%w/w未満、3.0%w/w未満、2.5%w/w未満、2.0%w/w未満、1.5%w/w未満、または1.0%w/w未満を含んでもよい。いくつかの実施形態では、薬学的組成物中のマトリックス形成剤の量は、約3~15%w/w、約4~10%w/w、または約4~7%w/wであり得る。いくつかの実施形態では、薬学的組成物中のマトリックス形成剤の量は、0.1%w/w超、0.5%w/w超、1.0%w/w超、2.0%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、5.0%w/w超、6.0%w/w超、7.0%w/w超、8.0%w/w超、9.0%w/w超、10.0%w/w超、11.0%w/w超、12.0%w/w超、13.0%w/w超、または14.0%w/w超を含んでもよい。いくつかの実施形態では、薬学的組成物中のマトリックス形成剤の量は、15%w/w未満、14.0%w/w未満、13.0%w/w未満、12.0%w/w未満、10.0%w/w未満、9.0%w/w未満、8%w/w未満、7%w/w未満、6%w/w未満、5%w/w未満、または4.0%w/w未満を含んでもよい。
【0048】
マトリックス溶液/懸濁液の構造形成剤、または嵩高剤は、糖を含んでもよい。例えば、好適な構造形成剤としては、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、グリシン、シクロデキストリン、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。構造形成剤は、結晶化して凍結乾燥剤形に構造的堅牢性をもたらすため、凍結乾燥において嵩高剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液中の構造形成剤の量は、約0.1~10%w/wであり得る。いくつかの実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液または薬学的懸濁液中の構造形成剤の量は、1.0~8.0%w/wまたは2.0~5.0%w/wを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液または薬学的懸濁液中の構造形成剤の量は、0.1%w/w超、0.5%w/w超、1.0%w/w超、2.0%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、4.5%w/w超、5.0%w/w超、または8.0%w/w超を含んでもよい。いくつかの実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液または薬学的懸濁液中の構造形成剤の量は、10%w/w未満、8.0%w/w未満、6.0%w/w未満、5.0%w/w未満、4.0%w/w未満、3.0%w/w未満、2.5%w/w未満、2.0%w/w未満、1.5%w/w未満、または1.0%w/w未満を含んでもよい。いくつかの実施形態では、薬学的組成物中の構造形成剤の量は、約3~15%w/w、約4~10%w/w、または約4~7%w/wであり得る。いくつかの実施形態では、薬学的組成物中の構造形成剤の量は、0.1%w/w超、0.5%w/w超、1.0%w/w超、2.0%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、5.0%w/w超、6.0%w/w超、7.0%w/w超、8.0%w/w超、9.0%w/w超、10.0%w/w超、11.0%w/w超、12.0%w/w超、13.0%w/w超、または14.0%w/w超を含んでもよい。いくつかの実施形態では、薬学的組成物中の構造形成剤の量は、15%w/w未満、14.0%w/w未満、13.0%w/w未満、12.0%w/w未満、10.0%w/w未満、9.0%w/w未満、8%w/w未満、7%w/w未満、6%w/w未満、5%w/w未満、または4.0%w/w未満を含んでもよい。
【0049】
マトリックス溶液/懸濁液及び薬学的懸濁液の溶媒は水であってもよいが、懸濁液は共溶媒を含んでもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、エタノール、アルコール、イソプロパノール、他の低級アルカノール、水(例えば、精製水)、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、好適な溶媒及び/または共溶媒は、tert-ブチルアルコールなどのアルコールであってもよい。いくつかの実施形態では、薬学的懸濁液の残りのバランスは、溶媒(すなわち、Q.S.100%)である。
【0050】
