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特許7543292通行可能路面に組み込まれる機能デバイス及びそれを備える通行可能路面の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】通行可能路面に組み込まれる機能デバイス及びそれを備える通行可能路面の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20240826BHJP
【FI】
H01L31/04 560
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021549465
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 FR2020050359
(87)【国際公開番号】W WO2020174177
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】1901965
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】521371946
【氏名又は名称】コラ
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】エスリンガ ディック
(72)【発明者】
【氏名】アマンディーヌ ブランジェ
(72)【発明者】
【氏名】コケル エリック
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ベティニエ レミ
(72)【発明者】
【氏名】ゴーム ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィット マリオン
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107994(JP,A)
【文献】特表2017-525153(JP,A)
【文献】米国特許第08907202(US,B1)
【文献】特開2014-192395(JP,A)
【文献】特表2010-526439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能デバイス(100)であって、該機能デバイス(100)が連続的に:
- 前記デバイスの前面上に配置され、第一の材料で製作される第一の保護膜(101)と、
- 第二の材料で製作される第一の外側被包膜(102)と、
- 第三の材料で製作される内側被包膜(103)と、
- 第四の材料で製作される第二の外側被包膜(104)と、
- 前記デバイスの後面上に配置され、第五の材料で製作される第二の保護膜(105)と、
- 前記第一の外側被包膜(102)、前記内側被包膜(103)、及び前記第二の外側被包膜(104)のうちの膜の1つであって、能動素子(110)を被覆する膜と、
を含み、
前記第一の材料、前記第二の材料、前記第三の材料、前記第四の材料、及び前記第五の材料は、それぞれヤング率E、E、E、E、及びEと、それぞれ熱膨張率CTE、CTE、CTE、CTE、及びCTEを有し、
とE、同じか又は数値の差が30%以下である同程度であり、
とE、同じか又は数値の差が30%以下である同程度であり、
>E且つE<Eであり、
CTEとCTE 、同じか又は数値の差が30%以下である同程度であり、
CTEとCTE、同じか又は数値の差が30%以下である同程度であり、
CTE<CTE且つCTE>CTEであり、
前記第一の材料と第五の材料は、ファイバグラスと樹脂の複合材料又はグラスファイバとポリマの複合材料であり、
ヤング率EとE、10Gpaより高い、
機能デバイス(100)。
【請求項2】
前記第一の材料と第五の材料は、ファイバグラスと、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂又は熱可塑性ポリマとからなることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
>E 且つE <E であり、CTE <CTE 且つCTE >CTE であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
前記能動素子(110)を被包する前記膜は前記内側被包膜(103)であることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項5】
前記ヤング率E及びEは150~750MPaであることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項6】
前記ヤング率Eは5~150MPaであることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項7】
前記熱膨張率CTE及びCTEは200×10-6/K未満であることを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項8】
前記熱膨張率CTE及びCTEは200×10-6/K~700×10-6Kであることを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項9】
前記熱膨張率CTEは800×10-6/K~2000×10-6Kであることを特徴とする、請求項1~8の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項10】
前記第二の材料と前記第四の材料は同じか又は異なるイオノマであることを特徴とする、請求項1~の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項11】
