(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】杭打ち機アセンブリおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
E02D 7/06 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
E02D7/06
(21)【出願番号】P 2021577668
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 NL2020050424
(87)【国際公開番号】W WO2020263095
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-24
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】523210467
【氏名又は名称】アイキューアイピー・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインケス,ヤスパー・ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マルテンス,レーンデルト・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ドゥールセン,エリク・ビルヘルムス
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-036296(JP,U)
【文献】実開昭49-005210(JP,U)
【文献】実公昭44-026281(JP,Y1)
【文献】特開昭53-058103(JP,A)
【文献】米国特許第03498391(US,A)
【文献】米国特許第06129487(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭を地中に、好ましくは沖合に打ち込むための杭打ち機アセンブリであって、
チャンバーを画定するケーシングであって、前記チャンバーは流体を収容するように構成されている、ケーシングと、
前記ケーシングを前記杭にまたは前記杭上に位置決めするように構成された位置決め要素であって、前記位置決め要素の少なくとも一部が前記チャンバーと前記杭との間に配置されている、位置決め要素と、
作動手段であって、
作動することによって前記チャンバーが前記杭から離れて上昇位置に移動するように前記チャンバーを前記位置決め要素に対して変位させ、および、
前記チャンバーによって前記位置決め要素に力が加えられるように前記チャンバーを前記上昇位置から解放して前記杭に向かって変位させて、前記杭を制御可能に地中に打ち込むように構成された、作動手段と、
緩衝流体を収容するように構成された緩衝チャンバーを含む緩衝手段であって、前記杭が地中に打ち込まれるときに前記緩衝流体の圧縮を介して前記チャンバーによって前記杭に加えられる力を制御可能に緩衝するように構成された、緩衝手段と、
を含み、
前記緩衝手段は、前記緩衝流体の圧力が前記ケーシングの重量を超える上向きの力を生じさせたときに前記チャンバーをリバウンド位置にリバウンドさせるように構成され、
前記作動手段のさらなる作動は、前記チャンバーが前記リバウンド位置から前記上昇位置に移動するように前記チャンバーを前記位置決め要素に対して変位させ
、
前記作動手段は、前記チャンバーを前記リバウンド位置に維持するように構成されたロック手段を含み、前記作動手段は、流体を収容するように構成された流体チャンバーを含み、前記ロック手段は、開放構成およびロック構成を有する戻り弁を含み、前記ロック構成において、前記戻り弁は、前記作動手段の前記流体チャンバー内の流体の量が増加することを許容するが減少することは許容しないように構成されている、
杭打ち機アセンブリ。
【請求項2】
前記作動手段は、少なくとも1つのアクチュエータを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記作動手段は、前記チャンバーと前記位置決め要素の少なくとも一部との間に配置されている、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記作動手段は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記作動手段の作動により、前記中央可動要素が前記後退位置から前記伸長位置に移動する、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記作動手段は
、前記流体チャンバー内の流体の量の増加により、前記中央可動要素が前記後退位置から前記伸長位置に向かって移動する、請求項4または5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記作動手段の前記中央可動要素は、前記チャンバーの前記リバウンド位置に対応する半伸長位置を有する、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記作動手段は、追加の流体チャンバーをさらに含み、前記中央可動要素は、前記流体チャンバー及び前記追加の流体チャンバーの流体圧力に応じて、前記伸長位置と前記後退位置との間で移動させられる、請求項6または7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ロック手段は、前記中央可動要素を前記半伸長位置にロックすることによって前記チャンバーを前記リバウンド位置に維持するように構成されている、請求項7
に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記リバウンド位置において、前記チャンバーは実質的に静止している、請求項1から
9のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記作動手段の作動を制御するように構成された制御システムをさらに含む、請求項1から
10のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記制御システムは、前記チャンバーの動作および/または位置を監視するように構成されている、請求項
11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記制御システムは、前記チャンバーが前記リバウンド位置に向かってリバウンドするときに、前記戻り弁を前記開放構成と前記ロック構成との間で切り替えるように構成されている、請求項
12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記作動手段の前記流体チャンバーは、アキュムレータに流体結合されている、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記アキュムレータは、前記チャンバーのリバウンド中に、前記作動手段の前記流体チャンバーに流体を供給し、これによって、前記中央可動要素が前記後退位置から前記半伸長位置に向かって移動するように構成されている、請求項
14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記作動手段の前記中央可動要素は、前記チャンバーに結合されて前記チャンバーと共に移動可能であり、前記中央可動要素は、前記チャンバーが前記リバウンド位置にリバウンドするときに、前記後退位置から前記半伸長位置に移動する、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記緩衝手段は、少なくとも1つの緩衝要素を含み、前記少なくとも1つの緩衝要素は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素を含み、前記緩衝チャンバーの容積は、前記少なくとも1つの緩衝要素の前記中央可動要素が前記伸長位置から前記後退位置に移動するに従って減少する、請求項1から
16のいずれか1項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの緩衝要素は、前記緩衝要素の前記中央可動要素と一体の減衰要素を含む、請求項
17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記少なくとも1つの緩衝要素は、前記緩衝要素の前記中央可動要素と一体の容積等化要素を含む、請求項
18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
請求項1から
19のいずれか1項に記載の杭打ち機アセンブリを制御するための制御システムであって、
前記作動手段を作動させるように構成された少なくとも1つのコントローラを含み、
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記チャンバーが前記杭から離れて上昇位置に移動するように前記チャンバーを前記位置決め要素に対して変位させ、
前記チャンバーによって前記位置決め要素に力が加えられるように前記チャンバーを前記上昇位置から解放して前記杭に向かって変位させて、前記杭を制御可能に地中に打ち込み、
前記チャンバーを前記リバウンド位置に維持するために前記戻り弁を前記ロック構成にして前記ロック手段を機能させ、及び、
前記チャンバーが前記リバウンド位置から前記上昇位置に移動するように、前記チャンバーを前記位置決め要素に対して変位させる、
ように前記作動手段を作動させる、
制御システム。
【請求項21】
前記チャンバーの動作および/または位置を監視するように構成された監視システムをさらに含む、請求項
20に記載の制御システム。
【請求項22】
前記チャンバーが前記リバウンド位置に向かってリバウンドするときに、前記戻り弁を前記開放構成と前記ロック構成との間で切り替えるように構成されてい
る、請求項
21に記載の制御システム。
【請求項23】
前記チャンバーの位置および/または前記位置決め要素に対する前記チャンバーの変位を判定するためのセンサを含む、請求項
21または
22に記載の制御システム。
【請求項24】
杭を地中に、好ましくは沖合に打ち込む方法であって、
地中に打ち込まれる杭を提供するステップと、
請求項1から19のいずれか1項に記載の杭打ち機アセンブリを前記杭にまたは前記杭内に同軸配置で提供するステップと、
前記チャンバーが前記杭から離れて上昇位置に移動するように前記作動手段を作動させるステップと、
前記チャンバーが前記杭に向かって変位して前記位置決め要素に力を加えるように、前記作動手段をさらに作動させて前記チャンバーを解放するステップと、
前記チャンバーによって前記杭に加えられる力を制御可能に緩衝して、前記杭を制御可能に地中に打ち込むステップと、
前記チャンバーを前記リバウンド位置に維持するために前記戻り弁を前記ロック構成にして前記ロック手段を機能させるステップと、
前記チャンバーが前記リバウンド位置にリバウンドした後に前記チャンバーがリバウンド位置から前記上昇位置に移動するように前記作動手段をさらに作動させるステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記チャンバーを解放するために前記作動手段を作動させるステップと、
前記チャンバーによって前記杭に加えられる力を制御可能に緩衝して、前記杭を制御可能に地中に打ち込むステップと、
前記チャンバーが前記リバウンド位置にリバウンドした後に前記チャンバーを前記リバウンド位置から前記上昇位置に移動させるように前記作動手段を作動させるステップと、
を前記杭があらかじめ設定された位置まで地中に打ち込まれるまで繰り返すこと、
をさらに含む、請求項
24に記載
の方法。
【請求項26】
前記チャンバーを流体で実質的に満たすステップをさらに含む、請求項
24または
25に記載
の方法。
【請求項27】
前記流体は、前記沖合にある水である、請求項
26に記載
