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特許7543317コアシェル粒子、並びにその製造方法及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】コアシェル粒子、並びにその製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20240826BHJP
   G02C 7/10 20060101ALI20240826BHJP
   G02C 7/00 20060101ALI20240826BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20240826BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240826BHJP
   B22F 1/054 20220101ALI20240826BHJP
   B22F 1/16 20220101ALI20240826BHJP
【FI】
G02B5/22
G02C7/10
G02C7/00
G02C7/04
B22F1/00 K
B22F1/054
B22F1/16
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021570453
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 IB2020055279
(87)【国際公開番号】W WO2021001706
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】62/869,736
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】グ・フランク
(72)【発明者】
【氏名】チェン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナクマール・ハリシュ
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0036234(US,A1)
【文献】特開2006-307341(JP,A)
【文献】特表2017-506354(JP,A)
【文献】特表2011-513767(JP,A)
【文献】特表2009-536549(JP,A)
【文献】国際公開第2013/039117(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0047022(KR,A)
【文献】特表2017-533449(JP,A)
【文献】国際公開第2018/029540(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
G02C 7/10
G02C 7/00
G02C 7/04
B22F 1/00
B22F 1/054
B22F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシェル粒子の集団であって、前記コアシェル粒子の各々が、
貴金属を含むプラズモニックナノ粒子コアと、
前記プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電材料を含むシェルと、を含み、
前記コアシェル粒子の前記集団が、400nm~500nmの範囲の最大吸収値を示し、
前記コアシェル粒子の前記集団が、20nm~75nmの半値全幅を有する吸収スペクトルを示
前記貴金属が銀を含む、コアシェル粒子の集団。
【請求項2】
前記コアシェル粒子の前記集団が、400nm~460nmの範囲の前記最大吸収値を示す、請求項1に記載のコアシェル粒子の集団
【請求項3】
前記誘電材料が二酸化ケイ素を含む、請求項1又は2に記載のコアシェル粒子の集団
【請求項4】
前記プラズモニックナノ粒子コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、5nm~100nmの平均粒径を有し、かつ/又は、
前記プラズモニックナノ粒子コアが、単分散粒径分布を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のコアシェル粒子の集団
【請求項5】
前記プラズモニックナノ粒子コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、20nm~60nmの平均粒径を有し、かつ/又は、
前記プラズモニックナノ粒子コアが、単分散粒径分布を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のコアシェル粒子の集団。
【請求項6】
前記プラズモニックナノ粒子コアが、均質な粒子形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のコアシェル粒子の集団
【請求項7】
前記プラズモニックナノ粒子コアが多面体形状を有する、請求項6に記載のコアシェル粒子の集団。
【請求項8】
前記プラズモニックナノ粒子コアが、立方体形状、八面体形状、十面体形状、立方八面体形状、四面体形状、菱形十二面体形状、切頭複正方柱形状、又は切頭二重四面体形状を有する、請求項7に記載のコアシェル粒子の集団。
【請求項9】
前記プラズモニックナノ粒子コアが、粒子形状の混合物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のコアシェル粒子の集団
【請求項10】
前記プラズモニックナノ粒子コアが、立方体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第1の集団と、八面体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第2の集団と、を含む、請求項9に記載のコアシェル粒子の集団。
【請求項11】
前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1nm~100nmの平均厚さを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のコアシェル粒子の集団
【請求項12】
前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、15nm~50nmの平均厚さを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のコアシェル粒子の集団。
【請求項13】
光学的に透明な材料であって、
基材と、
前記基材内に配設されたコアシェル粒子の集団であって、前記コアシェル粒子の各々が、
(i)貴金属を含むプラズモニックナノ粒子コアと、
(ii)前記プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電材料を含む非金属シェルと、を含む、コアシェル粒子の集団と、を含み、
前記コアシェル粒子の前記集団が、400nm~500nmの範囲の最大吸収値を示し、
前記コアシェル粒子の前記集団が、20nm~75nmの半値全幅を有する吸収スペクトルを示
前記貴金属が銀を含む、光学的に透明な材料。
【請求項14】
前記コアシェル粒子の前記集団が、請求項12のいずれか一項に記載されたコアシェル粒子の集団である、請求項13に記載の材料。
【請求項15】
前記コアシェル粒子の前記集団が、前記基材の総重量に基づいて、0.05重量%~10重量%の濃度で前記基材中に存在する、請求項13又は14に記載の材料。
【請求項16】
前記基材が、ガラス、アリルジグリコールカーボネート(ADC)、ポリカーボネート、ポリウレタン、チオウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、シリコーンヒドロゲル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1315のいずれか一項に記載の材料。
【請求項17】
前記基材が、親水性モノマー、シリコーン含有成分、又はこれらの組み合わせの重合に由来するポリマーを含み、かつ/又は、
前記基材が、シリコーンヒドロゲルを含む、請求項1316のいずれか一項に記載の材料。
【請求項18】
請求項1317のいずれか一項に記載の材料を含む、光学レンズ。
【請求項19】
前記光学レンズが眼鏡レンズを含む、請求項18に記載の光学レンズ。
【請求項20】
眼鏡であって、
請求項19によって定義された第1の眼鏡レンズと、
請求項19によって定義された第2の眼鏡レンズと、
前記第1の眼鏡レンズ及び前記第2の眼鏡レンズの周りに配設されたフレームと、を備える、眼鏡。
【請求項21】
眼科用デバイスであって、
請求項1317のいずれか一項に記載の材料を含み
記眼科用デバイスが、コンタクトレンズ、角膜オンレー、角膜インレイ、眼内レンズ、又はオーバーレイレンズである、眼科用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年7月2日に出願された米国仮特許出願第62/869,736号に対する優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、概して光学フィルタに関する。より具体的には、本出願は、コアシェル粒子であって、コアシェル粒子に光の特定波長(例えば、青色光の特定波長)を吸収する、散乱させる、及び/又は消すことを可能にする調整可能な光物理的特性を示す、コアシェル粒子が開示される。コアシェル粒子は、光学的に透明な基材内に調整可能な光学フィルタとして組み込まれて、コンタクトレンズなどの眼科用デバイスを含むデバイスを製造することができる。
【背景技術】
【0003】
電磁スペクトルは、電波、ミリ波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線(UVA及びUVB)、X線、及びガンマ線を含む、電磁放射線のすべての可能な周波数の範囲を推測する。地球のオゾン層は、最大約286nmまでの波長を吸収し、最も高いエネルギーを有する電磁放射線への曝露からヒトの挙動を遮蔽する。しかしながら、ヒトは、286nmを上回る波長を有する電磁放射線に曝露される。この放射線の大部分は、約400ナノメートル(nm)~約700nmの範囲の波長を有する光を含む、ヒトの視覚スペクトル内に入る。
【0004】
様々な電磁波長は、人体に物理的効果を与え得る。例として、ヒト網膜は可視光(400~700nm)に応答する。可視光のうち波長が短いものは、反比例してエネルギーが大きくなるため、ヒトの健康に対する最大の危険性をもたらす。特に、約400nm~約500nmの波長の範囲の青色光は、動物性網膜色素上皮(retinal pigment epithelium、RPE)細胞に対して最も光化学的損傷を生じる可視スペクトルの部分であることが示されている。
【0005】
白内障及び黄斑変性症は、青色光曝露から生じる眼内レンズ及び網膜への光化学的損傷にそれぞれ関連している。青色光曝露はまた、ぶどう膜メラノーマ細胞の増殖を促進することも示されている。最近の研究はまた、短波長可視光(青色光)が加齢性黄斑変性症(age related macular degeneration、AMD)に寄与し得ることを指摘している。
【0006】
ヒト網膜は、複数の層を含む。これらの層としては、眼に入る任意の光に最初に曝露されるものから最も深い光へと順に並べると、神経繊維層、神経節細胞、内側神経叢、双極及び水平細胞、外側神経叢、光受容体(桿体及び錐体)、網膜色素上皮(RPE)、ブルッフ膜、及び脈絡膜が挙げられる。光がヒトの眼の光受容体細胞(桿体及び錐体)によって吸収されると、細胞は漂白され、回復するまで受容できなくなる。この回復プロセスは、「視覚サイクル」と呼ばれる代謝プロセスである。青色光の吸収は、このプロセスを早期に反転し、酸化損傷のリスクを増加させる。この反転は、眼のRPE層内のリポフスチンの蓄積をもたらす。過剰量のリポフスチンは、ブルッフ膜と眼のRPEとの間の「ドルーゼン」と呼ばれる細胞外凝集体の形成につながる。
【0007】
ヒトの生命の過程で、代謝老廃副産物は、光と網膜との相互作用に起因して、眼のRPE層内に蓄積する。代謝廃棄物副生成物としては、リポフスチン構成成分A2Eなどの特定のフルオロフォアが挙げられる。この代謝廃棄物が眼のRPE層に蓄積すると、排泄物を代謝する身体の生理学的能力が低下し、青色光刺激によってRPE層にドルーゼンが形成される。ドルーゼンは、AMDに寄与する正常な生理活性/代謝活性に更に干渉すると考えられる。AMDは、米国及び西欧諸国における不可逆的な重度の視力喪失の原因である。AMDの負担は、今後20年間で、人口の変化及び高齢者の増加に伴い、劇的に増加すると予想されている。
【0008】
ドルーゼンは、RPE層が適切な栄養素を光受容体に提供するのを妨げるか又は遮断し、これらの細胞の損傷又は更には死をもたらす。このプロセスを更に複雑にするのは、リポフスチンが多量に青色光を吸収すると、毒性が生じ、RPE細胞の更なる損傷及び/又は死を引き起こすことであると思われる。リポフスチン構成成分A2Eは、RPE細胞の短波長感度に少なくとも部分的に関与すると考えられる。リポフスチンクロモフォアA2Eは、約430nmの最大吸収を示す。A2Eの励起から生じる光化学事象は、細胞死につながる可能性がある。
【0009】
理論的な観点から、眼球では以下のような現象が起こっていると考えられている:(1)乳幼児期から生涯にわたって、RPE内にリポフスチンの蓄積を含む老廃物の蓄積が起こる、(2)網膜の代謝活動、及びこの老廃物を処理する眼の能力は、典型的には年齢とともに低下する、(3)黄斑色素は、典型的には加齢により減少し、したがって青色光を遮断する機能が低下する、(4)青色光は、蓄積リポフスチンを毒性にし、色素上皮細胞を損傷させる。
【0010】
照明及びビジョンケア産業は、UVA及びUVB放射線へのヒト視力曝露に対する標準を有する。しかしながら、そのような標準は、青色光に関して決まったものが存在しない。例えば、今日市販されている一般的な蛍光管では、ガラスエンベロープはほとんど紫外線を遮断するが、青色光はわずかな減衰で透過される。場合によっては、エンベロープは、スペクトルの青色領域における透過率が向上するように設計される。このような光ハザードの人工的な光源はまた、眼の損傷を引き起こす場合がある。
【0011】
青色光の有害な影響から眼を保護することを目的として、青色光を遮断するように構成されたアイウェア(例えば、サングラス、眼鏡、ゴーグル、コンタクトレンズ)が評価されている。このようなアイウェアは、典型的には、入射青色光を吸収する黄色染料又は顔料(例えば、BPI Filter Vision 450又はBPI Diamond Dye 500)を使用する。結果として、このようなアイウェアには、典型的には、閾値波長(例えば、500nmを下回る)未満の光を完全に(又はほぼ完全に)遮断するとともに、より長い波長の光の曝露を低減する黄色の着色レンズが含まれる。
【0012】
しかしながら、そのようなアイウェアは、ユーザにとって重大な欠点を有する。特に、青色遮断眼科用システムは、青色遮断によってレンズ内で生じる黄色又は琥珀色のため、美観的に見栄えが悪い場合がある。多くの人々にとって、この黄色又は琥珀色の外観は、美観的に望ましくない場合がある。更に、この色合いは、レンズユーザの通常の色知覚と干渉する場合があり、例えば、信号機又はサインの色を正しく知覚することが困難になる。
【0013】
従来の青色遮断フィルタの黄変効果を補正する努力がなされてきた。例えば、青色、赤色、又は緑色の染料などの追加の染料で青色遮断レンズを処理して、黄変効果を相殺してきた。この処理では、追加の染料が元の青色遮断染料と混合されてしまう。しかしながら、この技術は青色遮断レンズにおいて黄色を低減することができるが、染料の混合は、より多くの青色光スペクトルを通過させることによって、青色の遮断の有効性を低減する可能性がある。更に、これらの従来技術は、青色光波長以外の光波長の全体的な透過を不必要に低減する。この望ましくない低減は、今度は、レンズユーザの視力を低減させる可能性がある。
【0014】
従来の青色遮断はまた、可視透過も低減し、これは瞳孔の拡張を促す。瞳孔の拡張は、眼内レンズ及び網膜を含む内部眼構造体への光束を増加させる。これらの構造体への放射束は、瞳孔径の2乗に比例して増加するため、青色光の半分を遮断するが、可視光線の透過率を低下させて瞳孔径を2mm~3mmに緩和したレンズは、網膜への青色光子の照射量を実際には12.5%増加させることになる。光毒性のある光から網膜を保護することは、網膜に入射するこの光の量に依存するが、これは眼球媒体の透過特性や、瞳孔の動的開口度にも依存する。
【0015】
従来の青色遮断の別の問題は、夜間視力を低下させる可能性があることである。青色光は、明るい光又は明所視よりも低光量又は明所視にとってより重要であり、この結果は、明所視及び明所視の視感度スペクトルにおいて定量的に表現される。したがって、閾値波長(例えば、500nmを下回る)を下回る入射光を完全に(又はほぼ完全に)遮断する青色遮断アイウェアは、夜間視力を著しく損なう可能性がある。
【0016】
加えて、青色光は、概日リズムに影響を及ぼすことが知られている。メラトニン(N-アセチル-5-メトキシトリプタミン)は、松果腺によって分泌されるホルモンである。メラトニンは、一部には、化学的に眠気を引き起こし、体温を低下させることによって睡眠中のサイクルを調節する。波長460~480nmの青色光は、メラトニンの生成を抑制する。したがって、日中の青色光の適切なレベルを確実に確保することは、許容可能な概日リズムを維持するために重要であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、許容可能な明所視、暗所視、色視力、及び概日リズムを維持しつつ、青色光の有害な影響を軽減することができる材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書では、調整可能な光物理特性を示す粒子が提供される。粒子は、電磁スペクトルの青色領域内の特定の波長の光(例えば、400nm~500nm)を吸収する、散乱させる、及び/又は消すように設計することができる。粒子は、波長固有の光学フィルタとして光学的に透明な基材に組み込むことができる。粒子は、青色領域内の光の特定の狭い領域を吸収する、散乱させる、及び/又は消すことができ、一方で、紫外線、赤外線、及び/又は可視スペクトルの他の領域内の入射光のかなりの部分が材料を通過することを可能にする。
【0019】
粒子は、貴金属(例えば、銀)を含むプラズモニックナノ粒子コアを有するコアシェル粒子と、プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電材料(例えば、二酸化ケイ素)を含むシェルと、を含むことができる。プラズモニックナノ粒子コアのサイズ及び形状を変化させることにより、プラズモニックナノ粒子コアの光学特性(局在表面プラズモン共鳴によって生じる)を調整することができる。例えば、プラズモニックナノ粒子コアの吸収は、電磁スペクトルの青色領域(例えば、400nm~500nm)内で調整することができる。プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電体シェルは、隣接するプラズモニックナノ粒子コア間の相互作用を低減し、プラズモニックナノ粒子コアの吸光度及び/又は散乱ピークのブロード化及び/又は赤色偏移を防止することができる。結果として、コアシェル粒子は、電磁スペクトルの青色領域において吸光度及び/又は散乱ピークを示すことができ、これらはともに調整可能であり、比較的狭い。
【0020】
プラズモニックナノ粒子コアのサイズ及び形状は、コアシェル粒子の光学特性を調整するために変化させることができる。いくつかの実施形態では、コアシェル粒子のプラズモニックナノ粒子コアは、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscopy、TEM)によって測定されると、5nm~100nm(例えば、20nm~60nm)の平均粒径を有することができる。誘電体シェルの寸法も変化させることができる。いくつかの実施形態では、コアシェル粒子のプラズモニックナノ粒子コアは、平均粒径を有することができ、コアシェル粒子のシェルは、平均厚さを有することができ、平均粒径と平均厚さとの比は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1:5~20:1(例えば、2:3~6:1)とすることができる。いくつかの実施例では、コアシェル粒子のシェルは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1nm~100nm(例えば、15nm~50nm)の平均厚さを有することができる。
【0021】
場合によっては、プラズモニックナノ粒子コアは、単分散粒径分布を有する。プラズモニックナノ粒子コアの形状は様々であり得る。いくつかの実施形態では、プラズモニックナノ粒子コアは多面体形状を有することができる。例えば、プラズモニックナノ粒子コアは、立方体形状、八面体形状、十面体形状、立方八面体形状、四面体形状、菱形十二面体形状、切頭複正方柱形状、又は切頭二重四面体形状を有することができる。
【0022】
場合によっては、プラズモニックナノ粒子コアは、均質な粒子形状を有することができる。
【0023】
他の場合には、プラズモニックナノ粒子コアは、粒子形状の混合物を含むことができる。例えば、いくつかの例では、プラズモニックナノ粒子コアは、立方体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第1の集団と、八面体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第2の集団とを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、コアシェル粒子は、400nm~500nm(例えば、400nm~460nm)の範囲の最大吸収値を示すことができる。いくつかの実施形態では、コアシェル粒子の集団は、20nm~75nmの半値全幅を有する吸収スペクトルを示すことができる。
【0025】
本明細書に記載されるコアシェル粒子の集団は、光学的に透明な基材内に分散させることができる。基材は、例えば、ガラス、アリルジグリコールカーボネート(ADC)、ポリカーボネート、ポリウレタン、チオウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、シリコーンヒドロゲル、又はこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は、シリコーンヒドロゲルを含むことができる。特定の実施形態では、基材は、親水性モノマー、シリコーン含有成分、又はこれらの組み合わせの重合に由来するポリマーを含むことができる。
【0026】
コアシェル粒子は、様々な濃度で光学的に透明な基材に組み込まれ得る。例として、いくつかの実施形態では、コアシェル粒子の集団集団が、基材の総重量に基づいて、0.5重量%~10重量%の濃度で基材中に存在することができる。
