(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】クレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 15/00 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
B66C15/00 A
(21)【出願番号】P 2022168391
(22)【出願日】2022-10-20
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(73)【特許権者】
【識別番号】515272660
【氏名又は名称】東京重機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】三好 圭
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 卓
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼悦男
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-159800(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回可能な旋回体と、
前記旋回体に設けられた起伏可能且つ伸縮可能な伸縮ブームと、
前記伸縮ブームに支持されるワイヤロープを巻き上げ及び巻き下げるウインチと、
前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチのそれぞれを操作するための複数の操作具と、
前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータの制御信号を生成する制御装置と、を有するクレーンであって、
前記制御装置は、
操縦者が前記クレーンを用いて吊り荷を第1位置から吊り上げる際の技量に関連する技量関連情報である吊り上げ技量関連情報、前記第1位置の上方に位置する前記吊り荷を前記操縦者が前記クレーンを用いて第2位置の上方に向かって移動させる際の技量に関連する技量関連情報である移動技量関連情報または前記第2位置の上方に位置する前記吊り荷を前記操縦者が前記クレーンを用いて前記第2位置に吊り下ろす際の技量に関連する技量関連情報である吊り下し技量関連情報のうち少なくとも一つに基づいて、前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータの動作を制限する、
クレーン。
【請求項2】
請求項1に記載のクレーンにおいて、
前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータは、油圧アクチュエータによって構成され、
前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプを有し、
前記制御装置は、
前記技量関連情報に基づいて前記油圧ポンプの最大回転数及び前記油圧ポンプを操作する操作具の単位操作量あたりの前記油圧ポンプの回転数変化量の少なくとも一方を制限する、
クレーン。
【請求項3】
請求項1に記載のクレーンにおいて、
前記制御装置は、
前記技量関連情報に基づいて前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるアクチュエータのうち少なくとも一つの最大動作速度及び前記アクチュエータを操作する操作具の単位操作量あたりの前記アクチュエータの動作速度変化量の少なくとも一方を制限する、
クレーン。
【請求項4】
請求項1に記載のクレーンにおいて、
前記制御装置は、
前記操縦者の技量に基づいて前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータの単位時間あたり速度変化量を制限する、
クレーン。
【請求項5】
請求項1に記載のクレーンにおいて、
前記制御装置は、
前記吊り荷を前記第1位置から前記第2位置まで搬送するまでの作業における前記操縦者による前記操作具の操作に関連する情報である操作関連情報、前記クレーンの姿勢に関連する情報である姿勢関連情報及び前記クレーンが搬送する吊り荷に関連する情報である吊り荷関連情報を記憶する記憶部と、
前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報に基づいて、前記吊り上げ技量関連情報、前記移動技量関連情報及び前記吊り下し技量関連情報のうち少なくとも一つを生成する技量関連情報生成モデルと、を有し
前記技量関連情報生成モデルを利用して、前記記憶部に記憶された前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報に基づいて前記吊り上げ技量関連情報、前記移動技量関連情報及び前記吊り下し技量関連情報のうち少なくとも一つを生成する、
クレーン。
【請求項6】
請求項5に記載のクレーンにおいて、
前記操作関連情報は、
前記操縦者が前記クレーンを操縦している際の前記操縦者の視点に関連する情報を含む、
クレーン。
【請求項7】
請求項5に記載のクレーンにおいて、
前記技量関連情報生成モデルは、
前記クレーンの操縦者のうち前記クレーンの操縦技量が閾値よりも高い熟練者相当操縦者の前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報を教師情報として機械学習された機械学習モデルである、
クレーン。
【請求項8】
請求項5に記載のクレーンにおいて、
前記技量関連情報生成モデルは、
通信回線を用いて前記制御装置と接続可能なサーバ内に位置し、
前記制御装置は、
前記サーバ内の技量関連情報生成モデルを利用して、前記記憶部が記憶した前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報に基づいて、前記操縦者の前記技量関連情報を生成する、
クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦者の技量関連情報に基づいてアクチュエータの動作を制限するクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動式クレーンを用いて吊り荷を搬送する場合、前記移動式クレーンの操縦者は、前記移動式クレーンのブームを操作するための旋回用操作具、起伏用操作具、伸縮用操作具、前記吊り荷を吊り上げまたは吊り下すためのウインチ用操作具等の複数の操作具を操作する。また、前記操縦者は、前記複数の操作具を同時に操作しつつ、作業現場の構造物等に前記吊り荷が接触しないように前記移動式クレーンを操縦しなくてはならない。更に、前記操縦者は、前記ブームの姿勢変化、速度変化等によって揺れる前記吊り荷の位置を調整する必要がある。このため、前記操縦者の前記移動式クレーンを操縦する技量が前記移動式クレーンによる前記吊り荷の搬送時間、搬送作業の内容を含む吊り荷の取り扱いに大きく影響する。例えば、前記移動式クレーンによる前記吊り荷の搬送作業に必要な技量が前記操縦者の技量を上回る場合、前記操縦者は、前記吊り荷を適切な時間内で所定の位置に搬送できない可能性が高くなる。そこで、操縦者の技量を推定し、操縦者の技量に適合した操作支援が可能な操作支援装置が知られている。例えば、特許文献1の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のオペレータの操作支援装置は、前記オペレータの熟練度と作業難易度とを表す技量(操作技術レベル)を推定する操作技術レベル推定手段を有している。前記操作技術レベル推定手段は、前記クレーンによる搬送操作における前記吊り荷の揺れが所定値以下に減衰するまでの時間である停止時間、及び吊り荷の振れ角に基づいて算出した操作指示値と前記オペレータが実際に操作した操作レバーの操作量との差に基づいて前記オペレータの技量を推定する。前記オペレータの操作支援装置は、推定された操作技術レベルに基づいて操作レバーの適切な操作量を前記オペレータに指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記操作支援装置は、前記オペレータの操作技術レベルに基づいた操作レバーの適切な操作量を前記オペレータに指示する。しかし、前記オペレータは、指示された操作タイミング、操作量等で操作レバーを操作しなければ前記クレーンを適切に操縦できないという心理的、肉体的負担を感じる可能性がある。また、前記クレーンによる前記吊り荷の搬送作業は、地面に置かれている前記吊り荷を吊り上げる地切り工程、吊り上げた状態の前記吊り荷を搬送する搬送工程及び吊り上げている前記吊り荷を所定の位置に下ろす接地工程を含む。したがって、前記吊り荷の揺れを抑制する操作技術のみに基づいた前記オペレータの技量の操作技術レベルの推定では、適切に前記オペレータの操作技術レベルが推定されない場合があった。
【0006】
本発明の目的は、適切に評価された操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができるクレーンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、適切に評価された操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができるクレーンについて検討した。本発明者らは、鋭意検討の結果、以下のような構成に想到した。
【0008】
本発明に係るクレーンは、旋回可能な旋回体と、前記旋回体に設けられた起伏可能且つ伸縮可能な伸縮ブームと、前記伸縮ブームに支持されるワイヤロープを巻き上げ及び巻き下げるウインチと、前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチのそれぞれを操作するための複数の操作具と、前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータの制御信号を生成する制御装置と、を有するクレーンである。
【0009】
前記制御装置は、操縦者が前記クレーンを用いて吊り荷を第1位置から吊り上げる際の技量に関連する情報である吊り上げ技量関連情報、前記第1位置の上方に位置する前記吊り荷を前記操縦者が前記クレーンを用いて第2位置の上方に向かって移動させる際の技量に関連する情報である移動技量関連情報及び前記第2位置の上方に位置する前記吊り荷を前記操縦者が前記クレーンを用いて前記第2位置に吊り下ろす際の技量に関連する情報である吊り下し技量関連情報のうち少なくとも一つに基づいて、前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータの動作を制限する。
【0010】
上述のクレーンの制御装置は、前記操縦者の技量に関連する情報である吊り上げ技量関連情報、移動技量関連情報及び吊り下し技量関連情報の少なくとも一つに基づいて前記クレーンの各アクチュエータの動作である各アクチュエータの動作位置、動作速度、動作加速度及び出力等の各アクチュエータの能力、性能を制限する。前記制御装置は、前記操縦者の技量が熟練者に相当する上級レベルであると評価した場合、前記旋回台、前記伸縮ブーム、前記ウインチ等の前記各アクチュエータの動作を制限することなく前記各アクチュエータの制御信号を生成する。つまり、前記クレーンは、上級レベルの操縦者によって操縦されている場合、前記各アクチュエータの動作を制限することなく前記操作具の操作に応じて操縦可能に構成されている。一方、前記制御装置は、例えば、前記操縦者の技量が初級レベルであると評価した場合、前記各アクチュエータの最大速度、最大トルク、前記操作具の単位操作量に対する変化量等を制限した前記各アクチュエータの制御信号を生成する。つまり、前記クレーンは、前記初級レベルの操縦者によって操縦されている場合、前記各アクチュエータの最大速度、最大トルク、前記操作具の単位操作量に対する変化量等が初級レベルの値に制限された状態で操縦可能に構成されている。すなわち、前記クレーンは、前記操縦者が自己の技量、心理状態において余裕をもって操作可能な範囲内で前記各アクチュエータが作動するように前記アクチュエータの動作を調整する。これにより、適切に評価された前記操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0011】
