(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】複数の空のガラス容器を検査するためのライン
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20240826BHJP
G01B 15/02 20060101ALI20240826BHJP
G01B 15/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G01N21/90 A
G01B15/02 A
G01B15/00 A
(21)【出願番号】P 2021564280
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(86)【国際出願番号】 FR2020050679
(87)【国際公開番号】W WO2020221975
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-01-30
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509083201
【氏名又は名称】ティアマ
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】コル,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】コノー,ローラン
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-169596(JP,A)
【文献】特開2000-055827(JP,A)
【文献】特開2000-193607(JP,A)
【文献】特開2014-084224(JP,A)
【文献】登録実用新案第3089963(JP,U)
【文献】国際公開第2012/043618(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01N 23/00-G01N 23/2276
G01B 11/00-G01B 11/30
G01B 15/00-G01B 15/08
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1シリーズの複数の空のガラス容器(2)を検査するためのラインであって、前記シリーズの各容器は、内表面(SI)及び外表面(SE)によって境界が定められた壁を有し、中心軸(A2)を持ち、かつ、前記中心軸に沿って上から下にかけて、
リング(6)を末端とするネック(5)、前記中心軸に垂直であり前記容器の上部平面(Psup)を定義する上部面、
ショルダー(4’)、
本体(4)、
及び前記中心軸に垂直であり前記容器の下部平面(Pinf)を定義する容器底部(3)、
を構成し、
前記検査ライン(100)は、前記複数の容器の少なくとも1つの接触領域との接触によって、移動軌道(T)に沿った前記複数の容器の輸送を確保する輸送装置(11,112,113,114)を含み、前記複数の容器は、前記移動軌道(T)に沿って延びた搬送体積(Vt)を通って走行し、
前記検査ラインは複数の設備を備え、各設備は、前記移動軌道(T)に沿って互いに別個のステーションに配列されており、
a)リング検査ステーションでは、リング検査設備(200)は、複数の光線によって、前記複数の容器の前記ネック(5)における亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能であり、前記設備(200)は、
a1)前記リング検査設備の検査区域と、ここで、検査されるために前記検査区域に容器の前記ネックを位置付ける必要があり、前記区域は、検査下の前記容器の前記上部平面と一致することを目的としている上部基準平面(Prefh)を含み、かつ、検査下の前記容器の位置について前記容器の中心軸(A2)と一致することを目的としている基準軸(A200)を含み、
a2)前記設備の前記検査区域において、前記複数の容器の前記中心軸に垂直な水平搬送平面(Pc)における、前記移動軌道(T)の直線部分に沿った前記複数の容器の輸送を確保する前記輸送装置(11)のセクション(112)と、
a3)複数の指向性光エミッタ(201,202,...,20n
)と、ここで、前記検査区域が前記上部基準平面への投射において多数の異なる方位角で複数の指向性光ビームによって照らされるように、前記複数の指向性光エミッタは、前記設備の前記基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各指向性光エミッタは、前記設備の前記検査区域の方向において、それに特有のビーム軸(A201,A202,・・・,A20n)に沿った指向性光ビームを伝達し、
a4)複数の光受信機(211,212,・・・,21n)と、ここで、前記複数の光受信機は、前記設備の前記基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各光受信機は、視軸(A211,A212,・・・,A21n)及びこの視軸の周りに視野角(AV211,・・・)を有し、
a5)関連付けられた前記基準平面のいずれかの側に配列された複数の光学素子と、ここで、これらの光学素子は、前記設備の複数の光エミッタ又は前記設備の複数の光受信機のいずれかに属するが、すべて前記搬送体積の外側にあり、
を含み、
b)底部検査ステーションでは、底部検査設備(300)は、複数の光線によって、前記複数の容器の前記底部(3)における亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能であり、前記設備(300)は、
b1)前記底部検査設備の検査区域と、ここで、検査されるために前記検査区域に容器の前記底部を位置付ける必要があり、前記区域は、検査下の前記容器の前記下部平面と一致することを目的としている下部基準平面(Prefb)を含み、かつ、検査下の前記容器の位置について前記容器の前記中心軸と一致することを目的としている基準軸(A300)を含み、
b2)前記設備の前記検査区域において、前記複数の容器の前記中心軸に垂直な水平搬送平面(Pc)における、前記移動軌道(T)の直線部分に沿った前記複数の容器の輸送を確保する前記輸送装置(11)のセクション(113)と、
b3)複数の指向性光エミッタ(301,302,...,30n
)と、ここで、前記検査区域が前記下部基準平面への投射において多数の異なる方位角で複数の指向性光ビームによって照らされるように、前記複数の指向性光エミッタは、前記設備の前記基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各指向性光エミッタは、前記設備の前記検査区域の方向において、それに特有のビーム軸(A301,A302,・・・,A30n)に沿った指向性光ビームを伝達し、
b4)複数の感光性受信機(311,312,・・・,31n)と、ここで、前記複数の感光性受信機は、前記設備の前記基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各感光性受信機は、視軸(A311,A312,・・・,A31n)及びこの視軸の周りに視野角(AV311)を有し、
b5)関連付けられた前記下部基準平面のいずれかの側に配列された複数の光学素子と、ここで、これらの光学素子は、前記設備の複数の光エミッタ又は前記設備の複数の光受信機のいずれかに属するが、すべて前記搬送体積の外側にあり、
を含み、
c)放射線撮影測定ステーションでは、放射線撮影設備(400)は、前記複数の容器の少なくとも1つの検査対象領域の複数の直線寸法を自動的に測定することが可能であり、前記設備は、
c1)通過された前記体積(Vt)の外側に配置させたX線発生管(12)の少なくとも1つの焦点(Fj)と、ここで、前記X線発生管(12)は、前記容器の前記ネックの一部及び/又は前記本体の一部を少なくとも含む少なくとも1つの検査対象領域を通り抜けるように向けられた発散X線ビームを生成し、
c2)前記設備の前記検査区域において、前記複数の容器の前記中心軸に垂直な水平搬送平面(Pc)における、前記移動軌道(T)の直線部分に沿った前記複数の容器の輸送を確保する前記輸送装置(11)のセクション(114)と、
c3)1つ又は複数の放射線イメージセンサ(Ci)と、ここで、前記1つ又は複数の放射線イメージセンサ(Ci)は、焦点(Fj)に由来する複数のX線を受け取るように、前記搬送体積(Vt)の外側に位置しており、1つ又は複数の前記焦点(Fj)及び前記複数の放射線イメージセンサ(Ci)は、前記容器がこれらのX線を通り抜けるとき、各イメージセンサが、前記焦点(Fj)に由来する複数のX線による前記検査対象領域の放射線投射を受け取るように配置されており、これらの放射線投射の放射線投射方向は互いに異なっており、
c4)移動中の各容器について、前記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像を取得するように、前記複数の放射線イメージセンサ(Ci)に接続された取得システムと、ここで、前記少なくとも3つの放射線画像は、異なる放射線投射方向を有する、前記検査対象領域の少なくとも3つの放射線投射から得られ、
c5)少なくとも前記3つの異なる放射線投射に由来する、前記少なくとも3つの放射線画像を分析して、放射線投射方向(Dji)に直交しない平面における前記ネックの少なくとも1つの内直径、及び/又は放射線投射方向(Dji)に直交しない平面における前記本体壁の少なくとも1つの厚さを特定するコンピュータシステムと、
を有する、
ことを特徴とする検査ライン。
【請求項2】
ショルダー及び/又は本体検査ステーションに、前記リング検査ステーション、前記底部検査ステーション、及び前記放射線撮影測定ステーションとは異なる、複数の光線によって、前記複数の容器のショルダー及び/又は本体における亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能なショルダー及び/又は本体検査設備(500)を含み、前記設備(500)は、
d1)前記ショルダー及び/又は本体検査設備の検査区域と、ここで、検査されるために前記検査区域に容器の前記ショルダー及び/又は本体を位置付ける必要があり、前記区域は、検査下の前記容器の前記ショルダー及び/又は前記本体を仕切ることを目的としている中間基準平面を含み、かつ、検査下の前記容器の位置について前記容器の前記中心軸と一致することを目的としている基準軸(A500)を含み、
d2)前記設備の前記検査区域において、前記複数の容器の前記中心軸に垂直な水平搬送平面(Pc)における、前記移動軌道(T)の直線部分に沿った前記複数の容器の輸送を確保する前記輸送装置(11)のセクションと、
d3)複数の指向性光エミッ
タと、ここで、前記検査区域が前記中間基準平面への投射において多数の異なる方位角で複数の指向性光ビームによって照らされるように、前記複数の指向性光エミッタは、前記設備の前記基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各指向性光エミッタは、前記設備の前記検査区域の方向において、それに特有のビーム軸に沿った指向性光ビームを伝達し、
d4)複数の光受信機と、ここで、前記複数の光受信機は、前記設備の前記基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各光受信機は、視軸及びこの視軸の周りに視野角を有し、
d5)前記中間基準平面のいずれかの側に配列された複数の光学素子と、ここで、これらの光学素子は、前記設備の複数の光エミッタ又は前記設備の複数の光受信機のいずれかに属するが、すべて前記搬送体積の外側にあり、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査ライン。
【請求項3】
前記リング検査設備(200)、前記底部検査設備(300)、及び前記放射線撮影測定設備(400)の前記検査区域のそれぞれにおいて、前記輸送装置(11)は、前記設備の前記検査区域において、前記複数の容器の中心軸(A2)を中心とする制御された回転なしで、前記移動軌道に沿った前記複数の容器の輸送を確保する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査ライン。
【請求項4】
前記リング検査設備(200)、前記底部検査設備(300)、及び前記放射線撮影測定設備(400)の前記検査区域のそれぞれにおいて、前記輸送装置(11)は、前記設備の前記検査区域において、前記複数の容器が中心軸(A2)を中心とする回転静止状態にあるように、前記移動軌道に沿った前記複数の容器の輸送を確保する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項5】
前記リング検査設備(200)、前記底部検査設備(300)、及び前記放射線撮影測定設備(400)のそれぞれの間で、前記輸送装置(11)は、前記複数の容器の中心軸(A2)を中心とする制御された回転なしで、前記移動軌道に沿った前記複数の容器の輸送を確保する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項6】
前記輸送装置(11)は、前記ステーションのそれぞれで、容器と接触しながら前記ステーションを通る各容器(2)の輸送を確保する前記輸送装置の関連付けられた搬送セクション(112,113,114)によって構成され、かつ、前記リング検査ステーション、前記底部検査ステーション、及び前記放射線撮影測定ステーションにそれぞれ関連付けられた前記搬送セクションのうちの1つは、前記複数の容器の第1の接触領域との接触を確保し、一方、前記リング検査ステーション、前記底部検査ステーション、及び前記放射線撮影測定ステーションにそれぞれ関連付けられた別の前記搬送セクションは、前記第1の接触領域とは異なる、前記複数の容器の第2の接触領域との接触を確保する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項7】
各ステーションにおいて、前記複数の容器と、このステーションに関連付けられている前記輸送装置(11)の前記セクションとの前記接触領域は、このステーションでの前記複数の容器の前記検査対象区域とは異なる、ことを特徴とする請求項6に記載の検査ライン。
【請求項8】
前記リング検査設備(200)、前記底部検査設備(300)、及び前記放射線撮影測定設備(400)のそれぞれにおいて、前記輸送装置(11)は、垂直方向の移動なしで前記複数の容器の輸送を確保する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項9】
前記輸送装置(11)は、前記複数の容器(2)が、前記リング検査ステーション、前記底部検査ステーション、及び前記放射線撮影測定ステーションの3つのステーションで前記検査ライン(100)における垂直方向の移動なしで輸送され、かつ、前記リング検査ステーション、前記底部検査ステーション、及び前記放射線撮影測定ステーションの間でも前記検査ライン(100)における垂直方向の移動なしで輸送されることを確保する、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項10】
前記複数の容器(2)は、前記リング検査ステーション、前記底部検査ステーション、及び前記放射線撮影測定ステーションの3つのステーションで自身の中心軸(A2)を中心とする制御された回転なしで輸送され、かつ、前記リング検査ステーション、前記底部検査ステーション、及び前記放射線撮影測定の間でも自身の中心軸(A2)を中心とする制御された回転なしで輸送される、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項11】
前記リング検査設備(200)は、前記搬送体積(Vt)の外側であるが、前記上部基準平面(Prefh)よりも上に配列された複数の指向性光エミッタ(201,202,・・・,20n)の複数の光学素子と、前記上部基準平面(Prefh)よりも下に配列された複数の光エミッタ(201,202,・・・,20n)の複数の光学素子とを含む、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項12】
前記リング検査設備(200)は、前記搬送体積(Vt)の外側であるが、前記上部基準平面(Prefh)よりも上に配列された複数の光受信機(211,212,・・・,21n)の複数の光学素子と、前記上部基準平面(Prefh)よりも下に配列された複数の光受信機(211,212,・・・,21n)の複数の光学素子とを含む、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項13】
前記底部検査設備(300)は、前記搬送体積(Vt)の外側であるが、前記下部基準平面(Prefb)よりも下に配列された複数の指向性光エミッタ(301,302,・・・,30n)の複数の光学素子と、前記下部基準平面(Prefb)よりも上に配列された複数の指向性光エミッタ(301,302,・・・,30n)の複数の光学素子とを含む、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項14】
前記底部検査設備(300)は、前記搬送体積(Vt)の外側であるが、前記下部基準平面(Prefb)よりも下に配列された複数の光受信機(311,312,・・・,31n)の複数の光学素子と、前記下部基準平面(Prefb)よりも上に配列された複数の光受信機(311,312,...,31n)の複数の光学素子とを含む、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項15】
前記検査設備(200,300)は、前記検査区域が前記基準平面(Prefh,Prefb)に対して多数の異なる仰角で複数の指向性光ビームによって照らされるように分布された複数の指向性光エミッタ(201,202,・・・,20n,301,302,・・・,30n)を含む、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項16】
前記シリーズの複数の容
器の各容器(2)は、固有の識別子を持ち、かつ、前記検査ライン(100)は、前記検査ラインによって検査された前記複数の容器の前記固有の識別子の少なくとも1つの読取機を含むとともに、コンピュータシステム(600)を含み、前記コンピュータシステムは、
前記リング検査設備(200)から、検査された前記容器についての少なくとも1つのリング検査情報と、
前記底部検査設備(300)から、検査された前記容器についての少なくとも1つの底部検査情報と、
前記放射線撮影測定設備(400)から、検査された前記容器についての少なくとも1つの直線寸法測定値と、
を受け取り、