【0027】
結果として得られる光学的に透明な材料を使用して、光学レンズ(例えば、眼鏡レンズ、カメラレンズ、コンタクトレンズなど)、眼科用デバイス(例えば、コンタクトレンズ、角膜オンレイ、角膜インレイ、眼内レンズ、オーバーレイレンズなど)、スクリーンカバー(例えば、コンピュータモニタ、タブレットスクリーン、又は携帯電話スクリーンを覆うように構成された透明シート)、及びLEDディスプレイを有する電子デバイス用のハウジングを含む、様々な異なる物品を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】例示的なコアシェル粒子断面、並びにコアシェル構造体とコアシェル粒子の光物理特性との間の関係を示す概略図である。
図2】7つの異なる例示的コアシェル粒子の正規化吸収率を示すプロットである。図2のスペクトルによって示されるように、コアシェル粒子の吸収率は、プラズモニックナノ粒子コアのサイズ及び形状を変化させることにより、電磁スペクトルの青色領域(例えば、400nm~500nm)内で調整することができる。
図3A】3つの例示的なプラズモニックナノ粒子コアを示しているTEM顕微鏡写真である:実施例W-4(図3A、25.4±1.2nmの平均粒径を有する立方体銀粒子)、実施例W-1(図3B、43.3±7.2nmの平均粒径を有する立方体銀粒子)、及び実施例W-2(図3C、41.7±0.5nmの平均粒径を有する44%の立方体銀粒子と、45.2±0.6nmの平均粒径を有する37%の八面体銀粒子と、十面体、立方八面体、及び切頭二重四面体形状を有する少量(19%)の銀粒子との混合物)。
図3B】3つの例示的なプラズモニックナノ粒子コアを示しているTEM顕微鏡写真である:実施例W-4(図3A、25.4±1.2nmの平均粒径を有する立方体銀粒子)、実施例W-1(図3B、43.3±7.2nmの平均粒径を有する立方体銀粒子)、及び実施例W-2(図3C、41.7±0.5nmの平均粒径を有する44%の立方体銀粒子と、45.2±0.6nmの平均粒径を有する37%の八面体銀粒子と、十面体、立方八面体、及び切頭二重四面体形状を有する少量(19%)の銀粒子との混合物)。
図3C】3つの例示的なプラズモニックナノ粒子コアを示しているTEM顕微鏡写真である:実施例W-4(図3A、25.4±1.2nmの平均粒径を有する立方体銀粒子)、実施例W-1(図3B、43.3±7.2nmの平均粒径を有する立方体銀粒子)、及び実施例W-2(図3C、41.7±0.5nmの平均粒径を有する44%の立方体銀粒子と、45.2±0.6nmの平均粒径を有する37%の八面体銀粒子と、十面体、立方八面体、及び切頭二重四面体形状を有する少量(19%)の銀粒子との混合物)。
図4】誘電シリカシェルでコーティングする前と後のプラズモニック銀ナノ粒子コア(実施例W-19)のサンプルを示すTEM顕微鏡写真を含む。
図5】洗浄後及び約1週間保管後のコアシェル粒子(実施例W-19)のサンプルを示すTEM顕微鏡写真を含む。
図6A】コアシェル粒子を含有して調製された例示的なコンタクトレンズを示す写真である。コアシェルナノ粒子は、コンタクトレンズを形成するシリコーンヒドロゲル内に分散される。
図6B】コアシェル粒子を含有するコンタクトレンズ上のUV曝露の効果を示す。レンズ14、15、19、及び20をUVA光に24時間曝露したが、レンズ16、17、21、及び22はUVA光に曝露されなかった。レンズ19、20、21、及び22はまた、レンズ14、15、16、及び17が熱処理されていない間に熱処理された。UV曝露レンズと非曝露レンズとの間には、目に見える差は観察されなかった。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、以下の説明に記載されている構造又はプロセス工程の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は他の実施形態が可能であり、本明細書に記載の教示を用いた様々な方法によって実行又は実施することが可能である。
【0030】
上述したように、調整可能な光物理特性を示すコアシェル粒子が提供される。粒子は、電磁スペクトルの青色領域内の特定の波長の光(例えば、400nm~500nm)を吸収する、散乱させる、及び/又は消すように設計することができる。粒子は、貴金属(例えば、銀)を含むプラズモニックナノ粒子コアを有するコアシェル粒子と、プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電材料(例えば、二酸化ケイ素)を含むシェルと、を含むことができる。
【0031】
プラズモニックナノ粒子コアのサイズ及び形状を変化させることにより、プラズモニックナノ粒子コアの光学特性(局在表面プラズモン共鳴によって生じる)を調整することができる。例えば、プラズモニックナノ粒子コアの吸収は、電磁スペクトルの青色領域(例えば、400nm~500nm)内で調整することができる。プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電体シェルは、隣接するプラズモニックナノ粒子コア間の相互作用を低減し、プラズモニックナノ粒子コアの吸光度及び/又は散乱ピークのブロード化及び/又は赤色偏移を防止することができる。結果として、コアシェル粒子は、電磁スペクトルの青色領域において吸光度及び/又は散乱ピークを示すことができ、これらはともに調整可能であり、比較的狭い。したがって、コアシェル粒子は、青色光遮断光学フィルタとして使用することができる。例えば、光学的に透明な基材に粒子を組み込むことにより、光学的に透明な基板を通した青色光の1つ又は2つ以上の波長の透過を低減することができる。
【0032】
定義
本開示において使用される用語に関しては、以下の定義が提供される。
【0033】
別段の定めがある場合を除き、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。ポリマーの定義は、Compendium of Polymer Terminology and Nomenclature,IUPAC Recommendations 2008,edited by:Richard G.Jones,Jaroslav Kahovec,Robert Stepto,Edward S.Wilks,Michael Hess,Tatsuki Kitayama,and W.Val Metanomskiに開示される定義に一致する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
本明細書で使用するとき、「(メタ)」という用語は、任意選択のメチル置換を意味する。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を意味する。
【0035】
「個体」という用語は、ヒト及び脊椎動物を含む。
【0036】
「眼科用デバイス」という用語は、眼若しくは眼の任意の一部(眼の表面を含む)の中又は上に存在する任意の装置を指す。これらのデバイスは、光学補正、外見向上、視力強化、治療効果(例えば、包帯として)、若しくは医薬成分及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼科用デバイスの例としては、限定されるものではないが、レンズ、光学及び眼挿入物(限定されるものではないが、涙点プラグを含む)などが挙げられる。「レンズ」は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、眼内レンズ、及びオーバーレイレンズを含む。眼科用デバイスは、コンタクトレンズを含み得る。
【0037】
「コンタクトレンズ」という用語は、個体の眼の角膜上に置くことができる眼科用デバイスを指す。コンタクトレンズは、創傷治癒、薬剤若しくは栄養補助剤の供給、診断的評価若しくは監視、紫外線遮断、可視光線若しくはグレアの抑制、又はこれらの組み合わせを含む、矯正的、美容的、治療的な利益をもたらし得る。コンタクトレンズは、技術分野で既知の任意の適切な材料であり得、ソフトレンズ、ハードレンズ、又は弾性率、含水率、光透過、若しくはこれらの組み合わせなどの、異なる物理、機械、若しくは光学特性を有する少なくとも2つの別個の部分を含有するハイブリッドレンズであり得る。
【0038】
本発明の眼科用デバイス及びレンズは、シリコーンヒドロゲル又は従来のヒドロゲルで構成され得る。シリコーンヒドロゲルは、典型的には、硬化されたデバイス内で互いに共有結合した、少なくとも1つの親水性モノマー及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む。
【0039】
「標的巨大分子」は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、希釈剤などを含む反応性モノマー混合物から合成されている巨大分子を意味する。
【0040】
「重合性化合物」という用語は、1つ又は2つ以上の重合性基を含有する化合物を意味する。この用語は、例えば、モノマー、マクロマー、オリゴマー、プレポリマー、架橋剤などを包含する。
【0041】
「重合性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合、例えばラジカル重合開始条件に供されたときに重合することができる炭素-炭素二重結合などの、連鎖成長重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル基が挙げられる。好ましくは、フリーラジカル重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、及びスチリル官能基、並びに前述のうちの任意の混合物を含む。より好ましくは、フリーラジカル重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物を含む。重合性基は、非置換であってもよく、又は置換されていてもよい。例えば、(メタ)アクリルアミド中の窒素原子は、水素に結合されてもよく、又は水素は、アルキル若しくはシクロアルキル(それ自体が更に置換されてもよい)で置換されてもよい。
【0042】
限定されるものではないが、バルク、溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む、任意の種類のフリーラジカル重合、並びに、安定性フリーラジカル重合、窒素酸化物媒介リビング重合、原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、有機テルル媒介リビングラジカル重合などの、制御ラジカル重合法のいずれかを使用することができる。
【0043】
「モノマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的巨大分子の化学構造内に繰り返し単位を作り出すことができる単官能性分子である。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用することができる二官能性不純物を有する。「親水性モノマー」はまた、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られるモノマーである。「親水性成分」は、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られる、モノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。「疎水性成分」は、25℃で脱イオン水中でわずかに可溶性又は不溶性であるモノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。
【0044】
「巨大分子」は、1500を超える数平均分子量を有する有機化合物であり、反応性であっても、非反応性であってもよい。
【0045】
「マクロモノマー」又は「マクロマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的巨大分子の化学構造内に繰り返し単位を作り出すことができる1つの基を有する巨大分子である。一般的に、マクロマーの化学構造は、標的高分子の化学構造とは異なり、すなわち、マクロマーのペンダント基の繰り返し単位は、標的高分子又はその主鎖の繰り返し単位とは異なる。モノマーとマクロマーとの間の差は、ペンダント基の化学構造、分子量、及び分子量分布のうちの1つに過ぎない。結果として、かつ本明細書で使用するとき、特許文献は、約1,500ダルトン以下の比較的低い分子量を有する重合性化合物としてモノマーを定義することがあり、これは、本質的にいくつかのマクロマーを含む。具体的には、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(mPDMS)及びモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(OH-mPDMS)は、モノマー又はマクロマーと称され得る。更に、特許文献は、1つ又は2つ以上の重合性基を有するものとしてマクロマーを定義することがあり、マクロマーの一般的な定義を本質的に拡大してプレポリマーを含む。結果として、かつ本明細書使用すされる場合、二官能性及び多官能性マクロマー、プレポリマー、及び架橋剤は、互換的に使用され得る。
【0046】
「シリコーン含有成分」は、通常は、シロキシ基、シロキサン基、カルボシロキサン基、及びこれらの混合物の形態で、少なくとも1つのケイ素-酸素結合を有する、反応性混合物中のモノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、又はポリマーである。
【0047】
本発明において有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,070,215号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,943,203号、同第6,951,894号、同第7,052,131号、同第7,247,692号、同第7,396,890号、同第7,461,937号、同第7,468,398号、同第7,538,146号、同第7,553,880号、同第7,572,841号、同第7,666,921号、同第7,691,916号、同第7,786,185号、同第7,825,170号、同第7,915,323号、同第7,994,356号、同第8,022,158号、同第8,163,206号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,415,404号、同第8,420,711号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,568,626号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第8,980,972号、同第9,056,878号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9,156,934号、同第9,170,349号、同第9,217,813号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、及び欧州特許第080539号に見出すことができる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
「ポリマー」は、重合中に使用されるモノマーの繰り返し単位で構成される標的巨大分子である。
【0049】
「ホモポリマー」は、1つのモノマーから作製したポリマーであり、「コポリマー」は、2つ又は3つ以上のモノマーから作製したポリマーであり、「ターポリマー」は、3つのモノマーから作製したポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成上異なるブロック又はセグメントからなる。ジブロックコポリマーは、2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは、3つのブロックを有する。「くし形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから作製される。
【0050】
「繰り返し単位」は、特定のモノマー又はマクロマーの重合に対応する、ポリマー内の原子の最小の基である。
【0051】
「開始剤」は、続いてモノマーと反応してフリーラジカル重合反応を開始することができるラジカルに分解可能である分子である。熱開始剤は、温度に応じて特定の速度で分解し、典型例は、1,1’-アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)などのアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシドなどのペルオキシド、過酢酸及び過硫酸カリウムなどの過酸、並びに様々な酸化還元系である。光開始剤は、光化学プロセスにより分解し、典型例は、ベンジル、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、及びこれらの混合物の誘導体、並びに様々なモノアシル及びビスアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの組み合わせである。
【0052】
「架橋剤」は、分子上の2つ又は3つ以上の位置でフリーラジカル重合を受け、それによって分岐点及びポリマーネットワークを作り出すことができる、二官能性又は多官能性モノマー又はマクロマーである。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレートなどである。
【0053】
「プレポリマー」は、更に反応を受けてポリマーを形成可能な、残存している重合性基を含有するモノマーの反応生成物である。
【0054】
「ポリマーネットワーク」は、膨潤し得るが溶媒に溶解できない架橋巨大分子である。「ヒドロゲル」は、典型的には少なくとも10重量%の水を吸収しながら、水又は水溶液中で膨潤するポリマーネットワークである。「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分とともに少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるヒドロゲルである。親水性成分はまた、非反応性ポリマーを含んでもよい。
【0055】
「従来のヒドロゲル」は、いかなるシロキシ、シロキサン、又はカルボシロキサン基も有しない成分から作製されたポリマーネットワークを指す。従来のヒドロゲルは、親水性モノマーを含む反応性混合物から調製される。例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(「NVP」)、N,N-ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、又は酢酸ビニルが挙げられる。米国特許第4,436,887号、同第4,495,313号、同第4,889,664号、同第5,006,622号、同第5,039459号、同第5,236,969号、同第5,270,418号、同第5,298,533号、同第5,824,719号、同第6,420,453号、同第6,423,761号、同第6,767,979号、同第7,934,830号、同第8,138,290号、及び同第8,389,597号は、従来のヒドロゲルの形成を開示している。市販の従来のヒドロゲルとしては、エタフィルコン(etafilcon)、ゲンフィルコン(genfilcon)、ヒラフィルコン(hilafilcon)、レネフィルコン(lenefilcon)、ネソフィルコン(nesofilcon)、オマフィルコン(omafilcon)、ポリマコン(polymacon)、及びビフィルコン(vifilcon)(それらの変形のすべてを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分及び少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるポリマーネットワークを指す。シリコーンヒドロゲルの例としては、アクアフィルコン(acquafilcon)、アスモフィルコン(asmofilcon)、バラフィルコン(balafilcon)、コムフィルコン(comfilcon)、デレフィルコン(delefilcon)、エンフィルコン(enfilcon)、ファルコン(falcon)、ファンフィルコン(fanfilcon)、フォルモフィルコン(formofilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、ナラフィルコン(narafilcon)、リオフィルコン(riofilcon)、サムフィルコン(samfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)、ソモフィルコン(somofilcon)、及びステンフィルコン(stenfilcon)(それらの変形のすべてを含む)、並びに米国特許第4,659,782号、同第4,659,783号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,998,498号、同第6,087,415号、同第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,849,811号、同第5,965,631号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,867,245号、同第6,943,203号、同第7,247,692号、同第7,249,848号、同第7,553,880号、同第7,666,921号、同第7,786,185号、同第7,956,131号、同第8,022,158号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,470,906号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,507,577号、同第8,637,621号、同第8,703,891号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第9,056,878号、同第9,057,821号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9156,934号、同第9,170,349号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、並びに国際公開第03/22321号、同第2008/061992号、及び米国特許出願公開第2010/0048847号で調製されているようなシリコーンヒドロゲルが挙げられる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
