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特許7543315HIVに感染した細胞に対する選択的細胞毒性薬としてのピリジノン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】HIVに感染した細胞に対する選択的細胞毒性薬としてのピリジノン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20240826BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240826BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240826BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240826BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240826BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
C07D401/06 CSP
A61K31/506
C07D401/14
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P31/18
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021568904
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 US2020033358
(87)【国際公開番号】W WO2020236692
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】62/851,269
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(72)【発明者】
【氏名】コンベルソ,アントネラ
(72)【発明者】
【氏名】エル・マローニ,アブデラティフ
(72)【発明者】
【氏名】フォルスター,アシュレー
(72)【発明者】
【氏名】フリーエ,ジェシカ・エル
(72)【発明者】
【氏名】ハンター,デイビッド・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チョン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,デピン
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533123(JP,A)
【文献】特許第7045528(JP,B2)
【文献】特表2002-513004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0056535(US,A1)
【文献】特表2011-503230(JP,A)
【文献】特表2017-512802(JP,A)
【文献】野崎正勝 等,創薬化学,第1版,株式会社化学同人,1995年,p.98-99
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/06
A61K 31/506
C07D 401/14
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
〔式中、
は、H、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルであり;
はCNであり、及び、RはHであるか;又は、RはHであり、及び、RはCNであり;
は、-H、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルであり;
は、-H、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルであり;
は、ハロであるか、又は、1~9の-Fで置換されている-C1-6アルキルであり;
は、-H又は-C1-3アルキルであり;
は、-H、ハロ又は-C1-3アルキルであり;そして、
は、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OC1-3アルキルで置換されている-C1-6アルキルである〕
で表される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
が、ハロであるか、又は、1~7の-Fで置換されている-C1-3アルキルである、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
が、H又は-CHである、請求項2に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
が、-H又はハロである、請求項3に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
が、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OC1-3アルキルで置換されている-C1-4アルキルである、請求項4に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
構造式II:
【化2】
で表される化合物又は薬学的に許容されるその塩である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
が、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルである、請求項6に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
が、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルである、請求項7に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
が、-Hである、請求項7に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
が、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルである、請求項7に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
が、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルである、請求項10に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
構造式III:
【化3】
で表される化合物又は薬学的に許容されるその塩である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
が、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルである、請求項12に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
が、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルである、請求項13に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
が、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルである、請求項13に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
が、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルである、請求項15に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
以下の
【表1】
である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】
以下の化合物である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩;
【化4】
【請求項19】
有効量の請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項20】
有効量の1以上の付加的なヌクレオシド又はヌクレオチドHIV逆転写酵素阻害薬、ヌクレオシド又はヌクレオチド逆転写酵素転座阻害薬、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害薬、HIVインテグラーゼ阻害薬、HIV融合阻害薬、HIV侵入阻害薬及びHIV成熟阻害薬をさらに含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
HIVによる感染を治療する、又は、AIDS若しくはARCの発症若しくは進行を治療する、予防する若しくは遅延させるための請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
HIVに感染した細胞内でGAG-POL二量体化を誘発させるための請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
HIVナイーブ細胞に対する細胞毒性を伴うことなくHIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺すための請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
1以上の適合性HIV抗ウイルス薬を投与することによってHIVウイルス血症が抑制されているヒト対象者におけるHIVウイルス血症の抑制を増強する方法に使用するための請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記ヒト対象者に、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害薬、ヌクレオチドHIV逆転写酵素阻害薬、ヌクレオシド逆転写酵素転座阻害薬、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害薬、HIVインテグラーゼ阻害薬、HIV融合阻害薬、HIV侵入阻害薬及びHIV成熟阻害薬から選択される有効量の1以上の付加的な適合性HIV抗ウイルス薬を投与することをさらに含む、請求項21~24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
ヒト対象者においてHIVによる感染を治療するための又はAIDS若しくはARCの発症若しくは進行を治療する、予防する若しくは遅延させるための医薬の製造における、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項27】
ヒト対象者において、HIVに感染した細胞内でGAG-POL二量体化を誘発させるための医薬の製造における、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項28】
ヒト対象者においてHIVナイーブ細胞に対する細胞毒性を伴うことなくHIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺すための医薬の製造における、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項29】
1以上の適合性HIV抗ウイルス薬によってHIVウイルス血症が抑制されているヒト対象者におけるHIVウイルス血症の抑制を増強するための医薬の製造における、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質である。ウイルス抑制がない場合、HIVに感染したヒトは重症の免疫不全を示し、この免疫不全によってそのHIVに感染したヒトは非常に衰弱し、最終的には致命的な日和見感染症に極めて罹患しやすくなる。ウイルス量のマルチログ減少(multi-log reduction)を示す臨床的に承認された複数の抗レトロウイルス薬が利用可能である。治療を受けた患者は、利用可能な治療法に対して体内のウイルスを耐性にする突然変異を獲得するリスクがあり、及び、治療を中止するとウイルス血症の急速なリバウンドが見られる。これらのことは、現在のレジメンが治癒的ではないことを示している。
【0002】
HIVは、レトロウイルスであり、そのライフサイクルには、逆転写酵素として知られる酵素を介したウイルスRNAゲノムのDNAへの逆転写と、それに続くウイルスにコードされたインテグラーゼを介したDNAコピーの宿主染色体DNAへの組み込みが含まれている。ウイルスRNAは転写され、そして、ウイルスタンパク質は、ウイルスアクセサリータンパク質と併せて宿主細胞機構を使用して翻訳される。多くのウイルスタンパク質がGAG及びGAG-POLタンパク質に含まれており、ここで、GAGは構造タンパク質を含んでおり、GAG-POLはGAGのカルボキシ末端近くのフレームシフトに由来し、そして、構造タンパク質に加えて、プロテアーゼ(PR)、逆転写酵素(RT)及びインテグラーゼ(IN)ウイルス酵素を含む。GAG及びGAG-POLは、感染細胞からのビリオンの出芽中に生じる成熟プロセスを通して、個々のタンパク質に切断される。この時点で、GAG-POLは二量体化し、GAG-POL二量体内の二量体のHIV PRは活性酵素を形成し、その活性酵素が、ポリタンパク質からそれ自体を切断することができ、そして、さらなる切断を触媒して残りのウイルス酵素と構造タンパク質を形成することができる。
【0003】
利用可能な抗レトロウイルス薬は、ウイルスのライフサイクルの異なる段階でウイルスをブロックすることによって作用する。例えば、逆転写酵素阻害薬は、ウイルス逆転写酵素を標的とし、そして、RNAゲノムがDNAにコピーされるのを防止し、インテグラーゼ阻害薬は、コピーされたDNAが宿主細胞内に組み込まれる能力をブロックし、そして、プロテアーゼ阻害薬は、ウイルスの成熟を防止し、それによって、プロテアーゼ阻害薬で処理された細胞から生成されるビリオンは、未成熟で非感染性である。組み込みが行われると、細胞は感染し、そして、正常な細胞死経路若しくはウイルス因子に起因する加速された死によって死ぬか、又は、免疫系によって標的化される。感染した殆どの細胞は、感染後約2日以内に死ぬと予期されるが、治療を中止した場合にウイルス血症が急速にリバウンドすることは、何年も治療を続けた後でも感染細胞が残っていることを示している(例えば、「J.B.Dinosoら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2009,106(23):9403-9408」)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】J.B.Dinosoら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2009,106(23):9403-9408
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、HIVに感染した細胞を選択的に殺すことができる新しい治療法は、HIV感染に対する新しい治療オプションを提供するであろう。HIVに感染した細胞の死を加速させることが可能な及び患者体内に存続するウイルス感染細胞の総数を減らすことが可能な化合物による治療は、抑制された患者における低レベルのウイルス血症を低減させる可能性を有し、そして、HIV治療戦略においても役割を果たし得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ピリジノン誘導体を対象とし、及び、HIVナイーブ細胞(naive cells)に対する細胞毒性を伴うことなくHIV GAG-POL発現細胞の死を加速させる小分子活性化細胞根絶(Small Molecule Activated Cell Kill)(SMACK)剤としてのそれらの使用を対象とする。従って、本明細書中に開示されている化合物は、HIVによる感染の治療、又は、AIDS若しくはAIDS関連症候群(ARC)の発症若しくは進行の治療、予防若しくは遅延に、有用である。さらに、これらの化合物は、HIVに感染した対象者においてHIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺すのに有用である。本開示の化合物を含む組成物及び使用方法も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、ピリジノン誘導体化合物、及び、HIVナイーブ細胞に対する細胞毒性を伴うことなくHIV GAG-POL発現細胞の死を加速させるためのそれらの使用を対象とする。本発明に由来する化合物のような化合物が存在しない場合、PR活性化はウイルス成熟中に起こり、そして、細胞質中の成熟PRの濃度は制限される。対照的に、本発明の化合物は、未成熟RT結合部位に結合し、出芽前の宿主感染細胞内のHIV PR酵素の時期尚早の活性化を誘発させることにより、感染細胞内のGAG-POL二量体化を触媒することによって、所望の表現型を促進させる。結果として、PRはその細胞内の宿主基質を切断し、細胞毒性と細胞死を引き起こす。この効果は、インジナビル又はダルナビルのようなHIVプロテアーゼ阻害薬の存在下でブロックされ得、このことは、当該プロセスにおけるHIVプロテアーゼの役割を示している。
【0008】
本明細書中に現在開示されている化合物は、ウイルスRT酵素の活性部位の近くの成熟疎水性ポケットに化合物が結合することを可能にするHIVにおける成熟RTポケットと未成熟RTポケットの間の相同性に起因して、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NNRTI)としての活性も有する。成熟したRTに結合することで、酵素活性が阻害され、DNAプロウイルスが産生され、これによって、ナイーブCD4+T細胞の感染が防止される。
【0009】
RT及びGAG-POLの二量体化に対するNNRTIの効果は文書化されているが(Tachedjianら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2001,98(13):7188;Tachedjianら、FEBS Lett.2005,579:379;Figueiredoら、PLOS Path.2006,2(11):1051;Sudoら、J.Virol.2013,87(6):3348)、促進された二量体化の結果としてのHIV感染細胞の選択的死滅は、Jochmansら(Jochmansら、Retrovirology 2010,7:89)によって最初に報告された。その著者らは、慢性的に感染しているMT-4細胞、PBMC及びCD4+細胞におけるこれらの効果を示すデータを生成した。試験された分子の効力に基づいて、彼らは、「これらのデータは、標的化薬物によって誘発されるHIV産生細胞の排除に関する概念を実証している。NNRTI自体は治療への適用に対して充分には強力でない可能性があるが、結果は、この作用機序を利用する薬剤の開発のための基礎を提供する。」と結論付けた。最近では、Zerbatoら(Zerbatoら、Antimicrob.Agents Chemother.2017,61(3))は、HIV潜伏に関する一次細胞モデルにおいてNNRTIの活性を測定した。彼らは、別のクラスの抗レトロウイルス薬と比較して、特定のNNRTIにおいてウイルス産生が大幅に減少していることを確認し、そして、これは、HIV GAG-POLタンパク質を発現する細胞を排除するこれらの化合物の能力によるものであると推測した。
【0010】
本開示は、式I
【化1】
【0011】
〔式中、
は、H、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルであり;
はCNであり、及び、RはHであり;又は、RはHであり、及び、RはCNであり;
は、-H、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルであり;
は、-H、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルであり;
は、ハロであるか、又は、1~9の-Fで置換されている-C1-6アルキルであり;
は、-H又は-C1-3アルキルであり;
は、-H、ハロ又は-C1-3アルキルであり;そして、
は、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OC1-3アルキルで置換されている-C1-6アルキルである〕
で表される化合物又は薬学的に許容されるその塩を対象とする。
【0012】
本開示の実施形態1は、構造式II(式Iにおいて、RはCNであり、及び、RはHである):
【化2】
【0013】
〔式中、R、R、R、R、R及びRは、式Iにおいて定義されているとおりである〕
で表される式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩である。
【0014】
本開示の実施形態2は、式I又は式IIで表される化合物又は前記のそれぞれの薬学的に許容される塩であり、ここで:
は、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルである。実施形態2のクラス1では、Rは、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルである。実施形態2のクラス2では、Rは、ハロ、-CHであるか、又は、1~3のFで置換されている-CHである。
【0015】
本開示の実施形態3Aは、式I、式II、実施形態2又はそれらの任意のクラスの化合物又は前記のそれぞれの薬学的に許容される塩であり、ここで、Rは、-Hである。
【0016】
本開示の実施形態3Bは、式I、式II、実施形態2又はそれらの任意のクラスの化合物又は前記のそれぞれの薬学的に許容される塩であり、ここで、Rは、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル又は置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルである。そのクラス1では、Rは、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルである。そのクラス2では、Rは、ハロ又はCHである。
【0017】
本開示の実施形態4は、構造式III(式Iにおいて、RはHであり、及び、RはCNである):
【化3】
【0018】
〔式中、R、R、R、R、R及びRは、式Iにおいて定義されているとおりである〕
で表される式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩である。
【0019】
本開示の実施形態5Aは、式I又は式IIIで表される化合物又は前記のそれぞれの薬学的に許容される塩であり、ここで:
は、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルである。そのクラス1では、Rは、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルである。そのクラス2では、Rは、ハロ又はCHである。
【0020】
本開示の実施形態5Bは、式I又は式IIIで表される化合物又は前記のそれぞれの薬学的に許容される塩であり、ここで:
は、ハロ、-NH、-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)、-C3-6シクロアルキル、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキル、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-OC1-3アルキルである。そのクラス1では、Rは、ハロ又は置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルである。そのクラス2では、Rは、ハロ、-CHであるか、又は、1~3のFで置換されている-CHである。
【0021】
本開示の実施形態6は、式I、式II、式III又は実施形態2、実施形態3A、実施形態3B、実施形態5A若しくは実施形態5B又はそれらの任意のクラスの化合物又は前記のそれぞれの薬学的に許容される塩であり、ここで、Rは、ハロであるか、又は、1~9の-Fで置換されている-C1-4アルキルである。そのクラス1では、Rは、ハロであるか、又は、1~7の-Fで置換されている-C1-3アルキルである。そのクラス2では、Rは、ハロであるか、又は、1~5の-Fで置換されている-C1-2アルキルである。
【0022】