前記検査ラインの前記コンピュータシステム(600)は、容器(2)の前記固有の識別子、検査された前記容器についての、前記少なくとも1つのリング検査情報、前記少なくとも1つの底部検査情報、及び前記少なくとも1つの測定値にリンクするコンピュータレポートを作成するように、かつ、このコンピュータレポートを電子メモリに保存するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項17】
前記検査ライン(100)の前記コンピュータシステム(600)は、前記ショルダー及び/又は本体検査設備(500)から、前記コンピュータレポートにおける他の情報に関連する、検査された前記容器についての少なくとも1つのショルダー及び/又は本体検査情報を受け取る、ことを特徴とする、請求項2と組み合わせられた、請求項16に記載の検査ライン。
【請求項18】
前記検査ライン(100)の前記コンピュータシステム(600)は、前記シリーズの複数の容器のグループの複数の前記コンピュータレポートに対してコンピュータ処理を行うように構成されている、ことを特徴とする請求項16又は17に記載の検査ライン。
【請求項19】
前記検査ライン(100)の前記コンピュータシステム(600)は、前記シリーズの複数の容器のグループの複数の前記コンピュータレポートに対するコンピュータ処理に基づいて、前記複数の容器の生産のパラメータに対する修正動作を制御するように構成されている、ことを特徴とする請求項16から18のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項20】
前記ネックの少なくとも1つの内直径及び/又は前記本体壁の少なくとも1つの厚さの特定は、各容器についての、前記容器の前記検査対象領域のデジタル幾何モデルの構築を含む、ことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の検査ライン。
【請求項21】
前記デジタル幾何モデルは、前記少なくとも3つの放射線画像から計算された、複数の点のセットの三次元座標を含み、複数の点のこのセットは、前記容器の前記壁の前記内表面及び/又は前記外表面に属し、放射線投射方向(Dji)に直交しない平面に配置された少なくとも2つの点を有し、かつ、前記ネックの前記少なくとも1つの内直径、及び/又は測定された前記本体の前記壁の前記少なくとも1つの厚さは、放射線投射方向(Dji)に直交しない平面における前記デジタル幾何モデル上で測定される、ことを特徴とする請求項20に記載の検査ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生じうる寸法欠陥及び生じうる亀裂タイプの欠陥を検出することを目的とした、例えばボトル、ジャー、フラスコなどの複数の空のガラス容器の検査の技術分野に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、要求される寸法基準及び欠陥の有無という要求される基準を満たしているかどうかを判定することを目的とした、製造後にインラインで走行する複数の空のガラス容器についての寸法の測定及び亀裂タイプの欠陥の検査に関する。
【背景技術】
【0003】
製造後、複数の空のガラス容器は、亀裂の存在の検査又は寸法検査を含む、欠陥の存在について様々な検査を受ける。
【0004】
そのため、複数の容器には、その美観、さらに深刻なことには、その容器の機械的強度に影響を与える、ガラスの分布が不十分な1つ又は複数の局所的区域が存在するリスクがあることが知られている。加えて、ガラス容器における亀裂の存在は、大抵の場合、機械的強度の低下をもたらすので、一般に深刻な品質的問題である。
【0005】
容器の壁の厚さを測定するために、例えば、特許EP 0 320 139又は特許EP 0 584 673から、三角測量法と呼ばれる方法が知られており、上記方法は、ゼロ以外の入射角で容器の壁に光ビームを投射することと、壁の外表面及び内表面で反射した複数の光ビームを収集することとを含む。
【0006】
三角測量法による従来の光学測定技術の代替方法は、特許出願DE 10 2007 044 530又は特許出願FR2738343A1に記載されている「クロマティズム共焦点光学」法と呼ばれる方法による測定である。この方法は、色符号を有する光ビームを送ることと、内面及び外面で反射した複数のビームを回収することと、反射した複数ビームの波長を分析することが可能なセンサで、反射した複数ビームの波長に基づいてその厚さを特定することとを含む。
【0007】
同様に、特許EP 2 676 127には、中心軸に沿って特定された容器の高さに沿って、検査領域に重畳的に分布された複数の測定点で複数の容器のガラス壁の厚さを測定するための装置が記載されている。上記検査方法は、中心軸と、外表面と内表面との間で境界が定められた壁とを有する複数の透明な容器における材料分布の欠陥を検出することを意図している。
【0008】
上述の光学測定法は、非接触かつかなり高速な測定法であるため、広く使用されているが、これらの方法はすべて、周囲の厚さを測定するために複数の容器を回転させることを必要とする。したがって、これらの原理を使用して、製造中にコンベヤライン上をインラインで走行する複数の容器を測定することは不可能である。
【0009】
加えて、光学的な厚さ測定に必要とされる複数の容器の回転には費用がかかる。実際、回転には複雑な取扱機器の使用が必要である。実際、複数の容器がコンベヤ上を並進するのを止めて、測定中にこれらを回転してから、これらをコンベヤ上の並進運動に戻す必要がある。その後、複数の容器はガイド、ローラ、スターホイールと接触する。調節は面倒であって、各容器のフォーマットに適合させた機器(可変式機器)に頼ることを必要とする。最後に、最も効率的なラインにおけるガラス容器の現在の生産量が、現在のところ毎分700容器を超えているのに対して、そのレートは毎分300から400容器に制限されている。したがって、場合によっては2段の測定機器が必要となる。
【0010】
従来、複数の空のガラス容器は、それらの壁の厚さの測定に加えて、容器のネック又はリング(内直径/外直径、シール、高さ)及び容器のカラー(内直径、内部プロファイル、ブローチ加工)も測定の対象である。
【0011】
そのような検査を遂行するために、1つ又は複数の装置を使用することが知られており、上記装置のそれぞれは、容器の性質に応じた正確な距離だけ離れた上方に、又は検査時間中に容器に接触する若しくは容器上に載るように、下降することを意図した検査ヘッドを含んでいる。従来、このような検査は、異なる複数の検査ステーションとの関係において複数の容器を配置するためのインデクス指定の円運動を伴って、複数の容器を特定の位置に保持するように適合させた直線形コンベヤ、又は好ましくは星形コンベヤのいずれかを有する機械を使用して遂行される。星形コンベヤの場合、各検査ヘッドは垂直往復運動で移動するが、直線形コンベヤの場合、検査ヘッドはさらに水平移動もする。
【0012】
特許FR 2 818 748には、ルーズプーリと、サーボモータによって駆動されるプーリとの間に取り付けられたベルトによって垂直往復運動で移動する運び台に固定された水平スライドに取り付けられたヘッドを含む検査装置が記載されている。このような装置の欠点の1つは、移動する質量が比較的大きいので、検査ヘッドの移動の速度及び加速が制限されることである。その結果、複数の容器の検査レートが制限され、これは、インラインの容器生産プロセスにおける主要な欠点である。このような既知の装置の別の欠点は、検査ヘッドが、容器に接触することが意図されている場合に現れる。実際には、複数の容器の高さのばらつきを理由として、そして、ブローチ加工中には検査ヘッドの下降が不可能であるといったストロークに影響を及ぼす欠点を理由として、検査ヘッドのストロークは決定されていない。また、このストローク及び搭載質量の不確定性により、検査ヘッドと容器との間に大きな衝撃が発生することがあり、これにより、容器及び/又は検査ヘッドが損傷するおそれがある。
【0013】
GB特許1 432 120には、複数の検査ステーションを含む、複数の容器を検査するための装置が記載されており、そのうちの1つは、複数の容器のリング及びカラーの寸法の適合性を検査することを意図している。この検査ステーションは、複数の容器の対称軸に平行な移動方向で、上記装置のフレームに対する往復運動で電動システムによって駆動される可動式機器を含んでいる。この可動式機器には、複数の容器のリングの外側を検査するための外側ゲージと、複数の容器のリング及びカラーの内側を検査するための内側ゲージが装備されている。この文献GB 1 432 120に記載されている装置には、特許FR 2 818 748に記載されている検査装置と同じ欠点がある。
【0014】
特許FR 2 965 344は、接触検出と垂直移動の動的制御とを組み合わせて、可動部分を軽量化することによって、大幅に高速化することを解決策としているが、複数の容器、可変式機器、及び複数のゲージと複数の容器との接触を取り扱う機械的な動きは依然として主要な欠点である。EP2.622.305には、容器と接触する複数のゲージを実装する装置も記載されている。
【0015】
容器に収容された液体の体積の検出分野では、特許出願WO 2010/025539に、X線検査システム及び方法が記載されている。この文献の検出の原理は、充填レベル(メニスカス520)、したがって容器内の液体の総体積を推測するために、放射線画像から、通過された液体の厚さ(
図5aの符号512及び
図5bの符号592)を知ることである。この目標のために、上記方法は、放射線画像から、通過されたガラスの厚さ508及び506による減衰量を差し引くことを提案している。
【0016】
しかし、方向502から504への投射による放射線撮影では、ガラスによる減衰量及び収容された液体による減衰量を知ることは不可能である。この問題を克服するために、この文献では、その二次元放射線画像から容器の三次元理論モデルを作成することを提案している。放射線画像から、容器の三次元理論モデルの減衰量が差し引かれて、測定された減衰量が推測されるので、液体の減衰量のみから、液体の体積を概ね推測することが可能となる。
【0017】
この文献に記載されている例示的実施形態によれば、三次元理論モデルは、単一の投射方向に沿って作成された放射線撮影から得られる。放射線撮影は、1つの投射方向に沿って投射された容器の二次元プロファイルを知るために分析される。容器の二次元プロファイルは、記録された複数のモデルのライブラリから、又は複数の容器の対称性の想定された軸形状を付与された二次元プロファイルの回転によって、容器の三次元理論形状を得るために使用される。
【0018】
別の例示的実施形態によれば、この文献は、液体のメニスカスの位置を特定する精度を向上させるために、異なる複数の方向に沿って複数の放射線画像を撮影することを提案している。この例によれば、上記方法は、第1の放射線撮影方向に沿った液体のメニスカスの位置と、第2の放射線撮影方向に沿った液体のメニスカスの位置とを特定して、液体のメニスカスの平均位置に対する液体のメニスカスの位置を保つことを意図している。
【0019】
上記例示的実施形態にかかわらず、この文献の教示に従って構築された三次元理論モデルは、放射線撮影の実際の容器物体に対応していない。したがって、このような三次元理論モデルでなされた、特に厚さの測定には誤りがある。さらに、唯一の実現しうる厚さ測定が、放射線投射方向に直交する方向に沿った測定であることに留意されたい。そのため、放射線投射方向に直交しない複数の方向におけるガラスの厚さなどの寸法は、二次元プロファイルにおける、すなわち、複数の放射線投射に直交する複数の方向における厚さと全く同じである。この仮定は、この文献で想定されているような完全な又は理論上の容器についてのみ検証されており、正確な測定が行われるべき容器に対してはもちろん誤りである。
【0020】
特許出願JP S60 260807は、それぞれが複数のセンサと関連付けられている1つ又は複数の焦点に由来する複数のX線による測定を使用して、自身の軸に沿って並進で動く管の壁の厚さを測定することを提案している。複数の焦点及び複数のセンサは、管の移動方向に直交する平面に沿って複数の放射線投射を生成するように配置されている。したがって、複数の放射線投射は、管の対称軸に直交する投射平面と同一平面上にある。これらの放射線投射の方向は、上記移動方向に対して直角(90°)をなす。この技術により、管の内表面及び外表面を完全に知ることは不可能である。この特許出願に記載された方法では、投射方向における管の2つの壁の累積厚さのみが測定可能であり、他の複数の方向において正確な測定が行われることを可能とする管の三次元モデルの再構築はなされない。
【0021】
同じように、特許US 5 864 600には、容器の輸送コンベヤのいずれかの側に横方向に配置されたX線源及びセンサを使用して、容器の充填レベルを特定する方法が記載されている。この方法により、その材料の累積厚さの測定が可能である。この文献は複数の容器の三次元モデリングを提供していないので、このシステムでは、横方向に配向していない表面についての測定を行うことが不可能である。
【0022】
特許出願US 2009/0262891には、コンベヤによって並進で動かされた複数の手荷物内に置かれた物体を、X線によって検出するためのシステムが記載されている。このシステムは、複数のパルス発生管又は走行方向に平行な寸法の大きいセンサを含む。この文献は、物体を再構築する方法を提供しているが、移動方向における投射の欠如により、移動方向に直交する方向における寸法の測定が不可能であるため、満足のいくものではない。ある角度セクタにおける放射線投射の欠如により、正確な測定を確保するのに適したデジタルモデルを作成することが不可能となっている。
【0023】
特許出願DE 197 56 697には、特許出願US 2009/0262891と同じ欠点を有する装置が記載されている。
【0024】
特許出願WO 2010/092368には、放射線源及び3つのリニアセンサを使用して、並進で動く物体をX線によって視覚化するための装置が記載されている。
【0025】
特許出願US 2006/0058974には、特に複数のタンク又は複数のパイプの複数のデジタル画像を取得し、これらデジタル画像を、検査物体を特徴付ける絶対厚さのマップに変換することが可能なデジタル放射線画像システムが記載されている。各感応素子から生成されたデジタルデータは、例えば、X線源と検出器との間の複数のX線経路における変動を補正することによって、空間周波数応答の変動を補正することによって、検査下の物体の幾何プロファイルの変動を補正することによって、そして、物体の内部及び/又は周囲に含まれる材料を補正することによって、校正される。この技術は、インラインで走行する複数の容器の寸法検査に対して実行することができない。
【0026】
従来の技術的解決策を分析すると、複数の容器について高い搬送速度を維持しながら、これらの全体性を変えることなく、複数の容器の寸法測定を行うことが可能な新たな技術が必要であるという結論に至る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、高速でインラインで走行する複数の容器の正確な寸法測定を行うことを可能とする新たな非接触測定技術を提供することによって、この必要性を満たすことを目的とする。
【0028】
亀裂は、容器の壁の厚さにおける欠陥であり、光を反射する。亀裂は一般に欠陥に対する光の反射で検査される。亀裂を検出するために、製品のある領域が、正確な入射角の下、配向された複数の光ビーム(収束又はわずかに発散する複数の光ビーム)を上記領域の方向に放出する複数のプロジェクタによって、照らされる。照射領域は、複数の光センサ、例えばEP0053151にあるようなフォトダイオード、フォトダイオードアレイ、又はEP1147405及びEP2082217にあるようなリニアカメラ又はマトリクスカメラなどの複数のイメージセンサによって観察される。この観察は、亀裂タイプの欠陥によって反射された入射光が、製品の垂直軸を中心とする回転中に亀裂を通過したときにのみ光を受け取る複数の光センサによって収集/観察されるように、複数の正確な観察角度からなされる。実際、既知の検出には、一般に、少なくとも360度の角度で、中心軸を中心として検査対象製品を回転させることが含まれる。
【0029】
ただし、製品が並進状態にあるときに亀裂の一部を検出することが可能な装置はある。文献US4293219は、カメラなしでの解決策を提供している。この解決策では、複数のセンサのそれぞれが、そのレンズの焦点距離及びその開口によって定義される受光コーンで知覚されたすべての反射光を収集する単一の感応素子を含む。観測された複数の反射物体の形状を区別することも、複数のセンサの視野における正確な位置を区別することも不可能であるため、複数の小さな物体を区別すること、つまり、小さな亀裂と小さなパラサイトとを識別することは不可能である。
【0030】
出願人によって販売されているARGOS機は、中心軸を中心として製品を回転させる必要のない、複数のカメラを用いて並進状態で亀裂を検出するための機械である。上記複数のカメラにより、各照明領域の複数の画像が作成されるため、上記検出が改善される。それは、容器のリングにおける、かつ、ショルダーの一部における亀裂を検出することを目的としている。上記機械は照明及び観察ヘッドを実装しており、上記機械において、指向性光の複数のエミッタ及び複数の内視鏡ヘッドは、製品のリングの直径に基づいて組織化されている。照明及び観察ヘッドは、検査のための設備を介した複数の容器の並進中に、容器のネックが循環するトンネルを構成する。複数の内視鏡は、様々な視方向に沿って取得されたいくつかの画像を少数のセンサに戻すために使用される。例えば、(時計回り又は反時計回りの接線方向の照明による)垂直亀裂の検出を目的としたすべての内視鏡は、単一のカメラに接続される。所定のタイプの亀裂に対して、製品ごとに画像取得が1回だけ行われる。
【0031】
文献EP2434276には、2つの直交する並進移動を組み合わせることにより、容器のネックの亀裂を検出する機械が記載されている。垂直方向の並進移動が水平方向の並進移動と組み合わされるため、単純な並進ではない。垂直移動を可能にするために取扱装置が設けられる必要がある。しかし、この装置はかさばり、複数の容器の周りの空間を占有し、少なくとも高さが低い容器の場合には、検査できないように容器の一部を隠す。
【0032】
本発明の目的の1つは、容器のネック及び底部に生じうる亀裂を検出することが可能であり、かつ、高速の容器検査という状況下で、ネックの少なくとも1つの内直径及び/又は容器本体の壁の少なくとも1つの厚さを測定することが可能な検査ラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、1シリーズの複数の空のガラス容器を検査するためのラインを提供する。
【0034】