「相互貫入ポリマーネットワーク」は、分子スケールで少なくとも部分的に交絡しているが、互いに共有結合しておらず、制動化学結合なしに分離することができない、2つ又は3つ以上のネットワークを含む。「半貫入ポリマーネットワーク」は、1つ又は2つ以上のネットワークと、少なくとも1つのネットワークと少なくとも1つのポリマーとの間の分子レベルで何らかの混合によって特徴付けられる1つ又は2つ以上のポリマーと、を含む。異なるポリマーの混合物は、「ポリマーブレンド」である。半貫入ネットワークは、技術的にはポリマーブレンドであるが、場合によっては、ポリマーは、容易に除去することができないように絡まっている。
【0058】
「反応性混合物」及び「反応性モノマー混合物」という用語は、一緒に混合され、重合条件にさらされたとき、従来の又は本発明のシリコーンヒドロゲルを形成するとともに、そこからコンタクトレンズを作製する成分(反応性及び非反応性の両方)の混合物を指す。反応性モノマー混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、及び反応開始剤などの反応性成分、湿潤剤、離型剤、ポリマー、染料などの添加剤、光吸収化合物、例えば、UV吸収剤、顔料、染料、及びフォトクロミック化合物(それらのいずれも反応性又は非反応性であってもよいが、得られる生物医学装置内に保持されることが可能である)、並びに医薬化合物及び栄養補助化合物、及び任意の希釈剤を含んでもよい。作製される生物医学用デバイス及びその使用目的に基づき、多様な添加剤が添加され得ることが理解されるであろう。反応性混合物の成分の濃度は、希釈剤を除いて、反応性混合物中のすべての成分の重量百分率として表される。希釈剤が使用される場合、それらの濃度は、反応性混合物中のすべての成分及び希釈剤の量に基づき重量百分率として表される。
【0059】
「反応性成分」は、共有結合、水素結合、静電相互作用、相互貫入ポリマーネットワークの形成、又は任意の他の手段により、得られるヒドロゲルのポリマーネットワークの化学構造の一部となる、反応性混合物の成分である。
【0060】
「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、少なくとも1つのシリコーン含有成分を含むヒドロゲルコンタクトレンズを指す。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは全般的に、従来のヒドロゲルと比較して増加した酸素透過性を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、それらの含水量及びポリマー含有量の両方を機能させて酸素を眼に送る。
【0061】
「多官能性」という用語は、2つ又は3つ以上の重合性基を有する成分を指す。「単官能性」という用語は、1つの重合性基を有する成分を指す。
【0062】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0063】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、示された数の炭素原子を含有する非置換又は置換直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。数が示されていない場合、アルキル(アルキル上の任意の置換基を任意に含む)は、1~16個の炭素原子を含有してもよい。好ましくは、アルキル基は、1~10個の炭素原子、代替的に1~7個の炭素原子、又は代替的に1~4個の炭素原子を含有する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-、sec-及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3-エチルブチルなどが挙げられる。アルキル上の置換基の例としては、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アルキレン」は、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCH(CH)CH-、及び-CHCHCHCH-などの、二価アルキル基を意味する。
【0064】
「ハロアルキル」は、1個又は2個以上のハロゲン原子で置換された上で定義されるアルキル基を指し、各ハロゲンは、独立して、F、Cl、Br、又はIである。好ましいハロゲンは、Fである。好ましいハロアルキル基は、1~6個の炭素、より好ましくは1~4個の炭素、更により好ましくは1~2個の炭素を含有する。「ハロアルキル」は、-CF-又は-CFCF-などのペルハロアルキル基を含む。「ハロアルキレン」は、-CHCF-などの二価ハロアルキル基を意味する。
【0065】
「シクロアルキル」は、示された数の環炭素原子を含有する非置換又は置換環状炭化水素を指す。数が示されていない場合、シクロアルキルは、3~12個の環炭素原子を含有してもよい。好ましくは、C~Cシクロアルキル基、C~Cシクロアルキル、より好ましくはC~Cシクロアルキル、更により好ましくはC~Cシクロアルキルである。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「シクロアルキレン」は、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、又は1,4-シクロヘキシレンなどの二価シクロアルキル基を意味する。
【0066】
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環炭素が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されている、上で定義されるシクロアルキル環又は環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、任意選択で、他のヘテロシクロアルキル環及び/又は非芳香族炭化水素環及び/又はフェニル環に縮合しているか、又は他の方法で結合される。好ましいヘテロシクロアルキル基は、5~7員を有する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、5又は6員を有する。ヘテロシクロアルキレンは、二価ヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0067】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を含有する非置換又は置換芳香族炭化水素環系を指す。アリール基は、示された数の環炭素原子を含有する。数が示されていない場合、アリールは、6~14個の環炭素原子を含有してもよい。芳香環は、任意選択で、他の芳香族炭化水素環又は非芳香族炭化水素環に縮合していてもよく、又は他の方法で結合されてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニルが挙げられる。アリール上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アリーレン」は、二価アリール基、例えば1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、又は1,4-フェニレンを意味する。
【0068】
「ヘテロアリール」は、上で定義したように、少なくとも1つの環炭素原子が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されているアリール環又は環系を指す。ヘテロアリール環は、1つ又は2つ以上のヘテロアリール環、芳香族若しくは非芳香族炭化水素環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合していてもよく、又は別の方法で結合されてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、及びチエニルが挙げられる。「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基を意味する。
【0069】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びイソプロポキシが挙げられる。「アリールオキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。例としては、フェノキシが挙げられる。「環状アルコキシ」は、酸素架橋を介して親部分に結合しているシクロアルキル基を意味する。
【0070】
「アルキルアミン」は、-NH架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルキレンアミンは、-CHCHNH-などの二価アルキルアミン基を意味する。
【0071】
「シロキサニル」は、少なくとも1つのSi-O-Si結合を有する構造を指す。したがって、例えば、シロキサニル基は、少なくとも1つのSi-O-Si基(すなわち、シロキサン基)を有する基を意味し、シロキサニル化合物は、少なくとも1つのSi-O-Si基を有する化合物を意味する。「シロキサニル」は、モノマー(例えば、Si-O-Si)並びにオリゴマー/ポリマー構造(例えば、-[Si-O]-であって、式中、nは2又は3以上である、構造)を包含する。シロキサニル基中の各ケイ素原子は、それらの原子価を完全なものにするために、独立して選択されるR基(ここで、Rは、式Aの選択肢(b)~(i)で定義されるとおりである)で置換されている。
【0072】
「シリル」は、式RSi-の構造を指し、「シロキシ」は、式RSi-O-の構造を指し、ここで、シリル又はシロキシ中の各Rは、トリメチルシロキシ、C~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はメチル)、及びC~Cシクロアルキルから独立して選択される。
【0073】
「アルキレンオキシ」は、一般式-(アルキレン-O-)-又は-(O-アルキレン)-の基を指し、ここで、アルキレンは、上で定義したとおりであり、pは、1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20、又は1~10であり、各アルキレンは、独立して、ヒドロキシル、ハロ(例えば、フルオロ)、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ又は2つ以上の基で任意選択で置換されている。pが1より大きい場合、各アルキレンは、同じであっても異なっていてもよく、アルキレンオキシは、ブロック又はランダム構成であってもよい。アルキレンオキシが分子中に末端基を形成するとき、アルキレンオキシの末端は、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ(例えば、HO-[CHCHO]-又はCHO-[CHCHO]-)であってもよい。アルキレンオキシの例としては、ポリメチレンオキシ、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、ポリブチレンオキシ、及びポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)が挙げられる。
【0074】
「オキサアルキレン」は、1つ又は2つ以上の非隣接CH基が、-CHCHOCH(CH)CH-などの酸素原子で置換されている、上で定義されるアルキレン基を指す。「チアアルキレン」は、1つ又は2つ以上の非隣接CH基が、-CHCHSCH(CH)CH-などの硫黄原子で置換されている、上で定義されるアルキレン基を指す。
【0075】
用語「連結基」は、重合性基を親分子に連結する部分を指す。連結基は、それが一部である化合物の重合に不必要に干渉しない任意の部分であってもよい。例えば、連結基は、結合であってもよく、又は1つ若しくは2つ以上のアルキレン、ハロアルキレン、アミド、アミン、アルキレンアミン、カルバメート、カルボキシレート(-CO-)、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレンオキシ、オキサアルキレン、チアアルキレン、ハロアルキレンオキシ(1つ又は2つ以上のハロ基で置換されたアルキレンオキシ(例えば、-OCF-、-OCFCF-、-OCFCH-)、シロキサニル、アルキレンシロキサニル、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。連結基は、1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換されてもよい。好適な置換基としては、アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、HO-アルキレンオキシ、CHO-アルキレンオキシ、シロキサニル、シロキシ、シロキシ-アルキレンオキシ-、シロキシ-アルキレン-アルキレンオキシ-(2つ以上のアルキレンオキシ基が存在してもよく、アルキレン及びアルキレンオキシ中の各メチレンは、独立して、ヒドロキシルで任意に置換されている)、エーテル、アミン、カルボニル、カルバメート、及びこれらの組み合わせから独立して選択されるものを挙げることができる。連結基はまた、(メタ)アクリレートなどの重合性基で置換されてもよい(連結基が連結している重合性基に加えて)。
【0076】
好ましい連結基としては、C~Cアルキレン(好ましくは、C~Cアルキレン)及びC~Cオキサアルキレン(好ましくは、C~Cオキサアルキレン)が挙げられ、これらはそれぞれ、ヒドロキシル及びシロキシから独立して選択される1つ又は2つの基で任意選択で置換されている。好ましい連結基としてはまた、カルボキシレート、アミド、C~Cアルキレン-カルボキシレート-C~Cアルキレン、又はC~Cアルキレン-アミドC~Cアルキレンが挙げられる。
【0077】
連結基が上述のような部分(例えば、アルキレン及びシクロアルキレン)の組み合わせからなる場合、部分は任意の順序で存在してもよい。例えば、下記の式Eにおいて、Lが、-アルキレン-シクロアルキレン-であると示されている場合、Rg-Lは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-、又はRg-シクロアルキレン-アルキレン-のいずれかであってもよい。これにかかわらず、列記する順序は、連結基が結合している末端重合性基(Rg)から始まって、部分が化合物中に現れる好ましい順序を表す。例えば、式E中、L及びLが、両方ともアルキレン-シクロアルキレンであるとして示されている場合、Rg-Lは、好ましくは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-であり、-L-Rgは、好ましくは、-シクロアルキレン-アルキレン-Rgである。
【0078】
用語「青色光遮断」又は「青色光吸収」は、電磁スペクトルの青色領域(例えば、400nm~500nm)内の入射光を吸収する、散乱させる、及び/又は消す粒子を指す。したがって、用語「青色光遮断」又は「青色光吸収」は、青色領域及び紫色領域内の入射光を吸収する、散乱させる、及び/又は消す粒子を包含する。粒子は、光学的に透明な基材内に様々な量で組み込まれて、青色領域内の1つ又は2つ以上の波長で所望のレベルの青色光遮断を示す光学的に透明な材料を得ることができる。特定の波長における遮断率は、材料の透過スペクトルから決定することができる(遮断率=100-パーセント透過率(%T))。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子を含む光学的に透明な材料は、400nm~500nmの1つ又は2つ以上の波長(例えば、400nm~460nmの1つ又は2つ以上の波長)における入射光の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、又は少なくとも90%を遮断することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子を含む光学的に透明な材料は、520nm~700nmの範囲のすべての波長において、入射光の20%未満、15%未満、10%未満、又は5%未満を遮断することができる。青色光中の光を遮断することにより、520nmを上回る可視範囲の光を著しく透過させることによって、材料を眼科用途に使用することができる。所望であれば、400nmを下回る波長(例えば、UVA及び/又はUVB放射線)を吸収する、散乱させる、及び/又は消すために、500nmを上回る波長(例えば、500nm~700nm)を吸収する、散乱させる、及び/又は消すために、光学的に透明な基材に追加のフィルタを組み込むことができる。例えば、追加のフィルタ及び/又は染料をレンズに組み込んで、色バランスを提供することができる。遮断の程度はまた、特定の波長範囲のパーセンテージとして提供され得る。このような場合、材料は、その範囲内のすべての波長における遮断率を示すことを理解されたい。
【0080】
本明細書で使用するとき、「ナノ粒子」は、100nm未満の少なくとも1つの寸法を有する微小粒子を指す。場合によっては、ナノ粒子は、50nm未満の少なくとも1つの寸法を有し得る。本明細書で使用するとき、「プラズモニックナノ粒子」とは、粒子表面の周囲の形状、組成物、又は媒体を変化させることにより調整可能な強い吸収(及び散乱)スペクトルを有する金属ナノ粒子を指す。この用語は、電磁スペクトルの青色領域(例えば、400nm~500nm)における表面プラズモン吸収及び散乱スペクトルを生じる様々な形状のすべてのプラズモニックナノ粒子を含むことが理解されるであろう。
【0081】
本明細書で使用するとき、「表面プラズモン」又は「表面プラズモン共鳴」とは、自由電子と相互作用するコロイド状ナノ粒子付近を伝播する光線の振動電場の共鳴振動を指し、したがって、可視光の周波数と共鳴する電子電荷の振動を引き起こす。
【0082】
本明細書で使用するとき、「調整」は、ナノ粒子の光学特性及び電子特性を特定の用途に最適化するために、ナノ粒子のサイズ、形状、表面化学、又は凝集状態を変化させることを指す。プラズモニックピークは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,005,890号で説明されているように、ナノ粒子の好適な設計によって任意の波長に調整することができる。
【0083】
別途記載のない限り、比率、百分率、部などは重量による。
【0084】
別途記載のない限り、例えば、「2~10」のような数字範囲は、その範囲を定義する数字(例えば、2及び10)を含む。
【0085】
コアシェル粒子
コアシェル粒子は、貴金属(例えば、銀)を含むプラズモニックナノ粒子コアと、プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電材料を含むシェルと、を含む。
【0086】
プラズモニックナノ粒子コアのサイズ及び形状は、コアシェル粒子の光学特性を調整するために変化させることができる。いくつかの実施形態では、プラズモニックナノ粒子コアは多面体形状を有することができる。例えば、プラズモニックナノ粒子コアは、立方体形状、八面体形状、十面体形状、立方八面体形状、四面体形状、菱形十二面体形状、切頭複正方柱形状、又は切頭二重四面体形状を有することができる。他の実施形態では、プラズモニックナノ粒子コアは球形形状を有することができる。
【0087】
プラズモニックナノ粒子コアの形状は様々であり得る。いくつかの実施形態では、プラズモニックナノ粒子コアは多面体形状を有することができる。例えば、プラズモニックナノ粒子コアは、立方体形状、八面体形状、十面体形状、立方八面体形状、四面体形状、菱形十二面体形状、切頭複正方柱形状、又は切頭二重四面体形状を有することができる。
【0088】
場合によっては、プラズモニックナノ粒子コアは、均質な粒子形状を有することができる。これらの実施形態では、プラズモニックナノ粒子コアの実質的にすべて(例えば、プラズモニックナノ粒子コアの少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%)は、同じ粒子形状を有することができる。他の場合には、プラズモニックナノ粒子コアは、粒子形状の混合物(例えば、プラズモニックナノ粒子コアの集団とは異なる、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又はそれ以上の粒子形状の混合物)を含むことができる。例えば、いくつかの例では、プラズモニックナノ粒子コアは、立方体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第1の集団と、八面体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第2の集団と、を含む。
【0089】
プラズモニックナノ粒子コアは、平均粒径を有することができる。「平均(average)粒径」及び「平均(mean)粒径」は、本明細書において互換的に使用され、一般に、ナノ粒子の集団におけるナノ粒子の統計的平均粒径を指す。実質的に球形形状のナノ粒子コアでは、ナノ粒子の直径は、例えば、流体力学的直径を指すことができる。本明細書で使用するとき、粒子の流体力学的直径は、粒子の表面上の2つの点間の最大の直線距離を指すことができる。非球形形状のナノ粒子コアでは、ナノ粒子の直径は、例えば、ナノ粒子の最小断面寸法(すなわち、ナノ粒子の中心を通過し、粒子の表面上の2つの点と交差する最小直線距離)を指すことができる。平均粒径は、走査電子顕微鏡法、透過型電子顕微鏡法、及び/又は動的光散乱による評価など、当該技術分野において既知の方法を使用して測定することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、コアシェル粒子のプラズモニックナノ粒子コアは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、少なくとも5nm(例えば、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少なくとも30nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも45nm、少なくとも50nm、少なくとも55nm、少なくとも60nm、少なくとも65nm、少なくとも70nm、少なくとも75nm、少なくとも80nm、少なくとも85nm、少なくとも90nm、又は少なくとも95nm)の平均粒径を有することができる。いくつかの実施形態では、コアシェル粒子のプラズモニックナノ粒子コアは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、100nm以下(例えば、95nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、75nm以下、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、又は10nm以下)の平均粒径を有することができる。
【0091】