マトリックス溶液/懸濁液及び薬学的懸濁液はまた、追加の薬学的に許容される薬剤または賦形剤を含有してもよい。かかる追加の薬学的に許容される薬剤または賦形剤としては、糖、塩化ナトリウム及びケイ酸アルミニウムなどの無機塩、修飾デンプン、防腐剤、抗酸化剤、粘度向上剤、着色剤、香味剤、pH調整剤、甘味料、味マスキング剤、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な着色剤としては、赤色、黒色、及び黄色の酸化鉄、ならびにFD&C青色2号及びFD&C赤色40号などのFD&C染料と、それらの組み合わせを挙げることができる。好適な香味剤としては、ミント、ラズベリー、リコリス、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キャラメル、バニラ、チェリー及びグレープのフレーバー、ならびにこれらの組み合わせを挙げることができる。好適なpH調整剤としては、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸、マレイン酸、水酸化ナトリウム(例えば、3%w/wの水酸化ナトリウム溶液)、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。好適な甘味料としては、アスパルテーム、アセスルファムK及びタウマチン、ならびにそれらの組み合わせを挙げることができる。好適な味マスキング剤としては、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン含有化合物、吸着剤またはマイクロカプセル化活性剤、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。当業者は、必要に応じて、これらの様々な追加の賦形剤の好適な量を容易に決定することができる。
【0051】
図4は、本明細書に記載される薬学的組成物を調製するための混合プロセスのいくつかの実施形態によるフローチャートを提供する。ステップ402では、API粒子を1つ以上のコーティング材料(複数可)と組み合わせ、その組み合わせを機械的エネルギー及び/または熱エネルギーに曝露して、1つ以上のコーティング材料(複数可)の離散層を含むAPI粒子(すなわち、第1のコーティング層を含むAPI粒子)の規則混合物を産生する。例えば、
図1Aは、コーティング材料粒子の離散層を含むAPI粒子を示す。
【0052】
ステップ404では、機械的及び/または熱エネルギーを、コーティングされたAPI粒子に印加して、コーティング材料の1つ以上の変形可能な構成要素をAPI粒子の表面に変形させることができる。このプロセスステップは、API粒子を囲む連続フィルムを含むAPI粒子を形成することができる。これを
図1B、
図1C、及び/または
図3に示す。
【0053】
ステップ406では、コーティングされたAPI粒子をシリカと組み合わせて、少なくとも機能性コーティング材料の第1のコーティング及びシリカの第2のコーティングを含むコーティングされたAPI粒子を形成する。いくつかの実施形態では、機械的エネルギー及び/または熱エネルギーを適用して、シリカ粒子をコーティングされたAPI粒子の第1のコーティングに付着させる、及び/またはその中に埋め込むことができる。
【0054】
ステップ408では、コーティングされたAPI粒子を篩にかけて、上で詳細に論じられているように、任意の過剰なコーティング材料を除去する。例えば、
図3は、コーティングされたAPI粒子312及び過剰なコーティング材料314のSEM画像を示す。
【0055】
ステップ410では、篩にかけたコーティングされたAPI粒子をマトリックス溶液/懸濁液中に混合して、予め形成された成形型に投与するための薬学的懸濁液を形成する。いくつかの実施形態では、薬学的懸濁液をブリスターパックに投与し、凍結乾燥させて溶媒を除去して薬学的組成物を形成し、保護のためにブリスターパック内で密封され得る。この懸濁液及び投与プロセスは、GB1548022、US4371516、US4305502、GB211423、及びUS4758598に詳細に網羅されており、これらの各々は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0056】