前記第三の材料は熱可塑性ポリオレフィン又は(メタ)クリレート樹脂であることを特徴とする、請求項1~10の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項12】
前記第一の保護膜(101)と前記第二の保護膜(105)の厚さは0.25mm~3.0mmであることを特徴とする、請求項1~11の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項13】
前記第一の外側被包膜(102)及び前記第二の外側被包膜(104)の厚さは0.2mm~2.0mmであることを特徴とする、請求項1~12の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項14】
前記内側被包膜(103)の厚さは0.4mm~2.5mmであることを特徴とする、請求項1~13の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項15】
前記能動素子(110)は光起電、電気、電子、光、光電気、圧電、熱電、無線通信素子、又は発光ダイオード(LED)若しくは有機発光ダイオード(OLED)であることを特徴とする、請求項1~14の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項16】
テクスチャリング要素は前記第一の保護膜(101)に組み込まれることを特徴とする、請求項1~15の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項17】
請求項1~16の何れか1項において定義される機能デバイス(100)が固定層(120)を用いてその上に固定される通行可能な舗道(200)を含み、前記機能デバイス(100)の前記第一の保護膜(101)はコーティング層(130)によって被覆されて、歩行者及び/又は車両が通過できるようにされ、前記コーティング層(130)は不透明ではなく、テクスチャ外面を有する、機能化された通行可能な舗道。
【請求項18】
機能化された通行可能な舗道の製造方法において、
a)請求項1~16の何れか1項において定義された機能デバイス(100)を提供するステップと、
b)固定層(120)を通じて通行可能な舗道(200)上に前記機能デバイス(100)を固定するステップと、
c)前記機能デバイス(100)の前記第一の保護膜(101)の上にコーティング層(130)を堆積させて、歩行者及び/又は車両が通過できるようにするステップであって、前記コーティング層(130)は不透明ではなく、テクスチャ外面を有するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光起電セル等の能動素子を取り囲む異なる層を含む、通行可能な舗道に組込み可能な機能デバイスに関する。機能デバイスの層は、構造の中央の層に関して、(i)対称又は準対称、及び(ii)U字形(減少/増加)又は逆U字形(増加/減少)勾配を呈する熱機械特性(ヤング率及び熱膨張率)を、高い熱機械安定性を有する装置を提供するような方法で有する。
【0002】
本発明は、ソーラロードの分野において特に有利に利用される。デバイスは、歩行者及び/又は自動若しくは非自動の車両のための通行可能な舗道、例えば舗装道路若しくは道路、自転車専用道路、工場若しくは空港プラットフォーム、スクエア、歩道、又は駐車場に組込み可能である。
【0003】
本発明はまた、能動素子により機能化された通行可能な舗道及びその製造方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
機能化された舗道とは、光起電セル等の能動素子又は、電気、電子、圧電、熱電、及び/又は無線通信素子も含む舗道である。これらの素子はデータを捕捉及び/又は通信し、又はエネルギを生成し、伝送するためにも使用できる。特に、ソーラロードの原理は、道路又は舗道を日中の太陽放射からエネルギを生成するための手段として使用することにあり、付近にある建物(会社、エコ地区、ソーラファーム、個人住宅及びその他)に供給するため、例えば送電網及び/又は交通支援デバイスに電源供給する。生成された光起電エネルギはまた、保存して、例えば道路標識のために、及び/又は夜間に駐車場を照明するために使用できる。また、これは道路、舗道、駐車場、空港等の除氷のために熱に変換することもできる。
【0005】
その目的のために、ソーラモジュールがいわゆる通行可能な舗道(道路、歩道等)に挿入され、車両の通過に耐えられる透明なテクスチャ表面で被覆され、道路及びその他の車線に適用可能なグリップ要件を満たす。
【0006】
従来、光起電モジュールは:
- モジュールの前面上の、一般にガラスで製作される透明板であって、前面はモジュールを所定の場所に埋め込んだ後に入射太陽放射にさらされるような透明板と、
- 被包(多)層に埋め込まれた相互に接続された光起電セル群と、
- 後面上のガラス板又は多層後板と、
を含む。
【0007】
しかしながら、ソーラロードのような用途では、ガラス前面を有する従来の光起電モジュールは道路の変形に適合できるだけの柔軟性を持たず、この変形は、道路の幅及び長さに沿った2つの水平軸について典型的な距離1mにわたり5mmのオーダである。さらに、これらの従来の光起電モジュールは舗道上に設置又は接着されるが、それらが交通手段の通過時に受けがちな機械的負荷に十分に耐えられない。例えば、舗道の粗さは、光起電モジュールの後面に穴が開く原因となり得る。同様に、例えば、物体の存在又は落下による衝撃や穿孔がモジュールの前面に生じ得る。これらのメカニズムは、モジュールの、又は光起電セルの破損のリスクにつながる。
【0008】
衝撃及び機械的負荷に対する耐性及び/又は光起電モジュールの柔軟性を改善するための解決策が考案されている。
【0009】
