(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】電池と保護モジュールを備える電子デバイス
(51)【国際特許分類】
G04G 19/00 20060101AFI20240826BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20240826BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240826BHJP
H01M 10/623 20140101ALI20240826BHJP
H01M 10/6595 20140101ALI20240826BHJP
H01M 10/655 20140101ALI20240826BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20240826BHJP
【FI】
G04G19/00 Z
H01M50/202 401H
H01M10/613
H01M10/623
H01M10/6595
H01M10/655
H01M50/247
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022175304
(22)【出願日】2022-11-01
【審査請求日】2022-11-01
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・バレオン
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/032484(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0187411(US,A1)
【文献】中国実用新案第212011198(CN,U)
【文献】中国実用新案第209731895(CN,U)
【文献】特開2009-082810(JP,A)
【文献】特表2014-514079(JP,A)
【文献】国際公開第2010/032486(WO,A1)
【文献】特開2021-118162(JP,A)
【文献】特開2004-259613(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113178907(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
H01M 50/20-50/298
H01M 10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(2)と、このケース(2)内に配置される電子システム(3)と、を備える、電子デバイス(1)であって、
前記ケース(2)
の内側又は外側には、前記電子システム(3)にエネルギー供給することを可能にする電池(4)のハウジング(14)が形成されており、
前記電子デバイス(1)は、前記電池(4)が熱暴走したときに熱を吸収するように自動的にトリガーされるように構成している独立型の吸熱性の保護モジュール(10)を備え、
前記保護モジュール(10)は、しきい値温度から開始するように自動的にトリガーされ、
前記保護モジュール(10)は、トリガー前は隔たれており自動トリガー後は混合して一緒になる2つの物品(7、8)を備え、
前記2つの物品(7、8)は、前記ケース(2)内に配置される包囲体(6)内に配置され、
前記2つの物品(7、8)は、トリガー前には壁(9)によって分けられており、前記壁(9)は、しきい値温度よりも高くなると崩壊する
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
ケース(2)と、このケース(2)内に配置される電子システム(3)と、を備える、電子デバイス(1)であって、
前記ケース(2)
の内側又は外側には、前記電子システム(3)にエネルギー供給することを可能にする電池(4)のハウジング(14)が形成されており、
前記電子デバイス(1)は、前記電池(4)が熱暴走したときに熱を吸収するように自動的にトリガーされるように構成している独立型の吸熱性の保護モジュール(10)を備え、
前記保護モジュール(10)は、しきい値温度から開始するように自動的にトリガーされ、
前記保護モジュール(10)は、トリガー前は隔たれており自動トリガー後は混合して一緒になる2つの物品(7、8)を備え、
前記2つの物品(7、8)は、トリガー前には壁(9)によって分けられており、
前記壁(9)は、しきい値温度よりも高くなると崩壊し、
前記ハウジング(14)内に配置される包囲体(6)には、複数の区画(11、12)があり、各区画(11、12)には、前記2つの物品(7、8)のうちの1つがあり、
前記区画(11、12)には、各物品(7、8)が互い違いにある
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項3】
ケース(2)と、このケース(2)内に配置される電子システム(3)と、を備える、電子デバイス(1)であって、
前記ケース(2)
の内側又は外側には、前記電子システム(3)にエネルギー供給することを可能にする電池(4)のハウジング(14)が形成されており、
前記電子デバイス(1)は、前記電池(4)が熱暴走したときに熱を吸収するように自動的にトリガーされるように構成している独立型の吸熱性の保護モジュール(10)を備え、
前記保護モジュール(10)は、しきい値温度から開始するように自動的にトリガーされ、
前記保護モジュール(10)は、トリガー前は隔たれており自動トリガー後は混合して一緒になる2つの物品(7、8)を備え、
前記2つの物品(7、8)は、トリガー前には壁(9)によって分けられており、前記壁(9)は、しきい値温度よりも高くなると崩壊し、