本開示の実施形態7は、式I、式II、式III又は実施形態2、実施形態3A、実施形態3B、実施形態5A、実施形態5B若しくは実施形態6又はそれらの任意のクラスの化合物又は前記のそれぞれの薬学的に許容される塩であり、ここで、Rは、H又は-CHである。
【0023】
本開示の実施形態8は、式I、式II、式III、実施形態2、実施形態3A、実施形態3B、実施形態5A、実施形態5B、実施形態6又は実施形態7又はそれらの任意のクラスの化合物又は前記のそれぞれの薬学的に許容される塩であり、ここで、Rは、-H又はハロである。
【0024】
本開示の実施形態9は、式I、式II、式III、実施形態2、実施形態3A、実施形態3B、実施形態5A、実施形態5B、実施形態6、実施形態7又は実施形態8又はそれらの任意のクラスの化合物又は前記のそれぞれの薬学的に許容される塩であり、ここで、Rは、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OC1-3アルキルで置換されている-C1-4アルキルである。そのクラス1では、Rは、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OC1-3アルキルで置換されている-C1-3アルキルである。そのクラス2では、Rは、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OCHで置換されている-C1-3アルキルである。
【0025】
本開示の実施形態10は、式I又は式IIで表される化合物又は薬学的に許容されるその塩であり、ここで、
は、H、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルであり;例えば、Rは、H、ハロ又はCHであり;
は、ハロ、-CHであるか、又は、1~3のFで置換されている-CHであり;
は、ハロであるか、又は、1~7の-Fで置換されている-C1-3アルキルであり、例えば、Rは、1~5の-Fで置換されている-C1-2アルキルであり;
は、-H又は-C1-3アルキルであり、例えば、Rは、H又は-CHであり;
は、-H、ハロ又は-C1-3アルキルであり、例えば、Rは、-H又はハロであり;及び、
は、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OC1-3アルキルで置換されている-C1-6アルキルであり、例えば、Rは、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OCH3で置換されている-C1-3アルキルである。
【0026】
本開示の実施形態11は、式I又は式IIIで表される化合物又は薬学的に許容されるその塩であり、ここで、
は、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルであり、例えば、Rは、ハロ又はCHであり;
は、ハロであるか、又は、置換されていないか若しくは1~7のFで置換されている-C1-3アルキルであり、例えば、Rは、ハロ、-CHであるか、又は、1~3のFで置換されている-CHであり、例えば、Rは、-CHであり;
は、ハロであるか、又は、1~7の-Fで置換されている-C1-3アルキルであり、例えば、Rは、1~5の-Fで置換されている、-C1-2アルキルであり;
は、-H又は-C1-3アルキルであり、例えば、Rは、H又は-CHであり;
は、-H、ハロ又は-C1-3アルキルであり、例えば、Rは、-H又はハロであり;及び、
は、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OC1-3アルキルで置換されている-C1-6アルキルであり、例えば、Rは、-H、ピラゾリルであるか、又は、置換されていないか又は-OH若しくは-OCHで置換されている-C1-3アルキルである。
【0027】
本明細書中における式Iで表される化合物への言及は、式Iで表される化合物、式IIで表される化合物及び式IIIで表される化合物、並びに、それらの実施形態及びクラスの化合物を包含する。式Iで表される化合物は、中性化合物であり得るか、又は、塩が可能である場合には、塩(これは、薬学的に許容される塩を包含する)の形態にあることができる。
【0028】
用語「e.g.」は、「例えば」を意味する。用語「e.g.」又は「例えば」が本明細書中で使用されている場合、挙げられている例は、例示的であることを意図しており、全ての関連する例の網羅的なリストを意図するものではない。
【0029】
本明細書中で使用されている場合、「アルキル」は、特定された範囲内の特定された数の炭素原子を有する分枝鎖及び直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を示している。例えば、用語「C1-6アルキル」は、1個、2個、3個、4個、5個又は6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基(これは、全ての可能な異性体を包含する)を意味し、そして、ヘキシル異性体及びペンチル異性体のそれぞれを包含し、並びに、n-、イソ-、sec-及びtert-ブチル(ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、集合的に「Cアルキル」; Bu=ブチル)、n-及びイソ-プロピル(プロピル、i-プロピル、集合的に「Cアルキル」;Pr=プロピル)、エチル(Et)及びメチル(Me)を包含する。「C1-4アルキル」は、1個、2個、3個又は4個の炭素原子を有し、そして、n-、i-、s-及びt-ブチル、n-及びi-プロピル、エチル及びメチルのそれぞれを包含する。「C1-3アルキル」は、1個、2個又は3個の炭素原子を有し、そして、n-プロピル、i-プロピル、エチル及びメチルのそれぞれを包含する。
【0030】
「シクロアルキル」は、特定された範囲内の示された数の炭素原子を有する環化アルキル環を示している。従って、例えば、「C3-6シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルのそれぞれを包含し、「C3-4シクロアルキル」は、シクロプロピル及びシクロブチルのそれぞれを包含する。
【0031】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ又はヨードを示している。クロロ、フルオロ及びブロモは、重要なクラスのハロゲンであり、特に、クロロ及びフルオロである。
【0032】
「HIVナイーブ細胞(HIV naive cell(s))」は、HIVに感染しない細胞である。
【0033】
「適合性抗HIV薬(compatible anti-HIV agent(s))」は、HIVプロテアーゼ阻害薬を除く抗HIV薬である。
【0034】
「安定な」化合物は、調製すること及び単離することが可能で、且つ、当該化合物を本明細書中に記載されている目的(例えば、被験者に対する治療的投与又は予防的投与)に関して使用することを可能とするのに充分な期間にわたってその構造及び特性が本質的に変化しないでいるか又は本質的に変化しない状態におくことが可能な化合物である。本開示の化合物は、式I及びその実施形態に包含される安定な化合物に限定される。例えば、式Iにおいて定義されている特定の部分は、置換されていなくてもよいか又は置換されていてもよく、ここで、後者は、その部分に関して化学的に可能であって、安定な化合物をもたらす置換パターン(即ち、置換基の数及び種類)を包含することが意図されている。
【0035】
本開示は、個々のジアステレオマー、特に、エピマー、即ち、同じ化学式で表されるが、単一の原子の周りの空間配置が異なっている化合物を包含する。本開示は、さらに、全ての比率におけるジアステレオマーの混合物、特に、エピマーの混合物も包含する。本開示は、1つの不斉中心における、及び、式Iで表される化合物内に存在し得る任意の付加的な不斉中心における、(R)立体配置又は(S)立体配置のいずれかを有する式Iで表される化合物並びにそれらの立体異性体混合物を包含する。本開示の実施形態は、さらに、51%以上のエナンチオマーの1種類で濃縮された(例えば、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上の1種類のエナンチオマーを含む)、エナンチオマーの混合物も包含する。単一のエピマーが好ましい。個々の又は単一のエナンチオマーは、キラル合成によって並びに/又は一般に知られている分離及び精製技術を使用して得られたエナンチオマーを示しており、これは、100%の1種類のエナンチオマーであり得るか、又は、少量(例えば、10%以下)の反対のエナンチオマーを含んでいてもよい。かくして、純粋な形態(左旋性鏡像体及び右旋性鏡像体の両方として)にある個々のエナンチオマー、ラセミ化合物の形態にある個々のエナンチオマー、及び、全ての比率における2種類のエナンチオマーの混合物の形態にある個々のエナンチオマーは、本発明の対象である。シス/トランス異性の場合、本開示は、シス形態及びトランス形態の両方並びに全ての比率におけるこれら形態の混合物を包含する。
【0036】
個々の立体異性体の調製は、必要に応じて、慣習的な方法(例えば、クロマトグラフィー又は結晶化)で混合物を分離させることによって、又は、合成に際して立体化学的に均一な出発物質を使用することによって、又は、立体選択的な合成によって、実施することができる。場合により、立体異性体の分離に先立って誘導体化を実施することができる。立体異性体の混合物の分離は、式Iで表される化合物の合成中に中間体の段階で実施することができるか、又は、最終的なラセミ生成物に対して実施することができる。絶対立体化学は、結晶質生成物又は結晶質中間体(これらは、必要に応じて、立体配置が知られている立体中心を含む試薬を用いて誘導体化する)をX線結晶学に付すことによって確認することができる。あるいは、絶対立体化学は、振動円二色性(VCD)分光法分析によって確認することもできる。本開示は、そのような全ての異性体、並びに、そのようなラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー及び互変異性体の塩、溶媒和物(これは、水和物を包含する)及び溶媒和塩、並びに、それらの混合物を包含する。
【0037】
当業者には認識されるように、本開示の特定の化合物は、互変異性体として存在し得る。そのような化合物の全ての互変異性形態は、個別に単離されたか又は混合物で単離されたかにかかわらず、本開示の範囲内にある。例えば、オキソ(=O)置換基がヘテロ芳香族環上で可能であり且つケト-エノール互変異性が可能である場合、その置換基が実際には全体的又は部分的に-OHの形態で存在し得ることは理解される。
【0038】
式Iで表される化合物内の原子は、それらの天然の同位体存在度を示していてもよく、又は、1個以上の原子が同じ原子数を有するが原子質量若しくは質量数が天然において主に見いだされる原子質量若しくは質量数とは異なっている特定の同位体に人工的に濃縮されていてもよい。本開示は、一般式Iで表される化合物の全ての適切な同位変異を包含することが意図されており;例えば、水素(H)の種々の同位体形態としては、プロチウム(H)及び重水素(H)を含む。プロチウムは、天然において見られる水素の主な同位体である。重水素を濃縮することは、特定の治療上の有利点、例えば、インビボ半減期の増大若しくは必要とされる投与量の低減をもたらす場合があり、又は、生体サンプルの特性決定のための標準として有用な化合物を提供し得る。式Iで表される同位体濃縮された化合物は、当業者によく知られている慣習的な方法によって、又は、適切な同位体濃縮された試薬及び/若しくは中間体を用いて、本明細書中のスキーム及び実施例に記載されている方法と同様の方法によって、過度の実験を行うことなく調製することができる。
【0039】
化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、親化合物の有効性を有し且つ生物学的に又はそれ以外で望ましくないものではない(例えば、そのレシピエントにとって毒性はなく、それ以外の有害もない)塩を示している。式Iで表される化合物が1以上の酸性基又は塩基性基を含む場合、本発明は、その対応する薬学的に許容される塩を包含する。
【0040】
かくして、酸性基(例えば、-COOH)を含む式Iで表される化合物は、本発明に従って、例えば、限定するものではないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩として使用することができる。そのような塩の例としては、限定するものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、又は、アンモニア若しくは有機アミン(例えば、エチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン又はアミノ酸)との塩を含む。1以上の塩基性基(即ち、プロトン化され得る基)を含む式Iで表される化合物は、本発明に従って、無機酸又は有機酸とのそれらの酸付加塩の形態で、例えば、限定するものではないが、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸などとの塩の形態で使用することができる。式Iで表される化合物がその分子内に酸性基と塩基性基を同時に含む場合、本発明は、上記塩形態に加えて、分子内塩又はベタイン(両性イオン)も包含する。塩は、当業者に既知の慣習的な方法によって、例えば、溶媒若しくは分散剤の中で有機若しくは無機の酸若しくは塩基と組み合わせることによって、又は、別の塩からアニオン交換若しくはカチオン交換によって、式Iで表される化合物から得ることができる。本発明は、さらにまた、生理的適合性が低いために医薬における使用に直接的には適していないが、例えば、化学反応のための中間体として又は薬学的に許容される塩を調製するための中間体として使用することが可能な、式Iで表される化合物の全ての塩も包含する。
【0041】
本開示は、例えば、限定するものではないが、「共結晶(co-crystal)」と称され得る1以上の追加の分子成分及び/又はイオン性成分と会合した前記化合物で構成される組成物を包含する、式Iで表される化合物又はその塩である化合物で構成される任意の組成物を包含する。本明細書中で使用されている用語「共結晶」は、2以上の異なる分子成分及び/又はイオン性成分が(一般に化学量論比で)非イオン性相互作用(これは、限定するものではないが、水素結合、双極子-双極子相互作用、双極子-四重極子相互作用又は分散力(ファンデルワールス)を包含する)によって一緒に保持されている固相(結晶質であっても又はなくてもよい)を示している。異種成分の間でプロトンの移動はなく、そして、固相は、単塩でも溶媒和物でもない。共結晶に関する考察は、例えば、「S.Aitipamulaら、Crystal Growth and Design,2012,12(5),pp.2147-2152」の中に見いだすことができる。
【0042】
さらに、本開示の化合物は、アモルファス形態及び/又は1以上の結晶形態で存在することができ、従って、式Iで表される化合物及びそれらの塩の全てのアモルファス形態及び結晶形態及びそれらの混合物は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本開示の化合物の一部は、水と(即ち、水和物)又は一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。本開示の化合物のそのような溶媒和物及び水和物(特に、薬学的に許容される溶媒和物及び水和物)は、同様に、そのような化合物の非溶媒和形態及び無水形態とともに、式Iによって定義される化合物及び薬学的に許容されるその塩の範囲内に包含される。
【0043】
従って、式Iで表される化合物又はそれらの塩(これは、薬学的に許容されるその塩を包含する)、それらの実施形態、並びに、本明細書中において記載されている及び特許請求されている特定の化合物は、そのような形態が可能である場合は、全ての可能な立体異性体、互変異性体、物理的形態(例えば、アモルファス形態及び結晶形態)、共結晶形態、溶媒和物形態及び水和物形態、並びに、前記形態の任意の組み合わせを包含する。
【0044】
本開示の別の実施形態は、式Iで表される化合物であり、ここで、化合物又はその塩は、実質的に純粋な形態にある。本明細書中で使用されている場合、「実質的に純粋な」は、式Iで表される化合物又はその塩を含む生成物(例えば、化合物又は塩をもたらす反応混合物から単離された生成物)の、適切には少なくとも約60重量%、典型的には少なくとも約70重量%、好ましくは少なくとも約80重量%、さらに好ましくは少なくとも約90重量%(例えば、約90重量%~約99重量%)、さらに一層好ましくは少なくとも約95重量%(例えば、約95重量%~約99重量%、又は、約98重量%~100重量%)及び最も好ましくは少なくとも約99重量%(例えば、100重量%)が化合物又は塩で構成されていることを意味する。化合物及び塩の純度のレベルは、高性能液体クロマトグラフィー及び/又は質量分析法又はNMR技術のような標準的な分析方法を使用して測定することができる。2以上の分析方法を使用して、それらの方法が、測定された純度のレベルにおいて実験的に有意な差をもたらす場合、純度の最も高いレベルを与える方法を優先する。純度100%の化合物又は塩は、標準的な分析法によって測定したときに検出可能な不純物を含んでいない化合物又は塩である。1以上の不斉中心を有していて立体異性体の混合物として存在し得る本発明の化合物に関して、実質的に純粋な化合物は、立体異性体の実質的に純粋な混合物であることができるか又は実質的に純粋な個々の立体異性体であることができる。
【0045】
本明細書中の式Iで表される化合物及び薬学的に許容されるその塩は、HIVに感染した細胞においてGAG-POL二量体化を誘発させ、それによって、HIVナイーブ細胞に対する細胞毒性を伴うことなく、HIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺すのに有用であり、これは、本明細書中では、小分子活性化細胞根絶(Small Molecule Activated Cell Kill)(SMACK)活性と称される。かくして、式Iで表される化合物及び薬学的に許容されるその塩は、以下に対して有用である:
(i) ヒト対象者に有効量の請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、それを必要とするヒト対象者において、HIVによる感染を治療する方法、又は、AIDS若しくはARCの発症若しくは進行を治療する、予防する若しくは遅延させる方法;
(ii) ヒト対象者に有効量の請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、それを必要とするヒト対象者において、HIVに感染した細胞内でGAG-POL二量体化を誘発させる方法;及び/又は、
(iii) ヒト対象者に有効量の請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、ヒト対象者においてHIVナイーブ細胞に対する細胞毒性を伴うことなくHIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺す方法。
【0046】
さらに、式Iで表される化合物及び薬学的に許容されるその塩は、上記の方法(i)、(ii)又は(iii)のいずれにも有用であり、ヒト対象者にヌクレオシド又はヌクレオチドHIV逆転写酵素阻害薬、ヌクレオシド逆転写酵素転座阻害薬、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害薬、HIVインテグラーゼ阻害薬、HIV融合阻害薬、HIV侵入阻害薬及びHIV成熟阻害薬から選択される有効量の1以上の適合性HIV抗ウイルス薬を投与することをさらに含む。上記の(i)、(ii)及び(iii)の方法において、ヒト対象者は、1以上の適合性HIV抗ウイルス薬による治療に加えて、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩で治療される。
【0047】
式Iで表される化合物及び薬学的に許容されるその塩は、さらにまた、1以上の適合性HIV抗ウイルス薬を投与することによってHIVウイルス血症が抑制されているヒト対象者において、HIVウイルス血症の抑制を増強する方法に対しても有用であり、ここで、該方法は、ヒト対象者に有効量の請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩をさらに投与することを含む。
【0048】
本開示の別の実施形態は、以下のものを包含する:
(a) 有効量の式Iで表される化合物又は薬学的に許容されるその塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物;
(b) 有効量の式Iで表される化合物又は薬学的に許容されるその塩と薬学的に許容される担体を合する(例えば、混合させる)ことによって調製された生成物を含む医薬組成物;
(c) HIV抗ウイルス薬、免疫調節薬及び抗感染薬からなる群から選択される有効量の1以上の適合性抗HIV薬をさらに含む、(a)又は(b)の医薬組成物;
(d) 適合性抗HIV薬が、ヌクレオシド又はヌクレオチドHIV逆転写酵素阻害薬、ヌクレオシドHIV逆転写酵素転座阻害薬、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害薬、HIVインテグラーゼ阻害薬、HIV融合阻害薬、HIV侵入阻害薬及びHIV成熟阻害薬からなる群から選択される1以上の抗ウイルス薬から選択される、(c)の医薬組成物;
(e) (i)式Iで表される化合物又は薬学的に許容されるその塩、並びに、(ii)HIV抗ウイルス薬、免疫調節薬及び抗感染薬からなる群から選択される1以上の適合性抗HIV薬である、組み合わせであって;ここで、化合物及び適合性抗HIV薬は、それぞれ、HIVによる感染の治療に対して、又は、AIDS若しくはARCの発症若しくは進行の治療、予防若しくは遅延に対して組合せを効果的なものとする量で使用される;
(f) 適合性抗HIV薬が、ヌクレオシド又はヌクレオチドHIV逆転写酵素阻害薬、ヌクレオシド逆転写酵素転座阻害薬、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害薬、HIVインテグラーゼ阻害薬、HIV融合阻害薬、HIV侵入阻害薬及びHIV成熟阻害薬からなる群から選択される抗ウイルス薬である、(e)の組合せ;
(g) 治療を必要とする対象者に有効量の式Iで表される化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、HIVに感染した細胞においてGAG-POL二量体化を誘発させる方法、HIVナイーブ細胞に対する細胞毒性を伴うことなくHIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺す方法、及び/又は、HIVによる感染の治療のめの又はAIDS若しくはARCの発症若しくは進行の治療、予防若しくは遅延のための方法;
(h) 式Iで表される化合物又は薬学的に許容されるその塩が、ヌクレオシド又はヌクレオチドHIV逆転写酵素阻害薬、ヌクレオシド逆転写酵素転座阻害薬、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害薬、HIVインテグラーゼ阻害薬、HIV融合阻害薬、HIV侵入阻害薬及びHIV成熟阻害薬から選択される有効量の少なくとも1つの別の適合性HIV抗ウイルス薬と組み合わせて投与される、(g)の方法;
(i) (a)、(b)、(c)若しくは(d)の医薬組成物又は(e)若しくは(f)の組み合わせを前記対象者に投与することを含む、(g)又は(h)の方法;
(j) (1)対象者におけるHIVに感染した細胞においてGAG-POL二量体化を誘発させるための、(2)対象者におけるHIVナイーブ細胞に対する細胞毒性を伴うことなくHIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺すための、(3)対象者におけるHIVによる感染を治療するための、(4)対象者におけるAIDS又はARCの発症又は進行を治療するための、予防するための又は遅延させるための、及び/又は、(5)適合性抗HIV薬による治療を受けている対象者におけるHIVウイルス血症の抑制を増強するための、医薬の製造における式Iで表される化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用;
(k) (1)HIVに感染した細胞においてGAG-POL二量体化を誘発させること、(2)HIVナイーブ細胞に対する細胞毒性を伴うことなくHIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺すこと、(3)HIVによる感染を治療すること、(4)AIDS又はARCの発症又は進行を治療すること、予防すること又は遅延させること、(5)適合性抗HIV薬による治療を受けている対象者におけるHIVウイルス血症の抑制を増強すること、において使用するための、式Iで表される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【0049】
