(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】磁気コンポーネント及びその磁気ボディ
(51)【国際特許分類】
H01F 30/10 20060101AFI20240826BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240826BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20240826BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20240826BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240826BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H01F30/10 A
H01F30/10 S
H01F17/04 F
H01F27/24 L
H01F27/24 P
H01F27/255
H01F27/28 176
H01F37/00 A
H01F37/00 S
(21)【出願番号】P 2022001496
(22)【出願日】2022-01-07
【審査請求日】2022-01-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-03
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501231543
【氏名又は名称】乾坤科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】林 文玉
(72)【発明者】
【氏名】呂 墨揚
(72)【発明者】
【氏名】馮 凱毅
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】須原 宏光
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-9764(JP,A)
【文献】特開2018-98300(JP,A)
【文献】特開2002-203726(JP,A)
【文献】特開2014-67907(JP,A)
【文献】特開2009-88250(JP,A)
【文献】特開平11-102819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-21/12
H01F 27/00-27/42
H01F 30/00-38/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気コンポーネントであって、
磁気ボディであり、内部脚と、少なくとも1つの外部脚と、第1下部部分と、第2下部部分とを有し、前記内部脚及び前記少なくとも1つの外部脚は、前記第1下部部分及び前記第2下部部分から突出し、前記内部脚の断面積は前記少なくとも1つの外部脚の総断面積よりも大きい、磁気ボディと、
前記内部脚に巻かれたコイルと
を備え、
前記内部脚の断面積は、前記磁気ボディの有効断面積より大きく、
前記少なくとも1つの外部脚の数はNに等しく、Nは正の整数であり、
前記第1下部部分の断面積は前記第2下部部分の断面積より小さく、
その際、前記有効断面積は、Aeff=(A1*V1+A2_1*V2_1+A2_2*V2_2+A3_1*V3_1+…+A3_N*V3_N)/((V1*N+V2_1+V2_2+V3_1+…+V3_N)/N)によって得られ、
ここで、Aeffは、前記有効断面積を表し、A1は、前記内部脚の断面積を表し、A2_1は、前記第1下部部分の断面積を表し、A2_2は、前記第2下部部分の断面積を表し、A3_Nは、前記少なくとも1つの外部脚のうちのN番目の外部脚の断面積を表し、V1は、前記内部脚の体積を表し、V2_1は、前記第1下部部分の体積を表し、V2_2は、前記第2下部部分の体積を表し、V3_Nは、少なくとも1つの外部脚のうちのN番目の外部脚の体積を表
す、
磁気コンポーネント。
【請求項2】
前記内部脚の断面積は前記第1下部部分及び前記第2下部部分の総断面積よりも大きい、磁気ボディと、
請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項3】
前記第1下部部分は、熱放散のための放熱モジュールと接触する放熱表面を備える、
請求項2記載の磁気コンポーネント。
【請求項4】
前記磁気ボディの高さは、22mmと152mmとの間にある、