コーティング比(すなわち、コーティングされていないAPIの量に対するコーティング材料の量)は、過剰なコーティング材料の凝集を最小限に抑える、及び/または防止するように最適化され得る。例えば、いくつかの実施形態では、コーティング比は、15~95%または50~90%w/wのコーティングされていないAPIに対して、5~85%または10~150%w/wのコーティング材料の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料の量は、80%w/w未満、70%w/w未満、60%w/w未満、50%w/w未満、40%w/w未満、30%w/w未満、20%w/w未満、または10%w/w未満であり得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料の量は、5%w/w超、10%w/w超、20%w/w超、30%w/w超、40%w/w超、50%w/w超、60%w/w超、または70%w/w超であり得る。いくつかの実施形態では、コーティングされていないAPIの量は、95%w/w未満、85%w/w未満、75%w/w未満、65%w/w未満、55%w/w未満、45%w/w未満、35%w/w未満、または25%w/w未満であり得る。いくつかの実施形態では、コーティングされていないAPIの量は、20%w/w超、30%w/w超、40%w/w超、50%w/w超、60%w/w超、70%w/w超、80%w/w超、または90%w/w超であり得る。
【0057】
投与比(すなわち、すべての不活性成分を含むマトリックス溶液/懸濁液の量に対するコーティングされたAPIの量)は、過剰なコーティング材料の凝集を最小限に抑える、及び/または防止するように最適化され得る。例えば、いくつかの実施形態では、投与比は、5~60%w/wのコーティングされたAPIから40~95%w/wのマトリックス溶液/懸濁液の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、投与比は、60%w/w未満、50%w/w未満、40%w/w未満、30%w/w未満、20%w/w未満、または10%w/w未満のコーティングされたAPIを含んでもよい。いくつかの実施形態では、投与比は、5%w/w超、10%w/w超、20%w/w超、30%w/w超、40%w/w超、または50%w/w超のコーティングされたAPIを含んでもよい。いくつかの実施形態では、投与比は、95%w/w未満、90%w/w未満、80%w/w未満、70%w/w未満、60%w/w未満、または50%w/w未満のマトリックス溶液/懸濁液を含んでもよい。いくつかの実施形態では、投与比は、40%w/w超、50%w/w超、60%w/w超、70%w/w超、80%w/w超、または90%w/w超のマトリックス溶液/懸濁液を含んでもよい。
【実施例】
【0058】
篩にかけることによってコーティングされたAPI粒子から過剰なコーティング材料を除去することの有効性を評価し、コーティング比及び投与比を最適化するために、いくつかの試験を実施した。様々なコーティングされたAPI粒子を含有する薬学的組成物の崩壊時間を様々な条件下で測定して、過剰なコーティング材料を篩にかける効果を研究した。過剰なコーティング材料を除去することは、コーティング材料の凝集を最小限に抑えることができると合理的に想定され得る。コーティング及び投与比を最適化することは、コーティング材料の凝集を最小限に抑えることにも役立ち得る。次に、凝集の量を最小限に抑えることは、薬学的組成物及びコーティングされたAPI粒子の所望の崩壊時間及び/または溶解速度を維持するのに役立ち得る。したがって、崩壊時間は、以下の実施例における凝集量を評価するためのメトリックとして使用される。いくつかの実施形態では、50℃の加速崩壊データは、篩にかけられていない過剰なコーティング材料の存在を示すことができる。
【0059】
さらに、以下の実施例について、コーティング比及び投与比情報を提供する。コーティング比は、コーティングされていないAPIの量に対するコーティング材料の量を指す。投与比は、すべての不活性成分を含むマトリックス溶液/懸濁液に対するコーティングされたAPIの量を指す。
【0060】
実施例1:イブプロフェンを、26:74のコーティング比で、カルナウバ蝋でコーティングした。40:60の投与比を使用して、凍結乾燥錠剤を産生した。4つの別個の錠剤のバッチを試験した(2ヶ月間にわたってバッチ1~3及び6ヶ月間にわたってバッチ4)。これらの錠剤のバッチを、各々、25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RHのICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)安定性条件で試験し、バッチ1、2、及び3について1ヶ月及び2ヶ月でサンプリングした。さらに、各バッチを50℃のストレス条件に曝露して、各研究について2週間及び4週間の両方で加速データを提供した。下の表1は、コーティングされたイブプロフェンの2ヶ月間の研究のバッチ1~3について、崩壊時間データを提供する。