他の観点によれば、本発明のクレーンは、以下の構成を含むことが好ましい。前記クレーンの前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータは、油圧アクチュエータによって構成される。前記クレーンは、前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプを有する。前記制御装置は、前記技量関連情報に基づいて前記油圧ポンプの最大回転数及び前記油圧ポンプを操作する操作具の単位操作量あたりの前記油圧ポンプの回転数変化量の少なくとも一方を制限する。
【0012】
上述の構成では、前記クレーンの制御装置は、前記吊り上げ技量関連情報、前記移動技量関連情報及び前記吊り下し技量関連情報に基づいて前記操縦者の技量が初級レベルであると評価した場合、油圧ポンプの最大回転数及び前記油圧ポンプを操作する操作具の単位操作量あたりの回転数変化量の少なくとも一方を初級者相当の値に変更する。つまり、前記クレーンは、前記操縦者の技量に応じて前記油圧ポンプの最大回転数及び前記油圧ポンプを操作するアクセルペダルの単位操作量あたりの前記油圧ポンプの回転数変化量の少なくとも一方が制限される。前記クレーンは、例えば、前記初級レベルの操縦者によって、前記アクセルペダルが大きく踏み込まれても制限された最大回転数及び回転数変化量以上で前記油圧ポンプが作動しないように構成されている。すなわち、前記クレーンは、前記操縦者が自己の技量、心理状態において余裕をもって操作可能な範囲内で前記各アクチュエータが作動するように前記油圧ポンプの動作を調整する。このように、適切に評価された前記操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0013】
他の観点によれば、本発明のクレーンは、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御装置は、前記技量関連情報に基づいて前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるアクチュエータのうち少なくとも一つの最大動作速度及び前記アクチュエータを操作する操作具の単位操作量あたりの前記アクチュエータの動作速度変化量の少なくとも一方を制限する。
【0014】
上述の構成では、前記クレーンの制御装置は、前記吊り上げ技量関連情報、前記移動技量関連情報及び前記吊り下し技量関連情報に基づいて前記操縦者の技量が初級レベルであると評価した場合、前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータの最大動作速度及び前記アクチュエータを操作する操作具の単位操作量あたりの前記アクチュエータの速度変化量の少なくとも一方を初級レベルの値に変更する。つまり、前記クレーンは、前記操縦者の技量に応じて前記アクチュエータの最大動作速度及び前記アクチュエータを操作する操作具の単位操作量あたりの前記アクチュエータの速度変化量の少なくとも一方を制限する。前記クレーンは、例えば、前記初級レベルの操縦者によって、前記操作具が大きく操作されても制限された最大回転数及び回転数変化量以上で前記アクチュエータが作動しないように構成されている。すなわち、前記クレーンは、前記操縦者が自己の技量、心理状態において余裕をもって操作可能な範囲内で前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチが作動するように前記油圧ポンプの動作を調整する。このように、適切に評価された前記操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0015】
他の観点によれば、本発明のクレーンは、以下の構成を含むことが好ましい。前記制御装置は、前記操縦者の技量に基づいて前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータの単位時間あたり速度変化量を制限する。
【0016】
上述の構成では、前記クレーンの制御装置は、前記吊り上げ技量関連情報、前記移動技量関連情報及び前記吊り下し技量関連情報に基づいて前記操縦者の技量が初級レベルであると判断した場合、前記旋回体、前記伸縮ブーム及び前記ウインチを作動させるそれぞれのアクチュエータの単位時間あたり速度変化量を初級レベルの値に変更する。つまり、前記クレーンは、前記操縦者の技量に応じて前記アクチュエータの単位時間あたりの速度変化量が制限される。前記クレーンは、前記初級者相当の操縦者によって、前記操作具が急に操作されても初級レベルの速度変化量以上では前記アクチュエータの可動部が加速しないように構成されている。このように、適切に評価された前記操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0017】
他の観点によれば、本発明のクレーンは、以下の構成を含むことが好ましい。前記クレーンの制御装置は、前記吊り荷を前記第1位置から前記第2位置まで搬送するまでの作業における前記操縦者による前記操作具の操作に関連する情報である前記操作関連情報、前記クレーンの姿勢に関連する情報である姿勢関連情報及び前記クレーンが搬送する吊り荷に関連する情報である吊り荷関連情報を記憶する記憶部と、前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報のうち少なくとも一つに基づいて、前記吊り上げ技量関連情報、前記移動技量関連情報及び前記吊り下し技量関連情報のうち少なくとも一つを生成する技量関連情報生成モデルと、を有する。前記制御装置は、前記技量関連情報生成モデルを利用して、前記記憶部に記憶された前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報に基づいて前記吊り上げ技量関連情報、前記移動技量関連情報及び前記吊り下し技量関連情報のうち少なくとも一つを生成する。
【0018】
上述の構成では、前記クレーンの制御装置は、前記技量関連情報生成モデルを利用して、前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報に基づいて、前記吊り上げ技量関連情報、前記移動技量関連情報及び前記吊り下し技量関連情報を生成する。更に、前記制御装置は、前記技量関連情報に基づいて前記操縦者の技量を評価する。前記制御装置は、前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報のうち少なくとも一つを生成することで、吊り荷の取り扱いにおいて異なる技量が要求される吊り荷の地切り工程、吊り荷の搬送工程及び吊り荷の接地工程の各工程における前記操縦者の技量を適切に評価することができる。このように、適切に評価された前記操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0019】
他の観点によれば、本発明のクレーンは、以下の構成を含むことが好ましい。前記操作関連情報は、前記操縦者が前記クレーンを操縦している際の前記操縦者の視点に関連する情報を含む。
【0020】
上述の構成では、前記クレーンの制御装置は、更に、前記操作関連情報に含まれる前記操縦者の視点に関連する情報を用いて、前記操縦者の技量を評価している。前記操縦者の視点に関連する情報には、操縦者の思考、感情、心理状態が間接的に表れることが知られている。つまり、前記制御装置は、操縦者の思考、感情、心理状態を考慮して操縦者の技量を適切に評価する。このように、適切に評価された前記操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0021】
他の観点によれば、本発明のクレーンは、以下の構成を含むことが好ましい。前記技量関連情報生成モデルは、前記クレーンの操縦者のうち前記クレーンの操縦技量が閾値よりも高い熟練者相当操縦者の前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報を教師情報として機械学習された機械学習モデルである。
【0022】
上述の構成では、前記クレーンの制御装置は、上級レベルの操縦者の操作関連情報、姿勢関連情報及び吊り荷関連情報を教師情報として機械学習した前記技量関連情報生成モデルを利用することで、前記操縦者の技量を、上級レベルの操縦者の技量を指標とした熟練度の度合いとして評価することができる。このように、適切に評価された前記操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0023】
他の観点によれば、本発明のクレーンは、以下の構成を含むことが好ましい。前記技量関連情報生成モデルは、通信回線を用いて前記制御装置と接続可能なサーバ内に位置する。前記制御装置は、前記サーバ内の技量関連情報生成モデルを利用して、前記記憶部が記憶した前記操作関連情報、前記姿勢関連情報及び前記吊り荷関連情報に基づいて、前記操縦者の前記技量関連情報を生成する。
【0024】
前記クレーンの制御装置は、外部のサーバ内に位置する技量関連情報生成モデルを利用して前記操縦者の技量を評価する。前記制御装置は、多数の操縦者の技量関連情報を生成している前記サーバ内の技量関連情報生成モデルを利用することで、前記操縦者の技量をより精度よく適切に評価することができる。このように、適切に評価された前記操縦者の技量に基づいて、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の前記操縦者の心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0025】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0026】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0027】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0028】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な接続または結合を含むことができる。
【0029】
本明細書では、本発明に係るクレーンの実施形態について説明する。
【0030】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0031】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0032】
[動作]
本明細書において、各アクチュエータの動作とは、油圧シリンダ、油圧モータ、エンジン等の各アクチュエータの動作位置、回転数、動作速度、回転速度、動作加速度、回転角加速度、出力等の前記各アクチュエータの動作に関連する機能、性能を意味する。
【0033】
[動作の制限]
本明細書において、動作の制限とは、前記各アクチュエータの動作位置、回転数、動作速度、回転速度、動作加速度、回転角加速度、出力等の範囲を変更することを意味する。前記各アクチュエータに関連する動作の制限は、例えば、前記各アクチュエータの動作に関連する上限値を下方に変更または下限値を上方にする場合だけでなく、任意に設定された前記各アクチュエータの動作に関連する制限値を任意の値に変更する場合を含む。
【0034】
[学習]
本明細書において、学習または機械学習とは、機械(プロセッサ)において、入力に対する出力が正解であるように、モデル(プログラム)のパラメータを調整する作業を意味する。本実施形態において、学習対象である技量関連情報生成モデルに対して、入力データと前記入力データに対する正解とが組み合わされた教師情報に基づいて学習する教師あり学習、または入力データのみを利用して正解か否かを判断する教師なし学習のうち、少なくとも教師あり学習が行われる。
【0035】
[モデル]
本明細書において、モデルとは、学習が行われた具体的な計算式、関数、計算方法を意味する。モデルは、入力に対する出力の関係性を表現している数式である。モデルは、入力されたデータを数式に従って変換する。モデルの作成とは、モデルの学習を行うことを意味する。モデルは、値を予測する回帰モデル、データを分類する分類モデル等が存在する。
【0036】
[ニューラルネットワークモデル]