本発明のさらなる実施形態は、先行する段落において記載されている医薬組成物、方法及び使用のそれぞれを包含し、ここで、これらにおいて使用される式Iで表される化合物又はその塩は、実質的に純粋である。式Iで表される化合物又はその塩及び薬学的に許容される担体を含み及び場合により1以上の賦形剤も含んでいてよい医薬組成物に関して、用語「実質的に純粋な」は、式Iで表される化合物又はその塩自体に関連しているということは理解される。
【0050】
本開示の別の実施形態は、上記で記載した医薬組成物、方法及び使用であり、ここで、重要なHIVはHIV-1である。式Iで表される化合物に関して、用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、治療又は予防を必要とする個体に化合物を提供することを意味し、そして、自己投与及び別人物による患者への投与の両方を包含する。化合物が1以上の別の活性薬剤(例えば、HIV感染又はAIDSの治療又は予防に有用な抗ウイルス薬)と組み合わせて提供される場合、「投与」及びその変形は、それぞれ、化合物と別の薬剤を同時に又は異なった時間に提供することを包含するものと理解される。ある組合せからなる薬剤を同時に投与する場合、それらは、単一の組成物中で一緒に投与することができるか、又は、別々に投与することができる。
【0051】
本明細書中で使用されている場合、用語「組成物」は、指定された成分類を含む製品、及び、指定された成分類を合することによって得られる任意の製品を包含することが意図されている。医薬組成物の中に含ませるのに適している成分は、薬学的に許容される成分であり、これは、成分類が、互いに適合性を有さなくてはならないということ、及び、そのレシピエントに対して有害であってはならないということを意味する。
【0052】
本明細書中で使用されている用語「対象者(subject)」又は「患者(patient)」は、治療、観察又は実験の対象であった動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0053】
本明細書中で使用されている用語「有効量」は、HIVに感染した細胞においてGAG-POL二量体化を誘発させ、HIVナイーブ細胞に対する細胞毒性を伴うことなくHIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺すのに充分な量の化合物;及び/又は、治療効果を発揮するのに充分な量の化合物、及び/又は、投与後に予防効果を発揮するのに充分な量の化合物、を意味する。「有効量」の一実施形態は「治療有効量」であり、これは、HIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺すのに有効な、HIV感染の治療に有効な、又は、HIVに感染した患者におけるAIDS若しくはARCの発症若しくは進行の治療若しくは遅延に有効な、化合物の量である。「有効量」の別の実施形態は「予防有効量」であり、これは、HIVに感染した患者におけるAIDS又はARCの予防に有効な、化合物の量であるである。有効量が、同時に治療有効量(例えば、HIV感染の治療のための治療有効量)及び予防有効量(例えば、HIVに感染した対象者におけるAIDS又はARCを発症するリスクの予防又は低減のための予防有効量)の両方であり得ることは理解される。本明細書中で使用されている用語「予防(prevention)」は、HIV感染後におけるAIDSの可能性又は重症度を低減させることを示している。
【0054】
本発明の併用療法において、有効量は、個々の薬剤それぞれについてであり得るか、又は全体としてのその組み合わせについてであり得、ここで、組み合わせで投与される全ての薬剤の量は全体として有効であるが、組み合わせの成分の薬剤は、それが単独で投与された場合にその成分の薬剤に関して有効であると考えられるものに関して、個別的に有効量で存在していてもよく又は個別的に有効量で存在していなくてもよい。
【0055】
本発明の方法(即ち、HIVに感染したGAG-POL発現細胞を選択的に殺すこと、HIVによる感染の治療、又は、AIDS若しくはARCの発症若しくは進行の治療、予防若しくは遅延)において、本発明の化合物又はその塩は、活性薬剤とその薬剤の作用部位との接触をもたらす手段によって投与することができる。それらは、個々の治療薬として又は治療薬の組み合わせにおいて、医薬品と組み合わせて使用するために利用可能な慣習的な手段によって投与することができる。化合物は、それ自体で投与することが可能であるが、典型的には選択された投与経路及び標準的な薬務に基づいて選択された製薬用担体と一緒に投与される。本発明の化合物は、例えば、有効量の化合物と慣習的な無毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント及びビヒクルを含む医薬組成物の単位用量の形態で、経口的に(例えば、錠剤又はカプセルによって)、非経口的に(これは、例えば、皮下注射、静脈内、筋肉内又は胸骨内への注射又は注入技術を包含する)、吸入スプレーによって、又は、直腸に投与することができる。化合物は、さらにまた、有効量の化合物又は化合物の医薬組成物を長期間にわたって提供するように適合させた移植可能な薬物送達デバイスを介して投与することもできる。
【0056】
製剤
経口投与に適した固体調製物(例えば、粉末、丸剤、カプセル及び錠剤)は、当技術分野で知られている技術に従って調製することができ、そして、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの固体賦形剤を使用することができる。経口投与に適した液体調製物(例えば、懸濁液、シロップ、エリキシルなど)は、当技術分野で知られている技術に従って調製することができ、そして、水、グリコール、油、アルコールのような通常の媒体のいずれかを使用することができる。非経口用組成物は、当技術分野で知られている技術に従って調製することができ、そして、典型的には、担体として滅菌水を使用し、及び、任意に溶解助剤のような別の成分を使用する。注射可能な溶液は、当技術分野で知られている方法に従って調製することができ、ここで、その担体は、生理食塩水、グルコース溶液又は生理食塩水とグルコースの混合物を含む溶液を含む。移植可能な組成物は、当技術分野で知られている方法に従って調製することができ、ここで、その担体は、適切な賦形剤としてのポリマーと一緒に活性化学成分を含み、又は、薬物送達のための移植可能なデバイスを利用する。本発明で使用するための医薬組成物の調製において使用するのに適した方法及び組成物において使用するのに適した成分に関するさらなる説明は、「Remington-The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition,published by Pharmaceutical Press and Philadelphia College of Pharmacy at University of the Sciences,2012,ISBN 978 0 85711-062-6」及び以前の版において提供されている。
【0057】
薬物の過飽和及び/又は急速な溶解をもたらす式Iで表される化合物の製剤を利用して、経口薬物の吸収を促進することができる。薬物の過飽和及び/又は急速な溶解を引き起こすための製剤のアプローチとしては、限定するものではないが、ナノ粒子系、アモルファス系、固溶体、固体分散体及び脂質系などがある。それらを調製するためのそのような製剤アプローチ及び技術は、当技術分野において知られている。例えば、固体分散体は、概説(例えば、「A.T.M.Serajuddin,J Pharm Sci,88:10,pp. 1058-1066(1999)」)に記載されているような賦形剤及びプロセスを使用して調製することができる。摩砕と直接合成の両方に基づくナノ粒子系は、「Wuら、(F.Kesisoglou,S.Panmai,Y.Wu,Advanced Drug Delivery Reviews,59:7pp.631-644(2007))」のような概説にも記載されている。
【0058】
式Iで表される化合物は、例えば、単回投与又は分割投与で、1日当たり、又は、適切な場合には別の時間間隔で、哺乳動物(例えば、ヒト)の体重1kg当たり1~20mg、若しくは1~10mg、若しくは約5mgの投与量範囲で投与することができる。式Iで表される化合物は、単回投与又は分割投与で、1日当たり0.001~2000mgの投与量範囲で投与することができる。投与量範囲の例は、1日当たり0.01~1500mg、又は、1日当たり0.1~1000mgであり、これは、単回投与又は分割投与で経口的に又は別の投与経路を介して投与される。
【0059】
経口投与経路(例えば、錠剤又はカプセル)又は別の投与経路の場合、その投薬単位は、100~1500mgの有効成分を含むことができ、例えば、治療を受ける患者への投与量を症状に合わせて調節するために、限定するものではないが、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400又は1500mgの有効成分を含むことができる。さらに、化合物は、即時放出又は改変された放出(例えば、持続放出又は制御放出)のための経口用製剤に製剤することができる。式Iで表される化合物が塩として投与される場合、ミリグラム又はグラムでの化合物の量への言及は、化合物の遊離形態(即ち、非塩形態)に基づいている。
【0060】
毎日の投与は、任意の適切な投与経路を介することができるが、好ましくは、経口投与を介し、そして、単回投与であることができるか、又は、各24時間の期間内で時間をずらした複数回投与であることができる(分割された1日用量)。各用量は、必要に応じて1つ又は複数の投与単位を使用して投与することができる。
【0061】
任意の特定の患者に関する特定の用量レベル及び投与頻度は異なることができ、そして、例えば、使用される特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与方法及び投与時間、排出速度、医薬の組み合わせ、特定の症状の重症度、及び、治療を受けている宿主を含む種々の要因に依存する。場合により、化合物の効力又は個々の反応に応じて、所与の用量から上向き又は下向きに逸脱することが必要であり得る。投与量及び投与頻度は、そのような要因を考慮した担当の臨床医の判断によって調節される。
【0062】
「抗HIV薬」は、HIVの阻害、HIV感染の治療若しくは予防、及び/又は、AIDS若しくはARCの発症若しくは進行の治療、予防若しくは遅延において直接的又は間接的に有効である任意の薬剤である。抗HIV薬は、HIV感染又はAIDS及び/又はそれらから生じる若しくはそれらに関連する疾患若しくは症状の発症若しくは進行を治療する、予防する又は遅延させるのに有効であると理解される。本開示は、さらに、1以上の適合性抗HIV薬(即ち、HIVプロテアーゼ阻害薬を除く抗HIV薬)と一緒に式Iで表される化合物の使用を対象とする。例えば、式Iで表される化合物は、HIV抗ウイルス薬、免疫調節薬、抗感染薬又はHIV感染若しくはAIDSの治療に有用なワクチンから選択される有効量の1以上の適合性抗HIV薬と組み合わせて投与することができる。本開示の化合物と組み合わせて使用するのに適した適合性HIV抗ウイルス薬としては、限定するものではないが、以下の表Aにおいて挙げられているものを含む:
【表1】
【0063】
本発明の化合物と適合性抗HIV薬の組み合わせの範囲は、表A中に挙げられているHIV抗ウイルス剤には限定されず、原則として、HIV、AIDS又はARCの治療又は予防に有用な任意の医薬組成物(但し、HIVプロテアーゼ阻害薬は除く)との任意の組み合わせを包含することは理解される。適合性HIV抗ウイルス薬及び別の活性薬は、典型的には、これらの組み合わせにおいて、当技術分野で報告されているそれらの慣習的な投与量範囲及びレジメンで、例えば、現在の「Physicians’ Desk Reference,Thomson PDR,70th edition(2016),Montvale,NJ:PDR Network」又はその以前の版に記載されている投与量で使用される。これらの組み合わせにおける本開示の化合物の投与量範囲は、上記で記載した投与量範囲と同じであり得る。
【0064】
本発明の化合物は、さらにまた、抗ウイルス化合物に関するスクリーニングアッセイの調製及び実行においても有用である。例えば、本発明の化合物は、より強力な抗ウイルス化合物に関する優れたスクリーニングツールである酵素変異体を単離するのに有用である。さらに、本発明の化合物は、GAG-POL内の逆転写酵素領域への別の抗ウイルス薬の結合部位を、例えば競合阻害によって確立又は確認するのに有用である。
【0065】
以下の頭字語と略語は、下記に示されている意味を有する:
【表2】
【0066】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法が、以下のスキーム及び実施例に記載されている。出発物質及び中間体は、購入したか、又は、既知の手順を使用して、若しくは、以下の5つの中間体(A、B、C、AB及びBC)のセクションに示されているようにして製造した。式Iで表される化合物への頻繁に適用される経路は、以下のスキームに記載されている。
【0067】
スキーム1
【化4】
【0068】
スキーム1は、式Iで表される化合物を調製するための方法を表している。中間体ABは、中間体ABのセクションに示されている手順を用いて調製する。適切なピリジノンベンジル型アルコール又はハロゲン化物(中間体C)を使用したミツノブ反応又はアルキル化によって、中間体ABCが得られる。中間体Cは、通常、スキーム1においてZとして示されている保護された(PG’)ピリジノン部分を有している。Cの合成は、中間体Cのセクションに示されている。得られた中間体ABCは、場合により、付加的な修飾に付し、続いて脱保護段階に付して式Iで表される化合物を得ることができる。
【0069】
スキーム2
【化5】
【0070】
スキーム2は、式Iで表される化合物を調製するための別の方法を示している。中間体A(市販されているか、又は、中間体Aのセクションの手順を使用して調製した)と中間体BC(中間体BCのセクションに示されている手順で製造した)の間のSNAr反応を使用して中間体ABCを製造する。ピリジノンC環は、一般に、メチル基又はPMB基のような保護基(PG’)で保護する。次いで、得られた中間体ABCは、場合により、付加的な修飾に付し、続いて、脱保護段階に付して式Iで表される化合物を得ることができる。
【0071】
湿気又は空気に感応性を示す反応は、無水溶媒及び無水試薬を使用して窒素下又はアルゴン下で実施した。マイクロ波照射を使用して実施された反応は、通常、Emrys Optimizer(製造元:Personal Chemistry)又はInitiator(製造元:Biotage)を使用して実施した。溶液の濃縮は、減圧下、ロータリーエバポレーター上で実施した。
【0072】
反応の進行は、分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)〔これは、通常、以下のものを用いて実施される:E.MerckプレコートTLCプレート、シリカゲル60F-254、層厚0.25mm〕又は分析用液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)のいずれかによって確認した。典型的には、使用した分析用LC-MSシステムは、オートサンプラーを有するAgilent 1100シリーズ HPLCを使用した陽イオン検出モードでのエレクトロスプレーイオン化を備えたWaters ZQTMプラットフォームで構成されていた。カラムは、通常、Waters Xterra MS C18、3.0×50mm、5μm、又は、Waters Acquity UPLC(登録商標)BEH C18 1.0×50mm、1.7μmであった。流量は、1mL/分であり、注入量は、10μLであった。UV検出は、210-400nmの範囲であった。移動相は、溶媒A(水+0.05%TFA)と溶媒B(アセトニトリル+0.05%TFA)からなり、勾配は以下のとおりであった:0.7分間100%溶媒A、3.75分間かけて100%溶媒Bに変更、1.1分間維持、次に、0.2分間かけて100%溶媒Aに復帰。LC/MSの測定は、TUV及びMS検出器とWaters SQD質量分析計を備えたWaters Classing Aquityシステム、Shimadzu 2010若しくは2020質量分析計を備えたShimadzu 20UV254及び220nM、又は、DAD/ELSD及びG6110MSDを備えたAgilent 1200HPLCで、以下の条件のうちの1つを使用して実施した:(1)Ascentis Express C18(3×50mm) 2.7μmカラム、使用した移動相:A:水中0.05%トリフルオロ酢酸及びB:アセトニトリル中0.05%トリフルオロ酢酸を含む、勾配:6分間かけて90:10(A:B)→5:95(A:B)、流量1.8mL/分、UV検出210nm;(2)Aquity BEH C18、(1.0×50mm) 1.7μmカラム、使用した移動相:A:水中0.05%トリフルオロ酢酸及びB:アセトニトリル中0.05%トリフルオロ酢酸を含む、勾配:2分間かけて90:10(A:B)→5:95(A:B)、流量0.3mL/分、UV検出215nm;(3)Agilent YMC J’Sphere H-80(3×50mm) 5μmカラム、使用した移動相:A:水中0.1%トリフルオロ酢酸及びB:アセトニトリルを含む、勾配:3.6分間かけて95:5(A:B)→0:100(A:B)、及び、0.4分間0:100(A:B)、流量1.4mL/分、UV検出254及び220nm、並びに、Agilent 1100四重極質量分析計;(4)Agilent TC-C18(2.1×50mm) 5μmカラム、使用した移動相:A:水中0.0375%トリフルオロ酢酸及びB:アセトニトリル中0.01875%トリフルオロ酢酸を含む、勾配:0.4分90:10(A:B)から3分間かけて90:10→0:100(A:B)及び0.6分間10:90(A:B)、流量0.8mL/分、UV検出254及び220 nm、並びに、Agilent 6110四重極質量分析計。
【0073】
分取HPLC精製は、通常、質量分析指向システム(mass spectrometry directed system)又は非質量誘導システム(non-mass guided system)のいずれかを使用して実施した。通常、それらは、以下のものからなるLC-MSシステムで構成された「Waters Chromatography Workstation」で実施した:Electrospray Ionizationを備えたWaters ZQTM single quad MS system、Waters 2525 Gradient Pump、Waters 2767 Injecto/Collector、Waters 996 PDA Detector、MS条件波以下のとおりである:150-750amu、Positive Electrospray、Collection Triggered by MS、及び、Waters SUNFIRE(登録商標) C-18 5ミクロン、30mm(id)×100mmカラム。移動相は、0.1%TFAを含む水の中のアセトニトリル(10-100%)の混合物からなった。流量は、50mL/分に維持され、注入量は、1800μLであり、及び、UV検出範囲は、210-400nmであった。使用した代替の分取HPLCシステムは、「Gilson Workstation」であり、これは、Gilson GX-281 Injector/Collector、Gilson UV/VIS-155 Detector、Gilson 333 and 334 Pumpsで構成され、以下のものから選択されるカラムを備えていた:Phenomenexd Synergi C18(150mm×30mm×4ミクロン)、YMC-Actus Pro C18(150mm×30mm×5ミクロン)、Xtimate C18(150mm×25mm×5ミクロン)、Boston Green ODS(150mm×30mm×5ミクロン)、XSELECT C18(150mm×30mm×5ミクロン)、及び、Waters XSELECT C18(150mm×30mm×5ミクロン)。条件には、高pH(溶離液 0-100%アセトニトリル/水(0.1%v/v 10mM NHHCO又は0.05% NHOHを含む))又は低pH(溶離液 0-95%アセトニトリル/水(0.1%v/v TFAを含む))のいずれかが含まれていた。注入量は、1000-8000μLの範囲であり、UV検出範囲は、210-400nmであった。移動相の勾配は、個々の化合物に対して最適化した。
【0074】
フラッシュクロマトグラフィーは、通常、記載されているサイズのプレパックカートリッジ内のシリカゲル(32-63μm、60Å細孔径)において、以下のもののいずれかを用いて実施した:Biotage(登録商標) Flash Chromatography apparatus (Dyax Corp.)、ISCO CombiFlash(登録商標) Rf apparatus、又は、ISCO CombiFlash(登録商標) Companion XL。
【0075】
SFCキラル分割は、Sepiate Prep SFC 100、Multigram II (MG II)、THAR80 prep SFC、又は、Waters SFC (80、200、又は、350)において、実験セクションに記載されている条件を使用して実施した。
【0076】
プロトン又はH NMRは、Varian 400 ATB PFG 5mm、Nalorac DBG400-5若しくはNalorac IDG400-5プローブを備えたVarian Unity-Inova 400 MHz NMR分光計、Auto X ID PFGプローブ5mmを備えたVarian-400MHz MR分光計、PFG 4Nucプローブ5mmを備えたVarian 400MHz VNMRS分光計、又は、PABBOプローブ5mmを備えたBruker AvanceIII 500MHz分光計を、別途明示されていない限り、標準的な分析技術に従って使用して、取得し、そして、スペクトル分析の結果が報告されている。H NMRスペクトルは、別途示されていない限り、CDCl溶液中で取得した。化学シフトは、百万分率(ppm)で報告された。テトラメチルシラン(TMS)をCDCl溶液における内部標準として使用し、残留CHOHピーク又はTMSをCDOD溶液における内部標準として使用した。結合定数(J)は、ヘルツ(Hz)で報告された。
【0077】
化合物の中のキラル中心が「S」立体配置若しくは「R」立体配置で存在し得るか又はそれら両方の混合物として存在し得るということは理解される。分子内で、キラル中心から直線として描かれた各結合は、別途示されていない限り(R)立体異性体及び(S)立体異性体のそれぞれ並びにそれらの混合物を包含する。実施例32、33及び34の化合物は、キラル中心を含む。これらの化合物に関する実験のそれぞれにおいて記載されているように製造された異性体混合物を分離させて、実施例において実施した分離に由来する観察されたそれらの溶出する順番に基づいて異性体A(速く溶出する異性体)及び異性体B(遅く溶出する異性体)の一方又は両方が得られた。分離された異性体の溶出時間及び/又は溶出順序は、本明細書中で採用されている条件とは異なる条件下で実施された場合、異なる可能性がある。実施例32、33及び34の「A」及び/又は「B」の分離された立体異性体のそれぞれにおけるキラル中心の絶対立体化学(R又はS)は確認されておらず、「A」及び「B」は、実施された精製条件から生じる溶出順序を示しているのみである。星印「」は、キラル中心を示すために、実施例の化合物の関連する化学構造図で使用することができる。
【実施例
【0078】
中間体Aセクション
中間体A01
【化6】
【0079】
3-(ジフルオロメチル)-5-ヒドロキシベンゾニトリル
段階1: 3-クロロ-5-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンゾニトリル
3-クロロ-5-ヒドロキシベンゾニトリル(30g、0.20mol)のACN(300mL)中の溶液に、PMBCl(34g、0.21mol)及びKCO(55g、0.4mmol)を添加し、次いで、その混合物を70℃で4時間撹拌した。その反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.33 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 7.23 (s, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.11 (s, 1H), 6.94 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 5.00 (s, 2H), 3.83(s, 3H).