コアシェル粒子のプラズモニックナノ粒子コアは、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲の平均粒径を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コアシェル粒子のプラズモニックナノ粒子コアは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、5nm~100nm(例えば、20nm~60nm)の平均粒径を有することができる。
【0092】
場合によっては、プラズモニックナノ粒子コアは、単分散粒径分布を有する。本明細書で使用するとき、「単分散」及び「均質なサイズ分布」は、粒子のすべてが同じ又はほぼ同じサイズである粒子の集団を一般に説明する。本明細書で使用するとき、単分散分布とは、分布の80%(例えば、分布の85%、分布の90%、又は分布の95%)が、平均粒径の25%以内(例えば、平均粒径の20%以内、平均粒径の15%以内、平均粒径の10%以内、又は平均粒径の5%以内)である粒子分布を指す。他の場合には、プラズモニックナノ粒子コアは、多分散又は不均質な粒径分布を有する。
【0093】
誘電体シェルの組成及び寸法も変化させることができる。適切な組成物及び寸法は、多くの検討事項を考慮して選択することができる。例えば、誘電体シェルは、隣接するプラズモニックナノ粒子コア間の相互作用を最小化し、プラズモニックナノ粒子コアの吸光度及び/又は散乱ピークのブロード化及び/又は断裂を防止するように、適切な誘電率及び厚さを有するように選択することができる。これは、比較的狭いフィルタを提供することができる。いくつかの実施形態では、誘電体シェルは、コアシェル粒子のプラズモニックナノ粒子コアの平均粒径の50%超(例えば、60%超、70%超、80%超、又は90%超)の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、誘電体シェルは、コアシェル粒子のプラズモニックナノ粒子コアの平均粒径よりも大きい厚さを有することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、誘電体シェルは、特定の用途で使用するのに好適な屈折率を有するように選択することができる。一般的に言えば、より高い屈折率を有する誘電体は、(一般にピークのブロード化をほとんど又は全く伴わずに)プラズモニックピークにおけるより大きな赤色偏移をもたらす。したがって、適切な誘電体層の選択はまた、コアシェル粒子の吸収を調整するための手段を提供することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、誘電体シェルは、コアシェル粒子が導入される光学的に透明な材料との好適な適合性を有するように選択することができる。例えば、誘電体シェルは、コアシェル粒子が導入される光学的に透明な材料の疎水性又は親水性と一致する疎水性又は親水性を有するように選択することができる。
【0096】
誘電体層は、任意の好適な誘電材料から形成することができる。好適な誘電材料の例としては、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ダイヤモンドライクカーボン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化銅、及び窒化アルミニウムなどの無機材料が挙げられる。特定の実施形態では、誘電体層は、二酸化ケイ素を含むことができる。誘電体層が二酸化ケイ素(SiO)から形成される場合、誘電体層はまた、「シリカシェル」とも称され得る。
【0097】
エチレングリコールオリゴマー、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスチレン(PS)、ポリカプロラクトン(PCL)、エチレンオリゴマー又はポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、及びシリコーン、並びにこれらのコポリマー又はブレンドなどの、有機(一般にオリゴマー又はポリマー)誘電体も使用することができる。上述したような有機高分子は、(1)プラズモニックナノ粒子コアに直接吸着するか、若しくはその上に直接吸着する一部分を有するか、又は(2)プラズモニックナノ粒子コアに結合するチオールなどの1つ又は2つ以上の官能基を有することができる。
【0098】
所望であれば、誘電体シェルは、シリコーンヒドロゲルなどの光学的に透明な基材内のコアシェルマトリックスの分散性を高めるために選択(又は化学官能化)することができる。加えて、官能化は誘電体電荷を与えることができ、表面屈折率を変化させること、疎水性/親水性の特性を変化させることなどができる。
【0099】
いくつかの誘電体は、露出した官能基(カルボキシレート、アミン、アルコールなど)を有する。例えば、多くの有機誘電体は、アルコール又はカルボキシレート基で終端する。二酸化ケイ素はアルコール基で終端する。これらの官能基を直接共役させることもでき、又は中間リンカーは、追加の部分を与えてコアシェル粒子の化学的性質を広げることができる。中間リンカーの例として、3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)は、二酸化ケイ素を官能化してアミン基を提供することができ、これにより、様々な繊度、強度、永続性、及び反応性を有する様々な化学物質(例えば、アミド結合形成)の多様な選択を可能にする。
【0100】
ポリマー材料への組み込みのために、コアシェル粒子がそのポリマーと重合する官能基を提示する(例えば、誘導体を改質して提示し得る)ことが望ましい場合がある。例えば、メタクリレート基は、エタフィルコンAレンズのUV硬化中にマトリックスとの共有結合を可能にすることができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、コアシェル粒子のシェルは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、少なくとも1nm(例えば、少なくとも2nm、少なくとも3nm、少なくとも4nm、少なくとも5nm、少なくとも6nm、少なくとも7nm、少なくとも8nm、少なくとも9nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少なくとも30nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも45nm、少なくとも50nm、少なくとも55nm、少なくとも60nm、少なくとも65nm、少なくとも70nm、少なくとも75nm、少なくとも80nm、少なくとも85nm、少なくとも90nm、又は少なくとも95nm)の平均厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、コアシェル粒子のシェルは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、100nm以下(例えば、95nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、75nm以下、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、又は2nm以下)の平均厚さを有することができる。
【0102】
コアシェル粒子のシェルは、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲の平均厚さを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コアシェル粒子のシェルは、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1nm~100nm(例えば、15nm~50nm)の平均厚さを有することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、コアシェル粒子のプラズモニックナノ粒子コアは、平均粒径を有することができ、コアシェル粒子のシェルは平均厚さを有することができ、平均粒径と平均厚さとの比は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、少なくとも1:5(例えば、少なくとも1:4、少なくとも1:3、少なくとも1:2、少なくとも2:3、少なくとも1:1、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも2.5:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、又は少なくとも15:1)であり得る。いくつかの実施形態では、平均粒径と平均厚さとの比は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、20:1以下(例えば、15:1以下、10:1以下、9:1以下、8:1以下、7:1以下、6:1以下、5:1以下、4:1以下、3:1以下、2.5:1以下、2:1以下、1.5:1以下、1:1以下、2:3以下、1:2以下、1:3以下、1:4以下)であり得る。
【0104】
平均粒径と平均厚さとの比は、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、平均粒径と平均厚さとの比は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1:5~20:1(例えば、2:3~6:1)であり得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、コアシェル粒子は、少なくとも400nm(例えば、少なくとも405nm、少なくとも410nm、少なくとも415nm、少なくとも420nm、少なくとも425nm、少なくとも430nm、少なくとも435nm、少なくとも440nm、少なくとも445nm、少なくとも450nm、少なくとも455nm、少なくとも460nm、少なくとも465nm、少なくとも470nm、少なくとも475nm、少なくとも480nm、少なくとも485nm、少なくとも490nm、又は少なくとも495nm)の最大吸収値を示すことができる。いくつかの実施形態では、コアシェル粒子は、500nm以下(例えば、495nm以下、490nm以下、485nm以下、480nm以下、475nm以下、470nm以下、465nm以下、460nm以下、455nm以下、450nm以下、445nm以下、440nm以下、435nm以下、430nm以下、425nm以下、420nm以下、415nm以下、410nm以下、又は405nm以下)の最大吸収値を示すことができる。
【0106】
コアシェル粒子は、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲の最大吸収値を示すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、コアシェル粒子は、400nm~500nm(例えば、400nm~460nm)の最大吸収値を示すことができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、コアシェル粒子は、少なくとも20nm(例えば、少なくとも25nm、少なくとも30nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、少なくとも45nm、少なくとも50nm、少なくとも55nm、少なくとも60nm、少なくとも65nm、又は少なくとも70nm)の半値全幅を有する吸収スペクトルを示すことができる。いくつかの実施形態では、コアシェル粒子は、75nm以下(例えば、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、又は25nm以下)の半値全幅を有する吸収スペクトルを示すことができる。
【0108】
コアシェル粒子は、上述した最小値のいずれかから上述した最大値のいずれかまでの範囲の半値全幅を有する吸収スペクトルを示すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、コアシェル粒子の集団は、20nm~75nmの半値全幅を有する吸収スペクトルを示すことができる。
【0109】
光学的に透明な材料
本明細書に記載されるコアシェル粒子の集団は、光学的に透明な基材内に組み込まれて、光学的に透明な材料を形成することができる。いくつかの実施形態では、コアシェル粒子は、光学的に透明な基材とともに分散させることができる。いくつかの実施形態では、コアシェル粒子は、コーティングされ得る。
【0110】
基材は、例えば、ガラス、アリルジグリコールカーボネート(ADC)、ポリカーボネート、ポリウレタン、チオウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、シリコーンヒドロゲル、又はこれらの組み合わせなどの任意の好適な光学的に透明な材料を含むことができる。
【0111】
コアシェル粒子は、様々な濃度で光学的に透明な基材に組み込まれ得る。例として、いくつかの実施形態では、コアシェル粒子の集団集団は、基板の総重量に基づいて、0.01重量%~10重量%(例えば、0.05重量%~10重量%、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~10重量%、0.01重量%~5重量%、0.05重量%~5重量%、0.1重量%~5重量%、0.5重量%~5重量%、0.01重量%~2.5重量%、0.05重量%~2.5重量%、0.1重量%~2.5重量%、又は0.5重量%~2.5重量%)の濃度で基材中に存在し得る。
【0112】
コアシェル粒子は、光学的に透明な基材材料全体に均一に分散させることができる。代替的に、コアシェル粒子は、光学的に透明な基材材料の表面上に分散、コーティング、又は堆積させることができる。所望であれば、コアシェル粒子は、光学的に透明な基材材料の上及び/又は内部にパターン化することができ(例えば、文字、数字、形状、ロゴなどの形態で)、入射光がコアシェル粒子によってフィルタリングされる領域と、入射光がフィルタリングされずに通過する領域とを有する材料を生成することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、光学的に透明な材料は、ソフトコンタクトレンズの形成に使用するのに好適なヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲル材料を含み得る。このような材料は当該技術分野において既知であり、グループ1-低水分(HOが50%未満)非イオン性ヒドロゲルポリマー(例えば、テフィルコン、テトラフィルコンA、クロフィルコン、ヘルフィルコンA、ヘルフィルコンB、マフィルコン、ポリマコン、ヒオキシフィルコンB)、グループ2-高水分(HOが50%超)非イオン性ヒドロゲルポリマー(例えば、サーフィルコンA、リドフィルコンA、リドフィルコンB、ネトラフィルコンA、ヘフィルコンB、アルファフィルコンA、オマフィルコンA、オマフィルコンB、バサーフィルコンA、ヒオキシフィルコンA、ヒオキシフィルコンD、ネルフィルコンA、ヒラフィルコンA、ヒラフィルコンB、アコフィルコンA、ネソフィルコンA)、グループ3-低水分(HOが50%未満)イオン性ヒドロゲルポリマー(例えば、ブフィルコンA、デルタフィルコンA、フェムフィルコン)、グループ4-高水分(HOが50%超)イオン性ヒドロゲルポリマー(例えば、ブフィルコンA、ペルフィルコンA、エタフィルコンA、フォコフィルコンA、オクフィルコンA、オクフィルコンB、オクフィルコンC、オクフィルコンD、オクフィルコンE、オクフィルコンF、フェムフィルコンA、メタフィルコンA、メタフィルコンB、ビフィルコンA)、及びシリコーンヒドロゲルポリマー(例えば、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB、ガリーフィルコンA、セノフィルコンA、セノフィルコンC、シフィルコンA、コムフィルコンA、エンフィルコンA、バラフィルコンA、デレフィルコンA、ナラフィルコンB、ナラフィルコンA、ステンフィルコンA、ソモフィルコンA、ファンフィルコンA、サムフィルコンA、エラストフィルコン)を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、基材は、シリコーンヒドロゲルを含むことができる。特定の実施形態では、基材は、親水性モノマー、シリコーン含有成分、又はこれらの組み合わせを含む反応性混合物の重合に由来するポリマーを含むことができる。例示的なシリコーンヒドロゲル基材としては、以下に詳細に記載されるものが挙げられる。
【0115】
装置
結果として得られる光学的に透明な材料を使用して、光学レンズ(例えば、眼鏡レンズ、カメラレンズ、コンタクトレンズなど)、眼科用デバイス(例えば、コンタクトレンズ、角膜オンレイ、角膜インレイ、眼内レンズ、オーバーレイレンズなど)、スクリーンカバー(例えば、コンピュータモニタ、タブレットスクリーン、又は携帯電話スクリーンを覆うように構成された透明シート)、及びLEDディスプレイを有する電子デバイス用のハウジングを含む、様々な異なる物品を形成することができる。したがって、光学レンズ(例えば、眼鏡レンズ、カメラレンズ、コンタクトレンズなど)、眼科用デバイス(例えば、コンタクトレンズ、角膜オンレイ、角膜インレイ、眼内レンズ、オーバーレイレンズなど)、スクリーンカバー(例えば、コンピュータモニタ、タブレットスクリーン、又は携帯電話スクリーンを覆うように構成された透明シート、及び本明細書に記載の光学的に透明な材料から全体的に又は部分的に形成されたLEDディスプレイを有する電子デバイス用のハウジングも提供される。
【0116】
ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、角膜オンレイ、角膜インレイ、眼内レンズ、又はオーバーレイレンズを含む、本明細書に記載されたコアシェル粒子を含有する様々な眼科用デバイスを調製することができる。好ましくは、眼科用デバイスは、従来の又はシリコーンヒドロゲル配合物から作製され得るソフトコンタクトレンズである。
【0117】
眼科用デバイスは、本明細書に記載されるコアシェル粒子の集団を含有する反応性混合物と、所望の眼科用デバイスの作製に好適な1つ又は2つ以上のモノマーと、任意の成分とを重合することによって調製することができる。場合によっては、反応性混合物は、上述したコアシェル粒子の集団に加えて、親水性成分、疎水性成分、シリコーン含有成分、ポリアミドなどの湿潤剤、架橋剤、並びに希釈剤及び反応開始剤などの更なる成分のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。
【0118】
親水性成分
親水性モノマーの好適なファミリーの例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0119】
親水性(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーの非限定的な例としては、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド)、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、N,N-ビス-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0120】
親水性モノマーはまた、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、ベタイン、及びこれらの混合物など、イオン性であってもよい。このような荷電モノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT)、3,5ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホナート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(APDAPS)、及び3-((3-(メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0121】
親水性N-ビニルラクタムモノマー及びN-ビニルアミドモノマーの非限定的な例としては、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0122】
親水性O-ビニルカルバメートモノマー及びO-ビニルカーボネートモノマーの非限定的な例としては、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート及びN-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルが挙げられる。親水性ビニルカーボネートモノマー又はビニルカルバメートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている。親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0123】
他の親水性ビニル化合物としては、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、アリルアルコール、及び2-エチルオキサゾリンが挙げられる。
【0124】
親水性モノマーはまた、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアミドなどの重合性部分を有する、直鎖若しくは分岐鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの統計的ランダム若しくはブロックコポリマーのマクロマー又はプレポリマーであってもよい。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの重合性基を有し、プレポリマーは、2つ又は3つ以上の重合性基を有し得る。
【0125】
本発明の好ましい親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物である。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかとなるであろう。
【0126】
概して、反応性モノマー混合物中に存在する親水性モノマーの量に関して、特に制限はない。親水性モノマーの量は、含水量、透明性、湿潤性、タンパク質取り込みなどを含む、得られるヒドロゲルの所望の特性に基づいて選択され得る。湿潤性は、接触角によって測定されてもよく、望ましい接触角は、約100°未満、約80°未満、及び約60°未満である。親水性モノマーは、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づき、約5~約65重量%の範囲内及び約10~約45重量%の範囲内など、約0.1~約80重量%の範囲内の量で存在し得る。
【0127】
シリコーン含有成分