請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項5】
前記内部脚の断面積と前記少なくとも1つの外部脚の総断面積間の比は、1.01と1.6との間である。
請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項6】
前記内部脚の周りに巻かれた前記コイルによって生成された磁気フラックスは、前記内部脚、前記第1下部部分、前記少なくとも1つの外部脚及び前記第2下部部分を順に通過する、
請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項7】
前記磁気ボディは、複数の前記外部脚を備え、
前記内部脚は、前記外部脚の間に配置されており、
前記内部脚の断面積は、前記外部脚の総断面積より大きい、
請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項8】
前記内部脚の幅に対する長さの比は、1と10との間であり、
前記少なくとも1つの外部脚の幅対長さ比は、1と10との間である、
請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項9】
前記内部脚は、異なる断面の方向に応じて異なる断面積を有し、
前記外部脚は、異なる断面の方向に応じて異なる総断面積を有し、
前記内部脚の
異なる断面積のうち、前記内部脚の高さ方向に沿った断面積が最小であり、
前記
外部脚の
異なる総断面積のうち、前記外部脚の高さ方向に沿った総断面積が最小であ
り、
前記内部脚及び前記外部脚が前記第1下部部分及び前記第2下部部分から突出する延在方向が前記内部脚及び前記外部脚の高さ方向である、
請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項10】
前記内部脚の断面積は、前記内部脚の高さ方向に沿って同一であり、
前記少なくとも1つの外部脚の総断面積は、前記少なくとも1つの外部脚の高さ方向に沿って同一である、
請求項1記載の磁気コンポーネント。
【請求項11】
前記少なくとも1つの外部脚の周りにはコイルが巻かれていない、
請求項1記載の磁気コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1. 技術分野
本発明は、磁気コンポーネント及びその磁気ボディに関し、より詳細には、磁界分布を均一化し、熱バランスを改善することができる磁気コンポーネント及びその磁気ボディに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
磁気コンポーネントは、エネルギーを蓄え、エネルギーを変換し、電気を絶縁するために使用される重要な電気コンポーネントである。ほとんどの回路では、常に磁気コンポーネントが取り付けられている。一般に、磁気コンポーネントは、主にリアクタ、トランス及びインダクタから成る。通常、磁気コンポーネントは磁気ボディと、磁気ボディに配置されている少なくとも一つのコイルとを含む。磁気コンポーネントを搭載した電子デバイスが動作しているときには、磁気コンポーネントによって発生した熱が蓄積されて電子デバイスの温度が上昇し、電子デバイスの動作効率が低下したり、磁気体がひび割れたりすることがある。したがって、磁気コンポーネントの熱バランスを改善するための熱蓄積を回避する方法は、重要な設計課題となっている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、上記の問題を解決するために、磁界分布を均一化し、熱バランスを改善することができる磁気コンポーネント及びその磁気ボディを提供する。
【0004】
本発明の一実施形態によれば、磁気コンポーネントは、磁気ボディ及びコイルを備える。磁気ボディは、内部脚と、少なくとも1つの外部脚と、第1の底部と、第2の底部とを備える。内部脚及び少なくとも1つの外部脚は、第1下部分及び第2下部部分から突出する。内部脚の断面積(cross-sectional area)は少なくとも1つの外部脚の総断面積よりも大きい。コイルは内部脚に巻かれている。
【0005】
本発明の他の実施形態によれば、磁気ボディは、内部脚と、少なくとも1つの外部脚と、下部部分と、を備える。内部脚の断面積は少なくとも1つの外部脚の総断面積よりも大きい。内部脚及び少なくとも1つの外部脚は下部部分から突出している。
【0006】
上述したように、本発明は、磁気コンポーネントの特性を改善するために、磁気ボディの内部脚及び少なくとも1つの外部脚の断面積を調整し、最適化する。具体的には、内部脚の断面積は少なくとも1つの外部脚の総断面積よりも大きい。磁気ボディの構造が上記の幾何学的基準に適合する場合、磁気ボディは、磁界分布を均一化し、そして、熱蓄積を回避して、磁気コンポーネントの熱バランスを改善することができる。