本明細書において、ニューラルネットワークモデルとは、入力を線形変換する複数の処理単位が互いに結合した数理モデルを意味する。前記ニューラルネットワークモデルは、入力層、少なくとも1つの中間層、出力層、前記入力層と前記中間層とを連結する関数、及び前記中間層と前記出力層とを連結する関数を有する。前記入力層、前記中間層及び前記出力層は、データが入力される複数の変数である。前記ニューラルネットワークモデルは、前記入力層に入力されたデータを前記関数によって順に変換して出力する。データと前記データに対する正解との組み合わせから構成される教師データを前記入力層に入力した際に出力されるデータが教師データの正解に近づくように、前記ニューラルネットワークモデルにおける前記関数のパラメータが調整(学習)される。ニューラルネットワークモデルの学習が繰り返されることにより、入力されるデータに基づいて出力するデータと正解との誤差を減少させることができる。
【0037】
[視点]
本明細書において、視点とは、対象を見るときの視線が注がれる位置を意味する。前記操縦者の視点は、前記操縦者が前記クレーンを操作している最中に意識的に視線を注いでいる位置だけでなく、無意識的に視線を注いでいる位置を含む。
【0038】
[操作関連情報]
本明細書において、操作関連情報とは、旋回可能且つ起伏可能な伸縮ブームを有するクレーンを操縦者が操縦するための操作具の操作に関連する情報を意味する。前記操作関連情報は、例えば、前記クレーンにおける各操作具の単位時間毎の操作量、操作タイミング、操作時間に関連する情報を含む。
【0039】
[姿勢関連情報]
本明細書において、姿勢関連情報とは、前記クレーンの姿勢に関連する情報を意味する。前記姿勢関連情報は、例えば、前記クレーンの位置、前記クレーンにおける旋回台の旋回角度、前記クレーンにおける伸縮ブームの起伏角度、前記クレーンにおける伸縮ブームの長さ、前記クレーンにおけるワイヤロープの繰り出し量に関連する情報を含む。
【0040】
[吊り荷関連情報]
本明細書において、吊り荷関連情報とは、前記クレーンが搬送する吊り荷に関連する情報を意味する。前記吊り荷関連情報は、例えば、前記吊り荷の種類、前記吊り荷の重量、前記伸縮ブームに加わる前記吊り荷からの荷重、前記クレーンに対する前記吊り荷の単位時間毎の位置、前記クレーンに対する揺れ幅、前記クレーンに対する揺れの方向、前記クレーンに対する揺れの周期、前記吊り荷を接地面から吊り上げる第1位置、前記吊り荷を接地面に吊り下ろす第2位置、前記吊り荷の搬送経路に関連する情報を含む。
【0041】
[視点関連情報]
本明細書において、前記操縦者が前記クレーンを操縦している際の前記操縦者の視点に関連する情報である。視点関連情報は、前記操縦者が前記クレーンの操縦席に着座した際の前記操縦者の単位時間毎の視点の位置、前記操縦者が前記クレーンを操縦している際の前記操縦者の単位時間毎の視点の位置、前記操縦者の視点の移動方向、前記操縦者の視点の分布、前記操縦者の単位時間毎のまばたきの回数を含む。
【0042】
[技量]
本明細書において、技量とは、特定の物事を行う技術、技能、能力の度合いを意味する。よって、前記クレーン操縦者の技量とは、前記操縦者が前記クレーンを操縦する際の技術、技能、能力の度合いを意味する。技量が高い前記操縦者は、前記クレーンの操縦に関連する技術、技能、能力が優れている。前記クレーンの技量は、例えば、吊り荷の揺れの大きさ、吊り荷の搬送速度、吊り荷の安定性、吊り荷の接地精度、安全性等に関連する技術、技能、能力の度合いが含まれる。
【0043】
[吊り上げ技量関連情報]
本明細書において、吊り上げ技量関連情報とは、前記操縦者が前記クレーンを用いて前記吊り荷を第1位置から吊り上げる際の前記操縦者の技量に関連する情報を意味する。前記吊り上げ技量関連情報は、例えば、前記第1位置に接地されている前記吊り荷を所定の高さまで上方に吊り上げる前記操縦者の技量を吊り上げ技量評価指標に基づいて客観的に比較可能な数値等によって表現したものである。
【0044】
[吊り上げ技量評価指標]
本明細書において、吊り上げ技量関連情報とは、前記操縦者が前記クレーンを用いて前記吊り荷を接地面から吊り上げる際の前記操縦者の技量を客観的に評価する指標を意味する。例えば、前記吊り荷を第1位置から吊り上げる地切り工程において、前記クレーンの伸縮ブームは、ワイヤロープの巻き上げによる荷重の増大によってたわみが増大する。前記伸縮ブームの先端位置は、たわみの増大によって前記クレーン装置の作業半径方向の外方に向かって移動する。この際、前記吊り荷は、前記ワイヤロープの巻き上げによって接地面との間の摩擦力が減少する。前記吊り荷は、前記伸縮ブームの先端位置に対する前記吊り荷の位置のずれによって生じる作業半径方向の外方に引っ張られる力が前記吊り荷と前記接地面との間に発生している摩擦力よりも大きくなると作業半径方向外方に向かって移動する。
【0045】
技量が高い操縦者(熟練者)は、前記地切り工程において、前記伸縮ブームの先端位置の移動量を前記ワイヤロープの巻き上げ量と前記吊り荷の荷重情報により推定する。更に、前記操縦者は、地切り時に水平方向に前記吊り荷が動かないように、前記伸縮ブームの起伏操作によって前記伸縮ブームの先端位置を調整する。このように、前記地切り工程における前記操縦者の前記伸縮ブームの起伏操作、前記ワイヤロープの巻き上げ操作、前記吊り荷の荷重変化、前記操縦者の視点情報、地切り完了までの操作時間、操作具の操作タイミング等を評価する指標を前記吊り上げ技量評価指標とする。前記吊り上げ技量評価指標は、前記地切り工程における前記操縦者の技量を数値等に換算可能である。
【0046】
[移動技量関連情報]
本明細書において、移動技量関連情報とは、前記操縦者が前記クレーンを用いて前記吊り荷を平面視で移動させる際の前記操縦者の技量に関連する情報を意味する。移動技量関連情報は、例えば、前記第1位置の上方に吊り上げられた前記吊り荷を平面視で第2位置に移動させる前記操縦者の技量を移動技量評価指標に基づいて客観的に比較可能な数値等によって表現したものである。
【0047】
[移動技量評価指標]
本明細書において、移動技量関連情報とは、前記操縦者が前記クレーンを用いて前記吊り荷を平面視で水平方向に移動させる際の前記操縦者の技量を客観的に評価するための指標を意味する。例えば、前記吊り荷を平面視で第1位置から第2位置まで移動させる搬送工程において、前記伸縮ブームは旋回台による旋回動作によって前記吊り荷を搬送する。前記吊り荷は、前記伸縮ブームの旋回動作に伴って生じる遠心力によって、平面視で前記伸縮ブームの先端位置から旋回半径方向の外方に移動する。また、前記ワイヤロープに吊り下げられている前記吊り荷は、前記伸縮ブームの先端の旋回方向に移動よりも遅れて旋回方向に移動する。このため、前記吊り荷は、前記伸縮ブームの停止時に前記伸縮ブームの先端よりも旋回方向に移動する。
【0048】
前記技量が高い操縦者は、前記搬送工程において、前記吊り荷が前記伸縮ブームの先端よりも旋回半径方向の外方に位置している場合、前記伸縮ブームを倒伏させて、平面視で前記伸縮ブームの先端位置を前記吊り荷に近づける。また、前記操縦者は、前記搬送工程において、前記吊り荷が前記伸縮ブームの先端よりも旋回半径方向の内方に位置している場合、前記伸縮ブームを起立させて、平面視で前記伸縮ブームの先端位置を前記吊り荷に近づける。更に、前記操縦者は、前記搬送工程において、旋回動作の途中で前記吊り荷が前記伸縮ブームの先端よりも旋回方向の前方に位置し、前記第2位置で前記伸縮ブームの先端が前記吊り荷に追いつくように前記伸縮ブームの旋回速度を調整する。このように、前記搬送工程における前記操縦者の前記伸縮ブームの起伏及び旋回操作、前記伸縮ブームの先端位置に対する前記吊り荷の位置、前記吊り荷が前記第1位置から前記第2位置に移動するまでの移動時間、移動速度、操作具の操作タイミング等を評価する指標を前記移動技量評価指標とする。前記移動技量評価指標は、前記搬送工程における前記操縦者の技量を数値等に換算可能である。
【0049】
[吊り下し技量関連情報]
本明細書において、吊り下し技量関連情報とは、前記操縦者が前記クレーンを用いて前記吊り荷を第2位置に吊り下ろす際の操縦者の技量に関連する情報を意味する。吊り下し技量関連情報は、例えば、前記第2位置の上方に位置している前記吊り荷を第2位置に接地するまで下方に吊り下げる操縦者の技量を吊り下ろし評価指標に基づいて客観的に比較可能な数値等によって表現したものである。
【0050】
[吊り下し技量評価指標]
本明細書において、吊り下し技量関連情報とは、前記操縦者が前記クレーンを用いて前記吊り荷を吊り下ろして接地させる際の前記操縦者の技量を客観的に評価するための指標を意味する。例えば、前記吊り荷を第2位置に吊り下す接地工程において、前記伸縮ブームは、前記ワイヤロープの巻き下げによる荷重の減少によってたわみが減少する。前記伸縮ブームの先端位置は、たわみの減少によって前記クレーン装置の作業半径方向の内方に向かって移動する。この際、前記吊り荷は、前記ワイヤロープの巻き下げによって接地面との間の摩擦力が増大する。前記吊り荷は、前記伸縮ブームの先端位置に対する前記吊り荷の位置のずれによって生じる作業半径方向の内方に引っ張られる力が前記吊り荷と前記接地面との間に発生している摩擦力よりも小さくなるまで作業半径方向の内方に向かって移動する。
【0051】
技量が高い操縦者は、前記接地工程において、前記伸縮ブームの先端位置の移動量を前記ワイヤロープの巻き下げ量と前記吊り荷の荷重情報により推定する。更に、前記操縦者は、接地時に水平方向に前記吊り荷が動かないように、前記伸縮ブームの起伏操作によって前記伸縮ブームの先端位置を調整する。このように、前記接地工程における前記操縦者の前記伸縮ブームの起伏操作、前記ワイヤロープの巻き下げ操作、前記吊り荷の荷重変化、前記操縦者の視点情報、接地完了までの操作時間、操作具の操作タイミング等を評価する指標を前記吊り下ろし技量評価指標とする。前記吊り下ろし技量評価指標は、前記接地工程における前記操縦者の技量を数値等に換算可能である。
【0052】
[閾値]
本明細書において、閾値とは、前記操縦者が技量の高い熟練者か否かを判定するための技量の水準を意味する。前記閾値は、例えば、前記操縦者の技量を客観的に評価するための前記吊り上げ技量評価指標、前記移動技量評価指標及び前記吊り下ろし技量評価指標に基づいて評価された技量関連情報における所定の水準である。前記閾値は、前記吊り上げ技量評価指標に基づいて評価された吊り上げ技量関連情報、前記移動技量評価指標に基づいて評価された移動技量関連情報及び前記吊り下ろし技量評価指標吊り下し技量関連情報から、例えば平均値、2乗平均、標準偏差等の統計的処理によって算出した値に基づいて設定される。前記操縦者は、前記閾値よりも高い技量を有する場合、熟練者と判定される。前記閾値は、各工程または全ての工程を通じて集積された各技量関連情報に基づいて設定される。また、前記閾値は、熟練者の特徴、傾向等から工程毎の各技量関連情報に係数を付与して工程毎に重み付けを設定してよい。
【発明の効果】
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記吊り荷の取り扱いにおいて異なる技量が要求される前記吊り荷の地切り工程、前記吊り荷の搬送工程及び前記吊り荷の接地工程の各工程における操縦者の技量をより詳しく評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係るクレーンの側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係るクレーンの制御ブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るクレーンが有する技量関連情報生成モデルを利用して評価する地切り工程、搬送工程及び接地工程を示す経路図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態1に係るクレーンにおいて、操縦者の技量毎のアクセルペダル操作量と油圧ポンプ回転数の関係を示すグラフである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態1に係るクレーンにおいて、操縦者の技量毎のアクセルペダルの単位操作量に対する油圧ポンプの回転数変化量の関係を示すグラフである。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態1に係るクレーンにおいて、操縦者の技量毎のクレーン装置用操作具の単位操作量に対する各油圧アクチュエータの動作速度の関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態1に係るクレーンにおいて、操縦者の技量毎のクレーン装置用操作具の単位操作量に対する各油圧アクチュエータの動作速度変化量の関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態1に係るクレーンにおいて、操縦者の技量毎のクレーン装置用操作具の単位時間あたりの操作量に対する各油圧アクチュエータの動作速度の関係を示すグラフである。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態2に係るクレーンの制御ブロック図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態2に係るクレーンが有する技量関連情報生成モデルの機械学習の工程を表す模式図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態2に係るクレーンの変形例の制御ブロック図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態3に係るクレーンとサーバについての制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