例えば、国際公開第2018/082609号パンフレットでは、前面に厚いガラス板を有する従来の光起電パネルがローリング層により被覆され、これはエポキシ材料及び特定の接着剤を含み、良好な滑り止めグリップが提供される。パネルは、後面において、例えばEVA、エポキシ樹脂、又はポリマ/ファイバグラス複合材料で製作される断熱層を含み、上昇水分に対する保護が提供される。
【0010】
米国特許第8,907,702号明細書及び米国特許出願公開第2018/0102730号明細書の文献には、光起電セル並びにその他の電子及び光能動素子、例えば発光ダイオードを組み込んだ機能デバイスが記載されている。能動素子の機械的保護は、前面のガラス板と後面のガラス板により提供される。衝撃に関連付けられる機械的応力及び/又は振動周波数応力による前面の損傷をなるべくなくすために、前板はダイヤモンドで被覆されるか、又は積層ガラス構造も有する強化ガラスであってよい。
【0011】
国際公開第2016/016170号パンフレット及び同第2016/016165号パンフレットの文献では、結晶シリコンで製作される光起電セル、ポリマ及び複合材料の積層体を含む光起電モジュールの前面が耐衝撃性ポリマ板の離散化マトリクスであり、それが光起電セルと整列されている。このようにして得られモジュールは柔軟であり、非平坦表面に組み込むことができる。しかしながら、この技術には、実際の環境及び交通状況中にモジュールが受ける機械的応力に応答できるようにするために、使用されるポリマ材料及び/又は複合材料を特別に選択することが必要である。さらに、前面板は光起電セルの反対側に位置付けなければならず、これによってこのようなデバイスの製造方法が複雑となる。
【0012】
しかしながら、これらの解決策は、衝撃及び/又は負荷に関するデバイスの機械的抵抗力に焦点を当てている。これらは、これらのデバイスが受ける気象条件を考慮していないか、又はほとんど考慮していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、通行可能な舗道に組み込むことができ、長期間にわたり持続可能である構造的完全性と機能的完全性を呈し、これがあらゆる気象/天候条件並びに考え得る全ての交通条件についても当てはまる、機能デバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明は、特に通行可能な舗道に組込み可能な機能デバイスを提案し、これは連続的に:
- デバイスの前面上に配置され、第一の材料で製作される、第一の保護板とも呼ばれる第一の保護膜と、
- 第二の材料で製作される第一の外側被包膜と、
- 第三の材料で製作される内側被包膜と、
- 第四の材料で製作される第二の外側被包膜と、
- デバイスの後面上に配置され、第五の材料で製作される、第二の保護板とも呼ばれる第二の保護膜と、
- 第一の外側被包膜、内側被包膜、及び第二の外側被包膜のうちの膜の1つであって、能動素子を被覆する膜と、
を含み、
第一の材料、第二の材料、第三の材料、第四の材料、及び第五の材料は、それぞれヤング率E、E、E、E、及びEと、それぞれ熱膨張率CTE、CTE、CTE、CTE、及びCTEを有し、
とEは同程度か又は同じであり、EとEは同程度か又は同じであり、
>E且つE<Eであり、有利には、E>E且つE<Eであり、
CTEとCTEは同程度か又は同じであり、CTEとCTEは同程度か又は同じであり、
CTE<CTE且つCTE>CTEであり、有利には、CTE<CTE且つCTE>CTEである。
【0015】
同程度とは、数値の差が30%以下、好ましくはそれらの差が20%以下、有利には10%以下であることを意味する。
【0016】
有利には、数値は同じである。
【0017】
ここで、及び以下において、特に別段のことわりがないかぎり、「下側」とは厳密に下側を意味し、「上側」とは厳密に上側を意味する。
【0018】
ここで、及び以下において、ヤング率及び熱膨張率の数値は、全て周囲温度(20~25℃)で与えられる。
【0019】
本発明が先行技術と基本的に異なるのは、特に、前述のような機能デバイスの異なる層の構成と性質である。デバイスの層は:
- 前面の第一の保護膜から外側被包層へ、及び有利には内側被包層へと減少し、その後、外側被包層から、及び有利には内側被包層から後面の第二の保護膜まで増加する、U字型のヤング率勾配と、
- 前面の第一の保護膜から外側被包層へ、及び有利には内側被包層へと増加し、その後、外側被包層から、及び有利には内側被包層から後面の第二の保護膜まで減少する、逆U字型の熱膨張率勾配と、
- 層のスタックの中央層(すなわち、内側被包膜)に関する対称又は準対称熱機械的特性(ヤング率E及び熱膨張率CTE)を呈し、すなわち一方で、第一の保護膜/第二の保護膜の組は同程度のE及びCTE値を示し、他方で、第一の外側被包膜/第二の外側被包膜の組は同程度のE及びCTE値を示す、積層体を形成する。
【0020】
保護膜及び外側被包膜のヤング率と熱膨張率の正確な値が何れであろうと、及び温度に関するそれらのばらつきがどの程度であろうと、それらの値が積層体の中央の層に関して対称又は準対称であることによって、受け得る応力もまた後面と前面との間で確実に対称となり、したがって相互に打ち消し合うことになる。
【0021】
このメカニズムはいっそう効率的であり、これは、最も高いヤング率を有する最も硬い材料が積層体の2つの外面に位置付けられるからであり、これらは前側保護板又は膜/後側保護板又は膜の組の、及び/又は第一の外側被包膜/第二の外側被包膜の組のヤング率及び熱膨張率の値が完全に同じでなくても、構造全体を保持する。熱機械的安定性が最も低く最も柔らかい材料(内側被包膜)は、積層体の中央に、したがって対称中心にある。それゆえ、これは積層体の変形の原因となる可能性はない。
【0022】
このような熱機械的特性を有する構成は平坦な外観を有し、これは広い温度範囲、特に-40℃~+85℃にわたり保持できる。この温度範囲には、道路がさらされる条件の全部又はほとんど全部が含まれる。高温差動膨張及び低温差動収縮による機械的変形は、最小化される。装置は、温度が変化しても変形しない。