の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打ち機に関し、より具体的には、沖合作業に適した杭打ち機に関する。また、本発明は、杭を地中に下向きに打ち込むための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沖合の地中に杭を打ち込むには、ある高さから杭の上部にストライカプレートを介してラムやハンマを落下させるのが一般的である。杭の上部のより広い表面積にハンマの下向きの衝撃力を加え、および杭の上部を損傷から保護するため、一般に、木製の衝撃ライナがストライクプレートまたはアンビルの下側と杭の上部との間に配置されている(独国実用新案第8900692(U1)号を参照)。ストライクプレートと杭の上部とをより良く保護するため、ストライクプレートに接続された圧力ガスばねの使用も提案されている(独国実用新案第8900692(U1)号を参照)。ハンマと杭の上部とを杭へのハンマの直接の衝撃による損傷から保護するため、ストライクプレートの上に液体で満たされた圧力チャンバーを使用して、液体抵抗と閉じ込められたガスクッションをハンマと杭の上部との間に提供することも提案されている(英国特許出願第1576966(A)号を参照)。この目的のために、ハンマと杭の上のストライクプレートとの間にクッションを提供するためのばねディスクのスタックまたは油圧ブロックの使用も提案されている(米国特許出願第2184745(A)号および米国特許出願第3498391(A)号を参照)。ハンマの上の油とガスのバッファのスタックを使用して、杭の上部にあるアンビルへのハンマの打撃を和らげることは、Hollandsche Beton Groepによって開発されたいわゆるHYDROBLOK衝撃ハンマでも説明されている。ハンマの上に給水柱を使用して、ハンマに下向きの駆動力を提供することも提案されている(国際公開第2018030896号、国際公開第2013112049号、および国際公開第2015009144号を参照)。
【0003】
しかし、公知の杭打ち機の設計は、大口径の杭を沖合の地中に打ち込むのにはあまり適していなかった。従来の杭打ち機は、それらのハンマが杭の上部に加えることができる衝撃力に制限があった。より大きな杭(典型的には、直径が6メートルを超える縁を有するような杭)では、従来の杭打ち機のハンマによって提供される衝撃力を、より広い領域に分散させる必要があった。つまり、従来のハンマの力は、ハンマがアンビルに衝突する杭の中心から、この非常に大きな直径の杭の縁に分散されなければならないが、これには、ハンマと杭との間に非常に大きなアンビルが必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、杭を地中に、好ましくは沖合に打ち込むための杭打ち機アセンブリが提供される。この杭打ち機アセンブリは、
チャンバーを画定するケーシングであって、チャンバーは流体を収容するように構成されている、ケーシングと、
ケーシングを杭にまたは杭上に位置決めするように構成された位置決め要素であって、位置決め要素の少なくとも一部がチャンバーと杭との間に配置される、位置決め要素と、
作動手段であって、
作動することによってチャンバーが杭から離れて上昇位置に移動するようにチャンバーを位置決め要素に対して変位させ、
チャンバーによって位置決め要素に力が加えられるように前記チャンバーを上昇位置から解放して杭に向かって変位させて、杭を制御可能に地中に打ち込む、
ように構成された、作動手段と、
緩衝流体を収容するように構成された緩衝チャンバーを含む緩衝手段であって、杭が地中に打ち込まれるときに緩衝流体の圧縮を介してチャンバーによって杭に加えられる力を制御可能に緩衝するように構成された、緩衝手段と、
を含み、
緩衝手段は、緩衝流体の圧力がケーシングの重量を超える上向きの力を生じさせたときにチャンバーをリバウンド位置にリバウンドさせるように構成され、
作動手段のさらなる作動は、チャンバーがリバウンド位置から上昇位置に移動するようにチャンバーを位置決め要素に対して変位させる。
【0005】
この構成は、杭、特により大きな杭(通常は直径6メートルを超える縁を有するような杭)を地中の効率的に打ち込む杭打ち機センブリを提供する。公知のハンマの配置とは対照的に、この配置では、ケーシング内に収められて杭に積極的に打ち込まれるハンマはない。その代わりに、杭から離れた距離からの流体のチャンバー、例えば水のチャンバーの解放が、杭を地中に打ち込むために利用される。この構成によって、より大きな質量を有するチャンバー(特に流体で満たされた場合に)を使用することができ、駆動ハンマやラムウェイトではなく、チャンバーによって杭に「押し込む力」が加えられる。このような構成では、打撃がより緩やかになり、これにより、従来のハンマ構成よりも水中騒音が少なくなる。公知の配置からの水中騒音の低減には2つの側面がある。まず、各打撃のピーク騒音レベルが低減することであり、さらには、チャンバーの質量が大きいため、必要とされる杭打ち機による衝撃が少なくなり、したがって累積騒音(打撃数×打撃あたりのピーク騒音)が少なくなる。
【0006】
さらに、ケーシングを杭上(杭の縁上またはその近くに)に位置決めするための位置決め要素の使用により、(アンビルなどの中間要素を必要とせずに)ケーシングと杭との間の細かい位置合わせが可能になる。そして、ケーシングによって加えられる力は、アンビルを介して分散される必要なしに、位置決め要素によって杭に直接加えることができる。これらの両方は、杭と杭打ち機アセンブリとの間の位置ずれによって杭または杭打ち機アセンブリに不必要な応力がかかることを回避するのに役立つ。さらに、従来技術のアセンブリおよび/またはデバイスと比較した場合、部品(例えば、金属アンビル上の金属ハンマ)の実際の衝撃がないため、作業が水中騒音のより少ない杭打ち作業になる。
【0007】
緩衝手段の使用は、高質量ケーシング/チャンバーからのより高い衝撃エネルギーレベルをより緩やかに加えることを可能にする。杭に加わる各衝撃の効果をより長く持続させることで、ピーク荷重および杭の振動が減少し、それによって水中および空中の騒音も減少する。したがって、このような構成の場合、杭打ち作業中の騒音軽減措置(例えば、騒音軽減バブルカーテン)の必要性が低減される。また、衝撃力が緩やかに加わることで、杭により均一な負荷がかかることになり、それによって杭の応力変動および設置疲労が低減される。
【0008】
チャンバーを持上げるときにリバウンド効果を利用することで、杭を地中に打ち込むために必要なエネルギー入力が低減される。つまり、チャンバーは、最初の持上げのためにその上昇位置までの全距離を持上げられるだけである。その後の持上げにおいて、エネルギー入力は、チャンバーをリバウンド位置から上昇位置に持上げるためにのみ必要とされる。そのため、チャンバーをその上昇位置に持上げるために必要な全体的なエネルギー入力が低減される。言い換えれば、チャンバーのリバウンドは、チャンバーの完全な上昇に対する部分的な寄与として利用される。
【0009】
適切には、作動手段は、少なくとも1つのアクチュエータを含む。
【0010】
適切には、作動手段は、チャンバーと位置決め要素の少なくとも一部との間に配置されている。このように(すなわち、チャンバーと位置決め要素の一部との間の空間に)作動手段を配置することは、チャンバー/ケーシング全体の持上げを補助し(すなわち、作動手段は、チャンバーの下から上方に押してチャンバーを持上げ)、そのため、より大きな質量のより大きなチャンバー/ケーシングを使用して杭を地中に打ち込むことが可能になる。
【0011】
適切には、作動手段は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素を含む。
【0012】
適切には、作動手段の作動により、中央可動要素が後退位置から伸長位置に移動する。
【0013】
適切には、作動手段は、流体を収容するように構成された流体チャンバーを含み、流体チャンバー内の流体の量の増加により、中央可動要素が後退位置から伸長位置に向かって移動する。
【0014】
適切には、作動手段の中央可動要素は、チャンバーのリバウンド位置に対応する半伸長位置を有する。
【0015】
適切には、作動手段は、追加の流体チャンバーをさらに含み、中央可動要素は、流体チャンバー及び追加の流体チャンバーの流体圧力に応じて、伸長位置と後退位置との間で移動させられる。
【0016】
適切には、作動手段は、チャンバーをリバウンド位置に維持(またはロック)するように構成されたロック手段を含む。これにより、チャンバーをリバウンド位置で「キャッチ(捕捉)」することができる。したがって、持上げ動作は、より制御しやすく、必要に応じてさらなる持上げ動作(リバウンド位置から上昇位置への)を実行することができる。
【0017】
適切には、ロック手段は、中央可動要素を半伸長位置にロックまたは実質的に固定することによって、チャンバーをリバウンド位置に維持するように構成されている。
【0018】
適切には、ロック手段は、開放構成およびロック構成を有する戻り弁を含み、ロック構成において、戻り弁は、作動手段の流体室内の流体の量が増加することを可能にするが減少することは許容しないように構成される。
【0019】
適切には、リバウンド位置において、チャンバーは実質的に静止している。特に、リバウンド位置は、エネルギー損失が防止されるように、チャンバーのリバウンドまたは跳ね返りの最上部に対応している。
【0020】
適切には、アセンブリは、作動手段の作動を制御するように構成された制御システムをさらに含む。
【0021】
適切には、制御システムは、チャンバーの動作および/または位置を監視するように構成されている。これにより、制御システムは、いつチャンバーがその最下部位置に到達したか、および/または、いつチャンバーがリバウンド位置に向かってリバウンドしているか、および/または、いつチャンバーがリバウンド位置に到達したかを判定することができる。
【0022】
適切には、制御システムは、チャンバーがリバウンド位置にリバウンドするときに、戻り弁を開放構成とロック構成との間で(すなわち、開放構成からロック構成に)切り替えるように構成されている。そのため、チャンバーがリバウンド位置に到達して重力によって杭に向かって引き戻されると、戻り弁がチャンバーをリバウンド位置に実質的に固定する。
【0023】
適切には、作動手段の流体チャンバーは、アキュムレータに流体結合されている。アキュムレータは、アクチュエータの流体チャンバーからの加圧流体を貯蔵し、周期的なプロセスで必要に応じて流体を流体チャンバーに流入/流出させるために使用される。
【0024】
適切には、アキュムレータは、チャンバーのリバウンド中に作動手段の流体チャンバーに流体を供給し、中央可動要素を後退位置から半伸長位置に向かって移動させるように構成されている。これは、作動手段がリバウンド後にチャンバーを「捕捉」する位置にあることを確実にするのに役立つ。
【0025】
適切には、作動手段の中央可動要素は、チャンバーに結合され、チャンバーと共に移動可能であり、チャンバーがリバウンド位置にリバウンドすると、中央可動要素は後退位置から半伸長位置に移動する。これは、作動手段がリバウンド後のチャンバーを「捕捉」する位置にあることを確実にするのに役立つ。
【0026】
適切には、緩衝手段は、少なくとも1つの緩衝要素を含み、少なくとも1つの緩衝要素は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素を含み、中央可動要素が伸長位置から後退位置に移動するにつれて緩衝室の容積が減少する。
【0027】
適切には、少なくとも1つの緩衝要素は、緩衝要素の中央可動要素と一体の減衰要素を含む。減衰要素は、チャンバーと緩衝要素との間の衝撃を滑らかにするのに役立つ。
【0028】
適切には、少なくとも1つの緩衝要素は、緩衝要素の中央可動要素と一体の容積等化要素を含む。容積等化要素は、減衰要素に過剰な圧力がかかるのを防ぐのに役立つ。
【0029】
適切には、緩衝手段は作動手段と一体である。すなわち、作動手段は緩衝手段を含む。これにより、追加の構成要素の必要性が減り、アセンブリの構築と保守とがより簡単になる。さらに、緩衝手段を作動手段と組み合わせることにより、緩衝手段は、空間を制限することなく、チャンバーと位置決め要素の少なくとも一部との中間に配置され得る。緩衝手段をチャンバーと位置決め要素の少なくとも一部との間の空間に配置することで、保守および他の種類の活動のための容易なアクセスを可能にする。
【0030】
適切には、作動手段は、緩衝流体を収容するように構成された緩衝チャンバーを含み、中央可動要素が伸長位置から後退位置に移動するにつれて、緩衝室の容積が減少する。
【0031】