使用に好適なシリコーン含有成分は、1つ又は2つ以上の重合性化合物を含み、各化合物は、独立して、少なくとも1つの重合性基、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基をシロキサン基に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含む。シリコーン含有成分は、例えば、下記に定義される基などの1~220個のシロキサン繰り返し単位を含有してもよい。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。
【0128】
シリコーン含有成分は、上で定義された1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意選択で繰り返しシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、ビニル基、又はこれらの混合物である1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意選択で繰り返しシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。
【0129】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、スチリル、又は前述の混合物である1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意選択で繰り返しシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。
【0130】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、又は前述の混合物である1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意選択で繰り返しシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。
【0131】
式A.シリコーン含有成分は、式Aの1つ又は2つ以上の重合性化合物を含んでもよく、
【0132】
【化1】
式中、
少なくとも1つのRは、式R-Lの基であり、ここで、Rは、重合性基であり、Lは、連結基であり、残りのRは、それぞれ独立して、
(a) R-L-、
(b) 1つ又は2つ以上のヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されているC~C16アルキル、
(c) 1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されているC~C12シクロアルキル、
(d) 1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されているC~C14アリール基、
(e) ハロ、
(f) アルコキシ、環状アルコキシ、又はアリールオキシ、
(g) シロキシ、
(h) ポリエチレンオキシアルキル、ポリプロピレンオキシアルキル、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル)などのアルキレンオキシ-アルキル又はアルコキシ-アルキレンオキシ-アルキル、あるいは
(i) アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロ又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されている1~100個のシロキサン繰り返し単位を含む一価シロキサン鎖であり、
nは、0~500、又は0~200、又は0~100、又は0~20であり、nが0以外であるとき、nが表示値と同等のモードを有する分布であることが理解される。nが2以上であるとき、SiO単位は、同じ又は異なるR置換基を担持してもよく、異なるR置換基が存在する場合、n基は、ランダム又はブロック構成であってもよい。
【0133】
式Aにおいて、3つのRは、それぞれ重合性基を含んでもよく、代替的に2つのRは、それぞれ重合性基を含んでもよく、又は代替的に1つのRは、重合性基を含んでもよい。
【0134】
式B.式Aのシリコーン含有成分は、式Bの単官能性重合性化合物であってもよく、
【0135】
【化2】
式中、
Rgは、重合性基であり、
Lは、連結基であり、
j1及びj2は、それぞれ独立して、0~220の整数であり、但し、j1及びj2の合計は1~220であり、
A1、RA2、RA3、RA4、RA5、及びRA7は独立して、各発生において、C~Cアルキル、C~C12シクロアルキル、C~Cアルコキシ、C~C12環状アルコキシ、アルコキシ-アルキレンオキシ-アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アリール-アルキル(例えば、ベンジル)、ハロアルキル(例えば、部分若しくは完全にフッ素化されたアルキル)、シロキシ、フルオロ、又はこれらの組み合わせであり、前述の基の各アルキル基は、1つ又は2つ以上のヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、又はベンジルで任意選択で置換されており、各シクロアルキルは、1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、又はベンジルで任意選択で置換されており、各アリールは、1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、又はベンジルで任意選択で置換されており、
A6は、シロキシ、C~Cアルキル(例えば、C~Cアルキル、若しくはブチル、若しくはメチル)、又はアリール(例えば、フェニル)であり、アルキル及びアリールは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で任意選択で置換されていてもよい。
【0136】
式B-1.式Bの化合物は、式B-1の化合物を含んでもよく、これらは、式中、j1が0であり、j2が1~220であるか、又はj2が1~100であるか、又はj2が1~50であるか、又はj2が1~20であるか、又はj2が1~5であるか、又はj2が1である、式Bの化合物である。
【0137】
B-2.式Bの化合物は、式B-2の化合物を含んでもよく、これらは、式中、j1及びj2が、独立して4~100、又は4~20、又は4~10、又は24~100、又は10~100である、式Bの化合物である。
【0138】
B-3.式B、B-1、及びB-2の化合物は、式B-3の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA1、RA2、RA3、及びRA4が、独立して、各発生において、C~Cアルキル又はシロキシである、式B、B-1、又はB-2の化合物である。好ましいアルキルは、C~Cアルキルであるか、又はより好ましくはメチルである。好ましいシロキシは、トリメチルシロキシである。
【0139】
B-4.式B、B-1、B-2、及びB-3の化合物は、式B-4の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA5及びRA7が、独立して、アルコキシ-アルキレンオキシ-アルキルであり、好ましくは、独立して、式CHO-[CHCHO]-CHCHCHであって、式中、pは、1~50の整数である、メトキシキャップされたポリエチレンオキシアルキルである、式B、B-1、B-2、又はB-3の化合物である。
【0140】
B-5.式B、B-1、B-2、及びB-3の化合物は、式B-5の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA5及びRA7が、独立して、トリメチルシロキシなどのシロキシである、式B、B-1、B-2、又はB-3の化合物である。
【0141】
B-6.式B、B-1、B-2、及びB-3の化合物は、式B-6の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA5及びRA7が、独立して、C~Cアルキル、代替的にC~Cアルキル、又は代替的にブチル又はメチルである、式B、B-1、B-2、又はB-3の化合物である。
【0142】
B-7.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、及びB-6の化合物は、RA6が、C~Cアルキル、好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはC~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、又はn-ブチル)である式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、又はB-6の化合物である、式B-7の化合物を含み得る。より好ましくは、RA6は、n-ブチルである。
【0143】
B-8.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、及びB-7の化合物は、式B-8の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、又はB-7の化合物である。好ましくは、Rgは、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、又はスチリルを含む。より好ましくは、Rgは、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを含む。Rgが(メタ)アクリルアミドであるとき、窒素基は、RA9で置換されてもよく、RA9は、H、C~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、例えばn-ブチル、n-プロピル、メチル、若しくはエチル)、又はC~Cシクロアルキル(好ましくはC~Cシクロアルキル)であり、アルキル及びシクロアルキルは、ヒドロキシル、アミド、エーテル、シリル(例えば、トリメチルシリル)、シロキシ(例えば、トリメチルシロキシ)、アルキル-シロキサニル(アルキルは、それ自体がフルオロで任意選択で置換されている)、アリール-シロキサニル(アリールは、それ自体がフルオロで任意選択で置換されている)、及びシリル-オキサアルキレン(オキサアルキレンは、それ自体がヒドロキシルで任意選択で置換されている)から独立して選択される1つ又は2つ以上の基で任意選択で置換されている。
【0144】
B-9.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、及びB-8の化合物は、式B-9の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン(好ましくはC~Cアルキレン)、シクロアルキレン(好ましくはC~Cシクロアルキレン)、アルキレンオキシ(好ましくはエチレンオキシ)、ハロアルキレンオキシ(好ましくはハロエチレンオキシ)、アミド、オキサアルキレン(好ましくは3~6個の炭素原子を含有する)、シロキサニル、アルキレンシロキサニル、カルバメート、アルキレンアミン(好ましくはC~Cアルキレンアミン)、又はこれらの2つ若しくは3つ以上の組み合わせを含み、連結基が、アルキル、ヒドロキシル、エーテル、アミン、カルボニル、シロキシ、及びカルバメートから独立して選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換されている、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、又はB-8の化合物である。
【0145】
B-10.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-10の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン-シロキサニル-アルキレン-アルキレンオキシ-、又はアルキレン-シロキサニル-アルキレン-[アルキレンオキシ-アルキレン-シロキサニル]-アルキレンオキシ-(ここで、qは1~50である)である、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。
【0146】
B-11.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-11の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、C~Cアルキレン、好ましくはC~Cアルキレン、より好ましくはn-プロピレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。
【0147】
B-12.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-12の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン-カルバメート-オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。好ましくは、連結基は、CHCHN(H)-C(=O)-O-CHCH-O-CHCHCHである。
【0148】
B-13.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-13の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。好ましくは、連結基は、CHCH-O-CHCHCHである。
【0149】
B-14.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-14の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン-[シロキサニル-アルキレン]-である(ここで、qは1~50である)、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。そのような連結基の例は、-(CH-[Si(CH-O-Si(CH-(CH-である。
【0150】
B-15.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-15の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレンオキシ-カルバメート-アルキレン-シクロアルキレン-カルバメート-オキサアルキレンであり、シクロアルキレンが、1つ、2つ、又は3つの独立して選択されたアルキル基(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはメチル)で任意選択で置換されている、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。そのような連結基の例は、-[OCHCH-OC(=O)-NH-CH-[1,3-シクロヘキシレン]-NHC(=O)O-CHCH-O-CHCH-であり、シクロヘキシレンは、1位及び5位において3つのメチル基で置換されている。
【0151】
B-16.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-16の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリルを含み、連結基が、アルキレンオキシであり、アルキレンオキシ中の各アルキレンが、独立して、ヒドロキシルで任意に置換されている、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。そのような連結基の例は、-O-(CH-である。そのような連結基の別の例は、-O-CHCH(OH)CH-O-(CH-である。
【0152】
B-17.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-17の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリルを含み、連結基が、アルキレンアミンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。そのような連結基の例は、-NH-(CH-である。
【0153】
B-18.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-18の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、ヒドロキシル、シロキシ、又はシリル-アルキレンオキシで任意選択で置換されているオキサアルキレンである(アルキレンオキシは、それ自体がヒドロキシルで任意選択で置換されている)、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。そのような連結基の例は、-CHCH(G)CH-O-(CH-であり、式中、Gは、ヒドロキシルである。別の例では、Gは、RSiO-であり、2つのR基は、トリメチルシロキシであり、第3は、C~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはメチル)であるか、又は第3は、C~Cシクロアルキルである。更なる例では、Gは、RSi-(CH-O-CHCH(OH)CH-O-であり、2つのR基は、トリメチルシロキシであり、第3は、C~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはメチル)又はC~Cシクロアルキルである。なおも更なる例では、Gは、(メタ)アクリレートなどの重合性基である。そのような化合物は、架橋剤として機能し得る。
【0154】
B-19.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-19の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリルを含み、連結基が、ヒドロキシルで任意選択で置換されているアミン-オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。そのような連結基の例は、-NH-CHCH(OH)CH-O-(CH-である。
【0155】
B-20.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-20の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリルを含み、連結基が、アルキレンオキシ-カルバメート-オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。そのような連結基の例は、-O-(CH-N(H)C(=O)O-(CH-O-(CH-である。
【0156】
B-21.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-21の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン-カルバメート-オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。そのような連結基の例は、-(CH-N(H)C(=O)O-(CH-O-(CH-である。
【0157】
式C.式A、B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、B-9、B-10、B-11、B-12、B-13、B-14、B-15、B-18、及びB-21のシリコーン含有成分としては、式Cの化合物を含んでもよく、これらは、次の構造を有する式A、B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、B-9、B-10、B-11、B-12、B-13、B-14、B-15、B-18、又はB-21の化合物であり、
【0158】
【化3】
[式中、
A8は、水素又はメチルであり、
Zは、O、S、又はN(RA9)であり、及び
L、j1、j2、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RA6、RA7、及びRA9は、式B又はその様々な下位式(例えば、B-1、B-2など)で定義されるとおりである。
【0159】
C-1.式Cの化合物は、式C-1の(メタ)アクリレートを含んでもよく、これらは、式中、ZがOである、式Cの化合物である。
【0160】
C-2.式Cの化合物は、式C-2の(メタ)アクリルアミドを含んでもよく、これらは、式中、ZがN(RA9)であり、RA9がHである、式Cの化合物である。
【0161】
C-3.式Cの化合物は、式C-3の(メタ)アクリルアミドを含んでもよく、これらは、式中、ZがN(RA9)であり、RA9が非置換であるか、又は上述のように任意選択で置換されているC~Cアルキルである、式Cの化合物である。RA9の例としては、CH、-CHCH(OH)CH(OH)、-(CH-シロキサニル、-(CH-SiR、及び-CHCH(OH)CH-O-(CH-SiRが挙げられ、前述の基中の各Rは、独立して、トリメチルシロキシ、C~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはメチル)、及びC~Cシクロアルキルから選択される。RA9の更なる例としては、-(CH-Si(Me)(SiMe、及び-(CH-Si(Me)-[O-SiMe1~10-CHが挙げられる。
【0162】
式D.式Cの化合物は、式Dの化合物を含んでもよく、
【0163】
【化4】
[式中、
A8は、水素又はメチルであり、
は、O又はN(RA9)であり、
は、1~8個の炭素原子を含有するアルキレン、又は3~10個の炭素原子を含有するオキサアルキレンであり、Lは、ヒドロキシルで任意選択で置換されており、
j2、RA3、RA4、RA5、RA6、RA7、及びRA9は、式B又はその様々な下位式(例えば、B-1、B-2など)で定義されるとおりである。
【0164】
D-1.式Dの化合物は、式D-1の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Lが、ヒドロキシルで任意選択で置換されているC~Cアルキレンである、式Dの化合物である。好ましくは、Lは、ヒドロキシルで任意選択で置換されているn-プロピレンである。
【0165】
D-2.式Dの化合物は、式D-2の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Lが、ヒドロキシルで任意選択で置換されている4~8個の炭素原子を含有するオキサアルキレンである、式Dの化合物である。好ましくは、Lは、ヒドロキシルで任意選択で置換されている5又は6個の炭素原子を含有するオキサアルキレンである。例としては、-(CH-O-(CH-、及び-CHCH(OH)CH-O-(CH-が挙げられる。
【0166】