【表1】
【0061】
バッチ2用のコーティングされたAPIは、APIコーティング後に不十分に篩にかけた。篩にかけたコーティングされたAPIの顕微鏡検査(
図5B)は、過剰量の非結合コーティング材料の存在を示した。また、API粒子が不十分にコーティングされていることも示した。表1の最後の列に示されているように、このバッチは、2ヶ月後の40℃/75% RH安定性試験条件で有意に長い崩壊時間を示した。(初期崩壊時間は2秒未満であり、2ヶ月時の崩壊時間はほぼ15秒であった)。したがって、この結果は、医薬品中の過剰量の非結合コーティング材料の存在が、保管中の非結合コーティング材料の凝集のために(医薬品が経年化するにつれて)経時的に崩壊時間の延長を引き起こすという仮説を支持する。
【0062】
逆に、バッチ3用のコーティングされたAPIは、APIコーティング後に十分に篩にかけた。篩にかけたコーティングされたAPIの顕微鏡検査(
図5C)は、非結合コーティング材料が不在であるため、API粒子が十分にコーティングされていることを示した。このバッチの試料の崩壊時間は、ICH安定性条件のいずれかについて、2ヶ月間にわたってほとんど変化しなかった。(2ヶ月間の研究を通じての崩壊時間は、およそ1秒~およそ3秒の間で変動した)。これは、例えば、篩にかけることにより過剰な非結合コーティング材料の存在を最小限に抑えることが、特に経時的に高い温度で保管されるときに、医薬品中のコーティング材料の凝集を防止するのに役立つという仮説を支持する。
【0063】
バッチ1用のコーティングされたAPIを、APIコーティング後に篩にかけた。バッチ1は、初期時間データ点について、バッチ2及び3と比較して、2秒未満の同様の崩壊時間を示した。しかしながら、2ヶ月後の40C/75%RH安定性試験条件では、崩壊時間はおよそ7秒以下に増加した。50℃で4週間保管した場合、崩壊時間はおよそ10秒以下に増加した。これは、このバッチの篩にかける処理が、過剰なコーティング材料を十分に除去しなかったことを示唆し、したがって、残留した非結合コーティング材料の存在を示唆している。バッチ2は、バッチ1のそれよりもさらに多くの非結合コーティング材料、及びより大きな程度の保管時の凝集を経験した。篩にかけたコーティングされたAPIの顕微鏡検査(
図5A)は、API粒子が、残留量の非結合コーティング材料の存在下で、適度に十分にコーティングされていることを示した。
【0064】
以下の表2は、コーティングされたイブプロフェンAPI(すなわち、バッチ4)の6ヶ月間の研究の崩壊時間データを示す。
【表2】
【0065】
バッチ4用のコーティングされたAPIを、APIコーティング後に篩にかけた。表2のバッチ4は、6ヵ月間の研究期間を通じて崩壊時間にあまり変化を示さなかった。バッチ4の初期崩壊時間は、およそ5秒であり、25℃/60% RH試料の最終崩壊時間は、およそ2秒であり、30℃/65% RH試料は、およそ2秒、40℃/75% RH試料は、およそ2秒であった。しかしながら、50℃で保管すると増加が見られた。40℃以下の温度で保管された錠剤に増加は見られなかったため、これは、篩にかけることにより、過剰な非結合コーティング材料のほとんどは除去されたが、錠剤を50℃に配置したときに凝集する十分な残留量が得られたことを示唆する。顕微鏡検査(
図5D)は、篩にかけたコーティングされたAPIが、API粒子が、残留量の非結合コーティング材料の存在下で、適度に十分にコーティングされていることを示したことを示した。
【0066】
実施例2:イブプロフェンを、理論上のコーティング比が26:74のサゾール(合成)蝋でコーティングした。コーティングされたAPIを、コーティング後に篩にかけた。40:60の投与比を使用して、凍結乾燥錠剤を産生し、2ヶ月間にわたって試験した。イブプロフェンAPI強度は200mgであった。各バッチを、25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RHのICH安定性条件で試験した。さらに、試料を50℃のストレス条件に曝露して、研究中の2週目及び4週目に加速データを提供した。以下の表3は、40:60の投与比の、コーティングされたイブプロフェンの2ヶ月間の研究について、崩壊時間データを提供する。篩にかけたコーティングされたAPIの顕微鏡検査(
図5E)は、API粒子が少量の非結合コーティング材料の存在下で、適度に十分にコーティングされていることを示した。
【表3】
【0067】