適切には、作動手段は、作動手段の内部緩衝特性を調整するように構成された調整手段を含む。適切には、調整手段は、緩衝チャンバー内の緩衝流体の量を制御するように構成されている。これは、緩衝チャンバー内の緩衝流体の容積および圧力を制御するのに役立ち、したがって、作動手段の緩衝特性を制御するのに役立つ。これらの特性を調整できることにより、この構成は、杭打ち作業中の減衰手段を精密な使用を可能とし、その場でリアルタイムに作業の詳細に合わせた緩衝効果が得られる。
【0032】
適切には、調整手段は、緩衝チャンバー内の流体の量を制御するように構成される。
【0033】
適切には、(チャンバーと杭との間に配置される)位置決め要素の少なくとも一部は、杭の上面を覆うように構成されたプレート要素である。ケーシングと位置決め要素の構成により、杭に加えられる力が杭の全周に適切に分散されるので、エネルギー効率の高い方法で杭打ち作業が実行される。
【0034】
適切には、位置決め要素は、杭の上部に解放可能に接続されたスリーブ要素をさらに含む。スリーブ要素は、杭と位置決め要素との間の相対的な位置/向きを維持するのに役立ち、したがって、安定したシステムを安定的に提供する。
【0035】
適切には、ケーシングは、その端部にスリーブ部を含み、スリーブ部は、位置決め要素のスリーブ要素を取り囲むように構成されて位置決め要素とケーシングとの間の位置合せを提供する。このようにして、しっかりと固定された(位置決め要素のスリーブ要素およびケーシングのスリーブ部を含む)スリーブアセンブリが提供され、これにより、杭打ち作業中にアセンブリに安定性が提供され得る。さらに、この構成は、杭打ち作業中にアセンブリの細かな位置調整を可能とする。換言すれば、位置決め要素のスリーブ要素とケーシングのスリーブ部は、ケーシングと位置決め要素との重なり合う部分を提供する。これにより、ケーシングと杭との間の相対的な横方向の変位/回転を最小限に抑えることができ、したがって、杭上の杭打ち機アセンブリの安定性を向上させることができる。
【0036】
適切には、チャンバーは、少なくとも部分的に自身を通って延びるチャネルを有する。チャネルがチャンバー全体を通って延びる場合、特にチャンバーを通って軸方向に延びる場合、ツール(例えば、ドリル、またはウォータージェットなど)を配備するための経路がその中に提供される。軸方向チャネルが中空杭の軸と同軸に配置されている場合、ツールが杭の真下の土壌にアクセスして作業し、土壌プラグの抵抗を減らすことができる。例えば、突然の想定外の大きな杭のセットの場合(軟弱な土壌では数メートルが一般的である)に、クレーンへの衝撃負荷を防ぐための落下アレスタを配置するために軸方向チャネルを使用することができる。いくつかの例では、作動手段は、軸方向チャネルを介してチャンバーと結合する。すなわち、チャンバーを持上げるため、作動手段は、軸方向チャネルの境界壁と結合してそれに力を加える。
【0037】
適切には、位置決め要素は、チャネルを通って少なくとも部分的に延びるように構成されたガイド要素を含む。適切には、ガイド要素は、チャンバーが杭に向かって移動するときにチャネルを通ってさらに延びるように構成される。換言すれば、ガイド要素とチャネルとは、ケーシングと位置決め要素との重なり合う部分を提供する。これにより、ケーシングと杭との間の相対的な横方向の変位/回転を最小限に抑えることができ、したがって、杭上の杭打ち機アセンブリの安定性を確保することができる。
【0038】
適切には、チャンバーは、流体制御用の弁を有すると共にケーシングの壁に設けられた導管を介して流体が充填される。このようにすると、アセンブリのチャンバーは、その場で充填され得るため、空の状態でアセンブリを作業現場に運ぶことができる。そして、その後に用途に応じて、チャンバーを所望のレベル(すなわち、杭を地面に打ち込むための所望の条件に適したレベル)まで充填することができる。
【0039】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による杭打ち機アセンブリを制御するための制御システムが提供され、この制御システムは、
作動手段を作動させるように構成された少なくとも1つのコントローラを含み、
少なくとも1つのコントローラは、
チャンバーが杭から離れて上昇位置に移動するようにチャンバーを位置決め要素に対して変位させ、
チャンバーによって位置決め要素に力が加えられるようにチャンバーを上昇位置から解放して杭に向かって変位させ、杭を制御可能に地面に打ち込み、及び、
チャンバーがリバウンド位置から上昇位置に移動するように、チャンバーを位置決め要素に対して変位させる、
ように作動手段を作動させる。
【0040】
このように作動手段を制御することにより、チャンバーを持上げるときにリバウンド効果を利用することができ、上記のようにエネルギー入力を低減するのに役立つ。
【0041】
適切には、制御システムは、チャンバーの動作および/または位置を監視するように構成された監視システムをさらに含む。
【0042】
適切には、制御システムは、チャンバーがリバウンド位置に向かってリバウンドするときに、戻り弁を開放構成とロック構成との間で切り替えるように構成されている。
【0043】
適切には、制御システムは、チャンバーの位置および/または位置決め要素に対するチャンバーの変位を判定するためのセンサを含む。
【0044】
本発明の第3の態様によれば、杭を地中に、好ましくは沖合に打ち込む方法が提供され、この方法は、
地中に打ち込まれる杭を提供するステップと、
本発明の第1の態様による杭打ち機アセンブリを杭にまたは杭内に同軸配置で提供するステップと、
チャンバーを杭から離れて上昇位置に移動させるように作動手段を作動させるステップと、
チャンバーが杭に向かって変位して位置決め要素に力を加えるように、作動手段をさらに作動させてチャンバーを解放するステップと、
チャンバーによって杭に加えられる力を制御可能に緩衝し、杭を制御可能に地中に打ち込むステップと、
チャンバーがリバウンド位置にリバウンドした後にチャンバーがリバウンド位置から上昇位置に移動するように作動手段をさらに作動させるステップと、
を含む。
【0045】
提案された方法は、杭打ち作業全体を通して最大限の安定性とバランスの取れた重量配分で、杭を地中に打ち込む簡単で確実な方法を提供する。この方法は、杭が制御可能に地中に打ち込まれたときにチャンバーによって杭に加えられる力を制御可能に緩衝することにより、最小限の水中騒音の発生および水中騒音の伝播でアセンブリが杭打ち作業を実行することを可能にするのに役立つ。さらに、チャンバーを持上げる際にリバウンド効果を利用することにより、杭を地中に打ち込むために必要なエネルギー入力が低減される。つまり、チャンバーは、最初の持上げのために、その上昇位置までの全距離を持上げられるだけである。その後の持上げにおいて、エネルギー入力は、チャンバーをリバウンド位置から上昇位置に持上げるためにのみ必要とされる。そのため、チャンバーをその上昇位置に持上げるために必要な全体的なエネルギー入力が低減される。言い換えれば、チャンバーのリバウンドは、チャンバーの完全な上昇に対する部分的な寄与として利用される。
【0046】
適切には、方法は、
チャンバーを解放するために作動手段を作動させるステップと、
チャンバーによって杭に加えられる力を制御可能に緩衝して、杭を制御可能に地面に打ち込むステップと、
チャンバーがリバウンド位置にリバウンドした後にチャンバーをリバウンド位置から上昇位置に移動させるように作動手段を作動させるステップと、
を杭があらかじめ設定された(またはあらかじめ規定された)位置まで地中に打ち込まれるまで繰り返すことをさらに含む。
【0047】
適切には、方法は、チャンバーを流体で実質的に満たすステップをさらに含む。適切には、流体は、沖合にある水である。
【0048】
本明細書で使用される場合、「上部」、「下部」、「上向き」、および「下向き」などの用語は、杭打ち機アセンブリまたはその構成要素に関連して、杭、特に垂直に延びる杭上に位置決めされたときのこのアセンブリまたは構成要素の向きを指すことが理解されよう。杭打ち機アセンブリの組立/位置決めの前に、または非垂直方向でのアセンブリの位置決めの後に、そのような用語がそれに応じて調整され得ることが理解されよう。
【0049】
本明細書で使用される場合、構成要素の「伸長」位置と「後退」位置は、相対的な用語であることが理解されるべきである。すなわち、伸長位置において、構成要素は、構成要素の後退位置と比較して増加した長さ(すなわち、伸長された長さ)を有する。ピストンまたはピストンロッド配置(または同様のもの)を有する構成要素に言及する場合、伸長位置において、ロッドは、構成要素の後退位置と比較して、それぞれの構成要素からさらに伸長される。したがって、「半伸長」位置とは、伸長位置と後退位置との間の位置を指す。例えば、伸長位置が所定の伸長レベルを指す場合、半伸長位置は、所定の伸長レベルよりも低い伸長レベルを指す。例えば、ケーシング/チャンバーを持上げて解放するように構成されたアクチュエータの伸長について言及する場合、アクチュエータの伸長位置は、ケーシング/チャンバーの所定の上昇位置に対応し得、半伸長位置は、ケーシング/チャンバーの半上昇位置(例えば、リバウンド位置)に対応し得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、ケーシング/チャンバーに関する「リバウンド」位置は、緩衝手段との衝突後にケーシング/チャンバーが到達する位置を指すことが理解されるべきである。すなわち、リバウンド位置は、ケーシング/チャンバーが、上昇位置から解放/落下された後に、緩衝手段からリバウンドする位置に対応する。システム内のエネルギー損失/摩擦により、リバウンド位置は落下位置(つまり衝撃位置)と上昇位置との間になる。一般に、本明細書で使用されるようにリバウンド位置は、「跳ね返りの頂点」またはリバウンド中にチャンバーによって達成される最も高いの高さ(チャンバーが実質的に静止している位置)に対応するが、跳ね返りの頂点からのわずかな逸脱は、依然としてリバウンド位置と見なされ得ることが理解されるであろう。「リバウンド位置」は、「跳ね返り(バウンス)」位置または「リバウンド中に達成される半上昇位置」と呼ばれることもある。
【0051】
本明細書で使用される場合、「流体の量」は、容積および圧力に制限のない流体の量を指すことを理解されたい。例えば、チャンバー内に受容される「流体の量」は、特定のモル数の前記流体を有する流体であり得る。一般に、この量は、所与の圧力に対する体積に対応する。流体が受容されるチャンバー室内での流体の体積および圧力は、そのときのチャンバーの容積に依存することが理解されよう(容積は可変であり得る)。
【0052】
本明細書で使用される場合、「緩衝流体」は、バッファ(緩衝器)/ダンパーでの使用に適した流体を指すことを理解されたい。一般に、本明細書で使用されるように「緩衝流体」は、特にガス(気体)を指し、ガス状態は、その圧縮が緩衝/減衰を補助することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】杭打ち機アセンブリの一例の垂直断面斜視図である。
【
図2】
図1の杭打ち機アセンブリの詳細な垂直断面斜視図である。
【
図3】
図1の杭打ち機アセンブリの詳細な垂直断面斜視図である。
【
図4】
図1の杭打ち機アセンブリの詳細な垂直断面斜視図である。
【
図5】
図1の杭打ち機アセンブリの詳細な垂直断面斜視図である。
【
図6a】
図1から
図5の杭打ち機アセンブリ用の緩衝要素の一例の図である。
【
図6b】
図1から
図5の杭打ち機アセンブリ用の緩衝要素のさらなる例を示す図である。
【
図7】
図1から
図5の杭打ち機アセンブリ用のアクチュエータの一例の詳細な垂直断面図である。
【
図8】杭打ち機アセンブリの別の例の断面図である。
【
図9】杭打ち機アセンブリの別の例の断面図である。
【
図10】作業の段階中の
図8および
図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
【
図11】作業の段階中の
図8および
図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
【
図12】作業の段階中の
図8および
図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
【
図13】作業の段階中の
図8および
図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
【
図14】作業の段階中の