D-3.式D、D-1、及びD-2の化合物は、式D-3の化合物を含んでもよく、これらは、式中、ZがOである、式D、D-1、又はD-2の化合物である。
【0167】
D-4.式D、D-1、及びD-2の化合物は、式D-4の化合物を含んでもよく、これらは、式中、ZがN(RA9)であり、RA9がHである、式D、D-1、又はD-2の化合物である。
【0168】
D-5.式D、D-1、及びD-2の化合物は、式D-5の化合物を含んでもよく、これらは、式中、ZがN(RA9)であり、RA9が、ヒドロキシル、シロキシ、及びC~Cアルキル-シロキサニル-から選択される1つ又は2つの置換基で任意選択で置換されているC~Cアルキルである、式D、D-1、又はD-2の化合物である。
【0169】
D-6.式D、D-1、D-2、D-3、D-4、及びD-5の化合物は、式D-6の化合物を含んでもよく、これらは、式中、j2が1である、式D、D-1、D-2、D-3、D-4、又はD-5の化合物である。
【0170】
D-7.式D、D-1、D-2、D-3、D-4、及びD-5の化合物は、式D-7の化合物を含んでもよく、これらは、式中、j2が2~220、又は2~100、又は10~100、又は24~100、又は4~20、又は4~10である、式D、D-1、D-2、D-3、D-4、又はD-5の化合物である。
【0171】
D-8.式D、D-1、D-2、D-3、D-4、D-5、D-6、及びD-7の化合物は、式D-8の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA3、RA4、RA5、RA6、及びRA7が独立して、C~Cアルキル又はシロキシである、式D、D-1、D-2、D-3、D-4、D-5、D-6、又はD-7の化合物である。好ましくは、RA3、RA4、RA5、RA6、及びRA7は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、及びトリメチルシロキシから独立して選択される。より好ましくは、RA3、RA4、RA5、RA6、及びRA7は、メチル、n-ブチル、及びトリメチルシロキシから独立して選択される。
【0172】
D-9.式D、D-1、D-2、D-3、D-4、D-5、D-6、及びD-7の化合物は、式D-9の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA3及びRA4が、独立して、C~Cアルキル(例えば、メチル若しくはエチル)又はシロキシ(例えば、トリメチルシロキシ)であり、RA5、RA6、及びRA7が、独立して、C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、又はn-ブチル)である、式D、D-1、D-2、D-3、D-4、D-5、D-6又はD-7の化合物である。
【0173】
式E.シリコーン含有成分は、多官能性シリコーン含有成分を含み得る。したがって、例えば、式Aのシリコーン含有成分は、式Eの二官能性材料を含んでもよく、
【0174】
【化5】
[式中、
Rg、L、j1、j2、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、及びRA7は、式B又はその様々な下位式(例えば、B-1、B-2など)について上で定義されるとおりであり、
は、連結基であり、
Rgは、重合性基である。
【0175】
E-1.式Eの化合物は、式E-1の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rg及びRgがそれぞれ、構造CH=CH-O-C(=O)-O-又は構造CH=C(CH)-O-C(=O)-O-のビニルカーボネートである、式Eの化合物である。
【0176】
E-2.式Eの化合物は、式E-2の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rg及びRgがそれぞれ、(メタ)アクリレートである、式Eの化合物である。
【0177】
E-3.式Eの化合物は、式E-3の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rg及びRgが、それぞれ(メタ)アクリルアミドであり、窒素基が、RA9で置換されてもよい(RA9は上で定義されるとおりである)、式Eの化合物である。
【0178】
E-4.式E、E-1、E-2、及びE-3の好適な化合物は、式E-4の化合物を含み、これらは、式中、j1が0であり、j2が1~220であるか、又はj2が1~100であるか、又はj2が1~50であるか、又はj2が1~20である、式E、E-1、E-2、又はE-3の化合物である。
【0179】
E-5.式E、E-1、E-2、及びE-3の好適な化合物は、式E-5の化合物を含み、これらは、式中、j1及びj2が、独立して、4~100である、式E、E-1、E-2、又はE-3の化合物である。
【0180】
E-6.式E、E-1、E-2、E-3、E-4、及びE-5の好適な化合物は、式E-6の化合物を含み、これらは、式中、RA1、RA2、RA3、RA4、及びRA5が、独立して、各発生においてC~Cアルキルであり、好ましくは、それらが、独立して、C~Cアルキルであるか、又は好ましくは、それぞれがメチルである、式E、E-1、E-2、E-3、E-4、又はE-5の化合物である。
【0181】
E-7.式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、及びE-6の好適な化合物は、式E-7の化合物を含み、これらは、式中、RA7が、アルコキシ-アルキレンオキシ-アルキルであり、好ましくは、式CHO-[CHCHO]-CHCHCH(ここで、pは、1~50、又は1~30、又は1~10、又は6~10の整数である)のメトキシキャップされたポリエチレンオキシアルキルである、式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、又はE-6の化合物である。
【0182】
E-8.式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、E-6、及びE-7の好適な化合物は、式E-8の化合物を含み、これらは、式中、Lが、アルキレン、カルバメート、シロキサニル、シクロアルキレン、アミド、ハロアルキレンオキシ、オキサアルキレン、又はこれらの2つ又は3つ以上の組み合わせを含み、連結基が、アルキル、ヒドロキシル、エーテル、アミン、カルボニル、及びカルバメートから独立して選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換されている、式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、E-6、又はE-7の化合物である。
【0183】
E-9.式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、E-6、E-7、及びE-8の好適な化合物は、式E-9の化合物を含み、これらは、式中、Lが、アルキレン、カルバメート、シロキサニル、シクロアルキレン、アミド、ハロアルキレンオキシ、オキサアルキレン、又はこれらの2つ又は3つ以上の組み合わせを含み、連結基が、アルキル、ヒドロキシル、エーテル、アミン、カルボニル、及びカルバメートから独立して選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換されている、式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、E-6、E-7、又はE-8の化合物である。
【0184】
本発明で使用するのに好適なシリコーン含有成分の例としては、以下の表に列記する化合物が挙げられるが、これらに限定されない。以下の表中の化合物がポリシロキサン基を含む場合、このような化合物中のSiO繰り返し単位の数は、別途記載のない限り、好ましくは3~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~20である。
【0185】
【表1-1】
【0186】
【表1-2】
【0187】
好適なシリコーン含有成分の追加の非限定的な例を、以下の表に列挙する。別途記載のない限り、適用可能な場合、j2は、好ましくは1~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。j1又はj2を含有する化合物において、j1とj2の合計は、好ましくは2~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。
【0188】
【表2-1】
【0189】
【表2-2】
【0190】
シリコーン含有成分は、約400~約4000ダルトンの平均分子量を有することができる。
【0191】
シリコーン含有成分は、反応性混合物(希釈剤を除く)の、すべての反応性成分に基づいて、最大約95重量%、又は約10~約80重量%、又は約20~約70重量%の量で存在し得る。
【0192】
ポリアミド
反応性モノマー混合物は、少なくとも1つのポリアミドを含んでもよい。本明細書で使用するとき、「ポリアミド」という用語は、アミド基を含有する繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーを指す。ポリアミドは、環状アミド基、非環状アミド基、及びこれらの組み合わせを含み得、当業者に既知の任意のポリアミドであってもよい。非環状ポリアミドは、ペンダント非環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。環状ポリアミドは、環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。
【0193】
好適な非環状ポリアミドの例としては、式G1及びG2の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0194】
【化6】
式中、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR44)-であり、式中、R44は、C~Cアルキル基であり、R40は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C~Cアルキル基、R41は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C-Cアルキル基、最大2個の炭素原子を有するアミノ基、最大4個の炭素原子を有するアミド基、及び最大2個の炭素基を有するアルコキシ基から選択され、R42は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C~Cアルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R43は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C~Cアルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R40及びR41の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ以下を含む、8以下であり、R42及びR43の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ以下を含む、8以下である。R40及びR41の炭素原子の数は、合計で6以下又は4以下であってよい。R42及びR43の炭素原子の数は、合計で6以下であってよい。本明細書で使用するとき、置換アルキル基は、アミン基、アミド基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、若しくはカルボキシル基、又はこれらの組み合わせで置換されているアルキル基を含む。
【0195】
40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換C~Cアルキル基から選択され得る。Xは、直接結合であってもよく、R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換C~Cアルキル基から選択され得る。R42及びR43は、独立して、H、置換又は非置換C~Cアルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され得る。
【0196】
本発明の非環状ポリアミドは、式LV若しくは式LVIの繰り返し単位の大部分を含み得るか、又は非環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G若しくは式G1の繰り返し単位の少なくとも50モル%を含み得る。式G及び式G1の繰り返し単位の具体的な例としては、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、並びに式G2及びG3の非環状アミド由来の繰り返し単位が挙げられる。
【0197】
【化7】
【0198】
環状ポリアミドを形成するために使用され得る好適な環状アミドの例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環状ポリアミドの例としては、式G4の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマー
【0199】
【化8】
式中、R45は、水素原子又はメチル基であり、fは、1~10の数であり、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR46)-であり、ここで、R46は、C~Cアルキル基である。式LIX中、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であり得る。式G4中、fは、5、4、3、2、又は1を含む、6以下であり得る。式G4中、fは、2、3、4、5、6、7、又は8を含む、2~8であり得る。式LIX中、fは、2又は3であり得る。Xが直接結合のとき、fは、2であり得る。かかる事例において、環状ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)であり得る。
【0200】
環状ポリアミドは、式G4の反復単位の50モル%以上を含んでもよく、又は環状ポリアミドは、少なくとも70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G4の反復単位の少なくとも50モル%を含んでもよい。
【0201】
ポリアミドはまた、環状アミド及び非環状アミドの両方の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。追加の繰り返し単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、他の親水性モノマー、及びシロキサン置換(メタ)アクリレートから選択されるモノマーから形成され得る。好適な親水性モノマーとして列挙されるモノマーのいずれも、追加の反復単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーも含まれ得る。イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL、CAS#148969-96-4)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT、カルボキシベタイン、CAS 79704-35-1)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT、スルホベタイン、CAS 80293-60-3)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT、ホスホベタイン、CAS 163674-35-9、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホナート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(APDAPS)、3-((3-(メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0202】
反応性モノマー混合物は、非環状ポリアミド及び環状ポリアミドの両方又はそれらのコポリマーを含んでもよい。非環状ポリアミドは、本明細書に説明される非環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得、環状ポリアミドは、本明細書に説明される環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得る。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにそれらのコポリマー及び混合物の群から選択され得る。
【0203】
反応性混合物中のすべてのポリアミドの総量は、あらゆる場合において、反応性モノマー混合物の反応性成分の総重量に基づいて、1重量%~約15重量%の範囲内、及び約5重量%~約15重量%の範囲内など、1重量%~約35重量%の範囲内であり得る。
【0204】
理論に束縛されるものではないが、シリコーンヒドロゲルとともに使用されるとき、ポリアミドは内部湿潤剤として機能する。ポリアミドは、非重合性であってもよく、この場合、半相互貫入ネットワークとしてシリコーンヒドロゲル内に組み込まれる。ポリアミドは、シリコーンヒドロゲル内に封入されるか、又は物理的に保持される。代替的に、ポリアミドは、例えば、ポリアミドマクロマー又はプレポリマーとして重合性であり得、この場合、シリコーンヒドロゲル内に共有結合的に組み込まれる。重合性及び非重合性のポリアミドの混合物もまた使用され得る。
【0205】
ポリアミドが反応性モノマー混合物内に組み込まれているとき、ポリアミドは、少なくとも100,000ダルトン、約150,000超、約150,000~約2,000,000ダルトン、約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。反応性モノマー混合物と相溶性である場合、高分子量ポリアミドを使用することができる。
【0206】
架橋剤
概して、架橋モノマー、多官能性マクロマー、及びプレポリマーとも称される1つ又は2つ以上の架橋剤を反応性混合物に添加することが望ましい。架橋剤は、二官能性架橋剤、三官能性架橋剤、四官能性架橋剤、及びこれらの混合物から選択されてもよく、これにはシリコーン含有架橋剤及び非シリコーン含有架橋剤が含まれる。非シリコーン含有架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(HEMAVc)、アリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられ、ポリエチレングリコールは、最大約5000ダルトンの分子量を有する。架橋剤は、通常の量、例えば、反応性配合物100グラム当たり約0.000415~約0.0156モルで反応性混合物中に用いられる。代替的に、親水性モノマー及び/又はシリコーン含有成分が分子設計により、又は不純物のために多官能性である場合、反応性混合物への架橋剤の添加は、任意選択である。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への追加の架橋剤の添加を必要としない親水性モノマー及びマクロマーの例としては、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドでエンドキャップされたポリエーテルが挙げられる。他の架橋剤は当業者に既知となり、本発明のシリコーンヒドロゲルを作製するために使用され得る。
【0207】
配合物中の他の反応性成分のうちの1つ又は2つ以上に対して同様の反応性を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。場合によっては、得られるシリコーンヒドロゲルのいくらかの物理的、機械的、又は生物学的特性を制御するために、異なる反応性を有する架橋剤の混合物を選択することが望ましい場合がある。シリコーンヒドロゲルの構造及び形態は、使用される希釈剤及び硬化条件によっても影響を受け得る。
【0208】
弾性率を更に増加させ、引張強度を維持するために、マクロマー、架橋剤、及びプレポリマーを含む、多官能性シリコーン含有成分も含まれ得る。シリコーン含有架橋剤は、単独で、又は他の架橋剤と組み合わせて使用され得る。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への架橋モノマーの添加を必要としないシリコーン含有成分の例としては、α,ω-ビスメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0209】
硬い化学構造、及びフリーラジカル重合を受ける重合性基を有する架橋剤もまた使用され得る。好適な硬い構造の非限定的な例としては、1,4-フェニレンジアクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及び4-ビニルベンジルメタクリレート、並びにこれらの組み合わせなど、フェニル及びベンジル部分を含む架橋剤が挙げられる。硬い架橋剤は、全反応性成分の総重量に基づき、約0.5~約15、又は約2~10、3~7の量で含まれ得る。本発明のシリコーンヒドロゲルの物理的及び機械的特性は、反応性混合物中の成分を調整することによって特定の用途に最適化され得る。
【0210】
シリコーン架橋剤の非限定的な例としては、式E(及びその下位式)の化合物及び上記の表に示される多官能性化合物などの、上記の多官能性シリコーン含有成分も含む。
【0211】
更なる構成成分
所望であれば、反応性モノマー混合物は、希釈剤、反応開始剤、UV吸収剤、可視光吸収剤、フォトクロミック化合物、医薬品、栄養補助剤、抗菌物質、着色剤、顔料、共重合性染料、非重合性染料、離型剤、及びこれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない、追加の成分を含有し得る。
【0212】
シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。希釈剤は、一級、二級及び三級アルコールであり得る。
【0213】
概して、反応性成分は、希釈剤中で混合して、反応性混合物を形成する。好適な希釈剤は、技術分野において既知である。シリコーンヒドロゲルについて、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号及び米国特許第6020445号に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0214】
シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。一級及び三級アルコールが使用され得る。好ましい種類には、5~20個の炭素を有するアルコール及び10~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。