【0023】
さらに、デバイスは連続的であり及び不連続ではない層を含み、これによって製造方法が単純化される。
【0024】
有利には、ヤング率E及びEは2GPaより高く、好ましくは5GPaより高く、さらにより好ましくは10GPaより高い。能動素子は、特に機械的衝撃又はデバイス上に重い負荷が存在する場合、特に通行可能な舗道への適用後に、機械的に保護される。非限定的な例として、機械的衝撃は、デバイスの後面の穿孔(下にある通行可能な舗道の凹凸による)、交通によるデバイスの前面の穿孔、前面への機械的衝撃(例えば、雹の衝撃又は物体の落下による)、交通による前面を通じたデバイスの圧縮、自重又は落体の存在、せん断であってよい。能動素子は劣化せず、その性能及び/又は機能は影響を受けないままである。特に、能動素子が光起電セルである場合、これによってそれらの破損が回避される。能動素子が発光ダイオード(LED)である場合、これによってそれらの劣化及びそれらの明るさの低減が回避される。
【0025】
有利には、ヤング率E及びEは100~800MPa、好ましくは150~750MPa、好ましくは200~600MPaである。
【0026】
有利には、ヤング率Eは5~150MPa、好ましくは5~100MPa、さらに有利には10~100MPa、又はさらには10~50MPaである。
【0027】
有利には、熱膨張率CTE及びCTEは200×10-6/K未満、好ましくは100×10-6/K未満、さらにより好ましくは50×10-6/K未満である。
【0028】
有利には、熱膨張率CTE及びCTEは200×10-6/K~700×10-6/K、好ましくは300×10-6/K~600×10-6/Kである。
【0029】
有利には、熱膨張率CTEは800×10-6/K~2000×10-6/K、好ましくは800×10-6/K~1400×10-6/Kである。
【0030】
有利には、第一の材料と第五の材料は同じか又は異なるファイバグラス/ポリマ複合材料である。
【0031】
有利には、第二の材料と第四の材料は同じか又は異なるイオノマである。
【0032】
有利には、能動素子は第一及び第二の保護膜によって、及び第一及び第二の外側被包膜によって、水分から、及び/又は道路環境中に通常存在する流体、例えば燃料、オイル、溶剤、及び/又は塩水から保護される。さらに、外側被包膜/内側被包膜界面は、水分子の浸入による構造的劣化の可能性から保護される。
【0033】
有利には、第三の材料は熱可塑性ポリオレフィン又は(メタ)クリレート樹脂である。この種の材料は、水分及び/又は道路環境中に存在する流体に関する能動素子の保護を強化する。
【0034】
有利には、第一の保護膜と第二の保護膜の厚さは0.25mm~3.0mm、好ましくは0.5mm~1.5mmである。
【0035】
有利には、第一の外側被包膜及び第二の外側被包膜の厚さは0.2mm~2.0mm、好ましくは0.25mm~2.0mm、さらに好ましくは0.25mm~1.0mmであり、有利には0.40mm~1mmである。
【0036】
有利には、内側被包膜の厚さは0.4mm~2.5mm、好ましくは0.4mm~2.0mm、有利には0.8mm~1.4mm、又はさらには0.8mm~1.6mmである。
【0037】
有利には、第一の保護膜と第一の外側被包膜との間、第一の外側被包膜と内側被包膜との間、内側被包膜と第二の被包膜との間、及び/又は第の外側被包膜と第二の保護膜との間の接着力は、できるだけ高い。強力な接着力によって、界面における剥離のリスクを最小化できる。
【0038】
有利には、能動素子は、機能素子とも呼ばれ、光起電、電気、電子、光、光電気、圧電、熱電、及び/又は無線通信素子である。特に、能動素子は光起電、電気、電子、光、光電気、圧電、及び/又は熱電素子である。特に、能動素子は光起電セル及び/又は発光ダイオード及び/又は有機発光ダイオード(OLED)である。
【0039】
能動素子は、第一の外側被包膜、内側被包膜、及び第二の外側被包膜のうちの膜の少なくとも1つで被覆される。各能動素子は、全体が1つの膜で被覆されることも、又は前記膜のうちの2つの間の界面にあることもできる。
【0040】
本発明のデバイスは、平らで湾曲せず、その上を歩行者、車、バイク、及び/又はトラックが低速及び/又は高速で通過する平坦な通行可能な舗道に組み込むことができる。さらに、デバイスは特定の程度の柔軟性を有し(すなわち、曲げても壊れず、能動コンポーネントが劣化しない)、それによって、典型的な距離1mにわたり5mmのオーダであり得るわずかな曲率を有する通行可能な舗道に適合可能となる。
【0041】
本発明はまた、その上に前述の機能デバイスが固定層を使って固定される通行可能な舗道を含む機能化された通行可能な舗道にも関し、機能デバイスの第一の板(すなわち、第一の保護膜)はコーティング層で被覆されて、歩行者及び/又は車両が通過できるようにされ、コーティング層は不透明ではなく、テクスチャ外面を有する。
【0042】
本発明はまた、機能化された通行可能な舗道の製造方法にも関し、
a)前述の機能デバイスを提供するステップと、
b)固定層を使って通行可能な舗道上に機能デバイスを固定するステップと、
c)機能デバイスの第一の保護膜の上にコーティング層を堆積させて、歩行者及び/又は車両が通過できるようにするステップであって、コーティング層は不透明ではなく、テクスチャ外面を有するステップと、
を含む。
【0043】
ステップb)及びc)の順序は逆でもよい。
【0044】
本発明のその他の特徴と利点は、以下のさらに詳しい説明から明らかとなるであろう。
【0045】
言うまでもなく、このさらに詳しい説明は本発明の主題の例として記されているにすぎず、この主題を限定するものとは一切解釈されるべきではない。
【0046】