図8および
図9の杭打ち機アセンブリの側面図である。
【
図15】作業中の杭打ち機アセンブリの別の例の垂直断面斜視図である。
【
図16】作業中の杭打ち機アセンブリの別の例の垂直断面斜視図である。
【
図17】作業中の杭打ち機アセンブリの別の例の垂直断面斜視図である。
【
図18】図示された杭打ち機アセンブリで使用するための作動手段の一例を示す図である。
【
図19】作業段階における
図18の作動手段の構成を示す図である。
【
図20】作業段階における
図18の作動手段の構成を示す図である。
【
図21】作業段階における
図18の作動手段の構成を示す図である。
【
図22】作業段階における
図18の作動手段の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付図面を参照して例示的な実施形態について説明する。
【0055】
図1~
図5は、杭12を地中に打ち込むための杭打ち機アセンブリ10の一例を示している。杭打ち機アセンブリ10は、チャンバー32を画定するケーシング14を含む。すなわち、ケーシング14は、外壁30によって画定される内部容積(すなわち、チャンバー32)を含む。この例において、ケーシング14は実質的に円筒形である(すなわち、ケーシング14の外壁30は実質的に円筒形である)。ケーシングの円筒形状により、アセンブリの運搬が容易になる。さらに、円筒形状は、ケーシング内に蓄積された圧力の良好な負荷伝達を可能にする。衝撃時の内圧により、ケーシングの壁にフープ応力が発生する。しかしながら、他の例では、異なる形状のケーシングを使用することができる。
【0056】
チャンバー32は、流体、例えば水を収容するように構成される。換言すれば、チャンバーは、ある量の流体をその中に収容および維持するように構成された、概して密閉された空間を提供する。ケーシング14は、使用前または使用中にチャンバー室32が満たされることを可能にするため、その壁内に、流体源/貯蔵器に(例えば、パイプまたは導管を介して)結合された弁を含み得る。このようにして、アセンブリは、空のチャンバーの状態で作業現場に運搬され得る。そして、チャンバー32は、現場において所望のレベルまで満たされ得る(チャンバー32を持上げる前、持上げられたとき、および解放を待っているときのいずれか)。「所望のレベル」は、杭を地中に打ち込むための所定の衝撃エネルギーを生成するように事前に決定され得ることが理解されよう。チャンバー32を満たすために使用される水は、沖合の場所から汲み上げられた水、例えば海水であり得る。
【0057】
この例において、チャンバー32は、約1000~5000トンの水を保持することができる容積を有する。この容積のチャンバー32は、一般に、直径が約6から15メートルまでのモノパイル(単一杭)を地中に打ち込むのに適している。チャンバー32が水で満たされている場合、ケーシング14(その中の水を含む)の総質量は、杭打ち作業に使用される典型的な駆動ハンマの質量の少なくとも8倍(適切には約8~12倍)であってよい。例えば、大型の油圧衝撃ハンマの質量は、約200~270トンであり得るが、水をその中に含むケーシング14の総質量は、約2700トンであり得る。
【0058】
杭打ち機アセンブリ10は、ケーシング14を杭12にまたは杭12上に位置決めするように構成された位置決め要素をさらに含む。位置決め要素は、チャンバー32と杭12との間に位置決めされた部分を含む。この例において、この部分は、杭12の上面を覆うように構成されたプレート要素38である。プレート要素38は、杭12の断面形状に応じた任意の適切な形状であり得る。例えば、プレート要素38は、円形(円筒形の杭に対応する)であり得る。図示の例において、プレート要素38は、円筒形/管状の杭12に対応するように、環状の形状を有する。
【0059】
この例において、位置決め要素は、杭12の上部に解放可能に接続されたスリーブ要素20をさらに含む。換言すれば、スリーブ要素20は、杭12の上部を取り囲むように構成される。この例において、スリーブ要素20は、円筒形/管状の杭12に対応するように、円筒形/管状の形状を有する。
【0060】
この例において、プレート要素38は、スリーブ要素20の端部(具体的には軸方向の端部)に設けられている。プレート要素38は、スリーブ要素20の円筒壁の上に位置決めされてもよいし、その外縁またはそれに近接する位置で、スリーブ要素20の上面に取り付けられまたは結合されてもよい。このようにして、杭12上に位置決めされると、プレート要素38は、杭12の上面に位置するように構成され、スリーブ要素20はそこから下方に突出する。実施例において、スリーブ要素20およびプレート要素38は、単一の一体型構成要素として形成されてもよいし、あるいは、プレート要素38は、例えば、溶接または接着剤によってスリーブ要素20に結合されてもよい。
【0061】
この例において、位置決め要素は、ケーシング14の端部に少なくとも部分的に設けられている。すなわち、位置決め要素は、少なくとも部分的に、ケーシング14の端部に、特に、アセンブリが杭12上に位置決めされたときのケーシングの下端部に、隣接して配置され、または結合される。この例において、プレート要素38およびスリーブ要素20は両方ともケーシング14の下端部に位置決めされている。この近接した配置により、杭打ち作業中にアセンブリを微調整することが可能になる。
【0062】
この例において、ケーシング14は、その端部にスリーブ部分16を含む。スリーブ部分16は、位置決め要素のスリーブ要素20を少なくとも部分的に取り囲むように構成されて、位置決め要素とケーシング14との間の位置合せを提供する。換言すれば、ケーシング14のスリーブ部分16は、位置決め要素のスリーブ要素20の上を延び、少なくとも部分的に重なるように構成される。このようにして、杭打ち作業中(ケーシング14が位置決め要素に対して移動するとき)、スリーブ部分16は、ケーシングが杭と軸方向に整列したままであることを確実にする。これにより、杭打ち作業中も配置は安定したままになる。スリーブ部分16は、チャンバー32と杭12との間の軸方向の分離に関係なく、杭打ち作業の各段階で、スリーブ要素20と少なくともある程度の重なりを確保するように決定された長さを有し得る。
【0063】
杭打ち機アセンブリ10は、作動手段をさらに含む。この例において、作動手段は、少なくとも1つのアクチュエータ44、図示の例では複数のアクチュエータ44、例えば油圧または空気圧アクチュエータを含む。
【0064】
この例において、アクチュエータ44は、チャンバー32とプレート要素38との中間に(すなわち、その間に)配置されている。換言すれば、チャンバー32の下部とプレート要素38との間に空間(または分離領域)が設けられ、そこにアクチュエータ44が配置されている。
【0065】
使用中、杭打ち機アセンブリ10は、地中に打ち込まれる杭12上に配置される。杭12は、陸上にあってもよいし、沖合にあってもよい。一般に、杭12は、地面から実質的に垂直に延びているが、杭12は、垂直な配置から外れてもよい。
【0066】
杭打ち機アセンブリ10は、同軸配置で杭12上に位置決めされている。すなわち、杭12上に配置されたとき、ケーシング14は、杭12の長手方向軸に沿って杭12から延びるように構成される。例えば、垂直な杭の場合、チャンバーの軸(例えば、実質的に円筒形のチャンバーの長手方向軸)は、杭12の軸から垂直に延びることになる。
【0067】
いくつかの例において、チャンバー32は、そこを通って延びるチャネルを有してもよい。チャネルは、例えば、チャンバー32の実質的に垂直に延びる長手方向軸に沿って延びる軸方向チャネルであり得る。チャネルは、そこを介してツール(例えば、ドリル、またはウォータージェットなど)を配備するための経路を提供することができる。軸方向チャネルが中空杭の軸と実質的に同軸に位置決めされている場合、ツールは杭の真下の土壌にアクセスして作業し、土壌プラグの抵抗を減らすことができる。
【0068】
この例において、アクチュエータ44は、杭の壁に対応する位置でプレート要素38上に配置されている。換言すれば、アクチュエータ44は、杭の軸方向に延びる壁と整列している。例えば、図示の杭打ち機アセンブリにおいて、アクチュエータ44は、円筒形の杭12の円周に対応するように、環状プレート要素38の円周/外周に沿って配置されている。こうして、杭打ち作業中、ケーシング/チャンバーによって加えられる力が(アクチュエータを介して)杭に直接作用し、したがって、杭への応力を最小限に抑える。
【0069】
アクチュエータ44の仕様および持上げられる質量に応じて、任意の適切な数のアクチュエータ44を使用することができる。この例では、ケーシング14の均一な持上げを確実にするため、アクチュエータ44は、プレート要素38の全周(杭12の壁に対応する)にわたって配置されている。しかしながら、他の例では、外周に沿って等間隔で、より少ないアクチュエータ44を使用することができる。
【0070】
杭打ち機アセンブリ10の杭12上への配置に続いて、チャンバー32が杭12から離されるように、アクチュエータ44が作動される。換言すれば、作動手段の作動は、チャンバー32が杭12から離れるように、位置決め要素に対してチャンバー32を変位させる。チャンバー全体は、杭から上方に離れて上昇位置に移動する。
【0071】
アクチュエータ44の作動は、任意の適切な方法(使用されるアクチュエータ44のタイプに対応する)で提供されてよく、例えば、作動は、使用されるアクチュエータ44のタイプに応じて、油圧または空気圧によって提供され得る。チャンバー32は、それが杭から所定の距離(例えば、チャンバー32が杭を地中に打ち込むのに適した所定の位置/衝撃エネルギーを有する位置に対応する)に達するまで変位させられ得る。
【0072】
その後、アクチュエータ44は、チャンバー32が杭12に向かって変位するように、チャンバー32を解放するようにさらに作動させられる。すなわち、この例において、チャンバー32は、上昇位置から杭12に向かって下向きに落下するように解放される。チャンバーを解放する際、アクチュエータ44は、重力のみの結果として(つまり、追加の駆動力なしで)、チャンバーが杭12に向かって落下することを可能にする。
【0073】
チャンバー32は、アクチュエータ44を減圧することにより、例えば、各アクチュエータ44内の作動圧力(すなわち、油圧または空気圧)を少なくとも部分的に除去して、チャンバー32を支持できない状態にすることにより、解放され得る。したがって、チャンバー32の重量は、アクチュエータ44を強制的に後退させる。他の例において、位置決め要素または作動手段は、チャンバー32を所定の高さに実質的に固定するように構成されたロック手段を含んでもよい。適所に固定されると、作動手段は、チャンバーが「ロック解除」されて解放される前に、後退することができる。
【0074】
解放後、チャンバーは落下し、位置決め部材に力(具体的には下向きの力)を加える。この例では、力は、アクチュエータ44を介して位置決め部材に加えられる。いくつかの例では、アクチュエータ44の完全な後退に続いて、チャンバー32が(アクチュエータ44が存在していた空間を通って)落下して、アクチュエータ44に衝撃を与える。あるいは、チャンバー32は、アクチュエータが後退されると落下し、アクチュエータが完全に後退されると、アクチュエータ44に衝撃を与える。衝撃の力は、アクチュエータ44からプレート要素38に伝達され、プレート要素38を介して杭12に伝達される。
【0075】
上記の構成は、より小さなハンマが駆動されて杭12に衝撃を与えるのではなく、より大きな塊(この例では大きな水チャンバー)を杭12上に落下させるという点で有利である。このように、大きな塊からの力は、杭を地中に「押し込み」、ハンマのラムの衝撃を利用するアセンブリと比較して、水中騒音が少なくなり、杭にかかる応力が低くなる。従来のハンマ構成の場合、アクチュエータを使用し、アンビルを介してハンマを杭の中央に打ち込み、アンビルが力を杭に分散させる。より大きな杭の場合、加えられた力を分散させるためにより大きなアンビルが必要である。上記の構成では、アクチュエータおよび位置決め要素を介して杭に力が伝達され、アンビルが不要になるため、より大きな杭により適している。
【0076】