【0215】
使用され得る具体的な希釈剤には、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、これらの混合物などが挙げられる。アミド希釈剤の例としては、N,N-ジメチルプロピオンアミド及びジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0216】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、これらの混合物などが挙げられる。
【0217】
より好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、これらの混合物などが挙げられる。
【0218】
希釈剤が存在する場合、概して、希釈剤の存在量に関して特定の制限はない。希釈剤を使用するとき、希釈剤は、(反応性配合物及び非反応性配合物を含む)反応性混合物の総重量に基づいて、約5~約50重量パーセントの範囲及び約15~約40重量パーセントの範囲など、約2~約70重量パーセントの範囲の量で存在し得る。希釈剤の混合物を使用してもよい。
【0219】
重合開始剤は、反応性混合物中で使用してもよい。重合開始剤としては、例えば、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、イソプロピルペルカーボネート、アゾビスイソブチロニトリルなどの、中程度の高温でフリーラジカルを発生させるもの、並びに芳香族α-ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド及び三級アミン+α-ジケトン、これらの混合物などの光反応開始剤系のうちの少なくとも1つを挙げることができる。光反応開始剤の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルホス-フィンオキシド及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、及びカンファーキノンとエチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせがある。アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(AMBN)などのジアゾ熱反応開始剤、又は同様の化合物を使用することもできる。
【0220】
市販の可視光開始剤系には、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1700、Irgacure(登録商標)1800、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1850(いずれもCiba Specialty Chemicalsより)及びLucrin(登録商標)TPO開始剤(BASFより入手可能)が挙げられる。市販のUV光反応開始剤には、Darocur(登録商標)1173及びDarocur(登録商標)2959(Ciba Specialty Chemicals)が挙げられる。使用され得るこれらの及び他の光反応開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic&Anionic Photopolymerization,2nd Edition by J.V.Crivello&K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998に開示されている。開始剤は、反応性混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば、反応性モノマー混合物の100部当たり約0.1~約2重量部で、反応性混合物中で使用される。反応性混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて熱又は可視光若しくは紫外光又は他の手段を適切に選択して使用して開始することができる。代替的に、開始は、光開始剤なしで電子ビームを使用して実施され得る。しかしながら、光開始剤が使用されるとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)819)、又は1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせなどの、ビスアシルホスフィンオキシドである。
【0221】
本発明の眼科用デバイスを作製するための反応性混合物は、本明細書に記載のコアシェル粒子の集団に加えて、上述した重合性化合物及び任意選択の成分のいずれかを含んでもよい。
【0222】
好ましい反応性混合物は、式Iのヒドロキシフェニルフェナントロリン及び親水性モノマーを含み得る。
【0223】
好ましい反応性混合物は、本明細書に記載されるコアシェル粒子の集団、並びにDMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、メタクリル酸、及びこれらの混合物から選択される親水性モノマーを含み得る。HEMA及びメタクリル酸の混合物が好ましい。
【0224】
好ましい反応性混合物は、本明細書に記載されるコアシェル粒子の集団、親水性モノマー、及びシリコーン含有成分を含み得る。
【0225】
好ましい反応性混合物は、本明細書に記載されるコアシェル粒子の集団、親水性モノマー、及び式Dの化合物(又はD-1、D-2などの下位式)を含むシリコーン含有成分を含み得る。
【0226】
好ましい反応性混合物は、本明細書に記載されるコアシェル粒子の集団、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物から選択される親水性モノマーと、式Dの化合物(又はD-1、D-2などの下位式)の化合物を含むシリコーン含有成分と、内部湿潤剤と、を含み得る。
【0227】
好ましい反応性混合物は、本明細書に記載されるコアシェル粒子の集団、並びにDMA、HEMA及びこれらの混合物から選択される親水性モノマーと、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)、及びこれらの混合物から選択されるシリコーン含有成分と、湿潤剤(好ましくはPVP又はPVMA)と、を含み得る。親水性モノマーの場合、DMA及びHEMAの混合物が好ましい。シリコーン含有成分については、SiMAA及びmPDMSの混合物が好ましい。
【0228】
前述の反応性混合物は、1つ又は2つ以上の反応開始剤、内部湿潤剤、架橋剤、他のUV遮断剤、及び希釈剤などであるが、これらに限定されない任意の成分を含有してもよい。
【0229】
ヒドロゲルの硬化及びレンズの製造
反応性混合物は、振とう又は撹拌などの技術分野で既知の方法のいずれかによって形成され、既知の方法によるポリマー物品又はデバイスの形成に使用され得る。反応性成分は、反応性混合物を形成するために、希釈剤をしようするか又は使用しないかのいずれかで一緒に混合される。
【0230】
例えば、ヒドロゲルは、反応性成分及び任意に希釈剤を重合開始剤と混合し、適切な条件で硬化させることによって調製されて、後に旋盤加工、切断などによって適切な形状に形成され得る製品を形成することができる。代替的に、反応性混合物は、成形型に入れた後に硬化させ、適切な物品にすることができる。
【0231】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作製する方法は、反応性モノマー混合物を調製することと、反応性モノマー混合物を第1の成形型に移すことと、第2の成形型を、反応性モノマー混合物で充填された第1の成形型の上に配置することと、フリーラジカル共重合によって反応性モノマー混合物を硬化させて、コンタクトレンズの形状でシリコーンヒドロゲルを形成することと、を含み得る。
【0232】
反応性混合物は、回転成形及び静的成形を含む、コンタクトレンズの作製において、反応性混合物を成形するための任意の既知のプロセスを介して硬化されてもよい。回転成形の方法は、米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示され、静的成形の方法は、米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されている。本発明のコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルの直接成形により形成してもよく、これは経済的であり、含水レンズの最終形状を正確に制御できる。この方法では、反応性混合物は、所望の最終シリコーンヒドロゲルの形状を有する成形型内に配置され、反応性混合物は、モノマーが重合する条件に供され、それにより所望の最終製品のおよその形状のポリマーを生成する。
【0233】
硬化後、レンズを抽出に供して、未反応成分を除去し、レンズをレンズ成形型から取り外してもよい。抽出は、アルコールなどの有機溶媒など、従来の抽出流体を使用して行われてもよいし、又は水溶液を使用して抽出してもよい。
【0234】
水溶液は、水を含む溶液である。本発明の水溶液は、少なくとも約20重量%の水、又は少なくとも約50重量%の水、又は少なくとも約70重量%の水、又は少なくとも約95重量%の水を含み得る。水溶液はまた、無機塩又は離型剤、湿潤剤、スリップ剤、医薬成分及び栄養補助化合物、これらの組み合わせなどの追加の水溶性成分を含んでもよい。離型剤は、化合物又は化合物の混合物であり、これは、水と組み合わせると、離型剤を含まない水溶液を使用してコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間と比較した場合、成形型からコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間が減少する。水溶液は、精製、再利用又は特別な廃棄処理などの特別な取り扱いを必要としない場合がある。
【0235】
抽出は、例えば、水溶液中にこのレンズを浸漬すること、又は水溶液の流れにレンズをさらすことを介して行うことができる。抽出はまた、例えば、水溶液を加熱することと、水溶液を撹拌することと、水溶液の離型剤の濃度を、レンズの離型が生じるのに十分なレベルにまで増大させることと、レンズの機械的撹拌又は超音波撹拌と、少なくとも1種の濾過助剤又は抽出助剤を水溶液に取り入れて、未反応成分をレンズから適切に除去することを容易にするのに十分な濃度にすることと、のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。熱、振動又はその両方の追加の有無にかかわらず、前述は、バッチプロセス又は連続プロセスで行われてもよい。
【0236】
浸出及び離型を促進するために、物理的撹拌の適用が望ましい場合がある。例えば、レンズが付着しているレンズ成形型部分は、水溶液中で振動させるか又は前後運動させることができる。他の方法には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0237】
レンズは、限定されないが高圧蒸気処理などの既知の手段により殺菌してもよい。
【0238】
本明細書に記載されるシリコーンヒドロゲル眼科用デバイス(例えば、コンタクトレンズ)は、好ましくは、以下の特性のうちの1つ又は2つ以上(及び場合によってはすべて)を有することが好ましい。すべての値の前には「約」が付き、このデバイスは、列挙する性質の任意の組み合わせを有することができる。特性は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許付与前公開第2018/0037690号に記載されているように、当業者に既知の方法によって決定することができる。
[HO]%:少なくとも20%、又は少なくとも25%
ヘイズ:30%以下、又は10%以下
Kruss DCA(°):100°以下、又は50°以下
引張弾性率(psi):120以下、又は80~120
Dk(バーラー)少なくとも80、又は少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも200
破断伸び:少なくとも100
【0239】
イオン性シリコンヒドロゲルに関しては、(前述したものに加えて)以下の性質もまた好ましい場合がある:
リゾチーム取り込み(μg/レンズ):少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも500、又は少なくとも700
ポリクオタニウム1(PQ1)取り込み(%):15以下、又は10以下、又は5以下
【0240】
眼鏡レンズを含む光学レンズの製造に好適な材料の例としては、CR-39(アリルジグリコールカーボネート(ADC))、TRIVEX(PPG Industriesから市販)、SPECTRALITE(SOLAから市販)、ORMEX(Essilorから市販)、ポリカーボネート、アクリル、MR-8プラスチック(Mitsui Chemicalsから市販)、MR-6プラスチック(Mitsui Chemicalsから市販)、MR-20プラスチック(Mitsui Chemicalsから市販)、MR-7プラスチック(Mitsui Chemicalsから市販)、MR-10プラスチック(Mitsui Chemicalsから市販)、MR-174プラスチック(Mitsui Chemicalsから市販)、FINALITE(SOLAから市販)、NL4(Nikonから市販)、1.70 EYRY(Hoyaから市販)、HYPERINDEX 174(Optimaから市販)、NL5(Nikonから市販)、Tokai Optical Co.から市販されているプラスチック、及びガラス(例えば、クラウンガラス、フリントガラス、Corningから市販されているPHOTOGRAY EXTRAガラス、及びZeissから市販されているような高屈折率ガラス)が挙げられる。
【0241】
スクリーンカバーは、LEDディスプレイ(例えば、コンピュータモニタ、タブレットスクリーン、又は携帯電話スクリーンを覆うように構成された透明シート)を覆うように構成された光学的に透明なシート又はフィルムを含むことができる。所望であれば、スクリーンカバーは、LEDディスプレイを有する電子デバイス用のハウジングと一体化することができる。このようなハウジングは、電子デバイスの少なくとも一部分を取り囲むように構成されたシェルと、電子デバイスがシェル内に配設されたときに、LEDディスプレイと整列されるシェル内の開口部と、シェルの開口部内に配設された本明細書に記載される光学的に透明な材料を含む膜であって、電子デバイスがシェル内に配設されたときに膜が電子デバイスのLEDディスプレイの上に配設されるような膜と、を備えることができる。
【0242】
光学的に透明な材料はまた、LED照明用のハウジング内に製造することができる。ハウジングは、ハウジング内に配設されたLEDによって放出される青色光の1つ又は2つ以上の波長をフィルタリングすることができる。
【0243】
以下の実施例は、本明細書に記載される材料及び方法の特定の態様を更に例示することを意図するものであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0244】
材料及び一般的方法
エチレングリコール(EGが99.8%)、トリフルオロ酢酸銀(CF3COOAgが99.99%以上)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVPが約55,000kDa)、塩化ナトリウム(NaCl)、水硫化ナトリウム水和物(NaHS・xH2O)、テトラエチルオルトシリケート(TEOSが微量金属基準で99.999%)、アンモニア(NH3基準で28~30%)、アセトン(99.9%以上)、塩酸(HClが約37%)、硝酸(HNO3が約70%)、及び無水エタノール(EtOHで0.003%未満のH2O)をSigma-Aldrichから購入した。すべての化学物質を、受け取ったまま使用した。20mL及び7mLのガラスシンチレーションバイアルをVWRから購入した。カーボンType-B、400メッシュ、Cu TEMグリッドを、Ted Pella,Inc.から購入し、水溶液はすべて、EMD Milliporeのフィルタ装置で製造したMillipore water(15MΩ.cm超)を使用した。
【0245】
すべてのガラス器具を使用前にNaOH(12M、1時間)で洗浄し、続いて多量のDI水で洗浄し、ミリポア水で3回洗浄した。撹拌棒を水領域(3:1、HCl/HNO、10分)で洗浄し、続いて多量のミリポアグレードの水で洗浄した。
【0246】
40nm(カタログ番号795968)及び60nm(カタログ番号795984)球形、PVP官能化AgNPを、比較のためにSigma-Aldrichから購入した。市販のAgNPの光学特性を社内で測定した。市販のAgNPのサイズ情報は、供給元の情報に基づく。
【0247】
コンタクトレンズ成形型、エタフィルコンモノマー混合物、及び青色発光ランプ(NARVA LT 40 W-K、ピーク発光約420~430nm)をJohnson and Johnson Vision Careから受信した。コンタクトレンズを、7mLのミリポア水で充填した20mLシンチレーションバイアルに保管した。
【0248】
プラズモニック銀ナノ粒子コアの合成
立方体銀NPの合成。立方体AgNPの合成は、改質ポリオール合成に基づくものであった。5mLのEGを20mLシンチレーションバイアルに添加し、115~130℃の温度に設定した油浴中で加熱した。温度を合成の全体にわたって監視した。すべての試薬をEGに溶解し、油浴中に配置されたシンチレーションバイアルに順次添加した。90μlのNaSH(3mM)を最初に導入し、続いて2分間の遅延後にPVP(20g/L)及びNaCl(1.5mM)を添加した。最後に、0.4mLのCF3COOAg(282mM)を2分後に導入した。シンチレーションバイアルに緩く蓋をし、ガラス製パスツールピペットを用いてアリコートを15分間隔で採取した。すべてのアリコートを、分析前にミリポア水で希釈した。
【0249】
八面体銀NPの合成。八面体AgNPの合成パラメータは、NaClの濃度を除いて、立方体AgNPの合成パラメータと同一であった。0.5mLの0.075mM NaClをシンチレーションバイアルに添加して、八面体AgNPを調製した。
【0250】
誘電体シェルを有するプラズモニックナノ粒子コアのコーティング
銀NPの合成。上述した最適化されたポリオール合成条件(例えば、温度を115℃に設定し、反応時間を120分として)を使用して、立方体AgNPを調製した。八面体AgNPも115℃で調製したが、反応時間は105分に短縮した。第2の八面体AgNPサンプル(シリカコーティングされていない)を、合成のわずかな変動で調製して、赤色偏移した局所的表面プラズモン共鳴(localized surface plasmon resonance、LSPR)ピークを得た。反応時間を120分まで延長し、5mLではなく7mLのEGをシンチレーションバイアルに添加した。
【0251】
氷浴中にサンプルバイアルを浸漬することによって、合成をクエンチした。最終NP懸濁液を3mLの部分に分割し、50mgのPVPを導入した。NPをアセトンで沈殿させ、10,000RPMで13分間遠心分離した後、3mLのEtOHに再懸濁させた。
【0252】
銀NPのコーティング。AgNPを、改質ストーバー様成長プロセスの後にシリカでコーティングした。10%のTEOS溶液(体積/体積%)をEtOHで調製した。250μlのアンモニア及び100μlのTEOS(10%)を、磁気撹拌下で、EtOH中のNP懸濁液に導入した。コーティングプロセスを12時間にわたって継続し、その間、シンチレーションバイアルに蓋をし、マイクロピペットで数時間毎にアリコートを採取した。12時間のシリカコーティングの後、NPをEtOHで2回洗浄し、10,000RPMで13分間遠心分離により回収した。2回の遠心分離後、NPをEtOHに再懸濁させ、更に使用するまで、冷蔵庫(約2℃)で保管した。すべてのアリコートを、TEM及びUV-Vis分析の前にミリポア水で希釈した。
【0253】
コンタクトレンズの調製及び試験
NP一体型コンタクトレンズ。シランコーティングされたAgNP(EtOH中に懸濁している)又はセラックフリーAgNPを、低体積濃度(1:14比未満、体積/体積%)でエタフィルコンモノマー混合物に導入した。NPを、ボルテックスによってモノマー混合物全体に分散させた。6滴のNP-モノマー混合物を、パスツールピペットを使用して後ろ側の成形型に添加した。前側の成形型を後ろ側の成形型(モノマー混合物を含有する)の上に配置した。成形型を青色発光ランプの下に20分間配置して、モノマー混合物を光硬化させた。光硬化後、前側の成形型を後ろ側の成形型からこじ開け、後ろ側の成形型(エタフィルコンレンズを含有する)を、熱DI水浴(70℃)に入れて、NP一体型コンタクトレンズを成形型から分離した。
【0254】
UV曝露。合成されたNP一体型エタフィルコンレンズの安定性を、封入環境においてUVA蛍光電球(Philips F20T12/BL.、Amsterdam,Netherlands、ピーク発光約350nm)のアレイ下で試験した。レンズを、7mLのミリポア水で充填した透明なグラッドラップシールされた20mLシンチレーションバイアルに入れた。UV強度は、UVA/B光測定器(Sper Scientific、Scottsdale,AZ,USA、NIST較正証明)を用いて測定したところ、太陽スペクトルのUV含量(ASTM G173-03グローバルチルト)よりもわずかに低い、約33.96W/mであった。UVは累積日射量の4.72%に相当すると仮定し、レンズが太陽UVに1日、3.5日、7日曝露されたことに相当するように累積UV量を調整した。
【0255】
太陽曝露。調製されたNP一体型レンズの安定性を、Waterloo,Ontarioにおける自然日光曝露下で試験した。レンズはMDIを入れた20mLの透明なバイアルに入れ、太陽光のピーク時(午前10時から午後4時15分)に屋外に放置した。試験中にレンズに接触する入射日射量を評価するために、Waterloo大学のWeather Stationから気象データを取得した。レンズは、研究の過程で、238.3W/m~832.8W/mの範囲の入射放射線に曝露した。
【0256】
オートクレーブ処理。NP一体型エタフィルコンレンズを、121℃及び1.1barで20分間オートクレーブ処理した。レンズを、6mLのMDIで充填した、緩く密封した8mLオートクレーブ式ガラスに入れた。
【0257】
特性化
TEM。TEMサンプルを、TEMグリッド上でそれぞれのサンプル(2~10μL)の溶液を滴下し、フード蒸発下で乾燥させることによって調製した。粒子のサイズ及び形状を、Philips CM-10透過型電子顕微鏡(TEM)で分析した。
【0258】
光学測定。光学密度(Optical density、OD)スペクトルは、96ウェルプレート又はTake3プレート(BioTek)のUV-Vis分光光度計(BioTek Epoch)を用いて得た。
【0259】