本発明は、あくまでも非限定的な例として示されている例示的な実施形態の説明を下記のような添付の図面を参照しながら読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の特定の実施形態による機能デバイスの概略断面側面図である。
図2】機能化された通行可能な舗道に組み込まれた本発明の他の特定の実施形態による機能デバイスの概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図中に示される異なる部品は、図面をより見やすくするために、一貫して縮尺によっているとは限らない。
【0049】
異なる可能性(代替案及び実施形態)は相互に排他的ではない理解しなければならず、相互に組み合わせることができる。
【0050】
以下、説明は光起電セル110、を含む機能デバイス100に関しているが、本発明は、電気、電子、光、光電気、圧電、熱電、及び/又は無線通信能動素子110を含む何れのデバイスにも応用可能である。
【0051】
通行可能なエリアに組み込まれた機能デバイス100
通行可能な領域200に組み込まれた機能デバイス100を示す図1及び2を参照されたい。デバイス100は連続的に:
- デバイス100の前面上に配置され、第一の厚さeを有し、第一のヤング率Eと第一の熱膨張率CTEを有する第一の材料で製作される、第一の保護膜101とも呼ばれる第一の板と、
- 第二の厚さeを有し、第二のヤング率Eと第二の熱膨張率CTEを有する第二の材料で製作される第一の外側被包膜102と、
- 光起電セル110を被覆する内側被包膜103であって、第三の厚さeを有し、第三のヤング率E及び第三の熱膨張率CTEを有する第三の材料で製作される内側被包膜103と、
- 第四の厚さeを有し、第四のヤング率Eと第四の熱膨張率CTEを有する第四の材料で製作される第二の外側被包膜104と、
- デバイスの後面上に配置され、第五の厚さeを有し、第五のヤング率Eと第五の熱膨張率CTEを有する第五の材料で製作される、第二の保護膜105とも呼ばれる第二の板と、
を含む。
【0052】
第一の板101及び第二の板105
第一の板101と第二の板105は、デバイスのうち外部環境と直接接触する要素である。
【0053】
第一の板101と第二の板105は、高いヤング率を有する材料で製作される要素である。好ましくは、これらのヤング率Eは2GPaより高く、有利には5GPaより高く、さらにより有利には10GPaより高い。ヤング率は、少なくとも機能デバイスの動作温度範囲全体(-40℃~+85℃)にわたり高いままである。この高い硬さによって、高い表面粗さを有する支持体に適用されたときに、モジュールの前面を通じた、又は後面を通じた、光起電セル110の穿孔、すなわち光起電セル110の亀裂及び/又は破損の出現を減少させ、又はさらには防止できる。
【0054】
第一の板101と第二の板105は、高い機械的硬さを有し、あまり変形可能ではなく、耐衝撃性を有する。
【0055】
第一の板101と第二の板105は、低い熱膨張率を有する材料で製作される。好ましくは、これらの熱膨張率CTEは200×10-6/K未満であり、有利には100×10-6/K未満であり、さらにより有利には50×10-6/K未満である。これらは温度変化時に高い寸法安定性を有する。
【0056】
両方の板101及び105における高いヤング率Eと低い熱膨張率CTEの組合せにより、デバイスの熱機械的安定性が提供される。
【0057】
好ましくは、第一の板101と第二の板105のヤング率は10GPaより高く、それらの熱膨張率は50×10-6/K未満である。
【0058】
有利には、熱の効果を受けて他方より大きく膨張する、及び/又は冷却の効果を受けた他方より大きく収縮する材料を使用しないようにするために、したがって、アセンブリ内に不均一な機械的応力を誘導しないようにするために、第一の板101と第二の板105には、できるだけ最も近い数値のヤング率(E)及び熱膨張率CTEを有する材料が使用される。「最も近い」とは、これらの数値の差が最大で0~30%、好ましくは0~20%、さらに好ましくは0~10%であり、有利にはこれらと同じであることを意味する。
【0059】
両方の保護板(又は膜)101、105は外部環境と接触するため、これらはまた、外部の影響(特に水分)に対するバリアの役割も果たすことができる。これらは有利には、以下の追加の特性を有する:
- HO浸透に対する高い抵抗力、
- HO分子による構造の劣化に対する固有の安定性、
- 化学的流体への暴露に対する高い抵抗力。
【0060】
例えば、第一の板101及び第二の板105は、できるだけ低い水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)を有する材料で製作される。
【0061】
有利には、第一の板101及び第二の板105は、熱機械的パラメータE及びCTEの緊急(exigences)にだけでも応答するために、50~70質量%のガラスを含む材料で製作される。
【0062】
例えば、第一の板101と第二の板105は、ファイバグラスと樹脂の複合材料又はグラスファイバとポリマの複合材料で製作される。例えば、これはエポキシ又はアクリル樹脂、熱可塑性ポリマ、例えば熱可塑性ポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)、イオノマ、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、(メタ)クリレート、ポリカーボネート、フルオロポリマ又は、ポリエチレンテレフタレート(PET又はPETG)等のポリエステルである。
【0063】
グラスファイバは有利には、材料の50~70質量%、好ましくは55~65質量%を占める。これらは織布(一方向又は両方向)又は不織布とすることができる。
【0064】