[実施形態1]
<クレーンの全体構成>
図1から
図8を用いて本発明の実施形態1に係るクレーン1について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るクレーン1の全体構成を示す。
図2は、クレーン1の制御ブロック図を示す。
図3は、クレーン1、1A、1Bが有する技量関連情報生成モデル32を利用して評価する地切り工程X1、搬送工程Y1及び接地工程X2を示す経路図である。
図4は、操縦者Pの技量毎のアクセルペダル操作量と油圧ポンプ回転数の関係を示すグラフである。
図5は、操縦者Pの技量毎のアクセルペダル18aの単位操作量に対する油圧ポンプ4の回転数変化量の関係を示すグラフである。
図6は、操縦者Pの技量毎のクレーン装置用操作具19の単位操作量に対する各油圧アクチュエータの動作速度の関係を示すグラフである。
図7は、操縦者Pの技量毎のクレーン装置用操作具19の単位操作量に対する各油圧アクチュエータの動作速度変化量の関係を示すグラフである。
図8は、操縦者Pの技量毎のクレーン装置用操作具19の単位時間あたりの操作量に対する各油圧アクチュエータの動作速度の関係を示すグラフである。
【0056】
以下の各実施形態においては、クレーンとは、旋回可能且つ起伏可能な伸縮ブームを有する。また、クレーンとしてラフテレーンクレーン(以下、単に「クレーン」と記す)であるクレーン1について説明を行う。しかしながら、クレーンは、オールテレーンクレーン、トラッククレーン等であればよい。また、以下の説明において、操縦者Pとは、クレーンを操縦している者をいう。
【0057】
図1に示すように、クレーン1は、任意の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン1は、車両2、クレーン装置6、制御装置21(
図2参照)を有する。
【0058】
車両2は、クレーン装置6を搬送する走行体である。車両2は、複数の車輪によって走行可能に構成される。車両2は、エンジン3を動力源として走行する。また、エンジン3は、クレーン1の油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプ4を駆動させる。車両2は、アウトリガ5を有する。
【0059】
クレーン装置6は、吊り荷Wをワイヤロープによって吊り上げる作業装置である。クレーン装置6は、旋回台7、伸縮ブーム9、メインフックブロック10、サブフックブロック11、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13、メインワイヤロープ14、サブウインチ15、サブワイヤロープ16、キャビン17等を具備する。
【0060】
旋回台7は、クレーン装置6を旋回可能に構成する回転装置である。旋回台7は、円環状の軸受を介して車両2のフレーム上に設けられる。旋回台7には、アクチュエータである油圧式の旋回用油圧モータ7aを有する。旋回台7は、旋回用油圧モータ7aによって一方向と他方向とに旋回可能である。
【0061】
クレーン用GNSS受信機8(
図2参照)は、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)を構成する受信機である。クレーン用GNSS受信機8は、衛星から測距電波を受信し、クレーン用GNSS受信機8の絶対座標である緯度、経度、標高、方位等を検出するものである。クレーン用GNSS受信機8は、旋回台7に設けられている。
【0062】
伸縮ブーム9は、メインワイヤロープ14およびサブワイヤロープ16を支持する可動支柱である。伸縮ブーム9は、複数のブーム部材から構成されている。伸縮ブーム9は、ベースブーム部材の基端が旋回台7の略中央に揺動可能に設けられている。伸縮ブーム9は、各ブーム部材を伸縮させるアクチュエータである伸縮用油圧シリンダ9a(
図2参照)とブーム部材を起伏させる起伏用油圧シリンダ12を有する。伸縮ブーム9は、伸縮用油圧シリンダ9aによって軸方向に伸縮される。また、伸縮ブーム9は、吊り荷Wを撮影する撮像装置であるブームカメラ9b及び延長用部材であるジブ9cを有する。ブームカメラ9b(
図2参照)は、伸縮ブーム9の先端部に位置している。
【0063】
メインフックブロック10とサブフックブロック11とは、吊り荷Wを吊る部品である。メインフックブロック10は、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる複数のフックシーブと、吊り荷Wを吊るメインフック10aとを有する。サブフックブロック11は、吊り荷Wを吊るサブフック11aを有する。
【0064】
メインウインチ13は、メインワイヤロープ14の巻き上げおよび巻き下げを行う装置である。サブウインチ15は、サブワイヤロープ16の巻き上げおよび巻き下げを行う装置である。
【0065】
キャビン17は、操縦席を覆う筐体である。キャビン17は、旋回台7に搭載されている。キャビン17には、図示しない操縦席が設けられている。操縦席には、車両2を走行操作するための走行用操作具18、クレーン装置6のクレーン装置用操作具19等が設けられている(
図2参照)。また、キャビン17には、操縦者Pの技量関連情報等を入力する入力装置20が設けられている。
【0066】
図2に示すように、走行用操作具18は、エンジン3及び油圧ポンプ4を操作する操作具であるアクセルペダル18aを含む。クレーン装置用操作具19は、旋回用油圧モータ7aを操作する操作具である旋回用操作具19a、伸縮用油圧シリンダ9aを操作する操作具である伸縮用操作具19b、起伏用油圧シリンダ12を操作する操作具である起伏用操作具19c、メインウインチ13を操作する操作具であるメインウインチ用操作具19d及びサブウインチ15を操作する操作具であるサブウインチ用操作具19eを含む。
【0067】
制御装置21は、クレーン1の各アクチュエータを制御する。制御装置21は、キャビン17(
図1参照)内に設けられている。制御装置21は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続されている。または、制御装置21は、ワンチップのLSI等から構成される。制御装置21は、各アクチュエータ、切換え弁等の動作を制御したり画像データを処理したりするために種々のプログラムおよびデータが格納されている。
【0068】
制御装置21は、通信装置21aを有している。通信装置21aは、外部のサーバS1と電気的に接続されている。制御装置21は、通信装置21aを介してサーバS1との間で各種情報を送受信可能である。制御装置21は、通信装置21aを介して、サーバS1からクレーン1の操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を取得可能である。
【0069】
図3に示すように、吊り上げ技量関連情報Si1は、操縦者Pがクレーン1を用いて吊り荷Wを第1位置P1から吊り上げる際の技量に関連する情報である。移動技量関連情報Si2は、第1位置P1の上方に位置する吊り荷Wを操縦者Pがクレーン1を用いて第2位置P2の上方に向かって移動させる際の技量に関連する情報である。吊り下し技量関連情報Si3は、第2位置P2の上方に位置する吊り荷Wを操縦者Pがクレーン1を用いて第2位置P2に吊り下ろす際の技量に関連する情報である。
【0070】
図2に示すように、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3は、例えば、高度な技術をもつ熟練者を10点、初級者を1点として工程別の操縦者Pの技量を評価した情報である。また、制御装置21は、操縦者Pの工程別の評価である吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3に基づいて操縦者Pの技量を総合的に評価可能である。
【0071】
なお、以下の実施形態において、熟練者とは、例えば、クレーン1の延べ操縦時間が所定時間を超えており、且つ自己申告または第三者の評価による吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3の評価が一定数の操縦者の平均値以上を閾値とする閾値以上の操縦者P(
図10参照)である。
【0072】
制御装置21は、クレーン用GNSS受信機8に接続されている。制御装置21は、クレーン1の位置に関する情報を取得可能である。制御装置21は、ブームカメラ9bに接続されている。制御装置21は、ブームカメラ9bが撮影した現在の画像を単位時間毎に連続して取得可能である。
【0073】
制御装置21は、アクセルペダル18aと電気的に接続されている。制御装置21には、アクセルペダル18aの単位時間あたりの操作量である操作信号が入力される。制御装置21は、旋回用操作具19a、伸縮用操作具19b、起伏用操作具19c、メインウインチ用操作具19d及びサブウインチ用操作具19eと電気的に接続されている。制御装置21には、旋回用操作具19a、伸縮用操作具19b、起伏用操作具19c、メインウインチ用操作具19d及びサブウインチ用操作具19eの単位時間あたりの操作量である操作信号がそれぞれ入力される。制御装置21は、走行用操作具18及びクレーン装置用操作具19から入力される操作信号に基づいて、油圧ポンプ4及びクレーン装置6の制御信号を生成可能である。制御装置21は、生成した制御信号を各アクチュエータに送信可能である。
【0074】
制御装置21は、入力装置20と電気的に接続されている。制御装置21には、入力装置20からクレーン1の操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3が入力可能である。
【0075】
制御装置21は、サーバS1または入力装置20から取得した操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3基づいて、油圧ポンプ4、旋回用油圧モータ7a、伸縮用油圧シリンダ9a、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13及びサブウインチ15の動作を制限可能である。制御装置21は、操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3基づいて、例えば、油圧ポンプ4の最大回転数、回転数変化量等を変更可能である。
【0076】
このように構成されるクレーン1は、走行用操作具18の操作によって車両2を任意の位置に移動させることができる。また、クレーン1は、アクセルペダル18a及びクレーン装置用操作具19の操作によって、伸縮ブーム9を旋回、起伏、伸縮させることで吊り荷Wを任意の位置に搬送可能である。また、クレーン1は、クレーン装置用操作具19の操作によって、メインウインチ13またはサブウインチ15で吊り荷Wを吊り上げ及び吊り下ろし可能である。また、クレーン1は、取得した操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3に基づいて、伸縮ブーム9の旋回動作、起伏動作、伸縮動作、メインウインチ13、サブウインチ15の巻き上げ及び巻き下げ動作を制限可能である。
【0077】
<技量関連情報に基づくアクチュエータの動作制限>
次に
図2から
図8を用いて、クレーン1のアクチュエータの動作制限について説明する。
図2に示すように、クレーン1の制御装置21は、通信装置21aを介して、または入力装置20から入力された操縦者Pに関連する情報に基づいて、サーバS1から操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を取得する。