【0007】
本発明のこれら及び他の目的は、種々の図面及び図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る磁気コンポーネントを示す断面図である。
【0009】
【0010】
【0011】
【
図4】
図1に示す磁気コンポーネントを示す側面図である。
【0012】
【0013】
【
図6A】
図5に示す内脚の体積の範囲を示す斜視図である。
【0014】
【
図6B】は、
図5に示す第1下部部分と第2下部部分の体積の範囲を示す斜視図である。
【0015】
【
図6C】は、
図5に示す2つの外部脚の体積の範囲を示す斜視図である。
【0016】
【
図7】本発明の別の実施形態に係る磁気ボディを示す斜視図である。
【0017】
【
図8】本発明の別の実施形態に係る磁気ボディを示す斜視図である。
【0018】
図1~
図6Cを参照すると、
図1は、本発明の一実施形態による磁気コンポーネント1を示す断面図であり、
図2は、
図1に示すコア10aを示す斜視図であり、
図3は、
図2に示すコア10aを示す上面図であり、
図4は、
図1に示す磁気コンポーネント1を示す側面図であり、
図5は、
図2に示すコア10aを示す正面図であり、
図6Aは、
図5に示す内部脚100の体積V1の範囲を示す斜視図であり、
図6Bは、
図5に示す、第1下部部分104及び第2下部部分106の体積V2_1、V2_2の範囲を示す斜視図であり、
図6Cは、
図5に示す2つの外部脚102の体積V3_1、V3_2の範囲を示す斜視図である。
【0019】
本発明の磁気コンポーネント1は、リアクタ、トランス、インダクタ、又は他の磁気コンポーネントであることができる。
図1に示すように、磁気コンポーネント1は、磁気ボディ10とコイル12とを備える。磁気ボディ10は、内部脚100と、少なくとも1つの外部脚102と、第1下部部分104と、第2下部部分106とを備える。好ましくは、第1下部部分104及び第2下部部分106はプレート構造であることができ、磁気ボディ10は対称構造であることができる。磁気ボディ10は、一体的に形成されてもよく、複数のコアから構成されることができる。この実施形態では、磁気ボディ10は、2つのEコア10a、10bから構成されることができるが、本発明は、それに限定されない。磁気ボディ10のコアの数及びタイプは、実際の用途にしたがって決定されることができる。例えば、磁気ボディ10のコアは、Eコア、EFDコア、EPCコア、PQコア、ECコア、低プロファイルコア、POTコア、ETDコア、EPコア、RMコア、ソリッドセンターポストRMコア等とすることができる。この実施形態では、コア10a、10bは、同一の構造を有し、
図2及び
図3は、説明のためのコア10aのみを示す。しかし、別の実施形態では、コア10a、10bは、異なる構造を有することができる。
【0020】
この実施形態では、磁気ボディ10は、複数の外部脚102を備えることができるが、本発明は、それに限定されない。
図1に示すように、磁気ボディ10は、2つの外部脚102を備え、内部脚100は、2つの外部脚102の間に配置され、内部脚100及び2つの外部脚102は、第1下部部分104及び第2下部部分106から突出する。この実施形態では、コア10aは、内脚部100の一部、2つの外脚部102の一部、及び第1下部部分104を含み、コア10bは、内脚部100の一部、2つの外脚部102の一部、及び第2下部部分106を含む。しかし、他の実施形態では、コア10a、10bは、実際の用途に応じて、1つの単一の外脚部102を有することができる。
【0021】
この実施形態では、コイル12は、内部脚100の周囲に巻かれ、外部脚102の周囲にコイルは巻かれていない。内部脚100の周りに巻かれたコイル12によって生成された磁気フラックスMFは、内部脚100、第1下部部分104、外部102脚及び第2下部部分を順に通過する。さらに、コア10a、10bの内部脚100又は/又は外部脚102との間には、実際の用途に応じてギャップが存在することができる。
【0022】
この実施形態では、内部脚100の断面積は外部脚102の総断面積よりも大きい。
図3に示すように、内部脚100の断面積はA1であり、2つの外部脚102の断面積はA3_1、A3_2である。したがって、内部脚100及び2つの外部脚102の断面積は、以下の不等式に適合する:
A1>A3_1+A3_2