前記壁(9)は、前記しきい値温度より融点が低い金属合金を含む
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項4】
ケース(2)と、このケース(2)内に配置される電子システム(3)と、を備える、電子デバイス(1)であって、
前記ケース(2)
の内側又は外側には、前記電子システム(3)にエネルギー供給することを可能にする電池(4)のハウジング(14)が形成されており、
前記電子デバイス(1)は、前記電池(4)が熱暴走したときに熱を吸収するように自動的にトリガーされるように構成している独立型の吸熱性の保護モジュール(10)を備え、
前記保護モジュール(10)は、しきい値温度から開始するように自動的にトリガーされ、
前記保護モジュール(10)は、トリガー前は隔たれており自動トリガー後は混合して一緒になる2つの物品(7、8)を備え、
前記2つの物品(7、8)は、トリガー前には壁(9)によって分けられており、前記壁(9)は、しきい値温度よりも高くなると崩壊し、
前記ハウジング(14)内に配置される包囲体(6)には、複数の区画(11、12)があり、各区画(11、12)には、前記2つの物品(7、8)のうちの1つがあり、
前記区画(11、12)は、前記壁(9)によって閉じられ、
前記壁は
、ABSタイプのアクリロニトリルブタジエンスチレン、LDPEタイプの低密度ポリエチレン、又はPVCタイプのポリ塩化ビニルのようなポリマー物質を含む
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項5】
前記2つの物品(7、8)は、前記ケース(2)内に配置される包囲体(6)内に配置される
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記ハウジング(14)内に配置される包囲体(6)には、複数の区画(11、12)があり、
各区画(11、12)には、前記2つの物品(7、8)のうちの1つがある
ことを特徴とする請求項1または3に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記区画(11、12)には、各物品(7、8)が互い違いにある
ことを特徴とする請求
項4に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記区画(11、12)には、各物品(7、8)が互い違いにある
ことを特徴とする請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記区画(11、12)は、前記壁(9)によって閉じられる
ことを特徴とする請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記区画(11、12)は、前記壁(9)によって閉じられる
ことを特徴とする請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記壁(9)は、前記しきい値温度より融点が低い金属合金を含む
ことを特徴とする請求項1、2および4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記壁(9)は、インジウム-窒化チタン共晶合金、ローズメタルタイプの鉛-ビスマス-スズ合金、鉛-ビスマス合金、ビスマス-窒化チタン共晶合金、及びビスマス-インジウム共晶合金からなる群から選択される材料を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記壁は、ABSタイプのアクリロニトリルブタジエンスチレン、LDPEタイプの低密度ポリエチレン、又はPVCタイプのポリ塩化ビニルのようなポリマー物質を含む
ことを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記壁は、ABSタイプのアクリロニトリルブタジエンスチレン、LDPEタイプの低密度ポリエチレン、又はPVCタイプのポリ塩化ビニルのようなポリマー物質を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項15】
混合される前記2つの物品(7、8)のなかの第1の物品(7)及び第2の物品(8)は、硝酸アンモニウムと水、塩化カリウムと水、炭酸ナトリウムとエタン酸、塩化チオニールと硫酸コバルト七水和物、及び水酸化バリウム八水和物結晶と乾燥塩化アンモニウムからなる群の組から選択される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記吸熱性保護モジュール(10)は、前記ケース(2)内に配置される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記吸熱性保護モジュール(10)は、前記ケースの外側に配置される
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を備える電子デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
携行型時計(例、腕時計、懐中時計)や移動体電話のような電子デバイスの電池は、衝撃、極端な温度、さらには製造上の欠陥などによって、予測不能なように熱暴走することがある。高品質な製造を行っても、電池が寿命を迎えるまでに熱暴走するリスクは、100万分の1~1000万分の1あると見積もられることが一般的である。高い基準の品質管理を行って製造した電池を用いていても、欠陥品によって手首に火傷を負ったとしてユーザーから訴えられた電子デバイスメーカーもある。
【0003】
このような熱暴走が発生した状況では、電池の化学エネルギーのすべてが熱エネルギーとして数秒間で放出される。例えば、100mAhのリチウムイオン電池CR2032は、1分以内に100℃より高い温度まで上昇する可能性がある。