【0078】
制御装置21は、取得した操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3に基づいて操縦者Pの技量を設定する。本実施形態において、制御装置21は、操縦者Pの技量をレベル1からレベル10の10段階評価で表示する。制御装置21は、設定した操縦者Pの技量に基づいて前記アクチュエータの動作を制限する。
【0079】
<油圧ポンプ4の最大回転数制限>
油圧ポンプ4の最大回転数を制限する場合、制御装置21は、油圧ポンプ4を操作するアクセルペダル18aが最大操作位置まで操作された際の操作信号に基づいて油圧ポンプ4に送信する制御信号を操縦者Pの技量に応じて変更する。つまり、制御装置21は、操縦者Pの技量に応じてクレーン1が有する油圧アクチュエータの最大動作速度を作動油の供給量によって制限する。
【0080】
図4に示すように、制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が熟練者に該当する上級レベル(例えばレベル10からレベル8)の技量T1である場合、油圧ポンプ4の最大回転数を変更しない。つまり、制御装置21は、油圧ポンプ4が出力可能な最大回転数である回転数Rv1を油圧ポンプ4の最大回転数とする制御信号を生成する。
【0081】
制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が中級レベル(例えばレベル7からレベル5)の技量T2である場合、油圧ポンプ4の最大回転数を回転数Rv1よりも小さい回転数Rv2に変更する。制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が初級レベルまたは初心者レベル(例えばレベル4からレベル1)の技量T3である場合、油圧ポンプ4の最大回転数を回転数Rv2よりも小さい回転数Rv3に変更する。つまり、制御装置21は、操縦者Pの技量に応じて油圧ポンプ4の最大回転数を制限する。
【0082】
制御装置21は、上級レベルよりも低い技量の操縦者Pによってアクセルペダル18aが最大操作位置まで操作されても、操縦者Pの技量に応じた回転数Rv2以下の回転数で油圧ポンプ4が回転する制御信号を生成する。よって、操縦者Pは、自己の技量の範囲内で操縦可能な速度領域において油圧アクチュエータを操作することができる。
【0083】
<油圧ポンプ4の回転数変化量制限>
図5に示すように、アクセルペダル18a(
図2参照)の単位操作量Ovあたりの油圧ポンプ4の回転数変化量を制限する場合、制御装置21は、油圧ポンプ4(
図2参照)を操作するアクセルペダル18aを単位操作量Ov(例えば踏み込み角1°)だけ操作された際の操作信号に基づいて油圧ポンプ4に送信する制御信号を操縦者Pの技量に応じて変更する。つまり、制御装置21(
図2参照)は、操縦者Pの技量に応じてクレーン1が有する油圧アクチュエータの応答感度を作動油の供給量によって制限する。
【0084】
図5に示すように、制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が上級レベル(例えばレベル10からレベル8)の技量T1である場合、アクセルペダル18aの単位操作量Ovあたりの油圧ポンプ4の回転数変化量を変更しない。つまり、制御装置21は、油圧ポンプ4が出力可能な最大回転数変化量である回転数変化量Ra1をアクセルペダル18aの単位操作量Ovあたりの油圧ポンプ4の回転数変化量をとする制御信号を生成する。
【0085】
制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が中級レベル(例えばレベル7からレベル5)の技量T2である場合、アクセルペダル18aの単位操作量Ovあたりの油圧ポンプ4の回転数変化量を回転数変化量Ra1よりも小さい回転数変化量Ra2に変更する。制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が初級レベルまたは初心者レベル(例えばレベル4からレベル1)の技量T3である場合、アクセルペダル18aの単位操作量Ovあたりの油圧ポンプ4の回転数変化量を回転数変化量Ra2よりも小さい回転数変化量Ra3に変更する。つまり、制御装置21は、操縦者Pの技量に応じてアクセルペダル18aの単位操作量Ovあたりの油圧ポンプ4の回転数変化量を制限する。
【0086】
制御装置21は、上級レベルよりも低い技量の操縦者Pによってアクセルペダル18aが操作されても、操縦者Pの技量に応じた回転数変化量Ra2以下の回転数変化量で油圧ポンプ4が回転する制御信号を生成する。よって、操縦者Pは、自己の技量の範囲内で操縦可能な応答感度において油圧アクチュエータを操作することができる。
【0087】
また、制御装置21は、油圧ポンプ4の最大回転数とアクセルペダル18aの単位操作量Ovあたりの油圧ポンプ4の回転数変化量との両方を操縦者Pの技量に応じて変更可能である。制御装置21は、上級レベルよりも低い技量の操縦者Pによってアクセルペダル18aが操作された際、操縦者Pの技量に応じた回転数変化量Ra2以下の回転数変化量で油圧ポンプ4が回転する制御信号を生成する。また、制御装置21は、アクセルペダル18aが最大操作位置まで操作された際、操縦者Pの技量に応じた最大回転数Rv2以下の最大回転数で油圧ポンプ4が回転する制御信号を生成する。
【0088】
<油圧アクチュエータの最大動作速度制限>
図2に示すように、旋回用油圧モータ7a、伸縮用油圧シリンダ9a、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13及びサブウインチ15の最大動作速度を制限する場合、制御装置21は、旋回用操作具19a、伸縮用操作具19b、起伏用操作具19c、メインウインチ用操作具19d及びサブウインチ用操作具19e(以下、単に「クレーン装置用操作具19」と記す)が最大操作位置まで操作された際の操作信号に基づいて旋回用油圧モータ7a、伸縮用油圧シリンダ9a、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13及びサブウインチ15(以下、単に「各油圧アクチュエータ」と記す)に送信する制御信号を操縦者Pの技量に応じて変更する。つまり、制御装置21は、操縦者Pの技量に応じてクレーン1が有する前記各油圧アクチュエータの最大動作速度を前記各油圧アクチュエータが有する比例制御弁等の開度によって制限する。
【0089】
図6に示すように、制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が上級レベル(例えばレベル10からレベル8)の技量T1である場合、前記各油圧アクチュエータの最大動作速度を変更しない。つまり、制御装置21は、前記各油圧アクチュエータが出力可能な最大動作速度である動作速度Mv1を前記各油圧アクチュエータの最大動作速度とする制御信号を生成する。
【0090】
制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が中級レベル(例えばレベル7からレベル5)の技量T2である場合、前記各油圧アクチュエータの最大動作速度を動作速度Mv1よりも小さい動作速度Mv2に変更する。制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が初級レベルまたは初心者レベル(例えばレベル4からレベル1)の技量T3である場合、前記各油圧アクチュエータの最大動作速度を動作速度Mv2よりも小さい動作速度Mv3に変更する。つまり、制御装置21は、操縦者Pの技量に応じて各油圧アクチュエータの最大動作速度を制限する。
【0091】
制御装置21は、上級レベルよりも低い技量の操縦者Pによってクレーン装置用操作具19が最大操作位置まで操作されても、操縦者Pの技量に応じた動作速度Mv2以下の動作速度で前記各油圧アクチュエータが動作する制御信号を生成する。よって、操縦者Pは、自己の技量の範囲内で操縦可能な速度領域において前記各油圧アクチュエータを操作することができる。
【0092】
なお、制御装置21は、前記各油圧アクチュエータの最大動作速度をそれぞれ個別に変更可能である。つまり、制御装置21は、前記各油圧アクチュエータのうち少なくとも一つの最大動作速度を操縦者Pの技量に応じた動作速度に変更可能である。
【0093】
<油圧アクチュエータの操作具の操作に対する動作速度変化量制限>
図7に示すように、クレーン装置用操作具19(
図2参照)の単位操作量Ovあたりの前記各油圧アクチュエータの動作速度変化量を制限する場合、制御装置21(
図2参照)は、クレーン装置用操作具19を単位操作量Ov(例えば操作角1°)だけ操作された際の操作信号に基づいて前記各油圧アクチュエータに送信する制御信号を操縦者Pの技量に応じて変更する。つまり、制御装置21は、操縦者Pの技量に応じてクレーン1が有する前記各油圧アクチュエータの応答感度を前記各油圧アクチュエータが有する比例制御弁等の開度によって制限する。
【0094】
制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が上級レベル(例えばレベル10からレベル8)の技量T1である場合、クレーン装置用操作具19の単位操作量Ovあたりの前記各油圧アクチュエータの動作速度変化量を変更しない。つまり、制御装置21は、前記各油圧アクチュエータが出力可能な最大動作速度変化量である動作速度変化量Ma1をクレーン装置用操作具19の単位操作量Ovあたりの前記各油圧アクチュエータの動作速度変化量をとする制御信号を生成する。
【0095】
制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が中級レベル(例えばレベル7からレベル5)の技量T2である場合、クレーン装置用操作具19の単位操作量Ovあたりの前記各油圧アクチュエータの動作速度変化量を動作速度変化量Ma1よりも低い動作速度変化量Ma2に変更する。制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が初級レベルまたは初心者レベル(例えばレベル4からレベル1)の技量T3である場合、クレーン装置用操作具19の単位操作量Ovあたりの前記各油圧アクチュエータの動作速度数変化量を動作速度変化量Ma2よりも低い動作速度変化量Ma3に変更する。つまり、制御装置21は、操縦者Pの技量に応じて各油圧アクチュエータの単位操作量Ovあたりの動作速度数変化量を制限する。
【0096】
制御装置21は、上級レベルよりも低い技量の操縦者Pによってクレーン装置用操作具19が操作されても、操縦者Pの技量に応じた動作速度変化量Ma2以下の動作速度変化量で前記各油圧アクチュエータが動作する制御信号を生成する。よって、操縦者Pは、自己の技量の範囲内で操縦可能な応答感度において前記各油圧アクチュエータを操作することができる。
【0097】
また、制御装置21は、前記各油圧アクチュエータの最大動作速度とクレーン装置用操作具19の単位操作量Ovあたりの前記各油圧アクチュエータの動作速度変化量との両方を操縦者Pの技量に応じて変更可能である。制御装置21は、上級レベルよりも低い技量の操縦者Pによってクレーン装置用操作具19が操作された際、操縦者Pの技量に応じた動作速度変化量Ma2以下の動作速度変化量で前記各油圧アクチュエータが動作する制御信号を生成する。また、制御装置21は、クレーン装置用操作具19が最大操作位置まで操作された際、操縦者Pの技量に応じた最大回転数Rv2以下の最大回転数で油圧ポンプ4が回転する制御信号を生成する。
【0098】
<油圧アクチュエータの操作具の操作に対する動作速度変化量制限>
図2に示すように、クレーン装置用操作具19の単位時間あたりの前記各油圧アクチュエータの最大動作速度変化量を制限する場合、制御装置21は、クレーン装置用操作具19の単位時間(例えば1秒)あたりの操作信号に基づいて前記各油圧アクチュエータに送信する制御信号を操縦者Pの技量に応じて変更する。つまり、制御装置21は、操縦者Pの技量に応じてクレーン1が有する前記各油圧アクチュエータの応答感度を前記各油圧アクチュエータが有する比例制御弁等の開度によって制限する。
【0099】