上記の不等式(A1>A3_1+A3_2)は、2つの外部脚102を有する磁気ボディ10に適合することに留意されたい。磁気ボディ10の構造が上記の幾何学的基準に適合する場合、磁気ボディ10は、磁界分布を均一化し、次いで、熱蓄積を回避して、磁気コンポーネント1の熱バランスを改善することができる。
【0023】
少なくとも1つの外部脚102の数は、N(Nは正の整数)に等しくてもよく、内部脚100の断面積及びN個の外部脚102の断面積は、A3_1、…、A3_Nとして定義されてもよいことに留意されたい。したがって、N個の外部脚102は、A1>A3_1+...+A3_Nの不等式に適合する。別の実施形態では、少なくとも1つの外脚部102の数が1に等しい場合、内脚部100及び外脚部102の断面積は、以下の不等式に適合する:
A1>A3_1
別の実施形態では、少なくとも1つの外脚部102の数が4に等しい場合、内脚部100及び4つの外脚部102の断面積は、以下の不等式に適合する:
A1>A3_1+A3_2+A3_3+A3_4
【0024】
この実施形態では、内部脚100の断面積は、2つの外部脚102の総断面積より大きい。好ましくは、
図3に示す観察角度から、内部脚100の長さ対幅比L1/W1は1~10であり、外部脚102の長さ対幅比L2/W2は1~10である。別の実施形態では、内部脚100の長さ対幅比L1/W1は、1から8の間であってもよく、外部脚102の長さ対幅比L2/W2は、1から8の間であってもよい。この実施形態では、磁気ボディ10の高さは、22mmと152mmとの間(すなわち、2つのコア10a、10bのそれぞれの高さは、11mm~76mm)であってもよい。したがって、本発明の効果は、より顕著であり得る。
【0025】
別の実施形態では、内部脚100の断面積は、磁気ボディ10の有効断面積よりさらに大きい場合がある。少なくとも1つの外部脚102の数がNに等しい場合(Nは正の整数である)、磁気ボディ10の有効断面積は、
Aeff=(A1*V1+A2_1*V2_1+A2_2*V2_2+A3_1*V3_1+…+A3_N*V3_N)/((V1*N+V2_1+V2_2+V3_1+…+V3_N)/N)
によって得られ、Aeffは有効断面積を表し、A1は内脚100の断面積を表し(
図3に示す)、A2_1は第1下部部分104の断面積を表し(
図4に示す)、A2_2は第2下部部分106の断面積を表し(
図4に示す)、A3_NはN個の外脚部102のうちN番目の外部脚の断面積を表し(
図3に示す)、V1は(以下に示すように)内脚部100の体積を表し(
図5及び6Aに示す)、V2_1は第1下部部分104の体積を表し(
図5及び6Bに示す)、V2_2は第2下部部分106の体積を表し(
図5及び6Bに示す)、V3_NはN個の外部脚102のうちN番目の外部脚の体積を表す(
図5及び6Cに示す)。この実施形態では、少なくとも1つの外部脚102の数は2(すなわち、N=2)に等しいので、
Aeff=(A1*V1+A2_1*V2_1+A2_2*V2_2+A3_1*V3_1+A3_2*V3_2)/((V1*2+V2_1+V2_2+V3_1+V3_2)/2)
である。別の実施形態では、少なくとも1つの外部脚102の数が1に等しい場合(すなわち、N=1)、
Aeff=(A1*V1+A2_1*V2_1+A2_2*V2_2+A3_1*V3_1)/((V1*1+V2_1+V2_2+V3_1)/1)
である。別の実施形態では、少なくとも1つの外部脚102の数が4に等しい場合(すなわち、N=4)、
Aeff=(A1*V1+A2_1*V2_1+A2_2*V2_2+A3_1*V3_1+A3_2*V3_2+A3_3*V3_3+A3_4*V3_4)/((V1*4+V2_1+V2_2+V3_1+V3_2+V3_3+V3_4)/4)
である。
【0026】
この実施形態では、例えば、A1が530mm2、A2_1が262mm2、A2_2が220mm2、A3_1が260mm2、A3_2が220mm2、V1が14861mm3、V2_1が6064mm3、V2_2が5091.9mm3、V3_1が4974mm3、V3_2が4208.8mm3、Aeffが511.56mm2であるとする。磁気ボディ10の構造がさらに前述の幾何学的基準に適合する場合、磁気ボディ10はまた、磁界分布を均一化し、そして熱蓄積を回避して、磁気コンポーネント1の熱バランスを改善することができる。上記不等式において、A2_1がA2_2に等しい、及び/又はA3_1がA3_2である場合、熱応力はさらに小さくなる。
【0027】
別の実施形態では、内部脚100の断面積は第1下部部分104及び第2下部部分106の総断面積よりもさらに大きくてもよい。