表3のバッチ5は、2ヶ月間の研究中、または50℃の加速条件において、崩壊時間に実質的な変化を示さない。具体的には、バッチ5の初期崩壊時間はおよそ3秒であり、3つのICH安定性条件(25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RH)すべてについて、2ヶ月時の崩壊時間はおよそ4秒であった。2週間時の50℃加速条件の崩壊時間はおよそ3秒であり、4週間時の崩壊時間はおよそ4秒であった。50℃のデータに基づき、少残留量の過剰な非結合コーティング材料が存在し得る。そうである場合、この少量の過剰な非結合コーティング材料は、崩壊時間が増加するとしてもあまり増加しないため、保管時にかなりの量の凝集を引き起こさない。これは、異なる蝋を使用した実施例1のバッチ3とよく比較する。これら2つの実施例は、過剰な非結合コーティング材料が、篩にかけることによって効率的に除去される場合、特により高い温度で、長期間の保管時に、保管時の医薬品中のコーティング材料の凝集を最小化または防止することができることを実証する。
【0068】
実施例3:イブプロフェンを、理論上のコーティング比が26:74のサゾール(合成)蝋でコーティングした。次いで、コーティング後に、コーティングされたAPIを篩にかけた。50:50の投与比を使用して、凍結乾燥錠剤を産生し、3ヶ月にわたって試験した。イブプロフェン強度は200mgであった。上記実施例1及び2と同様に、各バッチを、25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RHのICH安定性条件で試験した。また、試料を50℃の応力条件に曝露して、各研究中の2週間及び4週間での加速データを提供した。以下の表4は、50:50のサゾール蝋でコーティングされたイブプロフェンの3ヶ月間の研究について、データを提供する。バッチ6の篩にかけたコーティングされたAPIの顕微鏡検査(
図5F)は、API粒子が良好にコーティングされ、いくつかの非結合コーティング材料が存在していることを示した。
【表4】
【0069】
バッチ6及びバッチ7のいずれも、3ヶ月間の研究の過程で崩壊時間に有意な変化を示さなかった。具体的には、バッチ6の試料の初期崩壊時間は、およそ1秒であり、3つのICH安定性条件(25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RH)の各々の最終3ヶ月の崩壊時間は、およそ2秒であった。バッチ6の2週間及び4週間の加速50℃条件の両方の崩壊時間は、およそ2秒であった。
【0070】
バッチ7の試料の初期崩壊時間は、およそ2秒であり、25℃/60%及び30℃/65%のICH安定性条件における最終3ヶ月の崩壊時間は、およそ2秒であった。40℃/75%のICH安定性条件における最終3ヶ月の崩壊時間は、およそ3秒であった。2週間及び4週間の加速した50℃条件の両方の崩壊時間は、およそ5秒であった。50:50の高いコーティング比は、篩にかけられていないままである場合、過剰な非結合コーティング材料の量を増加させることがある。両方のバッチは、コーティングされたAPI及び任意の過剰な非結合コーティング材料の高負荷を意味する50:50のより高い投与比を使用したが、これらのデータは、コーティングされたAPIの篩にかけるプロセスが、凝集を最小限に抑えるために過剰な非結合コーティング材料を除去するのに効果的であると推測した。
実施例4:パラセタモル(APAP)を、26:74の理論上のコーティング比で、カルナウバ蝋でコーティングした。これらのバッチについては、手動で篩にかけた。50:50及び40:60の投与比を使用して、凍結乾燥錠剤を産生した。APAP強度は325mgであった。各バッチを、25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RHのICH安定性条件で試験した。また、試料を50℃の応力条件に曝露して、各研究中の2週間での加速データを提供した。以下の表5は、カルナウバ蝋でコーティングされたAPAPの1ヶ月間の研究について、データを提供する。以下に示されるように、全てのバッチは、1ヶ月で40℃/75% RH安定性条件における崩壊時間の有意な増加を示した。手動で篩にかけたコーティングされたAPIの顕微鏡検査は、バッチ8(
図5G)については、API粒子コーティングが不良~適度であることを示し、バッチ9及び10(
図5H及び
図5I)については、コーティングが非常に不良であった。不良なコーティングは、振動篩を使用する代わりに手動で行われた不良な篩分けの結果としての過剰な非結合コーティング材料の存在に起因する。
【表5】
【0071】