上記シリーズの各容器は、内表面及び外表面によって境界が定められた壁を有し、中心軸を持ち、かつ、中心軸に沿って上から下にかけて、リングを末端とするネック、中心軸に垂直であり容器の上部平面を定義する上部面、ショルダー、本体、及び中心軸に垂直であり容器の下部平面を定義する容器底部、を構成している。
【0035】
検査ラインは、複数の容器の少なくとも1つの接触領域との接触によって、移動軌道に沿った複数の容器の輸送を確保する輸送装置を含み、複数の容器は、移動軌道に沿って延びた搬送体積を通って走行する。
【0036】
検査ラインは複数の設備を備え、各設備は、移動軌道に沿って互いに別個のステーションに配列されている。
【0037】
リング検査ステーションでは、リング検査設備は、複数の光線によって、複数の容器のネック(5)における亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能である。上記設備(200)は、
a1)リング検査設備の検査区域と、ここで、検査されるために検査区域に容器のネックを位置付ける必要があり、上記区域は、検査下の容器の上部平面と一致することを目的としている上部基準平面を含み、かつ、検査下の容器の位置について容器の中心軸と一致することを目的としている基準軸を含み、
a2)上記設備の検査区域において、複数の容器の中心軸に垂直な水平搬送平面における、移動軌道の直線部分に沿った複数の容器の輸送を確保する輸送装置のセクションと、
a3)複数の指向性光エミッタのシリーズと、ここで、検査区域が上部基準平面への投射において多数の異なる方位角で複数の指向性光ビームによって照らされるように、複数の指向性光エミッタは、上記設備の基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各指向性光エミッタは、上記設備の検査区域の方向において、それに特有のビーム軸に沿った指向性光ビームを伝達し、
a4)複数の光受信機と、ここで、複数の光受信機は、上記設備の基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各光受信機は、視軸及びこの視軸の周りに視野角を有し、
a5)関連付けられた基準平面のいずれかの側に配列された複数の光学素子と、ここで、これらの光学素子は、上記設備の複数の光エミッタ又は上記設備の複数の光受信機のいずれかに属するが、すべて搬送体積の外側にあり、
を含む。
【0038】
底部検査ステーションでは、底部検査設備は、複数の光線によって、複数の容器の底部における亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能である。上記設備は、
b1)底部検査設備の検査区域と、ここで、検査されるために検査区域に容器の底部を位置付ける必要があり、上記区域は、検査下の容器の下部平面と一致することを目的としている下部基準平面を含み、かつ、検査下の容器の位置について容器の中心軸と一致することを目的としている基準軸を含み、
b2)上記設備の検査区域において、複数の容器の中心軸に垂直な水平搬送平面における、移動軌道の直線部分に沿った複数の容器の輸送を確保する輸送装置のセクションと、
b3)複数の指向性光エミッタのシリーズと、ここで、検査区域が下部基準平面への投射において多数の異なる方位角で複数の指向性光ビームによって照らされるように、複数の指向性光エミッタは、上記設備の基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各指向性光発光体は、上記設備の検査区域の方向において、それに特有のビーム軸に沿った指向性光ビームを伝達し、
b4)複数の感光性受信機と、ここで、複数の感光性受信機は、上記設備の基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各感光性受信機は、視軸及びこの視軸の周りに視野角を有し、
b5)関連付けられた下部基準平面のいずれかの側に配列された複数の光学素子と、ここで、これらの光学素子は、上記設備の複数の光エミッタ又は上記設備の複数の光受信機のいずれかに属するが、すべて搬送体積の外側にあり、
を含む。
【0039】
放射線撮影測定ステーションでは、放射線撮影設備は、複数の容器の少なくとも1つの検査対象領域の複数の直線寸法を自動的に測定することが可能であり、この設備は、
c1)通過された体積の外側に配置させたX線発生管の少なくとも1つの焦点と、ここで、X線発生管は、容器のネックの一部及び/又は本体の一部を少なくとも含む少なくとも1つの検査対象領域を通り抜けるように向けられた発散X線ビームを生成し、
c2)上記設備の検査区域において、複数の容器の中心軸に垂直な水平搬送平面における、移動軌道の直線部分に沿った複数の容器の輸送を確保する輸送装置のセクションと、
c3)1つ又は複数の放射線イメージセンサと、ここで、1つ又は複数の放射線イメージセンサは、焦点に由来する複数のX線を受け取るように、搬送体積の外側に位置しており、1つ又は複数の焦点及び複数の放射線イメージセンサ(Ci)は、容器がこれらのX線を通り抜けるとき、各イメージセンサが、焦点に由来する複数のX線による検査対象領域の放射線投射を受け取るように配置されており、これらの放射線投射の放射線投射方向は互いに異なっており、
c4)移動中の各容器について、検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像を取得するように、複数の放射線イメージセンサに接続された取得システムと、ここで、少なくとも3つの放射線画像は、異なる放射線投射方向を有する、検査対象領域の少なくとも3つの放射線投射から得られ、
c5)少なくとも3つの異なる放射線投射に由来する、少なくとも3つの放射線画像を分析して、放射線投射方向に直交しない平面におけるネックの少なくとも1つの内直径、及び/又は放射線投射方向に直交しない平面における本体壁の少なくとも1つの厚さを特定するコンピュータシステムと、
を有する。
【0040】
任意であるが互いに組み合わせることが可能な本発明に係る検査ラインの他の特徴が、以下の段落に記載される。
【0041】
検査ラインは、ショルダー及び/又は本体検査ステーションに、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションとは異なる、複数の光線によって、複数の容器のショルダー及び/又は本体における亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能なショルダー及び/又は本体検査設備を含むことができ、上記設備は、
d1)ショルダー及び/又は本体検査設備の検査区域と、ここで、検査されるために検査区域に容器のショルダー及び/又は本体を位置付ける必要があり、上記区域は、検査下の容器のショルダー及び/又は本体を仕切ることを目的としている中間基準平面を含み、かつ、検査下の容器の位置について容器の中心軸と一致することを目的としている基準軸を含み、
d2)上記設備の検査区域において、複数の容器の中心軸に垂直な水平搬送平面における、移動軌道の直線部分に沿った複数の容器の輸送を確保する輸送装置のセクションと、
d3)複数の指向性光エミッタのシリーズと、ここで、検査区域が中間基準平面への投射において多数の異なる方位角で複数の指向性光ビームによって照らされるように、複数の指向性光エミッタは、上記設備の基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各指向性光エミッタは、上記設備の検査区域の方向において、それに特有のビーム軸に沿った指向性光ビームを伝達し、
d4)複数の光受信機と、ここで、複数の光受信機は、上記設備の基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各光受信機は、視軸及びこの視軸の周りに視野角を有し、
d5)中間基準平面のいずれかの側に配列された複数の光学素子と、ここで、これらの光学素子は、上記設備の複数の光エミッタ又は上記設備の複数の光受信機のいずれかに属するが、すべて搬送体積の外側にあり、
を含む。
【0042】
リング検査設備、底部検査設備、及び放射線撮影測定設備の検査区域のそれぞれにおいて、輸送装置は、好ましくは、上記設備の検査区域において、複数の容器の中心軸を中心とする制御された回転なしで、移動軌道に沿った複数の容器の輸送を確保する。
【0043】
リング検査設備、底部検査設備、及び放射線撮影測定設備の検査区域のそれぞれにおいて、輸送装置は、好ましくは、上記設備の検査区域において、複数の容器が中心軸を中心とする回転静止状態にあるように、移動軌道に沿った複数の容器の輸送を確保する。
【0044】
リング検査設備、底部検査設備、及び放射線撮影測定設備のそれぞれの間で、輸送装置は、好ましくは、複数の容器の中心軸を中心とする制御された回転なしで、移動軌道に沿った複数の容器の輸送を確保する。
【0045】
輸送装置は、ステーションのそれぞれで、容器と接触しながらステーションを通る各容器の輸送を確保する輸送装置の関連付けられた搬送セクションによって構成されうる。そして、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションにそれぞれ関連付けられた搬送セクションのうちの1つは、複数の容器の第1の接触領域との接触を確保し、一方、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションにそれぞれ関連付けられた別の搬送セクションは、第1の接触領域とは異なる、複数の容器の第2の接触領域との接触を確保する。
【0046】
各ステーションにおいて、複数の容器と、このステーションに好ましくは関連付けられている輸送装置のセクションとの接触領域は、このステーションでの複数の容器の検査対象区域とは異なる。
【0047】
リング検査設備、底部検査設備、及び放射線撮影測定設備のそれぞれにおいて、輸送装置は、好ましくは垂直方向の移動なしで複数の容器の輸送を確保する。
【0048】
輸送装置は、複数の容器が、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの3つのステーションで検査ラインにおける垂直方向の移動なしで輸送され、かつ、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの間でも検査ラインにおける垂直方向の移動なしで輸送されることを確保する。
【0049】
複数の容器は、好ましくはリング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの3つのステーションで自身の中心軸を中心とする制御された回転なしで輸送され、かつ、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定の間でも自身の中心軸を中心とする制御された回転なしで輸送される。
【0050】
リング検査設備は、搬送体積の外側であるが、上部基準平面よりも上に配列された複数の指向性光エミッタの複数の光学素子と、上部基準平面よりも下に配列された複数の光エミッタの複数の光学素子とを含みうる。
【0051】
リング検査設備は、搬送体積の外側であるが、上部基準平面よりも上に配列された複数の光受信機の複数の光学素子と、上部基準平面よりも下に配列された複数の光受信機の複数の光学素子とを含みうる。
【0052】
底部検査設備は、搬送体積の外側であるが、下部基準平面よりも下に配列された複数の指向性光エミッタの複数の光学素子と、下部基準平面よりも上に配列された複数の指向性光エミッタの複数の光学素子とを含みうる。
【0053】
底部検査設備は、搬送体積の外側であるが、下部基準平面よりも下に配列された複数の光受信機の複数の光学素子と、下部基準平面よりも上に配列された複数の光受信機の複数の光学素子とを含みうる。
【0054】
上記検査設備は、検査区域が基準平面に対して多数の異なる仰角で複数の指向性光ビームによって照らされるように分布された複数の指向性光エミッタを含むことができる。
【0055】
複数の容器の上記シリーズの各容器は、固有の識別子を持ちうる。そのため、検査ラインは、検査ラインによって検査された複数の容器の固有の識別子の少なくとも1つの読取機を含むことができるとともに、コンピュータシステムを含むことができ、コンピュータシステムは、
リング検査設備から、検査された容器についての少なくとも1つのリング検査情報と、
底部検査設備から、検査された容器についての少なくとも1つの底部検査情報と、
放射線撮影測定設備から、検査された容器についての少なくとも1つの直線寸法測定値と、
を受け取る。
【0056】
この場合、検査ラインのコンピュータシステムは、容器の固有の識別子、検査された容器についての、少なくとも1つのリング検査情報、少なくとも1つの底部検査情報、及び少なくとも1つの測定値にリンクするコンピュータレポートを作成するように、かつ、このコンピュータレポートを電子メモリに保存するように構成されうる。
【0057】
検査ラインのコンピュータシステムは、ショルダー及び/又は本体検査設備から、コンピュータレポートにおける他の情報に関連する検査された容器についての少なくとも1つのショルダー及び/又は本体検査情報を受け取ることができる。
【0058】
検査ラインのコンピュータシステムは、上記シリーズの複数の容器のグループの複数のコンピュータレポートに対してコンピュータ処理を行うように構成されうる。
【0059】
検査ラインのコンピュータシステムは、上記シリーズの複数の容器のグループの複数のコンピュータレポートに対するコンピュータ処理に基づいて、複数の容器の生産のパラメータに対する修正動作を制御するように構成されうる。
【0060】
ネックの少なくとも1つの内直径及び/又は本体壁の少なくとも1つの厚さの特定は、各容器についての、容器の検査対象領域のデジタル幾何モデルの構築を含みうる。
【0061】
デジタル幾何モデルは、少なくとも3つの放射線画像から計算された、複数の点のセットの三次元座標を含むことができ、複数の点のこのセットは、容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、放射線投射方向に直交しない平面に配置された少なくとも2つの点を有し、かつ、ネックの少なくとも1つの内直径、及び/又は測定された本体の壁の少なくとも1つの厚さは、放射線投射方向に直交しない平面におけるデジタル幾何モデル上で測定されうる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、インラインで走行する複数の容器の寸法のX線測定が可能な放射線撮影設備を示す概略的な上面図である。
【
図2】
図2は、容器のX線寸法測定が可能な放射線撮影設備を示す概略的な側面斜視図である。
【
図3】
図3は、検査された容器の一部を示す概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、直線移動中の複数の容器によって通過された又は生成された体積を示す概略的な斜視図である。
【
図5】
図5は、3つのX線発生焦点を含む本発明に係る設備の例示的な実施形態を示す概略的な上面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示された設備の概略的な横断立面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示された設備の概略的な側面立面図である。
【
図8】
図8は、2つの投射方向の間の有効角度の定義を説明する概略図である。
【
図9】
図9は、2つの投射方向の間の有効角度の定義を説明する概略図である。
【
図10】
図10は、検査対象である複数の容器の移動に対する複数のイメージセンサの配置を示す概略的な斜視図である。
【
図11】
図11は、検査対象である複数の容器の移動に対する複数のイメージセンサの配置を示す概略的な斜視図である。
【
図12】
図12は、複数のマトリクスイメージセンサを実装する、本発明に係る設備の例示的実施形態の図である。
【
図13】
図13は、2つのマトリクスイメージセンサに対応する2つの異なる区域が表示されているX線感応素子のマトリクスの図である。
【
図14】
図14は、検査領域がネックを含む場合に、本発明に係る方法に従って得られた容器のデジタル幾何モデルの図である。
【
図15】
図15は、本発明に係る方法に従って得られ、複数の寸法の測定値が表されている容器のデジタル幾何モデルの垂直断面及び4つの水平断面を示している。
【
図16】
図16は、本発明に係る検査ラインの例示的実施形態を示す概略的な斜視図である。
【
図17】
図17は、複数の容器の移動方向を横切る方向から見た、本発明に係る検査ラインの一部の例示的実施形態を示す概略図である。
【
図18】
図18は、複数の容器の移動方向を横切る方向から見た、本発明に係る検査ラインの一部の別の例示的実施形態を示す概略図である。
【
図19】
図19は、複数の容器の移動方向を横切る方向から見た、リング検査設備の例示的実施形態を示す概略図である。
【
図20】
図20は、複数の容器の移動方向から見た、リング検査設備の例示的実施形態を示す概略図である。
【
図21】
図21は、リング検査設備の例示的実施形態を示す概略的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
予備的な事項として、本発明の範囲内で使用される用語のいくつかの定義を以下に示す。
【0064】
X線発生管の焦点Fjは、点X線源、好ましくは、例えば0.01mmから1mmの範囲の直径を有する、「マイクロ焦点」であって、発散X線ビームを生成する。任意のタイプの点又は点とみなすことができるX線源を使用することが可能である。
【0065】
撮影イメージセンサ、放射線撮影イメージセンサがそれぞれ有する撮影感応素子、放射線撮影感応素子はそれぞれ、複数の光線、複数のX線に感度を持つ素子、換言すると、それぞれ、受け取った複数の光線、複数のX線を電気信号に変換する基本表面であり、基本表面は、放射線撮影感応素子の特定の場合には、例えば0.2×0.2mm又は0.02×0.02mmの寸法を有する。一般に、放射線撮影感応素子は、X線を可視光線に変換するシンチレータと、撮影感応素子、すなわち、その後可視光線を電気信号に変換する光電センサ又は光センサとを含む。X線を電気信号に直接変換する技術もある。画素は、サンプリングされた画像における点の基本値を指定し、0と最大値との間のそのグレーレベルによって特徴付けられる。例えば、12ビットのデジタル画像について、画素は0から4095の範囲のデジタル値を取る。
【0066】