【0080】
段階2: 3-((4-メトキシベンジル)オキシ)-5-ビニルベンゾニトリル
3-クロロ-5-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンゾニトリル(50g、0.18mol)のジオキサン/HO(400mL/80mL)中の溶液に、ビニルトリフルオロホウ酸カリウム(25g、0.18mol)、KCO(50g、0.36mol)、X-phos(17g、36mmol)及びPd(OAc)(4.1g、18mmol)をN雰囲気下で添加し、その混合物を80℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、得られた混合物を濾過し、EtOAc(3×400mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(1-2%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.34 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.28 (s, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.09 (s, 1H), 6.93 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 6.63 (dd, J= 17.6, 12.0 Hz, 1H), 5.78 (d, J= 17.6 Hz, 1H), 5.38 (d, J= 12.0 Hz, 1H), 5.01 (s, 2H), 3.82 (s, 3H).
【0081】
段階3: 3-ホルミル-5-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンゾニトリル
化合物3-((4-メトキシベンジル)オキシ)-5-ビニルベンゾニトリル(28g、0.1mol)のジオキサン/HO(180mL/60mL)中の攪拌溶液に、2,6-ルチジン(22g、0.2mol)、OsO(1.3g、5mmol)及びNaIO(43g、0.2mol)を添加し、その混合物を室温で3時間撹拌した。反応が完了した時点で、その混合物を水で希釈し、EtOAc(3×200mL)で抽出した。その有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2-10%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.95 (s, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.37 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 6.93 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 5.14 (s, 2H), 3.73 (s, 3H).
【0082】
段階4: 3-(ジフルオロメチル)-5-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンゾニトリル
3-ホルミル-5-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンゾニトリル(22g、82mmol)のDCM(250mL)中の攪拌溶液に、N雰囲気下、0℃で、DAST(106g、0.6mol)を添加し、次いで、その混合物を室温で3時間撹拌した。反応が完了した時点で、その混合物を水でクエンチし、DCM(3×200mL)で抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。
【0083】
段階5: 3-(ジフルオロメチル)-5-ヒドロキシベンゾニトリル
3-(ジフルオロメチル)-5-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンゾニトリル(23.7g、82mmol)のTFA/TFAA(100mL/50mL)中の溶液を、110℃で3時間撹拌した。反応が完了したとき、得られた混合物を飽和水性NaHCO(100mL)でクエンチし、EtOAc(3×150mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.66 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.28 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 6.97 (t, J= 56.0 Hz, 1H).
【0084】
中間体A02
【化7】
【0085】
5-(ジフルオロメチル)-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル
段階1: 5-ホルミル-2-メチルベンゾニトリル
窒素の不活性雰囲気でパージ及び維持された20L容4つ口丸底フラスコの中に、5-ブロモ-2-メチルベンゾニトリル(750g、38.26mol)のテトラヒドロフラン(6L)中の溶液、n-BuLi(1.54L、38.26mol)を-78℃で滴下して加え、得られた溶液を30分間撹拌し、N,N-ジメチルホルムアミド(295g、4.04mol、1.05当量)を滴下して加えた。そして、反応混合物を液体窒素浴の中で-78℃で30分間撹拌し、次いで、5Lの飽和水性NHClを添加することによりクエンチした。得られた溶液をEtOAc(3×5L)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。
【0086】
段階2: 3-ブロモ-5-ホルミル-2-メチルベンズアミド
窒素の不活性雰囲気でパージ及び維持された3L容4つ口丸底フラスコの中に、5-ホルミル-2-メチルベンゾニトリル(245g、1.69mol)の硫酸(980mL)中の溶液を入れ、その反応混合物を60℃で撹拌し、1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン(300g、1.69mol)を3回に分けて加えた。得られた溶液を60℃で30分間撹拌した。次いで、反応物を5Lの水/氷を加えることによりクエンチし、1時間撹拌した。固形物を濾過により収集し、減圧下で乾燥させて標題化合物が得られた。これは、次の段階でそのまま使用した。
【0087】
段階3: 3-ブロモ-5-ホルミル-2-メチルベンゾニトリル
窒素の不活性雰囲気でパージ及び維持された20L容4つ口丸底フラスコの中に、3-ブロモ-5-ホルミル-2-メチルベンズアミド(500g(段階2からの粗製生成物)、2.07mol)のジクロロメタン(10L)中の溶液、ピリジン(524.5g、6.63mol)を入れた。得られた溶液を0℃で撹拌しながら、2,2,2-トリフルオロアセテート(1305g、6.21mol)を滴下して加えた。得られた溶液を室温で30分間撹拌し、次いで、水/氷(5L)でクエンチし、DCM(3×5L)で抽出した。その有機層を合し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
【0088】
段階4: 3-ブロモ-5-(ジフルオロメチル)-2-メチルベンゾニトリル
3-ブロモ-5-ホルミル-2-メチルベンゾニトリル(360g、1.61mol)のジクロロメタン(5.4L)中の溶液に、DAST(260g、1.61mol、1.00当量)を室温で滴下して加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、次いで、水/氷(3L)でクエンチした。得られた溶液をDCM(3×5L)で抽出した。その有機層を合し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。これは、次の段階でそのまま使用した。
【0089】
段階5: 5-(ジフルオロメチル)-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル
3-ブロモ-5-(ジフルオロメチル)-2-メチルベンゾニトリル(320g、1.30mol)の1,4-ジオキサン(1.6L)中の溶液に、KOH(146g、2.60mol)の水(1.6L)中の溶液、Pd(dba)(67g、64.92mmol)及び2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(55g、129.53mmol)を添加した。得られた混合物を窒素(3×)でパージし、90℃で1時間撹拌し、次いで、氷水(4L)とEtOAc(3×2L)との間で分配させた。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(33%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 182 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.65 (s, 1H), 7.42 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.99 (s, 1H), 2.34 (d, J = 1.3 Hz, 3H).
【0090】
中間体A03
【化8】
【0091】
2,5-ジクロロ-3-ヒドロキシベンゾニトリル
段階1: 2-アミノ-5-ブロモ-3-フルオロベンゾニトリル
2-アミノ-3-フルオロベンゾニトリル(5g、36.7mmol)のDMF(50mL)中の攪拌溶液に、1-クロロピロリジン-2,5-ジオン(5.15g、38.6mmol)を添加し、得られた混合物を60℃で6時間撹拌した。混合物を水(200mL)とEtOAc(2×150mL)の間で分配させた。併せた有機層をブライン(3×300mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。これは、精製せずに次の段階で使用した。
MS: 171.1 (M+1).
【0092】
段階2: 2,5-ジクロロ-3-フルオロベンゾニトリル
ACN(60mL)中の2-アミノ-5-クロロ-3-フルオロベンゾニトリル(6.217g、36.4mmol)、塩化銅(I)(10.82g、109mmol)及び塩化銅(II)(17.15g、128mmol)の混合物に、亜硝酸tert-ブチル(17.34mL、146mmol)を25℃で1時間で加えた。その反応混合物を水(180mL)で希釈し、EtOAc(3×120mL)で抽出した。その有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。その残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(10-100%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d): δ ppm 7.51 (dd, J=2.26, 1.65 Hz, 1 H), 7.44 - 7.47 (m, 1 H).
【0093】
段階3: 2,5-ジクロロ-3-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンゾニトリル
(4-メトキシフェニル)メタノール(2.75g、19.89mmol)のDMF(40mL)中の攪拌溶液に、0℃で、NaH(1.034g、25.9mmol)を添加した。その混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで、2,5-ジクロロ-3-フルオロベンゾニトリル(3.78g、19.89mmol)を添加し、次いで、25℃で2時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(3×150mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して標題化合物が得られた。
MS: 308.1 (M+1).
【0094】
段階4: 2,5-ジクロロ-3-ヒドロキシベンゾニトリル
2,5-ジクロロ-3-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンゾニトリル(6.13g、19.89mmol)のDCM(60mL)中の攪拌溶液に、TFA(20mL)を添加し、次いで、25℃で1時間撹拌した。完了した時点で、反応混合物を飽和水性NaHCO(30mL)に注ぎ入れ、DCM(3×60mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。これは、それ以上精製することなく直接使用した。
MS: 187.9 (M-1)。
【0095】
中間体A04
【化9】
【0096】
3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノール
段階1: 2-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
2-ブロモ-4-クロロ-1-フルオロベンゼン(300g、1.43mol)のヘキサン(4.5L)中の溶液を窒素で3回パージした後、それに、BPin(363.7g、1.43mol)、Ir[(Ome)(1,5-COD)](14.2g、21.42mmol)、4-tert-ブチル-2-(4-tert-ブチルピリジン-2-イル)ピリジン(11.5g、42.85mmol)を添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(0-100%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
【0097】
段階2: 3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノール
2-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(385g、1.15mol)のTHF(3.85 L)中の溶液に、0℃で、水酸化ナトリウム(138g、3.45mol)の水(3L)中の溶液、水性35%過酸化水素(390g、3.44mol)を添加した。得られた溶液を0℃で2時間撹拌し、飽和NaSO水溶液でクエンチした。溶液のpHをHCl(1M)で3-4に調節した後、得られた溶液をEtOAc(3×3L)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(0-90%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 11.31 (br. s., 1H), 7.47 (dd, J = 2.4, 4.4 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 2.4, 7.6 Hz, 1H).
【0098】
中間体A05
【化10】
【0099】
5-クロロ-2-フルオロ-3-ヒドロキシベンゾニトリル
3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノール(86g、343mmol)のNMP(860mL)中の溶液に、CuCN(154g、1.72mol)を一度に加えた。得られた反応混合物を180℃で2時間撹拌し、次いで、氷水(1L)とEtOAc(3×800mL)の間で分配させた。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2-33%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.33 (br. s., 1H), 7.49 (dd, J = 2.5, 4.5 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 2.5, 7.6 Hz, 1H).
【0100】
中間体A06
【化11】
【0101】
5-クロロ-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル
段階1: 2,3-ジフルオロベンズアルデヒド
1,2-ジフルオロベンゼン(1668g、14.62mol)のTHF(16.7L)中の-78℃の冷却した溶液に、n-BuLi(6.44L、16.08mol)のTHF溶液を60分間かけて撹拌しながら滴下して加えた。次いで、この混合物に、DMF(5340g、73.06mol)を、-78℃で60分間かけて撹拌しながら滴下して加えた。得られた溶液を-78℃で1時間撹拌した。次いで、反応物を飽和水性NHCl(10L)でクエンチし、次いで、EtOAc(3×10L)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
【0102】
段階2: (E)-N-[(2,3-ジフルオロフェニル)メチリデン]ヒドロキシルアミン
DMF(10L)中のNHOH(672g、20.35mol)の70%溶液の中の2,3-ジフルオロベンズアルデヒド(2410g、16.96mol)の混合物を20℃で3時間撹拌し、次いで、水(6L)とEtOAc(3×8L)の間で分配させた。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
【0103】
段階3: 2,3-ジフルオロベンゾニトリル
(E)-N-[(2,3-ジフルオロフェニル)メチリデン]ヒドロキシルアミン(2025g、12.89mol)のDMF(11L)中の溶液を、POCl(5688g、37.10mol)で処理した。得られた溶液を25℃で3時間撹拌し、次いで、水(6L)とEtOAc(3×6L)の間で分配させた。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
【0104】
段階4: 2-アミノ-3-フルオロベンゾニトリル
シール反応器において、2,3-ジフルオロベンゾニトリル(1273g、9.15mol)のEtOH(13L)中の溶液に、NH(ガス)を通気した。得られた溶液を140℃で8時間撹拌し、室温に冷却し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を水(5L)とMTBE(3×8L)の間で分配させた。併せた有機層を水、ブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。
【0105】
段階5: 2-アミノ-5-クロロ-3-フルオロベンゾニトリル
2-アミノ-3-フルオロベンゾニトリル(934g、6.86mol)のDMF(14L)中の溶液を、NCS(1008g、7.55mol)で処理した。得られた溶液を45℃で2時間撹拌し、次いで、氷水(20L)とEtOAc(3×12L)の間で分配させた。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(3%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
【0106】
段階6: 2-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロベンゾニトリル
ACN(8L)中のt-BuONO(815g、7.88mol)とCuBr(1365g、6.13mol)の混合物に、2-アミノ-5-クロロ-3-フルオロベンゾニトリル(747g、4.38mol)のACN(7L)中の溶液を90分かけて撹拌しながら滴下して加えた。得られた混合物を室温で10時間撹拌し、水(15L)で希釈し、次いで、EtOAc(3×10L)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(3%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
【0107】
段階7: 5-クロロ-3-フルオロ-2-メチルベンゾニトリル
脱ガスした1,4-ジオキサン(4500mL)と水(450mL)中の2-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロベンゾニトリル(768g、3.28mol)、1,4-メチルボロン酸(297g、4.96mol)、炭酸カリウム(913g、6.61mol)及びPdCl(dppf)(213g、0.33mol)の混合物を100℃で60分間撹拌し、次いで、水(4L)で希釈し、EtOAc(3×6L)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(3%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
【0108】
段階8: 5-クロロ-3-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]-2-メチルベンゾニトリル
窒素雰囲気下で、4-メトキシベンジルアルコール(410g、2.97mol)のDMF(3200mL)中の溶液に、水素化ナトリウム(128g、5.33mol)を添加し、続いて、5-クロロ-3-フルオロ-2-メチルベンゾニトリル(418g、2.46mol)のDMF(800mL)中の溶液を滴下して加えた。得られた溶液を25℃で12時間撹拌し、次いで、氷水(2L)で希釈し、EtOAc(3×3L)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた固体を石油エーテルで洗浄し、フィルターの上に集めて標題化合物が得られた。
【0109】
段階9: 5-クロロ-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル
5-クロロ-3-[(4-メトキシフェニル)メトキシ]-2-メチルベンゾニトリル(518g、1.80mol)のDCM(1500mL)中の溶液をTFA(500mL)で処理した。得られた溶液を25℃で1時間撹拌した。固形物をフィルターの上に集めて、標題化合物が得られた。
MS: 166 (M-1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 10.67 (s, 1H), 7.32-7.33 (d, 1H), 7.07-7.08 (d, 1H), 2.24 (s, 3H).