複合材料の機械的安定性により、被包材料の硬化又は軟化を考慮して、低温(最低-40℃)及び高温(最高+85℃)での能動素子の機械的保護が提供される。
【0065】
第一及び第二の板の材料は、これらがE及びCTEの点で同様のままであれば、相互に異なるものとすることができる。
【0066】
有利には、第一及び第二の板の材料は同じである。
【0067】
第一の板101及び第二の板105の厚さは0.25~3.0mm、有利には、0.5~1.5mmである。
【0068】
第一の板101と第二の板105は、同じ厚さでも異なる厚さでも有することができるが、同程度のままであることもできる。有利には、これらは同じ厚さを有する。
【0069】
前面の第一の板101は、光起電セルの能動面に面しており、太陽放射が通過できるように透明である。「透明」とは、それが入射光の70%超、好ましくは可視スペクトルの少なくとも80%を透過させることを意味する。
【0070】
後面上に位置付けられた第二の板105は不透明とすることも、透明とすることもできる。
【0071】
第一の外側被包膜102及び第二の外側被包膜104
第一の外側被包膜102と第二の外側被包膜104は、中程度のヤング率、好ましくは100~800MPa、より好ましくは150~750MPa、より好ましくは200~600MPaを有する材料で製作される。
【0072】
外側被包膜102、104は、中程度の機械的硬さを有し、中程度の変形可能性と耐衝撃性を有する。
【0073】
これらは中程度の熱膨張率、200×10-6/K~700×10-6/K、有利には300×10-6/K~600×10-6/Kを有する材料で製作される。これらは温度変化の下での中程度の寸法安定性を有する。
【0074】
中程度のヤング率Eと中程度の熱膨張率との組合せにより、保護板(又は膜)により得られる第一の上下対称の安定化動作が強化され、これはデバイスの熱機械的安定性を提供する。外側被包膜102、104の材料は、これらがE及びCTEの点で同程度のままであるかぎり、相互に異なっていてもよい。有利には、外側被包膜102、104は、500MPaのオーダのEと400×10-6/KのオーダのCTEを有する。
【0075】
有利には、外側被包膜の材料は同じである。
【0076】
外側被包膜102、104は、有利には、外部の影響に関する(特に水分に関する)保護板(又は膜)材料のバリア機能を強化することが可能な材料で製作される。
【0077】
例えば、外側被包膜102、104はポリマ、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンプロピレン(EPDM)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリオレフィン、イオノマ、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、フルオロポリマ、又はポリエチレンテレフタレート(PET又はPETG)等のポリエステルのホモポリマ又はコポリマで製作される。好ましくは、これはイオノマである。
【0078】
第一の外側被包膜102と第二の外側被包膜104の厚さは0.2mm~2.0mm、好ましくは0.25mm~2.0mm、有利には0.4mm~1.0mm、さらに有利には0.25mm~0.75mmである。
【0079】
有利には、これらは同じ厚さを有する。
【0080】
内側被包膜103
内側被包膜103の材料は低ヤング率を有し、外側被包膜のそれより低い。そのヤング率Eは5~150MPa、好ましくは5~100MPa、有利には10~100MPa、さらにより有利には10~50MPaである。内側被包膜は低い機械的硬さと、機械的応力と衝撃を吸収できるようにするために良好な変形可能性を有する。構造全体の機械的安定性はその積層体の他の層により提供される。
【0081】
内側被包膜103の材料は高い熱膨張率、好ましくは800~2000×10-6/K、さらにより好ましくは800~1400×10-6/Kを有する。
【0082】
好ましくは、材料はE≒20MPa及びCTE≒900×10-6/Kにより特徴付けられる。
【0083】
内側被包膜103は、例えば光起電の分野で現在使用されている被包材である。
【0084】
これはポリマ材料、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンプロピレン(EPDM)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリオレフィン、イオノマ、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、フルオロポリマ、又はポリエチレンテレフタレート(PET又はPETG)等のポリエステルのホモポリマ又はコポリマで製作され得る。これはまた、(メタ)クリレートタイプの樹脂、又は熱若しくは光化学的に架橋可能なシリコンであってもよい。好ましくは、それは熱可塑性ポリオレフィン(TPO)である。
【0085】
内側被包膜103の厚さは0.4~2.5mm、特に0.4mm~2.0mm、有利には0.8mm~1.4mm、特に0.8~1.6mmである。
【0086】
有利には、内側被包膜103はHO浸透に対する高い抵抗力、HO分子による構造的劣化に対する高い固有の安定性のほか、化学的流体への暴露に対する高い抵抗力を有することができる。
【0087】
有利には、異なる材料の水分浸透に対する抵抗力は、内側被包膜103から前面及び後面上の保護板(又は膜)101及び105に向かって増大する。
【0088】
能動素子110
機能デバイス100は、少なくとも1つの能動素子110と、好ましくは、同じ機能性又は異なる機能性の幾つかの能動素子110を含む。
【0089】
第一の代替案によれば、能動素子110は好ましくは、内側被包膜103と第二の外側被包膜104との間に配置される(図2に示される)。
【0090】