複数の撮影画像、放射線撮影画像をそれぞれ読み取る又は取得するためのシステムはそれぞれ、光線、X線にそれぞれ感度を持つ1つ又は複数の表面を、つまり、以下の説明においては、従来はコンピュータによって実行され、かつ、コンピュータシステム600によって設定された分析システムに送信されるべき電気信号にそれぞれ光線、X線を変換する1つ又は複数の感応素子を含む複数の表面を含む。同一の感応表面区域に属する複数の感応素子のセットに由来する複数の信号は、取得装置によって取得され、かつ、コンピュータシステムに一緒に送信され、それぞれ撮影画像、放射線撮影画像を形成する。コンピュータシステムによって分析されるために、複数の撮影画像、複数の放射線撮影画像はそれぞれ、感応表面に可能な限り近いか、例えば感応区域を含む物理センサ要素に統合された電子回路において、あるいは、離れて、例えばコンピュータシステム600に可能な限り近くで、又はコンピュータシステム600によって、複数のデジタル撮影画像、複数のデジタル放射線撮影画像にそれぞれ好ましくは変換される。
【0067】
以下では、撮影視野は、10nmから5mmの範囲の波長、好ましくは100ナノメートルから20ミクロンの範囲の波長を有する、紫外線、可視光線、及び赤外線の範囲における、以降では光線と呼ばれる電磁光波をカバーする。好ましくは、380から800ナノメートルの範囲の波長を有する、可視の撮影視野が利用される。放射線撮影視野又はX線視野は、波長が約0.001ナノメートルから10ナノメートル未満の範囲の高周波電磁波に対応する。
【0068】
コンピュータシステム600は、その例が
図16に象徴的に示されているが、少なくとも1つの標準的コンピュータの形式で構成されうる。したがって、コンピュータシステム600は、少なくとも1つのマイクロプロセッサ、1つ又は複数の電子記憶ユニット及び1つ又は複数のディスプレイ(スクリーン、プロジェクタ、ホログラフィックディスプレイなど)、入力装置(キーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーンなど)、及び/又は通信(USB、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)など)インターフェースを含む。コンピュータシステムは、ネットワークの1つ又は複数の他のコンピュータと、又は他のネットワークと、例えばインターネット又はEthernet(登録商標)プロトコルによって、データを共有するコンピュータネットワークを含みうる。複数のイメージセンサへの疑う余地のない接続に加えて、コンピュータシステムは、設備の状態に関する情報を提供する複数のセンサに、及び/又は設備の複数のアクチュエーター(コンベヤ、エジェクタなど)に接続されうる。コンピュータシステムは、そこから運転データを取得するために、及び/又はその検査を確実に行うために、有利には1つ又は複数のX線管に接続されうる。コンピュータシステムは、1つ又は複数のリモートコンピュータサーバー上への実装を含む、局所的又は遠隔的に保存及び/又は実行された1つ又は複数のソフトウェアを実装する。このソフトウェアは、好ましくは、本発明に係る方法を実行するようにプログラムされた1つ又は複数のソフトウェアを含む。
【0069】
焦点Fjに由来する複数のX線ビームは、少なくとも1つの検査領域を通り抜けて、放射線撮影感応表面上に、検査領域の放射線投射を生成する。放射線投射は、放射画像と呼ばれることもあり、通過された材料による複数のX線の減衰量の情報を含む。
【0070】
検査領域の放射線投射を受け取るX線感応表面区域は、放射線イメージセンサCiと呼ばれる。放射線イメージセンサCiは、関連付けられた焦点Fjに由来する複数のX線に曝される。放射線イメージセンサは、この放射線投射を、検査領域の放射線画像に変換する。
【0071】
感応表面区域が複数の感応素子の列を含むとき、送信された放射線画像は線形であり、一次元値テーブルを形成する複数の画素の列から構成される。感応表面区域が複数の感応素子のマトリクスを含むとき、送信された放射線画像はマトリクス画像であり、二次元値テーブルを形成する複数の画素のマトリクスから構成される。感応表面区域が単一の感応素子を含むとき、送信された放射線画像は点像であり、1つの値を有する1つの画素から構成される。
【0072】
複数の光線に感度を有する表面区域は、光センサと呼ばれ、これらの光線を撮影画像に変換する。感応表面区域が複数の感応素子の列を含むとき、撮影画像は線形であり、一次元値テーブルを形成する複数の画素の列から構成される。感応表面区域が複数の感応素子マトリクスを含むとき、撮影画像はマトリクス画像であり、二次元値テーブルを形成する複数の画素のマトリクスから構成される。感応表面区域が単一の感応素子を含むとき、撮影画像は点像であり、1つの値を有する1つの画素から構成される。
【0073】
撮影カメラ、放射線撮影カメラはそれぞれ、光センサ、放射線撮影画像のセンサを含み、その画像信号が連続的に取得されることで、連続する撮影画像、放射線撮影画像がそれぞれ得られる。
【0074】
放射線投射方向Djiは、焦点Fjから始まり、イメージセンサCiの中心を通り抜ける、つまり、焦点と放射線イメージセンサの間の容器の移動中に取得時に検査領域の放射線投射を受け取る複数のX線に感度を持つ区域の中心を通り抜ける、配向方向又はベクトルである。関連付けられた放射線イメージセンサと焦点のペアについて、放射線投射方向は、イメージセンサの中央に到達する焦点に由来するベクトルである。複数の放射線イメージセンサの配置は、感応表面が放射線投射方向と平行にならないようになっている。放射線イメージセンサの感応表面が、関連付けられた焦点で定義された放射線投射方向に直交していることが有利な場合がある。ただし、これは、例えば感応表面が、異なる焦点を持ち、そのため異なる複数の投射方向に沿って、各画像キャプチャに連携している複数の放射線感応区域を含む場合には、必須ではない。
【0075】
複数の放射線投射方向Djiは、2つ1組の投射方向Djiが、少なくとも5度に等しい最小角度を一緒に形成する場合には、異なっている。
【0076】
複数の感応素子の単列を含む感応表面区域は、リニアイメージセンサを構成し、それは、支持直線の線分に沿って分布された複数の感応素子の直線配列を含む。この定義によれば、取得装置によって別個に取得され送信された、感応マトリクス表面に属する段又は列は、リニアイメージセンサとみなされる。同一表面の複数の感応表面区域は、それぞれが異なる複数の画素の単列を含み、これにより、複数のリニアイメージセンサを構成する。したがって、放射線イメージセンサの場合、得られたリニア放射線画像に関連付けられた放射線投射方向は、焦点から始まり、画像の取得時に支持直線の線分の中央を通り抜ける方向である。
【0077】
複数の感応素子のマトリクスを含む感応表面は、マトリクスイメージセンサを構成し、それは、マトリクスに分散された複数の感応素子のマトリクス配列を含む。
図12に示されるように、この定義によれば、より大きな感応表面Ssに属し、かつ、取得装置によって別個に取得され送信された感応マトリクス表面区域C11、C12は、マトリクスイメージセンサである。同じ表面を持つ複数の感応マトリクス表面区域C11、C12は、取得装置によって別個に取得され送信されるので、それぞれ異なる放射線画像M11、M12を提供する複数のマトリクスイメージセンサを構成する(
図13)。放射線画像の場合、マトリクス放射線画像M11、M12にそれぞれ関連付けられた投射方向D11、D12は、焦点F1から始まり、画像の取得時に、感応マトリクス表面区域C11、C12の中央を通り抜ける方向である。したがって、複数のイメージセンサC11、C12は、時間的に順次作動された非分離領域でありうる。
【0078】
もちろん、放射線画像センサの場合には、当業者は、シンチレータプレートが放射画像を受け取り、それを可視光線に変換する輝度増幅器又は「スクリーンキャプチャカメラ」に基づくマトリクスセンサの技術を使用できる。シンチレータの背面で見える画像は、シンチレータの発光範囲、一般には可視範囲において、かつ、必要に応じて対物レンズを備えた感度カメラによって撮影される。
【0079】
図面からわかるように、本発明の対象は、1つのシリーズに属する複数の空のガラス容器の検査ライン100である。
【0080】
一般に、容器2は、対称軸又は回転の対称軸でありうる中心軸A2を有する。そのため、
図3に示されるように、容器2は、内表面8によって内部的に、かつ外表面9によって外部的に境界が定められたガラス壁7を有する。壁7は、内表面8と外表面9との間に厚さ「e」を有する。従来、容器2は中空物体であり、その壁7が、中心軸A2に沿って下から上に、ヒール3’に接続された底部3から立ち上がり、吸い口の範囲を定めるリング6を末端とするネック又はカラー5に接続したショルダー4’によって拡張される本体4を構成しており、吸い口により容器を充填又は空にすることができる。瓶及び一部のフラスコの場合、ジャーとは対照的に、ネック5は、本体4に対して容器の狭くなった直径の部分に対応する。ショルダー4’は、本体4とネック5との接続部分である。一部のジャー及び一部の他のフラスコでは、ショルダー4’は、本体4をリング6に直接接続する。ネック5の上部は、リング面6’を含むリングによって構成され、リング面6’は、容器の中心軸A2に垂直で、リング6の上端を横切る面である。リング6は、一般に、ネック5に対して半径方向外向きに突出するネックラベル6’’を備える。そのようなネックラベル6’’の下端は、軸方向下向きに面する横方向の環状表面を構成し、それは、逆リングと呼ばれ、リング6の下端の範囲を定めている。本明細書では、ネック5はリング6を含むため、リング面6’、ネックラベル6’’及び逆リングも含む。ネック5は、壁の内表面8によって定義される内直径Dを有する。本明細書では、上部と下部の概念は任意であり、水平表面上においてその底部3によって置かれるジャー又は瓶タイプの容器の通常の向きに対応している。リング面6’は、中心軸A2に垂直な、容器2の上部平面Psupを定義する。容器2の底部3は、中心軸A2に垂直な、容器の下部平面Pinfを定義する。以下では、底部の検査には、ヒールの、又は容器の本体の下部の検査も含まれるとみなされる。また、多くの場合、底部3に位置する亀裂は、ヒール3’まで上がるスリットであり、その逆の場合もあることにも留意されたい。
【0081】
検査ライン100は、少なくとも3つの設備200、300、400を含み、これらはそれぞれが、複数の容器の循環軌道に沿って互いに別個のステーションに配列されている。
【0082】
そのため、
図16に見られるように、検査ライン100は、少なくとも、
a)リング検査ステーションに、複数の光線によって、複数の容器のネックにおける亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能であるリング検査設備200と、
b)底部検査ステーションに、複数の光線によって、複数の容器の底部における亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能である底部検査設備300と、
c)放射線撮影測定ステーションに、複数の容器の少なくとも1つの検査対象領域の複数の直線寸法を自動的に測定することが可能である放射線撮影設備400と、
を備える。
【0083】
もちろん、検査ライン100は、複数の容器を検査又は測定するための他のステーション及び他の設備を含むことができる。同様に、上記設備のいずれかは、亀裂の検査又は直線寸法の測定に加えて、他の検査又は他の測定を確保できる。特に、以上のように、底部検査設備300はまた、好ましくは、複数の光線によって、複数の容器のヒール3’における、又はより好ましくは、複数の容器の本体4の少なくとも一部、例えば複数の容器の本体4の下部における、亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能である。
【0084】
検査ライン100はまた、移動ベクトルTによって具体化された方向で、複数の容器の移動軌道に沿って複数の容器2を輸送するための装置11を含む。上記設備の間及び上記設備において、上記軌道は、好ましくは、搬送平面Pcに含まれ、ここでは、複数の容器の中心軸A2に対して水平かつ垂直であるとみなされる。
【0085】
リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの3つのステーションと、これらに対応する設備とは、検査ラインにおける複数の容器の軌道上に順々に連続して、その結果として、輸送装置11に沿って、例えば
図16に示されるように、記載された順序で又は他の任意の順序で、配列される。
【0086】
リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの3つのステーションのそれぞれにおいて、かつ、これらに対応するリング検査設備100、底部検査設備200、及び放射線撮影測定設備400において、移動軌道は直線であり、搬送平面に含まれている。
【0087】
好ましくは、上記軌道は、上記設備の間及び上記設備において、そのため検査ライン100全体に沿って、複数の容器の中心軸A2に垂直な同一の水平搬送平面Pcに含まれている。
【0088】
好ましくは、輸送装置11によって決定された軌道はまた、上記設備の間及び上記設備において直線的であり、そのため検査ライン100全体に沿って直線的である。ただし、本発明は、2つのステーションの間、そのため2つの設備の間の軌道又は軌道方向の変化の存在を排除するものではない。同様に、本発明は、2つのステーションの間、そのため2つの設備の間における、複数の容器が溜まる可能性がある貯蔵テーブルタイプの装置の存在を排除しない。
【0089】
リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの3つのステーションのそれぞれにおいて、かつ、これらに対応する設備において、複数の容器は自身の中心軸A2を中心とする制御された回転を受けない。これは、中心軸A2を中心とする複数の容器の回転が、制御されていない方法で、例えば輸送装置11の複数の固定ガイドとの接触のせいで、発生する可能性があることを意味している。好ましくは、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの3つのステーションのそれぞれにおいて、かつ、これらに対応する設備において、かつ、特にこれらの設備の検査区域において、複数の容器は、移動軌道に沿って動きながら、自身の中心軸A2を中心とする回転静止状態にある。好ましくは、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの3つのステーションのそれぞれにおいて、かつ、これらに対応する設備において、かつ、特にこれらの設備の検査区域において、複数の容器は、動作中に、移動軌道に沿ったそれらの移動の停止を受けない。ただし、一般に、製品の間の間隔、換言すると、検査ライン100内を走行する2つの連続する容器2の間の空き間隔を制御することは有用であり、必要でさえある。そうするために、検査ライン100の上流側の複数の容器の間隔が不十分である場合、複数の製品の移動軌道に設置されたスペーサ装置を使用することが可能である。その上、このようなスペーサ装置は既知であり、ここでは説明されないが、上流に対して下流側の複数の製品の加速を生み出すことによって動作する。好ましくは、本発明の1つの変形例によれば、複数の製品の間隔は、検査ライン100において可能な限り上流に生成される。スペーサ装置が必要な場合、それは、検査ライン100のできるだけ上流に、かつ、特に設備200、500、300及び400の上流に設置されることが好ましい。このように、検査ライン100の上流に又は検査ライン100における上流に間隔が設けられると、複数の容器は、動作中に、移動軌道に沿ったそれらの移動の加速又は減速を受けない。よって、複数の容器の移動が安定し、事故、衝突、落下及び蓄積が回避されるので、最適なスループットで安定した生産レートが確保される。ただし、設備200、500、300、400のうちの1つが追加の間隔を設けることを必要とする場合は、この設備の上流の、つまり2つの設備200、500、300又は400の間に、スペーサ装置を設置することが可能である。
【0090】
輸送装置11は、各ステーションで、その輸送装置の関連付けられたセクション112、113、114によって構成され、それは、容器と接触しながらステーションを通る各容器の輸送を確保する。
【0091】
以下でより正確に分かるように、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションにそれぞれ関連付けられた搬送セクションのうちの1つが、複数の容器の第1の接触領域との接触を確保する一方で、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションにそれぞれ関連付けられた搬送セクションのうちの別の1つが、第1の接触領域とは異なる、複数の容器の第2の接触領域との接触を確保する。
【0092】
そのため、
図16の例において、複数の搬送セクションの少なくとも1つは、リング検査ステーション200及び放射線撮影測定ステーション400にそれぞれ関連付けられた2つの搬送セクション112、114のこの場合には、複数の容器の第1の接触領域との接触を確保することに留意されたい。そのようなセクションは、ここでは、複数の容器2の底部3と接触しているバンドコンベヤ112、114の形状をしている一方で、底部検査ステーション300に関連付けられた搬送セクション113は、複数の容器2の本体4との接触を確保する複数のサイドベルトを持つコンベヤの形状に作られている。
【0093】
この実施形態では、異なる複数のステーションにそれぞれ関連付けられた複数の搬送セクションのうちの2つは、ここではリング検査ステーション200及び放射線撮影測定ステーション400であるが、複数の容器の同じ接触領域との、ここでは複数の容器の底部3との、接触を確保することに留意されたい。ただし、リング検査ステーション200、底部検査ステーション300、及び放射線撮影測定ステーション400にそれぞれ関連付けられた3つの搬送セクションは、複数の容器2の3つの異なる接触領域との接触を確保する検査ライン構成を有することが可能であろう。
【0094】
図18の例では、リング検査ステーション200に関連付けられた搬送セクション112は、複数の容器2の底部3と接触している、バンド又はチェーンコンベヤの形状である一方で、底部検査ステーション300に関連付けられた搬送セクション113は、複数の容器のネック、例えば逆リングと呼ばれる容器のリング6の一部、との接触を確保するコンベヤの形状で作られている。他の変形例によれば、複数の搬送セクションのいずれかが、ネック又はリングとの接触を確保しうる。
【0095】