【0004】
携行型時計のように電子デバイスが皮膚に触れている場合、燃焼限界を超えてケースの温度が上昇して携行型時計の着用者を傷つけてしまうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するように意図されており、電池を備える電子デバイスであって、電池が熱暴走しても電子デバイスの着用者を火傷のリスクから守るようなものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このようなことに鑑みて、本発明は、ケースと、このケース内に配置される電子システムと、を備える、電子デバイス、特に電子的な携行型時計、に関し、前記ケースには、前記電子システムにエネルギー供給することを可能にする電池のハウジングが形成されている。
【0007】
この電子デバイスは、前記電池が熱暴走したときに熱を吸収するように自動的にトリガーされるように構成している独立型の吸熱性の保護モジュールを備えるという点で画期的である。
【0008】
電池が非常に激しく発熱して動作異常となったときに、前記保護モジュールがトリガーされて、電池の発熱の少なくとも一部を吸収する。このために、前記電子デバイスのユーザーは、火傷のリスクから保護される。
【0009】
本発明のおかげで、電子デバイス内の内部構成に関連して実装が複雑な熱保護に頼ることが避けられる。また、この保護モジュールは、既存の電子デバイスに適応させることも可能である。
【0010】
本発明の特定の実施形態において、前記保護モジュールは、しきい値温度から開始するように自動的にトリガーされる。
【0011】
本発明の特定の実施形態において、前記保護モジュールは、トリガー前は隔たれており自動トリガー後は混合して一緒になる2つの物品を備える。
【0012】
本発明の特定の実施形態において、前記2つの物品は、トリガー前には壁によって分けられており、前記壁は、しきい値温度よりも高くなると崩壊する。
【0013】
本発明の特定の実施形態において、前記壁は、低融点の金属合金を含む。
【0014】
本発明の特定の実施形態において、前記2つの物品は、ハウジング内に配置される包囲体内に配置される。
【0015】
本発明の特定の実施形態において、前記包囲体には、複数の区画があり、各区画には、前記2つの物品のうちの1つがある。
【0016】
本発明の特定の実施形態において、前記区画には、各物品が互い違いにある。
【0017】
本発明の特定の実施形態において、前記区画は、しきい値温度を超えると崩壊可能な壁によって閉じられる。
【0018】
本発明の特定の実施形態において、混合される前記第1の物品及び前記第2の物品は、硝酸アンモニウムと水、塩化カリウムと水、炭酸ナトリウムとエタン酸、塩化チオニールと硫酸コバルト七水和物、及び水酸化バリウム八水和物結晶と乾燥塩化アンモニウムからなる群の組から選択される。
【0019】
本発明の特定の実施形態において、前記壁は、好ましくは全体的に、インジウム-窒化チタン共晶合金(indium-Titanium nitride eutectic alloy)、ローズメタルタイプの鉛-ビスマス-スズ合金、鉛-ビスマス合金、ビスマス-窒化チタン共晶合金(Bismuth-Titanium nitride eutectic alloy)、及びビスマス-インジウム共晶合金からなる群から選択される材料を含む。
【0020】
本発明の特定の実施形態において、前記壁は、好ましくは全体的に、ABSタイプのアクリロニトリルブタジエンスチレン、LDPEタイプの低密度ポリエチレン、又はPVCタイプのポリ塩化ビニルのようなポリマー物質を含む。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、前記吸熱性保護モジュールは、前記ケース内に配置される。
【0022】
本発明の特定の実施形態において、前記吸熱性保護モジュールは、前記ケースの外側に配置される。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、前記壁は、好ましくは全体的に、低融点の金属合金を含む。
【0024】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、他の目的、利点及び特徴を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】電池と本発明に係る熱保護モジュールを備える電子的な携行型時計の第1の実施形態を示している概略図である。
【
図2】トリガー前の熱保護モジュールの第1の実施形態を示している概略図である。
【
図3】トリガー後の熱保護モジュールの第1の実施形態を示している概略図である。
【
図4】熱保護モジュールの第2の実施形態を示している概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、内部に電子システム3が配置されているケース2を備える、ここでは携行型時計である、電子デバイス1を示している。例えば、電子システム3は、電子クオーツモーターと、この電子クオーツモーターによって制御されるデジタル又はアナログの針タイプの表示手段と、を備える。携行型時計のケース2には、電子システム3に電力供給することを可能にする電池4のためのハウジング14が形成される。
【0027】
本発明によると、携行型時計は、電池4の熱暴走の際にトリガーされて熱を吸収するように構成している吸熱性保護モジュール10を備える。
【0028】
図1の例において、保護モジュール10は、ハウジング内における電池4とケース2の底部5の間に配置される。
【0029】