この例において、ケーシング14は、チャンバーの解放に続いてアクチュエータ44と衝突するように構成された衝撃面46を含む。この例において、衝撃面46は、アクチュエータ44の配置に対応する環状面である。したがって、ケーシング14によって加えられる力は、アクチュエータ44に集中し、アクチュエータ(およびその後の杭)への力のより効率的な伝達をもたらし、それにより、従来の衝撃ハンマで必要とされるような大規模なアンビルの必要性を低減する。
【0077】
この例において、アセンブリ10は、杭が地中に打ち込まれるときに、チャンバー32によって杭12に加えられる力を制御可能に緩衝するための緩衝手段をさらに含む。緩衝手段を設けることは、杭を地中に打ち込むときに、ケーシング/チャンバーが杭12に加える力を制御するのに役立つ。これにより、加えられた力をより長期間にわたって緩衝することにより、ピーク力を制御する(例えば、水中騒音を減らすために下げる)ことができる。任意の適切な緩衝手段を使用することができ、例えば、緩衝手段は、少なくとも1つの緩衝要素を含み得る。
【0078】
図6aに緩衝要素100の一例が示されている。緩衝要素100は、任意の適切な場所に配置され得る。例えば、緩衝要素100は、アクチュエータ44に隣接して(例えば、アクチュエータ44の半径方向内側または外側に)配置され、または間隔を置いたアクチュエータ44の間に配置され得る。チャンバー32が解放されると、アクチュエータ44は、チャンバー32がアクチュエータ44とは対照的に緩衝要素100に衝突するよう、緩衝要素100の上端を越えて後退され得る。アクチュエータ44について前述したのと同じ方法で、緩衝要素100は、力を効率的に伝達するために、杭の壁に対応する位置に配置することができる。
【0079】
緩衝要素100は、中央可動要素を、この例ではピストンおよびロッド構成102を含む。この例において、緩衝要素100は、約500mmから1200mmまでの直径のピストンおよび約200mmから700mmまでの直径のロッドを有しているが、必要な減衰特性に応じて任意の適切な寸法の緩衝要素を使用することができる。
【0080】
ピストンおよびロッド構成102は、伸長位置および後退位置を有し、緩衝要素100は、ピストンおよびロッド構成102が伸長位置から後退位置に移動するときに、チャンバー32によって位置決め部材に加えられる下向きの力を緩衝するように構成される。この例において、緩衝要素100は、緩衝流体(例えば、窒素などのガス)を収容するように構成された緩衝チャンバー104を含む。ピストンおよびロッド構成102が伸長位置から後退位置に移動すると、緩衝チャンバー104の容積が減少し、その中の流体が圧縮される。これは、ピストンおよびロッド構成102をその後退位置に向かって駆動しているピストン、ひいては、チャンバー32を減速させる(そして最終的には停止させる)ように作用する。換言すれば、緩衝要素100は、緩衝流体の圧縮によって、チャンバー32によって杭に加えられる力を制御可能に緩衝する。
【0081】
緩衝要素100の緩衝特性は、必要な減衰/緩衝のレベルに応じて、使用前に設定されてもよい(または衝撃の間で調整されてもよい)。例えば、緩衝チャンバー104内の流体の量は、杭への衝撃シグネチャ(特性)(すなわち、力-時間、dF/dt、応答)を最適化するように設定され得る。換言すれば、緩衝特性は、必要な駆動性能を提供しながら、結果として生じる騒音/杭の振動を低減するように最適化され得る。例えば、減衰後に加えられるピーク力は、振動と騒音を低減するために低減させる必要がある。但し、減衰後に加えられるピーク力は、静的な地盤抵抗(これは通常、数百/秒のメガニュートンの範囲にある)に打ち勝つのに十分である必要がある。
【0082】
各緩衝要素の緩衝特性の選択は、チャンバー32の衝撃エネルギーおよび/または使用される緩衝要素100の数、および/または地中に打ち込まれる杭12のサイズおよび/または杭12を地中に打ち込むのに必要なチャンバー32の好ましい「落下」の数および/または予想される静的な地盤抵抗に依存し得る。
【0083】
この例において、緩衝要素100は、緩衝流体を収容するように構成されたさらなる緩衝チャンバー106を含む。緩衝チャンバー104、106は、ピストンによって分離されている(そして互いに密閉されている)。各緩衝チャンバー104、106内の流体の量(したがって、それらの間の相対圧力)は、緩衝要素100の緩衝特性を制御するために制御され得る。換言すれば、各緩衝要素100は、平衡状態(すなわち、ピストンに作用する反対の力が相殺する結果としてピストンが静止している状態)を有する。各緩衝チャンバー104、106内の流体の量は、緩衝要素100に事前に張力がかけられて杭に対するチャンバー32の強い衝撃を防ぐように、設定され得る。
【0084】
緩衝要素100は、緩衝要素100の内部緩衝特性を調整するように構成された調整手段を含み得る。例えば、緩衝要素100は、流体の量、または緩衝チャンバー104、106のうちの少なくとも1つの内の流体の圧力を制御するように構成された1つまたは複数の弁を制御することができる。
【0085】
一例として、平衡状態では、緩衝要素100の緩衝チャンバー104、106は、約60バールから140バールまでの初期圧力を有し得る。緩衝チャンバー104内のピーク圧力は、チャンバーによって杭に加えられる力の緩衝中に、約100バールから約600バールまでのピーク圧力に達することができる。
【0086】
杭打ち作業の初期段階での緩衝要素100の平衡状態は、(その中に水がある場合またはない場合の)チャンバーの重量を含み得る。すなわち、各緩衝要素100の緩衝チャンバー104、106は、緩衝チャンバー104、106内の圧力(より具体的には、緩衝チャンバー104、106間の圧力差)が、結果として緩衝要素100から生じる上向きの力によってチャンバーが支持される(すなわち、チャンバー32は、緩衝要素100によってわずかに持上げられる)ようになるまで、加圧され得る。作動手段が作動することで、アクチュエータ44は、緩衝要素100からチャンバー32の重量を受ける。そうすることで、各緩衝要素のピストンは新しい平衡位置を見つけることになる。
【0087】
ピストンおよびロッド構成102に対するチャンバー32の衝撃は、緩衝チャンバー104内の流体の圧力(この例では、緩衝チャンバー104、106間の圧力差)がチャンバーの重量よりも大きい上向きの力を(すべての緩衝要素100にわたって)を生成するまで、(各緩衝要素100の)緩衝チャンバー104内の圧力を圧縮することができる。この状況において、チャンバーは、リバウンド位置に「跳ね返り」または「リバウンド」し得る。すなわち、緩衝要素100のピストンがその後退位置に達すると、ピストンはその伸長位置に向かって部分的に移動を開始し、チャンバーのリバウンド位置に対応する半伸長位置に到達する。次いで、さらなる緩衝チャンバー106内の緩衝流体は、圧縮されてピストンの上方への移動を減速させる。いくつかの例において、アクチュエータ44は、チャンバー32がその跳ね返りの最上部にあるとき(すなわち、リバウンド位置にあるとき)に、チャンバー32をさらに持上げるために(別のストロークを開始するために)作動させられ得る。そうすることで、チャンバーがリバウンド位置にある間に次の持上げ作業が開始されるため、チャンバーをその上昇位置に戻すために必要なエネルギー入力が低減される。換言すれば、ばね効果が各緩衝要素100の緩衝チャンバー104、106によって提供され、ケーシングが制御可能に解放されて杭を地中に打ち込むときに、緩衝手段の弾性により、下向きの力がより良く分配され得、また、水中騒音が大幅に低減され得る。
【0088】
図6bに緩衝要素1000のさらなる例が示されている。緩衝要素1000は、概して緩衝要素100に対応し、対応する特徴は、同じ方法でラベル付けされている(但し、接頭辞1-に対して接頭語10-を有する)。
【0089】
この例において、緩衝要素1000は、緩衝要素1000の中央可動要素1002と一体の減衰要素またはショックアブソーバ1008をさらに含む。特に、減衰要素1008は、中央可動要素1002のロッドと一体であり、その中で移動可能である。
【0090】
減衰要素1008の少なくとも一部は、中央可動要素1002のロッドの上部から上方に延びている。このようして、チャンバー32は、緩衝要素1000の中央可動要素1002ではなく、最初に減衰要素1008に衝撃を与える。したがって、減衰要素1008は、そうでなければ中央可動要素1002に直接加えられたであろう力の一部を減衰させる。そうすることで、中央可動要素1002はより緩やかに加速され、チャンバー32と中央可動要素1002との間の速度差は、それらの間の衝突の前に減少する。これは、チャンバー32と緩衝要素1000との間の衝撃を滑らかにするのに役立つ。さらに、流体チャンバー1004内の最大圧力が低下して、緩衝要素1000の設計圧力が低下する。任意の適切な減衰要素またはショックアブソーバを使用することができる。この例において、減衰要素1008は、油圧減衰要素であり、油圧流体の圧縮および制限された流れによって、加えられた力を減衰させる。
【0091】
ケーシング32が減衰要素1008に衝突すると、減衰要素1008が加速される。減衰要素1008内には圧力が蓄積される。最終的に、圧力の蓄積は、減衰要素1008が中央可動要素1002に力を加え、中央可動要素1002も加速する。
【0092】
いくつかの例では、減衰要素1008が緩衝要素1000に対して変位するにつれて、減衰要素1008内の圧力が非常に高くなる可能性がある。例えば、高い「緩衝剛性」を有する緩衝要素1000を使用する場合、中央可動要素1002に対する減衰要素1008の小さな変位は、圧力の大きな増加をもたらすことになる。そのような状況において減衰要素1008内の圧力を低減するのを助けるため、緩衝要素1000は、
図6bに示されるように、緩衝要素1000の中央可動要素1002と一体の容積等化要素1010をオプションとしてさらに含み得る。
【0093】
この例において、容積等化要素1010は、緩衝要素1000の中央可動要素1002内に取り付けられたピストン要素1030を含む。特に、ピストン要素1030は、中央可動要素1002のピストン内に取り付けられている。
【0094】
等化(イコライザー)チャンバー1032は、中央可動要素1002内に画定されている。ピストン要素1030は、中央可動要素1002に対して可動であり、それにより、中央可動要素1002に対するピストン要素1030の移動が、等化チャンバー1032内の容積を変化させる。等化チャンバー1032は、(例えば、弁要素によって)流体チャンバー1006に流体結合されており、その結果、等化チャンバー1032の容積が減少すると、その中の流体が流体チャンバー1006に押し込まれる(すなわち、流体は、ピストン要素1030によって等化チャンバー1032から流体チャンバー1006に送り込まれる)。
【0095】
中央可動要素1002の初期変位の間(下向き)、ピストン要素1030は、流体チャンバー1004内の圧力の増加により上向きに押される。これは、等化チャンバー1032の容積を減少させ、流体を流体チャンバー1006に送り込み、流体チャンバー内の圧力を増加させる。これは、緩衝要素1000の中央可動要素1002の変位に起因する流体チャンバー1004の容積減少を補償するように作用する。したがって、緩衝要素1000のチャンバー1004、1006内の圧力は実質的に等しいままであり、中央可動要素1002の上に力が蓄積されることはない。中央可動要素1002の特定のストロークの後、ピストン要素1030はその最大範囲まで上方に押され、流体チャンバー1004内の圧力が上昇し始める。
【0096】
このようにして、容積等化要素1010は、中央可動要素1002の初期変位中に、緩衝要素1000の「緩衝剛性」を低減するように作用する。これは、減衰中の減衰要素1008内の圧力の増加を緩和するのに役立つ。
【0097】
図1~
図5に示される例において、アクチュエータ44とは別個の緩衝要素100を含むのではなく、緩衝手段は、作動手段と一体であり得る。すなわち、各アクチュエータ44は、杭が地中に打ち込まれるときに、チャンバー32によって杭12に加えられる力を緩衝する機能をもする。したがって、
図1~
図5に示される例を参照する場合、「作動手段」および「緩衝手段」という用語は、概して互換的に使用され得る。
【0098】