【0110】
中間体A07
【化12】
【0111】
5-フルオロ-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル
段階1: 3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルアニリン
1-ブロモ-5-フルオロ-2-メチル-3-ニトロベンゼン(23g、98mmol)のエタノール(390mL)中の溶液に、アンモニア塩酸塩(26.3g、491mmol)及び水(38.3mL、2126mmol)を添加し、その後、鉄(27.4g、491mmol)を添加した。得られた混合物を90℃で6時間撹拌した。TLCでモニターして反応が完了した後、反応混合物を焼結漏斗で濾過した。濾液を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(5%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 204.2 及び 206.2 (M+1).
【0112】
段階2: 3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルフェノール
硫酸(145mL、2729mmol)の水(21.73mL、1206mmol)中の溶液に、3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルフェノール(7g、31.1mmol)を添加した。得られた混合物を氷浴を用いて0℃まで冷却した。次いで、硝酸ナトリウム(6.66g、78mmol)の水中の溶液を滴下して加えた。この温度で30分間撹拌した後、反応混合物を100℃に30分間加熱し、次いで、水で稀釈し、EtOAcで抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(4-10%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 203.2 及び 205.2 (M-1).
【0113】
段階3: 5-フルオロ-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル
3-ブロモ-5-フルオロ-2-メチルフェノール(7g、34.1mmol)のDMA(140mL)中の攪拌溶液に、亜鉛粉(4.46g、68.3mmol)及びdppf(3.79g、6.83mmol)を添加した。得られた混合物を窒素で10分間脱ガスし、次いで、Pd(dba)(1.563g、1.707mmol)及びシアン化亜鉛(8.02g、68.3mmol)を添加した。反応容器を密閉した。そして、得られた混合物を140℃に6時間加熱し、次いで、水(200mL)で希釈し、CELITE(登録商標)床で濾過した。濾過ケーキをEtOAc(400mL)で洗浄した。濾液の層を分離した。水層をEtOAc(2×200mL)でさらに抽出した。併せた有機層をブライン(2×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(5-15%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 150.2 (M-1).
【0114】
表1中の下記中間体は、商業的供給元から購入した。
【表3】
【0115】
中間体Bセクション
中間体B01
【化13】
【0116】
5-フルオロ-6-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-3,4-ジヒドロピリミジン-4-オン
段階1: 2,2,3,3-テトラフルオロプロパン酸
カリウムヘプタオキソジクロミウム(1782g、6.06mol)の硫酸(2097g、21.38mol)と水(2400mL)中の溶液に、100℃で撹拌しながら、2,2,3,3-テトラフルオロプロパン-1-オール(800g、6.06mol)を滴下して加えた。得られた溶液を100℃で還流しながら5時間撹拌し、次いで、MTBE(4×2L)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られ、そのまま次の段階で使用した。
【0117】
段階2: 2,2,3,3-テトラフルオロ-N-メトキシ-N-メチルプロパンアミド
2,2,3,3-テトラフルオロプロパン酸(前の段階からの粗製生成物、純度45%、1007g、3.15mol)のTHF(4600mL)中の溶液に、二塩化スルフロオイル(787.2g、6.62mol)を0℃で滴下して加え、続いてDMF(753.4g、10.31mol)を滴下して加えた。室温で45分間撹拌した後、その反応混合物を0℃に冷却し、次いで、メトキシ(メチル)アミン塩酸塩(1222.5g、12.53mol)及びTEA(1913g、18.91mol)で滴下して処理した。得られた混合物を室温で5時間撹拌し、次いで、氷水(2L)でクエンチし、MTBE(3L)で抽出した。有機層を飽和水性NaHCO、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸留して、標題化合物が得られた。
【0118】
段階3: 2,4,4,5,5-ペンタフルオロ-3-オキソペンタン酸エチル
2,2,3,3-テトラフルオロ-N-メトキシ-N-メチルプロパンアミド(470g、2.49mol)のTHF(4700mL)中の溶液に、2-フルオロ酢酸エチル(316.2g、2.98mol)、THF中のLiHMDSの1M溶液(3729mL、3.73mol)を-78℃で添加した。得られた混合物を-78℃で2時間撹拌し、次いで、飽和水性NHCl(1L)でクエンチした。溶液のpH値をHCl(1M)で3に調節した後、反応混合物をMTBE(3×2L)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。これは、直接次の段階に使用した。
【0119】
段階4: 5-フルオロ-6-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-3,4-ジヒドロピリミジン-4-オン
2,4,4,5,5-ペンタフルオロ-3-オキソペンタン酸エチル(533g、2.28mol)のメタノール(5330mL)中の溶液に、酢酸ホルムアミジン(1185.1g、11.38mol)及びナトリウムメトキシド(492g、9.11mol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、氷水(1.5L)でクエンチした。溶液のpH値をHCl(2M)で3に調節した後、得られた混合物をMTBE(3×1L)で抽出した。併せた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をMTBE/PE(1:5)から再結晶させることで精製して、標題化合物が得られた。
MS: 212.9 (M-1). 1HNMR: (300MHz, CD3OD): δ 8.10 (1H, s), 6.67~6.38(1H, m).
【0120】
表2中の下記中間体は、既知フッ素化アルキルアルコール又はその対応する酸若しくはメチルエステルを使用し、中間体B01の合成において概説された手順を用いて、スキームCに従って調製した。
【表4】
【0121】
中間体B05
【化14】
【0122】
4-クロロ-5-フルオロ-6-メトキシピリミジン
4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(8.0g、47.9mmol)のMeOH(80mL)中の溶液に、ナトリウムメトキシド(3.05g、56.5mmol)を0℃で加えた。得られた反応混合物を20℃で2時間撹拌し、次いで、水(20mL)でクエンチし、次いで、EA(3×20mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。
MS: 163.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.45(s, 1H), 4.03(s, 1H).
【0123】
中間体B06
【化15】
【0124】
4-(1-エトキシビニル)-5-フルオロ-6-メトキシピリミジン
4-クロロ-5-フルオロ-6-メトキシピリミジン(5.2g、28.8mmol)、トリブチル(1-エトキシビニル)スタンナン(12.48g、34.5mmol)のDMF(50mL)中の溶液に、Pd(PhP)(0.5g、0.433mmol)を添加した。得られた反応混合物を、N雰囲気下、100℃で4時間撹拌した。完了した時点で、その反応物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。併せた有機層を飽和水性KF(80mL)で処理し、室温で0.5時間撹拌し、次いで、CELITE(登録商標)床フィルターに通した。濾液を水、ブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(10-90%EtOAc/PE)で精製して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.49 (s, 1H), 5.08 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 4.64 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 4.06(s, 3H), 3.93 (m, 2H),1.42(m, 3H).
【0125】
中間体B07
【化16】
【0126】
6-アセチル-5-フルオロピリミジン-4(3H)-オン
4-(1-エトキシビニル)-5-フルオロ-6-メトキシピリミジン(4.5g、20.43mmol)のTHF(30mL)中の溶液に、6M 水性HCl(20mL、120mmol)を0℃で滴下して加えた。得られた反応溶液を20℃で18時間撹拌し、次いで、浴の温度を40℃に保ちながら減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ 8.15(s, 1H), 2.50(s, 3H).
【0127】
中間体B08
【化17】
【0128】
1-(5-フルオロ-6-メトキシピリミジン-4-イル)エタノン
4-(1-エトキシビニル)-5-フルオロ-6-メトキシピリミジン、B06(12g、60.5mmol)のACN(100mL)中の0℃の撹拌溶液に、1,4-ジオキサン中の塩酸の4M溶液(30mL、120mmol)を滴下して加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、次いで、氷冷水(200mL)で慎重にクエンチし、EtOAcで抽出した。併せた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-20%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 171.4 (M+1).
【0129】
中間体B09
【化18】
【0130】
5-フルオロ-6-(1,1,2-トリフルオロエチル)ピリミジン-4(3H)-オン
段階1: 2-フルオロ-1-(5-フルオロ-6-メトキシピリミジン-4-イル)エタノン
4-(1-エトキシビニル)-5-フルオロ-6-メトキシピリミジン、B06(0.2g、0.86mmol)のACN(3mL)中の溶液を、ACN(2mL)と水(1mL)中の1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)(0.456g、1.29mmol)の懸濁液に、温度を15℃未満に維持しながら4時間かけて滴下して加えた。次いで、反応混合物を飽和水性NaHCO(10mL)でクエンチし、10分間撹拌した。終了後、混合物をEA(3×10mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。
MS: 189.1 (M+1).
【0131】
段階2: 5-フルオロ-4-メトキシ-6-(1,1,2-トリフルオロエチル)ピリミジン
2-フルオロ-1-(5-フルオロ-6-メトキシピリミジン-4-イル)エタノン(0.15g、0.60mmol)のDCM(2mL)中の溶液に、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(0.578g、3.59mmol)を添加した。得られた反応混合物を20℃で4時間撹拌し、次いで、水で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。併せた有機層を減圧下で濃縮した。残渣を分取TLC(20%EtOAc/P.E.)で精製して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.56 (s, 1H), 4.99 (t, J=12.0 Hz, 1H), 4.88 (t, J=12.0 Hz, 1H), 4.12 (s, 3H).
【0132】
段階3: 5-フルオロ-6-(1,1,2-トリフルオロエチル)ピリミジン-4(3H)-オン
ACN(15mL)中の5-フルオロ-4-メトキシ-6-(1,1,2-トリフルオロエチル)ピリミジン(0.05g、0.238mmol)とKI(0.119g、0.714mmol)の混合物に、クロロトリメチルシラン(0.078g、0.714mmol)を室温で添加した。得られた混合物を80℃で4時間撹拌し、次いで、EtOAcで希釈し、水性Na及びブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。
MS: 197.1 (M+1).
【0133】
中間体B10
【化19】
【0134】
5-フルオロ-6-メトキシピリミジン-4-カルボキシレート
でパージした20L容密閉管の中に、4-クロロ-5-フルオロ-6-メトキシピリミジン、B05(410g、2.52mol)のMeOH(8.2L)中の溶液、トリエチルアミン(1.247kg、12.32mol)、PdCl(dppf)(201g、246.32mmol)を入れた。次いで、2barのCOを含むボンベ中でカルボニル化されるように配置し、50℃で16時間加熱した。固形物を濾去した。濾液を減圧下で濃縮してMeOHを除去し、次いで、EtOAc(4L)で希釈した。固形物を濾去した。濾液を再度減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)で精製し、次いで、再結晶化(プロパン-2-オール:HO=2:7)させて、標題化合物が得られた。
MS: 187 (M+1). 1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 5.587 (s, 1H), 4.109-4.075 (s, 3H), 4.003-3.935 (s, 3H).
【0135】
中間体B11
【化20】
【0136】
5-フルオロ-6-ヒドロキシピリミジン-4-カルボン酸メチル
ACN(300mL)中の5-フルオロ-6-メトキシピリミジン-4-カルボン酸メチル、B09(25g、134mmol)とヨウ化カリウム(33.4g、201mmol)の攪拌スラリーに、25℃で、トリメチルシリルクロリド(25.7mL、201mmol)をゆっくりと加えた。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。LCMSは反応が完了したことを示した。反応物をメタノール(100mL)でクエンチし、濃縮して、標題化合物が得られた。これは、それ以上精製することなく次の段階で使用した。
MS: 173.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 8.12 (s, 1H), 2.59 (s, 3H).
【0137】
中間体B12
【化21】
【0138】
5-ブロモ-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン
この中間体は、US20140100231(A1)の中で報告されている手順を使用して、6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オンを臭素化することによって製造した。
【0139】
中間体B13
【化22】
【0140】
6-アセチル-5-フルオロ-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン
6-アセチル-5-フルオロピリミジン-4(3H)-オン、B07(1.0g、5.44mmol)のDMF(10mL)中の溶液に、KCO(2.257g、16.33mmol)を添加した。得られた反応混合物を20℃で10分間撹拌した後、1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼン(1.023g、6.53mmol)を添加した。反応混合物を20℃でさらに6時間撹拌し、次いで、水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。併せた有機層を水、ブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(50%EtOAc/PE)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 277.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.01 (s, 1H), 7.29 (m, 2H), 6.89 (d, J =8.8, 2H), 5.09 (s, 2H), 3.81 (s, 2H), 2.58 (d, J =8.8, 3H).
【0141】
表3中の下記中間体は、対応する中間体Bを使用して、中間体B13の合成において概説されている上記合成手順と同様の条件下で調製した。
【表5】
【0142】
中間体B19
【化23】
【0143】
5-ブロモ-3-(4-メトキシベンジル)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン
この中間体は、US20140100231(A1)の中で報告されている手順を使用して製造した。
【0144】
中間体B20
【化24】
【0145】
5-ブロモ-6-(1,1-ジフルオロエチル)-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン
この中間体は、US20140100231(A1)の中で報告されている手順を使用して製造した。
【0146】
中間体Cセクション
中間体C01
【化25】
【0147】
(6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール
段階 1: 6-クロロ-2-メトキシニコチンアルデヒド
THF(100mL)中のt-BuLi(23.94mL、38.3mmol)の-78℃の撹拌混合物に、2-クロロ-6-メトキシピリジン(5g、34.8mmol)を添加した。得られた混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで、DMF(3.51mL、45.3mmol)を添加し、反応混合物を-78℃で1.5時間撹拌し、次いで、-78℃で酢酸(3.99mL、69.7mmol)でクエンチした。次に、混合物を30分間かけて20℃に昇温させた。混合物を飽和NaHCO水溶液(200mL)で中和し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。併せた有機フラクションをブライン(3×50mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(1-2%EtOAc/イソヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
【0148】
段階2: (6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール
6-クロロ-2-メトキシニコチンアルデヒド(1g、5.83mmol)のMeOH(12mL)中の懸濁液に、0℃で、水素化ホウ素ナトリウム(0.140g、3.70mmol)を20分間かけて少量ずつ添加した。得られた混合物を0℃で40分間撹拌し、次いで、水でクエンチし、DCM(3×5mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。これは、次の段階においてそのまま使用した。
MS: 174.1 (M+1).
【0149】
中間体C02
【化26】
【0150】
(6-ブロモ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール
段階1: 6-ブロモ-2-メトキシニコチン酸
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(3.76g、26.6mmol)のTHF(50mL)中の-78℃の撹拌溶液に、THF中のn-BuLiの2.5M溶液(10.64mL、26.6mmol)を滴下して加えた。得られた混合物を同温度で60分撹拌した後、2-ブロモ-6-メトキシピリジン(5g、26.6mmol)のTHF中の溶液を滴下して加えた。反応混合物を同温度で60分撹拌し、粉砕したドライアイス粉末を加えて処理し、-78℃で3時間撹拌し、次いで、ゆっくりと室温まで昇温させ、水で稀釈した。次いで、濃HClを用いてその混合物のpHを3-4に調節した。混合物をEtOAc(2×250mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(50%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 230.2 及び 232.0 (M-1).