図16は、検査ライン100を示し、検査ライン100は、ショルダー及び/又は本体検査ステーションで、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションとは異なる、複数の光線によって、複数の容器のショルダー及び/又は本体における亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能なショルダー及び/又は本体検査設備500を含む。この例では、ショルダー及び/又は本体検査ステーション500は、リング検査ステーション200と底部検査ステーション300との間に配置されているが、他の配置も可能である。この例では、ショルダー及び/又は本体検査ステーションは、搬送セクションと関連付けられており、搬送セクションは、実際のところ、隣接するステーション、ここでは直前のステーション、すなわちこの例では複数の容器がそれらの底部3によって載せられているコンベヤバンドの一続きである。ただし、ショルダー及び/又は本体検査ステーションは、2つの隣接するステーションに関連付けられた2つの搬送セクションとは異なる、検査ライン100の他の複数のステーションに関連付けられた他のすべての搬送セクションとさえ異なる、関連付けられた搬送セクションを有しうる。
【0096】
本発明に係る検査ライン100において、リング検査設備200、底部検査設備300、及び存在しうるショルダー及び/又は本体検査設備500は、それらの間で生じうる差別化された側面を強調することによって、以下にまとめて記載される共通点を有する。これらの3つの設備は、複数の光線によって、複数の容器の対応する複数の検査対象領域、すなわちそれぞれ、容器のリング6、底部3、及び本体4及び/又はショルダー4’、における亀裂タイプの欠陥を非接触で検出することが可能な設備である。検出のために実行される複数の光線は、好ましくは100ナノメートルから20ミクロンの範囲の波長を有する撮影視野に、より好ましくは380から800ナノメートルの範囲の波長を有する可視撮影範囲にある。
【0097】
亀裂は、容器の壁の厚さ内部で亀裂の形状を取る欠陥である。亀裂は、壁の厚さ全体に渡って、そのため壁の内表面8から外表面9に至る貫通亀裂でありうる。ただし、それは一般に非貫通亀裂であって、一般に内表面8及び外表面9の2つのうちの少なくとも1つに通じている。亀裂は亀裂であるため、容器の壁の材料の2つの表面要素によって境界が定められているとみなされうる。これらの2つの表面要素は互いに向き合っており、そして、一般に、薄くて、微小でさえある空気の層によって分離され、互いに平行であるとみなされうる。これらの表面要素は、一般に非平面であるため、ゆがんでおり、そのため、亀裂が形成された容器の壁区域に対して非常に様々な構成及び配向を持ちうる。亀裂の配向を定義するために、まず、これらの表面要素が近似平面によって又は複数の近似平面のシリーズによって近似されうることを考慮することによって、近似を行うことができる。
【0098】
ガラス容器の分野において、当業者は、垂直亀裂と呼ばれる亀裂と水平亀裂と呼ばれる亀裂とを、垂直であるとされる容器2の中心軸A2に対するそれらの配向に基づいて、区別することに慣れている。そのため、垂直亀裂と呼ばれる亀裂は、垂直近似平面を持つ又は垂直方向に対して45度未満、好ましくは30度未満の傾きを持つ複数の表面要素を有する。垂直方向に対する平面の傾きは、この平面の法線と水平面との間の鋭角として定義される。垂直平面は、容器の中心軸を含む半径方向平面、又はそのような半径方向平面と角度をなす平面でありうることに留意されたい。そのため、水平亀裂と呼ばれる亀裂は、水平近似平面を持つ又は水平方向に対して45度未満、好ましくは30度未満の傾きを持つ複数の表面要素を有する。水平方向に対する平面の傾きは、この平面の法線と垂直方向との間の鋭角として定義される。
【0099】
設備200、300、及び500によって実行される亀裂タイプの欠陥の検出の既知の原理は、入射ビームの正反射の検出に基づく。
【0100】
少なくとも垂直亀裂の検出について、それぞれが指向性光ビームを放出する複数の指向性光エミッタが一般的に使用される。指向性入射ビームは、複数の光線からなるビームであり、ビーム軸を有するとともに、複数の光線はビーム軸を中心とする立体光角に含まれ、立体角は小さい。ビームの立体角は、ビームのすべての光線を含む円錐の円形断面の立体角である。簡略化のために、立体角の軸を含む立体角の断面である発散測定面において、ステラジアンでの立体角ではなく、入射ビームの発散角を定義することが合意された。一般に、検査領域において、30角度未満、好ましくは25角度未満、さらにより好ましくは20度未満の発散角を有する入射ビームが使用される。指向性入射ビームは、レーザービーム、又はビーム軸及びビーム直径によって定義された複数の平行光線を持つ別のビームでありうる。狭い入射ビームは、複数の発散光線のビーム、又は検査区域における複数の収束光線のビームでありうる。
【0101】
このようにすることで、指向性光エミッタによって照らされる容器の表面要素は、そこから、複数の近接した入射角、換言すると、指向性があるといわれるこの意味において、その差が30度未満、25度未満、20度未満でさえある複数の入射角、の複数の光線を含むビームを受け取る。容器の外表面の同じ部分を照らす複数の指向性光エミッタは、異なる、場合によっては別の指向性光エミッタから得られたものとは区別される、複数の入射角を得ることが可能であり、複数の入射角は、容器の外表面に対して様々な向きを持つ亀裂の強調表示に適している。
【0102】
検査領域に位置し、それにより所定の指向性光エミッタによって照らされる容器の領域は、5ミリメートルから14ミリメートルの直径を有する円で構成されうる。照明領域は、例えば、リング全体をカバーするために最大100又は120ミリメートルの水平幅、及び例えばリングの高さをカバーするために60ミリメートルの高さを有する長方形であってもよい。もちろん、リングは一般に円筒形であるので、ビームの長方形状は、検査区域においてリング面又は容器の中心軸の近くに配置された、ビームの軸に直交する照射平面を映し出すことによってのみ観察されうる。
【0103】
複数の指向性光エミッタの光出射表面は、好ましくは、4ミリメートルから30ミリメートルの範囲の直径を有する円に内接する。
【0104】
少なくとも1つの光受信機が、ただし一般には複数の光受信機が、入射ビームの正反射を収集するために設けられる。
【0105】
亀裂の配向傾向は様々で大部分がランダムであるため、そして、少なくとも垂直亀裂に対して複数の指向性入射ビームを使用するため、容器の検査対象領域における任意の亀裂が検出できるように、複数の指向性入射ビーム及び/又は複数の受信機が設けられる必要がある。
【0106】
リング検査設備200及び底部検査設備300の例示的な実施形態が、
図17及び18に概略的に示される。
図19及び20は、それぞれ、複数の容器の移動軌道に対して側面から見た、及び、移動軌道の軸に沿って見た、リング検査設備200の概略図である。
【0107】
リング検査設備200、底部検査設備300、及び存在しうるショルダー及び/又は本体検査設備500のそれぞれは、検査対象容器の検査対象領域を位置付ける必要がある設備の検査区域を含む。移動軌道の方向に沿って検査領域は拡大されうる。各設備200、300、500において、検査下の容器の位置について容器A2の中心軸A2と一致することを目的としている基準軸A200、A300、A500が定義されうる。例えば、この基準軸は、複数の容器の移動軌道に沿って検査区域の中央に配列されるように任意に定義されうる。上記設備のこの基準軸A200、A300、A500は、対応するステーションの位置指示器として使用されうる。
【0108】
各検査区域において、上記設備の搬送平面に平行な基準平面が定義されうる。リング検査設備200について、基準平面は、検査下の容器2の上部平面Psupと一致することを目的としている上部基準平面Prefhである。底部検査設備300について、基準平面は、検査下の容器2の下部平面Pinfと一致することを目的としている下部基準平面Prefbである。ショルダー及び/又は本体検査設備500について、基準平面は、上記設備の基準軸A500に垂直であり、かつ、検査下の容器2のショルダー4’及び/又は本体4を仕切ることを目的としている中間基準平面でありうる。
【0109】
リング検査設備200、底部検査設備300、及び存在しうるショルダー及び/又は本体検査設備500の検査区域は、好ましくは、移動軌道に沿ってばらばらであり、そのため重なったり交差したりしない。
【0110】
リング検査設備200、底部検査設備300、及び存在しうるショルダー及び/又は本体検査設備500のそれぞれは、複数の指向性光エミッタ201、202、・・・、20n、301、302、・・・、30nのシリーズを含み、検査区域が、多数の異なる方位角で、基準平面への投射において、上記設備の基準軸を中心として、かつ、好ましくは基準平面に対して多数の異なる仰角で、複数の指向性光ビームによって照らされるように、複数の指向性光エミッタは、上記設備の基準軸A200、A300、A500の周囲に角度的に分布され、かつ、各指向性光エミッタは、上記設備の検査区域の方向において、それに特有のビーム軸A201、A202、・・・、A20n、A301、A302、・・・、A30nに沿った指向性光ビームを伝達する。したがって、各指向性光ビームは、検査区域における照明フィールドを特定する。いくつかの実施形態では、検査区域における指向性ビームの照明フィールドは、その検査区域に位置する物体の検査対象領域全体をカバーする。いくつかの実施形態では、検査区域における指向性ビームの照明フィールドは、この検査区域に位置する物体の検査対象領域の一部のみをカバーする。好ましくは、複数の光エミッタ201、202、・・・、20n、301、302、・・・、30nの複数の照明フィールドは、上記設備の検査領域で、そのため検査対象容器の検査対象領域で、基準軸を中心とした方位角において、場合によっては基準面に対する仰角においても、異なる複数の方向を有する複数のビーム軸を有しながら、重なりあう。このようにすることで、上記設備の検査区域の所定の点、そのため検査区域に位置する物体の検査対象領域の所定の点は、特に基準軸を中心とした方位角が異なる、複数のビーム軸方向に沿った複数の光エミッタによって照らされる位置にある。好ましくは、検査区域に位置する物体の検査対象領域のすべての点は、複数のビーム軸方向に沿った複数の光エミッタによって照らされる位置にある。
【0111】
光エミッタは、光源と、一般に光学調整装置とを含み、光学調整装置は、光出射表面を末端に有し、光ビームは、検査対象領域の方向で光出射表面を通って出射される。光源は、例えば、発光ダイオード、白熱フィラメント、電気アーク源、又は電気蛍光源(ネオン、プラズマなど)である。調整装置は、光学レンズ、光学コンデンサ、ミラー、光ガイド(特に光ファイバ)、アイリス、マスクなどのうちから1つ又は複数の光学要素を含みうる。マスクは、その中心に切り欠きを有する不透明な部品を意味し、障害物によって、そこを通り抜ける光ビームに形状を与えることを目的としている。一般に、指向性光エミッタは、少なくとも1つの光学レンズ又は少なくとも1つの光学コンデンサを含む調整装置を含む。指向性光エミッタは、照明区域が画定されるように、容器の表面又は表面部分と光学的に共役しつつ、投射されるように配置されたマスクを含む調整装置を含みうる。長方形のマスクは、照明区域を長方形にすることが可能である。光源、及び光学調整装置の複数の光学要素は、光エミッタの複数の光学素子である。設備の1つ又は複数の又はすべての光エミッタが、それらに独自の個別の光源を有することが提供されうる。ただし、複数の光エミッタが共通の光源を共有することが提供されうる。この場合、複数の光エミッタは、たとえ複数の光エミッタの複数の調整装置がそれらの個別の光出射表面の上流に1つ又は複数の共通の光学要素を含みうるとしても、個別の出射表面を末端に有する、それらに独自の調整装置をそれぞれ有しうる。典型的には、共通の光源は、複数の光ファイバを含む複数の光ファイバの束に関連付けられることができ、その中で、各光ファイバ又は複数の光ファイバの複数のグループのそれぞれは、異なる光エミッタの調整装置に属する。指向性光エミッタは、一般に小さなサイズの光出射表面を含む。指向性光エミッタの出射表面は、好ましくは、直径4ミリメートルから30ミリメートルの範囲の直径を有する円に内接する。
【0112】
いくつかの実施形態では、上記検査設備は、複数の指向性光エミッタ201、202、・・・、20n、301、302、・・・、30nを含むことができ、複数の指向性光エミッタは、検査区域が、上記設備の基準平面の同じ側にありながら、基準平面に対して多数の異なる仰角で複数の指向性光ビームによって照らされるように、つまり、複数の指向性光ビームが確実に、基準平面に対して多数の異なる仰角で分布したそれぞれのビーム軸A201、A202、・・・、A20n、A301、A302、・・・、A30nを有することを確実にすることで、分布されている。指向性光ビームの仰角は、ビーム軸と基準平面とがなす鋭角である。2つのビームは、それらが出現する複数の指向性光エミッタの複数の出射表面が基準平面の同じ側に配置されている場合、基準平面の同じ側にあるとみなされる。
【0113】
同様に、リング検査設備200、底部検査設備300、及び存在しうるショルダー及び/又は本体検査設備500のそれぞれは、複数の光受信機211、212、・・・、21n、311、312、・・・、31nを含み、複数の光受信機は、設備の基準軸の周囲に角度的に分布され、かつ、各光受信機は、視軸A211、A211、・・・、A21n、A311、A312、・・・、A31n及びこの視軸の周りに視野角AV211、AV311、・・・を有する。好ましくは、複数の光受信機の視野は、異なる複数の方向を有する複数の視軸を有しながら、検査対象領域で重なり合う。典型的には、複数の光受信機の視野は、視軸に沿って、物体の検査対象領域の一部、又は物体の検査対象領域全体をカバーする。例えば、100ミリメートルの直径のリングを検査するために、光受信機の及びその調整装置の視野は好ましくは、検査区域における100ミリメートルを超える水平幅を有し、上記設備の基準軸を含み、かつ、視軸に垂直な垂直平面で測定される。このようにすることで、上記設備の検査区域の所定の点、そのため検査区域に位置する物体の検査対象領域の所定の点は、視軸の複数の方向に沿った複数の光受信機によって観察される位置にある。好ましくは、検査区域に位置する物体の検査対象領域のすべての点は、複数の視軸方向に沿った複数の光受信機によって観察される位置にある。
【0114】
複数の光受信機211、212、・・・、21n、311、312、・・・、31nは、光センサと、一般に関連付けられた光学調整装置とを含み、光学調整装置は、光入射表面を末端に有し、収集された複数の光線は、光入射表面を通って光センサの方向で光受信機に入射する。光センサは、例えば、光電センサであり、例えば、CCDタイプの又はCMOSタイプのものであってもよい。光学調整装置は、光学レンズ、ミラー、光ガイド(特に光ファイバ)、アイリス、マスクなどのうちから1つ又は複数の光学要素を含みうる。換言すると、光センサの感応区域は、光受信機の光入射表面から離れて配列されることができることに加えて、異なる配向を有することができる。調整装置は、光センサ上に、容器の検査対象領域の又は検査対象領域の一部の画像を、一般に線形又は二次元画像を、形成する。それは、少なくとも容器の外表面部分をセンサの感応表面と光学的に共役させる。それは、光受信機の視軸も定義する。光センサ、及び光学調整装置の複数の光学要素は、光受信機211、212、・・・、21n、311、312、・・・、31nの複数の光学要素である。設備の1つ又は複数の、又はすべての光受信機211、212、...、21n、311、312、...、31nが、それらに独自の個別の光センサを有することが提供されうる。ただし、複数の光受信機が共通の光センサを共有することを提供することができる。この場合、共通の光センサを有する複数の光受信機は、それぞれが、たとえ複数のエミッタの複数の調整装置がそれらの個別の光入射表面の下流に1つ又は複数の共通の光学要素を含みうるとしても、それらに独自の光学調整装置を有することができ、光学調整装置は個別の入射表面を末端に有する。
【0115】
上記設備の基準平面に関連付けられている検査対象領域の垂直亀裂の検出を確保するために、複数の指向性光エミッタの少なくとも一部が、少なくともそれらの光出射表面で、少なくともそれらの入射表面で、複数の光受信機に対する基準平面の反対側に配列されていることが提供される必要があり、それらは、亀裂での正反射の後に、複数の指向性光エミッタによって出射された光を収集するために提供される。また、リング検査設備200、底部検査設備300、及び存在しうるショルダー及び/又は本体検査設備500のそれぞれは、関連付けられた基準平面のいずれかの側に複数の光学素子を含み、これらの光学素子は、上記設備の複数の光エミッタ又は設備の複数の光受信機211、212、・・・、21n、311、312、・・・、31nのいずれかに属している。
【0116】
上記設備の基準平面に関連付けられている検査対象領域における水平亀裂の検出を確保するために、複数の光受信機の少なくとも一部が、1つ又は複数のエミッタと同じように基準平面の同じ側に配列されていることが提供される必要がある。水平亀裂の検出を確保するために、拡散し、そのため無指向性の照明を使用することが可能であることに留意されたい。拡散照明は、1つ又は複数の光エミッタの存在によって提供されうる。大型であって、非点の光出射表面を有する1つ又は複数の光エミッタが使用されうる。水平亀裂の検出を確保するために、上記設備は大型のディフューザを含むことができ、その後ろに1つ又は複数の光源が配列される。
【0117】
したがって、垂直亀裂及び水平亀裂の両方の検出を確保するためには、設備は、基準平面のいずれかの側に少なくとも複数の光受信機の複数の光学素子を、又は少なくとも基準平面のいずれかの側に複数の光エミッタの複数の光学素子を、又はその両方を、有しなければならない。例えば、このような設備は、複数の光エミッタと複数の光受信機とを有し、複数の光エミッタは基準平面の一方の側のみに配列されるが、複数の光受信機は基準平面の両側に配置される、又はその逆の場合もある。
【0118】
また、リング検査設備200、底部検査設備300、及び存在しうるショルダー及び/又は本体検査設備500のそれぞれは、関連付けられた基準平面のいずれかの側に配置された複数の光学素子を含み、これらの光学素子は、上記設備の複数の光エミッタ、又は上記設備の複数の光受信機、又は複数の光エミッタ及び複数の光受信機のいずれかに属している。
【0119】
図16から21の例において、リング検査設備200は、複数の光エミッタ201、202、...、20nの複数の光学素子と、複数の光受信機211、212、...、21nとを含み、複数の光エミッタは上部基準平面Prefhの両側のいずれかの側に配置されているが、複数の光受信機はすべて上部基準平面の上に配置されている。
【0120】
図16から18の例において、底部検査設備300は、複数の光エミッタ301、302、・・・、30nと、複数の光受信機311、312、・・・、31nとを含み、複数の光エミッタは下部基準平面Prefbの両側のいずれかの側に配置されているが、複数の光受信機はすべて下部基準平面の下に配置されている。
【0121】
一方で、