図7は、この例のアクチュエータ44(緩衝機能を一体に有する)の断面を示す。アクチュエータ44は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素、すなわちピストン48を含む。アクチュエータ44は、流体、例えば、油などの適切な油圧流体を収容するように構成された流体チャンバー(または流体容積)58を含む。使用中、流体チャンバー58内の油の量の増加は、中央可動要素48を後退位置から伸長位置に向かって移動させる(すなわち、作動手段44を作動させる)。
【0099】
この例において、ピストン48は、細長く、アクチュエータハウジング54内に少なくとも部分的に収容されている。ピストン48は、アクチュエータハウジング54内で移動可能であるが、ピストン48のフランジ部分62とアクチュエータハウジング54のリップ部分50との間の係合によってアクチュエータハウジング54から分離することが防止されている。
【0100】
この例において、流体チャンバー58は、ピストン48内で軸方向に伸びる中空空間によって画定されている。流体チャンバー58は、流体チャンバー58を流体源/貯蔵器に流体結合する導管/チャネル59を受け入れるように構成されている。この例において、導管59は、アクチュエータ44の基部に近接する位置から上方に延びており、導管59は、流体チャンバー58の中空空間と実質的に同軸である。ピストン48が後退位置にあるとき、導管59は、流体チャンバー58を実質的に満たすように構成されている。
【0101】
導管59を介して流体チャンバー58に油が供給されると、流体チャンバー58内の圧力が増加する。これにより、ピストン48が導管59に対して移動する。具体的には、ピストン48は、導管59に沿って軸方向に摺動移動し、それにより、流体チャンバー58の容積を増加させる。
【0102】
この例において、アクチュエータ44は、流体チャンバー58への流入/流出を制御するように構成された弁70を含む。弁70は、導管59を介して流体チャンバー58に流体結合されている。
【0103】
この例において、アクチュエータ44は、流体、例えば、油などの油圧流体を収容するように構成された追加の流体チャンバー60をさらに含む。この例において、追加の流体チャンバー60は、ピストン48の外面とアクチュエータハウジング54の内面との間に画定されている。ピストン48とアクチュエータハウジング54の内面との間の空間は、流体チャンバー60に相当する。
【0104】
この例において、アクチュエータ44は、流体チャンバー60への流入/流出を制御するように構成された弁72を含む。
図7には示されていないが、いくつかの例において、追加の流体チャンバー60は、第1の流体チャンバー58に流体結合されている。すなわち、弁70および弁72は、導管またはパイプによって結合され得る。そのような例において、流体チャンバー60は、ピストン48が後退状態にあるとき(すなわち、作動前または作動の間に)、第1のチャンバー58からの流体を貯蔵するのに役立ち得る。換言すれば、弁70と弁72の両方が開いているとき(そして流体チャンバー58及び流体チャンバー60が弁70、72によって流体結合されているとき)、ピストンの伸長/後退によって油が流体チャンバー58と流体チャンバー60との間を通過することが可能になり得る。いくつかの例において、(ピストン48がその最も伸ばされた位置にあるときに達成される)流体チャンバー58の最大容積は、ピストン48がその最も後退された位置にあるときに達成される流体チャンバー60の最大容積に実質的に等しい。
【0105】
一般に(例えば、弁74が開いている状況において)、中央可動要素は、流体チャンバーの流体圧力に応じて、伸長位置と後退位置との間で移動させられる。すなわち、(例えば、チャンバー32がピストン48に衝突することにより)流体チャンバー58内の油の圧力が流体チャンバー60内の流体の圧力より高い場合、ピストン48は、(平衡に達するように)伸長位置から後退位置に移動する。ピストンの移動により、チャンバー58内の流体は、流体室60に押し出される。
【0106】
各流体室58、60内の油の量は、ケーシング32の質量と杭12に加えられると予想される力とに応じて、ピストン48の特定の平衡位置を提供するように決定され得る。例えば、平衡位置は、杭12に対するケーシング32の強い(したがって大きな)衝撃を防止するため、ピストン48が比較的伸長された位置に対応してもよい。
【0107】
アクチュエータ44は、ピストン48が伸長位置から後退位置に移動するときに、チャンバー32によって位置決め部材に加えられる下向きの力を緩衝するように構成されている。換言すれば、アクチュエータ44は、各アクチュエータ44のピストン48が伸長位置から後退位置に移動するときにチャンバーが減速されるように構成される。
【0108】
この例において、アクチュエータ44は、緩衝流体、例えば窒素などのガスを収容するように構成された緩衝チャンバー68を含む。この例において、緩衝チャンバー68は、導管59の外面とアクチュエータハウジング54の内面との間に画定されている。特に、アクチュエータハウジング54は、ピストン48のフランジ部分62によって、緩衝チャンバー68と流体チャンバー60とに分離されている。
【0109】
緩衝チャンバー68の容積は、ピストン48が伸長位置から後退位置に移動するにつれて減少する。特に、ピストン48が導管59上をアクチュエータ44の基部に向かって摺動移動するにつれて、緩衝チャンバー68の容積は減少する。
【0110】
アクチュエータ44の緩衝効果は、緩衝チャンバー68内の緩衝流体によって提供される。より具体的には、ピストン48が伸長位置から後退位置に移動すると、緩衝チャンバー68の容積が減少し、ピストン48は緩衝チャンバー68内のガスを圧縮する。緩衝チャンバー68内のガスの圧縮によって提供される抵抗は、ピストン48(同様に、流体チャンバー58から流体チャンバー60への油の通過)を減速させ(そして最終的には停止させる)ように作用する。したがって、ピストン48をその後退位置に向かって駆動しているチャンバー32も減速され、最終的には停止される。
【0111】
この例において、アクチュエータ44は、作動手段の内部緩衝特性を調整するように構成された調整手段を含む。特に、アクチュエータ44は、緩衝チャンバー内のガスの量を制御するように構成された弁74を含む(但し、
図7において、弁74は、緩衝チャンバー68に流体結合されているように示されていない)。そうすることで、所与の負荷に対する各アクチュエータ44の緩衝チャンバー68内の圧力を制御することができる。このようにして、ピストン/チャンバーの減速、および結果として、力-時間の応答も制御される。
【0112】
使用中、
図7に示されるようなアクチュエータ44を使用する場合、加圧された油(例えば、貯蔵器から圧送された油)が、各アクチュエータ44内の弁70に供給されるようにする。同様に、加圧された窒素が、各アクチュエータ44の弁74に供給されるようにする。そして、弁70が開かれて流体が流体チャンバー58に提供され、それによってピストン48が作動してケーシング14を持上げる。典型的な油圧範囲は、約200から420バールであり得る。
【0113】
前述のように、アクチュエータ44の作動は、チャンバー32/ケーシング14を上昇位置に持上げるように作用する。このとき弁72を開き、チャンバー60内の一定量の油を圧縮することなく、ピストン48をその伸長位置まで移動させることができるようにしてもよい。こうして、ピストンがその伸長位置まで移動すると、第2のチャンバー60内の油は、ピストンのフランジ部分62によって押し出される(換言すれば、フランジ部分62は、アクチュエータ44のリップ部分50に向かって進む)。
【0114】
また、このとき、弁74を開いてもよい。これにより、まず、ピストン48は、チャンバー68内で一定量のガス(これは減圧により吸引力をもたらす場合がある)の膨張によって制限されることなく、その伸長位置まで移動することができる。また、所定量の緩衝液を緩衝チャンバー68に提供することを可能にする。ガスは、緩衝チャンバー68の容積の増加の結果として押し出されてもよいし、あるいは、吸い込まれてもよい。緩衝チャンバー68内の典型的なピーク圧力は、約200から800バールであり得る。
【0115】
アクチュエータ44が意図された伸長位置に達すると、次に各アクチュエータの弁70、72、74が閉じられる。流体チャンバー58内で比較的非圧縮性の油圧液体を使用する場合、このように弁を閉じることは、ピストンを適所にロックするように作用する。
【0116】
次に各アクチュエータ44の弁70、72が開かれ、その結果、流体が各アクチュエータ44の第1のチャンバー58から第2のチャンバー室60に流れるようにしてもよい。これにより、ケーシング14の重量およびその中の液体よってピストン48が下向きに移動することが促され得る。ピストン48が下向きに押されると、ピストン48は、第2の弁72を介して第1のチャンバー58から第2のチャンバー60に油を移動させる。同時に、ピストン48(またはより具体的にはそのフランジ部分62)は、チャンバー68内のガスを圧縮する。その結果、緩衝チャンバー68内のガス圧が上昇し、ピストン48の下向きの移動が減速され、最終的には停止し、それによってケーシング14の下向きの移動も停止される。
【0117】
ピストン48を押し下げるよう作用する力は、圧縮ガスを介して杭12に伝達される。ガスの圧縮は、力-時間の応答を変化させるように作用し、ピーク力が減少するように、杭12に力を加える時間を延長させる。
【0118】
図6aの緩衝要素100について上で説明したのと同様の方法で、ガスの圧縮中、緩衝チャンバー68内の圧力は、緩衝チャンバー内の加圧ガスが各ピストン48にケーシング14の重量を超える上向きの力を加えるまで上昇し得る。そのため、ピストン48およびチャンバー室32は、上向きに付勢されることになる。すなわち、ピストン48は、チャンバー32のリバウンド位置に対応する半伸長位置まで移動することになる。この跳ね返り/リバウンドにより、油が各アクチュエータ44の第2のチャンバー60から押し出され、その第1のチャンバー58に還流させることができる。
【0119】
いくつかの例において、このリバウンド中に、ロック手段として動作する各アクチュエータ44の第2の弁72は、好ましくは、開位置から逆止弁位置に切り替えられる。これにより、ケーシングが上方へ移動する間、各アクチュエータ44の第2のチャンバー60から第1のチャンバー58に戻る油の流れは許容されるが、反対方向への油の流れは阻止される。その結果、ケーシング14が再び下向きに加速し始めると、各アクチュエータ内の第1のチャンバー58において油圧が上昇する。これは、ケーシング14がそれ以上移動するのを抑制する。そして、杭打ち機アセンブリ10は、次のストロークに備えることができる。換言すれば、アクチュエータ44は、(半)伸長位置に、すなわち、リバウンド位置または「跳ね返り」の最上部にロックされ得る。そうすることで、次にチャンバー32を半伸長位置からその上昇位置に戻すために必要なエネルギー入力が低減される。
【0120】
そして、杭12があらかじめ設定された位置に、地中に打ち込まれるまで、アクチュエータ44は、繰り返し作動され得る。
【0121】
図8~
図14は、杭打ち機アセンブリ110の別の例を示している。この例は、前の例の特徴に概して対応する特徴を含み、そのような特徴には同じ方法でラベルが付けられている。簡潔にするために、前の例の特徴と同様の特徴については、再度説明しない。
【0122】
前の例と同様に、杭打ち機アセンブリ110は、杭12が地中に打ち込まれるとき、チャンバー室32によって杭12に加えられる力を制御可能に緩衝するための緩衝手段を含む。この例において、緩衝手段は、
図6aに示されるタイプの複数の緩衝要素100を含む(但し、
図6bに示されるタイプの緩衝要素1000、および、それらの組み合せ/変形が代わりに使用されてもよい)。この例において、緩衝手段は、作動手段とは別体である(すなわち、一体ではない)。換言すれば、杭打ち機アセンブリ110は、緩衝要素100とは別のアクチュエータ144を含む。しかしながら、この例の変形例において、杭打ち機アセンブリ110は、
図7に示されるような緩衝機能をも提供するアクチュエータ44を含み得る。前の例で説明したように、アクチュエータ144は、チャンバー32が緩衝要素100からのリバウンドに続くその跳ね返りの最上部にあるとき(すなわち、リバウンド位置にあるとき)に、チャンバー32をさらに持上げる(別のストロークを開始する)ように作動され得る。
【0123】
図8及び