【0151】
段階2: (6-ブロモ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール
6-ブロモ-2-メトキシニコチン酸(2.3g、9.91mmol)のTHF(20mL)中の攪拌溶液に、THF中のLAHの1M溶液(19.82mL、19.82mmol)を-20℃で滴下して加えた。得られた混合物を室温で60分間撹拌し、次いで、水(0.5mL)、10%NaOH水溶液及び水でクエンチした。得られた混合物を30分間撹拌し、CELITE(登録商標)床で濾過した。その濾過ケーキをEtOAcで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。その残渣を、最初に、シリカでのカラムクロマトグラフィー(30%EtOAc/石油エーテル)で精製し、次いで、逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFA調節剤含有))を用いて精製し、標題化合物が得られた。
MS: 217.4 及び 219.4 (M+1).
【0152】
中間体C03
【化27】
【0153】
(2-メトキシ-6-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリジン-3-イル)メタノール
1,4-ジオキサン(2mL)と水(1.0mL)中の1-(テトラヒドロ-2h-ピラン-2-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1h-ピラゾール(113mg、0.406mmol)と(6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノールとC01(47mg、0.271mmol)と三塩基性リン酸カリウム(172mg、0.812mmol)の混合物を、窒素で5分間パージし、次いで、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(19.81mg、0.027mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で15時間撹拌し、次いで、フィルターに通した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-100% EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 290.1 (M+1).
【0154】
表4中の下記中間体は、対応する市販のボロン酸又はボロネートを使用して、中間体C03の合成において概説されている類似した手順を用いて調製した。
【表6】
【0155】
中間体C08
【化28】
【0156】
1-(5-(クロロメチル)-6-メトキシピリジン-2-イル)エタノン
段階1: (6-(1-エトキシビニル)-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール、及び、1-(5-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシピリジン-2-イル)エタノン
(6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノールとC01(1g、5.76mmol)とトリブチル(1-エトキシビニル)スタンナン(4.16g、11.52mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、Pd(PhP)(0.200g、0.173mmol)を添加した。得られた混合物を、N雰囲気下、100℃で4時間撹拌し、次いで、室温に冷却し、水(20mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。併せた有機層を飽和KF水溶液(45mL)と4M HCl水溶液で処理し、20℃で0.5時間撹拌し、次いで、ブライン(2×75mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(1-25%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 182.1 (M+1).
【0157】
中間体C09
【化29】
【0158】
(4-クロロ-6-メトキシ-2-メチルピリミジン-5-イル)メタノール
段階 1: 2-クロロ-4,6-ジメチルニコチン酸メチル
2-クロロ-4,6-ジメチルニコチン酸(2g、10.78mmol)に塩化チオニル(20mL、275mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を80℃で2時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を0℃でMeOH(20mL)で処理し、次いで、反応混合物を20℃で16時間撹拌し、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。これは、それ以上精製することなく次の段階で使用した。
MS: 200.1 (M+).
【0159】
段階2: 2-メトキシ-4,6-ジメチルニコチン酸メチル
2-クロロ-4,6-ジメチルニコチン酸メチル(2.206g、11.05mmol)のMeOH(20mL)中の溶液に、0℃で、ナトリウムメタノラート(3.58g、66.3mmol)を添加した。得られた反応混合物を60℃で24時間撹拌し、次いで、水(20mL)でクエンチし、次いで、DCM(3×20mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。これは、それ以上精製することなく次の段階で使用した。
MS: 196.1 (M+1).
【0160】
段階3: 2-メトキシ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メタノール
2-メトキシ-4,6-ジメチルニコチン酸メチル(500mg、2.56mmol)のTHF(5mL)中の溶液に、0℃で、LAH(97mg、2.56mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で1時間撹拌し、次いで、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、DCM(3×10mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLCプレート(25%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 168.3 (M+1).
【0161】
中間体C10
【化30】
【0162】
(5-フルオロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メチルメタンスルホネート
段階1: 5-フルオロ-2-メトキシニコチン酸
THF(15mL)中のナトリウムメトキシド(5.70g、106mmol)と2-クロロ-5-フルオロニコチン酸メチル(2g、10.55mmol)の混合物を100℃で48時間撹拌し、次いで、HO(30mL)で希釈し、HCl(1M)を用いて酸性化してpH=3-4とし、次いで、EtOAc(3×20mL)で抽出した。併せた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。これは、それ以上精製することなく直接次の段階で使用した。
MS: 170 (M-1).
【0163】
段階2: (5-フルオロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール
5-フルオロ-2-メトキシニコチン酸(800mg、4.67mmol)のTHF(10mL)中の溶液に、LAH(266mg、7.01mmol)を添加した。得られた混合物を25℃で5分間撹拌した後、それを水(0.27mL)とNaOH水溶液(0.27mL)でクエンチした。混合物を濾過した。濾液をEtOAc(3×30mL)で抽出し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。これは、それ以上精製することなく次の段階に使用した。
MS: 158 (M+1).
【0164】
中間体C11
【化31】
【0165】
(2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール
段階1: 2-メトキシニコチン酸メチル
2-メトキシニコチン酸(1g、6.53mmol)のメタノール(10mL)中の攪拌溶液に、0℃で、HSO(0.696mL、13.06mmol)を添加した。得られた混合物を65℃で6時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
MS: 168.4 (M+1).
【0166】
段階2: (2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール
2-メトキシニコチン酸メチル(500mg、2.99mmol)のTHF(6mL)中の攪拌溶液に、0℃で、THF中のLAHの1M溶液(5.98mL、5.98mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を室温まで昇温させ、6時間撹拌し、次いで冷却し、飽和NaSO水溶液とEtOAcでクエンチした。反応混合物をCELITE(登録商標)床で濾過した。濾過ケーキを過剰量のEtOAcで洗浄した。濾液を分離した。有機層を減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
MS: 140.4 (M+1).
【0167】
中間体C12
【化32】
【0168】
(2-クロロ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メタノール
2-クロロ-4,6-ジメチルニコチン酸(300mg、1.616mmol)の溶液をTHF(3mL)に溶解させ、0℃で、THF中の1M LAH溶液(1.616mL、1.616mmol)を10分間かけて滴下して加えた。得られた混合物を0℃で2時間撹拌し、次いで、周囲温度まで昇温させ、週末を通して撹拌した。LCMSは、所望の生成物への完全な変換を示した。反応混合物を水(約1mL)で極めてゆっくりと希釈し、溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、次いで、EtOAc(10mL)と水(5mL)の間で分配させた。水層をEtOAc(2×10mL)でさらに抽出した。併せた有機層を無水MgSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-100%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 172.0 (M+1).
【0169】
中間体C13
【化33】
【0170】
6-クロロ-3-(クロロメチル)-2-メトキシピリジン
(6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール、C01(500mg、2.88mmol)のDCM(14mL)中の溶液をトリエチルアミン(0.803mL、5.76mmol)で処理し、次いで、Mesyl-Cl(0.247mL、3.17mmol)を滴下して処理した。得られた反応混合物を23℃で一晩撹拌し、次いで、DCMと飽和NaHCO水溶液の間で分配させた。有機層を分離し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 192.0 (M+1). 1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 7.58 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 4.53 (s, 2H), 3.99 (s, 3H).
【0171】
表5中の下記中間体は、表C12に記載されている出発物質として適切な(6-メトキシピリミジン-5-イル)メタノール中間体Cを使用して、中間体C12の合成において概説されている類似した手順を用いて調製した。
【表7】
【0172】
中間体C24
【化34】
【0173】
5-ブロモ-3-(クロロメチル)-2-メトキシピリジン
中間体C24は、中間体C01を市販されている(5-ブロモ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノールで置き換えることによって、中間体C12と類似した手順を用いて合成した。
【0174】
中間体ABセクション
中間体AB01
【化35】
【0175】
5-(ジフルオロメチル)-2-メチル-3-((6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 5-(ジフルオロメチル)-3-((1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
5-フルオロ-3-(4-メトキシベンジル)-6-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)ピリミジン-4(3H)-オン、B16(7g、20.94mmol)のNMP(46.5mL)中の溶液に、5-(ジフルオロメチル)-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル、A02(4.22g、23.04mmol)及びKCO(8.68g、62.8mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で一晩撹拌した。LCMSは、完全な変換を示した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで、水で稀釈した。沈澱物をフィルターの上に集め、水(3×)で洗浄し、次いで、風乾させて標題化合物が得られた。
MS: 498.1 (M+1).
【0176】
段階2: 5-(ジフルオロメチル)-2-メチル-3-((6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-(ジフルオロメチル)-3-((1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル(9.89g、19.88mmol)のTFA(66.3mL)とTFAA(33.1mL)中の溶液を、50℃で一晩撹拌した。LCMSは、完全な変換を示した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をヘキサンを用いて摩砕し、固体をフィルターの上に集め、ヘキサンで洗浄し、次いで、風乾させて標題化合物が得られた。これは、それ以上精製することなく直接次の段階で使用した。
MS: 378.3 (M+1).
【0177】
表6中の下記中間体は、上記で記載されている中間体AB01の同様の方法で調製した:対応する中間体A及び中間体Bを使用したSNAr反応、次いで、PMB基を除去するためのTFA/TFAAを使用した脱保護。
【表8】
【0178】
中間体AB12
【化36】
【0179】
5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 6-アセチル-5-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノキシ)-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン
6-アセチル-5-フルオロ-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン、B13(2g、7.24mmol)のDMF(10mL)中の溶液に、3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノール、A04(1.959g、8.69mmol)及びKCO(2.001g、14.48mmol)を添加した。得られた混合物を60℃で4時間撹拌し、次いで、HO(100mL)の中に注ぎ入れ、EtOAc(3×50mL)で抽出した。併せた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(2-3.3%MeOH/DCM)で精製して、標題化合物が得られた。
【0180】
段階2: 5-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノキシ)-6-(1-ヒドロキシエチル)-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン
6-アセチル-5-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノキシ)-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン(300mg、0.623mmol)のTHF(2mL)中の溶液に、-30℃で、THF中のZn(BHの0.1M溶液(0.934mL、0.093mmol)を加え、混合物を10分間撹拌した。反応混合物に水(1滴)を添加し、次いで、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
【0181】
段階3: 5-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノキシ)-6-(1-フルオロエチル)-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン
5-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノキシ)-6-(1-ヒドロキシエチル)-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン(680mg、1.406mmol)のDCM(10mL)中の溶液に、0℃で、DAST(0.427mL、3.23mmol)を添加した。得られた反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、水(5mL)で希釈し、DCM(3×10mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
【0182】
段階4: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノキシ)-6-(1-フルオロエチル)-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン(340mg、0.700mmol)のNMP(3mL)中の攪拌溶液に、N下、シアノ銅(217mg、2.423mmol)を添加した。得られた混合物を170℃で12時間撹拌し、次いで、HO(30mL)及びEtOAc(30mL)で希釈した。混合物をCELITE(登録商標)漏斗で濾過した。濾液をEA(3×30mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をMeOH(20mL)を用いて摩砕して、標題化合物が得られた。
【0183】
段階5: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(0.217g、0.503mmol)のTFA(1.5mL)中の溶液に、TFAA(0.75mL)を添加した。得られた混合物を100℃で6時間撹拌し、次いで、DCM(10mL)で希釈し、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
【0184】
中間体AB13
【化37】
【0185】
5-クロロ-3-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-フルオロベンゾニトリル
段階1: 5-フルオロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-カルボン酸メチル
ジメチルアセトアミド(350mL)中の5-フルオロ-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-カルボン酸メチル、B15(21.29g、72.9mmol)と5-クロロ-2-フルオロ-3-ヒドロキシベンゾニトリル、A05(10g、58.3mmol)の混合物に、炭酸カリウム(16.11g、117mmol)を25℃で添加した。得られた混合物を90℃で一晩撹拌した。LCMSは、所望の生成物及びクリーンな反応を示した。水(500mL)を添加し、沈澱物が形成された。混合物を濾過し、固形物を水(100mL)及びヘキサン(200mL)で洗浄し、高真空下で一晩乾燥させて標題化合物が得られた。
MS: 444 (M+1).
【0186】
段階2: 5-(5-クロロ-3-シアノ-2-フルオロフェノキシ)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-カルボン酸
THF(345mL)中の5-(5-クロロ-3-シアノ-2-フルオロフェノキシ)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-カルボン酸メチル(23g、51.8mmol)の攪拌混合物に、カリウムトリメチルシラノレート(9.97g、78mmol)を添加した。得られた混合物を25℃で1時間撹拌した。LCMSは、所望の生成物のみを示した。HCl(1N水性、300mL)をゆっくりと加え、白色の固体が形成された。混合物を減圧下で濃縮してTHFを除去した。混合物を濾過し、白色の固体を水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、標題化合物が得られた。
MS: 430.0 (M+1).
【0187】
段階3: 5-(5-クロロ-3-シアノ-2-フルオロフェノキシ)-N-メトキシ-1-(4-メトキシベンジル)-N-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-カルボキサミド
DMF(200mL)中の5-(5-クロロ-3-シアノ-2-フルオロフェノキシ)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-カルボン酸(20g、46.5mmol)及びN,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.99g、51.2mmol)を含むフラスコに、トリエチルアミン(25.9mL、186mmol)を添加し、続いて、EDC(9.81g、51.2mmol)及びHOBt(7.84g、51.2mmol)を25℃で添加した。得られた混合物を25℃で一晩撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。水(300mL)を添加し、生じた沈澱物を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、標題化合物が得られた。
MS: 473.1 (M+1).
【0188】
段階4: 3-((4-アセチル-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロ-2-フルオロベンゾニトリル
THF(350mL)中の5-(5-クロロ-3-シアノ-2-フルオロフェノキシ)-N-メトキシ-1-(4-メトキシベンジル)-N-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-カルボキサミド(16.5g、34.9mmol)の冷却された(-78℃)混合物に、メチルマグネシウムブロミド(THF中3M、40mL、120mmol)を滴下して加えた。得られた混合物を-78℃で3時間撹拌した。LCは、所望の生成物を示したが、依然として出発物質も示した。次いで、反応混合物を0℃まで昇温させ、30分間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。反応物を飽和NHCl水溶液(500mL)でクエンチし、EtOAc(200mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2×200mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(500mL)で洗浄し、無水MgSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-100%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 428.0 (M+1).
【0189】
段階5: 5-クロロ-3-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-フルオロベンゾニトリル
3-((4-アセチル-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロ-2-フルオロベンゾニトリル(7g、16.36mmol)及びジクロロエタン(9.35mL)を含むバイアルに、25℃で、Deoxofluor(登録商標)(15.08mL、82mmol)を加えた。得られたバイアルを密閉し、70℃で3時間撹拌した。LCMSは所望の生成物を示した。反応物を室温に冷却し、飽和NaHCO溶液の中に非常にゆっくりと注意深く注ぎ入れた。次いで、有機層を分離し、水層をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。併せた有機層をMgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-100%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
【0190】
MS: 450.0 (M+1).
段階6: 5-クロロ-3-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-フルオロベンゾニトリル
トリフルオロ酢酸(58.4mL)とトリフルオロ酢酸無水物(19.45mL)の中の5-クロロ-3-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-フルオロベンゾニトリル(7g、15.56mmol)の混合物を含むフラスコを、80℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、ヘキサン(100mL)を白色の固体が形成されるまでゆっくりと加えた。30分間撹拌した後、白色の固体をフィルターの上に集め、減圧下で乾燥させて、標題化合物が得られた。
MS: 330.0 (M+1).
【0191】
中間体AB14
【化38】
【0192】
5-クロロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
段階1: 3-((4-アセチル-6-メトキシピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロ-2-メチルベンゾニトリル
1-(5-フルオロ-6-メトキシピリミジン-4-イル)エタノン、B08(2.8g、16.46mmol)のDMF(20mL)中の溶液に、窒素下、炭酸カリウム(6.82g、49.4mmol)及び5-クロロ-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル、A06(3.31g、19.75mmol)を添加した。得られた混合物を40℃で2時間加熱し、次いで、水で稀釈し、EtOAcで抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(20-60%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 318.4 (M+1).
【0193】
段階2: 5-クロロ-3-((4-(1-ヒドロキシエチル)-6-メトキシピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
3-((4-アセチル-6-メトキシピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロ-2-メチルベンゾニトリル(1.8g、5.67mmol)のメタノール(50mL)中の攪拌溶液に、塩化セリウム(iii)七水和物(3.17g、8.50mmol)を添加し、続いて、水素化ホウ素ナトリウム(0.214g、5.67mmol)をゆっくりと添加した。得られた懸濁液を0℃で1時間撹拌し、次いで、氷水でクエンチし、EtOAcで抽出した。併せた有機層をブライン溶液で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(40-80%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
【0194】
MS: 320.0 (M+1).
段階3: 5-クロロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-6-メトキシピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
5-クロロ-3-((4-(1-ヒドロキシエチル)-6-メトキシピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル(1.4g、4.38mmol)のDCM(5mL)中の攪拌溶液に、deoxofluor(1.615mL、8.76mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を3時間で室温とし、次いで、DCMで希釈し、飽和NaHCO水溶液及びブラインで洗浄した。有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(10 40%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 322.4 (M+1).