この他の構成も可能であり、例えば、保護モジュールは、ケース内の電池の位置に対応する壁に対向するようにケースの外側で配置される。携行型時計の場合、保護モジュールは、ケースの底面と、携行型時計の着用者の皮膚との間に配置される。このようにして、暴走時に保護モジュールによって携行型時計の着用者が保護される。
【0030】
別の構成において、保護モジュールを、かさばることに関連する理由によって、ユーザーの皮膚とは反対側にて、電池に対向するように配置することができる。この場合、熱流をユーザー側とは反対方向に流して、皮膚が接触する箇所の温度を抑える。
【0031】
また、移動体電話など既存の電子デバイスに、保護モジュールを配置することもできる。保護モジュールは、ケース内における電池の位置に対応するように、ケースの外面に固定される。ケースの表面上に保護モジュールを取り付けるために、ねじ、高温に耐える接着剤、磁石のような様々な固定手段を用いることができる。
【0032】
吸熱性保護モジュール10は、電池から放出される熱の少なくとも一部を吸収するために、しきい値温度から作動するように自動的にトリガーされるように構成している。
【0033】
このために、保護モジュール10は、保護モジュール10のトリガー前は隔たれておりトリガーされると混合される2つの物品7、8を備える。2つの物品7、8を混合することによって、吸熱化学反応が発生し、電池4から放出される熱を吸収することができる。
【0034】
物品7、8は、しきい値として機能する所定の温度から作動するように一緒に自動的に混合される。好ましくは、トリガー温度は、80℃よりも高く、場合によっては100℃よりも高い。
【0035】
吸熱反応を得るために混合することができる物品7、8のタイプは様々である。この吸熱反応のおかげで、電池から放出される熱の少なくとも一部を吸収することができる。エネルギーは一部しか吸収されないが、ケース2の底部5の温度が低下するので、携行型時計の着用者は、火傷を負うことを避けることができ、高温を感じない。
【0036】
吸熱反応を発生させるために、例えば、第1の物品7を硝酸アンモニウムとし、第2の物品8を水とする。2つの物品7、8を混合すると吸熱反応が発生する。
【0037】
他の物品7、8の組も可能であり、混合される第1の物品7と第2の物品8を以下の組から選択することができる。
- 塩化カリウムと水
- 炭酸ナトリウムとエタン酸
- 塩化チオニールと硫酸コバルト七水和物
- 水酸化バリウム八水和物結晶と乾燥塩化アンモニウム
【0038】
各組の物品7、8を混合すると吸熱反応が発生して、電池から放出される熱を吸収する。
【0039】
図2において、2つの物品7、8は、ハウジング14内に配置された包囲体6内に配置される。2つの物品7、8は、これらの物品7、8の混合を避けるように構成している壁9によって隔てられている。例えば、これらの物品7、8を封入することができる。
【0040】
壁9は、所定温度から作動するように崩壊可能である。このように、電池4の温度が暴走した場合、電池4が放出する温度がしきい値よりも大きいと、保護モジュール10が自動的にトリガーされる。
【0041】
壁9は、前記所定の温度よりも高温になると、崩壊して散らばる膜である。例えば、この膜は、融点が低い金属合金、例えば、融点が100℃であるMCP96タイプのビスマス合金、である。このような融点は、しきい値として機能する。融点よりも温度が高くなると、膜が溶けて2つの物品が混ざり合うことができる。
【0042】
この他、インジウム-窒化チタン共晶合金、ローズメタルタイプの鉛-ビスマス-スズ合金、鉛-ビスマス合金、ビスマス-窒化チタン共晶合金、ビスマス-インジウム共晶合金なども可能である。
【0043】
これらの合金は融点が異なり、インジウム-窒化チタン共晶合金は117℃、ローズメタルタイプの鉛-ビスマス-スズ合金は95℃、鉛-ビスマス合金は125℃、ビスマス-窒化チタン共晶合金は138℃、ビスマス-インジウム共晶合金は109℃である。
【0044】
このように、所望の保護に応じて、特定の融点を有する合金を選択する。
【0045】
図3において、壁が崩壊したために、2つの物品7、8が混ざり合って吸熱反応を起こしている。
【0046】
また、壁9は、好ましくは全体的に、ポリマー物質、例えば、ABSタイプのアクリロニトリルブタジエンスチレン、LDPEタイプの低密度ポリエチレン、又はPVCタイプのポリ塩化ビニル、を含むことができる。アクリロニトリルブタジエンスチレンは、融点が130℃、低密度ポリエチレンとポリ塩化ビニルは、融点が100℃である。
【0047】
図4に示している保護モジュール20の変異形態において、包囲体13には複数の区画11、12があり、各区画11、12は、2つの物品7、8のうちの1つを含む。これらの区画11、12は、第1の実施形態よりも大きさが小さい。好ましくは、区画11、12は、互い違いに各物品7、8を含む。
【0048】
各区画11、12は、所定の温度で崩壊可能な壁9によって閉じられる。壁9は、第1の変異形態と同じタイプのものである。
【0049】
このため、しきい値温度よりも高いと、各区画の壁が崩壊して、2つの物品が混ざり合うことができる。この構成のおかげで、物品の混合がうまく実行される。本実施形態に係る保護モジュールは、物品間の反応が非常に速いために、より効果的である。
【0050】
当然、本発明は、図示している実施形態に限定されるものではなく、当業者が認識することができる様々な変異形態や変更の対象となり得る。また、携行型時計だけではなく、移動体電話、ノートパソコン、又は他のモバイル電子デバイスにおける用途も考えられる。
【符号の説明】
【0051】
1 電子デバイス
2 ケース
3 電子システム
4 電池
5 底部
6、13 包囲体
7 第1の物品
8 第2の物品
9 壁
10、20 保護モジュール
11、12 区画
14 ハウジング