代替案として、能動素子110は内側被包膜103と第一の外側被包膜102との間に配置される。
【0091】
好ましくは、能動素子110は内側被包膜103によって完全に被覆され、中央に位置付けられる(図1に示される)。
【0092】
他の代替案として、能動素子はまた、第二の保護板105と接触する第二の外側被包膜104で被覆されることもできる。
【0093】
積層体の中央において、能動素子は内側被包膜103の中央に位置付けられなくてもよい。これは積層体の熱機械的安定性を妨害せず、これは後者が第一の保護板101/第二の保護板105及び第一の外側被包膜102/第二の外側被包膜104のペアによって提供されるからであり、これは構造を保持する。
【0094】
能動素子110は例えば光起電セルである。これらは例えば、単結晶、多結晶、又は「単結晶様」シリコンとも呼ばれる擬単結晶シリコンに基づく。これらはP型又はN型シリコンとすることができる。セルは例えば、薄板の形態である。それらの厚さは、有利には、100~240μm、例えば約180~200μmである。各セルの大きさは、光起電分野で使用される各種の国際標準、例えばM0又はM2標準の1つに適合させることができる。このタイプのシリコン型セルの場合、光起電変換効率は典型的に16.0%~25.0%である。セルは、「従来型の」又は「従来型から得られる」構造を有していてよく、これらは例えばAlu-BSF(“Aluminum-Back Surface Field”)、PERC(“Passivated Emitter Rear Cell”)、PERT“Passivated Emitter,Rear Totally Diffused”)、又は代替型、例えばSi-ヘテロジャンクション、IBC(“Interdigitated Back Contact”)又はマルチジャンクションセル等である。セルはモジュール表面の内側に配置され、導電体により相互接続される。
【0095】
セルは、横並びに配置でき、有利には、規則的に離間される。2つの隣接する光起電セル間の間隔は、1mm以上、好ましくは3mm以上とすることができる。2つの検討対象の隣接する光起電セルは、同じシリーズ(「ストリング」という用語でも呼ばれる)の2つの隣接するセル又は、それぞれ2つの光起電セル「ストリング」に属する2つの隣接するセルであってもよい。
【0096】
光起電セルは一般に、相互に、光起電セルにより生成された電気を収集するための導電性金属接続手段によって相互接続される。導電性コネクタは、セル金属化のコネクタ(又はバスバー)に取り付けられる金属接続手段とすることができ、例えばこれらは銅リボン又はワイヤである。相互接続リボンの数は典型的に2~6である。光起電セルとコネクタにより形成される群は、相互接続される光起電セルの骨格を形成する。
【0097】
上述の積層体は、能動素子110を取り囲む5つの層101、102、103、104、105からなる。代替案として、積層体は偶数の追加の層、例えば2又は4の追加の層を含むこともできる。追加の層は、2つずつが、中央の層に関する対称又は準対称の熱機械特性もまた有するように、選択される。代替的に、追加の層は、内部被包膜の何れかの側の熱機械特性Eの勾配(U字型勾配)とCTEの勾配(逆U字型勾配)に組み込まれる。
【0098】
ヤング率Eと熱膨張率CTEに適用される対称と勾配の原理は、他の材料パラメータ、例えば厚さにも適用でき、これは全体的な熱機械的安定性をさらに高める有利な効果を有する。
【0099】
保護板又は膜101、105、外側被包膜102、104、及び内側被包膜103の材料及び/又は厚さは、材料の重要なパラメータが積層体の寸法、熱機械的、及び生理化学的安定性に関して好ましく、有利な方法で対称に変化する積層体が得られるように選択される。
【0100】
積層体は平坦であり、湾曲していないが、特定の程度の柔軟性を有し、それによって平坦な、又はわずかに湾曲した通行可能な舗道に適合できる。
【0101】
機能デバイス100の製造方法
第一の代替案として、内側被包膜103は、前述のポリマ材料の1層又は複数の層から得られる。
【0102】
製造方法は、以下の連続的ステップを含む:
- 積層体を構成する異なる層を、アセンブリを形成するように積み重ねるステップと、
- アセンブリを積層するステップ。
【0103】
積層ステップ(ローリングステップとも呼ばれる)により、ポリマ材料を溶融させて、架橋又は重合させるだけでなく、構造全体を構成する全ての層及び能動素子を一体に接着させることかできる。
【0104】
各被包膜102、103、及び104のほか、保護板又は膜101及び105は、積層ステップの後に各膜又は板について所望の厚さが得られるようにするために、同じ材料の1層又は複数の積層から得ることができる。
【0105】
積層ステップは、積層装置(ローリングミルとも呼ばれる)を使って実行され、これはメンブレンプレスであってよい。
【0106】
積層方法は、高温状態で、真空及び機械的圧力下で行われる。積層温度は120℃~200℃、有利には、140℃~180℃であり、加工時間は調整可能である。
【0107】
選択された材料の性質に応じて、1つ又は複数の積層ステップを実行することができる。
【0108】
第二の代替案として、内側被包膜103は、当初の重合可能な液体の形態の被包材から得られ、これは光起電モジュールの形成作業中に、重合又はさらには架橋によって、柔軟なゴムの中実材料に変換されることができ、及びセルを保護し、アセンブリの接着又は結合を確実にする。
【0109】
機能デバイス100の通行可能領域200への統合
機能デバイス100は、通行可能な舗道の表面に、自動及び/又は非自動の何れかのローリング交通手段及び/又は歩行者のために組み込まれ得る。
【0110】
通行可能な舗道200は、様々な材料から、及び様々な硬さで製作されてよい。通行可能領域200は、有利には、交通の通過に対応する応力が加えられたときに、機能デバイス100より変形しないようにするのに十分に硬質である。例えば、これは舗装タイプのアスファルト表面に対応する。