【0195】
段階4: 5-クロロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
5-クロロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-6-メトキシピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル(1.2g、3.73mmol)のACN(20mL)中の攪拌溶液に、窒素下、ヨウ化ナトリウム(1.118g、7.46mmol)及びTMS-Cl(0.953mL、7.46mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で2時間加熱し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(40-80%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 306.4 (M-1).
【0196】
中間体AB15
【化39】
【0197】
5-クロロ-2-メチル-3-((6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 5-クロロ-3-((1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
5-フルオロ-3-(4-メトキシベンジル)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン、B18(9.0g、29.8mmol)と5-クロロ-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル、A06(4.99g、29.8mmol)のDMF(60mL)中の溶液に、炭酸カリウム(8.23g、59.6mmol)を添加した。反応混合物を100℃で16時間撹拌し、次いで、水(85mL)で希釈し、EtOAc(100mL)で精製した。有機層をブライン(40mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-35%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 450.8 (M+1).
【0198】
段階2: 5-クロロ-2-メチル-3-((6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-3-((1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル(3g、6.67mmol)をACN(70mL)と水(5mL)中の溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(18.28g、33.3mmol)を添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、次いで、水(10mL)で希釈し、EtOAc(200mL)で抽出した。有機層をブライン(70mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-35%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 328.0 (M-1).
【0199】
中間体AB16
【化40】
【0200】
5-クロロ-2-フルオロ-3-((6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 5-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノキシ)-3-(4-メトキシベンジル)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン
5-フルオロ-3-(4-メトキシベンジル)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン、B18(1g、3.31mmol)のDMF(10mL)中の溶液に、25℃で、3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノール、A04(0.821g、3.64mmol)及びKCO(16.54mg、0.120mmol)を添加した。反応混合物を80℃で1時間撹拌し、次いで、水(3mL)で希釈し、EtOAc(3×2mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(3mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLCプレート(25%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 507.2 (M+1). 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 8.03 (d, J=4.4 Hz, 1H), 7.34 - 7.24 (m, 3H), 7.04 - 6.89 (m, 2H), 6.86 (dd, J=2.4, 6.6 Hz, 1H), 5.07 (s, 2H), 3.81 (s, 3H).
【0201】
段階2: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-(3-ブロモ-5-クロロ-2-フルオロフェノキシ)-3-(4-メトキシベンジル)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン(300mg、0.591mmol)とシアン化銅(I)(265mg、2.95mmol)の混合物のNMP(3mL)中の撹拌溶液を、170℃で7時間撹拌した後、水(30mL)で希釈し、次いで、EtOAc(3×5mL)で抽出した。固体の沈澱物を混合溶媒DCM:MeOH:MeCN=1:1:1(5mL)で洗浄した。併せた有機層をブライン(2×10mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。その残渣を分取-TLCプレート(50%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 8.17 (s, 1H), 7.35 - 7.30 (m, 1H), 7.25 (d, J=8.7 Hz, 2H), 7.14 (dd, J=2.4, 7.0 Hz, 1H), 6.98 - 6.86 (m, 2H), 5.06 (s, 2H), 3.79 (s, 3H).
【0202】
段階3: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(200mg、0.176mmol)のTFA(2mL)中の溶液に、TFAA(1mL)を添加した。得られた混合物を110℃で2時間撹拌した後、飽和NaHCO水溶液(5mL)を添加することによってクエンチし、EtOAc(3×5mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。これは、直接次の段階で使用した。
MS: 375.0 (M+ACN+1).
【0203】
中間体AB17
【化41】
【0204】
3-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-メチルベンゾニトリル
段階1: 3-クロロ-5-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
NMP(140mL)中の化合物5-ブロモ-6-(1,1-ジフルオロエチル)-3-(4-メトキシベンジル)ピリミジン-4(3H)-オン、B20(20g、55.7mmol)と3-クロロ-5-ヒドロキシベンゾニトリル、A10(17.10g、111mmol)の混合物に、KCO(15.39g、111mmol)を添加した。得られた混合物を140℃で24時間撹拌した。その混合物に、3-クロロ-5-ヒドロキシベンゾニトリル(17.10g、111mmol)を添加した。得られた混合物を140℃でさらに6時間撹拌し、次いで、水で稀釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(6.25-50%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 432.1 (M+1).
【0205】
段階2: 3-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-メチルベンゾニトリル
水(5.79mL)と1,4-ジオキサン(17.4mL)中の3-クロロ-5-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(1.0g、2.316mmol)とクロロ[(ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン)-2-(2-アミノビフェニル)]パラジウム(II)(155mg、0.232mmol)とカリウムメチルトリフルオロボレート(424mg、3.47mmol)とCsCO(2264mg、6.95mmol))の混合物をNでパージし、次いで、130℃に加熱した。30分間経過した後、混合物をCELITE(登録商標)フィルター床に通した。その濾液をEtOAc(10mL)で希釈し、水で洗浄した。有機層を無水MgSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-70%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 412.1 (M+1). 1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 8.13 (s, 1H), 7.28 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.17 (s, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.89 (d, J = 8.6 Hz, 3H), 5.05 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 2.35 (s, 3H), 1.93 (t, J = 18.8 Hz, 3H).
【0206】
段階3: 3-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-メチルベンゾニトリル
3-((4-(1,1-ジフルオロエチル)-1-(4-メトキシベンジル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-メチルベンゾニトリル(841.5mg、2.045mmol)のTFA(9297μL)中の溶液に、アニソール(223uL、2.045mmol)及びTFAA(930μL)を添加した。得られた混合物を110℃に15分間加熱し、そして、減圧下で濃縮した。残渣をDCM(20mL)中に溶解し、飽和NaHCO溶液(2×5mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-10%MeOH/DCM)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 292.1 (M+1). 1H NMR (600 MHz, クロロホルム-d) δ 8.08 (s, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.02 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 2.38 (s, 3H), 1.96 (t, J = 18.8 Hz, 3H).
【0207】
中間体BCセクション
中間体BC01
【化42】
【0208】
5-フルオロ-3-((2-メトキシ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)-6-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)ピリミジン-4(3H)-オン
DMF(2242μL)中の5-フルオロ-6-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)ピリミジン-4(3H)-オン、B01(48mg、0.224mmol)と臭化リチウム(19.47mg、0.224mmol)とKCO(77mg、0.561mmol)の混合物に、3-(クロロメチル)-2-メトキシ-4,6-ジメチルピリジン、C16(41.6mg、0.224mmol)を添加した。得られた混合物を一晩50℃に加熱し、次いで、濾過し、逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 363.9 (M+1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 8.18 (s, 1H), 6.65 (s, 1H), 5.08 (s, 2H), 3.94 (s, 3H), 2.46 (s, 3H), 2.40 (s, 3H).
【0209】
表7中の下記中間体は、対応する中間体B及び中間体Cを使用して、中間体BC01の合成において概説されている上記合成手順と同様の条件下で調製した。
【表9】
【0210】
中間体BC04
【化43】
【0211】
5-フルオロ-3-((5-フルオロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン
5-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン、B04(0.207g、1.139mmol)と3-(クロロメチル)-5-フルオロ-2-メトキシピリジン、C20(0.2g、1.139mmol)のNMP(5.70mL)中の攪拌溶液に、室温で炭酸カリウム(0.315g、2.278mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、水(3mL)とEtOAc(3mL)で希釈した。有機層を分離し、減圧下で濃縮して標題化合物が得られた。これは、それ以上精製することなく次の段階で使用した。
MS: 322.1 (M+1).
【0212】
表8中の下記中間体は、対応する中間体B及び中間体Cを使用して、中間体BC04の合成において概説されている上記合成手順と同様の条件下で調製した。
【表10】
【0213】
実施例1
【化44】
【0214】
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(メトキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((2-メトキシ-6-(メトキシメチル)ピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
3-(クロロメチル)-2-メトキシ-6-(メトキシメチル)ピリジン、C15(30mg、0.149mmol)及び5-クロロ-2-フルオロ-3-((6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル AB04(35mg、0.086mmol)のDMF(1mL)中の攪拌溶液に、KCO(23.81mg、0.172mmol)及び臭化リチウム(11.22mg、0.129mmol)を添加した。得られた混合物を15℃で1時間撹拌した。TLCは、反応が完了したことを示し、そして、混合物をHO(10mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLCプレート(50%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 531 (M+1).
【0215】
段階2: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(メトキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((2-メトキシ-6-(メトキシメチル)ピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(25mg、0.047mmol)のACN(0.5mL)中の攪拌溶液に、N下、KI(23.45mg、0.141mmol)及びTMS-Cl(0.018mL、0.141mmol)を添加した。得られた混合物を70℃で1時間撹拌した。TLCは、反応が完了したことを示した。混合物を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物が単離した。
MS: 517 (M+1). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ9.79 (s, 1 H) 8.78 (s, 1 H) 7.69 (d, J=6.84 Hz, 1 H) 7.31 (m, J=4.41, 2.43 Hz, 1 H) 7.07 (dd, J=6.84, 2.43 Hz, 1 H) 6.15 - 6.45 (m, 1 H) 6.10 (d, J=6.84 Hz, 1 H) 4.94 (s, 2 H) 4.36 (s, 2 H) 3.45 (s, 3 H).
【0216】
表9中の下記実施例は、適切な中間体AB及び中間体Cを使用して、実施例1の合成に関して上記で記載した方法と同様の方法で調製した。
【表11】
【0217】
実施例14
【化45】
【0218】
5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
段階1: 5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
5-(ジフルオロメチル)-2-メチル-3-((6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル、AB01(30mg、0.080mmol)と3-(クロロメチル)-5-フルオロ-2-メトキシピリジン、C20(15.36mg、0.087mmol)のNMP(795μL)中の室温の攪拌溶液に、炭酸カリウム(21.98mg、0.159mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、水(3mL)で希釈し、EtOAc(3mL)で抽出した。有機層を減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。これは、それ以上精製することなく次の段階で使用した。
MS: 517.1 (M+1).
【0219】
段階 2: 5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((5-フルオロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル(40mg、0.077mmol)のACN(775μL)中の溶液に、室温で、TMS-I(10.54μL、0.077mmol)を滴下して加えた。添加後、得られた混合物を60℃で1時間加熱し、次いで、EtOAc(2mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(1mL)と飽和Na水溶液(1mL)でクエンチした。有機層を分離し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 503.1 (M+1). 1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.73 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.61 - 7.56 (m, 2H), 7.31 (s, 1H), 6.94 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 6.86 (s, 1H), 6.77 (s, 1H), 4.87 (s, 2H), 2.47 (s, 3H).
【0220】
表10中の下記実施例は、適切な中間体AB及び中間体Cを使用して、実施例14の合成に関して上記で記載した方法と同様の方法で調製した。
【表12】
【0221】
実施例21
【化46】
【0222】
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((2-メトキシ-6-メチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((6-オキソ-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル、AB06(50mg、0.130mmol)と(2-メトキシ-6-メチルピリジン-3-イル)メタノール、C17(20.0mg、0.13mmol)のDCM(1303μL)中の氷冷溶液に、DIAD(25.3μL、0.130mmol)を滴下して加えた。得られた混合物を室温まで昇温させ、次いで、飽和NaHCO水溶液で希釈し、DCMで抽出した。有機層を無水MgSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-100%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 519.1 (M+1).
【0223】
段階 2: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((2-メトキシ-6-メチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(39mg、0.075mmol)とヨウ化カリウム(37.4mg、0.226mmol)のACN(752μL)中の溶液に、TMS-Cl(28.8μL、0.226mmol)を添加した。得られた混合物を50℃に1時間加熱し、次いで、室温まで冷却した後、MeOH(1mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 505.0 (M+1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 8.78 (s, 1H), 7.68 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.10 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 6.12 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.94 (s, 2H), 2.36 (s, 3H).
【0224】
表11中の下記実施例22は、適切な中間体AB及び中間体Cを使用して、実施例21の合成に関して上記で記載した方法と同様の方法で調製した。
【表13】
【0225】
実施例23
【化47】
【0226】
5-(ジフルオロメチル)-2-メチル-3-((6-オキソ-1-((2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
5-(ジフルオロメチル)-2-メチル-3-((6-オキソ-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル、AB03(50mg、0.127mmol)のTHF(633μL)中の溶液に、(2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール、C18(19.36mg、0.139mmol)及びトリフェニルホスフィン(127mg、0.380mmol)を添加し、その後、(E)-ジ-tert-ブチルジアゼン-1,2-ジカルボキシレート(64.1mg、0.278mmol)を添加した。得られた混合物を一晩撹拌し、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
MS: 517.1 (M+1).
【0227】
段階2: 5-(ジフルオロメチル)-2-メチル-3-((6-オキソ-1-((2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(ペルフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル(65mg、0.126mmol)のDMA(629μL)中の溶液に、ピリジン塩酸塩(43.6mg、0.378mmol)を添加した。得られた混合物を120℃で60分間撹拌し、次いで、逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 503.1 (M+1). 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.80 (s, 1H), 8.77 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.42 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.37 (s, 2H), 6.12 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 4.85 (s, 2H), 2.44 (s, 3H).
【0228】
実施例24
【化48】
【0229】
3-((1-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2,5-ジメチルベンゾニトリル
段階1: 5-クロロ-3-((1-((2-メトキシ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
5-クロロ-2-メチル-3-((6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル、AB09(90mg、0.249mmol)と3-(クロロメチル)-2-メトキシ-4,6-ジメチルピリジン、C16(46.2mg、0.249mmol)のDMF(3mL)中の攪拌溶液に、炭酸カリウム(68.8mg、0.498mmol)を添加した。得られた混合物を室温で5時間撹拌し、次いで、水(30mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(0-60%EtOAc/P.E.)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 510.8 (M+1).
【0230】
段階2: 3-((1-((2-メトキシ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2,5-ジメチルベンゾニトリル
5-クロロ-3-((1-((2-メトキシ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル(70mg、0.137mmol)のTHF(3mL)中の攪拌溶液に、炭酸セシウム(134mg、0.411mmol)及びPdCl(dppf)(22.38mg、0.027mmol)及びトリメチルボロキシン(25.8mg、0.206mmol)を添加した。得られた混合物を一晩100℃に加熱し、次いで、水(10mL)でクエンチし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。併せた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(0-40%EtOAc/P.E.)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 490.8 (M+1).
【0231】
段階3: 3-((1-((2-ヒドロキシ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2,5-ジメチルベンゾニトリル
3-((1-((2-メトキシ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2,5-ジメチルベンゾニトリル(60mg、0.122mmol)のACN(3mL)中の攪拌及び氷冷溶液に、ヨウ化ナトリウム(36.7mg、0.245mmol)及びTMS-Cl(0.031mL、0.245mmol)を添加した。得られた混合物を80℃に1時間加熱し、次いで、水(10mL)でクエンチし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。併せた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 477.2 (M+1).
【0232】
実施例25
【化49】
【0233】
5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
段階1: 3-((1-((6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-(ジフルオロメチル)-2-メチルベンゾニトリル
6-クロロ-3-(クロロメチル)-2-メトキシピリジン、C13(244mg、1.272mmol)と5-(ジフルオロメチル)-2-メチル-3-((6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル、AB01(480mg、1.272mmol)のNMP(3181μL)中の攪拌溶液に、室温で、KCO(352mg、2.54mmol)を添加した。得られた混合物を25℃で一晩撹拌し、次いで、水(50mL)で希釈し、室温で30分間撹拌した。その沈澱物をフィルターの上に集め、水(3×)で洗浄し、次いで、風乾させて、標題化合物が得られた。
MS: 533.3 (M+1).
【0234】
段階2: 5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
1,4-ジオキサン(1mL)中の3-((1-((6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-(ジフルオロメチル)-2-メチルベンゾニトリル(20mg、0.038mmol)とトリフルオロ(((4-メトキシベンジル)オキシ)メチル)ホウ酸カリウム(14.53mg、0.056mmol)とcataCXium(登録商標)A Pd G2(5.02mg、7.51μmol)の混合物を、Nでパージし、それに、炭酸セシウムの2M水溶液(0.5mL、1.0mmol)を添加した。得られた混合物をマイクロ波オーブン中で150℃で15分間加熱し、次いで、EtOAcで抽出した。有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をACN(1mL)に溶解し、KI(6.23mg、0.038mmol)及びTMS-Cl(40μL、0.313mmol)で処理した。得られた混合物を、マイクロ波オーブン中で100℃で10分間加熱し、次いで、逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 515.2 (M+1).
【0235】
表12中の下記実施例は、第2欄における適切なヘテロアリール又はアルキルボロネートと一緒に実施例25の合成の段階1の中間体を使用して、実施例25の合成に関して上記で記載した方法と同様の方法で調製した。
【表14】
【0236】
実施例29
【化50】
【0237】
5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
段階1: 3-((1-((6-アセチル-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-(ジフルオロメチル)-2-メチルベンゾニトリル
tol(1877μL)中の3-((1-((6-クロロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-(ジフルオロメチル)-2-メチルベンゾニトリル(実施例25の段階1からの中間体)(100mg、0.188mmol)とビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(26.3mg、0.038mmol)とトリブチル(1-エトキシビニル)スズ(127μL、0.375mmol)の混合物を、100℃で一晩撹拌し、次いで、EtOAcと飽和KF水溶液で希釈し、濃HCl(1mL)で処理した。混合物を室温で一晩撹拌し、そして、漏斗中のCELITE(登録商標)に通した。濾液をEtOAc(2×)で抽出した。併せた有機層を減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーで(0-100%EtOAc/ヘキサン)精製して、標題化合物が得られた。
MS: 541.4 (M+1).