図8に示すように、制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が上級レベル(例えばレベル10からレベル8)の技量T1である場合、クレーン装置用操作具19の単位時間あたりの前記各油圧アクチュエータの最大動作速度変化量を変更しない。つまり、制御装置21は、前記各油圧アクチュエータが出力可能な最大動作速度変化量である動作速度変化量Mam1をクレーン装置用操作具19の単位時間あたりの前記各油圧アクチュエータの動作速度変化量とする制御信号を生成する。
【0100】
制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が中級レベル(例えばレベル7からレベル5)の技量T2である場合、クレーン装置用操作具19の単位時間あたりの前記各油圧アクチュエータの最大動作速度変化量を動作速度変化量Mam1よりも低い動作速度変化量Mam2に変更する。制御装置21は、例えば、操縦者Pの技量が初級レベルまたは初心者レベル(例えばレベル4からレベル1)の技量T3である場合、クレーン装置用操作具19の単位時間あたりの前記各油圧アクチュエータの最大動作速度数変化量を動作速度変化量Mam2よりも低い動作速度変化量Mam3に変更する。つまり、制御装置21は、操縦者Pの技量に応じて前記各油圧アクチュエータの最大動作速度数変化量を制限する。
【0101】
制御装置21は、上級レベルよりも低い技量の操縦者Pによってクレーン装置用操作具19が操作されても、操縦者Pの技量に応じた単位時間あたりの動作速度変化量Mam2以下の動作速度変化量で前記各油圧アクチュエータが動作する制御信号を生成する。よって、操縦者Pは、自己の技量の範囲内で操縦可能な応答感度において前記各油圧アクチュエータを操作することができる。
【0102】
上述のクレーン1の制御装置21は、操縦者Pの技量が熟練者とみなせる上級レベル相当であると評価した場合、前記各油圧アクチュエータの動作を制限することなく前記各油圧アクチュエータの制御信号を生成する。つまり、クレーン1は、上級レベルの技量を有する操縦者Pによって操縦されている場合、前記各油圧アクチュエータの動作を制限することなくアクセルペダル18a及びクレーン装置用操作具19の操作に応じて操縦可能に構成されている。一方、制御装置21は、操縦者Pの技量が初級レベルであると評価した場合、油圧ポンプ4及び前記各油圧アクチュエータの最大速度、最大トルク、アクセルペダル18a及びクレーン装置用操作具19の単位操作量Ovに対する変化量等を制限した制御信号を生成する。つまり、クレーン1は、例えば、初級レベルの技量を有する操縦者Pによって操縦されている場合、油圧ポンプ4及び前記各油圧アクチュエータの最大速度、最大トルク、単位操作量Ovあたりの最大変化量等が初級レベルの設定値以下に制限された状態で操縦可能に構成されている。
【0103】
図4及び
図5において、クレーン1は、操縦者Pの技量に応じて油圧ポンプ4の最大回転数及び油圧ポンプ4を操作するアクセルペダル18aの単位操作量Ovあたりの油圧ポンプ4の回転数変化量の少なくとも一方が制限される。クレーン1は、例えば、初級レベルの操縦者Pによって、アクセルペダル18aが大きく踏み込まれても制限された最大回転数Rv3及び回転数変化量Ra3以上で油圧ポンプ4が作動しないように構成されている。
【0104】
図6及び
図7において、クレーン1は、操縦者Pの技量に応じて前記各油圧アクチュエータの最大動作速度及び前記各油圧アクチュエータを操作するクレーン装置用操作具19の単位操作量Ovあたりの前記各油圧アクチュエータの速度変化量の少なくとも一方が制限される。クレーン1は、例えば、初級レベルの操縦者Pによって、クレーン装置用操作具19が大きく操作されても制限された最大回転数及び回転数変化量以上で前記各油圧アクチュエータが作動しないように構成されている。
【0105】
図8において、クレーン1は、操縦者Pの技量に応じて前記各油圧アクチュエータの単位時間あたりの動作速度変化量が制限される。クレーン1は、例えば、初級レベルの操縦者Pによって、クレーン装置用操作具19が急に操作されても初級レベルの動作速度変化量以下で前記各アクチュエータの可動部が動作するように構成されている。
【0106】
すなわち、クレーン1は、制御装置21によって操縦者Pが自己の技量で余裕をもって操作可能な範囲内で油圧ポンプ4及び前記各油圧アクチュエータが作動するように調整される。これにより、適切に評価された操縦者Pの技量に基づいて、操縦者Pがクレーン1を操縦する際の操縦者Pの心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内でクレーン1を操縦することができる。
【0107】
[実施形態2]
<操縦者Pの技量評価を行うクレーンの全体構成>
以下に、
図3、
図9及び
図10を用いて、本発明の実施形態2に係る操縦者Pの技量を評価可能なクレーン1Aについて説明する。
図9は、本発明の実施形態2に係るクレーン1Aの制御ブロック図である。
図10は、クレーン1Aが有する技量関連情報生成モデル32の機械学習の工程を表す模式図である。なお、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0108】
図9に示すように、クレーン1Aは、任意の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン1Aは、制御装置31、表示装置34を有する。
【0109】
制御装置31は、クレーン1の各アクチュエータを制御する。制御装置31は、技量関連情報生成モデル32、記憶部33を有する。制御装置31には、技量関連情報生成モデル32及び記憶部33を制御するために、種々のプログラム、データが格納されている。
【0110】
制御装置31は、走行用操作具18及びクレーン装置用操作具19の操作信号から操作関連情報Oiを生成可能である。また、制御装置31は、旋回用油圧モータ7a、伸縮用油圧シリンダ9a、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13及びサブウインチ15のセンサの情報等から姿勢関連情報Piを生成可能である。また、制御装置31は、ブームカメラ9bの吊り荷画像Pw等から吊り荷関連情報Liを生成可能である。
【0111】
技量関連情報生成モデル32は、操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいた操縦者Pの技量の評価に利用される。技量関連情報生成モデル32は、学習用操縦者PLによって作成された教師データに基づいて学習された機械学習用のモデルである(
図10参照)。
【0112】
制御装置31は、クレーン1を操縦する操縦者Pの技量を評価可能である。本実施形態において、制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用して、クレーン1を操縦者Pが操縦するためのクレーン装置用操作具19の操作に関連する情報である操作関連情報Oi、クレーン1の姿勢に関連する情報である姿勢関連情報Pi及びクレーン1が搬送する吊り荷Wに関連する情報である吊り荷関連情報Liに基づいて、操縦者Pの技量を評価する情報である吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2または吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つを生成する。
【0113】
制御装置31には、通信装置20aを介して外部のサーバS1から操縦者Pの操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liが入力可能である。また、制御装置31は、操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liを記憶部33及び表示装置34に対して出力可能である。制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用して作成した吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を記憶部33及び表示装置34に対して出力可能である。また、制御装置31は、通信装置20aを介して操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi、吊り荷関連情報Li、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を外部のサーバS1等に対して出力可能である。
【0114】
制御装置31は、記憶部33に記憶された操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi、吊り荷関連情報Li、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を含む各種情報を取得可能である。
【0115】
記憶部33は、クレーン1またはサーバS1等から入力される操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Li、制御装置31から入力される吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3等を記憶可能である。記憶部33は、操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi、吊り荷関連情報Li、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3等を記憶するRAM、プロセッサ内部のメモリ、ハードディスク等を有する。記憶部33は、記憶した操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi、吊り荷関連情報Li、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3等を制御装置31に対して出力可能である。
【0116】
表示装置34は、制御装置31が技量関連情報生成モデル32を利用して作成した吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つを表示する。表示装置34は、例えば液晶ディスプレイから構成されている。表示装置34には、制御装置31または記憶部33から吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つが入力される。表示装置34は、操縦者Pの技量関連情報を操縦者Pまたは第3者に伝達可能である。
【0117】
このように構成される制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用して操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいて操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つを作成する。クレーン1Aは、クレーン1Aの操縦において異なる技術が必要となる工程毎に操縦者Pの技量を評価することができる。
【0118】
<技量関連情報生成モデル32の作成>
次に、技量関連情報生成モデル32の作成について説明する。技量関連情報生成モデル32は、操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいた操縦者Pの技量の評価に利用される機械学習用のモデルである。技量関連情報生成モデル32は、例えば、ニューラルネットワークを有する。
【0119】
図10に示すように、技量関連情報生成モデル32は、技量が閾値よりも高い熟練者に相当する上級レベルの学習用操縦者PLの学習用操作関連情報OiL、学習用姿勢関連情報PiL及び学習用吊り荷関連情報LiLと学習用操縦者PLの自己申告または第三者の評価による学習用吊り上げ技量関連情報Si1L、学習用移動技量関連情報Si2L及び学習用吊り下し技量関連情報Si3Lのうち少なくとも一つとの組み合わせから構成される教師情報に基づいて学習されたモデルである。
【0120】
学習用吊り上げ技量関連情報Si1Lは、操縦者PLがクレーン11を用いて吊り荷Wを接地面から吊り上げる際の操縦者PLの技量を客観的に評価するための指標である吊り上げ技量評価指標に基づいて評価された技量の正解ラベルである。学習用移動技量関連情報Si2Lは、操縦者PLがクレーン11を用いて吊り荷Wを平面視で水平方向に移動させる際の操縦者PLの技量を客観的に評価するための指標である移動技量評価指標に基づいて評価された技量の正解ラベルである。学習用吊り下し技量関連情報Si3Lは、操縦者PLがクレーン11を用いて吊り荷Wを接地面に吊り下ろして接地させる際の操縦者PLの技量を客観的に評価するための指標である吊り下ろし評価指標に基づいて評価された技量の正解ラベルである。