各バッチの試料の初期崩壊時間は、およそ2~4秒であった。1ヶ月後に試験したとき、いずれのバッチでも、25℃/60% RH及び30℃/65% RHの安定性条件における崩壊時間の変化はあまり見られなかった。2週間加速した50℃条件での3つすべてのバッチの崩壊時間は、2分超であった。上述のように、3つすべてのバッチはまた、40℃/75% RH安定性条件での1ヶ月後の崩壊時間の有意な増加(2分超)を示した。これは、医薬品の保管時に凝集した過剰な非結合蝋コーティング材料の存在により説明され得る。
【0072】
実施例5:APAPを、理論上のコーティング比が26:74のサゾール(合成)蝋でコーティングし、篩にかけた。凍結乾燥錠剤を産生するための50:50の投与比。APAP強度は325mgであった。試験条件は、上記実施例4に記載されたものと同一であった。すなわち、25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RHのICH安定性条件でバッチを試験した。試料を50℃のストレス条件に曝露して、2週間での加速データを提供した。以下の表6は、サゾール(合成)蝋でコーティングされたAPAPの1ヶ月間の研究について、データを提供する。以下に示されるように、バッチ11は、試験条件のうちのいずれかについて崩壊時間に有意な変化を示さなかった。篩にかけたコーティングされたAPIの顕微鏡検査(
図5J)は、API粒子が、非結合コーティング材料の存在下で、適度に十分にコーティングされていることを示す。
【表6】
【0073】
バッチ11の初期崩壊時間は、2秒未満であった。3つすべての安定性条件(25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RH)について1ヶ月で試験した場合、崩壊時間にはほとんど変化がなかった。2週間の加速した50℃条件での崩壊時間は、2分超であった。40℃以下の温度で保管された錠剤に増加は見られなかったため、これは、篩にかけることにより、非結合過剰コーティング材料のほとんどは除去されたが、錠剤を50℃に配置したときに凝集する十分な残留量が得られたことを示唆する。サゾール蝋はまた、より高い保管温度(例えば、50℃)で生じ得る、より高い融点/軟化点を有する。
【0074】
実施例6:APAPを、理論上のコーティング比が24:76のサゾール(合成)蝋でコーティングし、篩にかけた。50:50の投与比を使用して、凍結乾燥錠剤を産生し、3ヶ月間及び6ヶ月間にわたって研究した。(実施例5のバッチ11を、この実施例について1ヶ月から3ヶ月に延長した)。すべての試料のAPAP強度は325mgであった。各バッチを、25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RHのICH安定性条件で試験した。さらに、各バッチの試料を50℃のストレス条件に曝露して、各研究中の2週目に加速データを提供した。以下の表7は、50:50の投与比の、3ヶ月間の研究(バッチ11)及び6ヶ月間の研究(バッチ12)の、コーティングされたAPAPについて、崩壊時間データを提供する。バッチ11と同様に、バッチ12の篩にかけたコーティングされたAPI(
図5K)の顕微鏡検査は、API粒子が非結合コーティング材料で適度に十分にコーティングされていることを示した。
【表7】
【0075】
バッチ12は、25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RHのICH安定性条件の3ヶ月間の研究中に、実質的な変化を示さなかった。具体的には、初期崩壊時間は、およそ2秒であり、25℃/60%RH試料の最終3ヶ月の崩壊時間は、およそ4秒であり、30℃/65%RH試料及び40℃/75%RH試料の最終崩壊時間は、およそ3秒であった。しかしながら、2週間の50℃加速データは、崩壊時間に有意な変化を示した(2分超)。実施例5に記載されるように、サゾール蝋は、より高い融解/軟化温度を有する。40℃以下の温度で保管された錠剤に増加は見られなかったため、この比較的高い融解/軟化点は、過剰な非結合コーティング材料は、50℃で保管されたときに凝集したが、錠剤が40℃/75% RHで保管されたときには、同じ程度に凝集しなかったという顕微鏡観察を支持する。
【0076】
バッチ13は、バッチ12と同様に振る舞い、6ヶ月間の研究の過程で崩壊時間に実質的な変化を示さなかった。バッチ13の試料の初期崩壊時間は、およそ1秒であった。25℃/60% RH及び30℃/65% RH試料の6ヶ月時の最終崩壊時間は、およそ2秒であり、40℃/75% RH試料の6ヶ月時の最終崩壊時間は、およそ3秒であった。さらに、2週間の50℃加速データは、2分を超える崩壊時間をもたらした。