【0111】
機能デバイス100は、有利には、下の舗装構造に固定層120によって固定される。有利には、通行可能な舗道200は表面粗さを示す可能性があるため、固定層120の使用により、機能デバイス100の後面と接触する舗装面の平滑化を可能にすることができ、これは後面を通じた光起電セル110の穿孔のリスクを制限し、又はさらには回避する。
【0112】
固定層120は接着剤を含むことができ、これは例えばエポキシ、アクリル、又はポリウレタン接着剤等である。
【0113】
固定層120は、おそらくスチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)等のポリマの添加により強化された、高温状態又はエマルジョンの瀝青質バインダを含むことができる。
【0114】
ある実施形態によれば、固定層120は通行可能な舗道の表面に直接塗布され、薄膜として広げられ、その後、機能デバイス100がその上に堆積されるが、接着剤は硬化されず、又は瀝青質バインダは依然として粘性があり、べたべたしている。代替案として、固定層120は積層体100の上に、より詳しくは積層体100の第二の板105の上に堆積させることができる。
【0115】
いわゆるローリング層130は、コーティング層又は通行界面層とも呼ばれ、デバイス100の前面の表面に適用して、特に歩行者及び/又は車両が滑り止め表面上を通過できるようにする。1つ又は複数の通行コーティング層130を適用できる。
【0116】
コーティング層130は、道路及び舗道面の通常の接着基準を満たす。任意選択により、このローリング層はまた、デバイス100、又はさらにはデバイス100の内部の能動素子110の保護にも寄与できる。
【0117】
コーティング層130はデバイス100の前面に適用され、コーティング層は不透明ではなく、すなわち透明又は半透明であり、滑り止めとなるような方法でテクスチャが付けられた外面、好ましくは規則的に、又は好ましくは不規則的に、マクロテクスチャ及びマイクロテクスチャが設けられた外面を有し、標準NF-EN 13036-1に従って測定された平均テクスチャ深さMTDは理想的には0.2mm~3mmであり、標準NF EN 13043によるPSV(“Polished Stone Value”)は少なくともPSV44、よりよくはPSV50、さらによりよくはPSV53である。「不規則的に」とは、コーティング層130のレリーフが全て同じ形状でも同じ大きさでもあるとは限らないことを意味する。有利には、コーティング層130の平均テクスチャ深さMTDは少なくとも0.30mm、よりよくは少なくとも0.6mmとすることができる。
【0118】
代替案として、テクスチャリングはその製造方法中にデバイス100の前面に、特に第一の板又は第一の保護膜101に統合できる。
【0119】
コーティング層130は、有利には、道路及び通行可能表面のコーティングのテクスチャを再現する外面を有することができる。
【0120】
コーティング層130は、有利には、可視波長スペクトルにおいて50%より高い、好ましくは80%より高い、さらに好ましくは90%より高いと透過率を有する。
【0121】
コーティング層130は例えば、標準NF EN 12591において定義されている瀝青質バインダとすることができる。
【0122】
コーティング層130はまた、合成又は植物由来のバインダとすることができ、バインダは好ましくは有機性、優先的にはポリマ性、例えばアクリル、エポキシ、又はポリウレタン樹脂である。
【0123】
規則的又は不規則的テクスチャリングレリーフは、コーティング層の内部又は表面に配置された適当な形状、大きさ、並びに機械的及び光学的特性を有する、少なくとも部分的に非不透明、すなわち透明又は半透明のテクスチャリング要素から得ることができる。これらのテクスチャリング要素は、較正済み又は未較正の、有機又は鉱物材料、例えばポリカーボネート、ガラス、又は酸化アルミニウムの球体若しくは粒体又はこれらの混合物とすることができる。これらの大きさは、0.1mm~10mm、よりよくは0.4~4mm、さらによりよくは0.9~1.4mmとすることができる。
【0124】
実施形態の例示的で非限定的な例
この例において、デバイスは、積層体を構成する異なる層を積み重ね、積層することによって得られる。積層体は、前面から後面へと:
- エポキシ系樹脂を予め含侵させた複屈折ファイバグラスファブリックを含み、ファイバグラス含有量が50~70質量%の複合材料から製作される、厚さ0.25~3.0mm、有利には0.5~1.5mm第一の板101と、
- イオノマで製作される、厚さ0.2mm~2.0mm、好ましくは0.25mm~1.0mm、特に.25mm~0.75mm、有利には0.4mm~1.0mmの第一の外側被包膜と、
- 熱可塑性ポリオレフィンで製作される、厚さ0.4mm~2.5mm、好ましくは0.4mm~2.0mm、有利には0.8mm~1.6mm、例えば0.8mm~1.4mmの内側被包膜と、
- 結晶シリコンウェハに基づく光起電セルと、
- イオノマで製作される、厚さ0.2mm~2.0mm、好ましくは0.25mm~1.0mm、有利には0.4~1.0mm、又はさらには0.25mm~0.75mmと、第一の外側被包膜と同じ厚さである第二の外側被包膜と、
- ファイバグラスの含有量が50~70質量%の複合複屈折ファイバグラス/PETGポリマ複合材料で製作される、厚さ0.25~3.0mm、有利には0.5~1.5mmの第二の板と、
を含む。
【0125】
異なる層がガラス板上に積層され、その後、真空及び機械的圧力下でホットラミネートされる。
【0126】
積層体は、エポキシ、ポリウレタン、瀝青質接着剤又はその他によって、1kg/m以上のオーダの量で通行可能な領域に固定できる。
図1
図2