【0121】
図10に示すように、技量関連情報生成モデル32には、学習用操縦者PLがクレーン1を用いて、吊り荷Wを少なくとも第1位置P1から第2位置P2(
図3参照)まで搬送するまでの学習用操作関連情報OiL、学習用姿勢関連情報PiL及び学習用吊り荷関連情報LiLがそれぞれ連続した一つの情報として入力される。
【0122】
制御装置31は、例えば、学習用操縦者PLの操縦によって生成した学習用操作関連情報OiL、学習用姿勢関連情報PiL及び学習用吊り荷関連情報LiLを、工程別に、吊り荷Wを第1位置P1から吊り上げるまでの範囲、吊り荷Wを第1位置P1から第2位置P2まで移動させる範囲及び吊り荷Wを第2位置P2に接地するまでの範囲に切り分ける。
【0123】
更に、制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用して、切り分けた各範囲の学習用操作関連情報OiL、学習用姿勢関連情報PiL及び学習用吊り荷関連情報LiLに基づいて、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つを生成する。このように、制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用することで、学習用操作関連情報OiL、学習用姿勢関連情報PiL及び学習用吊り荷関連情報LiLを互いに関連した情報として処理可能である。
【0124】
図3及び
図10に示すように、クレーン1Aによって吊り荷Wを第1位置P1から吊り上げる地切り工程X1において、学習用操縦者PLは、吊り荷Wが接地面から離れる寸前までの巻き上げ操作具の操作時間が短く、且つ吊り荷Wが接地面から離れる寸前に伸縮ブーム9(
図1参照)のたわみ補正を行うために起伏用操作具19c(
図9参照)の操作を行う場合が多い。よって、メインワイヤロープ14(
図1参照)の巻き上げ開始から巻き上げ終了までにおいて、制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用することで、所用時間、伸縮ブーム9(
図1参照)に加わる荷重の変化に対する巻き上げ操作具及び起伏用操作具19cの操作量、操作タイミング及び単位時間あたりの操作量等の情報を含む操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Li基づいて、吊り上げ技量評価指標に沿った学習用操縦者PLの吊り上げ技量関連情報Si1として評価することができる。
【0125】
クレーン1Aによって吊り荷Wを第1位置P1から第2位置P2まで移動させる搬送工程Y1において、学習用操縦者PLは、第2位置P2に吊り荷Wが先行して到達するように旋回方向における伸縮ブーム9の先端の位置と吊り荷Wの位置とを旋回用操作具19aの操作によって調整している。更に、学習用操縦者PLは、旋回時の遠心力によって吊り荷Wが旋回中心から離れないように旋回径方向における伸縮ブーム9の先端の位置と吊り荷Wの位置とを起伏用操作具19cの操作によって調整している。よって、第1位置P1から第2位置P2までの搬送において、制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用することで、所用時間、旋回用操作具19a及び起伏用操作具19cの操作量、操作タイミング及び単位時間あたりの操作量等の情報を含む操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Li基づいて、移動技量評価指標に沿った学習用操縦者PLの移動技量関連情報Si2として評価することができる。
【0126】
吊り荷Wを第1位置P1に吊り下ろす接地工程X2において、学習用操縦者PLは、吊り荷Wが接地面に接触する寸前までの巻き上げ(巻き下げ)操作具の操作時間が短く、且つ吊り荷Wが接地面に接触する寸前に伸縮ブーム9のたわみ補正を行うために起伏用操作具19cの操作を行っている。よって、メインワイヤロープ14の巻き下げ開始から巻き下げ終了までにおいて、制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用することで、所用時間、伸縮ブーム9の荷重変化に対するメインウインチ用操作具19d及び起伏用操作具19cの操作量、操作タイミング及び単位時間あたりの操作量等の情報を含む操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Li基づいて、吊り下ろし評価指標に沿った学習用操縦者PLの吊り下し技量関連情報Si3として評価することができる。
【0127】
制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用して生成した吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3と教師情報の正解ラベルである学習用吊り上げ技量関連情報Si1L、学習用移動技量関連情報Si2L及び学習用吊り下し技量関連情報Si3Lとのそれぞれの誤差ができるだけ小さくなるように機械学習によって技量関連情報生成モデル32のパラメータを調整する。制御装置31は、前記誤差が一定の範囲の収束するまで機械学習を繰り返す。制御装置31は、機械学習が完了した技量関連情報生成モデル32を有している。
【0128】
本実施形態において、機械学習された技量関連情報生成モデル32は、操縦者Pの操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいた吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つの生成に利用される。
【0129】
制御装置31は、機械学習済の技量関連情報生成モデル32を利用することで、クレーン1Aの操作及びクレーン1Aの姿勢に対する吊り荷Wの振れを含む吊り荷Wの軌道に関しての技量関連情報である吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を生成可能である。
【0130】
<クレーン1Aによる技量評価>
図9に示すように、技量評価を実施する場合、制御装置31は、クレーン1Aによって第1位置P1からの吊り荷Wの吊り上げ工程を開始してから第2位置P2に吊り荷Wを接地する接地工程X2が完了するまでの間の操縦者Pの操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liをそれぞれ連続した一つの情報として生成する。制御装置31は、生成した操縦者Pの操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liを記憶部33に記憶させる。
【0131】
次に、制御装置31は、技量関連情報生成モデル32を利用して、互いに関連する情報である操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいて、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つを生成する。また、制御装置31は、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を総合的に評価した総合技量を評価してもよい。
次に、制御装置31は、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち生成した技量関連情報を記憶部33及び表示装置34に対して出力する。
【0132】
記憶部33は、生成した技量関連情報を特定の操縦者Pの技量関連情報として、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3と組み合わせて記憶する。
【0133】
このように構成されるクレーン1Aは、吊り荷Wの取り扱いにおいて操縦者Pに必要な様々な技量をそれぞれ個別に評価するための技量関連情報を生成する。技量関連情報は、クレーン1Aによる吊り荷Wの搬送作業における各工程別に操縦者Pの技量を数値化した情報である。よって、クレーン1Aは、吊り荷Wの第1位置P1からの吊り上げ工程から吊り荷Wの第2位置P2への接地工程X2までの全工程における操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3をそれぞれ出力する。
【0134】
また、制御装置31は、クレーン1Aによって吊り荷Wを第1位置P1から吊り上げてから第2位置P2に接地するまでの期間における操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liをそれぞれ連続した1つの情報として操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を生成している。つまり、制御装置31は、操縦者Pがクレーン1Aによって吊り荷Wを第1位置P1から第2位置P2に搬送するまでの一連の操作においてそれぞれの工程での技量を個別に評価するので、技量の評価に不要な情報を排除することができる。
【0135】
さらに、制御装置31は、熟練者の操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liを含む情報を機械学習のための学習用操作関連情報OiL、学習用姿勢関連情報PiL及び学習用吊り荷関連情報LiLとして機械学習した技量関連情報生成モデル32を利用することで、操縦者Pの技量を、熟練者を基準とする熟練度として評価することができる。
【0136】
これにより、吊り荷Wの取り扱いにおいて異なる技量が要求される吊り荷Wの第1位置P1からの地切り工程X1、第1位置P1から第2位置P2までの吊り荷Wの搬送工程Y1及び吊り荷Wの第2位置P2への接地工程X2の各工程における操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3をより詳しく評価することができる。
【0137】
制御装置31は、生成した操縦者Pの吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3に基づいて操縦者Pの技量を設定する。制御装置31は、例えば、前記各油圧アクチュエータを操作するクレーン装置用操作具19が最大操作位置まで操作された際の操作信号に基づいて油圧ポンプ4に送信する制御信号を設定した操縦者Pの技量に応じて変更する。つまり、制御装置31は、操縦者Pの技量に応じてクレーン1Aが有する前記各油圧アクチュエータの最大動作速度を作動油の供給量によって制限する。このように、適切に評価された操縦者Pの技量に基づいて、操縦者Pがクレーン1Aを操縦する際の操縦者Pの心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0138】
<クレーン1Aの変形例>
次に、
図11を用いてクレーン1Aの変形例について説明する。
図11は、実施形態2に係るクレーン1Aの変形例の制御ブロック図である。クレーン1Aの変形例における制御装置31は、操縦者Pがクレーン1Aを操縦している際の操縦者Pの視点に関連する情報である視点関連情報Viを含む操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいて、操縦者Pの技量を評価する情報である吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2または吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つを出力してもよい。
【0139】
図11に示すように、クレーン1Aは、操縦者Pがクレーン1Aを操縦している際の操縦者Pの視点を検出する視点検出装置35を有する。視点検出装置35は、例えばメガネ型のウェラブル端末である。視点検出装置35は、操縦者Pの視界を撮影するカメラの視界画像と操縦者Pが注視している視点を検出するカメラの視点画像とを合成した視点検出画像Pvを生成する。視点検出装置35は、クレーン1Aの制御装置31に対して生成した視点検出画像Pvを出力可能である。
【0140】