図20では、上記設備が、搬送体積Vtに配置されたいかなる光エミッタも光受信機も含まないことが明確に見られる。上記設備を通る複数の容器の軌道が基準平面に平行な面における平らな軌道である場合、これは図示された場合であるが、これは必然的に、搬送体積と同じ側の基準平面上に位置する部分に光エミッタ又は光受信素子がある可能性を制限することになる。これは特に、上記設備の入口トンネル体積及び出口トンネル体積、光エミッタ又は光受信素子を配列することが不可能である体積、を形成する原因となる。
【0122】
複数の容器の少なくとも1つの検査対象領域の複数の直線寸法を自動的に測定するための放射線撮影設備400は、複数の空のガラス容器2の寸法測定を行う方法の実行を可能にし、ここでは、
図1から15に関して記載される。
【0123】
1つの有利な実施形態の特徴によれば、容器の少なくとも1つの領域が、検査対象として選択されるので、容器のこの領域における寸法測定を、検査対象領域の寸法特徴に対応させて、行うことができる。典型的には、この放射線撮影測定設備400について、検査対象領域は、少なくとも容器のネック5を含むことができ、この検査対象領域の寸法特徴の測定は、少なくともネックの内直径Dに対応する。同様に、検査対象領域は、ヒールとショルダーとの間の本体4の壁の少なくとも一部を含むことができ、例えば、容器が置かれる平面に平行な2つの平面によって境界が定められ、かつ、この検査対象領域の寸法特徴の測定は、この壁7の境界を定めている内表面8と外表面9との間のガラス壁の厚さeに対応する。したがって、この放射線撮影設備400は、容器のネック及び/又は本体における壁の内表面に関する複数の寸法を測定することにまさに特に適している。そのため、本発明に係る方法によれば、ネックの内直径又はガラス壁の厚さ又はネックの内直径及びガラス壁の厚さの少なくともいずれかを測定することが可能となる。
【0124】
同様に、検査対象領域は、容器の本体、ヒール、又は底部を含む壁7の一部に対応しうる。検査対象領域は、容器2全体にも対応しうる。測定される寸法は、本体、底部、ヒールにおけるガラス壁厚さ、それらの高さ、内直径又は外直径、例えばネックにおけるねじの幅である。これらの測定により、例えば容器の楕円化又は曲がったカラーを持つ容器など、検査対象領域の寸法特徴を推測することも可能である。
【0125】
実行される測定方法は、複数のガラス容器2について、つまり、単一材料、すなわちガラスで構成された複数の中空の製造物体のシリーズについて記載される。この場合において、ガラスの減衰係数μは固有であり、つまり複数の容器の検査対象領域における任意点で同じ値を有し、かつ、好ましくは、上記シリーズの複数の容器について時間が経過しても一定であって同一であるとみなされる。1日当たり数百トンのガラスを生産する炉内においてガラスの組成は安定しているため、これらの条件は満たされている。ガラスの減衰係数μは、厳密には、波長λ又はX線のエネルギーに基づくスペクトル特性μ(λ)であることに留意されたい。この特徴は、本発明に係る方法において、X線源が独自の放出されたスペクトル組成を有する限り、必ずしも考慮される訳ではなく、減衰係数μは、選択された源のスペクトルに対するガラスの特徴とみなされうる。
【0126】
好ましくは、物体のトポロジーは既知である。これは、容器を通り抜けるX線は、既知の減衰係数を有する有限数の体積を通り抜け、したがって通り道は複数の線分に分割でき、各線分は、これらの線分の長さが事前に既知でなくても、一定の減衰の領域を通って走行する容器の複数の境界表面に属する2つの点を結合しているとみなされうるといっていることになる。換言すると、容器の構造は、コンピュータによって事前に(測定前に)、容器の複数の境界表面と呼ばれる複数の閉曲面のセットで作られた図形によって記載されうる。容器の境界表面とは、容器の材料と空気との接触表面である。
【0127】
当業者はまた、上記ビームのスペクトル減衰を考慮に入れるための任意の方法を使用して本発明を遂行する方法を知っているであろう。彼らはまた、例えば放出されたスペクトルを強化させることによって、それを適応させることができるであろう。
【0128】
したがって、空気の減衰量はガラスの減衰量と比較して無視できるほどであるとみなされうる。容器を通り抜けるX線ビームの減衰量は、一方では、放出されたX線スペクトルの上記均一な減衰量のみに依存し、他方では、通過されたガラスの累積厚さのみに依存するであろう。あるいは、すべてのX線について、通過された空気の厚さが大きくかつ均一であるとみなされ、そのため、それは既知とみなされうる。空気によるX線減衰量は、測定された減衰量の合計から差し引かれうる。そのため、例えば、任意に補正された各放射線画像におけるグレーレベルは、通過されたガラスの累積厚さの合計にのみ直接的に依存するとみなされうる。その結果、空気とガラスとの遷移部である複数の境界表面を正確に特定することが可能となる。
【0129】
そのため、コンピュータシステム600は、この計算操作のために検査下の複数の容器のガラスの減衰係数を考慮に入れる。有利には、設備400は、例えば、炉内のガラスの分析から既知の、複数の容器のガラスの減衰係数をコンピュータシステムに利用可能とするための装置を含む。この提供装置は、大容量メモリ、マンマシンインターフェースによって、又は有線若しくは無線のコンピュータネットワークによって作られうる。
【0130】
従来、この直線寸法測定設備400について、輸送装置11の関連付けられたセクションは、立位状態で、つまり搬送平面Pcに設置されるようにコンベヤ上に載せられている複数の容器の底部3からなる複数の容器の接触領域で、複数の容器の直線移動を確保するウェブ又はチェーンコンベヤである。
【0131】
複数の直線寸法を測定するための放射線撮影設備400は、高速で走行することによって動く複数の容器2の複数の直線寸法の測定を自動的に行うための方法の実行を可能にする。
【0132】
実際、本発明は、複数の容器の品質の又は変形若しくは製造方法の質を検査するための、変形又は製造ステップの後の、複数の容器のシリーズの「インライン」検査と呼ばれる検査に関する。
【0133】
設備200、300、400、500を含む検査ライン100は、複数の容器2のフローの走行レートに対して動作する。理想的には、複数の直線寸法を測定するための設備400を含む検査ライン100は、例えば、毎分100物体を超える、好ましくは毎分300物体を超える生産レートで、そして、例えば毎分少なくとも600容器のレートで、生産物を処理する能力がある。
【0134】
ただし、特に複数の直線寸法を測定するための放射線撮影設備400に関して、計算時間は2つの容器の間の時間間隔を超えていてもよい。同様に、放射線イメージセンサ及び読み取りイメージセンサの露光時間が長すぎてもよい。一般に、単一の放射線撮影設備400によって、最速のフローを処理することができない場合、それぞれが生産物の一部を検査する、複数の放射線撮影設備400を並行して実行することができる。そのため、同一の又は類似の放射線撮影設備400によって検査された2つの平行なフローに、生産フローを分割することが可能である。いうまでもなく、フローの数が、よって放射線撮影設備400の数は少ない方が好ましい。
【0135】
放射線撮影設備400により、非接触で、かつ、複数の容器の走行を伴う、内表面及び複数の壁の厚さの測定のおかげで、かなりの改善がもたらされ、回転式コンベヤで実行されるような複数の製品を回転させる複雑な動作は排除されている。これによりまた、検査領域の全周及び全高に渡る厚さマッピングも可能になる。ネックの検査の場合、放射線撮影設備400は、生産物のすべての容器について、ネックでの測定を可能にする一方で、従来技術は、テンプレートごとのバイナリ適合性試験又は採取されたいくつかのサンプルについての測定試験のみを行う。したがって、これらの測定により、製造方法の傾向を観察することが可能となる。
【0136】
図1及び2にさらに具体的に示されるように、この説明の便宜のために、複数の容器2の移動方向は、基準軸X、Y、Zのうち水平軸Xに沿って確立され、基準軸X、Y、Zは、水平軸Xに垂直な垂直軸Zと、垂直軸Zに垂直な横軸Yと、水平軸Xとを含み、X及びYは、搬送平面Pcに平行な平面にある。
【0137】
図4にさらに具体的に示されるように、直線移動中に、複数の容器2は、搬送体積Vtと呼ばれる体積を生成又は通り抜ける。平面Psは、搬送体積Vtの割線平面であり、搬送平面Pcに直交し、かつ、移動方向Tに平行である。例えば、正中平面は、上記体積を2つの等しいサブ体積に分割する。平面Psは、搬送平面が水平である限り、一般に垂直平面である。
【0138】
放射線撮影設備400はまた、
図1及び2に示されるように、X線発生管12の少なくとも1つの焦点Fj(jは1からkまで変わる)を含み、焦点Fjは、搬送体積Vtを通り抜けるように、より具体的には、容器2の少なくとも検査対象領域を通り抜けるように向けられた発散X線ビームを生成する。本明細書では、容器の検査対象領域が、透過吸収係数が所定のX線放射に対して均一である材料で製造されるように、容器2は、ガラスで製造されていることに留意されたい。
【0139】
設備400はまた、少なくとも3つの放射線イメージセンサCi(iは1からNまで変わり、Nは3以上である)を含み、イメージセンサCiは、複数のX線に感度を持ち、かつ、関連付けられた焦点Fjに由来する複数のX線に曝されるように配置されており、複数のX線は、搬送体積Vtを、より具体的には少なくとも容器2の検査対象領域を、通り抜ける。もちろん、管12及び複数のイメージセンサCiは、搬送体積内において複数の容器の自由な移動を可能にするために、搬送体積Vtの外側に配置されている。従来、複数のX線発生管12及び複数のイメージセンサCiは、X線保護筐体内に置かれており、X線保護筐体は、好ましくは放射線画像測定ステーション全体を取り囲んでいる。したがって、この筐体は、リング検査設備200、底部検査設備300、及び存在しうるショルダー及び/本体検査設備500にそれぞれ重ならないように、特にこれらの設備のそれぞれの検査区域から分離するように、移動軌道Tに沿って配置されている。
【0140】
いくつかの実施形態では、イメージセンサCiは、上記方法の実行において、このイメージセンサCiが伝達するとともに、上記方法で考慮された複数の画像が、関連付けられた焦点Fjに由来する複数のX線のみで構成されるように、このイメージセンサCiが提供されるという意味においては、単一の焦点Fjに関連付けられる。例えば、上記設備は、所定の焦点に由来する複数のX線のみが、例えば、適切な方法での複数の吸収マスクの配置によって、関連付けられたイメージセンサに到達できるように提供されうる。先の例と組み合わせられうる別の例によれば、イメージセンサによる複数の画像の取得は、単一の関連付けられた焦点のみが作動したときにのみトリガされることが提供されうる。
【0141】
焦点Fjに由来する複数のX線ビームは、少なくとも検査領域を通り抜け、そして、イメージセンサCi上に、放射線投射方向Djiに沿って、検査領域の放射線投射を形成する(
図1及び2)。投射方向Djiは、通例では、焦点Fjから始まり、イメージセンサCiの中心Miを通り抜けるベクトルの配向方向である。1つ又は複数の焦点Fj及び複数のイメージセンサCiは、各放射線イメージセンサが検査対象領域の放射線投射を受け取るように、検査対象領域の少なくとも1つの放射線投射方向に沿って配置されている。
【0142】
ただし、いくつかの実施形態では、複数のイメージセンサを同じ焦点Fjに関連付けることができ、そのため、焦点Fjは、好ましくはパルス化され、かつ、関連付けられたセンサCiのそれぞれの複数の読み取り値と同期されて、iの値が異なる複数の投射方向Djiに沿って複数の放射線画像を形成する。あるいは、他の実施形態では、複数の焦点Fjを同じイメージセンサCiに関連付けることができ、複数の焦点Fjは、好ましくは異なる時間で独立してパルス化され、かつ、関連付けられたセンサCiの複数の読み取り値と同期されて、iの値が異なる複数の投射方向Djiに沿って複数の放射線画像を形成する。
【0143】
放射線撮影設備400はまた、放射線撮影測定ステーションを介して移動中の各容器2について、異なる複数の放射線投射方向を有する検査対象領域の少なくとも3つの放射線投射を取得するように、複数の放射線イメージセンサCiに接続された取得システムを含む。得られた放射線画像に関連付けられた放射線投射方向は、画像の取得時に、焦点から始まり、イメージセンサの感応表面の区域の中央を通り抜ける方向であることを想起されたい。そのため、少なくとも3つの放射線投射は、それらの間に2つずつ角度を形成する投射方向を有する。
【0144】
取得システムはコンピュータシステム600に接続されている。実施形態の1つの有利な特徴によれば、コンピュータシステムは、複数のイメージセンサCiを使用して、移動中の各容器について、異なる複数の投射方向に沿った検査対象領域の特定された数の放射線投射に由来する複数の放射線画像を記録する。典型的には、異なる複数の放射線投射方向Djiの数は、3から40の範囲、好ましくは4から15の範囲である。実施形態の1つの有利な特徴によれば、設備400は、3から40の範囲の放射線イメージセンサCiを含む。実施形態の1つの好ましい変形例によれば、設備400は、4から15の範囲の放射線イメージセンサCiを含む。
【0145】
以下の記載で詳細に説明するように、コンピュータシステム600は、各容器について、少なくとも3つの異なる放射線投射方向に由来する少なくとも3つの放射線画像を分析し、各容器について、検査領域における容器の壁に属する複数の点のセットの三次元座標を含む検査対象領域のデジタル幾何モデルを特定するようにプログラムされている。より具体的には、各デジタル幾何モデルは、少なくとも容器の壁の内表面に、好ましくは容器の壁の内表面及び外表面に、属する複数の点のセットの三次元座標を含む。これらの点の三次元座標の特定は、検査領域について容器の複数の寸法、すなわち、ネックの少なくとも1つの内直径、又は容器の本体4のガラス壁の少なくとも1つの厚さ、又はネックの内直径及び容器本体のガラス壁の厚さのうちの少なくとも1つ、の測定を行うことを可能にする。
【0146】
これらの点の三次元座標の特定及び寸法測定の達成は、三次元幾何データの既知の分析技術を用いて任意の適切な方法でなされうる。
【0147】
一般に、検査対象領域のデジタル幾何モデルは、検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像から計算された、複数の点のセットの三次元座標を含む。複数の点のこのセットは、容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、放射線投射方向Djiに直交しない平面に配置された空間内の少なくとも2つの三次元点を有する。
【0148】
有利には、複数の点のセットの三次元座標を含む検査対象領域のデジタル幾何モデルは、
それぞれが容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、かつ放射線投射方向Djiに直交する平面に位置せず、かつ、移動方向Tと平行な平面に位置しない、空間内の少なくとも2つの三次元点、
及び/又は、放射線投射方向Djiに直交する平面に属さず、かつ、移動方向Tに平行な平面に属さない複数の点を含む、容器の壁の内表面及び/又は外表面の少なくとも1つの表面図形、
及び/又は、放射線投射方向Djiに直交する平面と異なり、かつ、移動方向Tに平行な平面と異なる平面に沿った、検査対象領域の少なくとも1つの断面、
から構成される。
【0149】
次に、寸法測定は、以下の説明で記載される方法のいずれかに従って行われる。
【0150】
一般に、各容器のデジタル幾何モデルについて行われる寸法測定は、放射線投射方向Djiに直交しない平面において上記モデルで測定されたネックの少なくとも1つの内直径、及び/又は放射線投射方向Djiに直交しない平面において上記モデルで測定された本体壁の少なくとも1つの厚さに関する。
【0151】
1つの好ましい例示的な実施形態は、各容器について、検査対象領域における容器の内表面及び外表面を表すデジタル幾何モデルの特定を含む。
【0152】
この例によれば、各容器に関する複数の放射線画像のデジタル分析により、これらの容器のそれぞれについて三次元デジタル幾何モデルを構築することが可能となる。換言すれば、放射線撮影によって検査された各容器について、三次元デジタル幾何モデルは、容器に対応する複数の放射線画像から構築されうる。任意に、このデジタル幾何モデルは、単に複数の二次元デジタル幾何モデルの積み重ねでありうる。デジタル幾何モデルの作成とは、数学的な、図式的な及びデータ構造の用語における手法であって、この手法においては、複数の三次元容器は、コンピュータシステム600のメモリ内においてデジタル形式で表現され、処理される。これらの実施形態のいくつかにおいて、複数の放射線撮影物体と同じ数の三次元デジタル幾何モデルを特定することが可能であり、かつ、輸送システム上を走行する複数の物体の数と同じ数の放射線撮影物体が存在していてもよいとみなされるべきである。実際、本発明の特徴は、高速の場合を含めて、上記設備内を循環する複数の物体のそれぞれの測定を行うことを可能とすることである。
【0153】
上記モデリングは、体積モデリングでありうる。したがって、ガラス容器は、その値が材料の一定量を表すボクセルによって表されうる。ボクセルは、完全、部分的に完全、又は空に(この場合は空気である)なりうる。体積幾何モデルを分析して、容器の複数の境界表面を、例えばこれら境界表面にそれぞれ属する複数の点のセットを特定することによって、特定し、そこから長さ又は厚さなどの複数の直線寸法を測定することができる。それはまた、表面モデルへと、つまりそこで容器の複数の境界表面がモデル化される表面モデルへと変換されうる。
【0154】
複数の放射線画像から直接、つまり体積モデルの計算を行うことなく、表面モデルを得ることが可能であり、かつさらに有利である。
【0155】
表面モデリングにおいて、容器は少なくとも1つの三次元表面、例えば容器の材料と外部環境(通常は空気)との間の境界表面に対応する三次元表面、によって定義され、これにより、容器の内部及び外部の概念を理解することが可能となる。一般に、三次元表面は、多角形モデリングによって、曲線又はパラメトリック表面(円柱、円錐、球、スプラインなど)によって、又は表面の下位区分によってなど、いくつかの方法でモデル化される。多角形、例えば三角形のメッシュを使用すると、容器の複数の三次元表面は、三角形の辺で接続された複数の小平面のセットによって表される。
【0156】
三次元容器の断面は、1つの平面とのその交差部分である。複数の三次元表面の断面は、上記断面平面における複数の二次元曲線を構成する。複数の切断平面の一連のこれらの複数の二次元曲線の情報により、複数の三次元表面の再構築が可能となる。
【0157】