図3に示すように、内部脚100の断面積は、A1として定義される。
図4に示すように、第1下部部分104の断面積はA2_1であり、第2下部部分106の断面積はA2_2である。したがって、内部脚100、第1下部部分部分104、及び第2下部部分部分106の断面積は、以下の不等式に適合する:
A1>A2_1+A2_2
なお、内脚100の断面積は、第1下部部分104及び第2下部部分106の総断面積に等しくてもよいが(すなわち、A1=A2_1+A2_2)、A1>A2_1+A2_2を用いることが好ましい。さらに、第1下部部分104及び第2下部部分106が同一の断面積を有する場合、内部脚100の断面積は、第1下部部分104又は第2下部部分106の断面積の2倍(すなわち、A1>2×A2_1又はA1>2×A2_2)よりも大きくなる。磁気ボディ10の構造が上記の幾何学的基準に適合する場合、磁気ボディ10は、磁界分布を均一化し、次いで、熱蓄積を回避して、磁気コンポーネント1の熱バランスを改善することができる。
【0028】
以下の表1及び表2を参照すると、表1及び表2は、本発明の元の構造と改良された構造との間のいくつかの効果の比較を示す。表2において、ΔBは、差分磁気分布を表し、ΔTは、差分温度を表し、ΔBは、内脚100の磁界密度B1と外脚102の磁界密度B3との差である。表1及び表2に示されるように、本発明は、磁界分布を均一化し、そして、熱蓄積を回避し、磁気コンポーネント1の熱バランスを改善することができることは明らかである。
【表1】
【表2】
【0029】
表2において、ΔBは、内脚100の磁界密度B1と外脚102の磁界密度B3との差である。ΔB (すなわち|ΔB|)の絶対値が減少するか、B1がB3より小さくなると、温度差ΔTと熱応力は対応して減少する。
【0030】
別の実施形態では、第1下部部分104又は第2下部部分106は、放熱のための放熱モジュール(図示せず)と接触するために放熱表面(heat dissipating surface)を含むことができる。第1下部部分104放熱表面が放熱のための放熱モジュールと接触している場合、第1下部部分104の断面積は、第2下部部分106の断面積よりも小さくてもよい。あるいは、第2下部部分106の放熱表面が放熱のための放熱モジュール(図示せず)と接触している場合、第2下部部分106の断面積は、第1下部部分104の断面積よりも小さくてもよい。
【0031】
図7及び
図8を参照すると、
図7は、本発明の別の実施形態による磁気ボディ10’を示す斜視図であり、
図8は、本発明の別の実施形態による磁気ボディ10”を示す斜視図である。
【0032】
図7に示すように、磁気ボディ10’は、1つの外脚102を備える。
図8に示すように、磁気ボディ10”は、4つの外部脚102を備える。磁気ボディ10、10’、10”に対応する熱応力は、それぞれ50%、30%、55%だけ低減することができる。
図8に示す磁気ボディ10”については、内部脚100の断面積は、4つの外部脚102の総断面積よりも大きいことに留意されたい。さらに、内部脚100の断面積と外部脚102の総断面積との比は、1.01~1.6の間であり、これにより、熱応力がさらに低減される。
【0033】
一実施形態では、内部脚100の断面積は、内部脚100の高さ方向(すなわち、
図1に示すHの方向)に沿って最小値とすることができ、2つの外部脚102の総断面積は、2つの外部脚102の高さ方向(すなわち、
図1に示すHの方向)に沿って最小値とすることができる。
【0034】
別の実施形態では、内部脚100の断面積は、内部脚100の高さ方向(すなわち、
図1に示されるHの方向)に沿って同一とすることができ、2つの外部脚102の総断面積は、2つの外部脚102の高さ方向(すなわち、
図1に示されるHの方向)に沿って同一とすることができ、その結果、製造コストを低減することができる。
【0035】
上述したように、本発明は、磁気ボディの内部脚及び少なくとも1つの外部脚の断面積を調整し、最適化して、磁気コンポーネントの特性を改善することができる。具体的には、内部脚の断面積は前少なくとも1つの外部脚の総断面積よりも大きい。磁気ボディの構造が上記の幾何学的基準に適合する場合、磁気ボディは、磁界分布を均一化し、次いで、熱蓄積を回避して、磁気コンポーネントの熱バランスを改善することができる。
【0036】
当業者は、本発明の教示を保持しつつ、装置及び方法の多くの変更及び置換を行うことができることを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。