制御装置31は、視点検出装置35と電気的に接続されている。制御装置31には、視点検出装置35から視点検出画像Pvが入力可能である。制御装置31は、入力された視点検出画像Pvから視点関連情報Viを生成可能である。視点関連情報Viは、操縦者Pの視点の位置、単位回数あたりの視点滞在時間、操縦者Pの視点の分布、操縦者Pの視点の移動方向等から、操縦者Pの吊り荷Wの移動に関する技量と操縦者Pの心理状態とを関連付ける情報である。
【0141】
制御装置31は、操作関連情報Oi、視点関連情報Vi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいた操縦者Pの技量の評価に利用される技量関連情報生成モデル32Aを有する。技量関連情報生成モデル32Aは、操作関連情報Oi、視点関連情報Vi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいた操縦者Pの技量の評価に利用される機械学習用のモデルである。技量関連情報生成モデル32Aは、例えば、ニューラルネットワークを有する。
【0142】
機械学習された技量関連情報生成モデル32Aは、操縦者Pの操作関連情報Oi、視点関連情報Vi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいて、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つの生成に利用される。
【0143】
記憶部33は、視点検出装置35から入力される視点関連情報Viを記憶する。記憶部33は、記憶した視点関連情報Viを制御装置31に対して出力可能である。
【0144】
これにより、クレーン1Aは、操作関連情報Oi、視点関連情報Vi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいて、吊り荷Wの第1位置P1からの地切り工程X1、第1位置P1から第2位置P2までの吊り荷Wの搬送工程Y1及び吊り荷Wの第2位置P2への接地工程X2の各工程(
図3参照)における操縦者Pの吊り荷Wの周囲の状況、吊り荷Wの動き、クレーン1Aの状態及び操縦者Pの心理状態を関連付けて操縦者Pの技量をより詳しく評価することができる。
【0145】
操縦者Pの視点に関連する情報には、操縦者Pの思考、感情、心理状態が間接的に表れることが知られている。つまり、制御装置31は、操縦者Pの思考、感情、心理状態を考慮して操縦者Pの技量を適切に評価する。このように、適切に評価された操縦者Pの技量に基づいて、操縦者Pがクレーン1Aを操縦する際の操縦者Pの心理的、肉体的負担を低減可能な範囲内で操縦することができる。
【0146】
[実施形態3]
<サーバが技量関連情報生成モデルを有する構成>
<クレーン1Bの全体構成>
図12を用いて本発明のクレーンの実施形態3に係るクレーン1Bについて説明する。
図12は、本発明の実施形態3に係るクレーン1BとサーバS2についての制御ブロック図である。
【0147】
図12に示すように、クレーン1Bは、技量関連情報生成モデル32を有している。また、クレーン1Bは、通信装置21aを介して有線及び無線の少なくとも一方から構成されるインターネット等の通信回線L経由で外部のサーバS2と電気的に接続されている。技量関連情報生成モデル32は、サーバS2内に位置している。つまり、クレーン1Bは、通信装置21aを介してサーバS2内の技量関連情報生成モデル32と電気的に接続されている。
【0148】
クレーン1Bは、サーバS2内の技量関連情報生成モデル32を利用して、操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいて、操縦者Pの技量を評価する情報である吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つを生成する。各クレーン1Bの制御装置31は、通信回線Lを介してサーバS2から吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち生成した技量関連情報を取得する。
【0149】
制御装置31は、通信回線Lを介してサーバS2から操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi、吊り荷関連情報Li、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を入力可能である。制御装置31は、操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報LiをサーバS2に対して出力可能である。
【0150】
サーバS2は、操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi、吊り荷関連情報Li、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3を記憶可能である。
【0151】
サーバS2内の技量関連情報生成モデル32には、通信回線Lを介して複数のクレーン1Bが電気的に接続可能である。つまり、複数のクレーン1Bは、サーバS2内の技量関連情報生成モデル32を共用している。サーバS2内の技量関連情報生成モデル32は、複数のクレーン1Bから操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liを取得することで、国、地域、所属団体、年齢、クレーンの機種、作業内容による操縦者Pのクレーンを操縦する技量の差異、傾向を把握することができる。また、取得した複数の操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liを用いて技量関連情報生成モデル32を機械学習させることができる。これにより、制御装置31は、多数の操縦者Pの技量関連情報の生成に利用されているサーバS2内の技量関連情報生成モデル32を利用することで、操縦者Pの技量をより精度よく適切に評価することができる。
【0152】
<他の実施形態>
上述の実施形態において、クレーン1、1A、1Bは、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つによって操縦者Pの技量を評価している。しかしながら、クレーンは、操縦者のクレーン操縦時間、操縦者の操縦経歴等の操縦者に関連する操縦者関連情報を加えて操縦者の技量を評価してもよい。また、クレーンは、操縦者の心拍等の操縦者の身体に関連する操縦者身体情報を加えて操縦者の技量を評価してもよい。つまり、操縦者技量評価装置は、操縦者の操作関連情報、姿勢関連情報及び吊り荷関連情報に加えて視点関連情報等の技量評価に関連する情報を任意に組み合わせることで前記操縦者の技量を評価してもよい。
【0153】
また、上述の実施形態において、クレーン1、1A、1Bは、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つによって操縦者Pの技量を評価している。しかしながら、クレーンは、吊り荷の揺れの大きさ、吊り荷の回転等の特定の項目に関連する技量を評価してもよい。
【0154】
また、上述の各実施形態において、技量関連情報生成モデル32は、ニューラルネットワークモデルによって構成されている。しかしながら、技量関連情報生成モデルは、サポートベクターマシン(SVM)、決定木、k最近傍法、単純ベイズ、ロジステック回帰、線形回帰、非線形回帰、ステップワイズ回帰等、機械学習モデルによって構成されていればよい。
【0155】
上述の実施形態において、クレーン1、1A、1Bは、ブームカメラ9bを撮像装置として吊り荷Wの画像を取得している。しかしながら、クレーンは、撮像装置としてブームカメラ以外のカメラを撮像装置としてもよい。クレーンは、例えば、撮像装置として、クレーンの車体カメラ、工事現場に設置したカメラ及びドローンに搭載したカメラ等が撮影した画像を取得してもよい。
【0156】
また、上述の各実施形態において、技量関連情報生成モデル32は、熟練者である上級レベルの学習用操縦者PLの学習用操作関連情報OiL、学習用姿勢関連情報PiL及び学習用吊り荷関連情報LiLを教師データとして機械学習されている。しかしながら、技量関連情報生成モデルは、熟練者でない中級レベル、初級レベルを学習用操縦者PLとした学習用操作関連情報OiL、学習用姿勢関連情報PiL及び学習用吊り荷関連情報LiLを教師情報として機械学習を実施してもよい。
【0157】
また、上述の各実施形態において、技量関連情報生成モデル32は、操縦者Pの操作関連情報Oi、姿勢関連情報Pi及び吊り荷関連情報Liに基づいて、吊り上げ技量関連情報Si1、移動技量関連情報Si2及び吊り下し技量関連情報Si3のうち少なくとも一つの生成に利用される。しかしながら、技量関連情報生成モデルは、操作関連情報、姿勢関連情報及び吊り荷関連情報を記録した際のクレーンの環境に関連する情報である環境関連情報を含めて、吊り上げ技量関連情報、移動技量関連情報及び吊り下し技量関連情報のうち少なくとも一つを生成してもよい。
【0158】
また、上述の実施形態において、クレーン1、1A、1Bは、操縦者Pの技量に応じて、油圧ポンプ4の最大回転数、油圧ポンプ4の単位操作量Ovあたりの回転数変化量、各油圧アクチュエータの最大動作速度、各油圧アクチュエータの単位操作量Ovあたりの動作速度変化量及び各油圧アクチュエータの単位時間あたりの動作速度変化量を制限している。しかしながら、クレーンは、油圧ポンプ及び各油圧アクチュエータの最大出力、平均出力、動作範囲等の油圧ポンプ及び各油圧アクチュエータの動作特性に関連する数値を制限するものであればよい。
【0159】
また、上述の実施形態において、クレーン1、1A、1Bは、操縦者Pの技量に応じて、油圧ポンプ4の最大回転数、油圧ポンプ4の単位操作量Ovあたりの回転数変化量、各油圧アクチュエータの最大動作速度、各油圧アクチュエータの単位操作量Ovあたりの動作速度変化量及び各油圧アクチュエータの単位時間あたりの動作速度変化量を制限している。この際、クレーンは、油圧ポンプ及び各油圧アクチュエータのそれぞれの項目のうち少なくとも一つの項目を制限すればよい。
【0160】
また、上述の実施形態において、クレーン1、1A、1Bは、操縦者Pの技量に応じて、旋回用油圧モータ7a、伸縮用油圧シリンダ9a、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13及びサブウインチ15について最大動作速度、単位操作量Ovあたりの動作速度変化量及び単位時間あたりの動作速度変化量のうち少なくとも一つを制限している。しかしながら、クレーンは、旋回用油圧モータ、伸縮用油圧シリンダ、起伏用油圧シリンダ、メインウインチ及びサブウインチのうち少なくとも一つについて最大動作速度、単位操作量あたりの動作速度変化量及び単位時間あたりの動作速度変化量のうち少なくとも一つを制限してもよい。
【0161】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0162】
1、1A、1B クレーン
2 車両
3 エンジン
4 油圧ポンプ
5 アウトリガ
6 クレーン装置
7 旋回台
7a 旋回用油圧モータ
8 クレーン用GNSS受信機
9 伸縮ブーム
9a 伸縮用油圧シリンダ
9b ブームカメラ
9c ジブ
10 メインフックブロック
10a メインフック
11 サブフックブロック
11a サブフック
12 起伏用油圧シリンダ
13 メインウインチ
14 メインワイヤロープ
15 サブウインチ
16 サブワイヤロープ
17 キャビン
18 走行用操作具
18a アクセルペダル
19 クレーン装置用操作具
19a 旋回用操作具
19b 伸縮用操作具
19c 起伏用操作具
19d メインウインチ用操作具
19e サブウインチ用操作具
20 入力装置
21、31 制御装置
21a 通信装置
32 技量関連情報生成モデル
33 記憶部
34 表示装置
35 視点検出装置
Oi 操作関連情報
OiL 学習用操作関連情報
Pi 姿勢関連情報
PiL 学習用姿勢関連情報
Li 吊り荷関連情報
LiL 学習用吊り荷関連情報
Vi 視点関連情報
Si1 吊り上げ技量関連情報
Si2 移動技量関連情報
Si3 吊り下し技量関連情報
W 吊り荷
Pv 視点検出画像
Pw 吊り荷画像
P 操縦者
S1、S2 サーバ
T1、T2、T3 技量
Rv1、Rv2、Rv3 回転数
Ra1、Ra2、Ra3 回転数変化量
Mv1、Mv2、Mv3 動作速度
Ma1、Ma2、Ma3 動作速度変化量
Mam1、Mam2、Mam3 単位時間あたりの動作速度変化量
Ov 単位操作量
X1 地切り工程
X2 接地工程
Y1 搬送工程
L 通信回線