長さなどの直線寸法を測定するには、いくつかの方法がある。直線寸法とは、実際には1つの線に沿って測定された長さである。この線は、それに沿って直線寸法が測定され、直線的な線、又は非直線的な線、例えば任意の曲線、環状線、破線などでありうる。この線は、平面に含まれる平面線、又は平面に含まれない三次元線でありうる。放射線撮影設備400はまた、2D又は3D基準軸における容器の複数の表面の複数の点の角度及び座標を特定することを可能にする。
【0158】
体積方法と呼ばれる第1の方法では、1つの直線、又は複数の直線の束に沿って体積モデルを通り抜けて、物質/空気の境界ボクセルを特定することが可能である。
【0159】
表面方法と呼ばれる第2の方法では、1つの直線であって、その両端が直線と表面モデルの材料/空気の境界表面との交差部分である線分を計算することが可能である。最後に、混合方法は、体積モデルを表面モデルに変換することと、その後に、上記第2の方法を適用することとを含む。
【0160】
第3の方法は、1つ又は2つの二次元曲線の2点間の距離を、切断平面で特定することを含み、上記曲線は物質と空気の境界である。
【0161】
三次元点とは、その座標が任意の基準軸内において、三次元空間で知られる点である。
【0162】
これらの3つの従来の方法は、2つの三次元点の間の距離を特定して、直線寸法を特定する方法の例である。
【0163】
本発明の1つの目的は、単純な複数の二次元放射線画像により可能とされていたよりも完全な測定を行うことである。実際、マトリクス放射線イメージセンサを使用して、検査領域の投射に対応する二次元放射線画像を得て、「投射平面」と呼ばれる投射方向に直交する平面における複数の寸法を測定することは容易である。同様に、リニア放射線イメージセンサを使用して、移動に平行ではない投射平面Pjiを容器が通り抜ける間、焦点Fj及びリニアセンサCiによって定義される、複数のリニア放射線イメージセンサCiを使用して得られた連続する複数の線形放射線画像を並置することによって、検査対象領域の二次元放射線画像を得て、移動方向に平行な投射平面でのみ検査された領域の複数の寸法を測定することは容易である。しかし、これらの単純な放射線撮影方法では、複数の投射平面の外側の複数の寸法を測定することは不可能である。一方、放射線撮影設備400を用いると、複数の投射平面に含まれず、複数の投射平面に平行でもない複数の方向における複数の直線寸法を測定できる。実際には、少なくとも3つの異なる投射方向における複数の放射線画像の組み合わせを処理する際に、実質的に全ての方向において複数の寸法を再構築及び測定することができる。これは、容器の検査対象領域に含まれる境界表面に属する空間内の複数の三次元点の特定を可能にする任意の方法によって可能である。表面若しくは体積タイプの、又は複数の切断平面に基づく、検査対象領域の三次元モデルの再構築は、1つの取りうる方法である。実際、表面若しくは体積モデルから又は複数の切断平面から間接的に、又は直接的に、複数の二次元放射線画像だけからでは測定不能な複数の方向に沿って分布した、少なくとも2つの三次元点を、より好ましくは複数の三次元点群を、特定することが可能となる。
【0164】
したがって、デジタル幾何モデルは、点、線分、表面、基本体積のような複数の幾何学的要素で構成され、デジタル幾何モデルが、理想的な空の容器に比べてゆがみを有する実際の空の容器の構造の忠実な図形となるように、各要素を計算するために、実際の空の容器上の点を通り抜けたX線の少なくとも一部の減衰量を考慮することによって複数の放射線投射から計算される。換言すると、複数の幾何学的要素の座標は、複数の2D放射線投射のどれにおいてもこれらの幾何学的要素を区別することができない場合でさえも、上記座標が複数の放射線投射を補正したことを考慮することによって特定される。したがって、デジタル幾何モデル上の複数の寸法測定は、複数の放射線投射のどれにおいても区別することができない複数の幾何学的要素から、モデル化された各空の容器の複数の寸法の情報を与える。
【0165】
ガラス容器が単一材料で作られている場合、これにより一定の減衰係数を有するか、又はそのようにみなされるとき、そのデジタル幾何モデルを複数の表面の形状で特定することが有利である。例えば、容器のネックの内表面などを、デジタル幾何モデルにおいて特定及び表現することが可能である。検査領域は、この例によれば、ネック3を含み、そのためリング表面6とそれに平行な面との間に延びている。次に、ネックの内直径Dを測定することができる。より正確には、ネックの複数の内直径Dを測定することができる。所定の高さを選択することによって、例えばリング表面又は容器の底部に平行な切断平面を選択することによって、この平面において0から360°までで複数の直径を測定することができる。そのため、開口部(又は吸い口)での、例えばリング表面の3mm下に切断平面を配置することによって、吸い口の3mm下での、直径Doを特定することが可能となる。ネックの内表面の全体高さhに渡る最小直径Dを特定して、ブローチ加工による測定に置き換えることも可能である。
【0166】
容器の構造を考慮すると、円筒座標で推論するのがより容易である。1つの容器について測定を行う場合、上記方法により、例えば、
図14に示されるように、ネックに対応する容器の少なくとも検査対象領域を正確に表すデジタル幾何モデルMGNが、又は
図15に示されるように、容器のデジタル幾何モデルMGNの1つの垂直断面又は4つの水平断面が、生成される。
【0167】
このデジタル幾何モデル上の円柱座標ZM、ρ、θの基準軸は、上記容器モデルの対称軸に対応する軸ZMと、上記配置平面に配置されている場合にゼロに等しい軸ZMに沿った高さZとで定義することが可能である。円筒形又は円錐形の容器の場合、ZMを、上記配置平面に直交し、かつ、容器の底部の中心を通る軸として定義することが可能である。実際は、1つの容器のデジタル幾何モデルMGNは、内表面SIと外表面SEとを含む。
【0168】
各容器のネックを測定するための1つの有利な変形例によれば、上記方法は、デジタル幾何モデルMGN上で、ネックの複数の内直径Dとして、複数の直線線分のセットの長さを測定することを含み、
上記複数の線分は、
デジタル幾何モデルの対称軸ZMに直交しており、
デジタル幾何モデルの対称軸ZMを横断しており、
デジタル幾何モデルのネックにおいて少なくとも2つの異なる高さZG1、ZG2に位置付けられており、
複数の投射方向Djiに直交しない少なくとも1つの線分を有し、デジタル幾何モデルの対称軸ZMの周囲に角度的に分布した複数の方向にあり、
各高さの数が、複数の投射方向Djiの数よりも大きく、
かつ、各線分は、デジタル幾何モデルのネックの内表面に属するとともに容器のデジタル幾何モデルの対称軸ZMに対して反対側にある2つの点を結んでいる。
【0169】
上記複数の線分は、完全な回転による理想的な容器の場合にのみ、数学的な意味で対称軸ZMを正確に横断することに留意されたい。デジタル幾何モデルは実際の容器を表すため、常にそうとはいえない。
【0170】
放射線撮影設備400は、インラインで、つまり、複数の容器が、機械的な又は空気圧のセンサに接触することなくコンベヤ上で高速並進状態にある場合に、ネックの適合性を保証するために、生産のタイプに応じて、必要とされる複数の測定を行うことを可能とする。
【0171】
ブローチ加工には、ネックに、最小直径の円柱、例えば注入カニューレを挿入する可能性がある。ブローチ加工を測定するために、放射線撮影設備400によって、最小直径を、対称軸ZMに沿った複数の高さに渡って、かつ0から360°までの異なる複数の角度θに応じた複数の方向において、特定することが可能となる。各容器のデジタル幾何モデルの内表面の内側への円柱の挿入をそのネックでシミュレートして、円柱が内接するとき、そのために、さらに膨張することができずに、ネックの内表面の内側に又は内表面の複数の点のセットに、円柱が到達する最大径を特定することも可能である。
【0172】
図15に示されるように、少なくとも2つの異なる高さZE1、ZE2について、ZM軸に直交し、かつ、0から360°に分布した複数の半径方向線分に沿って壁の厚さeを測定することが可能である。そのため、少なくとも、容器を回転する機械において複数の光学センサによって可能となるのと同様の機能が、すなわち、1つ、2つ、3つ又は4つの異なる高さで、円周上の最小厚さを見つけることが達成される。
【0173】
各容器の検査領域のデジタル幾何モデルは、内表面SI及び外表面SEを含む。したがって、外表面SEと内表面SIを結び付け、かつ、全体高さZ及び複数の方向θに渡って均一に分布した多数の線分を、上記複数のセンサの及び各容器について計算されたデジタル幾何モデルの解像度によって許容される限りの細かさの高さピッチdZと角度ピッチdθとを用いて測定することにより、厚さeを特定することが可能となる。そのため、検査領域の全部又は一部の、それどころか容器全体の、厚さをマッピングすることが可能となる。
【0174】
また、検査対象領域に渡って最小厚さを計算し、又は「薄い区域」と呼ばれる公差閾値より小さい厚さを有する壁の関連区域を特定することが可能であり、最小厚さに又は上記薄い区域の表面及び/又は形状に基づき、容器の品質が決定される。
【0175】
実施形態の1つの変形例によれば、この放射線撮影設備400における検査対象領域は、容器のネック5の少なくとも一部を含むことができ、そのために、ネックの内直径Dが、1つ又は複数の高さ、かつ、1つ又は複数の方向に沿って測定されるとともに、検査対象領域の寸法特徴の測定に対応しうるように、複数の放射線画像が分析されて、少なくともネックの内表面のデジタル幾何モデルが構築される。
【0176】
実施形態の別の変形例によれば、この放射線撮影設備400における検査対象領域は容器の本体4の少なくとも一部を含むことができ、そのために、複数の放射線画像が分析されて、検査された壁部分における容器の内表面及び外表面のデジタル幾何モデルが構築され、そして、デジタル幾何モデルの内表面及び外表面から、上記表面の間に含まれる容器本体のガラス壁の厚さ「e」の測定値が得られる。
【0177】
実施形態の1つの好ましい変形例によれば、検査対象領域は少なくともネックの一部及び容器本体の壁の一部を含み、そのために、複数の放射線画像が分析されて、容器の内表面及び外表面のデジタル幾何モデルが構築され、そして、デジタル幾何モデルの内表面及び外表面から、ネックの内直径の及び容器本体のガラス壁の厚さの測定値が得られる。
【0178】
従来の測定方法には、連続する複数の断面に基づき各容器のデジタル幾何モデルの構造を分析するというものもあり、それは、異なる複数の高さZで、容器のデジタル幾何モデルの対称軸ZMに直交する複数の平面について、そのため、次に複数の半径方向に沿って分析された複数の水平断面に対して、0から360°の範囲の角度θで測定方向を変えることによって行われる。もちろん、同様の結果が、0から360°の範囲の複数の角度θに分布した、複数の容器の対称軸ZMを横断する複数の平面に沿った複数の断面、そのため複数の垂直断面によって得られる。
【0179】
実施形態の1つの有利な変形例によれば、デジタル幾何モデルはまた、検査領域の推測的幾何モデルを使用して構築されることができ、これにより、各容器のデジタル幾何モデルの再構築計算が加速され、かつ信頼できるものになる。
【0180】
そのため、推測的幾何モデルは、複数の容器のシリーズのデジタル幾何モデルであって、検査された各容器のデジタル幾何モデルを構築するための再構築ソフトウェアの初期設定として役立つ。その役割は主に、計算によってモデル化された物体の形状、構造及び寸法についての情報をコンピュータシステムに提供することである。
【0181】
この場合、コンピュータシステムは、この計算操作を行うために検査対象領域の推測的幾何モデルを有している。そのため、設備400は、複数の容器又は複数の容器のシリーズについて、検査対象領域の推測的幾何モデルをコンピュータシステムに利用可能とするための装置を含むことができる。
【0182】
推測的幾何モデルは、複数の容器の設計中に作成される複数の容器のコンピュータ支援設計デジタルモデル(3D CAD)によって得られることができ、又は、測定装置によって、例えばセンサ測定器によって又は体軸断層撮影装置によって、同じシリーズ(したがって同じ商用モデル)の1つ又は複数の容器の測定から構築されたデジタル幾何学的モデルから得られることができ、又は、コンピュータシステムによって、コンピュータシステムのマンマシンインターフェースでオペレータによって入力された値及び/又は作成された図面及び/又は選択された形状から、作成されることができる。
【0183】
コンピュータシステムに複数の仮想ゲージ位置を提供することによって、上記検査をパラメータ化することが可能である。この場合、本発明に係る装置は、いうまでもなく、測定公差範囲を利用可能とするための手段を含んでいる。
【0184】
複数の寸法及びこれらの適合性を特定するための別の手段は、検査領域のデジタル幾何モデルを、基準又は理論上の幾何モデルと比較することである。
【0185】
基準幾何モデルは、検査された複数の容器のシリーズの理想モデルである。寸法検査を遂行するために、各容器の検査領域のデジタル幾何モデルを、複数の容器のシリーズに共通する基準幾何モデルと比較することが、複数のモデルの照合と、その後の複数のモデルの間の偏差の測定とを含むアルゴリズムによって、可能である。基準幾何モデルは、少なくとも複数の容器の外表面についてCADに由来しうる。
【0186】
1つの変形例によれば、基準幾何モデルと推測的幾何モデルは、同じ幾何モデルでありうる。
【0187】
上述の記載から、コンピュータシステム600により、各容器について、少なくとも1つのネックの内直径及び/又は容器本体のガラス壁の厚さが特定されることが分かる。一般に、放射線撮影設備400により、複数の容器2について一連の寸法測定を行うことが可能である。寸法検査は、実際の複数の寸法を測定することと、これらの寸法を要求される複数の寸法と比較することとを含む。推測的に、1シリーズのどの容器も、要求される複数の寸法を有する理想的な基準容器に近いが、寸法変動によってそこから外れている。一般には、複数の物体について得られた複数の測定値を、要求された、例えば品質部門によって定義された、複数の値と比較することが目的である。これらの複数の寸法測定値、又は複数の要求された値に対するこれらの複数の測定値の偏差は、表示、記録などがされうる。それらはまた、自動的に分類されうる複数の容器の適合性を判断するためにも使用されうる。実施形態の1つの有利な特徴によれば、コンピュータシステム600は、検査対象領域の複数の直線測定値、及び/又は複数の基準値からの複数の寸法偏差を表示するための装置に接続されている。例えば、設備400は、検査領域の及び測定された複数の寸法の複数の放射線画像を視覚化するためのスクリーンを含みうる。
【0188】
もちろん、複数の焦点Fjと複数のイメージセンサCiとの相対位置は様々であるが、複数の焦点Fj及び複数のイメージセンサCiは、搬送体積Vtの外側に配置されることを想起されたい。
【0189】
実施形態の1つの変形例によれば、放射線撮影設備400は、搬送体積Vtの一方の側に沿って配置された単一焦点Fj=F1と、焦点F1から発せられ、かつ、検査対象領域を通過した複数のX線を受け取るために搬送体積Vtの反対側に沿って配置されたイメージセンサCi=C11、C12、C13、・・・のシリーズとを含む。この例では、上記焦点は、例えば
図1のXY平面のような、少なくとも任意の平面で測定される開きOfを有しており、開きOfは、90°以上である。上記設備が、上記焦点と上記体積Vtとの間に、又は上記体積Vtと上記複数のイメージセンサとの間に、ビームの広がりを減らすために、複数のビームを有効なビームのみに制限する複数のスクリーンを備える場合、この開きOfは、上記焦点の出口にあるとみなされる。
【0190】
実施形態の別の変形例によれば、少なくとも2つのX線生成焦点Fj(F1及びF2)は、2つの異なる位置に別々に配置され、そして、少なくとも3つのX線感応イメージセンサCiは、各焦点が少なくとも1つのイメージセンサCiと関連付けられるように、かつ、各イメージセンサCiが1つの焦点と関連付けられ、上記焦点に由来するとともに検査対象領域を通り抜ける複数のX線を受け取るように、置かれる。この変形例では、2つの焦点の開きの合計が90°以上になるように、各焦点は45°以上の開きを有する。そのため、例えば120°以上の開きOfの焦点を含む放射線撮影設備400、又は開きの合計が120°以上の、2つの焦点を含む放射線撮影設備400を想定することが可能である。
【0191】
図5から7に示される例示的実施形態では、放射線撮影設備400は、それぞれが別個の発生管12に関連付けられた3つの焦点F1、F2、F3を含む。放射線撮影設備400はまた、第1の関連付けられた焦点F1に由来する複数のX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC11、C12、C13、C14及びC15と、第2の関連付けられた焦点F2に由来する複数のX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC21、C22、C23、C24及びC25と、第3の関連付けられた焦点F3に由来する複数のX線にそれぞれ感度を持つ3つのイメージセンサC31、C32、C33とを含む。
【0192】
この例示的実施形態によれば、放射線撮影設備400は、少なくとも1つの焦点(この例では、2つの焦点F1及びF2)を含み、上記焦点のそれぞれから1つの発散X線ビームが得られる。少なくとも1つの焦点(この例では、2つの焦点F1及びF2)は、各ビームが割線平面Ps及び検査対象領域を通り抜けるように、割線平面Psの一方の側に配置される一方で、焦点Fjと関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサCiは、焦点Fjに由来する複数のX線を受け取るために、割線平面Psに対して反対側に配置される。(この例では、これらは、関連付けられた焦点F1に由来する複数のX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC11、C12、C13、C14及びC15と、関連付けられた焦点F2に由来する複数のX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC21、C22、C23、C24及びC25である。)もちろん、複数の関連付けられたイメージセンサが、割線平面Psのいずれかの側に配置されるように、割線平面Psの一方の側に1つの焦点を、割線平面Psの他方の側に別の焦点を有するように設けることもできる。
【0193】