図9に最も良く示されるように、緩衝要素100およびアクチュエータ144は、チャンバーと位置決め要素との中間(すなわち、それらの間)に配置されている。この例において、緩衝要素100は、杭の壁に対応する位置でプレート要素38上に配置されている。アクチュエータ144は、緩衝要素100の半径方向内側に配置されている。
【0124】
この例において、チャンバーは、チャンバーを部分的に通って軸方向に延びるチャネル200を含む。この例において、チャネル200は、チャンバー32の下部を通って延びている。すなわち、ケーシング14は、その外面、特に下面に凹んだチャネル200を含む。換言すれば、チャネルは、ケーシングの下面または基部から上方に(チャンバー32の内部に向かって)延び、チャンバー32の少なくとも一部を通って延びている。
【0125】
この例において、位置決め要素は、ガイド要素220を含む。この例において、ガイド要素220は、円筒状または柱状の構造体である。
【0126】
この例において、ガイド要素220は、プレート要素38を貫通して延びている。すなわち、ガイド要素220は、プレート要素38の第1の側からプレート要素38の第2の側まで延びている。他の例において、ガイド要素220は、プレート要素38の表面からのみ延びていてもよい。例えば、ガイド要素220は、プレート要素38の上面から延びていてもよい。
【0127】
ガイド要素220は、プレート要素38と一体的に形成されてもよいし、例えば溶接によってプレート要素38に固定されてもよい。
【0128】
ガイド要素220は、チャンバー32のチャネル200を通って少なくとも部分的に延びるように構成される。言い換えれば、ガイド要素220は、チャネル200と嵌合または結合するように構成され/チャネル200は、ガイド要素220を受容するように構成されている。
【0129】
図10~
図14は、杭打ち作業を行う杭打ち機アセンブリ110を示している。
図10は、初期の静止位置にある杭打ち機アセンブリ110を示す。アクチュエータ144は後退されており、緩衝要素100は、その緩衝チャンバー内にガスを含まない。
図11は、待機位置にある杭打ち機アセンブリ110を示す。すなわち、緩衝要素100の緩衝チャンバーは、チャンバーが静止位置からわずかに持上げられるように、少なくとも部分的にガスで満たされている。この段階で、システムは持上げる準備が完了している。
図12~
図14は、持上げ(リフト)動作中の杭打ち機アセンブリを示す。特に、
図12~
図14は、アクチュエータ144が次第に伸長された位置にあり、チャンバーを上昇位置まで持上げる杭打ち機アセンブリを示している。
【0130】
持上げ動作/解放動作の間、チャンバー32は、位置決め要素に対して移動する。そのため、ガイド要素220は、チャネル200に対して移動する。すなわち、この例において、チャンバー32が杭に向かって移動すると、ガイド要素220は、チャネル200を通ってさらに延びるように構成されている。同様に、ガイド要素220は、チャンバー32が杭から離れるにつれてチャネル200から部分的に後退するように構成されている。
【0131】
この例において、ガイド要素220は、すべての持上げ/解放動作中に、ガイド要素220の一部がチャネル200内に留まるように構成されている(すなわち、ガイド要素220は、部分的に後退すること以上のことはしないように構成されている)。具体的には、ガイド要素220は、プレート要素38からのチャンバー32の最大変位よりも長くなるようなサイズに設定されている。
【0132】
このように、相互作用するガイド要素220およびチャネル200を設けることは、ケーシング14/チャンバー32と位置決め要素(ひいては、杭12)との間の整列を維持するのを助けるのに有利である。特に、ガイド要素は、杭に対して固定された位置および向きを有する。ケーシング/チャンバーの持上げおよび解放の間、チャネルがガイド要素と係合するようにアセンブリを構成することにより、ケーシング/チャンバーは杭と整列したままであり、したがって、杭により一貫して集中した力を提供することができる。
【0133】
この例においては、スリーブアセンブリ(すなわち、位置決め要素のスリーブ要素およびスリーブ要素を取り囲むケーシングのスリーブ部分)の代わりにガイド要素220/チャネル200の相互作用を使用することで一貫した位置合せを提供する。しかしながら、いくつかの例において、アセンブリは、ガイド要素/チャネルおよびスリーブアセンブリの両方を含み得る。
【0134】
ガイド要素220は、チャンバー32を完全に貫通して延びて、チャンバー32にさらなる誘導および支持を提供することができる。さらに、チャネル200/ガイド要素220は、任意の適切な形状であり得る。例えば、チャネル200およびガイド要素220の両方は、正方形、長方形、またはI字形の断面を有し得る。タイトフィット、ひいてはより高い安定性を提供するため、いくつかの例において、ガイド要素の断面は、チャネルの断面に実質的に対応している。
【0135】
図15~
図17は、杭打ち機アセンブリ210の別の例を示している。この例は、前の例の特徴に概して対応する特徴を含み、そのような特徴は同じ方法でラベル付けされている。簡潔にするために、前の例の特徴と同様の特徴については、再度説明しない。
【0136】
前の例と同様に、チャンバー32は、チャンバー32を通って軸方向に延びるチャネル200を含む。しかしながら、この例において、チャネル200は、チャンバー32の全長にわたって延びている。換言すれば、チャネル200は、チャンバー32の下面と上面との間を延びている。
【0137】
前の例と同様に、位置決め要素は、チャンバーのチャネルを通って少なくとも部分的に延びるように構成されたガイド要素220を含む。しかしながら、この例において、ガイド要素220は、チャネル200の全体を通って延びている。すなわち、ガイド要素は、プレート要素38から延び、チャンバー32の第1の側でチャネルに入り、チャネル200を通過して、チャンバー32の反対側に現れる。
【0138】
この例において、ガイド要素220は、チャネル200を通る通路が提供されるように管状である。したがって、前述したのと同じ方法で、ガイド要素/チャネルは、それを介してツール(例えば、ドリル、またはウォータージェットなど)を配備するための経路を提供する。
【0139】
この例において、アクチュエータ144は、緩衝要素100から遠位にあるチャンバー32の端部に配置されている。換言すれば、緩衝要素100は、チャンバー(具体的にはその下端)と位置決め要素のプレート要素38との中間に配置され、アクチュエータ144は、チャンバー32の上端に近接して配置されている。
【0140】
アクチュエータ144は、ガイド要素220の端部に結合されている。具体的には、ガイド要素220は、プレート要素38に結合されるかまたはプレート要素38と一体的に形成された下端と、チャンバー32の上方でチャネル200から延びるように構成された上端とを有する。アクチュエータ144は、ガイド要素の上端部に結合されている。
【0141】
アクチュエータ144は、任意の適切な方法でガイド要素220に結合され得る。例えば、ガイド要素220の上端は、半径方向外向きに伸びるフランジを含み得る。アクチュエータ144は、ガイド要素220のフランジに結合され得る。他の例において、アクチュエータ144は、ガイド要素220の上端に取り付けられたカラー部材または接続部材によってガイド要素220に結合され得る。
【0142】
アクチュエータ144は、ガイド要素220をチャンバー32に結合する。すなわち、アクチュエータ144は、ガイド要素220およびチャンバー32の両方に結合されている。言い換えれば、この例において、ガイド要素220は、静止した持上げ点として機能する。この例において、アクチュエータ144はそれぞれ、チャンバー32を解放可能にクランプするように構成されたクランプ96を含む。
【0143】
図15は、初期位置にある杭打ち機アセンブリ220を示す。この例において、緩衝要素100は、チャンバー32の重量を支持するために加圧される。アクチュエータ144は伸長位置にあり、クランプ96を介してケーシング32の上面に結合されている。他の例において、緩衝要素100は、チャンバーの重量がアクチュエータ144によって受け止められた後にのみ加圧され得る。
【0144】
次に、チャンバー32を杭から離すようにアクチュエータ144を作動させる。前述したようなピストン/ピストンロッドタイプのアクチュエータ144を「反転配置」で使用してもよいことが理解されるであろう。この反転配置では、作動手段の作動により、そのピストンが伸長位置から後退位置に移動する。アクチュエータが後退すると、チャンバー32は、ガイド要素220の上端に向かって上方に引っ張られる。アクチュエータは、チャンバーが杭/位置決め要素の上方の所定の高さに達するまで後退される。
【0145】
次に、作動手段をさらに作動させ、チャンバーが杭に向かって変位するようにチャンバーを解放する。この例において、クランプを解放することによってアクチュエータをさらに作動させ、チャンバーを効果的に落下させている。しかしながら、他の例においては、最初にアクチュエータを作動させる(すなわち、室を上方に駆動する)ために使用される加圧流体を除去することによってアクチュエータをさらに作動させることができる。
【0146】
次に、アクチュエータを反対方向に作動させ、アクチュエータの中央可動要素を伸長させて、
図15の初期位置に戻し、杭打ち作業を繰り返すことができる。
【0147】
図18は、本明細書で前述したタイプの杭打ち機アセンブリで使用するための作動手段2000を示す。この例において、作動手段2000は、別個の緩衝手段(例えば、
図6aおよび
図6bに示されているもの)を有する杭打ち機アセンブリの一部として使用されている。上記の例と同様に、作動手段2000の作動により、チャンバー32が杭から離れて上昇位置に移動し、チャンバー32を上昇位置から解放して、杭に向かって変位させるように、位置決め要素に対してチャンバーを変位させるように構成される。
【0148】
この例において、作動手段2000は、伸長位置および後退位置を有する中央可動要素248を有する少なくとも1つのアクチュエータ244を含む。作動手段2000の作動により、中央可動要素248が後退位置から伸長位置に移動する。この例において、中央可動要素248は、ピストンおよびロッド構成のものである。
【0149】
アクチュエータ244は、流体を収容するように構成された流体チャンバー室290を含む。流体チャンバー290内の流体の量の増加は、中央可動要素248を後退位置から伸長位置に向かって移動させる。
【0150】
この例において、流体チャンバー290は、圧力ライン300を介して、加圧流体(図示せず)の、例えば油の貯蔵器に流体結合されている。圧力ライン300は、貯蔵器から流体チャンバー290への加圧流体の流れを制御するように構成された制御弁298を含む。制御弁298は、開放構成および閉鎖構成を有する(それぞれ、2981および2982として概略的に示されている)。
【0151】
この例において、流体チャンバー290は、戻りライン302を介してアキュムレータ296に流体結合されている。使用中、流体チャンバー290を出た流体は、加圧流体を貯蔵するアキュムレータ296に導かれる。任意の適切なアキュムレータ296を使用して、流体チャンバー290からの流体を圧力下で貯蔵することができる。例えば、アキュムレータ296は、圧縮ガスアキュムレータであり得る。それにより、流体チャンバー290からの加圧流体は、窒素などのガス(または任意の適切な圧縮性流体)を圧縮するために使用される。
【0152】
この例において、アクチュエータ244は、追加の流体チャンバー292をさらに含み、中央可動要素248は、流体チャンバー室290、292の流体圧力に応じて伸長位置と後退位置との間で移動させられる。この例において、追加の流体チャンバー292もまた、アキュムレータ296に流体結合されており、追加の流体チャンバー292を出た流体がその中に貯蔵されることを可能にする。他の例では、各流体チャンバー290、292に別々アキュムレータが使用されてもよいし、追加の流体チャンバーが別の流体貯蔵器に接続されてもよい。
【0153】