NP一体型コンタクトレンズのICPサンプル調製。5mLの保管溶液を0.2mLの濃縮HNO(約70%)で希釈し、1日間にわたって静置して、溶液中に存在する可能性のあるNPを酸消化した。初期の酸消化後、4.8mLの希硝酸(0.7%)を導入し、溶液を少なくとも24時間静置した。
【0260】
シリカコーティングAgNPのICPサンプル調製。シリカコーティングされたAgNPを、コンタクトレンズを水和するために使用される保管溶液と同様の方法で酸消化した。
【0261】
ICP分析。Ag+イオンについてのICP-OES分析を、モデルProdigyPlus(Teledyne Leeman Labs)を用いて行った。この器具の検出範囲は、15ppb~80ppmであり、検出下限(lower limit of detection、LLOD)は、ミリポア水中のAg+検出のために15ppbであることが判明した。0、9.6、16、32、及び80ppmのAg、並びに10ppmのイットリウムの内部標準を含有する較正標準を使用した。Salsaソフトウェアを使用してデータを収集した。
【0262】
結果と考察
図1は、例示的なコアシェル粒子断面、並びにコアシェル構造体とコアシェル粒子の光物理特性との間の関係を示す概略図である。図1に示すように、コアシェル粒子は、貴金属(例えば、銀)を含むプラズモニックナノ粒子コアと、プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電材料(例えば、二酸化ケイ素)を含むシェルと、を含むことができる。プラズモニックナノ粒子コアのサイズ及び形状を変化させることにより、プラズモニックナノ粒子コアの光学特性(局在表面プラズモン共鳴によって生じる)を調整することができる。例えば、プラズモニックナノ粒子コアの吸収は、電磁スペクトルの青色領域(例えば、400nm~500nm)内で調整することができる。プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電体シェルは、隣接するプラズモニックナノ粒子コア間の相互作用を低減し、プラズモニックナノ粒子コアの吸光度及び/又は散乱ピークのブロード化及び/又は赤色偏移を防止することができる。結果として、コアシェル粒子は、電磁スペクトルの青色領域において吸光度及び/又は散乱ピークを示すことができ、これらはともに調整可能であり、比較的狭い。
【0263】
7つの例示的なコアシェル粒子、並びにそれらの光物理特性の形態を、以下の表に要約する。図2は、7つの異なる例示的コアシェル粒子の正規化吸収率を示すプロットである。図2のスペクトルによって示されるように、コアシェル粒子の吸収率は、プラズモニックナノ粒子コアのサイズ及び形状を変化させることにより、電磁スペクトルの青色領域(例えば、400nm~500nm)内で調整することができる。
【0264】
【表3】
【0265】
図3A図3Cは、3つの例示的なプラズモニックナノ粒子コアを示しているTEM顕微鏡写真である:実施例W-4(図3A、25.4±1.2nmの平均粒径を有する立方体銀粒子)、実施例W-1(図3B、43.3±7.2nmの平均粒径を有する立方体銀粒子)、及び実施例W-2(図3C、41.7±0.5nmの平均粒径を有する44%の立方体銀粒子と、45.2±0.6nmの平均粒径を有する37%の八面体銀粒子と、十面体、立方八面体、及び切頭二重四面体形状を有する少量(19%)の銀粒子との混合物)。これらの粒子の光物理的特性及び形態を以下の表に要約する。
【0266】
【表4】
【0267】
図4は、誘電シリカシェルでコーティングする前と後のプラズモニック銀ナノ粒子コア(実施例W-19)のサンプルを示すTEM顕微鏡写真を含む。以下の表は、SiOでコーティングし、洗浄後の、SiO2(誘電体層)でコーティングする前の6つの例示的な銀プラズモニックナノ粒子の吸収(及び半値全幅(FWHM))を要約したものである。以下に示すように、誘電体層の形成は、プラズモニックコアの吸収における赤色偏移を誘発する。しかしながら、吸収スペクトルの幅(FWHM値によって示されるように)は、比較的一定のままである。
【0268】
【表5】
【0269】
図5は、洗浄後及び約1週間保管後のコアシェル粒子(実施例W-19)のサンプルを示すTEM顕微鏡写真を含む。以下の表は、6つの例のコアシェル粒子の洗浄後、約1週間の保存後、及び約2週間の保存後の吸収(及び半値全幅(FWHM))をまとめたものである。以下の表に示すように、粒子(及びそれらの光学特性)は、保管時に比較的安定したままであり、凝集時の吸収の赤色偏移及び/又は広がりを防止する誘電体シェルの能力を実証している。
【0270】
【表6】
【0271】
図6Aは、コアシェル粒子を含有して調製されたコンタクトレンズの例を示す写真である。コアシェルナノ粒子は、コンタクトレンズを形成するシリコーンヒドロゲル内に分散される。
【0272】
図6Bは、コアシェル粒子を含有するコンタクトレンズ上のUV曝露の効果を示す。レンズ14、15、19、及び20をUVA光に24時間曝露したが、レンズ16、17、21、及び22はUVA光に曝露されなかった。レンズ19、20、21、及び22はまた、レンズ14、15、16、及び17が熱処理されていない間に熱処理された。UV曝露レンズと非曝露レンズとの間には、目に見える差は観察されなかった。
【0273】
添付の特許請求の範囲の材料及びデバイスは、本明細書に記載される特定の材料及びデバイスによって範囲が限定されるものではなく、特許請求の範囲のいくつかの態様の実例として意図される。機能的に同等である任意の材料及びデバイスは、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本明細書に示され、記載されるものに加えて、材料及びデバイスの様々な修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。更に、本明細書に開示される特定の代表的な材料及びデバイスのみが具体的に説明されているが、材料及びデバイスの他の組み合わせもまた、具体的に記載されていない場合であっても、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図している。したがって、要素、構成要素、又は構成要素の組み合わせは、本明細書で明示的に言及され得るが、明示的に記載されていなくても、要素、構成要素、及び構成要素の他の組み合わせが含まれる。
【0274】
本明細書で使用する、用語「含む/備える(comprising)」及びその変化形は、用語「含む(including)」及びその変化形と同義語として使用されるオープンで非限定的な用語である。用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、様々な実施形態を説明するために本明細書で使用されてきたが、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「~からなる(consisting of)」は、本発明のより具体的な実施形態を提供するために「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用され得、また開示される。特記されている場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲で使用される幾何学的形状、寸法などを表すすべての数字は、少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、有効桁数及び通常の四捨五入法の数に照らして解釈されるものと理解されるべきである。
【0275】
別段の定めがある場合を除き、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、開示された発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に引用される刊行物及びそれらが引用される材料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0276】
〔実施の態様〕
(1) コアシェル粒子の集団であって、前記コアシェル粒子の各々が、
貴金属を含むプラズモニックナノ粒子コアと、
前記プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電材料を含むシェルと、を含み、
前記コアシェル粒子の集団が、400nm~500nmの範囲の最大吸収値を示し、
前記コアシェル粒子の集団が、20nm~75nmの半値全幅を有する吸収スペクトルを示す、コアシェル粒子の集団。
(2) 前記コアシェル粒子の集団が、400nm~460nmの範囲の最大吸収値を示す、実施態様1に記載の粒子。
(3) 前記貴金属が銀を含む、実施態様1又は2に記載の粒子。
(4) 前記誘電材料が二酸化ケイ素を含む、実施態様1~3のいずれかに記載の粒子。
(5) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、5nm~100nmの平均粒径を有する、実施態様1~4のいずれかに記載の粒子。
【0277】
(6) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、20nm~60nmの平均粒径を有する、実施態様1~5のいずれかに記載の粒子。
(7) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、単分散粒径分布を有する、実施態様1~6のいずれかに記載の粒子。
(8) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、均質な粒子形状を有する、実施態様1~7のいずれかに記載の粒子。
(9) 前記プラズモニックナノ粒子コアが多面体形状を有する、実施態様8に記載の粒子。
(10) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、立方体形状、八面体形状、十面体形状、立方八面体形状、四面体形状、菱形十二面体形状、切頭複正方柱形状(truncated ditetragonal prismatic shape)、又は切頭二重四面体形状(truncated bitetrahedral shape)を有する、実施態様9に記載の粒子。
【0278】
(11) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、粒子形状の混合物を含む、実施態様1~10のいずれかに記載の粒子。
(12) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、立方体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第1の集団と、八面体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第2の集団と、を含む、実施態様11に記載の粒子。
(13) 前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1nm~100nmの平均厚さを有する、実施態様1~12のいずれかに記載の粒子。
(14) 前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、15nm~50nmの平均厚さを有する、実施態様1~13のいずれかに記載の粒子。
(15) コアシェル粒子の集団であって、前記コアシェル粒子の各々が、
銀を含むプラズモニックナノ粒子コアと、
前記プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む二酸化ケイ素を含むシェルと、を含み、
前記プラズモニックナノ粒子コアが、平均粒径を有し、前記シェルが平均厚さを有し、
前記平均粒径と前記平均厚さとの比が、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1:5~20:1である、コアシェル粒子の集団。
【0279】
(16) 前記平均粒径と前記平均厚さとの比が、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、2:3~6:1である、実施態様15に記載の粒子。
(17) 前記コアシェル粒子の集団が、400nm~500nmの範囲の最大吸収値を示す、実施態様15又は16に記載の粒子。
(18) 前記コアシェル粒子の集団が、400nm~460nmの範囲の最大吸収値を示す、実施態様15~17のいずれかに記載の粒子。
(19) 前記コアシェル粒子の集団が、20nm~75nmの半値全幅を有する吸収スペクトルを示す、実施態様15~18のいずれかに記載の粒子。
(20) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、5nm~100nmの平均粒径を有する、実施態様15~19のいずれかに記載の粒子。
【0280】
(21) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、20nm~60nmの平均粒径を有する、実施態様15~20のいずれかに記載の粒子。
(22) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、単分散粒径分布を有する、実施態様15~21のいずれかに記載の粒子。
(23) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、均質な粒子形状を有する、実施態様15~22のいずれかに記載の粒子。
(24) 前記プラズモニックナノ粒子コアが多面体形状を有する、実施態様23に記載の粒子。
(25) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、立方体形状、八面体形状、十面体形状、立方八面体形状、四面体形状、菱形十二面体形状、切頭複正方柱形状、又は切頭二重四面体形状を有する、実施態様24に記載の粒子。
【0281】
(26) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、粒子形状の混合物を含む、実施態様15~25のいずれかに記載の粒子。
(27) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、立方体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第1の集団と、八面体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第2の集団と、を含む、実施態様26に記載の粒子。
(28) 前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1nm~100nmの平均厚さを有する、実施態様15~27のいずれかに記載の粒子。
(29) 前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、15nm~50nmの平均厚さを有する、実施態様15~28のいずれかに記載の粒子。
(30) 光学的に透明な材料であって、
基材と、
前記基材内に配設されたコアシェル粒子の集団集団であって、前記コアシェル粒子の各々が、
(i)銀コアと、
(ii)前記銀コアを取り囲む誘電材料を含む非金属シェルと、を含む、コアシェル粒子の集団集団と、を含む、光学的に透明な材料。
【0282】
(31) 前記コアシェル粒子の集団が、400nm~500nmの範囲の最大吸収値を示す、実施態様30に記載の材料。
(32) 前記コアシェル粒子の集団が、400nm~460nmの範囲の最大吸収値を示す、実施態様30又は31に記載の材料。
(33) 前記コアシェル粒子の集団が、20nm~75nmの半値全幅を有する吸収スペクトルを示す、実施態様30~32のいずれかに記載の材料。
(34) 前記銀コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、5nm~100nmの平均粒径を有する、実施態様30~33のいずれかに記載の材料。
(35) 前記銀コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、20nm~60nmの平均粒径を有する、実施態様30~34のいずれかに記載の材料。
【0283】
(36) 前記銀コアが単分散粒径分布を有する、実施態様30~35のいずれかに記載の材料。
(37) 前記銀コアが均質な粒子形状を有する、実施態様30~36のいずれかに記載の材料。
(38) 前記銀コアが多面体形状を有する、実施態様37に記載の材料。
(39) 前記銀コアが、立方体形状、八面体形状、十面体形状、立方八面体形状、四面体形状、菱形十二面体形状、切頭複正方柱形状、又は切頭二重四面体形状を有する、実施態様38に記載の材料。
(40) 前記銀コアが、粒子形状の混合物を含む、実施態様30~39のいずれかに記載の材料。
【0284】
(41) 前記銀コアが、立方体形状を有する銀コアの第1の集団と、八面体形状を有する銀コアの第2の集団と、を含む、実施態様40に記載の材料。
(42) 前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1nm~100nmの平均厚さを有する、実施態様30~41のいずれかに記載の材料。
(43) 前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、15nm~50nmの平均厚さを有する、実施態様30~42のいずれかに記載の材料。
(44) 前記銀コアが、平均粒径を有し、前記非金属シェルが、平均厚さを有し、前記平均粒径と前記平均厚さとの比が、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1:5~20:1である、実施態様30~43のいずれかに記載の材料。
(45) 光学的に透明な材料であって、
基材と、
前記基材内に配設されたコアシェル粒子の集団集団であって、前記コアシェル粒子の各々が、
(i)貴金属を含むプラズモニックナノ粒子コアと、
(ii)前記プラズモニックナノ粒子コアを取り囲む誘電材料を含む非金属シェルと、を含む、コアシェル粒子の集団集団と、を含み、
前記コアシェル粒子の集団が、400nm~500nmの範囲の最大吸収値を示す、光学的に透明な材料。
【0285】
(46) 前記貴金属が銀を含む、実施態様45に記載の材料。
(47) 前記誘電材料が二酸化ケイ素を含む、実施態様45又は46に記載の材料。
(48) 前記コアシェル粒子の集団が、400nm~500nmの範囲の最大吸収値を示す、実施態様45~47のいずれかに記載の材料。
(49) 前記コアシェル粒子の集団が、400nm~460nmの範囲の最大吸収値を示す、実施態様45~48のいずれかに記載の材料。
(50) 前記コアシェル粒子の集団が、20nm~75nmの半値全幅を有する吸収スペクトルを示す、実施態様45~49のいずれかに記載の材料。
【0286】
(51) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、5nm~100nmの平均粒径を有する、実施態様45~50のいずれかに記載の材料。
(52) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、20nm~60nmの平均粒径を有する、実施態様45~51のいずれかに記載の材料。
(53) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、単分散粒径分布を有する、実施態様45~52のいずれかに記載の材料。
(54) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、均質な粒子形状を有する、実施態様45~53のいずれかに記載の材料。
(55) 前記プラズモニックナノ粒子コアが多面体形状を有する、実施態様54に記載の材料。
【0287】
(56) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、立方体形状、八面体形状、十面体形状、立方八面体形状、四面体形状、菱形十二面体形状、切頭複正方柱形状、又は切頭二重四面体形状を有する、実施態様55に記載の材料。
(57) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、粒子形状の混合物を含む、実施態様45~56のいずれかに記載の材料。
(58) 前記プラズモニックナノ粒子コアが、立方体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第1の集団と、八面体形状を有するプラズモニックナノ粒子コアの第2の集団と、を含む、実施態様57に記載の材料。
(59) 前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1nm~100nmの平均厚さを有する、実施態様45~58のいずれかに記載の材料。
(60) 前記シェルが、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、15nm~50nmの平均厚さを有する、実施態様45~59のいずれかに記載の材料。
【0288】
(61) 前記プラズモニックナノ粒子コアが平均粒径を有し、前記非金属シェルが平均厚さを有し、前記平均粒径と前記平均厚さとの比が、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されると、1:5~20:1である、実施態様45~60のいずれかに記載の材料。
(62) 前記コアシェル粒子の前記集団集団が、前記基材の総重量に基づいて、0.05重量%~10重量%の濃度で前記基材中に存在する、実施態様30~61のいずれかに記載の材料。
(63) 前記基材が、ガラス、アリルジグリコールカーボネート(ADC)、ポリカーボネート、ポリウレタン、チオウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、シリコーンヒドロゲル、又はこれらの組み合わせを含む、実施態様30~62のいずれかに記載の材料。
(64) 前記基材が、親水性モノマー、シリコーン含有成分、又はこれらの組み合わせの重合に由来するポリマーを含む、実施態様30~63のいずれかに記載の材料。
(65) 前記基材が、シリコーンヒドロゲルを含む、実施態様30~64のいずれかに記載の材料。
【0289】
(66) 実施態様30~65のいずれかに記載の材料を含む、光学レンズ。
(67) 前記レンズが眼鏡レンズを含む、実施態様66に記載のレンズ。
(68) 眼鏡であって、
実施態様67によって定義された第1の眼鏡レンズと、
実施態様67によって定義された第2の眼鏡レンズと、
前記第1の眼鏡レンズ及び前記第2の眼鏡レンズの周りに配設されたフレームと、を備える、眼鏡。
(69) 実施態様30~65のいずれかに記載の材料を含む、眼科用デバイス。
(70) 前記眼科用デバイスが、コンタクトレンズ、角膜オンレー、角膜インレイ、眼内レンズ、又はオーバーレイレンズである、実施態様69に記載の眼科用デバイス。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B