図5から7に示される実施形態の1つの有利な変形例によれば、発散X線ビームが得られる焦点Fjは、そのビームが搬送平面Pcを通り抜けるように搬送平面Pcの一方の側に配置される一方で、焦点Fjに由来する複数のX線を受け取るために焦点Fjと関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサCiは、搬送平面Pcに対して反対側に配置される。図示された例では、焦点F3が搬送平面Pcよりも上に配置されている一方で、3つのイメージセンサC31、C32、C33は搬送平面Pcよりも下に配置されている。もちろん、上記焦点と上記複数のイメージセンサの間の位置は、搬送平面に対して逆にすることができる。
【0194】
放射線撮影設備400の実施形態の1つの有利な変形例によれば、複数の焦点Fjの少なくとも1つが、搬送平面Pcに配置される。好ましくは、これらの複数の焦点は、割線平面Psに対して反対側に位置付けられた複数の関連付けられたイメージセンサと連携しており、これにより、平らなコンベヤ上に配置された複数の容器を輸送する場合、この配置により、複数の放射線画像において、複数の容器の複数の投射が、コンベヤの投射に重ね合わせられないようにすることが可能となる。そのため、複数の容器のデジタル幾何モデルにおいて、コンベヤが関連付けられたセクションと接触している容器の部分を正確に特定することができる。
【0195】
実施形態の1つの有利な特徴によれば、複数の放射線イメージセンサCi及び複数の焦点の配置は、1つ又は複数の焦点Fjに由来するとともに複数のイメージセンサCiに到達する複数のX線が、一度に1つの検査対象領域だけを通り抜けるようになっている。換言すると、複数のX線は、一度に1つの容器だけを通り抜ける。放射線撮影設備400は、例えば複数の容器と横方向で接触するねじ又はベルトのように、連続して走行する複数の容器間の間隔を検査するためのシステムを含んでいてもよいことに留意されたい。
【0196】
放射線撮影設備400により、迅速であるだけでなく、安価であって、寸法検査に要求される精度で、寸法検査を得ることが可能である。それにより、再構築のために必要とされる画像の数を、所望の寸法精度を達成することを可能にする最小の数まで減らすことが可能である。例えば、それにより、検査領域の9つの投射及び限られた数の画像を用いて、+/0.05ミリメーターでネックの内直径、又は+/-0.02ミリメーターで容器の壁の厚さを測定することが可能である。有利には、放射線撮影設備400は、1つから4つの焦点Fj、好ましくは1つ又は2つの焦点Fjと、好ましくは4つから15のイメージセンサCiとを含む。
【0197】
複数の放射線イメージセンサ及び1つ又は複数の焦点は、少なくとも3つの投射方向の組み合わせにより、検査領域のデジタル幾何モデルの特定が最適化されるように、通過された体積Vtを複数の容器の循環のために空けておく必要があることを考慮して、配置される必要がある。以下の原則は有利に実行されるものであって、これらの原則は、リニア又はマトリクスイメージセンサに有効である。
【0198】
以下において、角度は絶対値である。
図8及び9は、ベクトルでもある2つの放射線投射方向Dji及びD’jiを示している。これらの図は、これらの2つの放射線投射方向の間の角度r、すなわち、
【数1】
と、角度rに相補的な角度s、すなわち、
【数2】
と、を示している。定義上は、2つの異なる投射方向Dji及びD’jiの間の有効角度αは、角度r及びsの最小値であり、すなわち、
【数3】
である。そのため、有効角度αは、投射方向Dji、D’jiを伝え、かつ、検査領域の任意の点で終わる2つの直線によって形成された複数の角度のうちの最小値である。
【0199】
本発明の1つの有利な変形例によれば、各容器について、その間に45°以上90°以下の有効角度αをなす2つの異なる放射線方向Dji及びD’jiに沿った2つの放射線投射に由来する少なくとも2つの画像が取得される。本発明の1つの有利な変形例によれば、各容器について、その間に60°以上90°以下の有効角度αをなす2つの異なる方向に沿った2つの放射線投射に由来する少なくとも2つの画像が取得される。
【0200】
この目的のために、放射線撮影設備400は、少なくとも1つの焦点及び2つのイメージセンサを含み、2つのイメージセンサは、これらが受け取る検査領域の複数の投射方向が、その間に45°以上90°以下の、有利には60°以上90°以下の有効角度αを有するように配置される。
【0201】
例えば、
図5に示されるように、方向D15とD11との間、及び方向D13とD25との間の有効角度αは、45°より大きい。いうまでもなく、少なくとも1つの有効角度は45°以上90°以下であり、有利には、少なくとも1つの有効角度は60°以上90°以下であり、2つの方向Djiの間のその他の有効角度は任意であることを理解されたい。この原則に基づくことで、当業者は、検査領域の複数の投射方向の最も完全な取りうる分布を提供する配置の見つけ方を知るであろう。
【0202】
別の有利な特徴によれば、各容器について、コンピュータシステム600は、移動方向Tで特定された開き角度βなす投射方向に対応する検査領域の少なくとも1つの放射画像を取得する。
【0203】
図10及び11に示されるように、角度pは、投射方向(ベクトルDji)と、複数の容器の軌道(ベクトルT)との間の角度であるとみなされるところ、角度p=(Dji,T)であり、つまり
図10に示される例においてp=(D11,T)かつp=(D12,T)であり、
図11に示される例においてp=(D22,T)かつp=(D11,T)である。角度pに相補的な角度qは、q=180°-pであるようになっている。定義上は、投射方向Djiと軌道Tとの間の開き角度βは、角度p及びqの最小値であり、すなわち、
【数4】
である。そのため、開き角度βは、2つの直線によって形成される複数の角度のうちの最小値であって、上記2つの直線の一方が投射方向Djiを伝え、他方が軌道Tを伝え、検査地域の任意の点で終わる。
【0204】
別の有利な特徴によれば、各容器について、コンピュータシステムは、移動方向Tで10°から60°の間の開き角度βを有する投射方向Djiに対応する検査領域の少なくとも1つの放射線画像を取得する。換言すると、上記設備は、1つの容器が複数のイメージセンサの視野を通り抜けるとき、イメージセンサCi上の検査領域の投射方向Djiが、移動方向Tで10°から60°の範囲の開き角度βをなすように配置された少なくとも1つの焦点及び1つのイメージセンサCiを含む。
【0205】
換言すると、放射線撮影設備400の構成は、複数の容器に適応した通過された体積Vt及び再構築の良好な質を維持しながら、移動方向において自身の大きさを低減するように最適化されている。
【0206】
通過された体積Vtのせいで、上記設備は移動方向Tの周囲に投射を生成しない。通過された体積Vtは最小の角度βを与える。本発明によれば、最小の開き角度は、βmin=10°である。10°未満の角度βの投射を提供するように配置されたセンサはない。
【0207】
以上のことから、本発明によれば、各容器についての複数の投射角度の分布は必ずしも均一ではないということが推測されるに違いない。
【0208】
図9に示されるように、複数の投射角度の分布には、180°に渡る完全なカバーの代わりに、盲点領域と呼ばれる10°の2倍の、つまり20°の欠落部が存在する。
【0209】
例えば、
図10に示されるように、放射線撮影設備400は、少なくとも1つの焦点F1及び2つのイメージセンサCC1、CC2を含み、その投射方向D11、D12は、移動方向Tで、角度p及びqにそれぞれ対応する10°から60°の範囲の開き角度βを定義する。
図11に示される例では、放射線撮影設備400は、焦点F1に関連付けられた、少なくとも1つのイメージセンサC11と、焦点F2に関連付けられたイメージセンサC22とを含む。そのため、開き角度βを定義する投射方向D11、D22は、例えば、120°以上の開きOfの焦点を含む放射線撮影設備400、又は、10°から60°の間で開きの合計が120°以上の、角度pに対応する2つの焦点を含む放射線撮影設備400を想定することが可能である。同様に、
図5に示される放射線撮影設備400は、焦点F1に関連付けられたイメージセンサC11を含み、その投射方向D11は、移動方向Tに対して10°から60°の範囲の開き角度βをなす。
【0210】
放射線イメージセンサCiは、マトリクス又はリニアタイプである。
【0211】
実施形態の1つの好ましい変形例によれば、放射線撮影設備400は、リニアイメージセンサを含む。この好ましい変形例によれば、各放射線イメージセンサCiは、関連付けられた焦点Fjで、投射方向Djiを含む投射平面Pjiを定義する支持直線Liに沿って分布した複数のX線感応放射線素子の直線配列を含む(
図2)。これらの複数の放射線イメージセンサCiは、これらの複数の放射線イメージセンサのそれぞれの少なくともm個の放射線撮影感応素子が、関連付けられた焦点Fjに由来するX線ビームによって検査対象領域の放射線投射を、互いに異なりかつ搬送平面Pcに平行でない異なる複数のイメージセンサについての複数の投射平面Pjiで受け取るように配置されている。各リニア放射線イメージセンサの感応素子の数mは、128より大きく、好ましくは512より大きい。隣接する放射線撮影感応素子間の距離(ピッチと呼ばれる)及び/又は放射線感応素子の寸法は、好ましくは800μmよりも小さい。複数の画像の列の読み取り周波数は、好ましくは100Hzよりも大きく、有利には1kHzよりも大きい。もちろん、これらのパラメータは、容器のサイズ、所望の精度及び走行速度に応じて調整される。
【0212】
1つの有利な実施形態の特徴によれば、少なくとも3つのリニア放射線イメージセンサCiの支持直線Liは、互いに平行である。
【0213】
別の有利な実施形態の特徴によれば、少なくとも3つのリニア放射線イメージセンサCiの支持直線Liは、搬送平面Pcに直交する。
【0214】
1つの変形例によれば、焦点Fjは、そのビームが検査領域を、次に搬送平面Pcを通り抜けるように配置される。加えて、少なくとも1つの関連付けられたリニア放射線イメージセンサCiは、搬送平面Pcに対して焦点Fjの反対側に、そして、その支持直線Liが搬送平面Pcと平行になるように、配置される。
【0215】
実施形態の複数のリニア放射線イメージセンサを用いたこれらの変形例によれば、取得システムは、少なくとも3つのリニア放射線イメージセンサCiのそれぞれを使用して、軌道上の各容器の各増分変位で、各容器について、検査対象領域全体が複数の線形放射線画像のセットにおいて完全に表されるように選択された数に基づく検査対象領域の線形放射線画像を取得する。そのため、容器の移動中に、各放射線イメージセンサは、容器の検査対象領域全体が、上記イメージセンサから得られた複数の線形放射線画像のセットにおいて完全に表されるように、複数の線形放射線画像を取得することができる。そのため、各容器について、検査対象領域の複数の線形放射線画像の少なくとも3セットが得られ、その後分析される。検査領域の複数のマトリクス放射線画像は、複数の線形放射線画像の複数のセットを並置することにより作成することが可能である。ただし、幾何モデルの再構築と測定とは、必ずしもそれを強いるものではない。
【0216】
通過された体積Vtを考慮に入れると、移動方向Tのどちらかの側に位置する盲点領域(β<±10°)において放射線投射が取得されないことに留意されたい。放射線撮影設備400により、この角度範囲における放射線投射がないにもかかわらず、例えば推測的幾何モデルのおかげで、容器の正確かつ完全なデジタル幾何モデルを再構築することが可能となる。そのため、デジタル幾何モデル全体に渡って、特に、取りうる複数の投射方向に直交しない複数の方向に沿って、複数の直線寸法の測定を行うことが可能となり、上記測定には、移動方向Tのどちらかの側に位置する盲点領域に対応する欠落した複数の投射方向に直交する複数の測定方向に沿った直線寸法の測定が含まれる。
【0217】
増分変位とは、2つの連続する画像の取得間で、容器によって実行された変位である。複数の容器の所定の走行速度について、増分変位は、複数のイメージセンサの読み取り速度によって下方に制限される。このパラメータは、複数のリニアイメージセンサの垂直解像度と(又は複数のマトリクスイメージセンサの水平及び垂直解像度と)組み合わされており、デジタル幾何モデルの複数の測定点の密度を、最終的には、検査対象領域の寸法特徴の空間解像度及び測定精度を調整する。例えば、増分変位は、0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満であってよく、これは、複数の容器の1mmの移動中に複数のイメージセンサが5回読み取られることを意味する。
【0218】
もちろん、焦点の数、各焦点に関連付けられた放射線イメージセンサの数、及びそれらの相対的な配置は、所望の測定精度、容器の形状、及びコンベヤ上の容器の間隔に応じて、適切な方法で選択される。
【0219】
放射線撮影設備400により、複数の異なる方向の少なくとも3つのX線投射によって、また、最適で高速でかつ十分に正確な計算のために、高速かつ非接触で、走行する複数のガラス容器の(寸法検査のための)複数の寸法測定が可能となる。
【0220】
ガラス製品では、異なる複数の容器のいくつかのシリーズが、同時に同じ検査ライン上に存在する可能性があることに留意されたい。放射線撮影設備400は、いくつかの異なるシリーズ、例えば第1のシリーズ及び第2のシリーズから構成される複数の容器のフローを検査するために使用されうる。この場合、放射線撮影設備400は、本発明の方法を同じシリーズの全ての容器に実行するために、複数の容器それぞれが属するシリーズを、コンピュータシステム600に示すための指示システムを含む。換言すると、複数の容器の各シリーズの推測的幾何モデルをコンピュータシステムに利用可能とすることが提供され、コンピュータシステムは、各容器の複数の放射線画像をそれが属するシリーズに関連付けるように適合されている。
【0221】
各ステーションにおいて、このステーションに関連付けられている輸送装置のセクションと複数の容器との接触区域は、特に、複数の光線により光学検査を実行するリング検査ステーション、底部検査ステーション、及びショルダー及び/又は本体検査ステーションについて、好ましくはこのステーションにおける複数の容器の検査対象区域とは異なっている。
【0222】
加えて、上述した検査ラインにおいて、複数の容器は、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの3つのステーションで検査ラインにおける垂直方向の移動なしで輸送され、かつ、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの間でも検査ラインにおける垂直方向の移動なしで輸送されることが可能である。これにより、ラインの設計が簡素化され、そのコストが削減され、高レートが可能になり、フォーマット変更操作が簡素化される。
【0223】
特に、上述したような設備を実行する検査ラインでは、複数の容器が、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの3つのステーションにおいて、自身の中心軸を中心とする制御された回転なしで運ばれることが提供され、これにより、容器の中心軸A2を中心とする360度に渡る複数の直線寸法の検査及び測定のための検査が可能となる。加えて、そして好ましくは、上述したような上記設備に実装される検査ラインにおいて、複数の容器が、リング検査ステーション、底部検査ステーション、及び放射線撮影測定ステーションの間において、制御された回転なしで運ばれることが提供されることが可能となる。
【0224】
例えば、文献EP2368861又はWO2008101492において、複数の容器のシリーズの各容器が固有の識別子を持つことが既に提案されている。この固有の識別子は、各容器について、少なくとも容器の生産データ、及び/又はタイムスタンプ及び/又は容器が形成された型の数及び/又は容器が形成されたセクション又はキャビティの数と結び付けられるか、又はそれを含む。この場合、検査ラインが、検査ラインによって検査された複数の容器の固有の識別子の少なくとも1つの読取機を含むことが提供されうる。コンピュータシステム600が提供されることが可能であり、それは、
リング検査設備から、検査された容器についての少なくとも1つのリング検査情報と、
底部検査設備から、検査された容器についての少なくとも1つの底部検査情報と、
放射線撮影測定設備から、検査された容器についての少なくとも1つの直線寸法測定値と、
を受け取る。
【0225】
この場合、コンピュータシステムは、シリーズにおける検査された全部の容器について、容器の固有の識別子、この検査された容器についての上記少なくとも1つのリング検査情報、上記少なくとも1つの底部検査情報、及び上記少なくとも1つの直線寸法測定値にリンクするコンピュータレポートを作成するように、かつ、そのレポートが、その後、好ましくは容器の寿命を通して、例えば少なくともエンドカスタマーによる取得までは、したがって、通常は数週間、好ましくは数か月、さらには数年、アクセス可能なままであるように、このコンピュータレポートを電子メモリに保存するように、構成されうる。
【0226】
もちろん、検査ラインが、ショルダー及び/又は本体検査設備を含む場合、検査された容器についてのショルダー及び/又は本体検査情報もまたコンピュータシステムによって受信され、かつ、コンピュータレポートにおける他の情報にも関連していることが有利に提供される。
【0227】
例えば、コンピュータレポートは、その固有の識別子によって容器が認識されうるこの場合、これらのデータが同じ要素に関連するものとしてリンクされているデータベースの一部でありうる。容器についてのコンピュータレポートは、他のデータ、特に、例えば、成型の場所、日付、時間、分、秒、及び/又は製造機械、キャビティなどを識別することを可能にする製造データ、を含むことができる。後で、他のデータ、例えば、データのファイリング、配布、マーケティング、使用又はリサイクルを、コンピュータレポートに集約できる。コンピュータレポートはブロックチェーンに統合できるため、偽造不可能なトレーサビリティを確保できる。
【0228】
さらに、有利には、コンピュータシステム600は、シリーズの複数の容器のグループの複数のコンピュータレポートに対してコンピュータ処理を行うように構成されうる。この処理は統計処理でありうる。また、コンピュータシステムは、シリーズの複数の容器のグループの複数のコンピュータレポートに対するこのコンピュータ処理に基づいて、複数の容器の生産のパラメータに対する修正動作を制御するように構成されうる。
【0229】
実施形態の1つの有利な特徴によれば、コンピュータシステムは、検査対象領域の直線測定に基づいて、及び/又は1つ又は複数の検査情報に基づいて、複数の容器を分類するための装置に接続されうる。そのため、この分類装置は、測定された複数の直線寸法を検討して、欠陥があるとみなされた複数の物体を輸送装置から取り出すことができる。
【0230】
本発明は、記載及び図示された例に限定されることなく、その範囲から逸脱しない範囲で様々な変更を加えることができる。