前述の例と同様に、作動手段2000を使用する杭打ち機アセンブリは、チャンバー32の跳ね返り/リバウンドに対応し及び利用して、必要とされる持上げエネルギーを低減するように構成されている。すなわち、緩衝手段は、各緩衝要素内の緩衝流体の圧力が、その緩衝要素によって支持されるケーシングの重量を超える上向きの力をもたらすと、チャンバー32をリバウンド位置までリバウンドさせるように構成されている。そして、作動手段2000は、そのさらなる作動によって、(さらなる持上げ作業の前にチャンバーが上昇位置から落下するのを待つのではなく)、チャンバー32をリバウンド位置から上昇位置に移動させるように構成されている。そうすることで、チャンバーは、より短い距離(つまり、リバウンド位置から)だけ持上げられることになるため、後続の各持上げ(例えば、第2の持上げ、第3の持上げ又はそれ以上の持上げ)に対してチャンバーをその上昇位置に持上げるために必要なエネルギー入力が低減される。
【0154】
この例において、作動手段2000は、チャンバーをリバウンド位置に維持するように構成されたロック手段を含む。この例において、ロック手段は、開放構成およびロック構成(それぞれ2941および2942として概略的に示されている)を有する戻り弁294を含む。
【0155】
この例において、戻り弁294は、流体チャンバー290とアキュムレータ296との間の流体接続部(すなわち、戻りライン302上)に配置されている。開放構成2941において、戻り弁294は、流体が流体チャンバー290とアキュムレータ296との間を流れることを可能にする。
【0156】
ロック構成2942において、戻り弁294は、アクチュエータ244の流体チャンバー290内の流体の量が増加することを可能にするが、減少させないように構成されている。すなわち、戻り弁294のロック構成2942は、流体がアキュムレータ296から流体チャンバー290に流れることができるが、流体チャンバー290からアキュムレータ296への流れが遮断またはロックされるという点で、逆止弁構成に相当する。
【0157】
この例において、戻り弁294は、チャンバー32のリバウンド位置に対応する半伸長位置に中央可動要素248を実質的にロックすることによって、チャンバー32をリバウンド位置に維持するように構成されている。すなわち、チャンバー32がリバウンド位置までリバウンドすると、中央可動要素248は、チャンバー32の移動に追随し、または追随させられる。中央可動要素248が半伸長位置に達すると、中央可動要素は、戻り弁294によってロックされ、チャンバー32をリバウンド位置に維持し、下向きの移動を阻止する。
【0158】
この例において、アキュムレータ296は、チャンバー32のリバウンド中にアクチュエータ244の流体チャンバー290に流体を供給し、中央可動要素248を後退位置から少なくとも部分的に半伸長位置に向かって駆動するように構成されている。すなわち、流体チャンバー290内の圧力がチャンバー32の上向き(リバウンド)動作によって低下すると、アキュムレータ296に貯蔵された加圧流体が、アクチュエータ244を半伸長位置に向かって駆動することができる。
【0159】
いくつかの例では、アクチュエータ244とケーシング14との間の接触喪失を防止するため、および/またはアクチュエータ244が半伸長位置に到達することを確実にするため、中央可動要素248は、チャンバーに結合されてチャンバーと共に移動可能であり得る。これにより、チャンバー32がリバウンド位置までリバウンドすると、中央可動要素248が後退位置から半伸長位置へと移動する。すなわち、中央可動要素248は、チャンバー32がリバウンドするときに半伸長位置へと引き上げられる。
【0160】
図19~
図22は、チャンバー32の持上げ/落下/リバウンドプロセスの各段階における
図18の作動手段の構成を示している。特に、
図19~
図22は、弁294、298の構成を示す。なお、中央可動要素248は、各段階にわたって一定の位置で概略的に示されていることに留意されたい(実際には、中央可動要素248は、弁294、298の構成に従って段階間で移動する)。
【0161】
図19は、初期の「持上げ準備完了」構成の作動手段を示しており、アクチュエータ244は、持上げ動作を実行するための準備として、ケーシング14/チャンバー32の質量を支持する。この構成において、制御弁298は閉鎖構成298
2にあり、戻り弁はロック構成294
2にある。したがって、流体チャンバー290内の流体の容積は固定されている。チャンバー32の質量は、持上げる前に支持されており、流体チャンバー290内の圧力は、ケーシング14/チャンバー32の質量に対応している。いくつかの例においては、動作の間(すなわち、作動手段が「持上げる準備完了」構成になる前)、チャンバー32は、作動手段ではなく、緩衝手段によって支持され得る。
【0162】
図20は、「持上げ」段階(すなわち、チャンバー32が杭から離れてその上昇位置に向かって持上げられる段階)の間の作動手段2000の構成を示す。この位置では、制御弁298は、その開放位置298
1に動かされていて、貯蔵器からの加圧流体(この例では約350バール)で流体チャンバー290を加圧している。戻り弁は、流体チャンバー290が確実に加圧されるように、ロック構成294
2のままである。
【0163】
図21は、「落下」段階における作動手段2000の構成(すなわち、チャンバー32を解放して杭に向かって落下させることを可能にする構成)を示す。この位置では、制御弁298は、閉鎖位置298
2に戻されているが、戻り弁294は、その開放構成294
1に動かされている。これにより、流体は、チャンバー32の重量で流体チャンバー290からアキュムレータ296に通過することができる。
【0164】
前述のように、チャンバー32が落下すると、それは緩衝要素に衝撃を与え、緩衝要素は、チャンバーによって杭に加えられる力を制御可能に緩衝する。緩衝要素がチャンバー32をリバウンドさせると、作動手段は「リバウンド」構成に切り替わる。
図22は、「リバウンド」構成の作動手段を示しており、戻り弁294は、ロック構成294
2に切り替えられている。
【0165】
アキュムレータ296からの加圧流体は、チャンバー32がリバウンドするとき、および/または中央可動要素248がその半伸長位置に向かって引っ張られるときに、中央可動要素248を少なくとも部分的にその半伸長位置に向かって駆動する(アキュムレータ296から加圧流体をアクチュエータ244に引き出す)。チャンバー32がその上死点位置に達すると、戻り弁294が流体チャンバー290からアキュムレータ296への流体の通過を停止させるので、チャンバー32が落下することが阻止される。したがって、チャンバー32は、リバウンド位置に維持される。
【0166】
制御弁298を開放することにより、リバウンド位置からさらなる持上げ動作を実行することができる。すなわち、落下/リバウンド/持上げサイクルは、チャンバー32をその最下部位置からその上昇位置まで「完全持上げる」動作を行うことなく、繰り返され得る。
【0167】
この例において、杭打ち機アセンブリは、上記のステップを通じて作動手段の作動を制御するように構成された制御システム1200をさらに含む。この例において、制御システムは、少なくとも1つのコントローラ1202を含み、少なくとも1つのコントローラ1202は、作動手段を作動させるように構成されており、作動手段を作動させて、チャンバーが杭から離れて上昇位置に移動するように、位置決め要素に対してチャンバーを変位させること、チャンバーを上昇位置から解放して、チャンバーを杭に向かって変位させること、および、チャンバーがリバウンド位置から上昇位置に移動するように、位置決め要素に対してチャンバーを変位させることを行う。
【0168】
この例において、制御システム1200は、チャンバー32の動作および/または位置を監視するように構成されている。特に、制御システム1200は、チャンバー32の動作および/または位置を監視するように構成された監視システム1204を含む。
【0169】
この例において、監視システム1204は、チャンバー32の位置および/または位置決め要素に対するチャンバー32の変位を判定するための少なくともセンサ(図示せず)を含む。
【0170】
当業者であれば、いくつかの例において、制御システム1200内のセンサは、チャンバーの機械的位置の測定を容易にする位置センサであり得ることを理解するであろう。位置センサは、絶対位置センサでもよいし、相対位置センサでもよい。すなわち、位置センサは、チャンバー32が特定の位置、例えば、下死点位置または上死点位置にいつ到達したかを判定することができる。
【0171】
いくつかの例において、センサは、落下するチャンバー32の速度を導出することによって、チャンバー32の変位を判定することができる。したがって、チャンバー32の加速度は、チャンバー32がいつリバウンドし始めるか(すなわち、チャンバー32の速度が下向きから上向きに方向を変えるとき)を判定することができる。
【0172】
この例において、制御システム1200は、監視システムから受信したデータ(例えば、チャンバーの位置)に基づいて、作動手段2000の作動(特に、戻り弁294の作動)を制御するように構成されている。例えば、コントローラ1202は、チャンバー32がリバウンド位置に向かってリバウンドするときに、戻り弁294を開放構成とロック構成との間で切り替えるように構成されている。
【0173】
前述の例のいずれにおいても、位置決め要素は、杭上で静止したままである(つまり、位置決め要素は静的な持上げ点として機能し、作業中に位置決め要素と杭との間に動きはない)。杭は、杭の内部からの水または空気の制限された流出を可能にするように、(例えば、フローアレスタ(流出防止装置)を用いて)閉鎖されてもよい。制限された流出は、非常に軟弱な地盤を通過するときに杭が自由に落下するのを防ぐブレーキとして機能し得る(そうすることで、杭が落下するときのクレーンへの衝撃負荷が低減され得る)。このようなフローアレスタは、ハンマの内部に配置することも、杭の中に別途配置することもできる。これは、大きな質量をハンマとして使用することで実現される低い加速度レベルと、位置決め要素の静止位置とによって可能である。
【0174】
上記の実施形態のいずれかに関連して記載された特徴は、異なる実施形態との間で交換適用が可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、
図6aおよび
図6bに示されるタイプの緩衝要素(またはそれらの組合せ)は、上記の任意の互換性のあるシステムで使用することができる。さらなる例として、
図18~
図22に示されるような作動システムは、上記の任意の互換性のあるシステムの一部として使用されてもよい。上記の実施形態は、本発明の様々な特徴を説明するための例である。
【0175】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」および「含む(contain)」という用語およびそれらの変形は、「含むがこれらに限定されない」を意味し、また、他の部分、添加物、構成要素、整数、またはステップを除外することを意図していない(また除外しない)。本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、文脈上別段の必要がない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上別段の必要がない限り、本明細書は単数性だけでなく複数性も考慮していると理解されるべきである。
【0176】
本発明の特定の態様、実施形態、または例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学部分、または基は、それと非互換でない限り、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書に開示されているすべての特徴(付随する任意の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)、および/またはそのように開示されている任意の方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。本発明は、前述のどの実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(付随する任意の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規のもの、または任意の新規の組合せ、あるいはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップの任意の新規のもの、または任意の新規の組合せに及ぶ。