【0238】
段階2: 5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((6-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
3-((1-((6-アセチル-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-(ジフルオロメチル)-2-メチルベンゾニトリル(30mg、0.056mmol)のTHF(278μL)中の-78℃の溶液に、EtO中のメチルマグネシウムブロミドの3M溶液(37.0μL、0.111mmol)を滴下して加えた。完全な変換がLCMSによって示されたら、混合物をMeOHと水でクエンチし、次いで、EtOAcと飽和NaHCO水溶液の間で分配させた。有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をACN(2mL)に溶解し、KI(9.22mg、0.056mmol)及びTMS-Cl(20μL、0.156mmol)で処理した。得られた混合物をマイクロ波オーブン中で100℃で10分間加熱した。混合物を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 543.4 (M+1). 1H NMR (600 MHz, アセトン-d6) δ 8.77 (s, 1H), 7.67 - 7.54 (m, 2H), 7.22 (s, 1H), 6.77 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 6.70 - 6.65 (m, 1H), 6.26 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.94 (s, 2H), 2.03 (s, 3H), 1.62 (s, 1H), 1.53 (s, 6H).
【0239】
実施例30
【化51】
【0240】
3-クロロ-5-((6-オキソ-1-((2-オキソ-6-(1H-ピラゾール-4-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 3-((1-((6-ブロモ-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロベンゾニトリル
3-クロロ-5-((6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(2.27g、7.19mmol)のトルエン(30mL)中の攪拌溶液に、(6-ブロモ-2-メトキシピリジン-3-イル)メタノール C02(1.3g、5.96mmol)、トリフェニルホスフィン(3.15g、12.01mmol)及びDIAD(2.337mL、12.02mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、EtOAcで希釈した。有機層を水及びブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(30%EtOAc/P.E.)で精製して、標題化合物が得られた。
【0241】
段階2: 3-((1-((6-ブロモ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロベンゾニトリル
3-((1-((6-ブロモ-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロベンゾニトリル(1.8g、3.49mmol)のACN(20mL)中の攪拌溶液に、ヨウ化ナトリウム(1.046g、6.98mmol)及びTMS-Cl(0.892mL、6.98mmol)を添加した。反応混合物を80℃で一晩撹拌し、次いで、室温まで冷却し、少量のACNをさらに添加し、撹拌し、濾過した。濾過ケーキをACNで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
MS: 501.2 及び 503.2 (M+1).
【0242】
段階3: 3-クロロ-5-((6-オキソ-1-((2-オキソ-6-(1H-ピラゾール-4-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
1,4-ジオキサン(53.2μL)と水(26.6μL)中の3-((1-((6-ブロモ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロベンゾニトリル(20mg、0.040mmol)と4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(9.28mg、0.048mmol)とPdCl(dppf)-CHCl付加体(3.26mg、3.99μmol)と三塩基性リン酸カリウム(22.85mg、0.108mmol)の混合物を脱ガスし、Nでパージした。得られた混合物を、80℃で3時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。その溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 489.0 (M+1).
【0243】
実施例31
【化52】
【0244】
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((2-メトキシ-6-ビニルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1、6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル AB04(150mg、0.410mmol)とKCO(283mg、2.051mmol)のDMF(2mL)中の溶液に、3-(クロロメチル)-2-メトキシ-6-ビニルピリジン、C19(75mg、0.410mmol)及び臭化リチウム(42.8mg、0.492mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で20時間撹拌し、次いで、HO(5mL)でクエンチし、EtOAc(3×5mL)で抽出した。併せた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を分取TLCプレート(25%EtOAc/P.E.)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 513.1 (M+1).
【0245】
段階2: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-ホルミル-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
1,4-ジオキサン(3mL)とHO(1mL)中の5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((2-メトキシ-6-ビニルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(80mg、0.156mmol)と2,6-ルチジン(0.051mL、0.438mmol)の混合物に、t-BuOH(0.1mL)に溶解させた四酸化オスミウム(1.224μL、3.90μmol)を添加した。得られた混合物を20℃で30分間撹拌し、混合物に過ヨウ素酸ナトリウム(122mg、0.571mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で1.5時間撹拌し、次いで、EtOAc(10mL)で希釈し、水(10mL)の中に慎重に注ぎ入れた。有機層を飽和水性Na(10mL)及びブライン(10mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
MS: 515.1 (M+1).
【0246】
段階3: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-ホルミル-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(70mg、0.136mmol)のEtOAc(1mL)とMeOH(3mL)中の溶液に、Zn(BH(0.136mL、0.136mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で0.25時間撹拌し、次いで、1N HCl(10mL)でクエンチし、EtOAc(3×10mL)で抽出した。併せた有機層を無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。これは、直接次の段階で使用した。
MS: 517.1 (M+1).
【0247】
段階 4: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(60mg、0.116mmol)のACN(3.00mL)中の溶液に、KI(57.8mg、0.348mmol)及びTMS-Cl(0.045mL、0.348mmol)を添加した。得られた混合物を70℃で1時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 503.0 (M+1). 1HNMR (400 MHz, DMSO- d6): δ11.75 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 7.86-7.84 (m, 1 H), 7.69-7.50 (m, 1H), 7.48-7.46 (d, 1H), 6.87-6.74(m, 1H), 6.17-6.15 (m, 1 H), 5.42 (s, 1H), 4.86(s, 2H), 4.27 (s, 2H).
【0248】
実施例32(異性体A)及び実施例33(異性体B)
【化53】
【0249】
(S)-5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
及び、
(R)-5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((2-メトキシ-6-ビニルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル、AB12(0.3g、0.963mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、3-(クロロメチル)-2-メトキシ-6-ビニルピリジン、C19(0.177g、0.963mmol)、KCO(0.399g、2.89mmol)及び臭化リチウム(0.167g、1.925mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で1時間撹拌し、次いで、EtOAc(3×15mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をMeOHを用いて摩砕して、標題化合物れた。これは、それ以上精製することなく直接使用した。
【0250】
段階2: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((6-ホルミル-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
1,4-ジオキサン(1.5mL)と水(0.5mL)中の5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((2-メトキシ-6-ビニルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(200mg、0.436mmol)の混合物に、2,6-ジメチルピリジン(131mg、1.220mmol)及びt-BuOH(0.1mL)中の四酸化オスミウムの溶液(0.1mL、0.436mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で15分間撹拌した。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム(336mg、1.569mmol)を添加した。反応物を20℃で1.5時間撹拌し、次いで、水(15mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。併せた有機層を無水Na2SOで脱水し、濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-20%EtOAc/石油エーテル)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 461.1 (M+1).
【0251】
段階3: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((6-ホルミル-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(55mg、0.107mmol)のTHF(3mL)とEtOAc(2mL)中の溶液に、THF中の1M Zn(BH溶液(0.021mL、0.021mmol)を-30℃で添加した。得られた混合物を-30℃で0.5時間撹拌した。反応物を水(1滴)でクエンチし、次いで、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
MS: 463.1 (M+1).
【0252】
階4: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
(S)-5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
及び、
(R)-5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((4-(1-フルオロエチル)-1-((6-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(49mg、0.106mmol)のACN(3mL)中の溶液に、KI(22.14mg、0.133mmol)、TMS-Cl(0.044mL、0.347mmol)を添加した。得られた混合物を70℃で5時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、ラセミ体の標題化合物を単離した。
MS: 449 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 4.27 (br d, J=4.63 Hz, 2 H) 4.83 (s, 2 H) 5.46 (s, 1 H) 5.63 - 5.88 (m, 1 H) 6.15 (br d, J=7.28 Hz, 1 H) 7.42 (d, J=7.06 Hz, 1 H) 7.58 (br d, J=5.73 Hz, 1 H) 7.82 (br s, 1 H) 8.68 (s, 1 H).
【0253】
そのラセミ混合物をキラルSFC(Chiralpak IC-H カラム、250×30mm id、5μm、IPA/CO=35%)で精製して、実施例32異性体A(速く溶出する)及び実施例33異性体B(遅く溶出する)が得られた。
【0254】
実施例34(異性体A)
【化54】
【0255】
(S)又は(R)-5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(1-ヒドロキシエチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 3-((1-((6-アセチル-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロ-2-フルオロベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル、AB04(247mg、0.676mmol)のDMF(4mL)中の溶液に、1-(5-(クロロメチル)-6-メトキシピリジン-2-イル)エタノン、C21(135mg、0.676mmol)及びKCO(187mg、1.352mmol)及び臭化リチウム(88mg、1.014mmol)を添加した。得られた混合物を30℃で5時間撹拌し、HO(15mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(40mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(50%EtOAc/P.E.)で精製して標題化合物が得られた。
MS: 529.2 (M+1).
【0256】
段階2: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(1-ヒドロキシエチル)-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
3-((1-((6-アセチル-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-クロロ-2-フルオロベンゾニトリル(144mg、0.272mmol)のEtOAc(21mL)中の溶液に、THF中の1M Zn(BH溶液(0.272mL、0.272mmol)を20℃で添加した。得られた溶液を15-20℃で0.5時間撹拌し、次いで、4N HCl水溶液(5mL)でクエンチし、HO(15mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(40mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物が得られた。
MS: 531.2 (M+1).
【0257】
段階3: (S)又は(R)-5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(1-ヒドロキシエチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-(1-ヒドロキシエチル)-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(185mg、0.349mmol)のACN(32mL)中の溶液に、KI(174mg、1.046mmol)及びTMS-Cl(0.134mL、1.046mmol)を添加した。得られた混合物を70℃で2時間撹拌し、次いで、水(15mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、ラセミ体の標題化合物を単離した。ラセミ混合物をキラルSFC(ChiralPak AD-H カラム、250×30mm id、5μm、25%IPA/CO(0.1%NHOHを調節剤として含有))で精製して、実施例34(異性体A、速く溶出する)が得られた。
MS: 517.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.29 (d, J = 6.58 Hz, 3 H) 4.49 (br d, J = 4.39 Hz, 1 H) 4.86 (s, 2 H) 5.49 (br d, J =3.51 Hz, 1 H) 6.17 (d, J = 7.45 Hz, 1 H) 6.68 - 7.07 (m, 1 H) 7.47 (d, J = 7.02 Hz, 1 H) 7.76 (dd, J=7.24, 2.41 Hz, 1 H) 7.85 (dd, J=4.38, 2.63 Hz, 1 H) 8.80 (s, 1 H).
【0258】
実施例35
【化55】
【0259】
3-(ジフルオロメチル)-5-((1-((5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-フルオロ-3-((5-フルオロ-2-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン、BC04(40mg、0.125mmol)と3-(ジフルオロメチル)-5-ヒドロキシベンゾニトリル、A01(25.3mg、0.149mmol)のDMF(623μL)中の室温の攪拌溶液に、炭酸カリウム(34.4mg、0.249mmol)を添加した。得られた混合物を100℃で一晩撹拌し、次いで、水(2mL)とEtOAc(2mL)で希釈した。有機層を分離し、減圧下で濃縮した。残渣をACN(2mL)に溶解させ、TMS-I(85μL、0.623mmol)を室温で滴下して加えた。添加後、得られた混合物を60℃に2時間加熱した。反応物をEtOAc(2mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(1mL)と飽和水性Na(1mL)でクエンチした。有機層を分離し、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 457.1 (M+1). 1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 8.75 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.62 - 7.55 (m, 2H), 7.00 (t, J = 55.2 Hz, 1H), 4.88 (s, 2H).
【0260】
表13中の下記実施例は、適切な中間体A及び中間体BCを使用して、実施例35の合成に関して上記で記載した方法と同様の方法で調製した。
【表15】
【0261】
実施例39
【化56】
【0262】
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((2-メトキシ-6-メチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
DMF(859μL)中の5-フルオロ-3-((2-メトキシ-6-メチルピリジン-3-イル)メチル)-6-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)ピリミジン-4(3H)-オン、BC03(60mg、0.172mmol)と5-クロロ-2-フルオロ-3-ヒドロキシベンゾニトリル、A05(30.9mg、0.180mmol)と炭酸カリウム(47.5mg、0.344mmol)の混合物を80℃で一晩加熱し、次いで、翌晩100℃で加熱した。粗製物を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 501.2 (M+1).
【0263】
段階2: 5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((6-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル
5-クロロ-2-フルオロ-3-((1-((2-メトキシ-6-メチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル(11.5mg、0.023mmol)とヨウ化カリウム(11.44mg、0.069mmol)のACN(230μL)中の溶液に、TMS-Cl(8.80μL、0.069mmol)を添加した。得られた混合物を50℃に4時間加熱し、次いで、MeOH(1mL)でクエンチした。粗製物を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 487.2 (M+1).
【0264】
表14中の下記実施例は、適切な中間体A及び中間体BCを使用して、実施例39の合成に関して上記で記載した方法と同様の方法で調製した。
【表16】
【0265】
実施例42
【化57】
【0266】
5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
段階1: 3-((1-((2-クロロ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-(ジフルオロメチル)-2-メチルベンゾニトリル
DMF(2mL)中の5-(ジフルオロメチル)-3-ヒドロキシ-2-メチルベンゾニトリル、A02(118mg、0.643mmol)と((2-クロロ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)-5-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オン、BC02(180mg、0.536mmol)と炭酸カリウム(148mg、1.072mmol)の混合物を80℃で15時間撹拌し、フィルターに通した。濾過ケーキをEtOAc(10mL)で洗浄した。濾液をEtOAcと水の間で分配させた。層を分離した。水層をEtOAc(3×10mL)でさらに抽出した。併せた有機層を無水MgSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィー(0-100%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物が得られた。
MS: 499.1 (M+1).
【0267】
段階2: 5-(ジフルオロメチル)-3-((1-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-2-メチルベンゾニトリル
3-((1-((2-クロロ-4,6-ジメチルピリジン-3-イル)メチル)-6-オキソ-4-(トリフルオロメチル)-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)オキシ)-5-(ジフルオロメチル)-2-メチルベンゾニトリル(140mg、0.281mmol)のAcOH(32.100mL、561mmol)中の溶液を、LCMSによって完全な変換が示されるまで100℃で4晩加熱した。混合物を減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFAを調節剤として含有))で精製して、標題化合物を単離した。
MS: 481.1 (M+1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 8.77 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.26 (d, J = 1.8 Hz, 3H), 6.73 (s, 1H), 6.51 (t, J = 55.9 Hz, 1H), 6.16 (s, 1H), 5.02 (s, 2H), 2.64 (s, 1H), 2.59 (s, 3H), 2.43 (d, J = 1.4 Hz, 3H), 2.35 (s, 3H).
【0268】
実施例43: 細胞殺(SMACK)活性の測定:
健康なドナーに由来するPBMCを、5μg/mLのフィトヘマグルチニンを含む完全培地(L-グルタミンを含むRPMI 1640;10%熱不活化ウシ胎仔血清;100U/mLのペニシリン-ストレプトマイシン)の中で、5%CO、37℃、湿度90%で、約2.5×10細胞/mLで3日間増殖させた。4日目に、PHAで刺激された細胞を洗浄し、VSV-G疑似型HIVウイルスストック(VSV-G/pNLG1-P2A-ΔEnv-20μg/mL p24)を含むIL-2(10U/mL)を含む完全培地に約20×10細胞/mLで再懸濁させ、37℃、5%CO、湿度90%で4時間インキュベートした。VSV-G/pNLG1-P2A-ΔEnvは、pNL43に由来するVSV-G疑似型ウイルスであり、egfpがnefの5’に挿入されており、eGFP発現が通常のスプライシングされたRNA転写産物を駆逐する。ウイルスは、フレームシフトを引き起こす単一ヌクレオチドの欠失に起因して50アミノ酸で切り詰められたVifを含み、gfp後の終止コドンに起因してNefを発現しない。複数の終止コドンが生じるフレームシフトのため、HIV Envは発現されない。次いで、感染した細胞を完全培地+10U/mL IL-2で3回洗浄し、22℃で200×gで3分間遠心分離した。細胞を完全培地+10U/mL IL-2に5×10細胞/mLで再懸濁させ、37℃、5%CO、湿度90%で一晩インキュベートした。化合物処理のために、感染したPBMCを、L-グルタミン、50%正常ヒト血清(NHS)、100U/mLのペニシリン-ストレプトマイシン+IL-2(10U/mL)を含むRPMI 1640で4×10細胞/mLに希釈し、及び、20,000細胞を、最終DMSOが0.5%未満である化合物含有384ウェルポリ-D-リシンコーティング化合物プレートの各ウェルに移した。化合物は、10ポイントの3倍滴定で試験した。プレートは、Blue Laser 488nmを使用してAcumen ex3イメージャーで分析し、感染細胞の死を表すGFPが喪失したGFP陽性オブジェクトの番号を収集した。滴定曲線及びEC50値は、4パラメーターロジスティックフィットを使用して計算した。結果は、表15に示されている。
【0269】
【表17】