【0077】
バッチ12及び13の観察を実施例3及び4のバッチ5~7と比較して、両方の実施例は、25℃/60%、30℃/65%、及び40℃/75%で保管された試料について同様の崩壊時間を示した。しかしながら、50℃で保管された試料について、崩壊時間の差が観察された。錠剤を50℃で2週間保管した後、バッチ12及び13について、崩壊時間は2分超であった。対照的に、崩壊時間は2~4秒であった。この差は、バッチ11~12と比較した場合、バッチ5~7において過剰な非結合コーティング材料の量が少なかったことを示唆する。この差は、25℃、30℃、及び40℃のより低い保管温度でのコーティング材料の凝集を引き起こさなかったが、サゾール蝋のより高い融解/軟化温度により、50℃で差を生じさせるのに十分である。
【0078】
実施例7:APAPを、理論上のコーティング比が26:74のサゾール(合成)蝋でコーティングし、篩にかけた。凍結乾燥錠剤を産生し、2ヶ月間にわたって研究するための40:60の投与比。すべての試料のAPAP強度は325mgであった。25℃/60% RH、30℃/65% RH、及び40℃/75% RHのICH安定性条件で試料を試験した。さらに、各バッチの試料を50℃のストレス条件に曝露して、研究中の2週目及び4週目に加速データを提供した。以下の表8は、この研究の崩壊時間を提供する。バッチ12及び13と同様に、バッチ14の篩にかけたコーティングされたAPI(
図5L)の顕微鏡検査は、API粒子が残留量の非結合コーティング材料で適度に十分にコーティングされていることを示した。
【表8】
【0079】
バッチ14は、2ヶ月間の研究の過程での崩壊時間または加速データに変化を示さなかった。バッチ14の試料の初期崩壊時間は、およそ3秒であった。3つすべてのICHの安定性条件における最終2ヶ月の崩壊時間は、およそ2秒であった。さらに、2週間の50℃加速データ崩壊時間はおよそ3秒であり、4週間の50℃加速データ崩壊時間はおよそ2秒であった。これを、50:50の投与比を使用した実施例5のバッチ11及び実施例6のバッチ12と比較すると、この実施例は、投与比を40:60に低減することにより、篩にかけたコーティングされたAPIの過剰な非結合コーティング材料の残留量を低減し、特に経時的なより高い温度での保管中の過剰な蝋の凝集を最小限に抑えることができることを示す。
【0080】
実施例8:イブプロフェンを、理論上のコーティング比22.5:77.5及び30:70で、カルナウバ蝋でコーティングした。30:70の投与比を使用して、凍結乾燥錠剤を産生し、2ヶ月間にわたって研究した。イブプロフェン強度は200mgである。40℃のオーブン内でバッチを保管した。初期、25日目、及び2ヶ月の時点での崩壊時間について錠剤を試験した。以下の表9は、研究の崩壊時間を提供する。篩にかけていないコーティングされたAPI(
図5M及び5O)ならびに篩にかけたコーティングされたAPI(
図5N及び5P)の顕微鏡検査。API粒子は十分にコーティングされた。篩にかけた試料には、非結合コーティング材料が存在しない。
【表9】
【0081】
バッチ15~18は、篩にかけていない(バッチ15及び17)または篩にかけた(バッチ16及び18)のいずれかのコーティングされたAPIについて、30:70の投与比を使用して、40℃で保管された錠剤の崩壊時間は、経時的に増加していないことを示す。これは、30:70などの投与比を低減することにより、過剰な非結合蝋の量が、経時的により高い温度で保管されたときに過剰な非結合材料の凝集を最小限に抑えることができるレベルに十分に低減されるという仮説を支持する。
【0082】
上記実施例からの結果の全体的な要約を表10に表す。
【表10】
【0083】
前述の説明は、説明の目的のために、特定の実施形態に関して説明されてきた。しかしながら、上記の例示的な考察は、網羅的であることを意図するものではなく、または本発明を開示された正確な形態に限定するものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、技法の原理及びそれらの実用的な応用を最もよく説明するために選択され、説明された。それにより、当業者であれば、企図される特定の使用に適した様々な修正を用いて、本技法及び様々な実施形態を最適に利用することが可能となる。
【0084】
本開示及び実施例は、添付の図面を参照して完全に説明されているが、様々な変更及び修正が当業者に明らかになることに留意されたい。そのような変更及び修正は、特許請求の範囲によって定義される本開示及び実施例の範囲内に含まれるものと理解されるべきである。